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2. H−2Aロケットの概要
2−1  H−2Aロケットの概要
 H−2Aロケットは、約4トンの衛星を静止トランスファー軌道に打ち上げる能力を持つ2段式ロケットであり、第1段及び第2段に液体酸素と液体水素を推進薬としたエンジンを使用している。また、第1段補助ロケットとして固体推進薬を使用した大型の固体ロケットブースタ(SRB−A)及び固体補助ロケット(SSB)を採用している。
 第1段エンジン(LE−7A)は、H−2ロケットの第1段エンジン(LE−7)を改良し、低コストと高信頼性を目指した2段燃焼サイクル式の大型エンジンである。また、第2段エンジン(LE−5B)は、それまでの第2段エンジン(LE−5A)を信頼性及び安全性向上等を目的に一部改良したものである。SRB−Aは、ポリブタジエン系推進薬を使用した大型の固体ロケットブースタである。
 また、SSBは、ポリブタジエン系推進薬を使用した固体補助ロケットであり、打ち上げる衛星の要求に応じて、2本または4本が備えられる。H−2Aロケットの形状及び主要性能諸元は、それぞれ図1−2−1及び表1−2−1に示すとおりである。

2−2  H−2Aロケットの開発
 H−2Aロケットは、H−2ロケットの成果を的確に反映し、宇宙ステーションへの補給等、21世紀に向けて多様な需要に応えられる輸送手段として、低軌道に10トン(静止トランスファー軌道に4トン)までの打上げ能力を持ち、大幅なコストの低減を目標(「宇宙開発政策大綱」(平成8年1月宇宙開発委員会))に、機構が平成8年度に開発に着手した。
 この目標を実現するため、H−2Aロケットでは、大幅な部品点数の削減等による信頼性の向上及び作業効率の向上、製造作業の効率化、打上げ作業の効率化などを行い、大幅な打上げコストの低減を図っている。

 H−2Aロケットの開発中に、H−2ロケット5号機(平成10年2月)及び8号機(平成11年11月)の打上げ失敗を受け、H−2Aロケットの打上げに万全を期すため、H−2Aロケットの打上げ前段階における技術評価を行い、技術的事項に関する全般的な助言を与えることを目的に、宇宙開発委員会技術評価部会において調査審議を行った。また、ロケット関連技術の専門家から構成される技術評価部会H−2Aロケット評価専門家会合(以下「専門家会合」という。)において、エンジン推進系、機体構造系及び誘導制御系の3つの分野について、調査審議を行った。これらの調査審議の結果は、技術評価部会において、「H−2Aロケットの打上げ前段階における技術評価について(報告)」(平成12年12月)としてとりまとめている。
 さらに、H−2Aロケットの機能及び性能を評価するため、試験機1号機及び2号機の打上げ結果について、宇宙開発委員会計画・評価部会H−2Aロケット試験機評価小委員会において調査審議を行い、「H−2Aロケット標準型試験機プロジェクトの評価報告書」(平成14年5月)としてとりまとめている。


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