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4.   「みどり2」の運用概要
(1) 打上げ後の運用状況
 「みどり2」は、平成14年12月14日10時31分(日本標準時、以下同じ。)に種子島宇宙センターよりH−2Aロケット4号機により打ち上げられた。
 その後、すべての初期機能確認を平成15年4月14日までに完了し、定常観測運用が開始されて以降、10月25日の運用異常に至るまで、校正・検証段階として24時間の全球観測運用を継続し、観測画像をインターネット等に公開するとともに、観測データの校正・検証や処理アルゴリズムの更新等を行った。

(2) 地球観測運用によって得られた成果
 「みどり2」搭載の5つのミッション機器は、運用断念に至るまでの10ヶ月間に良好な観測データを取得している。
 観測データにより得られた成果としては、高性能マイクロ波放射計(AMSR)により、広域の定量観測が難しかった土壌水分の観測、全天候下での全球の海面温度観測(世界で唯一)及び水循環の定量観測を行ったことがあげられる。歴代のマイクロ波放射計の中でも最高の空間分解能を持つAMSRの観測データは、数値天気予報モデルを通じて、毎日の天気予報の精度向上に役立つことが確認された。AMSRによって得られた成果は、図1−4−1に示すとおりである。
 また、グローバル・イメージャ(GLI)の観測により、1キロメートル解像度では世界初となる海上・陸上両方のエアロゾルを広域で捉えることに成功し、気候変動に大きく影響を与える雲・エアロゾルに関するデータセットを作成した。また、雪氷の不純物、粒径分布を求め、高緯度地域の融雪に関係する世界初のデータセットを作成した。GLIによって得られた成果は、図1−4−2に示すとおりである。
 さらに、衛星間通信技術の習得として、日本と直接交信できない地域で「みどり2」が撮影した画像データを、静止軌道上のデータ中継技術衛星(DRTS)「こだま」を中継して、機構地球観測センター(埼玉県鳩山町)へリアルタイムで伝送することに成功し、Ka帯周波数衛星間通信技術を利用したデータ中継機能を実証することができた。Ka帯周波数衛星間通信によって得られた成果は、図1−4−3に示すとおりである。
 この他、将来の観測センサの高性能化への対応や、観測技術の発展を目的として搭載した高精度姿勢軌道制御系や光ディスクデータレコーダ等の新規開発機器(技術)の軌道上実証を行い、今後の地球観測ミッション等に反映できる技術や知見を得ることができた。

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