スポーツ審議会健康スポーツ部会(第2回) 議事録

1.日時

2017年11月27日(月曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省東館3階1特別会議室

3.議題

  1. 健康スポーツ部会(第1回)での主な議論について
  2. 地方自治体における取組について
  3. ビジネスパーソン向けの取組について
  4. 平成28年度体力・運動能力調査の結果について

4.議事録

【渡邉部会長】  皆様、おはようございます。部会長を務めております渡邉と申します。どうぞよろしくお願いします。

 ただいまから、第2回スポーツ審議会健康スポーツ部会を開催いたします。 

それでは、事務局の方から本日の資料の確認をいたします。

【松崎健康スポーツ課課長補佐】  今、健康スポーツ課長の安達が遅れておりまして、私の方で資料の確認だけさせていただければと思います。

 本日の資料、お手元に配付されているかと思いますけれども、まず議事次第がございます。その次に、資料1としまして、前回、健康スポーツ部会(第1回)での主な御意見、議事録につきましては、ホームページに掲載しておりますけれども、その中から各テーマ別に主な御意見を載せております。次に、資料2としまして、久野委員からの説明資料です。資料3としまして、豊岡委員からの説明資料です。資料4につきましては3種類ございまして、近藤委員からの説明資料ですが、4-1、4-2、4-3でございます。次に、資料5としまして、後山委員からの説明資料です。最後に資料6としまして、スポーツ庁からの資料で、10月8日に発表しました体力・運動能力調査の結果についてです。

 このほかに委員の皆様の机上には、スポーツ基本計画の冊子を配付しております。議事の途中で御覧いただく機会がございましたら、こちらを御参照いただければと思います。また、このほかに三島市からパンフレットを2つ配付させていただいております。

 資料につきましては以上でございます。

 【渡邉部会長】  ありがとうございました。本部会の目的はもう皆さん御承知のとおりかと思いますけれども、本日初めて御出席いただく委員の方がいらっしゃいます。目的に沿いまして、本部会の取りまとめに向けた論点、あるいは課題に対する提言も交えながら、時間は短いんですけれども、1分ずつ、自己紹介含めて御発言いただきたいと思います。

 まずは久野委員からお願いいたします。

【久野委員】  筑波大の久野でございます。すみません。前回はヨーロッパ出張中のために欠席させていただきました。きょう、この後、プレゼンの機会を頂いていますので、詳しくはそのときにお話しさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【渡邉部会長】  続きまして、近藤委員、お願いいたします。

【近藤委員】  千葉大学並びに国立長寿医療研究センターの近藤と申します。私は今まで介護予防の側面から、スポーツをやっている高齢者が要介護認定を受ける確率が34%低くなるなどの研究をしてきました。そちらで市町村支援にも取り組んでおります。マネジメントサイクルを回すためのツール開発もしてきましたので、後ほど御紹介させていただきます。

【渡邉部会長】  続いて、左三川委員、お願いします。

【左三川委員】  経団連の左三川と申します。前回欠席してしまい申し訳ございませんでした。経団連の業務では、2020年のオリンピック・パラリンピックに向けたムーブメント作りを主にやっていますが、併せまして、日本全体のスポーツの振興とか、企業の従業員の健康に係る健康啓発も含めてやっておりますので、そうした点との接合といった観点から議論に参加させていただきたいと思います。どうぞよろしく御指導お願いいたします。

【渡邉部会長】  続いて、豊岡委員、お願いします。

【豊岡委員】  改めまして、おはようございます。静岡県三島市長を務めております豊岡武士と申します。前回は公務で欠席させていただいたんですが、会議録を拝見させていただきまして、大変勉強になったところでございます。後ほど三島市の取組、御説明させていただきますけれども、簡単に言えば、人もまちも産業までも健康で幸せを目指そうという取組を御紹介させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【渡邉部会長】  中村委員、お願いします。

【中村委員】  おはようございます。山梨大学の中村と申します。前回は公務のために欠席いたしました。申し訳ありません。私は子供の運動発達を専門にしていまして、主に幼少時の子供たちの運動遊びや、それから、様々なスポーツについての研究をしております。できればライフステージ、確かに人間の段階というのは、発達段階は分かれるんですけれども、その枠を少し取り払って、子供の頃から運動好きになるような、そして、体を動かすのが好きになるような、そんなふうな子供たちを多く増やして、それが成人期、その後の高齢者につながるように、そんな発言をさせていただきたいなと思っております。よろしくお願いいたします。

【渡邉部会長】  最後になりますが、増子委員、お願いします。

【増子委員】  福島県障がい者スポーツ協会に勤務しております増子恵美と申します。よろしくお願いいたします。地方の障がい者スポーツ協会に勤務をしておりまして、障害者のスポーツ振興を広く、身近な地域において障害をお持ちの方がスポーツに親しむ環境を整える仕事をさせていただいております。そうした観点から、広く一般向けにも障害をお持ちの方が入っていくように取り組んでおりますので、何か今回もお役に立つようなことができましたら幸いと思っております。よろしくお願いします。

【渡邉部会長】  委員の皆さん、ありがとうございました。

 なお、本日は、スポーツ審議会総会より山脇会長に御陪席いただいております。ありがとうございます。

【山脇スポーツ審議会会長】  おはようございます。よろしくお願いします。

【渡邉部会長】  それでは、時間も限られております。早速議事に入りたいと思います。

 まず第1回の議論の振り返りを事務局より御説明いただきます。

【安達健康スポーツ課長】  健康スポーツ課でございます。それでは、今、御紹介ありました前回の議論を振り返りたいと思います。資料1を御覧になってください。時間の関係上、全ては御紹介できませんが、かいつまんで御説明をさせていただきます。

 まずスポーツの概念について御意見を頂きました。何がスポーツなのかということも含めて、スポーツの範囲ですとか概念ですとか、そういった御議論がまずございました。

 2つ目として、指導者についても御意見がございました。障害者スポーツの指導の例を御紹介いただきまして、一人一人に対しての教え方が異なる、そういった視点での指導者の育成についての御意見がございました。

 3つ目として、スポーツを実施する場所等についてでございます。こちらはいろいろ御意見ありまして、例えば廃校活用ですとか、空き教室、あるいは学校開放などを含めた様々な場所の活用などについて御意見を頂きました。

 ビジネスパーソンについてでございます。一番下にございます「経営者を巻き込みながら」という御意見ですとか、健康経営についてという視点からも御意見を頂きました。

 女性についてという視点がございました。こちらは、幼児の頃から女子のスポーツ活動をサポートしていかなければならない、そういった御意見を頂きました。

 あと、子供についてでございます。こちらも幼児期からスポーツを楽しめるような仕組み、あるいは保護者へのアプローチが重要ではないかというような御意見を頂きました。

 高齢者についてというところでございます。こちらは医療の関係もございますので、何らかのベネフィットを与えることも考えられるのではないかという御意見もありました。

 障害者についてというところでございます。パラリンピックの盛り上がりもある中で、障害者に対する意識が思ったほど変わっていないというふうな御紹介がございまして、時間が必要であるという御意見がございました。

 運動嫌い・無関心層についてというところでございます。例えばスポーツボランティアの活用ですとか、無関心層へのアプローチとして、例えば健診、保健指導の機会により、運動不足が自分に影響を及ぼすことを認識するですとか、そういったきっかけ作りなどについて御意見がありました。

 アプローチの方法についても様々な御意見を頂きました。まず、楽しいと思えるように。スポーツを楽しくやったら結果的に健康になるですとか、あるいはスポーツだけではなくて、スポーツ、音楽、文化、そういったプラスアルファの視点が重要ではないか、そういった御意見もございました。

 関係機関等との連携というところでございます。こちらは本日御発表がありますけれども、例えば地方自治体における連携、地域内での産業界との連携ですとか、そういったところも含めて御意見を頂きました。

 以上でございます。

【渡邉部会長】  ありがとうございました。取りまとめを拝見しますと、きょうの発言につながるようなお話が幾つも出ていたと思いますので、きょうはまた具体的に自治体の話であるとか、企業の話について言及していただきたいと思います。

 それでは、早速、次の議題に入ります。地方自治体における取組につきましては、久野委員、豊岡委員に続けて御説明いただきます。

 それでは、久野委員、よろしくお願いいたします。

【久野委員】  久野でございます。よろしくお願いします。時間の関係で、早速いきたいと思います。

 まず左側を見ていただきたいのですが、WHOが2009年、こうしたレポートを初めて出しまして、世界じゅうの論文から死因のベスト20を発表したわけです。何と第4位に運動不足が入ってきていると。これは2013年にバージョンアップしていますが、それでもやっぱり第4位は運動不足であると。

 今のエビデンスから、2位のタバコ以外、運動不足を解消することによって、ベスト5のうちの4つの要因を解決することができる。そういう面では、スポーツ、運動をどうやるかというのは、国家の、この超高齢社会の中の、一丁目一番地の課題と言えると思うわけです。

 次に、右側のスライドを見ていただくと、2025年には、団塊の世代の方が75歳以上に届く。あと7年ですが、そこに向けて認知症をどうするかというのが間違いなく国家的な課題になります。これに関しても、ほぼ認知症は生活習慣病だということが確認されてきていて、この下に赤く書いてあるのが、大体その認知症に行く一つのルートなわけです。そうすると、ここにも右側から2つ目に身体的不活動、運動不足というのが認知症の要因として上がっている。しかも、これはアルツハイマーのリスクを表しているわけですが、縦軸が高いほど、そのリスクが高いという意味ですので、運動不足が一番認知症へのリスクが高い。全部が全部こういうデータではないですが、こういうデータも出てきている。やはりここを含むことがいかに大事かということが分かっていただけるかと思います。

 これは我々の研究室で、今、20万人ぐらいの、大体20代から90代までの方々の歩数のデータを全部ITで飛ばして、もう10年ぐらいため込んでいます。そこから1日の歩数5,000歩未満を「低」、低い群。5,000から9,000歩を「中」、中位の群、9,000以上を「高」、高い群というふうに分けて、縦軸が年齢です。55歳群、60歳群、この値は年間1人当たりの医療費です。そうすると、55歳のところは5,000歩未満が年間9万9,000円に対して、9,000歩以上は4万1,000円と、半分以下なわけです。そして、真ん中の群が7万4,000円。きれいにはまってくるわけですね。ですので、国民の生活習慣病対策に、歩くことを含めたスポーツ、運動ということの寄与がいかに大きいかということを示唆するわけです。

 一方で、今度は75歳のところを見てください。「低」が39万9,000円に対して、「高」が34万1,000円。この関係は55歳と同様ですが、差が小さくなってくるんです。これはどうしてかというと、ここは、いわゆる筋肉の問題(フレイルという言葉を今、厚労省が使い出していますが)、筋肉対策が大きくなってくるので、歩数の影響が小さくなってくる。そうすると、有酸素系の運動の部分と筋力系の運動の部分、何でも運動すればいいという単純なものではないんだということがこういうデータから読み取ることができると思います。

 今後、地域という観点で、我々、英語ではウェルネス、スポーツウェルネスという言葉を好んで使っていますが、これを日本語にするときはわざと、健康の「康」を「幸せ」という字に変えて、「健幸スポーツ」という字を10年来使っています。ここの課題をまとめてきたわけですが、1次予防における障壁ということで、前回もどなたかから御発言いただいたように、我々は、七、八年前に7割ぐらいが無関心層で、必要な身体活動量が足りないというデータを出しました。それがこれまでの地域の施策というのは3割の関心層しか参加していない。つまり、多数の7割層にはほとんど届いていない。じゃあ、なぜそこまで言い切るかというと、ここの「健康的な生活を送るための情報収集・試行」というところを見ていただきたいんですが、これは統計的に、今後も運動をやる意思がないと答えた7割の人たちは、健康情報やスポーツ情報をほとんど取ろうとしていない集団だということになったわけです。今はできていませんけど、今後やる意思がある群は情報を取っている。十分やれている群も情報を取っています。つまり、これまで、分かっていてできない人たちをどうしようかという議論を、公衆衛生を含めて我々はやってきたんですが、情報が届かないということは行動を変える価値を認識できないわけですから、行動を変えるはずがない。つまり、自治体が一生懸命、広報活動とかイベントとかやってきても、そこに来ているのは3割だけで、7割には情報も届いていない。変わるはずがないんだということを我々ある程度理解をして、実はその7割に届くような仕組み、あるいは7割が参加できる仕組みを具体化していくことを考えないと、これまでの、どちらかというとステレオタイプ的に、一様な施策ではここを変えることはできないだろうというのが、ほぼ我々の結論です。ここをどうやっていくのかということをまず一つ目として御提示したい。

 それから、もう一つ、今後の2025年問題と言われる、75歳以上に団塊の世代の方が到達するわけです。どう考えても疾病を持ってらっしゃる方が増えるわけです。ここに関してスポーツが非常に効果があるというエビデンスはもう世界じゅうから出ているわけです。つまり、疾病を持っていても、スポーツによって非常にいい、高いQOLを描ける。あるいは、生きがいを持った人生を送れるということがはっきりしているのにもかかわらず、実はここに健康格差の問題も出てきている。つまり、リスクがあるので、それなりの指導者や、あるいは疾病、そこを医師や、あるいは看護師等ですね。そこを支えるシステムがないと、疾病を持つ方々はスポーツができないんですが、実はそれがどこでもできるわけではない。

 あるいは、一度、心筋梗塞などを起こされた方に今、非常にスポーツがいいということは論文で出ているわけですが、実は一部フィットネスクラブでも心筋梗塞を起こしたというだけで、入会を拒否されています。つまり、できないんですよ。これだけエビデンスでいいと言われていても、できない環境が今の日本の実態であると。

 ということは、2020のオリパラのレガシーとして、日本のどこに住んでも、そして、どういうレベルの方も、エビデンスベースでスポーツが健康に寄与することが分かっている方でもできるような体制をいかに作っていくかが、これから一番求められる施策の一つになると思っています。

 次に、もう一つ、後で豊岡市長さんからお話があるかもしれませんが、私自身、これまで五、六千人の自治体から政令指定都市まで、全国100以上の自治体のサポートをしています。そこで見ておりますと、財政規模、財政難がここの施策推進に非常に影を落としている。そういう中で、官民連携ということで、民間と協力してやろうという機運は10年前に比べるとすごくよくなったんですが、ここも実はあまりうまくいっていないんです。

 なぜうまくなっていないのかというのをこの3つに分けてきました。

 一つ目は、どうしても契約が、いわゆる金額ベースで安い方に流れるわけです。やっぱり医療や健康に関係すること、スポーツの分野のこの分野は、成果に応じたサービスに支払われるという機運を作っていく必要があると思います。今は完全に役務方式なんですね。成果にかかわらず、役務が達成されると払われるという形なので、どうしても安ければいいという方向に流れていく。ここを変えていく。後で最後に2枚だけスライドを持ってきましたが、今、Social Impact Bondという、内閣府の方でも今、進めようとされていますが、いわゆるSIB的な発想をこのスポーツの分野にも官民連携という中では入れていくべきじゃないかと考えます。

 二つ目は、ポピュレーションアプローチという発想です。各自治体の事業が小さ過ぎる。先ほど関心層しか入っていないと申し上げましたが、非常に事業規模が小さいんです。ですから、自治体全体の、例えば健康度の改善や、あるいはここに国保会計の改善というところにつながらない規模でしかやっていない。やっぱりここをポピュレーションアプローチ的に多くやらないと。ただし、大きくすると、事業費が掛かる。ここを解決できずにずっと20年近く来ていると考えます。

 三つ目は、じゃ、実際に我々が一緒にやらせていただいて、三島市さんもそうですが、ポピュレーションアプローチに切り替えようとされています。その辺の御苦労は多分、後で市長さんからもお話があると思いますが、課題は職員の方々の負担増です。つまり、これも海外で、ちょうど先月、欠席させていただいたのは海外のドイツとかフランス、イタリアを見て参りまして、海外の自治体は施策を作ってマネジメントをするのですが、事業をやらないんです。事業はほぼ民間に投げている。だから、大きくできるんです。

 ところが、日本の殆どの自治体の健康スポーツ事業は、自治体の職員が事業の実施者なんですね。ですから、大きくすれば大きくするほど、自治体職員の負担が高まるので広げたくない。そこでもブレーキが掛かる。やっぱりこの辺の課題を超えることを考えない限り、かなりお題目的になってしまうだろうと思っております。

 問題のもう一つは、スポーツ庁ができて非常に私も期待をしている一つですが、従来の教育委員会、スポーツ系のメンバーと、やっぱりこのメンバーは厚労省系、これは(運動)と言っていたわけですが、こちらの方の専門職とのリンケージが必要なんですが、これもうまく行き出した自治体が出てきている一方、ほとんど縦割りのまま行っている。このあたりも具体的にどのようにされていくか。

 そういう面では、ここ二、三年、健康スポーツ課の方がやられている事業で、そこの要項を読むと、必ず申請書の中に、運動・スポーツ系と健康系がどうリンクして、この事業を実施するかを書き込むようにされていますが、そういうことは多分大事なことだと思うんですね。やっぱりそういう流れを誘導するような仕掛けを国の方がどんどんやるべきであると私は考えています。

 次に、どのようにこの問題を解決していけばいいのかという中で、今、スポーツ部局と保健医療部局の連携を言ったんですが、必ずここに入っていただかないといけないのは、国でいうと国交省、いわゆるまちづくり部局なんですね。スポーツのハードとかソフトの部分も含めて、特に自治体の首長さんたちの発想では、健康とかスポーツも大事な政策だけど、産業を含めてワン・オブ・ゼムなんです。まちづくりと一体になると、政策の一丁目一番地になるわけです。その中に健康スポーツが入っていないといけない。その非常にいい例が三島市だと思いますので、詳細は後でお聞きいただければと思います。

 それから、無関心層対策として、我々はスマートウェルネスコミュニティ協議会という産官学のプラットフォームを3年前から作りまして、そこで一つは全国にインフルエンサーというスポーツとか健康の情報を届ける人を200万人作ろうというプロジェクトを昨年度からスタートしています。これは後で御紹介させていただきます。

 それから、もう一つ、見えてきたことは、非常にもうこれは大変失礼な言い方なんですが、70ぐらいの、例えば女性の方で、もうどう見てもスポーツしないだろうという人たちが、そういう影響からやってみたいという気持ちになるんですね。ですけど、いろいろお聞きしていると、どこでやっていいかが分からない。何かいきなりすごいスポーツクラブにはとても行けないし、せっかくそういうインフルエンサーで情報を届けても、どこでやれるの、自分に合ったものをどこでやれるのかという情報がそこまで届かない。このあたりも考えなければいけないということで、ちょっと右が切れていますが、相談できる場所として健幸スポーツの駅、あるいは健幸コンシェルジェをコミュニティに幾つも作る。ホテルに行くと、我々どこかおいしいものを食べたいと思うと、コンシェルジェに聞くわけですが、やっぱりそういうものがないと、無関心層を実際にDoさせて、継続させるところまで持っていくのはかなり難しいんじゃないかと思っています。

 まず、昨年この健幸アンバサダーを1,000人、まず仕組み作りをして、今年度、3月までに1万人まで拡大できる養成を今、日々、きょうも新潟県の見附市でやるんですが、実は一般の市民から地域の会社、中小企業の方々、あるいは大規模の会社の方々、官民が連携して、このアンバサダーになっていただいています。一部のある市民の熱心な方だけではなくて、普通の市民の方にもこの役割を担っていただくというところが大事なポイントだと考えています。

 無関心層が何回ぐらい情報を聞くと、やっとスポーツを開始するか、皆さん、イメージありますでしょうか。最近の行動科学の研究や我々が取ってきたデータで見えてきたのですが、実は年1回のイベントを開いても、まず動きません。1回聞いただけでは絶対動かない。ほぼ動かない。年に平均4、5回、繰り返し、繰り返し聞かないといけない。更に見えてきたことは、同じ方から聞くんじゃなくて、自分と親しい、ある程度信頼関係がある複数の人から同じことを何度も聞くと、さすがにそろそろやらなきゃいけないんじゃないかという気持ちになってくるみたいです。

 つまり、家庭や地域、職場やいろんなところでそういう情報が繰り返し、繰り返し入ってくる。こういう言い方をすると、私はイベントを否定するように聞こえるかもしれませんが、決してそうではないです。イベントはイベントで大事です。ただし、イベントと日々の情報提供がリンクするようなイベントにしておかないと、ただ年1回、大々的に1,000人集まったと、そこの自己満足で終わっても、そこには関心層の方が多いですし、実は無関心層のきっかけ作りにはほとんどなっていないんだということを我々はそろそろ理解する必要があるんじゃないかと思っています。

 これが養成実績ということで、時間の関係で見ておいて、いろんな自治体と、多様な企業がこのように参加いただいていて、まちづくり系も今、入っていただくということで、例えば三井不動産さんにも今入っていただいております。この辺がこれまでの事業とは異質なところだと思っております。きょうは、市長さんがいらっしゃる。日体協や健体財団、いろんなところにも御協力を頂いております。

 これはこの中でも頑張っているカーブスという女性専用のフィットネスの企業を通じて、昨年度養成したアンバサダーの方が実際にどれぐらい動いてくれたか、わずか3か月間の活動実績を測ったデータです。472名のカーブス所属の会員の普通の方々が3か月の間に2,000名の方に情報を届けている。これも実は、この情報を届ける際に気を付けないといけないのは、間違った情報も広がる可能性があるので、我々協議会で審査委員会を作って、正しい情報だけを届ける。それでビラを作りまして、そのビラに基づいて説明をしていただく。そうすると、2,000名を超える方に伝えて、延べにすると、もう5,000回以上、情報が、たった472人でも伝わる。ですから、これが本当に多くの人を全国に配置できれば、かなり無関心層に情報が届けられる仕組みになるんじゃないかということを考えています。

 これが、健幸アンバサダーの次にコンシェルジェの連携のイメージですが、これは新潟県の見附市が、今年度のスポーツ庁の補助事業を頂いて動いている事業の模式図です。見附市では、この市内の幾つか、あと、民間もここはカーブスが入っていますが、そこに健幸スポーツの駅というのを認定して、そこにコンシェルジェを置いています。アンバサダーから聞いて、やってみようと思った方がここの健幸スポーツの駅に、自分に合ったこと、あるいはあなたのニーズでどこでやればいいのかというのを紹介できる仕組みになっています。

 まだスタートして1か月ですが、私に届いた情報ではやっと今、10人ぐらいの方が動き出したと。さっき半年ぐらい、4、5回聞かなきゃ動かないと言っていたんですが、そういう面では、1か月でそれぐらいが動き出したというのはひとまず、まあまあ、いい感じではないかなと思っています。

 これは、その全体像を見附市の方でまとめたスライドです。この健幸スポーツの駅の構想は、この後、来週か再来週ですかね。三島市の方でも立ち上げていただいて、このアンバサダーとコンシェルジュ、これが連携してやっていくというのが、2市目としてスタートする準備をしております。

 これは後でまた見ていただければと思います。

 次に、先ほども申し上げました疾病者へのスポーツの効果ということのエビデンスです。特に今、国として一番何とか抑えたいのは糖尿病性腎症です。つまり、透析のところを抑えたい。こういうような方、あるいはこれから非常に心臓病の方が増える。先ほどの心筋梗塞等を起こされる方が非常に増えるわけですが、そこに関して非常にここに心血管症への効果と4つ挙げてきましたが、かなりエビデンスが出ている。世界循環器学会のステートメントで最近出たのは、血管が詰まったとき、御存じのようにステントを入れるわけですけど、ステントよりスポーツの方が予後がいい、スポーツをやった方がいいんだと、いうステートメントを世界循環器学会が出しています。

 このステントは、詰まった動脈に入れるわけですが、スポーツは全身の動脈を使うので、その方が予後がいいということが分かっているんですが、冒頭に申し上げたように、そういう課題がある方がスポーツ、運動をやれる場所が、実は日本にはない。特に今後、地方の小さなまちでもやれるようにしたいと思っているんですが、非常にそこが課題となっていて、政策的に考えていく必要があると思っております。

 これは埼玉医大の牧田先生から頂いたスライドですが、これはドイツのいわゆるNPOがやっているスポーツクラブ。写真を見ていただくと、もう7、80ぐらいのおじいちゃんたちがバレーボールをやっている。実はこれまで日本の運動療法はトレッドミルや自転車エルゴでやるんですが、ドイツではもうスポーツを、バレーボールをやっているわけですね。サッカーやったり、バドミントンやったり、卓球やったりですね。それはその人のやりたいものでやるので、継続できている。ただし、ここには必ず医師とか看護師が付いているわけですね。もちろんこの人たちのメニューが出ます。

 9月にドイツのNPOのこういうスポーツ療法のところを視察に行きましたが、やはり正直、そこの理事長からのヒアリングでは、ここはコストからいくと見合わない。ですので、ここをなぜやるか。でも、大事なのでやっているんですけど、なぜやれるかというと、自治体からの補助金が出るので、ここが回っていると。ですので、そこは幼稚園から、逆にいうと、90歳までの方が健康とスポーツという場になっていくんですが、その中に疾病があってもやれるというところが、一つドイツが進んだ大きなポイントだというふうに思っております。

 あと最後に、先ほど申し上げたSocial Impact Bond、SIBということを説明して終わりたいと思います。今後、官民連携事業の中で、こちらを見ていただくと、自治体から、先ほどポピュレーションにすると、自治体の方々の労務も増えてできないということなので、ここに事業主体のコンソーシアムは民間で組んでもらいます。ここが基本的に事業を実施する。ここに関して資金の提供者ということで、メガバンクや地銀や信用金庫、あるいは投資ファンド、あるいは市民からも含めて、この費用をもらう。

 実はスタートする前に、KPIを設定します。例えばこの事業で、3年後に1人当たり医療費5万円で、全体では、例えば3,000万下げますとか、あるいは健診データをよくするとか、あるいは歩数で規定する。そこは両者が納得するKPIを決めていただければいいんですが、ここでおもしろいのは、KPIを達成しないと、全額支払われない。ここがポイントです。事業費のところもあって、市民もお金を入れている。その事業に投資がされるから、興味を持つ。というよう仕組みができないだろうか。

 今これはスポーツというふうには入っていないんですが、今年度は神戸市で、透析予防のところで、このSIBが実際には動いていますし、このあたりを来年度以降、こういう成果型をこの健康スポーツのところに報酬という発想を入れることが、この分野を変えていくきっかけになるんじゃないかと考えています。

 これは自治体側のメリットを1から3、書いてありますが、時間の関係で、後で見ておいていただければと思います。

 最後、まとめですが、この模式図を見ていただくと、きょうお話ししてきた7対3の無関心層対策が必要だということで、これは木が枯れているのを見ていただければと思います。実は私自身も各省とここ10年ぐらい、いろんなお仕事させていただいて、いい施策をかなり打たれているなと思います。ですが、いい施策を打っても、花が咲くのは関心がある方だけなんですね。無関心には届いていないので、花が咲かないんです。

 そこにこういう情報を入れると、芽が出てくる。

 この7割のところをいかに耕すか、ここに芽を出すかという政策がないと、せっかくいろんないい政策が成立してこない。ここを大事にしていくべきだと我々は考えております。

 最後です。3つ、すみません。生意気にも提言という形でまとめさせていただきました。1つは、スポーツ無関心層へ必要な情報を届ける地域システムというものを整備すべきではないか。2番目に、疾病者でもスポーツでより健康にということで、日本のどこに住んでも実施可能な体制作りが必要ではないか。3番目は官民連携。ポピュレーションアプローチするのは自治体だけではもう無理だと思っております。そういう面では、官民連携のためにSIBとか。SIBだけにこだわるわけではないんですが、特に成果型という発想を入れていく必要があるんじゃないかということで、以上でプレゼンを終わらせていただきます。御清聴どうもありがとうございました。

【渡邉部会長】  久野委員、どうもありがとうございました。

 もう一度おさらいしますと、地域における、スポーツによる健康増進のアウトカムを得るためのポイントということで、エビデンスを示しながら大局的な御説明を頂きました。また、それを推進するための具体的な仕組み、あるいは新しい概念ですかね。社会貢献型の投資、Social Impact Bondの話ですね。こういったお話を頂きました。

 それでは、具体的に自治体でどういう取組をしているのかといった話を、豊岡委員から御説明を頂きたいと思います。

【豊岡委員】  大変お世話になります。静岡県の三島市の取組を御紹介させていただきたいと思います。試行錯誤しながらいろんな取組をしていることを御紹介させていただきたいと思います。

 三島市でございますが、スマートウェルネスという取組を中心に、様々な活動を行っているわけでございますけれども、ここに、人もまちも産業までも健康で幸せを目指す都市作りだというふうに御理解いただきたいと思います。

 どうしてスマートウェルネスの取組をするようにしたのかといいますと、久野先生に御指導いただきながら、従来、今でも多くの市町村が健康づくり施策というのは、乳幼児と高齢者に偏っているのではないかなと思います。保健師の活動がほとんどそちらで行われていると思っています。

 それから、健康づくりをなおざりにしてきますと、国民健康保険と介護保険会計が大変なことになってしまうわけでございまして、市民みんなが健康作りをしていただく必要があるということが2つ目でございます。

 それから、3つ目は、スポーツをやってくださいと言っても、無関心層が多いわけでございまして、スポーツといいますと、ルールがありますね。それから、施設やグラウンドが必要になってくるということがあると思います。

 ですから、そういうものを必要としない取組もスポーツと考えまして、様々な取組を行っているところでございます。どうしても億劫になるわけでございます。ですから、そこに楽しくやれるようにするにはまちづくり部分であるとか、あるいは産業振興部分まで入れて取り組んでいかないと、なかなか参加者が増えないということになりますので、そういうことを念頭に置いて、このスマートウェルネスという取組をさせていただいているところでございます。

 私ども三島市は、静岡県の一番東の方にございまして、伊豆半島が南側に、北に富士山、東側には箱根山があるわけでございますけれども、東京の品川からひかり号では37分で到着するまちでございます。それから、きれいな、富士山から送り届けられる清流がございます。また、日本大学国際関係学部と順天堂大学がございます。こんなまちでございまして、是非お越しいただきたいと思います。

 まず高齢者の施策でございますが、御存じのとおり、健康寿命を延ばしていただく必要があるわけでございますけれども、健康寿命は県レベルでしかデータが出てこないわけでございまして、静岡県は、お達者度というのを市町村別に出してくれているところでございます。お達者度というのは、65歳から介護を受けたり病気で寝たきりになったりせずに、自立して生活できる期間のことを静岡県では指していまして、そのお達者度が静岡県内で、三島市は35市町中、男性が12位、女性が17位というようなことで、決して高いレベルにあるわけではございません。そこで、このお達者度を上げていこうというのが大きな目標の一つになるわけでございます。

 このスマートウェルネスの取組、これは卵がございますけれども、黄身の部分が市民の健康寿命を延ばそう、つまり、お達者度を上げるということでございます。それから、白身の部分が市民の幸福度を向上させようということでございまして、市民意識調査というのを毎年行っていますが、10点満点で、あなたの幸せ度は何点ですかと聞いているんですけれども、大体、三島市民は平均6.7ぐらいでございます。これは内閣府と厚労省が行った調査がございますけれども、そちらでは大体6.3ぐらいでございます。

 大事なのは、その条件でありますけれども、常に三島市民は幸せの条件として、第1位が健康でございます。第2位が家族関係、第3位が家計の状況と、お金でございまして、国の方の調査ですと、時にはお金がトップになったりいたしておりますが、健康が幸せになる一番の条件であると市民は考えています。

 それから、殻の部分が産業でございますけれども、ここもやはり産業振興も、いわばまちの健康度を表すわけでございますので、産業振興にも全力で取り組んでいるところでございます。

 スマートウェルネスの取組に当たりまして、市役所の中で、チーム三島で取り組むということにいたしております。これはとかく行政は縦割りになりがちでございますけれども、健康施策をするには、健康推進をする課、スポーツの課、それがあって、国保や、あるいは介護保険の課、産業の課、あるいは土木関係の課等々、全部で20課、関係するんですけれども、その若手職員でいろいろと検討してもらいまして、アクションプランというものを作りました。このアクションプランが多岐にわたっているわけでございますけれども、様々な創意工夫を生かして、いろいろな取組を生かしているところでございます。

 しかし、きちっとしたエビデンスに基づいていかなければならないということがございます。それから、スマートに取り組むべき。つまり、無意識に、自然と健幸になっていくといったようなまちづくりが必要ではないかということでございまして、歩車共存道であるとか、あるいはまちの中を花いっぱいにしまして、美しいまちづくりをするといったようなこと。それから、コラボレーションといたしまして、行政の人数では限りがございますので、民間との協働で、つまり、掛け算で、そして、広がりを持たせていこうということでございます。

 エビデンスの部分では、これは筑波大学の御指導を頂いて、e-wellnessの取組によりまして、これまで534人が受講しているわけでございますけれども、いろんな器具を使った活動等々やりまして、それで、大変しっかりとしたデータが出てきているところでございます。

 それから、医療費の分析が必要であるわけでございまして、国立保健医療科学院と連携いたしまして、国保の健診、レセプト、それから、介護保険の3つのデータを総合的に分析をしていただきました。そうすると、当市は、糖尿病の有病者数が有意に多いということでございまして、この糖尿病の予備軍を減らすということが大変重要になってくるわけでございます。

 それから、県と連携いたしまして、小学校区ごとに健康課題を分析して、小学校区ごとに、まだ十分な取組はできておりませんけれども、これから、例えば喫煙の問題とか、あるいは食の課題等々に取り組んでいきたいなと思っているところでございます。

 それから、健幸マイレージ事業、つまり、歩いていただこうということをしてまいりまして、たくさん歩いて、ポイントを貯めますと、いろんなプレゼントが頂けるというような取組をしておりまして、そして、今、実人数でかれこれ2,000人以上の市民の皆さんが参加してくれております。ポイントを貯めまして、1年間で、終わりがけには抽選がありまして、その抽選に当たった方は、運のいい方ですけれども、箱根西麓三島野菜であるとか、運動施設のクーポンなども当たるようにしてあるわけでございます。

 それから、これがまちづくりでございますけれども、この電線の地中化をしてある通りをこのような花飾りをいたしまして、大変美しいまちに作っているわけでございます。自然と、まちの中を歩きたくなるようなしかけになっているわけでございますが、おかげさまで、先日、20日に地方自治法施行70周年の記念式典が、天皇皇后両陛下が御臨席の下で開催されましたけれども、その際、三島市はこうしたまちづくりが評価されまして、静岡県内で市としては唯一、総務大臣表彰も頂戴いたしたりしているところでございます。このように多くの人たちがまちの中を歩いてくれております。

 それから、ノルディックウォーキングでございますけれども、これも活発に行われていまして、2つの公認コースを作ってもらいました。1つは三島市内に美しい富士山から送り届けられる水が湧き出して、せせらぎを作っておりますので、そのせせらぎを歩き回るコースと、それからもう一つは、箱根の西坂富士美コースで、日本一の大吊橋が、おととしの暮れにできましたので、そういうところをはじめとして、富士山を眺めながらノルディックウォーキングを歩いていただくという公認コースを2つ作りまして、全国大会も開催いたしているところでございます。

 それから、第一興商さんのエルダーシステムというものを導入いたしまして、そして、いろんな御高齢の皆さん方が集まるときに、つまり、カラオケを使って、音楽を聞きながら、体を動かすということをやっていただいているわけでございまして、これは認知症予防にも期待できると言われているところでございます。

 それから、健幸大学というものを行いまして、全部で昨年度は67の講座を設けたわけでございますが、体を動かすことと、それから、もう一つは座学がございます。ここにあるのは、子供たちの中で駆けっこが苦手な子たちに呼び掛けまして、走ることを教えるということであるとか、あるいはこちらの、これはエルダーシステムでの運動でございます。こんなようなことをしていただくという講座が67講座ございます。昨年度、今年の2月23日だったんですけど、一番多く参加されたのは、青山学院大学の駅伝の原監督に来ていただきまして、講演をしていただきましたら、1,500人の応募がございまして、会場に入れなくて抽選になったりしたことがございます。今年もこの健幸大学の講座を設けまして、活発に行っているところでございます。

 次は、これはちょっとおもしろいんですけれども、「脂肪燃えるんピック」というのを開催いたしまして、これは3か月間で、3人1組で、脂肪量がどれだけ減ったのかということを競うことをやってもらったわけでございます。そして、1番でありました優勝したところには、減った脂肪と同じ量の牛肉をプレゼントするというような取組をしまして、かなりこれはおなかの出っ張っている人たちが大勢参加してくれました。全部で223名が参加してくれたんですけれども、平均年齢が41.9歳ということで、若い人たち、壮年の皆さん方にも結構受けた取組でございました。

 それから、これもおもしろいんですが、「出張!“健幸”鑑定団」というのを行っています。これは居酒屋さんへ行ったりして、夕方、飲みに来る人たちに向かって、保健師が健診の呼び掛けをしているんですね。それから、血圧を測ったりするわけでございますが、この居酒屋さんと提携していますので、健診を受けてきて、受けてきたよという紙を持っていきますと、その居酒屋さんで1品サービスをしてくれるといったような、そういう取組でございます。

 また、スーパーとも同じようなことをやっています。あるいは信用金庫の窓口でもそのような取組をしたりしておりまして、これを企業の中にも結構おもしろがって、市の取組に賛同してくれるところもある状況でございます。

 それから、健康経営ですね。働く人たちの、何といっても健康が大切であるわけでございまして、事業所に向けた健康づくりを呼び掛けていっているところでございます。健康経営のメリットにつきましては、皆さん御案内のとおりでございますけれども、このタニタの、私もここに付けていますが、活動量計を社員の皆さんに付けてもらって、そして、健康作りに取り組んでいる企業も幾つか出てきておるところでございまして、三島商工会議所から「健康経営のすすめ」を3,000社の会員の事業所に働き掛けをしているところでございます。先日、三島商工会議所は、日本健康会議において健康優良企業という認定を頂いたところでございまして、これは経団連さんとか商工会議所連合会の会長さんも、厚生労働大臣もその席にいらっしゃいましたけれども、そこで認定証を頂戴しております。

 それから、まちの中に「みしま健幸塾」というのを作りまして、ここに行きますと、認知動作型トレーニングマシンがあって、大腰筋のトレーニングができたり、あるいはタニタさんの高性能体組成計での無料の測定ができたり、あるいはノルディックウォーキングのポールをレンタルするといったようなところでございまして、ここには指導員もいるわけでございます。

 そして、まちの中でありますので、気軽に出掛けてきていただいて、ここでいろんなトレーニングをし、そして、一層の健康づくりをしてもらう場所として機能いたしておるところでございます。毎日、50人以上がここに訪れている状況でございます。

 それから、タニタさんの活動量計を使っての、これは参加者が大変多くなってきているところでございまして、体重計と体組成計と連動いたしますと、そうすると、いろんなデータがスマホに取り込んで分かってくるわけでございます。そうすると、健康にしていかなきゃならない。更に一層運動してもらって、そして、変わっていくという、こうした循環でもって健康作りをしてきていただいているところでございます。

 また、タニタさんの管理栄養士さんが監修したタニタメニューのコーヒーがあったり、スイーツがあったり、また、別途、タニタさんの管理栄養士さんが監修した低カロリーで減塩の食事がとれるレストランも8店舗ほどあるところでございます。

 こうした取組をしてまいりまして、タニタさんの「タニタ健康くらぶ」に参加した人たちのデータでございますけれども、1日6,000歩以上、6か月間歩いた方は、医療費の抑制効果があった。それから、BMI25以上の72人の方のうち25%の人の体重が3%以上減少ができている。それから、6か月以上、ウォーキングをずっと続けるという人たちが13.4%増加したというような結果も出ているところでございます。

 それから、またもう一方で、健幸運動教室に参加してくださった皆さん方は、1日当たりの歩く歩数が2,000歩以上も増加したといったような結果も出ております。

 それから、お達者度を見てみますと、スマートウェルネスみしまに取り組んできた結果、男性は0.35年、女性が0.52年延びたと。また、市民の幸福度は0.7ポイントよくなったといったような結果も出ているところでございます。

 それから、スポーツ・文化コミッションというものを作りました。先ほど久野先生のお話にもありましたけれども、スポーツ部門が市町村レベルですと、教育委員会が所管になっているところが8割ぐらいあるんじゃないかなと思います。また、文化に関しては、9割ぐらいが教育委員会にあるのではないかと思いますけれども、三島市は両方とも市長部局に持ってまいりまして、そして、スポーツ・文化コミッションを設置して、様々な取組をいたしているところでございます。

 いろんな大きな大会を誘致したり、そしてまた、それを市民に見ていただいて、スポーツに取り組んでいただく、また、スポーツのレベルを上げるということをやっているところでございます。

 このコミッションでは、例えば女子プロのゴルフの大会のサポートであるとか、全日本の女子レスリングの大会のサポートであるとか、いろんなことをさせていただいております。また、オリンピックに向かって、ホストタウンとして、アメリカの男子のバレーボールチームのホストタウンになっているところでございます。

 それから、トップアスリートを作り出していこうということをしておりまして、特にジュニアスポーツアカデミーというものを作りまして、小学校5年生から中学2年生までの特別に運動神経のいい子を選び出して、いろいろなトレーニングをしていただいて、将来、国際級の選手を作り出そうという取組もいたしているところでございます。

 それから、先ほど久野先生からありましたように、健幸アンバサダーの養成にも取り組んでおりまして、現在300人ぐらいがアンバサダーになっているということであります。

 それから、スポーツ庁さんから補助金を頂戴いたしまして、今年から運動・スポーツに無関心な層も含めて、健康で活力ある長寿社会の実現を目指そうということで、健幸体育大学というものを開催したり、ICTを活用した健康作り支援事業、また、運動・スポーツ習慣化促進分析事業ということも行っておりまして、この結果をまた分析して、更なるスポーツに取り組んでいく人たちを増やしていきたいと思っているところでございます。

 いずれにしましても、当市が目指しているところは、健康寿命を延ばしてもらおう、それから、生きがいやきずなを作っていこうということによって、地域を活性化し、住んでいるだけで、生活しているだけで、健康で幸せになれる街を作り出していこうということでございます。まだまだ試行錯誤しているところが多いわけでございますけれども、これからもなお一層スポーツによる健康づくりを積極的に推進していきたいと考えておりますので、また御指導頂ければ幸いでございます。

 ということでございまして、どうも御清聴ありがとうございました。

【渡邉部会長】  豊岡委員、どうもありがとうございました。

 久野委員、豊岡委員のお話ですけれども、まず久野委員からは、なぜスマートウェルネスの推進なのか。エビデンスと方法論を示しながら大局的なお話を頂きました。また、豊岡委員からは、具体的にどう取り組んでいるのか。人も組織も地域資源をフルに活用した三島市の実践事例、そして、その成果について御説明いただきました。

 ここから、今の発表に対しまして、質問あるいは意見提示ということでしばらく時間を取りたいと思います。目標が決まっておりますし、すばらしい説明頂きましたので、是非積極的に手を挙げて御質問なり、意見提示をお願いしたいと思います。

 切り出しは、早野委員にまずはお願いしましょう。

【早野委員】  お2人のお話をお聞きさせていただきまして、産官学とか、我々はどちらかというと、民間ではないんですけど、国でもなくて、東京都から1億円もらって、40億の年間費予算で運営しています。そういう場合にやっぱり本当に民間の力をこういう事業にも取り入れていかなきゃいけないというのを、お2人の話から、特に久野先生の中の、どうやって伝えていくかという、そういう人から、1人の人間から聞くんじゃなくて、そういうメディアミックスとかですね。非常に民間のマーケティング用語がたくさんあると思いました。

 また、豊岡市長さんからも、やっぱりどうやってインセンティブを作っていくのか、たくさんのコンテンツをお使いになって実践されていると。その辺のところ、非常に私どもの事業とも似ていまして、我々も目に見えないランニングライフというのを打っているわけで、そういうものをどういうふうに商品化して、皆さんに取り入れて、興味持って、36万人の応募者で3万6,000人が走るという状況を作っていっているかということは、非常に我々と共通しているところがあるので、まさにここにいらっしゃる大部分の方が行政と大学の先生と、それから、我々みたいな民間の端くれも含めて、どうやってマネタイズをしていって、これはお金を作るだけではなくて、企業、スポンサーに入れるということが、そこがやっぱり企業活動として一緒に我々のランニングライフを持つことのすばらしさを訴えていくということがあるので、そういったものを含めたことで、何か我々が貢献できるところがあるかなと思いました。

 特に豊岡市長さんのコンテンツマーケティングが、こういう行政の中でやられているというのは私ども初めて知りましたし、驚きました。そういう部分のところが共通する部分もあって、非常に感銘を受けて拝聴させていただきました。ありがとうございました。

【渡邉部会長】  ありがとうございます。

 友添委員、いかがでしょう。

【友添委員】  すばらしいプレゼンありがとうございます。感想になりますが、少し感じたところをお話しさせていただければと思います。この手の問題は、シークエンスとスコープの問題だと思っています。それで、きょうは、シークエンスで言うと高い年齢層の、スコープで言うと地域というところにスポットライトを浴びせたお話だったというふうにお伺いをしておりました。

 それで、なるほど、すばらしい実践が今行われているということで、感銘を受けた次第でありますけれども、中学校の運動部活の参加率が65%で、それが社会に出るとなぜ急激に減っていくのかと。生涯にわたるスポーツライフをどう送るかと言った場合に、ライフステージごとの問題も、少し考えていかなければいけないのかなということを、きょうお聞きしていて感じたところでもあります。

 と同時に、基礎的な実践と臨床的な実践という意味では、きょうは臨床的な実践のお話を伺ったわけでありますけれども、例えばこれは久野委員へのお尋ねになるかと思うのですが、スポーツ臨床医学会などのエビデンスを見てみると、運動器の寿命は80年ぐらいだというふうに言われてきています。そういうところで、例えばどんどん運動を推奨していくと、恐らく変形性の膝や足首の関節症の類いのものがお年寄りには随分出てくる可能性があるのだろうと思います。むしろ、逆にいうと、いわばオーバーユースだとか、あるいは正しい運動頻度、こういったことも考えながら、ある程度抑制的に実施していくということも、ある年齢段階からは必要になってくるかと思うのです。そういうところの情報提供も併せて、どのようにやっていくのか、あるいはもうやっておられるのかということを少しお尋ねができればと思います。

 と同時に、もう一点で、例えばフレイルの問題と、あと、いわゆる運動器の問題と、それぞれ個人のオーダーメードに応じたような運動処方を特に高齢者の場合考えていくと、いわば運動の実施プランを示してあげる必要があるのかなと思っていたわけですね。つまり、一方では多くの人達、マスを対象にして運動をどんどん推奨していくということが今重要なのですが、他方で、その次の段階に入ってくると、オーダーメードのような形の運動を推奨していくと、これは多分、自治体では、三島市も含めて、あるいは久野委員もおっしゃったように、自治体だけでは、これはもう明らかに限界があって、官民連携をどのようにやっていくのかが必要になってくると思います。それはもちろん、今、早野委員がおっしゃったように、マネタイズをどうしていくのかということと関係してくるということになると、構造的に、やはりこういった問題に対応できる政策を打ち立てていかないとなかなか難しいなというふうに感じていたところです。

 すみません。感想と質問を交えて、お話しいたしました。以上です。

【渡邉部会長】  久野委員、お願いします。

【久野委員】  ありがとうございます。まず1点目ですが、先生御指摘のように、時間の関係もあって、どちらかというと、ポジティブ面だけを強調したプレゼンをさせていただきました。、一方で、高齢の方がやるということはリスクがあるわけですね。ただ、そのリスクというものに関しての考え方とかデータを見ていると、今の全体の政策論的なバランスから見たとき、リスクが大丈夫だという極端なことを申し上げているわけではないですが、やっぱりリスク以前に、やらないことのデメリットの方がまず圧倒的に多いんだという立場に立って、私は、きょうのプレゼンを組み立てさせていただいています。

 問題は、今後、無関心層の方々が本当に入ってくると、実はそこはリスクをより持っている方々が参入してくるということで、先生の御指摘のとおりなんですね。そうすると、そこに対して、いいプログラムやいい指導者がいなければいけないという問題。そこのチェックですね。そこに人材雇用の問題が、私も体育系大学にいる人間としてうまくまわっていく必要があると考えています。ただ、実はそこまでいかない状態にいて、なかなか運動指導で一生生きていけるような状況は、非常に少ない。その辺をどうするか。先生がおっしゃるようなリスク回避をするプログラムややり方は、もう十分あるんです。そこをどう入れ込むかというシステム論であって、そのリスクを怖がる必要は基本的にはないんだろうと思っています。

 もう一つ、オーダーメードの件ですが、医療と介護がなぜ成立したかというと、基本的には保険という原資があるから成立をしてきている。健康づくりはなぜ成立してこなかったかというと、ここだけは自己投資なんですね。ですから、保険という財源がないので、ここは自己投資をしていただかないといけない分野である。ただ、私の個人の意見をこうやって申し上げると、何か保険が必要じゃないかと思われるかもしれませんが、私はこの自己投資の方が大事だろうと思って、その自己投資をするために実は7割いる無関心層の方々は、とてもそういう環境にはない。きょう出さなかったんですが、そこのヘルスリテラシーの問題である。ヘルスリテラシーを知識と訳してしまっているんですが、この場合は、知識と意欲なんです。意欲の部分が、知識がないために伴っていけないんです。当然それに対して、お金を払うということが醸成されていない。そういう面で、今、アンバサダーを含めて、その情報を届けるということは、そこの価値で、そこにどちらかというと何か食事とかサプリメントとかそういうものにこれだけ投資をするのと同じぐらいに、スポーツに投資する価値を7割の国民が理解していないのであれば、それを理解してもらう仕組みがない限り、オーダーメードには絶対いかないだろう。

 ただ、きょうお見せしましたが、じゃ、オーダーメードで全部だめなのかなと私も結構思っていたんですけど、ドイツのスポーツ療法を見てきて、実はバレーボールですけど、オーダーメードではないんです。そんなに細かく分けなくても、ただ、症状によって段階別にはもちろん分けているんですが、その辺をきちっとシステム化をすることによって、かなり解決ができるんじゃないかなというふうに思っております。

【渡邉部会長】  ありがとうございます。

 まだ質問ある方いらっしゃると思うんですが、次のテーマは、今の友添委員と久野委員のやりとりに関連してくると思います。

 続きまして、近藤委員から、JAGESの取組について御説明いただきたいと思います。今までの話と多分に関連性があると思います。よろしくお願いします。

【近藤委員】  それでは、貴重なお時間頂いて、私どもの取組を御紹介させていただきます。

 資料を見ていただきますと、2枚目の下に日本地図があると思います。私どものプロジェクトは、全国の、昨年度でいいますと、39市町村。今年度2つ追加予定で、41市町村と一緒に、介護予防が主目的でしているプロジェクトです。その経験がスポーツ振興の方にも使えますし、また、それが介護予防にもつながるということが見えてまいりましたので、御紹介させていただきます。

 私どものプロジェクトについての説明パンフが、資料4-2として入れてありますので、後ほどパラパラと見ていただけたらと思います。

 また、横向きになった「健康な体と心をつくるヒント」という小さなパンフレットが資料4-3として入っているかと思います。これは私どものJAGESプロジェクトで、今まで横断研究(ある1時点のデータを分析する)に加えて、長いものですと、10年間追跡して、どのような生活をしていた人が、その後どのような健康状態なのかという、縦断追跡研究を重ねて見えてきたことを一般の方向けにまとめたものがあります。ペラペラ見ていただくと、1人で何かやるよりも、どうもグループでやること自体に意味がありそうだとか、あるいはスポーツがよさそうだみたいなことがこの間いろいろ分かってきております。

 きょうは時間が限られていますから、そちらの説明は後ほど、パンフを読んでいただくことにして、きょうは、市町村支援の仕組み、マネジメントサイクルを回す仕組みの方を中心に、パワーポイントを使って御説明させていただきます。

 北は北海道から、南は九州まで、政令指定都市から数千人の村まで、いろんな市町村と組んでやってまいりました。日本の中にもいろんなまちがあるということが分かってきました。

 39市町村のデータを使って、地域診断書と呼んでいる、その地域の健康度を評価したものを作って、市町村にお返ししています。これは、その画面の一部を切りとったものです。まずこの棒グラフを見ていただくと、この棒1本が1市町村です。先ほどの日本地図にありました市町村で、これは要介護認定を受けていない、自分でアンケートに答えられるような人たち、これは厚生労働省が作っている統一基準で対象者を選定しています。

 同じ調査票を使っていまして、同じ調査方法ですので、比較がおおむねできるだろうということが前提にあります。比べてみますと、左端のところは、スポーツの会参加者が高齢者のうち12.1%ですが、右端になりますと、40.1%の高齢者が参加している。市町村間で3倍以上の開きがあるということが見えてまいります。

 先ほど3割しかやっていない、7割は無関心層だという話がありました。確かに平均を取ってみると、まさに30%が参加しているというドンピシャの数字です。けれども、それを市町村間で比べて見てみますと、4割の方が参加しているまちもある。グッドプラクティスが客観的に判定できます。一体それはどういうまちなのか、そこでは何をやっているのかを深堀りして、それを少ないまちに持ち込むことで、底上げができるんじゃないか、そんな意図で作ったものです。

 上の欄では、1市町村を、1つの四角で表して、うちのまちは参加率が随分低いなとか、うちは高いぞというのが色で分かります。これはスポーツの会への参加率が一番高い自治体の地域診断書を表示したものです。そういうまちは、ほかの趣味の会とかボランティアにも参加する方が多くて、上の方に示してある要介護リスク、いろんな健康指標で見たリスクは低い。つまり健康状態がよい高齢者が多いというような関係がわかるものを市町村にお返しています。市町村が、自分のまちの健康度で、どの指標はすぐれていて、どの指標は課題なのかということを御判断いただける市町村間比較です。

 例えば、ここのまちはスポーツ参加率、39市町村の中でトップだぞというので、誇らしいわけですが、でも要介護リスク者割合はイエローゾーンで、まだ改善の余地があるぞと分かります。ほかのまちと比べることで、自分のまちの強みと課題を見出した後、今度は自分のまちの中で比べると、重点対象地域が見えてきます。それが次の画面です。

 これがあるまちのおおむね小学校区圏域で分けたものです。同じ市内で見てみると、スポーツの会参加率に、左の前期高齢者、右の後期高齢者のどちらにも、同じ市内にも4倍以上の差があります。例えばスポーツをもっと振興しないといけない。それが課題だと見えてきた場合、それを市町村内で比べてみると、その課題が特に深刻なのがこのエリアで、でも、こっちは結構やっているじゃないかということが見えてまいります。

 そうやって重点対象地域を設定して、そこに限られた資源を集中的に投入するということが可能になります。同じ市内で飛び抜けて高いと、その地域では何をやっているのかヒアリングすることでヒントが出てまいります。実際、まちの職員と一緒に引き出したヒントが3つありました。公務員として、いろんな地域を回っているので、比較がある程度そうですが、このエリアの担当者に言わせると、ほかの地域に比べて、このスポーツ参加率が高い地域は、一つはハードの面が整っている。近くに公園がいっぱいあったり、運動施設があったり、ウォーキング道路が整備されているというふうに思うという意見が出ました。

 これは言うならば担当者の経験と勘に基づいた質的な情報、仮説ですね。それを受けて、20万人分のデータを急いで回したところ、それを指示する結果が出てまいりました。市町村単位で、公園面積が広いところの方が運動実施率が高いという関係が、相関係数0.5ぐらいで出てまいります。このように現場から仮説を出してもらい、それを大規模データで検証して、事実らしいということになれば、それを積極的に使って政策を進める。国土交通省と仲よくして、いっぱい公園作ってねとやる。それは、一つの戦略になり得るのではないかということが見えてくる。なおかつ、年々追跡することで、その整備が参加の促進がどれぐらい進んだのかという進捗管理も可能になります。

 御参考までに、2番目に出てきたスポーツ実施率が高いエリアの特徴が、ボランティアのスポーツ指導者を養成する講座を毎月のようにやっている。3つ目の特徴が、イベントが多いことで、その地域には年に20種類ぐらいの大会があると分かりました。地域の運動会をはじめ、グラウンドゴルフやゲートボール、ゴルフの大会まで、その地域だけでもいっぱいある。それに向けて練習しようという話になって、盛り上がっていて、後期高齢者の6割がスポーツをしているという地域が実在するんです。ですから、平均すれば無関心層7割ですけれども、そういう仕組みを作っていけば、やる人を6割に増やせる可能性がある。実際にそういうエリアが実在する。そこからヒントを引き出しながらやっていく。そんなことが、こういう仕組みを上手に使うことでできないかと考えています。

 なぜこのようなことが可能になったかといいますと、厚生労働省が全国の市町村に対して、介護保険事業計画策定の前に、ニーズ調査というのをやりましょうというのを呼び掛けています。そのときに私たちの研究成果も少し反映していただいて、国のひな形というのを作りました。国がやったのはそこまでで、それを市町村に示すと、市町村がそのひな形を使って、市町村の予算で調査をやっています。今まで市町村の中でしか利用されてなかったものを研究班に御提供くださいと言って、そのデータを御提供いただくことで、こういう比較をして、お返しすることが可能になりました。

 ですから、スポーツ庁もこれから地方スポーツ振興計画の作成を各市町村に示しているわけですが、そのときにこのような調査票のひな形を作って提示する。そうすることで、スポーツ庁は予算を用意しなくても、市町村の予算で調査をやっていただいて、それを集める。こういう形で結果を返すところにだけスポーツ庁の予算を使うことで、大規模な予算を使わずに、マネジメント支援システムがスポーツ庁でもできるんじゃないかと考えています。

 こういうものを作りますと、どんなことができるようになるかというエビデンス作りの実例が次です。これは1つの点が1小学校区です。調べたら、転んでいる人の割合が小学校区間で随分違うことが分かってきました。ここは100人中7人しか転んでいないんですが、一番上の小学校区は年間31%の人が転んだと答えるんです。ですから、「4倍、転びやすいまち」があることが分かったんです。高齢化が進んでいるだけだろうと思われるかもしれませんが、実は前期高齢者に限定してあります。同じ65から74歳で、同じ日本社会に暮らしているにもかかわらず、4倍転ぶ人が多いまちというのが実在するんです。一体どんなまちなんだろうと調べて、出てきたのがこのスポーツグループへの参加でした。やっぱりスポーツというのはとても大事なんだなということが分かりました。

 行政が支援はしていますが、この地域の人たちに特別に大きな補助金を付けているわけではありません。けれども、高齢者の4割が毎週スポーツをやっている校区というのがあるんです。その一方で、1割を切る人しかやっていないエリアもある。この差の要因を探り当てて誘導していけば、底上げは可能ではないかと考えるようになりました。

 ちなみに、厚生労働省が介護予防に約400億円使って、どれぐらい動いたかといいますと、参加率が0.8%でした。ですから、このグラフの40分の1も動かなかったんです。こういうことを見えるようにし、関係者で共有して、グッドプラクティスを上手に伝えて、ボランティアを育ててやるというようなことの方がよっぽど大きく動く。これが久野先生もおっしゃったポピュレーションアプローチです。厚生労働省もハイリスクアプローチより、ポピュレーションアプローチで行こうというふうに方向転換しています。一方で、ポピュレーションアプローチは、どれだけ広がっているのか分かりにくいので、それを見える仕組みを同時に入れようとしているのが到達点です。

 ただ、このような横断分析には限界がありまして、スポーツの会に参加しているから転ばないのではなくて、逆に、転んでいないから参加できるだけだろうという、逆の因果を含んでおります。そこをちゃんと区別するためには縦断研究によるエビデンス作りが必要でして、それをやったのが次のスライドです。

 逆の因果関係を外すためには、まだ参加できる状況のときに、どこに参加していますかと聞いておいて、これで言うと4年間追跡して、どのグループから新しく認定を受ける人が出てきたかを追跡する。その結果、やっぱりいろんな会を比べてみると、スポーツが一番いいということが分かって、スポーツの振興というのはとてもいいんだということが分かってきました。

 次なる疑問は、行政が仕掛けて、果たして参加する人は増やせるんだろうかということです。

 私たちも幾つかの自治体と組んで、これは武豊町というところの例ですけれども、いろんな手を打って、その中にスポーツも取り入れています。高齢者の中にはスポーツ嫌いの方もいますし、毎回同じ体操だと飽きちゃうという声もあったものですから、いろんなことをやりました。その中で体を動かすこともやりましょうと組み込みました。

 そうしたら予想以上に効果があることが分かりました。こういうのを「通いの場」と言いますが、そこに来た後、そこに来たことがきっかけで何か始めたことはありますかと尋ねたら、何と運動を始めた方が5割いました。なので、スポーツやりましょうというと来なかったかもしれない人たちが、楽しいからと来て、そこで体を動かしてみたら意外に楽しいとか誘われたとか、健康にもいいという話を保健師さんから聞いたとか、そういうのがないまぜになって運動をやり始めた人がいるという話です。

 どれぐらい変化するのかというのをモニタリングしないといけない。今まで何回か調査に参加いただいた十幾つの市町村で見たものです。この中には施策の効果もあるでしょうし、年とともに高齢者は元気になっているのもあるでしょうが、ジワジワと上がってきているというのが見えてまいります。

 市町村別に比較しますと、伸びが大きい自治体と、あまり伸びていない自治体があります。じゃあ、大きく伸びている自治体は何をやったのかというのをヒアリングして、引き出して、それをあまり進んでないところに紹介して、それをまねしてやってもらうことで底上げを図る。そのための簡単な効果評価も、こういう定点観測する仕組みを作ってしまえば、スポーツ振興計画、例えば5年に一度とか、あるいはサイクルを早くするんだったら2年に一度とか設定して、2年とか5年に1回、同じ調査を繰り返していけば、このようなマネジメントサイクルを回す仕組みができるのではないかなと考えています。

 環境整備が大事だというので、以前に分析したデータで、公園のそばにいる人で運動頻度が2割多いという関係がきれいに出てまいりました。ハードウエアの整備も、とても大事だということが分かっています。これは2006年のデータでしたが、今回、2016年のデータで、対象地域を広げて再分析してみましたが、同じような結果が出てきました。

 以上、簡単にまとめますと、国がひな形を作って市町村がやったデータを集めるようにすると、課題の見える化が市町村間比較で、あるいは市町村内の比較でいろいろできるようになる。関連する指標をいろいろ比べることができるようになる。プログラムの評価ができる。経時的な変化を追える。そのことを踏まえますと、スポーツ振興計画、地方の計画にも、こういう仕組みを応用することで、マネジメントサイクルを回しつつ、エビデンスを作りつつ、やっていくというエビデンス・ベースド・ポリシーメイキングとマネジメントができるのではないかなと期待しています。

 スポーツについて、私たちが意外だったのは、男性は体操が嫌いなんです。やっている人がすごく少ない。だから、何とか体操と言った途端、男は、俺の行くところじゃないといって避けているらしいということが分かってきました。そんなこともデータを取ってみると分かります。体操よりも人気があるのはゴルフです。だとしたら、エビデンスに基づいてゴルフを振興するとか大事なんじゃないかなと思います。

 最後に、介護予防のためにはスポーツは意味がある。ただし、それを効果的に効率的に普及するためにはマネジメントシステムが要るのではないか。今後チャンスがあれば下に書いてあうようなことにも取り組みたいと思います。

 どうもありがとうございました。

【渡邉部会長】  近藤委員、ありがとうございました。

 それでは、近藤委員に対しましての御質問、御意見等ございましたら。どなたかいかがでしょうか。はい。久野委員。

【久野委員】  すみません。先生、非常におもしろいデータありがとうございました。武豊町のところで、進めたら、非常にスポーツの人口が増えたというところで、非常にきれいなデータで考えさせられたこと、多々あったんですが、一つお聞きしたいのが、先生の御説明で、保健師さんがというコメントが入っていて、私も地域でやってきていて、やっぱり保健師の方々が非常に、ある面、地域に寄り添って、人間関係を作っていらっしゃっていて、そういう方々のコメントなので動いたのか。それとも、そうじゃない、そこはデータを取っていないから分からないので、可能性で結構なんですが、そのあたりが少しポイント。あの場がポイントなのはすごくアグリーなんですけど、そこにいるどういう人が絡むと、更にそこが動くのかというのがもう一個ポイントのような気がするので、その辺いかがでしょうか。

【近藤委員】  久野先生が言われた、4人から言われると動くということと似ていると思います。保健師が行っているのは年に1回か2回ですので、そういう専門家が言っているという情報が一つ入る。あとは地域でやっている何とか体操のリーダーたちが一生懸命言うというのもあると思います。また、一緒に行っている仲間になった人から誘われたからやり出すというのもあると思います。さらに、地域でスポーツのグループを組織している人たちには、仲間を増やすのに熱心な方が多い。これで4つ目と、そういうあちこちから言われて動いているという面があるんじゃないかなと、先生の発表を聞いていて、なるほどなと思いました。

【久野委員】  ありがとうございます。

【渡邉部会長】  ありがとうございます。インフルエンサーの重要性についてのお話を頂きましたが、まさに健康予防のインフルエンサー、髙﨑委員、いかがでしょう。

【髙﨑委員】  インフルエンサーとは程遠いのですが、近藤先生、久野先生、貴重な事例ありがとうございました。実は来月、日経BPの未来研究所で、私たちが協力して、スポーツビジネスの未来というのを出し、私もそこで少し書かせて頂いています。その中の一つの提言は、10年後の2027年、高齢者はスポーツの主役になるのだというものです。また、博報堂の後山さんから、いずれ出されると思うんですけど、先日、経団連の部会でシルバー30年変化というレポートをご紹介いただきました。シルバーの実態では、女性は旦那と一緒にお墓に入りたくないとか、自分一人でやっていくとか、切ない調査結果も出ています。私たちが高齢者の領域で考えているのは、「スポーツはすばらしい」、「無関心層を動かす」、「政府自治体に事業をしてもらう」「おみこし型や二人三脚型、肩車型で社会保障を支える」などという前提を全部外し、高齢者が自主的にスポーツを、する・見る・支えるのだと考えております。

 私達の今年取り組んだ事例として、鳥取県の人口1万1,000人の伯耆町で、町の公共施設内に小型のスポーツクラブを作りました。そうしたら、5,000円の月会費を支払って、自分の健康づくりをする方が500人集まりました。社会福祉協議会に日々の運営をお願いしているのですが、儲けすぎちゃいけないということで入会を止めています。この次は、介護予防や学習塾などの事業を計画しています。町に住む人々が、自らの意思で運動する、その活動をお世話するという新たな経済の仕組みを作り始めました。そういうことが大事になるのではないかと、近藤先生の話を聞いていて思いました。近藤先生が紹介された都市のひとつは、私達が10年ほど関わっている都市だったので、非常にありがたく感じました。

 私達が考えていきたいことの一つは、スポーツ実施率で、42.5%から65%というのがあり、鈴木長官は、その増加目標数は約2,000万人と言われています。様々な事業をやり、その票読みをどうするかということを考えなくてはいけません。そういう時期になっています。毎年1万人やっても、2,000年掛かっていては意味がありません。マーケティングでは、S・T・Pと言いますが目標にそった正しい計画づくりが大切です。その他、横浜市で廃校になった中学校の校舎を利活用して、健康スポーツ学校にしたらどうか?と言うものです。

このような取り組みをか全国で一斉に展開するような時こそ、スポーツ庁が旗を振り、自治体と一緒にやることも期待しています。社会保障の領域で、慶應大学の権丈先生が言われる、働いている人と働いていない人の比率で社会保障を支える考え方で、スポーツを実施する人と支える人を単純な年齢だけでなく、見直してみたらどうでしょうか? おそらく、スポーツの推進のために何千億円ものお金を掛けて国が全部面倒を見るというではなく、国民自身の手による、自分たちのためのスポーツが始まるのだと思います。今日の事例は、そう考える私達にたいへん勉強になるものでしたので参考にしたいと思います。

以上、感想です。

【渡邉部会長】  ありがとうございます。

 時間の関係もありますけれども、子供の発育、発達の第一人者であります中村委員、先ほど高齢者の介護予防の話だったんですが、一言お願いします。

【中村委員】  3人の先生方、どうもありがとうございました。勉強になりました。

 さっき友添先生がおっしゃったシークエンスというのを、私、そういうのを考えていまして、今、例えば運動実施率を年代別で見ると、比較的、若年層が低くて、高齢者が高いという。結果的にですね。なぜなんだろうと思うと、皆さんが今おっしゃっておられる無関心層とか、今、運動を実施していない人がなぜそうなってしまったのかなというところが一つ大きな問題なのかなと。つまり、何で関心がなくなってしまったのか。生まれつきなのか、あるいは家庭の中で保護者の方と一緒に暮らしているときが問題だったのか、あるいはひょっとしたら学校体育だとか、子供のスポーツのところに問題があったのか。ここのところが結構、無関心になってからの人を関心層にするという施策と、もう一方では、無関心層を少なくするということがすごく大事なのかなと思います。

 皆さんのやられた取組というのは非常に勉強になりますし、特に久野先生のアンバサダーはすごく、今、スポーツ庁さんがやり始めておられる、子供でいうとプレイリーダーと似ているなという感覚でお聞きしていました。

 あとは、子供たちの運動のイベントをやっても、もうちょっと言うと、通常の子供たちがやっているというスポーツが、そのときしかしていないんですよね。例えば、関係のある方がいたら申し訳ないんですが、スポーツ少年団にしても、いわゆるスポーツクラブにしても、そこに行くとやるんだけど、それ以外のときにやらないという。昔の子供たちはそうじゃなかったんですね。それをきっかけとして、自分たちでまた別のところでやろうとか、通常化しようとか。私はその根本には、先ほど楽しいという話が出ましたけど、おもしろいとか、のめり込むとか、前回ちょっとお話が出ていたみたいですけど、いわゆる遊びの概念ですよね。そういったものを、もちろん発達段階に合わせながら子供たちが経験していくことが、結果的にその運動実施率を高めていくところにつながるのかなと思ってお聞きをしていました。

 是非子供のイベントなんかも多分、来るとやるんですけど、それを通常やるためにはどうすればいいか。久野先生がさっき4、5回やると効果が出てくるという話もすごく勉強になりましたけど、そういった子供たちそのものが日常の中でもって、おもしろく体を動かせるという仕組みを作ることが大事だというふうに思ってお聞きしていました。

【渡邉部会長】  ありがとうございます。

 先ほど近藤委員のお話に、公園の近く、あるいは公園の面積が広い。高齢者の場合はこの影響もあるんだと。子供の場合は、中村委員、どうなんですか。

【中村委員】  そうですね。これは実際にデータを取ってみると、子供は今、公園があっても運動しないですね。禁止事項が多過ぎてしまって、ほとんどの公園は、ボールを使ってはいけません。バットを使ってはいけません。自転車、三輪車に乗ってはいけません。そこに登れそうないい木があっても、木に登ってはいけません。最終的に一番下に書いてあるのは、人に迷惑を掛けることはやめましょうと書いてあるんですね。具体的に何ですかというと、大きな声を出しちゃいけないとか、そこで大きく笑うと住民の方が、例えばうるさいとかいう非難が来るので、要は、子供たちは何も使わずに静かに公園にたたずむと。だったら、家の中でテレビゲームやっていた方がいいなと。つまり、公園を作っても、その公園を利用できるような、先ほど高齢者の方のお話を聞いて、すごいいいなと思ったんですけど。じゃ、子供たちも、あるいは成人の方も楽しめるような公園作りとしたら、何が必要なのかなということもこういった運動実施率を上げるためには非常に大事なのかなと思います。

【渡邉部会長】  ありがとうございます。やはり世代によって多少アプローチの仕方が変わってくるかなというお話だったと思います。

 続きまして、ビジネスパーソン向けの取組についてということで、後山委員から御説明いただきたいと思います。

【後山委員】  資料5を御覧いただければと思います。「スポーツ参画人口拡大を通じて国民の健康増進を図る官民連携プロジェクト ビジネスパーソン向け国民運動」について説明させていただきたいと思います。

 今回のこのミッションに関しましては、みんなが体を動かす健康な国へということで、本格的なスポーツをする人のみならず、日々の暮らしの中で気軽に体を動かす人も含めて、広い意味で運動人口を持続的に増やしていくというような取組を考えております。

 実施における趣旨といたしましては、先ほどからお話あるように、無関心層をいかにこの体を動かす国ということで取り込んでいけるかということを中心に考えた事業になっております。

 その中で、まず我々が最も重要かと思っているところが、下のターゲットというところに書いてあるんですけども、特に20代から40代のビジネスパーソンというところを中心にターゲットとしていただいております。

 成人の週1回以上のスポーツ実施率に関しましては、42.5%にとどまっておりまして、特に20代から40代のスポーツ実施率が非常に低くなっていると。また、1年間に運動やスポーツをしておらず、今後もするつもりはないという層が約3割ぐらい存在しているということもございますので、まずはここの層をきちんと動かしていくことで、無関心層の取り込みをやっていくということを考えております。

 こちらのグラフなんですが、上の方を見ていただきたいんですけれども、この20代から50代までの特にスポーツ実施率が低い層と書いてある、左上のグラフにもございますように、年代別に関しましても、高齢者の方はかなりスポーツされているんですけれども、この20代から50代までの層というところが特に低いというような状況があります。ただ、運動不足を大いに感じるというところに関しましては、この20代から40代に関しましては、7割から8割ぐらいという形で、運動不足は感じているという状況があるという形でございます。

 また、この右側のグラフでございますが、なぜこのスポーツを実施しないのかというところでございますが、仕事や家事が忙しいからであったりとか、面倒くさいからであったりとかというところが約5割を占めているということがございますので、いかにこの層、忙しいと言っているこの層を動かしていくかということが今回の事業では重要になるかなと思っております。

 まず今年度に関しましては、土台となる活動を推進していきたいと考えております。運動レベルに関しましては、人それぞれありまして、本格的にスポーツを楽しんでいる人から、現状、全く運動していない人まで存在しますと。国民運動として、こちらの活動を大きく広げていくためにいかに簡単にいろんな方々が参加できることをしていけるかということを考えております。ですので、この下の表にあります土台となる活動、この運動のきっかけとなる活動を推進していくことで、無関心層の取り込みを図っていきたいなと考えております。

 この土台となる活動の上に、本格的なスポーツといたしまして、例えばサッカーであったりとか、野球であったりとか、そういった人それぞれの好みによって異なる本格的な運動やアクティビティを作っていく。その土台となるような活動を今年度やっていきたいと考えております。

 その忙しいコアターゲットが新たに始めなくてもいい、ハードルの低い運動であり、更なる上積みが期待できる運動といたしまして、少し皆様の、委員の先生方からも出ておりますが、我々としては、この「歩く」というところをより広げていくような活動をしていきたいなと思っております。この今、運動していない人を運動に巻き込むために、新たに何かを始めさせるということに関しましては非常にハードルが高いというふうに考えておりまして、この運動していないと思っている人でも、実はやっている運動がこの「歩く」ということであると考えております。

 この誰もが行っているが、あまりに運動として捉えられていない、この「歩く」という隠れ運動をより顕在化することで、いろんな方々への巻き込みというものを図っていきたいと考えております。この活動に関しましては、ビジネスシーンの活動というものを今年度3月までに実施させていただきたいと考えておりますが、その後、休日の過ごし方であったりとか、本格スポーツへといったような形での大きく広がりを今回持たせていきたいなというふうに考えております。ですので、今年度に関しましては、このビジネスパーソンの日常シーンというものを中心に考えておりまして、例えば2年目以降に関しましては、そのビジネスパーソンの日常シーンから、例えば休日シーン、例えばその他、主婦の方であったりとターゲットを広げていくということを考えておりまして、この3年目に関しましては、更にその土台を作った上で本格スポーツというところまでも広げていきたいというふうに考えております。

 また2020年には東京オリンピック・パラリンピックがございますので、こちらでスポーツ機運が高まるというところの効果も狙いまして、この活動を広げていきたいと考えております。

 活動概要といたしましては、健康のためにいいと分かっていても、ただ歩くだけではつまらないということもございますので、好きなことと一緒に「歩く」という行為をしていただきたいなと考えております。特にこの無関心層の取り込みというところを考えておりますので、様々な行為、日常生活に関しまして、この「+WALK」という形で、「歩く」を足すことで、より楽しく運動していくということを我々としては考えていきたいと思っております。

 先ほど三島市のお話もありましたが、例えばこの旅行プラスWALKみたいな形で、まずその自治体さんの歩くマップと一緒により楽しく歩けるような活動自体もこの活動の中でしていきたいと思っておりますし、また、写真プラスWALKというところで、最近インスタグラムがはやっておりますので、フォトジェニックなスポットというところと歩くを掛け合わせましょうとか。あとはデートプラスWALKというところで、婚活WALKというものも最近は出ておりますが、そういったものも集約していきたいと考えているのと、あとは自治体さんで行われている様々なウォーキングイベント、そういったところとも連携しながら、WALKを、「歩く」を楽しむということを我々としては推進していきたいと思っております。

 では、具体的な活動といたしまして何をやっていくかというところなんですけれども、本年度は20代から40代のビジネスパーソン向けのシンボリックな活動をしていくということを考えておりますので、この「FUN+WALK」という名前の下、この「仕事」と「ファッション」を包含するような「歩きやすい服装での通勤」というものを今年度からは推進していきたいと考えております。

 こちらは一部、10月2日からの報道でも出ておりますが、歩きやすい「環境作り」ということで、今まで運動をしていなかった人でも、「歩いてみようかな」と思えるような環境を形成するために、歩きやすい新たなビジネススタイルというものを発信しますというところが1つ目。

 また、各企業から本施策を活用できるように、この「FUN+WALK」という名前のロゴを配布させていただきますので、こちらに登録いただくことで、様々な企業さんがこの「FUN+WALK」を推進していますよという、世の中的な関係を作っていくということを考えております。

 こちらが国主導の環境作りを実施するというところになっております。それだけではなかなか、環境を作るだけではなかなか動いてくれない層もございますので、いかにこの歩きたくなる動機を作っていくかというところも重要かなと思っております。この歩きたくなる動機作りといたしましては、歩きたくなるアプリというものを今回我々は作らせていただきたいと考えております。この「歩くのって楽しい!」と感じてもらえるようなアプリを作成させていただきまして、このアプリ自体のおもしろさとクーポンを受け取れる仕組み、実利があるというところで、「歩きたくなる」ということを推進していくというのが1つ目。

 もう一つは、歩く効果の発信というところで、例えば歩いたときにどのような効果が出るか。各先生方にいろいろお話しいただいた内容もそうなんですけれども、例えばダイエット効果であったりとか、健康効果であったりとか、様々な効果が出るというところを作っていくというところを動機作りとさせていただきまして、この環境作りと動機作りという両面で今回のプロジェクトを始めていきたいと考えております。

 目標値の設定でございますが、こちらは中之条町での研究を参考にさせていただいておりますが、まずいつもよりはプラス1,000歩、歩きましょうというところを我々としては推進していきたいと思っております。様々な職業の方に応じて、歩数がかなり違うということもございますので、いつもよりプラス1,000歩、約10分ぐらい長く歩きましょうという手軽なところから始めていきたいなと思っております。

 ただ、「目指すは1日8,000歩」と書かせていただいておりますが、8,000歩以上歩くとこのような効果がありますよというところも、サイトであったりとかで発信していきたいと考えております。

 こちらが「歩きたくなる」アプリというものを作っております。この「歩く」を促進させる3つの機能と書かせていただいておりますが、歩数に応じて利用可能な豊富なクーポンをプレゼントします。何千歩歩くと1枚引換券がもらえて、例えばある企業さんから何%分のチケットがもらえるとか、コーヒーが1杯無料になるとか、そういった豊富なクーポンを歩く歩数に応じてもらえるというところが1つ目。また、この御当地キャラクターを活用したゲーム機能搭載というところで、今また復刻版が出ておりますが、たまごっちみたいなものを考えておりまして、様々な自治体さんの様々なキャラクターが赤ちゃんのところからどんどん成長していく。歩数に応じて成長していくというところを付け加えております。

 また、お得な情報を届けるプッシュ通知というところで、近くに行くと、例えばここでコーヒーの券がありますよというようなプッシュ通知をさせていただくというような効果もございます。そういったアプリを作ることで、世の中に広く、歩くというところを推進していくということを我々としては実施していきたいと考えております。

 ありがとうございました。

【渡邉部会長】  ありがとうございました。

 ただいまの説明に関しましての御質問、御意見等ございませんでしょうか。どうぞ遠慮なく。はい。友添委員。

【友添委員】  ありがとうございました。ちょっとお尋ねをさせてください。一般的に運動の楽しさとかスポーツの楽しさというのは、質的な段階があるというふうに言われていると思います。一番最初の段階というのは、運動欲求を満たすような楽しさ。それから、競争欲求を満たすような楽しさ。最終的には、いわば自分たちが集団でもって共同で達成感を楽しむような楽しさと。ただ、それは複合的につながってできてくるのだと思いますが、特に20代、30代、40代の人たちがウォーキングの楽しさというのはどの程度本当に実感しているのかというのが実際のところよくわからないように思います。私が勤めている大学という職場には、助教や講師世代の20代後半から30代の人達が多くいいるわけですね。彼らは1日じゅう机の前に座って仕事をしていることが多いのですが、「歩こう、歩こう」と言っても、やっぱり歩かないんですね。なぜだと尋ねたら、楽しくないと言うんですね。

 どうも、運動やスポーツそのものの楽しみということを知っている人たちにとっては、歩くという運動はあまり楽しくない。スポーツを専門とする学部ですので。そんなことを考えたときに、特にこのいわゆる若手とか、あるいは壮年期のビジネスパーソンにとって、もちろんやらないよりは、ウォーキングはいいのですが、ウォーキングが果たして十分に有効なのかどうかということを検証、確認しておく必要性を感じます。この点は如何でしょうか。

【後山委員】  検証というよりは、いろんな企業さんにこのお話をさせていただいて、回らせていただくときに思ったんですけども、スーツで革靴で歩いていくというのは結構つらいというか、営業活動しているときにはなかなか歩きづらいというのがございまして、例えばそれが少しでも歩きやすい靴になったりすると、歩きたくなる気分にはなるというふうに言っていて、実は検証ではないんですけれども、例えば福井県さんの方でスニーカービズというのを推進されているんですけれども、そちらでお話を聞くと、実際靴を履き替えたことによって、2,000歩ぐらいですかね。約2,000歩ぐらいの歩数の向上が見込まれた。見込まれたというか、実施されたと言っておりますので、歩く楽しさというよりは、歩いた方がいいなというところと、せっかく歩きやすい環境になっているんだったらそうしていこうかなというところがメーンになってくるのかなと思っているのと、あとはクーポンを配らせていただこうと思っておりまして、例えばあと500歩歩いたら、どこそこのお店で500円のチケットがもらえますよということであれば、じゃあ、ちょっとでも歩こうかなと思ったりするというのが基軸になっているかなと思っております。検証というよりは総体性みたいなことですね。

【友添委員】  まず経年的に、やっぱり疫学的に研究していく必要があると思うんですね。本当にどのような職種の人にどういう意味でウォーキングが有効なのかどうかということを、データを収集してエビデンスをもって検証しておいたほうがいいように思います。もちろんやらないよりは歩く方が絶対いいに決まっているし、ウォーキングというのは日常的に運動しない人にとっては運動効果は高いんだけれども、例えばこの年代にとって、どういう意味を持つのかということを少しエビデンスベースで確認しながら進めていただいた方が、意味があるのではないかと、聞いていて思いました。ありがとうございました。

【後山委員】  是非そうします。ありがとうございます。

【渡邉部会長】  松永委員、どうぞ。

【松永委員】  失礼します。「運動をする時間がない」という人が多い中で、一番身近な歩くという活動を推進することにはもちろん賛同致します。先ほどのお話にも関連しますが、20代、30代、40代以上、いやすべての女性に目を向けたときに、今の御提案の歩きやすい服装での通勤ということにプラスして、シューズの問題も重要です。周囲の女性にお話を聞くとシューズ問題は切実で、通勤の服装に合うウォーキングシューズがまだまだ少ないという声を耳にします。もちろん履き替えることも可能ですが、できれば履き替えなくても、さまざまな通勤の服装に合う歩きやすいパンプスなどのシューズが多く開発されることを期待します。もちろん、各メーカーさんがそのようなシューズいろいろと出されているとは思うのですが、かっこいいウォーキングシューズ、女性のスーツ等にも合うようなファッション性の高いウォーキングシューズは多いとはいえません。そのような観点についてエビデンスはありませが、どういった現状の把握をされているのかということと、服装に加え「シューズ」というところにも特化をして、PRをしていただけるともっと普及するのではないかと思います。以上、意見です。

【後山委員】  各企業さん、シューズメーカーさんと実はお話しさせていただいておりまして、今後こういう活動を広げていきますのでというところから、ファッション性の高いものとかそういったものも中心にやっていきたいなというお考えを持たれている企業さんが非常に多いかなと感じております。特に女性に関しましては、我々もデータというわけではないんですけれども、ニューヨークでは、9割ぐらいの女性がほとんどフラットシューズを履かれて、会社で履き替えるということをやられているので、そういったことを日本でもはやらせていきたいなというところもシューズメーカーさんとしてはございますので、例えば革靴メーカーさんも、今、歩きやすい革靴みたいなものを出されたりとか、あと、シューズでもスニーカーとかウォーキングシューズもどんどん開発が進んでおりまして、いかに普通のふだんの服装の中でも簡単に履けるというか、違和感のないような歩きやすい靴というものも開発されているようですので、そういったところとも連携させていただきながら、作っていきたいなというふうに考えております。

 服装に関しましては、服装は様々あると思うんですね。特に先日、こちら報道をいろいろ、PR活動させていただいて、テレビ等々でも紹介されたんですけれども、なかなかまだ違和感、日本人にとっては違和感があるものが多いかなというふうに思っておりますので、いかにかっこいい、いわゆるフラットシューズでのファッションみたいなものというのは、PRとしてもどんどん出していきたいなと思っていますし、我々が活動するホームページとかサイトとか、フェイスブックとインスタグラムとかそういったところでも、かっこいい着こなし方というものをどんどん発信していくことで、ある意味一つの事例を作っていきたいなと思っておりますので、そういったところで対応していきたいなと考えております。

【松永委員】  是非インスタ映えするシューズを出していただくと、またぐっとその層が増えてくるのではないかなと思いました。よろしくお願いします。

【渡邉部会長】  髙﨑委員、お願いします。

【髙﨑委員】  資料の2ページ目ですか。この年代別の週1回以上スポーツ実施というのが上がってましたよね。安心してください。応援メッセージですから。これを見たときに、我々スポーツ体育会系は絶対に、ふだんはですよ。指導するときに、成績のいい、タイムのいいやつにフォーカスするわけですよね。それで、私たちはずるいので、高齢者を第一にしようとしているわけです。こんなタイムの悪い、成績の悪いところにフォーカスはしないわけですよね。先生たちにつかまると、多分ものすごい大変なことになるので。エビデンスを出せとかですね。国民運動と言っているんだから、もっとガンガンやってほしいんですよね。

 きょうの提案にも、この間、スポーツ庁が出されたスニーカー通勤しようというのが入ってないじゃないですか。入れないといけないと思うんですよ。これはもう総力戦なので。経団連で、今、話していたんですけど、まだまだ我々のところへのアプローチも低いので、もっとガンガンやって、先生たちから責められても、動かすのはファクトですから、ファクト作りにもっと邁進した方がいいと思うので、是非、社員生命を懸けて頑張ってください。応援いたします。

 以上です。

【後山委員】  分かりました。

【渡邉部会長】  応援メッセージありがとうございます。

 本日は、地方自治体の取組、あるいはビジネスパーソン向けの取組といった話で展開してまいりましたが、当然、共生社会という視点になりますと、障害者の方がどう参加していくかといったようなことも大事になってきますので、最後になりますが藤田委員、一言御発言をお願いいたします。

【藤田委員】  皆さん、貴重な発表ありがとうございました。大変勉強になりました。直接障害者をどうのというよりは、障害のある方も参加しやすいことをどこか頭の隅に入れておいていただけると、高齢者であれ、運動の苦手の人であれ、そういった人たちもやりやすくなるというところがありますので、その点を少し勘案していただけるといいかなというふうに思いました。

近藤先生、先ほど、スポーツ参加率が低いところと高いところの比較をするとというお話があって、高いところはこういうことをやっていると。低いところとちょうどそれは入れ違いになっているのでしょうか。それとも低いところは特にこういうこと、こういう阻害要因があるというのがあれば教えていただきたいのと、その高いところ、低いところの自治体に共通した、何かこういうことをやっている、やっていないではなくて、例えば人口規模がどうであるとか、山側の地域であるとか、海側の地域であるとか、何かそういう共通した点があれば教えていただきたいと。

【近藤委員】  もちろん1要因だけで決まるわけではないので、多変量解析をやるといろんなものが引っ掛かってきます。例えば一般論でいうと、人口密度が高いエリアの方がスポーツ実施率が高いというのが出ます。あと、スポーツ実施率が高いだけじゃなくて、歩行時間も長いということが出てまいります。例えば大手町で乗り換えようと思いますと、路線によっては、千代田線のホーム経由で800メートル歩いてからじゃないと乗り換えられないとかですね。そういう都市構造によって歩かされるというか、そんなのもあるということが分かっています。

 あとは、文部科学省的に大事だなと思うのは、その方の学歴が高いほどスポーツ実施率が高いという関係も出てまいります。そういう意味で、これは二、三十年掛かる話ですけれども、大学進学率を上げたりすることが長期的にはスポーツを楽しむ人が増えるということが期待できます。

 例えば中卒の方ですと、小学校、中学校で体験した部活とか体育の授業の科目しかスポーツ経験がないわけですけども、大学まで行った方であれば、全員がスポーツやっているわけじゃないですけども、いろんな種類のスポーツに接する機会が増えて、その中でスポーツの楽しさを知る機会も増えたりして、その後も続けやすいのではないか、そんなことが分かっています。

 どういうところが低いのかというのを見てみると、中山間地で教育を受ける機会がなかったとか、近くにそういう運動に適したハードウエアが少ないとか、指導者、仲間が隣の集落まで車で15分行かないとないみたいな過疎地になってしまうと、なかなかみんなで集まってということ自体が大変です。そういう容易には変えがたい要因を背負っているところもありますが、農村的な地域同士で比べてみると、その中にもやはりかなり差があります。盛んなところにお話を伺ったら、そこの地域は甲子園球児を何人も出している地域なんだそうで、あと、最近はオリンピックの選手も出たという。なので、その地域の中でスポーツはいいことだ、我がまちの誇るべきことだみたいな文化というか、雰囲気があるそうです。困難な条件があっても、みんなでやろうという雰囲気があるとか、そんな手掛かりが見えてくる。悪い方を探すと、できない理由を上げるのというのは人間、得意なんですよね。だから、うちはできないんだと。でも、似たような環境のところで探してみると、実はそこそこ手掛かりはあり得るという意味で、グッドプラクティスを掘り起こして、そこから抽出するという方を優先した方がいいのかなと思っています。

【藤田委員】  ありがとうございました。

【渡邉部会長】  よろしいでしょうか。ありがとうございます。学歴とスポーツ実施率の関係にはやはりリテラシーというのが間に介在してくるんですかね。

 すみません。それでは、最後の議題に入りたいと思います。事務局より御説明願いたいと思います。

【安達健康スポーツ課長】  資料6を御覧になってください。平成28年度体力・運動能力調査の結果についてというところでございます。毎年、体育の日に合わせて発表させていただいております。

 かいつまんで御説明を申し上げますと、1枚目の1の(2)、年齢別の状況を書いてございます。青少年につきましてはほぼ年代で緩やかで向上。②の成人のところ、1行目にございますけれども、男子は30代後半、40代前半は低下傾向に見られるということでした。③の高齢者のところは、おおむね向上傾向があったということです。

 1枚めくっていただきまして、今回の調査では、スポーツの価値につながるような項目も調査をいたしました。1つ目、幼児期の外遊びと、それが小学生の運動習慣にどう影響を与えるかということです。結論といたしましては、幼児期に外遊びをよくした児童は、日常的に運動をし、体力も高いという状況がございました。中段の表を見ていただくと、男子、女子ともに同じ傾向ですが、女子の方がよりその傾向が高いということになっております。

 次のページ、3ページ目を御覧になってください。スポーツの多面的な価値ということで、上段は、ストレス解消効果がどうかというところでございます。各年代を見ましても、スポーツ解消効果は、それぞれの年代でおおむね広くうかがわれるということでした。中段、青い字が週1回以上のスポーツを実施している方、オレンジは週1回未満のスポーツ実施率が低い方ということで、スポーツ実施率の高い層の方がより運動・スポーツによりストレス解消効果を強く感じているという結果が見られます。これは男女ともに同じ傾向でございました。

 下ですけれども、スポーツと生活の充実度ということで、同様に青線が週1回以上のスポーツ実施者の割合。オレンジがスポーツ実施率が低い方ということで、生活の充実度もやはりスポーツ実施率の高い層の方が各年代において、男女ともに同様に見られたと。日常的に運動している人が、生活が充実している割合が多いということが見られます。

 最後、4ページでございます。高齢者の方についてでございます。こちらは結果だけ申し上げますと、運動習慣がある群ほど、より長く歩くことができる方が多いということと、あと、長く歩くことができる群ほど生活の充実度が高い。こういった調査結果がございました。こういったことから、長時間歩けることによって、体力に影響があるということと、それが生活の充実に結び付いているという結果が出ましたので、御参考に御報告させていただきまして、今後の御議論の参考にしていただければと思います。

 以上でございます。

【渡邉部会長】  ありがとうございます。

 本日予定していました議題は全てこれにて終了といたします。

 最後に事務局より、今後のお話等について御説明願います。

【安達健康スポーツ課長】  本日も大変御熱心に御議論いただき、ありがとうございました。本日頂いた御意見につきましては、事務局でまとめさせていただきます。

 1点、事務局から御報告ですけれども、こちらの部会におきまして、今後の行動計画の策定の御議論を頂いているのと並行しまして、一般の方も含めて、幅広くスポーツ実施率向上がどうあるべきかという考え方について意見募集を行うことを考えておりますので、御報告させていただくとともに、また次回以降、状況を報告させていただければと思います。

 次回の日程につきましては、また追って事務局より連絡させていただきます。

【渡邉部会長】  ありがとうございました。進行の不手際もありまして、恐らく発言したい方、たくさんいらっしゃったと思いますけれども、次回からは、私から事務局に少し御提案とお願いなんですが、事前に第3回目に向けた資料、前広に皆さんにお配りいただいて、皆さんが少し目を通していろいろ研究する時間を設けていただくと、この会も有意義に展開できるのではないかなと思います。

 是非そんなことをお願いして、協力してやってまいりますので、今回以上に活発な御審議賜りますようによろしくお願いしまして、本日、第2回の部会を閉会といたします。ありがとうございました。

 

―― 了 ――

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