平成8年度学校保健統計調査 2調査結果の概要

A   発育状態
 
1   身長・体重・座高の全国平均値
   平成8年度の小学校,中学校,高等学校及び幼稚園における児童,生徒及び幼児の身長,体重及び座高の全国平均値を年齢別にみると表1のとおりである。

表1 年齢別 身長・体重・座高の全国平均値
区分 身長
(センチメートル)
体重
(キログラム)
座高
(センチメートル)
幼稚園 5歳 110.8 110.1 19.3 19.0 62.3 61.8
小学校 6歳 116.7 115.9 (注)21.8 21.3 65.2 64.8
7歳 122.5 121.7 24.4 23.9 67.8 67.5
8歳 (注)128.2 127.6 (注)27.7 (注)27.1 70.4 (注)70.2
9歳 133.5 133.5 (注)31.1 (注)30.6 (注)72.9 (注)73.0
10歳 138.8 140.2 (注)34.8 (注)34.9 75.1 (注)76.1
11歳 144.9 (注)146.9 (注)39.0 (注)40.0 (注)77.7 (注)79.5
中学校 12歳 (注)152.1 (注)152.0 (注)44.5 (注)44.7 (注)81.1 82.2
13歳 159.6 155.1 (注)49.9 (注)48.1 84.6 83.8
14歳 (注)165.2 156.7 (注)54.9 (注)50.6 87.6 84.6
高等学校 15歳 168.4 (注)157.4 59.7 52.3 89.8 85.1
16歳 170.1 (注)157.9 61.5 (注)53.3 90.7 85.3
17歳 170.9 158.1 (注)63.1 53.2 91.2 85.3
(注1)  (注)の部分は調査実施以来最高を示す。以下同じ。
(注2)  年齢は,平成8年4月1日現在の満年齢である。以下の各表において同じ。
(注3)  全国平均値の5歳から17歳の標本誤差(信頼度95パーセント)は,身長0.06~0.10センチメートル,体重0.04~0.16キログラム,座高0.04~0.39センチメートル(ただし5歳は1.19センチメートル)である。

(1)  身長
   男子の身長は,8歳,9歳,12歳,14歳,16歳及び17歳の各年齢で前年度より伸びている。なお,各年齢間の身長差は12歳と13歳の間(7.5センチメートル)が最も大きく,16歳と17歳の間(0.8センチメートル)が最も小さい。
 女子の身長は,11歳,12歳及び15歳から17歳の各年齢で前年度より伸びている。なお,各年齢間の身長差は,9歳と10歳及び10歳と11歳の間(6.7センチメートル)が最も大きく,16歳と17歳の間(0.2センチメートル)が最も小さい。
 10歳から11歳の間で女子の身長は,男子の身長を上回っている。

(2)  体重
   男子の体重は,6歳,8歳から14歳及び17歳の各年齢で前年度より増えている。なお,各年齢間の体重差は,11歳と12歳の間(5.5キログラム)が最も大きく,16歳と17歳の間(1.6キログラム)が最も小さい。
 女子の体重は,8歳から14歳及び16歳の各年齢で前年度より増えている。なお,各年齢間の体重差は,10歳と11歳の間(5.1キログラム)が最も大きく,16歳と17歳の間(0.1キログラム)が最も小さい。
 10歳から12歳の間で女子の体重は,男子の体重を上回っている。

(3)  座高
   男子の座高は,6歳,9歳,11歳,12歳及び17歳の各年齢で前年度より伸びている。なお,各年齢間の座高差は,12歳と13歳の間(3.5センチメートル)が最も大きく,16歳と17歳の間(0.5センチメートル)が最も小さい。
 女子の座高は,6歳,8歳から11歳及び16歳の各年齢で前年度より伸びている。なお、各年齢間の座高差は,10歳と11歳の間(3.4センチメートル)が最も大きく,16歳と17歳の間が差がない。
 9歳から12歳の間で女子の座高は,男子の座高を上回っている。

2   身長・体重・座高の推移
 
(1)  身長の推移(表2,3,図1,2,3参照)
 
1  男子の身長は,8歳,12歳及び14歳の各年齢で過去最高となっている。また,女子は11歳,12歳,15歳及び16歳の各年齢で過去最高となっているが,男女とも体重の伸びに比べると,身長はそれほど伸びていない。
2  男子の身長を30年前(親の世代)と比べると,最も差のある年齢は13歳で,7.2センチメートル親の世代より高い。この13歳の身長は,親の世代では14歳にほぼ相当する。
3  女子の身長を30年前(親の世代)と比べると,最も差のある年齢は11歳で,5.9センチメートル親の世代より高い。この11歳の身長は,親の世代では12歳にほぼ相当する。
4  17歳(昭和53年度生まれ)の男子の年間発育量をみると,11~12歳時に発育量が著しくなっており,12歳時に最大の発育量を示している。また,これを親の世代(昭和23年度生まれ)と比べると,発育量が最大となる時期はともに12歳となっているが,11歳以下の各歳時で親の世代の発育量を上回っている。
5  17歳(昭和53年度生まれ)の女子の年間発育量をみると,9~10歳時に発育量が著しくなっており,10歳時に最大の発育量を示している。また,これを親の世代(昭和23年度生まれ)と比べると,発育量が最大となる時期はともに10歳となっているが,10歳以下の各歳時で親の世代の発育量を上回っている。

表2 年齢別 身長の平均値
区分 身長(センチメートル)
平成8年度
A
平成7年度

平成6年度

昭和41年度
B

AマイナスB
幼稚園 5歳 110.8 111.0 110.9 108.8 2.0
小学校 6歳 116.7 116.8 116.8 113.6 3.1
7歳 122.5 122.5 122.7 119.1 3.4
8歳 (注)128.2 128.1 128.1 124.3 3.9
9歳 133.5 133.4 133.5 129.1 4.4
10歳 138.8 138.9 138.9 134.0 4.8
11歳 144.9 144.9 144.9 139.0 5.9
中学校 12歳 (注)152.1 152.0 152.0 145.2 6.9
13歳 159.6 159.6 159.3 152.4 7.2
14歳 (注)165.2 165.1 165.1 158.7 6.5
高等学校 15歳 168.4 168.5 168.4 163.8 4.6
16歳 170.1 170.0 170.1 165.9 4.2
17歳 170.9 170.8 170.9 167.0 3.9
幼稚園 5歳 110.1 110.1 110.0 107.7 2.4
小学校 6歳 115.9 116.0 116.1 112.7 3.2
7歳 121.7 121.8 121.8 118.1 3.6
8歳 127.6 127.6 127.6 123.4 4.2
9歳 133.5 133.5 133.4 128.8 4.7
10歳 140.2 140.2 140.1 134.6 5.6
11歳 (注)146.9 146.7 146.7 141.0 5.9
中学校 12歳 (注)152.0 151.9 151.8 146.8 5.2
13歳 155.1 155.1 155.0 150.7 4.4
14歳 156.7 156.7 156.6 152.8 3.9
高等学校 15歳 (注)157.4 157.3 157.3 154.3 3.1
16歳 (注)157.9 157.8 157.7 154.7 3.2
17歳 158.1 158.0 158.1 155.0 3.1
(注)の部分は,調査実施以来最高を示す。以下同じ。

図1 身長の平均値の推移(男子)   図2 身長の平均値の推移(女子)

表3 昭和53年度生まれと昭和23年度生まれの者の年間発育量の比較(身長)
(センチメートル)
区分 男子 女子
昭和53年度生まれ 昭和23年度生まれ 昭和53年度生まれ 昭和23年度生まれ
総発育量 54.5 56.7 42.4 45.7
小学校 6歳時 5.8 5.5 5.8 5.4
7歳時 5.6 5.2 5.6 5.4
8歳時 5.2 5.1 5.8 5.4
9歳時 5.3 5.1 6.6 6.0
10歳時 6.1 5.0 (注)6.8 (注)6.6
11歳時 7.4 6.1 5.3 6.2
中学校 12歳時 (注)7.5 (注)7.5 3.4 4.7
13歳時 5.7 7.3 1.6 2.8
14歳時 3.4 6.1 0.7 2.1
高等学校 15歳時 1.6 2.5 0.5 0.7
16歳時 0.9 1.3 0.3 0.4
(注1)  (注)は,最大の年間発育量を示す。以下同じ。
(注2)  年間発育量とは,例えば,昭和53年度生まれの「6歳児」の年間発育量は,昭和61年度調査7歳の者の体位から昭和60年度調査6歳の者の体位を引いたものである。以下同じ。

図3 昭和53年度生まれと昭和23年度生まれの者の年間発育量の比較(身長)

(2)  体重の推移(表4,5,図4,5,6参照)
 
1  男女とも体重はやや伸びており,男子は,6歳,8歳から14歳及び17歳の各年齢で過去最高となっている。女子は,8歳から14歳及び16歳の各年齢で過去最高となっている。
2  男子の体重を30年前(親の世代)と比べると,最も差のある年齢は12歳で,7.5キログラム親の世代より重い。この12歳の体重は,親の世代では13~14歳にほぼ相当する。
3  女子の体重を30年前(親の世代)と比べると,最も差のある年齢は11歳で,5.9キログラム親の世代より重い。この11歳の体重は,親の世代では12歳にほぼ相当する。
4  17歳(昭和53年度生まれ)の男子の年間発育量をみると,11~13歳時に発育量が著しくなっており,11歳時に最大の発育量を示している。また,これを親の世代(昭和23年度生まれ)と比べると,発育量が最大となる時期が2歳早くなっている。
5  17歳(昭和53年度生まれ)の女子の年間発育量をみると,10~11歳時に発育量が著しくなっており,11歳時に最大の発育量を示している。また,これを親の世代(昭和23年度生まれ)と比べると,発育量が最大となる時期はともに11歳となっているが,11歳以下の各歳時で親の世代の発育量を上回っている。

表4 年齢別 体重の平均値
区分 体重(キログラム)
平成8年度
A
平成7年度

平成6年度

昭和41年度
B

AマイナスB
幼稚園 5歳 19.3 19.4 19.3 18.2 1.1
小学校 6歳 (注)21.8 21.7 21.6 19.7 2.1
7歳 24.4 24.4 24.3 21.9 2.5
8歳 (注)27.7 27.6 27.3 24.3 3.4
9歳 (注)31.1 30.8 30.7 26.7 4.4
10歳 (注)34.8 34.5 34.2 29.5 5.3
11歳 (注)39.0 38.6 38.4 32.6 6.4
中学校 12歳 (注)44.5 44.1 44.0 37.0 7.5
13歳 (注)49.9 49.8 49.3 42.5 7.4
14歳 (注)54.9 54.7 54.6 48.0 6.9
高等学校 15歳 59.7 59.8 59.5 53.0 6.7
16歳 61.5 61.7 61.5 55.9 5.6
17歳 (注)63.1 63.0 62.9 57.6 5.5
幼稚園 5歳 19.0 19.0 18.9 17.7 1.3
小学校 6歳 21.3 21.3 21.2 19.2 2.1
7歳 23.9 23.9 23.7 21.3 2.6
8歳 (注)27.1 27.0 26.8 23.7 3.4
9歳 (注)30.6 30.5 30.3 26.5 4.1
10歳 (注)34.9 34.6 34.6 29.8 5.1
11歳 (注)40.0 39.6 39.4 34.1 5.9
中学校 12歳 (注)44.7 44.6 44.4 39.2 5.5
13歳 (注)48.1 48.0 47.8 43.6 4.5
14歳 (注)50.6 50.5 50.5 46.8 3.8
高等学校 15歳 52.3 52.3 52.2 49.1 3.2
16歳 (注)53.3 53.2 52.8 50.6 2.7
17歳 53.2 53.3 53.1 51.3 1.9

図4 体重の平均値の推移(男子)   図5 体重の平均値の推移(女子)

表5 昭和53年度生まれと昭和23年度生まれの者の年間発育量の比較(体重)
(キログラム)
区分 男子 女子
昭和53年度生まれ 昭和23年度生まれ 昭和53年度生まれ 昭和23年度生まれ
総発育量 41.9 38.9 32.5 33.2
小学校 6歳時 2.6 2.0 2.6 2.0
7歳時 3.0 2.1 3.0 2.3
8歳時 3.2 2.5 3.3 2.5
9歳時 3.7 2.5 4.3 3.1
10歳時 4.3 2.9 5.0 4.3
11歳時 (注)5.9 4.2 (注)5.1 (注)5.0
中学校 12歳時 5.5 5.5 3.8 4.9
13歳時 5.3 (注)6.2 2.6 3.6
14歳時 4.8 5.5 1.8 2.8
高等学校 15歳時 2.2 3.5 1.0 1.9
16歳時 1.4 2.0 0.0 0.8

図6 昭和53年度生まれと昭和23年度生まれの者の年間発育量の比較(体重)

(3)  座高の推移(表6参照)
   座高は,男子で9歳,11歳及び12歳,女子は8歳から11歳の各年齢で過去最高となっている。
 身長から座高を引いた足の長さについて,30年前の昭和41年度(親の世代)と比べると,17歳で男子は2.7センチメートル,女子は2.9センチメートル親の世代より長い。身長差の大部分は,足の長さの伸びによるものとなっている。

表6 年齢別 座高の平均値
区分 座高(センチメートル)
平成8年度 平成7年度 平成6年度 昭和41年度
幼稚園 5歳 62.3 62.3 62.4 61.8
小学校 6歳 65.2 65.1 65.2 64.2
7歳 67.8 67.8 67.9 66.7
8歳 70.4 70.4 70.4 69.1
9歳 (注)72.9 72.8 72.8 71.2
10歳 75.1 75.1 75.1 73.3
11歳 (注)77.7 77.6 77.6 75.4
中学校 12歳 (注)81.1 81.0 81.0 78.5
13歳 84.6 84.6 84.5 82.0
14歳 87.6 87.6 87.6 85.4
高等学校 15歳 89.8 89.8 89.8 88.2
16歳 90.7 90.7 90.7 89.5
17歳 91.2 91.1 91.2 90.0
幼稚園 5歳 61.8 61.9 62.0 61.1
小学校 6歳 64.8 64.7 64.8 63.6
7歳 67.5 67.5 67.5 66.2
8歳 (注)70.2 70.1 70.1 68.7
9歳 (注)73.0 72.9 72.8 71.1
10歳 (注)76.1 76.0 76.0 73.8
11歳 (注)79.5 79.3 79.3 77.0
中学校 12歳 82.2 82.2 82.1 80.4
13歳 83.8 83.8 83.7 82.7
14歳 84.6 84.6 84.7 84.0
高等学校 15歳 85.1 85.1 85.2 84.8
16歳 85.3 85.2 85.2 85.1
17歳 85.3 85.3 85.3 85.1

(備考)身長と座高の差(センチメートル)
(17歳)
区分
昭和41年度 77.0 69.9
平成8年度 79.7 72.8

2.7 2.9
身長差 3.9 3.1

B  健康状態
 
1  疾病・異常の被患率等別状況
   疾病・異常の被患率等を段階別にみると表7のとおりである。

表7 疾病・異常の被患率等
区分 幼稚園 小学校 中学校 高等学校
90パーセント以上       むし歯(う歯)
80パーセント以上~
90パーセント未満
  むし歯(う歯) むし歯(う歯)  
70パーセント以上~
80パーセント未満
むし歯(う歯)      
60パーセント以上~
70パーセント未満
      裸眼視力1.0未満の者
40パーセント以上~
50パーセント未満
    裸眼視力1.0未満の者  
20パーセント以上~
30パーセント未満
裸眼視力1.0未満の者 裸眼視力1.0未満の者    
10パーセント以上~
20パーセント未満
  鼻・副鼻腔疾患,その他の歯疾患 その他の歯疾患  
1パーセント以上~
10パーセント未満
8パーセント以上~
10パーセント未満
      その他の歯疾患
6パーセント以上~
8パーセント未満
    鼻・副鼻腔疾患  
4パーセント以上~
6パーセント未満
      鼻・副鼻腔疾患
2パーセント以上~
4パーセント未満
鼻・副鼻腔疾患,口腔咽喉頭疾患・異常,その他の歯疾患,その他の疾病・異常 色覚異常,その他の眼疾患・異常,耳疾患,口腔咽喉頭疾患・異常,寄生虫卵保有者,肥満傾向,心電図異常,その他の疾病・異常 その他の眼疾患・異常,心電図異常 その他の眼疾患・異常,心電図異常
1パーセント以上~
2パーセント未満
その他の眼疾患・異常,耳疾患,寄生虫卵保有者,ぜん息 難聴,ぜん息 耳疾患,口腔咽喉頭疾患・異常,蛋白検出の者,肥満傾向,ぜん息,その他の疾病・異常 蛋白検出の者,肥満傾向,その他の疾病・異常
0.1パーセント以上~
1パーセント未満
0.5パーセント以上~
1パーセント未満
蛋白検出の者,肥満傾向 口腔の疾病・異常,蛋白検出の者,心臓の疾病・異常 難聴,口腔の疾病・異常,せき柱・胸郭,心臓の疾病・異常 難聴,耳疾患,口腔咽喉頭疾患・異常,口腔の疾病・異常,心臓の疾病・異常,ぜん息
0.1パーセント以上~
0.5パーセント未満
伝染性眼疾患,口腔の疾病・異常,せき柱・胸郭,伝染性皮膚疾患,心臓の疾病・異常,言語障害 伝染性眼疾患,せき柱・胸郭,伝染性皮膚疾患,腎臓疾患 尿糖検出の者,栄養不良,腎臓疾患 尿糖検出の者,栄養不良,せき柱・胸郭,腎臓疾患
0.1パーセント未満 栄養不良,腎臓疾患,寄生虫病 結核,尿糖検出の者,栄養不良,寄生虫病,言語障害 伝染性眼疾患,結核,伝染性皮膚疾患,寄生虫病,言語障害 伝染性眼疾患,結核,伝染性皮膚疾患,寄生虫病,言語障害
(注1)  「その他の眼疾患・異常」とは,疑似トラコーマ,麦粒腫(ものもらい),眼炎,斜視,片目失明等である。
(注2)  「その他の歯疾患」とは,歯周疾患,不正咬合(ふせいこうごう),斑状歯(はんじょうし),要注意乳歯等のある者等である。
(注3)  「心電図異常」とは,心電図検査の結果異常と判定された者である。
(注4)  「その他の疾病・異常」とは,いずれの調査項目にも該当しない疾病・異常である。
(注5)  5歳から17歳の男女平均の被患率等に対する標本誤差は,標本数と得られた被患率等により異なるが,調査対象者数からみた場合,単純任意抽出法(無作為抽出)を仮定した場合の誤差は,被患率等が1パーセント(又は99パーセント)で0.05~0.07パーセント,被患率等が10パーセント(又は90パーセント)で0.16~0.21パーセント,被患率等が50パーセントで0.26~0.35パーセントである。なお,当調査が層化2段抽出法であるため標本誤差は若干増減することもある。

 疾病・異常の被患率等の中で最も高いものはむし歯(う歯)で,小学校,中学校,高等学校はいずれも80パーセント以上となっている。
 次に高いのが,裸眼視力1.0未満の者で,幼稚園21.4パーセント,小学校25.8パーセント,中学校49.8パーセント,高等学校62.7パーセントの順となっており,学校段階が進むにつれ高くなっている。

2  主な疾病・異常の推移
   疾病・異常のうち主なものについて,およそ10年間の推移をみると表8のとおりである。

表8 主な疾病・異常の推移
(パーセント)
区分 むし歯(う歯) 裸眼視力1.0未満の者 寄生虫卵保有者 肥満傾向 蛋白検出の者 せき柱・胸郭異常 心臓の疾病・異常 ぜん息
幼稚園 昭和61年度 83.0 21.6 3.6 0.6 0.5 0.6 0.4 0.7
昭和63年度 81.2 23.2 2.8 0.5 1.0 0.4 0.5 0.7
平成2年度 80.4 18.6 2.1 0.7 0.5 0.4 0.4 0.7
平成4年度 78.7 20.2 2.0 0.8 0.8 0.4 0.5 0.7
平成6年度 77.0 23.8 1.9 0.8 0.7 0.5 0.4 0.8
平成8年度 73.7 21.4 1.3 0.7 0.5 0.3 0.4 1.0
小学校 昭和61年度 91.2 19.1 3.4 1.7 0.8 0.6 0.5 0.9
昭和63年度 90.1 19.6 3.0

1.7

0.8 0.5 0.5 1.1
平成2年度 89.5 21.2 2.5 2.2 0.7 0.6 0.5 1.1
平成4年度 89.1 22.5 2.5 2.6 0.7 0.4 0.6 1.2
平成6年度 88.0 24.7 2.3 2.7 0.8 0.4 0.5 1.4
平成8年度 85.7 25.8 2.6 2.8 0.6 0.3 0.5 1.6
中学校 昭和61年度 91.9 37.2 1.2 2.0 0.8 0.5 0.7
昭和63年度 90.5 39.4 1.3 1.8 0.8 0.6 0.8
平成2年度 90.0 41.6 1.7 1.8 0.7 0.7 1.0
平成4年度 88.9 45.6 1.7 2.0 0.6 0.7 1.1
平成6年度 87.7 48.8 1.8 1.9 0.6 0.9 1.3
平成8年度 84.8 49.8 1.8 1.9 0.5 0.5 1.5
高等学校 昭和61年度 94.2 53.0 1.0 1.7 0.5 0.7 0.3
昭和63年度 94.5 54.5 0.8 1.8 0.5 0.8 0.4
平成2年度 93.7 56.4 1.3 1.7 0.4 0.9 0.5
平成4年度 92.6 59.2 1.3 1.8 0.4 0.9 0.6
平成6年度 92.0 62.3 1.3 1.8 0.4 1.0 0.8
平成8年度 90.1 62.7 1.4 1.8 0.3 0.6 0.8
(注)  小数点以下第2位を四捨五入している。以下同じ。

(1)  むし歯(う歯)の被患率
   「むし歯(う歯)」について「処置完了者」と「未処置歯のある者」に区分してみると表9のとおりである。
 むし歯の被患率(治療済みの者を含む)は,幼稚園で73.7パーセント,小学校で85.7パーセント,中学校で84.8パーセント,高校で90.1パーセントとなっている。
 むし歯の被患率は,40年前(昭和31年度)においては幼稚園を除くと約5~7割で,30年前(昭和41年度)になると食生活の変化等に伴い8~9割に急増し,10年前(昭和61年度)には小・中・高校では9割以上となった。この数年間においては,むし歯予防の普及等により,むし歯の被患率は低下傾向にある。
 なお,治療を要するむし歯のある者は,各学校段階において減少し,特に中・高校では4割を割っている。

表9 むし歯(う歯)の処置完了状況等の推移
(パーセント)
区分 昭和31年度 昭和41年度 昭和51年度 昭和61年度 平成4年度 平成5年度 平成6年度 平成7年度 平成8年度
幼稚園 85.0 91.0 93.9 83.0 78.7 75.7 77.0 74.7 73.7
処置完了者 2.4 5.1 9.7 24.9 28.4 28.0 28.2 27.8 28.0
未処置歯のある者 82.6 85.9 84.2 58.2 50.3 47.7 48.8 46.9 45.7
小学校 70.5 88.0 94.5 91.2 89.1 88.4 88.0 87.3 85.7
処置完了者 3.1 9.3 15.0 32.8 37.6 38.3 39.3 40.6 41.1
未処置歯のある者 67.4 79.3 79.4 58.4 51.5 50.1 48.7 46.7 44.7
中学校 50.0 86.1 94.1 91.9 88.9 87.8 87.7 86.6 84.8
処置完了者 7.6 19.0 29.0 40.8 42.7 42.2 42.5 46.2 46.1
未処置歯のある者 42.4 67.1 65.1 51.1 46.3 45.6 45.3 40.4 38.6
高等学校 55.8 87.4 95.3 94.2 92.6 91.3 92.0 90.6 90.1
処置完了者 11.8 22.6 29.4 44.2 46.3 46.6 47.5 48.7 50.6
未処置歯のある者 44.0 64.8 65.9 50.0 46.2 44.7 44.5 41.9 39.5
(注)  計欄の数値と内訳の合計の数値とは,四捨五入しているため一致しない場合がある。

(参考) 12歳の永久歯の平均むし歯(う歯)等数
 昭和59年度から調査を実施している12歳の永久歯の一人当たり平均むし歯等(喪失歯及びむし歯)数についてみると表10のとおりであり,「喪失歯数」は,ほとんど変化がないが,むし歯数は減少傾向にある。

表10 12歳の永久歯の一人当たり平均むし歯(う歯)等数
(本)
区分 昭和61年度 平成4年度 平成5年度 平成6年度 平成7年度 平成8年度
4.58 4.17 4.09 4.00 3.72 3.51
喪失歯数 0.04 0.04 0.04 0.04 0.05 0.04
むし歯
(う歯)
4.54 4.13 4.05 3.95 3.67 3.46
処置歯数 3.23 3.00 2.86 2.82 2.69 2.56
未処置歯数 1.31 1.13 1.19 1.14 0.98 0.90
4.18 3.80 3.75 3.69 3.41 3.21
喪失歯数 0.04 0.04 0.04 0.04 0.04 0.04
むし歯
(う歯)
4.14 3.76 3.71 3.65 3.37 3.18
処置歯数 2.90 2.69 2.56 2.56 2.44 2.31
未処置歯数 1.24 1.06 1.15 1.09 0.93 0.87
4.99 4.56 4.46 4.32 4.04 3.81
喪失歯数 0.04 0.04 0.05 0.05 0.05 0.05
むし歯
(う歯)
4.95 4.52 4.41 4.27 3.99 3.77
処置歯数 3.58 3.32 3.18 3.09 2.97 2.82
未処置歯数 1.37 1.20 1.23 1.18 1.02 0.94
(注)  計欄の数値と内訳の合計の数値とは,四捨五入しているため一致しない場合がある。

(2)  視力の推移
   裸眼視力1.0未満の者の割合は,小・中・高校において表11のとおり増加傾向にあり,小・中・高校において過去最高となっている。
 10年前と比べると,中学校では,12.6ポイント,高校では9.7ポイント各々高くなっている。また,裸眼視力0.3未満の者は小・中・高校において増加している。

(3)  肥満傾向
   肥満傾向の者(学校医から肥満傾向と判定された者)の割合は,幼稚園0.7パーセント,小学校2.8パーセント,中学校1.8パーセント,高校1.4パーセントで,各学校段階においてこの数年間はほぼ横ばいとなっている。
 学校種でみると,小学校が最も多く,中学校,高校と進むにつれてやや減少していく傾向にある。

表11 裸眼視力1.0未満の者の推移
(パーセント)
区分 昭和61年度 平成4年度 平成5年度 平成6年度 平成7年度 平成8年度
幼稚園 21.6 20.2 20.6 23.8 26.8 21.4
1.0未満0.7以上 15.7 14.4 15.0 17.6 18.0 15.4
0.7未満0.3以上 5.5 5.2 5.1 5.8 8.1 5.6
0.3未満 0.5 0.6 0.5 0.4 0.7 0.5
小学校 19.1 22.5 23.8 24.7 25.4 25.8
1.0未満0.7以上 8.7 9.2 9.4 9.7 10.2 10.3
0.7未満0.3以上 6.6 8.3 8.8 9.1 9.4 9.6
0.3未満 3.8 5.1 5.5 5.9 5.8 5.8
中学校 37.2 45.6 47.3 48.8 49.1 49.8
1.0未満0.7以上 9.9 10.3 10.9 11.2 11.7 12.0
0.7未満0.3以上 12.7 15.1 15.9 16.0 16.6 16.6
0.3未満 14.7 20.2 20.4 21.6 20.8 21.2
高等学校 53.0 59.2 61.9 62.3 61.8 62.7
1.0未満0.7以上 10.4 10.5 11.2 10.7 11.3 11.9
0.7未満0.3以上 15.5 16.6 17.2 17.1 17.2 17.0
0.3未満 27.0 32.2 33.5 34.5 33.4 33.8
(注)  計欄の数値と内訳の合計の数値とは,四捨五入しているため一致しない場合がある。

(4)  せき柱・胸郭異常
   「せき柱・胸郭異常」の被患率は,幼稚園,小学校,中学校及び高校を通じて,この数年間はほぼ横ばいとなっていたが,今年度については各学校段階において減少している。

(5)  ぜん息
   ぜん息の者の割合は,幼稚園で1.0パーセント,小学校で1.6パーセント,中学校で1.5パーセント,高校で0.8パーセントとなっており,この数年間は,各学校段階において増加傾向にある。

3  心電図異常
   学校保健法施行規則の改正に伴い,平成7年度より新たに小学校,中学校及び高等学校の各1学年において,心電図検査の異常者の割合を調査した。各学校段階の心電図異常の割合は,表12のとおりで各学校段階において昨年度より増加している。

表12 心電図異常の割合
(パーセント)
区分 小学校第1学年 中学校第1学年 高等学校第1学年
平成7年度 1.7 2.4 2.3
平成8年度 2.0 2.6 2.6



-- 登録:平成21年以前 --