高校生等の冬山・春山登山の事故防止のための有識者会議(第3回) 議事要旨

1.日時

平成29年11月7日(火曜日)16時00分~18時00分

2.場所

スポーツ庁会議室(16F3)

3.議事要旨

高校生等の冬山・春山登山の事故防止のための有識者会議(第3回会議)の結果の概要
                             

1.日時:平成29年11月7日(火曜日)16時00分~18時00分

2.場所:スポーツ庁会議室(16F3)

3.出席者:尾形委員,清水委員,新宮領委員,谷口委員,戸田委員,松本委員
  発表者:北村先生
  オブザーバー:日本スポーツ振興センター,栃木県教育委員会の担当者
  〔スポーツ庁〕今里次長,藤江審議官,平井総括官,安達健康スポーツ課長,川田同課長補佐

4.議事内容
(1)冬山・春山登山の事故防止のための方策について
 ○本会議の報告書となる「冬山・春山登山の事故防止のための方策について」について、事務局より説明。
 ア.冬山登山の定義、基礎的な内容、指導者の条件について
 ○北村先生より冬山登山の定義等について発表
 ・「登山」とは、低酸素や低温等の厳しい環境下で、長時間の持久運動を不整地上で水分や栄養を補給しながら続けるという独特な運動である。
 ・日本の山における気候を考えると、「冬山」を特定の月日で指定するのは困難。寒冷であること、雪崩の危険があること、滑落の危険があることの3つがそろっているのが冬山だとすると、登山研周辺では10月から6月くらいまでは可能性がある。
 ・「安全な場所」についても、ここが安全という場所を規定することは非常に難しいが、リスクの高い所から言うと、雪崩の可能性のない場所、滑落の可能性のない場所。さらに、気象情報・登山情報の判断が発信できる本部の設置というのも考えに入れてはどうか。
 ・「基礎的な訓練」というのは、2泊3日くらいでとどめておけば疲労に伴う色々なトラブルも少ないだろう。生活、歩行体験が主目的であって、獲得目標を具体的に示さないといけない。その獲得目標に沿って生徒に体験させる内容の質と量を指導者がコントロールする必要がある。積雪地でのテント生活技術、登頂を目的としない歩行技術、雪上で使用する装備の使い方の練習ができれば、将来雪山を安全に楽しむことができる。
 ・補足として、安全な登山のためには、登山パーティーだけでなく、学校や家族といった留守本部や警察、消防等も含めた大きな登山チームという考え方が重要であり、今後、パーティーのリーダーが困った時には、リーダーが本部と連絡・相談できるような体制がとれると望ましい。
 ・指導者の条件としては、事故を防ぐリスクマネジメントと被害を抑えるダメージコントロールの2つが登山の中で最も重要な安全対策となる。こうしたことができる人としては、スポーツ指導員の資格を保有している人や、登山研修所の講師、又は山岳関係団体の登山講師や山岳ガイドが考えられる。また、継続的に研修会等に参加するなど知識や経験の更新が必要である。
 ○各委員からの意見(基本的方針~指導者の条件)
 ・指導者の条件について、ここまで厳しくしてしまうと顧問の現状から考えると厳しいのではないか。
 ・例えば日体協のスポーツ指導員の資格取得自体はそれほど難しくはない。ここからは危ないから行けないと判断できることが重要。むしろ4年間に1回以上の研修というのは少なすぎるのでは。研修会に頻繁に参加することで、専門家とのつながりができる。
 ・日本体育協会の公認スポーツ指導者資格というのは、共通科目は日体協で、各競技の専門部分だけを各競技団体が担当している。
 ・各都道府県の高体連でも顧問研修会を開催しているが、資格につながるものではなく、体験をしてもらうというのにとどまっている状況。
 ・登山研のリーダー研修では参加者が互いに教えあうことができるかを講師がチェックしている。
 ・指導者のレベルが不足している場合に、客観的に判断できる人がいるチームとしてのシステムをもっと充実させるべき。
 ・遭難については、低体温を引き起こすという意味で、寒いということが決め手であって、雪崩そのものは遭難ではない、人が巻き込まれれば遭難である。
 ・資格取得や研修参加は素晴らしいことなのだが、残念ながらなかなか参加できない、派遣してもらえないという現実もある。学校の設置者がそういうことに努めなさいと明記する必要がある。そして、計画的に指導者を育成していく必要がある。
 ・指導者資格の「望ましい」のところを義務化してしまうと何もできなくなってしまうのが現実ではないか。今回、指導者の条件で「望ましい」としているのは、登山について顧問教員の経験が不足していたとしても、豊富な知識や経験のある外部指導者が同行できればいいというような整理と理解している。
 ・外部指導者については、例えば山岳ガイドは登頂させることはできても、技術を教えることについてはプロではない。またそれに任せっきりになると、顧問がまったく育たないという恐れもある。教育的観点は必要である。  
 
 イ.登山計画審査会、学校や保護者の了解について
 ○主な自治体における登山計画審査会等の取組みについて、事務局より説明。
 ○各委員からの意見(登山計画審査会~学校・保護者の了解)
 ・今現在夏山も審査している自治体もあり、わざわざ冬山に限定する書き方はマイナスの効果を生むのではないか。
 ・保護者の了解を得ることの後ろに、事前に指導者、引率者等が打合せ及び必要な研修を行う、といった1項目を入れてはどうか。
 ・講習会であっても登山パーティーとして機能しなければならない。講師は安全管理者としての意識が必要である。  
 
 ウ.実施上の留意点、登山部顧問の質の向上等について
 ○各委員からの意見(実施上の留意点~国及び山岳関係団体等が行うこと)
 ・登山計画と登山届のはっきりした区別はないが、計画書は登山届よりも詳細な記載がされており、提出するのは登山届で良いのではないか。
 ・下見は意味のある下見をしなければならない。雪が積もる前に確認すべきこともあるし、直前でないとわからないところもある。
 ・講習会の目的、何をやらせたいのか、どういう獲得目標がどれだけの質と量を求めるのかを明確にする必要がある。
 ・計画を立てる段階で荒天時の計画もきちんと立てておく必要がある。現場合わせが一番の懸念である。
 ・想定される行動はすべて計画しておいて、それ以外のことはやってはダメというくらい厳しめに書く方がよい。  
 ○今後のスケジュール等
 ・本日の議論以外に気づいた点があれば、11月10日(金曜日)までに事務局へ提出する。
 ・第4回は11月下旬を予定。再発防止策の取りまとめを行う。


お問合せ先

スポーツ庁健康スポーツ課

電話番号:03-6734-3939

(スポーツ庁健康スポーツ課)

-- 登録:平成29年11月 --