運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議(第7回) 議事要旨

1.日時

平成30年2月23日(金曜日)13時30分~15時30分

2.場所

文部科学省3F2特別会議室

3.出席者

委員

19名

スポーツ庁

鈴木スポーツ庁長官,今里スポーツ庁次長,藤江スポーツ庁審議官,平井スポーツ総括官,塩川学校体育室長,木村参事官(学校運営支援担当)、藤岡学校運営支援企画官

4.議事要旨

○ 議事について,スポーツ庁から説明の後,討議を行った。

○ 以下,委員発言(発言の発言内容を変更しない範囲で校正し,読み易くしています。)

<「前文」及び「本ガイドライン策定の趣旨等」について>
  (奈良委員)
    大変書き込んでいただきましてありがとうございます。御調整もあり,大変だったことと思います。本当に感謝申し上げているんですけれども,その上で更に充実させる観点で申し上げますと,「少子化でこのままでは部活動の維持が難しくなっているから何とかしないといけない」ということは,もちろん大きな話ですが,この文言だけでは,狭く捉えられないかと少し心配しております。
    前回,鈴木長官から,生徒の安全だとか健康,あるいは教師の負担軽減ということは大前提というお話がありましたが,そういった大前提も,ある程度,「前文」あるいは「趣旨等」のところに,もう少し書き込んでいただいた方が,今後,都道府県,市町村,学校にとっては分かりやすいのではないかなと思っております。
    具体的に申し上げますと,「前文」の3番目の○と4番目の○の間に,第1に生徒の安全あるいは健康の観点,第2に生徒の部活動以外の時間もしっかり充実させていくというような観点,第3に教師の健康や授業準備を充実させるような観点として,こういった観点からも,一部に過熱化した運動部活動は見直しの時期に来ているっといった趣旨のことも一つ書き加えていただいた方が,策定した意図がより分かりやすいのではないかという提案を申し上げたいと思います。
    次に,「趣旨」のところですが,高等学校についても原則として適用ということは結構と思います。一方で,今までほとんど議論になっておりませんが,小学校も一部に部活動があるというところもあります。御案内のとおり,小学生であればなおのこと,先ほどの健康ですとか,ケガのことは気にしないといけないので,そういった留意をもう少し書き加えておいた方がより良いということを申し上げたいと思います。
    ⇒ 事務局から,小学校における部活動については,小学校学習指導要領に位置付けられていない旨を説明。

  (山﨑委員)
    「高等学校への適用」の部分につきましては,前回の骨子案では,「改革に対する期待」という表現でしたので,高体連あるいは高校を預かる立場としても重く受け止めて対応を考えていく必要があると認識をしていました。
    現状を踏まえても,効率的・効果的な活動で成果を上げている事例もあります。そういったことも踏まえて,今回の案文での「適用」という表現をうまく解釈しながら,メリハリのあるような,休むところはきちんと休むというようなことで,これから,競技団体に作成していただく指導手引も参考にしながら部活動を作っていかなければいけないと思っています。
    それから,「趣旨」の1つ目の○の最後の行ですけれども,高等学校に限定して言うと,本当に競技種目も多様でございますので,ここにある「地域,学校,競技種目等に応じて最適な形で実施される」,こういうようなことを踏まえて対応する必要があると思っています。
    いずれにしても,東京オリ・パラ大会に向けて,あるいはその後も踏まえて,スポーツの価値を高めるための活動に運動部活動も加われるようにしていく必要があると思います。高校も含めて運動部活動が様々な観点から本当に成熟したものとなるように見極めていく必要があると思っています。

<「1 適切な運営のための体制整備」について>
  (妹尾委員)
    「方針の策定等」について,都道府県がまず策定をして,その後,市区町村や学校法人等にいくという流れに違和感があります。地方自治法上は,都道府県と市区町村は対等・協力の関係ですので,都道府県が策定しない限り市町村もできないように読めるのはいかがなものかなという気もいたします。法令に抵触するわけではないのですけれども,まず都道府県,次に,市区町村という順番の発想というのは少し見直された方がいいのではないかと感じました。
    ⇒ 事務局から,県の教育委員会は,地方自治法に基づく広域的な自治体としてのサポートの役割も踏まえて記述している旨を説明。

  (淺野委員)
    私も,このガイドラインへの対応がどこまで地域で進んでいるのか,近隣をリサーチしましたところ,市町村ではやはり,都道府県が大きな指針を出されて,それを待っている状態というふうに感じました。指定都市は,独自に進めていますけれども,それ以外の市町村は遅れてくるとは感じております。

  (妹尾委員)
    例えば,市区町村立学校であれば,市区町村教育委員会が第一の責任があるのは,当たり前の話であります。ただ,実態としては,国とか県の動きを待つ方が多いということは,私も全国各地をよく回っておりますので承知しております。しっかり市区町村教育委員会の方に,第一義的に考えていただきたいという思いがあります。

  (平川委員)
    現場の中学校の校長として現状申し上げます。部活動は年度ごとの活動ですので,4月に向けて何をやっておけばいいのか,何人か近隣の中学校の校長先生から連絡がありました。
    現場を預かっているのは校長ですので,その校長が教育委員会の方針を待ってというよりも,中体連の大会等々の参加も含めてどのように計画したらいいのかというのは本当に校長によると思います。
    ところが,4月になって校長が代わる学校も多いかと思いますが,部活動推進委員会等々を開いた時に,校長の方針と違うことを言うふうになるのでは困ります。
    どのようにしたら早く周知をでき,また,4月の初めに部活動推進委員会が開かれますので,その時にきちっと適切な休養日等の設定を徹底できるのか。ここを本当に実効性のあるものにしていかないと,また1年待ってという形になります。この問題は,もう待ったなしだと思いますが,スポーツ庁の皆様としてはどのようにお考えでしょうか。
    ⇒ 事務局から,本ガイドラインは今年度末にとりまとめる予定であるが,各都道府県教育委員会等に対しては,先んじてできるところから検討を進めていただくため,骨子案を周知している旨を説明。  

    本校では活動の自主規制しかないと思っていまして,各顧問が無理しない,無茶しないということを分かっていくしかないと思っています。その中で,それぞれの部がどのように体制を作っていくのか。もちろん人事もありますので,顧問の人数が減れば部の数も減らす判断もあります。
    しかし,保護者・地域の御理解がなくて,学校が疲弊するのでは,元も子もありませんので,マスコミの皆さんにお願いですけれども,「無理しない」,「無茶しない」ということを記事にしていただければ本当に有り難いと思っております。どうかよろしくお願いいたします。

  (菊山委員)
    2ページの一番下,エについて,何人かの校長の方からは,「また報告書を作るんですか」ということが最初に出てきます。「簡素で活用しやすい様式の作成等を行う」という記載がありますので,是非現場の校長等々の意見をよく聞き取っていただいて,全ての先生方が毎月レポートを出しやすいようなもの,それを是非作っていただきたい。全国様々な工夫がされると思いますので,良い点をどんどん取り寄せてやっていただきたい。
    それから,各学校の部活動は,校長先生を中心として,自校はどうするのか,どのような部を開設するのか,休部にするのか,そういったことを決めていくと思いますが,全国の最終下校時刻を調査したところ,4月から秋口ぐらいまでは6時,6時半が多く,その後になると5時,5時半ぐらいというふうに完全に2色に分かれるような,それぞれの学校の方で地域に応じて決めていらっしゃることだろうと思っています。

  (森委員)
    アとイのところで確認ですけれども,この「都道府県」という表現は,都道府県の教育委員会という意味合いでしょうか。誤解を生みやすい表現かと思いますので,誤解を生まないような表現にしていただければという要望です。
    ⇒ 事務局から,教育委員会及び私立学校主管部局を想定していることから都道府県としている旨を説明。   
 
  (望月委員)
    まず,前提として,充実したガイドラインを提示いただきまして,座長それから事務局に心から感謝いたします。ブラック部活の問題を解決するために非常に期待がかかっているガイドライン,大きな期待に応えられるものになったものと思っています。
    3ページ目のア,「校長は,適切な数の部活動を設置し,校務分掌を決める」という点です。これまで部活動の指導は,教員の自主的な活動とされていたところから変化することになるので,このことをを御確認したいという意見でございます。
    ⇒ 当該記述は,運動部活動が学校管理下で行われる活動であることから,学校において適切な校務分掌が必要である旨を記載しているもの。
 
    2点目は質問でございます。3ページ目,イ,部活指導員の体罰禁止の点であります。部活指導員の暴力・暴言というのは許されない,この点は全く異論ないのですが,学校教育法第11条の体罰に該当することがいけないという表現ですと,部活動指導員にも教員と同様の懲戒権があるという前提での記述になってしまいます。従前,私が伺っていた範囲では,部活指導員は懲戒権は有していないという前提で制度を作っていたと聞いていましたので,この点についての質問でございます。
    ⇒ 該当部分の記述を削除することとした。
   
    3点目は確認でございます。4ページ目,カの部分です。ここでは,運動部活動は生徒から見ると「自主的な活動」でありますが,教員の側から見ると「教員の業務」であり,「校務」であるという前提での内容であると理解しております。この理解で基本的には間違いないかということを確認していただければという希望でございます。
    ⇒ 当該記述は,運動部活動が学校管理下で行われる活動であることから,学校において適切な校務分掌が必要である旨を記載しているもの。

  (杖﨑委員)
    部活動指導員について,教師の時間的な面とスキルの面などでの負担軽減ということが求められていると思いますので,部活動指導員の充実は早急に図るべきであろうと思います。部活動指導員と教師との役割の明確化させた上で,部活動指導員の配置を進めるのでしょうけれども,部活動指導員があまり確保されなければ運動部の数は十分に確保できないというふうにも読めてしまいます。
    教師は無償の人材ではないというお話がこれまでも繰り返し出てきましたが,正にそのとおりであって,今回の提言のどこかに部活動指導員の確保の手法といいますか,誰が主体性を持ってこの確保に当たるのかといったことを盛り込んでおきたいと思います。
    それから,当然お金の裏付けというのも多分必要になると思いますから,どこで費用負担するのかということを明確にしませんと,「早く帰れよ,結果も出せよ,あとは適当にうまくやってくれよ」というようなことを危惧いたします。
    ⇒ 事務局から,公立中学校の部活動指導員の配置に対する支援経費について,平成30年度予算案において,4,500人分,5億円を計上している旨を説明。
   
  (妹尾委員)
    3ページ目のウあるいはウとエの間ぐらいに少し考慮していただきたいことを提案したいと思います。中教審の働き方改革についての中間まとめでも「各学校が部活動を設置・運営することは法令上の義務とはされていない」という記載があります。この部分は,各学校で判断・検討していただける部分でありますので,この点は確認をしておいた方が良いのではないかと思っております。
    教師の意識や希望も非常に多様化している中で,校長としては非常に舵取りが難しい部分かと思いますけれども,ウだけの文言では,「部活動顧問を全員で分担しないと仕方がない」からやらなければいけないように捉えることもできるので心配しております。この点については,「強制しないように」とか,あるいは「部活動は義務ではありません」といったことはしっかり確認するような内容をもう少し盛り込んだ方が,より適切ではないかと思いました。    

  (渡邊委員)
    ウとエの辺りなんですけれども,この文章を読んでいくと,部活動の顧問をもう教職員が受け持つことが前提の表現になっているような気がします。例えば,エのところでも,「教師の負担が過度とならないよう」という表記があり,前提での話になっていると思うので,もう少し先生方の意向が尊重されるような表現をした方がいいのではないかと思います。    

  (山﨑委員)
    4ページのカについて,例えば,「学校における働き方改革に関する緊急対策(文部科学大臣決定)」や「学校における働き方改革に関する緊急対策並びに学校における業務改善及び勤務時間管理等に係る取組の徹底について(通知)」に,今後,一部改訂や更新等があったときに,これを載せておくことが良いのかどうか疑問に思っています。この趣旨は十分に分かりますので,趣旨は残した上で,もう少し違った表現で対応ができないのかと感じています。
   
<「2 合理的でかつ効率的・効果的な活動の推進のための取組」について>
  (菊山委員)
    4ページの一番下3行,「また,」からの女子特有のという課題の記述がされたことは非常に有り難いなと思います。全ての顧問が見ることによって,女子には女子の課題があるという認識が深まるだろうと思っています。とてもすばらしいと思います。

  (妹尾委員)
    4ページのアの部分ないしその前の部分と思いますけれども,学習指導要領上,部活動というのは生徒の自主的・自発的な活動であり,強制参加ではないということを踏まえた上で,しっかり運営,指導をすることを,もう少し書いた方が誤解がないと思いました。

  (山本委員)
    指導用手引について,量的な指針は記述されていますけれども,質の部分も非常に重要な観点です。これをどのようにコントロールすればいいのかということも,中学校の部活動用に,1週間の計画例もしくは,次の大会に向けた計画例等,どのような内容を行えばいいのか。習熟度別,年齢別,あるいは発達別に何をやるべきか,どのようにやるべきかというコーチングの部分について,バスケットボール協会ではそういった資料も今作成中で,これをホームページに掲載して見ていただけるようにしたいと思っております。    

  (淺野委員)
    学校の先生方からは,「スポーツ医・科学の見地から」と言われたときに,「ピンとこない」というような御意見を多数頂いております。競技団体の方でホームページ等を作っていただく,メニュー等を作っていただく際には,是非,そのような見地についての説明を具体的にしていただけると有り難いなと思っております。

  (泉委員)
    先日,スポーツ庁と連携をいたしまして,各中央競技団体と都道府県体育協会の担当者にお集まりいただき,このガイドライン(案)の説明会を実施しました。その中で,中央競技団体が本当に効率的で効果的な部活動のための指導書を作って,スポーツ団体としても部活動の支援を継続的にやっていくということを共有したところでございます。
    具体的にいつまでにどういうものかについては,日本体育協会としてもしっかりと連携をしていきたいと思っております。また,このガイドラインを短時間でまとめていただけたことに感謝をいたします。    

  (妹尾委員)
    各競技団体さんも支援していただけるというのは非常に有り難い話で,その点はすごく良いところと思います。各教育委員会さんに頑張っていただかないといけないこともありますが,教育委員会のスタッフも非常に多忙ですし,あるいはこの競技とか部活動指導についての専門性がある方はあまりいない可能性もありますので,競技団体さんの協力があるというのは非常に有り難いことかなと思います。
    アのところで,1日2時間程度の練習メニュー例と書いているんですが,後の「休養日等の設定」のところにも関係しますが,平日であれば1日2時間を上限のような書きぶりをしておりますので,競技にもよりますが,1日1時間とか1時間半で済むような練習メニューを提示していただいた方が多分現場には有り難いのかなと思います。細かいことですが,実は大事なことだと思いますので,提案します。

  (山﨑委員)
    アの下から2行目のところですけれども,顧問だけでなく生徒の活用という点は,非常に良いことだと思っています。高等学校段階等であれば,自分たちで練習を作るというようなことも十分可能性としてはあります。
    今の学校現場は,主体的な学びを行っており,運動部活動も同じ学びの場だと思っていますので,生徒が活用できるような形で競技団体の方にも御協力いただければ有り難いと思います。


<「3 適切な休養日等の設定」について>
  (望月委員)
    平成9年に文部省が運動部活動の休養日や活動時間の目安を示しているにもかかわらず,これが形骸化してしまい,ブラック部活と言われる状態が生まれた原因の一つは,子供の健康よりも勝利を優先する,そのためにガイドラインを守らないという現場があるかと思っています。そこで,ガイドラインの内容ではなくて,これは中体連,高体連,高野連に対する要望ですが,このガイドラインが決まることを契機に,学校体育団体がNCAAの規則に準じて,競技団体のルールとして,行き過ぎた運動部活動を許さないという対応をお願いしたいと思っています。できれば,このような対応をしていくことをここで言明していただけると,大変心強いと思っています。  

  (奈良委員)
    このガイドラインが示されれば,高体連としての方針なり又は改善点なりを見つけるための議論は当然いたします。先ほど,望月委員から,NCAAのように何か制約というか,縛りを持てるようなという御発言がありましたけれども,これにつきましては,そういった議論も出てくるかもしれませんが,ルール化することになれば,当然ルールには罰則が伴うものですから,そういうことが望ましいのかどうかということもありますので,現時点では言明は避けさせていただきたいと思います。それから,3のアのところの1行目の後半辺りから,「運動,食事,休養及び睡眠のバランスのとれた生活を送ることができるよう」という文言がございますけれども,私は,この中に学習時間の確保も入れた方がよいのかと思っております。

  (妹尾委員)
    5ページ目のアの1つ目の・で,週末に大会等参加した場合は,他の日に振り替えるということなんですが,これがあるために土・日にほとんど休まない先生がまだまだ後を絶たないという事態は容易に予想できます。この休養日を他の日に振り替えるのは,ある程度やむを得ないとは思うのですが,その場合であっても,労基法で4週4休というのは言われていますので,しっかりそういったことは最低限のこととして書いた方がいいのではないかという提案をしたいと思います。
もう一つは,質問なんですけれども,「祝日」については何も言及がないんですけれども,それは土・日と一緒という理解でいいのか,また,「高等学校は原則として適用」ということなのですが,「休養日等の設定」が高等学校にも当てはまる解釈でいいのか,あるいは,「原則として」というのはどのように解釈するのかについて確認をしたいと思います。
    ⇒ 友添座長から,祝日については,休業日ということで扱う前提で議論してきたこと,休業日に関わる振替等については,4ページ目の上のカの条文にで含めていると理解ができるものと考えていること,高校へのガイドラインの適用について,基本的に遵守することは,この会議体の合意事項であると理解している旨の発言があった。
 
(山口香委員)
    ガイドラインとして非常に詳細にわたって書かれていて全体的にいいと思います。ガイドライン作成の前提として,学校の問題とか教員の問題もありますが,まずは子供たちに向けてしっかり訴えるものでなければいけないと思っています。子供たちが中学校段階あるいは高等学校段階で目指すところはいろいろで,どこにパフォーマンスのピークを持っていくかというのは,当然,指導の在り方のところで,2時間しかやるな,これは絶対守れということであれば,その夢も奪うことになるので,やはり配慮であったり,柔軟性というところを私たちは持っていると私は解釈しています。ですから,あまり書き込み過ぎると子供たちの夢をやっぱり奪うということも私たちは十分配慮してこれを作成していかなければいけないので,それは大人の裁量といいますか,そういったところにも私は期待をしたいと思っています。

 
(西岡委員)
    グラウンドが使える時間は限りがありますから,各運動部が一斉に部活動をスタートすることは無理な場合もあります。時間帯をずらして部活動を行うように工夫している学校もありますので,一概に放課後から2時間としてしまいますと,活動ができなくなってしまうという可能性もあります。
    ⇒ 友添座長から,活動時間の記載は,規則功利主義に立っているわけでもなく,発達段階を踏まえた常識的な活動量を記載している旨の発言があった。

<「4 生徒のニーズを踏まえたスポーツ環境の整備」について>
  (田村委員)
    「生徒のニーズを踏まえた運動部の設置」について,新たにかなり詳細に書き加えていただいていますが,このガイドラインの一番重要な部分と感じております。内容はとてもすばらしくて,特に女性があまり運動していないという中高生の現実がありますので,その人向きのスポーツを新たに創るという文言が書いてありますが,よく読むと,「競技志向でなく友達と楽しみながらレクリエーション志向で行う活動」ということが,「生涯スポーツとして非常にすばらしい」と書いてありますけれども,「競技スポーツでは楽しめないのか」というと,必ずしもそうではなくて,部活動でスポーツをやっていて,大人になっても続けようというのが生涯スポーツで,そうではないのが競技スポーツであるかのような感じに捉えられるので,これを読んだ方に正しく御理解いただけるようにするのがいいと思います。それを踏まえて,4ページの「適切な指導の実施」について見返しますと,ここには「競技スポーツのやり過ぎ」の観点で書かれてはいるのですが,これが一生楽しんでいく「生涯スポーツ」として指導する視点が欠けているのではないかという感じがしました。
    したがいまして,このスポーツは競技向きだ,これはそうではない,という分け方ではなくて,「全てのスポーツが生涯楽しむ」という視点を「適切な指導の実施」のところに盛り込む必要があると感じました。
 
(山﨑委員)
    ほぼ同じ意見なんですけれども,6ページの(1)のアにありますニーズに関して,2ページにまたがって,骨子案の趣旨を生かして記述されているところですが,少し分かりづらい気がします。
    競技力の向上以外にも,多様なニーズに応じた活動があるということはもちろんよく分かりますが,7ページの記述では,最後の2行で「生涯にわたって豊かなスポーツライフを実現する資質・能力を育む基盤となるもの」には,競技志向から除外されてしまうような書きぶりになっています。
    このことについては,「前文」の4つ目の○にも取り上げている大きなテーマですので,競技スポーツを志向したものでも生涯スポーツに当然つながっていくことはあり得ますので,書き方として,「動機付けとなるものが考えられる」のところで終わらせるという考え方もあるなのではないかと感じています。  

  (渡邊委員)
    「地域との連携等」について,「学校と地域が協働・融合した形」という文言を入れていただいたので,これから新しい形を取り組んでいくためにも本当にいい表現をしていただき,感謝申し上げます。
    イに関して,「地域の体育協会」とありますが,これが県や市の体育協会を指しているのであれば非現実的だと思います。
    総合型クラブの立場としては,総合型クラブが地域スポーツのマネジメントやコーディネートに取り組んでいるのが実態ですので,これからこの融合の形を取り組んでいくに当たっては,総合型クラブも実施主体に入るような表現をしていただいた方が動きやすいと思いました。
    ウに関して,「学校管理下でない社会教育に位置付けられる活動については」というところの最後に,「学校体育施設開放事業を推進する」とあります。社会教育に位置付けられた活動は,学校体育施設の開放だけではないので,もっと柔軟な表現をしていただいた方がいいと思います。  

  (石塚委員)
    「地域との連携等」のアの2行目の最後に,「民間事業者」と記載いただいて,我々民間事業者としては大変有り難いと思います。スポーツの成長産業化では,2025年までに15兆円という目標がある中で,民間企業といたしましても,学校教育現場の課題解決に向けてはしっかりと民間投資できる環境にあるのではないかと理解しております。
    地域,自治体,また民間が連携して,教員の負担軽減の課題解決が進むと理解していますので,部活動指導員の人材の確保や,日々のマネジメント,コーディネートに関しては,民間企業もしっかりと経験・ノウハウを是非御活用いただきたいと思います。
    また,国が掲げる成長産業化に向けての一つの方策としても,民間事業者の活用も可能性があるので,文言を加えていただけると有り難いと思っておりますので,その点も御検討いただければと思います。    

  (妹尾委員)
    「生徒のニーズを踏まえた運動部の設置」については,趣旨は非常に賛成です。ただ,このアの書き方で,「校長は,~設置する」と書かれると,「設置が義務」ととられかねないので,「必要に応じて設置を検討」など,もう少し文言を検討していただきたいです。
    「地域との連携等」のイについて,「学校と地域が協働・融合」という文言は,教育関係者からすると,「連携」は分かると思いますが,「融合」という言葉は少し意味が分かりづらいと思います。学校と地域のスポーツ団体等とは主体が当然違いますので,もう少し言葉を足していただきたいです。

  (菊山委員)
    「生徒のニーズを踏まえた運動部の設置」について,「新たなものを創る」と読み取ってしまうと,学校としてはつらくなると思いますので,その表現については検討していただければと思います。
    7ページの上から5行目に,「運動機会の創出」とありますが,現在,多くの学校が学校行事の削減ということで,そのような時間がなくなっている。運動部活動とは直接関係ないんですけれども,そういったことも考えながらやっていかなければいけないと思いました。

  (山本委員)
    「地域との連携等」のウの「学校体育施設開放事業を推進」に関して,例えば,バスケットボールの競技力向上というニーズを推進しようとするときには,活動場所として学校の体育館が必要となります。しかし,全国を回って県協会から話を聞いていると,学校の管理職の意識に大きな違いがあることが分かりました。この案文には,「地方公共団体は」と書いていただいておりますが,その点がうまく進められるような書き方をしていただくと,我々としては非常に後押しできるものだと考えております。

<「5 学校単位で参加する大会等の見直し」について>
  (妹尾委員)
    アの2段落目,「また,」以下のところで,「都道府県中学校体育連盟が」となっていますが,中体連さん,あるいは都道府県の中学校体育連盟さん以外の各種競技団体が主催するような大会も非常に多い,あるいは教師が自主的に開催するようなものも多いです。大会の数をどこがどのようにコントロールするのかということは,コントロールすべきかどうかも含めて,非常に混沌としている部分だと思います。せめて,「各種競技団体が主催する大会についてもしっかり見直しを行う」という一文は入れていただきたいですし,全体を誰がどのように見るのかということは,非常に悩ましいと思っています。  

  (菊山委員)
    日本中学校体育連盟としましても,様々な御意見を頂いています。中体連の内部組織に課題検討委員会がございますので,来年度以降もそこで小規模校の対応ですとか,現在も検討しています,合同部活動のルールの見直し,それから地域総合型スポーツクラブとの連携の在り方,こういったものについては今後も検討を進めていこうと思っています。それから,今年度も,例えば日本ユニセフ協会さんと連携をして各会場でブースを出していただいて,スポーツの力を観客の方々に御理解いただくことについては,できる限り柔軟に対応していきたいと考えているところです。それから,8ページのアの部分の4行目,「参加生徒のスポーツ障害・外傷の予防の観点から,大会の規模もしくは日程等の在り方,スポーツボランティア等の外部人材の活用」,こういったことにつきましても,スポーツ庁の方から御指導いただきながら,具体的な点や改善すべき点等について考えていこうと思っています。スポーツボランティアについては,かなり多くの方々が手伝っていただいているところもあります。  

  (森委員)
    イに,「中学校体育連盟及び学校の設置者は」云々とありまして,「大会等の統廃合等を主催者に要請する」とありますが,要請して果たして大会等の見直しができるのかという疑問と,ウに「校長は,」云々とありまして,最後に「参加する大会等を精査する」とあります。確かに大会が多過ぎるんです。中学校のみならず,高等学校も然りでして,5月から6月には高体連の各都道府県の予選があります。それが終わりますと,すぐ国体の予選が始まります。それを勝ち抜くと高体連の県大会,国体の予選の県大会,また,関東大会とか東北大会と,あまりにも大会が多過ぎます。
私見ですけれども,例えば,高体連の予選が国体の予選を兼ねるとか,大胆な精査をしていかないと,顧問の負担は一向に減らないと思っていますので,是非とも大会等の見直しをしていただければと思います。現場の校長としては,各競技,様々な大会があり過ぎるということを非常に痛感しております。ただ,大会の精査を誰がリーダーシップをとってやっていくのかということが明らかになっていないので,明言された方がよろしいのかと思いました。
    ⇒ 友添座長から,各種の大会は,あくまでも自立的・自主的・自治的に行われている中で,最終的には体育協会,競技団体,高体連,中体連という自治的な民間の組織全体がいい形で,子供のスポーツライフをしっかりと長期的なスパンに立ってやっていくことが必要である旨を発言。
 
<全体として>
  (山口隆文委員)
    現在のジュニア期のサッカーがどのような状況にあるのかについて,簡単に説明させていただきます。まず,中学校年代の競技人口は,部活動が76%,地域クラブが22%,Jリーグが1%ですので,ほとんどが部活動です。サッカー協会では,クラブづくりということで進めてまいりました。Jリーグができて25年経ちますが,それでもこのような受皿しかない。さらに,高等学校の年代では,地域クラブを一生懸命クラブを創ろうとした団体は激減し,生徒の98%は高体連に所属します。したがって,普及から考えても,強化から考えても,部活動はなくてはならないものです。その中で,強化の部分で言うと,日本代表選手のキャリアを,ここ5~6年追っていますが,中体連の出身者が39%,高体連出身が52%です。25年も経つJリーグのアカデミー,Jリーグで中学生世代からトップオブトップの選手を1%集めるわけですけれども,その選手からは30%ぐらいしか日本代表選手が生まれてないというのが現実なんです。そうなると,普及を考えても,強化を考えても,部活動というのは本当に大切な日本の文化ではないかと思っています。
今,シニア大会が盛り上がっていますが,それは部活動を通してサッカーをやった子供たちが大人になり,そしてシニアになってもサッカーをやろうということで,生涯スポーツにつながっています。これは間違いない現実なんです。部活動では,中学校,高校の先生方が長年の経験を通した目で生徒を育んでいます。そういった中で,今回のガイドラインは,いわゆるブラックと言われる,生徒の健康問題を考えない,自分が勝ちたいということを最優先した勝利至上主義で指導をする先生方もいらっしゃいますが,これを一掃する大きなすごくいい機会だと思っています。やはり,生徒の安心・安全を守ること,その中で競技を向上させる,もしくは多様な子供たちのニーズに応えて楽しませるということ。楽しませる中から,当然,もっと楽しみたい,もっと自分が競技力を高めたいという子供たちがいます。そのような子供たち,もしくはそれを伸ばしたいという一生懸命やっている先生方の意欲,こういうものは評価しなければいけないと思うし,これがなくなったら。この国のスポーツは衰退すると僕は思っていますし,ここを大切にしなければいけない。教員は教えることのプロですから,指導力というのは非常に高いものがあると思います。それを助ける部活動指導員の予算を今後拡充してもらいたいというお願いも含めて,この国においては部活動というのはなくてはならないものなんだということ,スポーツにおいても文化部においてもなくてはならないものなんだということを前提に,細かいことを言うのではなくて,やはり裁量権を持ってやっていただきたいというのは,中央競技団体からのお願いです。
サッカー協会としては,一生懸命やりたいという先生方をサポートするために,例えば,指導者養成講習会を夏休み2年間でとれるコースとか,いろんなことを考えています。それから,実技指導ができない先生方も,もしくは子供たちが自分たちで勉強できるように,練習が組み立てられるようにするために,動画も含めて,部活動の手引をしっかりしたものを作って,先生方をサポートすることを全力を挙げてやって部活動を守っていきたいと考えています。

  (泉委員)
    日本体育協会としても,持続可能なしっかりとした運動部活動の支援をしていきたいと思っておりますが,子供の夢を奪ってはいけないというのは大前提で,将来の有望なアスリートの発掘・育成,これは今年度から予算を頂いて,日本体育協会,県の体育協会,スポーツ庁,日本スポーツ振興センター等と一緒になりまして,J-STAR PROJECTもスタートしており,競技力向上という点からも,いろんなやり方があると思います。子供たちのニーズに合ったシステムを作っていくことが非常に重要ではないかと感じております。

  (妹尾委員)
    私自身も子供たちの夢をつぶそうなんて全く思っておりませんし,そういったところは非常に大事にしたいなと思っております。あるいは,学校側に裁量権があるというのは今もそうですし,このガイドラインの後も全くそこは変わらないことだと思います。一方で,過去の反省を踏まえるならば,もう少し細部を詰めないといけないこととか,抜け道があると本当にこのガイドラインが空文化するというか,どうでもよくなるというような心配もあると思うので,そこはしっかりバランスをとりながら,あまりにもきちきちっとやり過ぎると,それは確かに不都合もあるでしょうけれども,「現場の裁量ですよ」,「子供たちのためならいいですよ」といった感じになってしまうと,ガイドラインを示した意味がなくなるというところで,うまくバランスをとっていく必要があるんだろうと思います。例えば,5と「終わりに」の間に,6として,「本ガイドラインの実施に向けて」といった,その実効性を担保するような仕組みをもう少し書き込んだ方がいいのではないかと思っています。具体的には,このガイドラインの文案の中にも2ページ目に,1の少し直前に「スポーツ庁は,~取組状況について,定期的にフォローアップを行う」と書いていますが,フォローアップを行うといっても,何をするのかということをもう少し書かないといけない。あるいは,少なくとも検討しているのは議事録に残しておく必要があると思っています。
  スポーツ庁あるいは文部科学省には,私は少なくとも3つほど検討いただきたいことがあります。1点目は,体力調査や,学力・学習状況調査等におきまして,運動部活動の実態についてしっかり把握すること。2点目は,把握できる範囲でガイドラインの違反が著しいような場合は,しっかりその自治体とか学校名等を公表するということ,3点目は,部活動手当が特殊勤務手当で出ていると思いますが,4時間以上でなければ駄目となると,ガイドラインとの整合性がとれませんので,そういった手当類とも整合をとっていくということもお願いしたい。併せて,ガイドラインの実効性を高めるためには,各種の大会の主催者の方々には,大会の参加資格としてしっかり遵守するということは,サンクションがあるかどうかは別として,少なくとも宣言はしていただきたい。こういったことがないと,このガイドラインが現場では温度感が低くなりますので,しっかりそういったことも検討していただきたいことを強く申し上げたいです。 
  
  (望月委員)
    ブラック部活という言い方を,私,何回か申し上げたんですが,部活動自体はすばらしい日本の世界に誇れる制度だろうと思っています。その意味で,この「前文」の4項目は是非残してほしいと思っております。このすばらしい部活動なんですが,現在の状況でいうといろいろと陰があるのは間違いない話でして,昨年,部活学会の設立総会に私も参加して,「部活なんてやめちゃえ」みたいな声が多くなるのではないかと思って,正直言って相当危惧感を持っていましたが,「部活動のいいところは伸ばしていこう」というところで合意ができたと思っています。 ただ,現在の状況ですと,持続可能性のある良いものを生かしていくことには,なかなか難しい面が出てきたのは間違いないので,あくまでも,部活動をやめるのではなくて,ブラックだったところをホワイトにした部活動を発展させようということだと思います。この基本の視点は,是非堅持してほしいと思っていますので,「前文」は是非このまま,更に少し延ばしていただいてもいいぐらいに思っていますので,御検討いただければと思っています。  

  (小宮山委員)
    僕はアスリートとしていろんな経験をしてきましたので,いろんな話をさせてもらうんですけれども,部活動に関わる生徒の数が適正なのかどうなのかということが,多分一番重要なことなんだと思います。皆さん方が想像している部員数がどのくらいなのか。僕は野球をやっていましたので,野球の練習をする中で,部員が100人を超えるようなところで,全ての生徒に平等に同じことをさせようと思うと,2時間では絶対収まらないです。ですから,そのあたりは,大人がきちんとジャッジをするということで何とかなるとは思います。
  この間,目にした記事で,ドイツ人のサッカーの指導者のエンゲルスさんが滝川二高を指導しているときに,「明日の練習は休みだ」という話をしたところ,生徒から歓声が上がったそうですが,「自分たちからサッカーを取り上げられる」という状況になって,「喜ぶ」ことがヨーロッパでは考えられないことなんだそうです。日本がこの点をクリアできれば,ブラック部活動はなくなると思います。みんなで楽しく運動しよう,部活動をしようという,特に若年層になればなるほど,喜びを見出すことが一番大事なことだと思いますので,ある程度競技レベルが上がっていって,それこそプロを目指すようなレベルになれば,歯を食いしばって頑張ることも出てくると思います。しかし,義務教育の全体を見渡した中で,「みんなが楽しんで」ということになれば,何をどうすることが一番いいのかというのを,今,ガイドラインの案ができていますけれども,「アベレージを見てこうだ」という話なので,実際に競技人口の差もあるし,過疎地域もあれば,人口密集地域もありますから,全てを一つにというのはまず無理だと思うので,そのあたりを上手にうまくやれるようにしていただければと思います。
  野球の世界で言うと,サッカーを見習って,小学生レベルから飛び抜けた子供たちがU-12で日本代表になって,侍ジャパンを構成しています。僕が子供の時はなかったので,草野球を楽しむ小学生が中学校に進学して部活動をして,レギュラーではなかったですし,高校に進学しても野球を続けて,県大会1回戦負けでした。ところが,気が付いたらプロになって,それなりに活躍して,なおかつアメリカまで行って投げているという,そういう選手が生まれる可能性があります。とにかく「子供のことを考えて」という観点で取り組んでもらえればなと思っています。
   
○ 鈴木スポーツ庁長官から,以下のとおり発言があった。
    本当にこの短期間でここまでガイドラインの案がまとまってきて,友添座長をはじめ,委員の皆様に感謝申し上げたいと思います。本日も様々なお立場からいろんな貴重な御意見を頂いて,更にこれがブラッシュアップされたのかなと思っています。このガイドラインは,一般的な中高生の部活動のガイドラインですので,バランスが重要と思っています。大事なのは,中高生が良い形で部活動を行う,教師も気持ちよく働く,そして民間事業者も含めた皆さんが良い形でスポーツに参加するということだと思います。より良いガイドラインとなるように検討をお願いしたいと思っています。ありがとうございます。

○ 次回の開催について,3月中旬に開催することとし散会となった。

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