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宇宙開発委員会

2002/05/25
宇宙開発委員会 評価指針特別部会(第5回)議事録


宇宙開発委員会 評価指針特別部会(第5回)議事録

1.日時 平成13年5月25日(金) 10:00〜12:30

2.場所 文部科学省別館 5階 第2会議室

3.議題 (1) 宇宙開発に関するプロジェクトの評価指針(案)について
  (2) 宇宙開発プロジェクトにおける評価システムの事例研究
    事例1: ロケットプロジェクト
    事例2: 衛星プロジェクト
  (3) その他

4.資料 資料5−1−1 評価指針特別部会第3回議事録(案)
  資料5−1−2 評価指針特別部会第4回議事録(案)
  資料5−2 宇宙開発に関するプロジェクトの評価指針(案)
  資料5−3−1 事例研究仮想プロジェクト「H−Xロケット」
  資料5−3−2 事例研究仮想プロジェクト
    「技術試験衛星X型(ETS−X)」
  資料5−4 今後の評価指針特別部会スケジュール(案)

5.出席者    
  部会長  栗木 恭一(宇宙開発委員)
  委員  五代 富文(宇宙開発委員)
  特別委員: 市川 惇信、上杉 邦憲、棚次 亘弘、永安 正彦、樋口 清司、藤垣 裕子
  事務局: 素川 審議官、芝田 宇宙政策課長、福田 技術評価推進官

【 栗本部会長 】

   第5回評価指針特別部会を開催します。
   今月初めの5月7日及び11日には、宇宙開発の現場をご視察いただきまして、この会場の議論のほかにいろいろな情報並びに知見を得ることができました。これにご参加いただいて、大変ご協力いただきました先生方、並びに企業関連の方に厚く御礼申し上げます。
   本日の議題は、宇宙開発に関するプロジェクトの評価指針(案)について、それから、宇宙開発プロジェクトにおける評価システムの事例研究、このプロジェクトの指針を当てはめた事例の2件です。

[事務局配付資料確認]

【 栗本部会長 】

   議事録2つですが、資料5−1−1と5−1−2、につきましては、もしお気づきの点等がありましたら事務局のほうに連絡いただきいたと思います。

(1)宇宙開発に関するプロジェクトの評価指針(案)について

   1番目の議題に入ります。宇宙開発に関するプロジェクトの評価指針(案)についてです。これまでの会合で、多くの先生方からご意見をいただきまして、これに関する評価の基本的な考え方、システムを指針として整理したものが5−2です。
   前回、1案をご紹介いたしましたが、今回、それに修正を加えまして、今日の資料を作成いたしました。これをまた、前回同様全部さらいしますと、かなり時間をとります。変更したところを主に拾い出して、それと関連するもとの部分を復習する格好で説明申し上げます。
   1ページに書いてありますように、冒頭の書き出しの部分、並びにこの評価指針の位置づけについては、ほぼ前回の資料を踏まえておりますが、2の評価指針の対象のところは新しく書き直した部分がありますので、ここをごらんいただきたいと思います。1ページ目の下のパラグラフです。読み上げますと、『我が国の宇宙開発においては、宇宙開発推進戦略』、これをイニシアティブ、ストラテジーと呼ぶ方もありますが、これをイニシアティブととらえます。『が、「我が国の宇宙開発の中長期戦略」において記述されている。これを踏まえて、「宇宙開発に関する基本計画」の中で、当面行うべき宇宙開発活動がプログラムとして提示されている。
   さらに、プログラムは、具体的な達成目標と達成時期を定めた複数のプロジェクトから構成されている。』
   次ページに移りまして、『本指針は、宇宙開発プロジェクトのうち宇宙開発委員会が多額の財政支出を伴い大規模なもので評価があると判断するものを評価対象としている。(プロジェクトの予算規模が○億円以上のものを目安とする。)
   なお、複数の宇宙プロジェクトが極めて緊密な連携のもとに実施される場合には、評価の有効性や効率性の観点から、単独のプロジェクトではなく、プログラムの中で連携をもった複数のプロジェクトを一体としたものを評価対象とする。』ということで、このタイトルが、プロジェクトの評価指針となっておりますが、何をするのか、これに関連する上位の、あるいは関連する階層というのはどういうものがあるかということをここで整理しております。
   1ページのところに書いてあります、中長期戦略の中の第8章が、ほぼこのプログラムの中身を示しているものですが、第8章は比較的長期のものと短期のものと、2通り仕分けて書いてあります。基本計画が、向こう数年にわたる計画を書くということになっておりますので、さらにその中から拾い出してきたプログラムというのが基本計画をなしている、こういう認識です。これが与えられて、さらに、このプログラムを実施する上でどういうプロジェクトを構成するか。場合によっては、極めて数の少ないプロジェクトで構成する場合もありますし、数多くのプロジェクトにこれをブレークダウンして行うというケースがいろいろあるかと思いますが、そういうことをくくって、このような表現にしたものです。
   2ページ目の、先ほど読み上げました上段のパラグラフのところは、前回からほとんど変わっておりません。一番最後のところは、今申し上げました、プログラムの中での複数のプロジェクトが関連を持っていれば、これを連携する形で一体のものとして評価しよう、こういう趣旨です。
   それから、第3節のところの評価の基本的考え方、ここもほとんど変わっておりません。再度読み上げて力説したいところは、下から2つ目のパラグラフ、宇宙開発委員会の立場は、『また、宇宙開発委員会の実施する評価により、宇宙開発プロジェクトの実施にあたって許容されるべきリスク、開発のためのコストと開発の効果に関する情報を提供し、国民に対して開かれた透明性の高い宇宙開発を実施する必要がある。』ということで、この評価は公開して、国民に対して問うという透明性の高いものであるということが前提である。ここは従前の原稿にもありましたが、強調したいところです。
   それから、もう1つご紹介したいところは、次のページの一番上の上段のパラグラフ、この第4節の最後のところです。評価システムにおいては階層構造が存在するが、宇宙開発委員会の実施する評価と、宇宙開発事業団の実施する評価との関係を整理すると、図−1のようになる、というのが11ページに書いてあります。
   ここで、将来この指針を適用して取り上げようという評価の場は、この11ページの一番上の四角です。一番上の四角は、文部科学大臣が意思決定をするにあたって、宇宙開発事業団の実施するプロジェクトの方向性を宇宙開発事業団のから提示を受けて、これを独立した評価主体であるところの宇宙開発委員会がこれを評価し、プロジェクトの方向性に関する助言を行う。これによって、文部科学大臣が意思決定をして、プロジェクトの方向性に関する政策決定を行う。これがその矢印で、フローダウンしてきて、これが実施機関レベルに移されるということを示しております。
   この絵の下半分は、本文の中に記述しておりますが、この何枚かの絵というのは、これは実施機関中での階層がかくのごとくにあるであろう、あるいは、このプロジェクトを統括するプログラムも含むということを含めまして、本文のほうに書き下してあります。
   もとの3ページに戻りまして、この上段のパラグラフをごらんいただきたいと思いますが、「図−1のようになる」というところまで、今、ご説明したところです。
   続けて読むと、『宇宙開発プロジェクトの評価システムは階層構造をなし、プログラムとの関連を含んでプロジェクトの方向性に関して宇宙開発委員会が実施する評価と、プロジェクトの円滑な実施に関し宇宙開発事業団の実施する評価からなる。
   さらに、宇宙開発事業団の評価は、そのレベルにより、』先ほど申し上げました幾つかの階層ですが、『プロジェクトから独立した独立評価、プロジェクトの進捗に応じて実施されるマイルストーン審査、技術専門家による特定の技術課題の評価等に階層化されている。
   したがって、宇宙開発委員会が実施する評価は、プロジェクトの方向性に関する政策決定レベルのものであることを十分に認識し、宇宙開発事業団が経営体として責任を持つべき事項までは立ち入らない』というのが、本評価の図−1における一番上の枠の説明になっております。そこが、3ページで新たに加えた点です。
   5節の評価実施のための原則は、書き出しの部分、この3ページに書いてありますところはほとんど前から手を入れておりません。変わったところは次のページに出てきておりますが、4ページのところです。これは、前の3ページでは、事前評価と事後評価があるということを説明して、3ページの一番下、実施フェーズの期間中に行われる評価については、これを中間評価と呼ぶというところですが、環境条件が大きく変化した場合に限り実施するということで、次のページに移っております。
   4ページの一番上のパラグラフは、これは前からあったものですが、その次のパラグラフをつけ加えております。『我が国において、相当額の経費を使った段階でのプロジェクトの大幅な変更や中止が行われることは稀であった。しかし、今後は厳しい財政状況も踏まえ、真に有効な資源配分が確保されるよう、当該プロジェクトをそのまま継続することによる以後のコストと、成果の見通しにより厳格な判断をすることが必要である。言い換えれば、評価時点においては、それまでに研究開発に使われたコストが多大にあったとしても、評価の判断に影響を及ぼすべきではない。』ということをつけ加えました。
   さらに、その次のパラグラフも加えまして、『さらに、中間評価が実施される場合については、プロジェクトの着手に関する判断のみならず、なぜ中間評価が必要になったかということを分析して、必要があれば、』これは事前評価をやったわけですから、その『事前評価システム自体の見直しに反映させることが必要である。』ということをつけ加えております。
   それから、(2)のところに移りまして、事前評価のところです。ここもほとんど手直しはありません。この4ページ目は上のほうだけが手直しをしたところであります。
   5ページ目は、その評価項目が並んでおりますが、1項目だけ一番最後のところに移しておりますので、これは後ほど説明いたします。そのほかの項目は、a.意義の確認、b.目標及び優先度の設定、c.要求条件への適合性、d.基本設計要求の妥当性、e.開発方針及びシステムの選定等はそのままです。
   次のページに移りまして6ページです。ここは、私も、前から書いてあったかどうかちょっと確かではないのですが、力説したいところは、一番上のパラグラフが前のページから続いておりますが、その次のパラグラフ、「システムの選定が」というところでして、これは基本戦略にも書かれていることでありました。基本戦略の第7章に書かれていることを再びここを書いているので、やや冗長というようなご意見もありましたが、やはり評価をしていくときに、これに沿ってやっていくという場合には、ここに書き出しておいたほうが便利だろうと。前からあったパラグラフですが、改めて読み直しますと、『システムの選定が、こうした観点からの十分な比較検討により行われたものであるかどうかを評価する。この場合、国内で実現可能な技術のみでなく、海外で開発中の技術も検討の対象に含めるとともに、システムの選定の根拠となる情報を公開し、客観性・透明性を高めることが望ましい。』ここは前からあったところですが、そのまま残しております。
   それから、その下にずっと来まして、リスク管理の中身で、第3番目のパラグラフでありますが、システムの信頼性・安全性にかかわるリスク解析、これは、前回はその下に書いてあります宇宙開発事業団から、その時点で最も適切な手法、これは時代とともに変遷するものであるということを踏まえまして、括弧内に含めました。例えばFMEA、それからFTA、PRAなどを積極的に用いたデータが提示されることが必要であるということを若干手直ししました。ほとんどキーワードは変わっていないと思います。
   その次のパラグラフをつけ加えました。また、リスクを回避するための方法として、すべてのリスクを当該プロジェクトが負うのではなくて、プログラムレベルにおいても、他のプロジェクトに研究開発課題を分散し、柔軟に吸収し得る余裕(資源、スケジュールなど)を確保することも考慮して、評価する必要がある。そのプログラムが十分に機能しないと、つまりプロジェクトの上位にある他の関連するプロジェクトを束ねているプログラムが動きがとれなくなったプロジェクトを助けるといいますか、柔軟にこれを吸収して、リスクを低減していくという、そういう余裕があるということが必要である。こういったことも、ややプロジェクトの範囲を逸脱しておりますが、プロジェクトのリスク解析を見た上で、そういうところはどう対策がとられているのかということをやはり精査する必要があるかというわけです。
   それから、実施体制のところは手を入れましたので、もう1度読み上げます。『宇宙開発プロジェクトの目的、規模、難易度を考慮し、プロジェクトチームの役割、関係機関や企業の役割分担が明文化され、実施体制が明確になっていることを評価する必要がある。』
   ここで前回いろいろ問題がありましたのは、これから開発着手に移る段階で、予算措置がない場合には、まだなされていない場合には、なかなか企業との関連のインターフェースというのが書きにくいというご批判を受けました。ただ、もしこれが、開発が着手されれば、実施機関としてはどうあってほしいかというようなリクエスト・フォー・プロポーザルといいますか、企業にはこういうことを提示して契約を進めていきたいという、そういう方向性がある程度見えていれば、そういったことを示してもらう。なおかつ、実名等がまだ決まっていない場合には、そこはブランクでTBDにするとかいう表現を用いることも可能かということで、多少ぼやかした表現になっております。
   それから、中間評価の資源配分のところはそのままです。
   それから、(3)プロジェクト実施フェーズでの評価、これもほとんど手を入れておりませんで、一番最後の中間評価の結果、この7ページの一番下のところです。『プロジェクトの中間評価を行った結果、計画に大きな変更を生じる事態に至った場合には、他のプロジェクトへ影響することがあり、プロジェクトレベルにとどまらず、プログラムレベルの変更として評価する必要がある。』これは、幾つかのプロジェクトが連携して行っているということがあったときに、これが1つのプロジェクトで収まりきらないということになった場合には、プログラムレベルの変更として評価する。これも、先ほどのリスク管理の一環かと思われますが、中間評価というところでこういうことが出るという可能性がありますので、ここであえて書いたということです。
   それから、事後の評価、「(4)プロジェクトの実施フェーズ終了時での評価」です。ここでいろいろと手直しし、なおかつ、書き加えたことと、あるいは、その前後関係を整備したところを、改めて前の原稿をそのまま読み上げるところもありますが、再度ごらんになっていただきたいところは、2の評価対象であります。それは、その次の評価の成果と関連しますので、連携して読み上げてみますと、『プロジェクトによっては、個々のプロジェクトとして評価するよりも、プログラムと関連づけて複数のプロジェクトを評価対象とすることが適当である。
   このため、プロジェクトの体系的な位置づけを考慮して、どのような単位(単独のプロジェクトか、プログラムと関連づけた複数のプロジェクトか)を評価の対象とするのかを十分吟味の上、事後評価を実施することが必要である。』
   これに関連しまして、3評価項目、a.成果でありますが、これは市川先生からもご発言いただきました、宇宙開発の成果は、アウトプット(結果)とアウトカム(効果)の2つに分類することができる。この訳が適当かどうかということはなかなか難しいところですが、そのまま片仮名で書かせていただきました。
   アウトプットとは、具体的にどのような結果が得られたか、プロジェクトの目標がどの程度まで達成されたのかという指標であり、これに対して、アウトカムとは、具体的な結果のもたらす効果であり、プロジェクトで設定された目標の枠を越えてプログラムの意義に対してどの程度有効なものであったか、例えば社会的意義がどうであったかというようなことまで踏まえてやるという効果を考えると、これはまさしくアウトカムであろうということで、この2つを踏まえて、場合によってはこれは評価の時期に時間的なずれがあるかもしれないというようなことであります。このあたりは、またあとで事例研究等でも議論していただきたいと思います。
   次の9ページに今入りかけましたが、最後の節であります留意事項のところ、ここに、前からありました、(1)宇宙開発プロジェクトに対する要求条件の明確化というのをこちらに移しました。これは評価項目のほうに入っておったのですが、これは立場が違うだろうということでこちらに移しました。中身を読み上げますと、『宇宙開発プロジェクトの事前評価を効率的かつ効果的に実施するためには、主務大臣が定める「宇宙開発に関する基本計画」において、科学技術的・社会的・経済的観点を踏まえ、宇宙開発プロジェクトに対する要求条件がプログラムとして明確に提示されていることが必要である。』要求条件をプログラムとして明確に提示するというのは、まさしく宇宙開発委員会の仕事ですので、これは被評価者がこれを踏まえて書くというようなつもりでもともと評価項目に入れたのでありますが、立場が違うであろうということで、これは宇宙開発委員会がこれを示しているということが前提条件となっているという意味から、こちらに移しました。
   それから、次のページに移りまして、10ページ、評価活動に対する予算措置。 『厳しい財政状況を踏まえ、本指針に示された評価を適切に実施するため、宇宙開発委員会における評価活動そのもののみならず、宇宙開発事業団における資料の準備などに、必要な人員確保、予算措置が講じられるよう努力すべきである。』ということを書き加えました。
   それから、10ページの一番下、これは前からあったかもしれませんが、私ども、肝に銘じておくべきこととしまして、最後の(6)本指針の見直しということをつけ加えました。これは、本指針に基づいて宇宙開発委員会における評価が実施されるが、宇宙開発委員会においては、この指針に基づく評価の効果や有効性についての検討を継続し、必要に応じて見直しを行うことが必要であるということで、行った評価自身も将来のその後の評価の対象になるというようなことも含めまして、評価をさらに有効たらしめるためにはどういう指針が望ましいかということは、絶えずこれを反復しながら将来に臨みたいということをこの留意事項に書き加えました。
   似たようなことは、中間評価のところにも、事前評価が不十分であったらば事前評価そのものを見直すべきだということも書き加えましたので、それとあわせて、本指針の見直しということにしたいと思います。

   以上、ほぼ手直ししましたところを中心にご紹介申し上げました。下線が引いていないので、私も多少うろ覚えで、こうではなかったかと思いますが、福田推進官、いかがでしたか。こんな箇所だったですか。と思います。以上ですが、これにつきまして、ご意見等を賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。

【 棚次特別委員 】

   全体の流れが、私から見ますと、衛星系を想定して書かれているような気がしてならないんです。輸送系の場合、ちょっと何かところどころ合いづらいなという。私が事例研究を後でご説明しますが、輸送系とか、衛星系でちょっとニュアンスが違うのではないかという気がしてしょうがないんですけど。

【 栗木部会長 】

   私自身も輸送系を手がけたことがないので、そういうスタイルになったかもしれませんが、具体的にどういうところかというところは、それじゃあ、事例研究でもってむしろ指摘していただいたほうがよろしいかなと思いますが。

【 五代委員 】

   私は、一番最後の図−2というのは、これは前から出ているのですが、上にPPP(フェーズド・プロジェクト・プランニング)、これが従来型の典型ですね。だけど、プロジェクトは必ずしもこのとおりいっているわけではないし、これからもこういうふうにやるかどうかわからない、変えるかもしれないと言っているわけです。フレキシビリティーが要るのではないかと思うのですが、これはもう二、三十年前からの考えで、そこに審査がある。下のほうに宇宙開発委員会が、これはNASAの意見なども考慮してあれして、企画立案と実施ということでになっています。事前評価、その下の矢印はわりは範囲が広くフレキシビリティーを持って、どこでも審査ができるようになっているんですが、企画立案と実施の間に線が1本ありますね。この線を、この絵だけを見ますと、これイコール、フェーズBとフェーズCのところにパチッと合っているんです。が、この辺はフレキシビリティーがあるのではないかと思ったんですよ、ものによって、それこそロケットによって、衛星によっても、みんなプロジェクトによって違うかなと思いました。思って、私もわかりませんが、企画立案と実施の間のこの1本の線というのが、少し斜めの線ぐらいになるのかなと思ったのですが、どうでしょうね。絵をかくと、バッとこうなっちゃうのかもしれないけど。

【 栗木部会長 】

   横軸が時間として、斜めになって……。

【 五代委員 】

   ええ、上の絵と2つ並べていると、上の線とぴたっと一致していますから、ここを言っているのかなと。それから、もう1つは、フェーズアップのときに、従来の極めて不思議な日本語の「開発研究」だっけ、あれがもう一切ないんですね。

【 栗木部会長 】

   下のほうですか。

【 五代委員 】

   ええ。下のほうで、そうですよね。それと線もちょっと気になったのですが。

【 栗木部会長 】

   いろいろなご意見を出していただきたいと思いますが、この件に関してどなたかご意見をお持ちでしょうか。

【 棚次特別委員 】

   時間ではなくて予算の執行時期なんでしょうね、きっと。

【 栗木部会長 】

   そう、まさしくおっしゃるとおりで、この冒頭といいますか、この宇宙開発委員会の立場にも書きましたように、大きな予算を伴うと判断されるプロジェクトが開発着手という格好で計画評価部会の俎上に上がってきたときに、まさしくこの縦の線があらわれたなということを私どもは認識するのではないかな。その前からあらわれるぞと言われれば、事前の評価ももちろん柔軟にやっていきましょうというのが横向きの矢印かなと。

【 五代委員 】

   わかります。横の事前評価のところに矢印がずっと広くなっているから、そうだと思うのですが、言ってみれば上のものは、必ずしも今後こうならないかもしれないし、なってないのがいっぱいあるんですね。だから、上は非常に明確に区切っなっている、下はフレキシビリティーを持たせている、それを1対1に示すやると、どうかなと、こう見ていた思ったのですが。

【 栗木部会長 】

   その点に関して、いわゆる経費、つまり開発着手という予算措置という節目はどうお考えになる?

【 五代委員 】

   いや、予算の話というのは、財務財政とか何とか、いろいろなところの絡みがあって、それから、メンツとは言いませんが、いろいろなストーリーもあります。あって、私がH−2をやったときの例で言いますと、実は研究のフェーズで実際には開発だったのです。名前をつけてくれる、つけてくれないという、極めてそういう話と、お金を実態的につけてゴーをかけるのとか、そういうのがあるわけですね。そういうようにきれいにさっと行かせないようにしているのもあると思うのですが。

【 栗木部会長 】

   おそらくこれがまた後々棚次先生の推進系の場合、輸送系の場合は、いや、違うよという感触かもしれませんが、ただ、宇宙開発委員会の立場からしますと、たびたび同じこと繰り返すようですが、やはり大規模な開発に着手するときの、○億円になるのかそれはわかりませんが、明らかにこれは大きなリスクも含み、なおかつ大規模なプロジェクトで、今までにあまり経験もなかったようなものであるといったときには、これを予算申請して、開発着手に踏み込もうかというときには、一応開発委員会の立場というのは、社会にそれを公開していくという、そういう役目を負っているわけなので、そういう節目というのは斜めではなかなか出てこないのではないかなと。

【 五代委員 】

   斜めかどうかは知りませんが、下は、私、趣旨を何も反対しているわけではないので、上の、非常に明確にやっている、場合によっては時代おくれの区分けと、何か新しい考えの区分けが1対1に見えると。

【 栗木部会長 】

   あっ、ご趣旨はわかりました。

【 五代委員 】

   だから、別々に書いてあればわかるんですが。

【 栗木部会長 】

   わかりました。ご趣旨はわかりました。全く宇宙開発委員会の立場で書いたというようなことです。おっしゃるとおり、ある場合には、極めて、これをスカンクワークと言っていいのかどうかわかりませんが、随分前倒しにやって、かなりでき上がったものもありますし、やはりそれだけの大きなお金が出てこないとできないというところもありますし、それはプロジェクトさまざまだというところも、とても1本の縦の線じゃ書けないというのは、技術的に見るとそれは同感だと思いますが。

【 五代委員 】

   上は消して。

【 栗木部会長 】

   消しますか。ただ、過去はこうであったという。上杉先生、どうぞ。

【 上杉特別委員 】

   3ページに書いてありますように、遅くてもそこまでということですよね。実施フェーズに移行するまでは、本指針で示された評価が完了されていなければいけない。それがその線のあれだと思いますが、その前の事前評価という、この矢印が幅広く書いてありますね。だから、そこで読めるのではないでしょうか。だから、実質は、予算はというか、名前は違っても、実質的な開発はわりにこの企画立案と書いてある中で、今、五代さんがおっしゃった、早く始まっているようなケースもあると。すると、そこで事前評価を早めにやるという形で、この矢印が広がっているところで読めるのではないかなと。

【 五代委員 】

   線がもっと太ければどうですか。

【 上杉特別委員 】

   この線は、だから、確かに予算として大きな予算がつくかどうかという線だけだと思えば、実質のやっていることは、おっしゃったように少しこう、と思えば、そんなに違和感はないかな。

【 五代委員 】

   いわゆる実際に、特に衛星なんかをやった人なんかだと、予備設計から続くフェーズの、納得系、設計ってこういうイメージがありますね。そこの間でやると、見えないかなと。

【 栗木部会長 】

   まあ、衛星もそうじゃないですかね。

【 五代委員 】

   実際には非常にこうなっていますよね、ものによって。

【 栗木部会長 】

   プラン・ドゥー・チェックはやっとるんです、ごちゃごちゃやるんです。ただ、その絵が出ると、まだフェーズBをやっていて、フェーズCにいったときに、ピッとやるんだと、こう見えないでしょうかね。上、とっちゃいますか。

【 五代委員 】

   上は古いでしょう、考えが。

【 栗木部会長 】

   ただ、その……。

【 五代委員 】

   必ずやるんですよ、やるんだけど。

【 永安特別委員 】

   今のに関連するんですけれど、事前評価の位置づけといいますか、役割として、このペーパーでは一応企画立案から全体がプロジェクトというふうに一応位置づけて出ていくわけですね。それで、企画立案の段階では、一般的には総経費が明確になっていないと。

【 栗木部会長 】

   総経費が明確になっていないといか、それはそれなりに予算措置があって動くんだと思います。ただ、宇宙開発委員会としてのとらえ方は、特にまさしく大規模なものに踏み込もうとするところの事前評価という意味ですので。

【 永安特別委員 】

   だから、そのプロジェクトは、私の理解では、開発フェーズに入ったときにその総資金が認められるという意味で、企画フェーズのところでは、開発全体の総資金枠はまだ見えていないと。従来ですと、開発フェーズに入るために総資金を投下していいかどうかという判断をするために、ここで言う事前評価というのを行うということではないかと思うのですね。そうしますと、やはり事前評価というのは、この実施フェーズに入る前、タイミングとしては入る前にそこに入っていいかどうかという判断をするためのものと考えてよろしいんでしょうか。

【 栗木部会長 】

   そうだと思います。ただ、それを極めて短期間で済むか、極めて幅広いユーザーまで見渡したときは、その企画立案の立ち上げのところから十分に見たほうがいいか、そこだと思いますね。難しいところだと思います、プロジェクトの性格によって随分変わるものですから。

【 永安特別委員 】

   わかりました。

【 栗木部会長 】

   棚次先生、どうです?

【 棚次特別委員 】

   今までの反省で、いきなり予算をつけるのではなくて、全予算の30%ぐらいをつけて様子を見るという話が前回あったと思うのですが、そうしますと、その30%の前倒しをつけるときが実施時期だということになるんですか。それとも、30%使ってみた後で、本格的にいくときが実施フェーズになる、それはもう金額によって決まるんですか。

【 栗木部会長 】

   金額だと思いますね。

【 棚次特別委員 】

   30%が100億を超えていれば、それはもう実施だと。

【 栗木部会長 】

   というのは、それから来るところの開発というのはすばらしく大規模なものだということになりますので、それは企画立案フェーズをきちんと確かにするために、矢印の左端がかなりさらに左のほうに伸びていくという、そういうことではないかと思います。ですから、これ、アプライするときに、かなり開発実施機関と宇宙開発委員会がうまく連携して、どのフェーズで評価の俎上に乗せるかということは十分に打ち合わせていかないと、実効力を、効果を持たないということは感じます。

【 市川特別委員 】

   今までの皆さんのご議論をお伺いしていますと、2つの点で整理したらどうかと思います。企画立案と実施と分けるよりは、企画立案段階も含めてそのプロジェクトの完成に至るまでの経費が、ある精度でもって予測されるようになった段階。頭から予測できる場合だってあり得ると思いますね。ある程度詰めていくと見えてくる場合もあるでしょう。ということで、そのプロジェクト完成までの経費がある精度で予測できるようになった段階で、その予測された金額がここに書かれている○億円以上の場合というところを1つの区切りと考える。
   もう1つ大事なのは、中間評価をやって、技術的な問題等が起こったときに、やめる覚悟もある、という言い方をしているのですが、そういう技術的な手戻りが難しくなる、あるいは,手戻りにコストがかなりかかるようになる、その時点で区切るということもあり得るかと思います。

【 栗木部会長 】

   何かご意見、ありますか。今のご意見の、中間評価の手戻りの時期なんですが、これを、だれがどの時期で見極めるか。CDRなんていう具合にはなかなかいかないと思います。ですから、これこそもっと実施期間がかなり自主的に、これを目を光らせていて、ご注進、ご注進と宇宙開発委員会に言ってきてくださるか、あるいは、もう実施機関が主体的にやられるか、その結果を報告して、なおかつ宇宙開発委員会も加わるか、それしかなかなかない。遠目で見ていて、そろそろ手戻りが難しくなってきたぞというのは、とても宇宙開発委員会ではなかなか判断できないし、この紙ではなかなか書けないと思います。全くその実施上の柔軟な管理かなと思いますが。

【 市川特別委員 】

   ちょっと私の言葉が足りませんでした。私は、事前評価の終わりの段階を言っているわけでして、中間評価として申し上げているのではありません。たとえば、システムの選定などが行われ、ある程度先が見えてきて、じゃあ、ゴーにするかどうするかとなって、システムの選定等を変更すると、大幅な手戻りがでます。そのことも企画立案段階の事前評価の1つの区切りにする,その前にやるという、そういう意味です。

【 栗木部会長 】

   わかりました。私、2つお話があったかと思って、勘違いしました。どうも申しわけありません。
   ただ、おそらく開発段階に踏み込みたい実施機関が腹を決めた段階というのは、開発費の見込というのもかなりついた段階ではないかなと、これまでの事例ですが。さらに、企画立案が何年と決められているわけではないので、おそらく実施機関の意思決定がそこで、この規模ならやれそうだという目安がついたところかなと思っておるのですが。
   ただ、ここも、特にPDR前とか、CDR前とかいうような表現にはなっておりませんので、上のこのピジョンボックスみたいなのはとったほうがいいでしょうか。
   ただ、従来のイメージを持っておられる方の対応としてなのですが。

【 棚次特別委員 】

   ケース・バイ・ケースで宇宙開発委員会が判断されることになるんでしょうね。

【 栗木部会長 】

   そうですね。と思います。

【 上杉特別委員 】

   そういう意味で、さっきから言っていますように、矢印が広く書いてあるのは、それを含んでいるのではないでしょうか。

【 栗木部会長 】

   そういうことです。

【 上杉特別委員 】

   別件でよろしいでしょうか。6ページのところの上から4行目、2パラ目ですが、この辺、栗木先生が先ほど強調されたのですが、もちろん、これ、システム選定する場合にいろいろなことを検討するということは当然でありますし、やるんですが、後で事例研究のところでもちょっと申し上げますが、これが必ずしも公表するかどうかというのは、これ、大変難しいケースがある。例えばいろいろなメーカーがありまして、その選定作業をするわけです。それがもうすべてが選定理由というようなものがオープンでできるかというと、必ずしもそうでない。いろいろなほかの、政治的と言っていいのかもしれませんが、いろいろな条件が絡んでくる場合があるし、それから、選定されなかったメーカーに対して、あなたのところはこういうことで選定されませんでしたよというな、なぜ選定したかということを各社には言わない契約にしないと、契約に応じないメーカーがあるんですね。というか、選定されたメーカーの情報が、逆に言うと、されなかったほうに流れるという恐れもあるので、メーカーのノウハウみたいなことがありまして、契約条件にそれを言わないことというのが入る場合が多いです。ですから、必ずしも、これ、公表するということができない場合があるのではないか。ちょっと、これ、後で事例研究のところでも同じことを申し上げるかもしれませんが、その辺がちょっと心配といいますか、これ、必ずしもこうはいかないかなと。

【 栗木部会長 】

   落とした理由も公表するという意味で書いたのではなくて、むしろ採用した理由、つまり、これは何でこれになったのか。

【 上杉特別委員 】

   でも、その裏には、じゃあ、なぜ落ちたのかというのがあるんですね。

【 栗木部会長 】

   それはそうですね。でも、採用したときに、裏の理由を全部さらけ出すかどうかは別として、大義名分がないと、やはり、これに落ち着いたというロジックは説明できない。

【 上杉特別委員 】

   だから、それを全部言えない場合というのが。だから、選定理由というのが、必ずしも技術的にこれとこれとこれと比べてこうですよと、そういうわりに単純ではなくて、例えば極端に言うと、そういう言い方はいいかどうかはわかりませんが、ここのメーカーはこう言っているが、実はちょっと心配なんだというようなことがあって、額面通り出てきたスペックを見ればいいが、実は心配なのでというようなことは現実世界にはあるんですね。そういうことまではとてもちょっと公表できない。その選定理由すべてをオープンにすることはできないというのが、現実には大変多いケースだと思いますね。基本はいいんですが、なかなか現実には、これ、そのとおりには難しいかな。

【 栗木部会長 】

   わかります。

【 永安特別委員 】

   2ページ目の3.の前なんですが、評価の有効性や効率性の観点から、単独のプロジェクトではなくて、プロジェクトを一体としたものを評価対象とすると書かれているのですが、これ、全体を見ながら評価するというのは理解できるのですが、個々のプロジェクトというのも当然個別に評価されると理解すればよろしいんでしょうか。

【 栗木部会長 】

   おっしゃるとおりです。全く当該プロジェクト、特定のプロジェクトが俎上に上がるわけでして、それを中心にされることはもう言うまでもない。ただ、それに関連するプロジェクトがあった場合には、例えば前に先行してやられたプロジェクトが今あると。その技術を今のプロジェクトがどう引き継いで、また、次にフォローしているプロジェクトがあった場合には、ここで得られた技術を踏まえて、それを引き継いでいくんだと。それがほんとうに成り立つかどうかというようなこととか、そういうようなことは裏づけとして欲しいというようなこともあるかなと私はイメージしてこう書いたので、中心は、あくまで出されてきたプロジェクトが主な視点。

【 永安特別委員 】

   それに要求されるリソースだとか、時間だとか、品質だとか、そういうものを満たしているかどうかというのは、一義的な評価対象になる。

【 栗木部会長 】

   そうです。一義的なものです。

【 市川特別委員 】

   別のことでよろしいでしょうか。9ページの上からcのところの波及効果ですが、ここで、産業連関表などを積極的に利用して、できるだけ定量的に把握することが望ましい,となっています。私は、宇宙産業の構造とか、その構造の中における経済波及係数なんかをどの程度把握されているかよく知りませんので、ここはむしろ宇宙産業にお詳しい方のご意見をお聞きしたいのですが、これが可能なぐらい、経済構造とか、その中の波及の係数がわかっているのでしょうか。もしわかっていないとすると、この「定量的把握」というのは少し難しいのではないか,という気がします。

【 栗木部会長 】

   そうですね。ここのところ、「できるだけ」と書いてあるんです。藤垣先生、いかがでしょう。また、ご要望に応えるデータを今度は実施機関が出せるかというところもいろいろある。

【 藤垣特別委員 】

   おそらく、この特別委員の構成とはまた違う専門の方が、宇宙産業を産業としてとらえる方からちょっと意見を伺うとかしてつくる方法があるかなとは、そういう印象は持ちますが、あと、また別のことを1つつけ加えてよろしいですか。ちょっとすみません、話題がかなり変わりますが、4月23日の案に比べて、この案は、非常に各委員の意見が反映されて、大分前進しているのではないかという印象を持っているのですが、あとは、もう1つ図−1に、栗木部会長が2ページ目のところで強調されました、国民に対して開かれた透明性の高い宇宙開発というものが、この図−1の中ではどんなふうに表現されるんだろうということをちょっと考えたのですが、つまり、ある意味で、宇宙開発委員会の評価が開かれているということが強調されているわけですから、この図−1においては、上のほうの四角の左側ぐらいのところに「国民」みたいなのがいて、それに対して公開をし、そして、意思決定者である文部科学大臣が下に下りてくる矢印に対して意見が国民から来るみたいな感じなんですか。そうでもない?そこまでは期待していない?

【 栗木部会長 】

   そこら辺はどうでしょうか、この箱の中に国民が入るかという。市川先生、いかがでしょう。そこまではなかなか書きにくい。

【 棚次特別委員 】

   評価委員会は公開?

【 栗木部会長 】

   そうですね。評価委員会は公開です。ですから、ワンウェイで矢印は書けるのですが、国民のリアクションがプロジェクトのゴーの欄にはなかなかもう1つの矢印というのは書けないと思いますが。実施機関だけど、これはもうほんとうに実施機関にお任せしているけれど、こうもあろうかといって仮想構図を一応書き加えたと。ちょっと下が重過ぎるかもしれません。

【 藤垣特別委員 】

   一応、公開という矢印だけは少なくとも書く。

【 栗木部会長 】

   それじゃあ、意思決定がもう1つ公開という表現でできますか。考えてみます、この絵の書き方を。ありがとうあります。

【 五代委員 】

   先ほど、産業連関表のお話がありました。これはもう絶対あればいいんですけど、現実に、今、日本はどうなっているかというと、NASDAの、要するに1次、2次というんでしょうか、直接、それから、その次、さらに広くということでいうと、そういう計算というのはあまりされておりません。アメリカではそういう計算を一部されているようですかなと。日本はこれからというところで、実はそこのところをもっと強調してやれば、非常に外に対しても、宇宙開発というのはこんなに意味があるんだというふうになるのですが、申しわけない、残念ながら、今までそこの部分はかなり欠けていたと思います。ですから、これ、希望としては絶対ほしいと思うけど、パッと書かれていると、さて、皆さん、どうだろうというのが現状です。

【 栗木部会長 】

   実は私もこれに関して衛星メーカーさんを回っていろいろ話を伺ったときに、地球観測衛星の東南アジアでの気象状況、それから、長期にわたる予測等をやって、災害を防いだ事例があると。それをまた何万人の命が防げたというような言葉できちっと数字で出されたところがあって驚いたのですが、それは、多少数字で出てくると、すばらしいなと思う反面、その信頼性はどうなんでしょうかと聞きたくなってくる悪いくせがありますが、やはりそういう根拠を明らかにした上での、今、五代委員がおっしゃったような、欲しいですね。私は欲しいような感じが、そのときつくづくしたんです。フィリピンの人民の2万人の命が救えたのですよと言われて、ははあと私は思ったのですが、やはりそれをつくっていかないと、なかなか地球観測衛星のあれにもならないなと思いまして。

【 市川特別委員 】

   状況はわかりました。ただ、いわゆるレオンチェフ型の産業連関分析というのは、あくまで量の世界の話なんですね。自動車1台つくるときには、ゴムを何キロ使い、鉄を何キロ使い、プラスチックを何キロ使うという、そういう構造があって、あのレオンチェフの表が計算できる。宇宙産業がそういう量の世界で議論できる段階になっているのかどうか。まだ質のレベルであって、質の間での連関をお狙いになっているのではないか、すると、次の「定量」は厳しいだろう,と考えたわけです。私はこの辺の事情を存じませんから、これを受けた人が、ちゃんと産業連関分析表をお出しになればいい話で、ただ、出せるかどうかだけの問題です。

【 栗木部会長 】

   ポジティブに書くか、それとも、控えめに書いておいて実行上ポジティブにやるか、そこかと思いますが、もしあれでしたら、「積極的に利用することが望ましい」にしておきましょうか。その辺、実際にこれ、受けられて、実施後のデータべースを持たれるのは宇宙開発事業団なものですから、もしこれがこう書くというのが実態に伴っていなければ、表現をそちらと整合をとりたいと思いますけど。樋口委員、よろしいですか。

【 樋口特別委員 】

   すみません、ちょっと遅れてきて申しわけありませんが、まだ議論に全部追いついていないのですが、これは委員会がやられるんだから、委員会がやれるかどうかの議論をしないといけないのではないんですか。

【 栗木部会長 】

   でも、データベースを出していただくというのは、どういうデータがとれて……。これは、あれですね、委員会がやるときに、委員会が分析屋さんにそれを委託するのかどうかですが、そのリソースを出してもらうのは……。

【 樋口特別委員 】

   定性的な各プロジェクトのいろいろな効果なり、成果がどう生かされているかということについてのまとめは、プロジェクトの責任でプロジェクト終了後にやりますが、それを経済学者が入ったような形の定量的なことには、やれる状況には正直言ってありません。税金を使ってやるので、そういうことがかなり大事なことは意識しているのですが、それに人なり、時間を割く余裕が正直ないのが事実だと思います。

【 栗木部会長 】

   わかりました。それでは、この辺の表現はもう少し工夫しまして、積極的に利用して把握することが望ましいと、定量的というところは少しトーンダウンしたいと思います。以上でよろしいでしょうか。
   幾つかご意見をいただきまして、さらに反省するべき点がありましたのも承りましたので、このあたりを少し手直しして、最終案に近づけたいと思います。よろしければ、これを踏まえて、これに再度戻って検討材料にしていただいても結構ですので、次の事例研究のほうに移りたいと思います。



(2)宇宙開発プロジェクトにおける評価システムの事例研究


   2件ありまして、この評価指針は適用したときにどのような評価が実施できるかということで、実施する上での考慮するべき事項等を明らかにしてもらう意図で、棚次委員と上杉委員にこの事例研究をお願いしております。この2つを棚次先生、上杉先生の順で説明していただいて、その後でご議論いただきたいと思います。
   棚次先生、よろしくお願いします。

【 棚次特別委員 】

   ロケットの関係の事例研究ということで一応まとめてみましたが、生々しい現実の問題じゃなくて、H−Xというふうにしました。例え事例研究であっても、ここに事例を出されると困るという部分がたくさんあると聞いていましたので、極力そこは避けたのですが。
   一応考えるものとしてはH−Xで、再使用型輸送システムが2015年中ごろ、2010年代の中ごろから後半にできるだろうと言われておりますが、それまでは使い切りロケットがまだ主役でいないといけないということで、その使い切りロケットというものを想定してやりました。それで、レベルですね、イニシアティブ、プログラム、プロジェクト、これの考え方によって、この事例の後ろの部分がかなり変わってきます。私はこういうふうに考えましたということです。イニシアティブはやはり宇宙輸送のイニシアティブがまずあって、これは中長期戦略におおよそ書かれていると思っています。
   その次のプログラムとして、やはり使い切りロケットプログラムというものがあって、その関連するものとしては再使用型輸送機のプログラム、あるいは軌道間輸送機のプログラムというものがあるのではないかと。ここでは使い切りロケットプログラムの中にHXロケット開発プロジェクトがあるということにしました。多分後で議論があると思いますが、これ、1号機、2号機、3号機がそれぞれ全部プロジェクトだという考え方があるかもしれませんが、私は、H−Xロケット全体をプロジェクト、あるいは途中で改良があるかと思いますが、その改良までの部分をプロジェクトと考えます。
   それから、事前評価に入りますが、プロジェクトの意義に基づく要求条件の提示、これが宇宙開発委員会から示されるのですが、これ、ケース1、ケース2などは、ほんとうは必要でなかったかもしれません。単にこの評価指針をチェックするだけであれば、別に2つも例を挙げる必要はないので、1つであってもよかったのですが、一応ケース1、ケース2というのを考えましたが、ケース1は国の需要に対応した大型衛星を打ち上げるための使い切りロケット。ケース2は、国及び民間の需要に対応したとなっています。これは、ケース1とケース2で極めて大きく違うところです。ケース2はかなりビジネス志向になりますので、かなり微妙な問題がいっぱいあるということになります。
   それから、要求条件としては、ここに挙げていますのは、去年出されました中長期戦略からほとんどコピーして持ってきたものを一応挙げました。1番目はいいんですが、2番目は技術の選定に当たって、競争的環境を確保し、計画の立案段階から学界の知恵、企業の自主性を積極的に活用した産官学の連携・協働体制をつくること、これはまさに中長期戦略に書いてあるそのままコピー。それから、地上及び宇宙環境の保全ということについても、これは中長期戦略にほぼ書かれているものです。こういうものが要求条件になるのかなと。あるいは、もう少し細かくというか、もう少し正確にここを書くことになるのかなとは思いますが、一応イニシアティブからの要求条件のようなものになっています。
   ケース1固有の条件、これも、ここに全部いってもしょうがないのですが、ケース1の固有条件はこういうものじゃないかと。ケース2については次のページのようなものではないかと思って書きました。この辺はおおよそ中長期戦略からのものです。
   ケース2については、ちょっと私なりにビジネスサイドに踏み込んで書いていますので、これをもう少し書いていきますと、ちょっと微妙な問題が起こるように聞いています。
   それで、事前評価に入るのですが、評価主体のところで、評価者の選定、これが評価規範に則した評価者を選定してくださいということです。それから、宇宙3機関が今後一体的な運営を求められておりまして、輸送系関係者がほとんど第三者とは見なせない状況になってしまうことがありまして、要するに、宇宙輸送システムに精通した評価者の選定はかなり困難じゃないかと思っています。技術的な観点以外の評価については、他分野からの評価者のほうがむしろ望ましいと思います。社会的効果、あるいは経済的効果というようなものについては、宇宙部落の中よりも外の方のほうに評価していただいたほうがいいように思います。
   評価項目ですが、意義の確認とありますが、ケース1では、もう国のミッションだけですから、まさに、これも中長期戦略に書かれているものなんです。必要なときに国のペイロードを宇宙空間の所定の位置に展開する能力を確保する。我が国は、今後この自由度を確保すると、まさに技術安全保障ということが前面になります。
   それから、ケース2のビジスネ志向になりますと、国際的な宇宙輸送システムのリスク分担に貢献して、これによって国際競争力も高められるということになるかと思います。
   それから、このプロジェクトが実施されなかった場合の損失ということなのですが、国策として必要な国のペイロードを必要なときに打ち上げられる自由度が小さくなる。外国のものにお願いしてもいいのですが、微妙な衛星の打ち上げを外国に委ねてもいいのかということになります。
   それから、自前の宇宙輸送システムで宇宙活動に対処できることによる科学立国としての国民の自負が損なわれるのではないかということです。
   あと、目標及び優先度の設定ですが、これについても、もう少し厳密に、もっとはっきりと書いたほうがいいのかもしれませんが、一応これも中長期戦略から拾ってきたものです。ですから、ここに書いてあるものももう少し定量的に書いたほうがいいのかもしれません。これについて順位をつける。これは、ケース1、ケース2をごちゃまぜにしてここに挙げています。
   それから、要求条件の適合ですが、これで、bで設定されたことによって要求条件に対応すると。
   それから、基本設計要求の妥当性、これはもうはっきりとGEO/GTOへ何トンのペイロードを投入するということ、何年に運用を開始すると、運用コストは幾らになります、信頼度はどれぐらいですか、性能及び機能はということなり、これもケース1、ケース2をごちゃまぜにして書いてあります。ですから、ケース1、ケース2で、この中から優先度が変わってくると思います。それに対する妥当性を検討することになるのではないか。
   それから、システムの選定、開発方針、これについては、技術の成熟度としては、ターボポンプとか、燃焼室とか、そういうものの技術がどこまであるのか。オプションの比較については、そこに書いてあるようなもの。それから、オプションの選択は契約企業選定と連動するが、メーカーの実力、熱意を含め「開発研究」段階での複数オプションの設計・試作の検討を英知を集約することによって行ったかを評価する。
   それから、開発方針としては、自主開発か、外国からの購入かというようなものの検討になるのではないか。
   それから、リスク管理ですが、この辺については技術的な観点からのリスク管理と、プロジェクトを遂行する上からの観点からのリスク解析になるのではないか。これらに冗長系を付与することによって、ある程度の定量化はできるのかなと思います。
   それから、実施体制としては、これは先ほど問題になりましたが、どこまで計画の実施の一番最初の段階でこれが全部決まっているかどうかということがありますが、そういう階層を示すのかな、体制を示すのかなと。
   資源配分については、経費については、各フェーズにおける各機器の開発、試験設備、試験、運用の内訳で、特にリスク管理、目的の優先度の観点からエンジンの開発・試験や地上試験が有効でない、要するに地上で試験できないものに対してどこまで解析に重点配分されたかということとか、人員についても同じようなことが言えるかと思います。定量的な評価というのは極めて困難ではないか。記録を残しておけば、後のプロジェクトに反映できるという効果はあるかもしれません。
   中間評価については、これは宇宙開発委員会が判断しておやりになることだと思いますが、その中で、評価主体は先ほどの事前評価と同じになりますが、この環境変化なんですが、環境条件の変化を宇宙開発委員会が常に適切に判断できる体制が整っていないといけない。結果論からいきますと、あのときだったと言えますが、それがいつ起こるかというのは事前にはわからないものですから、常時そういう体制で宇宙開発委員会は常にプロジェクトをにらんでいないといけないのではないかという気がします。
   それから、輸送系のような宇宙活動の根本的なインフラ、これは中間評価の結果なのですが、ここでは、これもちょっとイニシアティブとか、プログラムとか、プロジェクトとの定義によって変わってくるのですが、この原案では、プログラムレベルの変更まで及ぶと書いてあるのですが、もう宇宙輸送系については、これはもう非常に大きくて、一番トップのイニシアティブの変更まで及ぶ可能性が出てくる。
   それから、中間評価の主たる目的は、「・・・を判断」とか、「・・・を確認」とかという、判断、確認だけでいいのか。途中で変更するのであれば、もっと積極的に修正提案を行うような助言があってもいいのではないかという気がしました。
   それから、事後評価ですが、これは、評価主体については事前評価と同じである。
   それから、評価対象なのですが、これも輸送系のプロジェクトというのは、プログラムと関連づけた単独プロジェクトの評価になる。これも、定義の仕方によりまして変わってくるんですね。ここはちょっと、輸送系というのはどういうふうにイニシアティブ、プログラム、プロジェクトを定義するのかというのが一番問題だと思います。ですから、ほかの例えば衛星系とか、あるいは宇宙基地とかという、それぞれによってちょっと定義を変えないといけないのではないかと思います。
   それから、成果についてですが、これは、打ち上げ能力、円レートでの打ち上げ費、こういうものはアウトプットとして出るでしょうが、その効果、アウトカムについては、これは開発が終わった直後と、しばらく時間がたった経過時間によって評価はどんどん変わっていくと思いますので、いつやるかによって変わるのではないか。
   それから、成否の原因に対する分析ですが、これは宇宙開発委員会がやると。ただ、NASDAだけの分析結果だけでは、手前みそで批判に応えられないのではないかということです。
   それから、波及効果についても同じようなことが言えまして、経済的な波及効果を定量的に評価できるかどうか、これは先ほども議論になりましたが、かなり難しいのではないか。科学技術的・社会的な波及効果について評価するかどうか、どう評価するかということについても、ちょっとどこまでできるかと思いました。
   効率性についても、分析主体をは宇宙開発委員会。
   それから、留意事項ですが、評価作業の過重な負担への注意とありますが、これは評価作業が過重な負担にならないようにするためには、やはり評価主体は評価に必要なデータをかなり具体的に示して、データを求めるということにしませんと、いろいろなデータをつくるために無駄な作業がかなり発生して、それによって過重な負担になるのではないかという気がしますので、非常に的確に、このデータ、このデータ、このデータを出してくださいと評価主体は指定したほうがいいのではないかと思います。
   あとは評価結果の公表なのですが、これはやはり情報公開法に準じてやりませんと、多分非公開の部分が出てくるのではないかという気がします。文章ではすべて公開となっていますが、これはほんとうにすべて公開でいいのかなという気がしました。
   あと、一番最後に意見と書いてありますが、国際共同開発のようなプロジェクトの場合には、相手によって振り回されますので、ほんとうにこの評価指針で合理的に適用して評価できるのかという気がします。
   以上です。

【 栗木部会長 】

   ありがとうございました。それでは、引き続き衛星の事例研究もひとつお願いいたします。

【 上杉特別委員 】

   かなりの部分、文章まで含めて似たような項目もありますけれども、衛星の事例研究ということで申し上げます。
   前提条件としましては、先ほどのイニシアティブ、プログラム、プロジェクトという言い方で言いますと、やはりイニシアティブは日本の衛星計画中期戦略にも書いてありますようなことがイニシアティブです。それで、プログラムとしましては、一応ETSシリーズといいますか、技術試験衛星ということかなと。その中で個々のプロジェクトとして、技術試験衛星X型ということで考えてみました。
   じゃあ、どういうものを考えるかという例題ですが、そこに書いてありますように、一応将来、2010年ごろに多目的静止衛星需要に資するための大型静止衛星、静止Xトンと書いてあります。現状、ETS−8ぐらいのシリーズでは、大体3トン級ぐらいの静止ということを考えていますが、その先とお考えいただければいいかと思います。具体的な数字は、書いてもよかったのですが、書かないほうがいいかなということで、4トンとか、そんなあたりが頭にあるというふうにお考えいただければよろしいかと思います。そのための技術確立と、それから、当然そういう大型静止衛星になりますと、多目的なミッションを1つの静止衛星でやるということが今後の課題になってまいりますので、通信、放送、測位、気象というようなことを1つの衛星でやるといったことが今後の課題であろうと思います。そういう技術確立と、そのミッションを可能にするような衛星の開発ということが前提条件として挙げてあります。
   そのための提示される事項ですけれど、これも、先ほどの輸送系と同じように、分ける必要があったかどうかですが、一応ケースの1と2と分けてみました。特に1のほうは、かなり先端的な技術をねらって、チャレンジングなことをやっていくということに重きを置いたもの。それから、ケース2としましては、かなり将来の民間への移行を考えて、比較的コンザーバティブなと申しますか、リスクを低減するに必要なコストダウンというようなことも強調した衛星の開発というふうにちょっと分けております。
   要求条件としましては、これも中期戦略に書いてありますようなことを書いてあります。それぞれ、いずれにしましても先端的な技術を活用して、我が国の産業を活性化し、そのために必要なバス技術を確立する。それから、一部実用の段階に入っております、一部と言いますか、かなり入っておりますが、通信、放送、測位、気象観測等がありますが、それらを宇宙利用の拡大による我が国のみならず人類全体に裨益する社会基盤、経済基盤の形成を目指した多目的ミッションとするという大変大きな要求条件を掲げておりますが、その下はやや現実的な問題です。単一ミッションにすることによって、全体として宇宙デブリ、コスト等を削減するというようなことを掲げております。
   特にケース1に固有の要求条件としましては、これも中長期戦略に一部書かれていることを引用しておりますが、我が国が得意とすることができる技術の水準に基づいてチャレンジングな開発を行っていく。その結果として、国際的なコストのリスクの分担といった互恵の観点から、当然国際協調も念頭には置いておくということである。
   それから、この技術開発によって、その後の民間の衛星開発活動を促進する環境を整備して、我が国の自律性を高める。技術保障ということも念頭に置いたものであります。
   それから、ケース2につきましては、先ほど申し上げましたように、主要な目的と申しますか、強調している点は、必ずしも先端的でなくてもいいが、性能面よりも信頼性であるとか、コストとか、そういうことを主とした考え方から技術の選択を行うというようなことを考えている。その場合には、いろいろ先ほどもちょっと出ていおりましたけれど、微妙な問題もありますので、官民の役割分担というようなことをしっかり分けて、国として開発すべき技術というものを強調しないといけないと思います。
   それから、評価主体、これは先ほどの輸送系のほとんど同じことが書いてありますが、衛星に関しましても、なかなか技術的評価に関しては、第三者の評価者の選定というのは困難が伴う恐れがあるということを指摘しております。それ以外の評価では、むしろ他分野からの評価のことがよいというような、これは先ほどの輸送系と同じことが書いてあります。
   それから、評価項目で、意義の確認ですが、先ほど来出ております、ケース1では先端的な衛星バスの技術の確立ということ。それから、ケース2では、国際的なリスク分担に貢献するという形で、国際協力を高めるような衛星の開発ということです。
   それから、当該プロジェクトが実施されなかった場合の損失、これも輸送系と同じような形での書き方になっていますけれど、前半はちょっと衛星独特のものですが、将来の多目的静止衛星の需要に対して、我が国としてそのために必要な衛星バス技術が確立できない。結果として、すべて衛星は外国製になってしまうということでいいのでしょうかということです。それから、さらに自前の衛星システムで宇宙活動に対処できることによる科学立国としての国民の自負が損なわれるだろうというようなことが損失として考えられるということです。
   それから、目標及び優先度の設定、これは、後のほうにも細かいものが出てきますが、それぞれプロジェクトの意義に基づく要求条件に沿って、開発目的を具体的な項目に分類し、各項目の優先度を設定する。これは、ETS−8でも既にやったことですけれど、まず何が働かなければいけないか、それから、次にミッションそれぞれの優先度、そういったものを当然具体的に設定して、それぞれが段階的にどう成功していかなければいけないかということを具体的に書いていくということが可能だろうと思います。
   それから、要求条件への適合性、これは、このbで設定された目標が対応していれば、それでよろしいでしょうということです。
   多少具体的に、基本設計要求の妥当性というところで、どういう要求条件があるかということをちょっと挙げてみますと、これ、H−2A増強型と書いてありますけど、かなりここだけ具体的になっていますが、その必要があるかどうかは別としまして、いずれにせよGTO/GEOへ静止軌道へ投入するということがまず第一の要求条件になりますが、そこでXトン級の衛星バスを働かせ、多目的ミッションに対応したシステムでなければいけない。打ち上げ時期はいついつで、寿命はこれこれというようなことを挙げた上で、その妥当性を検討するということになろうかと思います。
   それから、システムの選定に関しましては、ちょっと先ほど申し上げましたように、メーカーの選定前ですと、この選定の根拠となるような情報を公開するということはもちろん難しいと思います。それから、選定した後でも、先ほど申し上げましたように、通常アメリカに対しても選定結果のみを通知して、その理由はなぜかというようなことは普通言わない。公表ではなしに、そのメーカーから例えば問い合わせがあれば、そこに対しては言うということはあり得ましょうが、これを公表するということは大変契約に違反する場合もありますし、なかなか難しい場合もあろうかと思います。公開を前提としなくて、当然検討しなければいけないというのは当たり前のことですので、その辺につきましては、下に幾つか箇条書きで書いてありますように、基盤技術の成熟度、それからオプションの比較、少し具体的に言いますと、バス電圧をどういう方式をとるか。例えば大きなアンテナを使うとすれば、どんな展開方式をとるか。それから、リアクションコントロールシステムでどんな推進系を使うか、当然こういったいろいろなオプションが選定の上では検討されなければいけないというのは当然のことです。
   それから、それを自主開発するか、技術投入するか。あるいは、オンザシェルフで買ってくるのか、そんなことも当然検討すべき課題としては入っているのは当然のことです。それから、最後に、メーカーの実力とか熱意、そういうことも含めた上で検討すべきであろうということです。
   それから、リスク管理につきましては、この方針に書いてあるとおりでありまして、PRAでありますとか、FMEAでありますとか、そういったものでリスク解析を行うということが、最後に書いてありますが、ある程度の定量化は可能である。なかなか、これ、具体的にそういう数字として出すのは難しいし、ある意味では、ほんとうに意味があるのか。数字遊びになってもしょうがないなという気がいたします。ただ、精神としましてはそういうことを当然やっていかなければいけない。それから、冗長性がどれぐらいしっかりできているか、そういったことで見ていくのかなと考えます。
   それから、実施体制ですが、これも、メーカー選定、先ほど来出ております、どこが実施段階で、どこがその前段階かという切り分けがなかなか難しいかとは思いますが、実際には、現状ではかなり後ろのほうになってから行われるということを考えますと、企画立案段階、特にメーカー選定前ではそれを当然NASDAとメーカーの役割を明文化するというのは困難であろうかと思います。
   ただ、NASDAの実施体制というものでの形では、プログラムマネジャーがどうであるとか、プロジェクトマネジャーがどうであるとか、それから、各階層でどうするとか、そういった体制を明示することは可能であろうと思います。
   それから、資源配分につきましては、当然、これは栗木部会長のからも常に言われていることです。各フェーズにおけるバス機器開発、ミッション機器開発、運用等について、特にリスクの高い技術、優先度の高いミッションに重点配分、これは経費についてですが、重点配分されているかというような点を見ていくということが可能かとは思いますけれど、人員についても同じでありましょう。ただし、定量的という意味では、経費についてはある程度定量的に見えるかもしれませんが、人員、それから技術の難度に対しての、どういう取り組み方をしているかというのを定量的に示すのはなかなか難しい部分もあろうかと思います。経費という点では見れると思います。
   それから、中間評価につきましては、環境の変化に伴って実施の判断をするのは宇宙開発委員会であろう。これ、先ほど輸送系のほうでは、常に適切に判断できる体制が必要であると書いてありますが、この辺がやはりどうウォッチして、どこでやるかというのは常に問題であろうかと思います。
   それから、実施フェ―ズ後の事後評価につきましては、評価項目、成果につきましては、先ほどの輸送系と同じ文章になっているかと思います。これ以降はほぼ同じ文章になっているかと思いますので、もしよろしければ省略させていただきたい。宇宙輸送系で述べているのとほぼ同じことだと思います。
   以上です。

【 栗木部会長 】

   ありがとうございました。それでは、この事例研究2つと、それから、
   前の私が説明しました指針も踏まえながらご議論いただきたいと思います。市川先生、よろしくお願いします。

【 市川特別委員 】

   お話は、ケーススタディというよりは、ある視点からこの指針をレビューしたものと言っていいかと思います。そこで、ケーススタディの個別のことを議論するよりは、むしろそこから浮かんできた指針に反映すべき共通的問題を考えてみますと、1つ大きな問題として、評価者の選定があると思われます。
   まず、一番の問題は、殆ど宇宙村の住民で、経済社会に関してそれ以外からという、そういう構造ができるのではないか。こんなことを言うと怒られるかもしれませんが、日本の国のいろいろな研究機関等の評価を横で眺めて、非常におもしろいことに気がつきました。農水関係には評価者に産が殆ど入らない。なぜかと言いますと、結局日本の農水というのは農水省がトップマネジメントをやって、そこがずっと下の圃場整備まで全部事業としてやっていますから、実は民と称しますのは、そこの労働者に過ぎないのですね。そういう構造を持っている。
   私は、お話を聞いていて心配になったのは、日本の宇宙産業がそういう構造になってしまうと大変だということです。長中期に確かにできるだけ民営に移していきなさいということが書かれてはいますが、現状として産が評価者に入らないということは、同じ構造になりつつあるということですね。したがって、これはイニシアティブよりさらに高いレベルの話かもしれませんが、やはりその場合、産業化といいましょうか、あるいは、民間育成をどう考えていくのか。そこの部分を評価に絡めて何か突破口はないかと考えます。
   NASAで、NASA外のどんなところから来ているかを見ますと、なるほどと思ったのですが、やはりアメリカという国は流動性が非常に高い、もとNASAにいたかもしれないけど、今はよそにいるというようなのがごろごろいるわけですね。日本でも、ぼつぼつそういうことをやって、昔の仲間、昔の村民までは目をつぶって、現在の村人でない人、そういうところまで広げられるかどうか。
   もう一つは、国のセキュリティーがかかるなどいろいろ難しい面があるのかもしれませんが、外国人を入れられないかということですね。ほかの世界では、そういうとき、大体外国人を連れてくるわけです。日本の中で閉じたら、村人ばかりということになるなら、それ以外にないだろう。外国人評価者への情報のもらし方を限定しながら、外国人の利用はできないかなという気がいたします。
   二番目の大きな問題として私が気がつきましたのは、事後評価でアウトカムの評価が非常に難しいと言われています。もちろん、これは難しいからこそ分離すべき、アウトプットと一緒にしない、ことに意味があるわけです。しかし、競争の場にある民間の産業では、これはやらざるを得ないわけですね。とてもいい自動車ができたが、売れなかった、原因は為替レートだ。それでは許されない。もし宇宙産業というものが国際的な市場の中で意味を持って存在していくということであれば、やはりこのアウトカムの評価というのは避けられない。当面は、その後のプログラムとか、プロジェクトを推進していく上で意味を持つわけでして、ここで困難だからといってやめていいものではないと思います。

【 栗木部会長 】

   ありがとうございました。今のご意見です?

【 上杉特別委員 】

   今の補足でよろしいでしょうか。特にアウトカムのところ。私、さっき、輸送系と同じだと言って、あまりつけ足さなかったのですけど、やはりアウトカムで考えますと、大きく分けて、将来の宇宙産業そのもの、衛星をつくり、ミッションをつくり、そういうものと、今度は宇宙利用サービス、それも2つに分かれて、宇宙に関連した民生機器をつくる部分と、それから、それを利用してやる部分、そこにまた分かれると思いますね。例えば、ちょっと調べてみたのですが、カーナビなんていうのは、その利用するサービスで、それをつくる産業がまたあって、現在、今、600万台、何百万台といっているようですね。現状で、例えばカーナビが1、250億円ぐらいの売上げで、BS、CSになると2、000億ぐらいになっているというような統計もあるみたいですが、だからそういうところに対して、例えばいい衛星をつくって、それがどう伸びていくかという予測なり、結果というのは、わりに定量的に出るのかな、そういう意味では出てくるのかなと。それが次の衛星に反映されるという、今、市川先生がおっしゃったような形でいけば、ある程度の出し方は衛星の場合にはできるのかなという気もちょっとします。例としてそんなことをちょっと当たってみたのですが。

【 栗木部会長 】

   定量的にやったほうがよろしいんですか。

【 上杉特別委員 】

   はい。ですから、カーナビがこの衛星の結果でどれぐらい売れるようになりましたとか、進歩しましたというような。

【 栗木部会長 】

   ここに書く書かないではなくて。

【 上杉特別委員 】

   実際にはできるのかなと。

【 栗木部会長 】

   むしろまさしく産業関連の波及効果というのは見ていくべきだと。

【 上杉特別委員 】

   ええ。見えるのかなという。

【 栗木部会長 】

   一番目の市川先生のお話で、特に宇宙村プラスわりに独立した経済界の人たちだけの評価ではなくて、もっと幅広く宇宙村も産からも人も得て、宇宙村をもっとさらに拡大解釈してというようなお話もありました。
   私も、NASAの行われているいろいろな評価をずっと見ていきまして、いろいろな人からうわさを聞きましたら、やはり産業人が入っているんです。その方たちは、やはりバイアスした意見も言うことがあるそうです。それも事実だそうです。なおかつ、あの国はやはりカルチャーがキリスト教に根ざしているのかどうか知りませんが、ちゃんとそういうバイアスしないで私どもは評価しますということを事前に一筆とられる。あれが効いているような、効かないような、私もよくわかりませんが、やはりそういう文化がきちんとあって、自分は独立した立場でやるんだということを一度気を引き締める。ものに書くということのプロセスを経ているというところで1つ気合が入るのかなという気がします。
   それからもう1つ、仮にバイアスした意見があっても、1つの評価で済ませていないというところがもう1つの歯止めになっているのではないかなと。産業人をあるレビュー、例えばNASDA内部でのレビューの中に入っている場合、それから、宇宙開発委員会がやるレビューの中に別々の産業人が入っていたということでもって、バイアスの度合いというのを防ぐという、そういう方法もあるかなという気がします。いささかレビューのやり過ぎではないかという印象もNASAの場合にはあるんですが、1つの効用としては、そういうバイアスの度合いというのを減らし、なおかつ、産業界まで人を頼るということには、それ、利益があるのではないかなと思いましたが。

【 五代委員 】

   お2人のプレゼンテーション、それから、市川先生のお話で、簡単に言えば、評価というのはそう簡単にはできなくて、人と金が要るしんだ。それから、アマチュアは要らない、簡単に言えば。アマチュアというのは技術だけでなくて、経済とかいろいろな。アマチュアは、ゴーンさんが言いましたが、物事を複雑にするだけだとありますが、アマチュアのメンテも第三者でいいんでしょうが、そういう意味で継続性も要る。それから見て、実はこれに限らないんですが、私もNASDAに行っいたときに、例えば技術研究部に行くと云々というようなことを考えると、みんなどこの部署も集めたいわけですね。でも、いい人はそうはいないわけですね。すると、とり合いになる。そこですると、ここの宇宙開発委員会が常に適切にウォッチして、きちんと評価をするというには、やはりアメリカ、ヨーロッパにありますが、もっとやはり具体的なシンクタンクというとおかしいんですが、何かそういうことをする人がいる組織がないと、そのときだけというのは非常に難しいと思いますね。そういう意味で、深みと幅を持ったところがないと、ほんとうのところ評価はできない。これは別に委員会だけじゃなくて、NASDAも、どこも、みなそうなんですが。そういう意を、ますますと言うと悪いけど、深くいたしました。

【 上杉特別委員 】

   今、市川先生の言葉を聞いて、目からうろこではないんですが、やはり産業界でも、宇宙にずっと携わっていた方がかなり引退された方も多い。我々もそろそろ引退の時期ですけれど、そろそろ宇宙をやっていた、我々第2世代かわかりませんが、その辺がそろそろ卒業の時期になってきていますので、そういう産業界をリタイアされたような方でも集めれば、ある意味では結構数はいらっしゃるかもしれない。だから、これは姿勢の問題で、宇宙開発委員として、そういう産業界のそういう人たちも入れるんだということさえやれば、ある意味ではできるのかなと、今、ふっと、市川先生のご発言を聞いて思ったんですけど。

【 栗木部会長 】

   上杉先生の言わんとしておられるところ、大体イメージとして湧いてきました。将来なりに、ぜひカウントしていきたいと思います。
   それから、もう1つ、市川先生がおっしゃっておられた、外国人が云々ということなんですが、これ、1つは、どこだったかな、棚次先生が書いておられた国際共同開発プロジェクトの場合、これはあり得るのではないでしょうか。1国の第三者評価というのはあり得ない話なので、こういうようなところで、外国人も入った評価、団体。例えば、宇宙研の場合、どうですか。まさしくちょっと上杉先生にも伺いたい。

【 上杉特別委員 】

   栗木先生はよくご存じだと思いますが、まさにSFUなんていうのはもうあれですよね、向こうの評価、NASAの評価も受けなければいけない状態でしたし、ジオテールでやった場合でも、衛星に対して向こう側のNASAの評価というのは常に入ってきていましたから、そこは国際共同計画では必然になりますね。だから、この日本の衛星に対しても、やはり限定ではありますけど、やはり全体はできないと思いますが、限定部分ではできなくはないのかなという気はします。

【 栗木部会長 】

   私も今樋口委員に聞こうかなと思っていたのですが。

【 樋口特別委員 】

   NASDAのこれまでの評価委員会はほぼ半分が外国人です。ただ、問題は、例えば次のロケットの技術開発戦略とか、場合によってはその技術的な評価のためにその図面などまで見せるときに、もちろん秘密は守れという契約をした上でやるのですが、むしろ見せ過ぎだという別の、ここまで外国人に見せていいのかという批判を受けていて、もともと情報の扱い方といいますか、公開の仕方、あるいは、秘密の守り方という文化ができていないときに、外国人を入れることによるデメリットのほうも大きくなっているような気がしています。確かに外国人を入れたほうが、評価者の選定が難しいという場合に、非常に価値があって、我々としては、外国人を半分入れたことによるトータルとしてはメリットが大きかったのですが、部分的にはちょっとまずかったかなと思っている部分もあります。これは棚次先生からも大分いろいろと議論をいただいたり、アドバイスをいただいたりしてやってきたのですが、ちょっとやり過ぎたかなという感じはしております。

【 棚次特別委員 】

   ですから、評価するときのデータをどこまで出すのかという管理と、NASDAの輸送系の外部評価、外国人は確かに半分ぐらい入っていましたが、ほとんど要求されるデータは全部出ているという感じだったですね。それから、外国人が日本に来て評価しますと、なぜか外国人が浪花節的になるという面があります。我々に、NASDAさん、こういうふうに書いていいですかと事前に聞くんですよね。そういう、ほんとうに外国人だからというのは、日本に来た場合、外国人がほんとうの外国人なんだという、何かちょっと、私が感じたのは、かなり浪花節的になりました。

【 樋口特別委員 】

   ただ、さっきの評価者の選定の問題というのは、実は日本の社会、文化みたいなものとのかかわりで、例えば民が入れない理由というのは、民の方を入れるんですが、入れてもほんとうの意味の主張をされない。じっと我慢されているような部分があって、ですから、評価者がいないということもあるんだけれど、先ほどのアメリカの文化みたいに、OBになったら、あるいは個々の人間として自立的に発言するということよりも、先輩にこんなことを言ったらちょっと影響があるのではないかとか、あるいは、このことによって別の何か問題が起こるのではないかという、日本社会から来るインパクトを気にされて、ほんとうの意味での評価者になかなかなり得ないという、そちらも一緒に改善していかないと、きっと評価者の選定というのはずっと問題に、例えばOBならいいというわけにはいかなような気がします。
   逆に言うと、OBが来られると、言えなくなるというか、何か自主規制でこちらが遠慮してしまうようなところがあって、今度、被評価者側の態度がおかしくなるとか、それはもう嫌というほど目にしましたので、評価者の選定の問題というより、評価の文化の問題かなと僕は思っていますが。文化さえ変われば、人は工夫すれば出てくるように思います。

【 栗木部会長 】

   ありがとうございます。

【 樋口特別委員 】

   別のことでコメント。評価指針のところと、このケーススタディ、同じなんですが、システムの選定と開発方針、それから実施体制、資源配分、この3点は、正直、現状の予算要求のサイクルからいくと、つまり、決めていない段階で予算要求、あるいは、具体的に企業との商取引の問題、あるいはNASDAの人事上の問題も含めて、出せないものがいっぱい出てくると思いますし、それから、決まっていないものもあると思います。そこは、前も申し上げましたが、予算がとれて、ほんとうに実施するときに評価するのか、これで予算をとりにいって、いいよという時点で評価にするのかによって、この3項目はこの指針どおりやれるかどうかは、ちょっと実施機関としては確約しかねます。どちらでやるかでかなり違うと思います。

【 栗木部会長 】

   私がここに書きましたのは、資源配分その他、ここは、要するにこれをやる時期はまさに開発着手の前ですね。そういう立場で見ますと、確かにこの配分というのは各希望する経費規模というのが出された段階では、自分は目的はこう設定したので、例えば試験の回数なり、深みというのはこの程度にしたいと思うと。これもきちっと幾ら幾らとか、人を何人とは言いませんが、この項目は手厚く資源配分したいと。仮に定性的であっても、そういう感覚をつかみたいなという、そういうことです。ですから、もし資源配分がなされた後,これに対して見直しがあって、場合によっては、これは達成できないから、順位が低いものから落としていくとかいうことはあり得るんだと、私もそう思いますけど。

【 樋口特別委員 】

   そういう意味で、これをフェーズを、次の予算要求すべきかどうか議論するときに、そのプロジェクトの性格から、こういう資源配分方針を持っているべきだという、その方針そのものの評価は当然受けるべきだと思うのですが、具体的な、例えば300億のうち100億をここに使いますという数字はおそらく出せないと思うし、出しても、その数字そのものの信憑性の問題が出てくるような気がします。
   同じようにシステム選定も、このシステムのここはちょっと難しいところがあって、どのシステムをやるのかを決めること、イコール、業者選定みたいなっている場合、これを公開の場でほんとうにやるのかというと、なかなかむずかしいかなと思っている。その抽象的な性能でやればいいのですが、例えばタービンポンプの回転数や、燃焼サイクル等を書いてしますと、この方式でできる企業はここしかないとわかってしまうわけですね。その辺のところはかなりやり方を工夫しないと、ちょっと難しい、どういうふうにやればいいか、いい方法論が、今、僕はあまり浮かばないんですけど。

【 栗木部会長 】

   しかし、それはデザインオーソリティーがどこにあるかということと極めて密接に絡んでおりまして、どのシステムを選んで開発を提案しているかということによるんですね。ですから、システムとしては極めて抽象的だというのは、どういう中身か私は知りませんが、例えば燃焼サイクルはどれをとって、このエンジン、次の開発に臨むというのは、開発のオーソリティーを主張する機関というのはそれを明示しないと、僕は立場がないと思います。

【 樋口特別委員 】

   持っていたとしても、それをこの時点で言っていいのかどうかという問題だと……。

【 栗木部会長 】

   言うべきじゃないかと思いますが。

【 樋口特別委員 】

   そうですかね。

【 栗木部会長 】

   私は、言わないと、それは評価し得ないと思いますよ。

【 樋口特別委員 】

   もちろんそうなんですよ。ですから、予算要求する前にやるのか、とれてからそこの部分を別途評価するのかとか、そういう……。

【 栗木部会長 】

   いや、それがもし崩れたんだったら、実施機関のオーソリティーが認められなかったということとイコールになると思いますよ、私は。

【 樋口特別委員 】

   何かちょっと具体的な例題で議論すべきかと思いますが、どう言えばいいんですかね。

【 栗木部会長 】

   極めて根本的な問題で……。

【 樋口特別委員 】

   ものすごくトップレベルのシステムコンセプトなり、設計コンセプト……。

【 栗木部会長 】

   そうです、そうです、私が言っているのはそれです。

【 樋口特別委員 】

   この項目まで書いてしますと、もっと下のほうの製造技術とか、そこまで行ってしまうのではないかという意味で申し上げているんです。

【 栗木部会長 】

   それは言いません。

【 樋口特別委員 】

   これはケーススタディですので。

【 栗木部会長 】

   ケーススタディですので、これをどうアプライする……。

【 樋口特別委員 】

   この場合はもうちょっと上の、例えばISP450にするのか、420でもいいのかとか、そういう……。

【 栗木部会長 】

   いや、もう、それすら私は基本的な設計要求でいいと思いますね。

【 樋口特別委員 】

   これはこういう戦略なので、例えば技術の安定性をねらって、ISPはあまり大きな要望をしませんと。ただし、これは先端をねらいたいので480でやりますとか、そういうオーダーであればやれると思いますけど、もちろんそれでもすぐに燃焼サイクルの方式は、わかってしまうんですが。ただ、この辺の評価の時期と、出す情報のタイミングというのは微妙にいろいろ実施上ありそうだなという意味で、今、申し上げているんですけど。

【 栗木部会長 】

   私も、これを再度、今、ずっと読みながら、自分で読みながら、皆さんの事例研究と比較して、ちらっと思いましたのは、私がたたき台で出しました、この本紙の5ページのdとeという項目がありまして、私はdのほうに星印(?)をつけまして、プロジェクトの目標や優先度が設計の基本的な考え方に合理的に反映されているかどうか。それから、システムの選定と、こういうのがありまして、これはeというほうの開発方針及びシステムの選定というのは、先ほど長い矢印があって、そこにプラン・ドゥ・チェックを何回か回しなさいという、そこでもって最も次の開発着手に当たってはこの方法でいこうということを決めたときに、細かい数字とか、細かい工作法を云々するのではなくて、むしろ出すべきはこのdではないかなと、そう思ったんです。
   ですから、これちょっと私思ったのは、dとeの順序を変えて、*印はeのほうにつける、まあ、どっちがいいのかな。最後に開発に着手するときは、出すべきは、この基本設計要求じゃないかなと。とにかく細かいメーカーが選定された後、それをどうデザインするかというのはまさしく次の開発での設計でなされることなので、決してこのシステム選定の中でやられた設計なり何なりが、場合によっては試験なり何なりが、最後の開発に着手したときのそれにスパッとそのまま生きるのではないと、そこから抽出されるものが極めて重要な実施機関がデザインオーソリティーとして持つべき基本設計要求じゃないかなと、そう思ったんです。したがって、この基本設計要求の妥当性は最後に出てくるもので、ポツをとったほうがいいかな。違いますか。

【 上杉特別委員 】

   というか、eのところ、開発方針及びシステムの選定という組み合わせがちょっとあれなのかな。開発方針がむしろdで米印(?)ぐらいで、eのほうで基本設計要求の妥当性とシステムの選定というような。

【 樋口特別委員 】

   そのほうがいいかもしれませんね。開発方針はかなり初期の段階でレビューといいますか、オーソライズしたほうがいいような気もします。

【 栗木部会長 】

   ちょっともう1度言っていただけますか。

【 棚次特別委員 】

   例えば題名だけで言いますと、dというのが開発方針だけであって、eのほうに基本設計要求の妥当性とシステムの選定というような区分けなのかなと。開発方針のほうが大きなもので、設計要求の妥当性とか、システムの選定というのは、少しその後というか、サブに来るような、言葉だけで言うとそんな感じかなと。

【 栗木部会長 】

   ああ、なるほど。私自身の個人的な感触で、基本設計要求というのが、ほぼ開発基本方針みたいなものだと、そう思っていたものですから、ちょっとこのタイトルなり、順序なり、ポツのつけ方、工夫してみます。私の言いたいことはそういうことです。ですから、これ、1つ1つプロジェクトを当てはめたときに、1項目ずつやはり確認して、これはこうなんですねということを、非常に大きなプロジェクトが予想されるのであれば、矢印の早いうちから、その特性に合った項目の読み方なりを考えて、これ自身がやはり大多数のプロジェクトに合わなくなれば変えるというような、そのぐらいの手術は覚悟したいなと。市川先生、何か。

【 市川特別委員 】

   2つの事例研究に共通している問題で、先ほど申し上げ忘れた点を一つ。イニシアティブ、プログラム,プロジェクトという区分が、ことに輸送系のほうで難しいというお話がありました。これは当然でありまして、今まで何となくプロジェクトという言葉で全体を指し示していたものを,はっきり層別化して、イニシアティブ、プログラム、プロジェクトとやったわけですが、これまでの宇宙中長期計画は、実はその視点でできていなくて、こういう言い方は大変失礼ですが、後知恵で、これはこれに当たるのではなかろうか、これはこれに当たるのではなかろうかといってはめ込んできた無理をまさに棚次先生と上杉先生がご指摘になったと思います。ですから、その問題は、今後中長期戦略とか、基本計画とかをお立てになる上で、その意識でもってつくっていくことによって吸収できる問題だと思います。

【 栗木部会長 】

   ありがとうございます。全く私も同じ感触を得ておりまして、これを、ガバメントのほうが世代交代したときに、十分引き継いでこの評価をやっていく、評価でこれだけ成果が上がっているんだから、基本戦略の立て方はこうしてほしいと、逆のボトムアップ式の要求を将来に残していくという必要があるのではないかなと考えます。
   先ほど、私、別件で1つ、この輸送系で難しいという棚次先生の話で、これ、実は事前にいろいろと電話でもやりとりしたのですが、H−2Xを何号機か上げていくときに、これを全体をプロジェクトと見るのか、1号機をプロジェクトと見るのか。私もいろいろありまして、立場としては、宇宙開発委員会という立場から見ますと、初号機をキックオフするときは、プロジェクトの初めでもあり、プログラムの初めでもあり、これはどちらのイメージをとっても同じになると思いますけれど、それのキックオフになるわけでして、なおかつ、初号機というのは極めて大きな経費を使うということからしますと、その言葉の定義どうこうよりも、大きなプロジェクトを立ち上げるという概算要求時期に差しかかったときに、最後の後ろのチャートにもありますように、社会的な透明性を保つという意味もあって、やはりこれは評価チームを設けて事前評価をするんだと。これを、初号機をプロジェクトと呼ぶか、それから続く何号機をプロジェクトと呼ぶかですが、その初号機に限ってやっぱり予算が付与されるという、これは厳然たる事実だと思うのです。2号機、3号機まで、初号機のときには予算を付与されていない。これが事実だと思いますね。ですから、言葉のアプライの仕方どうこうよりも、政府側のそういうマイルストーンに差しかかったんだということを考えれば、その規模の大きさと社会的透明性を担保するという立場からして、これを評価するかしないかということを決めるのが宇宙開発委員会じゃないかな。
   やると決めれば、それでもって、今言ったような項目を、やはり初号機ですから、初号機のこのいろいろな項目を正していく。それに基づいて、やはり最終的なところまで評価をするのではないか。
   先ほど市川先生がおっしゃったように、アウトカムについては、即座にそれが終わったからといってできるもの、初号機が終わったからできるものではなくて、幾つか、何号機か飛ばしていって、できる。あるいは、もっと長いかもしれない。そこはオープンかもしれませんが、初号機に関して概算要求し、そのときに掲げた目標というもの、あるいは目的というのは、やはり事後でもって評価されるべきじゃないかなと、そういう具合に考えて、プログラムとか、プロジェクトという言葉には特にこだわらないと私は思いますけど、棚次先生、いかがでしょうか。

【 棚次特別委員 】

   定義次第によりまして、今、先生のおっしゃったようなプロジェクト、プログラム定義ですと、多分プロジェクト評価じゃなくて、プログラム評価になるような気がするんですね。要するに初号機とプログラムはほぼ一致しているということで、例えば1号機、2号機、3号機がプロジェクトだとしますと、その毎号機全部を評価するというのか、それから、2号機、3号機のフェーズアップの時期はいつなのか、それによって、皆、評価するのか、そこがよくわからないんですよね。

【 栗木部会長 】

   初号機の経費を付与するときに議論される、そのときに2号機、3号機は全く、あるいは、将来に向かっての展開をリファしたいということは全くあり得ないと思いますが、今、概算要求しようとしている初号機の費用に関しては、これは中身がかくかくです、目的は何々ですということを言うわけです。したがって、それはプログラムの初めかもしれないですけれど、プログラムに対しては予算項目はつかないんです。そういうことです。
   ですから、これはあくまでも参考として議論されるという意味で、これ、おそらくプログラムという言葉が根づいていないという理由も、私、1つはそれかなと。つまり、経費と関係ないものですから、幾つ束ねる、プログラムとして幾つかを認めるという、こういう形式はないわけでして、初号機に対して認められるということからしますと、特定のプロジェクトがいきなりポンと出てくるというのがこれまでの開発スタイルであった。しかし、開発主体者では、将来の展開に向けて、自分はそれを頭の中でこういうプログラムを持って、あるいはシリーズの打ち上げの中に持って位置づけているとすれば、それは評価の段階では開陳されるべきである。しかし、それを初号機の予算の付与とは直接には結びつかない。2号機は2号機であると私は思いますけど。

【 棚次特別委員 】

   要するに輸送系の開発は、1号機の試験機を上げるところまでだと、2号機、3号機、4号機は、それは衛星の予算の中に含まれるということなんでしょうかね、衛星計画の打ち上げ手段だと。2号機、3号機は開発ではないんだということなんですか。

【 栗木部会長 】

   いや、どこまでを試験機というか、それはわかりませんが、マイルストーンに差しかかって、概算要求が計画調整部会に出されたとき、本来対象とするべきはその1号機の打ち上げについて、これを評価する。

【 棚次特別委員 】

   ですから、輸送系の開発というのは1号機までだと。

【 栗木部会長 】

   俎上に上がったものはそうだと。しかし、評価は、後ろの展開までやりましょうと。展開を問いますよと。しかし、それはいわゆる概算要求の数字とは別物ですよと。
   先ほど市川先生がおっしゃっておられたように、開発に差しかかる前に、企画段階でもっていろいろやって、初号機を開発するにはかくかくしかじかの試験と何々が必要なので、かくかくしかじかの経費が必要がということが煮詰まったと、そして、初号機の開発に必要な経費というのが出されるわけです。それを付与するか、しかも、その額が極めて大きいと宇宙開発委員会が判断した場合には、その中身を精査するというのが評価であると、そう考えるわけです。

【 棚次特別委員 】

   そうですか。なかなか、こう。ですから、2号機、3号機、4号機は、もう開発された後の、要するに衛星のための単なる道具だということなんでしょうかね。

【 栗木部会長 】

   全くそこの話は俎上に上がっていないと私は考えます。

【 棚次特別委員 】

   ただ、こういう、例えばH−Xプログラムをつくるときには、大体年度計画を立てて、何号機を上げますよというようなことになるのではないか。1号機だけが対象にはなっていないようなものですね。例えばこれですと、15年までの……全部をこれでいきますよという、要するに輸送系というのはインフラになってしまうわけですね。衛星ですと、ここを1つずつで……。

【 栗木部会長 】

   それはわかります。それを含めて私はこのプロジェクトの指針の中には関連するプロジェクトを含めて説明してくださいと書いたのですが、俎上に上がっている単一のプロジェクトというのは初号機なんです、あるマイルストーンを見ていきますと。計画調整部会に出てくるのは、1号機、2号機、3号機の予算を付与してくださいとは出てこないわけです。そういう意味です。

【 棚次特別委員 】

   1号機といいますか、試験機・・・・・・。

【 栗木部会長 】

   1号機。

【 棚次特別委員 】

   試験機が1機あるか、2機あるか、3機あるか、要するにこのHXプログラムのロケットの開発の終わりまでということですね。それ以降は開発じゃないでしょう。

【 栗木部会長 】

   後ろは何も担保されていないわけですよ、予算の今の付与の仕方で、そのマイルストーンは、その時点では。

【 棚次特別委員 】

   ですから、その衛星と……。

【 栗木部会長 】

   衛星も出てこないでしょうね、ローンチャがまだ決まっていませんから。

【 棚次特別委員 】

   もし、だから、やるとしたら、衛星の一環としてやるということですね。

【 栗木部会長 】

   いやあ、わかりません、それは。

【 上杉特別委員 】

   細かい議論になってきているのであれなんですけど、要するに1号機だけが試験機で、2号機からはもう商用というか、使いますと言うんだったら、今あれですし、2号機、3号機までH2−Xの開発として、はなから1号機でこういう試験をして、例えばですが、2号機、3号機までで開発を終わるとすれば、やはり3号機までがプロジェクトか。だから、そういうことでよろしいのではないでしょうか、そういう意味で。

【 棚次特別委員 】

   実用化された後はプロジェクトじゃない。

【 上杉特別委員 】

   だから、多分そういう実用化されたものについては、逆に言えば、こういう事前評価はしないですよね。

【 栗木部会長 】

   ただ、1号機のときにしますよというのは時間的な経緯で、最初に出てきますよ。そういうことです。

【 市川特別委員 】

   今の議論に関連して、イニシアティブ,プログラム、あるいはプロジェクト、それぞれの定義はケース・バイ・ケースでやっていくといたしましても、そういう3階層の区分が非常に大事なのは国民との関わりにあると思います。先ほど五代さんが、プロジェクトに素人の評価は要らんとおっしゃいましたが、まさにそこの問題ですね。結局、国民の皆さまが見て、国としてその仕事にある量のお金を投入していいかどうかということが評価できるのは、おそらくイニシアティブレベルでしかないと思います。例えば惑星探査というイニシアティブがあって、その中にプログラムとして火星探査があって、その中に、そこに持っていくロケットとか、あるいは火星の上をのこのこ歩く機械というプロジェクトがある。そういう構造を見たときに、国民の皆さんが自分の問題として判断できるというのは、やはり惑星探査イニシアティブか、せいぜい火星探査プログラムでしょう。それより下は、これは情報としては透明化すべきだとしても、皆さまのご意見をいただいて云々できるお話ではない。言いかえますと、国民の皆さまからの何らかの意味の介入、意思表示ができるのは、イニシアティブでは太くて、プログラム、プロジェクトと下がるにしたがって細くなっていく三角形。一方,技術的な問題というのは、おそらく上が細くて、下が非常に大きくなっている三角形、そういう構造をはっきり意識しながら今後意思決定していく必要があるという気がいたします。

【 上杉特別委員 】

   別に五代さんの弁護をするわけじゃないんですが、多分、先ほどアマチュアは要らないとおっしゃったのは技術評価の部分で、それ以外のものについては違う方のほうがいいと書いてあるわけですね。

【 五代委員 】

   私も、市川先生のは私のをもっと明確に表現されたものだと思っています。さっきの技術とあれで、三角形は逆だと。ほんとうに個々の細かいのが入ってきたって、皆さん、それがわかるはずがないし、だけど、大きな基本的に日本としてこうすべきだというところは、もう国民の意見が非常に強くあるべきだと思います。

【 栗木部会長 】

   全くその大所高所のイニシアティブから見た逆三角形の立場というのが、先ほど藤垣先生がおっしゃっておられた、さっきのチャートの中に国民という言葉が入れられないかと、そこだと私も理解しますので、そういう表現を何とか図でもあらわしたいなと、工夫してみたいと思っております。

【 上杉特別委員 】

   1点よろしいでしょうか。

【 栗木部会長 】

   はい、どうぞ。

【 上杉特別委員 】

   わりに大きな問題がここでわかってきたかなというのは、さっきプログラムには予算がつかないという話がありましたが、逆に言えば、ほんとうはイニシアティブに金がついて……。

【 栗木部会長 】

   それは一番うれしいですけど。

【 上杉特別委員 】

   うれしいことなんですけど、これ、日本の場合というのは、よその分野でもそういうことというのはないんでしょうか。

【 栗木部会長 】

   どうなんでしょうかね。

【 上杉特別委員 】

   例えば科学総合会議みたいなことで、4項目とかいって、いろいろお金がつくと言っていますけれど、あれはいわばイニシアティブかな。プログラムかな。でも、あれも実際お金がつくという時点では、個々のプロジェクトで要求して、それでつくという形ですかね。アメリカなんかはどうなんですか。例えばイニシアティブといっていろいろありますけど、すると、あれ、予算がつくんですかね、そういう形での。

【 市川特別委員 】

   ついています。

【 上杉特別委員 】

   大きい形で。だから、その辺が、日本の予算構造といいますか、そういうことを、これから、だから、例えば宇宙開発委員会として持ち上げていくんですかね。プログラムに金をつけろとか、イニシアティブに金をつけろとか、そういうことを提言するんでしょうかね。それがあるかどうかというのは大きな問題だと思う。

【 栗木部会長 】

   現在予算がついているいろいろな項目も、私、見てみたいんですが、これが軽重さまざまでありまして、全く同列に扱われているんですね。H2−A開発と○○計測器の開発が同列予算項目で並んでいるんです。全く階層という発想がないですね。それはほんとうにやりにくいなという感じがしますね。それを消すわけにはいかない。大蔵省に持っていったときには同列で扱われるんだと、こういう説明で、もう既に走っているものは全く同列で扱われている。ですから、これ、ほんとうは上から来れば、これはもうランクがこういうものなんだよということで、それに伴ってそれなりの自由度が与え得ると思いますけれど、それがないというところが極めて階層性が持ち込まれていないという感じはします。現宇宙開発委員会で何とかできないものかどうか知りませんが、事あるごとに声を高めていくつもりでおります。

【 藤垣特別委員 】

   一番最初の話題の評価主体にちょっとコメントというか、質問なんですが、評価の評価主体の組織化については、今どんな状況であるのかということを伺いたいのですが、宇宙開発委員会の下に評価委員会というのを設けて、そこに第三者的なことをできる人を加えて、そして、評価を行うというのが、この評価指針に書かれている上での評価主体の組織化のあり方だと思うのですが、それをほんとうにやる実働部隊というんですか、例えば評価手法を蓄積し、データを蓄積し、ノウハウを蓄積していくのは、何らかの機構をつくられるのでしょうか。
   つまり、どういう連想から来ているかというと、例えばイギリスだったらば、プレストとか、そこから波及したある評価のプロの会社に委託するわけですね。そこに評価のプロもいるし、社会的、経済的評価をするプロもいて、あるいは実働部隊がいて、必要なデータとかノウハウが蓄積されていて、そこで動くわけですね。あるいは、日本で大学評価をやるときには、大学評価機構というのが最近できつつあって、そこでデータの蓄積を要求したり、あるいはノウハウが蓄積されていくんですが、ここにおいては、そういう細かい実働あるいはノウハウの蓄積みたいなのはあくまで宇宙開発委員会の人の評価委員会というところが担っていて、その実働部隊はどんなふうに組織され、あるいは、予算化されるのかということをちょっと伺っておきたいのですが。

【 栗木部会長 】

   今、おっしゃっておられた評価のプレストに当たるような評価機関ができればいいねという話が、先ほど来出ているということは、今はないということです。    宇宙開発委員会の、今、考えているのは、現在、計画・評価部会というのがありまして、ここの俎上に、開発に差しかかって実施機関で煮詰まったものを俎上に上げてくる。それを評価する受け皿が、まずはその計画・評価部会です。そのメンバーだけで評価できない社会的な効果であるとか、ユーザーのリアクションであるとか、ユーザーを十分把握しているかとか、技術的な基盤がどうであるか、これはフェーズフェーズ、一番最初は社会的な観点が重要になると思いますので、そういう人たちを計画・評価部会の下に分科会として組織して、この評価を受けていこうと。
   今、藤垣先生がおっしゃったように、その評価の結果のメソトロジーが後々引き継がれるかというと、それが終わってしまうと一過性で終わる可能性もあるので、多少心細いこともありまして、そういう評価機関ができればいいなというのは希望でありまして、将来できないかなと、そう思っている段階です。ただ、具体的にどうやるかというのは、今申し上げたように、受け皿をつくって、特にスペシフィックに社会的な評価並びに技術的な評価を分けて、顔ぶれも分けて分科会的組織で詰めていきたいと思っております。
   それでは、少々時間がなくなってきましたので、これ、今回、締めくくりたいと思います。今日ちょっとお諮りしておきたいのは、次回の予定もごらんになっていただきますと、次回の予定が6月13日で、この評価指針の案のとりまとめを行い、最終的にはこれが煮詰まった段階でこれを受けて、実施にアプライして、用いられる宇宙関係者にヒアリングを実施する、これを6月13日の評価指針をとりまとめた直後から行いたい。パブリックコメントを求めて、その結果をまとめて報告書を作成したい。その時期がおそらく7月中旬ごろかという足どりで考えています。
   1つは、今日出していただいたような事例研究、これを最終的に、もう少しお考えいただきたいということで宿題にしたいと思いますが、事例研究が報告書の中に入ったほうがいいか、あるいは、これはかえって将来出てくるいろいろなプロジェクトがあるので、指針だけをたたき台にして報告書にして、使いこなしていく段階でいろいろな事例にぶつけていくというほうがいいか、ちょっとその辺をお考えいただきたいと思っております。今即答いただかなくても結構ですが、次回の指針とりまとめのときにちょっと、今度は報告書のとりまとめのこともありますので、ご意見を伺いたいと思っております。

【 樋口特別委員 】

   このスケジュールの中に当然入っているんだと思うのですが、総合科学技術会議のほうでも、評価の指針というか、評価の仕方の議論をされていて、あそことこちらの指針との整合というんでしょうか、多分、我々が評価のいろいろな作業を下請けでやらなければいけないのですが、先ほどまさに評価作業が負荷にならないようにというお言葉も書いていただいているのですが、この言葉が実のあるものになるようにぜひお願いしたいと思うのですが。

【 栗木部会長 】

   樋口委員がおっしゃっておられた、2回やらされるかとか、その辺はどう……。

【 樋口特別委員 】

   ええ、つまり、どんなふうに総合調整会議側と調整されるおつもりか、具体的な話はいいのですが、当然この期間の中でやっていただけると考えてよろしいのでしょうか、それだけで結構なんですか。

【 福田推進官 】

   総合科学技術会議のほうのスケジュールは、前にもご連絡しましたが、6月初めに大綱的指針の見直しについては中間的なまとめが行われるといことですので、指針という観点では、この最終的なとりまとめをやるときには、大綱的指針との関係においてはきっちり整理ができていると思います。
   それで、ご指摘の趣旨は、多分総合科学技術会議そのものが評価もやるということのようでありまして、そちらのほうについては具体的に総合科学技術会議は何を評価するかということについては、年内あるいは年度内かけて議論したいということですので、むしろ宇宙開発委員会としてはこういう評価をするよという前提のもとに、総合科学技術会議のほうで議論を深めてもらうことになるのではないかと思いますけど。

【 栗木部会長 】

   ご意見、あります?よろしいですか。
   それでは、そういうことで、なるべく積極的な発言を宇宙開発委員会からして、こちらが主導権をとるというような格好でいきたいと思います。それでは、そのような足どりで今後進めて、これを最終案に持っていきたいと思いますので、次回、またひとつよろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。

――閉会――




(研究開発局宇宙政策課)

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