平成二十八年 年頭の所感

平成28年1月
スポーツ

平成二十八年 年頭の所感


スポーツ庁長官 鈴木 大地


(はじめに)
平成28年の新春を迎え、謹んでお慶びを申し上げます。
昨年10月に待望のスポーツ庁が発足し、その初代長官に就任して以来、私は現場に足を運び、日本選手やチームらと一緒に「戦う長官」として、スポーツ行政に全力で取り組んでおります。

私はこれまで、オリンピック選手として、またスポーツ科学を専門とする大学教授として、さらには日本水泳連盟会長や世界オリンピアンズ協会理事として、様々な立場からスポーツに関わってきました。
このような経験を活かし、将来、国民の皆様にスポーツ庁を創設して良かったと思っていただけるような基盤をつくることについて、スポーツ庁として初めて迎えたこの新年、私自身が先頭に立つ決意を新たにしております。

(国際競技力の向上)
今年はリオデジャネイロオリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。
日本のチームや選手が活躍することにより多くの国民に夢や感動を与えられるよう、我が国の国際競技力の向上を図ることが重要です。
私も日程が許す限りリオ大会の予選会場等に出向き、出場を目指す日本チーム等を激励してまいりました。全世界が注目する最高の舞台で、選手が安心して最高のパフォーマンスを発揮できるよう、選手強化に対する支援や環境整備に努めていきます。

(ラグビーワールドカップ2019と2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会) ラグビーワールドカップ2019と2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会が迫ってまいりました。

ラグビーの日本チームが、苦しい練習に耐え、昨年のワールドカップイングランド大会において、強豪国を相手に3勝を挙げる快進撃を遂げたことは、日本中を感動の渦に巻き込みました。
これを弾みに、3年後の自国開催に向けて、日本におけるラグビーへの関心をさらに盛り上げ、アジア初として歴史に残る大会にしたいと思います。

2020年東京大会に向けては、昨年、大会組織委員会において、追加競技種目をIOCに提案するとともに、競技会場の見直しもほぼ終えました。
スポーツ庁としては、馳文部科学大臣の下、遠藤オリンピック・パラリンピック大臣、東京都、組織委員会、関係地方公共団体等と連携し、新国立競技場の着実な整備をはじめ、開催準備を円滑に進めていきます。
また開催国として、100カ国以上の国において1,000万人を対象にスポーツにより国際貢献を行う「Sport for Tomorrow」を推進するとともに、オリンピック・パラリンピックムーブメントを全国津々浦々に波及させてまいります。

(障害者スポーツの充実)
障害のある人がスポーツに親しみ、生きがいを感じてもらえるような環境づくりも大変重要です。
パラリンピック等における選手強化への支援はもとより、障害の種別や程度に応じてスポーツを楽しめるような支援を行うとともに、障害の有無にかかわらず共にスポーツができるような取り組みをすすめることにより、共生社会の実現を目指していきたいと思います。

(スポーツを通じた健康増進)
スポーツ庁は、トップアスリートのためだけでなく、スポーツ基本法に掲げる理念である、スポーツを通じ「国民が生涯にわたり心身ともに健康で文化的な生活を営む」ことができる社会の実現を目指すことが使命です。

スポーツを通じた健康増進を図るため、最新のスポーツ医・科学等に基づくスポーツの普及やスポーツの無関心層に興味・関心を喚起する取り組みへの支援などを通して、スポーツの楽しさやすばらしさを積極的に伝えてまいります。

(学校体育・運動部活動の振興)
国民がスポーツに親しむ基盤として、学校体育や運動部活動においてスポーツの楽しさを子供たちに実感してもらうことが極めて重要です。
現在、学習指導要領の見直しを行っていますが、心身の教育という視点だけでなく、スポーツの楽しさや憧れを感じてもらえるような教育内容や指導方法の充実に取り組みます。

(スポーツによる地域・経済の活性化)
スポーツは様々な力を秘めています。スポーツと観光をミックスさせたスポーツツーリズムの推進、国際大会やキャンプの誘致、スポーツを楽しむことができる環境整備への支援を通じて、スポーツによる地域活性化に取り組んでまいります。
また、従来の概念にとらわれず、スポーツで稼ぎ、その収益をスポーツに還元するシステムが必要です。
スポーツの各分野において事業化を進め、人々のニーズに応える付加価値のあるサービスを提供することによりスポーツ人口を拡大し、スポーツGDPの大幅な増加を目指します。

(アンチ・ドーピングの推進)
ドーピングは、フェアプレーの精神やスポーツの高潔性を汚すものであり、絶対に許される行為ではありません。
日本国民は、相手を敬い、ルールに則って正々堂々と勝負をすることを良しとする国民性を持っていると思っています。過去のオリンピック・パラリンピック競技大会においてドーピング違反者がいないなど、日本のスポーツにおけるクリーンさは国際的に高く評価されております。

我が国は、世界ドーピング防止機構の常任理事国として、国際的なアンチ・ドーピング活動に積極的に貢献するとともに、スポーツ団体の公正性を高め、世界に誇れる日本スポーツ界をつくっていきたいと思います。

(おわりに)
このように、スポーツ行政の推進にあたっては多くの課題があります。
スポーツ庁が関係省庁の中核となり、また関係団体や企業、地方公共団体など、スポーツを推進する仲間とともに、日本から世界へとスポーツの価値を広げるため、明るく元気に、前向きに取り組んでまいります。
本年も何卒よろしくお願い申し上げます。


以上

お問合せ先

スポーツ庁政策課

(スポーツ庁政策課)