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道徳教育xHERO なぜ 道徳教育xHERO? ドラマ出演者インタビュー イベントレポート

ドラマ出演者インタビュー

濱田岳さん
宇野大介役

どこか地球の裏側にいる知らない誰かを心配するよりも、まずは自分の隣にいる人に優しくできないことには何も始まらないと思いますし、そういうときにこそ自分が試されるのではないでしょうか。

濱田岳さんん 宇野大介役

 今回のドラマ「HERO」で、濱田さんは検事・宇野大介を演じられているわけですが、「HERO」と文部科学省の道徳教育とがタイアップをしているということについてはどのような印象をお持ちになりましたか。

 びっくりしました(笑)。やはり、多感な時期の少年少女に影響を与えることになるかもしれないので、責任感というか、気持ちがピリッと引き締まる感じはありました。僕が演じている宇野検事は、検察事務官の末次さんとけんかばかりしている設定なのですが、そういう中でも、子供たちが何かを学び取ったり、気付いたりしてもらえるものにしなくてはならないなという思いもあり、いつものドラマや映画とはまた違う緊張感があります。

 確かに、多くの子供たちがこのドラマを楽しみにしてくれていると思います。友達との共通の話題にもなるでしょうし、「大切なことって何だろう。」ということを考えてもらう意味でも影響力は大きいと思います。濱田さんが小・中学生だった頃の道徳の授業などで、何か印象・記憶に残っていることはありますか。

 道徳の授業で覚えているのは、国語の教科書に載っているような文学作品とは趣(おもむき)が少し違う、いろいろ考えさせられるエピソードなどを読んで、それに基づいてディスカッション的なものをしていたということですね。そういうディスカッションの際も、結構、自分の意見をはっきりと言うことが多かったように思います。

 それは、濱田さんが早い時期からお仕事をしていたこととも関係するのでしょうか。

 そうですね。僕は9歳の頃から俳優という仕事をしていたので、やはりみんなとは置かれている環境が少し違っていたと思いますし、当然ながら、9歳の時点でそれをきちんと理解できる同級生はほとんどいませんでした。
 昨日までキックベースをして一緒に遊んでいた子が、僕が出演した番組がオンエアされた次の日から僕を芸能人として見るようになってしまい、「みんな友達と思っていたのに、君たちは僕を芸能人として扱うの?」という感じで、さびしい思いをすることが多かったのを覚えています。
 9歳ということは小学校の3、4年生くらいですから、そういう状況が中学校卒業まで続くとしたら、あと6年間くらいそういう孤独感を抱えたまま生きていくのかということを考えたときに、たどり着いた答えは「僕は僕だ。」ということでした。自分自身についてしっかり考える時間を小学生の頃にもらえたということでしょうね。

 俳優という仕事をしていたことにより、小学生の頃から必然的に自分自身に向き合わざるを得なかったわけですね。濱田さんはこれまでも様々な役を演じていらっしゃいますが、俳優というものは、役を通じていろいろな人の生き方をなぞるというか、疑似体験するというお仕事であるとも言えるのでしょうか。

 僕は「八王子の神童」と呼ばれるような宇野検事ほど勉強はしたことがないから、彼の苦労はわかりません(笑)。
 しかし、例えば彼の場合は東大卒でプライドが高いはずだとか、言葉や所作の端々に偉そうなところが見受けられたりするはずだとか、演じる役柄に応じてバックボーンも考えるようにしています。

 濱田さんにとって、お仕事をしていく上で、あるいは、生きていく上で大切にしていることは何か教えていただけますか。

濱田岳さんん 宇野大介役 今回の「HERO」というドラマに関して言えば、このドラマに出たいと思っている自分と同世代の役者さんはたくさんいると思うし、代わりも幾らでもいると思うんです。だけど、出演を依頼され、それをお引受けした以上、「やっぱり濱田岳でよかったね。」とか、「宇野役は濱田岳以外に考えられないね。」と言ってもらえることがこの作品における自分のゴールだと思って取り組んでいます。
 ですから、濱田岳自身にどこかぶれるところがあったら、「やっぱり別の人にしておけばよかったね。」となると思いますし、そういう意味では、「自分は自分だ」というものを貫きつつ、その一方では客観視もしないといけないなと思っています。

 小学校時代の「僕は僕だ。」という信念は、今でももち続けているということですね。

 僕は俳優なので、いろいろな役を演じます。今は正義の味方の役ですが、時にはひどい犯罪者の役もあったりします。そのせいで、町行く人に指を指されるようなこともあるのですが、そういうときに「濱田岳ですけど、何か?」と、親からもらった名前を堂々と言えなくなってしまったらこの仕事の辞め時かなと思うので、やはり「自分は自分だ。」ということを大事にしています。

 濱田さんは、同世代の方と比べると、様々な方と関わり合いながらお仕事をしてきた経験が多いと思うのですが、その過程で気付いたことや学んだことなどがあれば教えていただけますか。

濱田岳さんん 宇野大介役
 この現場でもそうなのですが、僕以外、みなさんがベテランというか、相当な場数を踏んできた、日本映画を支えているような方々ばかりなんですけど、9歳からずっとこの世界で仕事をしてきて何となく分かってきたのは、長く第一線で活躍されている方って、意地悪を言うような方とか、嫌な方が一人もいないということなんです。みなさん人格者と呼べるようなすてきな方々ばかりなんですね。
 演技に関しても、小手先の技術を一生懸命身に付けるより、そういう人格を備えている方が、人としての厚みが画面の中にも現れてくるんじゃないかと思うようになりました。僕も役者としてどういうキャリアを積むかということよりも、人間として大きくなることの方が大事なんだろうなと思っています。
 今回のドラマも含めて、いろいろな現場で味わった楽しかったことや辛(つら)かったことを自分の糧にしながら、これからどんどん年下の人が出てくるときに、「厚みがある人だな」と思ってもらえるように頑張っていきたいと思います

 尊敬できるすばらしい先輩方に囲まれているのはとても幸せなことですね。

 本当にそう思います。「HERO」に出演したかった同世代の役者がたくさんいる中で、城西支部の名物事務官の末次さんと、あの小日向文世さんとバディを組めるということは、映画屋さんからしたらわくわくするような組合せですよね。そういうメンバーの一員としてお芝居ができるというのは、こういう仕事を長くやっていても何回あるのかなという感じで、本当に毎日が楽しかったですね。

 俳優という、ある意味特殊なお仕事に小さい頃から携わってきた濱田さんだからこそ、子供たちに伝えられる思いというものがあるように思いますが、いかがでしょうか。

 僕は小学校の頃から口が達者な方だったので、「みんなと一緒にした方がいいよ」とか、「出る杭(くい)は打たれるよ」と言われたこともありましたが、僕は僕なりに、はみ出すためにははみ出すなりの努力をしてきましたし、その結果、楽しく日々を送れるようになってきたのではないかと思います。
 親からは「君は君でいい。」というように育てられてきましたし、学校の先生の中にもそれを尊重してくださる方がいらっしゃいました。個性がないとこういう仕事もできないですし、子供たちには「君は君でいい。」ということを伝えたいですね。

 人間として大切にすべきことや、正しい行いとは何かということを考えることなど、みんなにとって重要なことはもちろんありますが、それを実現するためのプロセスは人それぞれ違っていていいし、自分は自分でいいんだということは多くの子供たちにとって力強いメッセージになりますね。

 世の中には体(てい)のいい言葉があふれすぎているような気がします。どこか地球の裏側にいる知らない誰かを心配するよりも、まずは自分の隣にいる人に優しくできないことには何も始まらないと思いますし、そういうときにこそ自分が試されるのではないでしょうか。
 もし、自分を変えていきたいのであれば、隣の人に優しくするというような、ほんのささやかなことからでも、そのきっかけになると思いますし、自分自身のことを見つめ直す機会にもなるのではないかと思います。

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