スポーツを通じた女性の活躍促進会議(第1回) 議事要旨

1.日時

平成29年8月4日(金曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省東館3階第2特別会議室

3.出席者

委員

伊藤委員、後山委員、工藤委員、鯉川委員(代理:桜間氏)、小坂委員、能瀬委員、久武委員、古海委員、増本委員、水原委員、和久委員、山口香委員、和田委員

スポーツ庁

藤江スポーツ庁審議官、由良参事官(民間スポーツ担当)、安達健康スポーツ課長

オブザーバー

オブザーバーとして田村参与、木藤参与が出席

4.議事要旨

(各委員の主な意見)
○ ヨガは気軽にできるスポーツ。タオルと座る状態があればできる。1990年代からアメリカの有名人の間でヨガが流行り、日本でも2003年以降から現在に続くヨガブームが始まり、ライフスタイルとしてヨガを取り入れることが定着した。最近は、2000人規模のイベントが開催されている。

○ 20年前からずっと、「する」、「みる」ともに女性のスポーツ実施率は低い。ヨガは30代~60代の女性の間で、やりたい運動のトップ。低年齢の女性がもっとヨガに親しめないか。

○ スポーツをしたいかについて調査すると、女性も、男性と同じもしくはそれ以上に希望がある。インサイト調査で本音を聞いたり、希望があるのになぜできないかを突き止めることが必要。

○ 健康のために頑張るという関わり方以外に、気持ちを抑えたい目的だとか、親子で楽しむ方向を考えることでスポーツとして広がりをもつのではないか。

○ スポーツの意味の捉え方にまだ狭い部分があり、もっと広く捉えられる可能性を感じるとともに、そこにまた女性のスポーツの可能性があると感じた。

○ JOCでナショナルコーチアカデミーは2008年に設立して10年目。日本人はこれまで335名が受講し、そのうち女性は52名だった。割合では約16%。年によって違いがあるものの、少しずつ女性が増えている傾向があると思う。受講者は、自分が男性だから、女性だからということではなく、担当しているチームを勝たせたいという気持ちで活躍していると思う。若いスポーツ指導者の中には女性も増えてきた。出産のところで調整が難しくてご本人から遠慮される例も最近は見られるようになった。

○ 手軽にスポーツに楽しめる形で、国民全体の健康な人口比率を高めていきたい。国民全体が楽しくスポーツがやれるように、いかにそれを伝えていけるかを考えていきたい。

○ アスリート支援のための研究をしている。女性アスリート支援のための色んなツールやグッズを作っている。これからも研究を研究だけで終わらせずに現場で生かすために取り組んでいく。

○ 1985年の男女雇用機会均等法、2016年の女性活躍推進法と、法令が整備される中で、企業ではKPIを設定しそこを目指しながら環境整備をする風土が根付いてきた。そうして貴重な人材が活躍できるよう努力してきた。先ほどの話をお聞きしていると、スポーツ界ではまだ役員や指導者の立場に女性が参画していないということだったので、企業もまだ足りないところはあるけれど、企業が先に歩んできた道を紹介することによって何か知恵を出したい。

○ 企業では健康経営に取り組んでいる。各々が一生懸命仕事をしてきた中で、決して全員が体調万全というわけではない。健康管理の点でスポーツから学べることがあれば企業にとってもメリットがあると思う。

○ スポーツ指導者で医学的に正しい知識を持っていない方が少なくないと思う。2014年から女性アスリート健康支援委員会を立ち上げて全国のスポーツ指導者と養護教諭の方に講習会を開いて啓発活動を始めた。トップだけでなくみんなが健康な状態でスポーツに参加していただけるように医学の立場から協力したい。

○ 身近な方にアンケートをしてみたところ、スポーツをする人は大学、社会人で一気に減る。スポーツがそんなに好きではないけれど体を動かしたい、ただし機会がないという方もいる。それから、スポーツはやっていないけれどヨガはしているという方もいる。激しく運動するのがスポーツだという印象があったり、ヨガがスポーツだという認識が少し薄いのかなと思う。

○ ナショナルチームの選手を引退して、結婚・出産・育児をして十何年かを経たのち再びナショナルチームのコーチをしている。若い人たちのために何か良いヒントを提供できたらと思う。

○ 資料3では、スポーツ団体における役員の女性比率を示している。0から1人になったということだけでなく、女性が役員になったことでこういうことに変化があったとか、よくなったというところに注目し問いかけながらその意義を公にしていく努力をしていかないと、なかなか難しい問題にぶちあたると思う。

○ 女性の健康体操教室をしている。会員の大半が運動習慣のなかった方。運動を始める一番の理由は友達からの口コミ。運動すると気分が良くなるとか楽しくなることが口コミで伝えられて参加することになった方がいて、大切なアプローチだと思う。

○ 全国障がい者スポーツ大会の個人競技で代表的なものをみると、選手のうち男性が70%、女性が30%。日障協の指導者資格の取得者については、女性の比率は初級では51%、上級では40%に減る。障がい者のスポーツ環境を含めてなかなか進んでいない状況があるが、(日障協の)スポーツドクターやスポーツトレーナーの女性の比率は25%前後である。とっかかりでは女性の関与がある。(日障協の)専門性が高い資格について女性の比率が他と比較して低い。その観点のほか、地域性もみながら考えていかなければならない。

○ 次世代の女性のリーダーやスポーツ指導者の育成について議論になっているが、今現在、スポーツ団体でリーダー的立場の者やスポーツ指導者にも約10%の女性がいる。その方々が輝いて仕事ができるために必要な支援についても議論が必要だと思う。昨日までイギリスでICCEというスポーツのコーチング・コーチ育成の国際会議があり、女性のコーチやリーダーに対する支援としてどのようなことが必要かを議論していた。そこで女性の方がすぐに答えたのが、リーダー育成に必要なことは、メンターシップ(アドバイスをもらう相手)とリーダーシップスキルの養成ということだった。日本にそのまま当てはまるかはわからないが、スポーツ団体の役員になってリーダーとしての職責を果たすためにサポートが必要だと思う。メンターシップには、各界とのネットワークが必要で、スポーツ界だけでなく、ビジネス界でも活躍している方が既にいる、そういったところでのネットワークが必要。

○ 国際トライアスロン連合(カナダに本部を置く)では、カナダ自体が開かれた国であり女性に対して勇気づける環境があることや、会長が女性の登用に熱心だったこともあり、国際トライアスロン連合女子委員会も比較的早い時期に設立されていた。

○ 国際トライアスロン連合女子委員会の取組として、色々な経験者、例えばオリンピアンだとか、それから、トライアスロンでなくても水泳やスキーなど競技を超えて色々な方を呼んで経験談を伺った。スポーツ団体の内部的な活動ではあるが、選手も集めてそういった会議を開催してきた。色んな国際会議にも出かけて行って、自分たちから勉強して、それをまた広げていった。

○ 参加にも、選手、コーチ、トレーナー、マネジメント側、サポーターなどの立場がある。とにかく参加すること、ハードルを下げること、それから、いったん参加したらとりあえずネットワークを作ること。ネットワークを広げて何をするかというと、今後は地元に帰って、あるいは団体に帰って同じようなことを自分から仕掛けていく。そして、自分から輪を広げていく。そう進んでいくと、やはりリーダーシップに入っていかなければならない。それから意思決定機関に女性は入っていかなければいけない。またそこでも心理的にハードルが高くて気後れすることがあるかもしれないし、何をするかわからないと思うこともあるかと思う。でも、入ってみないとわからない。また、入ったところで他の団体の方々や、そこにいる女性の方々がその女性を引き上げていく。そうすると、意思決定機関に女性の視野が入ってくるし、その後輩が将来の自分にどんな活躍がありうるかという目でじっと見ていて、そういう人たちがまた意思決定機関の中に出てくる。そういう風にして徐々に女性の参加を広げていくことを勉強会で学ばせていただいた。

○ スポーツイベントや研修会、コーチ育成講習などの従来のやり方が果たして本当に女性が参加しやすい形になっているかというアクセシビリティの観点を持つ必要がある。

○ 6月にイギリスで世界トライアスロン選手権があった。その機会においても、「This girl can」とタイアップした取り組みがなされた。特定の競技団体に「This girl can」の取組をおろしたイベントの例である。そこでは、子供や初心者や家族など様々な主体が参加しやすいような形の設定が工夫された。

○ スポーツの概念が各々で異なると感じた。少し動くこともスポーツと捉えてよいのか、毎日フルで部活をしているところからスポーツをしているというものなのか、それがわからないと、自分はスポーツをしているとなかなか言いづらい。それから、20代以上が健康・ダイエットに関心があることはわかりやすい一方、中高生が何に魅力を感じるかはやはりきちんと調査した方がよいと感じる。

○ それから、国際協力の観点も重要。特にアジア諸国に対する女性のスポーツに関する支援の視点を含んではどうか。

○ 審判も非常に重要な存在であり、審判の女性の活躍の視点も忘れてはならないと思う。



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スポーツ庁参事官(民間スポーツ担当)

(スポーツ庁参事官(民間スポーツ担当))