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2 .SRB−Aの設計変更について

 SRB−Aについては、調査部会報告書に示される、SRB−Aの設計変更に対する基本的考え方を踏まえ、機構がSRB−Aの担当メーカ(株式会社アイ・エイチ・アイ・エアロスペース)及びシステム担当メーカ(三菱重工業株式会社)と共働で作成・提示した設計変更案について調査審議を行った。

1. 機構が作成・提示した設計変更の基本的方向性と設計変更案
  機構は、SRB−Aの設計変更について、以下のとおり、基本的方向性及び設計変更案を当専門委員会に提示した。

  (1) 機構が作成・提示した設計変更の基本的方向性
    1 SRB−Aの設計変更にあたっては、信頼性向上を第一として、当面は、H−2Aロケットの打上げ能力を下げることで、局所エロージョンの発生を極力排除したSRB−A改良型を開発する。
    2 また一方で、将来に向けて、一旦下げたH−2Aロケットの打上げ能力を回復するため、局所エロージョンの発生に対する顕著な低減効果の対応策を確立して、信頼性をさらに向上させた新たなSRB−Aの開発を目指す。

  (2) 機構が作成・提示したSRB−A改良型に係る設計変更案
     機構は、SRB−A改良型のノズル部の設計変更について、機構における比較検討の結果等を踏まえ、燃焼圧力の低減、ベル型ノズル化、スロートインサート(3DC/C複合材)範囲の拡大及びライナアフトの板厚増加等を内容とする設計変更案(図1参照(PDF:58KB))を当専門委員会に提示した。
 また、導爆線及び電気配線の艤装については、機構は、SRB−A内において、分離用導爆線及び電気配線の2系統をメイントンネルとサブトンネルに分けて艤装を行うという設計変更案(図2参照(PDF:38KB))を当専門委員会に提示した。

  1) SRB−A改良型のノズル部の設計変更案

    1 燃焼パターンの見直し
       機構は、複数の候補を用いて、SRB−Aの燃焼パターンについて、打上げ能力、地上風制約、構造強度、環境条件、制御性、分離条件を評価項目とした比較検討を実施した。その結果、打上げ能力及び打上げ時の地上風制約に関する適否により、平均燃焼圧力を低下させて燃焼時間を延長させる燃焼パターンを採用することとした。

    2 ノズル形状の見直し
       機構は、ノズル形状の見直しに当たっては、調査部会報告書を踏まえ、局所エロージョンを加速させる層間剥離を有効に防止するため、ノズル開口部の初期立ち上がり角を増加させるベル型ノズルを採用することとした。
 その際、初期立ち上がり角を増加したベル型ノズルで行った実機サイズモータ地上燃焼試験の2回の結果(15年4月、16年2月)等について、以下の評価項目により検討を行った。

       a) 局所エロージョンによる表面後退量の低減
       b) 炭素繊維強化プラスチック(以下「CFRP」という。)積層面と加熱面のなす角度の増加
       c) SRB−A噴流ガスの第1段エンジン(LE−7A)への影響
       d) ライナアフトの板厚増加に対する制約
       e) 技術データの蓄積

     機構においては、以上の検討の結果、初期立ち上がり角の増加によって適切な効果が得られていることを確認した。なお、SRB−A噴流ガスの第1段エンジン(LE−7A)への影響の度合い及びライナアフトの板厚増加に対する許容範囲により、初期立ち上がり角の増加の程度の小さいベル型ノズルを採用することとした。

    3 スロートインサート(3DC/C複合材)範囲の拡大
       調査部会報告書に示されるとおり、スロートインサートを下流側に広げることにより、CFRP製ライナアフトの表面後退量の低減を図ることができる。しかし、3DC/Cの端部が薄くなることから、機構は、部材に欠けや剥離が発生するリスクに係る検討を実施した。その結果、機構は、現在まで実施してきた実機サイズモータ地上燃焼試験の結果(15年4月、16年2月)等から、問題となるような端部の欠損は発生しないと判断し、スロートインサート範囲を下流側に拡大することとした。

    4 ライナアフトの板厚設計の見直し
       機構は、SRB−A改良型のノズル設計において、板厚設計における十分な信頼性の確保のため、CFRPの表面後退について最悪量モデルを作成し、これに板厚余裕を加えた新たな板厚設計基準を設定し、これに基づきライナアフトの板厚を増加することとした。
 なお、ベル型ノズルでは、局所エロージョンを加速させる層間剥離が有効に防止されると考えられるが、この最悪量モデルにおいては、このような層間剥離が発生した場合の影響を最大限考慮している。

    5 製造・検査の改善
       機構は、以下のとおり、製造・検査の改善を行うこととした。
       - CFRPの材料特性の安定化のため、CFRP原材料と製品の材料特性管理を強化する。
       - CFRP及び3DC/C部材の欠け等の可能性を一層低減するため、それらの欠陥に係る検査を強化する。
       - ライナアフトの板厚増加に伴い、2つのCFRP部材を接着する2重構造ライナとすることについて、CFRP部材と金属ライナとの接着も含めて、工程毎に非破壊検査を行う。

  2) 導爆線及び電気配線の艤装に係る設計変更案

     機構は、導爆線及び電気配線の艤装について、H−2Aロケット6号機の打上げ失敗の原因究明の結果を踏まえ、ミッションの不達成に繋がる連鎖事象を極力排除し、冗長構成やクリティカルな部品等を分離して配置するという観点から、設計変更案を作成した。
 具体的には、機構は、SRB−A内において、分離用導爆線及び電気配線の2系統をメイントンネルとサブトンネルに分けて艤装を行い、それらを分離して配置することによってリスクの低減を図ることとした。また、指令破壊系機器については、H−2Aロケット6号機において燃焼ガスが漏洩した後部アダプタ内から、前部アダプタ内に移設することとした。
 なお、第1段機体から前方ブレスまでの導爆線及び電気配線の艤装位置については、機構は、以下の2案の比較検討を行った結果、下記b)案のように液体水素タンク上への艤装については、空調やヒータ等による低温環境等への保護対策が必須となり、これらに係るリスクが新たに発生することから、従来通り、下記a)案のようにブースタ内のトンネルを経由することが適切であるとした。

     a) 第1段機体から後方ブレスを経由してブースタに入り、ブースタ内のトンネルを経由して前部アダプタ内機器及び前方ブレスに至る。
     b) 第1段機体の液体水素タンク上に設置するトンネルを経由して前方ブレスに至り、前方ブレス経由で前部アダプタ内機器に至る。


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