評価結果
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妥当 |
概ね妥当 |
疑問がある |
1.プロジェクトの目的(プロジェクトの意義確認) |
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0 |
2.プロジェクトの目標 |
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4 |
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3.開発方針 |
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4.実施体制 |
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5.その他 |
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1.プロジェクトの目的(プロジェクトの意義の確認)
地球環境変動観測ミッション(GCOM)の目的については、平成18年7月の宇宙開発委員会 推進部会において、「我が国における宇宙開発利用の基本戦略」(総合科学技術会議)、「地球観測の推進戦略」(総合科学技術会議)及び「宇宙開発に関する長期的な計画」(以下、「長期計画」という。)において規定されている我が国における宇宙開発利用全体の意義、目標及び方針等を踏まえ、長期計画のプログラム及び「我が国の地球観測における衛星開発計画及びデータ利用の進め方について」の開発計画の一部として位置付けられていることを確認しました。これを踏まえ、気候変動観測衛星(GCOM−C1)プロジェクトの目的が、地球環境変動観測ミッション(GCOM)の構成要素として、的確に詳細化、具体化されているかについて評価して下さい。
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妥当 |
概ね妥当 |
疑問がある |
プロジェクトの目的(プロジェクトの意義の確認) |
10 |
2 |
0 |
評価根拠のコメント
【妥当】
- プロジェクトの目的が、地球環境変動観測ミッション(GCOM)の構成要素として、的確に詳細化、具体化されている。
- ADEOS以来の地球観測の流れの中で位置づけられており、目的としては妥当と考える。
- 国際協力に基づいた地球環境監視プログラムの一環として継続実施されるプログラムの衛星であり、わが国としての宇宙開発に関する長期計画の方針に合致したプログラムである。国際プログラムにおける位置づけ、即ち分担すべき測定対象、個々の観測データの使用目的および観測時間等も明確になっており、プロジェクトの目的は妥当である。
- GCOM−C1は、我が国の開発技術を活用して植生、雲・エアゾロル等の長期継続観測で国際的課題である気候変動解明に貢献するものであり、同時に漁場情報の提供、海路情報管理など社会的実利用にも貢献している。地球環境変動観測ミッションの構成要素として、目的は的確に詳細化、具体化されたものとして妥当だと判断できる。
- GCOM-C1が行う観測は、地球温暖化予測ならびに気候変動予測に大きく貢献するものと考えられる。地球温暖化予測・気候変動予測と観測内容・観測項目の関係は明確に提示されており、背景説明も的確になされている。
本ミッションは、全地球観測システムを構成する計画の一つとなるものであり、国際的に重要な役割を担うこととなると考えられる。プロジェクトにおいては、GCOM-C1の国際貢献度を、GCOM-W1と合わせて、より大きなものとしていくよう努力されることを期待したい。
- わが国が進めるGCOM-C1プロジェクトは、地球規模で生ずる様々な環境変化を観測するものであり、欧米との国際協力のもとで大気・海洋・陸域を対象に観測を行う。これらのデータは地球温暖化、災害発生メカニズムの解明、海洋生物活動、ひいては水産業などの現業利用に資するものであり、その目的は妥当と判断できる。
- 地球環境変動観測ミッション(GCOM)の意義は益々重要なものになっている。そのミッション構成要素についても、GCOM−Wとの役割分担が明確にされ、個々の観測データの内容・目的も実利用を意識した具体的なものになっていると評価する。
- 我が国における地球観測衛星の中での位置づけや差別化ができておりプロジェクトの意義も明確となっている。
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【概ね妥当】
- GCOMミッションの役割の一旦を担うプロジェクトであり、国内のみならず環境問題の解析等世界的な貢献を期待できるプロジェクトとして目的は概ね妥当であると考えられるが、本プロジェクトの位置づけとその有用性に関しては、更なる明確化とその国内、世界に向けてのアピールが必要と思われる。
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3.開発方針
GCOM−C1プロジェクトの開発活動全体を律する基本的な考え方ないし方針が設定された目標の達成に対し的確であるかを評価して下さい。
評価に当たっては、「衛星の信頼性を向上するための今後の対策について」で示された考え方を考慮して下さい。
評価根拠のコメント
【妥当】
- プロジェクトの開発活動全体を律する基本的な考え方ないし方針が、設定された目標の達成に対し的確である。
- できるだけデバイスレベル、コンポーネントレベルでの性能評価を徹底し、システムレベルでの評価に問題を先送りしない事により確実に信頼性の高い衛星を開発して頂きたい。
- 既存技術を最大限に活用し、GCOM−C1/GCOM−W1の共通化設計を通して図る衛星バスの信頼性確保とコスト低減化、衛星バスに先駆けた観測センサ試作試験による衛星開発リスクの最小限化など、衛星システム開発で信頼性確保を全てに優先させた開発計画の企画立案による開発方針は設定された目標の達成に対し的確で妥当なものと判断できる。
- GCOM-W1とGCOM-C1の共通化を図るとの基本方針のもと、GCOM-C1の開発方針はGCOM-W1と同一となっている。これは妥当である。
観測センサの開発においては衛星バスに先駆けて試作試験を実施するとあるが、GCOM-C1の観測センサであるSGLIは新規要素が多いこともあり、その進め方は妥当である。SGLIの先行試作ならびに開発の進め方については、質疑応答において、十分確認したところであるが、軌道上での高性能達成に向けて、現在進行中のBBMからEM、PFMへと、引き続いての確実な開発を期待したい。
- 信頼性向上、開発に際しての二重投資防止、等の観点からGCOM−Wとのバスの共通化、ALOS、WINDS、ETS−8、SELENEなど多くの既開発衛星技術を導入しており、この点は高く評価できる。
- GCOM−C1の特徴に合わせ、経費削減も念頭に入れよく検討された機器選定と組み合わせになっている。他の衛星と異なり三期に分け2機運用でそれぞれが短期観測となり継続性が特徴となるのだが、JAXA(ジャクサ)にとっては担当者の精神的リスクが大きいのではないか。この点も開発と合わせて充分配慮が必要である。
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【概ね妥当】
- GCOM-W1との共通開発を軸に行うということが特徴であるが、その有効性をみまもりたい。
- 衛星バスはこれまで類似衛星で使用されてきたバスを採用することになっており、できる限り既存技術を活用して、信頼性と安定性のあるバスを確立するとのJAXA(ジャクサ)の衛星開発に関する基本的な考え方に整合した計画である。ミッション機器に関しても、本来ならJAXA(ジャクサ)/メーカ共GLIの経験が直接生かせる体制が望ましいが、メーカが撤退した現状に鑑み、新規開発となることは止む終えざる選択である。ただしJAXA(ジャクサ)側の経験は引継がれており、更に新規開発部分は開発基礎試験を実施することによってカバーされているので、特に問題となることは無いと思われる。
- 信頼性と安全性の観点から見たGCOM−C1開発全体の考え方は概ね妥当である。リスクの最小化とコストの削減については、柔軟かつ厳格に開発を進めていただきたい。
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4.実施体制
開発計画のうち実施体制が、設定された目標の達成に対し的確であるかを評価して下さい。
特に、共同開発機関や関係企業との責任分担関係及びJAXA(ジャクサ)のプロジェクトチームに付与される権限と責任の範囲が明確になっているかについて評価して下さい。
評価根拠のコメント
【妥当】
- 実施体制が、設定された目標の達成に対し的確である。
- 利用機関の意見、要望を反映した開発体制として頂きたい。
- 衛星バスとミッション機器を包括したプライム制の契約であるが、新規性の強いミッション機器に関しては、専門のJAXA(ジャクサ)クルーが詳細に亘って監督指導する体制となっており、妥当な体制である。
- 実施体制に関して、外部機関との全体的な関係、利用研究機関との関係、JAXA(ジャクサ)内でのGCOM-C1プロジェクトの体制、衛星開発企業との関係などは、的確に立案されていると認められる。
なお、JAXA(ジャクサ)内での実施体制に関して、GCOM-C1プロジェクトとGCOM-W1プロジェクトとの繋がりが、現段階では、見える形で示されていない。GCOM-C1がスタートするに当たっては、GCOMプロジェクト全体の中で、GCOM-W1とGCOM-C1との連携を体制上どのように具体化するかが課題であろう。
- 観測装置開発を含む衛星開発エンジニア、サイエンティストと、データを実際に利活用する各種研究センターなどの研究者との共同体制が準備されつつあるなど、打上げ後の観測・利用体制まで視野にいれており、実施体制は「妥当」と判断される。
- 本プロジェクトの実利用面での効果が益々促進されるように、関係利用機関との調整を一層積極的に進めて頂くことを願う。
- 大気圏・陸域圏・海洋圏・雪氷圏における各利用機関がどのような研究に役立て、実利用ではどのような展開が図れるのか、JAXA(ジャクサ)内で体制も明確となっている。
- GCOM-C1始めとする地球観測衛星では膨大なデータがえられ、その有効利用については適切な組織・実施体制がとられていると理解しているが、国際的利用も含め、より多くの機関・研究者が利用するよう、またデータ利用が制度的、技術的にも容易になるようなお一層、努力を期待したい。
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【概ね妥当】
- どうしても、結果をだす、サイエンチストの体制が弱いように思われる。研究公募の発出、サイエンスチームの組織化など、結果をだすところの体制を強化してもらいたい。
- 外部機関との関係、利用研究機関との関係、JAXA(ジャクサ)社内での実施体制、衛星開発企業との責任分担は、本プロジェクトに設定された目標の達成に対し概ね的確なものと判断できる。
- 衛星開発企業との責任分担の設定は妥当である。データ統合・解析システムの共同開発、データ利用機関等との実施体制も適切であると判断するが、十分な利用成果を創出するため、現在、調整・協議状況にある利用研究機関との綿密な調整を望みたい。
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5.その他
以下の項目については、「開発」移行段階で評価するものですが、「開発研究」移行段階の状況を確認し、「開発研究」に向け配慮すべき事項、助言等があれば記載願います。
(1)システム選定及び基本設計要求
システム(衛星を実現する技術的な方式)の選定及び基本設計要求(基本設計を固めるに当たっての骨格的な諸条件)の評価の際には、以下の点に着目することとしています。
- )関係する技術の成熟度の分析
- )コストも含めた複数のオプションの比較検討
- )システムレベル及びサブシステムレベルにおける、新規自主開発、既存技術の活用(外国調達に関しては、信頼性確保の方法含む)の適用方針
上記においては、国内技術のみでなく、海外技術も検討の対象に含みます。
(2)開発計画(スケジュール、資金計画、設備の整備計画等)
(3)リスク管理
主要な技術課題、プロジェクト、プログラムの観点におけるリスク管理の考え方
助言等のコメント
(1)システム選定及び基本設計要求
- 可視光領域のCCDは我が国の得意分野であるが、赤外領域の開発能力は殆ど無いと言われている。従ってSGLI用のCCDを輸入に頼ると言う選択は現プログラムとしては妥当な選択であるが、将来的には赤外領域のCCD技術は重要な分野では無いかと思われる。長期構想に基いた開発ができないものであろうか。
- GCOM−W1と可能な限り共通化を図っていることは評価できる。
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(2)開発計画(スケジュール、資金計画、設備の整備計画等)
- GCOM-WとGCOM-Cの第1期から第3期までの各プロジェクトで想定されている資金計画の流れ全体を示してもらえると、GCOMミッション全体としてのコストへの取り組み姿勢がわかりやすくなると考える。
- 開発資金は、打ち上げまでの費用を明記しているが、その後も当然予算措置が必要であり、打ち上げ後も含めた全体費用の概算も参考として明記すべきではないか。
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(3)リスク管理
- 全地球規模での観測であり、観測期間の空白が大きな問題になる可能性がある。GCOM−W打上げ時期、欧米の各観測衛星打上げ時期との関係でスケジュール管理が重要となって来ると思われる。この点を充分注意し開発を進めて欲しい。
- プロジェクト全体のリスク管理の徹底のため、企業側と一体となった体制の構築を望みたい。
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