運動・スポーツガイドライン(仮称)策定に向けた有識者会議(平成29年度)(第2回) 議事録

1.日時

平成30年3月9日(金曜日)14時00分~16時00分

2.場所

スタンダード会議室虎ノ門ANNEX店2階会議室

3.議題

  1. (1)ヒアリング調査結果の報告
  2. (2)スポーツガイドライン(仮称)について
  3. (3)その他

4.議事録

平成29年度運動・スポーツガイドライン(仮称)策定に向けた有識者会議(第2回)

平成30年3月9日


【福永座長】
 皆さん、こんにちは。天気が悪いところ、お集まりいただきまして、ありがとうございます。全員おそろいでございますので、始めたいと思います。
 第2回運動・スポーツガイドライン(仮称)策定に向けた有識者会議でございますが、本日は、日本総合研究所からヒアリングの調査結果の報告及びスポーツガイドライン(仮称)についての意見交換を行っていただく予定でございます。
 それでは、本日、配布されております資料につきまして、事務局から御確認をお願いします。
【松崎健康スポーツ課課長補佐】
 資料の確認をさせていただきます。 まず、議事次第がございまして、議事次第をめくっていただきますと、資料1-1といたしまして横書きの「『スポーツ政策調査研究事業(スポーツ参画促進好事例調査)』ヒアリング結果の取りまとめにつきまして」という日本総研様からの提出資料がございます。次に、資料1-2といたしまして、A3三つ折りになっているものですけれども、総括表となっておりまして、こちらも日本総研様の説明資料でございます。次に、資料2といたしまして、「スポーツガイドライン(仮称)(たたき台)」という資料がございます。
 本編の資料はここまでですけれども、参考資料といたしまして、参考資料1「『スポーツ政策調査研究事業(スポーツ参画促進好事例調査)』取組事例概要(ヒアリング対象候補事例)」ということで、ヒアリングの詳細なまとめでございます。次に、参考資料2といたしまして、2月27日に報道発表させていただきました、平成29年度スポーツの実施状況等に関する世論調査の結果でございます。
 最後に、お知らせですけれども、スポーツ庁の方で実施しております「FUN+WALK PROJECT」のチラシでございますが、御参考までに入れさせていただいております。
 もし不足、落丁等ございましたら、事務局まで御連絡をお願いいたします。以上でございます。
【福永座長】
 ありがとうございます。いかがでしょうか。大丈夫ですね。
 それでは、議題に入りたいと思います。まず、前回、第3章に盛り込む事例の収集等につきまして、ヒアリング調査事例を選定いたしましたけれども、その結果についての報告をお願いしたいと思います。日本総研さんから御説明をお願いできますか。
【日本総合研究所春山様】
 ただいま御紹介にあずかりました日本総合研究所の春山です。前回の有識者会議の際にヒアリング調査事例を選んでいただきましたので、対象とさせていただいた事例について、全部で24件ですけれども、ヒアリング調査を掛けさせていただきました。その調査結果を取りまとめましたので、本日はその説明をさせていただきたいと思います。
 ヒアリング調査経過の詳細は、先ほど松崎補佐から御紹介いただきましたけれども、参考資料1という形で、各事例について2ページずつ詳細に取りまとめております。こちらは、公表に向けて公開できるような形で各取組主体の方の確認もいただいているものでして、本日、お配りさせていただいております。ただ、こちらの方、分量が多いので、本日は資料1-1「ヒアリング結果の取りまとめにつきまして」という資料で、ヒアリングから得られたポイントを中心に御説明させていただければと思っております。
 まず、資料1-1、めくっていただきまして、1ページ目を御覧いただければと思います。こちらで、今回の「ヒアリング結果の取りまとめにつきまして」という資料の趣旨について簡単に説明させていただいております。
 まず、1ポツに書かせていただいておりますとおり、スポーツガイドライン骨子(案)に示された大項目ごとに求められる方向性を取りまとめさせていただくとともに、取組効果を高めるポイントについて取りまとめを行わせていただいております。スポーツガイドライン骨子(案)に示された大項目というのは、2ページにお示ししている大項目を指しています。例えば、「する」スポーツでしたら、子供世代のスポーツ参加促進ですとか、ビジネスパーソン・子育て世代のスポーツ参加促進ですとか、そういった項目がガイドラインで挙げられておりますので、それごとにヒアリング結果から抽出したポイントを説明させていただこうと思います。
 資料1-2に、取組事例を一覧化したものを付けさせていただいております。これは、前回の会議の際に御議論いただきましたけれども、各項目についてそれぞれ一つないしは二つ事例を選定して、そこに対してヒアリングを行わせていただいております。そういった事例から、各該当項目に関するポイントなどを抽出して取りまとめさせていただいております。
 ただ、こちらの表の取組対象のところを見ていただければと思うんですけれども、例えば子供世代向けの取組に関して、一番上の浦和スポーツクラブさんですと、もちろん子供に対して非常に効果的な取組をされているとともに、それより上の世代、中高年や青壮年層の方々に対しても非常に効果的な取組になっているという形で、各事例、取組効果が非常に多岐にわたっています。資料1-1の2ポツに書かせていただいていますけれども、大項目ごとに求められる方向性、つまり大項目ごとにこういったポイントで取組を進めていくと、スポーツ実施が普及するのではないかというポイントをまとめさせていただいているんですけれども、各対象事例だけではなくて、対象とは違う事例から得られたエッセンスも含めて取りまとめを行わせていただいております。それについては、また後ほど詳しく説明させていただきたいと思います。
 3ポツに、取組効果を高めるためのポイントを別途、取りまとめたと書かせていただいています。2ポツで書かせていただいている大項目ごとに求められる方向性というのは、例えば子供向けであったり、ビジネスパーソン向けであったり、それぞれの層に向けた取組のポイントなんですけれども、それに加えて、各対象を横断的に見た上での横串的な取組のポイントを、取組効果を高めるポイントとして別途、まとめさせていただいております。これも、詳しくは後段、御説明させていただこうと思います。
 では、中身についての説明をさせていただければと思います。めくっていただいて、3ページ目からが具体的なポイントの整理をさせていただいたものになります。
 まずは、子供世代のスポーツ参加促進に向けた方策ということで、子供世代向けの取組のポイントを取りまとめさせていただいております。この資料の構成としては、青枠で囲っているところが様々なヒアリング結果から抽出してきた示唆です。その下に、ヒアリングでの示唆と書かせていただいているものは、先ほど触れましたけれども、参考資料1で各ヒアリングの内容を細かく取りまとめているんですけれども、この中から青枠囲みに該当するようなコメントを抽出してきて、参考までにお示しさせていただいていると、そういった構成になっております。
 子供世代向けのスポーツ参加促進ということでは、対象事例として、この前の会議のときに浦和スポーツクラブさんなどを挙げさせていただいたんですけれども、より多世代に向けた取組をやられているようなきゅぽらさんも、子供向けの取組ポイントの示唆などを得られましたので、そういった該当項目以外の取組事例についても、ヒアリングでの示唆ということで取りまとめをさせていただいております。
 では、中身の説明に入らせていただきます。
 子供世代のスポーツ参加促進に向けた方策では、取組のポイントを3ページと4ページで合わせて3点ほど整理させていただきました。
 1点目は、「スポーツ少年団や運動部活動以外で子供がスポーツできる場づくり」ということです。特にヒアリングをしていますと、子供たちの中には、もともとスポーツが好きだったにもかかわらず、地域のスポーツ少年団での活動とか、学校での部活動が肌に合わない、若しくはやりたい競技がなかなか見付けられないという形で、スポーツから離れてしまっていらっしゃる方々、あるいは、部活のレギュラーではなくて、十分に試合とか、練習に参加することができなくて、楽しくなくなってしまったり、そういったことをきっかけに更に周囲との実力差が離れて、やりたくなくなってしまったという方々も、やはり一定数存在しているというようなお話をお伺いしました。
 特に、総合型地域スポーツクラブなどは、スポーツ少年団とか、運動部活動での活動に満足できないような子供たちの受皿として、いろいろな役割を果たすことができるのではないか。そういった役割を果たすことを通じて、子供世代のスポーツ参加を促していくことができるのではないかということで、ポイントの1点目として整理させていただきました。
 ポイントの2点目は、学校体育施設の有効活用、学校開放の促進と括弧させていただいていますけれども、こういった観点も重要かと思っています。現状では、学校開放はもちろん進められているんですけれども、施設を提供する学校側の負担が大きいということもあって、なかなか開放は進みづらいかと思います。こういったところに、例えば総合型スポーツクラブなどが施設の管理を引き受けて、地域の住民向けに提供することができれば、地域住民のスポーツ活動で安価な施設の利用に寄与することができるのではないか。そういったことを通じて、地域への子供世代のスポーツ参加に結び付くのではないかということでポイントを整理させていただいています。
 3点目は、少し視点が変わって、運動への苦手意識を幼少期から克服という形で書かせていただいています。子供の運動能力というのは、成長の早熟、晩熟(ばんじゅく)に依存する部分が非常に大きいと思うんですけれども、特に晩熟(ばんじゅく)な子供たちは幼少期に早熟な子供と比較されてしまってスポーツ苦手意識を持って、その苦手意識がスポーツ嫌いにつながってしまっていることも多いとお伺いしております。そういった子供たちに対して、早熟とか、晩熟(ばんじゅく)といった、それぞれの成長段階に応じたトレーニングを行うことで運動能力を効果的に上げていくことができれば、苦手意識を取り除くことができて、運動嫌いが克服できるのではないかという御意見を頂いております。
 そういったやり方には、当然、科学的な知見とかが必要になってくると思うんですけれども、科学的なアプローチというのは、ともすれば、今だとトップアスリートの運動能力を上げていくところにフォーカスされて、議論されることが多いかと思うんですけれども、実は運動嫌いをなくすという観点では、幼少期こそ科学的なアプローチが必要ではないかというような御意見を頂いて、それをポイントとして挙げさせていただきました。
 子供世代については以上になります。
 続いて、5ページ目と6ページ目では、ビジネスパーソン・子育て世代のスポーツ参加促進に向けた方策ということで、ヒアリングから4点ほどポイントを整理させていただきました。
 まず、5ページ目の1ポツでは、ビジネスパーソンが利用しやすい早朝・夜間等におけるスポーツ機会の提供と書かせていただいております。今、特にビジネスパーソン・子育て世代の忙しい方々というのは、早朝や夜間などに体を動かしたいというニーズが増しているかと思います。今回、ヒアリングさせていただいた横浜DeNAのDREAM GATE CATCHBALLは、そういった層に対して、ふだんプロスポーツチームが利用していて、なかなか利用できない施設を、早朝であれば一部開放することができるので早朝開放して、プロ野球選手が利用している所でキャッチボールできるというような楽しみを与えることによって、近隣住民の方々のニーズを感知するといった取組をされています。早朝や夜間は非常に取組が必要かと思うんですけれども、早朝だからこそ使える施設の有効活用ですとか、ちょっとした仕掛けもビジネスパーソンのスポーツ実施につなげて、非常に効果的なのではないかということで整理させていただいています。
 2点目として挙げさせていただいているのは、健康経営の推進というポイントです。企業の方にお話をお伺いすると、やはり今、高齢化が進展しているとか、生活習慣病が広がっていることを背景にして、会社として社員の健康づくりを支援していく必要性を感じて、そういう動きが広がってきているのかなと。健康経営が広がっているというのは、まさにそういったことが背景になっているかと思います。そういった取組が必要とされている中で、経営トップできちんと健康宣言を行って、全社的に健康に取り組む実施体制を構築して、更に社員のモチベーションを喚起するために応援金みたいなインセンティブを付与するといった、会社として社員の健康づくりを積極的に支援していくような取組が進展しつつあるのかなという印象を受けています。
 今は、職場内での運動実施や、企業運動会などが見直されつつあると思うんですけれども、社内コミュニケーションの活性化とか、あるいは社内一体感の醸成とか、そういった観点からも見直されつつあるかと思います。企業としてスポーツに取り組むメリットが見直されつつある、改めて認識されつつあるということですので、そういったことを踏まえて全社的な取組体制を整えるとともに、ボトムアップで、職場単位でもいろいろな取組を推進する仕組みを健康経営として作られていくと非常に効果的かと思います。ただ、健康経営の取組、具体的にどんなことをやったらいいのか、なかなか分からずにいらっしゃるというような御意見もあるので、そういった取組をどんどん横展開して、持続性を持たせていけると、より効果的なのかなということを書かせていただいております。
 6ページ目に、3点目として一人で気軽に参加できる場づくりと書かせていただいています。健康経営は、会社といいますか、企業での取組ですけれども、会社勤めしているビジネスパーソンは、会社でとか、会社近辺ではいろいろな活動の場がある一方で、なかなか地域にいる時間が少ないので、地域で仲間を作りづらかったり、休日、ちょっとスポーツをやってみたいと思っても、余り経験がない人が飛び込みで参加できるような場所がなかなか見付けられないような現状があるとお伺いしています。会社での取組と同時に、居住地域の周辺で、特に一人でも楽しく、運動経験に余り依存せずに、気軽に参加できるような場があると、スポーツを始めるきっかけになるというようなお話はいただいております。
 最後に、4点目として、20代~40代女性にターゲットを絞り込んだ取組と書かせていただいています。20代から40代の女性は特にスポーツ実施率が低い層ということで、ここに注力した取組が必要なのかなということで、あえて書かせていただいている部分です。子育て中の20代から40代の女性は特に多忙ですので、スポーツを実施する余裕が持てない。そういったような状況を踏まえて、20代から40代の女性に対しては、女性特有の課題にきちんとフォーカスした取組が必要になってくるかと思います。例えば、買物途中の商業店舗などで自然に立ち寄れるような場所を使う。あとは、小さい子供を抱えていらっしゃる方々が多いので、子供の通う幼稚園や保育園、小学校などを通じてアプローチする。この20代から40代の女性にきちんとターゲットを絞り込んだ取組が必要で、余り散漫な取組になってしまうと、この層には響かないということがヒアリング結果からも得られております。
 めくっていただいて、7ページには高齢者世代のスポーツ参加促進に向けた方策ということで、2点ほどまとめさせていただいております。
 まず、1点目のポイントとしてまとめさせていただいているのは、自然と健康になれるようなまちづくりと書かせていただいているところです。高齢者世代の健康づくりに関して言うと、この分野は非常に関心が高い自治体さんも多いということで、少しずつ取組が進んでいると思います。一方で、そういった自治体さんでも今後の課題として挙げられているのは、無関心の方々にどういうように取組を広げていくかというところを指摘されています。無関心の方々は、やはりスポーツとか、健康とかを無理に訴求してもなかなか響かないところでありますので、例えば外出の機会を増やして町中での歩行距離を増やすですとか、今、健幸ポイントなど取り組まれていますけれども、そういったインセンティブを付与していくとか、無関心層の方々が自然とスポーツに取り組めるようなまちづくりを進めていくことが必要かと思います。日常生活の中で自然と運動量が増えていくような仕掛け、そういった意味で自然と健康になれるようなまちづくりが求められているのかなということで、ポイントをまとめていただいております。
 2点目は、地域コミュニティを通じた健康づくりと書かせていただいております。特に、高齢者のスポーツ参加を定着させるためには、近隣の住民で誘い合って、地域単位で自主的にスポーツを実施していくことが重要かとヒアリングではお伺いしています。地域内でのつながりに基づいて、地域でスポーツとか、健康づくりを進めるような習慣とか、仕組みを作っていくことが必要で、例えば町会とか、自治会みたいな地域組織単位での取組も非常に効果的とお伺いしています。いきなり健康やスポーツに働き掛けるのではなくて、まずはきちんと地域でコミュニティを作って、地域単位での健康づくりを進めていく。そういった仕組みを作るために、なかなか短い期間でできるものではないので、長期的な時間軸で取り組んでいく必要があるのかなということをポイントで整理させていただきました。
 8ページは、多世代にまたがるスポーツ参加促進に向けた方策ということで、今までは子供とか、ビジネスパーソンとか、高齢者とか、世代ごとの取組の方策についてポイントを説明させていただきましたけれども、ここで多世代に向けてどういうことができるかという視点で取りまとめさせていただいております。
 1点目として、幅広い年齢層の参加者を受け入れられる場づくりと書かせていただいたんですけれども、スポーツ実施は比較的年代ごとに区分されることが多く、特に体力的な差があるので、異なる世代でコミュニティを作って参加するという取組が進めづらい側面もあるかと思います。一方で、やはり20代から40代みたいにある程度体力があっても、余りスポーツ経験がなかったり、ブランクがあったりすると、同じくらいの世代のコミュニティに参加しづらいこともあるので、逆に幅広い年齢の方が一緒にスポーツを楽しんでいる場というのは、そういったハードルを引き下げる効果もあるというような御指摘を頂いております。幅広い年齢層が参加しやすい場所を作ることによって、初心者とか、体力が劣る人でも気軽に参加できるような雰囲気とか、場づくりができるのではないかということで、ポイントを書かせていただいております。
 2点目は、ファミリーで楽しめる仕掛けづくりと書かせていただいています。やはり親子でスポーツを実施するというのは、世帯をまたいだ取組としては非常によく言われることで、重要なことかと思います。一方で、体を動かすということにフォーカスした場合、親子で必ずしもニーズが一致しないといいますか、やはり親世代は親世代、子世代は子世代で、体力も違いますし、運動のニーズも様々なので、単純にスポーツをする場を一緒にセットするだけでは難しいかと思います。そういう意味で、例えばプロ野球チームとかは特にそうだと思うんですけれども、「みる」スポーツと組合せるみたいな形で、ファミリーで楽しめる要素を取り入れることで親子で一緒にスポーツをするように促していくと、そういったような仕掛けも必要なのではないかとまとめさせていただいています。
 めくっていただいて、9ページは障害者のスポーツ参加促進に向けた方策ということをまとめてさせていただいています。障害者のスポーツ参加促進ということでは、もちろん障害者の方に向けてスポーツ環境を整えることも非常に重要なことですけれども、前回の有識者会議のときに藤田委員から御指摘いただきましたけれども、単純に障害者のスポーツ環境を整えるだけではなくて、地域の様々な関係者と連携しながら、健常者と障害者がスポーツをして交流を図っていく、そんな取組が必要とされているのではないかというような御指摘を頂いたかと思うんですけれども、まさにそういうポイントを少し整理させていただいております。障害者にかかわらず、誰でもスポーツを楽しめるような環境づくりを進めていって、健常者と障害者が一緒に楽しむことができるようなスポーツコンテンツを提供していくことが一つポイントになるかなということで、こういうまとめをさせていただいております。
 10ページ、11ページは、共通して取り組むべき方策ということで、4点ほどポイントを書かせていただいております。
 まず、1点目は、指導内容への信頼性を担保する仕組みづくりと書かせていただいているんですけれども、ここは運動する上での安全、安心の仕組みをどういうように担保しているかというポイントを書かせていただいております。特に、高齢者向けの取組を進めていく上では、体力低下に悩んでいる方ですとか、服薬している方がたくさんいらっしゃるので、そういった方々の参加の良否を判断して、問題があったときに早めに対応していくというようなスキル、ノウハウを持った指導者が必要なのかなということを書かせていただいています。そういった方を配置することによって安全性を担保するとともに、スキル、ノウハウを持っている方々というのは、こういうプログラムに参加されるような高齢者の方にとっても、非常に信頼できるといいますか、関心のある指導者として取り上げていただけるかと思いますので、参加者の信頼を得やすくなる効果も期待できるのではないかと書かせていただいています。
 これも、前回の会議のときに内藤委員から、例えば健康運動指導士さんとか、資格を持った人材をどういうように活用していくと、効果的に取組ができるのかというような御指摘を頂いたかと思うんですけれども、まさにそういう知見を持った人を安心、安全を担保する仕組みの中に位置付けて、効果的に指導してもらえるような取組をしていくといいのかなということでまとめさせていただいております。そういう意味では、スキル、ノウハウをそういった方に持っていただくとともに、それがこういう資格で担保されているんですというようなことが明確化されると、更にいいのかなということを整理させていただいています。
 10ページの2点目のポイントとしては、メディアを活用した無関心層への圧倒的なリーチ力を活用と書かせていただいております。本日、お越しいただいていますけれども、日本テレビさんにもヒアリングさせていただきました。やはり日本テレビさんみたいな大きなメディアを使うと、スポーツに関心を抱くのが難しいような無関心層に非常に強くリーチしていけるのかなということを改めて感じたところです。そういった無関心層への関心を喚起していく取組として、メディアを有効活用していくことが重要なのではないかということで、ポイントを書かせていただいております。
 めくっていただいて、11ページ目の1ポツはスポーツでツーリズムを設計と書かせていただいております。ヒアリングでいろいろお話をお伺いしていると、スポーツというのはツーリズムを設計する上で非常に効果的なコンテンツになります。それは申し上げるまでもないことかと思うんですけれども、特に日本のツーリズムだと、自然環境、歴史、食文化という非常に恵まれた資源をどう生かしていくかという観点が出がちですけれども、そういった本当にエッジの立った資源がなくても、スポーツをキーにしてお客様を呼ぶこともできるのではないかというような御指摘を頂いています。スポーツ自体、非常にニッチな層にアプローチしていくようなサービスかと思うんですけれども、特定のスポーツを愛好している人に個別にアプローチしていくことで、一つ一つのマーケットが違っても、小さくても、競合をうまく避けながら効果的にスポーツツーリズムができる、需要を喚起していく可能性が開けるのではないかということでまとめさせていただいております。
 次は、どんな人でも自分が楽しめて、活躍できる種目を提供ということです。これは、ゆるスポーツ協会さんなどから、「する」スポーツを活性化していく上で、「する」スポーツの選択肢自体が限定的なことが、やはり一つ問題なのではないかという御指摘を頂いております。誰でもできるようなスポーツが非常にたくさん準備されていて、その中から自分が楽しむことができるものを選択できるような環境を整えていくことが重要なのではないかと御指摘いただいています。そういった多様な「する」スポーツをどんどん開発して、自分が楽しめるものを選択できる、そんな環境ができるといいのではないかということでポイントを整理させていただいております。
 12ページ、13ページでは、「みる」スポーツ人口の拡大に向けたポイントを2点ほど整理させていただいております。
 12ページの1点目としては、ルールを知らない人にも楽しいと感じてもらうサービスの提供と書かせていただいております。これは、スポーツ自体の魅力を訴求していくことも重要ですけれども、「みる」スポーツの中でも、例えばマイナーなスポーツだったり、そういったものを見てもらうためには、単純に競技の魅力を訴求していくだけではなくて、スタジアムとか、アリーナの設備とか、そこから提供されるサービスといった全ての魅力を一つ一つ積み上げて、訴求していくことが重要であるということを1点目としてまとめさせていただいております。
 2点目としては、13ページに整理させていただいておりますけれども、地域の文化としてのスポーツチームの定着ということで、先ほどはきっかけづくりみたいな観点でいろいろなサービスを積み上げていくことが重要だと申し上げたんですけれども、それと同時に、やはり地域に定着していくためには、より時間を掛けてスポーツを見ることが文化として定着していくように、取組を進めていくことが必要ということを書かせていただいております。ただ、これは非常に時間の掛かる取組でして、余り単視眼的にいいところの取組をまねして何かやっていけばいいというものでもなくて、試合をやっている日以外の取組も含めて、いろいろなものを積み重ねながら、長時間掛けて取り組んでいくことが必要といったことをまとめさせていただいております。
 14ページは、「ささえる」スポーツに関する取組のポイントを書かせていただいております。
 まず、1点目として、スポーツを「ささえる」魅力の発信と書かせていただいております。「ささえる」スポーツの魅力はまだ伝わっていない部分が多いのではないかということが、こういったスポーツに携われている方々のコメントとしてあります。地域スポーツを盛り上げていくような一体感とか、達成感が得られるという、「ささえる」スポーツの魅力をより具体的に発信していくが必要ではないかということで、まとめさせていただいております。
 2点目は、特定のスポーツの継続誘致によるメッカづくりということで、「ささえる」スポーツの中でもスポーツ大会とか、イベント等の開催誘致に向けたポイントということで整理させていただいております。ここは、先ほどのスポーツツーリズムの話でも少し触れさせていただきましたけれども、スポーツというのは競技種目が多くなるとともに、年齢とか、性別によって様々なカテゴリーが存在するので、そういったカテゴリーの細分化に応じて、ニッチでもいいので地域の独自色を出して、それを継続していくことによって、地域に根付いたメッカのようなスポーツができていく、根付かせることができるのではないかというようなコメントを頂きましたので、整理させていただいております。
 以上が項目ごとの取りまとめでして、15ページ以降は取組効果を高めるためのポイントとして、各項目横断的に取組のポイントを何点か整理させていただいております。具体的には、15ページにお示ししていますように、ポイント1からポイント4でスポーツ参加促進に向けたポイント、スポーツへの参加者をどういうように増やしていくかというようなポイントを取りまとめさせていただいております。後段のポイント5からポイント8では、担い手の持続性に向けたポイントということで、スポーツに関する取組を提供し続けるためにはどういったところがポイントになるかを整理させていただいています。
 まず、スポーツ参加促進に向けたポイントについて説明させていただきます。ポイント1としては、関心の喚起ということで、インフルエンサーの育成と書かせていただいています。スポーツ実施率を高めていくためには、先ほど申し上げましたように無関心の方の関心を喚起していくことも必要かと思います。そういったときには、マスでの情報発信に加えて、口コミに近い形で、身近な人から関心を喚起していく機会を増やしていく必要があるのかなというところで、インフルエンサー的に周りに行動変容を動かしていくような人々を、うまく巻き込んでいくことが重要なのかなということを書かせていただいております。
 めくっていただいて、17ページ、18ページでは、参加しやすい場づくりの工夫ということで2点ほどまとめさせていただいております。
 1点目は、ふらっと気軽に参加できる場づくりということで、これも先ほど申し上げたことと少し重複するんですけれども、やはりスポーツから少し離れてしまったような人とかが飛び込みで参加できる場が限定的で少ない。そういった方々に対して参加しやすい場所を作っていくことが重要でして、例えば事前申込みとかしなくても、ふらっと参加できるようにするですとか、参加したいと思って何が探している人がホームページを見ただけである程度やっていることが把握できて、参加してみようと思えるとか、そういったような工夫を少し積み重ねていく必要があるのではないかということで、まとめさせていただいております。
 18ページは、場の雰囲気づくりということで、「する」「みる」「ささえる」のいずれのスポーツも場の雰囲気というのは参加意欲に直結していくので、例えば「する」スポーツだと、競技レベルに差があり過ぎたり、年齢層が違い過ぎると参加意欲に大きく影響するかと思うんですけれども、本当に誰でも気軽に参加できるような幅広い参加層を募るようなやり方もあると思いますし、逆に絞り込むようなやり方もあると思います。そういったところをきちんと考えながら、雰囲気づくりを工夫していくことも必要であるということをここでは書かせていただいています。
 時間もありますので、飛ばし飛ばしいきますけれども、そういった形で「みる」「ささえる」に関しても場づくりは非常に重要ということを書かせていただいております。
 19ページ、20ページは、自主的な参加を持続させる工夫ということで2点ほど書かせていただいております。
 1点目は、先ほどちらっと申し上げた、地域コミュニティによる自主的な取組を促すことが重要だという視点を書かせていただいているところです。特に、行政が運動、スポーツを実施するようなプログラムをやると、それが終わってしまうと運動習慣自体も終わってしまう、一過性のもので終わってしまう懸念もあるかと思います。そういった意味で、やはりきちんと地域コミュニティが機能しながら、そういったところが主体的にプログラム等を運営していくことがポイントかと思います。そのために、時間を掛けながら地域コミュニティを作って、そこからスポーツをする環境を作っていく取組が必要になるかと思います。
 これは、前回、近藤委員から、スポーツ参加率が高い地域と、スポーツ文化といいますか、そういうものの関係があるのではないかという御指摘を頂きました。ここにも少し書かせていただいているんですけれども、例えばスポーツを長く実施しているような地域というのは、非常に長期間掛けて取り組んで、コミュニティができて、その結果としてスポーツの自主的な取組が促されているような傾向があるかと思いますので、こういったことを取りまとめさせていただいております。
 20ページは、参加者が主体となった自治の仕組みづくりということで、やはり参加者がある程度主体的に取り組むためには、自治の仕組みができて、参加者の主体性が発揮されることが望ましいと、そういったことを書かせていただいております。
 めくっていただいて、21ページは地域への定着、ここはスポーツの文化としての浸透ということです。これも先ほど申し上げたことに若干近いんですけれども、スポーツを地域の文化として定着させるためには時間が必要ですので、時間を掛けてきちんとした取組を積み上げていくことが必要で、余りほかの地域のまねをして、すぐに効果を出すことを目指さない方がいいと、そういうようなことを書かせていただいています。
 22ページは、現場の創意工夫を促す仕組みづくり、実際の担い手の主体的参画の促進ということで書かせていただいています。実際にプログラムの運営等をしていく上では、そういったものに関わる方がきちんと主体的に参画していくことが必要だということを書かせていただいています。往々にして施設の保有者と運営者が違っていることもあるかと思うんですけれども、きちんとリスクを負って収益を上げるようなことを考えられる立場の人々がきちんとリターンを得られるように、そこを一致させることによって現場の創意工夫を促して積極的な取組を増やしていくことが必要であると、そういったことを取りまとめさせていただいております。
 23ページは、トップダウンとボトムアップの組合せということで書かせていただいております。これも先ほどちらっと触れたんですけれども、行政にしても、企業にしても、トップがきちんとした方針を示すとともに、ボトムアップで現場がきちんと主体的に動いていく。そういったトップダウンとボトムアップが組み合わさることによって、より効果的に取組を進めていくことができるといったことを書かせていただいております。
 24ページは、ノウハウの蓄積、共有ということです。これは非常にシンプルで、スポーツに関する取組というのは、これまで情報共有とか、横展開みたいなことが進んでこなかったという側面もあるかと思います。そういったところが今回のガイドラインの作成の議論にもつながっているかと思いますので、そういったところを活性化していく必要があるということを書かせていただいております。
 最後になります。25ページ、指導者不足の解消ということで書かせていただいております。特に、地方でお話をお伺いすると、資格を持ったインストラクターですとか、そういった指導者が十分にいない地域もあるというような御指摘を頂いております。そういった地域に対しては、例えば指導者ネットワークの活用と書かせていただいているのは、指導者情報をいろいろな主体で共有してスポーツクラブ間で指導者を融通するなど、限られた指導者人材を有効に活用していくことが必要なのではないかということを書かせていただいております。
 最後は、専門家がいなくても提供できるサービスの確立ということで、例えば指導者がいないような地域でも、3DのCGコンテンツみたいなものを使いながら、うまくコミュニティの中でスポーツを実施できる仕組みを作っていけるといいのではないかと、そういったようなことを取りまとめさせていただいております。
 済みません、最後、駆け足になりましたが、弊社からの説明は以上になります。
【福永座長】
 ありがとうございました。多方面から詳細なまとめを頂きました。
 今、御説明ございましたけれども、この内容につきまして御質問、御意見を是非伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。オブザーバーの方も、御意見等ございましたら是非お願いしたいんですが。何かございませんか。ちょうど時間どおり、きっちり時間を守って説明していただいて、大変な作業だったと思います。どうか御自由に御意見いただければ有り難いです。ございませんか。それでは、後でも是非、意見を頂きたいと思います。
 取りあえず次に進みます。このガイドラインにつきましては、本年度内に策定するという計画でございますが、本日のヒアリングの調査結果を踏まえまして、事務局で資料2のように素案を作成してもらっております。そこで、スポーツガイドライン(仮称)のたたき台について、御説明を事務局からお願いいたします。
【安達健康スポーツ課長】
 それでは、事務局の方から、資料2に基づきまして、スポーツガイドライン(仮称)のたたき台について御説明をしたいと思います。
 昨年度、スポーツガイドライン(仮称)につきまして骨子を取りまとめていただいて、それに基づきまして検討を進めてまいりまして、今、日本総研さんの方から事例に基づく取りまとめがございましたが、そちらの取りまとめに沿って肉付けをしてきたところです。
 1枚めくっていただいて、目次の構成でございます。このスポーツガイドライン(仮称)ですけれども、第1章としましてスポーツ施策の方向性を示させていただいています。
 第2章としては、このガイドラインが目指しているものということで、必要性、方向性、あるいはガイドラインの利用者はどういう方を対象にするか、そういったことを記載させていただいています。
 第3章につきましては、一番中核となるところでございますけれども、「スポーツへの参画を促すための3つの方向性」ということで、「する」「みる」「ささえる」で区分をいたします。特に「する」の部分は、今、資料1-1で御説明のありました六つのジャンルに基づきまして、方向性を示していくという形になります。昨年度の骨子と違って、第3章のⅣ、事業効果を高めるためのポイントとしまして、これも先ほど資料1-1で御説明のあったポイントを記載させていただくという形にしています。
 第4章としまして今後の課題。
 参考資料としましては、ヒアリングでいろいろな事例を収集いたしましたので、参考資料1にございます、それぞれの事例の詳細な内容を添付するという形で考えてございます。
 ガイドラインの中身でございますけれども、簡単に御説明しますと、1ページ、第1章、スポーツ施策の方向性。1枚めくっていただいて、3ページのところに第2章、ガイドラインが目指しているもの。こちらにつきましては、昨年、骨子で頂きましたものを時点修正しておりますので、御参照いただきたいと思います。
 更にめくっていただきまして、6ページ目から第3章でございます。こちらのガイドラインにつきましては、各種スポーツ関係者ですとか、いろいろな方々が既に行っている取組の見える化を行うことによって、スポーツ参画の方策を分かりやすく提示することに主眼を置いて策定されております。
 構成ですけれども、6ページを見ていただくと、Ⅰ「する」スポーツ人口の拡大、1.子供世代のスポーツ参画促進に向けた方策ということで、こちらは先ほどありました事例から見えてきた(1)現状と課題、(2)としてそういったターゲットに対して求められる方向性はどういうものなのか。実際、具体的に取組を展開しようとするときに、参考となるものとして(3)具体的な実践例、それぞれの方向性に対応した実践例をお示しして、ひも付けをして、いろいろな主体の取組を促していくという形で考えております。
 さらに、こちらのガイドラインの中ではヒアリング調査結果の抜粋を書いてございますので、関連のあるところについて参考資料1を見ていただければ、より詳しい中身が分かるという形で構成をしております。
 先ほどの資料1-1と説明が重複しますので、関連立てて御説明しますと、まず6ページ、子供世代のスポーツ参画促進に向けた方策です。求められる方向性として、先ほど御説明ありましたが、まずはスポーツ少年団や運動部活動以外で子供がスポーツに参画できる場づくりという方向性が出ています。これは、7ページのマル1、場所の確保ということで、浦和スポーツクラブの事例を御紹介しております。
 二つ目の学校体育施設の有効活用という方向性につきましては、同じくマル1の浦和スポーツクラブの事例が参考になるようにしております。
 運動への苦手意識を幼少期から克服、科学的な知見に基づいた運動能力の評価というのは、下のマル2にございますけれども、アローズジャパン株式会社の事例を参照していただくという形で記載しております。
 1枚めくっていただいて、8ページでございます。ビジネスパーソン・子育て世代のスポーツ参画促進に向けた方策ということで、これは先ほどありました方向性として四つ提示させていただいております。
 一つ目は、忙しいビジネスパーソンが利用しやすい早朝・夜間等におけるスポーツ機会の提供ということで、9ページのマル1、横浜DeNAベイスターズの早朝の一般開放の事例を参照できるようにしております。
 健康経営の推進につきましては、事例の二つ目、通勤時間、休憩時間等を活用した取組ということで、デンソー、デンソー健保の取組を記載しております。
 気軽に参加できるような場づくりということでは、9ページの一番下、大学による健康プログラム提供ということで、大学の取組も御紹介しております。
 20代~40代女性にターゲットを絞り込んだ取組につきましては、先ほど女性が自然と立ち寄るような場所の提供が重要ということもございましたので、10ページの女性向けの実践例ということで、イオンモールといった商業施設内での運動を促すような取組を実践例として記載しております。
 3番目のターゲットとしまして、高齢者世代のスポーツ参加促進に向けた方策、10ページのところでございます。こちらは、求められる方向性が二つございます。
 自然と健康になれるようなまちづくり、特に無関心層への取組拡大ということがございました。11ページ、新潟県見附市の取組を書いてございますけれども、こちらは歩くインセンティブを与えるような取組ですとか、無関心層への取組ということで健康アンバサダーという取組を紹介させていただいています。
 方向性の二つ目、地域コミュニティを通じた健康づくり、町会、自治会などの地域組織と連携した取組ということで、11ページ、千葉県柏市のウオーキングサークルですとか、中学校単位での協議会、あるいは船橋市の取組を実践例として提示させていただいてます。
 四つ目、多世代にまたがるスポーツ参加促進に向けた方策でございます。こちらは、12ページに二つ方向性がございます。
 幅広い年齢層の参加者を受け入れられる場づくりということで、下の実践例のマル1、一緒にスポーツを楽しむ仲間づくりということで、きゅぽらスポーツコミュニティの取組として、競技経験の有無とか、体力差に関係なく、気軽にスポーツで遊べるといった事例を提示させていただいています。
 あと、ファミリーで楽しめる仕掛けづくりということもございました。こちらは、下のマル2、家族で楽しめるスポーツ、西武ライオンズの事例を提示させていただいております。
 13ページ、五つ目、障害者スポーツ参加促進に向けた方策ということで、求められる方向性として、障害の有無に関わらず誰でもスポーツを楽しめる環境づくりというところがございました。一つは、大分国際車いすマラソン、トップランナーから市民ランナーまで、また多くのボランティアとともに大会を盛り上げ、障害者の理解が深まるきっかけとなるような事例。あとは、かわさきパラムーブメントということで、パラスポーツの普及、あるいは障害の有無にかかわらず楽しめる機会づくり、そういった取組についてここでは御紹介をさせていただいております。
 14ページ、6番目、共通して取り組むべき方策というところでございます。こちらは、求められる方向性としまして4点ございました。
 指導内容への信頼性を担保する仕組みづくりについては、15ページのマル1の具体例にございますけれども、健康運動指導士、健康運動実践指導者を活用した貯筋運動ということで、Let'sたるいの専門家と連携した運営の事例を紹介しております。
 二つ目、メディアを活用した無関心層への圧倒的なリーチ力を活用、これは先ほど御説明ありましたが、15ページのマル2、日本テレビ放送網のカラダWEEKの事例を紹介させていただいております。
 スポーツでツーリズムを設計につきましては、事例のマル3にございますけれども、スポーツをキーにした取組ということで、株式会社R.projectの事例を載せております。
 どんな人でも自分が楽しめて活躍できる種目を提供ということで、老若男女、あるいは障害の有無にかかわらず、誰でも楽しめる事例ということで、これは16ページにございますけれども、世界ゆるスポーツ協会が展開していますゆるスポーツの取組を書いております。
 16ページ、次は「みる」スポーツでございます。こちらの方向性としては二つございます。
 まずは、ルールを知らない人にも楽しいと感じてもらうサービスの提供ということで、17ページのマル1、琉球ゴールデンキングス、あるいはマル2にありますゼビオアリーナ仙台、従来の競技者目線ではなくて、観戦者目線でエンターテインメント、コンテンツを含めた取組を紹介させていただいております。
 方向性の二つ目、地域の文化としてのスポーツチームの定着ということがございました。17ページにございますけれども、鹿島アントラーズ、あるいは広島県広島市の学校教育の教材として、サンフレッチェ広島ですとか、広島カープと地域との連携ということで取り上げられています。先ほど、即効性があるものばかりではなく、長い時間を掛けて取り組むことが必要ということもございましたけれども、そういったことも含めて紹介させていただいております。
 18ページ、「ささえる」スポーツのところでございます。求められる方向性として二つございました。
 スポーツを「ささえる」魅力の発信でございます。こちらは、北海道コンサドーレ札幌の事例を提供しております。また、特定スポーツの継続誘致によるメッカづくりということもございました。地域の独自性を出して、継続的な関係構築ということもございましたけれども、19ページにございますマル2、さいたま市のさいたまスポーツコミッションの取組、あるいは十日町市スポーツコミッションの取組を紹介しております。
 以上が、「する」「みる」「ささえる」それぞれの方向性と、それに対する具体的な実践例を組み合わせた記載としております。
 19ページ、Ⅳ、事業効果を高めるためのポイントとあります。これは昨年の骨子にはございませんでしたけれども、資料1-1で御説明を頂いた、まさに事例の中から浮かび上がった、それぞれの事業効果を高めるためのポイントをまとめたものです。先ほどの資料と同じ内容ですので説明は省略しますが、ポイント1の関心の喚起から始まりまして、22ページのポイント8、指導者不足の解消、これらは資料1-1の青囲みの所と同じ記載です。こういったポイントも参照いただきながら、取組を促していきたいと考えております。
 23ページは、今後の課題でございます。こちらも、昨年の骨子から少し肉付けしております。
 二つ目の丸にございますけれども、スポーツガイドラインができた後、スポーツ関係者、自治体、スポーツ団体、民間事業者などありますけれども、幅広く国民に対して普及啓発をすることとしており、特にスポーツ関係者等においては、それぞれの活動において参考にしていただくとともに、独自の資源を有効活用し、各自の取組を強力に推進することを期待するとしまして、このガイドラインができた際には各関係者に周知を図っていくこととしております。
 このページの下から二つ目、今後、本ガイドラインは、スポーツ参画の促進に資する好事例の収集等によって、新しい取組のポイント等の蓄積が進んだ段階で、必要に応じて見直し、更新を図っていくものとする。現時点での取組事例を収集させていただきましたけれども、様々なスポーツ参画の取組は進展していくわけでございますので、リバイスといいますか、更新をしていく必要性も記載させていただいているところです。
 24ページは用語の説明ということで、各ライフステージに応じた対象も記載してございますので、どういった対象になるかということをここで簡単に提示させていただいております。
 25ページからは参考情報となっております。日本体育協会をはじめ、様々な団体の取組を記載しております。こちらは、本日、御参画いただいているオブザーバーの皆様の活動を御紹介させていただきまして、実践例に該当するホームページがある場合にはURLを記載させていただきまして、こういった取組についても同様に御紹介していただくという形にしておりますので、よろしくお願いします。
 以上が、資料2の御説明です。
 何点か補足しますと、表紙に戻っていただきまして、「スポーツガイドライン(仮称)」となっております。昨年度から、スポーツガイドラインの御検討を頂いておりますけれども、名称をどうするかというところが宿題として残っております。ガイドラインの名称については、今、中身を御紹介しましたけれども、何が書かれているか名称を見ればすぐ伝わるといいますか、また、使っていくのに親しみやすい名称にしたいと考えております。御参考に、昨年度、作業部会ではいろいろ御提案を頂いております。例えば、「スポーツ参画者増加のための指針」「みんなのスポーツガイドライン」「みんなのスポーツガイドブック」「スポーツ参画人口拡大に向けたアクションガイド」と、いろいろアイデアがあると思いますので、後ほど名称についても御意見を頂ければと思います。
 少し駆け足になりましたけれども、以上でございます。
【福永座長】
 ありがとうございました。
 いろいろ御意見いただきたいんですが、名称につきましては後でもよろしいですか。
 では、中身につきまして一つ一つ、もう一度振り返ってみたいと思います。まず、第1章及び第2章について御意見、御質問等ございましたら、お願いします。1ページから5ページまでです。いかがでしょうか。
【中西委員】
 第1章と第2章で、少し矛盾を感じざるを得ないところを1点、挙げさせていただきたいと思います。1ページ目の丸の四つ目、スポーツ基本法におけるスポーツの定義というか、捉え方については、これはもう法律ですから変更できないと思いますが、スポーツ基本法におけるスポーツの概念というか、定義というのは、言い方は悪いですが、行政、あるいは国がスポーツの価値を一方的に決め付けて、国民にスポーツにはこういう価値があるから、スポーツをやりましょうという含意のある定義と捉えることができるわけです。
 一方、4ページ目の丸の二つ目、本「ガイドライン(仮称)」の方向性というところで、日本体育協会とJOCの「スポーツ宣言日本~二十一世紀におけるスポーツの使命~」の定義を使われていると思いますが、こちらの方は自発的な運動の楽しみということが大きなポイントです。何を意味しているかというと、要はスポーツの内在的価値、もう少し専門用語でいいますと、プレー欲求の充足、要するにスポーツにおける競争を楽しむだとか、できないことをできるようになるとか、非常に表現的な運動をできるとか、人間が本来持っている欲求充足を行うことで運動というのは楽しいんだと、スポーツに関わる主体がその価値を決める。その上で、この後に文言が続くと思いますが、こうしたことを満たすことによって、個人的にも、社会的にもスポーツの云々(うんぬん)と、多分、この後に続く文言が割愛されていると思いますが、実はそこが一番大きな、大事なスポーツの価値を示すところです。
 そうすると、この相矛盾する考え方を取るというところが、私、第1章と第2章を読ませていただいて、非常に分かりにくいという感想を持っています。
 それに伴って、3ページ目の必要性についても疑問を持っています。ここに幾つかデータが示されていますが、スポーツ参画人口が少ないからこうしたガイドラインを作成するという捉え方ができます。そうではなくて、もっと国として、国民がスポーツの価値を存分に享受できるような豊かなスポーツ生活を形成するということが、恐らく1行目に書かれている一番重要な課題だろうと思います。そのための方法として、スポーツを「する・みる・ささえる」といったスポーツ参画人口を増やす必要があるという理解しか、私にはできません。
 これだと、スポーツ参画人口を増やすことが目的にされているような感じがする。データが示されており、これも政策的な課題として予算を獲得するという意図は分かるんです。ところが、国民とか、地方の教育委員会、あるいは首長部局の方々が読んだ場合、医療費を削減するとか、スポーツ参画人口を増やすために、こういうスポーツ推進を図っていくのだという誤解を生むと思います。もっと豊かなスポーツ生活、あるいはスポーツライフを築くために、こういうガイドラインを作成して、文化としてのスポーツを推進していくということを強調する必要があると思います。また、特に気になるのは丸の三つ目、医療費の削減だけがなぜか浮いてしまうんです。あとは、スポーツを見るとか実態が書かれているのに、ここだけはなぜか国民医療費が云々(うんぬん)と。スポーツと医療費の削減というのは、通常、よく言われますけれども、何かここが浮いているような感じがしてなりません。
 少しうがった見方かもしれませんけれども、第1章、第2章というのはガイドラインを作る意義や意味を示していると思うので、この辺の整合性を取る必要があるのではないかと、個人的には思っています。
【福永座長】
 ありがとうございました。大変大事なところだと思うんですが、いかがでしょうか。第1章の1ページ目の丸の四つ目、それと4ページ目のガイドラインの方向性のところです。今の御意見に対して、安達課長、何かありますか。
【安達健康スポーツ課長】
 ありがとうございます。
 まず、1ページ目のスポーツの定義は法律による定義ですので、3ページ目のところ、まさに委員から御指摘のありました、もちろんスポーツ人口を拡大するとか、スポーツ実施率を上げることがゴールというか目的ではなくて、究極的にはスポーツによる価値を多面的に享受していただくということだろうと思います。その最終ゴールの手前に、まずはスポーツ参画人口を拡大しようということで、高齢者の医療費の問題というのは運動との関連が非常にあるということで、例えば地方自治体のスポーツ参画を拡大するような取組を促すには、政策的に実施する中で医療費の問題も少しインセンティブがあるのではないか。それだけが目的ではないんですけれども、最終的なゴールを持っていくときに、いろいろな取っ掛かりがあるのではないかという形で、スポーツですとか、運動、そして健康といったものに関連した書き方を、必要性の中で書かせていただいているところでございます。
 読み手が少し間違えるといいますか、どういうようなメッセージを受け取るかということもございますので、この辺についてはできればまた、御意見があればお伺いしたいと思います。ありがとうございます。
【福永座長】
 いかがでしょうか。中西委員。
【中西委員】
 3ページの書き方は、私は個人的には少し変えた方がいいと思います。例えば、丸が五つありますが、そのうちの上から四つの丸は実態を示しているわけです。特に三つ目の丸は少し違和感があるので、別のところに入れていただけないかと思うわけです。この部分に関してはどうしても、ここで書くのはなじまないのではないかという感覚を抱いています。それを除く丸三つをここに残したとしても、丸の一つ目「第1章のとおり、国民の誰もが、いつでも、どこでも、いつまでも、スポーツに親しむことができる環境を整備し」の後に、私だったら「国民がスポーツの価値を存分に享受した豊かなスポーツライフ(スポーツ生活)を形成・定着させるために、スポーツへの参画を支援、促進することが極めて重要な課題である」とか、スポーツ参画人口が目的ではなくて、あくまでもスポーツの価値を存分に享受した豊かなスポーツ生活、あるいはスポーツライフを営むことを目指していくための方法としてスポーツ参画人口を増やすのだと、そういうようなくだりにした方がガイドラインの必要性は理解していただけるのではないかと、個人的には思っています。
 その上で、最後の丸のところも、先ほどの説明の中ではスポーツを「する」「みる」「ささえる」人口を別々に語られていますが、実際、私たちが目指すべきところは、1人の人間がスポーツをしたり、見たり、支えたりという多様な関わり方をするような、それによってスポーツの価値を存分に享受できる、豊かなスポーツ生活を築く国民を目指すべきだと考えます。でも、語り方としては、スポーツをする人が何%で、支える人は何%でと個別に語られています。最終的には、「する」「みる」「ささえる」といったスポーツとの総合的な関わりを作るような政策を国は作るべきだという辺りにつなげていくことが、このガイドラインの必要性を訴える上ではいいのではないか。
 事前に送っていただいたものを読ませていただいて、ここだけは非常に引っ掛かりがありました。日本総研さんのヒアリングについては、結果ですから淡々と、こういうことをやらないといけないのだとか、こういうことをやると事例としては、ほかのところもこういうことを参考にしていけばいいのだと読み取れますが、どうしても第1章、第2章は、読んでしまうと納得いかない部分が、社会科学的にはあるということで御意見させていただきました。
【福永座長】
 ありがとうございます。 ほか。はい、どうぞ。
【藤田委員】
 私も社会科学なので、ちょっと付け加えさせていただきます。
 スポーツ目的論というものとスポーツ手段論というものがあって、目的論というのはスポーツをやること自体、例えばサッカーでボールを追い掛けること自体がとても楽しい、あるいはシュートを決めること自体が楽しくて、子供たちはやっている。走るにしても、ただ記録を上げるのではなくて、風を感じたりとか、疲労してくる自分を楽しんでいたりとか、スポーツをやること自体の楽しさがある。手段論というのは、ここにたくさん出ているように、スポーツをやることによって出てくるメリットだと思うんです。ただメリットを出すためだけにスポーツをやるのではなくて、楽しいスポーツだからこそ続けられて、こういうメリットも出てくる。
 障害者スポーツでいいますと、ストーク・マンデビル大会というものがパラリンピックになっているわけですけれども、もともとリハビリテーションで、けがをしてから半年で80%ぐらいの人が社会復帰をしていた。それはどうしてかというと、スポーツだからなんです。楽しくて、上手になりたいとか、相手に勝ちたいとか思うから練習をして、やらされて、やらされて、リハビリのためにやりなさいというとなかなか続かないところがある。
 文章をどうするかというのは、ちょっとすぐには思い浮かばないんですが、スタンスとして、そういうスポーツの楽しさとかがあって、だからこそ私たちは続けることができる、楽しいものだ。そうすることによって、こういう効果が出てくるというスタンスで書かれると、恐らく中西委員も納得されるのではないかと思います。逆に言うと、医療費削減ができなかった、あるいは、ここに書かれているようなメリットはなかった、じゃあ、もうスポーツをやらなくていいじゃないということになってしまう。そうではなくて、スポーツにはスポーツの、スポーツでしか達成できないもの、満たされないものがありますから、それがあってのこういう効果が出てくると、ちょっとそういうニュアンスが出てくるといいのかなと思いました。
 以上です。
【福永座長】
 どうもありがとうございます。 ほか。どうぞ。
【近藤委員】

 御指摘いただいて、今、見ていたら、ガイドライン策定の目的という見出しがなくて、これはそもそも何のためのものなのかがどこに書いてあるのか余り明示できていない。この辺りがそうかなみたいな、ぱらぱらとあるんですけれども、それが名称の定まらない理由なのかなという気もしてきました。先ほど幾つか案も出していただきまして、参画者増加とか言われましたけれども、今の論議を聞いても、参加者を増やすこと自体が目的なのか、その辺のことが、策定する目的の文言がバシッと決まると、おのずとガイドラインの名称も、これではないとか、この辺だとか収れんしてくるのではないかと、今、お二人の御発言を聞きながら感じました。
【福永座長】
 ほか、ございませんか。はい、どうぞ。
【安達健康スポーツ課長】
 今、近藤委員からの御指摘もございました。4ページ目、目的という項はないんですけれども、本ガイドラインの方向性の一番下の丸、スポーツ基本計画にございます一億総スポーツ社会を実現するためには、スポーツへの多様な関わり方を分かりやすく提示するとともに、スポーツ参画への阻害要因に対するアプローチ策について広く普及することで、自主的、かつ積極的にスポーツ参画者を増やすことに主眼を置いた「スポーツガイドライン(仮称)」を策定するという、ある種目的のようなものを書いてございます。そういった中で、広く普及するということにつきましては、次の3.のところで、こういった対象者の方に御利用いただきたいといったことを書いてございます。直接的に目的ということでは書いてございませんけれども、こういったところに趣旨を書いているところでございます。
【近藤委員】
 確かに目的のようなものだと思うんですけれども、これで言うと参画人口拡大のためのガイドラインという感じになると思うんです。更にその目的は何かというところがあり、一億総スポーツ社会、1億人が全員スポーツする社会を目指すのはなぜという辺りが、ここに書かれていない暗黙の前提みたいなものが、明示されていないのではないか、あるいは捉え方がいろいろあるのではないかという御意見なのかなと感じました。
【安達健康スポーツ課長】
 分かりました。
【近藤委員】
 これは、一つ考える材料になるかと思うので御紹介すると、今度、アクセプトされて出たばかりの論文なんですけれども、スポーツをやっている人が多い地域と少ない地域を比べたら、スポーツをやっている人が多い地区に暮らしているだけで、スポーツをやっていない人も含めて、うつが少ないという結果が出たんです。本人がスポーツをやっていなくてもいいらしいということが出てきて、ちょっとびっくりしたんですけれども、それは「する」「みる」「ささえる」で言うと、する人が多いと、見る人が増えて、支える人が増えて、そんなことがじわじわと効いている表れなのではないかと解釈したんです。
 そういうことを考えると、1億人がスポーツをやらなくても、1割やっているのが3割に増えるだけでも、周りの人たちまでうつが減ってハッピーになるとしたら、もう十分意味があるのではないか。スポーツをやっている人にだけ恩恵があるのではなくて、そういうことができる社会、地域、極論を言えば戦争中はできないでしょうし、平和だからそういうことができるんでしょうし、生活に不安がある人たちはスポーツをやるなんていう気持ちにならないでしょう。社会の豊かさの一つの指標としてスポーツを楽しむ人たちの多さとか、もうちょっと広いものがあるんだなと、先ほどのお二人の発言を聞いていてちょっと感じました。目的は目的でバシッと書いていただきたいことと、参画人口拡大が目的だと言い切ってしまっていいのかどうかという辺りはちょっと御検討いただく必要があるかと思いました。
【福永座長】
 これは非常に重要な問題で、いろいろなディスカッションができるんですけれども、時間がちょっと限られていますので、取りあえず先ほど御説明がありました第4章までを一通り議論していただいて、それでまた今のところに戻りたいと思います。その間に回答を考えておいてください。
 続きまして、第3章についての御意見をお願いします。第3章、「スポーツへの参画を促すための3つの方向性」であります。6ページから22ページまで、たくさんありますけれども、これについていかがでしょうか。
【健康・体力づくり事業財団】
 座長、よろしいでしょうか。
【福永座長】
 はい、どうぞ。
【健康・体力づくり事業財団】
 7ページのマルの二つ目のところ、「運動への苦手意識を幼少期から克服」とあるんですが、幼少期の運動というのは、その後の体の動かし方の基本づくりや、生涯にわたる健康に非常に重要なことであり、その時期にどのように運動やスポーツと出会うかをこのガイドラインで示唆できればと思っているんですが、既に運動への苦手意識があることが前提となっている言い方よりは、「体を動かす楽しさを教える」とか、前向きなタイトルにした方がいいのではないかと感じた次第です。
【福永座長】
 なるほど。 いかがですか。どなたか。
【宮地委員】
 私も、同様の意見を持ちました。子供の頃から苦手意識を持つということ自体がそもそも問題ですし、それを克服するのではなくて、運動に苦手意識を持たせない、あるいは運動を好きになる取組方をさせるというような前向きな書き方をした方がいいのではないかと思います。恐らく子供は、最初からスポーツに対して苦手意識を持っているわけではないのではないかと思います。苦手意識を持ってから対策したのでは、むしろ遅いということですよね。
【福永座長】
 どうぞ。
【安達健康スポーツ課長】
 第3章以降の求められる方向性というのは、冒頭に御説明しましたけれども、今回は網羅的に書いたものというよりも、様々に集めた事例の中から抽出した方向性を書かせていただいて、その方向性をうまく取り組んでいる事例を具体的な実践例というところで書かせていただいています。御指摘、非常にもっともだと思います。楽しさとか、そういう事例があれば、うまく前向きに書けるかと。
【福永座長】
 どうぞ。
【日本総合研究所春山様】
 御指摘ありがとうございました。
 今回、このポイントを入れさせていただいた趣旨としては、もちろん楽しさも非常に重要かと思うんですけれども、子供の頃は早熟とか、晩熟(ばんじゅく)といったことに基づいた体力差みたいなものが苦手意識を生んでしまうことがあるという御指摘に基づいて、こういったコメントを入れさせていただいております。確かに、苦手意識を克服という表現だと少しネガティブというか、マイナスな趣旨が出てしまうかと思いますので、個々の運動能力を上げていくような形で、幼少期の頃からスポーツに対するポジティブなイメージを生んでいくとか、そういった表現に変えていけると、事例とも整合してポジティブな表現になるのかと。済みません、ちょっと文案は練れていないんですけれども、そういった趣旨の表現にさせていただいてはどうかと思います。
【福永座長】
 はい、どうぞ。
【内藤委員】
 結局、事例の方に入れるのは、先ほどの報告書からうまくこちらに落とし込んでいくという流れですよね。ですから、もう一度、元の方の文言チェックをして、もっといいものをという形で。今はアローズジャパンさんの事例の抽出になっていると思うんですけれども、もともとのところだと、幼少期からトレーニングが必要とかいうところもあって、スポーツ庁とか、文部科学省全体でいくと、幼少期からトレーニングというのも、いろいろなところと調整すると、多分、もうちょっと変えた方がいいと言われると思いますので、その辺は落とし込むときにちょっと変えた方がいいかと思います。ただ、7ページのマル2とした見出しが地域での取組として上がっているのは、ちょっと違和感があります。地域の取組といったときの全体の中でのイメージは、これは静岡県の浜松にあるというだけで、アローズは違いますよね。この見出しは、どうして地域での取組でここへ入れたのか。
【川田健康スポーツ課課長補佐】
 学校ではないという意味です。
【内藤委員】
 でも、項目別になったときには、地域というところでは全然入っていなくて、研究者と民間企業というところでは丸が付いていますけれども、地域スポーツであるとか、そういうところには余りないので、学校ではないという意味で、これも言葉の問題だと思いますので、検討いただければと。
【福永座長】
 そうですね。 はい、どうぞ。
【近藤委員】
 今、子供の苦手意識がちょっと話題になったので、これは投稿間際の研究なんですけれども、高齢者で、どういう人がスポーツに参加していないかという要因を分析していったら、子供時代に貧困だった人たちで、スポーツ参加率が27%少なかったと出てきた。実は、子供の頃にどういう経済環境だったかということが、数十年後、スポーツをやっているかどうかの確率をある程度説明するということが出ているんです。
 これを分析しながら思い出したのは、「がばいばあちゃん」という映画になった話題作です。とても貧しい少年時代、クラスの野球部の友達が持てているので、野球をやりたいと言ったら、あんな金の掛かるものは駄目だ、陸上にしろ、しかも裸足(はだし)で走れとおばあちゃんに言われたとかいうことが出てきたりするんです。
 そんなことを考えると、今はトレーニングの仕方みたいなところにだけフォーカスしていますけれども、子供の生育歴、あるいは社会環境みたいなものが、実は運動に親しめるかどうかということのある程度の説明要因になっている。これは事例だけ見ていると見えてないことだと思うんです。そんな側面も反映して、先ほどおっしゃったように苦手意識を持ってしまってからでは手後れなので、それを予防するための支援策、だから家庭の経済力に依存しないで、誰でも子供時代にスポーツの楽しさを味わえるような、体験できるような環境づくり大事だと、そんなメッセージを書き加えるというか、そちらの面も強調された方がいいのかなという気がいたしました。
【福永座長】
 はい、どうぞ。
【中西委員】
 私も7ページに関しましては、今、宮地委員と近藤委員が言われましたように、もう少し前向きな形に御検討いただきたい。あと、近藤委員が言われた貧困と格差の問題は、今、スポーツ界でもかなり問題になっています。勉強ができる子はスポーツもできるというデータを出したところがありまして、実はそこには格差の問題が潜んでいて、要するに経済的に裕福な家庭の子供は、学習塾にも行けて、スポーツのスクールに行けるから相関している。ところが、貧しい家庭の子は、学習塾にも行けず、スポーツスクールにも行けない。きれいに相関しているわけではないのですが、そういう傾向が出るというデータもある。それはサンプルの問題なのでしょうけれども、やはり今、経済的な格差が広がりつつあるこの社会で、子供たちが本当に経済環境に左右されずにできるようなスポーツ環境ということを、若干この辺、何かケースがあれば入れていただきたいと、近藤委員が言われたようなことと同意しています。
 それとは別に、21ページ、どうしても少し気になりますが、ポイント5、産業化の促進というのはどうでしょうか。もう少し、産業化ではなくて、極端に言えばスポーツというのはこれまで非常に行政主導で行われてきて、どちらかというと参加費無料で、税金で全てあがなってやってきたという経緯があって、なかなかスポーツにお金を出さないという国民性がやはり日本人は強い中で、産業化の促進と書くと、私、すごく抵抗があります。スポーツ産業の隆盛も分かりますが、ここのところはできれば柔らかく、やはりスポーツは自家生産ですからお金を払うんだと、そういう受益者負担意識の醸成というタイトルで、内容で書き換えていただけないか。
 あと、二つ目に「スポーツビジネスは」と書いていますが、この場合のスポーツビジネスというのは何を指しているのか教えていただきたい。ただ単にスポーツの経済的なものを指してスポーツビジネスと呼んでいるのか、それとも、昨今のイベントビジネスだとか、そういう意味でのスポーツビジネスなのか。何かもう少し別に適切な用語はないのかと思うんですが、どういう意味で使われているのか教えていただけないでしょうか。
【日本総合研究所春山様】
 御指摘ありがとうございます。
 産業化のところは、確かに御指摘のとおり、受益者負担をきちんと意識として醸成するというのは非常に、その方がいい表現かと私も思います。
 スポーツビジネスですけれども、ここで指しているのは、スポーツビジネスというのは割とコミュニティビジネスみたいな形で、地域でいろいろな人たちに安価にサービスを提供している。総合型とかも、そういうところを一部目指しているのかと思うんですけれども、そういった小さな形でビジネスを作り出していくようなことも可能で、逆に言うと何でもボランタリーにやるのではなくて、少しでもお金を得て、コミュニティビジネス的に運営していくことが重要なのではないかというような趣旨で書かせていただいておりますので、そこがミスリーディングであれば表現を改めさせていただきたいと思います。
【福永座長】
 ありがとうございます。 ほか、いかがでしょうか。はい、どうぞ。
【藤田委員】
 今回、このガイドラインを作って、スポーツの関わり方とかを分かりやすく説明する、あるいは見える化していくことが目的と書かれてあって、13ページの障害者スポーツのところを見た場合に、求められる方向性で、障害の有無に関わらず誰でもスポーツを楽しめる環境づくりの2行目「誰でもスポーツを楽しめる環境づくりや健常者と障害者が一緒に楽しむことができるスポーツコンテンツの提供」と。健常者と障害者が一緒に楽しむことができるスポーツコンテンツの提供というのは非常に分かりやすいと思うんですが、障害の有無にかかわらず誰でもスポーツを楽しめる環境づくりというのは、どうしたらいいのか、これは分かりやすいとか、見える化できているとはちょっと言えないような気が私はしております。
 例えば、具体的な実践例で大分車いすマラソンが出ていますけれども、取組事例概要の方を見てみますと、行政が中心になって、様々な関連部局であるとか、民間企業であるとか、会社であるとか、あるいはボランティア団体であるとか、医療と福祉関連の組織であるとか、そういったところが連携してこの大会を作り上げていると出ています。それはとても大事なことで、障害のある人にスポーツを、障害者にスポーツをやってもらおうと思うと、競技協会だけが頑張っても駄目だし、学校の先生だけが頑張っても駄目だし、いろいろなところが連携して、医療から、福祉から、それからスポーツ関連、教育関連が連携して推進していくことが重要になってくる。せっかくこういう事例が出ているので、その部分をもう少しこちらの方に、具体的な記述として落とし込んでもらえるといいかと思います。
 もう一つは、今の事例は川崎の方も同じようなことが出ていたと思います。取組事例概要の27ページの最後に、全庁挙げての取組というようなことが出ています。それから、28ページ、行政だけではなく、多様なステークホルダーの参画を促すという言葉が取組課題のところで出ていますので、そういったところを出していただきたい。
 あと、やはり受け入れる側(がわ)、障害のある人とない人がやるときに、大体、障害のある人の方が数は少ないですから、障害のない人たちの総合型スポーツクラブであるとか、地域スポーツクラブであるとか、いろいろなところに入っていくことが多いと思うんです。そういう受け入れる側(がわ)の指導者であるとか、ほかのクラブであればメンバーの人たちの理解を得るとか、そういったことが進まないと、障害のある人が来たときにどう対応していいのかとか、大丈夫かなというような不安が募ってくる。そこで不安感を持っていらっしゃる人は多いようですので、受け入れる側(がわ)の環境づくり、意識づくりというか、そういう部分が入ると、より分かりやすくて、具体的なものになるかと思いました。
 以上です。
【福永座長】
 ありがとうございます。 ほか、ございませんか。はい、どうぞ。
【日本レクリエーション協会】
 10ページ、高齢者世代のスポーツ参加促進に向けた方策の求められる方向性、2点ほど挙げておられるわけですが、自然と健康になれるようなまちづくりで「健康づくりやスポーツ無関心層への取組拡大に向け、健康やスポーツを意識させすぎないようにしながら、日常生活の中で自然と運動量が増えていく」、こういう仕掛けができたら誠にすばらしいと思います。具体的な事例としては、見附市さんの「健幸ポイント」が挙がっているように思うんですけれども、させ過ぎないようにというのは非常に難しいかと思います。逆に、高齢者の健康意識というのは、NHKの意識調査などによると9割の方が自分は日頃から健康を意識していると答えていらっしゃるので、むしろそちらとなぜスポーツにつながらないか。先ほど来、先生方の議論で楽しさということが出ていたと思うんですが、やはり楽しいんだという認識をいかに持ってもらうかというアプローチが大事なのではないかと考えております。ここで自然と言って、中身を見たらポイント制という事例になってしまっていると感じているところでございます。
 2点目、地域コミュニティを通じた健康づくりというのも非常に大事な視点かと思うんですが、一方で課題として、今、自治会、町内会の加入率の低下ということが各市町村で非常に問題になっていると思うんです。ですので、地域コミュニティづくりということを考えたときに、即自治会、町会を活用すればいいというようなことだけで、果たして済むのかということを感じたところでございます。
【福永座長】
 ありがとうございました。 ほか、いかがでしょうか。どうぞ。
【日本障がい者スポーツ協会】
 1点、障害者スポーツの部分ですけれども、本来、子供の世代から高齢者世代、障害者もいますよねというのはあるんですが、これを落とし込むのはかなり大変なので、障害者スポーツの部分を特筆しているんだろうと解釈します。実際には、障害というのは非常に大きな概念というんですか、皆さんにとって障害者といったとき、恐らく車椅子の人であったり、あとは目が見えない方とか、いろいろな見方があるので、その辺の多様な障害に対しては、やはり多様な対応が必要なので、幅が広いんですということをどこかに落とし込んでいただければと感じました。
 それと、13ページの5.の(1)現状と課題は、現状はこうだよというだけで、どうしたらいいんだろうかということがなかなか出てこられない。要は、ほかのところはこうすればいいのではないかということが多少書かれているんですが、今、これはこういう現状だよねということだけなので、何かそれに対するヒントとか、こういうようにしたらどうだろうかというものがあるといいかと感じましたので、ちょっとその辺を検討していただければと思います。
【福永座長】
 ありがとうございます。 どうぞ。
【近藤委員】
 障害者スポーツのところで、先ほど藤田委員から、そういう人が来てしまって、さあ、どうしましょうとなったとき、どこに相談したらいいのかという話がありました。その辺は、最後の参考情報のところに、ここに問い合わせればいろいろ相談に乗ってくれますみたいな情報があると、まさにガイドになるかと思いました。
 一つ情報提供すると、私、実はリハビリテーション医学会の専門医でして、公益社団法人日本リハビリテーション医学会のホームページに、障害者スポーツのそういう情報のリンクを集めたところがあったりします。そんなところを紹介していただいたりすると、障害を持った人が来てとか、障害者スポーツのリスクなどについて相談に乗ってくれるお医者さんが欲しいとかいったら、専門医のリストが出たりしていますので、一つ情報源かと思いました。
 それから、最後の方のポイント1から8と、前の方に書いてある年齢別というんでしょうか、そこに書いてある求められる方向性との関係がどういう関係なのか、まだすっきりしていないところがあります。子供とか、ビジネスパーソンとか、それぞれの世代、グループ別に求められる方向をそれぞれの状況に合わせて、例えば働いている人だと健康経営だし、子供だったら学校の活用だし、全体に共通するものが1から8なのかと思って見てみると、そう見えるものもあるけれども、それとは違うことを言いたいような気もして、どうなのか。これは半分質問です。
 私が思ったのは、世代別、グループ別で特異的なことがあった方が具体的なイメージが湧くという意味では、そういうものも是非あった方がいいと思うんですが、何か大きな考え方みたいな、世代とか何とかによらず、共通したこういう視点で、それぞれの持ち場で考えてねという大きな考え方のガイドみたいなものも、あった方がいいのではないかと思いました。例えばですけれども、指導者みたいな人がいないとなかなか大変だから、そういう人を探すことが大事ですとか、やる場所、ハードがないとなかなかできないから、そういうものを整備しましょうとか、プログラムは、先ほどのですと自然にとか、身近に触れやすいとか、楽しいとか、それはイベント性も大事だし、持続可能性も大事ですと。
 もう一つは、先ほどの目的論にも通じるんですけれども、これを見ていくと、ファミリーが参加することで家族が仲よくなるとか、コミュニティづくりにもつながるとか、健康経営は生産性も上がりますみたいなことをうたっていて、それはスポーツを介して、ファミリーだったり、コミュニティだったり、企業が元気になりますよと、そんなメッセージなんですよね。なので、スポーツはいいんだから、やれとか命令口調でピシピシとやるのは本旨ではない。いい家庭をみんな望んでいると思いますし、いいコミュニティを望んでいると思います。それを目指すために、スポーツは意外にいいんですということとか、今、考えたら、四つぐらいの柱には整理できるのではないかと思ったんですけれども、一種総論みたいなものがどこかにあってもいいのではないか。
 それから見ると、ポイント1から8という位置付けは何のポイントなのか。事業効果を高めるためとは書いてあるんですけれども、前段でいろいろ見てきたこととのつながりがいま一つ分からないというのが正直な感想です。
【福永座長】

 大変ありがとうございます。 今の御質問、答えられますか。
【日本総合研究所春山様】
 意図としては、先ほど近藤委員もおっしゃったように、横串的な形で、全ての属性に共通、関係してくる課題を書くような位置付けで書かせていただいております。例えば、参加促進に向けたポイントだと、流れとしては、まずスポーツに関して関心を高めるような工夫が必要で、その関心を高めるという入り口の取組に続いて、実際に参加しようと思ったときに、どういうような形で参加しやすい場づくりを担保していくかというところが次に重要になってきて、一度参加させたら、今度は継続させることが重要ですと。継続させたら、今度はその取組自体を地域に根付かせていくことが必要ですみたいな、一応、流れを想定してポイントは整理していたつもりですけれども、済みません、もしかしたら非常に分かりにくい表現になっていたかと思いますので、その辺は少し総論的なものを入れながら整理させていただく方が確かにいいかと思います。
【近藤委員】
 今の説明だと、スポーツ参加促進に向けたポイントに位置付くと思うんですけれども、参加しやすさとしての物理的なアクセスだとか、例えば学校の体育施設を使わせてもらえるとか、アクセスのよさみたいな要素がポイント1から8の中には余り明示的ではないという感じがいたしました。
 これまた、今、データを分析していて、こんなに出るのかと驚いているのは、市区町村単位で分析していたら、公園面積が大きい市区町村でスポーツの会参加率が高い、なおかつ、そういう地域では運動機能低下者が少ないという関係も出てきています。アクセスがよくないとなかなか、まさに始めにくいというか、続けにくいというか、車で1時間行った先の障害者スポーツセンターでないとできないとなると、よっぽど思い入れがある人でないと通い続けられない。そういうことからも、やはりアクセスのよさ、身近にそういう施設、場所が提供されること、そういう環境を作っていくこと、そんなメッセージを大きな柱として是非掲げていただきたいと思いました。
【福永座長】
 ありがとうございます。 ほか、ございませんか。
【萩委員】
 関連して。
【福永座長】
 はい、どうぞ。
【萩委員】
 今のお話、本当に私も、ポイントに入ったらより漠然としてしまったという印象を持ちました。せっかく事例が出てきて、具体的に何をどうしたらいいということが説明された後に、またそれをトータルな形で説明しているんだけれども、では具体的にどうしたらいいかというところまで行き着かなくなってしまうという印象を持ったので、マネジメントは人・物・金・情報ではないですけれども、具体的にハードはどうで、どうやってお金を回して、どういう人が必要でみたいなところに落とし込まないと行動化しないというか、アクションになっていかないのではないか。必要性はもう認識できているんだけれども、それをいかにやるかというところに結び付けるために、ポイントがより具体的に実行しやすい表現になっていると有り難いと思いました。印象でした。
【福永座長】
 どうもありがとうございます。
 まだ御意見等ございますところですが、最後の第4章の御意見を頂いてから、また全体に移りたいと思います。今後の課題につきまして、いかがでしょうか。ございませんでしょうか。
【後山専門委員】
 いろいろな自治体さんとか、スポーツ団体さんとかは、多分、このガイドラインを活用しながら、こんなことをしたらいいかなということは分かると思うんですけれども、民間事業者さんがやっていくときなんですけれども、企業メリットみたいなものがなかなか見えづらいので、実際、CSRとして企業価値を向上させるためにこういうことをやりますということであれば分かるんですけれども、今、この状態ですと、企業で取り入れるとしても、何を事業者利益として得られるかということが具体的に余り見えないので、なかなか普及しない気がするんです。これをやったことによって、各事業者さんはどういう効果、要はスポーツ人口が増えたというよりも、企業としてどういう価値が上がったかというところも、普及活動においては必要なのではないかと思いました。
【福永座長】
 ありがとうございます。 いかがですか。どうぞ。
【安達健康スポーツ課長】
 ありがとうございます。
 例えば、参考資料1の9ページ目、これは健康経営の中でのデンソーさんの取組で、ガイドラインのところにはなかなか書き込めないですけれども、あの事例の中でこういう問題を挙げて、こういう取組をした場合、取組の効果ですとか、どういう価値があったですとか、取組のポイント、個別の取組ごとに、後山専門委員がイメージしているものと異なるかもしれないですけれども、それぞれの事例の効果的なものは記載させていただいております。まずは、各分野におけるいろいろな事例を土台にしまして、課題を抽出して、方向性を見てということで、取組からずっと上に上がってガイドラインを組み立てたものなので、必ずしも全体を網羅したということではないんですけれども、一つは、この事例にたどり着いていただいて、本当にやるときの効果ですとか、手法を御参照いただければと考えています。
【後山専門委員】
 今、やられているスポーツエールカンパニーの認定とか、そういうものと組合せた方がやる企業がより増えるのではないかと思っていて、うまくこのガイドラインを使うとスポーツエールカンパニーの認定にもなりますみたいなところも、一緒に促していけるといいのではないかと思っています。一緒にやれば、普及活動が広がっていくのではないかと思います。
【安達健康スポーツ課長】
 それは、ガイドラインの使い道というか、普及の仕方ということで。
【後山専門委員】
 そうです。はい。
【安達健康スポーツ課長】
 分かりました。
【福永座長】
 第4章、ほか、ございませんか。はい、どうぞ。
【近藤委員】
 今後の課題なので、ここに、このガイドラインの目的を達成するための研究をもっとやるべきだということを入れてもらえると、うれしい先生方がいっぱいいるのではないか。今回、欲しかったんだけれども、現状では探しても得られなかったデータや研究がいっぱいあったと思うんです。その辺について、この中に書き込むかどうかはともかく、今後、スポーツ庁としてこういう裏付けをもっと得たいというようなことは是非どこかでメッセージを発していただきたい。このガイドラインも、今後、そういう研究を進めて、いずれそういうエビデンスの基に改定していくとか、まさにPDCAサイクルを使ってよくしていくぞというような考え方は、この中に明示していただきたい。今の書き方だと、PDCAサイクルの導入も考えられる、紹介はしてもやらないことも考えられるとも読めてしまって、何か寂しい書き方だなと。そこは、是非やると書いていただけたらと思いました。
【福永座長】
 ありがとうございます。確かに、私もそう思います。 ほか、いかがでしょうか。
 それでは、第1章と第2章のところがまだ、最後にまとめるときにもうちょっと議論したいと思うんですが、あと10分ぐらいお願いします。ガイドラインの目的、あるいは方向性ですね。はい、どうぞ。
【日本体育協会】
 私どももスポーツの価値というところを非常に大事にしておりまして、スポーツの価値というのは、中核的な価値として、スポーツを楽しむとか、喜びがその中核にあるという認識をしていまして、それがあるからこそスポーツを継続できる、これは非常に大事な視点だと考えております。スポーツ基本計画にも、その旨、同じことを盛り込んでいただいていると認識しておりますし、私どもが出している中長期事業方針にもスポーツの中核的価値について記述しております。ここでスポーツガイドラインとうたっておりますので、スポーツ基本計画に書いてあるから書かないということではなくて、是非、そういった大事なところをしっかり書いた上で、スポーツの参画人口を増やしていくための方策というような位置付けにしていただけると、スポーツの本質的な価値が強調できていいのではないかと思います。
【福永座長】
 ありがとうございます。 ほか、いかがでしょう。
【藤田委員】
 まさにこれだと思うんです。今、このガイドラインを読むと、歩け、歩け、歩け、そうするとメタボが予防できる、発言もキレキレになると。歩けと言われると、そう言われてもなと思うんですけれども、ファンが付いて、楽しんで歩くと、こういういいこともあるというような、読んでやってみようかな、楽しそうだなと思えるようなニュアンスが出てくるといいかと思いました。
 以上です。
【福永座長】
 いろいろな意見が出ているわけですけれども、特に第1章、第2章は非常に重要な点もございますので、いかがですか。その後、コメントございますか。
【安達健康スポーツ課長】
 ありがとうございます。
 御指摘のとおり、スポーツは楽しむもの、多くの方にスポーツの価値を享受していただくのが、まさにスポーツ庁における、「する」「みる」「ささえる」も含めた一億総スポーツ社会の実現ということですので、実施率を上げる、参加率を上げることだけが少し切り出された書き方ということもございます。そこは、最終的な目的と、ここでやろうとしていることを少し整理したいと思います。
 一方、現状では、そうはいってもスポーツ参画人口ですとか、「する」「みる」「ささえる」も含めて実施率が必ずしも高くないということで、このガイドラインを活用して少し促していくというところもございますので、そこら辺は少し整理させていただきたいと思います。
 1点、7ページ目のところ、先ほど運動への苦手意識というタイトルは少し前向きにということがございました。これは、多くの自治体、企業、学校関係者、いろいろな方が見て、自分もこういった問題意識を持って、どういうように取り組んでいくかといった中で、具体的な実践例を見ていただいて、うまくいっている事例があるかどうか。少し水平展開するためには、参考資料1、先ほど申し上げたかなり詳しい課題背景、効果、取組のポイントも少し参考にしていただく。完全に水平展開するか、あるいは参考にして、同様な取組を促していくという形の流れで使っていただければということでございますので、そういった趣旨も明らかにしたいと思います。
 あと、先ほどポイントが全体の実施例と流れがうまくつながっていないという御指摘もございました。これは、資料1-1、15ページに同じポイントが書いてございます。例えば、16ページ、関心の喚起、インフルエンサーの育成ということでポイントが書いてございます。こちらについても、下に書いてありますが、見附市における取組、船橋市における取組、あるいは日本テレビさんの取組、こういった取組の中で出てきたポイントを少し、これもまた事例に基づくところから抜き出して書いてあるということでございます。そういうことで、網羅的に書いていないところもございますので、どういうポイントかということも少し明確にするような書き方にはしたいと思います。
 以上でございます。
【福永座長】
 はい、どうぞ。
【松崎健康スポーツ課課長補佐】
 取組効果を高めるためのポイントのところですけれども、どうしても今回のガイドライン作成のプロセスとして、事例オリエンテッドで、事例の中から、今後、横展開をしていくとか、これからどういった取組をしていこうというような、悩まれている自治体、団体さんがある意味ではまねしていくようなことを、ガイドブックというか、ガイドラインというか、そういう形でまとめています。最初の1の1.から1の6.と2、3でも、どうしても個別具体的な事例が中心となっています。その後で、振り返ってみたときに、独自の取組をしようとした自治体、団体さんがどういうところに気を付けるべきなのか、あるいは気付きの機会を得るために注意するポイントなのかというところを抽出しながらまとめたのがこのポイントのところです。恐らく紹介した24事例も、ポイント1から8全てを満たしているわけではないと思いますけれども、例えばポイント1やポイント3はこの取組でやっているところなんだとか、頭の整理として抽出したところがあります。ただ、御指摘のとおり、書き方とか、表現の仕方は少し工夫をするところがあるかと思っています。
 先ほど近藤委員からいただきましたPDCAサイクルの話は、私も非常に重要だと思っています。ただ、国としてどこまでできるかというところと、まさにPDCAサイクルになったときに、その指標をどうするかを考えていくことが課題です。例えば、歩くことによって、そのまちの医療費が抑制されましたという指標を使ったところもあります。しかし、冒頭の議論であったように、「じゃあ我々は医療費を抑制するために歩かされているのか」みたいな変なメッセージになってもいけません。そういった指標を作るときの評価指標が、ある意味では逆に、本来のスポーツの価値とか、楽しさとかいうところとずれてきてしまうのもまずいかと思っています。その辺りは、バランスの問題もありますし、いかに我々がスポーツを楽しんでやるか。一方で、健康のためにスポーツをやっている人が7割を超えているとか、そういった側面もやはりあるので、楽しいからやるというところと、健康のためにやったりとか、あるいは、こういうことを続けてやるといろいろなコミュニティづくりができるとか、そういった面もバランスを踏まえながら、いただいた御意見を取り入れて修正したいと思っております。
【中西委員】
 もう時間的に最後になるかと思いますが、本当に1点だけお願いですけれども、スポーツの価値というのは、する人、みる人、ささえる人という主体が決めることです。スポーツは、行政の方が健康に役立つからとか、コミュニティづくりに役立つからやりなさいというものではありません。要するに、先ほど藤田委員が言われた手段的なものではないということを、まず捉えていただきたい。
 私はこう捉えているんですけれども、スポーツというのは、結局、身体を使って面倒くさいことをうまくなるということなんです。その面倒くさいことを作っているのは何かというと、人間が作ったルールなんです。例えば、ラグビーでも、後ろにボールを投げながら前に走るという矛盾した行動を楽しんでいるわけです。そのルールを作っているのは人間なわけです。そういう矛盾したことが上手になるところに楽しさがあるわけです。
 私たちの日常生活でも、私はカニを食べるのが好きなんですけれども、カニを食べると、面倒くさいのにみんな夢中になって無言になるじゃないですか。あれは、やはりスポーツをやっている楽しみと共通する部分があると思います。その面倒くさいことを上手になろうと夢中になっている、そこに楽しさがある。そういうことを夢中になってやるから、健康になったり、人との人間関係が作れたりとか、そういうものがスポーツの本質であるという認識を持っていただきたいと思います。
 基本法に書かれているスポーツの定義というのは変更できないので仕方ありませんが、私にとっては、これは行政がスポーツはこんなことに役立つからやりなさいと書いているようにしか見えないのです。それに対して、日本体育協会とJOCが作った文書は、自発的な運動の楽しみを主体が、する人が決めるのだという意図なんです。その辺の図式というか、その辺をうまく組合せていただかないと、ただ単にスポーツ参画人口を増やすというのでは理屈にかなっていないと思います。要は、運動嫌いで何が悪いかと言われて終わりだと思うわけです。行政が価値を決めるから、健康のためにやるのだったらスポーツはやらないとなるわけです。
 だから、是非、第1章、第2章については思考的なことを、今、言ったように身体を使って面倒くさいことを上手になる。そこに夢中になって、結果的に健康になったり、地域づくりにつながったりという図式でスポーツ参画人口を増やさないといけないのだと、そういうスポーツの価値を一人一人の主体が決めて、存分に味わうスポーツ生活を作ってほしいのだと、そのためにスポーツ参画人口を増やし、こういうケースでやっているのだと。お願いとして、どうかそういう書きぶりにしていただきたい。少し長々と申し訳ありませんが、そこだけを変えられると、どうしてもここが読めない。スポーツ参画人口を増やすのが目的で、一体スポーツとは何なんだというようなイメージしか私は持てないので、是非、事務局の方でまた御検討いただいて、そういう方向でまとめていただければ有り難いと思います。
【福永座長】
 ありがとうございます。
 たくさん貴重な御意見、いただきました。改めて繰り返しませんが、本日の御意見を踏まえまして、再度、事務局で整理して、修正といいますか、もう一度ガイドラインの案を我々に送っていただくということでよろしいでしょうか。そのときに、タイトルをどうするかという御意見もいただいていくということでよろしいですか。では、そういうことで事務局の方々には作業をお願いしたいと思います。
 ちょうど4時になりました。これで私の司会を終わりたいと思います。
 あと、スケジュールについて事務局から御説明をお願いします。
【松崎健康スポーツ課課長補佐】
 本日は活発な御議論を頂きまして、ありがとうございました。本日の議題に関しまして、追加の御意見がある場合と、名称のよい案がございます場合には、3月13日の火曜日までに事務局にメールで御提出を頂ければと思います。本日、いただいた御意見や、追加でメールでいただく御意見等を踏まえまして、今、座長から御説明いただきましたとおり、修正したものをまた委員の皆様にメールで照会させていただきますので、また御確認いただきますようお願いします。
 次回につきましては、余り間が空(あ)かず恐縮ですが、3月20日、火曜日、15時から開催をさせていただきたいと思います。詳細については、追って御連絡させていただきます。
 以上でございます。
【福永座長】
 それでは、どうもありがとうございました。終わります。

―― 了 ――

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-- 登録:平成30年04月 --