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温室効果ガス観測技術衛星プロジェクトの評価報告書

平成14年10月25日
宇宙開発委員会 計画・評価部会・温室効果ガス観測技術衛星プロジェクト評価小委員会

要旨

 「気候変動に関する国際連合枠組条約」(平成4年6月)に始まり、我が国が議長国として採択した「京都議定書」(平成9年12月)を経て、平成13年6月には「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第三次評価報告書」がとりまとめられた。同報告書は多数の国際科学者からの情報に基づき、
 20世紀において、平均気温の上昇(0.6ド)、雪氷面積の減少(10パーセント)、平均海面水位の上昇(0.1〜0.2メートル)が生じたこと、
 人間活動の結果、大気中の温室効果ガス及び温暖化を促す放射強制力が増加を続けていること、
を結論している。そして更に、
 21世紀を通して、人間活動が大気組成を変化させる、
と予測している。
 かかる状況下において、宇宙開発委員会は「我が国の宇宙開発利用の目標と方向性」(平成14年6月26日)を表し、先導的基幹プログラムとして位置付けられるものを重点的に推進する方針を打ち出した。この中では、衛星による地球観測を先導的基幹プログラムの一つとし、プログラムを達成するためのミッションの一つとして温室効果ガスの観測を提示した。さらに、環境分野における中長期的なシナリオとして「地球温暖化・水循環観測プログラムの設定について(中間とりまとめ)」(平成14年10月23日)を策定し、利用者のニーズに対応した具体的な目標を設定した。
 宇宙開発事業団(以下、NASDA(ナスダ)という。)は、以上の国内外の状況を踏まえ、先導的基幹プログラムの一つである「地球温暖化・水循環観測プログラム」の一環を成す「温室効果ガス観測ミッション」を遂行するため、「温室効果ガス観測技術衛星プロジェクト」を提案している。本プロジェクトは、NASDA(ナスダ)と環境省による開発と利用が一体となった共同開発プロジェクトとして、また、日本−欧州宇宙機関(以下、ESAという。)行政官会合における協力案件の一つとして実施が計画されていることから、NASDA(ナスダ)が中心となって開発する衛星・観測システムのみを評価範囲とするばかりではなく、環境省が中心となって実施するデータ処理・利用やESAが開発した観測装置とのインターフェイスについても配慮して評価を行った。
 評価の方針は、宇宙開発委員会評価指針特別部会報告書「宇宙開発に関するプロジェクトの評価指針」(平成13年7月18日)に則って行われた。

 「温室効果ガス観測技術衛星プロジェクト」に対する評価を次にまとめる。
1 プロジェクトの掲げる意義は、
京都議定書を踏まえ、気候変動枠組条約において早急な対応が求められている温室効果ガスの分布を測定する、
衛星観測データと地上観測データを組合せ、解析モデルにより、温室効果ガスのネット吸収排出量の推定をより確かなものにするための先導的観測ミッションを遂行する、
衛星及び観測システム技術を開発し、軌道上実証、観測を行い、更なる発展につなげる、
  であり、中長期的国家戦略の一環として地球環境に課せられた喫緊の課題に科学的検証をもって応えるものである。
2 プロジェクトの目標及び優先度は
温室効果ガス観測技術衛星を開発し、平成19年度(2007年度)を目途に打ち上げる、
京都議定書の第1約束期間、第2約束期間を踏まえ、2008〜2012年において衛星観測システムにより、二酸化炭素を主とする温室効果ガス及びオゾンの濃度分布、気温・気圧の計測を行う。併せて、ESAから要請を受けた成層圏の風速測定を行う、
  としており、先に設定した意義に適うものである。計測システムについては、「研究」・「開発研究」段階の間に科学者・利用者からなる研究推進のための委員会を組織化し、鉛直積算量計測を含む計測法オプション及び計測の数値目標については、十分な検討を行うべきである。
3 開発方針・計画としては、全システムの信頼性確保を第一とし、バスシステムについては、ミッションの継続性を見据えたモジュール化、標準化が配慮されている。地球環境は複雑な自然現象であり、人間活動の影響を見極める観測データが求められる。その信頼度を高めるべく、観測システムに用いられる計測法については、上述の委員会などによる科学的根拠の精査を要する。
4 実施責任体制、リスク管理、資源配分については、プログラム、プロジェクトの各階層とその責任者が明示され、インターフェイスが適正に整っている。今後は、NASDA(ナスダ)、環境省の連携を密にして、科学者・利用者からなる研究推進のための委員会などの組織化、費用対効果に留意した計測法オプション検討、観測成果の信頼性確保に向けた資源の重点配分、無理のない開発計画立案を実施すべきである。また、今後の中長期展望を踏まえた地球環境観測体制の連続性、継続性も配慮すべきである。

  以上の判定及び今後に向けた示唆に基づき、本評価小委員会は「温室効果ガス観測技術衛星プロジェクト」が「開発研究」段階に進むことが妥当であると判断した。
 なお、24の事項は、「開発」段階に入る前に宇宙開発委員会で行われる評価に際しての重要な視点となることを申し添える。



−目次−

1.   はじめに

2.   適用・参考文書

3.   評価の目的

4.   評価実施要領

5.   評価結果
 5.1   意義の確認
 5.2   目標及び優先度の設定
 5.3   要求条件への適合性
 5.4   開発方針
 5.5   基本設計要求の妥当性及びシステムの選定
 5.6   開発計画
 5.7   リスク管理
 5.8   実施責任体制
 5.9   資源配分・分担
 5.10   総合評価

付録1   評価票(PDF:33KB)
付録2   質問と回答
付録3   評価票の集計および意見

参考1   温室効果ガス観測技術衛星プロジェクトの事前評価について
参考2   温室効果ガス観測技術衛星プロジェクト評価小委員会 開催経緯
参考3   温室効果ガス観測技術衛星プロジェクトの評価実施要領
参考4   「温室効果ガス観測技術衛星プロジェクト」評価について

-- 登録:平成21年以前 --