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H-ⅡAロケット6号機打上げ失敗の原因究明及び今後の対策について

平成16年6月9日
宇宙開発委員会

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H−2Aロケット6号機打上げ失敗の原因究明及び今後の対策について


平成16年6月9日
宇宙開発委員会

 宇宙開発委員会では、H−2Aロケット6号機の打上げ失敗に関し、河村文部科学大臣から「専門的見地から徹底的な原因究明をするように」との指示を受け、これまで調査部会及び特別会合において調査審議を行ってきたが、本日その報告を受け、委員会として了承した。
 本委員会としては、今回示された技術・体制の両面での改善事項を踏まえ、宇宙航空研究開発機構(JAXA(ジャクサ))における信頼性向上の取組みが確固たるものとなるよう、今後の調査審議の一層の充実に努めてまいりたい。


(H−2Aロケットに係る取組みについて)
 H−2Aロケットの打上げ再開に向けて、JAXA(ジャクサ)では、ロケット全体の再点検を行っているが、設計の基本にまで遡り、疑わしい事項についてはそのリスクを評価し、必要な対策を講じるとともに、発生機構(メカニズム)が解明されていない要因は極力取り除くとの方針の下で、万全の措置を講じる必要がある。

 また、固体ロケットブースタについては、地上燃焼試験により十分なデータを取得した上で設計変更を行うとともに、今回の事故の原因となったと考えられる局所エロージョンについては、データの取得など基礎的な実験等を継続して行うことにより、定量的な評価が可能となるように努める必要がある。

(責任分担体制等について)
 技術的な課題だけでなく、失敗の背後にある体制・システムの問題にも対処し、総合的に信頼性を向上させていくことが必要である。現状のJAXA(ジャクサ)・製造企業の責任分担体制には、信頼性確保に潜在的な弱さがあり、JAXA(ジャクサ)の能力・資源を開発に関する役割・業務へ集中するとともに、製造企業が能力に見合った役割・責任を負うため、プライム制へ移行することによって、この弱さを克服していく必要がある。また、JAXA(ジャクサ)において広く外部専門家の能力を活用して、第三者的な冷静な目で信頼性を確保する組織を設置することにより、JAXA(ジャクサ)の体制を強化する必要がある。
 この特別会合報告書での提言及び助言は、JAXA(ジャクサ)と製造企業の体制の具体的な改革事項について述べられており、速やかに実行される必要がある。
 宇宙開発委員会としても、JAXA(ジャクサ)における提言の実施状況をフォローアップしてまいりたい。

(今後の開発の進め方について)
 宇宙開発は、先進的で高度な技術開発が求められる分野である。挑戦的な新技術開発には、当初予見し得ない事象による失敗のリスクが常に内在していることを、改めて十分に認識し、そのリスクを徹底して下げる努力を継続し、信頼性を向上させなければならない。
 このため、開発の企画構想段階から、官民が連携・協働体制を構築し、イコール・パートナーシップの下で宇宙開発を進めることが重要である。また、JAXA(ジャクサ)と製造企業の間だけでなく、製造企業相互間においても情報共有をより一層進めるとともに、徹底した問題解決志向でオープンに問題点を議論する風土が形成されることを強く期待する。

 これまでの我が国の宇宙開発では、新たな技術の採用による高性能の追求に偏りがちな側面が見られた。今後は、各プロジェクトの要求条件(ミッション)について、意義・目標と技術上のリスクとのトレードオフを一層厳密に評価するとともに、性能と品質・信頼性を両立させることを第一義として開発を進めていく必要がある。
 さらに、宇宙開発では、地上と違い修理が困難であることから、一部の部品等の不具合が全システムの機能喪失につながらないようにするために、重要なサブシステムは冗長化したりするなど、重要な機能を最後まで維持できるような高信頼性システム設計の構築に努める必要がある。

 我が国においては、打上げ機会が少ないからこそ、より高い信頼性が求められる。このため、地上試験や解析を充実させ、飛行実証によるデータを含めた基礎データを蓄積し、確固たる基盤技術の獲得を進めるとともに、信頼性を高めるための手法等の充実に努める必要がある。

 なお、このような取組みを進めていくに際しても、何よりも重要なのは、宇宙開発に対する国民の支持である。この点については、宇宙開発に携わる関係者の一人一人が、社会に対する説明責任を果たし、国民の十分な理解を得るよう引き続き努力していくことが求められる。

(JAXA(ジャクサ)の取組みについて)
 JAXA(ジャクサ)においては、原因究明及び業務の進め方等の調査審議を通じて指摘された点について、確実に実行することを求めたい。JAXA(ジャクサ)設立の原点に立ち返り、旧3機関統合による総合力を発揮するとともに、国内外の関係者の協力を得つつ、一日も早く、我が国の宇宙開発の中核機関として前進する姿が明らかにされるように希望する。

 最後になるが、今回の調査審議に当たっては、関係機関に多大の協力をいただくとともに、調査審議に当たられた調査部会及び特別会合の各委員には、御多忙にもかかわらず精力的に活動していただいた。ここに心から感謝の意を表したい。



別添1   H−2Aロケット6号機打上げ失敗の原因究明及び今後の対策について
別添2   宇宙開発委員会特別会合報告書

-- 登録:平成21年以前 --