スポーツ審議会(第10回) 議事録

1.日時

平成30年1月19日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省第一講堂

3.議題

  1. 会長の選任等について
  2. スポーツ審議会について
  3. 第2期スポーツ基本計画の実施状況の検証・評価
  4. その他

4.議事録

【澤川政策課長】皆様、よろしいでしょうか。そろそろ定刻となりましたので、ただいまからスポーツ審議会の第10回総会を開催いたします。皆様、大変お忙しい中、御出席いただき、誠にありがとうございます。

 また、本日は、第2期審議会の最初の会議に当たります。後ほど会長をお決めいただくことになっておりますので、それまでの間、便宜的ではございますが、私、スポーツ庁政策課長の澤川が議事を進めさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 まず、配布資料の確認をさせていただきます。お手元、議事次第を御覧ください。資料1が第2期審議会の委員名簿、資料2-1、2-2、2-3が、審議会の概要、関係法令、部会の設置についてとある資料でございます。資料3が今後のスケジュール(案)、資料4が、後ほど御説明いたしますが、平成30年度予算(案)、スポーツ庁関係の主要事項、資料5が、第2期スポーツ基本計画に基づき実施された具体的施策という形になっております。あと、参考資料を載せてございます。

 このほか、机の上に、人事異動通知書、スポーツ審議会委員の発令に係る辞令を置かせていただいております。よろしくお願いします。

 また、資料につきまして不足等ございましたら、事務局までお申し付けいただきますようお願いいたします。

 それでは、本日御出席の委員の方々を御紹介させていただきます。アイウエオ順で紹介させていただきます。

 最初、泉正文委員でいらっしゃいます。

【泉委員】泉でございます。日本体育協会の所属でございます。よろしくどうぞ。

【澤川政策課長】大日方邦子委員でいらっしゃいます。

【大日方委員】おはようございます。大日方です。よろしくお願いいたします。

【澤川政策課長】河合純一委員でいらっしゃいます。

【河合委員】おはようございます。日本スポーツ振興センター、河合です。よろしくお願いいたします。

【澤川政策課長】齋藤泰雄委員でいらっしゃいます。

【齋藤委員】JOC副会長の齋藤です。よろしくお願いいたします。

【澤川政策課長】境田正樹委員でいらっしゃいます。

【境田委員】おはようございます。東京大学理事、弁護士の境田と申します。よろしくお願いいたします。

【澤川政策課長】迫本淳一委員でいらっしゃいます。

【迫本委員】迫本です。はじめまして。全日本学生ハンドボール連盟の会長もさせていただいております。よろしくお願いします。

【澤川政策課長】庄野菜穂子委員でいらっしゃいます。

【庄野委員】庄野です。よろしくお願いいたします。

【澤川政策課長】鈴木秀典委員でいらっしゃいます。

【鈴木委員】おはようございます。日本アンチ・ドーピング機構の鈴木でございます。よろしくお願いいたします。

【澤川政策課長】なお、高橋はるみ委員は後ほど御出席と伺っております。

 田嶋幸三委員でいらっしゃいます。

【田嶋委員】田嶋です。よろしくお願いします。サッカー協会の会長をしております。

【澤川政策課長】田邉陽子委員でいらっしゃいます。

【田邉委員】おはようございます。田邉陽子です。よろしくお願いいたします。

【澤川政策課長】友添秀則委員でいらっしゃいます。

【友添委員】おはようございます。友添でございます。よろしくお願いします。

【澤川政策課長】藤田弘美委員でいらっしゃいます。

【藤田委員】福岡から参りました藤田でございます。よろしくお願いいたします。

【澤川政策課長】山本一郎委員でいらっしゃいます。

【山本委員】山本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【澤川政策課長】山脇康委員でいらっしゃいます。

【山脇委員】山脇でございます。よろしくお願いいたします。

【澤川政策課長】結城和香子委員でいらっしゃいます。

【結城委員】結城と申します。よろしくお願い申し上げます。

【澤川政策課長】渡邉一利委員でいらっしゃいます。

【渡邉委員】おはようございます。渡邉と申します。よろしくお願いします。

【澤川政策課長】最後になりますが、高橋はるみ委員が、今、いらっしゃいました。

【高橋(は)委員】高橋でございます。よろしくお願いいたします。

【澤川政策課長】また、本日、所用により御欠席の連絡を受けておりますが、宇津木妙子委員、佐藤満委員、高橋尚子委員の3名の委員がいらっしゃいます。

 次に、スポーツ庁、事務方の出席者を紹介させていただきます。

 長官の鈴木でございます。

【鈴木スポーツ庁長官】鈴木です。よろしくお願いいたします。

【澤川政策課長】あと、遅れて参りますが、文部科学審議官の小松、スポーツ庁次長の今里がおります。

 あと、文科省総括審議官の中川でございます。

【中川総括審議官】中川でございます。よろしくお願いいたします。

【澤川政策課長】あと、以下、座席表に記載のとおりでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、議事に移らせていただきます。本審議会の会長を最初にお選びいただきたいと思います。会長の選任につきましては、スポーツ審議会令第4条第1項の規定によりまして、委員の互選により選任することとされております。どなたか御推薦いただけませんでしょうか。

 泉委員、お願いいたします。

【泉委員】スポーツ審議会の会長には、山脇委員がふさわしいと思っております。推薦の理由でございますが、第1期の審議会も会長をお引き受けいただきまして、昨年3月に策定をいたしました第2期スポーツ基本計画も、指導力を発揮していただきまして、すばらしい成果が出せたと思っております。また、会社の役員も長くされて、見識も大変広い、加えて日本パラリンピック委員会の委員長、そして国際パラリンピック委員会の理事というお立場もございまして、現場に大変精通されているということが、推薦の理由です。

 以上でございます。

【澤川政策課長】ありがとうございます。ただいま、泉委員から会長に山脇委員の御推薦がございました。いかがでございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

【澤川政策課長】ありがとうございます。それでは、山脇委員が会長として選任されました。恐れ入りますが、山脇委員には会長席にお移りいただくとともに、一言御挨拶を頂ければと思います。

【山脇会長】皆さん、おはようございます。山脇でございます。ただいま、ここに泉委員から過大なお言葉を頂きまして、ありがとうございました。皆様方に、第1期に引き続き、第2期のスポーツ審議会会長に選任を頂きましたことを、本当に光栄に存じております。誠にありがとうございます。

 1期に引き続き、2期スポーツ審議会をするわけでございますけれども、第2期のスポーツ基本計画を着実に実行に移していくという大きな使命が、第2期のスポーツ審議会にはあると思います。御参加いただきました皆様方、1期から留任された方、新しく委員になられました方と共に、これから2年間、この新しい体制の下で、スポーツ審議会の使命と役割をしっかりと果たすべく、私も微力ながら全力で取り組んでまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 委員の皆様方、それぞれの団体や組織、そして個人として関わっておられますので、専門分野からの御意見、こういうものはもちろんでございますけれども、それぞれの分野のリーダーとしての役割から、専門分野にとらわれることなく、幅広く全体の視点から御意見を賜り、オープンな討議の場にしていきたいと思っております。

 また、第2期のスポーツ基本計画は、かなり高い目標を立てまして、これを実行に移していかなければいけないわけですけれども、既にスポーツ庁の鈴木長官が先頭を切って、この実施に向けて奔走しておられます。我々委員も、できるだけ多くの人々を巻き込んで、我々が先頭に立って、このスポーツ基本計画で策定した目標を実施・実現していきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

【澤川政策課長】ありがとうございました。続きまして、会長代理の決定をお願いしたいと思います。会長代理は、会長に事故等がある場合に職務を代理していただくことになります。会長代理の選任につきましては、スポーツ審議会令第4条第3項の規定によりまして、審議会に属する委員のうちから会長があらかじめ指名することとされております。それでは、山脇会長から指名をお願いいたします。

【山脇会長】ありがとうございます。ただいま事務局から説明がありましたとおり、私としては友添委員にお願いをいたしたいと考えております。友添委員は、第1期におきましても、会長代理、それから、スポーツ基本計画を策定するに当たりまして、スポーツ基本計画部会長として、この基本計画の答申取りまとめに大変御尽力をされておられます。併せて、大学での研究活動や、これまでの我が国のスポーツの政策の推進に深く関わってこられまして、昨今も大変お忙しい、幅広いといいましょうか、全てのことに関わっておられますので、是非1期に引き続きまして会長代理にお就きいただければと思っております。皆様、いかがでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【山脇会長】ありがとうございます。それでは、友添委員に会長代理をお願いいたしたいと思います。恐れ入りますが、会長代理席にお移りいただきたいと思います。

 席に着いていただいて早速ですけれども、一言だけ御挨拶を頂ければ。

【友添会長代理】ただいま御指名を頂きました友添でございます。山脇会長をお支えしながら、第2期もつつがなく、また、2020年東京大会に向けてやるべきこと、その後を見据えてまたやっていかなければいけないことを、皆様のお力をお借りしながら進めて参りたいと思います。どうぞ御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。山脇会長、今後ともよろしくお願いいたします。

【澤川政策課長】ありがとうございました。それでは、今後の議事については山脇会長にお願いいたします。よろしくお願いします。

【山脇会長】ありがとうございます。それでは、早速議事に入りたいと思います。第2期スポーツ審議会の初回の会合でございますので、まず、スポーツ審議会の概要、関係法令、部会の設置並びに今後のスケジュール等について、事務局から説明をお願いいたしたいと思います。なお、運営規則、公開規則につきましては、委員の皆様方に事前に送付していただいておりますので、説明は簡潔で結構でございます。それでは、お願いいたします。

【澤川政策課長】失礼いたします。それでは、資料2-1、2-2、2-3並びに資料3で御説明をさせていただきます。

 まずは資料2-1を御覧ください。スポーツ審議会の概要でございます。27年、3年前の10月にスポーツ庁が設置されたことに伴いまして、審議会が設置されました。1番、所掌事務でございますが、スポーツの振興その他スポーツに関する施策の総合的な推進に関する重要事項等となっております。また、2番、委員につきましては、20名以内でスポーツ庁長官が任命する。また、必要があるときは、部会を置いたり、臨時委員、専門委員を置くことができるとされております。

 また、これまでの審議状況でございますが、昨年3月に第2期スポーツ基本計画を決定いたしました。これを着実に実施するため、昨年7月、長官から諮問をいたしました。「第2期スポーツ基本計画の着実な実施について」ということでございます。また、これを踏まえ、以下の二つ、健康スポーツ部会、スポーツ国際戦略、二つの部会を設置して、更に突っ込んだ検討を行っているところでございます。

 資料2-2を御覧ください。スポーツ審議会令というものがございます。国の政令で定めた審議会に関する規則でございます。第1条が組織ということで、委員20名以内、また、臨時委員、専門委員を置くということが書かれております。委員の任命、第2条は、スポーツ庁長官が任命するとあります。また、第3条、委員の任期については、2年とするとございます。また、会長は、先ほどお決めいただきましたが、委員の互選により選任するとなります。

 第5条は部会について、あと、第6条は、議事ということでございます。委員の過半数が出席しなければ、会議を開くことができない。第2項は、審議会の議事は、出席した者の過半数で決するとございます。また、第9条、その他手続に関する必要な事項は、会長が審議会に諮って定めるということになっております。

 また、これに基づいて具体的な運営の在り方について定めましたのが、スポーツ審議会運営規則でございます。いろいろございますが、特に関係があるところとして、第4条、会議の公開のところでございます。会議は原則として公開として行うということを決めております。ただ、特別の事情があるときは、この限りでないという形でございます。

 あと、第5条は、利益相反ということで、審議会、議論・議決をする際に、自己、配偶者若しくは3親等以内の親族又は自己の関係する法人若しくは団体等に関する案件については、審議に参加することができないということを定めているところでございます。

 また、審議会の公開についてということで定めております、会議の公開に関する規則というものがございます。第1条でございますが、スポーツ審議会の会議は原則として公開する。次に掲げる場合ということで、一部例外規定を設けております。それが、先ほどの人事に関する事項を議決する場合、第2号といたしまして、公平かつ中立な審議に支障を及ぼすおそれがあるという、そういう正当な理由がある場合ということでございます。

 その他、第2条で会議の傍聴、第3条で審議会資料の公開、これも原則、資料を公開する。あと、第4条、議事録の公開。議事録を作成し、公開するといった旨を定めているところでございます。

 資料2-3を御覧ください。部会の設置についてということでございます。昨年の7月になりますが、スポーツ審議会の下に、健康スポーツ部会並びにスポーツ国際戦略部会の二つの部会を置くということを、審議会で御決定いただいたところでございます。所掌事務並びに設置期間につきましては、それぞれ記載のとおりでございます。

 一番下のところ、スポーツ審議会令第5条第2項、5条の2と書いてあるところでございますが、部会に属すべき委員、臨時委員及び専門委員は会長が指名するとなってございますので、後ほど会長から指名いただくことになってございます。

 最後、資料3でございます。今後のスケジュールということで、大まかな目安をこの資料の中に記載してございます。本日1月19日は、第2期スポーツ審議会が発足するという会議でございます。後ほどになりますが、昨年3月に策定されましたスポーツ基本計画の検証・評価、フォローアップをしていただくという予定でございます。あと、3月に次の会議を開催いたしまして、国際戦略部会の報告等々を行っていただく予定でございます。あと、そのほか、夏なり冬の時期に、第2期スポーツ基本計画の検証・評価を定期的に行っていただくということを予定してございます。

 事務局からの説明は、以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【山脇会長】ありがとうございました。それでは、今、説明がありましたけれども、運営規則並びに公開規則につきましては、第1期におきましても特段問題はございませんでしたので、このとおりに運用をさせていただきます。

 また、既に始まっております健康スポーツ部会及びスポーツ国際戦略部会に属すべき委員等につきましては、スポーツ審議会令におきまして、会長の私が指名するとされておりましたので、私に御一任いただければと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【山脇会長】ありがとうございます。それでは、ここで報道関係者等の入室を許可したいと思います。報道関係者より会議の撮影・録音を行いたいという申出がありましたので、許可をいたします。御承知おきください。

(報道関係者、一般傍聴者入室)

【山脇会長】それでは、第2期スポーツ審議会の発足に当たりまして、鈴木スポーツ庁長官から御挨拶をお願いしたいと思います。

【鈴木スポーツ庁長官】皆さん、おはようございます。スポーツ庁、鈴木でございますが、まずは第2期、このスポーツ審議会の委員に御就任いただいた委員の皆様、そして留任していただいた委員の皆様に、御礼と感謝を申し上げたいと思います。

 第2期スポーツ基本計画を昨年の3月に出しまして、それぞれの目標値を掲げましたが、達成に向けて頑張ってまいりたいと思っています。今年は、間もなく平昌のオリンピック・パラリンピックが始まります。そして、サッカーのワールドカップ・アジア大会、ビッグイベントが目白押しですが、日本の選手が競技力を上げられるように、我々は力をサポートしていきます。そのほかに、健康増進や部活動、あるいはスポーツビジネス、そして、スポーツによる地域の活性化ですとか、スポーツ外交など、問題が山積しておりますので、皆様のそれぞれのお立場から御意見を頂戴し、スポーツの発展・振興に努めてまいりたいと思っております。

 特に皆様の所掌事務の1の2に、スポーツ庁長官に意見を述べることができるということで、メールでも電話でも何でも結構ですので、御意見を頂戴できればと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

【山脇会長】鈴木長官、どうもありがとうございました。続きまして、本日は第2期スポーツ審議会の最初の会議になりますので、新任の委員の方から自己紹介を兼ねまして御挨拶をお願いしたいと思います。迫本委員が途中で退席ということでございますので、まず迫本委員、それから河合委員、齋藤委員、藤田委員の順に御発言を頂きたいと思います。また会議の後半に意見交換の場も設けておりますので、そちらでも御発言を頂ければと思います。

 それでは、まず、迫本委員からお願いいたします。

【迫本委員】迫本でございます。委員に選んでいただきまして、ありがとうございます。参加させていただいて、いきなり途中で退席しなくてはいけないということで、大変申し訳ありません。その上、最初に発言の機会を頂戴しまして、誠にありがとうございます。

 私、もともと弁護士で留学しておりましたとき、20年ほど前に松竹に入社しまして、そこから本当に苦労して苦労して、やっと今、やっている形になってまいりましたけれども、その苦労した一つの中に、我々経営マネジメントサイドとクリエイティブ現場サイドとのコミュニケーションという問題がございます。これがうまくいくと非常にうまくいくのですけれども、折り合わないと非常にギクシャクすると。私、学生のハンドボール連盟の会長をしておりますけれども、日本ハンドボール協会で、昨年、内輪もめみたいなものがありまして、そういうところのコミュニケーションの足りなさもあるのではないかなと。スポーツを、今後、こういう基本計画を実施していくに当たって、組織としてのマネジメントをするところと現場のスポーツの人たちを担当されている方とのコミュニケーションというのは、非常に重要ではないかなと思っております。

 国が助成する場合に、文化的なことで今までいろいろな委員にさせていただいていて、いつも申し上げているのですけれども、民間の自助努力が活性化するように、国が基盤を整備するというのが基本だと思っております。自助努力という意味では、私も体育会系で育ちましたので、アスリートにとって活躍できる場を作っていくということが重要でもあるわけですけれども、これはビジネスとして成功していくという面も重要ではないかなと。これがないと、どんなにいい企画やスポーツのイベントにしても、継続しないとなりますので、これらを助成できるように、国が基盤を整えるという観点が重要かなと思っております。

 また、今回、基本計画の中で、実施率、国際交流をということで活性化させようという目標は、非常に具体的で分かりやすくてすばらしいなと思っております。実施率について1点だけ、私の思い付きですけれども、オリンピックの選手たちに、私は年金をあげるべきではないかなと思っておりまして、メダルによって差を付けるということがあってもいいと思います。仕事をどんどんやる人はやってもらって構わないのですけれども、やれない人でも、ともかく食べていけるだけの年金を、5年でも10年でも、期間限定でもいいと思います。その代わり、その間は、自分で何仕事してもいいけれども、必ず指導すると。その指導も、もちろん学生にも教えてほしいのですけれども、学校体育にはまらない、幼児のようなジュニアとか、シニアとか、社会人に指導していくということをやってもらうと。そうすることによって、地域のクラブと結び付けて、言わばスポーツビジネスみたいなのが活性化していくということが考えられるのではないかなと。

 不動産会社の方から、前、スポーツの集いみたいなのをやって、健康でみんなで集まるようにしていて、最初はみんな集まるのだけれども、何かだんだんと参加者が少なくなってくるということで、松竹芸能の方に言われて、何かイベントやってくれと、一緒にやりましょうみたいな話になってきたのですけれども、いろいろなことと結び付きながら継続できるような仕組みを作っていくというときに、オリンピック選手に関わってもらうと非常にいいのではないかなと思っております。

 地域差、今、テレビの視聴率なんかも、地域によって相当変わっていると思いますが、地域ごとにどういうことをできるかということが非常に重要になってくると思うので、地域でのクラブスポーツというようなことも取り上げられていますけれども、重要になるのではないかなと。それが、オリンピック選手にとっても、パッと引退してから何するかと分かる人はいいのですけれども、そうではない人もいるかもしれないし、そういうようなところで指導するということによって、いろいろな人と面識を得て、情報を得て、関わり合うことによって、オリンピック選手の引退後のセカンドライフも非常に実りあるものになる可能性があるのではないかなと思います。

 また、トップアスリートの養成ということにつきましても、今の学校体育を中心でやっていくことに加えて、こういうような地元と密着型のクラブが隆盛になってくるということは、いいことではないかなと。したがって、学校とJISSのような、ここでも取り上げられております、国のものと地域のクラブと、こういうのを三つで活性化していけるような方法というのがあるのではないかなと思っております。

 そして、国際交流のことに関して、これは私、文化の方でも総理から言われてASEAN諸国を訪問して、いろいろヒアリングしたのですけれども、各国の人たちが必ず言うことの共通点は二つだけありまして、一つは継続してほしいということと、もう一つは双方向であってほしいと。双方向性というのを考えたときに、日本のスポーツを発信していくということだけではなくて、受け入れて世界のスポーツを紹介していくみたいなこともやると、各国がすごく参加意識が出てくるのではないかなと思う次第です。

 昨年、オリンピック大臣をされていました丸川先生にヒアリングを受けまして、文化のことについてオリンピックということで意見を述べよということで申し上げたのですけれども、私が申し上げたのは、もちろん日本文化の発信ということでは、松竹は歌舞伎をはじめ、あらゆることに御協力するつもりですけれども、世界で共同して何かやっていくには、例えば私が申し上げたのは、子供のミュージシャンを世界選抜すると。各国の予選会をインターネットで世界中に配信すると。それで予選会で盛り上げに盛り上げておいて、その代表者全員で集まって、一つの音楽を東京オリンピックの開会式で子供のミュージシャンでやるみたいなこともいいのではないかと。

 オリンピックは、五輪の精神と言いますけれども、共同作業というのは聖火リレーぐらいしかないので、こういうことで共同していくということが、他国の文化を認めるということでいいのではないかということを申し上げましたが、同様に、他国のスポーツを認めることが、自国のスポーツの主張にもなると思いますので、他国からのどういうスポーツがあるのか、他国のスポーツの試合を日本でやってもらうみたいなことも、方法としてはあるのではないかなと思っております。

 最後に、私、3人息子がおりますけれども、長男が脳性まひでして、障害者のスポーツにも非常に関心を持っております。長男を育てるに当たって、いろいろと冷たい視線を感じたり、いろいろなことを思いながら来たのですけれども、一番重要なことは、健常者と障害者がお互いに慣れ合うという、慣れるということが重要かなと思っているので、健常者のスポーツを考えるところに常に障害者が参加していられるような形にして、慣れていく場を作るということが重要ではないかなと考えております。

 非常に駆け足で、雑駁、意見を申し上げさせていただきましたけれども、以上でございます。

【山脇会長】どうもありがとうございました。

【迫本委員】もう1点だけ。これをやっていくに当たって、いずれにしても、文化でもそうですけれども、プロデューサー人材が非常に重要になるので、この人材育成のところで、マネジメントプロデューサー人材の育成をやっておかないと、どんないい計画でも結局回らない。エンターテインメントの演出家は結構います。しかしプロデューサーがいない。プロデューサーがいないと仕組みは回らないということなので、プロデューサー人材をどう育成するかということが、最終的なキーになるのではないかと思っております。

 以上でございます。

【山脇会長】ありがとうございました。それでは、河合委員、お願いいたします。

【河合委員】ありがとうございます。日本スポーツ振興センターの河合と申します。私はパラリンピックの選手として、バルセロナの92年からロンドンの2012年まで、選手として競泳に出場しておりました。その間、パラリンピアンズ協会というものを立ち上げまして、大日方副会長とともに、今、活動もしております。様々、身体障害者の水泳連盟の会長等もさせていただきながら、オリンピック・パラリンピックを通じて競技力を高めるということはもちろんですけれども、この2020年という大きなチャンスを頂いております。残り1000日を切っている中でございますけれども、社会にスポーツが根付いていく、スポーツを通じて本当に共生社会と呼ばれるものを実現できるように、皆さんと共に活動できればと思っておりますので、初めてこの委員会に加わらせていただきましたので、どうぞ御指導いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【山脇会長】ありがとうございました。それでは、齋藤委員、よろしくお願いします。

【齋藤委員】改めまして、JOCの齋藤でございます。私は6年前に外務省を退官いたしまして、JOCの仕事に携わるようになりました。今、JOCの中では国際専門部会長もやっておりまして、主としてIFですとかIOCですとかOCAですとか、各国NOCとの関係、スポーツ競技大会の日本誘致とか、そういうことが私に求められている役割じゃないかと思っております。来月の平昌冬季オリンピックの日本選手団の団長を引き受けることになりました。応援、よろしくお願いいたします。

 先ほど鈴木長官のお話の中にスポーツ外交という言葉が出ておりましたが、私の経験から痛感いたしますのは、日本という国は、外国から見るとすごく大きな国に映るんですね。だけど、日本の国内から日本自身を見ると、日本が小さく見えるというか、むしろお互い矮小化しているんじゃないかと。もう少し国際的に自信を持って付き合わないと、いつの間にか日本の地盤というのは沈下していくんじゃないかと。これは、政治、経済、文化、社会、スポーツ、全ての面で言えるんだと思うんですね。

 それで、日本のスポーツが持っている力といいますか、そのスタンディングといいますか、世界的な立ち位置といいますか、これは大変大きいと思うんです。オリンピックの成績をとってみても、いろいろな意味で日本のオリンピック界は、世界に持っている立ち位置というのは大きいものがあると思うんですけれども、この国際的に受けている評価というのも、必ずしも自分たちの力に変え切れていないという気が日頃からしております。

 それは、一つは、スポーツに携わる人たちが、世界に持っている、展開している人脈、ネットワーク、これは大変大きなものがあると思います。私、今度の東京2020の誘致の過程を通じて一端をかいま見た思いがいたしましたけれども、こういった各国に日本のスポーツ関係者が持っているネットワークというのは、王国であればトップの王族に非常に近い、あるいは多くの国においては閣僚ですとかそういうところに、NFの会長ですとか、いろいろな方がいる。そういうネットワークを日本外交に十分に活用していかなきゃいけない。

 オールジャパンということが最近よく言われていますけれども、正に全ての部署、つかさつかさで持っている力というものを寄せ合って、オールジャパンでやっていかないと、日本というものは先行き暗くなっていくんじゃないかという思いがしておりますので、おいおい、この審議会の議論に応じまして、思うところがあれば意見を言わせていただきたいと思いますけれども、とりあえず今回御指名いただいた冒頭の印象として、私の正直な一端を申し上げた次第です。どうぞよろしくお願いします。

【山脇会長】どうもありがとうございました。それでは、藤田委員、お願いいたします。

【藤田委員】失礼します。福岡の藤田と申します。現在、大分県との県境にあります豊前市という小さな市の小さな中学校の校長をしております。また、スポーツの実践というところでは、毎日とはまいりませんが、剣道の稽古に励んでいる修行中の身です。本日も上京するということで、防具と竹刀を携えてやって参りました。全日本剣道連盟とか学生剣道連盟の仕事にも、少し携わらせていただいております。私のような者が、こういう大きな会議の委員として名を連ねているということに、一抹の疑問と不安を感じております。

 私のミッションとしましては、学校現場の現状、それから学校現場からの声、そういうところを伝えていくことが、スタンス、ミッションになるのではないかなと考えています。学校での体育スポーツというのは、日本人であれば全ての国民が人生の中で通過する、経験していくところです。その後の生涯スポーツとか、国全体のスポーツの在り方にも、少なからず影響があると思っています。

 今、学校での体育スポーツということでは、子供の体力の問題、それから先ほどからも出てきています運動部活動の在り方、また体育授業の在り方など、幾つかの大きな課題がありますけれども、こういった課題にも、俯瞰的な立場から、前向きな方針とか解決のための糸口等を模索していくことができればと考えています。

 2020年に向けて、日本の国全体としても、スポーツに今、光が当たっているときではないかと思っています。ただ、今だけではなくて、子供たちのことを考えて、10年後、20年後を見据えて、様々な視点から、たくさんの見識をお持ちである委員の方々と審議に加わっていくことができればと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

【山脇会長】どうもありがとうございました。これから2年間、それぞれの立場、また幅広い立場で御活躍を頂きたいと思います。ありがとうございました。

 それでは、続きまして、次の議題に入りたいと思います。第2期スポーツ基本計画の実施状況の検証・評価に移りたいと思います。第1期のスポーツ審議会におきまして、第2期スポーツ基本計画の進捗状況、定期的な検証・評価を、毎年2回行うということにしておりました。前回、10月の審議会では、参考3-1の資料によりまして、139の具体的施策全てについて進捗状況の検証を行ったところでございますので、本日は、平成30年度の予算(案)の説明と、特に数値目標、これに関する具体的施策のうち、主なものを対象に検証を行うことにしたいと思います。

 それでは、事務局から説明をお願いいたします。

【澤川政策課長】失礼いたします。それでは、資料4と資料5を用いて説明させていただきます。

 最初に、資料4を御覧ください。スポーツ庁の平成30年度予算(案)の概要についてということでございます。2枚おめくりいただきますと、主要事項という形で表が掲げてございます。30年度予定額ということで、約340億円を計上しているところでございます。前年比で申し上げますと、約6億円、1.8%の増額ということでございます。この額、平成25年度に東京オリンピック・パラリンピックの招致が決まったわけでございますが、それ以降、通算して40%の伸びとなっておるところでございます。

 この340億円の内訳でございますが、大きく二つの柱がございます。一つ目の柱が、2020東京大会並びに2019ラグビーワールドカップに向けた準備ということで、(1)競技力向上事業、(2)ナショナルトレーニングセンターの拡充整備、また、スポーツ・フォー・トゥモロー事業とかドーピング防止などを掲げているところでございます。

 二つ目の柱、スポーツ施策の総合的な推進というところでございます。ここにつきましては、記載のとおり、スポーツ産業の成長促進、また、日本版NCAA等、大学スポーツの振興、スポーツ人口の拡充に向けた官民連携、障害者スポーツの振興並びに学校体育・運動部活動の推進などを入れているところでございます。

 予算の具体的な内容については、配布している資料、時間の関係で説明は省略させていただきますので、お時間のあるときに御覧いただければと思います。

 続きまして、第2期スポーツ基本計画に掲げられた具体的な施策の進捗状況について御説明をさせていただきます。資料の5を御覧ください。なお、先ほど山脇会長から御発言・御説明ありましたとおり、参考資料の3-1ということで、昨年10月の総会の資料も参考としてお配りさせていただいております。スポーツ基本計画139の施策がございますが、139施策全部に関わる進捗状況の表でございます。ただ、これですと細か過ぎて時間がかかりますので、本日は資料5として、最近大きな動きのあった主な施策について御説明をさせていただきます。

 1ページ目が目次ということでございまして、基本計画のそれぞれの関連箇所を記載してございます。

 3ページを御覧ください。最初でございますが、スポーツ実施率の向上施策、働き盛り世代のスポーツ実施促進に向けた取組ということでございます。20代から40代のスポーツ実施率は特に低く、30%台前半となっております。そこに働き掛けをということで、なかなかスポーツの時間がとれない働き盛りの世代に対して、通勤時間などを利用して気軽に歩いてもらって健康増進につなげていただくということで、左側に書いてございますが、「FUN+WALK PROJECT」というものをスタートさせたところでございます。報道等されましたが、昨年12月6日になりますが、トライアルデーということで、企業・自治体も御参加いただきつつ、また、スポーツ庁の職員が歩きやすい格好で通勤をしたり、また、庁内の階段を上がるというようなことで、トライアルを実施したところでございます。

 また、右側になりますが、社員・従業員の健康増進のため、スポーツ実施に向けた積極的な取組を行っている企業を、ここにございますスポーツエールカンパニーということで認定して検証しているところでございます。今年度、平成29年度につきましては、217社を認定したところでございます。具体の取組は下に書いてございますが、例えば始業前にラジオ体操を行うとか、社内運動会を行うということのほか、事務用の椅子としてバランスボールを使用するなど、そういったようなユニークな取組も見られるところでございます。

 続きまして、障害者スポーツの振興について御説明させていただきます。4ページを御覧ください。障害者が身近な地域でスポーツに親しめる環境の整備ということで、各地域のスポーツ関係者と障害福祉関係者の連携・協働を図るための体制整備を進めているところでございます。今後、更に地域ごとでそれぞれの特定の課題に対応するような、そういう障害者スポーツ推進プロジェクトというものを全国展開していきたいと思っております。

 また、左側、下になりますが、全国各地の特別支援学校というものを活用いたしまして、そこを拠点としてスポーツ・文化・教育の祭典というものを推し進めたいと、そういう趣旨で、「Specialプロジェクト2020」というものを実施しているところでございます。併せて、スポーツにおける全国大会の開催の支援を行っているところでございます。

 また、右側になりますが、スポーツ実施率の向上ということで、広く国民の皆様から意見募集・アイデア募集を行っているところでございます。パブコン、パブリックコンペティションの略でございますが、そういった取組を行っております。国民一般から、また、行政担当者から、スポーツ実施率の向上に向けたアイデア募集を行っているというところでございます。

 以上が、スポーツ実施率の向上に向けた施策ということでございます。

 5ページ、運動部活動の改革に向けた取組ということでございます。生徒の多様なニーズに対応し、また、持続可能なものにするということで、今、運動部活動の改革を進めているところでございます。今年度、有識者会議を設置いたしまして、ガイドラインを今年度末までに作成するということで議論を進めているところでございます。

 主な項目は、ここの白丸で五つ掲げているところでございますが、例えば適切な運営のための学校における体制整備であるとか、また、練習を効率的にということで、合理的かつ効率的・効果的な練習の推進、活動の推進、また、適切な休養日の設定ということで、いろいろな議論を進めているところでございます。

 また、学校運動部活動における指導の質の向上でありますとか、教員の負担軽減というものを目的といたしまして、昨年3月に、部活動指導員といったものの制度化を図ったところでございます。この公立中学校への配置を促進するために、平成30年度予算(案)におきまして、配置に係る国庫補助というものを創設したところでございます。5億円、約4,500人を対象として、この部活動指導員の配置を促進するといった予算を計上しているところでございます。

 続きまして、大学スポーツの振興ということで、6ページを御覧ください。第2期スポーツ基本計画におきましても、日本版NCAAということで、大学横断かつ競技横断的な統括組織の創設を支援するということを掲げているところでございます。

 これに向けての取組ということでございますが、昨年3月、大学並びに学生競技連盟、スポーツ団体等が連携いたしまして、日本版NCAAの創設に向けた学・産・官連携協議会を設置して検討を進めているところでございます。その後、ワーキンググループを設けて議論を進めておりまして、本年3月までに、具体的な事業でありますとか、日本版NCAAの組織の案、骨子案というものを提示すると。それに向けて、今、検討を進めているところでございます。

 日本版NCAAの次は、7ページ、大学における体制整備ということでございます。こちらも第2期スポーツ基本計画におきまして、大学スポーツを戦略的・一体的に統括する部局の設置並びに人材の配置ということを掲げているところでございます。

 数値目標として、大学スポーツアドミニストレーターを100の大学で設置しようという目標を掲げているところでございます。29年度から大学スポーツ振興の推進事業というものを創設いたしまして、丸1、丸2、丸3にありますような、大学におけるスポーツの振興の取組をやっているところでございます。今年度は8の大学を選定いたしまして、資料に記載の取組を支援しているというところでございます。

 おめくりいただきまして、8ページでございます。スタジアム・アリーナ改革に向けた取組ということでございます。これにつきましては、政府の目標、2025年までに20か所のスタジアム・アリーナ改革を実現するという目標を掲げているところでございます。

 これにつきましては、上のところにございますが、官民連携協議会というものを、国土交通省・観光庁の協力を得ながら立ち上げたところでございます。ここでは、今後のスタジアム・アリーナの推進の方向性について、有識者の皆様と御議論を行っているところでございます。昨年の6月になりますが、関連する事例ということで、スタジアム・アリーナ改革ガイドブックというものを公表したところでございます。現在は、それの更に肉付けということで、議論を更に深めているところでございます。

 一番下になりますが、先進事例の形成ということで、スタジアム・アリーナ改革の先進事例の形成に向けて、地域版官民連携協議会の開催支援等々を国が支援しているところでございます。

 また、具体のスタジアム・アリーナの改革の構想につきましては、9ページでお示ししているところでございます。全国各地で、お示ししているような形で、スタジアム・アリーナについての改革の動きがあるという形でございます。なお、国からの支援ということで、赤字で記載しております7件を、29年度、支援させていただいているというところでございます。

 10ページ、スポーツ分野における国際社会への参画というところでございます。現在、先ほど御説明いたしましたが、スポーツ国際戦略部会というものを総会の下に設けて、御検討いただいているところでございます。また、並行してスポーツ庁でも様々な施策を行っておりまして、その概要についての御紹介ということでございます。

 まず一つ目でございますが、1番にございますユネスコ体育・スポーツ担当大臣等国際会議、通称MINEPSと言われているものでございます。昨年7月になりますが、ロシアのカザンで、この担当の国際会議が開催されたということでございます。日本国、我が国からは、松野当時文科大臣が御参加いただいたというところでございます。この議論を経て、「カザン行動計画」ということで、ここにございます「開発と平和に向けたスポーツ」など、三つのテーマなどに沿って提言が盛り込まれたと、行動計画が取りまとめられたというところでございます。

 また、二つ目、日ASEAN、日本とASEANのスポーツ大臣会合ということでございます。昨年10月になりますが、ミャンマーのネピドーにおきまして、第1回会合が開かれたということです。我が国からは、水落副大臣を筆頭に出席したということでございます。ここにございます指導者の育成、女性スポーツの実施率の向上、障害者スポーツの発展、アンチ・ドーピング等、四つの分野において今後協力していくということで合意し、共同声明を発表したところでございます。

 あと、下に、政府間委員会ということで、CIGEPSというものについて入れております。2017年になりますが、ここの政府間委員会の委員に我が国から当選したということで、引き続き積極的に議論していきたいというところでございます。

 11ページ、J-STARプロジェクトについてということでございます。国際競技力の向上に関する施策の一環として掲げてございます。第2期スポーツ基本計画並びに一昨年10月に発表した鈴木プランにおきましては、次世代のアスリートの発掘・育成ということを、重要な課題として位置付けているところでございます。本年度より、日本体育協会におきまして、ジャパン・ライジング・スター・プロジェクトというものに取り組んでいただいているところでございます。

 今年度、29年度の実施状況を右側に掲げてございますが、6月から7月が第1ステージということでございます。オリンピック関連では1,189名、パラリンピック関連では114名、合計1,303名から応募いただいているところでございます。第2ステージということで、7月から10月、全国14か所で体力測定をいたしまして、現在は第3ステージということで、競技拠点の11府県におきまして、合宿形式のトレーニングを行っているということでございます。今年10月までに、更に選手の評価というものを行って、競技団体育成強化コースへの進出者というものを決定する予定でございます。

 また、来年度の募集につきましては、今年度の評価と検証というものをしっかり行った上で、今年の8月から9月にかけて、新しいアスリートの募集を行いたいということでございます。こういう取組を通じまして、全国から将来性豊かな多くのアスリートの育成ということに努めてまいりたいと思っております。

 最後になりますが、12ページ、アンチ・ドーピングの推進ということでございます。12ページを御覧いただければと思っております。御存知かと思いますが、我が国は、ユネスコのドーピングの国際規約の締約国でありますと同時に、WADA世界ドーピング防止機構の常任理事国ということで、国際的なアンチ・ドーピング活動も積極的に推進しているところでございます。また、国内では、JADAと連携いたしまして、ドーピング防止教育並びに人材育成に取り組んでいるところでございます。

 中ほどにございますドーピング防止活動推進事業ということで、アスリートへの研修会であるとか、ドーピング検査員の人材育成等々に取り組んでいるところでございます。また、下のところになりますが、JSCにおきましては、ドーピング検査だけで捕捉できないような、そういうドーピング行為もしっかりと対応するという観点から、ドーピング通報窓口を設けるなど、情報収集等のインテリジェンス活動に取り組んでいるところでございます。昨日開催したスポーツにおけるインテグリティの確保に関する緊急会合ということについてでございます。今年に入りまして、ライバル選手へのドリンクのドーピング禁止物質の混入又は暴力行為など、スポーツの価値を損なう事案が相次いで発生したところでございます。その重要性をスポーツ界全体で受け止め、また、今後、同様の問題が起こることのないように、昨日、スポーツ関連の統括団体並びに各競技団体の担当者にお集まりいただきまして、ここに記載してございます、スポーツにおけるインテグリティの確保並びにドーピングの防止活動の徹底を図るための緊急会合を開催したところでございます。引き続き関係団体と連携して、クリーンでフェアなスポーツの推進に努めてまいりたいと思っております。

 以上が、第2期スポーツ基本計画におけます主要な施策を紹介させていただきました。本日は、第2期スポーツ基本計画の検証・評価ということでございますので、この資料に掲げられたもの以外のものでも結構でございますので、各方面から忌憚のない御意見を頂ければと思っております。

 また、今後、スポーツ審議会の総会の場におきましても、定期的にこの基本計画の実施状況を検証していただきたいと思っております。我が方でもいろいろ資料をまとめて御説明させていただきたいと思っております。スポーツ基本計画の5年間の計画期間中に、掲げた目標がしっかり達成されるように、私どもとしてもしっかり取り組んでまいりますので、忌憚のない御意見・御指導を賜れればと思っております。

 私からの説明は、以上でございます。よろしくお願いいたします。

【山脇会長】ありがとうございました。それでは、今、説明がありました内容につきまして、また、本日は割愛しましたけれども、前回の検証につきましても、何か御意見又は質問ということがありましたら、これについての意見交換をこれから行いたいと思います。時間は約50分ございますので、できるだけ、今回ここに御参加いただきました委員の方、先ほど御発言を頂きました新任委員の方も含めて、御意見を頂戴したいと思います。どなたからでも結構ですので、御意見のある方は挙手を頂いて、お願いをしたいと思います。

 高橋委員、お願いいたします。

【高橋(は)委員】ありがとうございます。スポーツ審議会1期目から参加をさせていただいておりまして、私、地域の立場でございますので、地域活性化、あるいは地域の立場から、スポーツというものをいかに捉えていくかという観点から議論に参加させていただき、また、私自身、大変勉強をさせていただいたと思っております。ただいま事務局から御説明がございました30年度の文部科学省のスポーツ関係の予算、あるいは第2期のスポーツ基本計画に基づく具体的な施策等に沿う形で、私ども地域の取組ということについて、幾つか例示を御提示申し上げたいと思っております。

 私ども自身も、今、第2期北海道スポーツ推進計画の策定を、国の第2期スポーツ基本計画を踏まえて、鋭意行っているところでございます。そういった中でも、日々政策は動いておりますので、一つ目、御紹介しようと思うのは、アスリートの発掘・育成ということであります。これは国も挙げてやっておられるところでありますが、私ども北海道の場合には、基本的にはウィンタースポーツに小さいときから慣れ親しんでいる道産子が多いという、そういう事情がございまして、そこを中心に、育成に取り組んでおります。ただ、先ほどの資料5の中でもございましたけれども、例えば7人制の女子のラグビーの選手の育成なども、共にやらせていただいているところでございます。

 来月、平昌の冬季オリンピック・パラリンピックが開催されます。冬季オリンピックのときは、いつもそうなのでありますが、道産子選手、すなわち北海道出身、あるいは関連のゆかりのある選手というのは、全体の選手の半分ぐらいを占めております。パラリンピックの場合には、トータルの数字が小さいので、1割から2割と幅がございますが、多くのアスリートが楽しみ、そして参加をさせていただいていると認識をしているところでございます。今回の平昌に向けても、オリ・パラ含めて63人の選手の出場ということが決定しているところでありまして、アスリートの育成事業、一つ一つ形になってきていると思っております。

 私ども道産子の平昌に向けての一つの大きな悲願は、実は金メダルが、前回ソチで、パラリンピックの選手は二個獲得しましたが、オリンピックの方は、長野大会以降、金メダルを獲得していません。銀・銅メダルはあるので、是非今回は金を狙おうと、道産子選手に頑張ってほしいという気持ちを込めて、熱い思いを持っているところであります。

 二つ目は、障害者スポーツについての私どもの取組であります。障害者スポーツへの関心というのが世の中的にどんどんと高まっているというのは、ひしひしと感じております。私どもは、前からこの場でも申し上げておりましたとおり、障害者スポーツをスポーツ振興の担当部局に完全に一元化をいたしておりまして、一体的に運用しようということで、冬季の札幌のオリンピック・パラリンピックの誘致に向けての体制整備ということもやっております。また、これも資料5でもございました「Specialプロジェクト2020」、これも活用させていただく形で、道内3か所で障害者の方々のスポーツを盛り上げる、そういった取組もやらせていただいてきたところでございます。こういうことを通じて、子供たちの輝く目、本当に心からの笑顔、こういうものが私どもも確認ができて、地域の方々と本当に一体になるということができたというのは、大変いい思い出としてあるところでありまして、こういったことは是非続けてまいりたいと考えております。

 ラグビーでありますが、2019年、私ども北海道も会場の一つとしてお選びを頂いたところでございまして、しっかりこれも盛り上げていきたいと思っております。加えて、先ほど申しましたとおり、7人制ラグビー、これはおかげさまで様々なところからの支援も頂いて、女子の7人制ラグビーの国際大会というのを数年にわたって続けております。これも国際交流、外交までは行きませんけれども、スポーツを通じた各国の人たちとの交流ということを、我々自身も地域の立場で取り組ませていただいております。

 さらには、スポーツの成長産業化ということについても、地域の経験があります。これも資料の5にございました、いろいろなところでスタジアム・アリーナ改革ということが進んでいるということを聞いております。私ども道内では、日ハムのボールパーク構想ということが、今、進んでいるところでありまして、まだ箇所付け等も決まっていない中で、具体的にどのように進めて、どのように国に支援をお願いするかなどのところまでは行っていないところでございますが、ボールパーク、単に野球を楽しむだけではなくて、北海道らしい食、そして食育、いろいろなことを盛り込んだ、地域活性化に資するボールパーク構想ということを、今、道民挙げて検討をしているところでございます。

 以上、幾つか地域の立場から事例の報告をさせていただきましたが、思いますのは、スポーツの力が地域活性化にもたらすパワーのすごさということであります。かつての地域づくりというのは、ものづくりの工場の誘致をするとか、いろいろな施設を引っ張ってくるとか、そういったことで地域が盛り上がって、経済を盛り上げていくというような形だったと思うわけでありますが、今、スポーツということが、経済活動と正に一体として地域の活力につながってくるという事例を、北海道の中だけでも様々に実感をいたしているところでございます。

 それから、もう一つ、スポーツというのは、単に儲かる、儲からないだけではなくて、人の気持ちをとても強くする、熱意を高めるという、そういう効果があるということを思っております。先ほどの平昌における金メダル、これは最近北海道では話題の中心がこれでありますし、また、日ハムが、去年5位だったのですけれども、一昨年に日本一になりました。そのときの道民の喜びようというのは、これは実力以上に北海道は何か立派になったのではないかという議論もあったぐらいでありまして、それが巡り巡って、経済への消費も増えますし、それから、様々なアクティブな行動も増えますので、そういうスポーツというのは経済活動につながるということが、最近ますます高まってきたということに加えて、その中心で運営主体というか、活動主体である人の気持ちを高めるというすばらしい効果があるということを、地域の立場で日々実感をしているということを御報告いたしました。ありがとうございます。

【山脇会長】ありがとうございました。地域のトップのリーダーとして、本当に今おっしゃられたスポーツの力が地域活性化になるという、ある意味ではロールモデルのようなことをやっていただいていると思います。このような活動が全国に広められて、日本全国で盛り上がったらいいと思います。正にリーダーの力が、やる気が、地域の活性化に一番大切だと感じました。これからもどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

 それでは、田嶋委員、よろしくお願いします。

【田嶋委員】5ページの運動部の活動改革に向けた取組について申し上げたいと思います。まず、改めて、この2年間で、部活動指導員の導入であったり、外部指導者、様々な改革をしてくださったことに感謝申し上げます。

 私も2年前、この会議に出たときに、本当に部活動の日本における重要性、単なるスポーツの強化だけではなく、子供たちの社会性、そしてモラル、様々なことを教える場面であると申し上げ、ここでも意見をお伝えしました。そのとき高橋前次長がおっしゃったのは、これは一生懸命運動部活動を支えている人たちを守るものなのだというようなことで、終わった後に非公式に御返答を頂きました。ただ、今の流れ、これはメディアの報道も含めて、何かあたかも一生懸命運動部活動をやっている方たちが、ブラック企業であるだとか、逆に土日拘束されて困るとか、そういう面で非常に動いていて、私自身、本当にここで議論していたのはそういうことだったのかというのを少し感じております。

 子供たちの健康を守るということは非常に重要で、そのことを考えなければいけないのですけれども、ここに書いてある適切な休養日の設定、これは主語は誰なのか。もう土日どちらかを完全に休ませてしまうというような、教育委員会で出てきてしまったり、これは先生たちを休ませるためのことなのか、子供たちを休ませることなのか、そういうことをしっかりと僕らは考えなければいけないのではないかと思っています。

 本当にやりたくない、若しくは、ちゃんと働いた分、忙しくてできないという人を無理やりやらせることは、僕は大反対ですし、それはそうだとは思いますが、やっている人たちを本当に守ってあげる、そして評価してあげるということが、非常に大事だと思っています。今、土曜日、日曜日、子供の部活に付き合っても、付くのが多分1,000円ぐらいですか、もうちょっと増えましたか、でも、普通の子供たちだって、8時間労働すれば、もっともらえるわけです。それなのに、それがほとんどそれぐらいのもので済んでしまう。有り難いことに、ここで部活動指導員等を導入していただいたことは有り難いけれども、一生懸命やっている先生が、土曜日、日曜日働いたことに対する対価、そういうものもしっかりと払われるべきではないかと思っています。

 そして、今更先生が聖職だとかそういうことを言うつもりはありませんが、部活動をしている方たちは、何かあれば24時間で子供たちに対応している、そういう方たちがいらっしゃるということを、もう一度ちゃんと僕らは評価していかなければいけないし、逆に今の流れだけで行ってしまうと、本当に部活を一生懸命やろうという人たちができなくなる環境、それは日本の国際競技力にも関わるし、部活で関わっている、例えば本当に何十万人の子供たちの中で、オリンピックに出られる子はほんの一握りかもしれないけれども、それ以外、部活によって培われた様々な能力等は、日本にとって重要な財産だと思っています。

 そういう意味でも、違う方に僕は引っ張られ過ぎているのではないかと思い、是非一生懸命やっている方々を評価していただきたい。先生がそこの学校の部活を見るというのは、僕は理想だと思っています。そこの学校のほかの科目でどういう態度をしているのか、そして家庭環境はどういう子なのか、そういうことを知った上で教えていることと、全くそういうことを知らず、スポーツだけを教えに来る人がいること、この辺のことをちゃんと考えて、部活のことを考えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【山脇会長】ありがとうございました。藤田委員、お願いいたします。

【藤田委員】ありがとうございます。今の御意見、学校現場に携わる者の1人として、うれしく拝聴し、すごく励ましていただいたと感じております。最近の報道を聞いていると、運動部活動については非常に負の部分がクローズアップされていると感じています。もちろん顧問の負担とか職員の勤務の在り方とかと、すごく重要な問題と深く関係していることだとは思うのですけれども、運動部活動というのは、学校の活性化であったり、それから、地域とか保護者、競技団体をつなぐ役割もしているのではないかと思っています。

 また、スポーツ基本計画の中にも、専門外の顧問が40%いるという記載がありますけれども、残りの半分以上の先生方の中、あるいは、専門外で顧問をしている先生方の中にも一生懸命頑張っている先生方がいるということにも、きちんと目を向けてほしいと思います。そのように考えていくと、30年度の予算の中で、「持続可能な運動部活動の実施」とありますが、運動部活動は良くないからやめてしまおう、縮小してしまおうとか、形を変えていこうとかいうのではなくて、今のいいところをこれからも伸ばしていこうというような、「持続可能な運動部活動の在り方」も模索できたらと思っています。

 そのために、今、ニュースなどでも出ています有識者会議の中で、部活動のガイドラインについてお話をしていただいていると思うのでが、その中ではこうしなさいという形を決めてしまうのではなくて、実際には地域も違いますし、学校も違いますし、そういう多種多様な現場で生かされるような、そういうフレキシブルな運動部活動の在り方が出てくることがと理想であると考えています。

 以上です。

【山脇会長】ありがとうございました。庄野委員、お願いします。

【庄野委員】学校部活動に関連した御意見が続いていますので、私もそこの部分に関して、医師として、日頃スポーツ医として、そういった子供たちの学校体育若しくはそういった部活以外のクラブ活動に関する問題点などについても関わる機会が最近ありますので、意見を述べたいと思います。学校の先生たちの問題に関しても併せて、子供だけでなく、先生側のいろいろな疲弊の問題ですとか、そういった問題も含めて俯瞰的に考えてみますと、部活動指導員の充実というのはどうしても必要なことだと私は思っております。

 それに対して、学校現場の先生たちの側の意見をちらっと聞いたところによりますと、それに対して反対意見ですとか歓迎する意見ですとか、いろいろあるように思います。中には、部活動をやりたい先生にとっては、部活動指導員は来てほしくないと。でも、部活動をやることによって自分のワーク・ライフ・バランスが非常に苦しい状態になって、病気になっていらっしゃる先生方にとっては、有り難いことだろうということも考えられます。

 こういった施策を持続可能なものにするためには、時間的な働き方改革だけではなくて、そういった給与体系面の話で、スポーツ庁の外の話かもしれないのですけれども、学校の先生方というのは、そういった手当とかが丸め込まれた給与ということで、部活動はノルマだからやらなければいけないというような意識が教員の中にも多いと感じます。なので、給与体系の見直しによって、部活動部分は手当として、やりたい先生がやると。やれない先生はそこには手を付けないという、きちんと線引きをして、やってくださる方にはきちっとそれなりの手当を付けるという、もう少しそういった給与面からの改革がなければ、こういった制度だけを広めようとしても、なかなか難しい部分があるのではないかと思います。

 以上です。

【山脇会長】ありがとうございました。境田委員、お願いします。

【境田委員】境田でございます。第1期に引き続き、審議会の委員を務めさせていただいています。実はスポーツ庁ができる前の、中央教育審議会のスポーツ・青少年分科会の頃から委員を拝命していますが、スポーツ庁ができた後、政策とかについても、スポーツを通じて社会の様々な課題を解決するとか、スポーツで国をつくる、立国するのだという、非常に目標が大きくなって、それに向けてスポーツ庁が取り組む範囲がすごく広がりました。しかも、その推進力がすごく強まっているという印象を持っています。これは事務方の方、本当に大変だと思いますけれども、本当に今、日本の国づくりにはスポーツ庁が欠かせないというか、中心になっていると思いますので、引き続き頑張っていただきたいと思っております。

 あと、1点、約5年前ですが、その頃、大相撲の暴力問題、それから女子柔道の代表選手の暴力問題、桜宮高校のバスケット部員の自殺問題などがあって、そのときに、当時の下村文部科学大臣が、スポーツの世界から暴力をなくそうというメッセージを発せられて、その後、文部科学省に、スポーツを行う者を暴力から守るための第三者相談調査制度という会議が設けられました。この会議は、実は友添先生、それから大日方委員も御一緒で、私もその委員に入って、暴力事件が起きたときの相談業務に加えて、実際どのように調査を行うかと。暴力が起きたときに、特に女子柔道の暴力事件のときは、最後まで代表選手が誰かという名前が明かされませんでした。暴力の被害者の人権やプライバシー、立場に配慮して調査を進めるべきだという提言を作りまして、私と友添先生と大日方委員で記者会見もやりました。その後、いろいろなスポーツ団体も集めて、実際に調査を行うときには被害者の人権に配慮しましょうと。まず調査を行うに当たっても配慮するし、公表を行うときは、同意がないと公表しちゃいけないというルールまで作って、それを各団体に、このようなことで作ってくださいという活動までしたということがあります。

 これによって、スポーツ基本法の中に定められているスポーツ権、これは弱者を守るという趣旨でスポーツ権というのを作ったわけで、そういったものをきちんと生かしていこうということで取り組んできたわけです。今回の大相撲の問題では、そこに私は大きな違和感がありまして、その趣旨が非常に没却されるようないろいろなことが起きたのではないかと思っておりまして、今一度、ここの制度をもう一度よく見直して、取り組む必要があるのではないかと思っております。

 友添会長代理、よろしいでしょうか。

【友添会長代理】はい。

【山脇会長】ありがとうございました。今、境田先生から頂いた前の、部活動に関する御意見を、田嶋委員、藤田委員、庄野委員からお伺いしました。その件について、友添会長代理、よろしくお願いします。

【友添会長代理】部活のガイドライン作成検討委員会の座長をしております関係で、今、賜った御意見について、少し補足で説明をさせていただければと考えております。

 中央教育審議会の中で教員の働き方の改革の中間まとめが出て、働き方そのものを改革していかなければいけないという議論が起こっておりますけれども、今、ガイドラインの作成をしている検討会議では、子供の側に立って、持続可能な運動部活動をどう維持していくのか、あるいはもう少し別な言い方をさせていただけると、少子化が進行している今という時代の中で、その少子化を受けて、学校や地域などを含んで新しい部活の形はどうあるべきかということについて議論を重ねているところであるということです。

 今、泉委員が横にお座りですけれども、日本体育協会の中にプロジェクトチームをお作り頂いて、スポーツ障害の過去の内外の文献をレビューして頂き運動量と障害の相関に関わるエビデンスを全部当たっていただきました。具体的には1週間、中学生の世代で言えば、どれぐらいの練習時間や運動量で障害が発生するのかという、そのいわば科学的なエビデンスを全部出していただいて、それを参照しながら、休養日の設定の議論をしているということであります。

 そういう形で言いますと、少し誤解をされると困るのですが、あくまでも子供の側に立って運動部の課題を検討し、それを解決させることで一層発展をさせていくということ、そして、その前提としては、少子化の中では、私たちの世代がやってきたような部活の維持が、現実にはもう難しいということを確認しております。つまり、子供の少子化の中で、1校ではチームが組めない、あるいは指導者がいないとか、せっかくスポーツ少年団でバスケットボールやってきたのだけれども、中学校でバスケットボールがないという、スポーツ権の保障上の問題もあったりで、拠点校方式を作ったり、あるいは合同部活動方式を採用したり、あるいは地域の協力と連携の中で部活の活動を継続させていく、つまり、子供のスポーツ権を社会がどのようにちゃんと保障できるのかということを主眼でやっておるということを、少し補足をさせていただくということで、御説明をさせていただきたいと思います。

 それから、田嶋委員や藤田委員がおっしゃったことも含めて、これは部会の委員、ほとんどの委員たちが共有していて、子供の部活の重要性も認識をしておりますし、その中で部活が途絶えることのないように、あくまでも学校を中核にしながら、部活動がこれからも発展的に行われていくということと、それから、高校に進学した場合には、それぞれの生徒の意思を尊重する形で、中学校のガイドラインを準用するということに留めて、もちろん学校設置者、あるいは都道府県、あるいは地域の実情に応じて柔軟に部活をやっていただけるように、ただし、視点は、あくまでも子供のいわば運動生活をしっかり保障しようということでやっておるということであります。

【山脇会長】ありがとうございました。泉委員。

【泉委員】この機会に、日本体育協会の対応といいますか、取組についても御説明をさせていただければと思います。

 第2期スポーツ基本計画の中で、日本体育協会に期待される項目が非常にたくさんございます。それを受けて、時間はかかりましたが、日本体育協会の中で部署ごとにそれぞれ具体的な施策を検討し、どのようにそれを具現化していくかということで、「スポーツ推進方策2018」を作りました。10日の理事会で御承認いただいて、今、ちょうど印刷にかけておりますので、でき次第、また皆様にも配布をさせていただきたいと思います。

 その中に、当然、第2期計画の中でうたわれていることは、基本的に全部網羅できておりますが、新たに3点ほど、取組を強化していこうという案件がございます。一つは、スポーツボランティアの活動の支援、それから二つ目が、女性スポーツの活用・充実。三つ目に、学校スポーツとの連携という取組を取り上げております。先程、学校部活動の話も出てまいりましたが、学校の部活動だけで考えるのではなくて、学校と地域スポーツの融合・連携、これを体協として大きなテーマとして考えておりまして、部活動でできないところをどうやって地域で受け皿を作っていくか、スポーツ少年団、総合型地域スポーツクラブ、この辺をしっかり取り組んでいこうということで、今、具体的な案を策定中です。そういう関連で、外部指導者の問題等々も含めて、将来的には学校の部活動から地域への移行も見据えながら、しっかりとした基本的な考え方を構築していく必要があると思っております。

 また、話は変わりますが、4月1日から日本体育協会が日本スポーツ協会に変わります。3月29日にはセレモニーをやって、正式に4月1日からスタートする予定でおりますが、体育の考え方、あるいは今までの歴史も含めて、しっかりと検証しながら、スポーツという意味では、多様な新しいニュースポーツも含めた普及、あるいはいろいろな関わり方、こういったものも体協としては模索していく必要があるということで、名称変更を致します。引き続き御支援をお願いしたいと思います。

 以上でございます。

【山脇会長】どうもありがとうございました。

【庄野委員】補足をさせてください。運動部活動というのは中学・高校生が対象になると思うのですけれども、小学生に対しては、地域の少年スポーツクラブとかが、今、行われているということを聞いていて、放課後の親が帰ってくるまでの時間に運動をしてほしいという形で預かっている町内スポーツクラブがたくさんあるということを聞いています。

 今後、少子化が進んでいくと、運動部活動もそういった形で合併していったり、小学校からのそういった地域スポーツクラブとの流れができてくることが考えられますので、そういった部活動指導員若しくは少年クラブの指導員の方たちの資質向上と、そこへの予算の確保と、あと、大学スポーツというテーマが先ほどあったのですけれども、その中で、スポーツ系の大学の将来教員を目指している学生たちを、地域にもどんどん引っ張って、そういった形での地域での指導者としての、学生時代から土台を作って研修を積んでもらうということで、それほど高くない報酬であっても、学生の教育的な一環として、そういった場に活用するといったことも考えられるのではないかと思いますし、子供たちの中で、持病を持っている子供とか、多少障害を持っている子供たちでも、一緒になって安心して運動ができるということのためには、そういう医学的な部分のきちっとした情報が、学校の検診の結果の情報が、そういった部活動指導者とか、外部の少年スポーツクラブ指導者にも、守秘義務をちゃんと守った上で、この子の健康上の問題はこういうところにあるから、運動するときはこういうことに注意してくださいというような情報が、私の調べた限りでは、現時点では全くきちっと情報が学校から外部指導者に伝わっていないということが分かっていますので、そこら辺が、学校と地域の連携、そして地域と地域の医療機関とのきちっとしたネットワークを作っていく、連携システムを作っていくということが、これから絶対に必要だと思いますので、その点に関しても進めていただければと思っております。

【山脇会長 ありがとうございました。田邉委員、お願いいたします。

【田邉委員】田邉です。ありがとうございます。私からは2点です。資料5の3ページ、スポーツ実施率の向上施策1、「FUN+WALK PROJECT」ということで、大変すばらしいプロジェクトだと思っております。こちらで、下にも書いてありますバランスボールを事務椅子として使用したりということで、私も、7年、8年ぐらい前から、バランスボールを実際事務の椅子として使っております。非常に良くて、腰痛にはかなり効果があると私自身も思っております。普通の椅子と違って、骨盤を動かしながら座ることができるということもあって、腰痛の解消になります。簡単な、毎日の運動の中でスポーツと触れ合っていく、小さなステップから次の段階につながる段階的なシステム。一番初めに、歩いたり、日常生活の段階でのスポーツの関わりがあり、それが次の発展につながるようなプロジェクト。特に若い女性は、男性に比べて早い段階で運動から離れてしまうという傾向もあります。特に女性は10代から高校生の年代ぐらいまでがピークになって、その後大幅に下落していくというところもあります。このような女性とスポーツの関わりの特徴も考えていく必要があるのではないか感じました。

2点目は、12ページ、アンチ・ドーピングの推進に関してです。二つ目のインテリジェンス情報を用いたアンチ・ドーピング活動の推進に関して新しくドーピング通報窓口が設置されています。昨今、様々な問題が起きておりますけれども、是非こちらの通報窓口というのを活用して、できるだけ早い段階でドーピング防止というのを行っていくような、情報がこれから益々重要になってくるかと感じました。

 2020東京オリンピック・パラリンピックと2019年ラグビーワールドカップを控えている、日本としてクリーンなアスリートを守るためにも、競技大会に参加させないための体制構築の重要性がこれからも益々重要になってくると思います。

 以上です。

【山脇会長】ありがとうございました。それでは、鈴木委員、お願いします。

【鈴木委員】鈴木でございます。第2期のスポーツ基本計画の策定、そしてまた、今回の30年度の予算(案)を拝見させていただいても、ドーピング防止に向けて国を挙げて取り組んでいただいているということを感じまして、それについて、まず感謝を申し上げます。

 先ほど具体の取組というところで、資料5を御説明いただきましたけれども、現場として、我々アンチ・ドーピング機構として関わっていることで、少し追加で御説明させていただきますと、例えば10ページのところでの国際社会への参画というところでは、カザンの会議において、アンチ・ドーピングを基にしたスポーツのフェアということに関わるマンガムービー、これはスポーツ・フォー・トゥモローで進めていただいたものでございますけれども、これを提示する機会を頂きました。それを提示させていただく機会を会場で頂いたおかげで、ほかの国から、このマンガムービーを使いたいという依頼が出てきております。すなわち、言葉によらない、マンガによる説明、プロモーションでございますので、そういう形で世界的に使っていただけることを目指しておりまして、これも国際社会への参画の一つという具体の例をお示しできると思います。

 また、併せて、ASEANとのスポーツ大臣会合というものもネピドーで開催され、それにも御出席いただいていると思いますけれども、ここでもいろいろ御発言を水落副大臣から頂いたこともございまして、この後、昨年12月に、第11回のアジア・オセアニアアンチ・ドーピングセミナーを開催したのでございますけれども、これについても非常に多くの国の方が積極的に御参加いただいたという具体的な成果が出ているところでございます。

 それから、12ページのアンチ・ドーピングの推進ということでございますけれども、正にこれは喫緊の問題を具体的に記載していただいておりまして、粛々と進んでいるところだと思います。特に最後のインテグリティの確保に関する緊急会合、これは非常に迅速に御対応いただきまして、この基本計画にのっとって、非常に積極的な動きを実際にされていると感謝をしております。

 アンチ・ドーピングに関しましては、国際的な情勢の変化が非常に急でございます。そしてまた、先ほどの例でもございますように、日本におけるアンチ・ドーピングに関しても、非常に大きく変化しております。その中で、我々の活動は、ドーピングコントロールと呼ばれる検査と、それから教育啓発と大きく分けられるわけですけれども、検査につきましても、従来の競技大会で検査して摘発という時代はもう過ぎまして、競技大会の数か月前から情報を集める、インテリジェンス検査を展開するという時代に変わってきております。

 すなわち、2020年の東京大会を中心としまして、2019年、2021年と国際大会を控える中で、世界水準のドーピングコントロール体制というものを整備することが喫緊の課題ではないかと考えておりまして、その点では、この12番にございますように、当然我々の組織だけでは無理なところがございまして、日本スポーツ振興センター様の方でインテリジェンス機能を担っていただく、それからドーピングの通報の窓口を担っていただく、それから、規律パネルを運用していただく。すなわち、我々は検査をして、それを第三者の分析機関で分析していただいて、そして、その結果の御判断を、我々ではなくて、また、独立した規律パネルというところで御判断いただくという、こういったシステムをきちんと進めていく必要があろうと思いますので、是非関係団体様の御協力を頂きたいと思います。

 最後に、もう1つの柱であります教育啓発でございますけれども、ドーピング防止教育とまとめてございますが、二つの意味がございまして、まず、アスリートの方に各競技団体様と一緒になって情報を提供するということ、それだけではなくて、アンチ・ドーピングの意義、そしてスポーツの価値、すなわち、スポーツのフェアネスということをいかに担保するかという根幹的な問題の教育を併せてしなくてはいけないと思っています。そういう点では、アンチ・ドーピングというのは一つの切り口になるのではないかと思っています。

 我々としても、今まではアンチ・ドーピングという否定形でしたけれども、もっとスポーツに対する積極的で明確なメッセージを出していけるように、現在、組織としても模索をしております。それも含めて、各団体様と幅広く連携していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 以上でございます。

【山脇会長】ありがとうございました。結城委員、お願いいたします。

【結城委員】ありがとうございます。今、お二方からドーピングのお話もございましたので、こういったインテグリティというもの、そして、スポーツを広めていく、これからの大きな第2期計画での主題、それをどのように関わらせたらいいのかの辺りで、考えを述べさせていただければと思います。

 例の昨今の事件、そして昨日の緊急会合、あのとき、たしか鈴木長官が最初の第一声でおっしゃったのは、スポーツとは何かを理解していないような行為だと。そのとおりと感じました。今、この事件だけではなく、暴力、それから海外で特に多いですけれども、セクハラであるとか、いろいろな厳しい視点がございますし、それに対して、日本のスポーツ界だけではなく、恐らく教育現場も含めた、若しくは私たちのスポーツ・運動という広義の意味でやる私たち自身を考えても、それをどこまで踏まえているのかというところが問われつつある、正に状況であるという気がします。

 最初の1件で考えますと、個人的に非常に世間の反応の特色があったと思います。要は、今回の1件に関して、まず我々の反応で、日本人がやるのかということ、そして、それに対して、日本人というか、自分が感じていたプライドが傷付くということで、これは個人の問題という方向性で、その方のいろいろな過去の経緯であったり、それから、その方の特殊な事情であったりといったことを注目する。これはメディアの自戒も込めてでございますが、そういった流れが非常に見えたと思います。一般の問題として、なぜこういったことが、今、起こりつつあるのかという視点が、あまりなかったように思います。

 もちろん指導徹底も大事でございますし、いろいろな形でこれがいけないことだと伝えるというのはもちろん大事です。ただ、基本的になぜいけないのか、スポーツとは何かという部分を伝えなくしては、結局そういったことというのは全て決まりでしかない。決まりというものをなぜ守らなければいけないのかが理解できなければ、それは決して根付くことはないと思います。

 例えば今現在、私ども、第2期スポーツ基本計画で、どんどんあちらこちらに広めようとしておりますが、学校、自治体、企業、大学NCAA、いろいろなすばらしいアイデアが出ております。スポーツ産業なくしては、スポーツそのものの維持・振興ができない、それも全くの事実だと思っています。そのとき気を付けなければいけないのは、スポーツというものの本質・理念のようなもの、なぜスポーツをするのか。高橋委員が最初言及されていましたが、心に対する影響、そういったものに対しての価値観を同時並行できちっと発信をし、伝え、教えていく、このチャンネルがないと、結局は産業が進み、NCAAが進み、そして何のためにスポーツをするのかという部分、問いが大きくなればなるほど見えにくくなるのではないかという気がいたします。

 部活動でもしかりだと思います。私の母もずっとバレーを教えておりますので、先生方の大変さ、そして、そこをむしろくむべきではないか、伸ばすべきではないか、その御指摘を非常に面白く聞きました。と同時に、学校でなぜ部活動をしているのか、そこの部分、人間性というものをどのように指導するのか、そこにフォーカスを当てた考え方、指導、そして、ある意味で施策がないと、それは違うものになっていきかねないという気がしてきております。

 例えばインテグリティという言葉がございますけれども、やる人間が、もっと自分自身はもう少しましな人間になれるのではないか、自分がルール守って相手を尊重してフェアに戦うということは、非があったら自分の非を認めるということでもあります。協調性があって向上心を持つ、達成感を持つとか、そういった小さなことの積み重ねが、結局はスポーツってこういうものだったという価値への気付きにつながるのだと思いますが、そこの部分を何らかの格好で伝えるべきで、産業、大学NCAA等々のとき、私は取材の専門性、IOCでございまして、IOCは20年弱前から、そういった理念というのが、結局は産業化にとってもマーケティングにとっても鍵になるということを大きく主題として打ち出しまして、IOCのアプローチにも、それ自体の是々非々ございますので、ただ、その理念の大切さ、ある意味でスポーツが何を社会にできるかという部分、人々にできるかという部分を、同時に訴え上げるということの大切さ、それに気付いているというところでは、なるほどと思わせる部分が1点ございます。それを考えに入れながら、スポーツ普及・推進といったものをつなげて、第2期をやっていければと感じます。よろしくお願い申し上げます。

【山脇会長】ありがとうございました。山本委員、お願いします。

【山本委員】JXの山本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。私は経団連のオリンピック・パラリンピック等推進委員会の企画部会長をやっているという関係でございまして、第1期から、このスポーツ審議会の委員を拝命させていただいているところでございます。本日は、スポーツ実施率の向上施策という観点で、経団連の活動の一端を御紹介させていただきたいと思うところであります。

 今週1月16日、オリンピック・パラリンピック等推進委員会の企画部会を開催いたしまして、鈴木長官にも御来席いただきまして、御講演を頂いたところではございますけれども、経団連としては、経済界発で幅広くスポーツを応援する国民ムーブメントを盛り上げることを目的に、まずは企業のトップがスポーツの現場に自ら足を運んでいただきまして、アスリートやアスリートをサポートする人たちと交流する活動を進めております。今年度は6回、大きなイベントがあったわけでございますけれども、その一端ということで、最近の8月以降行われた事例を三つほど御紹介をさせていただきたいと思います。

 一つは、8月に、経団連副会長であります私どもの木村会長が、私どものJX-ENEOSサンフラワーズという女子のバスケットボールチームの選手と一緒に、車椅子バスケットボールの日本代表チームの皆さんと、車椅子競技の体験やミニゲームなどをさせていただきました。代表選手の皆さんが常に明るい姿で競技に打ち込んでいらっしゃって、皆さんが金メダルを目指すのだという抱負を述べていただいた姿にスポーツの力を力強く感じるとともに、その魅力というのを我々が発信して応援していくということが大切であるということを感じたところでございます。

 それから、10月には、委員会の委員長をしていただいているトヨタ自動車の豊田章男社長が、リオで視覚障害者の女子マラソンで銀メダルを取られた道下美里選手と、そのガイドランナーであった堀内様と青山様の練習を見学に行かれました。豊田社長自らガイドランナーの方と一緒に伴走を体験していただきまして、競技への理解を深める中で、選手とガイドランナーの方々、これは仲間としての絆とか信頼とかというのが何より大切だということを感じられたようでございまして、アスリートをサポートする方々を経済界として応援をしていきたいという思いを伝えてきていたところでございます。

 それから、もう1点は、去年の10月でございましたけれども、同じく委員長をしていただいているパナソニックの長榮会長が、愛媛で行われました全国障害者スポーツ大会を訪問されました。ここで長榮会長が感じたところというのは、場内放送が補聴器で聞くために磁気誘導ループというのがあったり、試合状況をリアルタイムで伝達するための手話とか筆談ボランティアだとかいうもの、こういったことへのハード・ソフト両面での質の高いバリアフリーみたいな対応が行われているということに感動されたという話を聞いております。

 こうした企業のトップが自らスポーツの現場を体験するということで意識が変わっていけば、経済界としてのスポーツ支援にも一層熱が入るわけでございますし、今後、この取組を更に加速させていきたいと思っているところであります。

 ただ、他方で、スポーツ界との接点がないとか、どのようにアプローチしていいのか分からないといった企業もいまだに多いことは事実でございまして、経団連としても、訪問先となるスポーツの現場、アスリート、あるいはアスリートを支えるスタッフ、あるいは施設、こうしたものをリストアップして情報提供していきたいと考えてはおりますけれども、その際はスポーツ審議会の皆様にも御協力を頂けると有り難いと思っている次第であります。どうぞよろしくお願いいたします。

【山脇会長】ありがとうございます。それでは、大日方委員、それから渡邉委員、それから最後に河合委員の順で、お願いいたします。

【大日方委員】ありがとうございます。前期に引き続き務めさせていただきます大日方でございます。私からは、主に2点、申し上げたいと思います。

 1点目は、先ほど来お話のあります学校部活動との関係についてでございます。私、渋谷区の教育委員会の委員を務めておりまして、そちらでも、学校部活動の話、教員の働き方改革といったところも含めて、大きな議論が行われております。

 ここで一つだけ申し上げたいのは、学校の中でそれらの問題を包括的に考える上で、渋谷区長から、コミュニティ・スクールをどのようにするのか、運営していくのか、を渋谷区として、都市部における学校で、どのようなコミュニティ・スクールのモデルが図れるのかということを考えてほしいというお題を頂いておりますので、こちらと学校部活動の在り方、そして教員の働き方改革といったことを、広い視点を含めて考える必要があるのではないかということを、一つ指摘させていただきたいと思います。

 二つ目は、障害者スポーツに関するお話でございます。資料5の4ページのところで、スポーツ実施率の向上施策というところ、こちらの左上に、障害者スポーツ推進プロジェクトというものを今年度やるということで、今後、2020年以降に向けて、極めて大事な取組になる話であろうと考えております。日本障がい者スポーツ協会は、山を高くし、競技力を上げる、同時に裾野を広げるということ、つまり、地域でも障害のある人が身近にスポーツを楽しめる、こういった環境を整えること、両方大切だと申し上げておりますけれども、特に裾野をどう広げるのかということについて、結果的に山を高くすることも含めて、2020年以降につながる、非常に大切なことであると思っております。

 そのときに、ここでどういった問題・課題意識といったものが出てくるのか、調査研究もされるようですけれども、注目しておきたいのが、スポーツを支えるある種の人材、先ほど迫本委員からお話もあり、プロデューサー人材という言い方をされましたけれども、どういった人が必要なのか、この辺は組織の在り方も含めて考えていく、そういった課題といったものが、ここの中から見えてくるといいという期待をしております。

 恐らくここの部分が変わらないと、なかなか本質的な改革につながらないのではないかとも思っております。一つ、大学スポーツの振興というところで、部会でもNCAAの話もしながら、機構改革に取り組んでいるかと思いますけれども、組織をどう変えるのかというところに大きく鑑みましては、21年以降、次期になってしまうかもしれませんが、3期へつなげる意味も含めて、2期のスポーツ基本計画の中での取組が極めて重要になるだろう、そのように考えているという視点を申し上げさせていただきます。ありがとうございました。

【山脇会長】ありがとうございました。渡邉委員、お願いします。

【渡邉委員】また今期もお世話になります、笹川スポーツ財団の渡邉です。私は、先ほどから御説明がございますけれども、健康スポーツ部会というのが発足しまして、その部会長を任命されており、非常に重たく、大変なミッションを受けています。昨年の7月に鈴木長官から出された諮問に書かれていますけれども、スポーツ実施率の飛躍的な向上に向けた方策を作ってほしい、具体的には42.5%を65%。今までスポーツを実施していない方は2,000万人で、これは人口規模で言うと、東京都と埼玉県を足した人口になるわけです。今、部会でも様々検討を進めておりまして、資料3にございましたように、本年の6月ないし8月に、まず部会答申、1年目の答申をする予定になっております。長官の諮問では、ビジネスパーソン、女性、子供、高齢者を主な対象としつつ、即効性のある取組を行動計画にまとめてほしいといった内容になっています。

 今、部会でどのようなことを進めているかということですが、諮問にあったように、年代、性別的なアプローチ、ここの現状と課題を、しっかりと整理すること。そして、日本全国に老若男女が暮らすわけですから、空間別のアプローチ。具体的に言うと、学校、企業、あるいは地域。地域といっても、自治体や自治会まで含まれますけれども、ここでの空間的なアプローチをどうしたらいいのか。さらには、そのアプローチを進めるために、スポーツ分野以外の人や組織との融合をどう図っていくのか。こういったことを様々考えながら、進めています。当然ここに必要になってくるのは、スポーツを毎週実施している人、あるいは複数回実施している人、多分、ここにいらっしゃる方、多くの方はそうだと思いますが、そういった視点ばかりでは不十分だと思います。今般、パブコンでのアイディア・企画が、学生や恐らくあまりスポーツをやらない方から、いろいろな提案が出てくるだろうと思います。そういったものを取りまとめて行動計画を作って、さらには、その1年後には政策パッケージを作るといった作業を進めていきたいと思います。

 先ほど来、皆さんの発言を聞いていて、何が今、一番大事かということですが、スポーツの価値を分かりやすく国全体に伝えること、その方向性と具体的手段を第一に、これから議論していかなければいけないと思いました。そして、無関心層の方の関心を高める、あるいはスポーツの価値の理解促進を促す、その上で実施を促す具体的な提案をして、実際にスポーツに携わってもらう、実施してもらう、こういったアプローチを、ここ1年、2年かけて、しっかりやっていきたいと思います。

 その中には、当然、空間別アプローチでお話ししましたけれども、学校とか地域が入ってきます。そうすると、泉委員からお話があったように、学校と地域の連携をどうしたらいいのか。あるいは、ボランティアの支援をどうしたらいいのか。そういったものを複眼的に大局的に捉えて、具体的な部会としての答申につなげていきたい、そんなことを思っております。所信表明的な話になりましたが、私の発言は以上であります。

【山脇会長】ありがとうございました。最後になりましたが、河合委員、よろしくお願いします。

【河合委員】よろしくお願いします。私は今、日本パラリンピアンズ協会というところに所属をしておりますけれども、昨年、我々として、次世代のパラリンピックを目指すアスリートの奨学金制度を、企業の協力を得て始めたわけですけれども、そういった中学生・高校生の障害のあるアスリートたちから先日お話を聞いた際にも、結局、まだ学校では、障害があることで、体育が見学であったとか、なかなか参加できなかった。先ほどの部活動の指導員の課題とも共通しているところかと思いますけれども、是非そういった、どこにでも障害のある方々が一定程度いるということ、その方々もスポーツをすることが当然であるということに目を向けていただきたいと思っていますし、学校において、体育は参加していますと。授業は参加する。これは見学をしていても参加とカウントされていないだろうかと。体を動かすという本当の意味の参加ができているかという視点での確認も、是非これらを進めていく意味でも必要ではないかと思っております。

 大学のNCAAのところでも、ここにも今、大学生で障害のある方々も当然入っております。オリンピック・パラリンピックの強化で、これからNTCの拡充等も含めて、しっかりと同様に進めていこうとなりつつも、様々小さな施策になったり、目の前の物事になった瞬間に、今、ちょうど偶然なのか、障害のある方々が、自分の目の前だったり、その周囲で見掛けなかったり、分からないことによって、いなくて当たり前のような政策や準備が進んでいくことに、すごく危機感を感じてもいます。

 アリーナや、そういったスタジアムの改革等にも、東京2020に向けて、アクセシビリティのガイドライン等をこれまで整備をしてきておりますので、こういったものが当たり前で、今、そういった障害のある方が来ていないから興味がないのではなくて、来たい、あるいは、その人たちも来てもっと楽しんで、より豊かな人生を歩めるために、スポーツがどう貢献できるかという視点で、これからもっと皆さんと共に知恵を出して、汗をかいて、実施率の向上も含めて進めていければと思っております。

 以上です。

【山脇会長】ありがとうございました。意見交換が尽きませんが、少し時間を超過してしまいましたので、本日の意見交換はこれで終了したいと思います。

 最後になりましたけれども、鈴木長官から、今回の審議会へのお言葉をお願いいたします。

【鈴木スポーツ庁長官】本日、委員の皆様から、それぞれのお立場の中で御意見を頂戴しました。真摯に受け止めて、極力反映するなり、更に議論を深めていけるようにしてまいりたいと思っております。

 2020年大会も近付いてきたわけですが、今、このスポーツを変えなくて、いつ変えるということでして、特に2020年大会、私が読んだ論文の中では、2000年以降、先進国でオリンピック・パラリンピック大会が開催されていますが、シドニー、あるいはロンドン、バンクーバー、冬季もありますけれども、どの国も、オリンピック・パラリンピック前後で国民のスポーツ実施率が上がったというデータがありません。私たちは、この2020年東京大会を通じて初めて、オリンピック・パラリンピックを開催すると、その国の国民がスポーツをやるようになる、オリンピック・パラリンピックを呼ぶことで国民が健康になるのだということを訴えられるような大会にしてまいりたいと思っています。

 そのためには、ドーピングですとか、一般の人たちがスポーツをやることのできる環境をもっと整備しなくてはいけません。冒頭、迫本委員がおっしゃっていましたけれども、そのためには、都市型の人、地方の人、いろいろな立場の人たちとコミュニケーションを図っていかなくてはいけないと思っています。

 本日、まだまだ御意見を言い足りない方は、たくさんいらっしゃると思いますので、メールなり何なりと御意見を頂戴したいと思います。本日はありがとうございました。

【山脇会長】どうもありがとうございました。これから2年間、多分、この2年間というのは大変重要な時期になると思います。委員の皆様方、大変お忙しい中、委員の使命、役割、重責を担っていただくことになると思いますけれども、この体制でしっかり取り組んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 次回の日程につきましては、事務局から、また調整の上、御連絡をいたしたいと。何かありますか。

【澤川政策課長】資料にもありますが、次回は3月、年度内に1回開催したいと思っておりますので、また詳細な日時は調整させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

【山脇会長】ありがとうございました。それでは、本日はこれで終了したいと思います。どうも皆さん、ありがとうございました。

 

―― 了 ――

 

お問合せ先

スポーツ庁政策課