運動・スポーツガイドライン(仮称)策定に向けた有識者会議(平成28年度)(第2回)・運動・スポーツガイドライン(仮称)策定に向けた作業部会(第5回)合同会議 議事録

1.日時

平成29年2月24日(金曜日)13時00分~15時00分

2.場所

スタンダード会議室虎ノ門ANNEX店2階会議室(東京都港区虎ノ門1-16-8石井ビル2階)

3.議題

  1. (1)骨子(案)について
  2. (2)意見交換
  3. (3)その他

4.議事録

【福永座長】  皆さん,こんにちは。お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。
 それでは,議事次第にありますように,今日は,「運動・スポーツガイドライン(仮称)策定に向けた有識者会議(第2回)」及び「運動・スポーツガイドライン(仮称)策定に向けた作業部会(第5回)」合同会議を開催いたします。
 議事次第にございますように,議題は,作業部会で作成していただいた骨子(案)について,それについての意見交換,その他となっております。
 それでは,配布されております資料につきまして,事務局から御確認をお願いします。
【井上健康スポーツ課長】  今日の資料でございますが,二つございます。資料1「スポーツガイドライン(仮称)骨子(案)」というもの,それから資料2は,近藤委員から御提出いただきました「運動・スポーツガイドライン(仮称)位置付けや枠組みについての意見」という資料でございます。
 不足等がございましたら事務局までお知らせください。
【福永座長】  ありがとうございます。よろしゅうございますか。はい。
 それでは,議題に入りたいと思います。
 最初に,このガイドラインにつきまして,本年度内に骨子まで取りまとめることになっておりますが,これまで作業部会において十分議論していただきました。そして,その案を作成していただきましたので,作業部会の主査でございます内藤委員から御説明をお願いいたします。
【内藤委員】  みなさん,こんにちは。作業部会の主査をしている内藤と申します。4回の作業部会を開催いたしまして,どこから手をつけていいかという状態から,あれこれ様々な意見が出る中,今年度いっぱいに骨子を,ということで,修正を図りながらまとめて,お手元にある資料1というのが,その骨子(案)でございます。
 本日はこの後で議論がそれぞれの章,全部で4章あります。細かい文字は後ほど追って御覧いただければいいかと思いますので,ここでは,簡単にどのような経緯でまとまってきたかというポイントだけをお示しさせていただきます。
 まず,議論の前提でございます。どういう形のガイドラインを作るのかというところ,ここ自体も明確な方向性がない中で,委員の中では度々議論をする中で,まず前提として大きくは,三つの共通理解を図ろうということで議論してきましたが,第2期スポーツ基本計画に沿った形で進めましょうと,その中で用語の問題,それから扱う範囲,この辺りを考えましょうと。それから,2番目には,このガイドラインはスポーツ庁から出されるものであるというところも改めて確認をいたしました。そして,3番目は,このガイドラインは,いったん出たらずっともう変わらないものではなくて,基本計画に沿った形で出ますので,基本計画は,5年ごとに見直しが行われるということで,このガイドラインも必要に応じて常に見直され,変わっていくという,そういう要素を持って全体をまとめていった方がいいのではないかということで,その点,少し先延ばし感があって不完全な部分がまだありますけれども,こういうようなところをまず大前提に議論を進めてまいりました。
 それから,やはり大きな議論になったところは,誰のためのガイドラインを作るのかというところであると。これは,委員というよりも,最終的にはスポーツ庁側,事務局側からの意向として,一つは,ステークホルダーに向けた内容として,それを通じて最終的には,やはりこの内容が国民に届く方針であるというところ,こういう内容で作っていただきたい。ですから,4回の作業部会の中では,当初は,地方の公共団体が住民のスポーツ参加を促進する,そのようなガイドラインでいいのではないかというとこから始まって,いや,そうではなくて,そこから広く国民に運動・スポーツを実施してもらうため,地方公共団体等とだけではなく,民間,あるいは大学,高校,学校,そういうものを含めてやっていく必要があるのではないか,そこに適用できるものが必要ではないか。
 それから,対象としては,運動・スポーツを取り巻く環境は世代によって異なりますので,その辺り,いろいろな切り口があるのでしょうけれども,事務局的な案としては,一応,世代的な,これは何歳というよりも,どういう世代かということを一つのくくりに考えて,それぞれに必要なことを盛り込んでいく,この辺りが共通の理解として議論が進められ,また修正を図りながら,というふうに進んできました。
 それで,もともとは,スタート時,この会自体は,「運動・スポーツガイドライン」,仮称でございますが,策定に向けたということでスタートしておりますが,今回も机上の資料にありますものは,「スポーツガイドライン」と,「運動・」が消えた状態で骨子(案)の方が作成されております。この点につきましては,第2期スポーツ基本計画では,全てが「スポーツ」という言葉に統一の方向性でまとめられているということで,ここでは,この「スポーツ」だけにすることに対する議論がいろいろあるわけですが,一応,まず我々の案としては,「スポーツ」という言葉で統一をし,スポーツというものは,むしろ,こんなに幅広い概念を含むんだよということを国民に発信すると,これも一つのスポーツガイドラインの大きな役割ではないかというようなことで,タイトルも,作業部会としては「スポーツガイドライン」という形で骨子(案)をまとめたというところでございます。
 それで,資料1の中には詳しいことが書かれておりますが,まず,全体の章立てでございますが,四つの章から構成をするということです。第1章は,スポーツの方向性に関することで,これは先ほど言いましたように,基本計画に基づいた形というよりも,ほぼ,基本計画に入ってくる文言を持ってきているような,そういう感じの内容であります。
 そして,第2章では,このガイドラインが目指しているものということで,細かい章立てとしては,スポーツガイドラインの必要性,それから,このガイドラインの方向性,そして,このガイドラインの対象や利用者は誰になるのか。これは,多分,本日のこれからの議題になっていると思いますが,このような章立てであり,一応,それは何を示すのかということはお手元資料の方に更に細かな箇条書というか,項目ごとに幾つかの点が盛り込まれております。
 そして,第3章が,このガイドラインの一番重要な柱になるわけでございますが,まだこれについては,今年度いっぱいでは柱を作るところまでですので,ここの部分が未完成というか,まだこれから肉付けをしているところですが,その方向性としては,「する」,「みる」,「ささえる」,それぞれの観点における様々な事例をここに盛り込んでいく。エビデンスに基づいた事例を盛り込んでいくという形で,今後ここを執筆して膨らませていこうということになっております。
 本日の資料1のお手元のところでは,具体的な例として赤字で委員の先生方には出ておりますが,やはり,この第3章が一番大きなものとして,「する」,「みる」,「ささえる」ということ,これを更に細かく下の節を立てて構成していこうということになっております。
 そして最後の章は今後の検討課題という形で,常に変わっていくガイドラインであるということも踏まえて,今後,検討していく課題について盛り込んでいく。そして,それを一つ一つ解決していくような形でガイドラインが充実していく,そのようなイメージ。
 それから,このガイドラインの骨子では,用語についてはまだ厳密な統一はしておりませんが,横文字の言葉もたくさん出てくる,あるいは,先ほどの「運動・スポーツ」を「スポーツ」にしたというようなところで,必要に応じてそういう解説が必要かというようなこともあれば,最後に,4章の後に補足として用語の説明等々をその後に加えていく,そのようなことを考えているということになっております。
 それで,今日,また様々な作業部会で今後,作業ができるように,多分,意見を伺うところがこの第3章でございます。「する」,「みる」,「ささえる」,それぞれの観点からアクション例を出していくということで,ここが最初にあった方針の中を踏まえた形で,「する」,「みる」,「ささえる」,特に「する」の中は,更に世代別に,子供世代,ビジネスパーソンや子育ての世代,そして高齢者の世代,言葉はちょっとまた今後,いいものに変えていくと思いますが,高齢者の世代。それから,やはり,新しい基本計画ということでは,障害者スポーツの参加促進という観点も,やはり盛り込むべきであろうというところ,具体的にはまだどういうことをというのはありませんが,こういう柱。
 そして,5番が,ちょっと分かりにくいのですが,共通して取り組む方策,例えば,スポーツの安全に対することを盛り込むとか,そういうことで,1,2,3,4,5で描くのがいいのか,先に共通で1とした後に1,2,3,4が来るのがいいのか,この辺はまだ今後議論の余地がありますが,一応,「する」ということに関わる点では,1,2,3,4,5と,「する」,「みる」,「ささえる」という三つの柱にはなりますが,やはり「する」というところがどうしてもエビデンスの観点からしても,量的にも非常に多くなるということで,この中をこのような形に分けていったらいかがかという骨子(案)でございます。
 また,「みる」スポーツは人口の拡大,それから「支える」,この辺は逆に言うと,エビデンスに基づいた記述がなかなか難しい側面もあるだろうということ,この辺は今後,知恵を絞っていく必要はあるということは承知ですが,「みる」,「ささえる」というところを,「する」,「みる」,「ささえる」の3本柱の二つに章立てをするべきであろうということで記述をしております。
 このような形で今回,資料1にある骨子(案)というものを作成いたしまして,事務局の方でお骨折りいただきまして,こんなような具体例として3章のところはものが入ってくるのではないかということを,取りあえずイメージ的に書き込んでおりますが,これが決まれば更に項目を分量的にも増やしていく。
 骨子(案)として提案をしてまとめたところを改めて見直してみますと,やはり,1章,2章が,基本計画に基づいてスライドしたような書き方になっておりまして,それからすると,現状では,やはり3章がまだまだ未完な状態でございますので,ここでの本日の御意見をたくさんいただいて,今後ここを充実させていきたいというふうに考えております。
 資料1の中に具体的な文面が書き込まれておりますので,お目通しいただきながら,後の議論を深めていただければと思います。
 一応,流れとしてはこのような形になります。
【福永座長】  どうもありがとうございました。続きましては,資料2を作っていただきました近藤委員から御説明を引き続きお願いしたいと思います。
【近藤委員】  千葉大学の近藤です。先日,この骨子(案)につきまして事前にレクを受けまして,幾つか気付いたことをメモしてお送りしたところ,資料にするようにというふうに言われて用意したものでございます。全体としては,正に骨子(案)で,大きな骨を作っていただいたので,それを肉付けするために思いついたことを幾つか書き並べました。
 まず,利用者が誰かというところで,「読み進める」と書いてあるのですが,最初のところは「地方公共団体とスポーツ団体等」で,「等」の中身が後ろに読み進めないとなくて,最初のところだけ読んで,うちは関係ないと思われてしまうと残念だなと思います。もう少し早い方に,特に学校とか大学にはそういう関心を持っている人が多いので,明示していただいたり,「企業」だけではなくて「保険者」も加えてはどうか。保険者が今,健康経営とかですごく関心が高まっているので,そういうところも対象なのですよということを早めに書かれると,多くの方が手に取ってくださるのではないかなということが一つです。
 それから,予算は余りないのだという話を聞いて,余り予算がかけずにできそうなことというので,いろいろなところがやっているものとして認証制度があって,その認証の対象にも,大学もいれてはどうか。スポーツ科学部とかも今,結構増えていますから,そういう大学が一生懸命にやろうとしたりするのではないか。加えて企業とか保険者とか,市町村もそういう対象だというと,よく,健康都市宣言とかをやっていたりするので,このガイドラインに沿った,例えば,4条件を満たしていれば認証しますとか,そんなようなことで全国に促すようなことができないだろうかということです。
 それから,「ささえる」を始め,「人口を増やす」という書き方が多いのですけれども,人口以外の面でも大事なものがあるのではないか。言うなら,そういう人口を増やすための資源や環境というんでしょうか,人口を増やすための一歩手前にある大事なものも増やすぞというふうに明示された方が,そういう環境が整うことで人口が増えるということが期待できるのではないのか。例えば,そういうスポーツをする場だとか,施設だとか,そういうものを整備していったり,既に持っているものを開放,提供してくれるかどうかとか,あるいは,「スポーツをやってください」言われても,やはりインストラクターがいないとなかなか最初は始まらないというのをよく耳にするものですから,そういう人材を育成している拠点が今,増えつつありますので,そういうものをしっかり整備しましょうとか,あるいは,そういうものを支援する,支えるというので言えば,企業とか,NPOで頑張っていらっしゃるところはいっぱいあるので,そういうことも意味があるんですよということを明記した方が頑張ってくださるのではないかと思います。
 それから,「事例を書く」と書いてあって,グッドプラクティス,具体例があった方がいいと思うのですけれども,ただ,このアプローチ,ちょっとネガティブな面というか,限界もあると思います。つまみ食い的にいいのを紹介すると,ああ,それをまねすればいいんだなというので,グッドプラクティスが書かれていると,似たものがワーッと増えるんですが,総体的に遅れているところは,グッドプラクティスがないのでイメージが湧かなくて,結局,遅れたまま取り残されてしまうという面があると思います。今はグッドプラクティスはないのだけれども,こういうことを今後やるべきですよという,正に方向とか枠組みというんでしょうか,こういうところは今,空箱なんだけども,ここは是非埋めなければいけないんだよと,そんな枠は示しておいた方がいいのではないかと感じました。
 例えばですけれども,先ほど言いましたように,人口というアウトカムに着目するのではなくて,それを増やすための環境を整える,そのための施策を持っていますかとか,あるいは,スポーツ担当部門だけでやらなくてもいろいろなところと連携することで裾野が広がるものですから,そういう戦略なり,場なりを持っていますかとか。3番のインセンティブは有効でないとむだ遣いになってしまうのですけれども,ちまたではやっているので,例えば,そういうものを検討しているかとか。あと,何よりも強調したいのは,マネジメントサイクルを回す仕組みを組み込んでいますとか。やりっ放しが多くて大変もどかしいものですから,そういうPDCAをちゃんと計画の中に入れていますかというのは,是非,その枠組みには入れた方がいいのではないかなと思います。
 私どもが取り組んでいる具体例があるものですから,イメージを膨らませていただくためにお持ちしました。現状を見えるようにして課題,何が遅れているというのを明らかにして,それに対してグッドプラクティスもそうですし,そのほかエビデンスで手掛かりを示して,やっていただいたら,その効果の検証をする,そんなマネジメントサイクルを回す計画・戦略を持っているかということです。
 今回,具体的にお願いしたい事例が,スポーツ庁が,市町村が計画策定のためにこういう調査をしてくださいという項目を指定する「ひな形」を示してしまう。それを市町村がやる。この大事なところは,スポーツ庁は一銭もお金を出さなくて市町村の予算でやってくれるということです。大事なのは,「そのデータは是非スポーツ庁に提出してください」と言って集めることがとても大事だと思います。それができると,今日お集まりの先生方のところにそのデータの解析をお願いすることでいろいろなエビデンスができて,それで政策提言にもつながりますし,市町村にフィードバックすることで,市町村が次の実践の手掛かりが得られる,そんな良い循環を作れないか。これは,さっき言ったように,市町村が調査費用を賄ってくれると,スポーツ庁的には,そんな巨額でなくてもそこそこ回るという点がフィージビリティが高い提案なのではないかと,私は思っています。
 そういうことをやるとどんな御利益があるのだということを,ちょっと介護予防の例でお示しします。これは既に介護予防政策を立てている市町村支援のために私どもが取り組んでいるものです。いわゆるマネジメントサイクルで課題を設定したら,市町村がいろいろ実施したら,その前後のデータを頂いて,その効果評価する。市町村単独だとなかなかできないので,このマネジメントサイクルを回す支援をして,お手伝いしますよという形で現在取り組んでいるものです。
 保険者が集めていたデータ,保険者だけでは分析できなかったところをお手伝いした例です。横軸が「スポーツの会に週1回以上参加している高齢者」の割合です。縦軸が,「この1年間に転んだことがある高齢者」の割合です。こうやって分析してみると,この点一つが小学校区なんですけれども,小学校区によってスポーツを定期的にやっている高齢者の割合が違って,そういうことをやっている高齢者が多い小学校区では転んでいる人が少ないなんていう関係が出てきました。そうすると,介護予防政策,転倒予防を進めるためにスポーツを振興することが意味があるのだということが,市町村にとっては手掛かりとして手に入る。じゃあ,頑張ろうかという話につながったりするということです。
 今のは,北海道のある保険者ですけれども,こちらは愛知県の保険者です。これが,本当だとしたらほかの地域でも同じ法則が見られるはずだというのでやってみますと,大変きれいな関係が再現されまして,こうなると全国の市町村で,そのスポーツの会に参加するような人を促すような政策が介護予防政策の手掛かりになりますよというようなことをフィードバックできる。言うならば,スポーツ庁が全国の市町村に対して,このようなことをやると効果が期待できますよという,エビデンスに基づく助言ができるようになる,そんなデータベースを作る仕組みを,今度のガイドラインでも提案してしまったらどうかなという御提案です。
 今のは小学校区単位だったのですけれども,これを市町村体で見てみたら,やはり再現性がありました。こういうことをやると,費用推計みたいなこともだんだんできるようになります。これは極めてシンプルな粗い試算ですけれども,スポーツをやる人が5%増えると,1%,認知機能が低下する人が減りそうです。人口100万で言うと5%の5万人増えると認知機能低下者は1万人減るんです。今,介護保険給付費は,1人,認定を受けた人に対して約200万円かかるのです。すると,200億円浮くんです。「スポーツ人口を5%増やすことで200億円給付費が減りますよ」と聞けば,保険者は普通反応します。200億円の給付費が減るのだったら,40億円くらい,スポーツの振興策に市町村が掛けても元が取れますよなどと,エビデンスをスポーツ庁が作って発信することが大事ではないかという御提案です。
 同じような分析をいろいろしてみると,スポーツをやっている人が多いところはうつが少なくて,自殺も少ないとか,今,健診受診率を上げようと躍起になっていますけれども,なかなかいい方策がない。スポーツをやったりすると健康意識が高まってとか,いろいろな機序を経て受診率まで上がりそうだ。こんな手掛かりがありますよということを返すことで多部門連携も進んだりしないだろうかということです。
 効果検証をどうやってやるかというので,今,幾つかチャレンジしているのですが,定点観測するようになると,例えば,Bという市町村,2010年には,歩いていた人が65%で,転んでいた人が10%でした。3年後,追跡調査すると,歩く人が15%ぐらい増えて,転んでいる人が4%ぐらい減っていたのです。これが,歩いた人が増えたせいだとすると,ほかの市町村でどうだろうかというので,ほかの町を見てみると,市町村によってばらつきはあるのですが,このデータを頂いた市町村を全部束ねてみますと,基本的にみんな右肩下がりでした。
 「どれほど歩行者が増加したのか」というのを横軸に取り,「どれぐらい転倒者が減ったのか」というのを縦軸に取ると,負の相関関係が出てきて,歩く人を増やすようなキャンペーンというか,取組をいろいろやって,増えた市町村ほど転んでいる人が減っていました。このような結果を返すことで,お宅の取組はすごく歩行者を増やすのに成功した取組ですね,それに伴って転ぶ人が減りましたね,一体どんな方法をやったんですか。そうやって調べることで客観的にグッドプラクティスかどうかが分かり,それを全国に普及することができる。うちは一生懸命にやったつもりなのに全然動いていないとしたら,何かやり方が悪いんでしょうね。じゃあ,ほかのもっとうまくいったところのやり方を参考にしたらどうですか。こんな支援をすることで底上げができるようになるのではないか,これがマネジメントサイクルを回すというイメージです。
 さらに,このような結果を見えるようにして返えす器として使えるかもしれないのが,厚生労働省が作っているこの「見える化」システム,実は,これは検討委員長は私でして,こういうデータをどんどん,いろいろな他省庁のデータも載せるべきだというのを今,提案しております。それにスポーツ庁が集めたデータを御提供いただければ,こんな地図にして見えるようにすることが可能になります。
 これは訪問看護ステーションの例ですが,運動できる施設,例えば,体育館だとかフィットネスクラブとか,そういうのがあなたのお住まいのどこにありますというのを国民にフィードバックできます。なおかつ,こういうことをやると,空白地帯がどこにあるかということが見えてきます。そうすると,フィットネスクラブが,ここにマーケットがあるなと,マーケットリサーチを手伝ってあげることで企業の参入を促すことができる,それによって地域間の格差を縮めることができる,底上げができる,多くの人がアクセスしやすくなってスポーツ人口が増える。そんな支援策に,このような「見える化」システムが役立つのではないかと思います。
 これは現在私たちが介護予防でやっていることですが,これをスポーツの方にも大いに応用できる可能性があるのではないかという御提案でした。
 以上です。
【福永座長】  ありがとうございました。ただいま作業部会からの骨子(案)と,それから,近藤委員からの大変面白いデータを出していただきました。
 それでは,以上,御説明いただいた内容につきまして,いろいろ自由発言をしていただきたいのですが,まず,スポーツガイドライン骨子(案)の第1章と第2章がございます。それにつきまして御意見等を頂きたいと思います。いかがでしょうか。自由に御意見を頂ければ有り難いのですが。
 特にこの会議は,「運動・スポーツガイドライン」となっています。一方で,骨子(案)のところでは,「運動」が取れて「スポーツガイドライン」,こういう文言について,いかがでしょうか。スポーツ庁であって,運動・スポーツ庁ではない。(笑)いかがでしょうか。御意見ございませんか。
【中西委員】  よろしいですか。1章,2章を読ませていただきまして,単刀直入に言いますと,どうしても違和感を抱きます。運動とスポーツというところで,読ませていただくと,スポーツが全て,散歩とか健康づくり運動だとか,そういった全て運動まで含んでスポーツにしてしまっていると。これ,社会科学的な立場から言わせてもらうとすごく違和感を抱いて,例えば,国民に示したときに,あなたスポーツをしていますよ,健康づくりでウォーキングをやっているというのを,果たして本当にスポーツと捉えるのかどうか。
 こういう事例を挙げていただくと,いや,それは運動なんだけど,という,ガイドラインの中でスポーツ庁が進めるべきスポーツの意味が,確かにスポーツ基本法に書かれてあるんですけれども,本当にこれ,運動とスポーツを一緒くたにして,全てスポーツの中に運動を取り込んでいいのか。僕は,むしろ逆の方向を持っていまして,これまで学校体育で余りスポーツとか運動ということについて触れてこなかった。でも,学習指導要領上は,学校体育は運動とスポーツを分けています。例えば,スポーツというのは,ゲームとか陸上競技とか,逆に運動というのは必要充足のために,要するに,日常生活を最低限行うために必要とされる体力だとか,健康を維持するための必要充足という観点に立てば,学校体育は体作りの運動だとか,体ほぐしの運動だとか,当然,必要充足のための運動も入れて,一方ではスポーツ,その両者を明確に分けて授業をやっているわけなんです。
 言いたいのは,むしろ逆に,きちっと国民に対して,運動というのはこういうもので,スポーツというのはこういうものだということをきちっと示した上で,例えば,ある御夫婦が健康のためにウォーキングをやっていたのだけれども,だんだん健康づくりのためだけではなくて,夫婦で,例えば,マラソン大会に出ようよと。マラソン大会に出て42.195キロを一生懸命に克服というか,達成して何とか走り抜こうよというような,軽い運動から本当にルールを持ったスポーツだとか,欲求充足のためのそういう身体運動に変化していくことをスポーツ庁は促すべきであって,外在的価値に振り回されたスポーツの在り方ではなくて,人間の本源的な欲求充足に重きを置いた運動を普及するような方向でスポーツ概念を説けないのか。社会科学的に言わせていただくと,運動とスポーツを一緒くたにして,スポーツの中に全て運動を含めて語るというのは,どうなのかなと,少し疑問に思っております。
 以上です。
【福永座長】  ありがとうございます。いかがでしょうか。非常に重要な問題です。今のことについて,御意見はございますか。スポーツ基本法では,スポーツの中にそういうのが含まれていますよね,最初の定義として。
【中西委員】  含まれていると捉えるのか,運動競技なので,競技に重点を置いていて,そのほかの身体活動というのは,いわゆる生活スポーツという捉え方もできるわけなんですね。要するに,過度の競争を目指さないというような意味合いでも捉えられるわけで,これをイコール,全て健康づくり運動まで含むと捉えるのはいかがかというふうに思っています。
【福永座長】  分かりました。いかがでしょうか。どうぞ,御意見をお願いします。内藤先生,どうですか。
【内藤委員】  作業部会でも,全く先生がおっしゃったような意見が出た中で,まあ,取りあえず案として持っていかなければいけないといったところで,この親会議の方にはスポーツということでどうかという提案ですので,全然無視してそれを取ってしまったということではなくて,ここでは,スポーツということで行ったらどうかという提案ですので,御意見を伺いたいというのが正直なところです。
【福永座長】  はい,どうぞ,皆さん,御意見をおっしゃってください。
 私は,1992年にヨーロッパスポーツ憲章かな,そこでヨーロッパのスポーツ,各国のスポーツの関係者が集まってスポーツを定義しているんです。それは,「いろいろな目的を持ったあらゆる身体活動をスポーツと言う」という定義をしています。それは,競技としてとか,健康のためとか,様々な運動をするときのメリットがありますけれども,そういう目的を持ってやる運動は全てスポーツと定義するというふうに言っていますから,僕は基本的には,個人的な意見ですけれども,考え方を持っていますが,ほかにはいかがでしょうか。どうぞ御意見を言ってください。これは全体に関わる問題ですので。
【宮地委員】  国立健康・栄養研究所の宮地でございます。中西委員が御指摘していただいた点は,ワーキンググループでも,内藤主査が先ほど説明されたように,非常に重みを持って議論してきました。もちろん,スポーツは外在的な価値のみではなくて内在的な価値が重要であって,そういったものを探求するという立場でスポーツを振興していく,そのためのどういう取組が必要なのかということで,今のところ,この第1章と第2章は書かれているだろうと思っています。
 もちろん,委員がおっしゃるように,スポーツと運動の関係というのを学術的,模式的に表してみると,運動というのが外側にあって,その中にスポーツが含まれているという考え方がありますが,ここで意図しているものは,スポーツと運動を一致させようと,そういう意図ではないと私は思っています。ただ,今までの狭義,狭い意味でのスポーツを少し広げていって,スポーツというものに取り組む人のバリアというか,敷居を低くしたい,そういう願望はワーキンググループのほとんどのメンバーが持っている意図であって,中西委員が今,御説明していただいた内容に著しく反するような内容にはなっていないのではないかと思います。
 なので,中西委員,もしよろしければ,私たちワーキンググループのメンバーに対して,私たちの1と2のどの部分が具体的に,中西先生がおっしゃっているスポーツの考え方と合わないのか,あるいは,具体的にどうすればいいのかということを,総論は十分理解したのですけれども,少し教えていただければ,その部分は,次のワーキング以降でしっかりと修正をしていきたいと思います。
【中西委員】  あっ,よろしいですか。どの部分とかではなくて,まず,スポーツ基本法のスポーツの定義,これは法律なので致し方ないのですけれども,これをどう解釈するかという問題。これが,先生は包含関係と言いましたけれども,あれは包含関係ではありませんので,運動というのは広い意味で,それで意図的運動,無意図的運動と分かれますので,包含関係にはなりません。申し訳ありませんが,要は,スポーツというのは,意図的運動の中でもプレイ論,要するにカイヨワの欲求充足を中心とするものと,無意図的というのは必要充足ですから,そこでセグメントされていくわけですから,包含関係になるものではありません。これは派生していくものであって,それをこの表現の中では,あたかもスポーツに運動,そういったものが含まれているというニュアンスを受けるということです。法律のところと,あともう1点は,日本体育協会と,4ページに「スポーツ宣言日本」の定義を用いられているんですけれども,これが本来のスポーツの本当の定義であって,自発的な運動の楽しみというのは,これは欲求充足のことを指しているわけなんです。
 そういった中で,例えば,なぜ,ゆるスポーツだとかニュースポーツを普及するかというと,これは,今まで我が国がスポーツというと,勝つことだけを目指して,そういった厳しいことをやってきたから,みんながそれから,もうそういうのは嫌だという人たちはそこに寄らなかった。でも,ゆるスポーツというのは,競争性もあるのだけれども,勝つことを第一義に置かないで,もっと緩やかにスポーツをやっていきましょうということなので,これはスポーツに入ると思うんです。
 ところが,健康づくり運動というのは,これは必要充足の運動なので,ここまでをスポーツに入れてしまうと,これは分類されているだけであって,そういう文言になっている部分が何か所かありまして,だから,楽しく運動することと,運動の楽しさを知るということは全然意味が違いますので,そういう表現もところどころ修正はしていただいたとは思うんですけれども,どこに運動とスポーツを分けている,含まれているということではなくて,全体的に1章,2章を読んでいくと,どうしてもこれは,スポーツの中に全ての健康づくり,健康づくり運動を否定しているわけではありません。
 要するに,本当にスポーツ人口を増やそうとか,人間が本源的に欲求充足をするための運動をやっていこうと,それが一番継続することであり,そういうことを継続していくことによって医療費の削減や,先ほどの転倒予防ですか,そういったことにつながっていく結果であって,まずは人間が,自分自身が,例えば,勝ちたいとか,自分が掲げている課題を達成したいとか,そういうプレイ論に基づく楽しみということが,この「スポーツ宣言日本21」の意味であって,ここを誤解していただくと非常に,運動とスポーツというものの議論はできないというふうに思っています。
【福永座長】  ありがとうございます。ほか,いかがでしょうか。いろいろ御意見を頂きたいのですけれども,どうぞ,せっかくですのでおっしゃってください。時間は,一応3時までということになっていますので,たっぷりあると言えばあるのですけれども,できれば,第3章に時間を取りたいので,いかがですか,今の話,ほかに御意見はございませんか。はい,どうぞ。
【荒木委員】  園田学園女子大学の荒木香織です。よろしくお願いします。スポーツをしていく上で,確かにスポーツは勝たないと意味がないということはあるとは思うんですが,スポーツを通じて子供たちが人間形成をしていきますし,体を動かすことによって人々の心に達成感,満足感を与えることができるのがスポーツであって,決して,作業部会の中でのけて考えようとして作業を進めたわけではないと思いますので,余り,諸外国のを読みますと,スポーツとエクササイズであったりとか,スポーツと運動というのをはっきりと明示されていますけれども,反対に,世界的にも多分,スポーツだけという言葉をもっていろいろな体の動きを表現しようと思っているような施策は初めてではないかと思いますので,新しいものの見方とか考え方というものを,こういう国のレベルの施策で発信していくのも悪くないかなとは思います。
 私は,もともと運動とスポーツは違うかなと思って教育を受けてきていますし,定義をしっかり読んでみたところでも違うことは明らかなんですが,学術的なものとか,専門的な基盤は大切だと思いつつも,多くの国民にメッセージを発信していく上で,また違う考え方,見方,受け止め方もあるのかなと思ったりしながら作業部会に参加をしていましたので。何が言いたいかというと,いろいろな考え方があってもよくて,一つにまとめないといけないという時点で,先生方の御意見のスポーツというところでの統一というのは,そんなにネガティブなものではないのではないかというのが私の個人的な意見です。
【福永座長】  ありがとうございます。ほかはございませんか。どうぞ。
【萩委員】  東海大学の萩です。スポーツ基本計画の方にも関わっておりまして,ここの問題は,実は,とても重要な問題として取り上げられておりました。やはり,スポーツ人口を増やそうという一つの目標がありまして,そのスポーツを国民がどう捉えているかというのは結構大きな問題で,やはり,「スポーツ」というのは非常に幅の広い言葉であるということを,メッセージとして出していった方がいいのではないかということが出てまいりました。ただ歩いているだけとか,ちょっと散歩をしているだけという人たちに,「あなたはスポーツをしていますか」と聞いても,それはスポーツという認識はないですよねと。そうではなくて,そういうものも含めてスポーツなんですよと,そういうインフォメーションを出していってもいいのではないかというのが,スポーツ基本計画の方での話としてありました。
 確かに,私自身も運動とスポーツ,当然,一緒に交わらない部分もあろうかとは思うのですけれども,国民に対してどういうメッセージを発していくかという意味で,先ほど内藤先生がおっしゃったように,こういうことをきっかけに,より広い概念を伝えていく努力は必要なのかなと思います。ただ,一方の中西先生のおっしゃることも分かって,畑仕事をしたから,もういいかみたいな,仕事でオーケーというのではなくて,スポーツの持つ価いい部分を広めていくことも必要なのかなとは思います。やはり,先ほど福永先生がおっしゃったように,スポーツ庁が出すガイドラインということであれば,スポーツガイドラインということで,その中に説明しながら進めていくと,スポーツ基本計画の方で進めようとしている方向に合致するかなと思います。
【福永座長】  ありがとうございます。ほかにはございませんか。もう十数分たちましたので,非常に貴重なディスカッション,これは恐らくいろいろなところで相当議論してもなかなか結論は出そうもないのですけれども,今の中西委員の御意見,あるいはその他の皆さんの御意見を十分考慮していただいて,再度,検討していただくというようなことにしておきたいと思います。
 続きまして,第2章につきまして御意見を頂きたいのですが,いかがでしょうか。ガイドラインの方向性ですよね。御意見ください。よろしゅうございますか。それでは,また御意見がありましたら後ほどお伺いすることにします。
 今日の一番のメインテーマでございます第3章です。「する」,「みる」,「ささえる」,この三つの方向性についてどうするかということで,これから十分議論しなければいけないところなのですが,ここで赤字で書かれておりますが,そういうことも踏まえて自由な御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。どうぞ。
【宮地委員】  先日,スポーツ庁の方から世論調査の結果が公表されておりました。そこで非常に気になったことが,過去1年間にスポーツを全くやらなかった,なおかつ,今後もスポーツをやる意思がないという人の割合が相当数あって,私はそのデータ,過去からのトレンドはない新しいデータだったので,よくなった,悪くなったということであったり,高いか,低いかという客観点な判断が十分できていないのですが,私の個人的な印象としては,その人の割合が,三十数%ぐらいいるということで,「する」スポーツの指標として,やっている人の割合ということも大事ですけれども,この1年間全くやらなかった,あるいは将来やる気がないという人たちを減らしていくという目標も,ガイドラインの中では必要なのではないかなと思いました。
 それは,正にスポーツのすばらしさを忘れている,知らない,経験できていないという人たちの存在を示しているわけで,する人をエンカレッジするということはもちろん必要なのですけれども,逆に,していない,やりたくない人たちに対するアプローチ,引き込んでいく方策も,この目標を定めることで,より具体的になっていくかなと思いました。
【福永座長】  ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。
【森丘委員】  日本大学の森丘と申します。今の話にも関連すると思うんですが,先ほどの内藤先生の御説明の中にもあったように,共通して取り組むべき方策が(5)というところに位置付けられています。前回のワーキングのときにも,これをどの辺りに位置付けるべきかということが議論されたかと思うんですけれども,やはり,先ほどのスポーツ定義を含めて年代横断的に重要なことをイントロダクション的なところに持ってきた上で,「子供世代の」という個別的な内容議論を展開していくというしつらえが適切なのではないかと,そんな印象を持ちました。
【福永座長】  ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。はい,どうぞ。
【萩委員】  近藤先生にプレゼンテーションしていただいたところに係りますけれども,アウトカムを実行するための戦略の部分をこのガイドラインに載せていくべきかと思います。基本計画もそうなのですけれども,具体的に目標が定められて,こんなことをやります,あんなことをやりますとたくさん書いてあるのですけれども,じゃあ,それを具体的にどうやっていくかというところがないので,このガイドラインがそこを担保する,補塡するようなガイドラインになってほしいなと思います。
 近藤先生からいただいたアイデアは非常に優れたアイデアで,大いにスポーツの領域でも使えると思うので,その辺を踏まえながらガイドラインが作られるといいかなと思いました。
【福永座長】  御意見はございませんか。どうぞ。
【近藤委員】  この2章の例えば,3ページの下から3行目辺りで,このガイドライン策定の目的として,ガイドラインを普及することで「団体等の取組を促進」と書いてあるんですけれども,じゃあ,どういう取組なんですかという書き方が余りされていない。スポーツ人口を増やしましょうというアウトカムは書いてある。ではどうすることで人口が増えそうなんですよということもほしい。最初はエビデンスの弱い専門家の意見かもしれませんが,例えば,環境整備自体が大事じゃないですかとか,インストラクトできる人を増やすことが大事じゃないですかとか,何かそういう幾つかの柱を,言うなら仮説的にでもいいから示してはどうか。そのことをデータを集めて検証しながら,グッドプラクティスもそういうところから探しながら普及していく。5年後,そういうエビデンスやグッドプラクティスも集めて,このガイドラインも改定できるような,そんな仕組み自体をこのガイドラインに組み込めると,すごく魅力的なガイドラインになるのではないかなと思います。
【福永座長】  近藤委員のこのアイデアは大変面白いと思うので,是非,これとリンクした形で今の骨子(案)のところを,何か新しい方向を見いだせそうでしょうか。
【内藤委員】  そうですね。いただいた意見で,やはり,基本法があって,基本計画があって,その計画の中に「ガイドライン」という言葉で具体化すると言っているわけですから,その辺を実際に,ここも抽象的ではなくて,その辺りを,近藤先生にいただいた意見の可能性,あるいは提案をして,方向性を示すということだけではなくて,提案を頂いたようなものを入れ込んで,その辺りが,3章のところをもっともっと膨らませていく必要があることは重々承知しておりますので,スポーツ庁からの仕組みの提案というのをガイドラインの中にまずは入れていくということを,今後また検討したいと思います。
【福永座長】  この骨子(案)は本年度中にまとめるわけですよね。本年度中というのは,3月,来月。
【井上健康スポーツ課長】  一応,赤字を除いた部分,黒い字の部分というので骨子(案)をまとめていただきたく,それは今年度中です。それで,来年度,この中を肉付けしまして,来年度中に全体を取りまとめるというようなスケジュールで考えておるところです。
【福永座長】  今日の皆さん方の御意見は非常に,本年度をまとめるための最後のチャンスということですよね,この議論。
【井上健康スポーツ課長】  そうですね,はい。
【福永座長】  皆さん,どうぞ活発な,あと1時間ぐらいありますので。はい,どうぞ。
【中西委員】  済みません,第3章ですけれども,視点としてはすごくいいと思っています。たしか,1970年代に旧西ドイツが,スポーツ政策を展開する際にマーケティング戦略を組んだのです。それはどういう戦略かというと,ターゲット・マーケティングといいまして,例えば,無関心層をどういうふうにセグメンテーションするか,要するに細分化です。例えば,仕事や子育てで忙しい世代とか,あるいは,スポーツには興味があるんだけれども,お金がないとか,そういうふうに,まず無関心層をどういうふうにセグメンテーションしてグループ分けをしていくか。そのグループごとに分けたら,ターゲットを決めてもいいんですけれども,それぞれのグループごとに政策としてどういう展開をするかという,「差異化マーケティング」と呼ばれるんですけれども,そういう方法をとりました。
 ここに挙がっている,するスポーツの人口拡大は,それとよく類似していまして,今,子供世代とかビジネスパーソンとか,障害者スポーツとか区切っていますけれども,この辺のセグメントの仕方,グループ分けの仕方をもう少し工夫できないのか。例えば,今,言ったように,無関心層も,いろんな無関心層が,欲求はあるのだけれども仕事が忙しくてできない,じゃあ,いわゆるビジネスパーソンですよね,そういう人に対してどういう政策を組むか。あるいは,障害者スポーツの問題も非常に大変だとは思いますけれども,じゃあ,障害者スポーツの普及にどういうマーケティング戦略を組むかとか,政策サービスをどういうふうに組んでいくかというあたりが組めます。
 ちょっとこだわっていますけれども,例えば,散歩や健康づくりの運動だとか,ウォーキングしかしていない層に対して,こういう人たちが将来的に,例えば,地方公共団体が開く市民マラソンとか,そういうものに出ていくような,行動変容のための政策はできないのか,要するに,動機付けです。健康づくり運動をしている,体力をつけたいという人たちが,ひいては,人と競争してみたいとか,あるいは,自分が42.195キロ走ってみたいとか,克服してみたいとか,そういうふうに行動変容をさせるための政策の在り方というのは,どう組んだらいいのかとか,何かそういうふうにターゲット,要はマーケットですね,市場をどう細分化して,そこに対してそれぞれのスポーツ戦略をどう組むかという視点からやっていくと,いろいろな事例とか,あと,いろいろな政策転換,これはお金が関わるので大変だと思いますけれども,そういう視点も作業部会で取り入れていただくと有り難いなと思っています。
【福永座長】  ありがとうございます。今の,子供,それからビジネスマン,高齢者,障害者,こういうターゲットの仕方と別の角度から考えたらどうかと,いかがでしょうか。作業部会の方では,そういう話はまだ出ていないですか。今の点,いかがでしょうか,どのように,中西委員の御意見に対して。
【岡委員】  早稲田大学の岡です。言葉尻みたいな問題かもしれないのですけれども,やはり,私が思うには,今,よく「無関心層」という言葉が使われるのですけれども,我々は本当に無関心層をターゲットにするのかどうかということだと思うんです。何に対してというところが本当は一番重要なのだけれども,本来は,関心を持っているけどできない人をいかに次のステップに引き上げるかというところが,多分,一番やらなければいけないところで,そのことが,全体がそう動くことで無関心な人も興味を持ったりするところから入ってくると思うんです。無関心の人に何かをしようというのは相当ハードルが高いし,ハードランディングだと思うんです。
 多分,我々がここに載せていかなければいけないメインのところというのは,やはり,関心を持っているけれども,先ほど先生がおっしゃったみたいな,子育てがある,仕事がある,でも関心はあるんだという人,何%と今ははっきりとは言えませんけれども,例えば,「運動」という言葉に反応する人で考えれば,多分20%はいるんです。その人たちをどうやって次のステップに動かすのかというような視点で考える。やはり,「無関心」という言葉を余りみだらに使わない方がいいと私は思っているんです。本当に無関心なのかというところは,ちょっと私がすごく危惧しているところなのです。
 もう1点,全体と話が合うかどうか分からないですけれども,やはり,スポーツとか健康とかということを入り口にして反応できる人というのは,恐らく国民の中の3分の1ぐらいだと思うんです。今おっしゃったみたいに,全くそういうことに興味がないという人もまた3分の1。そうでないものが入り口で,だけど,何か体を動かすことは嫌いじゃないし,何かあったらどこかに行くし,みたいな,だから,入り口が健康だとか,スポーツだとか言わないものをこの中に入れ込んでいって,いつの間にか勝手に体を動かしているし,いつの間にか勝手にスポーツしているというような,そういう取組みたいなことがもっと載っかると,ソリューションの部分ではいいのかなというふうに考えています。
【中西委員】  私も先生と全く同感で,先ほど申し上げたとおり,無関心層は無関心層でくくるのではなくて,要するに,関心はあるのだけれどもお金がないとか,今,格差社会なので,特に子供とか。あと,関心はあるのだけれども仕事が忙しいとか。だから,無関心層をうまくセグメントして,その中から,本当は関心があるのだけれども,その人たちがどうやったらスポーツ行動を起こすかという視点と,あと,運動ということにこだわっていますけれども,健康づくりや,散歩や,いろいろなことをやっているのだけれども,それが,ひいては体を動かす楽しさを感じてスポーツ行動へ行くという,それでマラソンやジョギングの大会に出ているとか,そういう方向にどうやったら政策的にできるのか。いわゆる,内在的価値を楽しませるような方向へ持っていく戦略を作ってもらったら,すごくいろいろな,運動からスポーツへという方向性です。だから,岡先生とは非常に同感です。
【岡委員】  そういった意味で,最初の1章の部分にあるのですけれども,スポーツ庁として広めたいことは何なのかという観点に立って,これができてきたと思うんです。すごく狭義の意味でのスポーツだけを普及させたいというわけではなくて,スポーツ庁としては,もっといろいろな入り口からいろいろな入り方をさせて,結果としてスポーツというものにつながるようなふうに,先生が今おっしゃったことと変わらないのですけれども,多分,そういう意味での言葉だったと思うんです。
【中西委員】  はい。なので,私が最初に申し上げたのは,その辺を明確に整理して書かれた方がいいと思います。別に否定しているわけではなくて,健康づくり運動が悪いとか,いいという問題ではなくて,スポーツ庁として,こういう運動の仕方,あるいはスポーツの仕方,こういう,ゆるスポーツも今から広く普及していくんですよ,だからこういうふうにセグメントを切ってやっていくんですよという,何かそういう書きぶりにならないのかなと。それを,「スポーツ」という共通言語でくくってしまうと,多くの国民は,スポーツというのはやはり競技スポーツをイメージしているので,その辺をうまく分けて,それ全てを「スポーツ」と呼ぶのには,ちょっと難しいのかなというふうに思ったので,その辺をうまく整理した上で,ここに結び付けていくと分かりやすくなるのかなというふうに感じています。
【福永座長】  スポーツ庁としていかがですか。
【井上健康スポーツ課長】  非常に難しいところですけれども,このガイドラインの位置付けとしてスポーツ基本法があり,スポーツ基本計画があり,萩先生がおっしゃったように,スポーツ計画の中にガイドラインを作ってそれを普及しますと。多分,計画ではなかなか具体的なことは書いていませんので,その辺りどうやっていくべきかということを書きたいというようなことはございます。
 「スポーツ」という言葉と「運動」という言葉ですけれども,ここもなかなか議論があるところですので,実は,計画の中でも,スポーツの価値というのはどういうのかというのも議論されまして,そこも計画の中に若干は載っているのですけれども,今回のガイドラインでも,その計画の方での議論があったので,こちらで余り書かなかったのですけれども,中西先生が言われたようなところを,うまく整理をして書けるようなことができたらなとは思います。
【中西委員】  よろしいですか。例えばですね,その辺を反映させるとするならば,旧文部省時代は,競技スポーツ,生涯スポーツというふうに分けていて,実際は,生涯スポーツというのは全部を含む概念なんですけれども,むしろ,今,スポーツ庁の名称になった「健康スポーツ」ですよね。例えば,それに「生活・健康スポーツ」とすることで,例えば,そういう自分の日常生活や健康づくりのために行うような運動を「生活・健康スポーツ」と呼ぶみたいな概念を作るとか。今までスポーツ庁としては,そういう競技を目指した競技スポーツだけを普及するのではなくて,生活・健康スポーツやレクリエーションスポーツ,そういったものも含めて広く普及していくことで国民のスポーツ参加人口を増やすとか,そういうことを概念として用いながら,最後の用語説明に,きちっと説明を加えるという方向でまとめると,「運動」という言葉を使わなくても,概念の用語の定義の方でうまくやっていくことで,そういうネーミングで国民に普及していくというのも一つの方策かなとちょっと思うんです。
 要するに,日常生活を送るためには,健康,体力の維持増進のために,そういうことを目的とした運動を「生活・健康スポーツ」,あるいは「健康スポーツ」と呼ぶとか,何かそういうものでうまく,「運動」という言葉を使わないのであれば,そういうものも全て含めてスポーツとしてスポーツ庁は捉えるんだというような形はどうなのかなと,ちょっと感じていますけど。
【福永座長】  今のことから,「する」スポーツの対象が,今の骨子(案)の赤字で書いてあるところでは,子供,社会人,高齢者,障害者というのが対象で分けていますよね。それ以外の切り口として,中西委員の言われたような……。
【中西委員】  いや,切り口というよりも,冒頭,第1章,第2章あたりでそういうことに触れられないのかなと。
【福永座長】  ええ,それで,いかがでしょうか,今のことにつきまして,ほかに御意見はございますか。
 それでは,「『みる』スポーツ人口の拡大」というところがありますけれども,これについてちょっと御意見を頂きたいのですけれども。「『みる』スポーツ人口の拡大」,どうですか。
【萩委員】  「みる」というのを,どう見るか。難しいですよね。直接観戦という方法もあるし,テレビ,最近ではスマホ,今,スカパーからアメーバ,いろいろ出てきて,ちょっと,どこをどうしましょうというところが本当に難しいのですが,そこはやはりきちっと枠組みを作らないといけないですよね。環境がどんどん早く変化していってしまうので,それにこういうガイドラインが対応できるかなと,ちょっと心配なところではあります。目標の文言として「『みる』スポーツ人口の拡大」というのは簡単に書けるのですが,実際の現場を考えたときに,正にセグメントしにくいなというところがありますが,その辺の議論はありましたでしょうか。
【岡委員】  まあ,議論したというか,これは私の意見なのですけれども,例えば,もちろん直接観戦するというのは,自分の足で行ってとか,そういうことでいいと思うし,もう一方で,テレビを見るということに関しても,結局,それをもっとプロモーションしてもっと見るようにしないと,結局それが放送されなくなって,そのことが結果としてみんなが知る機会を失ってしまうということにつながるんです。
 ただ,一方では,作業部会のときに話したのだけれども,スポーツばかり見ていても肥満と関係があるとか,そんなデータが実はあったりして,なかなか難しいところではあるんですが,でも,私は,今,どんどんどんどんテレビの中でもいろいろな方にネットとか,そういうふうになっていっているからというのもありますが,多くの国民のリーチできるという意味で,「みる」スポーツが,別にテレビで見ることだってもっと広げていかないと,何というかな,このガイドラインはいけないんじゃないかなという意見を持っています。
【福永座長】  ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
【島田委員】  順天堂大学の島田でございます。岡先生が今お話しされたとおりで,私も本当に同感でありまして,先ほどから関心,無関心ということがありましたけれども,実際なかなかアクションを起こす,「する」スポーツに関心を持つというのは,日本国民全体ということを考えると,確かにかなりハードルが高いのではないかなと思います。そういった面では,やはり,「みる」スポーツの興味を維持する,「みる」スポーツの興味人口を増やしていくということは,これから更にそういった,ITも含めて進歩していきますので,むしろ,より積極的に新しいものを取り組んで,「みる」スポーツの人口を,裾野を,年代を,全ての年齢層において広げていくということが,実は,とっても次のステップにつながる大事なポイントではないかなと思います。
【岡委員】  正に,子育てをしている,それから,ビジネスで忙しくてなかなか子供を連れていってはいられないというようなときでも,テレビで子供がそのスポーツを見ることで,ああ,やっぱりこれをやってみたいなと思えることがすごく大事なんだと思うんです。そういう機会がどんどんどんどん今は失われていっているというところが非常に大きな問題だと思うので,今,先生がおっしゃったみたいな部分というのは,すごく大事にしなきゃいけないのではないかと思います。
【福永座長】  そうですよね。僕自身のことを考えても,「みる」ことと「する」ことはもう表裏一体になっていますよね。だから,そこら辺をどういう形で,それともう一つ,エビデンスというのが必ず出てくるんです。エビデンスというのは,要するに論文とか報告書ですよね。それに裏付けられたことじゃないと,またまずいわけですので,そういうことも頭に入れながら議論していただきたいということです。
 先ほどの対象者が子供とか何とかというのは,非常に具体的に分かりやすくて,恐らくそういう論文はたくさんあると思う。今度は,無関心だとか何とかになってきたら,なかなかそれは,そういうエビデンスがあるかとなると難しいという部分もあるので,恐らく,作業部会の先生方も大変だと思うんですけど。
 もう一つ,「ささえる」というのは,これはボランティアでやるのかなというふうにイメージとして浮かんでくるんですけれども,ここのところについてはいかがでしょうか。
【宮地委員】  「ささえる」スポーツについて,今までの「ささえる」のイメージというのは,「ボランティア」,無償だけではないですが,誰かのために何かをしてあげるということが「ささえる」イメージだと認識されてきました。ここでは,もう少しそれを広げて,例えば,「みる」スポーツで,テレビなどのメディアも,みる人を増やすことを支えています。スポーツ用品を売るような企業もそうですし,プロスポーツを経営している企業もそうかもしれません。
 要するに,全般に,スポーツに関わる人,参画する人の数を増やそうと関わっている人や団体を,あまねく支えるメンバーの中に入れていき,無償でスポーツに奉仕することが「ささえる」スポーツですよという殻を破っていくことを,提案したいと思っています。
【櫻井専門委員】  博報堂櫻井です。特に「ささえる」スポーツのところなんですけれども,「みる」もそうなのですけれども,「みる」スポーツ及び「ささえる」スポーツを増やしていくということが,単純に,「みる」,「ささえる」を増やしていくことが目的なのか,それとも,「する」スポーツを増やすために「みる」,「ささえる」を増やしていくかによって随分アプローチが違うなと思っています。特に,「ささえる」に関して言うと,いわゆる「ささえる」ということはボランティアということだけではなくて,もし,その目的が「する」スポーツを増やすための「ささえる」だとすると,例えば,スポーツを産業として支えている人たち,例えば,フィットネスクラブのインストラクターの人とか,あとは,スポーツ産業自体が盛り上がることが,ひいては,「する」人たちを増やしていくことにもつながりますので,そういうビジネス循環も含めたところで,どこまでを「ささえる」ということの範囲にするのかというのは,これはちょっとすごく重要なポイントではないかなというふうに思っております。
【福永座長】  ほかにはいかがでしょうか。はい。
【近藤委員】  今,見直してみましたら,年代別に分けないで共通して取り組むことというのが,1番の「する」スポーツの中に位置付いているんですよね。「みる」とか「ささえる」の方は,年代別になっていなくて総括的になるという構造になっています。「する」スポーツだけセグメンテーションすればいいのかというと,何か違うような気もします。総論に当たる,セグメンテーションする前の全体に共通するというのを,2章に据えるのか,3章の頭に据えるのか,どちらかにあった方が骨子としての構造が安定するのではないかなという印象を持ちました。
 総論のところに盛り込むべきキーワードみたいなものとしては,今まで御発言があったような,マネジメントの視点とか,PDCAサイクルをしっかり回していきますよとか,エビデンスベースでやっていくんですよとか。一方で,今,この領域のエビデンスは足りないから,今後の課題として,スポーツに関わるこういう領域のエビデンスを今後,蓄積する必要がありますとか。あとは,個人への介入だけではなくて,環境への介入をしっかりやりますよとか,その環境といっても,物理的な環境もあれば,人的な環境もある。振興計画をしっかり持ってくれているような市町村とか,保険者とか,そういう環境の要素もあると思います。その辺の総論をしっかりどこかに位置付けてもらった方が,構造が落ち着くような気がしたというのが1点目です。
 それから,2点目で,やや各論的なことですが,先ほどもこのガイドラインの目的のところに,「各団体等の取組を促進する」という表現,あるいは,次のページの「役割を示す」というのがあります。だとしたら,主な,期待している団体別に,こういうことを是非やっていただきたいんですよというメッセージを入れてはどうか。地方公共団体にはこういうことをやってほしいし,保険者にはこういうことを,大学等にはこういうことをやってほしいというような例や視点や,そういう項目は立ててあってもいいのではなか。そうしないと,一体誰がこれをやるのだというのが,今のままだと,誰か頑張ってね,みたいな感じに捉えてしまう人もいるような気がします。これは私たちがやらなければいけないのだということが分かるような,これは,あなたに対するメッセージですよというのが分かるような見出しを立てられたらいかがかなというふうに思いました。
【福永座長】  ありがとうございます。いかがですか,内藤先生。
【内藤委員】  今の点は,先ほど年代で区切ってありますけれども,それぞれに入れるのか,例えば,ビジネスパーソンに向けてのときには,当然,主体となるのはここ,子供であれば,当然,まずは学校という主体になってくるとか,そういうところで書き込もうか,それとも,先生がおっしゃったように,するべきところで分けて,本当はどっちから見てもマトリックスで見られるような書き方になっていればいいので,これは文章だけで全てを表そうとしているので,どうしても関係性が見にくいので,ポンチ絵のような,こういう絵を使って,全体の枠組みが分かるようにしながら文章をつけていくというのが,ガイドラインをより分かりやすくする方策ですねということは話をしていますので,そういうところを,どちらの方から文章にして起こすかは,その全体のバランスがありますけれども,そういうことをしながら,誰がやらなければいけないだ,どこに向けた内容なのかというのは,今後,この3章を充実させていくあたりで行くべきなのかなというふうに考えています。
 それから,先ほどの共通することというところも,「共通すること」という表現が余りにも大きすぎて,かなり前に行くのか,「する」のところだけの前に持っていくのか,もともとここは,最初の作業部会の見出しのときには,どちらかというと,けがとか傷害とか,事故の防止とか,安全に対することという見出しだったのです。でも,それも含めていろいろなところに共通するからということで,今はこうなっていますけれども,その辺の修正を図りながら考えています。
【荒木委員】  「する」の対象者はかなり広い,スポーツ万能な方を想像した「する」になっていると思うんですけれども,「みる」となったときに,余り何もないので,多分カテゴリーということになっていると思うんです。みられる人というのは,競技スポーツをやっている人がみられるわけで,高齢者が河川敷を歩いて運動することをみることにはならないと思うので,あと,「ささえる」となったときにも,何か地域密着型のスポーツであったり,地域のスポーツ,運動の何とか祭りのボランティアというようなイメージは湧くんですけれども,「ささえる」部分でも,どちらかというと競技スポーツ,「スポーツボランティア」という言葉が書いてあるからだとは思うんですが,何かそういうイメージがあって,「する」,「みる」,「ささえる」に関わる,見られる人は多分,エリートアスリートが多いはずのイメージがあって,でも,している人は,結構全員で,という何かアンバランスさをちょっと感じます。そこら辺は課題かなと思います。
 あとは,ちょっと違うかもしれないのですけれども,近藤先生の「ささえる」スポーツにもいろいろな側面がありますよというところで思ったのは,審判のことだけはここにちょっと書いてあるので,スポーツ科学を学ぶ大学生であったり専門学校の子たちだったりとか,そういう人たちに対する何かあってもいいのかなということを少し思いました。
【福永座長】  ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。はい。
【内藤委員】  「みる」,「ささえる」は,ここは例としては,イメージ的にはやっぱりトップアスリートかテレビの放映とかになっていますけれども,作業部会のときには,子供たちがしているのをお母さんたちが支えるとか,地域の運動会をどう支えるとか,もうちょっと広いものもあるけれども,それについて,さっきのエビデンスじゃないですけれども,なかなか事例というのはないけれども,イメージとしては,「みる」,「ささえる」は,トップアスリート,プロスポーツだけではないねという,そういう議論は出ていましたので,そういうものも含めてどれぐらい盛り込めるかということかなというふうに考えています。
【福永座長】  第3章はこんなところでいいですか。はい,どうぞ。
【大藏委員】  筑波大学の大藏です。私は主に高齢者スポーツにふだん携わらせていただいているのですけれども,スポーツ,運動への入り方として感じるのが,スポーツをやりたいとか,みたいとか,支えたいというふうに入る人だけではなくて,実は,人とつながりたくて,結果として,手段としてスポーツ・運動サークルに入るとか,ですから,その人にとっては,最初は文化系サークルでもよかったのですけれども,たまたま誘われたところが運動をしているサークルだったということで,でも,長期的に運動を続けて,中にはボランティアまで行ったり,指導者的な立場まで行くような人も出てくるのです。そういう意味で,「する」,「みる」,「ささえる」に加えて何か「つながる」とか「まじわる」とか,そういった観点というのは特に高齢者では大事ですし,高齢者だけではなくて,今後,地域の活性化とかコミュニティの活性化というところを考えると,そういった観点も一つ入れておいてもいいのではないかなというふうには思っております。
【福永座長】  ありがとうございます。どうぞ。
【島田委員】  個人的には,この「ささえる」というところも,これからすごい発展が期待できるポジショニングではないかなと思っております。と申しますのは,確かに,最初のイメージとはしては「ささえる」はボランティアですけれども,これは,いろいろな産業が関わってきます。ですから,ある意味,日本国全体を巻き込むような産業イノベーションのような,そういうポテンシャルを持っている項ではないかなと思っています。
 もちろん,広告の代理店であったり,食品・飲料関係であったり,さらには交通機関もそうです。JRも私鉄もバスも,やはり移動手段として,あとは,例えば,私が関係していますサッカーでは,今,各所属チームには地元の,例えば医療機関であったり,銀行であったり,電気屋さんであったり,いろいろな地域,地域に根付いた産業との深い関わりが大変期待できるということであります。その結果として,やはり,最終的に一番ハードルの高い「する」スポーツにどうやって興味を持っていただくかということにもつながってくると思いますので,これから伸びしろの最も大きい,ある意味,産業界を巻き込むような大きなメッセージを出せればいいなと思っております。
【福永座長】  ありがとうございます。ほかにはございますか。はい,どうぞ。
【中西委員】  「ささえる」ですけれども,イコールボランティアみたいに考えるのではなくて,今,無償制というのはなくなって,むしろボランティアは有償制という方向で動いていますけれども,例えば,スポーツを「する」,「みる」,「ささえる」というふうに考えたときに,私自身は,「ささえる」というのは,スポーツとの関わりのセーフティネットだと思っています。例えば,スポーツをすると,どうしても日本の場合は競技スポーツが中心なので,上手じゃない子は,「君,マネージャーをやりなさい」とか,そういうふうになっていく。あるいは,スポーツをみるにしても,よく見方が分からない。ルールがよく分からないのでみたくない。でも,スポーツと関わっておきたい。そういうときに,最終的には,やはり「ささえる」というのは,スポーツとの関わりの最後のとりでだというふうに僕は個人的には思っています。
 そうしたときに,例えば,スポーツからのボランティアとか,例えば,トップアスリートが復興支援だとか,いろいろなところにオフシーズンでボランティア,あるいは,地域貢献のために行くとか,スポーツ界からの,そういう「ささえる」活動,要するに,スポーツ活動を支えているのではなくて,トップアスリートがそういうスポーツ以外のところへボランティアとして支える,これも非常に僕は大事な「ささえる」スポーツと呼んでもいいのではないかというふうに,最近思うようになったのです。
 逆に今度は,スポーツへのボランティア,例えば,福祉とか介護をやっているボランティアの方が,スポーツ活動のボランティアへ活動範囲が広がっていくとか,何かそういうふうな,例えば,高齢者の介護をやっていた方が,ちょっとスポーツ大会があるから,そういうものにも参加してみようとか,「ささえる」スポーツは,そういう多様な現象だと思うんです。
 ただ,それをどういうふうに整理していくかというのは非常に難しいことなのですけれども,そういうところまで含んで,特に,スポーツへのボランティアだけを捉えるのではなくて,スポーツから他の活動へのボランティアというか,そういったものも十分,スポーツ界をそうやってプロモーションしているわけですから,「ささえる」スポーツをやっているというふうに捉えてもいいのかなと,最近,そういうスポーツボランティアの概念をもっと拡大した方がいいと思っていますので,もしよろしければ,そういうことも御検討いただければ有り難いなと思います。
【福永座長】  ありがとうございます。第3章につきましては,そんなところでよろしいですか。
 それでは,第4章「今後の検討課題」であります。もうかなりいろいろな今後の検討課題も含めて御意見を頂いておりますけれども,いかがでしょうか。ここの丸の2番目に,「する」,「みる」,「ささえる」のことで,「スポーツの価値を認識し,『する』ことに行動変容を期待する」,そのための「みる」であり,「ささえる」ことだというふうな,これはスポーツ庁としての意見でしょうか。「する」ことが目的。
【井上健康スポーツ課長】  健康スポーツ課としては,やっぱり,やってもらって,それを継続するということが非常に大事だと考えていまして,「みる」,「ささえる」から「する」にというところというのは,これまでも余りエビデンスがないところなので,今後の検討課題かなと思って,これはちょっと入れさせていただきました。いろいろな御意見があろうと思いますので。
【福永座長】  どうぞ,皆さん,御意見を下さい。
【宮地委員】  今の点についてワーキングで議論されたことですけれども,「する」,「みる」,「ささえる」というこの3者の関係というのは十分に分かっていないと認識をしています。「みる」,「ささえる」が「する」の入り口になるという思い込みもあるかもしれませんけれども,それらの関係がどのような関係かを明確に示したエビデンスやファクトが十分にない。なので,そういうことを今後明らかにしていきたいという趣旨でここに書いてあります。もちろん,そういう道筋が証明されれば,そういう手立ても考えられていくでしょうけれども。
【福永座長】  「する」ことに別につながらなくてもいいと。
【宮地委員】  つながらなくてもいいとは言うのではなく,つながるか否かが分かっていないので,本当にそうなのか,その3者の関係をしっかり検討するべきだということです。もっと言うと,みるだけでもスポーツの喜びを感じる,スポーツのすばらしさを知るということも現状あると思うんです。みるだけでも健康になるとか,みるだけでも外在的価値があるのかということもエビデンスがないので分からないです。なので,そういうことも少し今後検討していきたい,そういうことを含んでおります。ちょっと言葉足らずですけれども。
【福永座長】  検討するということは,研究するということですか。
【宮地委員】  できればそうありたいと思いますけれども,研究して,事業や施策につなげていく必要があるということを,今後書き込んでいくのだろうと思います。
【福永座長】  いかがでしょうか。この行動変容を起こす,何かそういう研究論文みたいなものはないんですか。テレビをよくみている人はとか。
【荒木委員】  ちょっと違っているかもしれないのですけれども,アメリカで,応援しているアメフトのチームが日曜日のゲームで負けたら,月曜日の学校の子供の欠席者が多いというのがあるんです。あと,ほかにたくさんありますけど。
【宮地委員】  スポーツ庁の調査の結果でも,親子がスポーツについて話し合うとか,テレビを見ながら,どこどこが勝ったねというような会話をするような家庭の子供ほど,体力が高い,スポーツ実施率が高いというデータも,横断的ですけれども,あります。なので,本当にそういう会話を意図的に介入的に行うと,子供たちのスポーツ参加が高まるのかといったようなことを,もっとしっかり研究することをここで示したいということです。
【福永座長】  はい,どうぞ。
【中西委員】  スポーツを「する」,「みる」,「ささえる」というのは,相関関係は明らかになっていないんですよね,根拠は全くないんですね,研究もそんなにされていないし,むしろ,「みる」人が「する」とか,「する」人が「みる」というのは全く根拠がない。ただ,みんなが,そうであろうという仮説的なことを言っているだけで。
 ただ,ちょっとお願いしたいことは,例えば,この豊かなスポーツライフという観点から考えていただくと,「豊かなスポーツライフ」というのは一般的にどう定義されるかというと,こういうスポーツを「する」,「みる」,「ささえる」という,こういう活動が,頻度は考えないといけないのですけれども,こういう行動が各自のライフスタイルにバランスよく定着している状況を通常「豊かなスポーツライフ」と定義するわけです。そのときに,もし,調査で,こういうのがデータとして分かると有り難いのです。
 例えば,スポーツを「する」,「みる」,「ささえる」という,ただ「みる」場合が直接観戦なのか,メディアを通しての観戦なのか,その辺も細かく調べないといけないのですけれども,そういった三つの関わり方を日常生活の中に豊かに定着させている国民は一体何%いるのか。あるいは,スポーツを「する」だけの人はどれぐらいいるのか,あるいは,スポーツを「みる」,こういうのはあるんでしょうけれども,スポーツを「みる」と,あるいはスポーツを「する」というのはどれぐらいいるのか。組み合わされば8通りぐらいです。それから全く関わっていないということを入れたら,まあ,8階層ぐらいは出てくると思うんです。何かそういったところをデータとして示せれば,全く関係ないのだけれども,やはり最終的には,こういう「する」,「みる」,「ささえる」ということをバランスよくライフスタイルに取り入れた国民になってほしいと,豊かなスポーツライフを送ってほしいと,そのためにスポーツガイドラインを作っているのだと,そういう検討課題にしていただくとともに,もし,データがあれば,そういうデータも探していただけないかなという,これはお願いです。
【福永座長】  今,私も全く同感ですけれども,いかがでしょうか。はい。
【近藤委員】  さっきプレゼンさせていただいた調査の枠組みを上手に使うと,ここを裏付けたいというデータを集められます。今年度か,来年度,あるいはまた別の機会に,市町村にやってもらいたい調査のひな形を作るワーキンググループみたいなものが要るのかもしれません。是非,こういうものを検証したいよねという点を書き残しておく。そのために市町村がやる調査に,この辺は標準的に入れてくださいと示す。それを集めることでだんだんエビデンスを作りながら,それに基づいて5年後,更にガイドラインを見直すというような,そんな仕組みを是非入れていただきたい。もし,やるぞと書き込んでいただけるのであれば,その調査票の設計には,是非,私どもの今までのノウハウを使わせていただきたいなと思っております。
【福永座長】  これ,面白いですよね。
【宮地委員】  今の3者の関係ですけれども,記述的なデータであれば,平成28年のスポーツ庁の世論調査の中で,スポーツを「する」という側面から,それから「みる」という側面,それから「ささえる」という側面,それぞれ聞いていますので,集計などをすればそれらの関係についてもデータを出せるのではないかと思います。今,概要の段階では,そこまで細かくは発表されていないのですけれども。
【中西委員】  ただ,「みる」形態というのは,細かくは。
【宮地委員】  「みる」形態は,直接観戦と,それ以外の観戦と両方調べていますので,多分,中西委員がお求めなった記述的なデータは,今年度のデータしかありませんけれども,整理することができます。クロス集計もできますので,例えば,している人が何割見ていて,していない人は何割見ているとか,横断的ですが関係も,2万人のデータから整理できると思うので,データを踏まえてここに書けるのではないかと感じます。
【福永座長】  ああ,それは貴重ですね。それはスポーツ庁がやったデータですか。
【井上健康スポーツ課長】  先日2万人のデータ,インターネット調査をしまして,「する」,「みる」,「ささえる」とか,その辺りについても調べました。まだ全部が全部,クロス集計とかはできていないものですから今回の公表には入れていないですけれども,2万件のデータがありますし,かなりいろいろなことを聞いていますので,それなりのデータはお出しできるかと思っています。今後集計していきたいと思っています。
【福永座長】  それはこのガイドラインの重要な部分になりますよね。ほかにはいかがでしょうか,今後の検討課題で,はい,どうぞ。
【荒木委員】  最後のページの用語については,例えば,「子育て世代」を定義する場合,本ガイドラインでは具体的にどの層を指しているかがはっきりとわかるように記載する必要があると思います。
【井上健康スポーツ課長】  委員の先生方にお示しした赤字の部分は,飽くまでこの箇所に用語の解説を入れるというイメージで記載したものであり,具体的な用語の設定や定義については,引き続き,委員の先生方に御相談しながら進めていければと考えています。【福永座長】  今,用語のところでお話が出ましたけれども,用語も非常に重要だと思います。先ほどの「運動」だ,「スポーツ」だというのも含めてですね。皆さんここで取り上げられている,いろいろな意見があると思いますけれども,何かございますか,こういう言葉は是非はっきりさせておきたいとか。
【内藤委員】  ここで,これをという提案でも何でもないんですけれども,全体の中に,最初も言いましたように,カタカナが出てくるのが最初いろいろ多くて,専門用語的な,その辺も分からないものは解説をしたり,逆に,そういう専門用語を使った方が,そういう言葉の普及の意味でも重要なものがあれば,こういうところに解説をしながら積極的に使っていくということで,なるべく難しい言葉は使わないという考え方と,普及させたい言葉をここに盛り込んで解説をしながら深めていくというのも必要だと思いますので,こんな言葉を,というのがあれば入れていただきたい。
 それと,ちょっと全体に関わることでもいいですか。
【福永座長】  どうぞ。
【内藤委員】  これは飽くまで今回,「運動・スポーツガイドライン(仮称)」で骨子を作って,今日は「スポーツガイドライン」のところの名称については議論があったのですけれども,意味からすると,「スポーツガイドライン」というのが本当にいいのか,「何々のためのガイドライン」みたいなものがいいのか,そういう議論も本当は必要なのかなと。「スポーツガイドライン」というふうに言ってピンと来るかどうか。今日の議論ではそうじゃないのですけれども,スポーツをする人の増加のためのガイドラインと,そこまで行きませんけれども,何か,「スポーツガイドライン」という言葉自体もそれでいいのか,まだ「スポーツガイドライン」になっても仮称ですので,その辺についても本当はちょっと意見を頂けると有り難いなという気がします。
【福永座長】  今ですか。
【内藤委員】  もしも,ちょっとあれば。
【福永座長】  いかがですか。どうぞ,今の御意見,「スポーツガイドライン」じゃよく分からないだろうと。
【近藤委員】  確かに,「スポーツガイドライン」だと,どれぐらいスポーツをやった方がいいですよとか,何かそういう中身なのかなと,一種,誤解を与えるかなと思いました。それは大事な視点だという点には共感します。いい代替案のアイデアはないですが。
【福永座長】  いいアイデアはないですか。中西先生。
【中西委員】  4ページの上に書かれていますが,これをどう表現するかですよね。4ページに既に「スポーツガイドラインを策定する」というふうに書かれていて,こういう内容でいいのかどうかですね。もし,こういう内容でいいのであれば,これを反映するタイトルにした方がいいですし,もし,スポーツ庁として,もう少し考える,本当にこれがスポーツの意義や価値を述べるものになるのかどうかも含め,考えて,ここの最後の「以上のように」のところを反映させるものにした方が,取りあえず「スポーツガイドライン」となっていますけれども,現在は特にいいアイデアは持っていません。
【福永座長】  ございますか。ディスカッションしましたか。
【宮地委員】  しました。
【福永座長】  それでどうなったんですか。
【宮地委員】  それで落ち着いたのがこれです。
【福永座長】  結局これになったんですね。
【宮地委員】  でも,目的のところには結構,明確に書いてあって,「スポーツ参画人口を拡大する」ということが大きな目標で,参画人口というのは,見る人も支える人も含みますけれども。
【福永座長】  宮地先生の個人的な意見で,これがいいですか。
【宮地委員】  ちょっと抽象的過ぎるかもしれません。例えば,厚生労働省の身体活動指針というと,あれは「健康づくりのための身体活動指針」となっていますので,目的が明確にその枕についています。タイトルだけしか知らない国民に対してもメッセージになる方が良いと思います。
【福永座長】  はい,先ほどの用語のことでは,追加というか,今ここでおっしゃっておきたいようなことはありませんか。これ,きっちり議事録に残りますので。
【宮地委員】  用語というのは,冒頭の定義の議論でもありましたように,ターミノロジー,議論が非常に厳しいです。
【福永座長】  そうですね。
【宮地委員】  もう少し言えば,広くいろいろな方の意見を聞いて決めていかないといけないところだと思います。日本学術会議等でも,スポーツ関連の分科会では,ターミノロジーのことが随分議論されていて,かなりの年数を掛けてもそこがなかなか整理できない現状がございます。これは正に,厳しく用語の説明を,コンセンサスをとりながら書いていくことには大きな壁があると思うので,用語のを学問的に正しく定義するというよりは,分かりやすくその言葉を説明するといったソフトなタッチにするとか,ガイドラインで使われている言葉の解説といったような,少し柔らかいタイトルにして,読むことを助けるための部分だとした方が,本来の意味に合うという印象を持っています。
【大藏委員】  今回,第3章に子供世代からビジネスパーソン,子育て世代,そして高齢者ということで大きく,ある意味,年代別に分けられていると思うんですけれども,多分ここに入ってこない人たちというのもかなりいるんじゃないかなと。要するに,子育てをしない人たちも多いですし,ある時期,ビジネスをしていない人もいるでしょうし,むしろ,ここに入ってこない人たちの方がスポーツに参加しない可能性が高いので,何か漏れないような表現というか,書き方,構成方法というのはちょっと考えた方がいいのではないかなとは思います。
【福永座長】  ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。
【櫻井専門委員】  ビジネスパーソン,子育て世代,高齢者,子供世代というふうに分かれていまして,これはスポーツ庁の方から説明していただいたときに,ここに書かれている人たちは例示として,多分,固まりとしてこういうことということで,ここに書かれていない人たちを対象としていないという意味ではないというふうに僕は理解しています。その上で,要は,大きな固まりとしてということと同時に,どういう課題を持っているかというのがすごく重要だと思っていて,その上で言うと,先ほどの子育て世代の用語解説のところにつながるのですけれども,ここで言っている子育て世代というのが,内閣府が言っている子育て世代ということで捉えたら,確かにちっちゃい子供から大学生を育てている親御さんということになるのかもしれませんけれども,課題で考えたときに,多分それは,手がかかる子供たちがいるからスポーツができない世代に対してどういうアプローチをするのかということが一番大切なのであって,内閣府が定めている子育て世代という人たちがどうなのかということを明らかにすることは,ちょっと意味が変わってくるような気がします。
 これはここの段階でやることではなくて,もうちょっと後で,要は政策のアプローチのプライオリティをどうつけるかということにもつながってくるかと思うんですけれども,スポーツをする人が,逆に言えば,しない人たちがどういう人たちなのかということをもうちょっと構造的に明らかにした上で,その中で課題とアプローチということを考えて,もうちょっと整理をしていかないと,今のように,何となく子育て世代で,子育て世代イコール20代から49歳みたいな,そんな話になっちゃうと,一体,何を議論するのかさっぱり分からなくなってしまうので,その辺をちょっと注意していく必要があるのではないかなというふうには思いました。
【福永座長】  ありがとうございました。ほかにはございますか。あと,七,八分ぐらいになりましたけれども,どうぞ。
【田村スポーツ庁参与】  1点だけ,順天堂大学の田村でございます。近藤先生のお話,私もそういうふうに思っていて,是非,ガイドラインの中に,次につながるような,調査ガイドラインじゃないですけれども,そういうものを同時にしっかりと残していくのが重要だろうというふうに思っています。
 私は糖尿病の医師で,ふだん,行動変容に,いわゆるハイリスクアプローチをずっとやっているのですけれども,糖尿病の患者さんの調査を数年前に全国規模でやったときは,結局,行動変容が起きない一番の問題は医者側にあるというパターンが分かってきた。というのは,糖尿病の患者さんの55%は,ほぼ運動指導を受けたことがないという人なんです。あとは,糖尿病の患者さんを最初にドクターが診ましたと,その患者さんに,必ず運動指導をする医者というのは40%ぐらいしかいない。食事は80%ぐらいいるんですが,運動はいない。どうも,ここがボトルネックになっているということが分かってきて,確かに,多変量解析をやっても,運動の指導を受けている人は運動しているんです。されていない人がしていない。
 私,何が言いたいかというと,多分これは行政も同じような構図なっていて,よく行政に温度差があるとか,自治体に温度差があるとよく聞くんですけれども,運動をしているか,していないかというのは,重要なのかもしれないのですけれども,もっと行政レベルでしっかりと,何がそこに住んでいる人がよく運動する因子なのかというのを,もう少し細かくやっていった方が,むしろ何かいいような気もしています。糖尿病という限られた領域なのでちょっと分からないのですけれども,同時にそういうガイドも入れられるといいかなというふうに思いました。
【福永座長】  どうもありがとうございました。
【近藤委員】  今は年齢別と障害者という見出ししかないのですけれども,健康スポーツ課なので,そういう病気を持っている人というか,運動療法が良好とされている患者さんというのも,健康スポーツ課としてはメインのターゲットの一つなんじゃないのかなというのを,今のお話を伺って感じました。今,医療費の抑制のために透析患者を減らそう,その原因は糖尿病からの腎不全が多いというのはもうさんざん言われています。今のようなエビデンスがあったら,このモニタリングすべき指標の中に,運動指導を受けている糖尿病患者さんの割合をもっと上げるとか。そういうことをしている医者の数を増やすとか。このスポーツ振興のガイドラインの読者として,医師会も対象だというのはあってもいいのではないかなというのを,今のお話を伺って感じました。
【井上健康スポーツ課長】  運動療法というものがスポーツなのかとか,そうなると非常に難しい部分があって,しかもスポーツって,多分,自発的に楽しくというところが一つのメルクマールといいますか,重要な部分だと思いますので,お医者さんから言われて嫌々というのが果たしてスポーツなのかどうかという部分等も,ちょっと議論しないといけないかなという気もしております。
 例えば,リハビリの終わった後の方が楽しくスポーツをしてずっと健康を保つとか,そういった部分はあろうかと思いますけれども,運動療法というところまでスポーツ庁として踏み込めるかどうかというのは,ちょっと議論があろうかなと思います。
【福永座長】  どうもありがとうございます。3時まであと3分ぐらいになりました。特に言っておきたいということはございますか。
【中西委員】  多分,課が違うのでどうか分かりませんが,第2期スポーツ基本計画のパブコメが1月25日に終わったと思うんです。どういう状況なのかというのは,何か健康スポーツ課の方では把握されていないでしょうか。なぜかというと,多分,このガイドライン自体が第2期スポーツ基本計画にのっとってという形で言われているのであれば,そのパブコメに対して,どういう意見がパブコメから出てきて,どういうふうにスポーツ庁として説明責任を果たすのかというあたりがどういうふうになっているか,経過だけでも分かればお伺いできないかなと思いますが。
【井上健康スポーツ課長】  第2期基本計画のパブリックコメントにつきましては,12月27日から1月25日ということでいただいておりました。ちょっと正確な数字まで今,手元にないのですけれども,たしか250件ぐらいのパブリックコメントがございまして,先日,スポーツ基本計画部会とスポーツ審議会の合同の部会がございまして,その中でこういったパブリックコメントの意見が出てきましたと。それを踏まえて今,こういう形でスポーツ基本計画について修正を考えていますという話をさせていただいて,それに基づいて御意見を伺ったところです。たしか,2月15日にその会合がございました。
 そこでの集まった委員の先生方の意見も踏まえまして,3月1日にスポーツ審議会が開かれまして,そこで答申を頂くということになっていますので,そこで最終決定がなされるということになります。それで,3月中には文部科学大臣の決定事項として公表するということになっているところでございます。
 パブリックコメントにつきましても,いろいろな御意見がございまして,全部が全部,反映というわけではないですけれども,ごもっともな御意見とかもかなりございましたので,そういったものにつきましては修正を加え,あと,審議会の先生方からの意見を伺い,来週,最終的な答申が行われることになってございます。
【中西委員】  多分,第1期のスポーツ基本計画は,パブコメの件数が,たしか190ぐらいだったと思うんです。ちょっと記憶が定かではありませんが,多分それぐらいだったと思います。今回250件程度と,要するに,これが日本のスポーツの現実だと思うんです。例えば,何十万人という人がスポーツに関わっているにもかかわらず,250件しか出ないというのが,本当にスポーツって一体何なのかということを語っていると思うんです。だから,そういう意味では,スポーツガイドラインで,本当にスポーツとは何なのか,あるいは,スポーツというのはどういうふうになっていかなければいけないのかを,やはり今こそ語らないといけないのかなと,ちょっとお話を伺って,250件というのは,例えば,10万人ぐらいがスポーツに関わっていたら,なぜ意見を言わないのか,要するに,他者依存的な体質というんですか,何かそういうのが非常に見て取れるなと,感想ですけれども,ちょっと思いました。
【福永座長】  どうもありがとうございました。ジャスト3時でございます。
 それで,今日いただきました貴重な御意見,これを再度,事務局で骨子を整理しまして,委員の皆様に御連絡したいと考えておりますが,よろしゅうございますでしょうか。
 それでは,そのように事務局で作業をお願いしたいと思います。ありがとうございました。大変貴重な会議であったと思います。
 それでは,今後のスケジュールについては,事務局の方から御説明をお願いします。
【井上健康スポーツ課長】  本日の議題に対しまして,まだ御意見は出尽くしていないかもしれませんので,もし御意見等がある場合につきましては,3月2日までに事務局までメールなどで御提出いただければと思います。本日,いただきました御意見や追加の御意見を踏まえまして,今,座長の方からも御説明がございましたけれども,修正したものを委員の皆様方にメールで照会をしたいと思います。御確認いただければ有り難いと思っています。
 それから,次回につきましては,追加の御意見を踏まえまして,改めて御連絡をさせていただきたいと思います。
 以上でございます。
 本日,ファイル,この緑色と灰色の冊子でございますけれども,これは,恐縮ですけれども,お帰りの際には机の上に置いておいていただきたいと思っております。どうもありがとうございました。
【福永座長】  どうも皆さん,ありがとうございました。終わります。

                                                                ── 了 ──

お問合せ先

スポーツ庁健康スポーツ課

電話番号:03-5253-4111

(スポーツ庁健康スポーツ課)

-- 登録:平成29年04月 --