戻る

宇宙開発委員会

2001/10/11
宇宙開発委員会 安全部会(第3回)議事録


宇宙開発委員会   安全部会(第3回)議事録

1.日時 平成13年10月11日(木)   14:00〜16:30  

2.場所 文部科学省別館(郵政事業庁庁舎)11階大会議室

3.議題 (1) H−2Aロケット試験機1号機安全対策実施結果報告
  (2) 「ロケットによる人工衛星等の打上げに係る安全評価基準」の改訂について
  (3) その他

4.資料 安全3−1−1 安全部会(第1回)議事録(案)
  安全3−1−2 安全部会(第2回)議事録(案)
  安全3−2 H−2Aロケット試験機1号機の打上げに係る安全対策実施結果報告
  安全3−3 「ロケットによる人工衛星等の打上げに係る安全評価基準」に関する調査審議について
  安全3−4−1 「ロケットによる人工衛星の打上げに係る安全評価基準」の見直しの提案
  安全3−4−2 「ロケットによる人工衛星の打上げに係る安全評価基準」改訂比較表(案)
  参考1 「ロケットによる人工衛星等の打上げに係る安全評価基準」(平成12年12月8日)
  参考2 第2回安全部会における質問への回答

5.出席者    
  部会長 栗木恭一(宇宙開発委員)
  委員 川崎雅弘(宇宙開発委員)
  委員 五代富文(宇宙開発委員)、井口雅一(宇宙開発委員長)
  特別委員 木部勢至朗、工藤勲、熊谷博、黒谷明美、佐々木進、中島俊、中村順、長谷川和俊、藤原修三、馬嶋秀行、松尾亜紀子、宮本晃
  事務局 素川審議官、芝田宇宙政策課長、澤邊技術評価推進官

6.議事内容

 栗木部会長 

   それでは定刻になりましたので第3回の安全部会を開催いたします。
   きょうの審議を始めます前に、8月24日に宇宙開発委員会委員長代理の交代がございましたので、御紹介いたします。長柄委員が退任されまして、新しく川崎委員が就任されましたそれから事務局で福田技術評価推進官から新しく澤邊さんにかわられました。
   それでは、議事に入ります前に、川崎委員長代理から一言御挨拶いただければと思います。

 川崎委員 

   8月24日付で宇宙開発委員に就任しました川崎でございます。私自身、随分もう十四、五年前に科学技術庁時代に宇宙に関係したことがございましたが、それから既に十数年たっておりますので、今は浦島太郎みたいな形で来ております。ひとつよろしく御指導のほど、よろしくお願いいたします。

 栗木部会長 

   それでは、議事を進めます。第3回の本日の議題は2つございまして、1件が「H−2Aロケット試験機1号機安全対策実施結果報告」が1つ目でございます。2番目の議題が「『ロケットによる人工衛星等の打上げに係る安全評価基準』の改訂について」の2件でございます。

[事務局配布資料の確認]

 栗木部会長 

   御確認ください。その安全3−1−1及び−2は、1回目と2回目の議事録でございますが、御発言いただいた方々には既にお目通しいただいていると思いますが、もしさらに何かお気づきの点がございましたら事務局に御連絡下さい。

(1)H−2Aロケット試験機1号機安全対策実施結果報告

   それでは、1番目の議題に入ります。「H−2Aロケット試験機1号機安全対策実施結果報告」でございます。皆様御存じと思いますが、H−2Aロケット1号機は去る8月29日に打ち上げられまして、無事成功との発表がございました。これの打上げにかかわりましては、宇宙開発事業団の関係の方並びにロケットの製造・打上げにかかわりましたメーカーの方々の多大の御尽力があったものということで、この部会としましても心から敬意を表します。
   それでは、この1号機の安全対策につきましては、前回第1、第2回におきまして安全の内容につきまして審査をいただいたわけでございますが、特にその前のH−2の打上げから既に1年半、2年弱、時間がたっているということ、それに関しまして十分な訓練をやること、それから、セキュリティに関しまして十分に留意することというような点、大きな2点があったかと思います。この辺につきまして1号機の結果について報告をお願いいたします。大体30分ぐらいでお願いできればと、よろしくお願いします。

 宇宙開発事業団 

   それでは、私、宇宙開発事業団の宇宙輸送推進部宇宙輸送安全課、中村でございます。それから川井田と2人で説明させていただきます。
   資料の安全3−2でございますが、「H−2Aロケット試験機1号機の打上げに係る安全対策実施結果報告」ということで、次のページを開いていただきまして、報告の内容でございますが、目次のところで第1章としまして「地上安全対策」、それから第2章としまして「飛行安全対策」、それから第3章としまして「安全管理体制」、それから最後に「まとめ」という順番で説明させていただきます。
   初めに、「地上安全対策」ですが、この資料の2ページ目でございます。1番目としまして「作業に係る安全対策」ということで、1.1項「整備作業の安全対策」ということで、危険作業の全般に係る安全対策としまして作業手順書の事前点検、着手前のミーティングでの規制の確認保安物の取扱いがありますので立入り規制等あります。それから、危険作業に係る遵守事項がありますので、それらの確認、それから注意喚起、作業実施時の安全部門の立会い、それから作業完了後の結果の確認、これらによりまして作業の安全確認を行ってまいりました。
   さらに、ロケットの組立時等の特に危険な作業を実施するイベントにつきましては、作業を担当する会社及び宇宙開発事業団の監督員等で実施される事前調整会を行って、確認を行ってまいりました。
   それから、打上げ整備期間中の気象条件とかいろいろありますので、気象観測及び予報につきましては、気象状況を作業着手前の判断基準としております。悪天候の発令基準としましては、こちらにあります気象防災基準がありまして、それに基づきまして発令を行いまして、それに基づいて作業を実施、開始するか否かの判断を行って進めていくという形でありました。
   それから、万一の場合に備えて外部医療機関に対する協力を依頼したほか、危険作業中は救護要員及び救急車を待機させました。
   それから(2)(3)(4)(5)(6)、これらにつきましては、地上安全計画の中身と同じでありまして、その計画どおりに実施しまして、特に問題は起こっておりません。
   それから、2ページ目の下の1.2項「打上げ作業の安全対策」ですが、あらかじめ設定したタイムスケジュールに沿って、作業手順書により手順を確認しながら作業を実施してまいりました。同じく安全部門の立会いのもとに実施されたということです。
   それから、打上げ作業の停止ですが、これは緊急停止機能が設備にありますが、今回の打上げ作業におきましては安全上の問題で緊急停止をかける事態は起こっておりません。
   それから、(3)の「逆行作業」ですが、これも行われませんでした。
   それから、「後処置作業の安全」、これも作業手順書に従って実施しました。
   「その他の安全対策」ですが、そらちに書いてありますような(1)から(5)までにつきまして計画書どおりに実施したということです。
   それから、2項「警戒区域の設定及び運用管理」です。これは、打上げ整備作業期間中及び打上げ当日の警戒区域を設定して運用を行いました。それらにつきましては、今号機の打上げに際しては整備作業期間中の極低温点検前から打上げ当日までの警備について、これは6月25日、7月2日の計画書の審議をしていただいたときにありましたセキュリティの強化ということの一環としまして、射場安全主任ラインの射場安全班の中に警備係を追加しまして、24時間体制の警備を実施しました。これはまた後で詳細が出てくるということで、そちらで説明させていただきます。それからまた、射場周辺の立入り規制を実施している箇所、ここに警備員を増員しております。
   2.1ですが、「打上げ整備期間中の警戒区域と運用管理」ということで、保安物の取扱い及び保管を行う区域については警戒区域を、図1−1というのが10ページにありますが、10ページの図1−1としまして、打上げ整備期間中に各火薬類、それから高圧ガス、危険物の取扱い場所としまして保安区域を設定しております。この保安区域は、安全部会の安全評価基準に基づきまして算出して、その範囲内を警戒区域として設定して警戒をしたということです。
   それから、4ページ目の一番上「人員の管理」でございます。打上げ作業に従事する人員に対しては、入退場カードを個人に1枚ずつ発行しておりまして、警戒区域及び施設設備への入退場につきましては、このカードによってでしか入れないというような管理を行っております。
   それらにつきまして(2)として「各施設等における警戒」として、それぞれの場所、に警戒あるいは入退場システムを設置しまして、そこに示されております期間、その入退場システムで入退場を管理する、入場規制を行うということで実施してまいりました。
   (d)ですが、極低温点検時につきましては、計画書と同じ1,800メートルを警戒区域として設定して、運用管理を行い、それから、海上においても警戒船2隻による警戒を実施しました。それから、打上げ前の警戒としましては、打上げ前日から打上げ当日まで3キロの警戒区域の設定の間の警戒を実施しております。
   それから、2.2項「ロケット打上げ時の警戒区域と運用管理」ですが、射点を中心とした半径3キロを警戒区域として設定しまして、そちらに今示されております警戒所、これは計画書の内容と同じですが、そこの場所に警戒員を配置して、警戒を実施しております。それにつきましては、資料の11ページの図1−2ですが、極低温点検時の警戒としまして射点中心の1,800メートル、打上げ時につきましては3キロ、3,000メートルの警戒区域を設定しまして、立入り禁止を図っているということでございます。
   それから、本文に戻りまして、4ページの下の「海上警戒」ですが、射点を中心として半径3キロの範囲内、射点東方、海上南北10キロメートル、東西30キロメートルの監視をつけるとなっております。それらにつきましては図1−3ということで12ページの図1−3ですが、海上警戒の配置ということで、計画書と同じこの範囲につきまして警戒を行いました。この図は、打上げが8月29日の16時00分00秒ということで、それの2分8秒前の図になっておりますが、それぞれ警戒船としましては小型高速艇、海上保安庁の巡視船、それから鹿児島県の漁業取締船、それから打上げのときにこの範囲内に船舶がいないということを確認しております。
   本文に戻りまして4ページ目に今の海上警戒の内容を述べさせていただいております、。
   5ページ目ですが、5ページ目の(3)「警戒区域上空の警戒」それから、国土交通省大阪航空局種子島出張所に連絡員を派遣し、総合防災監視所と専用電話により緊密な連絡を図ったということです。
   それから、2.3項「船舶及び航空機に対する通報」ですが、これも計画書どおりに実施しまして、各通報を事業団から各関係機関にお願いしたということです。これで打上げ時につきましては、ここに示されておりますように航空機については事前に通報して、それからまた、打上げ直前までの打上げ日時の変更情報を各機関に通報するということで行ってまいりました。
   2.4項「射場の警備」ですが、安全部門の警備係が24時間体制で常駐して、緊急の場合の連絡、指示等に対処できるように、防犯警報装置及び監視カメラにて24時間監視することによって警備を行うとともに、夜間・休日は警戒員による射場周辺の巡視により警戒を行ったということです。要所に警備員を配置しまして24時間体制の警戒を行っています。
   2.5項の「特記事項」ですが、(a)としまして「SRB−A落下点の探索」ということで、飛行後にSRB−Aを航空機で探索しました。その結果、SRB−A2本とも水没したことを確認しました。このため、海上保安庁への航行警報発出の依頼は行いませんでした。(b)項としまして「フェアリング部品の漂流」、海上保安庁より、フェアリングの部品2個につきまして三重県の南約650キロの海域を漂流しているという連絡がありました。海上保安庁からは航行警報を発出されたということとともに、事業団として航空機及び探索船を出しまして現場海域に向かいまして、探索を行いました。しかしながら、発見はできませんで、一たん戻りまして、また現場海域に向かって探索を行い、計2回実施したんですが、発見はできませんでした。その結果、9月5日に探索を打ち切っております。以上でございます。

 宇宙開発事業団 

   それでは、引き続きまして第2章の「飛行安全対策」につきまして説明いたします。まず、1項「落下物等に対する安全対策」、1.1項「飛行経路」です。資料6ページです。H−2Aロケット試験機1号機は、平成13年8月29日午後4時に種子島宇宙センター大崎射場吉信射点から打ち上げられました。ロケットはほぼ計画した飛行経路に沿って飛行し、リフトオフから約40分後にレーザー測距装置を静止トランスファ軌道に投入し、所定のデータを取得しております。
   13ページにレーザー測距装置の軌道の表が記載されております。ノミナルに対しましてのフライト結果ということで記載しております。
   それから、飛行経路につきましては14ページ、これが機体の現在位置履歴です。少し太くなっているところが実際にデータがあるところです。薄いネズミ色のところが当初の計画ということになります。
   それから、15ページが、同じですが、今度は高度と地表面距離の実績です。このとおりロケットは大体計画したとおりに飛行しております。
   続きまして、16ページのシーケンス・オブ・イベントにつきまして説明いたします。ロケットの飛行経路は全般にわたっておおむね計画値と一致しておりましたが、第1段推進系性能の低下、これは3σの中に入っております。それから、空力抵抗係数の増大等が主要原因と見られる速度獲得の遅れから、飛行シーケンスにつきましては、16ページにありますとおり、これも3σの中ではあるんですが、例えば衛星フェアリングの分離時で約8.3秒、1段の燃焼終了時で4.8秒、それから2段の第1回燃焼終了時で約17.3秒の遅れとなっております。それから、第2段の第2回燃焼終了時には約7.1秒、それから、LRE分離につきましては7.2秒の遅れでイベントが発生しております。
   6ページに戻りまして1.2項「落下予想区域と落下点」です。今申しました1段の推進系の性能低下、それから、空力抵抗係数の増大の原因と思われます速度獲得の遅れから、SRB−Aの落下点が17ページに示されております。丸印がノミナルの落下点、バツ印が飛行結果の落下点になっております。この図を御覧のとおり大幅にアップレンジ側に落下点が来ているということになりました。
   それから、18ページが衛星フェアリングの落下点です。衛星フェアリングにつきましてはさほど計画値と離れていない場所に落下しております。
   19ページは、第1段の落下点です。丸印がノミナルの計画値、バツ印が飛行結果に基づきます落下点になります。
   6ページの1.3項に戻ります「落下予測点軌跡」、ロケットの飛行経路は全般にわたりましておおむね計画値と一致していたために、落下予測点軌跡は予定に近いものとなりました。20ページにその予測点軌跡の図が示されております。計画値にダブっておりますので、ほとんど実績の線しか見えませんが、おおむね計画どおり飛行しております。
   7ページに参りまして2項の「飛行安全管制」の項目です。今申し上げましたとおり、飛行経路がおおむね計画値と一致しておりまして、それからまた、飛行シークエンスも計画値の3σ内ということで、飛行中断条件に抵触する項目はありませんでした。
   2.1項の「飛行安全システム」、飛行安全管制につきましては、21ページに示します飛行安全システムにより飛行安全管制を実施しております。それから、電波リンクの確保の時間ですが、これは22ページに示されております。これは実際のフライトに対します実績の電波リンクの確保の時間帯になっております。レーダーはテレメーター、それからコマンド関係、こういう電波リンクの確保の時間になっております。
   7ページの2.2項に戻ります。「飛行安全管制運用結果」です。飛行経路はほぼ予定どおりであり、飛行中断基準に抵触することはなかったために、飛行はそのまま続行されました。なお、冗長を構成する飛行安全管制システムのうち、2系の飛行安全計算機が処理を停止するという不具合が運用中に発生いたしました。この不具合につきましては、異常事態の対応訓練ケースの中の1つと同じ事象でもあったために、不具合への対応は訓練どおり適切に実施され、飛行安全管制運用には支障がありませんでした。
   23ページと24ページに飛行経路、これは落下予測点軌跡になりますが、これと落下限界線の図が示されております。非常に大きい地図ですので、当初の計画の大体真ん中を飛行しているというところぐらいがわかります。
   それから、7ページの2.3項の「特記事項」です。今申し上げました不具合の関係になります。H−2Aロケット試験機1号機の飛行安全管制中、冗長を構成する飛行安全システムのうち、ナンバー2系の飛行安全計算機が打上げ後約450秒に処理を停止し、表示装置2系のCRTがX+450秒時点のまま更新されないという状態になりました。このためX+450秒以降につきましては、小笠原追尾終了までの飛行安全管制期間中は、引き続き1系の飛行安全管制システムにて運用を実施し、問題なく飛行安全管制を終了しております。
   この不具合の原因の究明の結果、計算機とソフトウエアとの相互の動作タイミングに起因するものであることが原因として絞り込まれております。処置対策といたしましては、原因となる処理手順、それからタイマーの設定についてソフトウエアの改修、それから、ハードウエアにつきましてはメモリの容量追加を実施することによりまして、今回の不具合事象は完全に対処できると考えております。しかしながら、それ以外の類似の問題がほかにないかという徹底した点検も実施することにしております。
   また、さらに万全を期するものとして、ハードウエア、ソフトウエアとも可能な限り現行の計算機と異なった環境で、ロケットの正常/異常を判定するために必要な最低限の機能にする別系統のシステムを試験機2号機までに整備することを検討しております。
   以上、飛行安全です。

 宇宙開発事業団 

   引き続きまして、続けて3章「安全管理体制」について説明させていただきます。
   1項「安全組織」ですが、打上げ隊の編成につきましてページ25に示してございます。この中で*で示した隊員につきましては安全部門の責任者ということですが、ここで1つ訂正といいますか、追加をお願いします。25ページの図3−1「打上げ隊安全部門の組織」、ここに射場安全部門が地上安全の責任者ということで、上に*があります。それから、飛行安全部門の責任者として飛行安全主任・井坂と書かれてあります。ここが飛行安全の責任者ということでそこに同じ印*をつけて訂正させていただければと思います。申しわけございません。
   今回この安全部門の組織で運用を行いました。本文に戻っていただきまして、8ページ2項です。「安全教育・訓練」ということで、安全教育は一般安全教育及び作業別安全教育を実施しました。また、訓練は総合防災訓練、それからブロックハウスからの退避訓練、海上警戒訓練及び飛行安全に係る教育訓練を行いました。
   今回は、打上げの間隔が1年以上あいたことから、射場安全主任経験者による射場安全系隊員に対する安全運用教育ということで、射場安全主任の過去の経験者に来てもらって教育をしてもらうということ、それから、射場安全業務の実務経験者につきましても、筑波に今おる者ですが、従来、実務経験の長い者ですが、実際に打上げのときに配置して、実務経験者を配置したということを行いました。それから、これは今回、訓練としては初めてなんですが、海上監視警戒船を用いた実地訓練の追加実施を行いました。及び飛行安全訓練の強化策の実施並びに安全教育を詳細に実施して進めてきたということです。
   それぞれの教育訓練につきましては2.1項からございます。「一般安全教育」ですが、打上げ隊員に対する一般安全教育を行いまして、合計18回総受講者数679名でありました。
   それから、「作業別安全教育」としましては、火薬類の取扱い、高圧ガスの取扱い、危険物及び毒物の取扱い等に係る安全教育について、実際に作業を担当するメーカーにおいて実施してもらっております。また、種子島宇宙センターにおいても、高圧ガスの取扱いについての安全教育を実施しました。
   それから、2.3項「総合防災訓練」ですが、8月23日に実施しました。訓練内容としましては、吉信第2射点の裏で山林火災が発生したということを想定しまして、消防隊の出動、現地事故対策本部の設置及びその運用等の訓練を行いました。訓練は、関係打上げ隊員のほか、地元の消防組合の協力を得て実施しました。当初予定した手順、スケジュールどおりに遂行でき、問題なく終了した後、消火器を用いた消火訓練及び初期観察訓練もあわせて行いました。参加者は40名でありました。
   それから、2.4項「ブロックハウスからの退避訓練」ということで、8月18日と26日2回、計121名参加して実施しました。
   それから、2.5項「海上警戒訓練」ですが、これも先ほど説明させていただいた内容ですが、8月28日、打上げの前日ですが、打上げ当日の支障が予想される船舶に対する海上警戒の訓練としまして、海上警戒区域外への退避勧告が迅速かつ確実に実施できるように、船舶の位置とか進路、それから船の種類の把握に係る連絡手順、それから、海上警戒要員の操作訓練、これは海上監視レーダー設備等を含みます。それから、設備不具合時の対応訓練を含めて実施しました訓練は北海上監視所南海上監視室総合防災監視所、警戒船4隻の参加により実施しました。
   それから、2.6項「飛行安全に係る教育訓練」ですが、中身については9ページに示してありますが、ロケット系・飛行安全系のさまざまな異常・故障を想定した飛行シミュレーションデータを使用しまして、飛行安全班員に対する飛行安全管制の訓練を実施しました。異常事態への対応手順の徹底を図りました。今回は、打上げの間隔が1年以上あいたことから、飛行安全班員の訓練を従来より多く強化して実施したということです。
   それから、3項ですが、「緊急事態への対応」ということで、「警戒態勢の発動」、これはありませんでした。
   それから、3.2項「事故等発生時の緊急措置」ということで、事故の発生に備えて現地事故対策本部及び本社事故対策本部を編成し、また、消防隊を編成しました。これにつきましてはページ26から28に示してあります。ページ26の図3−2が、現地事故対策本部の編成表、それぞれの班から係につきまして、あらかじめ人をアサインしまして、こういう編成を事前に作成しております。また、27ページ、本社事故対策本部の編成につきましても、実際の要員を事前に設定しております。それから、28ページ、図3−4ですが、消防隊の編成につきましても、同じように事前にそれぞれの名前を入れまして、アサインしてとどめた。万が一の場合に態勢を整えたということです。これは本文に書いてありますが、一応消防隊、それから現地事故対策本部、それから本社事故対策本部、これは編成したと書いてありますが、そういう準備を行いましたということで、実際には事故は発生しませんので発動はなかったということです。
   最後に「まとめ」、4章ですが、H−2Aロケット試験機1号機の打上げについて、地上安全対策及び飛行安全対策を計画どおり実施した結果、冗長を構成する飛行安全管制システムのうちの片系の計算機に不具合があったものの、安全上の問題は発生しなかった。特に今回の打上げは、打上げの間隔が1年以上あいたことから、教育訓練を強化して行ったこと、及び射場におけるセキュリティ強化の一環として、射場安全系に警備係を新たに発足させて、従来よりも警備を強化したということです。次号機に対しては、上記不具合の対策を確実に処置することで、今回と同様の考え方、方法により対策を行えば、安全を確保できるというふうに考えております。以上でございます。

 栗木部会長 

   ありがとうございました。まとめにもありますように異常事態へのバックアップの手順を十分訓練しておいたということで、飛行安全管制システムの不具合も回避することができたということでよかったと思います。
   何か御意見等ございましたらいただきたいと思います。

 佐々木特別委員 

   今の話なんですが、冗長の考え方なんですが、例えば今の片系がもう一つ壊れると、実際にはどういうことが起きたんでしょうか。というか、非常にカタストロフィーなことが起きる場合は、例えば三重に冗長をとるとか、あるいは進行上の問題が起きる場合は二重でいいとか、そういう二重、三重という何か。例えばNASAなんかのシステムはそういうふうになっていたと思うんですが、例えば冗長系でいいのかどうかというのと、もう一つは、同じようなコンピューターを使っていて今みたいな問題が起きるということは、実際には冗長になっていない、つまり今みたいにタイミングあるいはソフトウエアに起因する場合は、というふうによく言われていると思うんですが、その辺はどうなんですか。対応として方式の違うコンピューターを今後入れるとかいうお話がありましたが、その辺、しっくり理解できなかったので。

 宇宙開発事業団 

   今回飛行時安全システム、冗長で走っておりまして、1系、2系、それぞれ独立したシステムですが、御指摘のとおり基本的に計算機、それからソフトウエアも同じようなもので作っております。今回、停止したのは、各局からレーダー、テレメーター、光学のデータが入ってくる、まず入り口のところの入力する処理装置のところでデータの編集を行いまして計算機で処理できるような形にデータを整えます。その次に、地上系処理装置というところが書いてありますが、ここで一次的処理を前段階の処理を行う。それから、その処理結果に基づいて飛行安全の判断に使用するような標準の加工を行う。今回、不具合が起きましたのは、この前段階の処理を行います射場系処理装置というところが処理を停止したということで、ここのデータがとまったことにより、以降の飛行安全系の処理が更新されなくなったという原因です。
   計算機自体につきましては2つのものが同じような形で走っておりまして、開発環境も同一のものでありまして、その意味では主系・冗長系といえども開発環境的には同じようなものであるというふうに考えております。
   今回、起きましたこの不具合に関しましては、計算機システムが計算機であるために動きますところの動作を行っています。その上に飛行安全のための計算機ソフトウエアが走るという形になっていまして、それぞれの動作が偶然的なタイミングで一致したところにより処理がとまったような形になっております。
   したがいまして、1系、2系というところが同じように動いておりましても、タイミング的なものというのは両系、まるで同じように動いているように見えましても、中の計算機の中では全然違ったタイミングで動いておりますので、2系同時に停止するようなことは今回の事象ではあり得なかったということが、原因調査の結果、絞り込まれております。
   バックアップのシステムの、今後、2号機に向けまして作りたいと考えておりますところの説明をいたしますが、今回の不具合に関しましていろいろと解析した結果、種々の手順とかそういったものを実施しますと、今回のような不具合というものは発生しないと考えておりますが、とはいっても同じような計算機環境ということで、完全にはゼロということは、これはあり得ないということで、現在のシステムのハードウエア、それからソフトウエアに関しまして、違った環境で作り込んで、少なくとも同じようなタイミングといいますか、同じような事象でとまるようなことを防ごうということで、3系目というものを今回考えているということです。

 工藤特別委員 

   同じ質問ですが、事前にはもちろんシミュレーションをされているんでしょうね。

 宇宙開発事業団 

   はい。

 工藤特別委員 

   今回、実機の打上げで違うとしたら、環境だけだと思いますが、実機の環境でなぜ起こったか、再現を含めてなぜシミュレーションの時起こらなかったかということは、どう解釈されているのでしょうか。

 宇宙開発事業団 

   このシステムを作ってから1年半近く、この環境でずっと作って走らせております。そのときには過去の打上げのフライト、H−2のときの実機データとかそういったものを何度も再生しまして、実機環境を限りなく作って行ったということで、そういったところでこういった事象が起これば既に打つ手は考えることができたんですが、そういった計算機の中で動いているクロック自体、タイマーでその中の処理が動いているんですが、それはいつも一様なタイマーで動いているわけではないということです。たまたま今回、打上げのときに偶然に起こってしまった、不幸にして起こったことといったところが今回の事象です。
   再現試験ですが、今回と同じデータをそのまま流しても再現しないということで、再現しづらい事象である。不具合解析を行いまして、ある程度そのタイミングのことについては原因が究明できたんですが、やはりこれはソフトウエアの方の、飛行安全のために作ったソフトウエアだけのことでしたらば、事前に何回もやれば再現性が確実にあるんですが、計算機自体が、ハードウエアの中でCPUだとかメモリだとか、そっちのところでいろいろやりとり、動作を行っています。そこのところまでを飛行安全の計算機のソフトウエアのところでコントロールしているわけではありませんので、そういった事象を作り出すことができないといったところで、なかなか再現することはできなかったわけなんですけれど、事象としては、こういった問題があるというのを履歴から調べまして、絞り込むことはできたということでして、なぜ実機に起こったかというのは、かなり偶然に近いものが、本当に運悪く起こってしまったというふうに理解しております。

 工藤特別委員 

   再現しにくいということはわかりましたが、逆に云うと非常に気持ちが悪いことなので、逆に実際のデータを入れるのではなく意図的にモデルを作り出して、確実にそういうことが起こるんだということも確かめるべきなんだと思います。

 宇宙開発事業団 

   そうですね。はい。今回のこのような事象が起こったということで逆に言うと、計算機自体がどういった特性を持っているものなのだということが、ここで性格がわかりましたので、それでは、こういう手を打とうと。それで、ほかにも似たようなものがあるはずじゃないかということが明らかになりましたので、これで一気に総点検を行いまして万全を期すための処置を行いたいと考えております。

 工藤特別委員 

   ありがとうございました。

 栗木部会長 

   ほかに何か御意見ありましたら。

 長谷川特別委員 

   15ページなんですが、ここに飛行計画と飛行結果の図が出ているんですが、飛行結果の第2段第1回燃焼停止の後ずれているんですが、縦軸と横軸の関係が、単位がかなり違うので、もっとなだらかなずれだとは思うんですが、この状況について御説明いただきたい。この図ですね。

 栗木部会長 

   私も少し聞き取りにくかったんですが、この2の300キロぐらいの。

 長谷川特別委員 

   そうですね。高度300キロ、横軸3,000キロですか、そのところに何かずれがありますが。

 宇宙開発事業団 

   これはノイズでこういうふうな格好になっている。だから、データとしてこういうデータが得られたのではなくて、得られたデータにノイズが入って、こういう突起みたいな格好になっていた。

 長谷川特別委員 

   ですから、それが、ほかの部分は非常によく一致しているわけですが、これだけずれたことが何の問題もないということなのか、あと、その辺の状況を御説明いただきたい。第1回が燃焼停止した後、これが制御されて戻ったのかどうか。どういう状況でこういうふうな結果になったのか。私ども、よく見ると少し不思議な感じがするんですが、異常があったような感じを受けるんですが。

 栗木部会長 

   物理現象としては極めてアブラプトなジャンプがある。

 宇宙開発事業団 

   お答えします。薄い線の上に濃い線が書かれておりまして、薄い線の方は計画のものです。濃い線の終りと言いますのは、小笠原からのレーダーで追いかけておりまして、エレベーションが低くなりまして、ほぼ零度割る前後です。そのあたりになりますと、レーダーのノイズが極端に大きくなりましてこういった現象が起きます。その後、すぐ見え終わったということになっております。飛行安全管制区間としましては、これは、そこに書いておりますように第2段の第1回燃焼停止ということで、既に軌道に入っておりまして、この事象自身は、飛行安全管制に関しましては全然問題はございません。毎回こういったこと、レーダーの上下角が低くなりますとかなりノイズが多くなりまして、こういった事象が毎回起きております。

 長谷川特別委員 

   これは停止の後、いつも起きる現象なんですか。

 宇宙開発事業団 

   今おっしゃいましたのは燃焼停止の後ということですか。

 長谷川特別委員 

   いつもこういうのは起きるのがそれほど珍しいことではないということなんですが、それは打上げの段階からこういうことが起きるということと理解していいんですか。

 宇宙開発事業団 

   ええ。先ほど申し上げましたように、レーダーは、エレベーションが低くなりますと、海面の反射等によりまして必ずレーダーの受信レベルというのは非常に下がりまして、極端に下がります。

 長谷川特別委員 

   聞きたいのは、これは実測結果がこういうことであって、現象はこうじゃないということなんですか。

 中島特別委員 

   そうです。生データです。

 長谷川特別委員 

   それならわかります。

 中島特別委員 

   フィルタリングをかければ、これはもっとスムーズになるはずです。

 宇宙開発事業団 

   おっしゃるとおりです。しかも、ここは燃焼停止以降ですから慣性飛行中です。

 中島特別委員 

   どうしてもトラッキングの一番最後のところが、生データは振れてしまいます。

 長谷川特別委員 

   そういう意味ですか。飛行結果と出ているけれども、それはあくまでも。

 中島特別委員 

   トラッキングの結果。

 宇宙開発事業団 

   そうです。

 藤原特別委員 

   17ページの表なんですが、落下予測点と、バツ印が実際のSRBAの落下点なんですが、それで一応予想区域内には入っているということなんですが、仮にこれが予想区域内より外れて落ちるとか落ちたような場合というのは、何か国際的にペナルティーみたいなものを受けるわけなんでしょうか。特にそういうことはないんでしょうか。

 宇宙開発事業団 

   この落下予想区域から外れて落ちたので何かペナルティーがあるかというと、そういう決まりは多分ないと思います。ただし、その関係で例えば、ここをたまたま航行している船に当たったとか、そういう事象がわかれば、これは多分事業団の責任ということにはなります。

 松尾特別委員 

   今回ペイロードはなかったわけなんですが、運んでいるものがなかったわけですが、それで3σに対してかなりアップレンジ側だということは、今後問題がないのでしょうか、見積もりとして。基本的には第1段の推力系の性能が低下したことが問題だと思うんですが、いかがでしょうか。

 宇宙開発事業団 

   ペイロードはないんですが、ダミーペイロードを積んでおりまして、実際、衛星に近い重量のものが積んでありますので、軽いということはありません。今回、こういう格好で実際にアップレンジ側に、大分手前に落ちていますので、この原因につきまして現在今、検討中で、2号機に関してはこれに対しては補正をかけようというようなことは考えております。

 栗木部会長 

   補正というのは、どういう補正ですか。予想区域をずらすとか。

 宇宙開発事業団 

   それも1つの補正の方法だと思います。

 中島特別委員 

   そういうことだと思います。

 栗木部会長 

   このSRB−Aの性能予測値が初期の見積もりと違っていた。

 中島特別委員 

   実データが得られたわけですから、このデータに基づいて飛行計画を立てるということになります。

 栗木部会長 

    つまり推力が足りなかった。そうですね。手前に落ちているわけですね。

 馬嶋特別委員 

   セキュリティのことについて第1回で五代委員から質問されて、第2回でもお答えがNASDAからされて、今回は警備係が増えて、何もなくてよかったんですが、もう一つはコンピューターのことで、テロ事件とかありますが、テロ事件の前ですのであまり考えは、そういうことはなかったような気がするんですが、今後そういうようなことがもし、ないとは言えないと思うんですが、そういう対策とかそういうことに関してはいかがでしょうか。

 宇宙開発事業団 

   前回の安全部会の7月2日のときにも説明させていただいたセキュリティということで、例えばデータベースにネットワークから侵入して改ざんだとか、そういったものを防御することについて、基本的にはそういうデータについては外部のインターネットからアクセスできないような分離されている、あるいはファイアウォールを経由してということで、特にそういうことはそうなっていますということで議論させていただいているということです。

 栗木部会長 

   実はこの後で、基準の見直しというところで保安の関係の項目を入れたいと思います。ただ、その入れ方は極めて微妙でありまして、そこは忘れていませんねという書きぶりになると思いますが、またこれはこれなりに後で議論させていただきたいと思います。
   1つ、佐々木先生が言われたことの繰り返しに近いんですが、バックアップのシステムに乗りかえてうまくいったということで、現在、3番目の系も考慮中ということだったと思います。1系、2系、冗長系を何重とるかというようなことは、まさしくこれは財政的な負担とも絡んできて、いろいろ難しいことがあるかと思うんですが、つまりそれが2系が破れたときに、副系が破れたときにカタストロフィックなものに至るということで、それが特に有人システムなんかだと三重系というということになっておりますけれど、ローンチャーの例えば判断というのはどのレベルにするかというのは、まさしく実施機関がそのレベルを決めることじゃないかなと私は思うんです。逆に、じゃ、今度はこれを三重にしましょうということになると、カタストロフィックで同じレベルのハザードは同じレベルのプロテクションをするんですかと。今度は逆にレベルがそろっていないと全体としておかしいということ。私は、二重だったら二重で思想が統一されていると思ったんですが、その辺、今後の対策、基本的なスタンスはどういうぐあいにお考えですか。

 宇宙開発事業団 

   今回、不幸にして不具合が起きたんですが、事業団としましては、ロケットの打上げシステムについては冗長構成という基本的な考え方は崩さない、そのままの考え方で今後も行きたいと。ただし、今回たまたま不幸にしてこういうこ不具合が起こりましたので、これが例えば種子島段階で2つともダウンするということになりますと、最悪は正常なロケットを壊してしまうということも考えられますので、今回のこの件につきましては、全くハード、ソフトとも、ほかの考え方のシステムをこれについては導入しましょうということで、システム状況としては、この基本については三重冗長にしなさい、そういう状況の見直しは行いません。

 栗木部会長 

   そうすると、佐々木先生さっき言われたように全く同じものが2つ並んでいるというのは本当の冗長系かということがありましたが、別なものも今、用意されているというので、これから本格的な冗長系になるのかという感じを私もしますけれど、その思想は、きちっと統一して、どの不具合が起こったときに、例えば指令破壊に至るようなものを、もし打上げに関するカタストロフィーと定義するのであれば、それを引き起こすような要因というのは一応おさらいして、これ以外にあるかということをおさらいして、同じレベルにそろえるべきではないかなと私は思うんですが、その辺は御検討ください。この部会でもってどうせえということが言える立場にないと思うんですが、その辺は全体のレベルをきちっと基準としてそろえていただければと思います。

(2)「ロケットによる人工衛星等の打上げに係る安全評価基準」の改訂について

   よろしいようでしたら2番目の議題に移りたいと思います。「『ロケットによる人工衛星等の打上げに係る安全評価基準』の改訂について」ということです。本件につきましては、去る9月26日に開催された宇宙開発委員会におきまして本委員会に審議が付託されました。これについて澤邊評価推進官から説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

 澤邊推進官 

   資料安全3−3に基づきまして説明させていただきます。資料安全3−3「『ロケットによる人工衛星等の打上げに係る安全評価基準』に関する調査審議について」ということで、9月26日に宇宙開発委員会から審議付託を受けまして、昨年12月にその基準の改正というのを行ったところですが、その後の状況に基づいて、また再度見直しをしようというところです。
   内容につきましては、1点目として、先ほどいろいろセキュリティという話がございましたが、ロケットによる打上げに際して、外部からの妨害行為に対して必要な対策を講じさせることということで、第1回、第2回の安全部会におきまして五代委員から御指摘もあったわけですが、基本的に安全評価基準というのは、ロケットの準備から飛行に至るまでの間に、周辺の人に対して、人ですとか財産に対して損害を与えないというのがそもそもの目的であった。そういう性善説に合った基準に対して、今回は最近ですとテロというような話もありますが、悪意者に対して、妨害行為に対してどのような必要な対策を講じるかというようなことで今回、議論していただきたいと思います。
   また、第2回目で、H−2Aロケット試験機1号機の打上げに係る安全対策についての報告の中に、所見というのがあるんですが、これが第2回の議事録、安全3−1−2の6ページ目を御覧いただければと思うんですが、この下から2つ目のパラグラフなんですが、所見のところに「今後、安全対策については、ロケットの打上げによる地上安全及び飛行安全妥当性のみならず、外部侵入者に対してセキュリティを確保するための対策、例えば情報通信を利用した不正アクセス行為等によりロケットの打上げに重大な支障となる問題への対処に十分な対策を施すことがますます必要となる。このため、外部侵入者に対する安全対策を類型化し、ロケットによる人工衛星等の打上げに係る安全評価基準に速やかに反映させていくことが必要である」というような所見もございまして、今回、審議していただくことになりました。
   2点目の「その他必要とされる事項」につきましては、後ほど、宇宙開発事業団から提案・説明があると思いますが「飛行安全対策」の章のところに「飛行中断」という項が、あるんですが、その基準について明確にわかりやすくしたいという提案がありますので、それについて御審議いただきたいと思います。
   日程につきましては、11月中旬までに宇宙開発委員会に報告するものとする。
   あと、別紙の構成委員のところで、先ほど川崎委員の紹介がございましたが、部会長代理として川崎委員が宇宙開発委員会の方で指名されております。特別委員の先生で、馬嶋先生の所属が8月から、以前の放射線医学総合研究所から鹿児島大学に異動されたということで御紹介します。資料3−3の説明は以上でございます。

 栗木部会長 

   ということでありまして、審議の中身は2つございます。(2)の「その他」が先になりますが、安全3−4−1という資料に基づきまして、この見直しの提案を宇宙開発事業団からいただきたいと思います。宇宙輸送システム本部の川井田さんから提案内容の説明をお願いいたします。

 宇宙開発事業団 

   それでは、お手元の資料の安全3−4−1に基づきまして説明をいたします。タイトルが「『ロケットによる人工衛星等の打上げに係る安全評価基準』の見直しの提案」ということでございます。「ロケットによる人工衛星等の打上げに係る安全評価基準」、この中にあります第3章「飛行安全対策」の項目につきまして、以下の見直しを提案いたします。項目といたしましては飛行中断項目の記載の見直しです。現在の安全評価基準の第3章、2(2)項の飛行中断基準の記述を明確化すべく、見直し案を検、討いたしました。次のページに補足説明という形で説明が書いてあります。非常に複雑な説明になりますので、OHPの図を見ながら一緒に説明いたします。
   まず、ロケットの推力飛行を中断する場合の判断基準というのは、現在のところ、大きく言われますのは図1と図2、この2つの方法が考えられます。まず、図1になります。図1の飛行中断をする場合の判断基準ですが、ロケットの落下予測点が破壊限界線を越えるとき、この赤い線が破壊限界線になります。この破壊限界線は何に対して引かれているかと言いますと、陸地にロケット及びその破片が落ちるのを防ぐための落下限界線、この落下限界線を越えて破片が落ちないようにするために設定される線が破壊限界線になります。ロケットの落下予測点がこの破壊限界線を越えるときに飛行中断をしましょうというのが、1つの判断基準です。ここに落下予測点がありますが、この落下予測点と申しますのは、これはロケットの飛行経路です。点線は計画どおりいくとこちらの方にロケットは飛行するんですが、何らかの事情でロケットの飛行が陸地の方へ向いて飛行を始めたという場合に、これは落下予測点軌跡です。この落下予測点が破壊限界線を越えるときに飛行中断をしましょうという基準です。
   それから、図の2になりますが、もう一つの判断基準です。この判断基準は、基本的には図1と図2は同じことを言っております。ただし、その判断基準が違うだけの話です。ロケットの飛行経路、点線は正常に飛行した場合です。それが陸地に向いて飛行しました。このときのロケットの飛行中断基準は、ここに青い楕円がありますが、これはロケット及びその破片の落下予測域です。これは実はロケットが飛行しているときにリアルタイムで計算して、このエリアを計算して出します。ロケットが飛行して、その予測域も当然動くんですけれど、予測域が落下限界線を越えるときにロケットの飛行を中断しましょう、そういう飛行中断のやり方です。ということで、絵は微妙に違っておりますが、実際に守るところの陸地、落下限界線、それから落下予測域、これは全く同じで判断基準が違うというところで、現在の評価基準につきましてはどういう文章になっているかと申しますと、ロケットが破壊限界線を越えるときというような文章になっておりまして、例えば今、説明いたしました図2の飛行中断のところは何も、どっちかというと読み取れないということになります。ということで、図1と図2の飛行中断の方法、両方読めるような記述にしたいということで、補足説明の真ん中のあたりになりますが、現在の安全評価基準の第3章、2(2)項の飛行中断の内容は上記(1)項、破壊限界線を越えるときという項目、をどうも言っているのではないかと読み取れるために、今申し上げました図1と図2、これらの両方を包含いたしました「ロケット及びその破片の落下予測域が落下限界線を越えるとき」という記述内容に見直したいという提案でございます。以上です。

 栗木部会長 

   言葉の定義が極めてわかりにくいというのは、私も何度読み直しても中身がよくわからなかった。その一番の原因は、上の図にあります破壊限界線という言葉がなかなかコンヒュージングでありまして、ぱっと何も考えずに読みますと、一見、破壊指令を出す限界かというようなそんなイメージで読み取れるんですが、そうではなくて、ある時期にある時点で予測した落下予測点があります。その予測点が要するに着水なり何なりするわけですが、もしもそれが破片に分かれて落ちるのだとすると、平たく言いますと重心点のような、そういうところが落下予測点に当たるわけです。それがある一定の事前に決められた破壊限界線を越えるときに、破壊指令を出す。その破壊指令を出す位置というのは、ですから、破壊限界線よりはるかに手前、まだ海面なり何なりに接していないときに破壊指令を出すわけで、ですから、破壊限界線というのは破壊指令の限界となると、極めて……。

 中島特別委員 

   最終チャンスということで。あそこで破壊すれば陸地に、落下線よりはこちらに来ないというチャンスの点なんですね。

 栗木部会長 

   落下予測点が、要するに海面に接するところがゼロであるから、あの時点で間に合うということですか。

 中島特別委員 

   一番最後、あそこまでにやらなきゃいけないということです。あそこを越すと、落下限界線を越えて物が落ちてきてしまう。そういう意味で今までずっと破壊限界線という言葉を使っていたんです。

 栗木部会長 

   そうすると、私が混乱していた破壊指令の限界と受け取ってもいいわけですか。

 中島特別委員 

   最後のチャンス。あそこまでにやらなければいけないという。

 栗木部会長 

   そういう意味ですか。わかりました。じゃ、その破壊限界線をどうやって出すのかというと、こっぱみじんになるというか、要するに散らばったときの分散まで含めて。

 中島特別委員 

   そのときの風の状況とかを含めてシミュレーションして、散らばり方を。

 栗木部会長 

   分散域を出して。

 中島特別委員 

   ええ。それがいわゆる落下限界線を越さないような。

 栗木部会長 

   越さないようにするという定義が2つダブって、つまりどちらかというと陸地側から見ると落下限界線を越えてほしくない。破片であっても越えてほしくない。そちらの定義があって、それで落下予測点というのは重心に当たるんですか。

 中島特別委員 

   そう、要は最も集まりやすいというんでしょうか。

 栗木部会長 

   中断するというのも、エンジンを止めるという意味の中断ですと、そこが落下点になるわけですね。それも風によって分散というのがあるので、ある区域が確率論的にあると思います。そういう意味で必ずしも落下点そのものが落下域すべてをあらわしているわけではありませんが、そういうようなことを踏まえて、むしろ最初にプライマリーに陸地側から決まる限界線の方を主に定義しましょうということで、下の定義を使ったというのが今回の改訂の内容である。依然としてわかりにくいかも。

 五代委員 

   要は、リアルタイムにいろいろな破片が全部計算できるから、よりいい方にしたというんじゃないんですか。

 栗木部会長 

   そういうことでしょうね。

 宇宙開発事業団 

   そうですね。

 五代委員 

   前は、そういうリアルタイムにいろいろできないから、ああいう範囲を計算して、その帯域がこう移動してくる、ひっかかったときに壊すようにしましょうということですが、下は時々刻々、風から破片から何から計算して、それがひっかかる。だから、下の方がいいわけでしょう。

 中島特別委員 

   結局は同じなんです。いずれにしろ落下限界線を越さない時点で処置をするということだけなんです。

 五代委員 

   ただ、非常にリアルタイムでいつも計算できるから、上の方が……。

 宇宙開発事業団 

   ただし、やり方は2通りあって。

 中島特別委員 

   やり方は、我々としては上のやり方でやるかもしれませんが、いずれにしろ外に対してお約束するのは、落下限界線を越して物が落ちないようにするという約束をする。

 栗木部会長 

   つまり、被害を受ける側の立場からしますと、下の絵で納得すればいいということです。

 中島特別委員 

   ええ。

 川崎委員 

   行為者側を規定するのか、管制官側を規定するのか、第三者に対しての説明資料として安全基準があるかによって、言葉が変わったんじゃないでしょうか。あくまで破壊というのは、管制官側のポジションとしては管制官の行動としての基準なんですね。落下限界線というのは、第三者に対する影響から判断しているだけなので。

 栗木部会長 

   そうです。陸地側の方から見た。

 川崎委員 

   そういう意味では同じことを。

 栗木部会長 

   そう、同じことなんです裏表で言っている。

 中島特別委員 

   今までと考え方は変わらないんですけれど。

 中村特別委員 

   再確認で、だから、落下予測域というのは、破片なりここに定義がありますが、破片が散らばるという意味を含んだということですか。落ちる範囲という意味じゃなくて、何もしないで、爆破させないで落とした落下予測域ではなくて、爆発して破片の広がりも含めた領域ということですね。

 宇宙開発事業団 

   おっしゃるとおりです。

 栗木部会長 

   ということで、もう一件を含めて、よろしゅうございますか。この言葉の定義でありますが、この2番目の図の2の定義を用いて改訂しようということで、安全の3−4−2にそれを書き下しております。そうしますと、この内容は澤邊推進官から説明をしていただきたいと思います。もう一つ、先ほどのセキュリティのことも含めて。

 澤邊推進官 

   資料安全3−4−2「『ロケットによる人工衛星の打上げに係る安全評価基準』改訂比較表(案)」というところで、まず初めに、先ほど今、御説明いただきました飛行中断につきまして説明させていただきたいと思います。2ページの下を見ていただけますでしょうか。一番左側が現行の基準で、真ん中が改訂案でございます。飛行中断のところで、先ほども御説明がございましたが、破壊限界線という言葉を使っていたんですが、これを落下限界線という言葉に変える。文言としては「安全確保のために設定するロケットの飛行を中断した場合に危害を及ぼしてはならない許容限度を示す線(落下限界線)の設定」というものと、あと、イの「ロケットの推力飛行を中断する」というのはどういう場合かということで、1のところですが、現行規定が「ロケットが破壊限界線を越えるとき」というところをもう少し正確に表現するということで、「ロケット及びその破片の落下予測域が落下限界線を越えるとき」と。23も同様ですが、同じような形で表現を直す。これだけだと文言だけですので、理解をもう少し助けるために要るということで、先ほど資料で御説明いただきましたが、落下予測域と落下限界線という図を添付する。それぞれの言葉の定義についても示すということで、基準の改訂案としたいというところです。これがまず第1点目です。
   第2点目としまして、細かいところですが、1ページ目、部会の名称というのが今年の1月に変更されておりますので、安全評価部会というのを安全部会に変更する。2のところで、今回セキュリティについて基準に盛り込むということで「適用の範囲等」の1のところですが、「保安及び防御対策」というのを1つ追加する。2ページ目に行きまして、実際の基準の中身ですが、2の「保安及び防御対策」ということで、具体的な文言としては、ここにありますように「ロケットによる打上げに際し、その整備作業段階から打上げ目的が達成されるまでの間に、ある意図によるまたは結果として破壊・妨害行為のおそれがあると考えられる場合、適切な対策を講ずること」ということで、あまりセキュリティについて詳細に書きますと、それこそそれがセキュリティじゃなくなるということもありますので、表現としてはこういうレベルにとどめております。先ほど結果報告にもありましたが、具体的には想定される対策としては、射場周辺施設などに対して物理的に侵入者が入ってくるとか、そういう立入りを管理するような話ですとか、射場ですとかロケットに関する技術情報というものがあると思います。それらを含む技術情報の漏えい防止を図るというような話ですとか、最近ですとサイバーテロというようなことがありますので、ネットワーク、無線、有線に限らず、ネットワークからの不正侵入ですとか改ざん、破壊からの防護というのは具体的にはとられるような対策と考えております。
   説明は以上で終わります。

 栗木部会長 

   特にセキュリティに関しましては、今、澤邊推進官が言葉を補って話したようなことを最初は書き下したのでありますが、これで書き足りない、書き過ぎだというような議論もありまして、むしろこれはもう実施機関の体制にもよりますし、それがどうなっているということをやり出しますと、むしろセキュリティの本質がそがれてしまうということで、忘れないようにきちんとかぎをかけてくださいという項目だけにとどめるという形になりました。その辺は御理解いただきたいと思います。
   それから、今後、仮にこれで基準が決められて、おのおのの打上げのときにプレゼンテーションをやるというその中身も極めて内容が濃いものですと、これは公開でやるということは問題がありますので、場合によってはこれは、その部分だけは非公開でやるという場合も将来あり得る、そういうような理解でこの基準を作りました。御議論いただきたいと思います。

 長谷川特別委員 

   改訂案の方の4、前の現行ですと3になるんですが、こちらの方には、こういう今、追加された1の内容というのは含まれていなかったわけなんですか、これがここにないのでわからないんですけれど。今、改訂案の方では1が追加されたわけですよね。以前から3、今度新しくは4になったわけですが、こちらの内容には今、追加されていたような内容を含んでいなかったわけなんでしょうか。

 栗木部会長 

   全くなかったわけではなくて、立ち入りとか、そういうことに関する比較的物理的なセキュリティに関しては書かれておりました。ですが、無線、有線、そういったところを通じてのというのは何もなかった。今回もこれを書いたからといって、そこはどこにもあらわには書かれてないんですけれど、ここは諸事情を考えて、この項目を見て、そういう内容を想定して対策を施してほしい、そういうつもりで1を書き足したということです。

 長谷川特別委員 

   そうしますと、4の方を今まであった部分を削除しなくてもよろしいわけなんですか。14、ダブるようなことになろうかと思うんですけれども。

 栗木部会長 

   重複はないと思います。

 澤邊推進官 

   まあ、観点が違うと思うんです。今回つけ足したセキュリティの確保というのは、妨害者、悪意者に対して対策を講じることということが今回追加した目的なんですが、今までの基準については射場周辺の人の生命、財産を守るために区域に立ち入らないということですとか、目的が異なるという意味で、若干違うのかもしれない。観点が違うという意味では今回追加しても構わないと考えております。

 栗木部会長 

   また、観点が違うというところを書こうとしますと、またあらわになってしまうというところもありまして、こういう多少ぼやけた表現にはなっておりますけれど、ここで包含して読んでもらいたいということであります。

 長谷川特別委員 

   それからもう一点なんですが、これは宇宙開発事業団の内部規定というか、内部の基準であって、宇宙科学研究所でやっている方に関してはどうなんですか。

 栗木部会長 

   安全基準ですから。両方に適用されます。

 工藤特別委員 

   「保安及び防御対策」の「考えられる場合」ということをお聞きしたいんですが、それはいつ判断されるんでしょうか。

 栗木部会長 

   これは、場合というのはケースですかね。

 工藤特別委員 

   打上げの、これは期間は特定されていますよね。

 栗木部会長 

   そうですね。

 工藤特別委員 

   それにおそれがあると考えられる場合に適切な対策を講じなさいということは、それよりもっと前に対策を立てておく必要があるのではないかなというお話ですか。

 澤邊推進官 

   この場合が、ときをあらわすものではないと考えております。

 栗木部会長 

   ときは、これはもう冒頭にディファインされていまして、整備作業段階から打上げ目的が達成されるまでの間です。

 工藤特別委員 

   その間にそういうものがあると予測する時点があるわけですね。

 栗木部会長 

   時点。ときと場所があると思います。

 工藤特別委員 

   そういうものはどこかの情報機関からこういう可能性があるという情報が入った、そういうときではないわけですか。そういうことに対応しているわけじゃないんですか、この文章は。

 栗木部会長 

   おそれがないと考えられますから、必ずしも情報が入ってくるとは限らない。こちらが可能な限り想定するわけです。

 工藤特別委員 

   そうすると、設計段階といいますか、もっと早い時点からこういうものに対して何らかの処置をしておくということではないんですか。

 中島特別委員 

   そういうことも含んでいます。地上系のシステムなんかもそういうふうに作らなければいけないということだと思います。

 宇宙開発事業団 

   ロケットの打上げに際して、整備作業段階から打上げ目的が達成されるまでの間に考えられる行為を検討して、その防御対策、それは従来、地上安全計画と飛行安全計画を審議していただきましたが、その中に保安防御対策も含めて盛り込んだ形で出させていただいて、中には詳細なレベルがあるかと思いますが、セキュリティのことだと思いますから、それで審議していただく。対象に設計段階、製造段階を入れますと、セキュリティの防御というのは、先ほど言いましたように立入りを禁止だとか情報の漏えいだとかということになってきますと、例えばみずから自分の工場で作っているわけではありませんで、いろいろメーカーの工場がありますので、そのメーカーの工場のそういう設計だとか製造段階、物を作っているときに外部からそれに侵入して、破壊活動にさらされる、そういうものをどう防御するかということを入れようとすると、各メーカーがやっている内容にかかわる部分ですから、すべてこの場で議論するというのは無理が若干ございまして、この文章をそのまま読まさせていただきますと、「ロケットによる打上げに際して」というのが1つ範囲になると考えております。もちろん全体にわたってこちらとしては対策すべき重要な事項についてはもちろん考えています。

 工藤特別委員 

   御説明によりますと、受ける印象では、この文章からできることと言えば、例えばこういうような場合が起こった場合には、警備員を大幅に増員する等と読めます。ただ、今までの部会で議論されていた点、例えば暗号化等に対しては強固にするような対策は、早い時点からとることができると考えまして質問いたしました。また1つ納得いかないところは、考えられるか、考えられないかという判断をいつの時点で行うのか、そういうことを含んで明文化しようとしているのではないんですか。

 栗木部会長 

   実施機関がメーカーさんとどういう契約を結ぶかにかかわります。それをこの安全評価基準で縛れるかということがありますね。ですから、安全評価基準とすれば、物が射場に入ってから、それに火が入り、作業が始まる、そのときにあらわに出てくることしか規定しない、そういう意味です。

 工藤特別委員 

   なるほど。もともとの規定の範囲が、打ち上げの狭い範囲に限定されているということですか。それ以外のところは……。

 栗木部会長 

   それは知らないとは言いませんが、そこは別の切り口でやってくださいと言わざるを得ないと私は思います。

 工藤特別委員 

   そもそもこの規定の対象としている期間が違うんだよということですね。

 栗木部会長 

   そういうことです。

 工藤特別委員 

   わかりました。ありがとうございました。

 川崎委員 

   もっと客観的に書くというのはいかがでしょうか。考えられるという主観的な表現を省くというのは。

 栗木部会長 

   何かいい表現はございますか。

 川崎委員 

   例えば「妨害行為を防ぐため」とかとやってしまえば、「ある意図による、または結果として破壊妨害行為を防ぐため適切な対策を講じること」とか、あるいは「妨害行為を予防するため」とか「対処するため」とか、そういうふうな客観的な行為の規制文にすれば、今、工藤先生がおっしゃったようなだれがいつどこでという。

 工藤特別委員 

   その方がわかりやすいかもしれませんね。この文章だけを見ると変な感じがしたものですから。

 川崎委員 

   改めて何か考えられると。

 工藤特別委員 

   おっしゃることはよくわかります。

 栗木部会長 

   考えられるというのはどこから来たんでしょうね。

 川崎委員 

   だれかがやっぱりまじめに考えなきゃいかん、考えるヒントがないといけないとなるので、要するにアプリオリに意識しなさいという意味でしょう、これは2として新しく出すわけで。

 栗木部会長 

   そうですね。

 川崎委員 

   だとすれば、むしろ妨害行為を未然に防止するためとか、防ぐためとかというふうな方がひょっとすると。

 栗木部会長 

   防ぐための適切な。

 川崎委員 

   適切な対策を講じることと。

 栗木部会長 

   防ぐための。

 川崎委員 

   まあ、そんな表現であれば今の……。

 栗木部会長 

   適切な対策を講じること。考えられるというのは、しかし、そこだけ考えてくださいという感じも多少ありますね。それでは、「ある意図による、または結果として破壊妨害行為を防ぐための適切な対策を講じること」、短い方がいいでしょう。また「適切な」というのは、おそらく実施機関としての裁量も含めて適切な。英語ですとベストエフォートベーシスか何かになるんですか。あるいはリーズナブルエフォートだとかありますが。
   それじゃ、ここは実施機関がこれで押しつけられると困るというと、これは実際には運用しづらくなりますので、私はこれでよろしいと思いますが、後でこれに文言の点は相談させていただけますか。

 熊谷特別委員 

   文言については特に申し上げません、もうこれで言うことないんですが、予防するとか、現実はもっと厳しくて、サイバーテロに対してはもう現実に起きているんですね。我々の研究所もファイヤーウオールなんかで守っているけれど、アタックはすごくあるんです。それは現実にもう必ず起きると思いますので、それを文書に書く必要はないと思いますが、心構えとして単に予防とかじゃなくて、実際は対処するということをきちんと考えていただきたいと思います。

 木部特別委員 

   文言を変えることで、つまり最低限の最低ラインというのが下がるとか上がるとかという話をなさっているんですか。

 栗木部会長 

   いや、これは何もあらわしていないと思いますよ。

 木部特別委員 

   いや、考えられる場合という場合には、考えないと言えば何もしなくていいわけですね。それから、後ろの適切というのも、適切でないと思えば何もしなくてもいいわけですね。

 栗木部会長 

   適切というのはかなりあいまい語だと私、思いますけど。

 木部特別委員 

   文言を変えたら変わるというふうに心配なさっている。議論がよくわからなかったのものですから、お伺いしたいんですが。

 栗木部会長 

   これを防ぐための適切というのが、かなり。

 木部特別委員 

   ……を防ぐという、防ぐのは起っては困るというふうにとれば厳しいですね。

 栗木部会長 

   それでは、こうしましょうか。「のおそれがある場合、適切な」、一番短く。

 川崎委員 

   その方が一番いいかもしれない。

 栗木部会長 

   これは場合を想定されるかどうかは実施機関の裁量だと思います。

 宇宙開発事業団 

   ちょっと1点、確認なんですが、「ある意図による、または結果として」という「または結果として」というのは、意図がなくても、たまたま知らないでその中に入ってしまった、ある区域に入ってしまった。この妨害というのは、その入ってきたことによって知らないで入ってきたことによって打ち上げられないという、それもまあ、結果としては妨害というか、打ち上げられなかったという、そういう意味も含んでいるということでよろしいでしょうか。

 栗木部会長 

   そういう意味です。

 宇宙開発事業団 

   わかりました。

 栗木部会長 

   この後の取扱いにつきましては、この後で今後の予定のところで澤邊推進官にまとめて説明をいただきたいと思います。
   それから、きょうの資料でございますが、一番最後の参考の2に、第2回目の安全部会で質問を長谷川先生からいただきまして、それに対する回答を準備して、先生からもこれは説明で満足していただいたという報告を伺っておりますので、参考までにこれを添付しておきました。
   ということで最後に、事務局から連絡等がございますが、以上で本日の議事は終了いたします。よろしゅうございますか。どうもありがとうございました。
   最後に、澤邊推進官から、今後の予定だけ説明してください。

 澤邊推進官 

   事務局から連絡等をさせていただきます。次回以降のスケジュールにつきましては、本日審議いただきました改訂基準、安全評価基準のパブリックコメントを募集しまして、その意見を反映して第4回、メール等でお知らせしておりますが、第4回、11月5日月曜日10時から開催いたします。第5回につきましては11月12日月曜日10時からということになっております。第4回、第5回で、H−2Aの試験機2号機と宇宙研さんのDASH、高速再突入実験につきまして御審議いただきたいと思います。これがまず第1点目のスケジュールでございまして、それから2点目としまして、事務局で、安全部会のメンバーの方々で宇宙開発事業団の種子島、宇宙研さんの内之浦の射場施設の見学といいますか、視察というのを考えております。一応時期としましては11月末ごろを考えております。本日、日程はお話しできませんが、大体11月末ぐらいで予定しております。また詳細が決まりましたら御案内させていただきます。以上です。

 栗木部会長 

   それでは、以上を持ちまして、本日は閉会といたします。 どうもありがとうございました。

−−閉会−−




(研究開発局宇宙政策課)

ページの先頭へ