スポーツ経営人材プラットフォーム協議会(第1回) 議事要旨

1.日時

平成28年10月6日(木曜日)10時30分~12時00分

2.場所

霞が関ビル33階セミナールームC

(東京都千代田区霞が関3-2-5)

3.議題

  1. (1)事務局より協議会趣旨説明
  2. (2)各委員発言
  3. (3)自由討議

4.出席者

委員

安藤 久佳        経済産業省 商務情報政策局長
市原 則之        一般社団法人日本トップリーグ連携機構 専務理事
大河 正明        公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ チェアマン
大塚 眞一郎     公益社団法人日本トライアスロン連合 専務理事
久保 博           株式会社読売巨人軍 代表取締役社長
鈴木 大地        スポーツ庁長官
髙橋 義雄        筑波大学体育系准教授
冨山 和彦        株式会社経営共創基盤 代表取締役CEO
中原 淳           東京大学 大学総合教育研究センター准教授
村井 満           公益社団法人日本プロサッカーリーグ チェアマン
山本 一郎        JXホールディングス株式会社常務執行役員総務部長
(50音順、敬称略)

5.議事要旨

【委員発言要旨】
(人材不足・硬直化)
・スポーツ界でガバナンスに携わる者の多くはトップアスリートで非常にプライドが高い。それが協会の役員になり、ビジネスをやれといってもできない。外部から専門人材に参入してもらって指導を得る、あるいはそういう人材を育成してビジネスチャンスに投入していかなければ、今までのスポーツ界のガバナンスを司った人材では出来ない部分がある。

・野球界は人材の流動化はほとんどない。親会社からの出向かプロパー職員で、編成本部やスカウトなどは元選手。巨人球団の職員もたこつぼで、かつ強い上下関係の縦型の関係になっている。他分野からの人材の流動化を含めて、スポーツビジネス集団になるために現状の組織の形を壊す力が必要。

・現役時代の成績や年齢による序列のある組織の体制・文化により競技団体がたこつぼ化していることがビジネスや経営人材の養成の阻害要因につながるため、Bリーグでは多種多様な人材をそろえることにチャレンジしている。

・日本のスポーツビジネスは黎明期。最初のフェーズは経営人材の頭数が足りない中で数を養成することであり、そうした人材の輩出に向けて経団連として協力していきたい。

・スポーツ界の人材養成として行っているJOCの国際人養成アカデミーでは、イベント人材や国際統括団体役員の参謀・サポート役になるような、ディレクターレベルの人材の育成を目指しているが、経営者のようなプロデューサーを育てるということになると全くプログラムが変わってくる

・本当のキーパーソンは、グローバルな人材、財務のエキスパート、ITの人材。53のクラブを全て回ったが、例えばその中に個人情報の管理やセキュリティ、SEO対策等におけるITのスペシャリストは1人もいなかった。

(スポーツビジネスの特殊性)
・半年前のビジネスモデルが今では通用しないほどにスポーツビジネスは変化の激しい産業。スポーツビジネスは教えるという感覚よりも、他分野の人、色んな競技団体・チーム等の現場の人間が一緒にリサーチし、学ぶことと、現状起こっていることを研究しそれを同時進行で伝えていくことが必要。
・スポーツ界でオープンイノベーションのプラットフォームを構築し、そこに人が集まり、様々な研究が行われ、イノベーションを同時に共有するという環境に本当の教育があるのではないか。
・人材派遣企業の社長経験から見ても、スポーツの経営人材は、非常に難易度が高い職業。予測が難しいアカウンティングやファイナンスを扱える左脳的能力と、人に感動や喜びを売り、最後は気合いと根性で頑張れる右脳的能力のグッドバランスに加え、胆力など総合的な人間力が問われる。

・観客を主としたプロスポーツと参加型スポーツでは、事業的な性格が異なり育成する経営人材も異なる。スポーツ産業の性格を分類し、それぞれの性質の応じた人材育成が必要。

(人材育成のシステム)
・教育機関を中心に人材育成を行う上で大事なのは、「入口」(多様な人材)、「知識」(カリキュラム)、「出口」(雇用先)、「認証」(学位認定)の4つ。中でも重要な点は「出口」の問題。日本ではMBAや教職大学院など、高度な専門人材の必要性を謳う一方、具体的な出口を念頭にしてプログラムを作っていない。最初から現場と教育機関が一体となって、あるいは現場そのものが教育機関という発想でプログラムを動かす方が生産的。

・人材育成で重要なのは出口戦略。経営人材、スポーツマーケティングをやりたいと考えている人間は多くいるが、クラブやチームの給与水準がしっかりしてこないことには人材も集まらない。

・アメリカでは大学がスポーツビジネスを実践し、大学内で経営を学ぶことができる。ヨーロッパはFIFA等の団体が出資して、複数の大学院が連携しプログラムを設計している。日本でも個別の大学の体育系、スポーツ系でやるのではなく、多くのスポーツの現場の人たちが関わって実践的に学ぶ環境を整備する必要がある。

(人材プール)
・基盤の小さなクラブがなけなしのお金で雇用をすると構造的にたこつぼ化しやすく、業務が属人化する。少しレイヤーの高いところが人材をプールし、ニーズに合わせてマッチングすれば個人のキャリア、組織が多様化する。また、構造的な問題を見定めてアプローチすれば出口論の解決策になり得る。

・座学は大事だが、ある人材が本当にその世界に向いているのか、やれるのかというのは経験値を積まないと難しい。JリーグやBリーグでは人材をプールして各クラブに派遣しているが、スポーツ界でこうした人材バンクをつくって各チーム等にマッチングしながらそこのスタッフや経営人材になっていくことができないかと考えている。


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スポーツ庁参事官(民間スポーツ担当)

(スポーツ庁参事官(民間スポーツ担当))

-- 登録:平成29年01月 --