付録4

第1期気候変動観測衛星(GCOM−C1)プロジェクトの事前評価 評価票ご意見に対する説明

平成20年2月26日

宇宙航空研究開発機構

【本資料の位置付け】

 本資料は、第1期気候変動観測衛星(GCOM−C1)の評価票でいただいたご意見の中で、独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA(ジャクサ))から説明が必要と事務局が判断されたものについてJAXA(ジャクサ)から追加の説明をまとめたものである。

●プロジェクトの目標に関するコメント

1  GCOM−C1とGCOM−W1の相違点を含め、目標精度(輝度・陸圏・大気圏・海洋圏・雪氷圏)も数値化され明確となっている。しかし、バイオマス計測(多方向観測)を再度説明されていたが、今回の観測でアルゴリズムを入れても比較的大雑把なデータとなり特に優位性を感じない。既に「だいち」では、稲の成長などの植生が細かく観察できていることから、各衛星の得意分野を国内含め情報共有することが、無駄を省くことにもなり効率的な観測結果をもたらすことになると考える。
2  推進3−2−1のP10、質問2-2回答別紙の地上部バイオマスの標準精度、及び目標精度は、センサーの精度に加えて、解析のための最低量のデータの蓄積が不可欠であり、現状では表示の精度で観測を行うことは困難であることから、米国、欧州同様に数値を表示しないほうが良いのではないか。

1.プロジェクトの目標7

【委員コメント】

 GCOM−C1とGCOM−W1の相違点を含め、目標精度(輝度・陸圏・大気圏・海洋圏・雪氷圏)も数値化され明確となっている。しかし、バイオマス計測(多方向観測)を再度説明されていたが、今回の観測でアルゴリズムを入れても比較的大雑把なデータとなり特に優位性を感じない。既に「だいち」では、稲の成長などの植生が細かく観察できていることから、各衛星の得意分野を国内含め情報共有することが、無駄を省くことにもなり効率的な観測結果をもたらすことになると考える。

【JAXA(ジャクサ)回答】

 御指摘のように、「だいち」の数メートル〜10メートルの空間解像度に対してGCOM-Cは250メートル空間解像度ではありますが、観測幅は「だいち」が約70キロメートルに対し、GCOM-Cは1,150〜1,400キロメートルであり、GCOM−Cは一度により広い範囲を観測することができます。地球を周回する周期はおおよそ同じですから、広い観測幅によってそれだけ高頻度で観測できることになります。植生は地球の陸上に広く分布し、それが新緑・落葉などの大きな季節変化をしますので、この広い観測幅の高頻度観測による植生等の“変化”を捉えられることがGCOM-Cの得意分野となります。また、GCOM-Cは可視〜熱赤外波長域に、だいちの光学センサ(AVNIR-2が4チャンネル、PRISMは1チャンネル)よりも多い19チャンネルの波長を観測することにより、雲・エアロゾル、積雪、植生、海面水温等の様々な量を推定できることも得意分野と言えます。
 地球環境観測においては、上記のような空間分解能や観測頻度や波長などの各衛星の得意分野を活かし、細かい現象と広域の現象、変化の早い現象と遅い現象、それぞれのチャンネルで観測できる対象などを効果的に役割分担し、データを統合的に解析していくことが重要であると考えております。

2.プロジェクトの目標9

【委員コメント】

 推進3−2−1のP10、質問2-2回答別紙の地上部バイオマスの標準精度、及び目標精度は、センサーの精度に加えて、解析のための最低量のデータの蓄積が不可欠であり、現状では表示の精度で観測を行うことは困難であることから、米国、欧州同様に数値を表示しないほうが良いのではないか。

【JAXA(ジャクサ)回答】

 地上部バイオマス推定のためには、事前に地上で植生の3次元形状を計測し、衛星で観測される光の強さや多方向観測情報と結び付けることが重要となります。
 現状は、八ヶ岳や北海道のカラマツ林、千葉県の雑木林、モンゴルの草原等において、これらの植生タイプについて地上観測と地上部バイオマス推定アルゴリズムの開発を行っております。これに伴ない、従来ベースのアルゴリズム精度は既に検証されているため、リリース基準精度の実現は可能と考えております。
 また、この開発経験を通じて、今後さらに多くの植生タイプにおける地上観測ならびにSGLIの特徴である多方向観測を行うことにより、標準精度の実現が可能になると考えております。

前のページへ

次のページへ