宇宙開発委員会
2001/11/26 議事録宇宙開発委員会 利用部会(第5回)議事録 |
宇宙開発委員会 利用部会(第5回)議事録
1. | 日時 平成13年11月26日(月)14:00〜16:30 | ||||||||||||||||||||||||||||||
2. | 場所 文部科学省別館11階大会議室 | ||||||||||||||||||||||||||||||
3. | 議題
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4. | 資料
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5. | 出席者
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6. | 議事内容 |
【川崎部会長】 お忙しいところをお集まりいただきまして恐縮でございます。定刻になりましたので、一、二特別委員の先生方お見えではございませんが、今日ご出席と承っておりますので、いずれ見えかと思います。
早速でございますが、本日、いわゆるユーザーの、全体の推進をやっておられます関係する省のほうから、それぞれご担当の方に出ていただいて、ユーザーから見たこれからの宇宙開発利用ということで、推進側に対して、あるいは政府としてどんなふうなことをしたらいいかというようなことについてご示唆を賜ることになっております。大変時間が立て込んでおりますので早速会を始めたいと思いますが、その前にお手元に配付してあります本日の資料に関して、事務局から確認をさせていただきたいと思います。
【事務局 配付資料確認】
【川崎部会長】 遺漏ございませんでしょうか。
それでは、恒例によりまして、第3回の議事録につきましては、皆さん方のご意見を入れまして修正をしたものでございますが、なお手直すべき点があれば、事務局のほうに後日ご連絡をいただくということで。
それから、第4回につきましては、今日お配りをしたわけでございますので、本日朗読は差し控えまして、皆さんのほうで、お手元でごらんをいただきまして、修正をすべき点があれば、これも同様事務局のほうにご連絡を賜ればということで、割愛をさせていただいて先へ進めたいと思います。
前回の議論におきましても、具体的な需要の見通しと投資効果の問題であるとか、あるいは、アウタービジネスというのが十分に育っているかいないかとか、いろいろの、いわゆる利用側から、あるいはユーザー側から見た問題が各委員から指摘をされておりました。その中には、全体として評価のめどといったようなものを、それぞれについてどんなように考えるのかというようなご指摘もあったかと思います。今日は、そのような変遷も含めまして、ユーザー側として代表する立場にあられますそれぞれの省からお話を聞くことにしておりますが、先立ちまして、大変失礼なお願いでございますけれども、せっかく貴重な資料をおまとめいただいたんですけれども、時間の関係で、ご説明を15分に限っていただいて、残りの5分を質疑ということにさせていただいて、各自進めさせていただきたいと思います。
それでは、早速でございますが、資料5−2−1によりまして、総務省情報通信政策局宇宙通信政策課の野津課長からお願いをいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【総務省野津宇宙通信政策課長】 宇宙課長の野津でございます。私も前に事務局をやらせていただいていたんですが、先生方は大変時間に厳しいということは承知しております。15分以内で、時間がなくなったら打ち切ります。
【川崎部会長】 注文をつけさせていただくと悪いんですが、資料の後半のところが、今まで全く、多分皆さんに知られていない大事なポイントだろうと思いますので、そういうような点を中心にお話しいただければと思います。
【野津課長】 それでは後半から先にやります、申し訳ありません。川崎先生のご指摘もございますので、後半から先にやらせていただきます。
21ページ、5番、情報通信分野における衛星利用促進のための方策。これは、インフラの特性に合わせまして各種制度の整備、それから財投等の各種支援策、研究開発を総合的に推進しておるということで、(1)から(4)まで大まかに書いてございます。
22ページをお願いします。これは制度整備でございますが、当然、事業を円滑にやるためには、いろいろ法改正をやって進めていかなければなりませんが、その関係で所要の放送法の改正等を平成元年から随時やっております。元年にCS放送、6年に映像国際放送、それから外資規制の撤廃でございます。それから、8年にCSデジタル、11年に包括免許制度という形でございます。12年の12月に、去年ですが、BSデジタルがいよいよ始まったということでございます。
続きまして23ページでございます。これは財投でございますが、財投につきましては、旧輸銀ないし開銀のほうから、衛星の施設ないし地球局の施設、管制施設について、低利融資が行われてきました。特に、旧開銀は政策投資銀行ですが、これは政策金融IIIでございます。これが、ずっとSCCとかJSATその他に使われております。それから、助成ですが、これはBSの初期の頃の話ですが、BSのアンテナが一般の難視の方に高いということでございまして、10万円を限度としまして、その4分の1に対して助成をすると、2万5千円限度で助成をしていたということでございます。これは、機構の補助金でございます。
それから、24ページでございます。研究開発でございますが、これは先生方よくご存じの話でございますが、超高速インターネット衛星、それからETS−VIII、これが文部科学省と連携して事業団とCRL等で開発をしております。それから、次世代のLEOでございますが、これは通信放送機構(TAO)で研究開発を行っておりますが、その際NASDAとCRLと共同でやっております。それから準天でございますが、これはCRLの研究、NASDAで研究を進めておられるという状況でございます。あと、アプリの実験ですが、ETS−Vを使いましたパートナーズ実験の後ということで、ポストパートナーズというのを実施しております。それから、来年の5月末から日韓のワールドカップサッカーが開かれますが、このときに、3連HDTVを伝送すると。韓国の中で行われる試合について、特殊なHDTVカメラ、3連で見れるような、通常9対16ですが、それをさらに横に3つくっつけたような画面で大写しするということで、こういったような実験もやっております。
それから、25ページでございますが、これはポストパートナーズの仕組みで、主にタイ、インドネシア、マレーシア、そういったところと連携をとっているということでございます。
それから、26ページでございます。これが日韓高速衛星通信実験のイメージをかいたものでございます。バックの絵がちょっと見にくいかもしれませんが、スタジアムの絵にしてありますが、基本的にはこのような話で、N−STARとKoreasatを中継に使うということで、155メガのビットレートでやります。
その次でございますが、これで一応制度論は終わりましたが、とりあえず順序はあれなんですが、後ろまでいってしまいます。研究開発につきましては、これはたびたびご説明している資料でご存じのことと思いますが、CS、BSシリーズでこのような成果があったと。特に、CSについては、Kaバンドの実用化を図ったということでございまして、後で出てまいりますが、NGT等の災害対策、それから、小笠原等の離島回線、それから地上網の補完。これは、災害対策と同時に、あふれ呼の迂回という面がございます。それから、BSでございますが、BSにつきましては、世界で初めてBSの放送をやったということがモニュメンタルなことでございます。現在1,062、これは契約件数でございますが、実際にはお金を払わないで見ている人がいっぱいいますので、もっと見ている人が多いということでございます。それから、BSというのは12G帯のKaのドラコンでございますので、JCの4、5、6のTWに成果の反映がなされているということです。それから、ETS−V、これはLバンドの移動体通信衛星でございますが、これが、移動体衛星通信の国際業務を行うインマルの航空機搭載用の衛星通信システムにそのまま実用化をされておるということでございまして、あとは、そのほかLのミッション機器がN−STARのリフレクタアンテナに成果展開されているということでございます。
それから、28ページは、その後の状況ですが、これはちょっと省略をいたします。
一番最初に戻っていただいて、2ページをお願いします。衛星系の一種の売上高の伸びということで、これは、単純に成長率が高いと言えるかどうかはちょっと別でございますが、もともとが非常に苦しんでいたというのもございましたが、最近は調子がいいというふうにご理解ください。主に一種というのは電気通信回線を保有するもので、J−SAT、SCC等でございます。
それから、3ページです。衛星の特徴、これはご案内のとおり耐災害性、同報性・広域性、移動性・可搬性等ございますが、本質的には静止衛星につきましては、伝送チェーンとトレードオフに、非常に広いエリアをカバーできるという同報性を得ております。これは本質的な問題で、それが長所になるか短所になるかはいろいろございます。
4ページですが、先ほど出ました離島の話ですが、離島の一番特徴的なのは、海底ケーブルが引かれていないところです。これは、小笠原が特にそうですが、硫黄島もそうでございます。これは衛星がないと通信できません。あとは、小笠原にCSを使ってテレビ番組を送っているんですが、それも見えなくなるということでございます。それから、ダイヤネットといいまして、NTTのバックボーンが異常トラフィックであふれた場合に、衛星経由で迂回させるということがございます。そのような形で衛星・地上一体となって使われております。
それから、5ページです。災害対策のイメージが書いてございます。災害対策につきましては、主なものが、84年の世田谷ケーブル火災、それから85年の日航機事故報道、95年の阪神大震災、2000年の東海水害と、そのようなもので使われておりますが、随時使われております。
次に6ページでございます。これは、利用形態の変化ということで書かれておりますが、デジタルコンプレッションの進展によりまして、真ん中にございますが、トランスポンダ(中継器)利用の効率化というのが図られるようになってきております。近年は一番下にございますように、インターネットへの需要のシフトや、ボイスからパケットに通常の信号は流れているということでご理解ください。
それから、7ページはインターネットサービス事業で、ちょっと省略いたします。
8ページもIP対応ネットワーク構築です。これはごらんいただきたいと思います。
9ページ、これはIP対応ネットワーク構築(その2)といたしまして、スカイキャストないしヒットポップスの最近のサービスのイメージでございますが、基本的に、衛星の特性を生かした、パケットのマルチキャストが有力だということでございます。
それから、10ページでございますが、先ほど申し上げましたが、衛星の契約件数が1,062となっております。このほか、対前年度伸び比自体が15%程度の数字を表しております。
次のページをお願いします。放送ですが、11ページ、先ほど申し上げましたように、デジタルコンプレッション、エンターベースでトランスポンダ(中継器)利用が効率が高くなっております。近年はBSデジタルハイビジョン等でございます。利用形態としましてはこういうことになっています。
それから、12ページでございます。BSデジタルですが、ここはちょっと古い数字、73万7千台と書いてございますが、10月末現在で累計80万台です。それから、ケーブルテレビ受信者数が134万世帯ということで、合わせまして214万世帯がこういったものをごらんになっているということでございます。
13ページは省略いたします。14ページですが、GPSの利用の進展ということで書かせていただいています。2001年9月で807万台というふうになっています。
それから、次のページですが、GPSの精度を上げるためにリファレンシャルをFM局がかけております。誤差補正信号をかけることによって精度が上がるわけですが、これがFM局が事業としてやっております。
それから、16ページですが、GPSを利用したITSの構築といったような例を示しております。
17ページでございます。公共分野、学校インターネットというのは、前の補助金ベースで言えば文部、郵政連携事業ですが、この中でも伝送回線として一部衛星も使われているということでございます。
それから、18ページ、これは、総務省の特別会計のほうで衛星回線を使っているということで、POSTのPをとってP−SATと呼んでいます。詳しくはごらんいただきたいと思います。
それから、19ページ、省庁統合によって同じ省になりましたが、消防庁についても、昔から衛星を使っておると、当然防災でございますがご紹介申し上げます。
それから、20ページです。自治体はどうかといいますと、財団法人自治体衛星通信機構というのが、旧自治省の外郭にございまして、これがトラポンを借りまして自治体にお使いいただいている。それぞれ使った費用を負担していただいているということでございます。主に、行政情報ないし防災情報が流通しております。
一番最後でございますが、ちょっと順番が逆になりましたが、以上のようなことから、安全の確保、安全の確保というのは防災等でございます。それから国民の生活の質の向上、これは離島だとかの放送等でございますが、そういった観点から、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法というのもございますが、その形成に不可欠な通信測位・分野におきまして衛星技術の開発・宇宙実証を今後とも推進してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
時間がややオーバーしましたが、以上です。
【川崎部会長】 どうもありがとうございました。簡にして大変要を得た説明ですが、大変厚い資料を用意していただきましてご苦労さまでございました。ありがとうございました。
早速ですけれども、5分ほどお時間をいただいて、ご質疑、あるいはコメント等がございましたら、よろしくお願いします。
【松本特別委員】 松本です。総務省、郵政省が宇宙を使った通信に随分力を入れてこられまして、国民の生活にも役立ったと思いますが、今後の発展の、今日はまとめをしていただいたんですけれども、高速インターネット衛星という話が出てまいりましたけれども、これの使い方についてはあまり触れられなかったんですが、マルチキャストとか、そういう衛星を用いた特徴を利用するんだというお話でしたけれども、地上のインターネット回線がこれだけ急速に普及いたしますと、衛星の使い方というのは、また違った有効利用をお考えだと思うんですけれども、その点をちょっとお聞きしたいんですけれども。
【野津課長】 これは、宇宙開発委員の中からもいろいろご指導いただいているんですが、基本的に通信というのは、有線、無線一体となって、双方的に発展してきたという経緯がございます。したがいまして、衛星につきましても、地上が太くなれば、例えば単純に申し上げまして、バックアップだとか災害だということに限りましても、地上の容量が10倍になれば、やはり衛星の容量も増やしていかざるを得ないといった認識は持っております。問題は、バックボーンの光ファイバーの何%のビットレートを持てばいいのかというのは、これは諸説ありまして、ちょっとまだ整理はついておりません。一説には1%と言われる方もございます。
あと、もう1点、離島回線等では、幾ら海底ケーブルを引かれても、あれは必ず切れますので、バックアップの衛星というのは絶対に要ります。それから、もう一つ、パケットをビュンビュン通すというときに、これはルーターにものすごく負担がかかりますので、同報でかなりビットレートの高いパケットを送るときには、キャッシュサーバーでもプロバイダーにそのまま送るようなのが、今欧米では当たり前の話になっておりますが、日本でもだんだんこの傾向が強くなってきていると。したがって、お互いにすみ分けながら、しかも双方的に行われていくだろうと。もう1点は、単純な放送でございますが、デジタルといえども放送は放送ですが、これはもう衛星のほうが圧倒的に有利であるということは間違いございません。そのようなことから、衛星につきましても、どんどん容量を大きくしていくといったような方向になるのではないかと。そのときに、ビームを絞るとか、アンテナをどうするとか、地球局をどのぐらい小さくするとか、個別の問題は当然出てまいります。それは開発してまいりたいと思います。
【松本特別委員】 インターネット衛星で、ギガビット衛星その他研究開発が進んでおりますが、やり方としては今おっしゃった、高速で有線が太くなれば衛星もそのバックアップしてある程度の容量は必要だというお考えを示されたんですが、別の観点で、国民に広く使っていただくというような観点でご検討はしておられませんか。つまり、国民1人当たりのビットレートは非常に低くても、いつでも使えるんだというサービスですね。国がサービスするのであれば、そういう考え方も成立するとは思うんですけどね。例えば、地方自治体はここにも出てまいりましたし、郵便局も入りましたけれども、学校も出てまいりましたけれども、そういうところを有効利用して、国民がどういう形でやればいいかということは、自治体で考え方が違うでしょうけれども、そういった使われ方は検討しておられませんか。
【野津課長】 今後は、開発フェーズに上がりました後に公募をかけまして、皆様方のアプリケーション実験ないし今後のご利用の希望を取りまとめてまいりたいと思います。現在のところは、消防庁と調整を進めております。
【松本特別委員】 国としてやる場合には、学校の利用をぜひ考えていただきたいと思います。小学校地区から人口単位でいっぱいありますから、国がサービスをして、緊急災害時も含めまして、国民がそのギガビット衛星をサポートしてくれるとすれば、その使い方は非常に重要だと考えますけれども。
【野津課長】 学校の重要性は我々も非常に認識しております。学校そのものでお使いになるのに非常に便利だと。
【松本特別委員】 そういう意味じゃなくて、学校の中にそういう基地を置いて、住民が使うということです。
【野津課長】 そこら辺につきましては、昔、別途東京都で、情報化の会議をやっておりました際に、広井脩先生から、学校というのが被災したときの住民の避難場所になるので、そこに回線をちゃんと生きるようにしておかなきゃいけないんじゃないかと。そういうときに衛星は極めて有効であるとご指摘を受けております。したがいまして、そこにつきましては今後文部科学省さんとも調整させていきながら努力してまいりたいと考えております。
【松本特別委員】 ありがとうございました。
【川崎部会長】 野津課長、どうもありがとうございました。
では、早速でございますが、次に環境省の地球環境局総務課の研究調査室の木村室長のほうからお願いをいたします。
【環境省木村研究調査室長】 環境省の木村でございます。15分ということですので、かいつまんで説明させていただきます。私のほうからは、環境省の役割でございます、人工衛星を用いた地球環境の観測・監視、特に実際、今のところ環境省が具体的にかかわっております地球大気環境変動の観測・監視ということについてご説明させていただきます。
まず最初に、宇宙から地球大気環境を観測していくということの必要性について簡単に触れさせていただきたいと思いますが、まず、こういったような観測方法を用いますと、地理的に広範囲のデータを取得することが可能になる。それから、均一のデータ品質をもったデータの提供が可能になる。それから、大気環境にかかわりますさまざまな物質、多成分の同時観測が可能になるということがございます。他方、あえて申しますと、人工衛星観測の欠点というのも当然あるわけでございまして、1つは、コストが高いということ。それから、衛星寿命が数年から10数年と限られている。それから、ロケット側のほうの制約により、これは私どもの場合、宇宙開発事業団のほうに大変ご努力いただいているんですけれども、さまざまな理由により打上げ時期が延期される可能性がある、あるいは、打上げ失敗の危険性もあるという、当然のことではございます。
私どもの今までの取り組みは、基本的には地球環境観測の衛星に乗せるセンサーを開発していくということでございまして、最初の取りかかりは成層圏オゾン層の破壊の問題でございました。時間の都合で割愛しますが、ここにありますように成層圏オゾン層破壊の問題、南極のオゾンホールの問題、こういうことで、オゾン層保護のためのウィーン条約、それからその下にモントリオール議定書などができまして、国内でもオゾン層の保護に関する法律が制定されて、対策も進められてきました。そういう中で、88年から開発に着手しまして、96年にADEOS衛星に乗せていただく形でILASというセンサーを宇宙に飛ばしたわけでございます。
今スクリーンに出ていますのは4ページの資料でございますけれども、ADEOS、これがオゾン層の観測でしたが、これの後、さらにまだ打上げていませんが、ILAS−IIという、若干改良したセンサーの打上げを、ADEOS−IIに乗せてもらうということでやっております。
それから、さらにその先、2000年の後半には、GCOM−A1に乗せる形でSOFISという、オゾン層と、それから最近非常に重要になっています地球温暖化の問題にも対応できる観測のセンサーを開発しているところでございます。
次の5ページにありますのは、これはADEOSに搭載したセンサー、ILASの絵でございます。このILAS観測による主な成果でございますけれども、実際、このILASで観測できましたのは、97年の冬から春季の北半球高緯度でのオゾン破壊の様子が定量的に把握できたということ。それから、ちょっと専門的になりますが、オゾン層の破壊に深くかかわっております極成層圏雲の発生頻度、あるいはその組成の推定にも成功したということがございます。それから、世界に先駆けまして、人工衛星データから、北半球高緯度での脱窒、窒素が取り除かれることですけれども、これがオゾン層の破壊に深くかかわっておりまして、この空間的広がりの様子も観測できたということでございます。
次の7ページにございますのは、SOFIS観測の科学的背景ということをかいつまんでまとめたものですけれども、オゾン層の破壊の進行ということで、南極オゾンホールが拡大している、あるいは北極域でもオゾン破壊が顕在化している、あるいは中緯度域でのオゾン減少の進行も進んでいるということがございます。それから、先ほど申しましたように、モントリオール議定書に基づきます国内での対策も進んでいる、世界的にも対策が進んでいるところでございまして、その対策の効果を評価する必要があると。それから、オゾン層の将来予測を精緻化していくと、今後オゾン層がどういうふうに変化していくかということを予測していくためにも必要なデータを得ていくということでございます。
それから、8ページにまいりますが、7ページからはSOFISについての科学的背景でございまして、8ページはさらにその続きでございます。先ほど説明しました7ページは、SOFISのオゾン層の観測にかかわる部分でございまして、今スクリーン上にありますのは、SOFISによります温室効果ガスの測定にかかわるものでございます。このように、SOFISについては、従来ILASでオゾン層を観測してまいりましたけれども、それを引き続きますとともに、今非常に重要な問題になっています地球温暖化、それの原因になっております温室効果ガスについての測定を行っていくということでございます。具体的には、地球大気環境変動に伴う温室効果ガス・微量気体の全球的変動の把握でございます。それから、気候変動モデル、あるいは物質輸送モデルなどの検証、あるいは高精度化を図っていく。それから、温室効果ガスの発生源、ソースと言っておりますが、それからシンク、これは吸収源、森林などがこれに当たりますが、そういったものの役割を評価していくモデルの検証の高精度化を図っていくということでございます。
こういったようなことが必要になっているということで、SOFISの科学的目的としては、先ほど来申していますように大きく2つありまして、1つは、オゾン層保護に係る国際条約、国内法の規定を受けまして、オゾン層の組織的観測と研究の推進に寄与していくということでございます。それから、もう一つは地球温暖化に関してでございまして、京都議定書に規定します温室効果ガスの大気中での挙動に関する観測を行うということで、温室効果ガスの動態把握などの地球温暖化問題に関する研究の推進に寄与していくということであります。さらにもう少し一般化しますと、将来の地球大気環境変動の予測と理解のための、成層圏、あるいは対流圏大気の物理・化学的知見の充実を図るということも目的に挙げられると思います。
こういったようなことを目的としまして、SOFISでは温室効果に係る気体成分の上部の対流圏以上、したがって、上部対流圏と成層圏の高度分布の広域の測定、気温・気圧高度分布を測定していくということにしております。従来のILASとSOFISの性能的な違いですけれども、センサー自身の感度ということももちろんございますが、ILASでは従来極地域のオゾン層の破壊を中心に見ていくということで、極地域を観測できるような衛星軌道で対応してきたわけですけれども、SOFISのほうは全球的な測定が必要だと。特に温室効果ガスということになりますと、むしろ中緯度地方の測定が重要だということで、全球的な測定ができるような、そういう軌道に乗せていくということで、そこに大きな違いがございます。
最後になりますが、衛星利用大気観測の課題をあえて挙げさせていただきたいと思いますが、1つは、ロケットの問題に起因する観測開始時期の不確実性がどうしてもあるということがございます。それから、これはセンサー側のほうの課題でございますけれども、今後重要度が増すと思われます、対流圏の温室効果ガスの観測技術を高度化させて実用可能なものにしていく必要があるということでございます。SOFISについては太陽のほうを透かして見る方法でセンサーを使っておりますので、どうしても対流圏上部以上のガスしか観測できないわけですけれども、可能であれば、これを直接地上に向けることによって、対流圏の温室効果ガスの観測が直接できるようにすることが大きな課題になっております。それから、各宇宙機関、あるいはセンサーの提供機関などの協同によって、早期の地球観測衛星計画を実現していくと。とりあえずは、このSOFISを載せていただく予定になっていますGCOM−A1の打上げに向けて、今後進展が図られていくということを、我々としても大いに期待しているところでございます。環境省としては、センサーの開発に携わっておりますので、実際に衛星を開発したり、あるいはロケットに載せて打ち上げるという機関、それから、環境省以外のセンサーの提供機関などとも連携を密にして、今後も宇宙の利用による地球環境の測定・観測に努めていきたいと思っております。以上でございます。
【川崎部会長】 どうも、木村室長、ありがとうございます。
時間が少々ございますが、ご質問、ご意見等いかがでございましょうか。どうぞ、小田原さん。
【小田原特別委員】 今のご説明ですと、観測がかなり主体になっておられるようなんですが、やはり、温暖化とかオゾン層というのは、今の情報で今後どうなるかというシミュレーション、その開示というものが非常に必要になってくると思うんですが、それは環境省さんのほうのマターと考えてよろしいんでしょうか。
【木村室長】 地球環境につきまして、例えば地球温暖化のシミュレーションをしていくというようなことについては、環境省ももちろんやっておりますし、それから、気象庁もやっておりますし、それから、文部科学省、特に旧科学技術庁系の文部科学省のほうでもやっております。今現在は、日本で、今言った3つの省庁が予測モデルなどを持ちまして予測に当たっているところでございます。我々としては、こういったような観測データ、衛星から得られるものはもちろんですが、それ以外の、地上とか航空機、海洋などから得られるデータを持ちまして、そういったシミュレーションの高度化、改善をしているところでございまして、そういう意味でこのデータ自身は、直接は観測モニタリングのデータですけれども、そのデータというのは将来予測にも非常に重要な意味を持っているというふうに思っております。
【川崎部会長】 松本先生どうぞ。
【松本特別委員】 主としてオゾン層の話をなさったわけですけれども、環境省は地球の温暖化問題で、国を代表していろいろなところへ出ていって交渉しておられますよね。この間も成果を上げてこられましたですけれども、こういったオゾンの観測というのは、どの程度国際的な縛りに影響を与えるかという、あるいは、オゾン層の詳細な科学的データが日本の排出する炭酸ガスとトレードオフになるようなものになるのかどうか、そういうことはお考えじゃございませんか。つまり、国民にしてみたら、よそ様の、南極の上空のオゾンの状態を調べて、日本が出しちゃいけないと言われている炭酸ガスに何らかのフィードバックをもらえなければ、何となく面映ゆい感じがしないでもない、その辺は、省としてはどういうお取り組みをなされているんですか。
【木村室長】 地球環境問題というのは一国だけで進められる問題ではございませんので、もちろん日本だけの対策で、対策が進むわけではないと思っております。そういう意味で、私の説明の中でちょっと不明確だったかもしれませんが、1つ申し上げたかったのは、日本を含め世界の対策が今、オゾン層の破壊の防止ということで進んでおりまして、原因物質、フロンガスなどの削減も急速に進みつつありますが、そういう対策がどのように効果を上げていくのか、具体的な成層圏のオゾン層の保護という、その最終的な目的としているところにどれだけ効果を与えていて、将来、そのオゾン層の破壊がどういうトレンドを示すであろうから、対策については、さらにどういうふうにしていかなければいけないのかというようなことについて、この観測データというのは、非常に役立ってきていると思いますし、もちろん、それは日本の観測データだけではなくて、世界の先進国がやっております観測データすべて合わせてのことでございますが、そういう観測と対策との関係を見出しながら対策を強化していく、必要な対策を見出していくという、そういうふうに使っているつもりです。
【松本特別委員】 それは非常によくわかるんですが、私が申し上げたのは、国益を代表して、金をかけて開発してとったデータを、CO2に換算するかどうかは別ですけど、バーターの条件に出さないかということをご検討しておられますかということなんです。これは科学的に、科学者あるいは学者が研究するというのは大変結構なことなんですけれども、省として、国を代表してやられる場合には、やはりこれだけいいものをやって、努力をして、お金をかけて、技術者を集めて、レーバーをかけてやるわけですから、その国際舞台での有効利用ということをぜひお考えいただければというふうに思っております。つまり、交渉の材料にするということですね。
【川崎部会長】 古濱さん。
【古濱特別委員】 ちょっと補足いたしますと、現在、COPは、IPCCの第3次報告書に基づいていろんな数値を決めてます。IPCCには、世界中の学者が集まってドラフティングをやっています。そういったところと、宇宙機関やWMOの傘下の観測機関が一緒になってデータをとって、それを同化してモデルに基づいた温暖化の予測をしようとしています。そういうデータに基づいた予測、IPCCとの間にリンケージが今はないわけです。それで、宇宙機関が言い出して、世界の宇宙機関の集まりはCEOSというんですけれども、宇宙からのデータと、海上、陸上、大気からのデータを、IGOSパートナーシップということで、全球統合的に集めようと、1998年から始めました。現在、アトモスフィア・ケミストリー(大気化学)というテーマでオゾンが取り上げられています。炭酸ガスは、カーボンサイクル(炭素循環)という全球の統合的な観測計画がやっと始まったところです。だから、もう数年たちますと、宇宙と地上と海上と大気の観測が包括的に統合されて、それがインプットになってアシミレーション(同化)を行い、IPCCの先生方のバックグラウンドのデータが改定されると。そういうリンケージがやっと組み立てられるという、そういう段階です。
【川崎部会長】 どうもありがとうございました。今の、IGOSとかCEOSといったような国際的な広がりはあるんですが、ちょっと印象として言うと、やっぱりまだローカルなんですね。要するに、松本先生がおっしゃるような政治的な解決策のための具体的な手段としてそれを使うというところまでは、まだ熟していない、その発展途上にあるというような段階なのかもしれないと思うんですが、ちょっとそういう点では、申し訳ないんですけど、木村室長のほうで、今後予定されているGCOSですか、の中では、国際的な分担というのはどんなふうにお考えになっているかとか、あるいは、得られたデータというのは、省内だけでお使いになっているのか、省外にどういうふうに利用を進めるというような手だてを考えておられるのかというあたりを、もし構想なりあれば、お差し支えなければお話しいただければと思いますが。
【木村室長】 国際的な役割分担ということにつきましては、正直申し上げて、まだ日本の観測データ自体、我々の理解するところ、衛星に限らないわけですけれども、いろんな省庁がこれにかかわっておりまして、国内での流通もまだ十分ではないという状況でございまして、実は総合科学技術会議のほうで、今度は温暖化研究イニシアチブというのが立ち上がることになりまして、観測・監視というのも非常に重要な一要素に位置づけられております。そういう中で環境省もしかるべき役割を果たすべく、まずは既存の国内の観測データの総合流通と国外への提供というようなことをテーマに、予算も要求させていただいてやってきております。それから、これは従来のILASの取り組みもそうなんですが、得られたデータというのは国際的な研究チームなり、あるいは国際的に応募していただいて、公開して使っていただいて、その成果を定期的に会議なども開きながら交流してそれぞれ高め合っているということでございますので、そういう意味では、我々のセンサーで得られたデータを我々だけが持って、国立環境研究所だけがそれを使っているということでは決してございません。
【川崎部会長】 どうもありがとうございました。
多分、これからいろいろお伺いをしていくと、いろいろな意味で、衛星から得られるデータを重層的に、ある目的のために関連づけ合いながら、統合的な情報システムというのも、また一つの利用形としての重要な問題になるだろうと思います。その際にはまたご議論に参加していただきたいと思います。どうもありがとうございました。
【木村室長】 どうもありがとうございました。
【川崎部会長】 それでは、引き続きまして、国土交通省の、まず最初に、運輸多目的衛星ということで、山本室長のほうからお願いをいたします。
【国土交通省山本航空衛星室長】 国土交通省の航空局の航空衛星室長の山本でございます。国土交通省関係2点ご説明事項がございますが、まず1点目のMTSAT、運輸多目的衛星の計画の現状についてご説明をさせていただきます。
資料1ページをお開きいただきまして、運輸多目的衛星、マルチ・ファンクショナル・トランスポート・サテライトということで、ご案内のとおり航空ミッション、それから気象ミッションの2つの機能を持つ衛星でございます。航空ミッションについては後ほど説明します航空管制、衛星を用いた管制システムの中核という機能を持っておりますし、気象ミッションについては、皆さんご存じのひまわりの後継機としての気象観測衛星でございます。
2ページをお願いします。現在MTSATにつきましては旧1号機にかわる新1号機、それから、それに引き続きます2号機という2基の衛星の製造を進めておりまして、現在の計画では、新1号機については平成15年度の夏、それから2号機については平成16年度の打上げを予定しております。この結果として、平成17年度に2基の運用の開始ということを予定しております。なお、この打上げ時期に関しましては、新1号機、当初は平成14年度内、平成14年度の末の打上げ予定で、衛星の製造、あるいはロケットの製造を進めておりましたが、衛星の側でその製造工程に若干の遅れが生じたということで、今月半ばに発表したところでございますが、打上げ時期がワンシーズンほどずれるということで、まだ打上げの具体的な月は決まっておりませんが、できるだけ夏のシーズンの早期に上げるべく、関係者の方々と今後調整をしていきたいと思っております。
それでは、2つの機能のうちの航空ミッション部分について簡単にご説明をさせていただきます。4ページをごらんください。航空管制に用いられるということで、1つには管制機関と航空機の間の通信でございますが、この資料のほうにございますように、従来はVHFによる音声通信、あるいは洋上区間についてはHFによる音声通信というものを用いて管制機関、航空機関の通信は行われておりましたが、これが衛星を経由した音声に加え、さらにデータ通信で行えるようになるということで、通信品質の大幅な向上、あるいはブラインドエリアの解消ということが図られることになります。
それから、もう1点、5ページでございますが、航空機のほうにおきます、みずからの位置の把握、あるいはどの方向に向かって飛んでいくかということのため、航法としての機能でございますが、従来の場合、陸上部分については、そこにVOR/DMEという表現をしておりますが、航空機の航行に際してみずからの目的地までの距離なり方位なりを知ることができる電波標識というものが空港等に置かれているわけですが、そういうものを使って位置情報を把握していた。あるいは洋上においては慣性航法を用いていたということになっておりましたが、今後はGPSの衛星、あるいはMTSATから放送されるGPSの補強信号というものも用いることによりまして、より精度の高い測位情報の把握というのが航空機側でできることになります。
それから、3点目、管制機関の側から航空機の監視という機能についてでございますが、従来は陸上域についてはレーダーにより、それから洋上の空域を飛んでいる飛行機についてはHFの音声による位置情報を通報してもらうという形で管制機関側は把握しておりましたが、これが衛星経由で自動的に位置情報を把握できるようになるということで、監視エリアの大幅な拡大ということが図られることになります。なお、この6ページの資料で、右のほうの図の中に航空衛星センターという表示がございますが、MTSAT打上げ後の地上局というものがこれでございますが、現在、神戸と茨城県の常陸太田の2カ所に、ほぼ整備を終えて打上げを準備して待っているという態勢にございます。
これら6ページまででごらんいただきましたような機能の結果ということで、7ページがMTSAT導入の航空ミッションについての具体的な効果ということになりますが、特に洋上空域、今後とも需要の伸びというものが想定されます日本と北米の間における空域においての、管制間隔の大幅な短縮が可能になるということで、左の現行システムというものに比べまして、右の衛星導入後というものは、飛行機の数、かなり多く飛んでおりますが、現在は無線通信なりを使うという管制システムのもと、飛行機と飛行機の前後の間隔を、約120マイルということで管制をしておりますが、これがMTSAT打上げ後は、まず1基体制のときには50マイル、最終的には2基体制によって30マイルというところまで短縮をしていきたいということで、最適な高度による飛行が可能になるとか、あるいは、空港における出発の遅延というものにも効果があるものと考えております。
続きまして、気象ミッションのほうの説明をさせていただきます。
【川崎部会長】 それでは小澤気象衛星室長のほうからよろしくお願いします。
【国土交通省小澤気象衛星室長】 気象庁気象衛星室長の小澤でございます。引き続き気象ミッションについてご説明をしたいと思います。
MTSATの気象ミッションにつきましては、先ほど説明いたしましたように、現在のひまわり5号の後継でございますので、同様の業務を継続するという予定で機能を持たせております。この図では、ひまわり5号の機能とほぼ同様でございますけれども、主に3つの役割がございます。1つは観測でございますけれども、ちょうど図の真ん中のあたりがそれをあらわしておりますが、雲の分布、それから雲頂、海面の温度などを観測するわけでございます。これはひまわりでも既に観測しておりますけれども、MTSATではセンサーを1つ、赤外線センサーを増やして観測の強化を図っていく予定でございます。
2つ目でございますけれども、図の右側になりますけれども、観測によって得られました雲画像を国内外の利用局に配信する、これも引き続きひまわりでやっていた業務を踏襲するということでございます。ちなみに、現在利用局といたしましては、データを利用する種類によって、中規模、小規模等の分類がございますけれども、国内外で約1,000を超える利用局がございます。
3つ目は、図の左側になりますけれども、これは離島とか山岳、航空機など、非常に地上回線が十分でないところ、または、特別に研究観測などを行われる場合に、ひまわり経由で気象観測のデータを収集するという役割でございます。このような3つの機能を引き続きMTSATでは持たせていきたいと考えております。
ただ、MTSATでは、従来のひまわり5号に比べまして、幾つかの点で機能強化を図ってございます。1つは観測の回数を増やすということで、従来毎時間の全球、地球全体の観測を行っておりましたけれども、それに加えて、さらに毎時間の北半球の観測を加えるということで、北半球だけについて言いますと、30分ごとに観測データが得られるということになります。今、先ほど申しましたように、1つ赤外チャンネルを追加したということでございます。3つ目は気象ミッションの観測機能で、水平分解能が5キロから4キロ、階層数も8ビットから10ビットということで、観測の装置の機能アップを図っております。4につきましては、観測データが、ビット数が増えたり水平分解能が増えたということで、フォーマットが変わったりしておりますので、利用局に配信するに当たっての伝送方式が若干変更したということでございます。これにつきましては、世界的な気象機関の間で共通の、標準的なフォーマットに合わせるということで計画をしております。
最後の図は、気象ミッションだけから見ましたMTSATの運用でございます。現在GMS−5が運用してございますけれども、2003年中にMTSAT−1Rに運用を引き継ぐということでございます。MTSAT−2は翌年打ち上がりますけれども、しばらくスタンバイということで2008年、MTSAT−1Rが5年を経過した時点で引き継ぐというような形で計画をいたしております。以上でございます。
【川崎部会長】 どうもありがとうございました。
それでは、2つございますが、もう一つ、国土交通省では、災害関係のほうで国土技術政策総合研究所の高度情報化研究センターの二階堂研究官がお見えでございますので、ご一緒にお願いします。
【国土技術総合研究所二階堂情報研究官】 国土技術総合研究所の二階堂でございます。資料は縦書きになってございますが、横のほうで若干つくってまいっております。
国土管理・災害監視分野の利用ということで、一応国土管理の中にある環境管理とか施設管理、国土計画、地図整備と、その中から国土交通省といたしまして、河川とか道路、海洋、都市計画、その他いろんな省庁の中で使っていけるんじゃないかと。災害監視はその一部として考えてございます。災害についても、さまざまな災害がございまして、その中で我々としては、ある程度さまざまな分野で使える可能性としては十分にあるということで、資料のようにしてございます。さまざまな利用形態がございますけれども、災害監視になりますと即時性を要求されるわけですが、一応ここでは、例えば環境面でいきますと、衛星データだけではなかなかすべてを抽出するわけにはいきませんので、GISとの連携によってさまざまな形で伝えると。ここでは、環境のGISの中に衛星データとして土地ですとか植生だとか、そういったものを入れますと、さまざまな環境アセスメントに支援するようなシステムとか、地下のパターンといたしまして、そこの中で事業、例えば道路をつくったときに、どういう環境変化がその地域に起こるかといったものをシミュレーションできるようなシステム。次も、同じように、洪水等の流出、洪水のシミュレーションといたしまして、衛星データを使いまして、なおかつ、ここではレーダーの利用形態としまして、地上からの観測システムにほとんど依存しないで、小規模な隆起でも、ある程度の出水等のシミュレーションが使えるというような研究を何点かしてございまして、今のやつがエスモードで、もう一つが同じような形でやっています。
続いて、国土交通省は河川管理をしますけれども、最近流域管理という形で、ある程度面的な把握をしなければいけないということで、流域の情報収集としまして、河川敷内の植生とか環境の変化、さらに、例えば河川敷内の、先ほどの高分解能衛星を使いまして、河川管理。特に、河川も道路も、皆さんあまりご存じありませんけれども、ほとんど毎週とか毎日ぐらい、河川のパトロールなんかをしてございまして、そこの中で衛星なんかを使って効率化できないかと。最近不法投棄ですとか、道路なんかでも、道路からパトロールしただけではなかなか安全確保できない。特に道路の上の斜面の上の状況はどうなっているかとか、そういったものをアシストとして、ある程度の衛星データの使い道としてはかなりあるのではないかということで、研究レベルと実務レベルで多少の研究をしているというところでございます。
次も、都市環境といいましょうか、最近都市緑化、屋上緑化ですとか、ヒートアイランドとか、あと、地形の関係でいきますと、森林そのもののCO2の吸収がすごく評価されているわけですけれども、都市部のそういったものについてはなかなか評価を正規にされていないという形で、そういったものの含みで、ある程度都市部の都市計画等で衛星のレベルを使えないかということでございます。右のほうのやつは航空機MSSのデータでございます。
続いて災害分野でございますけれども、ここからちょっとALOSのシミュレーションのデータになっていますけれども、GISと組み合わせまして、ここではちょっと簡単なエッジ処理をするぐらいで、大規模な施設の被害ぐらいは抽出できるのではないかというようなもの。
それから、次に土砂分野、特に大規模な台風とか地震の後の土砂の崩壊とか斜面の崩壊、天然ダムができるとか、また、長期的な地滑り、これはInSARなんか使えば全国的にカバーするような形で使える可能性があるのではないか。また、特に災害でいきますと、夜間とかそういう時期にもある程度の情報を把握したいということで、SARの利用の面についても、ある程度研究レベルでやってございますけれども、ここでは平成10年の中川の水害のところで、これはレーダーSATだと思いますけれども、水害、浸水地域の抽出とか、あとは地震被害の地域の抽出、この辺の研究を何個かしてございます。これはALOSシミュレーションですけれども、GISとの連携で若干マスクをかけまして、テキスト分析の中での精度を上げているというものでございます。
次は、実は宇宙とは若干違う分野でございますけれども、国土地理院のほうである程度航空機SARを持ってございまして、Xバンドでございますけれども、航空機でも陸上バスを取りまして、ある程度SARが使えるような技術的なものを確立したということと、下のほうは、三宅島のところで航空機SARによるDEMですね。これは航空機ですから、かなり自由に、さまざまなデータを取得できて、衛星のほうにもある程度使えるだろうということでございます。
最後に、我々といたしましては、純粋なユーザーという立場で、衛星を持ってございませんので、衛星のデータのユーザーとしての課題。我々が研究しても何ら意味がございませんので、最終的には国土管理といいましょうか、現場で河川管理とか道路管理、もしくは災害対応している人たち、その人たちがきっちりデータを使うことで、被害の最小化とか、避難誘導できるとか、そういったことに使えなければ、なかなか最終的に使ったことにならないということでございまして、1点目としましては、観測データの配信時間の短縮ということで、災害対応するのであれば、どうしても短時間でデータ入手が必要であると。研究レベルで、例えば3日後ぐらいに精緻な解析をしてこういうことがわかりましたと言っても、現場の人間にとりましては、そのときどうするかという意思決定をするためにこれを使いたいということでいきますと、どうしても短時間、できるだけ短時間で衛星データが欲しい。これが広域的に取れるのであれば、完全に意思決定のものとして使えるんじゃないかということで、できれば防災機関向けのほうに撮像要求とか、オンラインで配信していただけるとか、そういった仕組みができれば、かなり現場でも使えるということでございます。
それから、観測データ配信の一元化ということで、我々としては、1つの衛星だけではなくて、災害のときは何でもありでございますので、さまざまな衛星のデータを使いたいと。そのときに、撮像要求するんですけれども、さまざまな衛星を全部把握して、このタイミングでこのデータを、衛星に対しての配信を要求するということまでは、ちょっと利用者レベルではなかなかやりきれないという形で、ある災害を特定したときに、複数の衛星に対しまず撮像要求等が一元的にできるようなシステムとか、オンラインのほうも、ある程度一元的にデータをいただければ、そいつをどんどん処理して対応できるとか、そういったものが必要じゃないかと。
それから、3番目がInSAR関係でございますけれども、GISの関係でいくと軌道の制御とか、軌道の情報が、若干精度の関係で処理に時間がかかるとか、非常に期待はしているんですけれども、その辺がうまくできれば相当使い道ができるということと、最近新しいセンサーとか衛星がどんどん上がってくるんですけれども、実際に、研究レベルだったら全然問題ないんですけれども、実際に使うようになってきますと、処理プロダクツとかその辺のところを一元化してきませんと、ある程度時間の勝負なものですから、どんどん処理して、どんどん現場のほうに情報を与えるということでいきますと、何らかの形のベンチマークといいましょうか、特にSARの処理なんかでいきますと、何かのベンチマークがしっかりどこかで決めていただいて、その違いとしてどんどん処理できるとか、センサーのほうも新しいセンサーに対応するのに結構時間かかりますので、その辺が一元化できないかと。
4番目は、即時性ではございませんけれども、ユーザー側としても、ある程度蓄積等はしていきたいと思っているんですが、やはり、すべての衛星のすべてのデータをずっと蓄積するのは、ユーザー側として非常に負担なものですから、ある程度定常的な部分の全国データの取得で、GISと連携して簡単に検索できてご提供いただけるようなシステムがあれば、非常にユーザー側としては使い勝手がよく、現場まで使えるような形でいけるのではないかと。要は、早く、確実にデータが取得できて、簡単に利用できるという見通しが出れば、例えば国土交通省の国土管理なんかでも使える分野は相当数あるのではないかということでございます。以上でございます。
【川崎部会長】 どうもありがとうございます。非常に、国土交通省は所掌範囲が広いものですから、お三方からご説明をいただいたんですが、ご質問、ご意見等ございますでしょうか。どうぞ、それでは中野委員。
【中野特別委員】 MTSAT、2ページ目ですけど、新1号機と2号機、2つありますが、これは機能は全く同じなんですか。それとも、少し変えてあるとか。
【山本室長】 機能は一緒です。
【中野特別委員】 全く同じですか。機能が同じで、1年ずらして打ち上げるというのは、それなりになるほどと思うんですが、製造の遅れで遅れているわけですよね。製造の理由は、まあ何でもいいんですけど、ワンシーズン遅れるというのは、これはかなり問題なんじゃないでしょうか。夏の早期に打ち上げると先ほどおっしゃいましたけど、夏の早期で、まあ夏をどの辺と見るかは別ですけれども、たとえ早期であっても、梅雨の集中豪雨の時期を外されてしまう可能性は十分ありますし、万が一、さらに1カ月遅れたりすれば、今度は台風の時期を外されると思うんです。そうすると、このワンシーズンの遅れというのは、日本の安全保障にもかかわってくる問題じゃないかなと思うんですね。そうすると、先ほどの製造の遅れというのはありましたけれども、ここでもこういう体制でいっていいのかなという疑問が1つありまして、もう一つは、先ほど運輸多目的1号機、2号機両方、同じ機能とおっしゃいましたけれども、航空ミッションのほうは、万が一、パーになったとしても、今までどおりのVOR/DMEと管制航空で代替することはできるわけですね。ある程度の逃げはきくと思うんですよ。しかし、気象のほうはもう、ひまわり、気象のほうがやられてしまったら、まあ、現在はまだ動いているわけですけど、代替機能が全くなくなってしまうわけですよね、富士山ももうないですし。そうすると、やっぱりこう、2つ機能抱き合わせというのはちょっと、これからもこういうやり方を続けていかれるのかなあというのがちょっと気になるんですよね。
さらにそれの、製造の遅れというのが、アメリカ側の理由なのかもしれませんけれども、その辺はまあ突っ込まないにしても、製造が果たして全体の製造の遅れなのか、航空ミッションのほうのミッション機器か何かの遅れなのか、それとも気象のほうのミッション機器の遅れなのかという問題もありますし、今後ともこういう体制でいいのかなという疑問がちょっとあります。
【川崎部会長】 何かございますか。大分難しい……。
【山本室長】 まず、打上げ時期の関係ですが、当初14年度内、末ということで、NASDAさんの打上げであれば1月、あるいは2月に設定されている打上げ期間を想定して準備を進めていたというところですが、今ご意見の中にもございましたように、衛星のほうの製造の遅れ、これは、特に航空ミッション部分とか気象ミッション部分ということではございませんが、両方にかかわる話ですが、衛星の製造工程の遅れということで、じゃ、いつ衛星が納入されるかということが、メーカーとの間でも、すべて確定しているわけではございませんので、メーカーとの調整なり交渉。それから、打上げの関係ではNASDAさんはじめ関係の方々と調整をして、できる限り早い時期ということで、その時期の見極めを今後行っていきたいと思っています。
それから、1号機、2号機の関係で申し上げますと、機能としては同じなんですが、航空ミッション部分については、衛星が1基ある場合と2基ある場合ということで、信頼性が向上されるということから、より管制間隔を短縮できるとか、そういう効果としての差は、1基と2基で出てきますので、ご説明させていただきます。
【川崎部会長】 ちょっと時間が足りなくなっているので恐縮でございますが、中野さんの後半の質問のほうは、むしろほかの、全体としてまた議論をしなければならないという、抱き合わせ型であるとか、海外に機器の製作を依存する場合の問題であるとか、国家安全保障との関連とか、いろいろな問題が関連してまいりますので、ほかの衛星も合わせてまた議論をさせていただければと思いますので。
【中野特別委員】 1つだけ、気象に関して伺ってよろしいですか。
いろいろ言われているんですけど、ひまわりはあとどのくらい持つんですか。おそらく次のが上がったとしても、引っ越しさせるための燃料も確保しておかなきゃいけないでしょう。それを考えると、相当つまっているんじゃないかと思うんですが。
【小澤室長】 先生がおっしゃるとおりでございまして、現在ひまわりは設計寿命5年を超えて、現在6年半目に入っております。MTSAT−1Rの運用開始まで運用しますと、8年ぐらいの運用ということになります。今の燃料のご指摘なんですけれども、燃料についてはNASDAとも協議しながら、最終的な軌道離脱の燃料も確保するということで計画を立てております。ただ、制御が、大きな南北制御が今年の10月、先月で終了いたしましたので、これからは軌道傾斜角が徐々に大きくなっていくということが懸念されます。今のところ軌道傾斜角が増加することによっての影響といいますか、先ほどお話ししました利用局、海外の、国内外の利用局の受信機で、ノイズが入るとかという懸念があります。これは運用開始までに起こるかもしれないというところで、我々は、万が一そういうことが起こったときには、非常に大きなことが起こったときには、アメリカの軌道衛星を使って、最低限のといいますか、最小限の気象業務が維持できるという体制を既に整えてございます。
【川崎部会長】 それでは、お三方どうもありがとうございました。
それでは、引き続きまして農業環境技術研究所の生態システムグループの斎藤グループ長のほうから、農林水産分野における利用というようなことでお話を願おうと思います。
斎藤さん、申し訳ないんですけれども、ひょっとして毛利さんがあるいはお見えになると、場合によると、ちょっと中断をしてということになるかもしれませんが、ご了承いただけますでしょうか。
【農業環境技術研究所斎藤生態システムグループ長】 ご紹介にあずかりました農業環境技術研究所の斎藤です。レジュメの中に入れておりませんでしたけれども、農林水産省関係ということで、少しご説明したいと思います。
実は、私どもよりも、水産庁関係では漁業の実利用ということで、漁業探査で日の目を見るということで、NOAAの衛星等を使いまして実利用に入って、漁業情報サービスセンターで漁船に流しているというような状況がございます。それから、基礎生産量の推定ということで、漁獲高の推定とか、それから、どういうふうな炭素循環にかかわる海の業というようなことで、サイエンス的な話もありまして、基礎生産量、生物の生産量の推定というようなことも手がけております。
それから、林野庁といたしましては、林業の実利用というのが本業ですけれども、山の単位での材木量の管理ということに使っている。それから、グローバルというか、世界的に見ても、森林資源調査ということで、アジア各国については森林マップの作成ということを林野庁管轄のところで行っております。それから、最近森林火災ということが非常に大きな問題で、JICA等の援助を含めまして、東南アジアの消火システムということで、衛星で火災現場を発見して、それについて現地の政府と対応して、特にヘリコプター、燃えているところを把握して森林火災を消火する情報を与えるというようなことも行っております。
それと、私は、本省ですけれども、農林水産省内部の統計情報部におきましては、農業統計調査ということで、収穫高、作付面積の把握ということを行っております。
それから、農村振興局では、農業への利用、農村基盤整備への利用ということで、開発適地の選定とか、農地の保全にリモートセンシングデータを利用しているということであります。
それから、農業への利用ということでは、後でお知らせしますけれども、各都道府県、自治体等での利用というのが多くなっております。
どこが実は一番多いかということですけれども、地球上の80%が、水産庁の所轄ですので、それと、森林関係が多くて、私どもの本省関係が一番少ないというような状況です。この水産庁との話は、いろいろなところでやられていると思うんで、ご承知と思います。あまり知られていないというか、私どものほうの農業関係の話をさせていただきたいと思います。
それが、レジュメの最初のところに書いてありますけれども、農業利用とリモートセンシングということで、精密農業から始まりまして、農業災害軽減までの各項目についてお話ししたいと考えていますけれども、時間の都合がありますので、ちょっと順番を変えてお話をさせていただきたいと思っております。
それから、次に農業リモートセンシングの特徴と必要システムということについて、レジュメとしてつくらせていただいております。
最後の、農業リモートセンシングの意義ということについて、まず最初にお話をして、さかのぼっていって、時間の許す限り農業情報とリモートセンシングということについて触れさせていただきたいと考えております。
農業リモートセンシングの意義ということですけれども、陸地の持続的利用ということで、総合評価ということで、リモートセンシングデータというのは全部見れるわけで、38ページ、一番後ろに載せております。限られた陸地の利用ということは総合的な見地から利用すべきであるということ。それから、陸地の総合評価ということに使っていきたい。それから、陸上系で今も集めているわけですけれども、データは、データ収集者で作為が入って、いろんなところがいろんなことを言うわけで、集めた人が都合のいいように解釈されてしまって、データがあって、情報ができているということがございます。そういうことがない客観的なデータが得られるということで非常に期待できるものであると考えています。
それから、国際協力の見地ですけれども、衛星情報というのが、イコノスとか、最近の商業衛星ということが打ち上がりまして売買される時代になっていますけれども、そうすると、開発途上国と先進国、情報が持っているところとでは、非常に大きな差が出てくる。開発途上国の農産物が非常に買いたたかれる等のことがあります。そういうことで、食糧保全、食糧安全保障が守られるかということがあります。各開発途上国と日本が一緒になって、アジアの農業の農産物の安定供給ということに貢献しなければならない、そういうことに対して日本が貢献する必要があるのではないかということが言えると思います。
順番が不同で申し訳ありませんけれども、29ページにあると思うんですけれども、先ほどの国土の方の発表もありましたように、エンドユーザーとして何を期待するか、農業利用ではどういうふうな状況が必要かということです。第1番目に、広範なデータが必要ということで、農地域全体の情報が要るわけで、非常に広範な、我々としては情報が欲しいということです。それと同時に、短い期間の時系列のデータが必要ということで、1週間から3週間ぐらいの範囲でのデータがぜひ必要ということがあります。それで、1番目の、広範囲なデータが必要ということは、リモートセンシングの技術の特徴でありますし、短い期間というのは、残念ながら衛星ですと雲があると観測できないということがありまして、数多くの衛星が必要だということが言えると思います。
それから、準リアルタイムのデータが必要ということで、先ほどもお話がありましたように、私どもは1時間、2時間という話ではないんですけれども、1日か2日ぐらいのデータがぜひ欲しいということで、今ですと、計算機の性能がアップしていますし、それから、インターネット時代の回線でデータがぜひ欲しいと。そういうふうな状況で、現在でしたらこういうふうなことが満足できる状況だと思います。
それから、長期間のデータが欲しいということで、これにつきましては、農水省内でもデータベース化ということに取り組みを行っております。
それから、利用コストが安いことということで、ぜひ商業衛星だけではなく、国として上げていただいて、安い、フリーなデータ、自由に使えるデータがぜひ欲しいということがあります。
22ページですけれども、これが農水省でデータベース化を始めているシステムで、農水省の農林水産研究センターの中でデータベース化を始めているということです。それから、データ通信につきましては、農水省のコンピュータセンターも中心になって、NASDAさんの関係者と一緒になって、APANと呼ばれておりますアジア・パシフィック・アドバンス・ネットワークシステムということで、アジア・太平洋地区でのデータの流通ということに心がけて、データ通信が迅速に手に入る努力をしているところでございます。
衛星データの農業、どういうふうなセンサーが必要かということですけれども、イメージングセンサーで画像センサーデータが非常に欲しいということです。我々としては、主として使うのは画像データであるということ。高分解能センサー、それからハイパースペクトルセンサー、それと、アジア地区ですと、アジアモンスーン地帯で農業で作物をつくっているところには雲があってなかなかデータがとれないということがあります。ですから、合成開口レーダー、SARのデータが必要なんですけれども、現在のところですと、1バンドのデータでなかなか判別がしにくいということ、多バンド、多偏波のSARがぜひ欲しいと考えております。
配信システムと衛星画像データベースということですけれども、数年前までは、このように人間が検索に行って、データは大きなテープで送られてきたという時代でしたけれども、それが、1つちょっと飛ばしますけれども、ぜひ我々もパワーユーザーとして、エンドユーザーですけれども、データのアーカイブ、それからある程度のデータ処理をして、最後の農業者に流すということについての努力はしたいと考えております。ぜひ、データが、今の時代ですので、観測されてからすぐエンドユーザーまで届くようなシステムを構築することが必要だと思っております。それから、ITということで、そういうような情報を各方面の中ですぐできる話ではないかと考えております。
あと、時間が少し許す限り、農業情報と、実際どういうふうな利用がされているのかということについてお話をしたいと思っております。
まず、精密農業といって、今アメリカなんかでは最新の話で、これでイコノスとか、高分解能衛星が打ち上がったと言われているわけですけれども、日本ではなかなか、個々の農家で使うということは難しいことがあります。ですけれども、北海道で地域としておいしい米をつくるという取り組みの中で、非常に有効利用されております。お米というのは蛋白含量が低いほどおいしくて、蛋白含量が多いとまずいということがあります。この蛋白含量について、NDVIと呼ばれております、可視と近赤の演算式ですけれども、青々としていると、バイオマス量が高いとNDVIが多いということです。そのNDVIと米の蛋白含量というのは、非常に相関が高い、それは、刈り取りの3週間前の調査ですけれども、そういうふうな地上での調査によって、どこの圃場のコメが蛋白含量が高いか低いかということのマップをつくりまして、蛋白含量が高い、黄色いところとか赤いところの農家については、残念ながらその年はだめですけれども、次の年の窒素肥料を減らせという、少なくしなさいというような勧告をするということです。それによって、地域として北海道の米が本州の米と同等な品質になってきているということがございます。
次に、農水省の中ですけれども、統計情報本部で米の作付にこのリモートセンシングデータを利用しようということを考えています。残念ながらまだ、単位面積当たりの収量ということは現地調査を主体としておりますけれども、どれだけ作付したかというのを、人が見た現地での調査からリモートセンシングデータによって切りかえるということを行っております。
それで、Landsatデータが手に入れば非常にわかりやすくてすぐ面積が出るわけですけれども、毎年確実にLandsat衛星のTM画像がとれるかというと、雲があったりしてそういうことはないということで、レジュメにはその方法を詳しく書いてありますけれども、過去のLandsatデータで水田に可能地域を見つけておいて、そこで水が入った部分黒くなっておりますけれども、その部分を作付したということで、水田面積を押さえております。横が今までの現地調査の方法、縦がSARデータとLandsatデータを使った決定ですけれども、非常によい情報を得ております。
次が環境問題で、農地が増えてくると温暖化ガスがどうなるかという問題があります。土地利用変化値に伴う温暖化ガスのEmission、放出量が変化、どうなるかということの推定で、まず土地利用変化を押さえようということで、これはインドネシアのスマトラ島での調査ですけれども、現地で測定しているグループと、温暖化ガスの発生量を測定しているグループと、私どもではこういうような衛星データを使って、どういうふうな土地利用変化をしたかということで、森林が減ってほかの土地利用になっている。農地とかに変化しております。それで、地域としての温室効果ガスの量の変化を見ると、やっぱり土地利用が森林から変化することによって増えているということがわかります。
【川崎部会長】 申し訳ありませんが、この辺でちょっと中断させていただいて、後のディテールのほうは質疑応答の際にということでよろしゅうございましょうか。
それでは、ちょっと日程立て込んでおられるんですが、日本科学未来館の毛利館長がお見えになりましたので、宇宙開発利用の新しい用途と言いましょうか、期待される用途としての教育とか、その他啓蒙とか、いろいろの面について、毛利館長の方からお話しいただければと思っておりますが、お時間15分間ぐらいで、よろしくお願いします。
【日本科学未来館毛利館長】 今日発表させていただくのは、皆さんお手元にお持ちかと思いますが『宇宙からの贈りもの』という、岩波新書にちょっと書かせていただいたんですけども、私の2回の飛行の後、さまざまな恩恵を宇宙から、あるいはまたいろいろなミッションに関する仕事から得たわけですけれども、では、私たちがそれによって何を学べるのか。その中で、宇宙ステーションというのはどういう位置づけであるべきなのか。
宇宙開発事業団は、宇宙ステーションというものをきちっと定義づけて、ある目的を持ってずっと研究を進めておりますけれども、私なりに自分の経験を通して、それ以外に得たものがございますので、それをちょっと皆様にご紹介したいと思います。文部科学省あるいは宇宙開発事業団で既にあるものは、皆さん既に知識はお持ちでしょうから、それ以外のことを、少し私の個人的な思いもあるんですが、ご参考にしていただければと思います。本をお持ちでない方々は、こちらのパンフレットのコピーの方を、国際宇宙ステーションという部分を抜粋したものがございますので、ほとんどはここの中に書かれていますけれども、ここに書かれていないものから先に申し上げます。
まず先週、初めて文部科学省で宇宙ステーションと各大学を結んで、大学における宇宙授業を行いました。これは大成功に終わったんですが、今、インターネットあるいはテレビ会議などを通じて、各大学間を結ぶことができるんですけれども、それを直接宇宙ステーションから、現在3人の宇宙飛行士がおりますけれども、それを題材にして、私がキーステーションにいまして、さまざまな工学系の学生、文科系の学生、いろいろな分野の学生がいるんですけれども、直接宇宙飛行士に質問をして議論をしました。そのときにアメリカ大使のベーカーさんも、それからアメリカの留学生もいたんですけれども、非常にこれは高く評価されて、リアルタイムにおける宇宙ステーションの教育における役割りというものを、改めてアメリカあるいはヨーロッパよりも日本の方が、そういう意味では現在利用というものに対して評価がNASAでもあるように思います。
その同じインターネットを通じての授業は、既に小学校、中学校ではもう数カ月前に行ったわけですけれども、まず教育の分野で、国際宇宙ステーションはさまざまな使い道が生ずると思います。実際に学校にいる生徒、学生たちが、教育の効果を考えたときに、机上で本を読んだり、あるいはまた映像を見たりするよりは、リアルタイムで、本当の宇宙飛行士から直接話を聞くということで、教育効果と言ってもいろいろあるわけですけれども、知識ばかりではなくて、彼ら自身の将来にわたっての影響を、本当に与えることができるというのは実感しています。それが一つです。
それから、あとは『宇宙からの贈りもの』の宇宙ステーションのところに書かれています。それを順繰りにご紹介したいと思います。
まず、宇宙ステーションの目的は、私がこれから言うことが一番大事なんではなくて、本来の意味というのは、もともと日本がかかわるときに、宇宙ステーションというものの位置づけをしています。それがまず第一義である。これがいろんな方がアプリケーションを言って、コマーシャルに役立てるなど言いますけれども、それはあくまでも第二義、第三義だということをよく納得していただきたい。ともすると、表面的なコマーシャルに利用するのが、一番何かアプリケーションとして、あるいは役割りとして大事なんじゃないかと思うこと自体が、日本を間違った方向に持っていくと思います。やっぱり本来あるべき姿、宇宙でなければできない環境を利用して、どれだけ科学実験、それからこれからの理工学実験のほうに役立てていくかというのが本質です。それプラスこれから私が言うことをご理解いただきたいと思います。
一つは、宇宙飛行士というのは宇宙に行ってさまざまな仕事をするんですけれども、まず一つ危機管理を学べた。危機管理というと、今盛んにテロの問題がありますけれども、社会における危機管理というふうに言われていますけれども、どうも実態というのが、現場での危機管理を学ばない人が危機管理を言っている場合が随分多いんですね。でも、最終的に危機管理は何かというと、大きなプロジェクトの中で、それをどのように成功させるか。しかも、その大きなプロジェクトが、命がかかっているというときに初めて現場の人たち、あるいは社会の人たち全体に意識が高揚できるのではないかと思うんです。それは失敗すると大変なことになるわけですけれども、でも、そういう失敗が単なる人工衛星、ロケットの失敗ではなくて、命がかかっている失敗というのは、相当やっぱりインパクトが社会に大きいですね。そういうものを、日本の社会というのは、余り過去、戦後特にしてこなかったような気がします。どちらかというと経済優先で、経済のためだったら危機管理をするけれどという感じだったんですけれども、社会におけるこれからの危機管理は、やはり何か命とかかわるところにおける危機管理というものを、社会全体で認識しなければいけないというのが、21世紀一番重要な要素になってくるんじゃないかと私は思っています。
というのは、これからますます、なかなか社会が見えない状況下で暮らすわけですけれども、その中で個人の一番頼りになるのはやはり生きているという感覚、それから自然とのバランス、そういうものをどこで得るのか。ほとんどの私たちの生活は、この部屋を見ても人工環境の中で、その一番推し進めたのが実は国際宇宙ステーションなわけです。 でもそこで、我々の訓練の中で大事にされるのは、生きているという人間の極限状態における判断がいつもすごく問われてくるんです。それが見える形で危機管理に反映されてくるということで、私は、国際宇宙ステーションで日本にとっての一番のメリットというのは、きっと、宇宙を通してこういう大きなプロジェクトをすることによって、日本の社会の危機管理が、人間の生とか死とかいうものを具体的に体現できるんじゃないか。
そのときに、じゃ今アフガンに起きていることも同じように生とか死があるけれども、あれはあくまでも人と人とがお互いに殺し合う、殺されるというときの危機管理ですね。でもそうではなくて、おそらく、ずっと日本は平和の憲法を持って、できるだけ戦争とは違う世界にいたわけですけれども、そのときにやはり戦争とは違うところで生きていくということが、日本の社会で非常に重要なことだと思うんです。人間がお互いに殺し合うということで不毛なんですけれども、この国際宇宙ステーションに代表される人間を送るということは、やはり生と死をかけるんですけれども、それは人間によって殺す殺されるの不毛ではなくて、自然に挑戦するという、それを乗り越えなければ、やはり地球の将来の私たち全体の環境を守っていけないということに、気がつけさせてくれるんじゃないかということで、私が一番日本の社会でコントリビューションになるのは、宇宙ステーションではその部分だと思っています。非常に独断ですけれども、自分の経験に基づいて。
それから、あとはやはり国際協力という意味で、国際宇宙ステーションでは一番目立って日本人がほかの国の方々と一緒に働いているということが見えます。国際宇宙ステーションの中には16カ国の人たちが一緒に働くわけですけれども、それぞれの文化背景が違いますね。国際宇宙ステーションの今までの訓練の様子、最初アメリカがリーダーシップをとって、自由社会における新たな協力ということで、最初レーガンさんが提唱したところ、いつの間にかロシアが入ってくるようになりました。全く体制の違うロシアが入ってくるようになって、そこで、実際にアメリカが、それまでには考えられなかったようなさまざまな経験を実際にしました。ロシアはロシアで、非常に大きな有人経験があるところです。
アメリカのイニシアチブで宇宙ステーションも全部持っていけるだろうと思っていたところ、実際にはそうはならなかったんですね。それはやはりさまざまな経験以外に、現場でいろいろと一緒にやっていくうちに、決してアメリカのものが一番優れているんではないということがわかって、特に、例えば宇宙ステーションというのは、今までのアメリカの発想だと、スペースシャトルの延長線上にある。飛行機の延長線上にあるというような発想をしていたんです。ですから何か不具合が起きたときに、すぐパーツを全部取りかえて新しいものに完全に変えてしまうという発想だったんですけれども、ところがミールに代表されるロシアの宇宙ステーションは、あれは初めから飛行機の延長とは考えていないんです。潜水艦の延長だと。確かに軌道にいる間は非常に安定した乗り物なんです。
一番スペースシャトルで危険なフェーズというのは、打上げのときと帰還のときなんですけれども、それはトランジェントで、ほとんどの時間は宇宙ステーションの場合には軌道に乗っていますから、軌道における新しいものの考え方があっていいわけです。その場合には、やはりスペースシャトルの延長線ではなくて、むしろ潜水艦とか潜水艇というほうが合っているんではないか。それでもしも何か不具合があったときには、すぐパーツを取りかえるという発想よりは、宇宙飛行士がそこへ行って修理をする。修理をして直して、何度でも使えるというロシアの発想のほうが優れているという認識もあります。それは一つの例ですけれども、そういう例がたくさんありまして、アメリカも最初、ロシアと一緒に仕事をする上で非常に戸惑い、しかし文化が余りにも違うものですから、しかしどんどんどんどん進めていくうちに、お互いのよさを納得して、今はほとんど不可能だと思われていたことが一緒にできるようになりましたし、現在、ロシアの協力によっても初めて宇宙ステーションが成り立っているわけです。
そういう意味で、今ロシアとアメリカの両大国は大きい国でしたから、そういう文化の争いが一番見えたんですけれども、これからは日本とかほかの国々が、さまざまな文化背景を持ってやってきますから、実際にそういう文化背景を持ってみんなが注目するところで何か構造物をつくり、その中に人間が住み何か成果を上げるというのは初めての試みなわけです。それを成し遂げるということ自体が、非常に大きな国際宇宙ステーションの役割りですし、そのときに、日本が、まねではなくて、どれだけ自分のオリジナリティを持った貢献ができるかというのが問われます。
問われるときに、では日本がいなくてもいいんじゃないかということを逆に考えてみたら、回答が出てくるんじゃないかと思いますけれども、私もロシアの宇宙飛行士の考え方、アメリカの宇宙飛行士の価値感、どちらかというといろいろな西欧諸国の宇宙飛行士が日本以外はすべてです。そういうときに、日本人としてのやはり価値感というものが、かなり貢献しているのではないかというふうに私自身は思っています。先ほどのNASAの中でも、ステーションを利用した宇宙授業は日本が一番実際に行っていると申し上げましたけれども、例えば今、国際宇宙ステーションで3人の宇宙飛行士が絶えず滞在していますけれども、これから完成の暁には、6人、7人になろうという方向で今動いているんですけれども、その6人、7人の宇宙飛行士をじゃあ問題なく半年間滞在させるためには、そういうお互いの文化背景のバックグラウンドの矛盾をなくして半年間ミッションを行うためには、かなり人選といいますか、組み合わせが大事になるんです。
今までアメリカの社会の中では、大体いつもリーダーシップをとるということが一番大事な価値感でした。何かグループがあって探検のときでも、リーダーシップを誰がとるか、あるいはまた戦争に行くんでも、リーダーシップが一番大事なんですが、ようやく去年、おととしあたりから、実は、国際宇宙ステーションで一番大事なのは、もちろんリーダーシップもありますけれども、フォロワーシップが大事だと。これはミールでアメリカ人の宇宙飛行士が一緒に行って滞在した6人の経験を反映しているんですけれども、それで具体的にはアメリカがフォロワーシップの訓練もしているんですね。
コールドレークというカナダで真冬、マイナス20度か30度ぐらいのところに、6人ぐらいの国際宇宙ステーションに乗る候補者たちを、一応グループをつくって、1週間でこの場所まで行きなさい。しかし行くのはグループで自由に行くんですけれども、そのときに大事なのは、自分が優れている部分の力を発揮して、全体としてうまくいくようにする。リーダーシップ、誰をコマンダーに決めてうんぬんかんぬんではなくて、そういうのにうまくいく人だけが国際宇宙ステーションに行けるという、本当に今までのリーダーシップを強調してきたところ、フォロワーシップというものが実は長いミッションを成功させるには大事だということを認識して。しかしこれは日本では当たり前というか、日本人には一番得意なところで、そんなに余り意識しなくても、日本人の宇宙飛行士は必要なときには言うことを聞きますし、ですからこういうのは文化が随分出ているんですよね。そういう意味で、日本の文化をどんなふうに入れていくかということが、これから私たちどんどん主張していって貢献できるんではないかと思っています。
今、教育と危機管理と、それから今日本の文化を打ち出していくということを通じて、国際的な日本の社会の位置というか、認識が高まるにつれて、国際宇宙ステーションのようなものが一つのきっかけになると思うんです。それで多くの日本の人たちに、少しでもいい影響を与えることが可能なものが国際宇宙ステーションになるのではないかと思います。
あくまでも私が今申しましたのは、今までの宇宙開発委員会あるいは宇宙開発事業団が大義名分としている、それプラスさらにそういう大きなものが含まれているということを申し上げました。
【川崎部会長】 どうもお忙しい中、貴重なお時間いただきましてありがとうございました。大変おもしろい見方だろうと思いますが、機械的でなくて、やや人格的な話が多く出て、価値感の問題と思います。
それでは、まだよろしゅうございますか。もしこの際どなたかご質問、コメント等ございましたら。よろしゅうございますか。
それでは、どうも毛利さんありがとうございました。
【毛利館長】 では失礼いたします。
【川崎部会長】 それでは、大分雰囲気が違った話になりましたけれども、前の農業環境技術研究所の方の話に戻って、農業分野における……
【斎藤グループ長】 あと3分ほどで終わらせていただきます。
あとはここで資料を見ながらご説明したいと思います。資料の17ページから再開したいと思います。
17ページはJICAで各開発途上国の援助をした部分で、リモセンを使ってどういうふうな援助をしたかということを、農業関係のものでしております。それから当時は農業最適地選定等の話、それから最近ですと農地保全ということで、1991年までしかさぼってリストアップしていませんで、まだこの後増えて、引き続いて2倍ぐらいの量があると思います。それが農業開発適地選定の話、農業のインフラ整備の話。
それから5番目としましては農業支援探査ということで、農業支援と言いますと、種子の遺伝子源が非常に問題になっていて、作物の野生種を探しに行くというプロジェクトが結構農水省でも行ってます。そういうようなものに地図がなかなか整備されていないとか、いろいろな情報が不足なところへ行ってしまうということがあって、なかなか見つけられないということがあるので、リモートセンシングとそれからGISシステムを使って、それから、現在ですとGPSを使って、そういう探査ができないかというプロポーザルを書いたものです。
次が最後で、災害関係では、先ほども国土交通省の方からもございましたように、災害問題が非常に大きい、農業災害というもので、生育量に反映するということがありまして、人命には直接かかわらないということで、1時間とかいう話でなくていいんですけれども、数日のうちの情報をモニターして、二、三日以内でそのデータが欲しいということです。リモートセンシング農業での災害回避ということは、作物が変化してだめになるということなので、ランドカバーの変化ということでとらえられて、リモセンで非常に有効なわけですけれども、残念ながらまだ実利用には至っていないというのは、データが遅いということと、なかなか瞬時に来ないという話と、アジアのモンスーン地区では作物がある時期に雲が多いということで、なかなかデータがとれなかったということですけれども、SAR農業、合成開口レーダーの利用、それから高頻度でとれるNOAAの衛星等の利用と、それからデータ配信でオンラインということができてきたので、私どもでもNOAA衛星を使って農業監視ができないかという試験をやっていました。それは中国のを見るということで、21ページに表がありますけれども、NOAAのNDVIというものを、データでNDVIを計算して、雲がありますので10日間合成画像をつくったということです。
次に、22、23ページはご紹介しましたので24ページですけれども、これは3年間の平均で1997、98、99の平均の10日間合成のNDVIを合成したものです。そうすると、緑のところはNDVIが高くて、植物がよく育っているということで、全体としては非常に5月から6月にずっと高くなっていますけれども、左の方の6月の画像の右の下の方は、かえって6月の方が低いということがありまして、それは農業ではちょうど冬の麦を刈って水田の稲を植えるということで、低くなる時期があるということです。同じのが今度6月から7月というのを25ページに書いてあります。それで3年間の平均に対して1997、8、9の平均に対して、2000年度の差を見たということで、NDVIの高い方が緑で書いてありますし、2000年のNDVIが低いのを黄色で表示しております。そうすると、黄色いところで、これは7月1日から10日とそれから11日から20日の例を出しておりますけれども、ここで中国では干ばつがあったところで、黄色いところは確かに干ばつの影響が出ているということで、私どもでは10日後にはデータが出て比較できるようなシステムをつくりまして、それで農業監視が研究ですけれどもできたということが言えます。
この黄色の方の真ん中あたりに×がついてあるところと、一番下の方の×がついた2カ所について、時系列の変化を見ると27ページですけれども、確かに平年の方がNDVIが高くて2000年の方が低いということです。下の方の28ページですとほとんど同じで、北の方は干ばつだったけれども、南の中国の中央部は平年だったということが言えると思います。
最後の30ページをちょっと見ていただきたいと思うんですけれども、6つのご説明した農業情報を並べてありますし、右の方には衛星で直下監視の高分解能衛星、それから観測頻度は低いというもの、次が分解能は多少低いですけれども、ずっと観測できる衛星、それから斜方視してねらったところについては高い頻度に観測すぐできる。それから最後はSARということですけれども、いろいろな現象について特有なセンサーが一つあればいいという感じがあって、物量を出すんだったら一つのセンサーでいいわけですけれども、農業の総合観測みたいですといろいろなセンサーが要るということで、こういうようなセンサーを組み合わせて、うまく農業状況の把握ということをやっていきたいということで、ぜひ継続してセンサーが上げられて、日本の衛星が使えることをお願いして終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
【川崎部会長】 どうもありがとうございました。
ご質問あるいはコメント等ございますでしょうか。
もしあれであれば、引き続いて説明の範囲が続きますが、芝田課長の方から、全体を見ての今後の宇宙開発利用の目指す方向ということでの、委員会でのいろいろの検討の中間報告をお願いして、その上で全般にわたってご議論を進めていただければと思います。ではお願いします。
【芝田宇宙政策課長】 では、参考という資料をごらんいただきたいと思います。これは現在宇宙3機関統合準備会議というのが青山副大臣のもとに設置されておりまして、そこで統合のための機能、あるいは組織等について議論をしていただいておりますが、そこへの材料を提供するという意味もございまして、宇宙開発委員会の方で取りまとめつついただいておる資料でございます。
1ページ目をごらんいただきますと、宇宙開発利用の理念ということが書いてございます。2ページ目をごらんいただきますと、目的と基本方針ということでございますが、目的についてはそこに書いてあるとおり、これは総合科学技術会議等でもリファーにされている大きな柱でございます。基本方針といたしまして1から4まで、例えば、科学技術創造立国の立場から、戦略的分野として宇宙開発利用を推進しようとか、世界トップクラスの技術力を幾つかの分野で獲得しようとか、自律的な宇宙開発利用活動を展開するための技術力を独自に保持しようといったような基本方針を掲げられております。
3ページ目をごらんいただきたいと思いますが、ここからが新機関の機能・役割を整理してございます。3ページ目は、研究開発の推進ということで、当然ながらコアになる活動として研究開発があるわけでございますが、3つ目の窓をごらんいただきますと、官民の宇宙利用の拡大に資する技術開発の推進、4つ目の情報通信等技術試験衛星による宇宙実証の推進ということもコアになる活動として書かれてございます。
4ページ目は、コアになる活動の一つの大分類といたしまして、社会との連携・協力ということで、産業に資するような産学官の連携・協力、あるいは国民理解の増進といったことについても言及がございます。
5ページ目をごらんいただきたいと思います。これは今回いろいろご議論いただいておる中で、新しく出てきたコンセプトと言ってもいいかと思いますが、5ページの一番下に書いてございますように、多角化による宇宙利用の拡大ということがございます。これは宇宙という切り口というよりは、むしろ例えば各省庁の行政目的という切り口の中で、宇宙を利用していただくことを拡大していかなくちゃいけないという概念でございます。これまでのように、宇宙開発事業団だけで一生懸命推進しておっても限界があろうということで、各省庁の宇宙利用をできるだけ拡大していくということを、発信メッセージとして出したいと考えておられます。そうは言いながらも、新機関としての役割は着実にやっていこうということで、真ん中の緑色の部分でございますが、先ほど言いましたような宇宙実証、それに加えまして利用の発掘ということ、利用に関する企画あるいはアイデアの立案、そしてそれの働きかけといったことも新機関としてやっていこうということであります。
それから、緑の部分から染み出しております黄緑の部分、これは各利用機関と相談・連携しまして、利用の拡大のために必要な技術開発については、新機関でも一緒にやっていこうということであります。そしてその結果として、そこに書いてあるような、各利用分野の宇宙利用が広がっていき、それが産業界にとっても産業の活性化につながるといったような絵を書いております。
6ページが新機関が取り組むべき研究開発の方向といったことでございます。これはこの先2030年代ぐらいまでを視野に入れまして、新機関がどういう分野に取り組んでいくべきかということで、今までのコンセプトも含めまして書いてございます。例えば、地球観測につきましては、これはいろいろな分野でのデータ取得が可能になりますので、新機関が一元的に行うことによって、国全体としては大変効率的にできるだろうということで、ずっと先の方までブルーの線が引いてございます。ブルーの線が基本的には新機関の役割りと考えられております。ただしずっと先になりますと、利用機関の方でも独自に衛星を上げるといったこともあるかもしれないということで、少し色が抜けております。
2つ目のブルーの線が情報収集、情報通信分野等の先端技術の宇宙実証ということでございますが、ここはさっき言いました宇宙利用の拡大ということを期待しまして、利用機関からの受託という紫の部分が、先に行くに従って大きくなっております。
あとは例えば輸送系のところですと、2000年代の終わり頃には、きちっとした評価をした上で、再使用機、そして有人も視野に入れていこうといったことが掲げられております。
今後、宇宙開発委員会のほうでも年末に向けましてこれをお取りまとめになりますし、宇宙3機関統合準備会議のほうでもこれをたたき台にいたしまして、年末までには中間まとめに向けた作業を進められるというふうになっております。
以上です。
【川崎部会長】 どうもありがとうございました。
今ご紹介しましたものは、委員会の内部でいろいろと議論をしております途中の産物でございますので、舌足らずのところもあったり、いろいろ粗らっぽいところもあるかもしれません。ただ、今日いろいろご提言なりご説明をいただいたわけですが、ちょっと思い返しますと、前回いろいろ出されましたご意見の中と、非常にリンクをしてくるところがあるように私は思います。
一つは、小田原さんなりあるいは石橋さんのほうから出されましたウォンツでやっていてもどうもだめだと、ニーズとのリンケージが十分にとられなければならないんじゃないかというようなお話であるとか、森谷さんから出されました、国際的な分担といった視野が少しみんなから欠けているんじゃないかと。それについて、いやしっかりやっていますというようなご意見もございましたけれども、そういうような問題。それから、利用分野によってはかなりアウタービジネスと言いましょうか、利用分野系が確固としたものになっているものと、まだまだその利用分野のシステム自身が国としてまだ成熟していない、未発達な状況というのも、かなりアンバランスに存在しているということもおわかりいただいたかと思ます。
このような点を含めまして、結局ノンスペースから見たらどうだというようなご意見も、どうしても取り入れる必要があるということも言われたかと思いますが、まだ今日おいでいただきました各省おいででございますので、先ほどの芝田課長の委員会でのいろいろ考えている内容も含めまして、しばらくの時間を自由討議に入りたいと思いますので、どうぞ、どなたかご意見のある方。松本先生どうそ。
【松本特別委員】 宇宙3機関の資料はあちらこちらで私も目にいたしますけれども、一番最後の6ページにまとめてあるのが、これからお考えのプランではないかと思うんですが、ちょっと気になることは、「利用者を見据えた技術開発」、こういう書き方をしてございまして、これは利用者というのは各省庁であったり、つまり官であったり民であったりするという意味だというご説明がございましたけれども、そのタイトルが「情報収集、情報通信分野等の」と書いてあるんですが、どうしてこの2つの分野だけがわざわざ例として挙げられたのか、私には非常に奇妙に思います。
いろんな分野、今日各省庁のご説明もございましたし、前回のこの委員会で説明のありましたエネルギー分野ももちろん新しい分野で、未成熟と部会長おっしゃいましたが、そういう新しい分野ですね。国民の生活にとって必要な分野ということを考えますと、既に走っている情報収集とか情報通信をわざわざお挙げになった理由は、私としては説明が国民に対してしにくい。例がないとわかりにくいという点もわかりますけれども、しかし、一般的には先端技術の利用者を視野に入れた開発ということが今後ますます重要になるわけで、これまでの上に書いたような地球観測とか通信放送とか宇宙ステーションとかはもう既に走っているわけですから、これはやらざるを得ない。しかし今後本当に日本が、この宇宙が日本にとって重要であると考えるのであれば、この3番目の新しいところだと思うんですね。それにやはり新しさをつけ加えていかないと、その3機関を統合して、国民から支持をさらに得ようという場合に弱いんじゃないかと私は思っていますが、いかがでございましょうか。
【川崎部会長】 大変いいご指摘をいただきました。これはちょっと下の方をごらんいただきますと、航空科学技術というところには、言葉は違うんですが「社会ニーズに対応した」というような言葉がありまして、どれにもある意味では利用サイドからの見方が必ず組み合わせられないとまずいという意識は強くございます。そういう意味では、すべてに利用を見据えたと言いましょうか、利用を少なくとも目途にしたというか、そういうような気持ちは入っているつもりでございますが、もし誤解を変に招くといけませんので、また修正をさせていただこうと思っております。それでよろしゅうございますか。
ほかにどなたかございますでしょうか。今日、特に2省の方からご説明がありました国土交通省の二階堂さんの方からご提言のあった、ユーザーとしてのいわゆる衛星側に対するリクワイアメントという問題とか、あるいは、農林省の斎藤さんの方からも、やはり、農業として使うとするならばということでのユーザーとしてのリクワイアメントというようなものが、明確にはっきり示されたと思っておりますが、この辺あたりを含めて、これは推進側はちょっとまずいんですかね。古濱さんあたりはどういうふうなご見解かをお聞かせいただければありがたいんですが。
【古濱特別委員】 利用一般についてはなかなか論じ難いのですが、地球観測データの利用ということについては申し上げたいと思います。
地球観測と言いますと、実用になっているもの、実用と研究の間のようなもの、それから研究段階のもの、3つぐらいフェーズがあると思ってます。最初のものは、気象衛星のようなもの。これはもう実用になっていますから、ユーザーが開発すればよいと思います。
2番目のカテゴリーですと、TRMMの後継衛星のようなもの。TRMM自体は科学観測が主体であったわけですが、次のGPMになりますと、科学観測とそれから実用に使うということの半々の相乗りのような性格を持っていると思います。こういったものは科学分野の人たちのニーズを酌み、またその実用に使われる方のニーズを酌んで、それを反映するということが大切だと考えておりまして、そういったものは将来もNASDAがやっていいのではないかと思っています。
それから3番目のカテゴリーの研究段階のものですが、例えば、多数の小型衛星で三次元的に炭酸ガスの量をはかっているもの。そういった事をNASDAは考えています。炭酸ガスを測る衛星搭載用のライダーというセンサーはまだ実用の域ではありません。これを特定のユーザー機関だけの研究開発に委ねることは発展の非常に可能性を制約してしまう。力のあるところはどこでもそういったものを研究してほしい。将来のユーザーも研究投資をするのは当然のことであります。ですから様々な研究機関が競争的に技術開発することが望ましい。しかしファンディングをどうするかという別の問題が生じますが。そういったことをNASDAもやっていきたいと考えています。フェーズによっていろいろ違っていまして、実用に近いものから技術をユーザーにトランスファーをしていくのが筋じゃないかと思っています。
【川崎部会長】 どうもありがとうございました。
今日ご指摘いただいた環境省の場合とか、あるいは国土交通省の場合、あるいは農林水産省の場合も含めまして、今までのどちらかというと衛星というのは、割合スポット的なんですね。継続的にある程度サービスといいましょうか、出すというような思想というのは、CSとBSについてはかなり濃厚にあったような記憶があるんですが、その他の方はちょっと言葉は悪いんですが、予算次第で行ったり来たりという、そういう意味で言うと、行政サービスの質を向上するために実利用に回そうといっても、ちょっとうまくいかないというか、そういうような点がちょっとあったような気がするんで、そのあたりがかなり今日の各省のご意見だと意識が高まってきていて、行政サービスの向上のために、継続的にとにかく保証されるデータが得られるという方向をこれから考えなければいかんということが言われてきたんですが、そうなると実は打上げコストとのトレードオフの関係が出てきて、ちょっと中野さんからご指摘のあった抱き合わせ衛星とか多目的衛星という格好のものを、いろいろ打上げコストを割安にするための方法として考えられるのですが、一方を立てれば一方が立たないという問題もたまたまMTSATの場合で今ちょっと例があったんですが。なかなか難しい問題が出てきますね。
どうぞ。
【小田原特別委員】 一番最後のご説明で、宇宙利用の目的のところで「国及び国民の安全の確保」という表現、これは一応カテゴライズされているのかもしれませんが、今例えば総合科学技術会議などで言っている言葉は「安心空間の確保」、そうすると今後の宇宙開発は、「安全」という言葉ではなくて、「信頼及び安全」だと私は思っておりますので、そこがすごく重要だと思います。
それで本日の国土交通省さんのMTSAT、今後広報システム等々あると思って、私自身非常に注視しているんですが、つまり信頼おけない広報システムができちゃったら、これどうしようもない。確かに部会長おっしゃるように、日本のやってきた宇宙開発がスポット的、例えば昔の文部省を見ますと、先ほど総務省からご報告ありましたが、エル・ネット、VSAT、何とかSAT何とかSAT、文部省だけで4つもネットワークを持っています。それで今文部科学省になったらサイエンスネットとか何かいろいろございますですね。それでNHKだって持っています。こういうネットワークの無駄、例えばエル・ネットはどこまでかというと公民館までです。それではVSATは大学です。その矛盾、これはやっぱり直していかなければいけないだろうというのが、宇宙開発委員会のなすべき、私ども利用者としても考えなければいけない。
例えばもう一つは、NHKの海老沢会長ご自身が言っていました。ハイビジョンのチャンネル1本で実は普通のチャンネルは3本つけられる。3本をつけることの国民に対するメリットと、1本のきれいなハイビジョンをつけることのメリット、斎藤さんおられるんで言いづらいんですが、どっちがいいのかなと。それはこの利用部会でもやっぱり議論していきたい。
あともう一つは、MTSATで挙げられることの、先ほどのGPS補助機能、機能とおっしゃっていたかな、それもそれじゃなぜ飛行機だけなのか。今カーナビゲーション850万台、日本が一番ユーザーです。それじゃ地上にはできないのとか、そういう議論ができてくると、私ら利用者としてはすごく実は大きくそれがフィードバックできると思う。 それで、先ほど言われた、例えば国土交通省さんの飛行機となったときに、本日来ておられないけど経済産業省が飛行機関係は持っておられる部分があるわけです。そうするとそこでのリンキング、あるいは先ほど言った文部省だ、いろんな郵政のやっておられるところでのリンキング、そういう各省庁のリンキングというところに、今度は多分NASDAさんやられる中で地方公共団体も出てくると思う。そうすると、これ多分こういう会合で言うと怒られるかもしれませんが、時効だから言っていいと思うんですが、青森県の石油の備蓄基地、あのときに、まずタンカーで油を入れる。そうしたらあの辺は波が荒いじゃないかと、そうしたら国が、いわゆる国かどこか知りませんけれども、その辺の海の気象情報持ってきて、7割くらいはないでいると。だからオーケーですと。そしたら今度は、タンクが海の上で漏れたときにその圏内が汚れるじゃないかと、そしたら地方公共団体の気象データを持ってきて、いやここは6割以上風が吹いている。そういう世界が日本なんです。それは私が若いときに経験しておりまして、それは今でもうちの大学の授業で言ってますけれども、そういうのが実情としてある世界ですので、これは本日各省お見えになっている中では、やっぱりこういう気持ちがあるんだという中で、特に信頼というのをこれから構築していかなければいけないなと思っておりますので、何か上に構えたような表現で申し訳ないんですけれども。
【川崎部会長】 いや大変貴重なご意見だと思います。ただ弁解ではありませんが、私ども左側の縦の方の国及び国民の安全の確保というのは、どちらかというと、国家として国民に対するサービスのときの視点という意味で、何も科学技術だけではなくて、あらゆる政策がこの3つに入るだろうと思っているんですが、それを受けてじゃ宇宙としてはという中で、今の信頼性のところは2番に書いてあるトップクラスの技術力の獲得というのの中には、当然リライアビリテイーも入っていないとトップクラスとは認めてもらえないと思っております。
それから、後段の方の話は、僕もこの会議の第4回をやったときに申し上げたと思うんですが、今年の1月6日から始まった12省庁体制もある過渡的なものかもしれないんで、より超近代的な横割り、横ぐしでいろいろデータが利用できるような時代になったときに、それぞれの国家目的を達成するため、あるいは国家行政サービスをするためのどういう機構がいいかというのは、いずれまた改めていろいろな場で検討されるんだろうと思うんですが、まずは今日環境省さんも出されましたし、国土交通省さんも出された、いろいろな情報が出されたんですが、IGOSの課題にもなっているんですが、要するに各種衛星データを複合的にどう統合したデータシステムとして、誰でもが活用できるかという、そういう利用系の今後のあり方問題というのが、私は衛星一つ一つも大事でございますが、重要な普及というので意味があるのかなというふうに、今日のお話を聞きながら感じたところなんで、このあたりはぜひ利用部会の方のこれからのご議論で、少し具体性を持ったものとして出していただければと、かように思っております。
この辺は各省さんの方で何か、特にどうしても一言というのはございますでしょうか。
それでは、何か今日はお話を聞く会でございますが、前にもお約束しましたとおり、次回は、今度は委員、特別委員を含めての討論ということで、今日までにちょうだいしたそれぞれのプレゼンテーションをベースとして、どんなふうに我が国の今後の宇宙開発利用の計を、上を含めて地上系まで含めた、いわゆる宇宙を一つのインフラとして取り込んでいくシステムとして、どんなふうに考えたらいいかということについて、少しインテンシブに皆さん方との間で議論を進めさせていただければと思います。その際、やり方としては、中野さんのご指摘になった国益をどう保持するかということとの関連があると思います。あるいはナショナルセキュリテイとの関連での問題も、当然開発なりとして当然出てくるんだろうと思います。
それでは予定の時刻が過ぎましたが、一応次回について事務局の方から。
【宗永室長】 次回は12月17日、午後2時を予定しております。場所はこの同じ会議室です。よろしくお願いいたします。
【川崎部会長】 それでは、本日大変各省の方にご協力をいただきまして、要領よい説明をしていただきまして、時間もセーブできまして、いろいろの情報をお教え賜りましてありがとうございました。本当に今日はお忙しいところありがとうございました。各委員の皆様、どうもお忙しい中をお集まりいただきましてありがとうございました。次回一つぜひ手ぐすねひいてご議論を期待しておりますので、よろしくお願いいたします。
── 了 ──
(研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室)