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宇宙開発委員会

2001/07/16
宇宙開発委員会 評価指針特別部会(第6回)議事録


宇宙開発委員会 評価指針特別部会(第6回)議事録

1.日時 平成13年7月16日(月)
  10:00〜12:30

2.場所 文部科学省別館5階第2会議室

3.議題 (1) パブリックコメントの結果について
  (2) 関係者ヒアリングの結果及び宇宙開発におけるプロジェクト評価のための指針(案)への反映について
  (3) その他

4.資料 資料6−1 評価指針特別部会第5回議事録(案)
  資料6−2 「宇宙開発に関するプロジェクトの評価指針(案)」についての意見に対する対応(案)
  資料6−3−1 宇宙開発に関するプロジェクトの評価指針(案)に関するヒアリングの結果について(案)
  資料6−3−2 宇宙開発に関するプロジェクトの評価指針(案)
  参考1 The indirect economic effects of the European Space
    Agency's programmes(esaBR-63,April 1991)
  参考2 Evaluation oftheeconomic effects of largeR&D programmes
    :the caseoftheEuropeanspace programme
    (Research Evaluation,volume2,number1,April 1992)
  参考3 パブリックコメント意見

5.出席者    
  部会長 栗木恭一(宇宙開発委員)
  委員 五代富文(宇宙開発委員)
    井口雅一(宇宙開発委員長)
  特別委員 市川惇信、上杉邦憲、棚次亘弘、永安正彦、樋口清司、宮村鐵夫、山之内昭夫
  事務局 素川審議官、芝田宇宙政策課長、澤邊技術評価推進官

6.議事内容

宇宙開発委員会評価指針特別部会(平成13第6回)

平成13年7月16日(月)


 栗木部会長 

   おはようございます。皆さん、おそろいになりましたので、第6回の評価指針特別部会を開催いたします。
   前回の第5回から大分時間が経過しておりまして、前回、第6回の会合を6月中に1回予定しておりました。先生方に個別に御意見をお伺いしたところ、かなり意見も出尽くしたということでしたので、この時点で部会を開催するというのは中止させていただきました。6月13日の予定でしたけれど、スケジュールをあけていただいた先生方には大変御迷惑をおかけいたしました。お詫び申し上げます。
   その後、御検討いただきました指針(案)をもとに、6月中旬から7月初旬にかけまして、一般の方からのパブリックコメントならびに関係者、実施機関で実際にプロジェクトを担当している方々からヒアリングを実施いたしました。大変有意義な結果がありまして、、後でヒアリングの結果は、どのように、これを反映したかということは申し上げたいと思います。パブリックコメントの方は、文部科学省のホームページに6月14日から7月5日まで、評価指針(案)を掲載しまして、意見をお寄せいただきました。関係者ヒアリングは、今申し上げましたように、皆様方に送付したものと同じものをお送りしまして、これを持ち寄って、お一人ずつ伺いまして、計5名の方にお願いしました。これは6月28日から7月5日までの間に実施いたしました。
   以上、その結果についての御報告ならびに最終的な報告案というのが、今日の議題であります。まず1番目に、パブリックコメント及び関係者ヒアリングの結果について。2番目に、宇宙開発におけるプロジェクト評価のための指針(案)について、であります。

[事務局配付資料確認]

 栗木部会長 

   資料6−1については前回の議事録であります。何かお気づきの点等がありましたら、事務局の方にお知らせいただきたいと思います。

(1)パブリックコメントの結果について

   それでは、第1の議題に入ります。1番目の議題は、パブリックコメントの結果についてであります。これにつきましては、福田推進官の後に着任されました澤邊推進官に説明をお願いしたいと思います。
   これに関する質問につきましては、その次の(2)のヒアリング結果と指針(案)につきまして、私が説明した後、まとめてコメントあるいは質問等をいただきたいと思っております。

 澤邊推進官 

   先週7月10日付けで、福田の後任になりました澤邊と申します。よろしくお願いします。
   資料6−2「『宇宙開発に関するプロジェクトの評価指針(案)』について意見に対する対応案」というものと、参考3の「パブリックコメント意見」というものを御覧いただければよろしいかと思います。
   先ほど、部会長からもお話がありましたが、このパブリックコメントを6月から7月にかけて、意見募集をしまして、その意見に対する考え方及び対応というのを、この資料でまとめております。
   まず一番初めの1ですが、意見概要としましては、私企業にできないことをやるのが国と。無駄なコスト削減は当然だが、宇宙開発は縮小するべできはないと。資源のない日本にとって、技術こそが輸出できるものであり、世界に誇れるものということで、おおむね肯定的な意見が出されてまして、それに対する考え方及び対応というのは、評価システムを確立する目的というのは、宇宙開発プロジェクトを効率的かつ効果的に実施するために行うものであり、御懸念されているように宇宙開発を縮小するためのものではありませんと。我が国として必要な宇宙開発については、目標達成に向け、限られたリソースを効果的に投入することにより、確実な宇宙開発プロジェクトの達成を目指します、という考え方及び対応を書いております。
   2番目としては、資源の日本は、技術立国として生きるべきであると。不採算だから削るというより、その原因を議論すべきであると。そういう意見につきまして、当然、そのために、こういう評価指針特別部会を設けて議論をしているわけでして、こういう宇宙開発プロジェクトを評価するためのシステムを確立することとしたと。適正な評価を実施することにより、我が国にとって必要な研究開発を確実に実施することが可能となります、ということです。
   3番目としましては、評価指針案には、社会的観点からの評価方法が示されていない事実を受け、宇宙開発の国民に及ぼす心理的インパクトを数値化し、評価方法に盛り込むことを提案いたします、ということで、それに対する考え方及び対応でありますが、おのおのの宇宙開発プロジェクトによって、社会的な観点からの評価の視点が異なっておりまして、必ずしも同じ基準で社会的な観点からの評価が実施できるわけではありません。しかしながら、御指摘の趣旨を踏まえて、社会的な観点の中に、国民への影響という視点を追加するというものを、評価指針案の方に修正しております。
   次に4番目ですが、全体についての意見要望ということで、充実した事前評価の実施を評価すると。リスク評価については、ガイドラインを設けて行うこと、及び評価には経験のある宇宙開発技術者を加えることを要望ということで、それに対する考え方としましては、充実した事前評価を実施するために、宇宙開発委員会においては、個々の宇宙開発プロジェクトに対応して、評価委員会というものを設置するとともに、本評価指針案を踏まえて、事前に評価実施要領、個々のプロジェクトに対応して、その評価実施要領を定めるということを考えております。また評価者には、個々の宇宙開発プロジェクトに対応して、それぞれの分野の専門家が評価委員会の委員として参加してもらうことを計画しております。
   次のページですが、5ということで、3つの意見がありまして、1点目が、評価にあたってリスク等を極力定量化することが非常に望ましい方向であるが、広く理解を得られる宇宙開発におけるリスク指標を早急に明確化されたいと。これに対する考え方としましては、国民に対して、宇宙開発のリスクを、できるだけ限り定量的に説明する方向性は評価指針案に記述されたとおりであります。リスク管理については、システムとしてのリスク評価を実施することを明記するとともに、リスク要因に対する基本的考え方が提示されるように、評価指針案を修正いたしますと。
   2番目、研究開発という用語の見直しが必要と。それに対する考え方としては、研究開発という用語が一般的に用いられており、宇宙開発プロジェクトは、研究開発の中で実施されているものであることから、研究開発という用語は、そのまま用いることといたしたいということであります。
   3点目でありますが、中間評価の充実、強化が重要ということで、それに対する考え方としましては、中間評価の充実及び強化が重要であるとの御趣旨は理解しております。このため、評価指針案においては、環境条件が変化した場合には、宇宙開発委員会が第三者評価として、中間評価というのを実施することとしております、というふうにまとめております。資料の説明は以上であります。

 栗木部会長 

   今、澤邊推進官から説明のありました、この件でありますが、括弧で書きましたところは、既に訂正した個所を示しております。これは実は、この次のヒアリングを行ったときの結果にも、これは反映されておりまして、それと一緒にして再度、私の方から、具体的にどこだということは説明申し上げたいと思います。
   また、このパブリックコメントのNo.4でありますが、No.4の意見に対する考え方及び対応のところに、こちら側の対応として書きました右側の欄の上から4行目に、「事前に評価実施要領を定めることとしております」と。これも実は、後の案に訂正文として入っておりますので、これにつきましても、ヒアリングのときのコメントを反映したということで、後ほど説明いたしたいと思います。
   それから、No.5でありますが、1、2、3とありまして、2の研究開発という用語の見直しが必要ということでありますか、この研究開発という言葉、いわゆる大綱的指針の方でこういう表現がしておりまして、これを受ける格好で、特に宇宙開発というよりは、さらに一般的な意味のところには、こういう言葉を使ったということであります。これらのパブリックコメントのもとのオリジナルが、この参考3という資料に出ておりますので、No.1から5までが、どれに対応するかということは、これを参考に御覧いただきたいと思います。私は、これを読んだ感触では、意見の1、2、3と申しますのは、一般的な意見がかなり多く、どちらかというと、基本戦略にまで言及しているようなところがありました。そういうわけで、こちらも基本戦略の点は踏まえておりますが、評価指針と直接のかかわり合いはないので、当然、こういうことを踏まえているのだという書き振りにいたしました。
   意見の4番、5番が、特に宇宙関係の方から、実際のやり方について、いろいろな御意見をいただいたということで、これは御両省の意見も含めまして、後ほどのヒアリングの結果に反映した点が、参考にさせていただいた点が多かったかと思います。

(2)関係者ヒアリングの結果及び宇宙開発におけるプロジェクト評価のための指針(案)への反映について

   そういうわけで、やや後送りをしております幾つかの点につきまして、次の議題に入って説明を申し上げたいと思います。資料は、資料6−3−1「ヒアリングの結果」であります。それと資料6−3−2「評価指針(案)」。この2つをページを追いながら、見比べていただきたいと思います。なおかつ、直しましたところは、欄外に傍線を引き、なおかつ見え消しになっておりますので、前回から、どこをどう直したかというところを御覧いただけるかと思います。
   ヒアリングは5名の方に参加いただきまして、私ならびに前推進官の福田さんと一緒にこれを行いました。

   1番目のヒアリングに応じていただいた方は、本間さんで、ETS−8のプロジェクトマネージャーをやっておられる方です。
   指摘事項の1番でありますが、NASDAと外部機関との共同開発に関しても、外部機関との共同研究開発部分も評価に含むべきであると。御趣旨は、NASDAだけで、NASDAのプロジェクトというのは進んでいるわけではなくて、他機関と一緒に行っている幾つかの、かなりのプロジェクトがあります。そこも表現していただきたいと。評価指針の対象としていただきたいと。そういう意見でありました。これは、つきましては、本文の2ページであります。上の方のアンダーラインが引いてあるところでありますここをつけ加えました「(宇宙開発事業団が単独で実施するものだけでなく、他機関との協力により実施するものも対象)」としているというぐあいにいたしました。
   申し遅れましたが、このヒアリングに参加しておられる方は、こちらの委員会には出ておられないので、初めてこれを見るような感触で見ていただいたという意味で、この文意をどう取るかということにつきましても、大変いい忠告を得たと私は思っております。
   2番目の、プログラムについてでありますが、ETS−8プロジェクトに関し、プログラムは「宇宙開発に関する基本計画」のどこに記載されているのかわかりにくいと。これは、評価指針の対象にかかわるところでありますが、1ページを御覧いただきたいと思います。「2.評価指針の対象」でありますが、これに関しましては、プログラムというのは、イニシアティブ、プログラム、プロジェクトという、このフローの中で、「宇宙開発に関する基本計画」という中にプログラムが示されていると書いてあるではないかとしかしながら、これを見る限り、どこにあるのかわからんと。そういうようなご忠告でありました。これをイクスプリシットに書くということで、この1ページのように、3今後の中核的業務として「宇宙開発に関する基本計画」に述べられておりますが、この中にE、TS−8等は出ておりまして、これをまとめる格好で、当面行うべき宇宙開発がプログラムとして提示されているということで、反映のところに書きましたように、プログラムとは、宇宙開発に関する部分のどの部分かということを明記しますということで、具体的に1.のところに書き記しました。
   それですと、基本計画か、プログラムかというところがわかりにくいんで、直すかということにもなるんですが、これはなかなかフローダウンしてきたものを、今度は下の、これを受ける格好の方から直していくというのは、なかなか難しいところがありまして、さりとて、この階層的なアイデアというのを諦めてしまうと、ここでもって立ちやめにしますと、依然として不明確な点が残ってしまいますので、私といたしましては、まず、この評価指針から始めるということで、今後、逆にさかのぼって、ボトムアップ式に今後、こういうアイデアというのを上位の文書にも入れていってほしいと。ただ、中長期の基本戦略の方には、プログラムとプロジェクトということが書かれております。したがって、この基本計画が、実は予算措置と絡んでいるということで、大変書きにくいんだということで、宇宙政策課の方とも、私どもはいろいろと相談いたしましたが、真ん中に書いてないというなかなか難しいところがありました。しかしながらなるべく私としましては、今回のこの委員会での議論を生かしたいと思いましたので、このように具体的な表現は、ここだというぐあいに逆指名をしたというようなことであります。
   それから3番目、意義の確認であります。「プロジェクトが実施されなかった場合の損失を評価」という意味がわかりにくいと。確かに、これは私、第1回目の委員会で、英文の資料が出ておりました。これをやめたらどうするか、やめたら、どんなデメリットがあるのかとか。そういうようなことが英語で書かれておりまして、それをやや直訳したようなところがありまして、初めて、この文章を見る方は、何のことか?と。評価をされる側が、ネガティブな意義というのを書かなきゃいけないのかと。マイナスの意義を書かなきゃいけないのかという、大変、字句が読みづらいと。そんな御意見でありました。それで5ページでありますが、反映をいたしまして、評価者の観点からしますと、意義を確認していった段階で、このプロジェクトがやれなかったら、何がどうなるの?というようなことを評価するというのが、この文章の意図でありますということを、この指摘がありました本間プロジェクトマネージャーにお伝えしまして、そこを読めるようにしようということで、特に評価者の観点から、当該プロジェクトが実施されなかった場合の損失を評価することが必要であるということで、受ける立場あるいは聞く立場両方を明示しておいた方が意味が通りやすいかということで、アンダーラインの部分を書き加えましたそれが3番目であります。
   それから4番目、リスク管理のところであります。予備設計の段階でのリスク解析は、限定的になると考えると。こういう意見でありました。これは、この評価の指針は、特にプロジェクトを立上げるというフェーズでありますので、予備設計をやっている途中段階を評価していくということで、まだ立上げて、いわゆる開発フェーズに入ってないということですと、このリスク管理の中に、FMEAであるとか、その他、定量的な、あるいは細かな解析が必要ということになってきたときに、これを満たすことは必ずしもできない、難しいということを意見としていただいたわけです。一方、先ほどのパブリックコメントを見ますと、リスク管理をきちんと書くべきだという御意見もありまして、この段階になってみますと、両方の意見があって、細かく書くべきだ、いや、この段階ではできないという両者の意見がぶつかっているような気がいたします。
   しかしながら、私は、このヒアリングを行った結果としましては、こちら側がどういう意図で、このリスク解析あるいはリスク管理を見ていきたいかという立場が大事だと思いまして、6ページのリスク管理というところに反映いたしました。リスク管理の第2パラグラフのところでありますが、「システムとしてのリスク評価が実施され、開発に付随するリスクの同定、リスクの低減方法」ということで、予備設計ですと、システム構成をどうするか、サブシステム構成をどうするか。それによってリスクを回避しようということは見て取れるのではないか。したがって、冗長系、フェールセーフ、コンテンジェンシー・プラン、これはかなり細かくなって、いささか箸の上げ下ろしに踏み込み過ぎてないか。この段階としては細か過ぎないかな。そういうようなことが議論されまして、それでは、一応、これは取っておくということにしまして、「システムとしての」と。そういう表現をつけ加えたというわけであります。今後、どうやっていくか。実際に、このリスク管理の中身を定めるときには、どの辺までやるかということは、実施要領の段階で、いろいろと個別に、踏み込んでいかないといけないかと思います。
   今のが4番目のリスク管理というところであります。
   5番目が、効率性。効率性(事後評価の評価項目)をプロジェクトの効率性とプロジェクト実施体制の有効性の2つに整理した方がよいという御意見で、この効率性の項目が、やや読みにくいと。こういう文章構成の意味で手直しをいたしました。9ページであります。
   9ページの効率性のところに、1パラグラフでもって、2つの話が出ておりましたのでこれを2つに分けまして、プロジェクトの効率性とプロジェクト実施体制がどうであったかという、この2つの観点から評価を行うことが必要であると。そのプロジェクトの効率性というのは、計画された資源、スケジュール、こういったものが予定どおり行ったかということから、効率性を定義して、できる限り定量的に把握する。それから、10ページに行きまして、「また、プロジェクト体制については、これが機能し、プロジェクトに対してどのように貢献を果たし」てきたかということを把握する。体制をいろいろ組んだわけですが、これが有効に機能したかどうかということを評価したいと。体制と、そういったプロジェクトマネージャーが与えられるような資源、こういったものがどのように活用されたか。そういう2つの表現にしたいということで、5番に対する訂正をいたしました
   これが第1番目の本間プロジェクトマネージャーからのヒアリングであります。

   次がヒアリングの2番目でありまして、宇宙ステーションのプログラムを担当しておられる堀川副本部長にお出でいただきまして、指摘を受けました。
   少しタイトルが違っておりまして、御本人のタイトルが、JEMプロジェクトマネージャーとなっておりますが、これは以前のプロジェクトマネージャーをやっておられた前JEMプロジェクトマネージャーという表現が正しくて、現在、システム本部の副本部長を務めておられます。
   で、タイトルが、その次の方も間違っているところがありまして、実は、その正式のタイトルは、評価の指針案の方に、ヒアリングにご協力をいただいた方という格好で、正式のタイトルを書きましたので、そちらを見ていただきたいと思います。
   そういうことで、このパブリックコメントのこの資料につきましては、JEMプロジェクトマネージャーの前に、「前」プロジェクトマネージャーと。JEMプログラムマネー、ジャーと書こうかとも思いましたが、その辺は、言葉としてはまだ確立されていないようですので、「前」JEMプロジェクトマネージャーというぐあいに直していただきたいと思います。
   いただきました指摘事項の1番目でありますが、本評価指針をもとに個別のプロジェクト評価を実施する場合には、それぞれのプロジェクトの評価指針が必要であると。これはどういう意味かと申しますと、今申し上げましたように、堀川副本部長は、宇宙ステーションのプログラムマネージャーとして、今、務めておられます。その点から発想されますと、今後、宇宙ステーションプログラムをどうやって行っていくか。極めて大きなプログラムなものですから、これは堀川プログラムマネージャーとしては、NASAとつき合っていて、プログラムプロジェクトという階層は当然必要だということは頭から感じておられる。したがって、このJEMができ上がり、HTVができ上がり、それを軌道上で、どう運営し、科学的なミッションをこなし、利用がどうなって行われたか、運用はどうであったか。これ一つ一つ取っても、大体5年以上、10年単位の、みんな大きなプロジェクトであると。したがって、これは大きな日本のISS(国際宇宙ステーション)プログラムを構成しているプロジェクトとして評価してもらわないと、堀川部長としては、自分は将来やっていけないと。そういうようなことを言われたわけです。
   その辺は、この四角い括弧の中で書き尽くせないところでありますが、返答としましては、御指摘の趣旨は十分理解しており、本評価案をもとに、個別プロジェクトごとに評価指針が、評価に先立って作成されなければならないことを評価指針に記述するということで、別の方からも、似たような指摘がありましたので1ページのように書き加えました。
   1ページの「本評価指針の位置づけ」、この1.の一番最後の行であります。「従って個々のプロジェクトの評価にあたっては、本評価指針を踏まえて、事前に評価実施要領を定めることが必要である」と。これはほかの衛星のプロマネからもいただいた意見でありまして、宇宙ステーション、それから輸送系、衛星、これは、ここでも上杉先生と棚次先生に例題をやっていただきましたが、やはり、それぞれのプロジェクトの性格によって、これの使い方というのも、実際に、事前に、どう使っていくかということは、やはり議論した方がいいだろうというようなことが、やはり皆さんから共通していただいた意見てありました。そういうわけで、こういうぐあいに定めまして、これはこれとしてガイドラインとして使っていくが、これをどう特定のプロジェクトで読んでいくかということは、事前に各プロジェクトごとの評価を実施する際に、これを一応、もう一回かみくだいた方がいいんではないかということで、この2行であらわしたというわけであります。
   それから2番目、評価による負担の軽減。評価によって、実施者に過度の負担とならないような配慮が必要であると。これは、たびたび御指摘を、この部会でもいただいたとおりでありまして、留意事項に記述されております。
   それから3番目、評価の内容。評価においては、必要な改善提案が行われるとともに、よいところはよいというような評価が行われるべきであると。これは当然、この評価を作ったときにも、そういう意図から発しておりまして、御趣旨の点は、評価の基本的な考え方に記述されているということで述べました。
   それから、宇宙ステーションの評価と。極めて具体的な、今後、どうやっていくかということが出されまして、先ほど申し上げました1の件と絡んでおります。宇宙ステーションの関連プロジェクトを、宇宙開発委員会として、どのように評価していくのか、明確にしてほしいと。たくさんのプロジェクトを抱え込んでいる宇宙ステーションプログラムとしての評価をどうするんですかということであります。宇宙開発委員会としては、御指摘の宇宙ステーション関連プロジェクト、関連プロジェクトということは、宇宙ステーションは1つのプログラムとして見て、これを個々に扱うということについては検討すると書いてありますが、実際には、この一番上の評価指針の位置づけということで、一番目の記述に従って、これを複数のプロジェクトで成り立っている場合には、個々のプロジェクトとして事前に評価実施要領を決めてまいりますと。そういうことで反映しているつもりであります。

   それから、3番目です。虎野さん、これがまた間違っておりまして、JEMプロジェクトマネージャーではなくて、J1プロジェクトマネージャーであります。幾つか間違いがあって申しわけありません。
   虎野さんからいただきました一番目の指摘事項は、評価者の選定に関する考え方を、評価指針の中で記述すべきではないかということであります。これはほかのプロマネからもいただいた点であります。だれが評価者となるのかと。これは本部会でも、皆さんからいただいた意見でありまして、ここの対応を読みますと、個々の宇宙開発プロジェクトの性質により、評価者の選定の考え方は異なるであろうということで、さっきの1項目のように、特定の案を練っていきますが、評価指針にどこまで盛り込むへきか、現時点では見通しを持ってないと。この中に、どう書いていいかということはなかなか難しいと。幾つかの評価の経験を踏まえながら、評価指針の見直しにおいて対応することが現実的ではないかと。もし、この中に書くとすれば、これを使いながら、今後、どう書き入れるかどうか。あるいは具体的に、これを運営する段階において、評価者というのは、個々のプロジェクトでもって選んでいくと。そういうやや柔軟な対応にしていきたいという返事で、多少煮え切らない返事のように見えますが、とにかく使ってみましょうと。評価者も、その個々のプロジェクトごとに選定をしながら、それを皆さんに理解していただくようにしていきましょうと。そういうようなことであります。
   2番目の評価対象。NASDAと他の機関との協力により実施されるプロジェクトもあるので、こうしたプロジェクトへの対応を指針に明記すべきではないかと。これは先ほど申し上げたとおりで、2ページの評価指針の中に他機関との共同開発というのも、視点に加えました。J1プロジェクトは、宇宙研の固体ロケットとNASDAの固体ロケットの合体ということでありますので、そういう指摘を具体的にいただいたわけです。
   3番目、評価主体の表現であります。事前評価及び事後評価では、第三者評価の主体は宇宙開発委員会と記述されているが、中間評価の第三者評価主体は、宇宙開発委員会と明記されていない。これは、こっち側の原文が抜けていた点でありまして、7ページを御覧いただきますと、(3)の2番目の1評価主体であります。ここへ「宇宙開発委員会が実施する」ということで、ここは宇宙開発委員会という言葉が抜けておったということで、御指摘どおり直しました。
   それから4番目、事後評価。事後評価では、コストとの関係だけでなく、投入されたリソース、人員その他を、全体としての関係で評価すべきである。ということで、御指摘の趣旨を評価指針に反映いたしました。9ページの3の成果の一番最後のパラグラフであります。原文はコストとの関係だけになっておりましたが、「含んで投入されたリソースとの関係を」という言葉を補いました。別の方から、あるいは、この虎野さんからいただいたコメントだったかとも思いますが、いつやるのかということも聞かれまして、しかるべき時期に、というのは、これがすぐ直ちに評価できるものではないという意味から、「適切な時期」にという言葉も、その前に補ったわけであります。
   以上が、J1プロマネの虎野さんからいただいた御意見であります。

   次が黒崎さん、NASDAのADEOS−2のプロジェクトマネージャーをやっておられる方です。
   まず1番目、プログラム。プログラムが、どのようなものか明示した方がいいと。これは、もうたびたび指摘を受けた点で、1ページに、これを書き加えました。
   評価指針の位置づけ。個別のプロジェクトの評価にあたっては、本評価指針を踏まえた評価の実施要領の策定が必要であり、このことを明示すべきであると。これも1ページの位置づけに書いたとおりであります。
   リスク管理。宇宙開発委員会が評価すべき事項は、システムとしてのリスク管理でありサブシステム以下のものではないということを、指針の中にはっきり記述した方がいい。
   サブシステム以下の回路がどうなるということを、この時点では、とてもできないということを言われまして、先ほどのように、「システムとしての」リスク管理という表現を、6ページでもって補ったということで対応しました。
   事後評価、4番目であります。事後評価においては、アウトプットとアウトカムの評価の時期は同じであるとは限らないので、そのことがわかるような表現に評価指針を修正すべきということで、9ページを御参照ください……あっ、間違いました。9ページのところの、私の訂正は、先ほど既に申し上げました。「適切な時期に」と。ここがアウトカムとアウトプットを同時にはできませんよということで、「含んで投入されたリソース」というところの前に「適切な時期に」ということをつけ加えましたのは、この黒崎さんの指摘でもって直した点でありました。忘れておりました。これがアウトプットとアウトカムに関しては同時ではなくて、適当な時期に別々にということも含めて、表現したわけであります。
   5番目、NASDAの評価との関係。宇宙開発委員会とNASDAとの評価の線引きがもっと明確にできないかということであります。これは、この本委員会でも、いろいろと御議論があった点であります。本指針では、宇宙開発委員会とNASDAとの評価の関係が説明されている。これは例えば図−1であります。幾つかの評価の経験を踏まえれば、さらに関係が明確化される可能性はあるものの、評価者に評価の指針を示したコンセプトを理解してもらうことにより対処するのが現実的ではないかと。つまり、これはシステムとしての評価を行うと同時に、これは意思決定者への助言でもあり、なおかつ、これは国民に対して、これを説明していくんだという、図−1の説明というのが大事なんだということで、この黒崎プロマネに理解していただきました。
   以上が黒崎さんからの意見であります。

   最後が、宇宙開発研究所の小野田先生に、意見をいただきました。
   プログラム。プログラムがどのようなものか、明示してほしい。これも1ページで対応いたしました。
   それから、本評価指針の位置づけ。個別のプロジェクトの評価にあたっては、本評価指針を踏まえた評価実施要領の策定が必要であり、このことを明示すべきと。特にロケット関係ですと、これをどう使っていくかということで、いろいろ意見をいただいたんですが先ほどのような意見を反映いたしました。
   それから、事後評価の結果が、積極的にフィードバックすることを記述すべきと。これは、これを作成した段階では当然と思っておったんですが、やや言葉が足らなかったかということで、8ページを御覧いただきたいと思います。8ページの(4)の最初の2の一番最後のところです。「次の観点に留意するとともに、事後評価の結果を将来計画にフィードバックすることが必要である」というように、これを再度念を入れて書き加えました。それから4番目、評価の観点。評価の観点の中に、学術的観点も加えるべきということで御指摘いただきました。最初はこの小野田先生からのコメントをいただいたときに、小野田先生が宇宙科学研究所だから、学術的ということを言われたのかなと思いましたらそうではなくて、宇宙開発事業団に、これをアプライする場合でも、宇宙開発事業団の仕事の中に、学術的なものがあるではないかと。そういうような意図でありました。例えば セレーネは、これは宇宙科学研究所との共同でありますが、これも学術的な評価が必要であるし、宇宙ステーションも、マイクログラビティー関連では、これは学術的な内容を含んでいるから、「学術的な」という表現がやはり必要であるということを、最初は意見は両方ですれ違っておったんですが、だんだん中身がわかってまいりまして、この点も必要であろうということで、2ページを御覧いただきたいと思います。
   「3.評価の基本的考え方」の第2パラグラフの第1行目でありますが、「宇宙開発プロジェクトの着手にあたっては」、科学技術的であったところの前に「学術・」ということで学術的な創造性なり、発展性なり、実用性というようなこと、まあ、実用性はないかもわかりませんが、そういうことを書き加えて、小野田先生の意図を反映いたしました。
   それから5番目が、リスク管理でありまして、宇宙開発委員会が評価すべき事項は、システムのリスク管理であると。これも先ほど申し上げたとおりです。
   6番目の評価の基本的な考え方。「3.評価の基本的考え方」の中の最後のパラグラフは不必要ではないかと。これは2ページの一番下のところです。
   「なお、近年における事故やトラブルを克服するためには」と。確かに、これを読んでみますと、何となく基本戦略の書き出しへ戻っちゃったような感じもありまして、評価の指針としては、確かにおっしゃるとおりですということで、やはり初めて読んでいただく方というのは、ぱっと気がつかれるものだなということで、御意見をありがたくちょうだいいたしまして、これをばっさりと削ることにいたしました。
   以上が、5人の方の意見であります。

   ということで、これを評価の指針に反映いたしまして、直したものが資料6−3−2でありますが、中身の傍線ならびに見え消し、ならびに加えたところというのは、今、ほとんど説明したと思います。一応、ページを追って見てまいります。
   1ページは、御覧のとおり、評価実施要領を定めるということと、プログラムの中身を具体的に基本計画の中で示したということ。
   2ページ目は、宇宙開発事業団が単独で実施するものでなく云々という、他機関との協力ということで加えました。
   それから、その個所の次のパラグラフの「具体的には」でありますがここが前は、「プロジェクトの予算規模が○億円以上を目安とする」ということになっておったのが、現行であります。○億円と書いたのは、評価の指針の中に、○億円を皆さんで議論していただくというのも、この場としてはいかがかということで、ずっと放っておったんですが、この指針が、このまま○億円のまま報告になってしまいますと、いかがかということで、これは現在、長柄計画評価部会長が行っております計画評価部会の方で、実は、ここに書きましたアンダーラインの表現がありまして、今後、計画評価部会としては、大体、この線に沿って大型とみなしていくよということが表現されておりまして、既に計画評価部会の方で、皆さんの御了解を得ているという中身が文章としてありましたので、これを引用いたしました。
   読み上げますと、「具体的には、衛星開発及びロケット開発に係わる計画については、予想される総開発費(打上げ費用を含む)が、概ね200億円を超えるもの、また地上における新規の大型の研究開発計画については、3年間の予想研究開発費が概ね50億円を超えるものを対象とする」という表現がありまして、これをそのまま、こちらに書き込みまして、大型というのは何ぞや?ということの表現とさせていただきました。
   それから、このページの下の方の「許容されるべき」というのが読みにくいということで、「許容しうると判断した」というぐあいに。これはアクセタブル・リスクだったと思いますが、英語の表現をどう表現するか。「許容されるべき」というと、何か非常に押しつけがましいという御意見を、どなたかかからいただきまして「許容されうると判断した」というぐあいに直しました。
   一番下は、先ほど削除したところであります。
   3ページも、今の削除です。
   4ページは、なし。
   5ページは、先ほどの、されなかった場合の損失というのを、どう表現するかということで、若干の手直し。
   6ページが、これも文章の読み方であったと思います。小野田教授からいただいた指摘だったと思いますが、最初に直しました「成功基準及びリスクを許容レベルに低減するためのコストに関し」というと、何か、これをしなければならないというような意味に取れるということで、「成功基準及びこれに要するコスト」というぐあいに、この方が読みやすいということで直しました。
   その下が、「システムとしての」ということと、細か過ぎるということで括弧の中を取ったと。
   それから、先ほどのリスク管理に要する手法等でありますが、具体的なことを書いたということで、これは残っておりましたが、ここも「システムとしての」ということと対応させて、これはリスク要因に対する基本的な考え方ということも再度念を押しまして、ここで開発着手前に行うリスク解析としては、まだ、こういうFMEAも十分にできないけれども、組み立てとして、システム構成として、どういうものをオプションとして選んだかということからしますと、やはりオプション検討の中では、どういう構成にしたかということが、細かなフェーリュアー・モードではなくても、大きな観点から、やはり出ているんではないかということから、「リスク要因に対する基本的な考え方」という表現にいたしました。
   それから7ページでありますが、プロジェクトが実施されるフェーズでの評価は、これ は中間評価を宇宙開発委員会がやるんだというところです。
   8ページは、将来に向けてフィードバックするという事後評価の点です。
   9ページが、「適切な時期に」と。つまり、アウトプットとアウトカムの時期のこと。それから、リソース全体を指摘してほしいと。それから、効率性には、この2つのアイテムを分けて記述すると。
   それから、6.(1)の意義のところを強調する意味で、これは「学術・」というところを、前の訂正に連動して直しました。
   それから、評価者に対する負担というところでは、「評価者においては」ということで特に評価者がしっかりしろよということを、どなたかから、私、喝を入れられまして、こういう文章になりました。
   以上の点が10ページに書き加えた点で、そのほかは訂正がなかったかと思います。

   以上が指針(案)として、ここへ出しましたものでこざいますが、その他、目次以外につけ加えましたところとしまして、私個人的に、ページのない2枚目のところに私のやや感慨を盛り込んだような「はじめに」というのを書いてみました。これは、今ざっと読み上げてみますので、私の個人的な感慨ということにとどめるか、それとも、この部会として、従来の報告には、部会という格好で「はじめに」が書かれているもの、あるいは個人的なもの、あるいは全くないもの、いろいろありまして、私も、どうやったものか、判断に迷ったものでありますが、一応、この仕事を始めたときのモチベーションはやはり書いておくべきかということで、私なりに書いてみましたので、読み上げてみます。

   ["はじめに"読み上げ]

というような作文をいたしました。これを踏まえまして、前文として、どういうぐあいに処置するか。場合によっては、いささか長いとか。多少の前文は、次の次の1ページにも、タイトルのないところでもって、経緯は若干書いておりますが、私としましては、さらに、これをもう少し踏み込んで書いたというのが、前書きとして用意したものであります。
   ということで、大分長くなりましたが、中身と、それから、この前文の取り扱い、その他につきまして、御議論いただきたいと思います。
   なお、この資料の一番最後の方には、本部会の指針の検討にあたって発足したときに出されました、宇宙開発委員会の決定の内容。ただ、ご理解いただきたい点は、15ページに、佐々木委員から長安委員に引き継ぎがありましたので、これは委員会からいただいた文章には、佐々木委員のみが書かれておりましたので、この辺原文と違っておりますが、これはまた別々のものを用意するというのも、いささか冗長かと思いましたので、このように表現させていただきました。
   それから、参考2が、これまでの経緯と、それから最後のページに、ヒアリングを行った方々がどなたかということで、協力者ならびに、そのヒアリングを行った方々の名前とタイトルを書き入れました。
   以上でありますが、御議論いただきたいと思います。

   市川先生、よろしくお願いします。

 市川特別委員 

   お話の順番に沿いまして、ヒアリングの結果と経過、およびそれを受けてのお話に、よくわからないところがありますので、御意見をお出しになった方の真意を含めてお伺いしたいと思います。資料6−3−1であります。
   まず、本間さんの御意見の一番下の、効率性のところでありますが、プロジェクトの効率性とプロジェクト実施体制の有効性の2つに整理した方がいい。まさに考え方としては、こうだと思います。ですが、本間さんはプロマネの御経験のもとでおっしゃっているから、できるのだろうと思いますが、本当に、これはできるのかという疑問です。
   卑近な例として、私が何か仕事をしろと言われて、仕事をしたとします。その仕事の成果と私がどうやったかということは、ほとんど分離不可能です。裏返して言いますと、プロジェクトの効率性とは一体何だろうかという疑問です。理想的な運営体制のもとでやったときに、達成したであろうプロジェクトの成果それが効率性なのかなと。何か、私にはよくわからないところがあります。
   それが1つです。全部で3つばかりでありますが、どういたしましょうか。

 栗木部会長 

   1つずつやっていきましょうか。
   これは、私も意見をいただいたときに、効率性というのは、最初、どちらかというと、スケジュール管理、まあ、資源。資源といいますのは、コストの点が頭にあったんですがこれを実行していく上で、特にマンパワー等に関しますと、これは体制にもかかわるということで、効率性を、もう少しタイトルから別立てで、実施体制の評価までやろうかということも、本間さんと話をしているときに出たんであります。ただ、また、これをやりますと、この評価項目がどんどん増えていくような感じもいたしましたし、効率性、それをひとくくりで、これで……。ただ、2つが、もとの原文が、経営体制、それから資源が、これで満たされていたか、あるいは、どれだけ満たしていたかと。
   にもかかわらず、本間さんの意見を聞きますと、大体、プロジェクトというのは十分な思いどおりの体制で書かれたことがないと。極めて辛い立場でスタートすると。それから資源も十分でない。しかも、これは、よくやったではないかということであれば、それを評価してほしい。特に手戻り、オーバーランがあったのを、これをどうやって防いだかということすら、言いにくいこともあるが、半ば、それを詰問するんではなくて、これを場合によっては、プログラムマネージャーが手を添えてくれたかもしれませんが、そういうことまで言及して、これをうまく切り抜けたと。要するに、中間評価でもって、中断だとか、中止だとかということの憂き目に遭わずに、これを全うしたときには、これをどうやってやったんだということも、是非、ここへ、こういうことで書いたらどうかということを言われましたので、これで読めるかどうかはまた別なんですが、必ずしも十分に納得して、プロジェクトマネージャーはやっていませんと。そんな考えであります。

 市川特別委員 

   わかりました。要するに、実施体制の有効性とは、リソースがないのによくやった、とほめてほしいという意味ですね。

 栗木部会長 

   そうです。いかにして……。大体、ほとんどがそうですと。こう言われました。私も実感しておるものですから。

 市川特別委員 

   それは、しかし、裏返して言いますと、そういう仕事をやらせた宇宙開発委員への批判という形になるわけでもありますね。

 栗木部会長 

   事前評価をやった立場とすると、逆に評価される立場になるかもしれません。まあ、そのときには、これを切り抜ける方法は、プログラムにも用意せよということを、抜け道として事前評価にも用意してはおりますけれども。
   上杉先生、何かございますか……もしよろしければ、永安委員、どうぞ。

 永安特別委員 

   担当の方の主張としてはよくわかると思うんですが、ここで言う宇宙開発委員会が、どのレベルの評価を行うかということを考えましたときに、いわゆる、ここにもコメントがありましたが、NASDA内の評価というのと宇宙開発委員会の評価というのを、ある程度、階層的に区分けすべきものと考えますと、ある目標とリソースが与えられて、それをどのように実施していくかというのは、これはNASDAの実施機関の裁量の問題ではないかと。だから、まずリソースで、必要なリソースが、そこに配分されているかどうかということは、ある程度、宇宙開発委員会のところで考える必要があるでしょうし、そのリソースの配分というのは、国としてリソースを、どう配分するかということで、NASDAの中でリソースをどう配分するかということは、これは実施部隊のNASDAの判断だろうと思います。
   それで、ここに効率とか書かれておるんですが、一般的に、効率性というのは、投入したリソースに対してアウトプットなり、アウトカムが、どれだけのものか。分母はリソース総体であって、個々のものが、どういうふうに、それを配分されているかと。これはもちろん実施部隊で問題となるんですが、宇宙開発委員会で、そこまで細かく評価に踏み込むのかどうかというところは、私としては、そこまでやると大変ではないかと、一般的には思います。

 栗木部会長 

   おっしゃるとおり、確かに宇宙開発委員会が、もし事前評価で、開発着手にゴーをかけますと、そのときに出された予算の希望額というのが当然あるわけでして、これでやって、付置されたところが全額ではなかったということになりますと、それは、宇宙開発委員会には、その全額ではなかったということも含めまして、NASDAさんで、本当に実施に移るときに、どういう予算枠でやったかということは俎上には上がらぬまま、場合によっては中間評価まで、場合によっては事後評価まで、そのまま行ってしまうということからすると、確かに実施機関内での裁量で進んできた。それを事後でもって、何で俎上に上げるのかという感触は確かに、事前と事後でもって1対1に対応してないというところがありますが、そこの経緯はどうなんでしょうか。
   例えば事業団さんでもって立上げた後、どういう変化があって、その中でやれた。やはりきつかったというようなことは残しておく必要はないでしょうか。評価というのも、よくやったというようなこと、あるいは、それをどう切り抜けたか、あるいは場合によっては、目標の設定、順位づけをしますね。そうすると予算を削られた場合には、下位のものは落とさざるを得なかった。そういうことも含めて、最終的には、どうプロジェクトが判断してきたかという経緯は評価をし、なおかつ、今後の開発のためのレッスンとして残しておくべきではないかなという気がいたしますが。

 永安特別委員 

   NASDAの中では、当然、評価されて、十分評価されるべきだと思うんですが、それを宇宙開発委員会の中へ残しておくかどうかということだろうと思います。

 栗木部会長 

   それも、レッスンがNASDAの中で残っているだけではなく、宇宙開発委員会のレッスンとしても残しておくべきではないでしょうか。つまり、2度と事前評価をやらないわけではなくて、別のプロジェクトかもしれませんが、やはり予算の仕組みなり、あるいは目的の立て方なりというのは、それに対応して、きちんとやっておかないと、事前評価の意味がなくなるねというようなことも含めましてね。

 井口委員長 

   これが出されますと、今、いろいろ先生方のお話がありましたように宇宙開発委員会の責任というのは、かなり重くなる可能性があるという点から、私が今悩んでいることの1つを申し上げさせていただきたいんですが。
   非常に一般的な議論なんですが、これまでの宇宙開発というのは、私は6年間、前にも申しましたように事故原因の究明といいますか、そういうものを担当してきたためかもしれませんが、日本の宇宙開発を裏側から見てきたというような気がしております。その点から言うと、一番最初に市川先生がおっしゃったように、少ない金でもってやれと言ってきたのは宇宙開発委員会の責任ではないかと。確かにそういう感じがいたします。だから日本の宇宙開発が非常に安くといいますか、ある意味では効率よく、これまで来たというのは、私は、大変疑問に感じております。それは、足元を十分かためずに突っ走ってきてしまったと。だから、そういう意味では、予算不足なのにやってしまうということがいいか悪いか。その場はいいかもしれませんが、後で、そのツケが回ってくるということになり得るわけです。したがって、予算が大幅に削られるようなことがあれば、あるプロジェクトは、もうやめますと、それではできませんということを言うべきかもしれません。それは同時に、実施者にもかかわることだと思います。日本の予算制度では、ある部分で、私は大学におりましたので、科研費でも申請しますと、後で、ぱっと切られて、これだけ支給しますというのが来るわけです。大体3分の2ぐらいになってくるわけです。そのときに、では、やめるかと。そうはいかないんで、予算を組み直しますね。それを実施者でおやりになるんだろうと思います。組み直した予算に対して進めるか、あるいは組み直せないんだったら、おやめになるか。どちらかだと思います。そのときに、きちんと契約が決まるはずなんで、後から、どうこう言うのはどうなんでしょうか。私は、少し疑問に感ずるんですが。そういう感じが、しております。

 栗木部会長 

   棚次先生、どうぞ。

 棚次特別委員 

   事前評価のリスク管理評価と事後評価の即効性の評価というのは対になっていると思うんですね。ですから、今おっしゃったように、本当に即効性を、効率性を重視してやった場合には、当然、リスクが発生するわけですから、事前にその辺を、リスク管理を評価委員会で見抜けるかどうかですね。ですから、これはやはりリスク管理の評価をしてスタートした以上は、評価委員会といいますか、宇宙開発委員会の責任は非常に重いと思いますね。事後評価で効率性だけを評価してたんでは、やはり問題があると思いますね。リスク管理がいかにきちんと事前に評価できるかだということだと思います。

 栗木部会長 

   おっしゃるとおり、もしこれで事前評価の段階で、妥当な財政規模と体制とが組まれておって、これでゴーをかけたと。で、年末になって予算の内示があった段階で、とてもそれに追いついてなかったとなると、また即、中間評価をやらなきゃいけないかというようなことにもなるかと思います。これまでで、それでやめたという例が、樋口さん、ありましたですか。開発でもって、俎上に上がって、このプロジェクトという格好で出て、内示があって、足りませんからやめましたと。あるいは、やめるという意向を宇宙開発委員会に伝えたとかというのは。

 樋口特別委員 

   やめた例はありますが、今のような経緯でやめたものはないと思います。これこそ矛盾で、今後、解決すべきなんでしょうが、このプロジェクトは、大蔵省から見たら、この金額でやれないなら価値がないからやめろという言われ方をする。そうすると、実施部隊としては意地でもやろうと思ってしまう。そのときに、宇宙開発委員会か何かで、その金でやるんなら、このぐらいリスクがあるから、国民の皆様、よろしいですな、という手続なしに、全部、実施機関が背負って、あるいは、もう懐に抱えて、飲み込んで頑張ってやってしまうというのが、これまでだったと思います。そういう経緯を委員会で別途明らかにした上で、あるいは大蔵省に、このプロジェクトだったら、この金額でしか、国としては価値がないと、この金額でやれないならやめなさいと言われたときにこの金額でやるなら、このぐらいリスクがあるけれど、それでも、国民の皆さん、やらせていただけますかということを今回やるということだと僕は解釈しているんですけれども。

 栗木部会長 

   全くおっしゃるとおりで、私も、必ず、こういうものはいろいろな資源なり、リスクというのは、開発が進んでくると出てくるし、仮にいろいろな点から事前にあったとしても、私は、そのプロジェクトの目標なり、目的を、順位をつけて、きちんと書きなさいと言ったのは、そこなんですよ。これまで、ミニマムリスクという言葉すらなくて、それを達成するのには、これだけの資源が必要であると。全部の目的を達成するのには、かくかくしかじかの資源が必要であるという格好で、予算申請するわけです。本来ですと、これが削られれば、目的は下から切っていくしかしょうがないわけでして、そういったことすら、予算規模のときに、実は内示があったときに、内示の中身に目的が書き込まれている。こういうことすら、実に矛盾を含んでいるなと。特定のプロジェクトのプロマネに会いまして、去年、いろいろ伺ったら、切りようがないと。これを切ったらば全部、もとからなぎ倒されてしまうと。つまり、プロマネとしては、与えられた資源を自分が自由に使えるんであれば、その下位の目的から切っていくことができるんですが、その自由度がないと。そういう手足を縛られたプロマネというのが、現在のプロマネの姿だと私は思うんです。
   ですから、本来ですと、私は、筋論で、目的の順位を決めて、リスクを管理するというのは、それを管理していくだけの裁量が、プロマネに与えられているものだという前提でこれを作りました。したがって、今度は、事後にあったときに、その自由度がなかったじゃないかと言われると、これはあるものだとして査定していますが、そこが縛りなっているというのが現実論として出てくるのは、よく感じます。したがって、では、それは事前評価のときに全部把握しているかというと、なかなかそれは実施機関の方からも言いにくいところがありそうな気がいたしまして、私、特定のプロジェクトを頭に描いておりますが、しかし、それはもしそういう事態であって、プロマネが進退窮まったらば、やはり中間評価という格好で、これは抜き差しならなくなりましたということは、やはり言って、プロジェクトをやめるか、そういう決断をしなければいけない。
   中間評価を行うということすら、今までの評価の仕組みの中になかったということからしますと、やはり、これはだれが中間評価をするかということを逆に査定するかという問題もありますが、やはりプライマリーには実施機関の方で、これは立ち行かなくなったということを宇宙開発委員会の方に、そういうことを内々知らせていただくということが必要なのではないかなと。それで中間評価を行っていくということは、これまでの仕組みが、自由度がないまま行くと、また出てくるんではないかという気もいたします。
   少ししゃべり過ぎましたが、樋口委員、どうぞ。

 樋口特別委員 

   2つのことを申し上げた方がいいかと。
   評価を受けて、まあ、セレーネが一番いい例だと思うんですが、軟着陸の技術の実験と周回衛星を同時にやるには、このお金とこの時間では十分ではないという評価を受けて、次の年に、着陸実験は切り離したという例など、幾つかあるミッションを切った例はあります。そういう意味では、評価に基づいて、中間評価で、計画を変えた例はあります。
   それからもう一つの例といいますか、一般的には、こちらの方が多いんですが、先ほど部会長がおっしゃったように、内示に、これこれの目的で、この金額で、このプロジェクトをやりなさいと書かれてきますと、「これこれの目的で」というところを削るわけにはいかなくて、そうすると、その「これこれの目的」を、その金額でやるという前提でやりますから、裏側ではリスクを大きくして、削れないまま、リスクを増やしてやると。そういうやり方を、これまでやってきたことは事実です。ただし、さっき申し上げたように、セレーネの例では、もう、この金ではやり切れないからというので、「これこれの目的」の1個を削ってもらうということを、次の年にやった例はあります。

 棚次特別委員 

   事前リスク管理評価をおやりになるんですけれど、宇宙開発委員会として、財政当局に、予算を増やすようにという進言はされるんでしょうか。

 栗木部会長 

   仮に中間評価をやったということでですか。

 棚次特別委員 

   いえ、事前評価でリスク管理をして、このプロジェクトは、是非、国として必要だと。しかし、リスク管理をした結果、見積もられている予算が少ないと。
   もっと増やせというような進言というのは、予算当局にされるのかどうかと。

 栗木部会長 

   それは実施機関の枠がありますね。出されてきたときは、その枠におさまるような格好で出てくるということになりますね。そうすると、評価する側としてはこれだけの目的を達成しなければいけないのに、しかもリスクの上で無理があるということになれば、逆にコストに見合った内容にしなければいけない。評価は、そっちの方に行くのと違いますか。

 棚次特別委員 

   要するに、予算の方が先になると?

 栗木部会長 

   つまり予算といいますか、経費の枠というのは、それなりの実施機関の事情があって出てきたもので。

 棚次特別委員 

   予算に合わせて、縮小するということになるんですか。

 栗木部会長 

   縮小したときに、このプロジェクトが意義があるかどうか。そこまで立ちのぼって見るのと違いますか。極めて野望に近いようなものが出てきときには、当然そうなると違いますか。
   市川先生、ほかのご質問がありましたね。

 市川特別委員 

   2番目は、これは大したことではなくて、単なる確認に過ぎませんが、3ページの虎野先生の4番目の事後評価ですが、ここでコストとの関係だけでなく、投入されたリソース全体との関係で評価すべきである、ということの意味がよくわからないということです。
   ここでおっしゃっているコストと、投入されたリソース全体とはどう違っていて、どんな意味を持つのだろうか、という単純な質問ものです。通常ですと、ここは事後評価ですから、プログラムまたはプロジェクトは終わっているわけでして、当然、そこでのコストというのは、ライフサイクルコストなわけですね。それは当然のことながら、投入されたリソース全体を含んでいるわけです.これを、わざわざ、適切な時期に、コストを含んで投入されたリソースとの関係というのは、具体的に何を意味しているのかがわからないということです。

 栗木部会長 

   虎野さんの具体的な中身は、このリソースの中で人員を言ってほしいと。マンパワー。

 市川特別委員 

   今まで、人員はコストに入ってなかったんですか。

 栗木部会長 

   コスト……。

 樋口特別委員 

   宇宙開発事業団の場合、いわゆる職員の人件費は補助金で来ますから、プロジェクト経費の中に、そのプロジェクトを担当する職員の人件費は入れない風習でやってきています。だから、そういう意味で、これはコストとマンパワーといつも我々は言うんですが、一般的ではないかもしれません。そういう意味では、コストはやめて、全部リソースにしておいたいただいた方がいいかもしれません。

 栗木部会長 

   そうですね。経費もリソースだと。

 樋口特別委員 

   これはNASAもそういうことがあって、プロジェクトで賄っている人間の費用と、NASAのシビル・サーバントとして別途来ている職員がいて、リソースと言ったときに、通常、コストとマンパワーという言い方を、我々の世界ではやっているものですから、ちょっと異例かもしれません。

 市川特別委員 

   わかりました。そういう宇宙村のルールでしたら、何も申しません。

 栗木部会長 

   9ページでは、コストを含んでと書いたんで、これもリソースだけにしようかという議論も確かにあったと思いますが、まあ、皆さん、ぴんと来るのはコストだから、それを含んででいいだろうと。そんな表現にいたしました。
   ほかには?

 市川特別委員 

   ヒアリングの結果についての3つ目でありますが、これは、ここでこんなことをいっても仕方がないのかもしれないんですが、小野田先生の真ん中の4番目の評価の観点で「学術的観点」があり、これを受けて、本文で「学術・科学技術」となっています。旧文部省における表現と旧科学技術庁における表現との調整の結果ということでわからなくはないのですが、これを英文にしたときにどうなるんだろうかと思います。
   日本における学術という言葉が出てきた文脈は、明治十何年の帝国大学の大学令ですね。日本に最初に東京大学ができて、それが帝国大学になって、それが東京帝国大学に変わったわけです。その最初の帝国大学令の中で、「学部においては、学術・技芸の理論及び応用を教授し」となっているわけです。結局、学術という言葉は、技芸に対立して出てきたわけです。技芸ですからテクニックです。
今、科学技術というのは、いろいろ議論はあるかもしれませんが、サイエンス・アンド・テクノロジーだと思います。ですから、学術と科学技術を並べるのは、明治何年をいまだに引きずっているわけです。行政が引きずることは別として、宇宙開発委員会たるものが引きずるのがいかがかなと思います。申しわけありません。言葉が過ぎました。

 栗木部会長 

   わかりました。小野田さんを迎え討って私がやりましたときは、両者宇宙科学研究所出身ということもありまして、理学と工学という言葉があって、理の方で意味で私は受けまして、理、すなわち学術だなと思って。最初は、いや、これでいいのではないかと。科学技術でいいんではないかと。当然、これは宇宙開発事業団がやる仕事にプライマリーに当てはめるんだからと。それで私自身、突っぱったんですが、いや、理学もありますよといって、生物学、セレーネの月という案が出てきて、何となく、それで屈してしまったところがあって。
   そうしますと、やはり、これは学術は取って、科学技術に含めた方がよろしいですか。
   ほかに何か御意見はございますか。

 山之内特別委員 

   私も、そう思いますね。学術は取って、サイエンス・アンド・テクノロジーでよろしいのではないでしょうか。

 上杉特別委員 

   英語になれば、サイエンス・アンド・テクノロジーで、非常にわかるんですけれど。

 栗木部会長 

   我が国には、別の歴史もありますと。

 上杉特別委員 

   ええ。意図は、多分、例えば天文、いわゆる理学に属するところですね。大変口の悪い方から聞いたことがあるんですが、くその役にも立たないと。これは議事録に残すには適当な言葉かどうかわかりませんが。それでもやるべきものという話と、ここで評価というと、やはり小野田先生の懸念されているのは、いわゆる非常に近い意味での国民に対して責任というか、近間の成果というような形にとらわれるのではないだろうかと。いわゆる理学として本当に役に立つかどうかわからんというのは、そういう意味なんですが、そういうことでも評価されてしかるべき項目があるのではないかと。例えば、よく言いますけれど、ブラックホールが見つかって、何の役に立つんだと。そういうことをやった場合に、この評価指針だけでいうときちんとした評価がされるのかなという恐れがあるという意味で、言葉がどうかはわかりませんが、学術的というのは、そういう意味だったと思うんですよね。栗木先生が言われた、まさに理学といったような意味のニュアンスがどこかに入らないだろうかと。だから、科学技術という言葉に、昔からひぎずられていると、おっしゃられるように、それは十分入るんだということの認識であれば別に構わないと思うんですが、そのニュアンスが、これで読み取れるかどうかということだと思います。

 栗木部会長 

   頭の学術を取って、括弧の中で書くようなことはできますか。難しいな。私、福田さんと小野田先生と3人で、うーんうーん言って考えたんですが、なかなかいい言葉がありませんで。
   市川先生、どうぞ。

 市川特別委員 

   私は、一言いいたい、ということで申し上げました。現実に宇宙開発委員会は文科省の中にありますので、それからいろいろな力学をお考えになって、トップでお決めいただければ結構な問題かとは思います。

 永安特別委員 

   私も、上杉先生のおっしゃるのは、全くそのとおりだと思うんですね。私は、どちらかというと工学系から見ますと、この中の「科学」という中に、それは十分含まれているのではないかなと。それで、例えば衛星でも、科学衛星という形でイクスプリシットに表現されておりますし、工学エンジニアリングの方は「技術」ということで、「科学」「技術」という2つの言葉の中に、十分、上杉先生のおっしゃった内容は含まれて理解されているのではないかなと思うんです。

 栗木部会長 

   科学技術という言葉が、いかにも語呂がよすぎちゃって、1つの単語になっているような感じがすると。まあ、確かにそういうことはあります。宇宙科学研究所ですから、そういう意味では、科学の中に入っているんですけれど。理学研究所ではなくてですね。それも、宇宙研が改組するときに随分問題になりましてね。科学ということで、理学・工学の両方を読めるかと。そんな議論もあって、科学になったといういきさつもありました。
   まさか、科学と技術の間に、・(中ポツ)を入れるという細工をしなくてもいいような気がいたしますが。私と上杉先生、あるいは棚次先生も含めて、宇宙研の感触に近いかと思います。棚次先生、どうですか。

 棚次特別委員 

   今、先生がおっしゃったように、宇宙科学研究所をつくるときに、科学とは、理学・工学を含むと明文化されましたけれど、一方、航空宇宙技術研究所とですから、まあ、それぞれの今までのいきさつがありますので。
   多分、小野田先生の意図は、先ほど上杉先生がおっしゃったとおりだと思いますが、100年先、200年先にならないとアウトカムが出てこない。そういうものを扱っているということを知っていただきたいということだと思うんですけれどもね。

 栗木部会長 

   委員長、何かいい知恵がございましたら。

 井口委員長 

   余計なことを言うかもしれませんが、市川先生もご存じのように、日本学術会議が、サイエンス・カウンシル・オブ・ジャパンで、文系だって、サイエンスに入っているんですよ。ですから、あまり気負い立ったところで、あまり意味がないのではないかと。

 栗木部会長 

   全く、言葉だけの問題です。
   まあ、さっと読んだときに「学術・」というのが、ちょっと読みにくいという感じも、しますので、これは私の一存で……。私は、大分突っ込んで小野田先生と議論いたしましたが、これは取っておくということでよろしいでしょうか。括弧の中に入れると、またかえって、ややこしくなる。学術的創造性も含むとか、学術性なんていう言葉はありませんし。
   それでは、これは「学術・」を取るということで、2ケ所、たしか2ページと後ろの事後のところ、10ページの6.(1)の「学術」を取らせていただきます。
   市川先生、どうぞ。

 市川特別委員 

   4つ目は、部会長のお書きになった「はじめに」というところです。
   これは少なくとも部会から出る案ですから、部会長個人の見解いうものはあり得ないはずで、ここを書かれるとすれば、当然、部会としての見解だと考えざるを得ません。したがって、これは部会としてつけておくか、あるいはつけないかのどちらかですね。
   私は、非常にいい文章で、というと評価しているようで大変申しわけないんですが、この「はじめに」はあった方がいいと思います。したがって、部会の見解としてもつけておいた方がいいと思います。
   ただ1点だけ、論理構造としてちょっと困る点があります。それは、セカンドバラグラフの「他方・・・」の4行目に、「宇宙開発委員会が行う宇宙開発に特化した評価の指針を纏めることになった」と書かれています。こういたしますと、後の方に何回か出てきます、宇宙開発委員会が第三者として、ということが成立しなくなるわけですね。宇宙開発委員会が宇宙開発事業団のアクティビティーを評価するということであれば、宇宙開発委員会は第三者になり得るわけですが、宇宙開発委員会が行う宇宙開発を評価するのであれば、第三者評価という言葉は使えないわけです。この辺の始末が要るなと思います。
   としますと、案の表題の「宇宙開発に関するプロジェクトの評価指針」を「評価の位置づけ」のところにありますように、「宇宙開発事業団の実施する」というのがついた方が論理的にはいいんでしょうね。ただ、今度はまた別の力学が働きまして、どうも世の中は、大分きな臭くなっておりまして、ここへ宇宙開発事業団をつけてしまうと、後で訂正にばたばたするのではなかろうか、ということもありますので、表題については何も申しませんが、先ほどのところだけは、少し御検討いただければと思います。

 栗木部会長 

   わかりました。私も、その視点が抜けておりましたが。

 井口委員長 

   いや、ちょっと待って。「宇宙開発委員会が行う宇宙開発に特化した評価」というところですね。これは、「行う」で切れて、「行う」は評価にかかるんでしょう。

 栗木部会長 

   はい、そうです。

 井口委員長 

   「宇宙開発に特化した評価」を「宇宙開発委員会が行う」という文章なんだと思うんです。だから、ちょっと文章を考えてと。

 市川特別委員 

   そうですか。宇宙開発を宇宙開発委員会が行うのではなくて?

 井口委員長 

   ええ。評価を行うんだと思うんです。

 栗木部会長 

   そうすると、これは、特化した評価を宇宙開発委員会が行うための指針とかね。そうですね。順序を、宇宙開発に特化した評価を宇宙開発委員会が行う際の指針と。

 市川特別委員 

   読解力が低くて、申しわけありません。

 栗木部会長 

   いえ、とんでもない。私は、そういうつもりだったんですが。それでは、このあたりは語句の入れかえで直したいと思います。
   それから、私も最初は、この部会という格好で、これを出したいなと思っておりましたが、とりあえず案として私が作りましたので、名前を入れましたが、従来のスタイルを見ますと、ナニナニ部会というのが一番「はじめに」の前かなんかにありまして、日付と、部会のタイトルが、この上のマージンといいますか、一番上の欄の右隅に書いてあったと思います。そういう格好でよろしいでしょうか。
   ほかに何か。

 上杉特別委員 

   さきほどのことで戻ってよろしいでしょうか。しつこいようで申し訳ないんですが。
   言葉の意味で、学術というのは抜いてもらって、理学ということを含むということで結構なんですが、その場合、この方式で評価するというのは、必ずしも適当でないというか、まさに100年後でないとわからんようなことがあるわけですね。だから、これを適用すること自身が、まあ、悪いとは言いませんが、そのプロジェクトとしてうまくいって、こういう成果が出ましたというのは、ある程度はできるんでしょうけれど……。そうか。アウトプットならできるんでしょうかね。アウトカムは、ちょっと難しいと。その場合の、だから、「適切な時期に」とあったアウトカムは、まあ、100年後だと読むということでよろしいんでしょうかね。

 栗木部会長 

   実はですね、第1回目のときに、参考資料として配布しました英文のもの、イギリスのものがあります。あれはR&Dで、どちらかというと、まさに学術の評価だったんです。私は読みまして、これはよく書けているけれど、これで大学の仕事まで評価していくのかということを思いました。むしろ、それは今までの理学ということで極めて緩やかな中で、好き勝手にではないですが、極めて自由にやられてきたものに、これだけの評価をイギリスはやろうとしているのかということで。であれば、なおのこと、開発は、そこに盛り込まれているような思想が当然やるべきだと私は感じたんですが。
   その中にただ一つ、学術的なもの、つまりR&Dに対しては、なかなか、こういうものをきつい縛りでやっていっても、答えが出るものではないということが、どこかに書いてあったような気がします。ただし、日本の感覚からいいますと、このぐらいの項目は、R&Dに対しても、イギリスはやっているという感じがしましたので、まさか、FMEAはやってないだろうと思いますが、目標が何であり、優先度が何であり、というようなことから事後の評価をきちんとやると。そういうことは学術でもやっている。その事後の時期が、上杉委員は100年後とおっしゃいましたけれど、とても100年、これはもたないという感じもいたしますが、そのぐらいのことは仮に対象が学術であっても、やるべきではないかなという感じがしています。

 上杉特別委員 

   何でも、勝手をやっていいという意味で申し上げているのでは、もちろんないんですが、ミッションによっては、例えば思った結果が出ないこともあるわけですね。サイエンス・ミッションの場合には。こうであろうと思って、それを目指してやっていったけれども。だから、その結果が見つからなかったということも、場合によっては、それなりの成果になる場合もある。だから、その辺が、いわゆる技術的な話というか、工学と理学の違いといいますかね。その辺の難しさがあるのではないかなと。だから、同じスキームで評価できるのかなというのが、ちょっと心配なところがあるんですが。

 栗木部会長 

   私も、先ほど申し上げた英国でやられているプレストあたりが使っている評価指針を読みますと、例えば、一般相対論の何とかを検証するとかということがあったときに、検証するというそのことが正しかったかどうかというのはアウトカムであって、それに対して、どういう実験を計画して、これを宇宙なり、地上なりでやると。そういうことをやるということが目的だと書くのが、当然、目的のところに書くべきではないかなと。その実験をやりましたと。それは滞りなく、結論はどうであれ、そういうプロジェクトを組んでやるという、その目的は達成することができましたと。しかし、その結果相対論がどうであったかどうかということは、これは、それだけでは答えが出ないかもしれないと。そういう感触で、私は、R&Dの評価を読んだんです。
   ですけれども、書けることは……。こう書いてありました。オブジェクティブのところに、英語で、テスタブル・オブジェクティブと書いてありました。つまり、結果として出せるようなことをオブジェクティブに書きなさいと。それは決して相対論の結果ではなくて、こういうアプローチで、こういう仕事をしますということがオブジェクティブだよとそう書いてあったんで、やはり、それは理学の人といえども、どういうことをやろうとしているんだということは書くべきだと。

 上杉特別委員 

   いや、それに全然反論を言っているわけではなくて、それでいいんですが、これが、だから、そういう意味で一人歩きしなければいいなと。逆に、何も出なかったではないかというような評価に使われると困るなと。そういうこともあるんだということが、どこかで評価する側でわかっていればいいんですけれど。という意味だけです。

 栗木部会長 

   わかりました。はい、どうぞ。

 井口委員長 

   今まで、日本は、宇宙科学といいますか、非常に多くの成果を上げてこられていると思います。この半年の宇宙開発委員会の中でも、成果について伺ったことが幾つかあると思います。ああいう評価で、今まで、それが悪かったという意味での評価はなされたことはないと思うんですよ。

 上杉特別委員 

   幸いね。

 井口委員長 

   いや、幸いというか、これをやっても、全く評価が逆転する危険をお感じになりますか。

 上杉特別委員 

   いえ、そうではないんです。

 井口委員長 

   つまり人類のための知識、新しい知識を獲得したと。それがマイナスであっても。そういう評価については、これをアプライしたからといって、変わらないのではないかという気がするんですけれど。実際にやってみないとわからないところはあるかもしれませんけれども。

 上杉特別委員 

   そうならないようにと。非常に近視眼的な、これで成果がないねとこれだけお金をかけたのに、これだけ成果が上がってないではないかというようなことに使われなければ、もちろんいいんですが、というだけのことであります。

 栗木部会長 

   山之内先生、どうぞ。

 山之内特別委員 

   2ページに、○億円のところが、200億とか、50億とか、数字が入りましたですね。これは大変よろしいと思うんですが、質問ですが、この評価指針が、どれぐらいの年限を持つのかわかりませんが、インフレとか、あるいは為替レートの変更とか、これは「概ね」という表示がされていますから、あまり問題はないと思いますが、もし変わった場合は、これは見直しで対応するということになるんでしょうかね。

 栗木部会長 

   例えば日付入りではいかがでしょうか。この評価指針の発行日で、この数字を読んでいただくということで。

 山之内特別委員 

   そういう解釈でも、よろしいですね。

 栗木部会長 

   まあ、10年先まで、私も、なかなか予測がつきませんけれども。

 山之内特別委員 

   はい。わかりました。

 芝田課長 

   よろしいでしょうか。事務局から発言して申しわけないんですが。
   先生方の意見を聞いていて考えたんですが、この「はじめに」のところなんですが、第1パラグラフに、「その狙いは」というセンテンスがありますよね。「着手後のリスクを最小限」云々と書いてあるんですが、これと並んで、大変重要な目的は、資源配分の適切性を確保するということではないかと思うんですね。つまり宇宙開発委員会が評価した結果が、文部科学大臣に提言あるいは助言として提出されて、文部科学大臣が、予算配分を行うプロセスで、それが多分生きてくると思いますので、本文の中には、いろいろ資源配分のことが書いてありますが「はじめに」のところに明示してあった方がいいんではない、かと。それは第三者が評価を行う大きな1つの目的ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

 栗木部会長 

   本文のどこでしょうか。具体的には。

 芝田課長 

   書いていただくとすれば「はじめに」の……。

 栗木部会長 

   いえ、本文にもありましたと。

 芝田課長 

   本文には、例えば中間評価をして、その後のコストと成果の見合いで、そのプロジェクト自体をやめることもあるとか、あるいは、そのプロジェクト自体を事前評価で、着手するかどうかを決めるとか、そういったような観点が入っていますよね。それは、おそらく資源配分ということではないかと思うんですが、その辺はどういうふうに考えたらよろしいですかね。

 栗木部会長 

   たしか、中長期戦略にも、リスクとコストと書いてあったんですね。
   対をなした方がいいと。そういう御意見ですね。

 芝田課長 

   そうですね。そのリスクとコストを考えて、その結果が資源配分に、つまり、そのプロジェクトに予算をつけるかどうかということに反映されるんだと思うんですけれども。

 栗木部会長 

   そうすると、適切な資源配分を行い、でよろしいですか。それとともに資源配分を行いと。

 芝田課長 

   精査して、適切な資源配分を確保するとともに、着手後の……。

 栗木部会長 

   「とともに」が、後ろにもあります。そうすると、精査して、適切な資源配分を行い、着手云々でよろしいですか。

 芝田課長 

   適切な資源配分が行われ、着手後のリスクを……。文言はまた後で考えますが。

 栗木部会長 

   資源配分が行われとか。例えばですね、いかがでしょうか。

 永安特別委員 

   それに関連しまして、7ページの、多分、今の話は、上のhのところの資源配分に、絡んでくるかと思うんですが、ただし、ここの表現は宇宙開発事業団の資源配分と書かれていまして、これは事前評価のときに……。今の芝田課長のお話は、国としての資源配分、NASDAに対する資源配分ということだと思うんですが、ここのhのところの表現というのは、これでよろしいんでしょうか。

 栗木部会長 

   これは、さらに今の国の話とは、ちょっと違う?こっちのhの方は。

 永安特別委員 

   はい。資源配分計画といいますか、これは立上げで、一番最初のときですね。そのときの資源配分というのは、フェーズAのところで、どういうふうに資源配分されるかということでしょうか。

 栗木部会長 

   今おっしゃったのは、前文の方は、国としてのと。

 芝田課長 

   ここで言う資源配分は、NASDAさんの中身をどう分配するかということですが、私が申し上げたのは、むしろ国が予算をつけるかどうかということなんですが。

 栗木部会長 

   わかりました。適切な資源が配分され、とかという方がいいですか。資源配分として、後ろと混同しないように。

 永安特別委員 

   それから、先ほどの山之内委員の2ページ目の資金のところなんですが、今度、3年間というふうに具体的に書いてあるんですが、これは、いわゆるフェーズA、Bと理解すればよろしいんでしょうか。

 栗木部会長 

   要するに開発の立上げ前に行う。今おっしゃっておられるように。

 永安特別委員 

   そうすると、フェーズA、Bの期間で、50億を想定されると。

 栗木部会長 

   というか、ここには、一応、フェーズA、Bというのは無視していますので、企画立案段階とむしろ取りたいんです。まあ、これも従来のフェーズA、Bから企画立案段階として開発着手に至るまでと、同じことだと思います。

 永安特別委員 

   はい、わかりました。

 栗木部会長 

   なぜ長柄部会長の方で、この50億というのを出したかといいますと当然、200億の中に、この50億が含まれて進んでいく場合もあって、前に50億分だけ出されるという場合もあるかもしれませんが、本来、企画立案というのは、企画立案してみて、次に開発に進むものと、それから、研究開発で終わるものもあるわけですね。開発に着手しないで。ということもあるので、研究開発でもって50億円という大きなものを使う場合には、これは全くフリーで、何にも評価されないでいってしまうというのはおかしいではないかということで、これが出されたんだと思います。

 永安特別委員 

   はい、わかりました。
   あともう一つ、質問なんですが、堀川さんのヒアリングにも出ていたんですが、プロジェクトとプログラムということなんですが、今ごろになって申しわけないんですが、もう一度確認させていただきたいのは、2ページ目の3.の前のところで、「単独のプロジェクトではなく、プログラムの中で連携をもった複数のプロジェクトを一体としたものを評価対象とする」と書かれていまして、基本的には、一応、個別のプロジェクトを対象としていて、それが、プログラムの中の全体の中でも評価されると理解しておけばよろしいんでしょうか。

 栗木部会長 

   つまり、位置づけがどうあって。つまり、全体として、大きなプログラムがありますと、必ずインターフェースを持っているわけでして、それがきちんと、当該、俎上に上がっているプロジェクトに踏まえて計画が立てられているか。そこを見たいしたがって、そのプロジェクトの接合している他のプロジェクト、あるいはプログラム、複数を束ねているプログラムにも、評価の対象が及ぶ場合もあると。

 永安特別委員 

   わかりました。

 井口委員長 

   くどいようですが、13ページに、評価システム全体が書いてあるんですけれど、これから始まるものにつきましては、これを厳密に適用するということを宇宙開発委員会としてはやらなければいけないと思いますが、現在走っているものほとんどのプロジェクトは、この実施フェーズに入っていますが、これは中間評価をアプライするわけですね。
   しかも、7ページの「(3)プロジェクト実施フェーズの評価(中間評価)」というのがありますが、その次の1で「環境条件が企画立案フェーズから大きく変わった場合」というのがありますけれど、変わらないことを望んでおりますが、新聞紙上あたりで見ますと、ことによると、大幅に変わるのではないかという可能性がゼロではない。そのときには、これをやるわけですね。中間評価を。

 栗木部会長 

   その適用範囲というのは、これは更地にあるプログラムのことだけ考えて作ったんですが、これをもし中間から使われるということであれば、それはそれなりに、やはり実施適用を考えていく必要があるかなという気はしております。これも万能ではないというところもありますので。
   ただ、今、委員長がおっしゃっておられるように、中間評価もあり得るではないかということであれば、今、走っているものについても使えるという認識でもって、それを当てはめる段階で、十分見るべきではないかなと思います。

 井口委員長 

   1つは、時間的に間に合うかなと。時間の問題があり得ると。ですから、委員会としては、そういうことも勘案して、これを現実的に適用せよという条件では必ずしもないという理解でよろしいんでしょうか。

 栗木部会長 

   はい。とりあえずは、これは更地で発足するプロジェクトについて作ったつもりです。しかしながら、これが使えるということであれば、当然、そういうところにも参考していただいてよろしいかなと思います。
   それから、この大規模というところではなくて、これ以下のものであった。これは宇宙開発委員会としても、これは大規模ではないので対象としませんという場合もあるかもしれませんが、そういう場合でも、これを使っていただくというのは、自主的に実施機関でお使いいただくと。そういうことも、前文のところで書きましたように、広く活用していただきたいというのは、そういう意味を込めておるんです。
   棚次先生、どうぞ。

 棚次特別委員 

   今ごろ、こういう質問をするのはあまりどうかと思いますが、この評価では、意思決定者は文部科学大臣で、評価主体が宇宙開発委員会となっていますが、宇宙開発委員会と文部科学大臣というのは、行政上、どういう関係になっているんでしょうかね。こういう評価主体と意思決定者の関係になれるんでしょうかね。

 栗木部会長 

   意思決定者は、ここのチャートにも書きましたように、文部科学大臣と。

 棚次特別委員 

   ですから、行政上、宇宙開発委員会は、文部科学大臣とどういう関係にあるのか。

 井口委員長 

   建議ができるのではないんですか。

 芝田課長 

   1つの助言機関として、審議会と同様の立場に立っていると。

 棚次特別委員 

   文部科学大臣と宇宙開発委員会は一体ではない?

 栗木部会長 

   一体ではない。文部科学省の中の、今おっしゃっておられるように審議会的扱いですね。

 棚次特別委員 

   文部科学大臣が任命しているわけですよね。

 栗木部会長 

   そうです。
   ほかに何かありますでしょうか。それでは、よろしければ、今まで幾つか、ヒアリング以外にも、ここで出していただきましたコメントを、「はじめに」のところでもって、資源が配分されているということをリスクと追記という意味と、対にしてという意味の両方なんですが、対にして書き込むということが1つ。それから、宇宙開発に特化した評価を宇宙開発委員会が行うということを、文を正して書きたいということ。この「はじめに」の趣旨を、評価指針特別部会の意見として、これを入れさせていただくということ。日付も含めまして、この「はじめに」の上段右隅のところに入れさせていただきたいというその変更と、それから、本文につきましては「学術・」というのを取るということで、ご了解いただけましたでしょうか。
   大体、以上のことで……はい、どうぞ。

 市川特別委員 

   先ほどからの「学術」についてですが、上杉先生の御心配は「宇宙開発」という言葉にあるのだろうと思います。ですから、最初の「はじめに」のところで、宇宙開発の中には人類の知を蓄積すること、そこでは学術という言葉を使っていただいても結構なんですが、それが含まれているということを、おっしゃっておけば、押さえになるのではないでしょうか。

 栗木部会長 

   わかりました。すぐに、いい場所というのが、ぱっと思い浮かびませんが、学術的なことも、この大規模な開発の中で、極めてロングレンジのアウトカムとして期待しているんだということを、どこかで表現したいと思います。
   では、文案は御一任いただけますでしょうか。
   それでは、この取り扱いにつきましては、今の4点ばかりを訂正した上で、評価指針の特別部会としての案をとりまして、明後日の宇宙開発委員会に報告いたしたいと思います。
   一つ抜けておりました。参考1と2という、この資料ですが、これは福田前推進官が、これを私のところに持ってきましたので、読ませていただいたんですが、波及効果をどうやって実施機関がやるか。しかも、それが宇宙開発委員会ができますかということも、いろいろ御意見をいただきました。実際にESAが、こういう波及効果を定量的に把握しているというのをやっております。ですが、これはなかなか大規模なものでありまして、こういう手法を使い、なおかつ数年かけて、関係の企業に全部、インタビューを行って、プロジェクトに直接投入された原資が、ほかの部門にどのようにしみ渡っていっているか。それを定量的に、しかも何ドルというような格好で出して、しかも、それを投入した金額で割ると。これで見ますと、ESAの場合には、タイムフレームがどうだったか、覚えておりませんが、3倍の効果があったということを出しております。これを同じように用いて、カナダでもやっているということが出ておりました。
   これをやる立場というのは、まさしく宇宙開発委員会というよりは、実施機関かなと思いましたので、これはあくまでも参考資料としてつけさせていただきました。
   たまたま、このベーターというシステムを作ったところが、ストラスブール大学ということで、国際宇宙大学のすぐそばでやっておる活動ということもあって、事業団の池田理事は興味を持っておられるような感触を、たまたまお会いしたときに、これをお目にかけたら、そういうことも言っておられました。したがって、実施機関において、これを参考にしてくださいということでして、これをやるとなると、相当な費用とマンパワーが必要であると。まさくし、リソースが必要であるなということを感じております。ということで、あくまでも参考としてつけ加えました。
   お読みいただけるんであれば、参考1よりも参考2の方をお読みいただきますと、趣旨なり何なりが、すっとわかると思います。参考1は、ほとんど参考2に書かれていることのサマリーでして、かえって見にくいような感じがいたしました。是非、そういうチャンスがありましたら、読んでいただければと思います。
   それでは、長いこと、この会合にわたりまして、貴重な御意見を出していただきましてこの指針の原案にこぎ着けましたことを、私、部会長といたしまして、大変感謝いたしております。一時は分裂するんではないかなという感触も途中で感じましたが、何とか、ここまで、ガイドラインがまとまったということで安心しております。是非、これを今後は活用してこそ、この指針が生きるということですので、是非、今度は活用する場でもって私も、この中身を説明するようなときには説明してまいりたいと思います。
   それでは、どうも長いこと、ありがとうございました。

−−閉会−−




(研究開発局宇宙政策課)

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