運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議(第3回) 議事要旨

1.日時

平成29年9月21日(木曜日)13時30分~15時30分

2.場所

科学技術政策研究所会議室(文部科学省16F)

3.出席者

委員

委員19名
(発表者)        
大田区教育委員会指導主事 志賀 克哉氏
大田区立石川台中学校長  池田 清恵氏
春日部市立豊野中学校教諭 田中 英夫氏
法政第二高等学校講師   原 恵美子氏
元水泳日本代表選手    伊藤 華英氏

スポーツ庁

鈴木スポーツ庁長官,今里スポーツ庁次長(途中出席),平井スポーツ総括官,澤川スポーツ庁政策課長(途中出席),下間大臣官房審議官(初等中等教育局担当)(途中退席),木村初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)

4.議事要旨

○ 議事(1)について,スポーツ庁から資料に基づき説明があった。
○ 議事(2)について,池田氏,田中氏及び原氏からそれぞれ資料に基づき発表があった。
○ 議事(3)について,川原委員から資料に基づき発表があった後,伊藤氏から発表があった。
○ 以下,委員発言(発言の発言内容を変更しない範囲で校正し,読み易くしています。)


○ 委員発言


  (淺野委員)
    神戸市では,少子化に伴い小規模化した学校では部活動の維持が困難になってきていることから,生徒のニーズに応えるため,拠点校部活動の取組を行っている。神戸市は学校選択制を採用していない。
    拠点校の設置は,教育委員会と中体連が協議して行っている。運営は,拠点校の指導者に任せきりとはせず,中体連が関わって行っている。
    指導に当たっては,顧問教員を外部指導者がサポートしている。外部指導者は卒業生であったり,地域の方にお願いしている。
    拠点校の活動は,休日を原則としている。平日の活動は想定していなかったが,実際には行っている部活動もある(30分程度の活動となる場合もある)。
    活動場所への移動の責任や費用負担は,活動が任意の参加であることから,原則保護者としている。拠点校以外の学校の教員は引率している。
    個人競技は大会に自校の登録で参加できるが,団体競技は拠点校の登録で参加できるようにしている。


  (川原委員)
    女性アスリート特有の問題として,利用可能エネルギー不足,無月経,骨粗鬆(そしょう)症の「女性アスリートの3主徴」があるが,対応できる医師が少ないことや,現場の認識が不十分等,十分な対応ができていない。
    発育期に運動や栄養が不足すると骨量が増えない。痩せていると無月経の割合が増える(中高生では1割程度)。


  (菊山委員)
    昨年度の中体連の指導者講習会で初めて,産婦人科の医師に講師をお願いして女性アスリートの課題について90分の講義を行った。参加者は女性の指導者は数名で初めて聞くことばかりで,「正確な知識を持たなければいけない」という感想であった。現場の指導者には生徒たちの一生の問題に関わっているという意識を強く持ってもらう必要がある。保健体育担当ではない教員もたくさんいるので,このような知識も正確に知ってもらわなければいけない。


  (杖﨑委員)
    拠点校の部活動指導者は,拠点校が探すのか,教育委員会等の違った組織が探すのか。また,拠点校以外の学校の先生は引率をして活動の面倒をみるケースもあるのか。


  (平川委員)
    石川台中学校が行っている水曜日を活用した全校生徒を対象とした運動機会の取組は,本校でもできれば場所があればやりたいが,生徒が千人以上いるので難しい。朝だけ運動するという取組も聞いているが,誰でも参加できる,文化部系の子供でも参加できるものがあるとよいと思う。
    拠点校部活動を行うには拠点校への移動が伴うが,どうやって活動の時間や費用面を確保しているのか。学区制は守って,部活動だけ拠点校に行く形なのか。


  (山口隆文委員)
    北海道の市立伊達中学校の顧問教員は,数学の担当であるが,上級コーチ(エリートU-15)の資格を取得している。
    効率的・効果的な活動の実施には生徒の意識改革が必要である。昼休みにキャプテンとその日の練習内容を伝え理解させている。
    土曜日に試合がある日は日曜日を休みにしている。4~10月は週2日,11~3月は週2~3日の休養日を設定している。長期休業中も2時間程度の練習がベースで行っている。
    短時間で効果的な部活動を行うことで,他の学校活動にも積極的に参加し,何事にも集中して行うようになった。
    県立広島観音高等学校サッカー部がインターハイ初出場初優勝したときの顧問教員もコーチの資格を持っている。管理式の指導ではなく,生徒に考えさせる方法を採用し,全体練習は月,木の週2日で,その他の日は自主練習としている。試合での戦術や先発メンバーも生徒たちで決めている。
    自主性を身につけさせる方法として,試合中の生徒のプレイに対し,生徒に考えさせるような問いかけを行っている。
    サッカー協会としても基準を与えながらも思考を停止させない指導を目指している。


  (山﨑委員)
    子供たちの自主性という話があったが,そこにもっていくまでの過程は相当努力なされたんだと思う。その手前部分をお聞かせいただきたい。

 

 (友添座長)
    効率的効果的な指導が必要であることはスポーツ医・科学でも明らかになっている。指導者,場所をどのように確保していくのか。拠点校も部活動の一つの選択肢として考えられるが,合同チームを県大会につなげるための仕組みが必要。
    女性特有の問題については,男性指導者は教わってもあまり意識してこなかった部分もあるので,ガイドラインには盛り込んでいく必要がある。


○ 山﨑委員の「子供たちに自主性を持たせるためのプロセス」についての質問に対し,原氏は「小さいグループに分けて一人一人の役割を明確にしている」,田中氏は「少人数グループで上級生と下級生を組ませてコミュニケーションをとらせている」と応答。


○ 議事終了後,妹尾委員から,「次回以降,部活動が教員の負担になっている方,余裕があればやりたいけれども余裕のない方などの声も拾っていただきたい」との要望があった。


○ 鈴木スポーツ庁長官から,「義務教育の中での運動部の在り方を見直すことについて,『教育をいかに受けるか』と同等ぐらいに『スポーツをあらゆる場所で,あらゆる地域で,あらゆる人たちが受けられるためにどのようにしたらよいか』という制度の部分の議論が必要。神戸市の拠点校の話もあったが,『都市部の取組が地方でも機能するのか』など,次回以降での検討をお願いしたい」との発言があった。


○ 次回以降の開催日程については,10月中旬に開催することとし散会となった。

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スポーツ庁政策課学校体育室

(スポーツ庁政策課学校体育室)