スポーツ審議会(第11回) 議事録

1.日時

平成30年3月26日(月曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省第二講堂

3.議題

  1. 平成30年度におけるスポーツ団体に対する補助について
  2. 独立行政法人日本スポーツ振興センターのスポーツ振興投票等業務に係る平成30事業年度事業計画、予算及び資金計画案の認可について
  3. スポーツ国際戦略部会中間まとめについて
  4. その他

4.議事録

【山脇会長】
  それでは、時間になりましたので、始めさせていただきたいと思います。
  本日は月末、また、期末の大変お忙しい中、また、他部会との掛け持ちと言いましょうか、立て込んでおります中、このスポーツ審議会に御参加いただきまして、本当にありがとうございます。ただいまからスポーツ審議会第11回総会を開催いたします。
  まず、本日の配布資料につきまして、事務局から確認をお願いいたします。

【澤川政策課長】
  失礼いたします。それでは、お手元の議事次第を御覧ください。
  本日は、議題として3つ予定しております。
  中ほど、資料1は、平成30年度におけるスポーツ団体に対する補助でございます。資料2は議題2つ目、スポーツ振興投票、totoに係る平成30事業年度事業計画等でございます。資料3-1と資料3-2は議題3つ目、スポーツ国際戦略部会中間まとめに関連する資料でございます。なお、参考資料1といたしまして、先日開催されました平昌オリンピック・パラリンピック競技大会の結果についてというものを入れております。あと、参考2以下でございます。御確認いただきまして、資料の不足等がございましたら、事務局までお申し付けくださいますようお願い申し上げます。
  事務局からは以上でございます。

【山脇会長】
  ありがとうございました。
  それでは、開会に当たりまして、鈴木スポーツ庁長官から御挨拶をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【鈴木スポーツ庁長官】
  皆様、こんにちは。本当にお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
  先ほど平昌大会の話もございましたが、2月にオリンピック、そして3月にパリンピック、関係されていた方々も大変いらっしゃると思いますが、本当にお疲れさまでございました。
  皆さんの御活動の成果として、オリンピック、パラリンピックそれぞれで前回大会を上回るメダルを日本選手に獲得していただきました。一言で言うと、日本人としては大変いいオリンピック、パラリンピックになったのではないか、選手の活躍を通じて、またスポーツの力が示されたのではないかと思っています。その力を見せていただいた選手団をたたえるとともに、これをまたいい形で次につなげていくというのが我々の仕事だと思っています。
  本日も皆様から忌憚のない御意見を頂きまして、スポーツの更なる振興に努めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【山脇会長】
  ありがとうございました。
  それでは、本日の議題に入ります前に、今もお話がありましたスポーツに関する直近のトピックということで、平昌オリンピック・パラリンピック冬季競技大会の日本選手団の活躍につきまして、勝又オリンピック・パラリンピック課長より御報告を頂きたいと思います。

【勝又オリンピック・パラリンピック課長】
  オリ・パラ課長の勝又でございます。
  山脇会長をはじめ、関係者の皆様方がいる中、非常に恐縮でございますけれども、参考1に基づいて御説明させていただきます。
  平昌オリンピック・パラリンピック冬季競技大会の概要ということで、日程、競技種目、参加選手数は書いてあるとおりでございます。
  日本選手団は、オリンピックにつきましては、選手124名、スタッフ145名、本日は御欠席ですけれども、斎藤委員がこちらの選手団長ということで御参加されました。また、パラリンピックについては、選手38名、スタッフ48名、合計86名ということで、こちらは大日方委員が団長ということで御参加されているものでございます。
  1ページをめくりまして、競技結果でございます。
  まず、オリンピックでございます。一番上に平昌を書いてございます。メダル数が13、入賞が30ということでございまして、JOCの目標が複数の金メダルを含むソチ大会を超えるメダルということでございまして、それを上回り、更に過去最多のメダル数であった長野大会も上回ったところであります。
  競技別のメダル獲得数を下に書いてございます。スピードスケートは全て女子ですけれども、金メダル3つ、フィギュアスケートでは羽生結弦選手が2連覇を達成したところでございますし、また、カーリングでも初めてのメダルを獲得したところでございます。
  パラリンピックはその次のページになります。こちらもJPCの目標がソチを超えるということでございまして、ソチを超える10個のメダル、入賞も13ということで活躍されました。特に左下に写真が出ているアルペンスキーの村岡桃佳選手は金1つ、銀2つ、銅2つということで、合計5つのメダルを獲得されたところでございます。それから、写真が出ておりますスノーボードの成田緑夢選手、クロスカントリースキーの新田佳浩選手も金メダルを獲得されております。
  3ページをおめくりいただければと思います。これらの競技結果は、日頃の選手の努力と大舞台で力を発揮した強さというところかと思いますけれども、JOC、JPC、各競技団体、指導者、所属団体、スポンサー、そして、パラリンピック自体はパラリンピックサポートセンター等の支援があってということでございますが、スポーツ庁でもこういった形で競技力の向上に向けた事業をさせていただいたということを紹介させていただいております。
  ハイパフォーマンス・サポート事業として、メダルが獲得される競技をターゲットに多方面から専門的かつ高度な支援を戦略的・包括的に実施したということと、右側にありますが、ハイパフォーマンス・サポートセンター、JISSとNTCを一体的に捉えた拠点ということで、特に今回、風洞実験棟がスピードスケートのパシュート、あるいはパラリンピックのアルペン種目のメダルにも貢献したということでお話をさせていただいております。
  また、大会期間中には、その下の資料にもございますけれども、現地でオリンピック、パラリンピックでそれぞれハイパフォーマンス・サポートセンターを設置いたしまして、コンディショニングミールを提供したり、トレーニング、リカバリーのサポートを行ったということでございまして、これらの多方面な支援が平昌大会での選手の活躍にもつながったものと認識しているところでございます。
  以上でございます。

【山脇会長】
  ありがとうございました。
  それでは、現地に行かれた方、日本でもいろいろ関わられた方が委員の中におられますので、まず、平昌パラリンピック日本選手団の団長を務められました大日方委員から、現地の様子を簡単に御説明いただければと思います。

【大日方委員】
  たくさんの応援を頂きまして、おかげさまで当初の目標でありますメダル6つ以上を獲得するということをクリアすることができました。
  今回、私の方で日本選手団を見ておりまして、選手たちは非常によく頑張ってくれたなと思っています。それぞれの選手が目標に向かってしっかりと準備をし、その場でもやれることはやっただろうと考えています。
  若い選手、そしてベテランの選手が2人ずつメダルをそれぞれ獲ることができたこと、そして、複数の種目にメダルが分かれたことというのは明るい材料だろうと思います。
  一方で、アイスホッケーやアルペンスキーの男子のように世代交代といったことも次の課題としては考えなければいけないだろうと思っています。
  若い選手ほど、やはりハイパフォーマンス・サポートなどを上手に使って、コンディショニングも整えられることが柔軟にできていたと思いますし、いきなり使うのではなく、4年間の蓄積の中でしっかりと、特に新田選手のようにハイパフォーマンスを本当に上手に使ってメダルを獲ることができた選手たちというのも光ったと考えております。
  また、現地につきましては、観戦する人たちもそんなにパラリンピックを知らない方々も恐らく多かったと思いますけれども、楽しんでいる、演出が上手だったなと感じました。応援が力になるということを日本選手団としても感じましたし、2020年に向けてよい学びの部分というのがたくさんあった大会だっただろうと感じています。
  今後に向けて、やはり4年後だけではなく、8年後、12年後を見据えた強化の体制、そして、パラリンピックにおいては特に若い選手たちをどう育成するのか、裾野をどう広げるのか、そして、それをどう選手評価に結び付けていくのかというところ、長期的な視点に立った対策が必要だろうと感じました。
  本当にたくさんの応援ありがとうございました。

【山脇会長】
  ありがとうございました。
  それでは、続きまして、オリンピック・パラリンピックにおきましてもロシアのドーピング問題とか、オリンピックにおいて選手のドーピング問題があったということも含めまして、日本アンチ・ドーピング機構会長の鈴木委員から一言お願いいたします。

【鈴木委員】
  日本アンチ・ドーピング機構の鈴木でございます。
  私の方からは、アンチ・ドーピングに関しまして、この平昌大会で幾つか特徴的だったと私が考えます点についてお話をさせていただきます。
  まず一点目は、世界のアンチ・ドーピング体制なのですけれども、残念ながらロシア問題というものが終結に至らずに、それぞれ御承知のとおり、ニュートラルアスリートの個人資格での出場等、まだ最終的に解決が至らなかったというのが1つの大きな問題かと思います。
  ということは、何を意味するかというと、次の東京大会までに解決すべき問題が積み残されているということでございますので、これについては今後進めていく、あるいはそれにまさに日本も対応していくべきことではないかなと思っております。
  もう一点は、平昌大会なのですけれども、この平昌大会の前に様々な検査が非常に精力的に行われました。すなわち、最初に申し上げましたような世界の、まだ定まらないアンチ・ドーピング体制のために、このインテグリティを高めたいということで、IOCの発表によると1年間で1万7,000件もの検体を検査したということでございます。そのうち血液が1割近いということでして、前回のソチオリンピックと比べましても非常に増えている状況です。年度でいうと、前年度より7割増しということを言われているということでございます。
  それを行うために、これは日本アンチ・ドーピング機構も参加したのですけれども、5か国の主要なアンチ・ドーピング機関が参加しまして、それにIOCとかWADAとかIF等が入りまして、タスクフォースというものを作りまして、それでどのように検査を進めるかということを進めたということでございます。
  平昌大会中でございますけれども、今回は中立性を確保するということで、Independent Testing Authority、ITAという組織が初めて実務的に参加したという大会になりました。恐らく東京2020では、このITAの関与がより強化されるということになりまして、こことの連携というものも今後重要ではないかと思っています。
  それから、検体ですけれども、IOCの発表によりますと、期間中に3,000を越す検体が検査をされています。ソチオリンピックのときが約2,500件でございますので、500件ぐらい、ソチオリンピックのときもたしか前のバンクーバーより500件ぐらい増えているという話でしたので、本当に検体数が増えている。ということは、同じようなことが夏の2020オリンピックでも起きますので、検査体制の充実が非常に必要ではないかと思います。
  検査ですけれども、情報に基づいたインテリジェント・テスティングと言われることが行われまして、例えば血液も併せて調べるとか、競技種目に併せて調べる、あるいはその人をある程度狙い撃ちにしたような形で調べると、こういったインテリジェント・テスティングが行われていますので、これからこの動きは更に強化されると思っております。
  これらのことがあったにもかかわらず、大会中は現在のところ4件の陽性反応が出ているということで、その中に日本の選手も含まれていますが、これについては今後、解明が進んでいくのではないかと思っておりますので、現在のところはコメントは差し控えたいと思います。
  JADAに関しましては、いろいろ御支援を頂きまして、積極的にチームジャパンの検査、JOC、JPCあるいはNF様と一緒になって教育の啓発活動を行って大会に臨んだつもりでございます。
  それから、大会としましては、先ほどお話ししましたタスクフォースのメンバーに入ったということ。それから、IPCが設置されましたロシアの資格回復に関わる、このメンバーにも専務理事の浅川が関わらせていただきました。それから、世界アンチ・ドーピング機構WADAが啓蒙のためのアウトリーチを開いておりますが、それに対してのJADA職員の参加、それから、DCOを数名派遣させていただいていまして、本当にいろいろな形で関わらせていただいたことに感謝しております。
  以上、述べたことを併せますと、やはりロシアの問題が未解決で、アスリートも世界も非常に不安を感じているということが現状でございまして、それに対していろんなアンチ・ドーピング活動を更に強化する必要があるという状況でございます。したがいまして、我が国においては、2019年、2020年を考えますと、公正公平な環境が整備されるように、人の準備、機器、検査体制の準備というものを早くから進めて、先ほど話しました大会前の検査等に向けて準備をしていかなくてはいけないのではないかと思います。是非、皆様方の御協力をお願いしたいと思います。
  長くなりました。以上でございます。

【山脇会長】
  ありがとうございました。
  今、御指摘になられました平昌が終わりまして、課題を残したまま東京大会を迎えるということで、こちらは特に日本の体制を更に強化して準備していくことが大切だと思っています。よろしくお願いいたします。
  それでは、長年オリンピック・パラリンピックに取材で関わっていただき、今回も現地に行っておられました結城委員に一言お願いしたいと思います。

【結城委員】
  ありがとうございます。
  私、今回、いろんな形でオリンピック・パラリンピックを見てきたのですが、1つ自分にとってキーワードにしようと思ったのが、開催国、そしてそこの人々、社会にとってどういうインパクトを与えたのかという部分でした。
  今回の平昌オリンピック・パラリンピックというのは、事前の安全面での懸念の高さといった時期が続いたことを思えば、無事開催されたということだけでも韓国にはおめでとうございますと言いたいようなものなのですが、ただ、このこととも相まって、やはり関心の高さ、そして、本当の意味でオリンピック・パラリンピックが人々の心に刻まれて何かを残すような、社会変革につながるようなものにつながったのかなという部分で、かなり疑問符が残ってしまったように感じております。
  1つは、オリンピックに関しましては、JADAの鈴木会長がおっしゃったようにドーピングがずっと尾を引いた、そして、当然ながらというか、我々も責任がございますが、直前まで北朝鮮の動き、政治的な流れ、南北融和の話にばかりメディアの関心が向きまして、当然、韓国の人々の関心もそれにほぼ向いていたやに見受けました。オリンピックの競技に注目がいったのは本当に始まってからではないかなと思っています。その前もずっと韓国社会、国内の政治に関心がいっておりましたので、ある意味でオリンピックへの機運を醸成するような期間がほとんどなかったやに見受けています。
  パラリンピックに至っては、これはいろいろ複合事情でしようがない部分もあるのですが、冬季競技でスケート系以外は余り強くない韓国の、しかもパラリンピックはなかなか――金メダルは初めて1個出ましたけれども――メダルが余り量産できなかったということもあり、メディアの関心が非常に低かったです。テレビの放映を地元でずっと見ていましたが、ほとんど中継などはありませんし、まとめたニュースもありません。韓国の選手が嘆いていました。
  我々、日本のメディアの人数ばかりが多くて、韓国のメディアよりもはるかに多い。IPCの会長は、日本はすごいねとよくおっしゃっていましたが、日本の選手にだけ黒山の人だかりができるといったような状況が続いた現地でございました。
  その1つの帰結として、オリンピックもそうなのですが、観客席が埋まらない。これは驚きました。オリンピックなのに、パラリンピックなのに、決勝なのに埋まらない。チケットは売れたのだそうです。ところが、これはよくよく聞いてみると、いろんな割当制とか企業に買っていただいた、自治体に買っていただいた、学校に分けた、いろんな事情でチケットをどうにかはいた。ところが、学校に決まりなのか、午前中の予選にはいらっしゃったけども、午後の決勝にはいらっしゃらないとか、皆さんあちこち回られていらっしゃるのか、一瞬いらっしゃるのだけけども、あっという間に引けて、本当に韓国の選手がメダルを獲ったときに誰もいないとか、何かそういう非常に不思議な状況が多々出て、皮肉なことに、オリンピックでは、今日の観客は練習のときからジャンプに拍手が湧いてすごいなと思ったら、ほとんどが日本人だったという、そういう状況が生じておりました。ある意味で、日本人を褒めている訳ではなくて、そのスポーツに造詣の深いファンが本当に詰め掛けたのかというと、そうではなかったように思います。
  イコール、大日方団長は非常に丁寧におっしゃっていましたけれども、やはり選手への思いというのが、例えばロンドンとかリオでも地元の選手に物すごい拍手が湧きましたから、あの雰囲気が味わえなかった選手はちょっと気の毒かなと私は実は感じましたし、手のひらを返せば、その雰囲気、そして、それが伝わることによって社会がスポーツを通じて1つになったね、この時期、選手たちの活躍、本当に一挙一動、物語を見せられたね。でも、私たちはそれを広義な意味で、そういう思いが残ったのかどうか。日本語で言うと無形のレガシーに当たるような社会変化。そして、オリンピックだけではなく、特にパラリンピックの主眼である認識の変革といったものがどこまで浸透したのだろうとちょっと感じました。
  私、最後の記者会見まで両会長や組織委員会の会長に何が残ったかという質問を随分しました。特にパラリンピックに関しては、ア・ウェルネス、みんなの気付きが得られたのではないかといった程度で終わっているやに聞き及びましたし、なかなか本格的な物事を変えるというところまでいかなかったという論評も地元で拝見しました。
  日本には、もうあと2年ちょっとで東京大会が参ります。ついでに申しますと、IPCもIOCの会長もリップサービスではなくて、真剣に日本の東京に成功してほしいと思っている、期待を本当に込めている部分が端々から感じられまして、この流れを何とか止めてほしいじゃないですが、ソチがあって、リオはそこそこ雰囲気はよかったのですけれども、やはりいろいろ問題があって、今回韓国があって、東京で何とかオリンピックのマジックを見てほしい、パラリンピックのすばらしい認識を生んでほしいみたいな部分が感じられて帰ってきた次第でございます。
  両会長ともに、特にパラリンピックの会長が何遍もおっしゃっていたのは、早くから準備をしてください。機運の醸成というのは、結局は一人一人の国民の皆様が自分事と考えられるかどうか、自分と関連付けてオリンピック・パラリンピック、若しくはその関係を自分で認識できるかどうか、そこにかかっているのだという話をされていた。人々の参画とよく言っていますけれども、組織委員会も一生懸命やっていらっしゃると思いますが、例えば大きなイベントを開催して、そこにいらした方をみんなカウントする。これでは、多分なかなか殻を破れない。
  やはり自分なりにスポーツは何かと、スポーツをするというのはどういうことか。先ほどの健康部会でもございましたけれども、それは一体どういうライフスタイルにつながるのか、自分の生き方につながるのか、そこをみんなが感じ取れて、初めて何かちょっと変化が生まれるのではないかなと自省も込めて、これからにつながればと思って帰ってまいりました。
  すいません、長くなりました。

【山脇会長】
  ありがとうございました。東京への課題が非常によく見えた大会ではないかと思います。
  本部によりますと、平昌は割と期待値が低くて、その割には非常によくやったということなんですけれども、東京大会は非常に期待値が高いので、終わった後、いろいろな準備においても本当に大変だなと感じた次第です。
  私もパラリンピック委員会の委員長としてあちらに行っておりました。評価については、先ほど大日方さんのおっしゃられたことに尽きるのですけれども、特に選手のみならず、サポートのスタッフや全員が一丸となってベストを尽くしたと。そのベースは、やはりパラリンピックが文科省、スポーツ庁に一元化されて、オリンピックと同じような施策、対応を受けた。特にハイパフォーマンスセンターであったり、現地のハイパフォーマンス・サポートセンターというところの効果が非常によく出てきたのかなということで、これまでの努力、こういうことに対して非常に感謝を申し上げたいと思います。
  ただ、世界を見ると、特に非常に好成績を収めるました国などは、やはり日本に比べてまだまだ進んでいるところがあるなということを感じましたので、今までやってきたことを更に進化させていかないと、なかなか世界に追いつけないなという感じを持ちました。
  期間中、現地にたくさん応援に来ていただいたり、支援を頂きまして、本当にありがとうございました。心より厚くお礼を申し上げます。
  それでは、次の議事に入りたいと思います。
  次の議事は、平成30年度におけるスポーツ団体に対する補助について、独立行政法人日本スポーツ振興センターのスポーツ振興投票等業務に係る平成30年事業年度計画、予算及び資金計画案の認可について、それから、スポーツ国際戦略部会の中間まとめ案について、その他の4点につきまして、きょうは御審議、御議論をいただきたいと思います。
  本日は、報道関係者によりまして、会議の撮影、録音を行いたい旨の申出がございまして、許可をしておりますので、委員の皆様方には御承知おきいただきたいと思います。
  それでは、議題の最初の平成30年度におけるスポーツ団体に対する補助について、皆様の意見をお聞きしたいと思います。
  スポーツ基本法第35条により、国は、スポーツ団体に対する補助金の交付については、スポーツ審議会の意見を聞いた上で行うこととなっています。
  なお、本議題につきましては、スポーツ審議会運営規則第5条におきまして、利益相反に関する規定が置かれており、「自己の関係する法人若しくは団体等に関する議題については、審議に参加することができない」とされております。
  これにつきまして、資料1にありますとおり、私が理事を務めております公益財団法人日本障がい者スポーツ協会が補助対象となっております。
  また、事務局で把握しております範囲では、公益財団法人日本体育協会におきましては、友添会長代理、泉委員が、公益財団法人日本障がい者スポーツ協会におきましては大日方委員がそれぞれ役員になっていらっしゃるとのことです。
  このほかに該当する委員がいらっしゃいましたら、それぞれ該当団体に対する補助について、御発言や議決への参加は御遠慮いただくようにお願いしております。
  ということで、私と会長代理である友添委員の関係する団体に対する補助が議題となっておりますことから、本議事の進行につきましては、スポーツ審議会運営規則第6条、「審議会の議事手続その他審議会の運営に関し必要な事項は、会長が審議会に諮って定める」とされております。私の方から、この議事を健康スポーツ部会の部会長であります渡邉委員にお願いしたいと思いますけれども、皆様よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)

【山脇会長】
  ありがとうございます。
  それでは、渡邉委員、申し訳ございませんが、議事の進行をお願いいたします。

【渡邉委員】
  健康スポーツ部会の渡邉と申します。
  それでは、早速、事務局から議案の資料について御説明願いたいと思います。

【澤川政策課長】
  それでは、資料1、「平成30年度におけるスポーツ団体に対する補助(案)について」というタイトルがございますものを御覧ください。
  先ほど山脇会長からお話がありましたとおり、スポーツ基本法第35条におきましては、国がスポーツ団体に補助金の交付を行う場合には、スポーツ審議会の意見を聞くとなっております。今、国会で審議中の平成30年度予算案に盛り込まれておりますのは、以下の4つのスポーツ団体に対する補助金となっております。
  まず1番目、公益財団法人日本体育協会に対する補助でございます。総額4.9億円余となっております。内容につきましては、スポーツ指導者の養成に係る事業でありますとか、スポーツを通じた国際交流、中身としましては、日中韓の交流並びにASEANの交流等が内容となっておりますが、それに対する補助ということでございます。
  なお、額が前年度よりいささか減となっておりますが、これは積算の単価を実績ベースで見直したもの、あるいは事業の開催予定が前年度と変わっているということに伴うものでございます。
  2番目、公益財団法人日本障がい者スポーツ協会に対する補助でございます。総額3.6億円を計上してございます。中身につきましては、障害者スポーツの振興ということで、指導者の各地域への派遣でありますとか、人材の養成といったことでございます。これにつきましても、実績を踏まえて、講習会の開催回数等々を見直しているものでございます。
  あと、(2)は総合国際競技大会への派遣ということで、30年度はジャカルタでアジアパラリンピック等が予定されているということ、並びに(3)では、各大会に向けた事前調査といった経費を盛り込んでいるところでございます。
  なお、この障がい者スポーツ協会に対する補助、前年に比べて減となっておりますが、ここには資料がございませんが、別途、新規事業を立ち上げる予定となっておりまして、その中で障害者スポーツ団体の体制強化であるとか、企業との連携に係る事業を国から委託するといった形で障害者スポーツの振興に引き続き努めているところでございます。
  おめくりいただきまして、3番目、公益財団法人日本オリンピック委員会に対する補助でございます。総額2.9億円余を計上してございます。これにつきましても、国際総合競技大会への日本代表選手団の派遣でありますとか、国際審判員の養成に対する補助を内容としております。特に国際大会への派遣につきましては、同じくジャカルタのアジア大会への派遣という形で経費が増えているところでございます。
  最後4番目、公益財団法人日本武道館に対する補助でございます。これにつきましては前年同ということで、6,000万円余りを計上してございます。我が国の伝統でございます武道の普及・振興を目的としてということで、(1)の古武道保存事業、(2)の青少年錬成大会、(3)の指導者講習会、(4)の国際交流事業などを予定しているところでございます。
  以上が30年度予算案におけますスポーツ団体に対する補助の概要でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【渡邉委員】
  ありがとうございました。
  それでは、この件につきまして、御意見などございましたらお願いいたします。なお、先ほどの利益相反規定に該当する委員につきましては、該当部分についての御発言及び議決への参加は御遠慮いただくようにお願い申し上げます。皆様、いかがでしょうか。特にないですね。
  それでは、本件については、原案どおり了承とさせていただいてよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)

【渡邉委員】
  ありがとうございます。
  短い時間でしたが、私のパートはこれで終わります。司会進行を山脇会長にまたお戻しいたします。お願いします。

【山脇会長】
  渡邉委員、ありがとうございました。
  それでは、続いて、次の議題に入りたいと思います。
  独立行政法人日本スポーツ振興センターのスポーツ振興投票等業務に係る平成30事業年度事業計画、予算及び資金計画案の認可について意見聴取を行いたいと思います。
  文部科学大臣がこれらの計画を認可しようとする際には、独立行政法人日本スポーツ振興センター法第21条により、当審議会の意見を聞いた上で行うこととなっております。
  それでは、JSCの方から資料の説明をお願いいたします。

【望月JSC理事】
  日本スポーツ振興センター理事の望月でございます。
  それでは、資料2と、後ろに参考2という資料がございますので、両方置いていただきまして、御説明をさせていただきます。
  まず、スポーツ振興投票、皆様よく御存じだと思いますけれども、参考2にございますとおり、この制度はいわゆるスポーツくじと呼ばれるもので、スポーツの振興のための財源を確保するために平成10年に制度ができまして、平成13年から全国発売をされてございます。平成25年に法律改正をされまして、国際大会などの試合も対象として通年販売をしているところでございます。
  参考2を1枚めくっていただきますと、年度の売り上げのグラフがございます。平成25年度以降、年度の売り上げが1,000億円を超えてございまして、スポーツ振興のための安定的な売り上げを確保しているということが言えると思っています。
  今年度も3月25日の締め切り、この会議直前までの売り上げは約1,062億、あと1回残してございますので、約1,080億になろうかと思っております。今年度においても例年とほぼ同規模程度の助成財源を確保できる見込みでございます。
  一方で、くじの全体の市場が長期的に減少傾向にございまして、やはり努力をしていく必要があるかなと思ってございます。
  このような状況を踏まえまして、資料2に参りますが、スポーツ振興くじの販売、その売り上げによる助成というスポーツ振興のためのよい循環を作っていくということは、我が国のスポーツ振興を図る上では非常に重要なものと思ってございまして、そのためにくじが果たす役割は大きいと思っています。
  平成30年度の事業計画等につきましては、4つの柱、基本方針に基づきまして業務を推進していきたいと思ってございます。
  1つは、スポーツ振興くじの安定的な売り上げの確保でございまして、これは端的に言えば、いかにスポーツ振興くじをちゃんと売っていくかということです。1つは、効果的、効率的な広告宣伝でございまして、例えば広告の時間帯をいろいろ考える、年5回の集中施策をやってございますけれども、このときに予算を集中投下するなどの工夫によりまして、ネット、テレビあるいはつり革広告などを併用しまして、より効果的な宣伝を行いたいと思ってございます。
  それから、最近はインターネット販売、購入者の4分の3ぐらいがインターネット販売で売り上げを伸ばしてございますけれども、各チャネルの特徴を生かした販売方法の工夫ということで、インターネットを見る方々にとっての広告を見るバナーのところに大きく出す、あるいは指定された曜日に定期的に購入することが自動的にできるような、そういうやり方を工夫するといったもの。
  2つ目は、地域スポーツの振興のための効果的な助成ということもので、助成メニューの見直しは不断に行っていく必要がある訳でございますけれども、地方公共団体あるいはスポーツ団体からのアンケート、ヒアリングなどのそういったニーズを踏まえまして、地域スポーツの振興、あるいは競技団体に対しての効果的な助成を行って参りたいと思ってございます。継続的、安定的な助成財源の確保は、そうした助成メニューの見直しとともにしっかり行っていきたいと思っています。
  また3つ目として、スポーツ振興投票制度自身をしっかりと普及していくことが必要であること。4つ目に、スポーツ振興投票等業務そのものを、情報セキュリティーなどを強化しながら効率的に運営していく必要があるという4点でございます。
  続いて、平成30年度の予算、いわゆる収入支出予算(案)でございます。収入につきましては、これが売上目標となるわけでございますが、くじの売上金は1,100億円を目標としてございまして、払戻金の時効による収入等の6億円を加えまして、1,106億円を収入として見込み、支出の方では売り上げの50%――これは参考2の下に売上金の使途の横棒グラフがございます――売り上げの50%、1,100億円とした場合550億円の払戻金、くじの販売などを行うための運営費につきましては、省令の規定に基づきまして190億円、そして、新国立競技場などの建設等に充てています特定業務勘定への繰入額の110億円を差し引いた結果としての残りが収益となりまして、収益の法定4分の1が国庫納付、4分の3が助成財源として約190億円を地方公共団体あるいはスポーツ団体に対する助成財源として確保することが可能という形で、収入支出予算を計上したいと考えてございます。
  私の方からは以上でございます。よろしくお願いいたします。

【山脇会長】
  ありがとうございます。
  それでは、本件について御意見などがございましたら、お願いしたいと思います。
  なお、本議題につきましても、先ほどと同様、スポーツ審議会運営規則第5条におきまして、利益相反に関する規定が置かれており、「自己の関係する法人若しくは団体等に関する案件については、審議に参加することができない」とされております。
  独立行政法人スポーツ振興センターにつきましては、事務局で把握している範囲では河合委員が職員として勤務していらっしゃるとのことです。また、このほかもし該当委員がいらっしゃいましたら、御発言、議決への参加は御遠慮いただくようにお願いいたします。
  何か御意見等ございますでしょうか。
  それでは、特に御意見はないようですので、本件につきましては、原案どおりで了承させていただきたいと思います。ありがとうございました。
  それでは、次の議題に入ります。
  昨年7月の設置以降、スポーツ国際戦略部会におきましては、スポーツの国際交流・協力における戦略的な推進についての審議が行われてまいりましたが、資料3-2のとおり、中間取りまとめが行われております。
  本日は、部会を代表いたしまして、田邉スポーツ国際戦略部会長から内容についての御報告をいただきます。本日の総会では、田邉部会長から御報告いただいた後、委員の皆様方にも御意見をお伺いして、頂いた御意見も踏まえまして、本年夏頃の答申に向けて更に国際戦略部会において議論をしていただきたいと考えております。
  それでは、田邉部会長、よろしくお願いいたします。

【田邉委員】
  よろしくお願いいたします。それでは、説明をさせていただきます。
  資料は、資料3-1の中間まとめの概要と、資料3-2の中間まとめの2点を使いまして説明させて頂きます。
  平成29年7月7日のスポーツ審議会において、スポーツ審議会令第5条第1項及びスポーツ審議会運営規則第3条第1項の規則に基づき、スポーツ審議会にスポーツ国際戦略部会を設置する旨が承認されました。
  スポーツ国際戦略部会は、本日までに計4回開催し、スポーツ国際戦略について議論してまいりました。このたび、中間まとめを取りまとめましたので、本日、スポーツ審議会委員の皆様に、この中間まとめについて御報告させていただきます。
  それでは、中間まとめの概要を説明させていただきます。
  全体としては、1から3において、意義、ビジョン、ミッションといった本戦略の方向性を示し、4から5において、本戦略を実効的なものとするため、ミッション達成に向けた対策の方向性と具体的方策を実施する際の工夫、取組を示しております。
  1から順に説明いたします。
  まず、スポーツ国際戦略は、平成29年3月に策定された第2期スポーツ基本計画の基本方針の1つである「スポーツで世界とつながる」を実現するものとして、スポーツの国際交流・国際協力に関し、戦略的かつ具体的な施策を展開、促進するためのものです。加えて、我が国は2019年にラグビーワールドカップ、2020年に東京オリンピック・パラリンピック大会と大規模国際大会を控えております。これらはスポーツ分野で国際的プレゼンスを発揮する上でまたとない機会です。
  これらの好機を捉え、2020年以降、長期的な視座に立ってスポーツ国際展開のビジョンと在り方を示し、関係機関が戦略的に、また、自律的に活動するとともに、相互に関連することで、国外では日本の顔が見える一貫性のある施策を打ち出し、国内ではスポーツを通じた社会変革に貢献できるものと考えております。これらがスポーツ国際戦略を策定する意義であり、理由です。
  次に、本戦略の主なビジョンについてです。
  第2期スポーツ基本計画では、「多様性を尊重する社会」、「持続可能で逆境に強い社会」及び「クリーンでフェアな社会」を実現することが提示されています。
  スポーツ国際戦略に基づくスポーツ国際展開では、人々の社会参画や社会的連帯を強化すること及び個々人の健康増進と能力開発等に貢献することをビジョンとして、スポーツを通じて、先ほど挙げた3つの形の社会作りを目指します。
  また、ビジョンの実現に向けて、2021年までの短期的なビジョンとしては、第2期スポーツ基本計画に掲げるビジョンと施策の達成を図ること、そして、2030年までの中長期的なビジョンとしては、スポーツを通じて国際連合の「持続可能な開発目標」に掲げる社会課題に対してスポーツが貢献していくことを目指します。
  次に、ビジョン達成のためのミッションについてです。
  国際的な目標と国内的な目標の両方の達成に寄与するよう、次の6つを挙げております。
  1点目は、共通のメッセージの設定。2点目は、国際スポーツコミュニティへの日本人の積極的な関与。3点目は、国際的な目的と国内的な目的の効果的な連携・接続を図るためのネットワーク構築。4点目は、スポーツ国際展開に向けた体制整備と人材育成。5点目は、スポーツ国際展開の効果を他分野へ拡大するための対話枠組みを構築すること。6点目は、限られたリソースを効率的かつ効果的に投入するためのターゲットの明確化をすることです。
  これらのミッション達成に向けた対策の方向性については、次の5つの観点を挙げております。
  1点目が、共通のメッセージを打ち出すことです。スポーツ国際戦略に基づき、それぞれの関係団体の活動が自然と一体的になるよう、そして、また、そのビジョンが誰にでも理解できるようスローガンが必要になっております。
  2点目が、国際スポーツ界への積極的な参画と仕組み作りです。国内外で相互に好事例を発信、還元するためには、国際スポーツ界へ日本が参画すること、それを促進・支援する仕組みが必要です。そして、また、国際コミュニティにおける有力ポストの獲得や日本人役員の更なる派遣も必要としております。
  3点目が、国内外のネットワークの構築です。人的、物的、金銭的リソースが限られている中、いかに効果的・効率的に事業遂行ができるかということです。スポーツ国際戦略を推進していく鍵となります。このため、国がイニシアチブを執って、スポーツ関係団体が相互に連携が必要となってきます。
  4点目が、体制整備と人材育成です。スポーツ国際展開を担う体制と人材がまだ十分に整っておらず、スポーツに関する海外拠点も乏しい状況ですが、先ほど申し上げたとおり、限られたリソースを有効活用するための環境作りや人作りについても注力していく必要があります。
  5点目が、他分野への波及になります。スポーツは経済活性化及び地域活性化に資するコンテンツを有しております。スポーツ国際展開による効果を他分野へ還元するために、民間活力との連携を含めて、枠組みの構築が必要となっております。
  最後に、今後、述べた方向性を実行に移していくため、具体的方策を実施する際の工夫について述べております。13の項目について列挙しております。
  1点目は、関係機関による行動計画作りです。本戦略が策定された後、各関係機関において行動計画を策定していただく必要があります。
  2点目は、メッセージ、スローガンの設定で、今後スポーツ分野において日本の強みとは何か特定していく必要があります。
  3点目は、国際競技大会等の招致、開催支援で国際的な動向の把握や、それを国内に還元するに当たっては、国際競技大会を戦略的に活用する必要があると考えております。今後、大会招致に当たり、目標を設定していく必要があるとしています。
  4点目は、国際コミュニティへの参画で、国際関係機関に役員等の派遣を行うだけでなく、それにより得た情報等を共有する必要があります。
  5点目は、ニーズ把握です。スポーツ国際展開を図るに当たっては、様々な事業を実施することが考えられますが、効果的なものとするため、関係機関のニーズ把握が必要です。そのための対話枠組み、関係者との連携が必要になってきます。
  6点目は、プライオリティの設定で、限られた資源の有効活用のため、スポーツ国際展開に当たってのターゲット地域やスケジュール等の設定が必要です。
  7点目は、多様な関係者との関係構築で、本戦略に基づき、国内にも国外にも幅広くスポーツ国際展開を図る上でネットワークの構築が不可欠です。
  8点目は、事業の継続性や民間活力との連携についてです。事業の継続性を保つため、スポーツ国際展開の価値を他分野に拡大し、民間企業等が積極的に関与してくるようなインセンティブを設定する等の必要があるとしております。
  9点目が、人材発掘、育成についてです。早期から、かつ効率的に人材育成を図る必要があるとしております。
  10点目が、スポーツの成長産業化への貢献です。スポーツ国際展開は、スポーツの成長産業化に貢献できるため、民間企業がスポーツビジネスに参画することを促進するためのネットワークの構築を必要としております。
  11点目が、地域振興への貢献です。スポーツ・ツーリズムによる対外的な魅力発信等が促進されるよう、地域に対する情報提供等が必要です。
  12点目が、指標の設定についてです。今回の戦略について実効的なものとするため、効果を図ることが必要です。今後どのような指標等とするか議論していく必要があります。
  最後に13点目が、関係機関の具体的活動を支援するための基盤形成です。戦略を実行していくためには、スポーツ庁のみでは実現ができず、関係機関に活動していくことも必要です。そのため、海外拠点の整備や研究活動の促進を図るための支援が必要としております。
  これらがスポーツ国際戦略をより具体的に実行するためのポイントであり、本年夏頃の答申に向け、本中間まとめに挙げた論点を中心に議論を進めてまいります。
  以上がスポーツ国際戦略部会中間まとめの概要になります。
  スポーツ審議会委員の皆様には、中間まとめに対して、今後の議論に向けて御意見をお願いできたらと思います。よろしくお願いいたします。

【山脇会長】
  ありがとうございました。
  田邉部会長には、短期間の間に大変積極的に取りまとめをいただきました。特に5つの点についてしっかり議論をいただき、中間取りまとめの形で取りまとめいただきましたこと、改めてお礼を申し上げます。ありがとうございました。
  それでは、この中間取りまとめ案につきまして、皆様の御意見を頂戴したいと思います。どなたからでも結構ですけれども、御意見を頂けたらと思います。いかがでしょうか。
  では、佐藤委員お願いいたします。

【佐藤委員】
  佐藤です。今のスポーツ国際戦略部会の中間まとめについて、おおむね方向性は理解しました。
  ただ、昨今のスポーツ庁を取り巻く議論の中で、スポーツビジネスに関する内容を多く見聞きしております。また、スポーツ基本法第2条の基本理念の6項にはプロスポーツに関する記載もありますし、以前のスポーツ振興法との違いの1つに社会背景の変化ということがありまして、その中にはプロスポーツについても議論されていたのかなと記憶しております。
  さらに、今年の2月に実施された平昌オリンピックにおいて銀メダルを獲得したスノーボードの平野歩夢選手は、アメリカのESPNというスポーツを専門としたテレビ局がありますが、そのスポーツ中継のエックスゲームズを主戦場にしてプロ選手として活躍しているということは皆さん御存じかと思います。最近、そのほかにも多くのアスリートがフルタイムで活躍し、プロ宣言する選手も増えてきております。
  それを考えますと、今回のオリンピック・パラリンピックがすごく注目されておりますが、つまり主戦場がそれだけではなくて、国際戦略としてもっと視点を広げて、プロスポーツも含む大きな視点での戦略を考える必要があるのではないかと思っております。それがスポーツビジネスの戦略と相まって、新しい国際戦略になっていくように思っております。
  この国際戦略に関しましても、また日本版NCAAに関しましても、スポーツ基本計画において今後5年間で取り組む施策として1番に挙げている「スポーツ参画人口の拡大」や、特に私は以前も話していますが「子供のスポーツ機会の充実」ということが推進されないとやはり難しいかなと思っております。また、常にそれが大変重要と考えております。
  アメリカでは複数種目の経験者が多く見られていますし、高校でのスポーツ参加者は日本の比較にはなりません。その延長にNCAA人気がありますし、ビジネスにも反映され、競技力の向上にもつながっていると思います。
  先ほど御説明にありましたように日本は人口減少期であり、少子高齢化の中で子供たちが減っております。やはり今の日本のスポーツ環境を考えますと、子供たちに複数種目のスポーツ経験をする機会を与えて、将来的に人々が多くのスポーツに興味が湧くようにすることが、スポーツビジネスの戦略、そして国際戦略につながっていくものと考えております。
  今、子供たちのスポーツも国内では各地で様々な大会等が数多く、大変盛んに行われています。今後は子供のレベルにおいても各地域で海外の小学校、中学校、高校の各カテゴリーの中で選手を呼び込むようなイベントが数多くあればいいのかなと思っております。海外では地域レベルでそのような大会等を非常に多く取り入れています。実際、子供のときから世界の競技レベルを知るということは、私自身がトップアスリートの中で生きてきましたので、競技力向上においても大変重要かなと思いますし、競技力向上を含めた国際戦略、スポーツビジネスの戦略にも役立つと考えております。以上です。

【山脇会長】
  ありがとうございました。
  迫本委員、お願いします。

【迫本委員】
  この中間まとめを拝見しまして、非常によくできているのではないかと思いました。これだけのミッション、ビジョンを掲げ、また、各論まで目配りの行き届いたまとめ案を作られたこと、各委員の先生方々、また、スポーツ庁の方々に敬意を表する次第です。
  私も今、佐藤委員が言われた点はすごく賛成なので、1点だけ補足というか、意見を言わせていただけたらと思います。前も申し上げたかもしれませんが、いつも思うことは、国の民間に対する関わり方というのは、基盤作りを国がやっていって、そこで民間が自助努力で活性化できるようなフィールドを国が作っていくということで、いわばマーケットメカニズムが働くところは極力民間でできるようにしていって、そうでないところを障害者の方とか、トップアスリートも入るかもしれませんけれども、国が助成していくということで、基本的には基盤作りだと思っております。
  これはすごくよくできていると思って、今、佐藤委員が言われたようなビジネス的な目線、それから、ビジネスじゃないようなところをやるに当たっても、7ページの(9)に書いてあります中長期での計画的な人材発掘及び育成の推進ということは非常に重要になるのではないかと思っております。
  8ページの冒頭のところに4つポツがあって、スポーツ界以外の他分野における人材発掘の仕組みの構築というのがあるのですけれども、これはどういうことを意味するのか、佐藤委員が申し上げるようなことに関して、大きく分けて2つあるのではないかと思っています。
  1つは、ビジネスですとかマーケティングができる人材というのはやはり必要なんじゃないかなと思っていて、プロスポーツにしても、どうビジネス化していくかという発想で考える必要があるのではないか。もう一つは、プロデューサー能力のある人材。プロデューサー能力のある人材とビジネスのできる人材は重なるところもあるのですけれども、微妙に違っていて、すなわちお金儲けにならなくても、イベントしてきちんと成功することができる人間というのはプロデューサーとしての手腕があるということになると思いますので、その2点を御配慮いただいて、人材育成に取り組んでいただければ、これは中長期的に必ず日本のスポーツ界にとってのプラスになるのではないかと思いました。以上です。

【山脇会長】
  非常に重要な具体的な御意見を頂戴いただき、ありがとうございました。
  ほかに。結城委員、お願いします。

【結城委員】
  ありがとうございます。御苦労さまでございました。すばらしいと思いました。
  私も、多分もうこれは御議論の中であるのだろうなと思いつつ、スローガンとか、これからの国際交流、若しくは世界とつながるというときに是非忘れないでおいていただきたいなと思う、私なりの視点をちょっとだけ述べさせていただければと思います。
  これは世界とつながるというのは、結局、スポーツ基本法、基本計画の柱である。1つは、スポーツとは何ということを見つめて、そして、私たち自身にも何か生かせればという部分が入るべき、もちろん入っていらっしゃるのだろうと思います。
  この流れを拝読していて、もうちょっと深めて表現をしていただければなと思うところが、海外から学ぼうよという視点です。私、オリンピックもそうだと思っておりますが、そういう大きなスポーツの祭典で世界を迎える機会というのは、自分たちの現実、アイデンティティも含めて、よきも悪きも含めて突きつけられる場面になります。自分たちが足りないところ、世界の常識、非常識、そのあたりが間近に分かり、そして、私たちは何をこれから選択していくのという問いにもある意味で答えを出して迎えるのが本来のすばらしいスポーツの使い方ではないかと感じています。
  そのためにも、世界とつながるときに、サステナビリティというのが当然キーワードの1つになっている。日本が例えば途上国にスポーツでつながろうとすると、どうしても向こうも期待なさるでしょうから、教えてあげましょうか、指導してあげましょうかが前面になると思うのですが、じゃあ、何をもってサステナビリティというのか。
  我々、この日本の未来でじり貧と言われる未来がありまして、人口もじり貧、お金もひょっとしたらじり貧という中で、ここでいいんだよと、もうこれでいいんだよと――これでというのは、そんなに最先端じゃなくていいんですよと。途上国で教えるときはプールをどこに、池をどうやってプールにしようかから始まると言われますけれども、そこに根付くためには、その人たちができ得る範囲でのスポーツという意義付け、溺れちゃ困るでしょという意義付けであるとか、指導者は誰にやってもらうのという話からしないといけないとよく言われますね。その中で日本は何を学べるのか。日本が、逆に言えば、それでもスポーツはできる、それでも楽しめる、それでも広まれる、つながれるということを学べていけば、これは逆にいえば、都心ではない部分でスポーツをどうしましょう、高齢者の皆様とか、いわゆるローテクの部分でどういうスポーツを広げましょう、そういうところに資する可能性だってあるわけですね。そういうお互いに何か得ましょうよという視点を持って世界とつながるというのは、私はとても大事なことかもと思っています。
  あと、欧米に関しましては、それこそ私どもがずっと話をしているスポーツ実施率ですね。人々はスポーツをどう捉えて、文化って何? スポーツをするために私は健康でいたいから頑張っているみたいな、そういうことをおっしゃる、逆の発想をされるのはどうして? スポーツ実施率が高い国であればあるほど、若しくは低ければそれなりに、私たちがなぜ、どういう位置付けであるのかを学べる機会もあるはずと思います。そういったことをある意味で共有することによって、日本がこれからどこに行くのかという問い、価値観の転換などにもスポーツがちょっとだけでも資することができたらおもしろいなと思います。

【山脇会長】
  ありがとうございました。
  ほかにございませんか。できれば皆さんに一言ずつでもコメントを頂きたいと思います。では、藤田委員よろしくお願いします。

【藤田委員】
  失礼します。この辺は私のテリトリーではないのかもしれませんが、世界とつながるのは、多分トップアスリートだけではないと思います。スポーツに取り組ませたい子供たち一人ひとりが本当に世界とつながっていってほしいなと思いますし、そういったことを考えるときに、体制整備であったりとか、関係団体と共有して共通のメッセージを発信していったりするときに、やはり足元の組織や、足元の関係団体とかにも目を配っていっていただけたらと思います。子供たちが取り組んでいる地域スポーツの中にはオリンピック種目ではない小さな競技団体もありますし、学校教育の中には、スポーツ、体育関係団体もあります。そういったところも視野に入れて国際戦略というところを進めていってもらえると、本当に子供たち一人ひとりが直接世界とつながってくるのではないかなということを感じました。以上です。

【山脇会長】
  ありがとうございました。
  渡邉委員、お願いします。

【渡邉委員】
  すばらしいまとめ、健康スポーツ部会の方もこれから参考にさせていただきたいと思います。
  まず、構成が非常にすばらしいと思います。大きなところの意義から、ビジョン、ミッション、方向性、工夫、取組と落とされていて、非常に読みやすいと思います。こちらの資料3-2も具体的な内容が書き込まれていますので、非常に参考になると思います。
  私たちはこの審議会の中で最上段に位置する目標というのは、多分未来を作るということだろうと思います。国際戦略部会の中は、その中で殊更世界とつながるというところを強調されていまして、健康スポーツ部会の方は、恐らく人生とか社会、それが未来を創るという最上段の目標につながるような展開をこれから作っていかなければいけないと思いますが、いろいろ両部会とも協力をしていかないと目標達成にはつながらないということ。
  国の内外を通じて、今一番大事なことは、関係機関による行動計画作りであると思いますが、やはりネットワーク、プラットフォーム作りというのが一番大事だと思います。先ほど何名かの委員の方からお話しがありましたけれども、イニシアチブはスポーツ庁が執るのだけれども、実際にそこのネットワークで協力する、あるいは主体的に行動するところには民間の方が携わってくると思いますので、そこのネットワーク強化というところを両方の部会で共通認識として作り上げていったらいいかなと思います。
  そして、スポーツ庁のイニシアチブの執り方というのも、国の内外つながりはあるのですけれども、これはやはりやり方が多少変わってくるところもあると思いますので、そこの連携というのを両部会でしっかり考えていったらいいかなと思います。
  それと、先ほどプロデューサー人材とビジネス人材の違いについてのお話がありましたが、やはりプロデューサー人材的な教育、育成というのは、大元のところと主体的に動く現場のところと両方必要になってくると思いますので、ここの部分については、これからしっかりと計画を立てて、着実なる実行が必要なのかなと思って聞いておりました。
  ちょっとまとまりはありませんけれども、要は、協力して一緒に目標実現にやっていきましょうというメッセージでした。

【山脇会長】
  ありがとうございました。
  庄野委員、お願いいたします。

【庄野委員】
  庄野です。大変理論的に、説得力のあるまとめを見させていただきまして、参考になりました。
  日本という国は平和で、特に若い人たちはあまり競争をしたがらない、目立つのが嫌、みんなと同じでいいと言った内向き志向、表面的に仲よしこよしでやっているような若者たちが、もっともっと世界を知ってもらうことで、自分の悩みが小さいものであることに気づいたり、視野が広がって欲しい。スポーツは言葉が分からなくても通じるものだと思いますので、是非そういった意味で、世界とつながる国際戦略が日本人の、特に若い人たちの意識、子供たちの意識をどんどん変えていって、インターナショナルな、グローバルな、多様性をちゃんと分かろうとする人たちに育っていってほしいなという思いがあります。
  それともう一つは、ビジネスなりイベントを開催されるときに、日本ではあまりテロみたいなことは想定していないと思うのですけれども、世界各地どこでもテロや災害の危険性がありますので、そういったことに対する安全確保対策も国際戦略の中で今後示していただければと思います。以上です。

【山脇会長】
  ありがとうございました。
  泉委員、お願いいたします。

【泉委員】
  日本体育協会としては競技団体を抱えていることもございまして、今回この中間まとめの中で国際競技大会あるいは国際会議の戦略的な招致、開催の支援ということをしっかりうたっていただいて、本当にありがたいなと思っております。
  ただ、支援をするという文面だけですので、どういった支援が今後できるのか、具体的にまた御検討いただければと思っております。
  といいますのが、世界選手権クラスの国際大会を開催すると、水泳でも陸上でも100億円以上掛かりますし、金額的な問題もさることながら、招致をするときの責任は、シティにあります。今、日本は国として表へなかなか全面的に出られませんので、シティが100億なら100億の最終的な責任を持つというサインをするのです。これは諸外国の場合と大きく違ってきており国際大会を招致するためのいろいろな具体的な支援、研究を是非していただければと思います。
  それともう一点が、(11)番のスポーツの国際展開の地域振興への貢献ですが、2021年にワールドマスターズゲームズ関西の大会がオリンピックの翌年のビッグイベントとして開催されることになっております。これは非常におもしろい大会で、競技力向上だけではなくて、スポーツ・ツーリズムといいますか、観光とセットしたような大会で、非常に広範囲で、大阪、京都含めて近隣県が9府県で総合的に開催する大会です。外国から2万人、国内から3万人、合計5万人のスポーツ・ツーリズムの大会をやるということで、今までにない1つの切り口かなと思っており、我々としてはしっかりと応援していく必要があると考えております。以上です。

【山脇会長】
  ありがとうございました。
  あと、河合委員、いかがでしょう。

【河合委員】
  ありがとうございました。本当に分かりやすくまとめていただいているなと思っております。
  私も、これまでパラリンピック大会に出たりとかという形での国際的なつながりとか、今、様々な形で国際機関とのやりとりというものも生まれてきておりますし、JICAとかを通じて、スポーツボランティアとして海外に行ったりという経験等もありましたので、そういったものも非常に網羅いただいているなと思っております。
  更に、人材育成と先ほど話にもありましたが、やはりIF等の役員とかそういったところに向けて、そういった支援ということも検討されているということ。さらには、2020年以降のレガシーにもつながってくることかと思いますが、定期的にしっかりとパラの水泳、スポーツの様々な国際大会等も招致していく。先ほど泉委員からもありましたように、障害者のスポーツ団体はその辺がもっと組織が脆弱なところがございますけれども、試合の規模としては非常に大きなものになってくることでの負担感というのは非常に大きいのは事実かと思いますので、そういった点も配慮いただきながら、本当に世界とつながっていくツールとして、スポーツがしっかりと生かされていくような戦略ができればなと思っておりますので、引き続き御検討のほどよろしくお願いしたいと思います。

【山脇会長】
  ありがとうございました。
  では、大日方委員お願いします。

【大日方委員】
  私はスポーツ国際戦略部会の方に関わらせていただきまして、田邉委員と一緒にまとめさせていただきました。本当にありがとうございます。
  私、この取りまとめの方には入っておりましたので、この中というよりは、少し平昌のパラリンピックを見た後での感想のようなものをお話ししたいと思います。
  これをいろいろ振り返って見ておりますと、やはり日本の中の人材が、ちょっと言葉を選ぶのが難しいのですけれども、国際的な動向を知っている人材と、非常にローカルで動いている人材がいるという中でかなり情報の乖離があるなと感じました。
  今後は日本もスポーツにおける、いわゆるグローバルな動向ということをしっかりと国内でも伝えていくこと。それから、人材も特化した人材を作るだけではなくて、国際に通じた人材を広く増やしていくことも必要なのではないかなと感じました。
  パラリンピックに行きますと、実際、IPCの理事会でどんな人がどんな話をしているのかなというのも、団長としてわずかではありますが、見ることができて、今後はこういったことをどう日本の中につなげていくのかということも私たち見た人間の責任なのだろうなと感じています。
  あと、国際大会招致というお話がありましたけれども、パラリンピックの現場で実際に何年後のパラリンピックの世界選手権を日本でやってほしいんだみたいな話がぱらっと出てくるのですけれども、それは誰に伝えたらいいのか。伝えたとして、それこそ誰が責任を持つのだろうみたいなところ、一義的にはもちろん競技団体だとは思うのですけれども、競技団体といったときに、それで英語が話せる人間が1人しかいないとか、またこういう話に戻っていってしまうので、ずっとこの五、六年言っているようなスパイラルをどこかで変える必要は、この国際戦略の中の重要な、今後の取組としては必要なのではないかなと。
  そういったことも含めて、特化した人材だけではなく、情報の偏りがないようにスポーツ界全体で引っ張っていくことも国際戦略部会の中では重要であるということを改めて感じました。以上です。

【山脇会長】
  ありがとうございました。
  それでは、鈴木委員、お願いいたします。

【鈴木委員】
  大変分かりやすくおまとめいただきまして、この具体的方策というところを拝見すると、自分の実際関わっているところのイメージが非常によく分かるなと思いました。
  その中で特に具体的な取組等の(9)番のところで、中長期での計画的な人材発掘及び育成の推進というところで特に申し上げたいと思いますが、まず1点は、アンチ・ドーピングコンソーシアムというのを幾つかの大学で作っていただいて、そこでいろんな検討、研究をしていただいた。それを拝見すると、我々に非常に有用な情報、科学的な情報がアンチ・ドーピングに関して得られていると感じます。
  これらの先生方、研究者あるいは医師というのは、直接はもともとアンチ・ドーピングに関わっていない方だったのですけれども、そういう方をこういうコンソーシアムということで取り組むことによって、彼らが今までやっていた研究の方向性が、まさにアンチ・ドーピングと重なるということがよく分かりました。
  そのように、ここにスポーツの知識だけでなく、医学的知識等も必要であると書かれておりますけれども、従来のスポーツ科学とはまた違う視点からの、アカデミアからの関わり方もあるのではないかなと感じております。
  もう一点は、国際スポーツコミュニティへの積極的な参加の(4)番とも関わるのですけれども、やはり人と人のつながりは非常に重要でございまして、私が関わっている世界アンチ・ドーピング機構につきましても、非常に人とのつながりが強い。特にその中で見てみますと、オリンピックの経験者であり、メダリストでありながら、その後、医師になって、そして、その両方を経験したということを基にアンチ・ドーピングに関わっていらっしゃるという方が複数名いらっしゃいます。
  そういう形で、ここに書かれているように、国際経験のある人材を再トレーニングとありますが、このようにスポーツの世界の中でもそれぞれの特性を生かして取り込んでいくということ、これが必要ではないかと思います。
  それにはやはり本当に短期的では無理なので、ここに書かれております中長期的、計画的なということが非常に重要になってくるのではないかと思っております。以上です。

【山脇会長】
  どうもありがとうございました。
  きょう頂きました議論と、それから、中間取りまとめでまとめていただきましたところで、この国際戦略部会、世界とどうやってつながるかということについては、ほぼ論点が整理されたと思います。
  この問題は非常に大きな問題で、今もおっしゃられたとおり、短期的に、特に2020年に向けて緊急にやらなければいけないという部分と、特に人材育成については、本当に中長期的な、ひょっとすると1世代ぐらいかかる子供の頃からの教育というところにもなってまいりますので、この2点をより具体的に、特に(5)番の具体的な取組をきょうの意見も含めて、大変忙しいですけれども、夏までにどこまで具体的に行動計画として、中長期的なものは少し目標だとか、どういうロードマップを書くかということになるわけですけれども、より具体的にどのように書き込めるかということが、まことに申し訳ありませんが、今後の戦略部会のお仕事といいましょうか、していただきたいと思っております。
  それから、いろいろありましたけれども、国際はやはり個人だけじゃなくて、ネットワークをいかに作るかというところがありまして、そのためには多様な人材も必要ですし、民間とかいろいろビジネスの部分で既にかなり構築してきた部分が意外に役に立つと。私も6年前にこれを始めて、自分の作ったネットワークとか経験が相当役に立ったなということがありますので、たまたま経験したことを持ち込む、又はできるだけ若いうちからそういう経験をさせていくことが多分ここのことにつながるので、スポーツだけに限らず、いろんな分野と連携して、日本が持っているネットワークをフル活用して、これに進んでいったらいいのではないかなと思いました。
  ということで、次の夏までの答申で更に作業を進めていただかなければいけない部分がありましたけれども、この夏の答申に向けて、更に田邉部会長の下、議論を進めて、取りまとめをいただきたいと思います。
  きょうはまだ時間が残っておりますけれども、このあたりでもし御意見等々なければ、そちらの方から特にいいですか。

【澤川政策課長】
  よろしいです。

【山脇会長】
  なければ、次回、取りまとめがありましたら、7月か8月ぐらいに更に総会で御意見を頂戴して、この中間取りまとめを答申という形にして出したいと思っております。
  日程につきましては、また事務局の方から後日調整の上、御連絡をしたいと思います。
  あと何か事務局からございますか。

【澤川政策課長】
  若干補足させていただきますと、7月から8月に次の総会を予定しております。大きく議事は3つ予定しておりまして、本日御意見を賜りましたスポーツ国際戦略部会の答申を御審議いただく予定でございます。
  併せて、渡邉委員が部会長を務めておられます健康スポーツ部会でも今、議論が進められておられますので、可能であれば答申という形でお諮りしたいと思います。
  あと3点目の議事といたしましては、第2期スポーツ基本計画、昨年3月に策定いたしましたが、それの実施状況の検証ということで、29年度のデータが大分出そろう時期かと思いますので、それを踏まえまして、実施状況の評価を行っていただきたいと、主にその3つの議事を予定しているところでございます。
  日程につきましては、また事務局から調整させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【山脇会長】
  ありがとうございました。
  それでは、本日はこれで第11回のスポーツ審議会総会を終了させていただきます。皆さん、どうも長時間にわたり、ありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

スポーツ庁政策課