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 1989/3 
高等学校学習指導要領 (平成元年3月) 

 <この高等学校学習指導要領は、図表・記号等を省略した概要版です。>

学校教育法施行規則(抄)

第4章  高等学校

第57条  高等学校の教育課程は、別表第3に定める各教科に属する科目及び特別活動によって編成するものとする。

第57条の2  高等学校の教育課程については、この章に定めるもののほか、教育課程の基準として文部大臣が別に公示する高等学校学習指導要領によるものとする。

第57条の3  高等学校の教育課程に関し、その改善に資する研究を行なうため特に必要があり、かつ、生徒の教育上適切な配慮がなされていると文部大臣が認める場合においては、文部大臣が別に定めるところにより、前2条の規定によらないことができる。

第63条の2  校長は、生徒の高等学校の全課程の修了を認めるに当たっては、高等学習指導要領の定めるところにより、80単位以上を修得した者について、これを行なわなければならない。ただし、第57条の3の規定により、高等学校の教育課程に関し第57条又は第57条の2の規定によらない場合においては、文部大臣が別に定めるところにより、これを行うものとする。

別表第3  略

    附則(平成元年3月15日文部省令第1号)
  1  この省令は、平成2年4月1日から施行する。ただし、第24条、第24条の2及び別表第1の改正規定は平成4年4月1日から、第53条、第54条及び別表第2の改正規定は平成5年4月1日から、別表第3の改正規定は平成6年4月1日から施行する。
  2  改正後の学校教育法施行規則(以下「新令」という。)別表第3の規定は平成6年4月1日以降高等学校の第1学年に入学した生徒(新令第64条の2第1項に規定する学年による教育課程の区分を設けない定時制又は通信制の課程にあっては、同日以降に入学した生徒(新令第60条の規定により入学した生徒で同日前に入学した生徒に係る教育課程により履修するものを除く。))に係る教育課程から適用する。
  3  前項の規定により新令別表第3の規定が適用されるまでの高等学校の教育課程については、なお従前の例による。


○文部省告示第26号
  学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)第57条の2及び第63条の2の規定に基づき、高等学校学習指導要領(昭和53年文部省告示第163   号)の全部を次のように改正する。ただし、この告示による改正後の高等学校学習指導要領が適用されるまでの高等学校学習指導要領の特例については、別に定める。

  平成元年3月15日
        文部大臣  西岡  武夫

目次

    第1章  総則

    第2章  各教科
      第1節  国語
      第2節  地理歴史
      第3節  公民
      第4節  数学
      第5節  理科
      第6節  保健体育
      第7節  芸術
      第8節  外国語
      第9節  家庭
      第10節  農業
      第11節  工業
      第12節  商業
      第13節  水産
      第14節  看護
      第15節  理数
      第16節  体育
      第17節  音楽
      第18節  美術
      第19節  英語

    第3章  特別活動

第1章  総則

第1款  教育課程編成の一般方針
1  各学校においては、法令及びこの章以下に示すところに従い、生徒の人間として調和のとれた育成を目指し、地域や学校の実態、課程や学科の特色、生徒の心身の発達段階及び特性等を十分考慮して、適切な教育課程を編成するものとする。
  学校の教育活動を進めるに当たっては、自ら学ぶ意欲と社会の変化に主体的に対応できる能力の育成を図るとともに、基礎的・基本的な内容の指導を徹底し、個性を生かす教育の充実に努めなければならない。

2  学校における道徳教育は、生徒が自己探求と自己実現に努め国家・社会の一員としての自覚に基づき行為しうる発達段階にあることを考慮し人間としての在り方生き方に関する教育を学校の教育活動全体を通じて行うことにより、その充実を図るものとし、各教科に属する科目(以下「各教科・科目」という。)及び特別活動のそれぞれの特質に応じて適切な指導を行なわなければならない。
  道徳教育の目標は、教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき、人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を家庭、学校、その他社会における具体的な生活の中に生かし、個性豊かな文化の創造と民主的な社会及び国家の発展に努め、進んで平和的な国際社会に貢献できる主体性のある日本人を育成するため、その基盤としての道徳性を養うこととする。
  道徳教育を進めるに当たっては、特に、道徳的実践力を高めるとともに、自律の精神や社会連帯の精神及び義務を果たし責任を重んずる態度や人権を尊重し差別のないよりよい社会を実現しようとする態度を養うための指導が適切に行われるよう配慮しなければならない。

3  学校における体育に関する指導は、学校の教育活動全体を通じて適切に行うものとする。特に、体力の向上及び健康の保持増進に関する指導については、「体育」及び「保健」の時間はもとより、特別活動などにおいても十分行うよう努めることとし、それらの指導を通して、日常生活における適切な体育的活動の実践が促されるとともに、生涯を通じて健康で安全な生活を送るための基礎が培われるよう配慮しなければならない。

4  学校においては、地域や学校の実態等に応じて、勤労や奉仕にかかわる体験的な学習の指導を適切に行うようにし、働くことや創造することの喜びを体得させ、望ましい勤労観、職業観の育成や奉仕の精神の涵養に資するものとする。


第2款  各教科・科目の標準単位数等
1  学校においては、次の表に示す標準単位数に基づき、教育課程の編成に必要な各教科・科目の単位数を適切に定めるものとする。ただし、生徒の実態等を考慮し、特に必要がある場合には、標準単位数の標準の限度を超えて単位数を増加して配当することができる。
  単位については、1単位時間を50分とし、35単位時間の授業を1単位として計算するものとする(以下この款において同じ。)。ただし、通信制の課程においては、第8款の定めるところによるものとする。

2  学校においては、次の表に掲げる各教科・科目について、設置者の定める標準単位数に基づき、教育課程の編成に必要な各教科・科目の単位数を適切に定めるものとする。

3  学校においては、地域、学校及び生徒の実態、学科の特色等に応じ、必要がある場合には、上記1及び2の表に掲げる教科について、これらに属する科目以外の科目(以下「その他の科目」という。)を設けることができる。この場合において、その科目の名称、目標、内容、単位数等については、その科目の属する教科の目標に基づき、設置者の定めるところによるものとする。

4  学校においては、地域、学校及び生徒の実態、学科の特色等に応じ、特に必要がある場合には、例えば、情報、職業、技術などに関する、上記1及び2の表に掲げる教科以外の教科(以下「その他特に必要な教科」という。)及び当該教科に関する科目を設けることができる。この場合において、その他特に必要な教科及び当該教科に関する科目の名称、目標、内容、単位数等については、設置者の定めるところによるものとする。ただし、設置者は、その他特に必要な教科を設けるに当たっては、高等学校教育の目標及びその水準の維持等に十分考慮しなければならない。


第3款  各教科・科目の履修
1  次の各教科・科目は、すべての生徒に履修させるものとし、その単位数は、第2款の1に標準単位数として示された単位数を下らないものとする。ただし、生徒の実態及び専門教育を主とする学科の特色等を考慮し、特に必要がある場合には、その単位数の一部を減じることができる。
(1)  国語のうち「国語I」
(2)  地理歴史のうち「世界史A」及び「世界史B」のうちから1科目並びに「日本史A」、「日本史B」、「地理A」及び「地理B」のうちから1科目
(3)  公民のうち「現代社会」又は「倫理」・「政治・経済」
(4)  数学のうち「数学I」
(5)  理科のうち「総合理科」、「物理IA」又は「物理IB」、「化学IA」又は「化学IB」、「生物IA」又は「生物IB」及び「地学IA」又は「地学IB」の5区分から2区分にわたって2科目
(6)  保健体育のうち「体育」及び「保健」
(7)  芸術のうち「音楽I」、「美術I」、「工芸I」及び「書道I」のうちから1科目
(8)  家庭のうち「家庭一般」、「生活技術」及び「生活一般」のうちから1科目

2  普通科における各教科・科目の履修については、上記1のほか次のとおりとする。
(1)  「体育」について、全日制の課程のすべての生徒に履修させる単位数は、9単位を下らないこと。
(2)  芸術について、すべての生徒に履修させる単位数は、3単位を下らないこと。

3  専門教育を主とする学科における各教科・科目の履修については、上記1のほか次のとおりとする。
(1)  専門教育を主とする学科においては、専門教育に関する各教科・科目について、すべての生徒に履修させる単位数は、30単位を下らないこと。ただし、商業に関する学科においては、上記の単位数の中に外国語に属する科目の単位を10単位まで含めることができる。また、商業に関する学科以外の専門教育を主とする学科においては、各学科の目標を達成する上で、普通教育に関する各教科・科目の履修により専門教育に関する各教科・科目の履修と同様の成果が期待できる場合においては、その普通教育に関する各教科・科目の単位を5単位まで上記のの単位数の中に含めることができる。
(2)  専門教育に関する各教科・科目の履修によって、上記1のすべての生徒に履修させる各教科・科目の履修と同様の成果が期待できる場合においては、その専門教育に関する各教科・科目の履修をもって、すべての生徒に履修させる各教科・科目の履修の一部又は全部に替えることができること。


第4款  各教科・科目及び特別活動の授業時数等
1  全日制の課程における各教科・科目及びホームルーム活動の授業は、年間35週行うことを標準とする。ただし、特に必要がある場合には、各教科・科目の授業を特定の学期または期間に行うことができる。

2  全日制の課程における週当たりの授業時数は、32単位時間を標準とする。

3  定時制の課程における授業日数の季節的配分又は週若しくは1日当たりの授業時数については、生徒の勤労状況と地域の諸事情等を考慮して、適切に定めるものとする。

4  各教科・科目の授業時数は、1単位について35単位時間に相当する時間を標準とする。

5  授業の1単位時間は50分を標準とし、教科・科目の特質等に応じて、授業の実施形態を工夫することができる。

6  ホームルーム活動及びクラブ活動の授業時数については、原則として、合わせて週当たり2単位時間以上を配当するものとし、ホームルーム活動については少なくとも週当たり1単位時間以上を配当するものとする。なお、クラブ活動については、学校において計画的に授業時数を配当するものとし、その実施に当たっては、部活動との関連を考慮することができる。

7  定時制の課程において、特別の事情がある場合には、ホームルーム活動又はクラブ活動の授業時数の一部を減ずることができる。

8  生徒会活動及び学校行事については、学校の実態に応じて、それぞれ適切な授業時数を充てるものとする。


第5款  教育課程編成に当たって配慮すべき事項
1  生徒の特性、進路等に応じて適切な教育を行うため、多様な各教科・科目を設け生徒が自由に選択履修することのできるよう配慮するものとする。また、教育課程の類型を設け、そのいずれかの類型を選択して履修させることも差し支えないが、この場合、その類型において履修させることになっている各教科・科目以外の各教科・科目を履修させたり、生徒が自由に選択履修することのできる各教科・科目も設けたりするものとする。

2  普通科においては、地域や学校の実態、生徒の特性、進路等を考慮し、必要に応じて、適切な職業に関する各教科・科目の履修の機会の確保について配慮するものとする。その際、勤労にかかわる体験的な学習の機会の拡充についても留意するものとする。

3  職業教育を主とする学科においては、次の事項に配慮するものとする。
(1)  各学科の特色等に応じて、必要な各教科・科目を重点的に選択し、相互の関連を十分考慮して適切な教育課程を編成するようにすること。なお、職業教育を主とする学科のうち標準的なものは別表に掲げるとおりであるが、設置者においては、必要がある場合には、地域や学校の実態等に応じて、例えば、福祉科、情報科学科、産業技術科など複数の分野にまたがる学科等を設置することができること。
(2)  職業に関する各教科・科目については、実験・実習に配当する授業時数を十分確保するようにすること。
(3)  生徒の実態を考慮し、職業に関する各教科・科目の履修を容易にするため特別な配慮が必要な場合には、各分野における基礎的又は中核的な科目を重点的に選択し、その内容については基礎的・基本的な事項が確実に身に付くように取り扱い、また、主として実験・実習によって指導するなどの工夫をこらすようにすること。


第6款  指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項
1  学校においては、各教科・科目及び特別活動について相互の関連を図り、発展的、系統的な指導を行うため、学校の創意工夫を生かし、全体として調和のとれた具体的な指導計画を作成するものとする。

2  学校においては、第2章以下に示していない事項を加えて指導することも差し支えないが、その場合には、第2章以下に示す教科、科目及び特別活動の目標や内容の趣旨を逸脱したり、生徒の負担過重になったりすることのないようにするものとする。

3  第2章に示す各教科・科目の内容に掲げる事項の順序は、特に示す場合を除き、指導の順序を示すものではないので、各事項のまとめ方、順序及び重点の置き方に適切な工夫を加えて、効果的な指導ができるようにするものとする。この場合、あらかじめ計画して、各教科・科目の内容を学期の区分に応じて1単位ごとに分割して指導することもできる。

4  学校においては、特に必要がある場合には、第2章に示す教科及び科目の目標の趣旨を損なわない範囲内で、その科目の内容に関する事項について、基礎的・基本的な事項に重点を置くなどその内容を適切に選択して指導することができる。

5  第2章に示す職業に関する各教科・科目については、次の事項に配慮するものとする。
(1)  職業に関する各教科・科目については、現場実習をもって実習に替えることができること。この場合、現場実習は、その各教科・科目の内容に直接関係があり、かつ、その一部としてあらかじめ計画されるものであることを要し、その時間数は各教科・科目の実習時間数の合計10分の7以内とすること。
(2)  家庭、農業及び水産に関する各教科・科目の指導に当たっては、ホームプロジェクト並びに学校家庭クラブ及び学校農業クラブなどの活動を活用して、学習の効果を上げるようにすることが望ましいこと。この場合、ホームプロジェクトについては、その各教科・科目の授業時数の10分の2以内をこれに充てることができること。
(3)  定時制及び通信制の課程において、職業に関する各教科・科目を履修する生徒が、現にその各教科・科目と密接な関係を有する職業(家事を含む。)に従事している場合で、その職業における実務等が、その各教科・科目の一部を履修した場合と同様の成果があると認められるときは、その実務等をもってその各教科・科目の履修の一部に替えることができること。

6  以上のほか、次の事項について配慮するものとする。
(1)  学校生活全体を通じて、言語に関する意識や関心を高め、言語環境を整え、生徒の言語活動が適正に行われるよう努めること。
(2)  学校の教育活動全体を通じて、個々の生徒の特性等の的確な把握に努め、その伸張を図り、生徒に適切な各教科・科目や類型を選択させるように指導すること。
(3)  教師と生徒及び生徒相互の好ましい人間関係を育て、生徒が主体的に判断、行動し積極的に自己を生かしていくことができるよう、生徒指導の充実を図ること。
(4)  生徒が自らの在り方生き方を考え、主体的に進路を選択することができるよう、学校の教育活動全体を通じ、計画的、組織的な進路指導を行うこと。
(5)  各教科・科目の指導に当たっては、生徒の学習内容の習熟の程度などに応じて弾力的な学級の編成を工夫するなど、個に応じた指導方法の工夫改善に努めること。
(6)  教師間の連携協力を密にするなど指導体制の工夫改善に努めること。
(7)  学習の遅れがちな生徒、心身に障害のある生徒などについては、各教科・科目等の選択、その内容の取扱いなどについて必要な配慮を行い、生徒の実態に即した適切な指導を行うこと。
(8)  海外から帰国した生徒などについては、学校生活への適応を図るとともに、外国における生活経験を生かすなど適切な指導を行うこと。
(9)  視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図るとともに、学校図書館を計画的に利用しその機能の活用に努めること。
(10) 指導の過程や成果を評価し、指導の改善を行うとともに、学習意欲の向上に生かすよう努めること。
(11) 地域や学校の実態等に応じ、家庭や地域社会との連携を深めるとともに、学校相互の連携や交流を図ることにも努めること。


第7款  単位の習得及び卒業の認定
1  学校においては、生徒が学校の定める指導計画に従って各教科・科目を履修し、その成果が教科及び科目の目標からみて満足できると認められる場合には、その各教科・科目について履修した体を習得したことを認定しなければならない。この場合、1科目を2以上の学年にわたって分割履修したときは、学年ごとにその各教科・科目について履修した単位を修得したことを認定するものとする。なお、必要に応じ、単位の修得の認定を学期の区分ごとに行うことができる。

2  学校においては、卒業までに履修させる各教科・科目及びその単位数並びに特別活動及びそれらの授業時数に関する事項を定めるものとする。この場合、各教科・科目の単位数の計は、第3款に掲げる各教科・科目の単位数を含めて80単位以上とする。

3  学校においては、各学年の課程の修了の認定については、単位制が併用されていることを踏まえ、弾力的に行うよう配慮するものとする。

4  学校においては、卒業までに修得させる単位数を定め、校長は、当該単位数を修得した者で、特別活動の成果がその目標からみて満足できると認められるものについて、高等学校の全課程の修了を認定するものとする。この場合、卒業までに修得させる単位数は、80単位以上とする。なお、普通科においては、第2款の3及び4に規定する「その他の科目」及び「その他特に必要な教科」に関する科目に係る修得単位数は、合わせて20単位までを卒業までに修得させる単位数に含めることができる。

5  学校においては、定時制又は通信制の課程に在学する生徒が、入学以前又は在学中に大学入学資格検定規程(昭和26年文部省令第13号)の定めるところにより、その受検科目について合格点を得た場合には、それに相当する高等学校の各教科・科目の単位を修得したものとみなすことができる。

6  学校においては、別科において、この高等学校学習指導要領に定めるところに準じて、別科の科目を生徒が修得した場合には、それに相当する高等学校の各教科・科目の単位を修得したものとみなすことができる。


第8款  通信制の課程における教育課程の特例
  通信制の課程における教育課程については、第1款から第7款まで(第4款、第5款の1並びに第6款の5の(1)及び(2)を除く。)に定めるところによるほか、下記に定めるところによる。

1  各教科・科目の添削指導の回数及び面接指導の単位時間(1単位時間は、50分を標準とする。以下同じ。)数の標準は、1単位につき次の表のとおりとするほか、第2款の4に規定する「その他特に必要な教科」に関する科目のうち普通教育に関するものについては、設置者が定めるものとする。

2  学校が、その指導計画に、各教科・科目又は特別活動について計画的かつ継続的に行われるラジオ放送又はテレビ放送を取り入れた場合で、生徒がその放送を視聴し、その成果が満足できると認められるときは、その生徒について、その各教科・科目の面接指導の時間数又は特別活動の時間数のうち、ラジオ放送又はテレビ放送についてそれぞれ10分の6以内の時間数を免除することができる。ただし、免除する時間数は、合わせて10分の8を超えることができない。

3  特別活動については、ホームルーム活動及びクラブ活動を含めて、各々の生徒の卒業までに30単位時間以上指導するものとする。

第2章  各教科

第1節  国語

第1款  目標
  国語を的確に理解し適切に表現する能力を身に付けさせるとともに、思考力を伸ばし心情を豊かにし、言語感覚を磨き、言語文化に対する関心を深め、国語を尊重してその向上を図る態度を育てる。


第2款  各科目

第1  国語
1  目標
  国語を的確に理解し適切に表現する能力を養うとともに、思考力を伸ばし心情を豊かにし、言語感覚を磨き、言語文化に対する関心を深め、国語を尊重してその向上を図る態度を育てる。

2  内容
  A  表現
  次の事項について指導する。
ア  目的や場に応じて話題や題材を選び、自分の考えをまとめること。
イ  主題や論旨が明確になるように構成を工夫して話したり書いたりすること。
ウ  対象を的確に表す語句を選び、文脈に即して用いること。
エ  事実と意見、説明と描写の区別などに注意し、筋道を立てて話したり書いたりすること。
オ  目的に応じて適切な形式や文体を工夫し、話や文章をよりよく整えること。
カ  優れた表現に接してその条件を考え、自分の表現に役立てること。
キ  目的や場に応じて効果的に話したり朗読したりすること。
  B  理解
  次の事項について指導する。
ア  話や文章の主題や要旨を叙述に即して的確にとらえること。
イ  話や文章の構成や展開に注意して、話し手や書き手の考えの進め方や強調点をとらえること。
ウ  話や文章の内容を必要に応じて要約したり詳述したりすること。
エ  文章に描かれた人物、情景、心情などを表現しに即して読み味わうこと。
オ  話を聞いたり文章を読んだりしてものの見方、感じ方、考え方を広くし、人間、社会、自然などについて考えを深めること。
カ  文章の内容や形態に応じた表現上の特色、文体の特徴などに注意して読むこと。

[言語事項]
  国語の表現と理解に役立てるため、次の事項について指導する。
ア  文章や文の組立て、語句の働き、表記の仕方などを理解すること。
イ  文語のきまり、訓読のきまりなどを理解すること。
ウ  語句の意味、用法などを理解し、語彙を豊かにすること。
エ  常用漢字の読みに慣れ、主な常用漢字が書けるようになること。
オ  言語の役割、国語の特質などを理解すること。

3  内容の取扱い
(1)  総合的な国語力を養うため、内容のA、B及び[言語事項]について相互に密接な関連を図りながら、生徒の発達段階に応じて適切な学習活動を組織し、効果的に指導するようにする。
(2)  内容のAの指導に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア  作文の指導には1単位程度を配当するものとし、生徒の表現力をできるだけ伸ばすようにすること。
イ  話し方や話合いの学習を充実させるようにすること。
ウ  情報を収集し、活用する能力を身に付けさせること。
(3)  内容のBの指導に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア  古典と近代以降の文章との授業時数の割合は、おおむね同等とすることを目安として生徒の実態に応じて適切に定めること。なお、古典における古文と漢文との割合は、一方だけに偏らないようにすること。
イ  話をよく聞き取る能力や態度を身に付けさせること。
ウ  文章の読解、鑑賞を深めるため、音読や朗読などを取り入れること。
エ  文章の読解、鑑賞に当たっても話したり書いたりする機会をできるだけ設け、表現力、理解力の向上に役立つようにすること。
オ  読書力を伸ばし、読書の習慣を養うこと。
カ  情報を選択し、整理する能力を身に付けさせること。
(4)  内容の[言語事項]の指導に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア  中学校の指導の上に立って、内容のA及びBの指導の中で深めること。
イ  イについては、文章の読解に即して行う程度とすること。なお、口語のきまり、言葉遣い、敬語の用法などについても、必要に応じて扱うこと。
(5)  教材は、古典及び近代以降の文章の中から生徒の発達段階に即して、適切な話題や題材を精選して取り上げるものとする。その際には、表現力と理解力とを偏りなく育てることをねらいとしながら、次のような観点に配慮する必要がある。
ア  言語文化に対する関心や理解を深め、国語を尊重する態度を育てるのに役立つこと。
イ  思考力を伸ばし心情を豊かにし、言語感覚を磨くのに役立つこと。
ウ  公正かつ適切に判断する能力や創造的精神を養うのに役立つこと。
エ  科学的、論理的な見方や考え方を養うのに役立つこと。
お  生活や人生について考えを深め、人間性を豊かにし、たくましく生きる意志を培うのに役立つこと。
カ  人間、社会、自然などに広く目を向け、考えを深めるのに役立つこと。
キ  我が国の文化と伝統に対する関心や理解を深め、それらを尊重する態度を育てるのに役立つこと。
ク  広い視野から国際理解を深め、日本人としての自覚をもち、国際協調の精神を高めるのに役立つこと。

第2  国語II
1  目標
  国語を的確に理解し適切に表現する能力を高めるとともに、思考力を伸ばし心情を豊かにし、言語感覚を磨き、言語文化に対する関心を深め、国語を尊重してその向上を図る態度を育てる。

2  内容
  1の目標に基づき、「国語I」の内容に示す事項について指導する。

3  内容の取扱い
(1)  「国語I」との関連を重視しながら「国語I」の内容に更に習熟させ、総合的な国語力を一層高めるよう指導するものとする。その際、「国語I」の「3  内容の取扱い」と同様に取り扱うものとする。
(2)  教材は、「国語I」の教材の程度を高めたもので、生徒の発達段階に即した適切なものを取り上げるようにする。

第3  国語表現
1  目標
  国語で適切にまた効果的に表現する能力を高めるとともに、思考力を伸ばし言語感覚を磨き、進んで表現することによって生活を充実させる態度を育てる。

2  内容
  次の事項について指導する。
ア  適切な話題や題材を取り上げ、それについて情報を収集、整理し、自分の考えを深めて、主題や論旨を明確にすること。
イ  観察、調査などに基づいて、事実、状況などを正確に説明したり記録や報告にまとめたりすること。
ウ  構想に従って材料を整理し、意見、主張などを筋道を立てて話したり書いたりすること。
エ  対象を的確にとらえ表現を工夫して、感想、感動などが生き生きと伝わるように話したり書いたりすること。
オ  相手や目的に応じた形式や文体を整えて、通信、伝達などの文章を書くこと。
カ  優れた表現について主題、要旨、構成、修辞などを吟味し、自分の表現や推敲に役立てること。

3  内容の取扱い
(1)  作文と話し方の指導は、相互の関連を図りながら効果的に行うようにし、話し方の指導には生徒の実態に応じて適切な授業時数を配当するようにする。
(2)  話し方の指導については、様々な目的や場に応じた話し方を身に付けさせるようにするとともに、発表、対話、討議などを適宜取り入れるようにする。
(3)  生徒の文章力を伸ばすため、文章を書く機会を多く設けるとともに、文章研究を十分に活用するようにする。
(4)  教材は、書くこと話すことの学習活動に役立つもので、特に論理的思考力を伸ばすのに役立つものを取り上げるようにする。

第4  現代文
1  目標
  近代以降の優れた文章や作品を読解し鑑賞する能力を高めるとともに、ものの見方、感じ方、考え方を深め、進んで表現し読書することによって人生を豊かにする態度を育てる。

2  内容
  次の事項について指導する。
ア  論理的な文章について、主要な論点と従属的な論点との関係を考え、論理の展開や要旨を的確にとらえること。
イ  文学的な文章について、主題、構成、叙述などを確かめ、人物、情景、心情などを的確にとらえること。
ウ  目的や内容に応じた様々な読み方を通して、文章の読解、鑑賞を深め、人間、社会、自然などについて自分の考えを深めたり発展させたりすること。
エ  文体、修辞などと内容との関係を考え、表現上の特色をとらえること。
オ  語句の意味、用法を的確に理解し、語彙を豊かにすること。
カ  文章や作品を読んで要約したり、感想をまとめたり、自分の考えを筋道を立てて話したり書いたりすること。

3  内容の取扱い
(1)  文章の読解、鑑賞に当たっても、話したり書いたりする機会をできるだけ設けるとともに、聞くことについても指導するようにする。
(2)  生徒の読書意欲を喚起し、読書力を高めるよう配慮する。
(3)  近代の文章や文学の変遷については、作品の読解、鑑賞の参考になる程度とする。
(4)  教材は、近代以降の文章や作品とし、ある程度まとまったものを主として取り上げるようにする。なお、翻訳作品や近代以降の文語文も含めるようにする。

第5  現代語
1  目標
  国語を的確に理解し適切に表現するために必要な知識、技能を身に付けさせるとともに、言語に対する関心を高め、現代の国語の向上を図る態度を育てる。

2  内容
  次の事項について指導する。
ア  話し言葉の特質を理解し、様々な目的や場に応じた話し方や言葉遣いを身に付けること。
イ  適切な発声、発音、抑揚、強弱、話す速度などを考えて、効果的に話すこと。
ウ  文章や文の組立て、語句の働き、表記の仕方などを身に付けるうこと。
エ  語句の意味、用法を身に付け、語彙を豊かにすること。
オ  漢字や漢語の特質を理解し、常用漢字の読み書きに慣れること。
カ  現代の国語の成り立ちや特質、言語の役割などについて理解を深めること。

3  内容の取扱い
(1)  知識の習得に偏ることなく、調査、報告、討論など生徒の活動する機会を適宜設けるようにする。
(2)  日常の言語活動の向上に役立つ学習活動を適宜取り入れるようにする。
(3)  様々な指導の機会を通して、聞くことに関する学習も深めるようにする。
(4)  教材は、文字や言語に関する学習活動に役立つもの、現代の国語の理解に役立つもの、国際的な視野から現代の国語を考えさせるのに役立つものを取り上げるようにする。

第6  古典I
1  目標
  古典としての古文と漢文を読解し鑑賞する能力を養うとともに、ものの見方、感じ方、考え方を広くし、古典に親しむことによって人生を豊かにする態度を育てる。

2  内容
  次の事項について指導する。
ア  古文や漢文に用いられている語句の意味、用法及び文の構造を理解すること。
イ  文章の構成や展開に即して、主題や要旨を的確にとらえること。
ウ  文章や作品に表れた人間、社会、自然などに対する思考や感情を理解し、ものの見方、感じ方、考え方などを豊かにすること。
エ  文章の表現上の特色を理解し、優れた表現を味わうこと。
オ  音読、朗読、暗唱などを通して古典の文章に親しみ、作品の読解、鑑賞を深めること。
カ  古典を読んで、日本文化の特質や日本文化と中国文化の関係について考えること。

3  内容の取扱い
(1)  古文及び漢文の両方を取り上げるものとし、著しく一方に偏らないようにする。
(2)  文語文法の指導は、作品の読解に即して行い、必要に応じてある程度まとまった学習もできるようにする。
(3)  教材は、親しみやすく基本的なものをできるだけ精選し、長短や難易を考慮して適当な部分を取り上げるものとする。その際には、次のような観点に配慮する必要がある。
ア 古典を進んで学習する意欲や態度を養うのに役立つこと。
イ 人間、社会、自然などに対する様々な時代の人々のものの見方、感じ方、考え方について理解を深めるのに役立つこと。
ウ 様々な時代の人々の生き方について考えたり、我が国の文化と伝統について理解を深めたりするのに役立つこと。
エ 古典の読解、鑑賞に必要な知識を身に付けるのに役立つこと。
オ 言語感覚を豊かにするのに役立つこと。
カ 中国など外国の文化との関係について理解を深めるのに役立つこと。
(4)  教材には、日本漢文も含めるよう留意する。また、必要に応じて近代以降の文語文や漢詩文などを用いることができる。
(5)  教材については、表記を工夫し、注釈、傍注、解説などを適切に用い、特に漢文については訓点を付け、時には書き下し文を用いるなど理解しやすいようにする。

第7  古典II
1  目標
  古典としての古文と漢文を読解し鑑賞する能力を高めるとともに、ものの見方、感じ方、考え方を深め、古典に親しむことによって人生を豊かにする態度を育てる。

2  内容
  1の目標に基づき、「古典I」の内容に示す事項について指導する。

3  内容の取扱い
(1)  「古典I」との関連を重視しながら、「古典I」の内容に更に習熟させ、古典の読解力、鑑賞力を一層高めるよう指導するものとする。その際、「古典I」の「3  内容の取扱い」と同様に取り扱うものとする。
(2)  教材は、「古典I」の教材の程度を高めたもので、生徒の発達段階に即した適切なものを取り上げるようにする。

第8  古典講読
1  目標
  古典としての古文と漢文を読解し鑑賞することによって、我が国の文化と伝統に対する関心を深め、古典に親しむ態度を育てる。

2  内容
  次の事項について指導する。
ア  音読、朗読を通して作品の読解、鑑賞を深めること。
イ  古文や漢文に用いられている語句の意味、用法を理解し、その特有の表現を味わうこと。
ウ  文章や作品に表れた思想や感情を的確に読み取り、生活や人生について考えること。
え  古典を読んで、日本文化の特質や日本文化と中国文化の関係について考えること。

3  内容の取扱い
(1)  古文と漢文の両方又はいずれか一方を取り上げることができる。
(2)  生徒の発達段階からみて高度で専門的な指導にならないよう配慮する。
(3)  教材は、特定の作品や文種・形態などについてまとまりのあるものを適切に取り上げるようにする。


第3款  各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1  指導計画の作成に当たっては「国語II」、「現代文」、「古典I」、「古典II」及び「古典講読」は「国語I」を履修した後に履修させるものとする。

2  内容の取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)  教材については、各科目の「3  内容の取扱い」に示す事項のほか、「国語表現」、「現代文」及び「現代語」は「国語I」の3の(5)に示す事項について、「国語講読」は「古典I」の3の(3)、(4)及び(5)に示す事項について留意すること。
(2)  学習に必要な辞書、参考資料などの利用に慣れさせ、音声言語による教材も適宜活用し、指導の効果を高めるようにすること。

第2節  地理歴史

第1款  目標
  我が国及び世界の形成の歴史的過程と生活・文化の地域的特色についての理解と認識を深め、国際社会に主体的に生きる民主的、平和的な国家・社会の一員として必要な自覚と資質を養う。


第2款  各科目

第1  世界史A
1  目標
  現代世界の形成の歴史的過程について、近現代史を中心に理解させ、世界諸国相互の関連を多角的に考察させることによって、歴史的思考力を培い、国際社会に生きる日本人としての自覚と資質を養う。

2  内容
(1)  諸文明の歴史的特質
  文明の成立とその発展、世界諸地域の文化的特色を理解させる。その際、諸地域の歴史・文化の基盤となっている風土、民族、言語、宗教などに着目させる。

  ア  文明と風土
  農耕及び牧畜の発生、都市文明の成立、古代帝国の発展などに着目させ、人類がつくりあげた文明の特色と意義を理解させる。
  イ  東アジアと中国文化
  東アジアの風土と諸民族、漢字文化、儒教と国家などに着目させ、東アジアの歴史・文化の特色を理解させる。
  ウ  南アジアとインド文化
  南アジアの風土と諸民族、仏教・ヒンドゥー教文化、イスラム教の影響などに着目させ、南アジアの歴史・文化の特色を理解させる。
  エ  西アジアとイスラム文化
  西アジアの風土と諸民族、パレスチナの歴史、イスラム文化などに着目させ、西アジアの歴史・文化の特色を理解させる。
  オ  ヨーロッパとキリスト教文化
  ヨーロッパの風土と諸民族、キリスト教文化などに着目させ、ヨーロッパの歴史・文化の特色を理解させる。

(2)  諸文明の接触と交流
  諸文明の接触と交流の歴史を中心に各時代の特色を世界的視野で把握させる。また、同時代の諸地域の文化を比較させ、文化・文明に対する多様なものの見方を養う。
  ア  2世紀の世界
  漢帝国とローマ帝国を両極とするユーラシア大陸の東西交流の歴史の理解を通して、2世紀前後の世界の全体像を把握させる。
  イ  8世紀の世界
  イスラムの拡大期の西アジア、地中海世界、インド、中央アジア、中国など諸地域相互の接触と交流の歴史の理解を通して、8世紀前後の世界の全体像を把握させる。
  ウ  13世紀の世界
  モンゴルのユーラシア大陸征服を中心に、東西世界の接触と交流の歴史の理解を通して、13世紀前後の世界の全体像を把握させる。
  エ  16世紀の世界
  大航海時代のヨーロッパとアフリカ、アメリカ、アジアとの接触と交流の歴史の理解を通して、16世紀前後の世界の全体像を把握させる。
  オ  17・18世紀の世界
  ヨーロッパの絶対主義国家、アジアの専制国家などの政治、経済、文化の交流、相互に与えた影響などの理解を通して、17・18世紀の世界の全体像を把握させる。

(3)  19世紀の世界の形成と展開
  ヨーロッパによる世界支配、世界の一体化の過程とそれに対するアジアの対応などに着目させ、現代世界の形成過程を理解させる。
  ア  19世紀のヨーロッパ・アメリカ
  市民革命とその影響、諸国間の戦争と国際関係、近代国家の成立、19世紀における諸民族国家の成立などに着目させ、近代国家の形成過程を理解させる。
  イ  産業革命と世界市場の形成
  産業革命と技術革新、機械制工業、資本家と労働者の形成、ヨーロッパ諸国による植民地の拡大、貿易活動、資本主義化の中の農業、都市と市民生活・市民文化などに着目させ、現代社会の形成過程を理解させる。
  ウ  アジア諸国の変貌と日本
  ヨーロッパの進出期における日本を始めとするアジア諸国家の状況、植民地化の過程での抵抗や挫折、近代化の過程でのアジアの伝統文化とヨーロッパ近代文化の接触、19世紀のアジアの変貌などに着目させ、現代世界の形成過程を理解させる。

(4)  現代世界と日本
  地球的規模で一体化した現代世界の歴史を理解させ、そこに現れた歴史的課題について考察させる。その際、世界の動向と日本とのかかわりに着目させる。
  ア  二つの世界大戦と平和
  第一次世界大戦と第二次世界大戦の原因やそれが及ぼした影響に着目させ、平和の意義などを考察させる。
  イ  アメリカ合衆国とソビエト連邦
  資本主義の変容とアメリカ合衆国の主導的役割、ロシア革命とソビエト連邦の成立、第二次世界大戦後の社会主義国家の出現などに着目させ、米ソ対立とその背景や核兵器問題などについて考察させる。
  ウ  民族主義とアジア・アフリカ諸国
  アジア・アフリカの民族運動や植民地独立の経過を理解させ、アジア・アフリカ諸国が抱える問題などについて考察させる。
  エ  地域紛争と国際社会
  第二次世界大戦後の世界で起こった地域紛争、人種・民族問題などに着目させ、その歴史的背景や国際社会の構造などについて考察させる。
  オ  科学技術と現代文明
  原子力の利用、情報科学、宇宙科学の出現など現代の科学技術の人類への寄与と課題に触れ、人類の生存と環境、世界の平和と安全などについて考察させるとともに、国際的な交流と協調の必要性に着目させる。
  カ  これからの世界と日本
  諸国、諸地域の交流、相互依存がますます進む中で、多様性を認め合いながら日本が世界の諸国と共存する方向を21世紀を展望しつつ考察させる。

3  内容の取扱い
(1)  内容の全体にわたって、次の事項に配慮するものとする。
ア  科目の目標に即して基本的な事項・事柄を精選して指導内容を構成するものとし、細かな事象や高度な事項・事柄には深入りしないこと。
イ  文明の意義、文化の比較、国際関係の展開などを取り扱う際、比較文化的視点も考慮するとともに各時代における世界の中に日本を位置付けて考察させるようにすること。
ウ  風土、民族の扱い、歴史地図の活用などについては「地理A」及び「地理B」との関連を考慮すること。

(2)  内容の取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア  内容の(1)については、諸文明の成立と諸地域の文化の発展に関する具体的事実に触れながら巨視的に把握させ、その特色や歴史的意義について考察させるものとし、個々の地域の細かな歴史の展開には触れないこと。
イ  内容の(2)については、同時代史的な取扱いで世界の歴史の発展を学ばせることとし、アからオまでのうち二つ程度を選択して学ばせること。
ウ  内容の(3)及び(4)については、次の事項に留意すること。
(ア)  客観的かつ校正な資料に基づいて歴史の事実に関する理解を得させるようにすること。
(イ)  政治、経済、社会、文化、生活など様々な観点から歴史を取り上げ、近現代世界に対する多角的、柔軟な見方を養うこと。
エ  内容の(4)については、単に知識を与えるだけでなく現代の世界が当面する課題について考察を加えさせること。その際、核兵器の脅威に着目させ、戦争を防止し、民主的な平和な国際社会を実現することが重要な課題であることを認識させること。

第2  世界史B
1  目標
  現代世界の形成の歴史的過程と世界の歴史における各文化圏の特色について理解させ、文化の多様性・複合性や相互交流を広い視野から考察させることによって、歴史的思考力を培い、国際社会に生きる日本人としての自覚と資質を養う。

2  内容
(1)  文明の起こり
  人類が各地域の自然環境に適応しながら各文化圏の素地を成す文明を築き上げていったことを理解させる。
  ア  オリエント文明
  オリエント文明の成立と発展、イラン民族の活動などを中心に、古代オリエントの歴史の展開を概観させる。
  イ  地中海文明
  エーゲ文明、ギリシア・ローマ文明などを中心に、古代地中海世界の歴史の展開を概観させる。
  ウ  インド文明
  インダス文明、アーリア人進入以後の文化、社会、国家の発展などを中心に、古代インドの歴史の展開を概観させる。
  エ  中国文明
  黄河文明、秦・漢帝国の成立と発展などを中心に、古代中国の歴史の展開を概観させる。

(2)  東アジア文化圏の形成と発展
  風土、生活、文化に着目させながら、東アジアの歴史と文化の形成過程を理解させる。特に、中国文化が北方の遊牧民族的要素を加え、また、西方文化の影響も受けながら朝鮮、日本、ベトナムを含む隣接諸地域の文化形成に大きな役割を果たしたことに着目させる。
  ア  遊牧民族の活動と東アジア世界の形成
3世紀から6世紀にかけての中国農耕民族と北アジア遊牧民族の対立抗争と交流、唐帝国の発展と東アジア諸民族の活動などに着目させ、東アジアの文化の展開を理解させる。
  イ  中国社会の変遷と隣接諸民族の活動
  唐帝国の動揺から元帝国の崩壊までの中国の社会の変遷と契丹、女真、モンゴルなど北方民族の活動に着目させ、中国と隣接諸民族の関係を理解させる。
  ウ  中華帝国の繁栄と朝鮮、日本
  明・清帝国の発展や中国と朝鮮、日本の関係などに着目させ、繁栄期の東アジアの文化について理解させる。

(3)  西アジア・南アジアの文化圏と東西交流
  風土、生活、文化に着目させながら、西アジア・南アジアの歴史と文化の形成過程を理解させる。特に、イスラム教の成立とその特色、イスラム世界の拡大とイスラム文化、イスラムが浸透したアフリカ・イベリア・インド・東南アジアの歴史と文化にも着目させる。また、ユーラシアの東西交流の歴史を通して、同時代的な世界の歴史を把握させる。
  ア  イスラム世界の形成
  イスラム教の成立とその特色、アラブ民族とイスラム帝国の拡大、イスラム文化の発展などを理解させ、イスラム世界形成の歴史的意義を考察させる。
  イ  イスラム世界の発展
  イスラム世界におけるトルコ民族の活躍、西アジア・アフリカにおけるイスラム諸国の発展に着目させ、諸地域のイスラム社会の特色を理解させる。
  ウ  南アジア・東南アジア世界の展開
  南アジア・東南アジアの伝統文化とイスラム化に伴う社会の変容などに着目させ、南アジア・東南アジアの文化の多様性について理解させる。
  エ  ユーラシアの東西交流
  ユーラシア大陸や海路を通じての東西交流に着目させ、民族や文化の接触・交流・融合について理解させる。
(4)  ヨーロッパ文化圏の形成と発展
  風土、生活、文化に着目させながら、ヨーロッパの歴史と文化の形成過程を理解させる。その際、ビザンティンやロシア・東ヨーロッパ世界の独自性にも触れる。また、キリスト教文化や変動期のヨーロッパの政治や社会の特質、大航海時代に始まるヨーロッパ世界の拡大とその背景を理解させる。
  ア  東西ヨーロッパ世界の形成
  古代地中海世界が解体した後の東西ヨーロッパ世界の形成過程、封建社会やキリスト教文化の特色などを理解させ、ヨーロッパの文化の基盤について考察させる。
  イ  ヨーロッパの変革と大航海時代
  14・15世紀のヨーロッパ社会の変動、ルネサンス、宗教改革、新航路の開拓などに着目させ、16世紀以後のヨーロッパ世界拡大の背景を理解させる。
  ウ  17・18世紀のヨーロッパと世界
  絶対主義国家の盛衰、ヨーロッパにおける国際関係の展開、アメリカ大陸、アジアへの植民地進出などに着目させ、世界におけるヨーロッパ諸国の活動を理解させる。

(5)  近代と世界の変容
  市民革命、産業革命、資本主義の発達など西欧近代のもつ世界史的意義、ヨーロッパ諸国の進出に伴う世界の変容などを理解させる。その際、現代世界に大きな影響をもつことになるアメリカ大陸の歴史にも着目させる。また、アジアの諸国の伝統、ヨーロッパ諸国によるアジアの植民地化、アジア諸国の動揺と近代化への動きなど近代史の大きな流れを理解させる。
  ア  市民革命と産業革命
  市民革命と自由主義や国民主義の発展、産業革命と資本主義の展開などに着目させ、ヨーロッパの市民社会の発展について理解させる。
  イ  アメリカ合衆国とアメリカ文明
  アメリカ合衆国を中心に、アメリカ大陸諸国の発展やアメリカとヨーロッパの関係などに着目させ、アメリカ大陸の政治、社会、文化について理解させる。
  ウ  アジア諸国とヨーロッパの進出
  オスマン、ムガル、清帝国などアジアの諸国家の動揺と改革、ヨーロッパ諸国との関係などを理解させ、アジアの近代について考察させる。
  エ  帝国主義とアジア・アフリカ
  19世紀後期からのヨーロッパ諸国によるアジア・アフリカの植民地化とアジア・アフリカの対応に着目させ、19世紀後期から20世紀初期の世界の歴史の特色を理解させる。

(6)  20世紀の世界
  二つの世界大戦の両大戦間の世界の動きを世界恐慌や全体主義の台頭などを含めて理解させる。また、ソビエト連邦の成立と社会主義諸国、アメリカ合衆国の台頭と資本主義経済の変容、アジア・アフリカの民族運動の展開を通して、現代史の大きな流れを理解させ、20世紀の歴史の特色を考察させる。
ア  二つの大戦と世界
  第一次世界大戦、両大戦間の国際社会、第二次世界大戦と戦後の国際関係などを理解させ、20世紀の戦争や国際協調の歴史を考察させる。
イ  ソビエト連邦と社会主義諸国
  ロシア革命とソビエト連邦の成立、第二次世界大戦後の社会主義国家の成立などに着目させ、ソビエト連邦と社会主義諸国の歴史について理解させる。
ウ  アメリカ合衆国と自由主義諸国
  20世紀におけるアメリカ合衆国の経済の発展、国際政治における役割、資本主義の変容と国際化などに着目させ、アメリカ合衆国と自由主義諸国の歴史について理解させる。
エ  アジア・アフリカ諸国の民族運動と独立
  アジア・アフリカ諸民族の民族的覚醒、独立運動、独立後の国家建設などに着目させ、20世紀のアジア・アフリカ諸国の歴史について理解させる。

(7)  現代の課題
  現代世界の基本的な課題を歴史的視点から考察させる。
ア  国際対立と国際協調
  多極化した国際関係、核兵器問題、人種・民族問題、第二次世界大戦後の主要な国際紛争などに着目させ、現代の国際問題を歴史的に考察させる。
イ  科学技術の発展と現代文明
  巨大技術、環境問題などに着目させ、科学技術と現代文明を歴史的に考察させる。
ウ  これからの世界と日本
  国際政治、国際経済、現代文明などにおいて人類の当面する問題について歴史的観点から考察を加えさせるとともに、これからの世界と日本を展望させる。

3  内容の取扱い
(1)  内容の全体にわたって、次の事項に配慮するものとする。
ア  科目の目標に即して基本的な事項・事柄を精選して指導内容を構成するものとし、細かな事象や高度な事項・事柄には深入りしないこと。
イ  生徒の歴史的な思考力を培いかつ歴史に対し興味・関心をもたせるため、適切な主題を設けて学習できるようにすること。
ウ  各時代に生きた人物、技術の発達と歴史のかかわりなどにも目を向けさせ、歴史の理解を深めさせること。
エ  文化圏のまとめ方については、「地理A」及び「地理B」との関連に留意すること。

(2)  内容の取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア  内容の(1)については、人類と文化の期限などを含め、文明の発展を学ばせること。また、オリエント文明にはイラン民族の文明も含めること。
イ  内容の(2)、(3)及び(4)については、次の事項に留意すること。
(ア)  各時代の人々の生活や意識を具体的に理解できるようにし、政治史のみの学習にならないようにすること。
(イ)  各文化圏の歴史の展開や文化の特色を把握させ、文化圏としてのまとまりに着目させること。
(ウ)  隣接する文化圏相互の接触や交流をとらえ、文化の多様性や複合性も理解させる。その際、地中海地域、インド洋地域、中央アジアを文化の交流圏として設定するなど、接触や交流を時間的、空間的にとらえさせる工夫をすること。
(エ)  内容の(2)、(3)及び(4)に示した文化圏以外にも文化史的にまとまりのある地域を文化圏学習に取り入れることもできるが、その際、全体の配当時数や生徒の学習負担に配慮すること。
(オ)  比較文化的視点から世界の歴史の中の日本の位置付けにも着目させること。
ウ  内容の(5)、(6)及び(7)については、次の事項に留意すること。
(ア)  客観的かつ公正な資料に基づいて歴史の事実に関する理解を得させるようにすること。
(イ)  世界の一体化の過程と現代世界成立の歴史的意義を理解させること。
(ウ)  ヨーロッパ、アジア、アフリカ、アメリカなど諸地域の政治、経済、文化的な結び付きを歴史的に正しく認識させること。
(エ)  政治、経済、社会、文化、生活など様々な観点から歴史を取り上げ、現代世界に対する多角的、柔軟な見方を養うこと。
(オ)  日本と関連する諸国の歴史については当該国の歴史からみた日本などにも着目させ、世界の歴史における日本の位置付けを明確にすること。
エ  内容の(7)については、単に知識を与えるだけでなく、現代の世界が当面する課題について考察を加えさせること。その際、核兵器の脅威に着目させ、戦争を防止し、民主的で平和な国際社会を実現させることが重要な課題であることを認識させること。

第3  日本史A
1  目標
  我が国の歴史の展開を、世界史的視野に立って理解させ、特に近代社会の成立と発展の過程を我が国を取り巻く国際環境などと関連付けて考察させることによって、歴史的思考力を培い、国民としての自覚と国際社会に生きる日本人としての資質を養う。

2  内容
(1)  古代及び中世の日本とアジア
  国家の形成から戦国時代に至る我が国の歴史の展開について、アジア世界の動きを背景に概観させる。
  ア  古代国家の形成と大陸文化の摂取
  日本の原始社会の推移、大陸文化の摂取とその影響、律令体制の推移、古代文化の成立などに着目して、古代国家の形成過程を理解させる。
  イ  中世社会の展開とアジア世界との交流
  武家社会の進展、対外的な交流の拡大、都市や農村社会の変容、中世文化の形成などに着目して、中世社会の展開を理解させる。

(2)  幕藩体制の形成と推移
  織豊政権期から幕藩体制の確立に至る過程について、ヨーロッパ世界の動きを背景に概観させる。
  ア  ヨーロッパ文化との接触と鎖国
  対外的な文化や経済の接触と交流、国内の政治や社会の動きなどに着目して、戦国時代末期から江戸時代初期までの歴史の展開を理解させる。
  イ  幕藩体制の確立と都市及び農村の経済や文化
  幕府及び諸藩の支配体制の特質、都市生活を基盤とする町人文化、農村の生活文化などに着目して、幕藩体制の確立と経済や文化の発展を理解させる。

(3)  日本の近代化への道と19世紀の世界
  幕藩体制の動揺、崩壊と我が国の近代化の要因の生成過程について、欧米諸国の発展とアジアへの進出を背景に理解させる。
  ア  国際環境の変化と幕藩体制の動揺
  近代社会を形成した欧米諸国の日本への開国要求、幕府及び諸藩の改革への努力、近代産業の芽生えなどに着目して、幕藩体制動揺期の内外の情勢を理解させる。
  イ  新思想の展開と教育の普及
  国学、洋楽などの発展、政治や社会を批判する思想の形成、教育や情報の普及などに着目して、我が国の近代化の基盤を形成した学問・思想の展開を理解させる。

(4)  近代日本の形成と展開
  開国、明治維新を経て、近代日本が急速に形成された過程及び第二次世界大戦の終結に至った過程について、国際環境と関連付けて理解させる。
  ア  欧米文化の導入と明治維新
  開国とその影響、明治政府による諸制度の改革、文明開化と殖産興業、明治初期の外交などに着目して、欧米文化の影響と近代化の推移を理解させる。
  イ  近代国家の成立と国際関係の推移
  自由民権運動の展開、立憲体制の成立、条約改正、日清・日露戦争とその前後の国際環境などに着目して、近代的立憲国家の成立と国際関係の推移を理解させる。
  ウ  近代産業の発展と国民の生活
  資本主義の発展と社会問題の発生、地域社会の生活と文化などに着目して、産業革命の進行による近代産業の発展と国民生活の変化を理解させる。
  エ  政党政治と学問や文化の進展
  政党の役割と社会的な基盤、時代の変化と近代文化の形成などに着目して、明治中期から昭和初期までの政党政治の推移と学問や文化の進展を理解させる。
  オ  両大戦をめぐる国際情勢と日本
  諸国家間の対立や協調関係と日本の立場、国内の経済・社会の動揺、アジア近隣諸国との関係などに着目して、二つの世界大戦とその間の内外情勢の変動を理解させる。

(5)  現代の世界と日本
  第二次世界大戦後の民主化と復興、国際社会への復帰、経済の発展と現代の日本について、世界の動向と関連付けて理解させるとともに、我が国の課題と役割について認識させる。
  ア  戦後の諸改革と国民生活の変化
  占領政策と諸改革、新憲法の成立、平和条約と独立、生活意識や価値観の変化などに着目して、我が国の再出発と国民生活の変化を理解させる。
  イ  国際社会の動向と経済の発展
  東西関係の推移や我が国の国際社会への復帰、技術革新と経済の高度成長などに着目して、第二次世界大戦後の国際社会の動向と日本経済の復興、発展を理解させる。
  ウ  現代の世界と日本
  経済や文化の国際的交流、科学技術の発展と世界の平和などに着目して、現代世界の動向と日本の課題及び役割を理解させる。

3  内容の取扱い
(1)  内容の全体にわたって、次の事項に配慮するものとする。
ア  我が国の歴史の展開を、諸外国との政治的な関係や経済・文化の接触・交流などと関連付け、世界の中の日本という視点から理解させること。
イ  科目の目標に即して基本的な事項・事柄を精選して指導内容を構成するものとし、細かな事象や高度な事項・事柄には深入りしないこと。

(2)  近・現代史の指導に当たっては、客観的かつ公正な資料に基づいて、事実の正確な理解に導くようにする。その際、核兵器の脅威に着目させ、戦争を防止し、民主的で平和な国際社会を実現することが重要な課題であることを認識させること。

(3)  我が国の歴史の展開を、時代ごとに区切らずに考察することを通して、学習の深化と歴史的思考力の育成を図るため、次のアからオまでのうち二つ程度を選択して学習させるものとする。
  ア  法制の変化と社会
  日本における各時代の法制の特色とその変化を理解させるとともに、それらが社会的な背景とどのように関連していたかを考察させる。
  イ  産業・生活技術と交通の発達
  産業や生活の中の技術及び交通機関の発達などが、とのように生産の拡大、生活の変化、人、物、情報の移動をもたらしたかを考察させる。
  ウ  教育の普及と文化の進展
  教育の普及とそれを取り巻く各時代の文化が、社会の発展や人々の生活にどのような影響を及ぼしたかを考察させる。
  エ  日本人の生活と信仰
  日本人の衣食住を中心とした生活様式の変化及び精神生活の推移について、時代的背景や地域とも関連付けて考察させる。
  オ  地域社会の形成と発展
  地域社会がどのように形成され発展してきたかについて、政治的・経済的な条件、時代的背景や国際的な動きとも関連付けて考察させる。

第4  日本史B
1  目標
  我が国の歴史の展開を、世界史的視野に立って総合的に理解させ、我が国の文化と伝統の特色についての認識を深めさせることによって、歴史的思考力を培い、国民としての自覚と国際社会に生きる日本人としての資質を養う。

2  内容
(1)  日本文化の黎明
  旧石器文化、縄文文化及び弥生文化の時代の日本列島における人類の生活の発展について理解させる。
  ア  日本列島における人類文化の発生
  人類の生活と自然環境との関連や原始信仰などに着目して、旧石器文化及び縄文文化の時代の日本を理解させる。
  イ  農耕の開始と社会生活の変化
  大陸文化の影響を受けて農耕や金属器の使用が開始されたことなどに着目して、弥生文化の時代の社会生活の変化を理解させる。

(2)  古代国家と古代文化の形成
  大和朝廷による統一、律令に基づく古代国家の成立と推移及び文化の形成について、東アジア世界の動きとも関連付けて理解させる。
  ア  国家の形成と大陸文化の摂取
  古墳文化の特色や大陸文化の摂取と日本に渡来した人々の果たした役割などに着目して、日本における国家の形成過程を理解させる。
  イ  律令体制の推移と古代文化の形成
  隋・唐への使節の派遣、律令の制定、天平文化の特色などに着目して、律令に基づく国家体制の推移を理解させる。
  ウ  文化の国風化と地方の動向
  大陸との関係の変化、政治の動き、荘園や公領の変遷、武士の台頭などに着目して、国風文化の成立と律令体制の動揺に伴う地方の動向を理解させる。

(3)  中世社会の成立と文化の展開
  鎌倉幕府の成立から戦国大名の時代に至る武家社会の進展と文化の展開について、社会の動向と関連付けて理解させる。
  ア  武家政権の成立と文化の新気運
  武士の土地支配や生活、鎌倉新仏教とその背景、宋・元との関係などに着目して、武家政権の形成過程と文化に見られる新しい気運を理解させる。
  イ  武家政権の展開と国際関係
  公武関係の推移、日明貿易の拡大、武家文化の形成と公家文化、中国文化とのかかわりなどに着目して、武家社会の進展とアジア世界との交流を理解させる。
  ウ  社会・経済の変容と庶民文化の萌芽
  産業の発展、農民や商工業者の動向、戦国大名の支配、文化の地方への普及などに着目して、都市及び農村の発達や下克上の社会と庶民文化の萌芽を理解させる。

(4)  幕藩体制の推移と文化の動向
  織豊政権及び幕藩体制の特色と推移、文化の動向について、国際関係の変化とその社会や文化への影響にも触れながら理解させる
  ア  ヨーロッパ文化との接触と織豊政権
  国内の政治・社会の動きと対外関係、桃山文化の特色などに着目して、ヨーロッパ文化との接触とその影響、織豊政権の統一事業を理解させる。
  イ  幕藩体制の形成と鎖国
  幕府及び藩の支配体制や身分制度、儒学の役割、対外関係の推移などに着目して、幕藩体制社会の特質と鎖国政策を理解させる。
  ウ  産業経済の発展と都市や農村の文化
  幕藩体制の下での経済機構や交通・技術の発展、都市の繁栄などに着目して、農業や商工業の発展及び町人文化の形成、農山漁村の生活文化を理解させる。
  エ  国際環境の変化と幕藩体制の動揺
  欧米諸国のアジアへの進出、学問・思想の新たな展開と近代化の基盤の形成な  どに着目して、幕藩体制の動揺と崩壊の過程を理解させる。

(5)  近代日本の形成とアジア
  開国、幕府の滅亡と新政府の成立から明治時代の近代日本の歩みについて、アジアにおける国際環境と関連付けて理解させる。
  ア  欧米文化の導入と明治維新
  開国とその影響、明治政府による諸制度の改革、文明開化と殖産興業、明治初期の外交などに着目して、欧米文化の影響と近代化の推進を理解させる。
  イ  立憲体制の成立と政治思想
  自由民権運動の展開、憲法の制定と議会政治の開始、欧米の思想と日本の伝統的思想との関連などに着目して、立憲体制の成立とそれをめぐる政治思想を理解させる。
  ウ  国際関係の推移と近代産業の発展
  条約改正、日清・日露戦争とその前後の国際環境、資本主義の発展と社会問題の発生などに着目して、アジア及び欧米諸国との関係の推移と近代産業の発展を理解させる。
  エ  近代文化の発展と都市や農村の生活
  学問、科学技術、芸術の発展や教育制度の拡充、地域社会の生活と文化などに着目して、近代の文化の特色と国民生活の変化を理解させる。

(6)  両世界大戦と日本
  第一次世界大戦から第二次世界大戦に至る20世紀前半の我が国の歴史について、世界情勢と国内の動きを関連付けて理解させる。
  ア  第一次世界大戦と日本の経済
  対外政策の推移、第一次世界大戦の国内の経済・社会に及ぼした影響などに着目して、国際社会と日本のかかわりを理解させる。
  イ  政党政治の発展と大衆文化の形成
  政党の成長とその基盤、社会運動の活発化、大衆社会の成立と生活文化などに着目して、政治の動向及び文化の特色を理解させる。
  ウ  第二次世界大戦と日本
  国際間の対立、国内政治と経済の動揺、戦時体制の強化、アジア近隣諸国との関係などに着目して、第二次世界大戦と日本のかかわりを理解させる。

(7)  現代の世界と日本
  第二次世界大戦の終結から今日に至る20世紀後半の我が国の歴史について、世界の動向と関連付けて理解させるとともに、広い視野から日本の文化や課題について認識させる。
  ア  戦後の諸改革と国民生活の変化
  占領政策と諸改革、新憲法の成立、平和条約と独立、生活意識や価値観の変化などに着目して、我が国の再出発と国民生活の変化を理解させる。
  イ  国際社会の動向と経済の発展
  東西関係の推移や我が国の国際社会への復帰、技術革新と経済の高度成長などに着目して、第二次世界大戦後の国際社会の動向と日本経済の復興、発展を理解させる。
  ウ  現代の世界と日本
  国際理解の推進と日本文化の特色、世界の中の日本の立場などに着目して、現代世界の動向と日本の課題及び役割を理解させる。

(8)  地域社会の歴史と文化
  地域社会の歴史と文化についてその地域の自然条件や政治的、経済的諸条件と関連付けて総合的に理解させる。

3  内容の取扱い
(1)  内容の全体にわたって、次の事項に配慮するものとする。
ア  我が国の歴史と文化を、各時代の国際環境との監査にも留意し、世界の中の日本という視点から理解させること。
イ  科目の目標に即して基本的な事項・事柄を精選して指導内容を構成するものとし、細かな事象や高度な事項・事柄には深入りしないこと。
ウ  文化に関する指導に当たっては、各時代の文化とそれを生み出した時代的背景との関連、外来の文化などとの接触や交流による文化の変容や発展の過程などに着目させ、我が国の文化と伝統の特色とそれを形成した様々な要因を総合的に考察させるようにすること。また、生活文化については、時代の特色や地域社会の有様などと関連付けるとともに、民俗学などの成果に基づきその具体的な様相を把握させること。

(2)  近・現代史の指導に当たっては、客観的かつ公正な資料に基づいて、事実の正確な理解に導くようにする。その際、核兵器の脅威に着目させ、戦争を防止し、民主的で平和な国際社会を実現することが重要な課題であることを認識させること。

(3)  内容の(8)の取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア  地域の範囲は、学校所在地を中心とする日常の生活圏、都道府県、それらを包含する地方など、学習指導上の観点に立って適宜設定すること。
イ  学習指導上の観点や地域の特性に応じて、まとまった時間を設定して実施したり、内容の(1)から(7)までの学習に関連させて適宜実施したりするなど、効果的な方法をとること。
ウ  地域の史跡や諸資料の調査・見学などを取り入れるとともに、遺物、伝承などの文化遺産を取り上げ、祖先が地域社会の向上と文化の創造や発展に努力したことを具体的に理解させ、それらを尊重する態度を育てるようにすること。

(4)  生徒の歴史的思考力を深めさせるため、次の事項に留意しながら、適切な主題を設けて行う学習を実施するよう配慮するものとする。
ア  主題の設定に当たっては、例えば次のような観点が考えられること。
(ア)  我が国の文化と伝統の特色について、自然条件や時代的背景、国際環境などと関連させて総合的に学習できること。
(イ)  歴史上の人物について、その果たした役割や生き方などを時代的背景や地域の特性との関連において学習できること。
(ウ)  我が国の歴史の展開にみられる各地域の特性と時代的変化について、政治的、経済的条件などとの関連において学習できること。
(エ)  衣食住、年中行事、冠婚葬祭、生産用具などの生活文化について、時代や地域の特性との関連において学習できること。
イ  主題の選択に当たっては、できるだけ観点の異なるものを取り上げ、また、特定の時代や地域に偏らないこと。

第5  地理A
1  目標
  世界の人々の生活・文化に関する地域的特色と共通の課題を理解させ、世界を大小様々な地域的まとまりから考察させることによって、地理的な見方や考え方を培い、国際社会に生きる日本人としての自覚と資質を養う。

2  内容
(1)  現代世界と地域
  現代世界の特色を地図の活用や地域調査を通して理解させ、現代世界を地理的にとらえる方法について考察させる。
  ア  地球儀、世界地図で読む現代世界
  交通・通信の発達による世界諸地域の位置、距離関係の変化及び国境を越える交流の進展、国家間の結合、領土問題などに関する現代世界の特色と動向を、地球儀や多様な地図を活用して理解させる。
  イ  地図の機能と活用
  情報の地図化や読図などの活動を通して地図に親しませるとともに、地図上の位置、距離関係を踏まえて社会的諸事象をとらえることが効果的であることを理解させる。
  ウ  地域の変容と現代世界
  地域調査などを通して国際化の進展の影響が身近な地域にも及んでいることを理解させる。

(2)  世界の人々の生活・文化と交流
  自然環境及び社会環境の多様性を背景に、世界の諸民族の生活の特色を理解させ、異なる地域に生きる人々が交流を深める際の課題などについて考察させる。

  ア  自然環境と人間生活
  自然環境の地域的特色を理解させ、世界の人々の生活・文化が各地域の自然環境と深くかかわっていることに着目させ、自然と人間との関係の変容について考察させる。
  イ  諸民族の生活・文化と地域性
  世界の諸民族の生活・文化を地域の自然環境及び社会環境と関連付けて理解させ、地域によって異なる人々の生活・文化を理解することの意義について考察させる。
  ウ  諸地域の人々の交流と日本の課題
  自然環境及び社会環境の多様性を背景にして、諸地域の人々の交流の現状と課題を具体的に理解させ、日本人が世界の諸地域の人々と交流する際の課題などについて考察させる。

(3)  現代世界の課題と国際協力
  地球的課題のうち、特に地域性を踏まえて把握させることが大切な課題を地球的及び地域的な視野から理解させ、それらの課題の解決に当たっては各国の取組とともに国際協力が必要であることを考察させる。
  ア  地球的課題の出現とその要因
  環境、資源・エネルギー、人口、食料及び居住・都市問題などの動向に着目させ、現代世界は地球的課題を多く抱えていることを理解させ、それらの諸課題を出現させた要因について考察させる。
  イ  諸地域からみた地球的課題
  地球的課題は諸地域共通の課題であるとともに各地域によって現れ方が異なっていることを理解させ、地球的課題を地域的な視野から把握することの意義やそれに対する各国の取組について考察させる。
  ウ  地球的課題への国際協力と日本
  地球的課題の解決には、各国の取組のみならず、国際協力が必要であることを理解させ、日本の地球的課題への取組や国際協力において果たしている日本の役割などについて考察させる。

3  内容の取扱い
(1)  科目の目標に即して基本的な事項・事柄を精選して指導内容を構成するものとし、細かな事象や高度な事項・事柄には深入りしないよう配慮するものとする。

(2)  内容の取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア  内容の(1)のアについては、特に国際化の進展という観点から、現代世界の特色と動向を大観させるよう工夫すること。イについては、作図は簡単なものにとどめ、図法には深入りしないこと。また、作業的な学習を取り入れ、そのための時間を適切に設けること。ウについては、指導計画の中に野外調査の時間を設けて、積極的に実施すること。
イ  内容の(2)のア、ウ及び(3)のイ、ウにおいては、二つ又は三つの事例を適切に選んで取り上げ、重点的で具体的な学習ができるようにすること。なお、事例として取り上げる地域については、各項目間で調整し、全体として一部の地域に偏ることのないよう工夫すること。
ウ  内容の(2)のアについては、自然環境の地域的特色を大観させるにとどめ、自然環境の影響は過大又は過小に評価しないよう扱うこと。イについては、世界の諸民族のうちから三つ程度の民族を適切に選んで取り上げ、それらの民族の生活様式を生徒の身近な生活様式とも比較しながら扱うよう工夫すること。ウについては、海外生活や海外旅行の体験者や外国人の協力を得たり、それらの人々の体験などをまとめた書物を活用したりして、体験的な学習などについても工夫すること。
エ  内容の(3)のアについては、地球的課題の出現の要因を多面的に扱うように工夫すること。イについては、指導の観点や生徒の興味・関心に留意し、適切な課題を精選して取り上げること。ウについては、地球的課題を自らの課題としても受け止めさせ、主体的な取組を促すよう工夫すること。

第6  地理B
1  目標
  世界の人々の生活・文化に関する地域的特色とその動向を、自然環境及び社会環境と関連付けて理解させ、世界と日本を比較し多面的に考察させることによって、地理的な見方や考え方を培い、国際社会に生きる日本人としての自覚と資質を養う。

2  内容
(1)  現代と地域
  現代世界の特色を地図的な観点から理解させ、地図の活用や地域の調査などを通して世界や日本の諸地域を把握する方法について考察させる。
  ア  交通・通信の発達と世界の結合
交通・通信の発達が人々の地理的視野を拡大し地域間の交流を一層密接にしてい  ることを理解させ、国際社会の形成に大きな役割を果たしていることについて考察させる。
  イ  現代世界の国家と国家群
  現代世界の地域構成を理解させ、現代世界の国家、国家間の結合、領土問題などの動向ついて考察させる。
  ウ  球面上の世界と地図
  地球表面上の方位、位置関係は、日常生活におけるそれとは大きく異なることに着目させ、世界諸地域の地球表面上の方位、位置、距離関係や時差及び世界地図の利用上の問題などについて理解させる。
  エ  地理情報と地図
  地域に関する情報を適切に選択、処理し、地図化するなどの活動を通して、地域の特色を資料に基づいて把握する方法を考察させるとともに、日常生活において活用できる地図・画像も目的に応じて作成されていることを理解させる。
  オ  地域の調査と研究
  地域調査などを通して、特に地域の変容の様子に着目させて、国際化の進展の影響が身近な地域にも及んでいることを理解させるとともに、世界の国々に関する資料を活用した文献調査を通してその特色を理解させ、世界や日本の諸地域を調査・研究する方法について考察させる。

(2)  人間と環境
  成果の人種・民族及び人間の生活・文化の特色を国家とも関連付けて理解させるとともに、人間を取り巻く環境の多様性についても理解させ、人間と自然との関係や環境問題について考察させる。
  ア  人種・民族と国家
  世界に居住する人種・民族の地域的特色を理解させ、人種・民族と国家との関係などについて考察させる。
  イ  世界の人口問題
  世界の人口の分布や動態を地球的視野から理解させるとともに、人口問題の現れ方は地域によって異なっていることを理解させ、その解決への取組について考察させる。
  ウ  自然環境の地域性
  世界の自然環境の地域的特色を、自然を構成する諸要素を相互に関連付けて、総合的に理解させる。
  エ  人間生活と環境
  生活様式や生産様式、集落の立地など人間の諸活動を自然環境及び社会環境と関連付けて理解させ、人間と自然との関係の変容について考察させる。
  オ  世界の環境問題
  世界の環境問題の動向を地球的視野から理解させるとともに、環境問題の現れ方は地域によって異なっていることを理解させ、その解決への取組について考察させる。

(3)  生活と産業
  世界の人々の生活の地域的特色とその動向を産業や居住の問題と関連付けて理解させ、交通・通信、流通などの産業の動向が人々の行動や地域の産業、文化などに及ぼす影響について考察させる。
  ア  産業の立地と地域の変容
  農業、工業など産業活動の地域的特色をその立地と形成の諸条件と関連付けて理解させ、産業の立地と地域の変容の関係について考察させる。
  イ  産業の国際化、情報化と地域分化
  諸地域の産業活動の現状と動向を国際化、情報化の進展と関連付けて理解させ、これらの社会の変化が諸地域の産業活動に及ぼす影響について考察させる。
  ウ  都市、村落の機能と生活
  都市、村落の機能や結び付きなどの地域的特色と動向を人々の生活と関連付けて理解させる。
  エ  産業、人口の都市集中と都市問題
  産業や人口の都市集中の地域的特色を理解させ、それらが地域の産業や生活・文化に及ぼす影響や快適な環境づくりを目指す諸活動について考察させる。
  オ  行動空間の拡大と生活意識の変化
  世界の人々の消費や余暇に関する行動の地域的特色とその動向を地理的諸条件と関連付けて理解させ、消費や余暇の行動圏の拡大が諸地域の産業や開発に及ぼす影響について考察させる。

(4)  世界と日本
  地域の特色を総合的に把握する方法を考察させるとともに、日本の全体的な特色を理解させ、国際社会における日本の立場と役割について考察させる。
  ア  世界の地域区分と地域
  自然や文化などの多様性に着目させて世界を幾つかの地域に区分する方法を理解させるとともに、世界の地域の特色を総合的に把握する方法について考察させる。
  イ  日本の地域性とその変容
  日本の国土の特色とその変容を、位置や領域などの諸要素を関連付けて、総合的に理解させる。
  ウ  国際化の進展と日本
  現代世界における日本の立場と役割を地理的な観点から総合的に考察させるとともに、国際社会に生きる日本人としての態度について考察させる。

3  内容の取扱い
(1)  内容の全体にわたって、次の事項に配慮するものとする。
ア  科目の目標に即して基本的な事項・事柄を精選して指導内容を構成するものとし、細かな事象や高度な事項・事柄には深入りしないこと。
イ  指導内容の構成に当たっては、特定の項目に偏らないこと。
ウ  各項目の中にできるだけ日本を含めて扱うとともに、日本と比較関連させて考察させること。

(2)  内容の取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア  内容の(1)のア及びイについては、事例を通して具体的に扱い、現代世界の特色と動向を大観させるよう工夫すること。ウ及びエについては、取り上げる地図・画像を精選し、高度な図法には深入りしないこと。また、作業的な学習を取り入れ、そのための時間を適切に設けること。オについては、指導計画の中に野外調査と文献調査の時間を設けて、積極的に実施すること。なお、世界の国々に関する文献調査については、適切な国を一つ選んで扱うこと。
イ  内容の(2)のイからオまで及び(3)の各項目においては、世界の諸地域のうちから二つ又は三つの地域を適切に選んで取り上げ、具体例を通して学習できるようにすること。また、系統地理的な方法と地誌的な方法との相互補完の関係に留意し、取り上げた地域については多面的に扱うよう努めること。なお、取り上げる地域については、各項目間で調整し、全体として一部の地域に偏ることのないよう工夫すること。
ウ  内容の(2)のアについては、世界の諸民族のうちから三つ程度の民族を適切に選んで取り上げ、それらの民族の生活様式を生徒の身近な生活様式とも比較しながら具体的に把握させること。イ及びオについては、地球的及び地域的な視野からとらえ、理科的、政治・経済的な内容には深入りしないこと。ウについては、自然環境の地域的特色を大観させるにとどめること。エについては、自然環境の影響を過大又は過小に評価することのないよう扱うこと。
エ 内容の(3)のア及びイについては、農牧・林・水産業や鉱・工業などの産業別に網羅した扱いは避けること。なお、これらの項目の指導内容が他の項目の指導内容に比べて増大することのないよう特に留意し、精選すること。ウについては、集落の発生論や形態論・機能論には深入りしないこと。エについては、特に現代世界の動向に留意して扱い、政治・経済的な内容には深入りしないこと。オについては、我が国の国民生活の動向にも留意して扱うこと。
オ 内容の(4)のアについては、世界の諸地域を網羅的に取り上げることはせず、三つ程度の地域を選んで取り上げること。なお、この項目の指導内容が他の項目に比べて増大することのないよう特に留意し、ここではアジア、アフリカといった州、大陸以上の大きな地域は取り上げず、また、地域を構成する諸要素を有機的に関連付けて把握させることのできる地域を適切に選んで取り上げること。イについては、世界を構成する一つの地域として扱い、日本の諸地域を扱ったり、諸要素を網羅的に扱ったりはしないよう特に留意すること。ウについては、現代世界の地理的認識を基にして、日本の立場と役割を具体的、多面的に扱うよう工夫すること。


第3款  各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1  指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)  地理歴史科の目標を達成するため、教科全体として調和のとれた指導が行われるよう、適切に留意すること。
(2)  中学校社会科及び公民科との関連並びに地理歴史科に属する科目相互の関連に留意すること。

2  指導の全般を通じて、情報を主体的に活用する学習活動を重視するとともに、作業的、体験的な学習を取り入れるよう配慮するものとする。そのため、地図や年表を読みかつ作成すること、各種の統計、年鑑、白書、新聞、読み物その他の資料に親しみ、活用すること、観察、見学及び調査・研究したことを発表したり報告書にまとめたりすることなど様々な学習活動を取り入れるとともに、教育機器などの有効な利用を工夫して学習効果を上げるようにする必要がある。

第3節  公民

第1款  目標
  広い視野に立って、現代の社会について理解を深めさせるとともに、人間としての在り方生き方についての自覚を育て、民主的、平和的な国家・社会の有為な形成者として必要な公民としての資質を養う。


第2款  各科目

第1  現代社会
1  目標
  人間の尊重と科学的な探究の精神に基づいて、広い視野に立って、現代の社会と人間についての理解を深めさせ、現代社会の基本的な問題に対する判断力の基礎を培うとともに自ら人間としての在り方生き方について考える力を養い、良識ある公民として必要な能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  現代社会における人間と文化
  現代世界における文化の多様性・複合性に着目させるとともに日本の生活文化と伝統について理解させ、異なった文化への理解を深めさせる。また、現代社会の特質とそこに生きる人間について理解させるとともに、現代における青年期の課題について自覚を深めさせる。
  ア  風土と生活
  様々な民族から成る世界には、それぞれの風土や宗教などに根ざした多様な文化が存在し、その中で人間生活が営まれていることを理解させるとともに、文化交流について考えさせ、文化の共通性にも気付かせる。
  イ  日本の生活文化と伝統
  日本の生活文化と伝統を理解させ、それらが行動の基盤になっていることを考えさせることにより自己理解を深めさせるとともに、人生における宗教や芸術の意義について考えさせる。
  ウ  現代社会の特質と青年期の課題
  大衆社会、高齢化社会、情報化社会など現代社会の特質を理解させ、それとの関連で学ぶことの意義及び青年期における自己形成の課題について認識を深めさせ、進路の選択と併せてよく生きることと生きがいの追求について自覚を深めさせる。

(2)  環境と人間生活
  環境と人間生活とのかかわりについて理解させるとともに、環境にどうかかわて生きるかについて考えさせる。
  ア  環境と生活
  科学技術の発達、資源・エネルギーの需給、都市化の進展及び人口の動きなどを理解させ、環境と生活とのかかわりについて考えさせる。
  イ  環境保全と倫理
  人間が生態系の中で生存していることに着目させて公害の防止など環境保全の重要性を理解させ、自然と人間の調和の在り方について考えさせるとともに、科学的なものの考え方と哲学的なものの考え方について理解させ、諸問題への対処の仕方について考えさせる。

(3)  現代の政治・経済と人間
  国民の生活が経済や政治と密接にかかわっていることを理解させるとともに、国民生活の向上と民主化の進展について考えさせ、民主社会の倫理について自覚を深めさせる。
  ア  地域社会の変化と住民の生活
  地域社会の変化に着目させ、地方自治と住民福祉について理解させ、住民の生活と政治・経済の動きとのかかわりについて考えさせるとともに、地域社会の一員としての自覚を深めさせる。
  イ  国民福祉と政府の経済活動
  現代の市場と企業、技術革新などと情報化や国際化の進展について理解させ、我が国の経済社会の変化について考えさせる。また、国民所得の動き、産業構造の変化、雇用問題と労働関係、消費者保護と契約、社会保障の充実、社会資本の整備などについての理解を深めさせるとともに、公的部門の役割と租税の意義について考えさせ、国民生活の向上と福祉の増大に対する認識を深めさせる。
  ウ  日本国憲法と民主政治
  基本的人件の保障と法の支配、国民主権と議会制民主主義、平和主義と我が国の安全についての理解を深めさせ、日本国憲法の基本的原則について国民生活とのかかわりから認識を深めさせる。また、世界の主な政治体制の動向に触れながら、世論形成と政治参加の意義について理解させるとともに、民主政治における個人と国家について考えさせる。
  エ  民主社会の倫理
  生命の尊重、自由・権利と責任・義務、人間の尊厳と平等などについて考えさせ、民主社会において自ら生きる倫理について自覚を深めさせる。

(4)  国際社会と人類の課題
  国際的な相互依存関係の緊密化に伴う国際社会の変化及び日本経済の国際化について理解させ、国際秩序の形成・維持と平和の実現及び生活の向上と福祉の増大が人類の課題であることを把握させるとともに、これからの国際社会における日本の役割及び日本人の生き方について考えさせる。
  ア  国際政治の変化
  国家主権と国際法、国際連合と集団安全保障、国際社会の多極化と国際的相互依存関係の深化など国際社会の特質と動向について理解させるとともに、我が国の安全保障と防衛について考えさせる。
  イ  国際経済の動向と国際協力
  経済における世界的な相互依存関係の緊密化、南北問題などの世界的な課題、日本経済の国際的なかかわりなどについて理解させ、世界の経済体制の動向に触れながら、国際協力の意義について考えさせる。
  ウ  人類の課題
  人権、領土などに関する国際法、地域紛争と国際秩序の形成・維持、人種・民族問題、核兵器と軍縮問題など国際平和を推進する上での課題について理解させ、これからの国際社会における人類の連帯の意識を認識させ、国際社会における日本の役割及び日本人の生き方について考えさせる。

3  内容の取扱い
(1)  内容の全体にわたって、次の事項に配慮するものとする。
ア  中学校社会科及び道徳並びに公民科に属する他の科目、地理歴史科、家庭科及び特別活動などとの関連を図るとともに、項目相互の関連に留意しながら、全体としてのまとまりを工夫し、特定の事項だけに偏らないようにすること。
イ  社会的事象は相互に関連し合っていることに留意し、できるだけ相互的な視点から理解させ考えさせるとともに、生徒が主体的に自己の生き方にかかわって考えるよう学習指導の展開を工夫すること。
ウ  科目の目標に即して基本的な事項・事柄を精選して指導内容を構成するものとし、細かな事象や高度な事項・事柄には深入りしないこと。
エ  的確な資料に基づいて、社会的事象に対する客観的かつ公正なものの見方や考え方を育成するとともに、学び方の習得を図ること。その際、統計などの資料の見方やその意味、情報の検索や処理の仕方、簡単な社会調査の方法などについて、具体的、実際的に指導するように留意すること。
オ  政治及び宗教に関する事項の取扱いについては、教育基本法第8条及び第9条の規定に基づき、適切に行うこと。

(2)  内容の取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア  内容の(1)については、次の事項に留意するものとする。
(ア)  「青年期における自己形成の課題」については、青年期の心理的、社会的な問題、適応と個性の形成などについて理解させるとともに、生涯にわたる学習の意義について考えさせるようにすること。
(イ)  「進路の選択」については、自己の人生と職業生活及び余暇について考えさせるよう工夫すること。
イ  内容の(2)については、自然環境とともに社会環境も取り上げ、人間生活とのかかわりについて考えさせること。
ウ  内容の(3)については、民主政治の展開と経済発展とのかかわりにも気付かせるようにすること。
エ  内容の(4)については、単なる制度や機構に関する細かな事柄の学習に終わらないようにするとともに、国際政治と経済とのかかわりに関心をもたせるようにすること。

第2  倫理
1  目標
  人間尊重の精神に基づいて、青年期における自己形成と人間としての在り方生き方について理解と思索を深めさせるとともに、人格の形成に努める実戦的意欲を高め、良識ある公民として必要な能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  青年期と人間としての在り方生き方
  生涯において青年期がもつ意義を理解させるとともに、先哲の基本的な考え方を手掛かりとして、人間の存在や価値について思索を深めさせる。
  ア  青年期の課題と自己形成
  人間性の特質、適応と個性の形成など生涯において青年期がもつ意義と課題を理解させ、現代社会における青年の生き方について考えさせる。
  イ  人間としての自覚
  自己探求と倫理的自覚、人生における哲学、宗教、芸術のもつ意義などについて理解させ、人間としての在り方生き方を考えさせる。

(2)  現代社会と倫理
  現代社会の特質について理解させ、現代に生きる人間の倫理的な課題について思索を深めさせる。
  ア  現代社会の特質と人間
  現代の人間像に触れながら、核家族化、高齢化、情報化、国際化などの現代社会の特質への理解を深め、人間と社会のかかわりを考えさせる。
  イ  現代社会を生きる倫理
  人間の尊厳と生命への畏敬、自然や科学技術と人間のかかわり、社会参加と奉仕、自己実現と幸福などについての理解を深め、民主社会を形成する人間としての在り方生き方を考えさせる。

(3)  国際化と日本人としての自覚
  日本の思想や文化の特色について理解させ、国際社会における主体性のある日本人としての在り方生き方について思索を深めさせる。
  ア  日本の風土と日本人の考え方
  日本人にみられる人間観、自然観、宗教観を日本の風土とのかかわりで考えさせる。
  イ  外来思想の受容と日本の伝統
  仏教、儒教、西洋の思想や文化など受容と独自な思想の形成にみられる日本の伝統について考えさせる。
  ウ  世界の中の日本人
  人類の福祉と国際平和の確立、地球と人類社会などについて理解させ、国際社会における日本人としての在り方生き方を考えさせる。

3  内容の取扱い
(1)  内容の全体にわたって、次の事項に配慮するものとする。
ア  中学校社会科及び道徳並びに公民科に属する他の科目、地理歴史科及び特別活動などとの関連を図るとともに、全体としてのまとまりを工夫し、特定の事項だけに偏らないようにすること。
イ  先哲の基本的な考え方を取り上げるに当たっては、内容と関連が深く生徒の発達や学習段階に適した代表的な先哲やその言説を精選し、細かな事象や高度な事項・事柄には深入りしないこと。また、生徒自らが人生観、世界観を確立するための手掛かりを得させるよう様々な工夫を行うこと。
ウ  政治及び宗教に関する事項の取扱いについては、教育基本法第8条及び第9条の規定に基づき、適切に行うこと。

(2)  内容の取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア  内容の(1)については、この科目全体の導入部分としての性格をもつものであることに留意し、以後の学習への意欲を喚起すること。
イ  内容の(1)のイについては、ギリシアの思想、キリスト教、仏教、儒教などの基本的な考え方を代表する先哲の思想を取り上げる程度とすること。
ウ  内容の(2)については、美術作品などを引用して現代の人間像を紹介するなど工夫し、併せて現代社会を生きるための倫理に関する代表的な先哲の思想を手掛かりに学習すること。
エ  内容の(3)については、古来の日本人の考え方や代表的な日本の先哲の思想を手掛かりに学習すること。

第3  政治・経済
1  目標
  広い視野に立って、民主主義の本質に関する理解を深めさせ、現代における政治、経済、国際関係などについて客観的に理解させるとともにそれらに関する諸課題について考察させ、良識ある公民として必要な能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  現代の世界と日本
  世界の情勢を概観して、国際関係を動かす基礎となる事柄や国際社会における日本の地位と役割について理解させるとともに、現代の世界と日本にかかわる基本的な課題について総合的に考察させる。
  ア  国際社会の変容と日本
  第二次世界大戦を契機とする国際社会の変容、地理的、文化的諸条件を含む国際環境とのかかわりでみた日本の近代化の特質について理解させるとともに、世界の情勢や日本の国際的地位の変化について考察させる。
  イ  国際社会の動向と課題
  科学技術の発達に伴う政治・経済・文化にわたる国際交流の拡大と相互依存関係の進化の状況、発展途上国の現状と動向、先進国と発展途上国との関係などについて理解させるとともに、環境、資源、人口など人類全体にかかわる基本的な課題について考察せる。

(2)  現代の政治と民主社会
  基本的人権と議会制民主主義を尊重し擁護することの意義や民主政治の本質について深く理解させるとともに、政治の在り方について広い視野から考察させる。
  ア  民主政治の基本原理
  政治社会の特質、国民の参政の意義、人権保障の発達、法の支配の原則、権利と義務の関係などについて理解させるとともに、議会制民主主義の本質と望ましい政治の在り方について世界の主な政治体制を比較しつつ考察させる。
  イ  日本国憲法と民主政治
  日本国憲法の基本的性格、基本的人権の保障及び国会、内閣、裁判所、地方自治などの機構と機能について理解させるとともに、政党政治と選挙、行政機能の拡大と民主化、世論と現代政治の課題などについて考察させる。
  ウ  国際政治と日本
  国際政治の特質と動向、人権、領土などに関する国際法の意義と役割、国際連合と国際協力、我が国の防衛を含む安全保障の問題、国際平和と人類の福祉に寄与する日本の地位と役割について理解させるとともに、軍縮問題、人種・民族問題など国際政治の諸課題について考察させる。

(3)  現代の経済と国民生活
  経済生活の急激な変化と発展、日本経済の国際化、現代経済の機能と特質及びその問題点について理解させるとともに、日本及び世界経済の抱える諸課題について考察させる。
  ア  経済社会の変容と経済体制
  19世紀の自由主義経済から経済政策の役割が大きくなった現代に至る資本主義経済の発展と変容、国民経済における家計、企業の働きと政府の役割、社会主義経済とその現状について理解させるとともに、現代経済の基本的性格について考察させる。
  イ  現代経済の仕組み
  市場経済の仕組み、資金の循環と金融機関の働き、財政の仕組みと租税の意義・役割、経済成長政策と景気変動対策について理解させるとともに、それらの現状と課題について考察させる。
  ウ  現代経済と福祉の向上
  産業構造及び人口構成並びに労働条件の変化、経済の発展と福祉の向上との関連について理解させるとともに、食料と農業、資源・エネルギー、環境保全と公害防止、物価、消費者保護、中小企業問題、労使関係と労働市場、社会保障と社会福祉など、経済生活に関する諸課題について考察させる。
  エ  国民経済と国際経済
  貿易と国際収支の現状や為替相場の仕組み、国際協調の必要性や国際経済機関の役割、経済協力の動向について理解させるとともに、経済摩擦問題や国際経済における日本の役割について考察させる。

3  内容の取扱い
(1)  内容の全体にわたって、次の事項に配慮するものとする。
ア  中学校社会科、公民科に属する他の科目、地理歴史科及び家庭科などとの関連を図るとともに、全体としてのまとまりを工夫し、特定の事項だけに偏らないようにすること。
イ  科目の目標に即して基本的な事項・事柄を精選して指導内容を構成するものとし、細かな事象や高度な事項・事柄には深入りしないこと。また、客観的な資料と関連させて具体的に理解させるとともに、政治や経済についての公正かつ客観的な見方や考え方を深めさせること。
ウ  現在の状況と課題を理解させる指導に当たっては、現在の我が国で実現されている法的、制度的な面についての基本的な理解の上に立って、理論と現実の相互関連を理解させること。
エ  内容と関連のある現代の諸問題や時事的事象の取扱いについては、教育基本法第8条の規定に基づき、適切に行うこと。

(2)  内容の取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア  内容の(1)については、この科目全体の導入部分としての性格をもつものであることに留意し、基本的な事柄の理解と考察を通じて以後の学習の手掛かりを得させるようにすること。
イ  内容の(2)については、主権者としての政治に対する関心を高め、主体的な参政の在り方について理解させること。


第3款  各科目にわたる内容の取扱い
  指導の全般を通じて、情報を主体的に活用する学習活動を重視するとともに、作業的、体験的な学習を取り入れるよう配慮するものとする。そのため、各種の統計、年鑑、白書、新聞、読み物、その他の資料に親しみ、活用すること、観察、見学及び調査・研究したことを発表したり報告書にまとめたりすることなど様々な学習活動を取り入れるとともに、教育機器などの有効な利用を工夫して学習効果を上げるようにする必要がある。

第4節  数学

  第1款  目標
  数学における基本的な概念や原理・法則の理解を深め、事象を数学的に考察し処理する能力を高めるとともに数学的な見方や考え方のよさを認識し、それらを積極的に活用する態度を育てる。


第2款  各科目

第1  数学I
1  目標
  具体的な事象の考察を通して、二次関数、図形と計量、個数の処理及び確率について理解させ、基礎的な知識の習得と技能の習熟を図り、それらを的確に活用する能力を伸ばすとともに、数学的な見方や考え方のよさについて認識を深める。

2  内容
(1)  二次関数
ア  二次関数とグラフ
(ア)  関数とグラフ
(イ)  二次関数とそのグラフ
イ  二次関数の値の変化
(ア)  二次関数の最大・最小
(イ)  二次方程式と二次不等式

(2)  図形と計量
ア  三角比
(ア)  正弦、余弦、正接
(イ)  三角比の相互関係
イ  三角比と図形
(ア)  正弦定理、余弦定理
(イ)  図形の計量[用語・記号]sin 、cos 、tan

(3)  個数の処理
ア  数えあげの原則
イ  自然数の列
ウ  場合の数
(ア)  順列
(イ)  組合せ

[用語・記号]  P  、  C  、階乗、  !

(4)  確率
ア  確率とその基本的な法則
イ  独立な試行と確率
ウ  期待値
[用語・記号] 余事象、排反

3  内容の取扱い
(1)  内容の(1)のイの(イ)の二次方程式については、実数解をもつもののみを取り上げるものとする。
(2)  内容の(2)については、取り扱う角の範囲は、0°から180 °までとする。
(3)  内容の(2)のイの(イ)については、平面図形や空間図形の計量を取り上げるものとする。ただし、三角形の面積をヘロンの公式で求めるなどの深入りはしないものとする。
(4)  内容の(3)のアなどに関連して、集合の要素の個数を数えるなどの内容を取り扱うものとする。ただし、簡単な場合にとどめるものとする。
(5)  内容の(3)などに関連して、集合に関する基本的な事項を取り扱うものとする。
(6)  内容の(4)については、主として具体的な事象に関連付けて取り扱うものとする。
(7)  内容の(4)のイについては、事象の独立、従属は取り扱わないものとする。
(8)  この科目はすべての生徒に履修させる科目であることを考慮し、指導方法を工夫するとともに、生徒の実態に応じて、その内容の程度、範囲を弾力的に取り扱うよう配慮するものとする。

第2  数学II
1  目標
  「数学I」に続く内容として、指数関数や三角関数、図形と方程式及び関数の値の変化について理解させ、基礎的な知識の習得と技能の習熟を図り、事象を数学的に考察し処理する能力を育てる。

2  内容
(1)  いろいろな関数
ア  指数関数
(ア)  指数の拡張
(イ)  指数関数
(ウ)  対数関数
イ  三角関数
(ア)  角の拡張
(イ)  三角関数とその基本的な性質
(ウ)  三角関数の加法定理
[用語・記号]  累乗根、log

(2)  図形と方程式
ア  点と直線
(ア)  点の座標
(イ)  直線の方程式
イ  円
(ア)  円の方程式
(イ)  円と直線

(3)  関数の値の変化
ア  微分係数と導関数
イ  導関数の応用
ウ  積分の考え

[用語・記号] 極限値、lim 、不定積分、定積分
3  内容の取扱い
(1)  内容の(1)のアの(ウ)については、対数計算は取り扱わないものとする。イの(ウ)については、2倍角の公式、単振動の合成を取り扱う程度とし深入りしないものとする。

(2)  内容の(2)に関連して、簡単な場合について軌跡、不等式の表す領域を取り扱うものとする。

(3)  内容の(2)のイの(イ)に関連して、一次と二次の二元連立方程式を取り扱うことは差し支えない。

(4)  内容の(3)については、三次程度の関数を取り扱うものとする。

(5)  内容の(3)のウについては、関数のグラフに関連して面積を求める程度とする。

第3  数学III
1  目標
  関数と極限、微分法及び積分法について理解を深め、知識の習得と技能の習熟を図り、事象を数学的に考察し処理する能力を伸ばす。

2  内容
(1)  関数と極限
ア  関数の概念
(ア)  分数関数、無理関数
(イ)  合成関数、逆関数
イ  極限
(ア)  数列{    }の極限
(イ)  無限等比級数の和
(ウ)  関数値の極限
[用語・記号]  収束、発散、∞

(2)  微分法
ア  導関数
(ア)  関数の和・差・積・商の導関数
(イ)  合成関数の導関数
(ウ)  三角関数・指数関数・対数関数の導関数
イ  導関数の応用
  接線、関数値の増減、速度、加速度

[用語・記号]  弧度法、自然対数、第二次導関数、変曲点
(3)  積分法
ア  不定積分と定積分
(ア)  積分の意味
(イ)  簡単な置換積分法・部分積分法
(ウ)  いろいろな関数の積分
イ  積分の応用
  面積、体積、道のり

3  内容の取扱い
(1)  内容の(1)のアの(ア)については、  =        、  =の程度の関数を取り扱うものとする。
(2)  内容の(2)に関連して、平均値の定理に触れることは差し支えないが、直観的に理解させる程度にとどめるものとする。
(3)  内容の(2)のアの(イ)については、  =    (  は有理数)、  =          及び  =            の程度の簡単な関数を取り扱うものとする。
(4)  内容の(3)のアの(イ)については、置換積分法は、    +  =  、  =    sin θと置き換える程度にとどめるものとし、また、部分積分法は、簡単な関数についての適用で結果が得られるものにとどめるものとする。

第4  数学A
1  目標
「数学I」より広い内容として、数と式、平面幾何、数列又はコンピュータを用いる計算について理解させ、基礎的な知識の習得と技能の習熟を図り、事象を数学的に考察し処理する能力を育てる

2  内容
(1)  数と式
ア  数
整数、有理数、実数
イ  式
(ア)  整式
(イ)  等式と不等式

(2)  平面幾何
ア  平面図形の性質
(ア)  平面図形に関する基本的な定理
(イ)  条件によって定まる図形
イ  平面上の変換
(ア)  合同変換
(イ)  相似変換

(3)  数列
ア  数列とその和
イ  漸化式と数学的帰納法
ウ  二項定理

[用語・記号] Σ
(4)  計算とコンピュータ
ア  コンピュータの操作
イ  流れ図とプログラム
ウ  コンピュータによる計算

3  内容の取扱い
(1)  この科目は、履修する生徒の実態に応じて、内容の(1)から(4)までの中から適宜選択させるものとする。
(2)  内容の(1)のイに関連して、簡単な場合について式の証明を取り扱うものとする。
(3)  内容の(1)などに関連して、必要条件、十分条件、対偶、背理法などを取り使うものとする。
(4)  内容の(2)のアについては、中学校での学習を基礎とし、それを拡充して、活用する能力を伸長する程度とする。イについては、変換の考えによって図形の性質を見直す程度にとどめるものとする。
(5)  内容の(3)のアについては、等差数列、等比数列の和及び数列{}の和を取り扱う程度とする。イについては、漸化式は二項間の関係式を取り扱う程度にとどめるものとし、また、数学的帰納法は、その方法の理解に重点を置き、複雑な証明技法には深入りしないものとする。
(6)  内容の(4)のイについては、プログラムの構造について理解させることに重点を置き、簡単なプログラムを取り扱う程度とする。ウについては、中学校又は「数学I」での既修の内容に関する計算をコンピュータによって実行させる程度とする。

第5  数学B
1  目標
  「数学I」及び「数学II」より進んだ内容として、ベクトル、複素数と複素数平面、確率分布またはコンピュータにおける算法について理解させ、基礎的な知識の習得と技能の習熟を図り、事象を数学的に考察し処理する能力を伸ばす。

2  内容
(1)  ベクトル
ア  平面上のベクトル
(ア)  ベクトルとその演算
(イ)  ベクトルの内積
イ  空間におけるベクトル
(ア)  空間座標
(イ)  空間におけるベクトル

(2)  複素数と複素数平面
ア  複素数と方程式の解
(ア)  複素数とその演算
(イ)  二次方程式の解
(ウ)  簡単な高次方程式
イ  複素数平面
(ア)  複素数の図表示
(イ)  ド・モアブルの定理

[用語・記号]  虚数、  、判別式、偏角、極形式

(3)  確率分布
ア  確率の計算
イ  確率分布
(ア)  確率変数と確率分布
(イ)  二項分布

[用語・記号]  条件つき確率、平均、標準偏差

(4)  算法とコンピュータ
ア  コンピュータの機能
イ  いろいろな算法のプログラム

3  内容の取扱い
(1)  この科目は、履修する生徒の実態に応じて、内容の(1)から(4)までの中から適宜選択させるものとする。
(2)  内容の(1)のイの(イ)については、空間におけるベクトルが、平面のベクトルと同様に取り扱えることの理解に重点を置き、空間図形の方程式の取扱いには深入りしないものとする。
(3)  内容の(2)のアの(ウ)については、数係数の簡単な三次と四次の方程式の解法に因数定理が活用できることを理解させる程度とする。イについては、簡単な二項方程式や平面図形への応用を取り扱うものとし、技巧には深入りしないものとする。
(4)  内容の(3)のアについては「数学I」の確率の内容に続いて、条件つき確率などを取り扱う程度とする。
(5)  内容の(4)のイについては、ユークリッドの互除法、繰り返しによる平方根の計算などを取り扱う程度とする。

第6  数学C
1  目標
  応用数理の観点から、コンピュータを活用して、行列と線形計算、いろいろな曲線、数値計算又は統計処理について会させ、知識の習得と技能の習熟を図り、事象を数理的に考察し処理する能力を伸ばす。

2  内容
(1)  行列と線形計算
ア  行列
(ア)  行列とその演算
和、差、実数倍
(イ)  行列の積と逆行列
イ  連立一次方程式
(ア)  行列による表現
(イ)  消去法による解法

[用語・記号]  A

(2)  いろいろな曲線
ア  式と図形
(ア)  方程式の表す曲線
(イ)  楕円と双曲線
イ  媒介変数表示の極座標
(ア)  曲線の媒介変数表示
(イ)  極座標と極方程式
(ウ)  いろいろな曲線

[用語・記号]  焦点、準線

(3)  数値計算
ア  方程式の近似解
イ  数値積分法
(ア)  区分求積法
(イ)  面積の近似計算

(4)  統計処理
ア  統計資料の整理
(ア)  代表値と散布度
(イ)  相関
イ  統計的な推測
(ア)  母集団と標本
(イ)  正規分布
(ウ)  統計的推測の考え

[用語・記号]  分散、標準偏差、相関係数、推定

3  内容の取扱い
(1)  この科目は、履修する生徒の実態に応じて、内容の(1)から(4)までの中から適宜選択させるものとする。
(2)  内容の(1)のアについては、3×3行列を取り扱うものとする。ただし、逆行列の計算については、2×2行列にとどめる程度とする。
(3)  内容の(2)については、コンピュータを活用するなどによっていろいろな曲線を観察、考察し、簡単な図形については実際に描けるようにする。
(4)  内容の(3)のアについては、ニュートン法または二分法を取り扱う程度とする。また、これに関連して、近似式、誤差、有効数字などに触れることは差し支えないが、実例により簡単な場合を取り扱うものとする。
(5)  内容の(4)のイについては、理論的な考察には深入りしないものとする。


第3款  各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1  指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)  「数学II」、「数学III」を履修させる場合は、「数学I」、「数学II」、「数学III」の順に履修させること。
(2)  「数学A」については「数学I」と並行あるいは「数学I」に続いて履修させ、「数学B」及び「数学C」については「数学I」を履修した後に履修させること。
(3)  複数の科目を並行して履修させる場合には、それぞれの科目の内容相互の関連を図るとともに、学習内容の系統性に留意すること。

2  内容の取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)  第2款の各科目の内容の[用語・記号]は、当該科目で取り扱う内容の程度や範囲を明確にするために示したものであり、内容と密接に関連させて取り扱うこと。
(2)  各科目を通して、コンピュータ等の教育機器を活用して指導の効果を高めるようにすること。
(3)  数の計算に当たっては、必要に応じて電卓、コンピュータ等を使用させて学習の効果を高めようとすること。

第5節  理科

第1款  目標
  自然に対する関心を高め、観察、実験などを行い、科学的に探求する能力と態度を育てるとともに自然の事物・現象についての理解を深め、科学的な自然観を育成する。


第2款  各科目

第1  総合理科
1  目標
  自然の事物・現象に関する観察、実験や自然環境についての調査などを通して自然に対する総合的な見方や考え方を養うとともに自然の事物・現象についての理解を図り、人間と自然とのかかわりについて認識させる。

2  内容
(1)  自然の探求
ア  自然の認識
イ  観察、実験の計画と実施
ウ  観察、実験の整理とまとめ

(2)  自然界とその変化
ア  多様性と共通性
イ  変化・平衡・相互作用
ウ  エネルギーとその変換

(3)  人間と自然
ア  資源・エネルギーとその利用
イ  自然環境とその保全
ウ  科学技術の進歩と人間生活

(4)  課題研究
ア  特定の事象に関する観察、実験
イ  自然環境についての調査
ウ  科学の歴史における実験例の研究

3  内容の取扱い
(1)  内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア  中学校理科との関連を十分考慮するとともに、内容の(1)から(4)までの事項を有機的に組み合わせ、全体として網羅的にならないように留意すること。また、観察、実験を重視するような年間指導計画を立て、それらの活動を通して、科学的な見方や考え方を育成すること。

イ  内容の(1)については、内容の(2)から(4)までの事項との関連を図り、具体的な事例を取り上げ、一連の探究活動を通して展開し、抽象的にならないように扱うこと。

ウ  内容の(2)については、自然界に見られるさまざまな事物・現象やエネルギーに関して、身近な事例を取り上げること。

エ  内容の(3)については、内容の(2)の学習を基礎に置き、人間と自然とのかかわりを総合的にまとめること。

オ  内容の(4)については、ア、イ及びウの中から1以上の適当な課題を設定し、研究を行い、それらの探究活動を通して科学の方法を習得させ、問題解決の能力を育成すること。

(2)  内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
ア  内容の(1)のアについては、身の回りの具体的な事例、例えば、生物、岩石、鉱物等を肉眼や光学機器で観察させるなど、種々の観察の技法を扱うこと。イについては、具体的な課題を設定し、観察、実験の方法に習熟させ、事象を観察させたり実験を実施させたりすることを中心に扱うこと。例えば、温度と熱、生物の変異、物質、岩石等から適宜課題を選定すること。また、文献の活用の大切さついても触れること。ウについては、データのまとめ方、グラフの活用や結果の整理の仕方、レポートの書き方などを扱うこと。実験の精度や誤差についても触れるが、初歩的な段階にとどめること。データの整理には、適宜コンピュータの活用を図ること。

イ  内容の(2)のアについては、身近な生物、岩石、物質などを取り上げ、多様性を共通性を見いだすとともに、それらの考察には基準の取り方が重要であることを認識させる程度にとどめること。イについては、自然界に見られる様々な事象には、変化が起こったり時間とともに平衡に達したりする現象があること、また、相互に働く力があること及びそれらが相互に関連して自然界が構成されていることを、例示によって理解させること。例えば、地球の熱収支、生態系、化学変化、力のつり合いなどを取り上げるが、個々の事象には深入りしないこと。ウについては、エネルギーの種類、変換及び保存について、身近な事象と関連させ、エネルギーの基本を理解させること。例えば、発電、電池、光合成、呼吸などを平易に扱うこと。

ウ  内容の(3)のアについては、自然を総合的にとらえ、人間生活とのかかわりを中心に扱うこと。例えば、水資源、化石燃料、太陽エネルギーなどを取り上げ、資源・エネルギーの有限性や再利用にも触れること。また、放射能及び原子力の利用とその安全性の問題にも触れること。イについては、自然環境を総合的に捕らえ、人間の活動が物質循環に及ぼす影響、環境汚染や破壊とその防止策、環境保全の必要性などに触れるとこ。ウについては最近の科学技術の具体的な事例を取り上げ、科学技術が人間生活に及ぼす影響や自然科学の役割に触れるが、科学技術についての専門的な取扱いは避けること。

エ  内容の(4)のアについては、内容の(2)及び(3)で学習した事例の応用的な実験、その他日常生活にかかわる事象の観察や実験などを適宜扱うこと。イについては、野外調査などを行うこと。ウについては、科学の歴史における重要な発見について、原理・法則の確立の経緯などを実験の再現や文献の調査などを通して学習させること。

第2  物理IA
1  目標
  日常生活と関係の深い物理的な事物・現象に関する探究活動を通して、科学的な見方や考え方を養うとともに物理的な事物・現象や物理学の応用についての理解を図り、科学技術の進歩と人間生活とのかかわりについて認識させる。

2  内容
(1)  光と音
ア  光と目
イ  音と耳

(2)  物体の運動
ア  運動の表し方
イ  摩擦と衝突

(3)  エネルギーと生活
ア  温度と熱
イ  電気エネルギー
ウ  エネルギーの移り変わり
エ  太陽エネルギーと原子力

(4)  情報とその処理
ア  情報の伝達
イ  情報の処理
ウ  情報の記憶

(5)  物理学の影響
ア  生活の変化と物理学
イ  ものの見方と物理学

3  内容の取扱い
(1)  内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア  中学校理科との関連を十分考慮するとともに、物理的な事物・現象や物理学の応用についての理解を無理なく行わせ、科学的な見方や考え方を育成すること。
イ  内容の(1)から(5)までのうち、(3)及び(4)はすべての生徒に履修させ、(1)、(2)及び(5)についてはそれらの中から1以上を、生徒の興味、関心などに応じて選択させること。
ウ  履修させる内容の学習活動と関連させて、日常生活と関係の深い物理的な事物・現象についての観察、実験を行わせること。

(2)  内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
ア  内容の(1)のアについては、光の基本的な性質を可視光を中心に視覚及び光学機器と関連させて扱うが、目の構造及び機能には深入りしないこと。また、レンズの幾何光学的な性質に触れる場合は、初歩的な程度にとどめること。イについては、音の基本的な性質を可聴音を中心に聴覚、楽器などと関連させて扱うが、耳の構造及び機能には深入りしないこと。

イ  内容の(2)のアについては、落下運動や乗物などの運動を例として、直線上の運動を中心に平易に扱うこと。イについては、摩擦は現象を中心に初歩的な程度にとどめることとし、二次元の衝突は扱わないこと。

ウ  内容の(3)のアについては、比熱、熱容量及び絶対温度にも触れること。イについては、簡単な直流回路を中心に、観察、実験を通して、電流の諸作用を扱うこと。また、交流にも簡単に触れ、それらの家庭電気製品への応用に関して扱うこと。ウについては、エネルギーの保存にも触れること。エについては、風、波、化石燃料などのエネルギーの利用にも触れること。原子力については、放射能及び原子力の利用とその安全性の問題にも簡単に触れること。

エ  内容の(4)のアについては、エレクトロニクスの進歩と関連させて、電波や光によって情報が伝達されることを扱うこと。イについては、コンピュータの仕組みと特徴に触れるが、深入りしないこと。ウについては、情報の記憶には磁性体や半導体の性質が利用されていることについて平易に触れるが、技術的な事項には深入りしないこと。

オ  内容の(5)のアについては、物理学の進歩とその応用による日常生活の向上に関して具体的に扱うこと。イについては、物理的な探究の手法やものの見方、考え方が、科学や生活全般に及ぼした影響などを概括的に扱うこと。その際、物理学の歴史的な内容については深入りしないこと。

第3  物理IB
1  目標
  物理的な事物・現象についての観察、実験などを行い、物理学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則を理解させ、科学的な自然観を育成する。

2  内容
(1)  運動
ア  力と運動
(ア)  力のつりあい
(イ)  運動の表し方
(ウ)  運動の法則、
(エ)  落体の運動
イ  運動量
(ア)  運動量と力積
(イ)  運動量の保存
ウ  運動に関する探究活動

(2)  エネルギー
ア  力学的エネルギー
(ア)  仕事
(イ)  位置エネルギーと運動エネルギー
(ウ)  力学的エネルギーの保存
イ  熱とエネルギー
(ア)  熱と温度
(イ)  ボイル・シャルルの原則
(ウ)  熱と仕事
(エ)  エネルギーの変換と保存
ウ  エネルギーに関する探究活動

(3)  波動
ア  波の性質
(ア)  横波と縦波
(イ)  波の伝わり方
(ウ)  波の干渉・回折
イ  音波
(ア)  音の伝わり方
(イ)  共鳴・共振
ウ  光波
(ア)  光の進み方
(イ)  光の干渉・回折
(ウ)  スペクトル
エ  波動に対する探究活動

(4)  電流と電子
ア  電界と電流
(ア)  電界・電位
(イ)  電流回路
(ウ)  電流と仕事
イ  電子と原子
(ア)  電子の電荷と質量
(イ)  原子
(ウ)  放射能
ウ  電流と電子に関する探究活動

3  内容の取扱い
(1)  内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア 中学校理科との関連を考慮しながら、物理学の基本的な概念の形成を図るとともに、物理学的に探究する方法の習得を通して、科学的な思考力、判断力及び表現力を育成すること。
イ  「探究活動」においては、各項目の学習活動と関連させながら観察、実験を行うとともに、観察、実験を通して、仮説やモデルの設定、推論、条件制御、測定、数的処理、データの分析・解釈、法則性の発見など、物理学的に探究する方法を習得させ、創意ある研究報告書を作成させること。その際、多様な教材と組み合わせて、適宜コンピュータの活用を図ること。

(2)  内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
ア  内容の(1)のアの(ア)については、摩擦力についても簡単に触れるが、慣性モーメントは扱わないこと。(イ)及び(ウ)については、直線運動を中心に扱うが、二次元の運動にも簡単に触れること。なお、円運動は扱わないこと。(エ)については、放物運動も扱い、物体に働く力にも触れること。なお、その際、空気の抵抗は定性的に扱うこと。イの(イ)については、直線運動を中心に扱い、二次元の衝突は簡単に触れる程度にとどめること。

イ  内容の(2)のアの(ア)については、仕事率も扱うこと。(イ)については、弾性エネルギーにも触れること。イの(ア)については、物質の状態と分子運動の関係を定性的に扱うこと。(イ)については、理想気体の状態方程式は扱わないこと。また、気体の圧力と分子運動の関係については、定性的な扱いにとどめること。(ウ)については、内部エネルギーと断熱変化を定性的に扱うにとどめること。(エ)については、熱現象における不可逆変化に触れること。

ウ  内容の(3)のアの(ウ)については、実験を中心に扱うこと。イの(ア)については、ドップラー効果の扱は初歩的な程度にとどめること。(イ)についてハ、うなりにも振れること。ウの(ア)については、光の速さ、反射及び屈折を扱い、レンズの幾何光学的な性質に触れる場合は、初歩的な程度にとどめること。(イ)については、実験を中心に扱い、光は横波であることにも触れること。

エ  内容の(4)のアの(ア)については、誘電体内部の電界の強さには触れないこと。(ウ)については、ジュール熱を中心に電界中の電荷の移動とエネルギーの関係を扱う程度にとどめること。イの(イ)については、原子構造を中心に初歩的な程度にとどめること。(ウ)については、放射能及び原子力の利用とその安全性の問題にも触れること。

第4  物理II
1  目標
  物理的な事物・現象についての観察、実験や課題研究などを行い、物理学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則の理解を深め、科学的な自然観を育成する。

2  内容
(1)  運動とエネルギー
ア  円運動と万有引力
(ア)  等速円運動
(イ)  単振動
(ウ)  万有引力
イ  気体分子の運動
(ア)  分子運動と圧力
(イ)  内部エネルギー

(2)  電気と磁気
ア  電流と磁界
(ア)  電流による磁界
(イ)  磁界が電流に及ぼす力
イ  電磁誘導と電磁波
(ア)  誘導起電力
(イ)  電磁波

(3)  原子と原子核
ア  波動性と粒子性
(ア)  電子の波動性
(イ)  光の粒子性
イ  原子の構造
(ア)  原子モデル
(イ)  原子核の変換
(ウ)  素粒子

(4)  課題研究
ア  特定の物理的事象に関する探究活動
イ  物理学の歴史的実験例の研究

3  内容の取扱い
(1)  内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア  「物理IB」との関連を考慮しながら、物理学の基本的な概念の形成を図るとともに、物理学的に探究する方法の習得を通して、科学的な思考力、判断力及び表現力を育成すること。
イ  内容の(4)については、ア及びイの中から1以上の適当な課題を設けて研究を行い、創意ある研究報告書を作成させるとともに、研究を行うに当たっては、仮説やモデルの設定、推論、条件制御、測定、数的処理、データの分析・解釈、法則性の発見など、物理学的に探究する方法を習得させ、問題解決の能力を育成すること。その際、解決すべき課題についての情報の検索、計測、結果の集計・処理などに、適宜コンピュータなどを活用させること。

(2)  内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
ア  内容の(1)のイの(ア)については、理想気体の状態方程式及び分子運動と絶対温度の関係を扱うこと。また、モル比熱を扱う場合は単原子分子にとどめること。
イ  内容の(2)のアの(ア)については、直線電流及び円電流による磁界を中心に扱うこと。イの(イ)については、実験を中心に扱うこと。
ウ  内容の(3)のイの(ア)については、水素原子の構造を中心にスペクトルと関連させて扱うこと。
エ  内容の(4)については、内容の(1)から(3)及び「物理IB」と関連させて扱うとこ。アについては、物理的な事象に関する応用的、発展的な観察、実験を行うこと。イについては、科学の歴史における著名な実験の再現などを行い、原理・法則の確立の経緯とも関連付けて扱うこと。

第5  化学IA
1  目標
  日常生活と関係の深い化学的な事物・現象に関する探究活動を通して、化学的な見方や考え方を養うとともに化学的な事物・現象や化学の応用についての理解を図り、科学技術の進歩と人間生活とのかかわりについて認識させる。
(1)  自然界の物質とその変化
ア  自然界における物質の成分元素
イ  空気
ウ  水

(2)  日常生活の化学
ア  食品の化学
イ  衣料の化学
ウ  染料と洗剤の化学

(3)  身近な材料
ア  プラスチック
イ  金属
ウ  窯業製品

(4)  身の回りの物質の製造
ア  空気からできるもの
イ  鉱物からできるもの
ウ  石油からできるもの

(5)  化学の応用と人間生活
ア  化学の進歩とその役割
イ  環境の保全

3  内容の取扱い
(1)  内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア  中学校理科との関連を十分考慮するとともに、化学的な事物・現象や化学の応用についての理解を無理なく行わせ、科学的な見方や考え方を育成すること。
イ  内容の(1)から(5)までのうち、(1)及び(5)はすべての生徒に履修させ、(2)、(3)及び(4)についてはそれらの中から1以上を、生徒の興味、関心などに応じて選択させること。
ウ  履修させる内容の学習活動と関連させて、日常生活と関係の深い化学的な事物・現象についての観察、実験を行わせること。

(2)  内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
ア  内容の(1)のアについては、人間を取り巻く自然界の物質のうち主な成分元素を中心に扱うが、詳細で羅列的な扱いはしないこと。イについては、空気の組成及び燃焼にかかわる物質の性質とその変化を中心に扱うこと。また、燃焼にかかわる安全性にも触れること。ウについては、電解質や親水性の物質がよく溶解することを中心に扱い、気体や固体の溶解性は平易に扱うこと。

イ  内容の(2)のアについては、食品中の主な成分である炭水化物、タンパク質及び脂肪の性質を化学的な観点で扱い、観察、実験によって理解させること。イについては、衣料材料として用いられている主な天然及び合成繊維の性質や用途に関して2又は3の例を扱う程度にとどめること。ウについては、染料や洗剤の性質やその用途を扱うが、染料は代表的な繊維に対する染料の染色の難易を扱う程度にとどめ、洗浄の機構は、モデルを示す程度にとどめること。

ウ  内容の(3)のアについては、その成分の違いや特徴及び用途を中心に扱うこと。また、燃焼にかかわる安全性にも触れること。イについては、腐食を中心に扱い、その防止にも触れること。ウについては、代表的なガラス、セメント及び陶磁器の性質を観察、実験を通して、平易に扱うこと。

エ  内容の(4)については、それぞれを原料としてできる2又は3の製品を中心に扱い、複雑な化学反応式は扱わないこと。

オ  内容の(5)のアについては、化学の成果が日常生活に果たしてきた役割に触れること。イについては、環境保全に果たす化学の役割を探究的に扱い、物質の再利用にも触れること。

第6  化学IB
1  目標
  化学的な事物・現象についての観察、実験などを行い、化学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則を理解させ、科学的な自然観を育成する。

2  内容
(1)  物質の構造と状態
ア  物質の構成
(ア)  物質の構成単位と成分元素
(イ)  物質量
イ  原子の構成
(ア)  原子構造のモデル
(イ)  元素の周期表
ウ  化学結合
(ア)  イオン結合
(イ)  共有結合
エ  純物質と混合物
(ア)  気体、液体、固体
(イ)  気体の分圧
(ウ)  溶液
オ  物質の構造と状態に関する探究活動

(2)  物質の性質
ア  無機物質
(ア)  単体
(イ)  化合物
イ  有機化合物
(ア)  炭化水素
(イ)  酸素を含む化合物
(ウ)  窒素を含む化合物
ウ  物質の性質に関する探究活動

(3)  物質の変化
ア  酸と塩基の反応
(ア)  酸・塩基
(イ)  中和
イ  酸化還元反応
(ア)  酸化・還元
(イ)  電気分解
(ウ)  電池
ウ  化学反応と熱
(ア)  反応熱
(イ)  熱化学方程式
エ  物質の変化に関する探究活動

3  内容の取扱い
(1)  内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア  中学校理科との関連を考慮しながら、化学の基本的な概念の形成を図るとともに、化学的に探究する方法の習得を通して、科学的な思考力、判断力及び表現力を育成すること。
イ  「探究活動」においては、各項目の学習活動と関連させながら観察、実験を行うともとに、観察、実験を通して、仮説の設定、実験の計画、実験による検証、データの解釈など、化学的に探究する方法を習得させ、創意ある研究報告書を作成させること。その際、多様な教材と組み合わせて、適宜コンピュータの活用を図ること。

(2)  内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
ア  内容の(1)のイの(ア)については、ボーアモデルにとどめること。電子配置については、周期表の第3周期までの元素及びアルカリ金属元素、ハロゲン元素、希ガス元素を対象とする程度にとどめること。ウについては、電気陰性度を扱う場合は、第2周期の元素及びハロゲン元素について大小関係を示すにとどめ、金属結合については触れる程度とすること。エの(ア)の気体については、定量的な分子運動論は扱わないこと。固体について結晶を扱う場合は、結晶中の原子又はイオンの配列を扱うにとどめること。(ウ)については沸点上昇、凝固点降下及び浸透圧は、定量的な扱いはしないこと。

イ  内容の(2)のアについてはナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、銅、銀、鉄、ハロゲン、硫黄、窒素が関係する物質及びイオンを中心に扱うこと。なお、金属イオン系統的分離は扱わないこと。また、代表的な無機物質については、化学工業との関連にも触れること。イについては、配座異性体は扱わないこと。また、反応及び構造に関連して該当する箇所で、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ナイロンにも触れること。イの(イ)については、アルコール、フェノール類、エーテル、カルボニル化合物、カルボン酸、エステルを中心に、その代表的な物質を扱うこと。なお、油脂のけん化価及びヨウ素価は扱わないこと。(ウ)については、アニリンを中心に扱い、アミノ化合物、ニトロ化合物については、その代表的な物質を扱うこと。

ウ  内容の(3)のアの(ア)については、酸、塩基の強弱は定性的な扱いにとどめるが、pHの実用性にも触れること。(イ)については、酸、塩基の規定度は扱わないこと。イの(ア)については、電子の授受を中心に扱い、代表的な酸化剤、還元剤に触れること。また、金属のイオン化傾向についても触れること。(イ)については、ファラデーの法則を中心に扱うこと。(ウ)については、化学反応による電気エネルギーの発生を中心に扱うこと。ウの(ア)については、反応において発生又は吸収する熱量と物質量との関係を扱い、溶解熱にも触れること。(イ)については、ヘスの法則を中心に扱うこと。

第7  化学II
1  目標
  化学的な事物・現象についての観察、実験や課題研究などを行い、化学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則の理解を深め、科学的な自然観を育成する。

2  内容
(1)  反応の速さと平衡
ア  反応の速さ
(ア)  速い反応と遅い反応
(イ)  触媒
イ  化学平衡
(ア)  可逆反応と化学平衡
(イ)  化学平衡の移動

(2)  高分子化合物
ア  天然高分子化合物
イ  合成高分子化合物

(3)  課題研究
ア  特定の化学的事象に関する探究活動
イ  化学の歴史的実験例の研究

3  内容の取扱い
(1)  内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア  「化学IB」との関連を考慮しながら、化学の基本的な概念の形成を図るとともに、化学的に探究する方法の習得を通して、科学的な思考力、判断力及び表現力を育成すること。
イ  内容の(3)については、ア及びイの中から1以上の適当な課題を設けて研究を行い、創意ある研究報告書を作成させるとともに、研究を行うに当たっては、仮説の設定、実験の計画、実験による検証、データの解釈など、化学的に探究する方法を習得させ、問題解決の能力を育てること。その際、解決すべき課題についての情報の検索、計測、結果の統計・処理などに、適宜コンピュータなどを活用させること。

(2)  内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
ア  内容の(1)のアの(ア)については、反応の速度が濃度、温度、触媒などにより影響を受けることを代表的な事例を通して定性的に扱うこと。(イ)については、化学工業との関連についても触れること。イの(ア)については、その概念の理解を中心に定量的な扱いはごく簡単な系を扱うにとどめること。また、水素イオン濃度についても触れること。(イ)については、ルシャトリエの原理を中心に扱うこと。
イ  内容の(2)のアについては、炭水化物とタンパク質を中心に、分子量の小さな物質との違いを構造及び性質の面から扱うこと。また、天然ゴムにも触れること。イについては、代表的な合成高分子化合物を扱い、構造と用途との関係にも触れること。
ウ  内容の(3)については、内容の(1)、(2)及び「化学IB」と関連させて扱うこと。アについては、化学的な事象に関する応用的、発展的な観察、実験を行うこと。イについては、科学の歴史における著名な実験の再現などを行い、原理・法則の確立の経緯とも関連付けて扱うこと。

第8  生物IA
1  目標
  日常生活と関係の深い生物、人間及び生物現象に関する探究活動を通して、科学的な見方や考え方を養うとともに生物、生物現象及び生物学の応用についての理解を図り、科学技術の進歩と人間生活とのかかわりについて認識させる。

2  内容
(1)  人間の生活と生物
ア  日常生活と生物
イ  自然のなかの人間

(2)  生物としての人間
ア  ヒトの特徴
イ  ヒトの行動

(3)  生命を維持する働き
ア  食物と代謝
イ  からだの調節

(4)  親から子へ
ア  ヒトの一生
イ  ヒトの遺伝

(5)  生物学の進歩と人間生活
ア  微生物の利用
イ  品種の改良

3  内容の取扱い
(1)  内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア  中学校理科との関連を十分考慮するとともに、生物、生物現象及び生物学の応用についての理解を無理なく行わせ、科学的な見方や考え方を育成すること。
イ  内容の(1)から(5)までのうち、(1)はすべての生徒に履修させ、(2)、(3)、(4)及び(5)についてはそれらの中から2以上を、生徒の興味、関心などに応じて選択させること。
ウ  履修させる内容の学習活動と関連させて、日常生活と関係の深い生物、人間及び生物現象についての観察、実験を行わせること。

(2)  内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
ア  内容の(1)のアについては、日常生活に利用されている生物や環境衛生上問題になる生物などについて身近な例を扱うが、羅列的な扱いはしないこと。イについては、食物連鎖や物質循環などを人間とのかかわりに重点をおいて平易に扱い、環境保全についても触れること。

イ  内容の(2)のアについては、ヒトの形態的な特徴や系統的位置などを他の動物との比較を通して扱うこと。イについては、ヒトの行動を日常の経験と関連させて生物学的な観点から扱うが、脳の働きや構造に触れる場合は、詳細な扱いはしないこと。

ウ  内容の(3)のアについては、食物を体物質の代謝と関連させて扱うが、代謝については平易に扱い、栄養素や消化酵素などの羅列的な扱いはしないこと。イについては、ヒトの恒常性維持の仕組みを代表的な例に基づいて理解させる程度にとどめ、ホルモンや神経系の羅列的な扱いはしないこと。また、生体防御については、免疫を中心に初歩的な事項にとどめること。

エ  内容の(4)のアについては、ヒトの受精、発生、成長及び老化を中心に扱うが、発生の過程やその仕組みについての詳細な扱いはしないこと。イについては、ヒトの遺伝現象を染色体や遺伝子と関連させて平易に扱うこと。

オ  内容の(5)のアについては、微生物の利用を生物学の進歩と関連させて扱うが、食料生産や医療の分野における遺伝子組換えなどの応用については、初歩的な事項にとどめること。イについては、品種の改良を生物学の進歩と関連させて扱うが、組織培養、細胞融合などの応用については、初歩的な事項にとどめること。

第9  生物IB
1  目標
  生物や生物現象についての観察、実験などを行い、生物学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則を理解させ、科学的な自然観を育成する。

2  内容
(1)  生物体の構造と機能
ア  細胞
(ア)  細胞の構造と機能
(イ)  細胞の増殖
(ウ)  単細胞生物と多細胞生物
イ  代謝
(ア)  生物体内の化学反応と酵素
(イ)  同化
(ウ)  異化
ウ  生物体の構造と機能に関する探究活動

(2)  生命の連続性
ア  生殖と発生
(ア)  減数分裂と生殖細胞の形成
(イ)  生殖と生活環
(ウ)  発生とその仕組み
イ  遺伝と変異
(ア)  遺伝の法則
(イ)  遺伝子と染色体
(ウ)  変異
ウ  生命の連続性に関する探究活動

(3)  生物と環境
ア  生物の反応と調節
(ア)  刺激の受容と動物の行動
(イ)  内部環境とその恒常性
(ウ)  植物の反応と調節
イ  生物の集団
(ア)  生物の集団とその変動
(イ)  生態系と物質循環
(ウ)  自然界の平衡と環境の保全
ウ  生物と環境に関する探究活動

3  内容の取扱い
(1)  内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア  中学校理科との関連を考慮しながら、生物学の基本的な概念の形成を図るとともに、生物学的に探究する方法の習得を通して、科学的な思考力、判断力及び表現力を育成すること。
イ  「探究活動」においては、各項目の学習活動と関連させながら観察、実験を行うとともに、観察、実験を通して、仮説の設定、推論、分類、対照実験、測定、数的処理、データの解釈など、生物学的に探究する方法を習得させ、創意ある研究報告書を作成させること。その際、多様な教材と組み合わせて、適宜コンピュータの活用を図ること。

(2)  内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
ア  内容の(1)のアの(イ)については、体細胞分裂による細胞の増殖を中心に扱うが、細胞の分化についても触れること。(ウ)については、生物の多様性と共通性に着目し、組織、器官にも触れるが、基本的事項にとどめ、羅列的な扱いはしないこと。また、原核生物やウイルスを扱う場合は、それらの存在を指摘  する程度にとどめること。イの(ア)においては、酵素を扱うに当たっては、羅列的な扱いはしないこと。(イ)については、光合成を中心にその仕組みが解明された過程に重点をおいて扱うが、実験データ等の資料を使用する場合は、平易なものにとどめること。(ウ)については、呼吸の意義とその仕組みを中心に扱うが、解糖系、クエン酸回路、水素伝達系の詳細な扱いはしないこと。

イ  内容の(2)のアの(イ)については、生殖方法や生活環の様式の羅列的な扱いはしないこと。(ウ)については、発生の様式の羅列的な扱いはしないこと。また、発生の仕組みを扱うに当たっては、探究の過程に重点を置き、形成体の働きを中心に平易に扱うこと。イの(イ)については、遺伝子の連鎖と組換えも扱うが、二重乗換えには触れないこと。また、遺伝子の本体を取り上げる場合は、遺伝子の本体がDNAであることに触れる程度にとどめ、DNAの分子構造は扱わないこと。

ウ  内容の(3)のアの(ア)については、神経の興奮や筋肉の収縮についても触れるが、初歩的な事項にとどめること。動物の行動については、初歩的な事項にとどめ、探究的に扱うこと。(イ)については、恒常性維持の原理を代表的な例に基づいて理解させる程度にとどめ、羅列的な扱いはしないこと。イの(ア)については、環境と生物の関係、植物群落とその遷移、動物の集団とその変動を扱うが、基本的な事項にとどめ、羅列的な扱いはしないとこ。(イ)については、食物網についても触れるが、基本的な事項にとどめること。その際、観察データ等の資料を使用する場合には、平易なものを扱うこと。

第10 生物II
1  目標
  生物や生物現象についての観察、実験や課題研究などを行い、生物学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則の理解を深め、科学的な自然観を育成する。

2  内容
(1)  生物現象と分子
ア  生物体の機能とタンパク質
(ア)  代謝と酵素
(イ)  生体防御とタンパク質
イ  形質発現と核酸
(ア)  遺伝情報とその発現
(イ)  形質発現の調節

(2)  生物の進化と系統
ア  生物の進化
(ア)  生物界の変遷
(イ)  進化の仕組み
イ  生物の系統と分類
(ア)  生物の系統
(イ)生物の分類
(3)  課題研究
ア  特定の生物や生物現象に関する探究活動
イ  自然環境についての調査

3  内容の取扱い
(1)  内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア  「生物IB」との関連を考慮しながら、生物学の基本的な概念の形成を図るとともに、生物学的に探究する方法の習得を通して、科学的な思考力、判断力及び表現力を育成すること。
イ  内容の(3)については、ア及びイの中から1以上の適当な課題を設けて研究を行い、創意ある研究報告書を作成させるとともに、研究を行うに当たっては、仮説の設定、推論、分類、対照実験、測定、数的処理、データの解釈など、生物学的に探究する方法を習得させ、問題解決の能力を育成すること。その際、解決すべき課題についての情報の検索、結果の集計・処理などに、適宜コンピュータなどを活用させること。

(2)  内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
ア  内容の(1)のアの(ア)については、ATP生成の仕組みや筋収縮の仕組みなどを扱うが、詳細な扱いはしないこと。(イ)については、生体防御がタンパク質の特異性に基づいていることを中心に扱うこと。イの(ア)については、遺伝情報、遺伝子の複製、形質発現などを核酸の構造と機能という立場から平易に扱うこと。(イ)について、形態形成やバイオテクノロジーの基礎的な事項は、初歩的に扱うにとどめること。
イ  内容の(2)のアの(ア)については、生命の起源及び進化の過程の概要を扱う程度にとどめ、羅列的な扱いはしないこと。(イ)については、進化の証拠やその要因などを扱い、集団遺伝に触れる場合は、初歩的な事項にとどめること。イの(イ)については、生物の系統との関係を理解する上で必要な程度にとどめ、羅列的な扱いはしないこと。
ウ  内容の(3)については、内容の(1)、(2)及び「生物IB」と関連させて扱うこと。アについては、生物や生物現象に関する発展的、継続的な観察、実験を行うこと。イについては、野外の生物に関する調査、研究などを行うこと。

第11 地学IA
1  目標
  日常生活と関係の深い地学的な事物・現象に関する探究活動を通して、科学的な見方や考え方を養うとともに地学的な事物・現象や地学の応用についての理解を図り、科学技術の進歩と人間生活とのかかわりについて認識させる。

2  内容
(1)  身の回りの地学
ア  自然の風景
イ  建造物と岩石
ウ  身近な鉱物

(2)  天体の運行と人間生活
ア  時間と時刻
イ  季節と暦

(3)  資源と人間生活
ア  エネルギー資源
イ  地下資源
ウ  海洋資源
エ  宇宙からの資源探査

(4)  地球の活動と災害
ア  気象とその災害
イ  火山とその災害
ウ  地震とその災害
エ  その他の災害

(5)  地球と人間
ア  地球の環境と人間
イ  地球環境の変化と保全

3  内容の取扱い
(1)  内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア  中学校理科との関連を十分考慮するとともに、地学的な事物・現象や地学の応用についての理解を無理なく行わせ、科学的な見方や考え方を育成すること。
イ  内容の(1)から(5)までのうち、(5)はすべての生徒に履修させ、(1)、
(2)、(3)及び(4)についてはそれらの中から2以上を、生徒の興味、関心などに応じて選択させること。
ウ  履修させる内容の学習活動と関連させて、日常生活と関係の深い地学的な事物・現象についての観察、実験を行わせること。

(2)  内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
ア  内容の(1)アについては、地学現象の特徴を示す代表的な風景を中心に扱い、海底の景観にも触れること。イについては、石材に用いられる岩石の成因と種類、主な鉱物組成などを平易に扱うこと。ウについては、代表的な鉱物、宝石を取り上げ、それらの産状や物理的性質の幾つかを平易に扱うこと。

イ  内容の(2)のアについては、天球上の太陽や恒星の位置及び運行を中心に扱うこと。イの暦については、地球、月、太陽の位置関係や運行周期を基にした太陰暦、太陽暦に触れる程度にすること。

ウ  内容の(3)のアについては、太陽放射の熱エネルギー、化石燃料及び核燃料のエネルギーを中心に扱うこと。イについては、代表的な金属資源鉱物や非金属資源鉱物を扱うこと。ウについては、海底の資源物質や海水中の有用物質を平易に扱うこと。エについては、人工衛星や宇宙探査機からのリモートセンシングに触れ、資源や環境に関する情報の判読、活用の方法を平易に扱うこと。

エ  内容の(4)のア、イ及びウについては、災害にかかわる気象、火山及び地震について取り上げ、それぞれの事象の概要、災害の事例、予知・予測及び防災にも触れるが、羅列的な扱いはしないこと。エについては、地すべり、山崩れ、地盤沈下及び海岸侵食の事例や原因にも触れるが、羅列的な扱いはしないこと。

オ  内容の(5)のアについては、惑星としての地球の環境を中心に扱い、人間とのかかわりにも触れること。イについては、人間の生存にとって必要な自然環境の保全について、地学的な観点から平易に扱うこと。

第12 地学IB
1  目標
  地学的な事物・現象についての観察、実験などを行い、地学的に探究する能力と態度を育てるとともに、基本的な概念や原理・法則を理解させ、科学的な自然観を育成する。

2  内容
(1)  宇宙の中の地球
ア  惑星としての地球
(ア)  地球の外観
(イ)  地球の運動
イ  太陽と恒星
(ア)  太陽の形状と活動
(イ)  恒星の放射
(ウ)  恒星の進化
ウ  宇宙の中の地球に関する探究活動

(2)  地球の構成
ア  大気と水
(ア)  地球の熱収支
(イ)  大気の性質と運動
(ウ)  海水と陸水
イ  地球の内部
(ア)  地球内部の構造
(イ)  地殻の構成物質
(ウ)  地球内部のエネルギー
ウ  地球の構成に関する探究活動

(3)  地球の歴史
ア  地質時代の編年
(ア)  地層と化石
(イ)  岩石の年齢
イ  地殻と生物の変遷
(ア)  地質構造と地殻変動
(イ)  生物界の変遷
(ウ)  大陸と海洋底の動き
ウ  地球の歴史に関する探究活動

3  内容の取扱い
(1)  内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア  中学校理科との関連を考慮しながら、地学の基本的な概念の形成を図るとともに、地学的に探究する方法の習得を通して、科学的な思考力、判断力及び表現力を育成すること。
イ  「探究活動」においては、各項目の学習活動と関連させながら観察、実験を行うとともに、観察、実験を通して、仮説の設定、推論、分類、測定、数的処理、データの解釈、資料の活用など、地学的に探究する方法を習得させ、創意ある研究報告書を作成させること。その際、多様な教材と組み合わせて、適宜コンピュータの活用を図ること。

(2)  内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
ア  内容の(1)のアの(ア)については、地球の形、海陸の分布、地表の起伏及び太陽系の各天体の特徴にも触れるが、ジオイド、重力及び地磁気についての詳細な扱いはしないこと。(イ)については、地球の自転及び公転とその証拠並びに惑星の運動を中心に扱うこと。イの(ア)については、地球に及ぼす影響にも触れ、核融合反応については概略にとどめること。(イ)及び(ウ)については、HR図を中心に平易に扱うこと。

イ  内容の(2)のアについては、水の三態変化や各種の気象及び地形の変化が太陽の放射エネルギーを原動力として起きていることを地球的規模で扱うこと。(イ)については、大気中の水及び風の吹き方を中心に扱い、日本の気象にも触れること。イの(ア)については、地球内部の構造、物質及び状態を中心に扱い、プレートの概念についても触れること。(イ)については、岩石を中心に扱い、鉱物については主要なものにとどめ、結晶系は扱わないこと。(ウ)については、地殻の熱流量、地震及び火山活動を中心に扱い、そのエネルギー源については平易に扱うこと。

ウ  内容の(3)のアの(イ)については、年代測定の意義を中心に扱うこと。イについては、地殻及び古生物の進化を中心に扱い、原始の地球には深入りしないこと。イの(ア)については、岩石の相互関係や変形、現在及び地質時代の地殻の変動を中心に扱うこと。(イ)については、代表的な示準化石や生物の大進化を中心に扱うにとどめること。(ウ)については、プレートの動きによって説明される主要な地学現象を平易に扱うにとどめること。

第13 地学II
1  目標
  地学的な事物・現象についての観察、実験や課題研究などを行い、地学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則の理解を深め、科学的な自然観を育成する。

2  内容
(1)  地球の活動
ア  地球の進化
(ア)  原始の地球
(イ)  プレートの動き
イ  地球の環境
(ア)  地球に働く力
(イ)  高層の大気
ウ  日本列島の変遷
(ア)  島弧としての日本列島
(イ)  日本列島の歴史

(2)  宇宙の構成
ア  銀河系
(ア)  銀河系の構造
(イ)  銀河系の運動
イ  銀河
(ア)  銀河の形状
(イ)  宇宙の進化

(3)  課題研究
ア  特定の地学的事象に関する探究活動
イ  自然環境についての調査

3  内容の取扱い
(1)  内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア  「地学IB」との関連を考慮しながら、地学の基本的な概念の形成を図るとともに、地学的に探究する方法の習得を通して、科学的な思考力、判断力及び表現力を育成すること。
イ  内容の(3)については、ア及びイの中から1以上の適当な課題を設けて研究を行い、創意ある研究報告書を作成させるとともに、研究を行うに当たっては、仮説の設定、推論、分類、測定、数的処理、データの解釈、資料の活用など、地学的に探究する方法を習得させ、問題解決の能力を育成すること。その際、解決すべき課題についての情報の検索、分析、結果の集計・処理などに、適宜コンピュータなどを活用させること。

(2)  内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
ア  内容の(1)のアの(ア)については、地球の誕生を中心に扱い、太陽系の起源及び生命の起源にも触れること。(イ)については、大陸移動説から海洋底拡大説、プレートテクトニクス説へと発展した過程も扱うこと。イの(ア)については、重力異常及び地磁気の変化にも触れること。(イ)については、偏西風波動を中心に地上の天気と関連させて扱うこと。ウの(ア)については、日本列島の地球上における地学的特徴を扱うこと。
イ  内容の(2)のアの(ア)については、恒星や星間ガスの空間分布並びに銀河系の構造と大きさに触れる程度にとどめること。イの(ア)については、銀河の形状と種類、距離と分布を中心に扱う程度にとどめること。
ウ  内容の(3)については、内容の(1)、(2)及び「地学IB」と関連させて扱うこと。アについては、地学的な事象に関する発展的、継続的な観察、実験を行うこと。イについては、自然環境に関する地学的調査を行うこと。


第3款  各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1  指導計画の作成に当たっては、「物理II」、「化学II」、「生物II」及び「地学II」の各科目については、原則として、それぞれに対応するIBを付した科目を履修した後に履修させるものとする。

2  内容の取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)  観察、実験、野外調査などの指導に当たっては、特に、事故防止について十分留意するとともに、生命の尊重や自然環境の保全に関する態度の育成に留意すること。また、使用薬品などの管理及び廃棄についても適切な措置を講ずること。
(2)  環境問題や科学技術の進歩と人間生活にかかわる内容等については、自然科学的な見地から取り扱うこと。

第6節  保健体育

第1款  目標
  健康・安全や運動についての理解と運動の合理的な実践を通して、計画的に運動をする習慣を育てるとともに、健康の増進と体力の向上を図り、明るく豊かで活力のある生活を営む態度を育てる。


第2款  各科目

第1  体育
1  目標
  各種の運動の合理的な実践を通して、運動技能を高め、強健な心身の発達を促すとともに、公正、協力、責任などの態度を育て、生涯を通じて継続的に運動ができる能力と態度を育てる。

2  内容
A  体操
(1)  自己の体力や生活に応じて、次の体操を構成し、活用することができるようにする。
ア  体力を高めるための体操
イ  スポーツの技能を高めるための体操
ウ  健康増進のための体操
(2)  互いに協力して、計画的に運動ができるようにする。

B  器械運動
(1)  次の運動の技能を高め、技が円滑にできるようにする。
ア  マット運動
イ  鉄棒運動
ウ  平均台運動
エ  跳び箱運動う
(2)  器械・器具を点検し、安全に留意して練習や発表ができるようにする。

C  陸上競技
(1)  次の運動の技能を高め、競技したり、記録を高めたりすることができるようにする。
ア  競走
イ  跳躍
ウ  投てき
(2)  勝敗に対して公正な態度がとれるようにする。
(3)  自己の身体の調子や練習場などの安全を確かめ、健康・安全に留意して練習や競技ができるようにする。

D  水泳
(1)  次の運動の技能を高め、速く、長く泳ぐことができるようにする。
ア  クロール
イ  平泳ぎ
ウ  背泳ぎ
エ  バタフライ
オ  横泳ぎ
(2)  水泳の事故防止に関する心得を守り、健康・安全に留意して練習や競泳ができるようにする。

E  球技
(1)  次の運動の技能を高め、作戦を立て、それに応じた攻防の仕方を工夫してゲームができるようにする。
ア  バスケットボール
イ  ハンドボール
ウ  サッカー
エ  ラグビー
オ  バレーボール
カ  テニス
キ  卓球
ク  バドミントン
ケ  ソフトボール
(2)  チームにおける自己の役割を自覚して、その責任を果たし、練習やゲームができるようにする。

F  武道
(1)  次の運動の技能を高め、相手の動きに対応した攻防の仕方を工夫して練習や試合ができるようにする。
ア  柔道
イ  剣道
(2)  伝統的な行動の仕方に留意して、相手を尊重し、練習や試合ができるようにする。
(3)  禁じ技を用いないなど安全に留意して練習や試合ができるようにする。

G  ダンス
(1)  次の運動の技能を高め、感じを込めて踊ったり、みんなで楽しく踊ったりすることができるようにする。
ア  創作ダンス
イ  フォークダンス
(2)  グループで役割を分担し、練習や発表ができるようにする。

H  体育理論
(1)  体力トレーニングの方法と内容
  体力の測定の意義及び体力の向上を図るための運動強度、運動時間、運動回数などを加味した体操の構成の仕方や行い方などについて理解させる。
(2)  運動技能の構造と練習法
  各種の運動技能の構造や上達過程、運動技能の習熟の程度を把握する方法及び各種の運動技能を高めるための練習法などについて理解させる。
(3)  現代社会とスポーツ
  現代社会におけるスポーツの必要性について理解させるとともに、個人の生活、健康状態、年齢及び体力に応じた生涯スポーツの設計の仕方について理解させる。

3  内容の取扱い
(1)  内容のAからHまでの領域については、各学年において次のとおり取り扱うものとする。
ア  A及びHについては、すべての生徒に履修させること。
イ  B、C、D、E、F及びGについては、これらのうちから3又は4を選択して履修できるようにすること。その際、F又はGのいずれかを含むようにすること。

(2)  内容のAからGまでに示す事項については、各学年において次のとおり取り扱うものとする。
ア  Aに示す事項については、すべての生徒に履修させること。なお、Aの(2)の指導については、B、C、D、E、F及びGにおいても行うこと。
イ  Bの(1)の運動については、これらのうちから選択して履修できるようにすること。
ウ  Cの(1)の運動については、これらのうちから選択して履修できるようにすること。なおCの(2)の指導については、D、E及びFにおいても行うこと。
エ  Dの(1)の運動については、これらのうちから選択して履修できるようにすること。また、スタートの指導については、安全に十分留意すること。
オ  Eの(1)の運動については、これらのうちから2を選択して履修できるようにすること。
カ  Fの(1)の運動については、これらのうちから1を選択して履修できるようにすること。なお、地域や学校の実態に応じて、相撲、なぎなた、弓道などその他の武道についても履修させることができること。
キ  Gの(1)の運動については、これらのうちから選択して履修させることができること。なお、地域や学校の実態に応じて、その他のダンスについても履修させることができること。

(3)  内容のBからGまでの領域及び運動については、生徒が特性等に応じて、選択して履修できるようにするものとする。その際、内容のBからFまでの領域及び運動については、審判の仕方についても指導するものとする。

(4)  自然とのかかわりの深いスキー、スケートなどの指導については、地域や学校の実態に応じて積極的に行うことに留意するものとする。また、レスリングについても履修させることができるものとする。

(5)  内容のHに配当する授業時数は、体育の総授業時数の5〜10%とするものとする。

(6)  集合、整とん、列の増減、方向変換などの行動の仕方の指導については、内容のAからGまでの領域において適切に行うものとする。

第2  保健
1  目標
  個人及び集団の生活における健康・安全について理解を深めさせ、個人及び集団の健康を高める能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  現代社会と健康
  我が国の疾病構造や社会の変化に対応して、健康を保持増進するためには個人の適切な生活行動が重要であることを理解させる。
ア  健康の考え方
  我が国の健康水準の向上や疾病構造の変化に伴って、健康の考え方やその保持増進の方法も変化してきたことを理解させる。
イ  生活行動と健康
  健康を保持増進するためには、適切な食事、運動、休養が重要であることを理解させる。また、喫煙や飲酒、薬物乱用と健康との関係、医薬品の正しい使い方について理解させる。
ウ  精神の健康
  人間の精神と身体の密接な関連、人間の欲求と適応機制について理解させる。また、精神の健康を保持増進するためには、これらの考え方を踏まえて、自己実現を図るよう努力していくことが重要であることを理解させる。
エ  交通安全
  交通事故を防止するためには、交通環境の整備などの対策とともに個人の適切切な行動が重要であることを理解させる。
オ  救急処置
  心肺蘇生法等の応急処置の意義と方法について理解させる。

(2)  環境と健康
  環境と人間の健康とはかかわりがあること、このため環境の保全が重要であることを理解させる。
ア  環境の汚染と健康
  人間の生活や産業活動は、自然環境を汚染し、健康被害をもたらすこともあること、このためさまざまな対策がとられていることを理解させる。
イ  環境の調和と健康
  人間の健康には、自然環境の調和が重要であることを理解させる。

(3)  生涯を通じる健康
  生涯の各段階において健康についての課題があり、これに適切に対応することが必要であることを理解させる。
ア  家庭生活と健康
  健康な生活を営むためには、生涯の各段階の課題に応じた健康管理を行うことが必要であることを理解させる。
イ  職業と健康
  職業病や労働災害の防止には、作業形態や作業環境の変化を踏まえた健康管理及び安全管理を行うことが必要であることを理解させる。

(4)  集団の健康
  集団の健康を高めるための公衆衛生活動と保健・医療の制度について理解させる。
ア  疾病の予防活動
  伝染病や成人病については、さまざまな予防活動が行われていることを理解させる。
イ  環境衛生活動と食品衛生活動
  環境の整備を図るため上下水道の整備や一般廃棄物の処理が行われていること、また、食品の安全性の確保を図るため食品衛生活動が行われていることを理解させる。
ウ  保健・医療の制度
  国民の健康の保持増進を図るための保健・医療制度や世界保健機関等の国際活動について理解させる。

3  内容の取扱い
(1)  内容の(1)のウについては、大脳の機能、神経系及び分泌系の機能について必要に応じ関連付けて取り扱う程度とする。オについては、必要に応じ実習を行うものとする。また、呼吸器系及び循環器系の機能については必要に応じ関連付けて取り扱う程度とする。
(2)  内容の(2)のアについては、産業廃棄物とその処理についても取り扱うものとする。イについては、生態系の仕組みと健康を中心に取り扱うものとする。
(3)  内容の(3)のアについては、主として思春期と性、家族計画、母子保健、老人保健を取り扱うものとし、老人保健については、高齢化社会の問題も取り扱うものとする。また、生殖器系の機能については必要に応じ関連付けて取り扱う程度とする。


第3款  各科目にわたる指導計画の作成
1  第1章総則第1款の3に示す学校における体育に関する指導の趣旨を生かし、特別活動、運動部の活動などとの関連を図り、日常生活における体育的活動が適切かつ継続的に実践できるよう留意するものとする。

2  「体育」は、毎学年継続して履修できるようにし、各学年の単位数はなるべく均分して配当するものとする。なお、内容のAからGまでの領域に対する授業時数の配当については、その内容の習熟を図ることができるよう考慮するものとする。

第7節  芸術

第1款  目標
  芸術的な能力を伸ばし、美に対する感性を高めるとともに、生涯にわたって芸術を愛好する心情を育て、豊かな情操を養う。


第2款  各科目

第1  音楽I
1  目標
  音楽の諸活動を通して、創造的な表現の能力を伸ばし、鑑賞の能力を高めるとともに、音楽に対する豊かな感性と音楽を愛好する心情を養う。

2  内容
A  表現
  表現に関して、次の事項を指導する。
(1)  歌唱
ア  発声の基本
イ  視唱力の伸長
ウ  歌詞及び曲想の把握と表現の工夫
エ  合唱における基本と表現の工夫
(2)  器楽
ア 奏法の工夫
イ  視奏力の伸長
ウ  曲の構成及び曲想の把握と表現の工夫
エ  合奏における基本と表現の工夫
(3)  創作
ア  音楽の組立て方の把握と表現とのかかわり
イ  旋律に対する和音の工夫
ウ  簡単な歌曲や器楽曲の創作とその演奏
エ  いろいろな音素材による即興的表現

B  鑑賞
  鑑賞に関して、次の事項を指導する。
ア  声や楽器の特性と表現上の効果
イ  音楽の歴史の流れ
ウ  日本の伝統音楽の種類と特徴
エ  民族音楽の種類と特徴

3  内容の取扱い
(1)  内容のA及びBの指導に当たっては、中学校音楽との関連を十分考慮し、いずれか一方に偏ることのないようにするとともに、相互の関連を図るよう配慮するものとする。
(2)  音楽についての総合的な理解を深め、主体的な学習態度を育てるため、適切な課題を設定して学習することができる機会を設けるよう配慮するものとする。
(3)  内容のA及びBの教材については、地域や学校の実態を考慮し、郷土の音楽を含めて扱うよう配慮するものとする。
(4)  内容のAの(1)のイ及び(2)のイについては、単なる技術の練習に偏ることなく、他の事項との関連において総合的に扱うよう配慮するものとする。
(5)  内容のAの(3)については、ウ又はエのいずれかに重点を置いて扱うことができる。
(6)  内容のBのウについては、主として箏曲、三味線音楽(歌い物)、尺八音楽などを扱うよう配慮するものとする。
(7)  内容のBのエについては、アジア地域の民族音楽を含めて扱うよう配慮するものとする。

第2  音楽II
1  目標
  音楽の諸活動を通して、個性豊な表現の能力を伸ばし、鑑賞の能力を高めるとともに、音楽に対する豊かな感性と音楽を愛好する心情を育てる。

2  内容
A  表現
  表現に関して、次の事項を指導する。
(1)  歌唱
ア  声域の拡張と発声の工夫
イ  視唱力の充実
ウ  歌詞及び曲想の理解と個性豊かな表現
エ  合唱における豊かな表現
(2)  器楽
ア  奏法の習熟
イ  視奏力の充実
ウ  曲の構成及び曲想の把握と個性豊かな表現
エ  合奏における豊かな表現
(3)  創作
ア  編曲や作曲に関する基礎的知識と表現とのかかわり
イ  簡単な合唱曲や合奏曲の創作とその演奏
ウ  声や楽器の特性を生かした創作とその演奏
エ  いろいろな音素材による創作とその演奏

B  鑑賞
  鑑賞に関して、次の事項を指導する。
ア  楽曲の種類と形式
イ  音楽の様式の特徴と変遷
ウ  文化的背景に基づく日本の伝統音楽の特徴
エ  文化的背景に基づく民族音楽の特徴

3  内容の取扱い
(1)  内容のA及びBの指導に当たっては、相互の関連を図るように配慮するものとする。また、Aについては、生徒の特性や学校の実態を考慮し、(1)、(2)又は(3)のうちいずれかに重点をおいて扱うことができる。
(2)  内容の取扱いに当たっては、「音楽I」の3の(2)と同様に取り扱うものとする。
(3)  内容のA及びBの教材については、「音楽I」の3の(3)と同様に取り扱うものとする。
(4)  内容のAの(1)のイ及び(2)のイについては、「音楽I」の3の(4)と同様に取り扱うものとする。
(5)  内容のAの(3)については、イ、ウ又はエのうちいずれかに重点を置いて扱うことができる。
(6)  内容のBのウについては、主として三味線音楽(語り物)、能楽、琵琶楽などを扱うよう配慮するものとする。エについては、「音楽I」の3の(7)と同様に取り扱うものとする。

第3  音楽III
1  目標
  音楽の諸活動を通して、技能を高め、音楽的理解を深めるとともに、音楽に対する豊かな感性と音楽文化を尊重する態度を育てる。

2  内容
A  表現
  表現に関して、次の事項を指導する。
(1)  歌唱
ア  表現内容に応じた発声の工夫
イ  歌詞及び曲想を生かした創造的な表現
ウ  重唱・合唱における充実した表現
(2)  器楽
ア  表現内容に応じた奏法の工夫
イ  曲の構成及び曲想を生かした創造的な表現
ウ  重奏・合奏における充実した表現
(3)  創作
ア  合唱曲や合奏曲の創作及び編曲とその演奏
イ  即興的な演奏や自由な創造的表現

B  鑑賞
  鑑賞に関して、次の事項を指導する。
ア  音楽と他の芸術とのかかわり
イ  音楽と社会及び文化などとのかかわり
ウ  我が国及び諸外国における現代の音楽

3  内容の取扱い
(1)  生徒の特性や学校の実態を考慮し、内容のAの(1)、(2)、(3)又はBのうちいずれかを選択して扱うことができる。
(2)  内容の取扱いに当たっては、「音楽I」の3の(2)と同様に取り扱うものとする。
(3)  内容のA及びBの教材については、「音楽I」の3の(3)と同様に取り扱うものとする。また、Bについては、日本の伝統音楽及び民族音楽などを含めて扱うよう配慮するものとする。
(4)  内容のAの(3)については、ア又はイのいずれかに重点を置いて扱うことができる。

第4  美術I
1  目標
  美術の創造活動を通して、美的体験を豊かにし、表現と鑑賞の能力を伸ばすとともに、美術を愛好する心情を養う。

2  内容
A  表現
  表現に関して、次の事項を指導する。
(1)  絵画
ア  新鮮な見方や感動、想像による主題の把握
イ  色彩や形体などによる表し方の構想
ウ  多様な表現方法の工夫
エ  意図に応じた材料や用具の活用
(2)  彫刻
ア  新鮮な見方や感動、想像による主題の把握
イ  かたまりや面などによる表し方の構想
ウ  多様な表現方法の工夫
エ  意図に応じた材料や用具の活用
(3)  デザイン
ア  目的や条件を基にした主題の把握
イ  造形要素の理解と制作の構想
ウ  多様な表現方法の工夫
エ  意図に応じた材料や用具の活用

B  鑑賞
  鑑賞に関して、次の事項を指導する。
ア  美術作品のよさや美しさ
イ  作者の心情や意図と表現
ウ  伝統的な美術の表現の特質
エ  生活と美術との関連

3  内容の取扱い
(1)  内容のA及びBの指導に当たっては、中学校美術との関連を十分に考慮し、いずれか一方に偏ることのないようにするとともに、相互の関連を図るよう配慮するものとする。
(2)  内容のAの指導に当たっては、学校の実態に応じてコンピュータ等の機器の活用も考慮する。また、素材の選定から完成の喜びに至る過程において、主体的に追求する態度の育成にも配慮するものとする。
(3)  美術についての総合的な理解を深め、主体的な学習態度を育てるため、適切な課題を設定して学習することができる機会を設けるよう配慮するものとする。

第5  美術II
1  目標
  美術の創造活動を通して、美的感覚を洗練し、表現と鑑賞の能力を高めるとともに、美術についての理解を深め、美術を愛好する心情を育てる。

2  内容
A  表現
  表現に関して、次の事項を指導する。
(1)  絵画
ア  主体的な主題の把握
イ  意図に応じた表し方の構想
ウ  材料や用具の選択と活用、表現の工夫
(2)  彫刻
ア  主体的な主題の把握
イ  意図に応じた表し方の構想
ウ  材料や用具の選択と活用、表現の工夫
(3)  デザイン
ア  目的や条件を基にした主題の把握
イ  効果的、美的な表し方の構想
ウ  材料や用具の選択と活用、表現の工夫

B  鑑賞
  鑑賞に関して、次の事項を指導する。
ア  時代、民族、風土などの相違による美術のよさや美しさ
イ  作者の意図と表現
ウ  自然と造形作品との調和

3  内容の取扱い
(1)  「美術I」の「3  内容の取扱い」と同様に取り扱うものとする。
(2)  内容のAの指導に当たっては、生徒の特性、地域や学校の実態を考慮し、(1)、(2)又は(3)のうちいずれかを選択して扱うことができる。

第6  美術III
1  目標
  美術の創造活動を通して、表現と鑑賞の能力を一層高めるとともに、美術についての理解を深め、美術文化を尊重する態度を育てる。

2  内容
A  表現
  表現に関して、次の事項を指導する。
(1)  絵画
ア  主題の把握と構想
イ  素描、水彩画、版画などによる表現の工夫
(2)  彫刻
ア  主題の把握と構想
イ  彫塑、塑造などによる表現の工夫
(3)  デザイン
ア  主題の把握と構想
イ  多様な表現材料や方法による表現の工夫

B  鑑賞
  鑑賞に関して、次の事項を指導する。
ア  文化遺産としての美術の特色
イ  美術と社会及び人間の生き方との関連
ウ  美術が国際間の理解や協調に果たす役割

3  内容の取扱い
  「美術II」の「3  内容の取扱い」と同様に取り扱うものとする。

第7  工芸I
1  目標
  工芸の創造活動を通して、美的体験を豊かにし、表現と鑑賞の能力を高めるとともに、生活を豊かにするために工夫する態度を育て、工芸を愛好する心情を養う。

2  内容
A  表現
  表現に関して、次の事項を指導する。
(1)  工芸のデザイン
ア  目的や条件を基にした主題の把握
イ  美的秩序を意図したデザインの工夫
ウ  材料、技法、構造及び手順を考えた構想
エ  スケッチ、図、模型などによるデザインの吟味
(2)  工芸の制作
ア  材料の特性を基にした創作の構想
イ  伝統的な工芸のよさを生かした制作の工夫
ウ  材料や用具の活用

B  鑑賞
  鑑賞に関して、次の事項を指導する。
ア  工芸作品のよさや美しさ
イ  作者の意図と表現技法
ウ  伝統的な工芸の特質
エ  生活と工芸との関連

3  内容の取扱い
(1)  内容のA及びBの指導に当たっては、中学校美術との関連を十分考慮し、いずれか一方に偏ることのないようにするとともに、相互の関連を図るよう配慮するものとする。
(2)  内容のAの材料などについては、地域の材料などを取り上げることにも配慮するものとする。
(3)  内容のAの指導に当たっては、学校の実態に応じてコンピュータ等の機器の活用も考慮する。また、素材の選定から完成の喜びに至る過程において、主体的に追求する態度の育成にも配慮するものとする。
(4)  工芸についての総合的な理解を深め、主体的な学習態度を育てるため、適切な課題を設定して学習することができる機会を設けるよう配慮するものとする。第8  工芸II

第8  工芸II
1  目標
  工芸の創造活動を通して、造形感覚を洗練し、表現と鑑賞の能力を伸ばすとともに、工芸についての理解を深め、工芸を愛好する心情を育てる。

2  内容
A  表現
  表現に関して、次の事項を指導する。
(1)  工芸のデザイン
ア  目的や機能を基にした構想
イ  美的秩序を意図したデザインの工夫
ウ  スケッチ、図、模型などによるデザインの吟味
(2)  工芸の制作
ア  材料の特性を生かした構想
イ  材料や用具の選択と活用
ウ  制作の吟味

B  鑑賞
  鑑賞に関して、次の事項を指導する。
ア  時代、民族、風土などの相違による工芸のよさや美しさ
イ  作者の意図と表現技法
ウ  工芸と自然及び生活環境の構成との関連

3  内容の取扱い
(1)  「工芸I」の「3  内容の取扱い」と同様に取り扱うものとする。
(2)  内容のAの指導に当たっては、生徒の特性、地域や学校の実態を考慮し、特定の用途や材料によって指導することができる。

第9  工芸III
1  目標
  工芸の創造活動を通して、表現と鑑賞の能力を一層高めるとともに、工芸についての理解を深め、美術文化を尊重する態度を育てる。

2  内容
A  表現
  表現に関して、次の事項を指導する。
(1)  工芸のデザイン
ア  機能、形体、素材の追求
イ  生活環境の美的構成を意図した構想
(2)  工芸の制作
ア  制作の構想
イ  材料や用具の選択と活用

B  鑑賞
  鑑賞に関して、次の事項を指導する。
ア  文化遺産としての工芸の特色
イ  工芸と社会及び人間の生き方との関連
ウ  工芸が国際間の理解や協調に果たす役割

3  内容の取扱い
  「工芸II」の「3  内容の取扱い」と同様に取り扱うものとする。

第10  書道I
1  目標
  書道の諸活動を通して、書写能力を高め、表現と鑑賞の基礎的な能力と態度を育てるとともに、書を愛好する心情を養う。

2  内容
A  表現
  表現に関して、次の事項を指導する。
(1)  漢字の書
ア  主な用具・用材とその扱い方
イ  基本的な用筆・運筆による点画や線質の表し方
ウ  字形の構成、全体の構成
エ  臨書の意義と初歩的な創作
オ  意図に基づく表現の構想とその達成
(2)  仮名の書
ア  主な用具・用材とその扱い方
イ  基本的な用筆・運筆による線質の表し方
ウ  単体、平易な連綿と全体の構成
エ  臨書の意義と初歩的な創作
オ  意図に基づく表現の構想とその達成
(3)  漢字仮名交じりの書
ア  主な用具・用材とその扱い方
イ  漢字と仮名の調和に適した線質、字形、文字の大きさ及び全体の構成
ウ  目的や用途に即した形式と表し方
エ  意図に基づく表現の構想とその達成

B  鑑賞
  鑑賞に関して、次の事項を指導する。
ア  書の美の直観的把握
イ  書の美を構成する基本的要素の把握
ウ  身辺の書への関心、日常生活における書の効用
エ  漢字の書体、仮名の成立

3  内容の取扱い
(1)  内容のA及びBの指導に当たっては、相互の関連を図るように配慮するものとする。
(2)  内容のAの指導に当たっては、漢字は楷書及び行書とし、仮名は平仮名及び平易な変体仮名とする。なお、生徒の特性、地域や学校の実態を考慮して、平易な隷書及び篆刻を加えることもできる。
(3)  内容のAの(1)及び(2)については、臨書及び創作を通して指導するものとする。また、(3)については、日常生活における目的や用途に応じて硬筆も取り上げるものとする。
(4)  内容のAの(1)のオ、(2)のオ及び(3)のエについては、表現の構想から完成の喜びに至る過程の指導を通して、主体的に追求する態度の育成にも配慮するものとする。

第11  書道II
1  目標
  書道の諸活動を通して、創造的な表現の能力と鑑賞の能力を伸ばすとともに、書の理論や伝統を理解させ、書を愛好する心情を育てる。

2  内容
A  表現
  表現に関して、次の事項を指導する。
(1)  漢字の書
ア  用具・用材の用い方の工夫、墨色の生かし方
イ  書体や書風に即した用筆・運筆による点画や線質の表し方
ウ  表現形式に応じた字形の構成、全体の構成
エ  臨書と創作との関連
オ  感興や意図に応じた素材の選定、表現の構想と吟味及び達成
(2)  仮名の書
ア  用具・用材の用い方の工夫、墨色の生かし方
イ  連綿や散らし書きによる全体の構成
ウ  臨書と創作との関連
エ  感興や意図に応じた素材の選定、表現の構想と吟味及び達成
(3)  漢字仮名交じりの書
ア  用具・用材の用い方の工夫、墨色の生かし方
イ  漢字と仮名の調和、形式に応じた全体の構成
ウ  名筆の鑑賞に基づく表現の工夫
エ  感興や意図に応じた素材の選定、表現の構想と吟味及び達成

B  鑑賞
  鑑賞に関して、次の事項を指導する。
ア  書の美の直観的把握、諸要素の分析的把握
イ  書の美と時代、風土、筆者の個性などとの関連
ウ  表現形式と表現効果
エ  書の変遷、書の現代的意義

3  内容の取扱い
(1)  内容のA及びBの指導に当たっては、相互の関連を図るよう配慮するものとする。
(2)  内容のAの指導に当たっては、漢字は楷書、行書、草書、隷書及び篆書とし、仮名は平仮名及び変体仮名とする。また、篆刻も指導するものとし、刻字を加えることもできる。
(3)  内容のAの(1)及び(2)については、臨書及び創作を通して指導するものとする。
(4)  内容のAのうち、(2)又は(3)については、生徒の特性、地域や学校の実態を考慮して、いずれかを選択して扱うことができる。
(5)  内容のAの(1)のオ、(2)のエ及び(3)のエについては、素材の選定から完成の喜びに至る過程の指導を通して、主体的に追求する態度の育成にも配慮するものとする。

第12  書道III
1  目標
  書道の諸活動を通して、個性豊かな表現の能力と鑑賞の能力を高めるとともに、書の文化と伝統を尊重する態度を育てる。

2  内容
A  表現
  表現に関して、次の事項を指導する。
(1)  漢字の書
ア  臨書による書の伝統の理解と書体の特色を生かした表現への深化
イ  主体的な構想に基づく創造的、個性的な表現への集中と達成
(2)  仮名の書
ア  臨書による仮名の書の伝統の理解と表現への深化
イ  我が国の書の特色を生かした創造的、個性的な表現への集中と達成
(3)  漢字仮名交じりの書
ア  素材に即した効果的な表現、日常生活に生かす工夫
イ  漢字と仮名を調和させた創造的、個性的な表現への集中と達成

B  鑑賞
  鑑賞に関して、次の事項を指導する。
ア  書の美の多様性と作品の特徴
イ  書と文化とのかかわり
ウ  書論による書の理解と鑑賞の深化

3  内容の取扱い
(1)  内容のA及びBの指導に当たっては、生徒の特性、地域や学校の実態を考慮して、(1)、(2)又は(3)のうちいずれかを選択して扱うことができる。また、臨書又は創作のいずれかを目的に応じて重点的に扱うこともできる。
(2)  書についての総合的な理解や技能を高め、主体的な学習態度を育てるため、必要に応じて、適切な課題を設定して学習することができる機会を設けるよう配慮するものとする。


第3款  各科目にわたる指導計画の作成
1  芸術科のIを付した科目は、音楽、美術、工芸及び書道に関する各科目のうち、最初に履修させるものとする。
2  IIを付した科目は、音楽、美術、工芸及び書道にのそれぞれに対応するIを付した科目を履修した後に履修させるものとする。
3  IIIを付した科目は、音楽、美術、工芸及び書道にのそれぞれに対応するIIを付した科目を履修した後に履修させるものとする。

第8節  外国語

第1款  目標
  外国語を理解し、外国語で表現する能力を養い、外国語で積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育てるとともに、言語や文化に対する関心を高め、国際理解を深める。


第2款  各科目

第1  英語I
1  目標
  話し手や書き手の意向などを理解し、自分の考えなどを英語で表現する基礎的な能力を養うとともに、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育てる。

2  内容
(1)  言語活動
  英語を理解し、英語で表現する能力と態度を養うため、次の言語活動を行わせる。
ア  聞くこと
  次の事項について指導する。
(ア)  話されたり、読まれたりする内容を聞き取ること。
(イ)  まとまりのある文章の概要や要点を聞き取ること。
(ウ)  内容を聞き取りながら、自分の考えなどをまとめること。
イ  話すこと
  次の事項について指導する。
(ア)  聞いた内容について、場面や目的に応じて問答すること。
(イ)  読んだ内容について、自分の考えなどを話すこと。
(ウ)  話そうとする内容を理解して、大事なことを落とさないように話すこと。
ウ  読むこと
  次の事項について指導する。
(ア)  文や文章の内容を考えながら、黙読し、音読すること。
(イ)  まとまりのある文章の概要や要点を読み取ること。
(ウ)  まとまりのある文章をできるだけ多く、速く読み取ること。
(エ)  文や文章の内容が表現されるように音読すること。
エ  書くこと
  次の事項について指導する。
(ア)  文や文章を聞いて書き取ること。
(イ)  聞いた内容について、その概要や要点を書くこと。
(ウ)  読んだ内容について、その概要や要点を書くこと。
(エ)  書こうとする内容を整理して、大事なことを落とさないように書くこと。

(2)言語材料
ア  (1)の言語活動については、原則として、中学校学習指導要領(平成元年文部省告示第25号)第2章第9節第2の別表1に示す英語の言語材料(以下「中学校の言語材料」という。)及び「第7  ライティング」の後に示す[英語言語材料](以下「高等学校の言語材料」という。)のうちから、1の目標を達成するのにふさわしいものを適宜用いて行わせる。なお、言語材料は、現代の標準的な英語によるものとする。
イ  語は、中学校で学習した語に、500 語程度までの新語を加えるものとし、連語は基本的なものを選択して指導する。

3  内容の取扱い
(1)  聞くこと、話すこと、読むこと及び書くことの言語活動については、いずれかの活動に偏ることがないようにする。
(2)  生徒の実態に応じて、中学校における基礎的学習事項を整理して、反復指導するなど、それらに習熟させるよう配慮するものとする。
(3)  辞書の使い方を指導し、効果的に利用させるよう配慮するものとする。
(4)  音声指導の補助として、発音表記を用いて指導するよう配慮するものとする。
(5)  場面や目的に応じて、視聴覚教材を利用して指導するよう配慮するものとする。
(6)  英語を初めて履修させる場合などにおいては、内容の2の (1 )に示す言語活動は、原則として、中学校の言語活動によって行うこととし、高等学校の言語材料は、生徒の実態等に応じ、適宜取り上げるものとする。

第1  英語II
1  目標
  話し手や書き手の意向などを理解し、自分の考えなどを英語で表現する基礎的な能力を伸ばすとともに、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育てる。

2  内容
(1)  言語活動
  1の目標に基づき、「英語I」に示す言語活動を行わせる。
(2)  言語材料
ア  (1)の言語活動については、原則として、中学校の言語材料及び高等学校の言語材料のうちから1の目標を達成するのにふさわしいものを適宜用いて行わせる。なお、言語材料は、現代の標準的な英語によるものとする。
イ  語は、「英語I」の2の(2)のイに示す新語の数に500 語程度までの新語を加えるものとし、連語は基本的なものを選択して指導する。

3  内容の取扱い
  「英語I」の「3  内容の取扱い」と同様に取り扱うものとする。

第3  オーラル・コミュニケーションA
1  目標
  身近な日常生活の場面で相手の意向などを聞き取り、自分の考えなどを英語で話す能力を養うとともに、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育てる。

2  内容
(1)  言語活動
  聞くこと及び話すことの言語活動を行わせるため、次の事項について指導する。
ア  自然な口調で話されたり、読まれたりする内容を聞き取ること。
イ  平易な表現で自分の考えなどを相手に話すこと。
ウ  身近な事柄について場面や目的にふさわしい表現で話し合うこと。

(2)言語材料
ア  (1)の言語活動については、原則として、中学校の言語材料及び高等学校の言語材料のうちから1の目標を達成するのにふさわしいものを適宜用いて行わせる。なお、言語材料は、現代の標準的な英語によるものとする。
イ  語は、「英語II」の2の(2)のイの範囲内で、1の目標を達成するのにふさわしいものを適宜選択し、連語は基本的なものを選択して指導する。

3  内容の取扱い
(1)  話すこと及び聞くことの言語活動については、いずれかの活動に偏ることがないようにする。
(2)  感想、感情などを表わす効果的な表現を指導するよう配慮するものとする。
(3)  言語活動の指導に当たっては、例えば、学校、家庭、社会における日常的な場面を設定し、様々な話題を取り上げるなどの工夫をするものとする。

第4  オーラル・コミュニケーションB
1  目標
  話し手の意向などを聞き取る能力を養うとともに、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育てる。

2  内容
(1)  言語活動
  聞くこと及び話すことの言語活動を行わせるため、次の事項について指導する。
ア  自然な口調で話されたり、読まれたりする内容を聞き取ること。
イ  まとまりのある文章の概要や要点を聞き取ること。
ウ  聞き取った内容について、自分の考えなどを整理して話すこと。

(2)言語材料
ア  (1)の言語活動については、原則として、中学校の言語材料及び高等学校の言語材料のうちから1の目標を達成するのにふさわしいものを適宜用いて行わせる。なお、言語材料は、現代の標準的な英語によるものとする。
イ  語は、「英語II」の2の(2)のイの範囲内で、1の目標を達成するのにふさわしいものを適宜選択し、連語は基本的なものを選択して指導する。

3  内容の取扱い
(1)  聞くことについては、場面や目的に応じて段階的に指導するものとする。
(2)  聞き取った内容についての確認や賛否などを表わす効果的な表現を指導するよう配慮するものとする。
(3)  言語活動の指導を当たっては、例えば、説明、スピーチ、朗読、放送などの場面を設定し、様々な話題を取り上げるなどの工夫をするものとする。

第5  オーラル・コミュニケーションC
1  目標
  自分の考えなどを整理して発表したり、話し合う能力を養うとともに、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育てる。

2  内容
(1)  言語活動
  聞くこと及び話すことの言語活動を行わせるため、次の事項について指導する。
ア  伝えようとする内容を整理し、大事なことを効果的に話すこと。
イ  相手の意向などを理解し、適切に応じること。
ウ  話合いの場面や目的に応じ、自分の考えなどを積極的に表現すること。
(2)言語材料
ア  (1)の言語活動については、原則として、中学校の言語材料及び高等学校の言語材料のうちから1の目標を達成するのにふさわしいものを適宜用いて行わせる。なお、言語材料は、現代の標準的な英語によるものとする。
イ  語は、「英語II」の2の(2)のイの範囲内で、1の目標を達成するのにふさわしいものを適宜選択し、連語は基本的なものを選択して指導する。

3  内容の取扱い
(1)  提案、主張、論証などを表わす効果的な表現を指導するよう配慮するものとする。
(2)  言語活動の指導に当たっては、例えば、レシテーション、スピーチ、ディスカッション、ディベートなどの場面を設定し、様々な話題を取り上げるなどの工夫をするものとする。

第6  リーディング
1  目標
  書き手の意向などを読み取る能力を一層伸ばすとともに、英語を理解しようとする積極的な態度を育てる。

2  内容
(1)  言語活動
  読むことの言語活動を行わせるため、次の事項について指導する。
ア  まとまりのある文章の概要や要点を読み取ること。
イ  目的に応じて文章の内容を整理し読み取ること。
ウ  内容を読み取って、それについて自分の考えなどを話したり、書いたりすること。
エ  文章の内容に応じて適切に音読すること。

(2)  言語材料
ア  (1)の言語活動については、原則として、中学校の言語材料及び高等学校の言語材料のうちから1の目標を達成するのにふさわしいものを適宜用いて行わせる。なお、言語材料は、現代の標準的な英語によるものとする。
イ  語は、「英語I」の2の(2)のイに示す新語の数に、900 語までの新語を加えるものとし、連語は基本的なものを選択して指導する。

3  内容の取扱い
(1)  言語材料の理解だけにとどめず、内容の把握を重視して指導するものとする。
(2)  文章や段落の構成、文脈の展開などを踏まえて読み取るよう指導するものとする。

第7  ライティング
1  目標
  自分の考えなどを的確に書く能力を一層伸ばすとともに、英語で表現しようとする積極的な態度を育てる。

2  内容
(1)  言語活動
  書くことの言語活動を行わせるため、次の事項について指導する。
ア  聞いたり、読んだりした内容について、その概要や要点を書くこと。
イ  聞いたり、読んだりした内容について、自分の考えなどを整理して書くこと。
ウ  書こうとする内容を整理して、大事なことを落とさないように書くこと。

(2)  言語材料
ア  (1)の言語活動については、原則として、中学校の言語材料及び高等学校の言語材料のうちから1の目標を達成するのにふさわしいものを適宜用いて行わせる。なお、言語材料は、現代の標準的な英語によるものとする。
イ  語は、「英語II」の2の(2)のイの範囲内で、1の目標を達成するのにふさわしいものを適宜選択し、連語は基本的なものを選択して指導する。

3  内容の取扱い
(1)  目的に応じて、適切に書けるよう指導するものとする。その際、書く過程を重視し、文章の構成や展開などに留意して指導するものとする。
(2)  平易な表現を使って、ある程度まとまった量の文章が書けるように指導するものとする。

〔英語言語材料〕
ア  文型
(ア)  主語+動詞+補語の文型のうち、動詞がbe動詞以外の動詞で補語が現在分子及び過去分子である場合、動詞がbe動詞で補語がwhatなど及びthatで始まる節、並びにif又はwhether   で始まる節である場合
(イ)  主語+動詞+目的語の文型のうち、目的語がif又はwhether で始まる節である場合
(ウ)  主語+動詞+間接目的語+直接目的語の文型のうち、直接目的語がwhatなど及びthatで始まる節並びにif又はwhether で始まる節である場合
(エ)  主語+動詞+目的語+補語の文型のうち、補語が現在分詞、過去分詞及び原形不定詞である場合
(オ)  その他の文型
a  It+beなど+〜+thatなどで始まる節
b  主語+seemなど+不定詞
c  It+seemなど+thatで始まる節

イ 文法事項
(ア)  不定詞の副詞的用法
(イ)  関係代名詞の用法
(ウ)  関係副詞の用法
(エ)  代名詞のうち、itが名詞用法の句及び節を指すもの
(オ)  動詞の時制のうち、現在完了進行形、過去完了形、過去完了進行形、未来進行形及び未来完了形
(カ)  受身の形のうち未来形
(キ)  仮定法のうち基本的なもの
(ク)  分詞構文のうち基本的なもの

第8  ドイツ語
1  目標
  「英語II」の目標に準ずるものとする。

2  内容
(1)  言語活動
  「英語II」の言語活動に準ずるものとする。

(2)  言語材料
  (1)の言語活動は、原則として、中学校学習指導要領第2章第9節第2の別表3に示すドイツ語の言語材料及び次の言語材料のうちから1の目標を達成するのにふさわしいものを適宜用いて行わせる。なお、言語材料は現代の標準的なドイツ語によるものとする。
ア  文
(ア)  平叙文、疑問文、命令文及び感嘆文
(イ)  基本的な配語
(ウ)  主文と副文及び配語
イ  文法事項
(ア)  名詞の性、数・格の概念及びその変化
(イ)  冠詞及び冠詞類の変化と用法
(ウ)  代名詞の種類及び変化と用法
(エ)  形容詞の種類及び変化と用法
(オ)  数詞の種類及び用法
(カ)  動詞及び助動詞の基本的な形式と用法
(キ)  不定詞、過去分詞及び現在分詞の基本的な形式と用法
(ク)  前置詞の格支配と種類及び用法
(ケ)  副詞の種類及び用法
(コ)  接続詞の種類及び用法
(サ)  受動態の基本的な形式と用法
(シ)  接続法の基本的な形式と用法
ウ  語及び熟語
(ア)  1,400 語から1,900 語までの新語。なお、中学校学習指導要領第2章第9節のドイツ語に示すおよそ1,000 語以外の運用度の高いものとする。
(イ)  (ア)の単語を用いて容易に作られる複合語
(ウ)  基本的な熟語

3  内容の取扱い
(1)  聞くこと、話すこと、読むこと及び書くとの言語活動については、いずれかの活動に偏ることがないようにする。
(2)  中学校における基礎的学習事項を整理して、それらに一層習熟させるようにする。
(3)  辞書の使い方を指導し、効果的に利用させるよう配慮するものとする。
(4)  音声指導の補助として、発音標記を用いて指導するよう配慮するものとする。
(5)  視聴覚教材やLL教室等を利用して正しい発音に触れる機会を与えるよう配慮するものとする。
(6)  ドイツ語を初めて履修させる場合は、上記2の内容のうちから、最も基本的なものを選択して指導するものとする。

第9  フランス語
1  目標
  「英語II」の目標に準ずるものとする。

2  内容
(1)  言語活動
  「英語II」の言語活動に準ずるものとする。
(2)  言語材料
  (1)の言語活動は、原則として、中学校学習指導要領第2章第9節第2の別表4に示すフランス語の言語材料及び次の言語材料のうちから1の目標を達成するのにふさわしいものを適宜用いて行わせる。なお、言語材料は現代の標準的なフランス語によるものとする。
ア  文
(ア)  単文、重文及び複文
(イ)  平叙文、疑問文、命令文及び感嘆文
イ  文法事項
(ア)  冠詞の種類、縮約、省略及び用法
(イ)  名詞の種類、語形変化及び用法
(ウ)  代名詞の種類、語形変化及び用法
(エ)  形容詞の種類、語形変化及び用法
(オ)  動詞の種類、時制、活用及び用法
(カ)  前置詞の種類及び用法
(キ)  副詞の種類及び用法
(ク)  接続詞の種類及び用法
(ケ)  間投詞の種類及び用法
(コ)  文の要素及び語順
ウ  語及び熟語
(ア)  1,400 語から1,900 語までの新語。なお、中学校学習指導要領第2章第9節のフランス語に示すおよそ1,000 語以外の運用度の高いものとする。
(イ)  (ア)の単語を用いて容易に作られる複合語
(ウ)  基本的な熟語

3  内容の取扱い
(1)  聞くこと、話すこと、読むこと及び書くことの言語活動については、いずれかの活動に偏ることのないようにする。
(2)  中学校における基礎的学習事項を整理して、それらに一層習熟させるようにする。
(3)  辞書の使い方を指導し、効果的に利用させるよう配慮するものとする。
(4)  音声指導の補助として、発音標記を用いて指導するよう配慮するものとする。
(5)  視聴覚教材やLL教室等を利用して正しい発音に触れる機会を与えるよう配慮するものとする。
(6)  フランス語を初めて履修させる場合は、上記2の内容のうちから、最も基本的なものを選択して指導するものとする。


第3款  各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1  指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)  「英語II」、「リーディング」及び「ライティング」は、「英語I」を履修した後に履修させること。
(2)  「オーラル・コミュニケーションA」、「オーラル・コミュニケーションB」及び「オーラル・コミュニケーションC」については、少なくとも1科目を履修させるよう留意すること。

2  内容の取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)  教材は、その外国語を日常使用している人々を中心とする世界の人々及び日本人の日常生活、風俗習慣、物語、地理、歴史などに関するもののうちから、生徒の心身の発達段階及びその興味や関心に即して適切な題材を変化をもたせて取り上げるものとする。その際には、外国語の理解力と表現力を育成することをねらいとしながら、次のような観点に留意する必要があること。
ア  広い視野から国際理解を深め、国際社会に生きる日本人としての自覚を高めるとともに、国際協調の精神を養うのに役立つこと。
イ  言語や文化に対する関心を高め、これらを尊重する態度を育てるとともに、豊かな心情を養うのに役立つこと。
ウ  世界や我が国の生活や文化についての理解を深め、国際的な視野を拡げ、公正な判断力を養うのに役立つこと。
  また、題材の形式としては、説明文、対話文、物語、劇、詩、手紙などのうちから適切に選択すること。
(2)  個人別、小集団別の指導を生かし、また、視聴覚教材などを活用して、生徒の能力や適性などに応ずるよう工夫をすること。また、ネイティブ・スピーカーの協力を得るなどして、生徒のコミュニケーション能力を育成するとともに、国際理解を深めるよう努めること。

第9節  家庭

第1款  目標
  家庭生活の各分野に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ、家庭生活の意義を理解させるとともに、家庭生活及び関連する職業に必要な能力と主体的、実践的な態度を育てる。


第2款  各科目

第1  家庭一般
1  目標
  衣食住、家族、保育などに関する基礎的・基本的な知識と技術を家庭経営の立場から総合的、体験的に習得させ、家庭生活の充実向上を図る能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  家族と家庭生活
ア  家庭の機能と家族関係
イ  家族の生活と家庭経営
ウ  生活設計
エ  高齢者の生活と福祉
(2)  家庭経済と消費
ア  家庭の経済生活
イ  消費生活と消費者としての自覚
ウ  生活情報の活用
(3)  衣生活の設計と被服製作
ア  被服の機能と着装
イ  被服材料と被服管理
ウ  被服製作
(4)  食生活の設計と調理
ア  家族の食事と栄養
イ  食品の特質と選択
ウ  献立と調理
(5)  住生活の設計と住居の管理
ア  住居の機能と住生活の設計
イ  居住性と住居の管理
(6)  乳幼児の保育と親の役割
ア  青年期の生き方と結婚
イ  母性の健康と生命の誕生
ウ  乳幼児の保育
エ  子供の人間形成と親の役割
(7)  ホームプロジェクトの実践と学校家庭クラブ活動

3  内容の取扱い
  細部にわたる事柄や程度の高い理論に深入りすることのないよう特に留意し、事例や実験・実習などを通して具体的に理解させるよう配慮するとともに、全体としてのまとまりを工夫し、特定の内容だけに偏らないようにする。

第2  生活技術
1  目標
  衣食住、家族、電気、機械、情報処理などに関する基礎的・基本的な知識と技術を生活を合理的に管理する立場から実践的、体験的に習得させ、家庭生活の充実向上を図る能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  家族と家庭生活
ア  家庭の機能と家族関係
イ  家族の生活と家庭経営
ウ  生活設計
エ  高齢者の生活と福祉
(2)  子供の成長と親の役割
ア  青年期の生き方と結婚
イ  乳幼児の成長と生活
ウ  親の役割と家庭教育
(3)  家庭経済と消費
ア  家庭の経済生活
イ  消費生活と消費者としての自覚
ウ  生活情報の活用
(4)  衣食住の生活管理と技術
ア  衣生活
イ  食生活
ウ  住生活
(5)  家庭生活と情報
ア  情報の収集と選択
イ  コンピュータの活用
ウ  家庭生活とコンピュータ
(6)  家庭生活と電気・機械
ア  家庭生活における電気・機械
イ  家庭用機器の機能と活用
ウ  家庭用機器の安全と管理
エ  家庭用機器の選び方
(7)  ホームプロジェクトの実践と学校家庭クラブ活動
(8)  家庭園芸
ア  生活と園芸
イ  野菜及び草花の栽培と利用
ウ  緑化環境の管理

3  内容の取扱い
(1)  学校においては、内容の(1)から(7)までを履修させるものとする。ただし、特に必要な場合には、内容の(5)又は(6)のいずれかは内容の(8)で替えることができる。
(2)  細部にわたる事柄や程度の高い理論に深入りすることのないよう特に留意し、事例や実験・実習などを通して具体的に理解させるよう配慮するとともに、全体としてのまとまりを工夫し、特定の内容だけに偏らないようにする。
(3)  内容の(5)の指導に当たっては、家庭生活と情報についての基本的事項を理解させ、コンピュータの基本的な操作を中心とした指導を行うよう配慮すること。
(4)  内容の(6)の指導に当たっては、家庭生活に広く用いられている家庭用機器を具体的に取り上げて指導を行い、電気・機械を適切に活用できるように工夫する。

第3  生活一般
1  目標
  衣食住、保育、家庭経済などに関する基礎的・基本的な知識と技術を家族の健康な生活を管理する立場から重点的、体験的に習得させ、家庭生活の充実向上を図る能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  家族と家庭生活
ア  家庭の機能と家族関係
イ  家族の生活と家庭経営
ウ  生活設計
エ  高齢者の生活と福祉
(2)  子供の成長と親の役割
ア  青年期の生き方と結婚
イ  乳幼児の成長と生活
ウ  親の役割と家庭教育
(3)  家庭経済と消費ア 家庭の経済生活
イ  消費生活と消費者としての自覚
ウ  生活情報の活用
(4)  家族の健康管理
ア  衣生活
イ  食生活
ウ  住生活
(5)  衣生活と被服製作
ア  服飾デザイン
イ  被服製作
ウ  手芸
(6)  食生活と調理
ア  食事の計画
イ  調理
(7)  住生活と住居の計画
ア  家族周期と住生活
イ  住居の設計
ウ  インテリアデザイン
(8)  乳幼児の保育
ア  母性の健康と生命の誕生
イ  乳幼児の発達と心理
ウ  乳幼児の生活と遊び
(9)  家庭生活と情報
ア  情報の収集と選択
イ  コンピュータの活用
ウ  家庭生活とコンピュータ
(10)  ホームプロジェクトの実践と学校家庭クラブ活動

3  内容の取扱い
(1)  内容の(5)から(9)までについては、それらのうちから2又は3を選択して履修させるものとする。
(2)  細部にわたる事柄や程度の高い理論に深入りすることのないよう特に留意し、事例や実験・実習などを通して具体的に理解させるよう配慮するとともに、全体としてのまとまりを工夫し、特定の内容だけに偏らないようにする。
(3)  内容の(5)から(9)までの指導に当たっては、内容の(1)から(4)までとの関連を図り、実験・実習を中心とした指導を行うよう配慮する。

第4  家庭情報処理
1  目標
  社会における情報化の進展及びコンピュータの役割や仕組みとその利用方法について理解させ、家庭生活に関する各分野の職業でコンピュータを活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  産業社会とコンピュータ
(2)  コンピュータの活用
(3)  ハードウェア
(4)  ソフトウェア
(5)  コンピュータと通信
(6)  家庭生活に関する各分野の職業とコンピュータの活用

第5  課題研究
1  目標
  家庭生活に関する課題を設定し、その課題の解決を図る学習を通して、専門的な知識と技術の深化、総合化を図るとともに、問題解決の能力や自発的、創造的な学習態度を育てる。

2  内容
(1)  調査、実験、研究
(2)  作品製作
(3)  産業現場等における実習
(4)  職業資格の取得

第6  被服
1  目標
  被服材料、被服管理、被服製作などに関する知識と技術を習得させ、豊かな衣生活を営むことのできる能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  被服の変遷
(2)  被服のデザイン
(3)  被服材料
(4)  被服管理
(5)  被服製作
(6)  着装
(7)  服飾手芸
(8)  衣生活の充実向上

第7  食物
1  目標
  栄養、食品、調理などに関する知識と技術を習得させ、健康な食生活を営むことのできる能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  食生活と変遷と食文化
(2)  健康と栄養
(3)  食品の性質と加工・貯蔵
(4)  献立と調理
(5)  食品衛生
(6)  食生活の充実向上

第8  保育
1  目標
  乳幼児の発育、発達、養護など保育に関する知識と技術を習得させ、子供の健全な成長を図る能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  保育の意義
(2)  育児と母性・父性
(3)  乳幼児の発育の特徴
(4)  乳幼児の発達と精神衛生
(5)  乳幼児の生活と養護
(6)  乳幼児の遊びと児童文化
(7)  乳幼児の福祉

第9  家庭経営
1  目標
  家族、家庭経済、生活設計など家庭経営に関する知識と技術を習得させ、家庭生活を工夫し、合理的に経営することのできる能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  家族周期と生活設計
(2)  家庭生活と家族関係
(3)  家事労働と生活時間
(4)  家庭の経済
(5)  家庭生活と消費
(6)  家庭経営と情報
(7)  家庭経営総合実習

第10 住居
1  目標
  住生活と環境、住居の設計、インテリアなどに関する知識と技術を習得させ、快適な住生活を営むことのできる能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  住生活と住居の変遷
(2)  住生活と環境
(3)  住居の設計
(4)  インテリア
(5)  住居の選択と管理
(6)  住生活の充実向上

第11 家庭看護・福祉
1  目標
  家庭看護、介護など福祉に関する知識と技術を習得させ、家族や高齢者の健康を管理することのできる能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  健康と疾病
(2)  病気の予防と看護
(3)  高齢者の福祉
(4)  高齢者の介護
(5)  家庭看護と介護の実習

第12 消費経済
1  目標
  消費社会と消費者、選択と購入など消費経済に関する知識と技術を習得させ、消費生活の向上に寄与する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  経済の発展と家庭生活
(2)  消費社会と消費者
(3)  財・サービスの選択と購入
(4)  消費者としての自覚
(5)  消費生活関係法規

第13 被服製作
1  目標
  被服の構成、被服製作、着装などに関する知識と技術を習得させ、被服を能率的、美的に製作する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  体型と被服
(2)  被服の立体構成と平面構成
(3)  洋服の製作
(4)  和服の製作
(5)  着装
(6)  被服製作の合理化

第14 被服材料
1  目標
  被服材料の種類、性能、加工などに関する知識と技術を習得させ、被服材料を適切に選択する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  被服材料の種類と特徴
(2)  被服材料の加工
(3)  被服の機能と被服材料の性能
(4)  被服材料の発展

第15 被服管理
1  目標
  衣生活の計画、被服整理などに関する知識と技術を習得させ、被服管理を合理的に営むことのできる能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  衣生活の計画
(2)  被服と保健衛生
(3)  被服整理
(4)  被服管理の合理化

第16 服飾デザイン
1  目標
  服飾の変遷、服飾デザインなどに関する知識と技術を習得させ、服飾をデザインする能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  服飾の変遷
(2)  服飾デザインの基礎
(3)  服飾デザインの発想と表現法
(4)  服飾デザインと個性
(5)  着用目的と服飾デザイン
(6)  服飾産業

第17 手芸
1  目標
  服飾手芸、室内装飾手芸などに関する知識と技術を習得させ、創造性を養い、手芸を生活に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  手芸と生活
(2)  手芸の種類と変遷
(3)  手芸品の製作

第18 調理
1  目標
  献立と調理、集団給食などに関する知識と技術を習得させ、食生活の向上を図る能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  調理の意義と目的
(2)  食品の購入と管理
(3)  様式別の献立と調理
(4)  行事食、供応食の献立と調理
(5)  病人食の献立と調理
(6)  集団給食の意義
(7)  集団給食の献立と調理
(8)  集団給食の組織と管理
(9)  調理用施設・設備、熱源及び調理用機器

第19 栄養
1  目標
  栄養素の機能と代謝、年齢や生理と栄養などに関する知識を習得させ、健康の保持増進を図る能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  栄養素の機能と代謝
(2)  エネルギー代謝と栄養所要量
(3)  栄養状態の評価
(4)  年齢と栄養
(5)  生理と栄養
(6)  病態と栄養
(7)  食生活の展望と健康増進

第20 食品
1  目標
  食品の種類、加工、貯蔵などに関する知識と技術を習得させ、食品を適切に活用し、食生活の向上を図る能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  食品の分類と成分
(2)  食品の生産と流通
(3)  食品の加工・貯蔵
(4)  植物性食品とその加工品
(5)  動物性食品とその加工品
(6)  調味料、甘味料、香辛料及びし好品

第21 食品衛生
1  目標
  食品衛生に関する知識を習得させ、安全で衛生的な食生活を営むことのできる能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  食品衛生の意義
(2)  食品の変質とその防止
(3)  食品添加物
(4)  食中毒
(5)  食品と寄生虫
(6)  食品の汚染
(7)  衛生管理と食品衛生関係法規

第22 公衆衛生
1  目標
  疾病の予防、環境衛生など公衆衛生に関する知識を習得させ、国民保健の向上に寄与する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  公衆衛生の意義
(2)  疾病の予防
(3)  環境衛生
(4)  母子保健
(5)  学校保健
(6)  労働保健
(7)  公衆衛生関係法規

第23 保育原理・技術
1  目標
  保育の原理、保育内容などに関する知識と技術を習得させ、保育を適切に行う能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  保育の意義
(2)  保育の基本原理
(3)  保育技術の基礎
(4)  保育の内容
(5)  児童文化と創作活動
(6)  保育機関の施設・設備
(7)  保育実習

第24 小児保健
1  目標
身体の発育、栄養、病気、看護など小児保健に関する知識と技術を習得させ、小児の健康の保持増進を図る能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  小児保健の意義
(2)  発育・発達と生理
(3)  栄養
(4)  健康と生活
(5)  病気と看護
(6)  保健指導

第25 児童心理
1  目標
  児童の精神の発達、精神衛生など児童心理に関する知識を習得させ、児童の健全な発達を図る能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  児童の生活と人格形成
(2)  児童の心理
(3)  児童の精神衛生と指導
(4)  児童理解の方法

第26 児童福祉
1  目標
  児童福祉に関する知識と技術を習得させ、児童福祉の充実を図る能力と態度を育てる。
2  内容
(1)  児童福祉の意義
(2)  児童福祉と家庭
(3)  児童福祉と社会
(4)  児童福祉の機構と制度
(5)  児童福祉と社会福祉


第3款  各科目にわたる指導計画の作成
1  指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)  家庭に関する科目に配当する総授業時数のうち、原則として10分の5以上を実験・実習に配当すること。
(2)  実験・実習を行うに当たっては、施設・設備の安全管理に配慮し、学習環境を整えるとともに、火気、用具、材料などの取扱いに注意して事故防止の指導を徹底し、安全と衛生に十分留意すること。
(3)  宿泊を伴う実習及び現場実習を行う場合には、特に指導計画を綿密に作成するとともに、生徒指導に十分留意すること。
(4)  各科目の指導に当たっては、情報関連機器の活用を図り、指導の効果を高めるようにすること。
(5)  「家庭一般」、「生活技術」及び「生活一般」については、次のとおり取り扱うこと。
ア  2個学年に分割して履修させる場合には、連続する学年において履修させること。
イ  家庭に関する学科においては、専門教育の基礎として「家庭一般」を履修させること。
(6)  第4から第26までの家庭に関する科目については、「家庭一般」、「生活技術」又は「生活一般」と並行してあるいはこれらに引き続いて履修させること。
(7)  「家庭情報処理」及び「課題研究」については、原則として家庭に関する各学科において履修させること。
(8)  「課題研究」については、年間指導計画に定めるところに従い、必要に応じて弾力的に授業時間を配当することができること。
(9)  普通科において第4から第26までの家庭に関する科目を履修させる場合には、地域や学校の実態、生徒の興味・関心、進路希望などを考慮し、「被服」、「食物」、「保育」、「家庭経営」、「住居」、「消費経済」など適切なものを履修させることが望ましいこと。

3  内容の取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)  「課題研究」については、生徒の興味・関心、進路希望などに応じて、内容の(1)から(4)までのうちから個人又はグループで適切な課題を設定させること。
(2)  「家庭看護・福祉」及び「消費経済」の指導に当たっては、医療機関等との連携を図りながら、学習の充実を図るようにすること。
(3)  「調理」の内容の(6)から(8)までの指導に当たっては、事業所、病院などにおける現場実習を行うようにすること。

第10節  農業

第1款  目標
  農業の各分野に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ、農業の意義や役割を理解させるとともに、主体的に農業の発展を図る能力と態度を育てる。


第2款  各科目

第1  農業基礎
1  目標
  農業生物の育成についての体験的な学習を通して、農業に関する基礎的な知識と技術を習得させ、農業及び農業学習についての興味・関心を高めるとともに、問題解決の能力を伸ばし、農業の発展を図る意欲的な態度を育てる。

2  内容
(1)  農業と人間生活
(2)  農業生産と農業学習の特質
(3)  農業生産の基礎
(4)  学校農業クラブ活動

第2  農業情報処理
1  目標
  社会における情報化の進展及びコンピュータの役割や仕組みとその利用方法について理解させ、農業に関する各分野でコンピュータを活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  産業社会とコンピュータ
(2)  コンピュータの活用
(3)  ハードウェア
(4)  ソフトウェア
(5)  コンピュータと通信
(6)  農業とコンピュータの利用

第3  総合実習
1  目標
  各学科の専門分野に関する総合的な技術を習得させ、経営と管理についての理解を深めさせるとともに、農業の改善を図る実践的な能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  各学科の専門分野に関する総合的な実習
(2)  学校農業クラブ活動

第4  課題研究
1  目標
  農業に関する課題を設定し、その課題の解決を図る学習を通して、専門的な知識と技術の深化、総合化を図るとともに、問題解決の能力や自発的、創造的な学習態度を育てる。

2  内容
(1)  調査、研究、実験
(2)  作品製作
(3)  産業現場等における実習
(4)  職業資格の取得

第5  作物
1  目標
  作物の栽培と経営に必要な知識と技術を習得させ、作物の特性や栽培に適した環境を理解させるとともに、生産性の向上を図る能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  作物生産の動向
(2)  作物の特性と栽培技術
(3)  食用作物、工芸作物の栽培
(4)  品種改良の方法
(5)  機械・施設の利用
(6)  農地の利用と作物生産
(7)  作物生産の経営改善

第6  栽培環境
1  目標
  栽培環境の管理と改善に必要な知識と技術を習得させ、作物の生育と栽培環境との関係を理解させるとともに、作物栽培の合理化を図る能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  作物栽培と環境
(2)  栽培環境の要素と作物の生育
(3)  栽培環境の管理と改善
(4)  施設栽培の環境管理

第7  農業経営
1  目標
  地域に適合した農業経営の設計と運営に必要な知識と技術を習得させ、農業経営の改善を図る能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  農業の動向
(2)  農業経営の組織と運営
(3)  農業経営と流通
(4)  農業経営の診断と設計
(5)  経営と農家生活
(6)  集団活動と協同組織
(7)  農業政策と関係法規

第8  野菜
1  目標
  野菜の栽培と経営に必要な知識と技術を習得させ、野菜の特性や栽培に適した環境を理解させるとともに、生産性の向上を図る能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  野菜生産の動向
(2)  野菜の特性と栽培技術
(3)  野菜の栽培
(4)  施設・設備とその利用
(5)  野菜生産の経営改善

第9  果樹
1  目標
  果樹の栽培と経営に必要な知識と技術を習得させ、果樹の特性や栽培に適した環境を理解させるとともに、生産性の向上を図る能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  果樹生産の動向
(2)  果樹の特性と栽培技術
(3)  果樹の栽培
(4)  果樹園の開設と更新
(5)  施設・設備とその利用
(6)  果樹経営の改善

第10  草花
1  目標
  草花の栽培と経営に必要な知識と技術を習得させ、草花の特性や栽培に適した環境を理解させるとともに、生産性の向上を図る能力と態度を育てる。
2  内容
(1)  草花生産の動向
(2)  草花の特性と栽培技術
(3)  草花の繁殖と育種
(4)  草花の栽培
(5)  施設・設備とその利用
(6)  草花生産の経営改善

第11  畜産
1  目標
  家畜の飼育と経営に必要な知識と技術を習得させ、家畜の特性や地域環境を理解させるとともに、生産性の向上を図る能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  畜産の動向
(2)  家畜の生理・生態と飼育環境
(3)  家畜の栄養
(4)  家畜の飼育
(5)  家畜の改良増殖
(6)  家畜衛生と廃棄物処理
(7)  畜産施設の構造とその利用
(8)  畜産経営の改善

第12  飼料
1  目標
  飼料作物の栽培及び飼料給与に必要な知識と技術を習得させ、飼料の特性を理解させるとともに、飼料給与の合理化を図る能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  畜産と飼料
(2)  飼料の種類と特性
(3)  飼料の評価
(4)  給与計画と飼料計画
(5)  飼料作物の栽培
(6)  草地の管理と利用

第13  農業機械
1  目標
  農業機械の取扱いと維持管理に必要な知識と技術を習得させ、農業生産における機械の利用について理解させるとともに、経営の合理化を図る能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  農業生産と農業機械の利用
(2)  原動機
(3)  伝動装置
(4)  農業用トラクタとその操作
(5)  作業機とその操作
(6)  農業機械の整備
(7)  燃料と潤滑油
(8)  農業機械と安全作業

第14  養蚕
1  目標
  蚕の飼育と経営に必要な知識と技術を習得させ、蚕の特性や飼育環境を理解させるとともに、生産性の向上を図る能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  養蚕の動向
(2)  桑の栽培
(3)  蚕体の構造と各器官の働き
(4)  蚕の飼育
(5)  養蚕経営の改善

第15  育林
1  目標
  森林の保護育成に必要な知識と技術を習得させ、森林のもつ多面的な機能を理解させるとともに、森林の生産性の向上を図る能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  森林と育林
(2)  材木の生育と環境
(3)  育苗と材木育種
(4)  造林
(5)  森林の保育
(6)  森林の保護
(7)  特用樹の栽培
(8)  森林と風致

第16  林業土木
1  目標
  伐木運材、林地の基盤整備及び林業土木工事に必要な知識と技術を習得させ、林業の生産性の向上を図る能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  森林と林業土木
(2)  伐木・運材
(3)  林道
(4)  林業機械
(5)  砂防と治山
(6)  林業土木と安全作業

第17  林業経営
1  目標
  森林の測定・評価及び林業経営の計画と管理に必要な知識と技術を習得させ、林業経営の改善を図る能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  森林と林業経営
(2)  森林の測定
(3)  森林評価
(4)  林業経営の計画
(5)  林業経営の管理
(6)  材木の流通
(7)  林業政策と関係法規

第18  林産加工
1  目標
  林産物の加工、利用に必要な知識と技術を習得させ、林産物の特性を理解させるとともに、生産管理の合理化を図る能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  林産加工の動向
(2)  木材の性質と用途
(3)  製材と木材の工作
(4)  改良木材
(5)  木材の分解と利用
(6)  木材パルプと製紙
(7)  きのこの生産

第19  測量
1  目標
  測量に必要な知識と技術を習得させ、実際に各種の事業に応用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  測量とその種類
(2)  平面の測量
(3)  高低の測量
(4)  写真測量
(5)  応用測量

第20  農業土木設計
1  目標
  土木設計に必要な知識と技術を習得させ、実際に各種の農業土木構造物の設計に応用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  農業土木設計の概要
(2)  設計製図
(3)  設計と力学
(4)  はり、柱、トラス
(5)  土質
(6)  鉄筋コンクリート構造、鋼構造の設計
(7)  農業土木構造物の設計

第21  農業土木施工
1  目標
  農業土木工事に使用する材料やその施工に必要な知識と技術を習得させ、各種の工事を合理的に施工できる能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  農業土木工事の概要
(2)  土木材料
(3)  農業土木工事の施工法
(4)  工事の運営管理

第22  農業水利
1  目標
  農業に利用する水の管理に必要な知識と技術を習得させ、水利施設の改善や水資源の開発を図る能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  農業における水の役割
(2)  水の基本的性質
(3)  かんがいと排水
(4)  水資源の開発と利用
第23  農地開発
1  目標
  農地の開発と保全に必要な知識と技術を習得させ、農業生産の向上と地域の開発を図る能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  農地開発の意義
(2)  土地利用と農地
(3)  農地の造成
(4)  農地の整備と保全
(5)  地域開発と農村計画

第24  食品製造
1  目標
  食品製造に必要な知識と技術を習得させ、加工食品と原材料の性質を理解させるとともに、生産管理の合理化を図る能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  食品製造の意義と動向
(2)  食品の変質と貯蔵法
(3)  加工食品の製造法
(4)  食品製造と衛生管理

第25  食品化学
1  目標
  食品の分析と検査に必要な知識と技術を習得させ、食品の成分と栄養について理解させるとともに、各種の食品製造に応用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  食品製造と食品化学
(2)  食品の成分と栄養
(3)  食品の成分分析
(4)  食品衛生検査と食品添加物

第26  応用微生物
1  目標
  食品に関連する微生物の利用に必要な知識と技術を習得させ、微生物の種類と特性及び培養について理解させるとともに、農業に関する各分野で微生物力を応用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  微生物の種類と利用
(2)  微生物の生理
(3)  微生物の分離と培養
(4)  微生物の酵素
(5)  微生物の代謝とその利用

第27  食品製造機器
1  目標
  食品製造に関する機器の機能や操作に必要な知識と技術を習得させ、実際に食品製造に応用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  食品製造機器の基礎
(2)  計測と制御
(3)  主な製造用の機械と装置
(4)  工場に付帯する機械と装置

第28  生物工学基礎
1  目標
  農業に関するバイオテクノロジーの基礎的な知識と技術を習得させ、バイオテクノロジーの特質を理解させるとともに、農業に関する各分野で応用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  バイオテクノロジーの概要
(2)  バイオテクノロジーの基礎
(3)  植物のバイオテクノロジー
(4)  組織培養の技術
(5)  微生物のバイオテクノロジー
(6)  バイオリアクター

第29  造園計画
1  目標
  造園の計画・設計に必要な知識と技術を習得させ、実際に目的や環境条件に応じて応用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  造園計画と緑地環境の保全
(2)  環境と造園の様式
(3)  造園製図の基礎とデザイン
(4)  庭園の計画・設計
(5)  公園、緑地の計画・設計
(6)  造園関係法規

第30  造園緑化材料
1  目標
  造園緑化に使用する材料や緑化植物の育成に必要な知識と技術を習得させ、各種の造園材料の特質を理解させるとともに、それらを適切に取り扱う能力と態度を養う。

2  内容
(1)  植物材料
(2)  緑化植物の育成
(3)  岩石材料
(4)  その他の材料

第31  造園施工・管理
1  目標
  造園の施工と管理に必要な知識と技術を習得させ、造園を合理的に施工し維持管理できる能力と態度を養う。

2  内容
(1)  造園土木施工
(2)  造園植栽施工
(3)  植物及び工作物の管理

第32  農業経済
1  目標
  農業経済に関する知識と技術を習得させ、農業生産及び流通の働きを国民経済の立場から理解させるとともに、経営の改善を図る能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  国民経済と農業
(2)  農家経済と生産
(3)  農産物の流通
(4)  農業生産資材の流通
(5)  金融と保険
(6)  企業の経営
(7)  農業と協同組織
(8)  農業政策と関係法規

第33  農業会計
1  目標
  農業経営における複式簿記の記帳及び財務諸表の作成・分析に必要な知識と技術を習得させ、農業会計の基礎的な理論及び農業簿記の基本原理を理解させるとともに、経営の改善を図る能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  農業会計
(2)  複式簿記
(3)  財務諸表
(4)  農産物の原価計算
(5)  経営分析
(6)  企業会計の原理

第34  食品流通
1  目標
  農産物を主とする食品の流通に必要な知識と技術を習得させ、国民経済における食品流通の重要性を理解させるとともに、食品流通を合理的に行うことのできる能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  経済発展と食品流通
(2)  食品の流通構造
(3)  主な食品の流通
(4)  食品の品質と規格
(5)  食品の保管
(6)  食品の輸送
(7)  マーケティング
(8)  流通関係法規

第35  食品加工
1  目標
  食品加工に必要な知識と技術を習得させ、加工食品と原材料の性質を理解させるとともに、食品を適切に取り扱う能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  食生活と加工食品
(2)  食品の成分とその性質
(3)  農業生産物の加工
(4)  食品加工と衛生管理

第36  生活園芸
1  目標
  園芸作物の栽培及び緑化環境の管理に必要な知識と技術を習得させ、園芸作物の特性を理解させるとともに、それらを利用して生活の向上を図る能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  生活と園芸
(2)  野菜の栽培と利用
(3)  果樹の栽培と利用
(4)  草花の栽培と利用
(5)  ハーブの栽培と利用
(6)  花壇の設計と管理
(7)  緑化環境の管理


第3款  各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1  指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)  農業に関する学科においては、原則として農業に関する科目に配当する総授業時数の10 分の5以上を実験・実習に配当すること。
(2)  実験・実習を行うに当たっては、施設・設備の安全管理に配慮し、学習環境を整えるとともに、機械、薬剤などによる事故防止の指導を徹底し、安全と衛生に十分留意すること。
(3)  宿泊を伴う実習及び現場実習を行う場合には、特に指導計画を綿密に作成するとともに、生徒指導に十分留意すること。
(4)  各科目の指導に当たっては、情報関連機器の活用を図り、指導の効果を高めるようにすること。
(5)  「農業基礎」については、原則として農業に関する各学科において履修させるものとし、各学科の特色を十分勘案して効果的な指導計画を立てること。
(6)  「農業情報処理」、「総合実習」及び「課題研究」については、原則として農業に関する各学科において履修させること。
(7)  「総合実習」及び「課題研究」については、年間指導計画に定めるところに従い、必要に応じて弾力的に授業時間を配当することができること。
(8)  普通科において農業に関する科目を履修させる場合には、地域や学校の実態、生徒の興味・関心、進路希望などを考慮し、「農業基礎」、「作物」、「食品加工」、「生活園芸」など適切なものを履修させることが望ましいこと。

2  内容の取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)  「農業基礎」の内容の(3)については、学科の特色や生徒の実態に応じて教材として適切な農業生物を選び、一貫した内容を継続的に取り扱うこと。
(2)  「課題研究」については、生徒の興味・関心、進路希望などに応じて、内容の(1)から(4)までのうちから個人又はグループで適切な課題を設定させること。

第11節  工業

第1款  目標
  工業の各分野に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ、現代社会における工業の意義や役割を理解させるとともに、工業技術の諸問題を主体的、合理的に解決し、工業の発展を図る能力と実践的な態度を育てる。


第2款  各科目

第1  工業基礎
1  目標
  工業の各分野にわたる基礎的技術を総合的な実験・実習によって体験させ、各分野における技術への興味・関心を高め、工業に関する広い視野を養うとともに、問題解決の能力を伸ばし工業の発展を図る意欲的な態度を育てる。

2  内容
(1)  形態の変化を伴う加工
(2)  質の変化を伴う加工
(3)  エネルギー及び動力の変換、伝達、計測
(4)  管理と自動化
(5)  産業と職業

第2  実習
1  目標
  各学科の専門分野に関する基礎的な技術を実際の作業を通して総合的に習得させ、技術革新に主体的に対応できる能力と態度を育てる。

2  内容
  各学科の専門分野に関する実習及び総合学習

第3  製図
1  目標
  製図に関する日本工業規格及び各学科の専門分野の製図について基礎的な知識と技術を習得させ、製作図、設計図などを正しく読み、図面を構想し作成する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  製図の基礎
(2)  各専門分野の製図・設計製図
(3)  自動設計製図装置の基礎

第4  工業数理
1  目標
  工業の各分野における具体的な事象を数理的、実際的に処理する基礎的な能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  工業の事象と数式
(2)  面積、体積、質量などの積算
(3)  量の単位や誤差など数値の取扱い
(4)  液体などの流れと圧力
(5)  構造物などの部材の設計に関する計算
(6)  時間とともに変化する事象のモデル
(7)  予測と計画に関する基礎的な手法
(8)  情報と制御に関する基礎的な計算技術

第5  情報技術基礎
1  目標
  社会における情報化の進展及びコンピュータの役割を理解させるとともに、コンピュータに関する基礎的技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  プロクラミング
(2)  ハードウェア
(3)  ソフトウェア
(4)  制御・通信
(5)  コンピュータとその活用

第6  課題研究
1  目標
  工業に関する課題を設定し、その課題の解決を図る学習を通して、専門的な知識と技術の深化、総合化を図るとともに、問題解決の能力や自発的、創造的な学習態度を育てる。

2  内容
(1)  作品製作
(2)  調査、研究
(3)  実験
(4)  産業現場等における実習
(5)  職業資格の取得

第7  機械工作
1  目標
  機械材料の加工性と各種の工作法を理解させ、合理的な工作法及び生産方法を企画し、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  機械工作の変遷
(2)  材料と加工性
(3)  各種の工作法
(4)  生産の管理
(5)  機械加工の能率化と生産方法

第8  機械設計
1  目標
  機械設計に関する基礎的な知識と技術を習得させ、機械、器具などを創造的、合理的に設計する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  機械と設計
(2)  機械に働く力
(3)  材料の強さ
(4)  機械要素と装置
(5)  機械と器具の設計

第9  原動機
1  目標
  原動機の構造と機能に関する知識と技術を習得させ、原動機を有効に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  エネルギー変換
(2)  流体機械
(3)  内燃機関
(4)  蒸気機関
(5)  冷凍装置
(6)  自動車と二輪自動車

第10  計測・制御
1  目標
  計測・制御に関する基礎的な知識と技術を習得させ、各種の測定を行うとともに、自動化機器を有効に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  計測の基礎
(2)  計測機器
(3)  工業量の測定
(4)  制御の基礎
(5)  コンピュータ制御

第11  電子機械
1  目標
  電子機械に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  電子機械の概要
(2)  センサの働き
(3)  センサとコンピュータの働き
(4)  アクチュエータの基礎
(5)  アクチュエータの制御
(6)  機械の機構と運動の伝達

第12  電子機械応用
1  目標
  電子機械に関する応用技術を習得させ、実際に各種自動化機器をシステム化し、活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  シーケンス制御の基礎
(2)  フィードバック制御の基礎
(3)  コンピュータによる制御
(4)  ロボットの制御
(5)  ファクトリーオートメーション

第13  自動車工学
1  目標
  自動車の構造と機能に関する知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  人と自動車
(2)  自動車の原理
(3)  自動車の構造
(4)  自動車と電気・電子技術

第14  自動車整備
1  目標
  自動車整備に関する知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  自動車の整備
(2)  自動車と関係法規
(3)  自動車の材料と工作法
(4)  自動車の整備と試験

第15  造船工学
1  目標
  造船に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  海と船
(2)  船の原理
(3)  船の構造
(4)  船の設備
(5)  船の計画と建造
(6)  船の保守

第16  電気基礎
1  目標
  電気に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  直流回路
(2)  磁気と静電気
(3)  交流回路
(4)  電気計測
(5)  各種の波形

第17  電気機器
1  目標
  電気機器及び電気材料に関する知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  直流機器
(2)  交流機器
(3)  パワーエレクトロニクス
(4)  電気材料

第18  電力技術
1  目標
  電力に関する知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。
2  内容
(1)  発電
(2)  送電
(3)  配電・屋内配線
(4)  電気関係法規

第19  電子技術
1  目標
  電子技術に関する知識と技術の大要を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  半導体素子と電子回路
(2)  通信システム
(3)  画像通信
(4)  音響機器
(5)  電子計測の基礎

第20  電力応用
1  目標
  電力応用に関する知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  照明
(2)  電熱
(3)  自動制御
(4)  電気化学
(5)  電気鉄道
(6)  各種の電気応用

第21  電子回路
1  目標
  電子回路に関する知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  電子回路素子
(2)  電子回路の基礎
(3)  各種の電子回路

第22  電子計測制御
1  目標
  電子計測及び制御に関する知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  シーケンス制御
(2)  フィードバック制御
(3)  コンピュータによる制御
(4)  電子計測

第23  通信技術
1  目標
  電気通信、画像通信及び音響機器に関する知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  有線通信
(2)  無線通信
(3)  画像通信
(4)  音響機器

第24  電子情報技術
1  目標
  情報技術に関する知識と技術の大要を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  ディジタル回路
(2)  コンピュータの構成と機能
(3)  プログラミング
(4)  コンピュータの利用とネットワークシステム

第25  プログラミング技術
1  目標
  コンピュータのプログラミングに関する知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  コンピュータによる問題処理手順
(2)  応用的プログラム
(3)  テーブルとファイルの利用

第26  ハードウェア技術
1  目標
  コンピュータのハードウェアに関する知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  ハードウェア技術
(2)  通信技術
(3)  制御技術
(4)  保守技術

第27  ソフトウェア技術
1  目標
  コンピュータのソフトウェアに関する知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  オペレーティングシステム
(2)  ファイル設計の技法
(3)  ソフトウェアの管理・保守と保護

第28  コンピュータ応用
1  目標
  コンピュータシステムに関する知識と技術を習得させ、コンピュータを有効に活用し、システムを開発する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  情報処理システム
(2)  システム開発の手順と設計

第29  工業計測技術
1  目標
  工業計測に関する計測及び計装の知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  計測の基礎
(2)  計測器の構成
(3)  温度及び湿度の計測と制御
(4)  流量の計測と制御
(5)  圧力及び液位の計測と制御
(6)  諸量の計測
(7)  制御と運転
(8)  電気工事
(9)  計装

第30  建築構造
1  目標
  建築物の構造、各種の建築材料の特性などを理解させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  建築構造
(2)  建築材料
(3)  各種の構造
(4)  建築物の保守及び防災

第31  建築施工
1  目標
  建築施工に関する知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  建築施工
(2)  建築業務
(3)  地盤調査と建築測量
(4)  各種工事
(5)  工事用機器・器具
(6)  建築積算

第32  建築構造設計
1  目標
  建築構造設計に関する知識と技術を習得させ、構造物を合理的に設計する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  構造物に働く種々の力
(2)  静定構造物
(3)  各部材に関する力学
(4)  不静定構造物
(5)  各種の構造設計

第33  建築計画
1  目標
  建築計画に関する基礎的な知識を習得させ、建築物を合理的に計画し、設計する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  建築計画の意義と内容
(2)  建築の歴史
(3)  建築物の形態と色彩
(4)  気候と室内環境
(5)  建築の設備
(6)  各種建築物の計画
(7)  都市と地域の計画

第34  建築法規
1  目標
  建築関係法規に関する知識と技術を習得させ、建築の設計、施工に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  建築関係法規の概要
(2)  建築基準法
(3)  各種の関係法規

第35  設備計画
1  目標
  設備に関する基礎的な知識を習得させ、設備を合理的に計画する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  住環境
(2)  流体、熱に関する力学の基礎
(3)  建築構造
(4)  各種設備の計画
(5)  各種設備のシステム計画
(6)  各種建築物の設備計画
(7)  関係法規

第36  空気調和設備
1  目標
  空気調和設備に関する知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  空気調和の基礎
(2)  空気調和の方式
(3)  空気調和の機器
(4)  空気調和装置
(5)  換気・排煙設備
(6)  直接暖房装置
(7)  空気調和の設計

第37  衛生・防災設備
1  目標
  衛生・防災設備に関する知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  給水・給湯設備
(2)  排水通気設備と衛生器具
(3)  し尿浄化施設
(4)  防災設備
(5)  各種の設備

第38  設備施工
1  目標
  設備施工に関する知識と技術を習得させ、設備を合理的に施工する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  設備機材
(2)  空気調和設備工事
(3)  衛生・防災設備工事
(4)  電気設備工事
(5)  各種の設備
(6)  施工管理
(7)  設備工事の積算
(8)  関係法規

第39  測量
1  目標
  各種測量に関する知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  測量の基礎
(2)  平面の測量
(3)  高低の測量
(4)  地形図
(5)  写真測量
(6)  各種の測量技術

第40  土木施工
1  目標
  土木施工と管理に関する知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  土木材料
(2)  施工技術
(3)  工事管理と運営管理
(4)  工事用機械と電気設備

第41  土木設計
1  目標
  土木構造物の設計に関する知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  土木構造物と構造力学の基礎
(2)  静定構造物の計算
(3)  材料の強さと部材の設計
(4)  不静定構造物の基礎
(5)  鋼構造の設計
(6)  コンクリート構造物の設計

第42  水理
1  目標
  水理に関する知識と技術を習得させ、構造物の計画、設計及び施工に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  静水の性質
(2)  流水の性質
(3)  オリフィスとせき
(4)  水路の計算

第43  土質力学
1  目標
  土に関する知識と技術を習得させ、基礎と土構造物の設計及び施工に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  土の性質
(2)  土の力学的な性質
(3)  安定計算
(4)  土質の調査と試験

第44  土木計画
1  目標
  土木計画に関する知識と技術を習得させ、土木施設の計画、設計及び施工に必要な基礎的な能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  国土の開発
(2)  交通
(3)  治水と利水
(4)  社会基盤システム
(5)  環境保全と防災

第45  地質工学
1  目標
  地質工学に関する基礎的な知識と技術を習得させ、建設工事及び資源開発に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  地質の基礎
(2)  地質調査
(3)  土質力学及び岩盤力学
(4)  地盤処理と基礎工法
(5)  防災
(6)  地下資源開発

第46  工業化学
1  目標
  工業化学に関する知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  物質と元素
(2)  無機化合物
(3)  化学反応
(4)  放射性物質と原子エネルギー
(5)  有機化合物
(6)  化学工業と生活

第47  化学工業
1  目標
  化学工業の特定分野に関する知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  原料、生産材料の化学工業
(2)  消費材料の化学工業
(3)  総合的な化学工業
(4)  新しい化学工業
(5)  各種の化学工業

第48  化学工学
1  目標
  化学工学に関する知識と技術を習得させ、化学プラントなどにおいて実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  化学工場
(2)  物質・エネルギーの収支
(3)  単位操作
(4)  反応装置
(5)  化学プラント
(6)  機械設備

第49  化学システム技術
1  目標
  化学工場における管理・システム技術に関する知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  電気・電子技術
(2)  計測と制御
(3)  機械設備
(4)  管理技術
(5)  化学工場

第50  化学工業安全
1  目標
  化学工業における災害防止に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  化学工業の災害と安全
(2)  危険物質の取扱い
(3)  有害物質の取扱い
(4)  化学プラントの安全
(5)  関係法規と各種職業資格

第51  環境工学
1  目標
  環境工学に関する知識と技術を習得させ、環境に関する調査、管理などに応用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  生活と環境
(2)  環境汚染の種類と原因
(3)  環境汚染防止に関する法規
(4)  環境の測定及び分析の基礎
(5)  大気汚染の調査
(6)  水質汚濁の調査
(7)  騒音、照度、放射線等の調査

第52  環境保全
1  目標
  環境保全に関する知識と技術を習得させ、実際に保全施設を維持管理する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  資源とエネルギー
(2)  生活環境の保全
(3)  環境汚染の処理技術
(4)  廃棄物の処理と再利用
(5)  環境の管理と制御

第53  材料製造技術
1  目標
  金属の製錬、ファインセラミック及び高分子材料の製造に関する知識と技術を習得させ、各種の材料製造に応用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  材料製造の変遷
(2)  金属製錬の基礎
(3)  鉱石と原料の予備処理
(4)  鉄鋼製錬
(5)  非鉄金属製錬
(6)  ファインセラミックの製造
(7)  高分子材料の製造
(8)  プロセス制御

第54  工業材料
1  目標
  工業材料に関する知識と技術を習得させ、工業材料を有効に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  工業材料
(2)  材料の性質
(3)  材料の組織
(4)  材料の試験と検査
(5)  鋼と鋳鉄
(6)  非鉄金属とその合金
(7)  ファインセラミック
(8)  高分子材料

第55  材料加工
1  目標
  工業材料の加工方法に関する知識と技術を習得させ、合理的な加工方法及び生産方法を企画し、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  材料加工の変遷
(2)  金属の加工方法
(3)  ファインセラミックの加工方法
(4)  高分子材料の成形加工方法
(5)  材料加工の自動化
(6)  生産の管理
(7)  品質の管理

第56  セラミック化学
1  目標
  セラミック材料に関する知識と技術を習得させ、製品の製造と品質の改良に応用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  原子と原子構造
(2)  化学結合と物性
(3)  結晶構造
(4)  ガラス状態
(5)  相律と平衡状態図
(6)  高温反応
(7)  セラミックの組織と物性

第57  セラミック材料
1  目標
  セラミック材料の特性に関する知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  原料と鉱物
(2)  結晶質酸化物材料
(3)  結晶質非酸化物材料
(4)  非結晶質材料

第58  セラミック技術
1  目標
  セラミックの製造工程における単位操作及び品質管理に関する知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  原料処理
(2)  セラミックの成形
(3)  加熱処理
(4)  セラミックの溶融
(5)  セラミックの加工
(6)  品質管理
(7)  セラミックの技術と安全

第59  セラミック工業
1  目標
  セラミックに関する特定分野の技術を総合的に習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。
2  内容
(1)  機能性セラミック
(2)  陶磁器
(3)  ガラスとほうろう
(4)  耐火物
(5)  セメント

第60  繊維製品
1  目標
  繊維及び繊維製品に関する知識と技術を習得させ、生産、流通などの分野において活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  繊維高分子
(2)  糸
(3)  布類
(4)  繊維二次製品
(5)  繊維製品の企画と販売

第61  繊維技術
1  目標
  繊維製品の製造技術及び製造に使用する機械設備に関する知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  生活と繊維技術
(2)  糸の製造
(3)  布類の製造
(4)  繊維二次製品の製造
(5)  繊維製品の染色
(6)  製造工程の管理

第62  染織デザイン
1  目標
  繊維製品の設計に必要な染と織のデザインに関する知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  デザインと色彩計画
(2)  テキスタイルのデザイン
(3)  服飾と室内装飾のデザイン
(4)  繊維製品の設計と管理

第63  染色技術
1  目標
  染織加工及び着色に関する知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  染色加工技術の基礎
(2)  染色と着色の化学
(3)  加工材料の化学
(4)  染色と仕上げ加工技術
(5)  色彩と管理
(6)  染色と応用技術

第64  インテリア計画
1  目標
  インテリアの構成に関する知識を習得させ、使用目的に即した機能的な空間を計画する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  条件の設定
(2)  インテリアの環境条件
(3)  人間工学
(4)  環境と心理
(5)  寸法計画と規模計画
(6)  インテリアエレメント
(7)  各種インテリアの計画

第65  インテリア装備
1  目標
  インテリアを構成する建築的要素に関する知識と技術を習得させ、室内空間を構成する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  建築構造の概要
(2)  構造の力学
(3)  建築設備
(4)  インテリアの構造
(5)  インテリア材料と施工
(6)  インテリアの工業化
(7)  インテリアの維持管理
(8)  関係法規

第66  インテリアエレメント生産
1  目標
  インテリアエレメントに関する知識と技術を習得させ、実際に生産に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  エレメントの材料
(2)  エレメントの構造
(3)  加工の基礎技術
(4)  生産技術
(5)  生産管理

第67  木材工芸
1  目標
  木材を主材料とする工芸品の加工、仕上げ及び保存に関する技術を習得させるとともに、伝統工芸との関連においてこれを制作し鑑賞する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  伝統工芸
(2)  材料
(3)  加工
(4)  仕上げ
(5)  保存と修理

第68  デザイン史
1  目標
  造形とデザインの歴史を生活、技術及び文化との関連において理解させ、実際に創造し鑑賞する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  日本のデザイン
(2)  西洋のデザイン
(3)  現代のデザイン

第69  デザイン技術
1  目標
  デザインの基礎と各分野のデザインに関する知識と技術を習得させ、実際に創造し応用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  デザインの基礎
(2)  ビジュアルデザイン
(3)  プロダクトデザイン
(4)  環境構成デザイン
(5)  デザイン企画

第70  デザイン材料
1  目標
  デザインに必要な材料及び加工に関する知識と技術を習得させ、使用目的に応じた適切な材料を選択する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  無機材料の特性と加工技術
(2)  有機材料の特性と加工技術
(3)  デザインと材料

第71  電子基礎
1  目標
  電気と電子に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  直流回路
(2)  磁気と静電気
(3)  交流回路
(4)  半導体と電子回路
(5)  電気計測
(6)  制御の基礎
(7)  コンピュータによる制御の基礎
(8)  電気技術の基礎

第72  工業管理技術
1  目標
  工場の運営と管理に関する知識と技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  企業の組織と運営
(2)  生産の計画と管理
(3)  工程管理
(4)  品質管理
(5)  安全管理
(6)  工場の経営

第73  工業英語
1  目標
  工業の各分野における生産、営業、管理などの業務に必要な技術英語に関する知識を習得させ、実際に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  工業英語の基礎
(2)  工業英語のリーディング
(3)  工業英語のライティング
(4)  工業英会話

第74  材料技術基礎
1  目標
  工業の各分野に用いられる材料の製造、組織、性質及び用途に関する基礎的な知識を習得させ、材料の選択及び改良に必要な能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  材料と産業
(2)  有機材料
(3)  無機材料
(4)  金属材料
(5)  複合材料


第3款  各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1  指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)  工業に関する学科においては、原則として工業に関する科目に配当する総授業時数の10分の5以上を実験・実習に配当すること。
(2)  実験・実習を行うに当たっては、施設・設備の安全管理に配慮し、学習環境を整えるとともに、事故防止の指導を徹底し、安全と衛生に十分留意すること。
(3)  各科目の指導に当たっては、情報関連機器の活用を図り、指導の効果を高めるようにすること。
(4)  「工業基礎」、「実習」、「製図」、「工業数理」、「情報技術基礎」及び「課題研究」については、原則として工業に関する各学科において履修させること。
(5)  「実習」及び「製図」については、それぞれ科目名に各学科の名称を冠し、例えば「機械実習」、「機械製図」などとして取り扱うことができること。
(6)  化学工業、材料技術、セラミック、繊維などに関する「実習」については、排気、廃液などの処理について十分留意するとともに、必要に応じて指導計画に適切に組み入れて取り扱うようにすること。
(7)  「課題研究」については、年間指導計画に定めるところに従い、必要に応じて弾力的に授業時間を配当することができること。
(8)  普通科において工業に関する科目を履修させる場合には、地域や学校の実態、生徒の興味・関心、進路希望などを考慮し、「工業基礎」、「製図」、「情報技術基礎」など適切なものを履修させることが望ましいこと。

2  内容の取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)  各科目の内容については、技術革新の進展に対応し、新技術の導入を図ることとするが、必要以上に高度なものを取り扱うことは避けるものとし、また、指導の効果を高めるため、「実習」や「製図」との関連に十分留意すること。
(2)  「工業基礎」の各内容は、それぞれ分離独立させて取り扱うことなく、これらをなるべく多く包含している実習課題を設定し、総合的な学習ができるよう取り扱うこと。
(3)  「工業数理」の内容の指導に当たっては、数理的処理の基礎的な方法が確実に身に付くよう配慮するとともに、教材・教具等を活用し効果的な指導ができるようにすること。
(4)  「課題研究」については、生徒の興味・関心、進路希望などに応じて、内容の (1 )から (5 )までのうちから個人又はグループで適切な課題を設定させること。
(5)  「化学工業」及び「セラミック工業」については、地域や学校の実態などを考慮して適切な内容を選択し、重点的に取り扱うこと。


第12節  商業

第1款  目標
  商業の各分野に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ、商業の意義や役割を理解させるとともに、経営活動を主体的、合理的に行い、経済社会の発展に寄与する能力と態度を育てる。


第2款  各科目

第1  流通経済
1  目標
  流通に関する知識と技術を習得させ、流通の意義や役割を理解させるとともに、流通を中心とした商業活動に適切に対応する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  流通経済の仕組みと商業活動
(2)  流通活動と売買
(3)  流通活動と関連機関
(4)  企業の活動とコミュニケーション
(5)  地域経済と流通活動
(6)  経済社会の進展と流通経済

第2  簿記
1  目標
  経営活動に伴う取引を正確、明瞭に記録・計算・整理するための知識と技術を習得させ、簿記の基本原理を理解させるとともに、合理的な会計処理を行う能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  企業の簿記
(2)  簿記の基礎
(3)  取引の記帳
(4)  決算
(5)  帳簿と帳簿組織
(6)  株式会社における記帳
(7)  コンピュータを利用した会計処理

第3  情報処理
1  目標
  コンピュータとその利用に関する知識と技術を習得させ、情報の意義や役割について理解させるとともに、情報を適切に処理する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  経営活動と情報処理
(2)  コンピュータの機能と構成
(3)  情報処理の手順とプログラミングの基礎
(4)  集計処理
(5)  情報検索
(6)  図形処理
(7)  文書処理
(8)  コンピュータと通信
(9)  情報処理機器の進展とその利用

第4  計算事務
1  目標
  商業活動に必要な計算を合理的、能率的に処理するための知識と技術を習得させ、珠算や計算機の操作に習熟させるとともに、経営活動に役立てる能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  計算の基礎
(2)  珠算、計算機による計算
(3)  売買に関する計算
(4)  金融に関する計算
(5)  証券投資に関する計算
(6)  営業費用等に関する計算
(7)  経営活動と統計・分析

第5  総合実践
1  目標
  商業の各分野に関する知識と技術を実践的活動を通して総合的に習得させ、経営活動を主体的、合理的に行う能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  流通経済活動に関する実践
(2)  国際経済活動に関する実践
(3)  会計活動に関する実践
(4)  情報処理に関する実践
(5)  経営管理的活動に関する実践

第6  課題研究
1  目標
  商業に関する課題を設定し、その課題の解決を図る学習を通して、専門的な知識と技術の深化、総合化を図るとともに、問題解決の能力や自発的、創造的な学習態度を育てる。

2  内容
(1)  調査、実験、研究
(2)  作品製作
(3)  産業現場等における実習
(4)  職業資格の取得

第7  商品
1  目標
  流通活動における主要な商品に関する知識と技術を習得させ、技術革新及び経済社会の変化に伴う商品の特性について理解させるとともに、商品の円滑、適正な流通に寄与する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  産業経済の発展と消費生活
(2)  商品と流通
(3)  生活関連商品
(4)  科学技術の進展と商品
(5)  国際化の進展と商品
(6)  商品研究

第8  マーケティング
1  目標
  マーケティングに関する知識と技術を習得させ、マーケティングの意義や役割について理解させるとともに、マーケティング活動を計画的、合理的に行う能力と態度を育てる。
2  内容
(1)  現代市場とマーケティング
(2)  市場調査
(3)  商品計画
(4)  流通経路と販売価格
(5)  販売促進
(6)  マーケティングと経営管理
(7)  マーケティング実習

第9  商業デザイン
1  目標
  商業デザインについての知識と技術を作品の製作実習を通して習得させ、商業デザインをマーケティング活動に役立てる能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  デザインの基礎
(2)  グラフィックデザイン実習
(3)  パッケージデザイン実習
(4)  ディスプレーデザイン実習
(5)  コンピュータによるデザイン実習

第10  商業経済
1  目標
  経済に関する知識を習得させ、我が国の経済に関する活動を理解させるとともに、経済事象に適切に対応する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  経済の発展と生活
(2)  商業活動と流通経済
(3)  国民経済の仕組み
(4)  我が国の経済
(5)  国際経済

第11  経営
1  目標
  経営に関する知識を習得させ、我が国の企業経営の特質を理解させるとともに、主体的、合理的な経営に関する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  経済活動と経営
(2)  サービス産業と経営
(3)  経営管理と組織
(4)  組織と人間
(5)  我が国の企業経営の特質
(6)  企業経営と国際化
(7)  企業の社会的責任

第12  商業法規
1  目標
  商業活動に必要な法規に関する知識を習得させ、経済社会における法の意義とその役割について理解させるとともに、経済事象を法律的に考え、判断する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  経済社会と法
(2)  権利・義務と財産権
(3)  財産権と契約
(4)  財産権の保護
(5)  経営活動に関する法規
(6)  労働に関する法規
(7)  社会生活に関する法規
(8)  紛争の解決

第13  英語実務
1  目標
  英語を通して商業に関する実務を行うための知識と技術を習得させ、国際理解を深めるとともに、英語を経営活動に役立てる能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  外国人とのコミュニケーション
(2)  ビジネスの会話
(3)  ビジネスの文書
(4)  国際経済情報
(5)  英語実務実習

第14  国際経済
1  目標
  経済を中心とした国際交流や外国の産業経済に関する知識を習得させ、国際理解を深めるとともに、国際間の経済活動に適切に対応する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  経済活動の国際化
(2)  貿易
(3)  国際金融と海外投資
(4)  国際経済事情

第15  工業簿記
1  目標
  製造業における簿記及び原価計算に関する知識と技術を習得させ、原価についての理解を深めるとともに、合理的な会計処理を行う能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  工業簿記と原価計算
(2)  原価要素の費目別計算
(3)  原価の部門別計算
(4)  原価の製品別計算
(5)  製品の受払と決算
(6)  原価の管理

第16  会計
1  目標
  企業会計に関する法規、制度や財務諸表の作成に関する知識と技術を習得させ、合理的な会計処理を行うとともに、財務諸表を理解する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  企業会計の基礎
(2)  貸借対照表
(3)  損益計算書
(4)  連結財務諸表の概要
(5)  財務諸表の分析
(6)  企業経営の社会的責任と監査

第17  税務会計
1  目標
  税法や税務会計に関する知識と技術を習得させ、取引を正確に記帳するとともに、税を正しく計算し申告する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  税務会計の基礎
(2)  所得税
(3)  法人税
(4)  その他の税

第18  文書処理
1  目標
  商業活動に必要な文書処理に関する知識と技術を習得させ、機器の操作に習熟させるとともに、文書に関する情報を経営活動に役立てる能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  経営活動と文書情報
(2)  基本文書の作成
(3)  機器の利用
(4)  文書情報の管理
(5)  文書処理実習

第19  プログラミング
1  目標
  プログラミングに関する知識と技術を習得させ、コンピュータの効果的な運用方法について理解させるとともに、経営活動に関する情報を合理的に処理する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  コンピュータシステム
(2)  基本プログラミング
(3)  ファイル処理
(4)  表の利用
(5)  報告書の作成
(6)  オンラインシステム
(7)  ソフトウェア
(8)  ハードウェア

第20  情報管理
1  目標
  システム設計に関する知識と技術を習得させ、経営活動における情報処理システムについて理解させるとともに、情報を適切に管理し、活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  企業経営と情報処理
(2)  オペレーティングシステムとデータベース
(3)  経営管理情報の分析と活用
(4)  データ処理のシステム設計と評価
(5)  システム設計演習

第21  経営情報
1  目標
  経営活動に関する情報をコンピュータを利用して科学的に処理するための知識と技術を習得させ、情報を計画的、合理的な経営活動に役立てる能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  経営科学とモデル
(2)  市場調査と分析
(3)  需要予測
(4)  仕入計画
(5)  窓口サービス
(6)  商品管理
(7)  商品の輸送計画
(8)  資金計画


第3款  各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1  指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)  実験・実習を行うに当たっては、施設・設備の安全管理に配慮し、学習環境を整えるとともに、安全と衛生に十分留意すること。また、校外で調査・研究、実習などを行う場合には、指導計画を綿密に作成するとともに、生徒指導にも十分留意すること。
(2)  各科目の指導に当たっては、実践的・体験的学習を重視するとともに、情報関連機器の活用を図り、指導の効果を高めるようにすること。
(3)  「総合実践」及び「課題研究」については、原則として商業に関する各学科において履修させること。
(4)  「課題研究」については、年間指導計画に定めるところに従い、必要に応じて弾力的に授業時間を配当することができること。
(5)  普通科において商業に関する科目を履修させる場合には、地域や学校の実態、生徒の興味・関心、進路希望などを考慮し、「流通経済」、「簿記」、「情報処理」、「計算事務」、「文書処理」など適切なものを履修させることが望ましいこと。

2  内容の取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)  各科目の指導に当たっては、経済活動や技術革新の進展に伴う経済環境、経済政策、経営形態、消費者志向などにも適宜関心を持たせるとともに、特に「流通経済」、「商業経済」、「経営」、「商業法規」及び「国際経済」の指導に当たっては、これらに関する具体的な事例を取り上げることにより理解を深めるようにすること。
(2)  「総合実践」については、各学科の特質に応じて内容の(1)から(5)までのうちから指導項目を適宜選択すること。
(3)  「課題研究」については、生徒の興味・関心、進路希望などに応じて、内容の(1)から(4)までのうちから個人又はグループで適切な課題を設定させること。

第13節  水産

第1款  目標
  水産の各分野における生産や流通などに関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ、水産業の意義や役割を理解させるとともに、主体的に水産業の発展を図る能力と態度を育てる。


第2款  各科目

第1  水産一般
1  目標
  水産に関する基礎的な知識と技術を習得させ、水産業の仕組みと水産業が国民生活に果たしている役割を理解させる。

2  内容
(1)  海と生物
(2)  漁業と生産
(3)  水産物の利用
(4)  基礎実習

第2  水産情報処理
1  目標
  社会における情報化の進展及びコンピュータの役割や仕組みとその利用方法について理解させ、水産に関する各分野でコンピュータを活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  産業社会とコンピュータ
(2)  コンピュータの活用
(3)  ハードウェア
(4)  ソフトウェア
(5)  コンピュータと通信
(6)  水産業とコンピュータの利用

第3  総合実習
1  目標
  水産の各分野に関する総合的な知識と技術を習得させ、安全を重んじ技術の改善を図るとともに、実務に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  海洋漁業実習
(2)  水産工学実習
(3)  情報通信実習
(4)  栽培漁業実習
(5)  水産食品実習

第4  課題研究
1  目標
  水産に関する課題を設定し、その課題の解決を図る学習を通して、専門的な知識と技術の深化、総合化を図るとともに、問題解決の能力や自発的、創造的な学習態度を育てる。

2  内容
(1)  調査、実験、研究
(2)  作品製作
(3)  産業現場における実習
(4)  職業資格の取得

第5  漁業
1  目標
  漁業に関する知識と技術を習得させ、資源管理について理解を深めさせるとともに、漁業生産の向上を図る能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  漁業と水産生物
(2)  漁業と情報
(3)  漁業の技術
(4)  漁業制度と主な漁業
(5)  栽培漁業

第6  航海・計器
1  目標
  漁船を安全かつ適切に航海させるために必要な知識と技術を習得させ、実際に漁業生産に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  航海の仕組み
(2)  航海に関する情報
(3)  沿岸航海と計器
(4)  外洋航海と計器
(5)  航海関係法規

第7  漁船運用
1  目標
  漁船を安全かつ適切に運用するために必要な知識と技術を習得させ、実際に漁業生産に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  漁船の概要
(2)  漁船の設備
(3)  船務
(4)  操船
(5)  船内の安全と衛生
(6)  船舶・船員関係法規

第8  水産経済
1  目標
  水産に関する流通、取引、金融などについての知識と技術を習得させ、漁業生産に伴う経済活動の役割を理解させる。

2  内容
(1)  国民経済と水産業
(2)  水産物の流通と売買
(3)  水産金融
(4)  物的流通と保険

第9  船用機関
1  目標
  船舶の運航と保安及び船用機関に関する知識と技術を習得させ、船舶を安全かつ効率的に運転、管理する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  船舶の種類と設備
(2)  内燃機関
(3)  推進装置
(4)  燃料と潤滑剤
(5)  船舶の運航と保安

第10  水産工学
1  目標
  水産の各分野における熱機関及び機械装置に関する知識と技術を習得させ、安全かつ効率的に運転、管理する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  蒸気発生装置
(2)  冷凍・冷蔵、空気調和装置
(3)  水産機械装置
(4)  環境保全装置
(5)  自動制御装置

第11  機械設計工作
1  目標
  機械の設計と工作に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に水産工学の分野に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  機械設計工作の概要
(2)  機械設計
(3)  機械製図
(4)  機械材料
(5)  機械工作

第12  電気工学
1  目標
  電気に関する基礎的な知識と技術を習得させ、水産の各分野における電気機器を適切に取り扱う能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  電気工学の基礎
(2)  電気機器
(3)  電気計測
(4)  配電・電気工事

第13  通信工学
1  目標
  通信工学に関する知識と技術を習得させ、電子機器の取扱いに活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  通信の概要
(2)  無線通信機器
(3)  有線通信機器
(4)  航海用電子機器
(5)  電源設備
(6)  応用電子計測

第14  通信技術
1  目標
  情報通信に関する知識と技術を習得させ、通信業務を遂行するために必要な能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  通信の実技
(2)  通信関係法規
(3)  通信運用
(4)  通信地理

第15  電気通信理論
1  目標
  電気通信に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に通信業務に活用するための能力を養う。

2  内容
(1)  電気と磁気
(2)  直流回路
(3)  交流回路
(4)  半導体素子と電子管
(5)  電子回路
(6)  パルス回路
(7)  マイクロ波回路
(8)  空中線と電波の伝わり方
(9)  基礎計測

第16  水産情報技術
1  目標
  コンピュータの操作と保守に関する知識と技術を習得させ、利用する機器のシステムや制御技術に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  ハードウェア
(2)  ソフトウェア
(3)  データ通信システム
(4)  自動制御システム

第17  栽培漁業
1  目標
  水産増養殖に関する知識と技術を習得させ、栽培漁業に活用し、生産性の向上を図る能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  栽培漁業の概要
(2)  種苗生産
(3)  栽培技術
(4)  水産育種とバイオテクノロジー
(5)  餌料と飼料
(6)  疫病と障害
(7)  収穫
(8)  経営と流通
(9)  主な栽培漁業

第18  水産生物
1  目標
  水産生物に関する基礎的な知識と実験・観察の技法を習得させ、実際に栽培漁業に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  水産生物の分類
(2)  水産生物の生態
(3)  主な水産生物
(4)  プランクトン
(5)  水産資源

第19  漁場環境
1  目標
  漁場環境に関する知識と調査法を習得させ、実際に栽培漁業に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  漁場環境の特性
(2)  漁場の調査
(3)  漁場の造成
(4)  漁場環境の保全

第20  操船
1  目標
  小型船の操縦に関する知識と技術を習得させ、安全かつ適切な操船を行う能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  船舶の概要
(2)  運航の基礎
(3)  航海・運用
(4)  機関
(5)  執務一般
(6)  海事関係法規
(7)  操船実技

第21  水産食品製造
1  目標
  水産食品の製造に関する知識と技術を習得させ、生産を適切に管理する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  水産食品と原料
(2)  食品の保蔵及び加工法
(3)  水産食品の製造
(4)  食品製造機器
(5)  廃水及び廃棄物の処理
(6)  生産管理

第22  水産食品化学
1  目標
  水産食品化学に関する基礎的な知識と技術を習得させ、実際に水産食品製造に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  水産食品の成分と化学的性質
(2)  貯蔵及び加工中の成分変化
(3)  水産食品の栄養
(4)  水産食品の分析

第23  水産食品衛生
1  目標
  水産食品衛生に関する知識と技術を習得させ、水産食品を衛生的に管理する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  水産食品と食品衛生
(2)  水産食品と微生物
(3)  水産食品と疫病
(4)  水産食品の衛生試験
(5)  水産食品の衛生管理

第24  水産食品流通
1  目標
  水産食品流通に関する知識と技術を習得させ、水産食品の流通を合理的に行う能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  水産食品流通の概要
(2)  水産食品の流通機構
(3)  水産食品の流通と経済
(4)  技術革新と水産食品流通
(5)  食品のマーケティング


第3款  各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1  指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)  水産に関する学科においては、原則として水産に関する科目に配当する総授業時数の10分の5以上を実験・実習に配当すること。
(2)  実験・実習を行うに当たっては、施設・設備の安全管理に配慮し、学習環境を整えるとともに、事故防止の指導を徹底し、安全と衛生に十分留意すること。特に、海上においては事故防止について特別な配慮を行うこと。
(3)  各科目の指導に当たっては、情報関連機器の活用を図り、指導の効果を高めるようにすること。
(4)  「水産一般」、「水産情報処理」、「総合実習」及び「課題研究」については、原則として水産に関する各学科において履修させること。
(5)  「課題研究」については、年間指導計画に定めるところに従い、必要に応じて弾力的に授業時間を配当することができること。
(6)  普通科において水産に関する科目を履修させる場合には、地域や学校の実6、生徒の興味・関心、進路希望などを考慮し、「水産一般」など適切なものを履修させることが望ましいこと。

2  内容の取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)  「総合実習」の内容については、次のとおり取り扱うこと。
ア  学科の特質に応じて、内容の(1)から(5)までのうち適切な実習を行わせること。
イ  「海洋漁業実習」において漁業乗船実習を行う場合又は「水産工学実習」において機関乗船実習を行う場合には、所属の実習船を利用して実習させること。
ウ  「情報通信実習」を行う場合には、所属の実習船を利用して実習させること。
エ  「栽培漁業実習」を行う場合には、所属の小型漁船などを利用して実習させること。
オ  「水産食品実習」を行う場合には、地域や学校の実態を考慮して農畜産物を取り上げることもできること。
(3)  「課題研究」については、生徒の興味・関心、進路希望などに応じて、内容の(1)から(4)までのうちから個人又はグループで適切な課題を設定させること。


第14節  看護

第1款  目標
  看護に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ、看護の本質と社会的な意義を理解させるとともに、国民の健康の保持増進に寄与する能力と態度を育てる。


第2款  各科目
第1  看護基礎医学
1  目標
  看護を行うために必要な医学に関する基礎的な知識を習得させ、健康と疾病及びこれらと環境との関係について理解させる。

2  内容
(1)  人体の構造と機能
(2)  栄養
(3)  感染と免疫
(4)  薬物と薬理
(5)  生活と健康

第2  基礎看護
1  目標
  看護の意義と保健医療における看護の役割を理解させ、日常生活及び診療における看護に関する基礎的な知識と技術を習得させるとともに、看護を適切に行う能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  看護の意義と役割
(2)  日常生活と看護
(3)  診察と看護

第3  成人看護
1  目標
  成人期の加齢、生活、保健及び疾病について理解させ、成人及び老人の看護に関する知識と技術を習得させるとともに、その看護を行うために必要な基礎的な能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  成人の看護
(2)  老人の看護と福祉
(3)  主な疾患と看護

第4  母子看護
1  目標
  母子の特質、生活、保健及び疾病について理解させ、母性及び小児の看護に関する知識と技術を習得させるとともに、その看護を行うために必要な基礎的な能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  母子の健康と看護
(2)  母性の看護
(3)  新生児の看護
(4)  小児の成長・発達と看護
(5)  小児の疾患と看護

第5  看護臨床実習
1  目標
  看護に関する各科目において習得した知識と技術を臨床の場で活用し実践する経験を通して、問題解決の能力を養うとともに、臨床看護を行うために必要な能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  成人看護臨床実習
(2)  母子看護臨床実習
第6  看護情報処理
1  目標
  社会における情報化の進展及びコンピュータの役割や仕組みとその利用方法について理解させ、看護の分野でコンピュータを活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  産業社会とコンピュータ
(2)  コンピュータの活用
(3)  ハードウェア
(4)  ソフトウェア
(5)  コンピュータと通信
(6)  看護とコンピュータの利用


第3款  各科目にわたる指導計画の作成
1  看護に関する学科においては、原則として看護に関する科目に配当する総授業時数の10分の5以上を実験・実習に配当すること。

2  実験・実習を行うに当たっては、施設・設備の安全管理に配慮し、学習環境を整えるとともに、事故防止の指導を徹底し、安全と衛生に十分配慮するものとする。

3  臨床実習を行うに当たっては、特に指導計画を綿密に作成し、生徒指導に十分配慮するとともに、医療事故などの防止の指導を徹底し、安全と保健に十分配慮するものとする。

4  各科目の指導に当たっては、情報関連機器の活用を図り、指導の効果を高めるように配慮するものとする。

5  「看護基礎医学」、「基礎看護」、「成人看護」、「母子看護」、「看護臨床実習」及び「看護情報処理」については、原則として看護に関する学科において履修させるものとする。

6  普通科において看護に関する科目を履修させる場合には、地域や学校の実態、生徒の興味・関心、進路希望などを考慮し、「基礎看護」などを履修させることが望ましい。


第15節  理数

第1款  目標
  事象を探究する過程を通して、自然科学及び数学における基本的な概念、原理・法則などについての系統的な理解を深め、科学的、数学的に考察し、処理する能力と態度を育てる。


第2款  各科目

第1  理数数学I
1  目標
  数学における基本的な概念の形成と原理・法則の系統的な理解を通して、数学的な見方や考え方のよさを認識し、基礎的な知識の習得と技能の習熟を図るとともに、それらを的確に活用する能力を伸ばす。

2  内容
(1)  数学とコンピュータ
(2)  個数の処理、確率
(3)  平面幾何
(4)  図形と計量
(5)  式と関数
(6)  数列

3  内容の取扱い
(1)  内容の(1)から(6)については、第4節第1の「数学I」及び第4の「数学A」の「2  内容」及び「3  内容の取扱い」を参照し、必要に応じて、これらの科目の内容を発展、拡充させて取り扱うものとする。
(2)  内容の(1)については、第4節第5の「数学B」の2の(4)の内容も加えて取り扱うものとする。
(3)  内容の(5)については、分数式の計算と分数式で表される簡単な関数を取り扱い、これに関連して簡単な方程式、不等式を実数の範囲で解くことも取り扱うものとする。
(4)  内容の(6)については、第4節第3の「数学III」の2の(1)のイの(ア)及び(イ)の内容も取り扱うものとする。

第2  理数数学II
1  目標
  代数・幾何、解析及び確率・統計の各領域における概念を形成し、原理・法則についての理解を深め、数学的な表現力や論理的な思考力を高めるとともに、事象の考察における探究的な態度と創造的な能力を養う。

2  内容
A  代数・幾何
(1)  曲線とその表示
(2)  ベクトル
(3)  複素数と複素数平面
(4)  行列と線形計算
B  解析
(1)  いろいろな関数
(2)  微分法とその応用
(3)  積分法とその応用
(4)  数値計算
C  確率・統計
(1)  確率分布
(2)  統計処理
D  課題研究

3  内容の取扱い
(1)  内容のA、B及びCについては、第4節第2の「数学II」、第3の「数学III」、第5の「数学B」及び第6の「数学C」の「2  内容」及び「3  内容の取扱い」を参照し、必要に応じて、これらの科目の内容を発展、拡充させて取り扱うものとする。
(2)  内容のBの(1)については、逆関数の考え、簡単な無理関数及び逆三角関数も取り扱うものとする。
(3)  内容のBの(3)については、    = ( は定数)程度の簡単な微分方程式の意味と解法も取り扱うものとする。
(4)  内容のDについては、内容のA、B及びCの各領域をさらに発展、拡充させた課題を適宜設定し、指導に当たっては、講義、講読研究又は演習など適切な方法を用いるよう配慮するものとする。

第3  理数物理
1  目標
  物理的な事物・現象についての観察、実験や課題研究などを行い、物理学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則の系統的な理解を深め、科学的な自然観を育成する。

2  内容
(1)  運動とエネルギー
(2)  波動
(3)  電流と電子
(4)  電気と磁気
(5)  原子と原子核
(6)  課題研究

3  内容の取扱い
(1)  内容の構成に当たっては、物理学の基本的な概念の形成と科学の方法の習得が無理なく行われるようにする。
(2)  内容の(1)から(6)については、第5節第3の「物理IB」及び第4の「物理II」の「2  内容」及び「3  内容の取扱い」を参照し、必要に応じて、これらの科目の内容を発展、拡充させて取り扱うものとする。ただし、内容の(1)については、「物理IB」の2の(1)及び(2)並びに「物理II」の2の(1)を取り扱うものとする。なお、内容の(4)については、エレクトロニクスの基礎実験も取り扱う。

第4  理数化学
1  目標
  化学的な事物・現象についての観察、実験や課題研究などを行い、化学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則の系統的な理解を深め、科学的な自然観を育成する。

2  内容
(1)  物質の構造と状態
(2)  物質の性質
(3)  物質の変化
(4)  反応の速さと平衡
(5)  高分子化合物
(6)  課題研究

3  内容の取扱い
(1)  内容の構成に当たっては、化学の基本的な概念の形成と科学の方法の習得が無理なく行われるようにする。
(2)  内容の(1)から(6)については、第5節第6の「化学IB」及び第7の「化学II」の「2  内容」及び「3  内容の取扱い」を参照し、必要に応じて、これらの科目の内容を発展、拡充させて取り扱うものとする。なお、内容の(2)については、物質の合成実験も取り扱う

第5  理数生物
1  目標
  生物や生物現象についての観察、実験や課題研究などを行い、生物学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則の系統的な理解を深め、科学的な自然観を育成する。

2  内容
(1)  生物体の構造と機能
(2)  生命の連続性
(3)  生物と環境
(4)  生物現象と分子
(5)  生物と進化と系統
(6)  課題研究

3  内容の取扱い
(1)  内容の構成に当たっては、生物学の基本的な概念の形成と科学の方法の習得が無理なく行われるようにする。
(2)  内容の(1)から(6)については、第5節第9の「生物IB」及び第10の「生物II」の「2  内容」及び「3  内容の取扱い」を参照し、必要に応じて、これらの科目の内容を発展、拡充させて取り扱うものとする。なお、内容の(4)については、バイオテクノロジーに関する実験も取り扱う。

第6  理数地学
1  目標
  地学的な事物・現象についての観察、実験や課題研究などを行い、地学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則の系統的な理解を深め、科学的な自然観を育成する。

2  内容
(1)  宇宙の中の地球
(2)  地球の構成
(3)  地球の歴史
(4)  地球の活動
(5)  宇宙の構成
(6)  課題研究

3  内容の取扱い
(1)  内容の構成に当たっては、地学の基本的な概念の形成と科学の方法の習得が無理なく行われるようにする。
(2)  内容の(1)から(6)については第5節第12の「地学IB」及び第13の「地学II」の「2  内容」及び「3  内容の取扱い」を参照し、必要に応じて、これらの科目の内容を発展、拡充させて取り扱うものとする。なお、内容の(3)については、地質図の実習も取り扱う。


第3款  各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1  理数に関する学科における指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)  「理数数学II」については「理数数学I」を履修した後に履修させること。
(2)  「理数数学I」及び「理数数学II」の指導に当たっては、数理現象の視覚的な理解や多数の計算例による法則性の認識を深めるため、コンピュータを積極的に活用すること。
(3)  「理数物理」、「理数化学」、「理数生物」及び「理数地学」については、これらのうちから、原則として、3科目以上を履修させること。

2  内容の取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)  観察、実験、野外調査などの指導に当たっては、特に、事故防止について十分留意するとともに、生命の尊重や自然環境の保全に関する態度の育成に留意すること。また、使用薬品などの管理及び廃棄についても適切な措置を講ずること。
(2)  「理数物理」、「理数化学」、「理数生物」及び「理数地学」の環境問題や化学技術の進歩と人間生活にかかわる内容等については、自然科学的な見地から取り扱うこと。


第16節  体育

第1款  目標
  運動の合理的な実践を通して高度な運動技能を習得できるようにし、心身ともに健全な人間の育成に資するとともに、体育・スポーツの振興発展に寄与する態度を育てる。


第2款  各科目

第1  体育理論
1  目標
  体育に関する知識を理解させ、運動の合理的な実践及び健康の増進と体力の向上に活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  体育の原理
(2)  体力トレーニングの実践理論
(3)  運動技能の構造と練習法
(4)  運動と安全
(5)  現代社会とスポーツ
(6)  体育施設の運営管理

3  内容の取扱い
  内容の指導に当たっては、運動の学習とのかかわりの深い保健に関する理論や実習についても適宜取り扱うものとする。

第2  体操
1  目標
  体操の特性を理解させ、体力の向上を図るとともに、自己の体力や生活に応じた体操を構成し活用する能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  体力を高めるための運動
    ア  身体の柔らかさ及び巧みな動きを高めるための運動
    イ  力強い動きを高めるための運動
    ウ  動きを持続する能力を高めるための運動
(2)  目的に応じた体操の構成及び活用
    ア  体力を高めるための体操
    イ  スポーツの技能を高めるための体操
    ウ  健康増進のための体操

第3  スポーツI
1  目標
  採点競技及び測定競技の特性について理解させ、これらのスポーツの高度な技術と審判法を習得できるようにするとともに、技能を発揮して競技ができる能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  体操競技
(2)  陸上競技
(3)  水泳競技

第4  スポーツII
1  目標
  球技の特性について理解させ、これらのスポーツの高度な技術と審判法を習得できるようにするとともに、技能を発揮してゲームができる能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  バスケットボール
(2)  ハンドボール
(3)  サッカー
(4)  ラグビー
(5)  バレーボール
(6)  テニス
(7)  卓球
(8)  バドミントン
(9)  ソフトボール
(10)  野球
(11)  ゴルフ

第5  スポーツIII
1  目標
  武道等の特性について理解させ、これらのスポーツの高度な技術と審判法を習得できるようにするとともに、技能を発揮して試合ができる能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  柔道
(2)  剣道
(3)  相撲
(4)  なぎなた
(5)  弓道
(6)  レスリング

第6  ダンス
1  目標
  ダンスの特性について理解させ、その高度な技能を習得できるようにするとともに、創造的な表現等の能力と鑑賞力を育てる。

2  内容
(1)  創作ダンス
(2)  フォークダンス
(3)  社交ダンス
(4)  その他のダンス

第7  野外活動
1  目標
  自然とのかかわりの深い野外の運動の特性について理解させ、その知識と技能を習得できるようにするとともに、自然の中での行動の仕方を身に付け、自然に親しむ能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  キャンプ
(2)  登山
(3)  スキー
(4)  スケート
(5)  遠泳その他の水辺活動


第3款  各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1  体育に関する学科における指導計画の作成に当たっては、各学年において次の事項に配慮するものとする。
(1)  「体育理論」、「体操」及び「野外活動」の科目については、原則としてすべての生徒に履修させること。また、「スポーツI」、「スポーツII」、「スポーツIII」及び「ダンス」の科目については、これらのうちから生徒が能力・適性等に応じて1以上を選択して履修できるようにすること。
(2)  「体育理論」及び「体操」の内容については、各事項とも履修させること。また、「スポーツI」、「スポーツII」、「スポーツIII」、「ダンス」及び「野外活動」の内容に示す事項については、これらのうちから生徒が能力・適性等に応じて1以上を選択して履修できるようにすること。

2  各科目の指導に当たっては、安全に配慮するものとする。特に、「野外活動」など特定の期間に集中的に校外で授業を行う場合は、安全対策に十分配慮するものとする。

3  集合、整とん、列の増減、方向転換などの行動の仕方の指導については、それぞれの運動の特性との関連において適切に行うものとする。


第17節  音楽

第1款  目標
  音楽に関する専門的な学習を通して、創造的な表現に必要な知識や技術を習得させるとともに、音楽に対する豊かな感性と音楽文化の発展に寄与する態度を育てる。


第2款  各科目
第1  音楽理論
1  目標
  音楽に関する基礎的な知識及び法則を習得させる。

2  内容
(1)  楽典、楽式など
(2)  和声法
(3)  対位法

第2  音楽史
1  目標
  音楽の歴史を考察させるとともに、音楽の文化的意義を理解させる。
2  内容
(1)  西洋音楽史
(2)  日本音楽史

第3  演奏法
1  目標
  音楽に関する知識、技能に基づき、創造的な表現方法を身に付けさせる。

2  内容
(1)  時代的、様式的背景などに基づく表現法
(2)  音楽の解釈の仕方
(3)  習得した知識や技術に基づく演奏法の工夫

3  内容の取扱い
  総合的、客観的に視野の拡大を図るため、主として専攻して履修する内容について、広範な資料に基づき、幅広く多角的な方法によって指導するものとする。

第4  ソルフェージュ
1  目標
  音楽を構成する諸要素を正しくとらえ、音楽的に表現するための基礎的能力を養う。

2  内容
(1)  聴音
(2)  視唱
(3)  視奏

第5  声楽
1  目標
  音楽に関する知識や技術を身に付けさせ、音楽的な表現の能力を養う。

2  内容
(1)  独唱
(2)  重唱
(3)  合唱

第6  器楽
1  目標
  楽器の演奏に関する知識や技術を身に付けさせ、音楽的な表現の能力を養う。

2  内容
(1)  鍵盤楽器の独奏
(2)  弦楽器の独奏
(3)  管楽器の独奏
(4)  打楽器の独奏
(5)  重奏
(6)  合奏

3  内容の取扱い
(1)  内容の(1)については、ピアノ、チェンバロ、オルガンのうちから選んで行うものとする。
(2)  内容の(2)については、バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバス、ハープのうちから選んで行うものとし、その他の弦楽器は必要に応じて取り扱うことができる。
(3)  内容の(3)については、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、サクソフォーン、ホルン、トランペット、トロンボーン、テューバのうちから選んで行うものとし、その他の管楽器は必要に応じて取り扱うことができる。

第7  作曲
1  目標
  作曲に関する知識や技術を身に付けさせる。

2  内容
  作曲の技法


第3款  各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1  音楽に関する学科における指導計画の作成に当たっては、「音楽理論」、「音楽史」、「演奏法」、「ソルフェージュ」及び「器楽」の2の(1)が含まれるようにする。ただし、「音楽理論」の2の(3)については、必要に応じて取り扱うものとする。

2  内容の取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1) 「声楽」の2の(1)、「器楽」の2の(1)、(2)、(3)及び(4)並びに「作曲」の内容の中から、生徒の特性等に応じ、そのいずれかを専門的に履修させること。また、これに加えて、「声楽」の2の(1)、「器楽」の2の(1)、(2)、(3)及び(4)のいずれかを履修させることができること。なお、「器楽」の2の(1)を専攻する生徒については、原則として、「声楽」の2の(1)を履修させること。
(2) 「声楽」の2の(2)及び「器楽」の2の(5)のいずれかと、「声楽」の2の(3)及び「器楽」の2の(6)のいずれかは、すべての生徒に履修させること。
(3) 1並びに2の(1)及び(2)に示す科目については、原則として、3年間にわたって履修させること。ただし、「音楽理論」の2の(2)については、生徒の実態など
を考慮して、3年間のうちに適宜履修させることができること。

第18節  美術

第1款  目標
  美術に関する専門的な学習を通して、美的体験を豊かにし、創造的な表現と鑑賞の能力を高め、美術文化の発展に寄与する能力と態度を養う。


第2款  各科目

第1  美術理論
1  目標
  美術の理論的学習を通して、芸術としての美術の意義を理解させ、表現の基礎となる能力と態度を高める。

2  内容
(1)  美術と自然
(2)  美術と社会
(3)  美術と生活

第2  美術史
1  目標
  美術の変遷の学習を通して、美術文化や美術の理解を深めさせ、表現と鑑賞の基礎となる能力を高める。

2  内容
(1)  日本の美術
(2)  東洋の美術
(3)  西洋の美術

第3  素描
1  目標
  造形表現の基礎となる形体や空間などを把握させ、的確な観察力を養い、表現と鑑賞の能力を高める。

2  内容
(1)  デッサン
(2)  クロッキー
(3)  表現材料
(4)  鑑賞

第4  構成
1  目標
  造形の基本となる諸要素の理解を深めさせ、美に対する感覚と創造的な構成の能力を高める。

2  内容
(1)  色彩、形体
(2)  材料、用具
(3)  平面構成、立体構成
(4)  鑑賞

第5  絵画
1  目標
  いろいろな表現形式による絵画表現を通して、表現と鑑賞の能力を高める。

2  内容
(1)  日本画
(2)  水彩画
(3)  油絵
(4)  その他の絵画
(5)  鑑賞

3  内容の取扱い
  内容の(1)、(2)、(3)又は(4)のうちいずれかを選択して取り扱うことができる。

第6  版画
1  目標
  いろいろな版画の形式による表現を通して、表現と鑑賞の能力を高める。

2  内容
(1)  版画の形式、方法
(2)  材料、用具
(3)  表現
(4)  鑑賞

第7  彫刻
1  目標
  いろいろな材料による彫刻の表現を通して、表現と鑑賞の能力を高める。

2  内容
(1)  彫造
(2)  塑造
(3)  その他の彫刻
(4)  鑑賞

3  内容の取扱い
  内容の(1)、(2)又は(3)のうちいずれかを選択して取り扱うことができる。

第8  ビジュアルデザイン
1  目標
  視覚的な伝達効果を主とするデザインについて理解を深めさせ、デザインにおける計画・表示の能力を高める。

2  内容
(1)  デザインの基礎
(2)  平面・立体デザイン
(3)  空間デザイン
(4)  鑑賞

第9  クラフトデザイン
1  目標
  技術性や生産性を主とするデザインについて理解を深めさせ、デザインにおける計画と制作の能力を高める。

2  内容
(1)  デザインの基礎
(2)  クラフトデザイン
(3)  プロダクトデザイン
(4)  鑑賞

第10  図法・製図
1  目標
  計画・表示に必要な基礎図法を理解させ、形体と図面との関係を明確にし、空間・立体の認識、把握及び作図・読図の能力を高める。

2  内容
(1)  図法
(2)  表示法
(3)  製図実習
(4)  鑑賞

第11  映像
1  目標
  ビデオテレビ、写真等による表現活動を通して、映像による伝達効果や造形美術としての意義を理解させ、表現と鑑賞の能力を高める。

2  内容
(1)  材料、機材、用具の知識及び使用技術
(2)  企画、構成、表現
(3)  鑑賞

第12  コンピュータ造形
1  目標
  コンピュータによる造形活動を通して、その表現の特質を理解させ、表現と鑑賞の能力及び機器を活用する態度を養う。

2  内容
(1)  機材、用具の知識及び使用技術
(2)  コンピュータによる表現と制作
(3)  鑑賞

第13  環境造形
1  目標
  環境と造形との調和を理解させ、造形の能力を総合的に生かす実践的な能力と態度を育てる。

2  内容
(1)  展示造形
(2)  舞台造形
(3)  環境の造形
(4)  鑑賞

3  内容の取扱い
内容の(1)、(2)又は(3)のうちいずれかを選択して取り扱うことができる。


第3款  各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1  美術に関する学科における指導計画の作成に当たっては、原則として「美術概論」、「素描」及び「構成」が含まれるようにする。
2  各科目の内容の取扱いに当たっては、生徒の特性、学校の実態に応じてコンピュータ等の機器の活用について配慮するものとする。


第19節  英語

第1款  目標
  英語を理解し、英語で表現する能力を養い、英語で積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育てるとともに、言語や文化に対する関心を高め、国際理解を深める。


第2款  各科目

第1  総合英語
1  目標
  話し手や書き手の意向などを理解し、自分の考えなどを英語で表現する能力を伸ばすとともに、英語で積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育てる。

2  内容
(1)  発音
(2)  聞き取り
(3)  書き取り
(4)  対話
(5)  スピーチ
(6)  読解
(7)  作文

3  内容の取扱い
  指導に当たっては、聞くこと、話すこと、読むこと及び書くことの言語活動については、いずれかの活動に偏ることがないようにする。

第2  英語理解
1  目標
  話し手や書き手の意向などを理解する能力を一層伸ばすとともに、英語を理解しようとする積極的な態度を育てる。

2  内容
(1)  発音
(2)  聞き取り
(3)  書き取り
(4)  精読
(5)  多読
(6)  鑑賞

3  内容の取扱い
  指導に当たっては、教材の分量や程度及び聞き取りや読解の速度に配慮するものとする。

第3  英語表現
1  目標
  英語で自分の考えなどを表現する能力を一層伸ばすとともに、英語で表現しようとする積極的な態度を育てる。

2  内容
(1)  発音
(2)  対話
(3)  スピーチ
(4)  ディスカッション
(5)  ディベート
(6)  レシテーション
(7)  演劇
(8)  作文
(9)  創作

3  内容の取扱い
  指導に当たっては、話し言葉と書き言葉の相違、表現形式、文章構成、表現の速度に配慮するものとする。

第4  外国事情
1  目標
  英語を通して、外国の事情について理解を深めさせることにより、国際理解の基礎を得させる。

2  内容
(1)  日常生活
(2)  風俗習慣
(3)  社会生活
(4)  地理
(5)  歴史
(6)  科学
(7)  その他の外国事情に関すること

3  内容の取扱い
  必要に応じて、日本のことを取り上げるとともに、他の教科との関連に配慮するものとする。

第5  英語一般
1  目標
  社会生活に役立つ英語に関する基礎的な知識と技能を得させる。

2  内容
(1)  手紙、掲示、説明書などの読解と作成
(2)  英文タイプライティング
(3)  英文ワープロ
(4)  その他の日常生活に関すること

3  内容の取扱い
  内容の(2)又は(3)のいずれかを選択することができる。

第6  時事英語
1  目標
  新聞や放送などに用いられる英語を理解する基礎的な能力と知識を得させる。

2  内容
(1)  英字新聞の読み取り
(2)  英語放送の聞き取り

3  内容の取扱い
  内容の(1)及び(2)以外の時事英語についても取り上げることができる。

第7  LL演習
1  目標
  LLを利用することにより、英語を聞き、話す能力を伸ばすとともに、英語を読み、書く能力の向上を図る。

2  内容
(1)  発音練習
(2)  聞き取り練習
(3)  応答練習
(4)  書き取り練習

3  内容の取扱い
  LL演習を一層効果的にするために、事前、事後の指導を行うよう配慮するものとする。


第3款  各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1  英語に関する学科の指導計画の作成に当たっては、原則として、「総合英語」及び「外国事情」が含まれるようにする。

2  内容の取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)  教材は、英語を日常使用している人々を中心とする世界の人々及び日本人の日常生活、風俗習慣、物語、地理、歴史などに関するもののうちから、生徒の心身の発達段階及びその興味や関心に即して適切な題材を変化をもたせて取り上げるものとすること。その際には、外国語の理解力と表現力を育成することをねらいとしながら、次のような観点に留意する必要があること。
  ア  広い視野から国際理解を深め、国際社会に生きる日本人としての自覚を高めるとともに、国際協調の精神を養うのに役立つこと。
  イ  言語や文化に対する関心を高め、これらを尊重する態度を育てるとともに、豊かな心情を養うのに役立つこと。
  ウ  世界や我が国の生活や文化についての理解を深め、国際的な視野を広げ、公正な判断力を養うのに役立つこと。
  また、題材の形式としては、説明文、対話文、物語、劇、詩、手紙などのうちから適切に選択すること。

(2)  個人別、小集団別の指導を生かし、また、視聴覚教材などを活用して、生徒の能力や適性などに応ずるよう工夫をすること。また、ネイティブ・スピーカーの協力を得るなどして、生徒のコミュニケーション能力を育成するとともに、国際理解を深めるよう努めること。


第3章  特別活動

第1  目標
  望ましい集団活動を通して、心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図り、集団の一員としてよりよい生活を築こうとする自主的、実践的な態度を育てるとともに、人間としての在り方生き方についての自覚を深め、自己を生かす能力を養う。

第2  内容

A  ホームルーム活動
  ホームルーム活動においては、学校における生徒の基礎的な生活集団として編成したホームルームを単位として、ホームルーム生活の充実と向上を図り、生徒が当面する諸課題への対応や健全な生活態度の育成に資する活動を行うこと。
(1)  ホームルームにおける集団生活の充実と向上に関すること。
ホームルームにおける生活上の諸問題の解決、ホームルームを基盤とした集団生活の向上など

(2)  個人及び社会の一員としての在り方生き方に関すること。
  ア  個人生活及び社会生活の充実
  青年期の特質の理解、自己の個性の理解、人間としての生き方の探求、男女相互の理解と協力、集団生活における人間関係の確立、国際理解と親善など
  イ  学業生活の充実
  主体的な学習態度の確立、教科・科目の適切な選択、学校図書館の利用、情報の適切な活用など
  ウ  健康・安全
  健康で安全な生活態度や習慣の確立など

(3)  将来の生き方と進路の適切な選択決定に関すること。
  進路適性の理解、進路情報の理解と活用、望ましい職業観の形成、将来の生活の設計、適切な進路の選択決定、進路先への適応など

B  生徒会活動
  生徒会活動においては、学校の全生徒をもって組織する生徒会において、学校生活の充実や改善向上を図る活動、生徒の諸活動につついての連絡調整に関する活動及び学校行事への協力に関する活動などを行うこと。

C  クラブ活動
  クラブ活動においては、原則として学年やホームルームの所属を離れ、共通の興味や関心をもつ生徒をもって組織するクラブにおいて、全生徒が文化的、体育的、生産的又は奉仕的な活動のいずれかの活動を行うこと。

D  学校行事
  学校行事においては、全校若しくは学年又はそれらに準ずる集団を単位として、学校生活に秩序と変化を与え、集団への所属感を深め、学校生活の充実と発展に資する体験的な活動を行うこと。

(1)  儀式的行事
  学校生活に有意義な変化や折り目を付け、厳粛で清新な気分を味わい、新しい生活の展開への動機付けとなるような活動を行うこと。

(2)  学芸的行事
  平素の学習活動の成果を総合的に生かし、その向上の意欲を一層高めるような活動を行うこと。

(3)  健康安全・体育的行事
  心身の健全な発達や健康の保持増進などについての理解を深め、安全な行動や規律ある集団行動の体得、運動に親しむ態度の育成、責任感や連帯感の涵養、体力の向上などに資するような活動を行うこと。

(4)  旅行・集団宿泊的行事
  平素と異なる生活環境にあって、見聞を広め、自然や文化などに親しむとともに、集団生活の在り方や公衆道徳などについての望ましいて体験を積むことができるような活動を行うこと。

(5)  勤労生産・奉仕的行事
  勤労の尊さや意義を理解し、働くことや創造することの喜びを体得し、社会奉仕の精神を養うとともに、職業観の形成や進路の選択決定などに資する体験が得られるような活動を行うこと。

第3  指導計画の作成と内容の取扱い
1  指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)  学校の創意工夫を生かすとともに、学校の実態や生徒の発達段階及び特性等を考慮し、教師の適切な指導の下に、生徒による自主的、実践的な活動が助長されるようにすること。その際、奉仕的な活動や、勤労にかかわる体験的な活動の機会をできるだけ取り入れること。

(2)  生徒指導の機能を十分に生かすとともに、教育相談(進路相談を含む)についても、生徒の家庭との連絡を密にし、適切に実施できるようにすること。

(3)  人間としての在り方生き方の指導がホームルーム活動を中心として、特別活動の全体を通じて行われるようにすること。その際、他の教科、特に公民科との関連を図ること。

(4)  ホームルーム活動に配当する授業時数の3分の2程度は内容の(2)及び(3)に配当すること。

2  内容の取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)  内容のAにおいては、その特質に応じて教師の適切な指導を行うとともに、特に、次の事項に留意すること。

ア  内容の(1)については、ホームルーム内の諸問題の解決を図りホームルームが健全な学校生活の基盤となるよう、教師と生徒及び生徒相互の人間関係を密にし、生徒の自発的、自治的な活動を助長すること。

イ  内容の(2)及び(3)については、生徒一人一人が現在及び将来にわたる諸課題を明確にし、自主的、実践的な活動ができるよう援助すること。

ウ 内容の(1)、(2)及び(3)相互の関連を図るとともに内容のB、C及びDとの関連を図ること。

(2)  内容のB及びCについては、教師の適切な指導の下に、生徒の自発的、自治的な活動が展開されるようにすること。

(3)  内容のCについては、学校や生徒の実態に応じて実施の形態や方法などを適切に工夫すること。なお、部活動に参加する生徒については、当該部活動への参加によりクラブ活動を履修した場合と同様の成果があると認められるときは、部活動への参加をもってクラブ活動の一部または全部の履修に替えることができること。

(4)  内容のDについては、学校や地域及び生徒の実態に応じて、各種類ごとに、行事及びその内容を精選して実施すること。

(5)  特別活動の一環として学校給食を実施する場合には、適切な指導を行うこと。

3  入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする。

4  特別活動の指導を担当する教師については、内容のAは、主としてホームルームごとにホームルーム担任の教師が指導することを原則とし、活動の内容によっては他の教師などの協力を得ることとする。内容のB、C及びDは、学校の指導体制を確立し、全教師の協力により適切に指導するものとする。

附則
1  この告示は、平成6年4月1日から施行する。ただし、改正後の高等学校学習指導要領は、同日以降高等学校の第1学年に入学した生徒(学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)第64号の2第1項に規定する学年による教育課程の区分を設けない定時制又は通信制の課程にあっては、同日以降入学した生徒(同令第60条の規定により入学した生徒で同日前に入学した生徒に係る教育課程により履修するものを除く。))に係る教育課程及び全課程の修了の認定から適用する。

2  第1章第3款の1に規定する各教科・科目のうち「生活一般」については、当分の間、特別の事情がある場合には、「体育」、「家庭情報処理」、「農業基礎」、「農業情報処理」、「工業基礎」、「情報技術基礎」、「情報処理」、「水産一般」、「水産情報処理」又は「看護情報処理」の履修をもって、第2章第9節第2款第3の2に示す内容の(5)から(10)までの履修に替えることができる。この場合、その単位数は、2単位を超えることができない。

別表(第1章第5款の3の(1)関係)

○文部省告示第167 号
  学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)第57条の2及び第63条の2の規定に基づき、高等学校学習指導要領(平成元年文部省告示第26号)が適用されるまでの間における高等学校学習指導要領(昭和53年文部省告示第163   号)の特例を次のように定め、平成2年4月1日から施行する。
    平成元年11月30日
                  文部大臣  石橋  一弥


1  総則の特例
(各教科に属する科目の標準単位数等の特例)
(1)  高等学校学習指導要領(昭和53年文部省告示第163 号。以下「現行高等学校学習指導要領」という。)第1章第2款の2の表に掲げる各教科に属する科目のほか、家庭、農業、工業、商業及び水産の各教科に属する科目である「課題研究」の標準単位数については、設置者の定めるところによるものとする。
(2)  学校においては、地域、学校及び生徒の実態、学科の特色等に応じ、必要がある場合には、現行高等学校学習指導要領第1章第2款の1の表に掲げる教科について、これらに属する科目以外の科目を設けることができる。この場合において、その科目の名称、目標、内容、単位数については、その科目の属する教科の目標に基づき、設置者の定めるところによるものとする。
(3)  学校においては、現行高等学校学習指導要領第1章第2款の2の表備考1の前段の規定にかかわらず、地域、学校及び生徒の実態、学科の特色等に応じ、必要がある場合には、同表に掲げる教科について、これらに属する科目以外の科目を設けることができる。
(4)  学校においては、現行高等学校学習指導要領第1章第2款の2の表備考2の規定にかかわらず、地域、学校及び生徒の実態、学科の特色等に応じ、特に必要がある場合には、例えば、情報、職業、技術などに関する、同表に掲げる「その他特に必要な教科」及び「当該教科に関する科目」を設けることができる。この場合において、その教科及び科目の名称、目標、内容、単位数等については、設置者の定めるところによるものとする。ただし、設置者は、「その他特に必要な教科」を設けるに当たっては、高等学校教育の目標及びその水準の維持等に十分配慮しなければならない。
(各教科に属する科目の履修の特例)
(5)  現行高等学校学習指導要領第1章第3款の1ただし書の規定にかかわらず、生徒の実態及び専門教育を主とする学科の特色等を考慮し、特に必要がある場合には、すべての生徒に履修させるものとされた各教科に属する科目の単位数の一部を減じることができる。
(6)  「家庭一般」をすべての男子に履修させる場合、すべての生徒の「体育」の指導に当たっては、現行高等学校学習指導要領第2章第5節の規定にかかわらず、高等学校学習指導要領(平成元年文部省告示第26号。以下「新高等学校学習指導要領」という。)第2章第6節の規定によるものとし、全日制の課程の普通科のすべての生徒に履修させる「体育」の単位数については、現行高等学校学習指導要領第1章第3款の2の   (1 )の規定にかかわらず9単位を下らないようにするものとする。
(特別活動の履修の特例)
(7)  全日制及び定時制の課程においては、現行高等学校学習指導要領第1章第4款の2及び3の規定にかかわらず、ホームルーム活動及びクラブ活動の授業時数については、原則として、合わせて週当たり2単位時間以上を配当するものとし、ホームルーム活動については、少なくとも週当たり1単位時間以上を配当するものとする。なお、クラブ活動については、学校において計画的に授業時数を配当するものとし、その実施に当たっては、部活動との関連を考慮することができる。
(授業時数等の特例)
(8)  全日制の課程においては、現行高等学校学習指導要領第1章第5款の1の規定にかかわらず、クラブ活動の授業は、年間35週行うことを標準とすることは要しないものとし、また、特に必要がある場合には、各教科に属する科目の授業を特定の学期又は期間に行うことができる。
(9)  全日制及び定時制の課程においては、授業の1単位時間は50分を標準とするが、教科・科目の特質等に応じて、授業の実施形態を工夫することができる。
(単位の修得及び卒業の認定の特例)
(10)  学校においては、各学年の課程の修了の認定については、単位制が併用されていることを踏まえ、弾力的に行うよう配慮するものとする。
(11)  学校においては、現行高等学校学習指導要領第1章第8款の3の規定にかかわらず、卒業までに修得させる各教科に属する科目を定めることは要しないものとし、普通科においては、上記(2)及び(3)により設けられた科目並びに(4)により設けられた「その他特に必要な教科」に関する科目に係る修得単位数は、合わせて20単位までを卒業までに修得させる単位数に含めることができるものとする。
(12)  学校においては、定時制又は通信制の課程に在学する生徒が、現行高等学校学習指導要領第1章第8款の4に定める場合のほか、入学以前に大学入学資格検定規程(昭和26年文部省令第13号)の定めるところにより、その受検科目について合格点を得ている場合には、それに相当する高等学校の各教科に属する科目の単位を修得したものとみなすことができる。
(通信制の課程における教育課程の特例)
(13)  通信制の課程における上記(4)により設けられた「その他特に必要な教科」に関する科目のうち普通教育に関するものについては、設置者が、その添削指導の回数及び面接指導の単位時間数を定めるものとする。
(14)  通信制の課程における特別活動については、現行高等学校学習指導要領第1章第9款の4の規程にかかわらず、ホームルーム活動及びクラブ活動を含めて、各々の生徒の卒業までに30単位時間以上指導するものとする。

2  各教科等の特例
(保健体育の特例)
(1)  保健体育に属する科目の指導に当たっては、その全部又は一部について新高等学校学習指導要領第2章第6節の規定によることができる。
(芸術の特例)
(2)  芸術に属する科目の指導に当たっては、その全部又は一部について新高等学校学習指導要領第2章第7節の規定によることができる。
(家庭の特例)
(3)  家庭に属する科目のうち「課題研究」の指導に当たっては、新高等学校学習指導要領第2章第9節(第3款の1の(7)を除く。)の規定によるものとする。
(農業の特例)
(4)  農業に属する科目のうち「課題研究」の指導に当たっては、新高等学校学習指導要領第2章第10節(第3款の1の(6)を除く。)の規定によるものとする。
(工業の特例)
(5)  工業に属する科目のうち「課題研究」の指導に当たっては、新高等学校学習指導要領第2章第11節(第3款の1の(4)を除く。)の規定によるものとする。
(商業の特例)
(6)  商業に属する科目のうち「課題研究」の指導に当たっては、新高等学校学習指導要領第2章第12節(第3款の1の(3)を除く。)の規定によるものとする。
(水産の特例)
(7)  水産に属する科目のうち「課題研究」の指導に当たっては、新高等学校学習指導要領第2章第13節(第3款の1の(4)を除く。)の規定によるものとする。
(体育の特例)
(8)  体育に属する科目の指導に当たっては、その全部又は一部について新高等学校学習指導要領第2章第16節の規定によることができる。
(音楽の特例)
(9)  音楽に属する科目の指導に当たっては、その全部又は一部について新高等学校学習指導要領第2章第17節の規定によることができる。
(美術の特例)
(10)  美術に属する科目の指導に当たっては、その全部又は一部について新高等学校学習指導要領第2章第18節の規定によることができる。
(特別活動の特例)
(11)  特別活動の指導に当たっては、新高等学校学習指導要領第3章の規定によるものとする。

(初等中等教育局)

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