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5.評価実施のための原則

(1) 評価システム(図−2参照)

 宇宙開発プロジェクトは、基礎的研究からプロジェクトの目的・目標・開発方針等を固めるまでの「研究」、システムの基本設計要求を固めるまでの「開発研究」、基本設計から打上げまでの「開発」、及び打上げ後の「運用」の4つのフェーズから構成されている。
 宇宙開発委員会においては、研究と開発研究の2つを企画立案フェーズとして定義し、開発と運用を実施フェーズとして定義する。

 このうち、宇宙開発委員会において実施する評価は、基本的に企画立案フェーズにおけるフェーズアップのための評価と、プロジェクトの実施フェーズ終了時における成果に関する評価である。(これらをそれぞれ事前評価及び事後評価と呼ぶ。)
 フェーズアップのための評価は、そのプロジェクトの開発の進め方により、それを実施すべき時期が異なることから、2回以上に分けて実施されることも考えられるが、実施フェーズに移行するまでには、本指針で示された評価が完了されていなければならない。

 また、実施フェーズの期間中に行われる評価については、環境条件が大きく変化した場合に限り実施する。(これを中間評価と呼ぶ。)

 事前評価の場合はその結果により当該プロジェクトの着手についての判断がなされる。また、中間評価の場合はプロジェクトの継続、変更及び中止が判断される。
 我が国において、相当額の経費を使った段階でのプロジェクトの大幅な変更や中止が行われることは稀であった。しかし、今後は厳しい財政状況をも踏まえ、真に有効な資源配分が確保されるよう、当該プロジェクトをそのまま継続することによる以後のコストと、成果の見通しにより厳格に判断することが必要である。言い換えれば、評価時点においては、それまでに研究開発に使われたコストが多大であったとしても、評価の判断に影響を及ぼすべきではない。

 さらに、中間評価が実施される場合については、プロジェクトの着手に関する判断のみならず、何故中間評価が必要となったのかということを分析し、必要があれば、事前評価システムの見直しに反映させることが必要である。

(2) プロジェクトの企画立案フェーズの評価(事前評価)

 この段階での評価の目的は、研究から開発研究あるいは開発へのフェーズアップ、又は開発研究から開発へのフェーズアップの妥当性を判断し、助言することであり、次に従って行う。

  1  評価主体
 実施着手前段階での評価は、評価の客観性や信頼性を確保するために、第三者評価として実施されることが必要である。第三者評価の評価主体は宇宙開発委員会であり、評価者の選定を含む評価規範は宇宙開発委員会により決定される。

2  評価項目
 事前評価においては、次の項目に関する評価が行われることが必要であり、(注)の項目は、企画立案フェーズの早い時期に評価を行うことが望ましい。

  a. プロジェクトの目的(プロジェクトの意義の確認)(注)
 「我が国における宇宙開発利用の基本戦略」及び「宇宙開発に関する長期的な計画」において規定されている我が国における宇宙開発利用全体の意義、目標及び方針などを踏まえ、同計画は、JAXA(ジャクサ)の業務分野毎に、当該分野において当面重点的に取り組む業務の目標と方向(その分野において、どのような業務を、どのような方向で、どのような狙いをもって)を、「(重点的に取り組むプログラム)」として規定している。
 提案されるプロジェクトの目的(そのプロジェクトが成し遂げようとする任務)が、上に言及した意義等を踏まえ、プログラムに規定されているところに照らし、いかに的確に詳細化、具体化しているものであるかを評価する。

b. プロジェクトの目標(注)
  1)提案されるプロジェクトにおいて設定された目標が具体的に(何を、何時までに、可能な限り数値目標を付してどの程度まで)明確となっているか、2)その設定された目標が設定された目的に照らし、要求条件を満たしているかを含め的確であるか、3)その目標に対する成功基準が的確であるかを評価する。目標が複数設定される場合にはそれらの優先順位及びウェイトの配分が的確であるかを評価する。

c. 開発方針(注)
 開発活動全体を律する基本的な考え方ないし方針が設定された目標に照らして的確であるかを評価する。
 企画立案フェーズの早い時期に評価を行う場合は、主としてプロジェクトが実施フェーズに移行するまでに達成しておくべき事項が明らかになっているかを評価し、実施フェーズへの移行時にそれらの事項が達成されていることを確認する。
 なお、衛星開発プロジェクトにあっては、「衛星の信頼性を向上するための今後の対策について」(平成17年3月18日 宇宙開発委員会推進部会)で示された考え方に留意する。

d. システム選定及び基本設計要求
 システム(衛星やロケットを実現する技術的な方式)の選定及び基本設計要求(基本設計を固めるに当たっての骨格的な諸条件)が設定された目標に照らし的確であるかを評価する。
 評価に当たっては、特に次の点に着目する。
  1 関係する技術の成熟度の分析が行われ、その結果が踏まえられているか
2 コストも含めて複数のオプションが比較検討されているか
3 システムレベル及びサブシステムレベルで、どの技術は新規に自主開発を行い、どの技術は既存の成熟したもの(外国から調達するものに関しては、信頼性確保の方法も含めて)に依存するか、という方針が的確であるか
 なお、上記諸点の検討においては、国内で実現可能な技術のみでなく、海外で開発中の技術をも検討の対象に含める。
 また、客観性・透明性を高めるべく、システムの選定の根拠となる情報をできる限り公表する。

e. 開発計画
 スケジュール、資金計画、実施体制及び設備の整備計画などの開発計画が設定された目標に照らし的確であるかを評価する。
 特に、共同開発機関や関係企業との責任分担関係及びそのプロジェクト遂行の母体となるJAXA(ジャクサ)のプロジェクトチームに付与される権限と責任の範囲が明確になっているかについて評価する。

f. リスク管理
 宇宙開発プロジェクトは、一般的に高いリスクを伴うことから、プロジェクトのあらゆる局面にわたって入念な、そして可能な限り定量的なリスク評価(リスクの摘出・同定とそれがどの程度のものかの評価、リスク低減のためのコストと成功基準との相対関係に基づく許容するリスクの範囲の評価)とその結果に基づくリスク管理が必要とされる。特にシステムの信頼性に関するリスク評価においては、その時点で最も適切な手法を積極的に活用することが必要とされる。
 上述のようなJAXA(ジャクサ)において行われるリスクの評価と管理について、採られた評価の手法、プロジェクトの初期段階で抽出された開発移行前に処置すべき課題への対処の状況、実施フェーズ移行後に処置する課題に対する対処の方向性が的確であるかを評価する。
 なお、リスクを低減するための方法として、全てのリスクをそのプロジェクトで負うのではなく、プログラムレベルで、他のプロジェクトに分散し、吸収することも考慮して評価する。

(3) プロジェクト実施フェーズでの評価(中間評価)

 この段階での評価の目的は、
  1   環境条件が企画立案フェーズから大きく変わった場合、プロジェクトの目標の妥当性などを判断し、助言すること
2 研究開発が予定どおり進んでいるかについて、設定したマイルストーンをもとに確認し必要な助言をすること
である。
 なお、環境条件の変化として取り上げるべき条件としては、
  a. 宇宙開発プロジェクトの意義に基づく要求条件が企画立案フェーズの状況から変化して、実施着手前評価での前提条件が妥当でないことが明らかとなった場合
b. 当初想定したスケジュールを、リスク管理や利用可能な資源の観点から大幅に変更せざるを得ない場合
が想定される。

 中間評価は次に従って行う。

  1  評価主体
 実施フェーズにおける評価は、環境条件が大きく変わった場合に、評価の客観性や信頼性を確保するために、第三者評価として宇宙開発委員会が実施する。

2  評価項目
 事前評価にて実施した評価項目に則して評価を実施する。

3  中間評価の結果
 プロジェクトの中間評価を行った結果、計画に大きな変更を生じる事態に至った場合には、他のプロジェクトに影響することがあり、プロジェクトレベルにとどまらず、プログラムレベルの変更として評価する必要がある。

(4) プロジェクトの実施フェーズ終了時での評価(事後評価)

 この段階での評価の目的は、
  1   実施されたプロジェクトの成果をその効率性も考慮して判断すること
2 プロジェクトの成果の今後の研究開発計画への影響や、波及効果について判断すること
であり、次に従って行う。
 なお、事後評価の結果を将来計画にフィードバックすることが肝要である。

  1  評価主体
 研究開発終了フェーズでの評価は、評価の客観性や信頼性を確保するために、第三者評価が実施されることが必要である。第三者評価の評価主体は宇宙開発委員会であり、評価者の選定を含む評価規範は宇宙開発委員会により決定される。

2  評価対象
 プロジェクトによっては、個々のプロジェクトとして評価するよりも、プログラムと関連づけて複数のプロジェクトを評価対象とすることが適当な場合もある。
 このため、プロジェクトの体系的な位置付けを考慮して、どのような単位(単独のプロジェクトか、プログラムと関連づけた複数のプロジェクトか)を評価の対象とするのかを十分吟味の上、事後評価を実施することが必要である。

3  評価項目
a. 成果
 研究開発の成果は、アウトプット(結果)、アウトカム(効果)、インパクト(波及効果)の3つに分類することができる。
 アウトプットとは、具体的にどのような結果が得られたか、プロジェクトの目標がどの程度まで達成されたのか、という直接的な成果である。これに対して、アウトカムとは、アウトプットからもたらされた効果・効用であり、プロジェクトの目的に照らした本質的内容についての成果である。
 また、インパクトは、意図していた範囲を超えた、経済的、科学技術的、社会的な影響であり、間接的成果に相当するものである。
 事後評価においては、これらの3つの指標を明確に区分し、それぞれに関して、適切な時期にコストを含んで投入されたリソースとの関係を明らかにする必要がある。
 ただし、アウトカム・インパクトについては、その発現に時間を要する場合があることから、プロジェクト終了直後における事後評価においては、上位目標に位置付けられるプログラムへの貢献等へどの程度期待されるかについて評価することが適当であり、その時点で評価の定まらない事項については、成果の活用状況が把握できた時期に改めて評価することもあり得る。
 なお、研究開発の経済的な波及効果については、産業連関分析などを積極的に利用して、把握することが望ましい。また、科学技術的・社会的な波及効果については、プロジェクトの今後の研究開発計画に対する影響などを基に、把握することが必要である。

b. 成否の原因に対する分析
 プロジェクトの成果の如何に関わらず、その過程における成否の要因についての分析を実施する必要がある。

c. 効率性
 プロジェクトの効率性とプロジェクト実施体制の2つの観点から評価を行うことが必要である。
 プロジェクトの効率性については、計画された資源やスケジュールからのずれをもとに、効率性を定義し、できる限り定量的に把握する。
 また、プロジェクト実施体制については、これが機能し、プロジェクトに対してどのように貢献を果たしたのかを把握する。

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