運動・スポーツガイドライン(仮称)策定に向けた作業部会(第1回) 議事要旨

1.日時

平成28年10月25日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省13階13F1・2会議室

3.議題

  1. 主査の選任等
  2. 有識者等からのヒアリング
  3. 意見交換
  4. その他

4.議事要旨

【主査選任について】


○ 内藤委員が主査に選任された。


【有識者等からのヒアリングについて】


○ 櫻井専門委員,種田参考人,宮地委員からそれぞれ資料に基づき,発表があった。


【意見交換について】


内藤主査
○ それでは,これまでの発表等を踏まえて,意見交換を行いたい。運動・スポーツガイドラインを策定するに当たり,どのような観点を盛り込むべきか。宮地先生からの御指摘の通り,早い段階でイメージを固める必要があると考えるが,まずは,委員の皆様から御意見を伺いながら検討していきたい。

大藏委員
○ 運動・スポーツガイドラインを策定することで,国民にとってどのような効果があるのかを示す必要があるのではないか。厚労省の身体活動基準2013は,国民の健康増進が明確な目的として掲げられているが,本ガイドラインは何を目指すべきか。スポーツ参画人口の拡大というのが一つのキーワードだと思うが,もう少し,委員の中で,具体的なイメージを持っておく必要がある。余り限定的にする必要はないが,ある程度同じ方向をみながら検討する必要があるのではないか。

内藤主査
○ 本ガイドラインは,名称自体も仮称であるため,○○のためのガイドラインといえるような共通認識を持つことが大事だろう。

宮地委員
○ 有識者会議で中西委員からお話のあった,スポーツ価値というのは,各主体がその属性を決めていくという点が非常に印象に残っているが,スポーツに対する価値観は人によって異なると思う。人が幸福に生活するために,スポーツがどのような役割を果たすのかということをしっかりまとめるべきだと思う。

大藏委員
○ 御指摘の通り,国民が本ガイドラインを受け取ったときにどのように感じるかということを意識する必要がある。「スポーツ立国の実現に向けた」や「スポーツ参画人口の拡大」のためと言ってしまうことで,国からの押しつけのような印象を与えてしまってはいけないと思う。

森丘委員
○ 日本体育協会のスポーツ推進方策にある多様なスポーツ享受モデル図の作成に関わった立場から申し上げると,個々人のスポーツ享受の志向性は,幼児期から高齢期にかけて多様に変化するという考え方がベースにあるが,いずれの志向性においても前提となるのはスポーツの内在的価値だと思う。スポーツの内在的価値にかかわる部分をしっかり記載した上でガイドラインを作っていく必要がある。

荒木委員
○ スポーツの内在的価値であるスポーツをして気持ちがいいとか気分が高揚するといったことは,年齢を問わず関係してくるものであり,年齢や性別ではなく,もっと「人」を中心にしたガイドラインを作るべきではないか。

岡委員
○ 有識者会議でもお話ししたが,誰のためのガイドラインを作るのかを決める必要がある。国民がスポーツをする上で,スポーツを支えている人たち向けのガイドラインなのか,国民向けのメッセージを作るのか。ガイドラインの活用主体をどこに設定するかによって,できるものが大きく変わってくる。

内藤主査
○ 事務局ではどのように考えているのか。

事務局
○ 当初は,地方公共団体が,住民のスポーツ参加を促進するに当たっての環境整備に資するガイドラインを策定できないかと考えていたが,国民に広く運動・スポーツを実施してもらうためには,民間企業向けのアプローチも重要であると考えている。運動・スポーツを取り巻く環境は世代によっても異なり,また,スポーツの環境整備を図る実施主体も世代によって大きく異なるため,世代別のアプローチを念頭に置いている。

種田参考人
○ 先ほどのスライドにも提示したが,オーストラリアは「Active Living for All」をまとめているが,ステークホルダーごとに,メッセージが分かれていて,学校へのメッセージ,民間企業へのメッセージ,地方公共団体向けのメッセージなど,様々な観点が盛り込まれている。ビジョン,ミッション,プライオリティなども明確に記載し,全部を総まとめとして作っており,非常にわかりやすくまとまっている。

島田委員
○ 本ガイドラインが対象とする運動・スポーツの定義も大事な点であるが,いかにそれらを実現していくかも重要である。また,アウトカムをどのように設定し,どのように評価していくかについても検討していかなければならない。

日本レクリエーション協会
○ スポーツ基本法では,健康で豊かな生活を営むことは国民の権利であると書いてある。レクリエーションは,楽しんでやることが重要であると考えているが,運動・スポーツを通じて国民の心が元気になるという視点はとても大事だと思う。

笹川スポーツ財団
○ ターゲットとして,スポーツ未実施者も大事だが,不定期なスポーツ実施者もターゲットにするべき。また,例えば,健康づくりのためにウォーキングをしている者が,スポーツの価値に触れることで,他のスポーツに親しんでもらうという視点も大事。複数のスポーツをやるべきだという観点も盛り込んでいく必要があるのではないか。

岡委員
○ 宮地先生の資料にもあるが,「みんなの」という言葉は非常に大事ではないか。

宮地委員
○ 今後,観(み)る,支えるスポーツの普及や,世代別のスポーツを振興していくに当たり,モニタリングをどのように実施していくか。事務局で検討しているものがあれば紹介してほしい。

事務局
○ これまで,スポーツ実施率は,3年に一度世論調査をしていたが,非常に標本数が少なく,都道府県別のデータの比較すら難しい状況にあった。そういった課題もあり,今年度は,インターネット調査等を利用し,より細かいデータもだせるようにしていきたいと考えている。来年度については,まだ概算要求中ではあるが,事務局としては,毎年継続的な調査ができるようにしていきたいと考えている。

田村参与
○ 始めにゴールのイメージを持っておかなければ行けないと思うが,最後の出口を想定したときに,現在,運動・スポーツを実施していない者がどれくらい運動・スポーツに参画させることができたかという指標はとても大事だと思う。今後,事務局でインターネット調査等を実施していければ,より細分化された指標ができると思うので,それらも参考にしながら進めれば良いと思う。また,ガイドラインなどの堅苦しいものになってしまうと,理念は良くても,うまく国民に伝わらなくなるので,櫻井専門委員御指摘の通り,個別にどのようなプランを出していくということも重要ではないか。なお,先日,スポーツ・文化・ワールド・フォーラムに出席した際,スポーツに関する情報を国民に十分伝わっていないという話が出ていた。既存のデータをコネクトしていく,まさにガイドのようなものが必要ではないかと思う。

内藤主査
○ 次回の作業部会は,11月21日に開催するが,作業部会なので,作業をしてもらいながら検討してきたい。2回目の会議をどのようにすすめるのかを共有したい。

宮地委員
○ 委員全体が共通のイメージを持つ必要があるので,みんなで,イメージ図を一枚持ち寄るような作業が必要ではないか。スポーツの価値は,細分化しすぎると,スポーツの価値がうまく伝わらないという懸念もあるが,具体的なメッセージを出していくには,一定のセグメント化も重要。イメージ図を持ち寄って議論すると良いのではないか。「みんなのスポーツ7箇条」のように,メッセージ性のある発信とそれに伴う解説書のようなものを作っていければいいのではないか。

内藤主査
○ 今のイメージは,幼児期運動指針のイメージが近いかもしれない。子供は60分楽しく体を動かしましょうというメッセージと,その解説書を別途作った。また,イメージ図でなくても,目次案のようなものが示せると良いのではないか。また,海外の事例で参考になるものを準備して,検討することも大事だろう。

宮地委員
○ 国民がもっているスポーツの概念を広げることが大事。日本人のスポーツのイメージは,他国と比べても狭いように感じている。みんなが,誰もが参加できるということを発信していくことが重要。そのためには,インパクトのあるワードで発信していくことが重要。


 櫻井専門委員
○ 山ガールなど,ファッションなどの切り口で,スポーツや運動とは違うところにモチベーションがある場合があり,結果的に運動・スポーツにつながっていることがある。こういった点は,定量的な調査では把握できないので,どういったモチベーションが運動・スポーツにつながるのかについても調べることが必要だと思う。

内藤主査
○ 観(み)る・支えるスポーツはどのように盛り込むべきと考えるか。

荒木委員
○ エクササイズという言葉は日本でも余り使わないかもしれないが,海外では,するだけではなく,観(み)る・支えるスポーツの概念も含まれる。そういう新しい言葉を使うことで,定義するとこも一つではないか。

宮地委員
○ スポーツ庁がつくるガイドラインであるため,スポーツというワードも大事。国民の意思をうまく吸い上げることが大事ではないか。

櫻井専門委員
○ クールジャパンもそうだが,クールもジャパンもよく使う言葉だが,組み合わせることで,新しいものが生まれた印象になることがあるので,言葉の設定は重要。

森丘委員
○ 中西先生の資料では「プレイ」が重要なキーワードになっている。

日本体育協会
○ 新たなスポーツ価値意識の多面的な評価指標の開発というプロジェクトを進めている。個人的価値意識や社会意識調査について,インターネットで調査をしており,現在分析をしているところ。そういう結果もお示しできるのではないか。

内藤主査
○ 次回の会議でどのように進めるかの割り振りをしたい。

宮地委員
○ 今回のガイドラインがターゲットとすべきスポーツの定義については,是非検討させていただきたい。あわせて,どのような言葉での発信をしていくべきかについても検討させていただけると有り難い。

内藤主査
○ 事務局案の年代別の視点についてはいかがか。

宮地委員
○ 年代というキーワードと企業,地方公共団体などをマトリックスにしてはどうか。また,する,観(み)る,支えるスポーツの観点をマトリックスに入れ込むことも考えられる。

内藤主査
○ その他,この点を発表したいと言うことでもかまわない。種田先生が教えていただいたようなオーストラリアの事例など,海外の事例についても共有することは意義があると思うので,荒木先生にお願いできないか。また,年代別で考えるのであれば,大藏先生は高齢者,岡先生は働く世代の観点でお願いできないか。なお,障害を持っている人たちの観点は必要ないか。

宮地委員
○ 個人的には,インクルーシブという視点が大事だと考えており,障害者だけを分けて書くこと自体がインクルーシブに反するのではないかと考える。障害者も含めて,どのように対応するのかということを書くことが大事だと思う。

事務局
○ 今の御指摘を踏まえて,割り振りの御連絡をしたい。


以上

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(スポーツ庁健康スポーツ課)

-- 登録:平成28年11月 --