運動・スポーツガイドライン(仮称)策定に向けた作業部会(第2回) 議事要旨

1.日時

平成28年11月21日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 科学技術・学術政策研究所会議室(16階)

3.議題

  1. (1)委員等からの意見発表
  2. (2)意見交換
  3. (3)その他

4.議事要旨

【各委員等からの意見発表について】

○ 各委員から資料に基づき発表があった。

 

【意見交換について】

内藤主査
○ それでは、本日御説明いただいた内容も踏まえて,運動・スポーツガイドライン(仮称)に盛り込むべき観点等について,自由に意見交換を行いたい。

日本スポーツ振興センター
○ ガイドラインの対象は,個人になるのか,それとも自治体になるのか。

内藤主査
○ ガイドラインの対象については,個人も対象とするかも含め,検討中であるが,個人というよりもステークホルダーが中心となるであろう。

日本スポーツ振興センター
○ 先ほどの発表内容は,地方自治体の方々が指針を策定する際の参考になることを前提に御説明させていただいたが,海外では「ガイドライン」と言えば身体活動にものがほとんどで,スポーツに特化したガイドラインはない。スポーツに関するものは,戦略的なものになる。スポーツに関するガイドラインは世界初になるのではないか。先生方からスポーツの価値や効果,安全性等について御意見があったが,このようなことを内容に盛り込み,対象となる国民や自治体などに対してどのような内容を伝えていくかを議論していると思うが,その際に,御留意いただきたい点は,行動変容の部分である。ガイドラインの目的は,最終的には何らかの行動変容を促すことにあると思う。どのような内容でメッセージを出せば,行動変容につながるのかということも材料として入れていく必要がある。

田村参与
○ 座位時間の短縮がスポーツとどのような関係があるかという御意見もあるが,宮地委員がおっしゃるように気づきを生むという点が重要だと思う。

岡委員
○ あくまでも立つことがスポーツや体を動かすことへの入り口の行動だと考えている。体を動かしてスポーツをしていた人たちが座る習慣を身につけてしまったこともあり,「まず立って」と言うことで,その行動が体を動かすことやスポーツの入り口であるという観点で加えていけば良いと考えている。

荒木委員
○ 心臓しんとうの話はあったが,ラグビーでよく言われている,脳しんとうについても加えていただきたい。

島田委員
○ 脳しんとうについても非常に重要なことだと考える。幾つかの競技では,脳しんとうのリスクが高い。SCAT2などのリカバリーのプログラムもあるが,一般的に脳しんとうと診断された場合,原則1週間程度競技には復帰できないことになっている。このような,最新の情報も含めて盛り込んでいくことは大切である。

宮地委員
○ 内科的な疾患について重要であるが,軽微な様々な障害がスポーツ参加を阻害している。
そのことによって,子供には危険なことはさせられないなどもあると考えられるため,整形外科的な傷害をどのようにするかも含め,そのリスクをできるだけ排除することができるかも含めて検討していくことも大事である。

大蔵委員
○ 安全性の話を伺って考えたことが,環境要因について,例えば,床の素材や服装,靴底など,一般的には床が滑って転んで捻挫をしたり,骨折をしたり,といったケースが圧倒的に多いのではないかと思う。そのようなところへの注意喚起も必要なのではないか。

島田委員
○ 環境整備や準備についても大事だと思う。環境整備については,熱中症に対するアプローチも大事である。WBGTを用いて計測し,基準に沿って活動の判断を行うなど,WBGTの数値まで記載するか等についても議論があると思うが,大事だと考える。

岡部専門委員
○ スポーツガイドラインの策定に当たり,ステークホルダーに民間団体も普及に向けて入れていただきたい。その中で,実際に事業を行う立場で言えば,信頼性と分かりやすさに加え,具体性を持たせていただきたい。具体的には,ステークホルダーとして何をしたら良いかを明記していただき,スポーツに触れる,始める,継続することについて,我々も普及に向けて,真剣に取り組んでいきたいと考えている。

全国スポーツ推進委員連合
○ スポーツ基本法では,スポーツ推進委員は責務として,事業の実施に係る連絡調整という役割がある。スポーツ庁が設置され,縦割りが解消されたと認識しているが,地域においてスポーツ推進委員が活動するに当たっては,厚生労働省系の保健福祉部局とうまく連携できていないと聞く。その点について,最初の会議で厚生労働省からすみ分けと言われていたが,部局等関係なく皆が一緒にできるものにしていただきたい。

厚生労働省
○ 厚生労働省の身体活動基準とすみ分けを当初お願いし,それを前提で議論を進めていただいていると認識している。厚生労働省としてもスポーツを推進するに当たって,安全性の観点は重要だと考えているが,その点についても配慮していただけていると考えている。

日本レクリエーション協会
○ 当協会では,現在,スポーツ未実施者をいかに掘り起こし,スポーツへと誘うかに取り組んでいる。スポーツ実施率の向上にもつながると考えているが,そのためにはいかにスポーツの楽しさを伝えるかが重要である。その辺りについては,ガイドラインの趣旨に添うかも含め,検討いただきたい。

宮地委員
○ スポーツを実施する機会が大事である。行動変容のステージに応じて情報を提供し,気づきを与えるようなメッセージをガイドラインとして出していくことは,実施率向上の観点も含め様々な面からも重要である。

日本体育協会
○ ガイドラインは策定した後の啓発の方法をどうするのか。恐らく紙媒体で広く配布すると考えるが,その先の詳しい情報を知りたいと思ったとき,アプローチ方法として,紙媒体が良いのか,SNSなどを活用した方が良いのか,スマートフォンが普及しているためこのようなものを最大限活用していくということを想定しているという理解でよろしいか。

内藤主査
○ その部分は,議論の対象になると考えている。ただ,そのようなことにつながるような盛り込み方をした方が良い。

日本体育協会
○ SCAT2や熱中症予防なども先ほど話に出たが,必要な情報を盛り込んでいくことは重要であるが,情報が増えてしまうと,入り口の部分でつまずいてしまう可能性もあるため,例えば,専門的な情報は日本体育協会等のホームページを案内するなど,アプローチしやすいように入り口の部分を示す方が良いと思う。

内藤主査
○ 机上に第2期スポーツ基本計画の骨子案等について配布されているが,この辺りとの関係性もどのようにガイドラインに盛り込んでいくのかも重要である。御意見,御提案あればお願いしたい。

宮地委員
○ 厚生労働省の健康日本21(第2次)と身体活動基準とアクティブガイドの関係を一つ参考にしていただければと思う。厚生労働省は,身体活動を促すKPIとして,一つ目は日本人の歩数を1,000歩増やします,二つ目は運動習慣者を40%まで増やします,三つ目は都道府県に対して,運動しやすい環境整備に取り組みなさい,これについては全ての都道府県に対して達成するようにということをKPIとして設定している。身体活動基準はそのうち上二つを国民やステークホルダーの一員である運動指導の専門家にいかに伝えるかを考え,国民向けをアクティブガイド,専門家向けを身体活動基準という構成で作られている。厚生労働省の健康日本21(第2次)とアクティブガイドは一心同体で,歩数を1,000歩増やすという基本計画の指標にプラス10というメッセージが対応している。逆に言えば,プラス10でも疾患予防効果があるというエビデンスがあるため,1,000歩増やそうという目標ができている。このガイドラインにもしっかりとした学術的なエビデンス,ファクトを盛り込んで,新しく策定される第2期スポーツ基本計画がエビデンスに基づく政策だということを裏打ちすることが非常に重要な役割だと考えられる。基本計画で何を進めようとされているのかを踏まえ,本ガイドラインを策定していくことが欠かせない。

以上

お問合せ先

スポーツ庁健康スポーツ課

電話番号:03-5253-4111

(スポーツ庁健康スポーツ課)

-- 登録:平成28年12月 --