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宇宙開発委員会

2001/07/02議事録
宇宙開発委員会 安全部会(第回)議事録


宇宙開発委員会 安全部会(第回)議事録

1.日時 平成13年7月2日(月)   10:00〜12:30

2.場所 文部科学省別館5階第2会議室

3.議題 (1) H−2Aロケット試験機の打ち上げに係る安全対策(案)について
  (2) 国際宇宙ステーションのロシアサービスモジュールに搭載する実験装置の安全確保について
  (3) その他

4.資料 安全2−1−1−1 打上に係る安全組織の役割と責任
  安全2−1−1−2 H−IIAロケット試験機1号機打上げのセキュリティ確保について
  安全2−1−2 H−2Aロケット試験機の打ち上げに係る安全対策(案)について
  安全2−2 国際宇宙ステーションのロシアサービスモジュールに搭載する実験装置の安全確保について
  参考 宇宙ステーション取付型実験モジュール(JEM)に係る安全評価のための基本指針

5.出席者    
  部会長 栗木 恭一  (宇宙開発委員)
  委員長 長柄喜一郎 (宇宙開発委員)
  委員 五代 富文  (宇宙開発委員)
井口 雅一  (宇宙開発委員長)
  特別委員 木部勢至朗、熊谷  博、栗林 忠男、黒谷 明美、河野 通方、佐々木 進、佐藤 吉信、中島  俊、中村  順、長谷川和俊、馬嶋 秀行、松尾亜紀子、宮本 晃
  事務局 素川審議官、芝田宇宙政策課長、福田技術評価推進官

6.議事内容

 栗木部会長 
   定刻になりましたので、第2回の安全部会を開催いたします。
本日は皆様、大変お忙しいところ、かつ大変暑い中をお集まりいただきましてありがとうございます。第2回であります本日の議題は、H−2Aロケット試験機の打上げに係る安全対策(案)についてというのが1件あります。もう一件、国際宇宙ステーテョンのロシアサービスモジュールに搭載する実験装置の安全確保について、この2件であります。

[事務局配付資料確認]

【 栗木部会長 】
    それでは、議題に入ります前に、前回御欠席でした委員のお2人の方に、今回初めて御出席ということで、簡単に自己紹介をお願いしたいと思います。

 中村特別委員 
    昨年から委員をやっております科学警察研究所の中村です。よろしくお願いします。

 長谷川特別委員 
    消防研究所の長谷川です。

 栗木部会長 
    それでは、議題に入りたいと思います。

(1)H−2Aロケット試験機の打ち上げに係る安全対策(案)について

 1番目の議題はH−2Aロケット試験機の打上げに係る安全対策(案)であります。前回の部会でNASDAのからH−2Aロケットの試験機の打上げ計画を説明していただき ましたが、この打上げに係る安全での御審議の中で、幾つか御意見をいただきました。
 打上げに係る、まず、安全部門の役割と責任をもう少しわかりやすく説明していただけないかというご意見がありましたので、この点につきまして、H−2Aロケット試験機1 号機の打上げに係る安全部門の役割と責任について、説明をお願いしたいと思います。
 宇宙開発事業団の宇宙輸送安全課の中村さんと企画部の秋山さんから、説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします

 宇宙開発事業団・中村 
 宇宙開発事業団の中村です。まず、資料安全2−1−1−1について説明させていただきます。
 説明の一番最初に、最後のページに、打上げ隊の組織について1枚の図を添付させていただきました。前回6月28日の第1回の安全部会で、打上げ及び追跡管制の打上げ隊と いうことで説明させていただいて、その時点では打上げ隊は組織については検討中と説明させていただきましたが、その後、若干この打上げ隊組織の中身が変わりました。飛行安全主任と射場安全主任は変わっておりません。一番上にロケット主任とありますが、それ以外に打上げ主任というのが、前回説明させていただきましたが、打上げ主任がなくなりまして、その打上げ主任の中である射場班というのが、新たに射場主任というのができました、射場主任の下に射場班が入っております。
 飛行安全主任、射場安全主任は変わっておりません。追跡管制主任も変わっておりません。前回、打上げ主任と説明させていただいた部分が企画主任となりまして、企画主任に企画班、広報班、情報連絡班となっております。それ以外は変更はありません。
 本題に戻りまして、表紙から1枚めくっていただきまして、「はじめに」ということで、打上げ隊は今の図にありましたように、実施責任者を長とし、そのもとにロケット主任、 射場主任、飛行安全主任、射場安全主任、追跡管制主任及び企画主任等各主任が配置されて、さらにその下に班長等が構成される主任ラインという形態をとっております。
 各主任の役割と作業の進行に係る安全上の判断等について説明します。
 役割につきましては、今の図の中の右側に主任の業務というのが示されていますので、読んでいただきたいと思います。
 この資料の中で、2としまして、打上げ準備作業及び打上げ時(リフトオフ)までに係る安全の判断ということで、それぞれ射場安全主任と飛行安全主任の役割、それから、打上げた後の安全上の判断が、射場安全主任と飛行安全主任があります。その他の判断、それから、射場安全主任と飛行安全主任の業務の関係ということでまとめました。
 2ページ目ですが、打上げ準備作業及び打上げ時(リフトオフ)までに係る安全上の判断ですが、射場安全主任、これは準備作業における安全に係る作業でありまして、主にロケットの準備作業になります。その作業の安全の確保が対象になります。
 1としまして、実際に作業が進められていくわけですが、それぞれ安全上支障がある場合には、作業の停止を行う発令をするというのが射場安全主任になりますので、その内容について少し補足させていただきます。
 作業停止等に緊急性を要しない場合、これは関係主任との協議を行うということになっておりまして、その中で安全確保の方策が検討されて、射場安全主任が最終的に判断を行って、その結果を射場安全主任から実施責任者に報告するということになっております。
 それから作業停止等に緊急性を要する場合、これは射場安全主任の判断により、射場安全主任が作業停止を発令するとともに、実施責任者に報告するということで、緊急でかつ関係主任との協議とか、実施責任者の判断を仰ぐという時間がない場合には、あらかじめ決められた作業停止の発令の要領、考え方が整理されておりますので、それに基づいて射場安全主任は判断して実施するということになります。
 (2)として飛行安全主任ですが、これは打上げ前の風観測結果による飛行解析があります。1として、作業停止等の緊急性を要しない場合、これは解析によってロケットの飛行中に射点近傍なり、あるいはロケットからの分離物に対する安全が確保されるというこ とを飛行安全主任が判断して、確認して、それを実施責任者に報告するということになります。
 作業停止等に緊急性を要する場合、これは打上げ後の飛行管制に支障を及ぼす問題が発生した場合でありますが、例えば計算機がとまるような場合ですとか、そういった状況が あった場合なんですが、そういった支障を及ぼす問題が発生した場合には、飛行安全主任の判断により飛行安全主任が作業停止を発令するとともに、実施責任者に報告するということになります。
 次のページの3項、打上げ後に係る安全上の判断ですが、(1)として射場安全主任、これは射場の異常への対処及び後処置作業の安全確保が対象となります。作業停止に緊急性を要しない場合、これは関係主任と協議により、安全確保の方策が検討されて、先ほどと同じように主任が判断を行いまして、結果を実施責任者に報告するということです。作業停止等に緊急性を要する場合、これは射場安全主任の判断により、射場安全主任が処置あるいは作業停止を発令するとともに、実施責任者に報告するということで、何か飛行中 に異常があった場合が対象になるということです。
 (2)としまして飛行安全主任ですが、ロケット飛行時でありますが、このときの飛行管制が対象となります。緊急性を要しない場合は特にありません。すべて緊急性を要する事象でありますが、飛行安全主任がロケットの飛行続行、中断の判断から処置を行うということ、それとともに実施責任者に報告するということであります。
 次のページに4項としまして、その他の判断としまして、作業の進捗に伴いまして、実施責任者をはじめとする各主任が出席する以下の1から5までの審査及び主任会議が開催されます。そこで主要な判断及びGO/NOGOの判定を行って、次の作業への着手を決定していくということで最終確認審査、それから、Y−3作業移行可否判断、打上げ2日前の通知可否判断、これは関係機関への通知を行うかどうかの判断になります。 4としましてY−0当日の作業に移行していいかどうかの可否判断を行うということになります。
 当日になりまして、第1回から第5回までのGO/NOGO判断ということで、ターミナルカウントダウン、あるいはLOX/LH2推進薬充填、40分前、10分前のそれぞ れの各作業の開始に当たっての判断があります。これはいずれも緊急性を要しない、各主任なり実施責任者が集まってそれぞれ判断するときの場合であります。
 5項としまして、射場安全主任業務、飛行安全主任業務の関係でありますが、射場安全主任の業務としましては、射場内での打上げ準備作業から打上げ後の後処置作業完了までの整備作業に係る安全確保、陸上警戒、海上警戒と監視、事故発生時の射場及び周辺地域の被害拡大の防止ということになります。
 ですから、射場安全主任の業務としては、打上げ準備作業から打上げ後の後処置、異常時も含めて地上の安全の確保についての全責任を負うということになっております。
 また飛行安全主任の業務は、4としまして、打上げ直前の風観測に基づく飛行解析、5としまして、飛行中のロケットの飛行安全管制でありまして、打上げ、ロケットの飛行に 異常が生じた場合の地上への危害の発生を防止する責任を負っております。
 したがいまして、打上げ前のそれぞれの主任、打上げ後のそれぞれの主任の定められた担当業務において安全に関する責任を有しているということであります。
 以上でございます。

 栗木部会長 
    ありがとうございました。
 この体制の問題とも、セキュリティの問題が絡むかと思いますので、続いて秋山次長にお願いいたします。

 宇宙開発事業団・秋山 
    それでは、御説明を申し上げます。
 試験機1号機の今回の打上げでありますが、主として2つに分けまして、その措置を講じることとしております。(途中省略)

 栗木部会長 
    ありがとうございました。
 ただいまのお2方の報告につきまして、御質問等がありましたら、お願いいたします。
 五代先生、いかがでしょうか。

 五代委員 
    セキュリティについては、こういうふうにこういう場で出るというのは初めてだと思いますが、詳細については、当事者の方できちんとしていただければいいと考えています。
 あとは、今回1号機ですが、衛星ユーザーが複数になると、ユーザー間の情報の管理とか、いろいろなことが出てきます。今回は1号機ということで、私はこの方向で結構だと思います。細かいことはいろいろありますが、それは中で十分議論して、外に逆に出さない方がいいと思っています。

 栗木部会長 
    ほかに何か御意見ございますでしょうか。佐々木委員、どうぞ。

 佐々木特別委員 
    打上げ準備作業の安全確保というので幾つかの考えがあると思うんですが、ここの考え方というのは、安全を確保するためのスイッチが幾つかあるという、射場の安全主任という方が作業停止できるし、飛行安全主任という方が作業停止できるということだと思うんですが、もう一つの考えは、本来はある程度で作業停止をする人というのは、全体を判断して、唯一1人であるべきだということがもう一つあるような感じがするんですね。
 例えば射場安全主任がまだNOGOを出していないとき、緊急時なんですが、飛行安全主任が緊急時NOGOを出したときに、本来は射場安全の立場からはとめてはいけないという場合もあり得るという感じがするんですね。そういう作業があり得るということで、やはりあるフェーズに対しては、停止するための最高責任者というのは、全状況を判断して1名であるべきではないかなという気がするんですが、これは安全スイッチをとめる方向にたくさん置いておけばいいだろうという考え方であると思うんですが、混乱が生じる場合があるのではないか、スイッチがたくさんある場合、その辺はいかがでしょうか。

栗木部会長 
    逆にスイッチが多いとかえって危険になるということもあり得ると。

 佐々木特別委員 
    はい。

 栗木部会長 
    いかがでしょう。

 宇宙開発事業団・中村 
    今の御質問ですが、基本的には緊急性を要しない場合は協議で、最終的には実施責任者も出席している中で判断される場合がありますので、それはそれでそういう判断ということでいいと思いますが、今質問された緊急の場合の話に限定して回答させていただきたいと思いますが、基本的には緊急時の、例えば打上げ直前の場合の緊急時というのは、例えばロケットの作業で、何か緊急を要してとめないと危険な状態に陥るといった場合に、その作業を停止するわけなんですが、基本的にはそれは射場安全部門がその作業に張りついて立ち合っております。そこで射場安全主任が射点安全班なりの班員なり班長が立ち合っていて、その情報をすぐ射場安全主任に連絡して、射場安全主任が判断して停止するということになります。
 そういう意味では、そこの時点では射場安全主任だけの判断でできるわけなんですが、飛行安全と射場安全主任の関係で言いますと、フライト中の判断は、これはもう飛行安全主任の判断に、数秒を争う話ですから、そこで判断するということが安全確保になるわけですが、それ以外に打上げ前の飛行安全主任が判断する、観測風によって、例えば射場周辺に破片が及ぶだとか、あるいは当初計画した安全が確保できないという解析結果が出れば、それは飛行安全主任が実施責任者にこれは緊急性を要しない場合ですから、実施責任者に報告をして判断、射場安全主任としては危険だからということで報告して、その了解を得るという形になるということです。だから、そこの間では射場安全主任と飛行安全主任の関係というのはないというふうに見ています。

 宇宙開発事業団・三戸理事 
    少し補足させていただきますが、地上と飛行それぞれのフェーズではっきりしているフェーズにおきましては、緊急時において、それぞれの射場安全主任、飛行安全主任が対応するわけですが、飛行安全と射場安全との分岐点といいますか、そういうような状態があればどうするかというようなことも少し問題になるかと思いますが、現在、我々はそのような状況について、一応ないのではないかというふうに考えているんですが、先生のおっしゃったようなことで、もしそのようなことをもっと十分検討する必要があるならば、もう一度詳細に検討して、もしあればどのようにするかということをその要領について手順を決めていきたいと思います。

 栗木部会長 
    よろしいですか。

 佐々木特別委員 
    はい、わかりました。

 栗木部会長 
    おそらくリフトオフ前のコンフリクトが問題なんだろう。しかも緊急の場合ですが、飛行安全主任が射場の中で注液等を行っているときに、ぱっと飛行安全の方でとめたということが、うまくデフォルトにちゃんと入っていくかというロジックが確保されているということは、やはり十分に事前に検討して見ていただきたいなと思いますが、おそらくこういうことは事前にやられているんだろうと思うんですが、両者がどちらが先行してとめても、お互いに危険な状態には陥れないという保証を是非お願いしたい。よろしくお願いします。
 ほかに何か御意見ありますでしょうか。

 よろしいようでしたら、次に進みたいと思います。前回、皆様からいろいろ御意見をいただきまして、ここにロケットによる人工衛星等の打上げに係る安全評価の基準に沿って、 H−2Aロケット試験機の打上げに係る安全対策(案)についてまとめました。既に皆様に電子メール等郵送してお届けしているかと思います。それについて幾つか御意見もいただきました。それを反映したものがお手元にあります安全2−1−2であります。これにつきまして、福田技術評価推進官から説明をしていただきたいと思います。お願いします。

 福田推進官 
    それでは、お手元の資料の安全2−1−2に基づきまして簡単に御説明させていただきます。
 これにつきましては、先ほど栗木先生の方から説明していただきましたように、Eメールでお送りし、郵送で報告書の図表等もお送りしておりますので、簡単に要点だけを説明する格好にさせていただきたいと思います。
 それでは、資料をめくっていただきまして、まず、この報告書の構成でありますが、目次がありまして、これはこの部会に求められているマンデートをそのまま展開しております。すなわち地上安全対策、飛行安全対策、安全管理体制という3つの項目に分けまして、それぞれを整理して評価しています。それから、最後にこの部会としての所見ということで整理しております。
 その次のページでありますが、地上安全対策であります。これにつきましては、まず、ロケット推進薬等の射場における取扱いに係る安全対策ということで、静電気対策、防護着の着用、防護施設の使用等、取扱い施設の巡視等、次のページに参りまして、発火性物質の持込み規制等、そして後処理作業という6つの項目に整理しまして、前回の事業団さんからの説明をこの項目ごとに整理して記載しております。
 次でありますが、警戒区域の設定であります。これにつきましては、時間軸で警戒区域の規制がどういうふうに行われているかということを整理しておりまして、まず1つ目の観点としては、整備作業期間における警戒区域、打上げ時における警戒区域という2つの観点に分けて整理しております。
 それぞれの警戒区域でありますが、整備作業期間における警戒区域につきましては、これは安全評価基準に定められました方式に基づきまして、その区域の設定がされております。
 打上げ時における警戒区域でありますが、これにつきましては、基本的には射点から3キロという範囲で警戒区域が設定されております。さらに海上に関する巡視、あるいは上空等の監視というのが行われるということであります。
 3つ目でありますが、航空機及び船舶に関する事前通告ということで、これにつきましては、まず船舶については、3週間以前に水路情報によって通知をする。航空機に関しま しては、28日以前にノータムにより全世界に通知をするという方法がとられております。
 次の4ページでありますが、作業等の停止ということであります。これにつきましても、何かあった場合には作業の一部あるいは全部が作業停止するような安全対策がとられております。それから、防災対策につきましても適切な対策がとられているということであります。
 次に5ページでありますが、これは飛行安全対策であります。まず、これは落下物に対する安全対策ということで、正常時におきましてロケットの落下物がどこに落ちるかとい うことで、これにつきましては、27ページの図12にロケットの固体ブースター、フェアリング、それから1段の予測落下区域というのが示されておりまして、これについては、陸地あるいは外国の海域に影響を与えないような区域に設定されております。
 ロケットが推力停止した場合の落下物に対する安全対策でありますが、これは先ほども申し上げましたように、まず射点を中心とする半径3キロという区域に警戒区域で設けら れておりまして、その後、図8、これは23ページでありますが、23ページに示したような海上の区域において、海上警戒がとられるということであります。
 その結果として、41ページにありますように、船舶に対する落下物の確率が計算されておりまして、基本的には10の−6乗から10の−9乗ぐらいに極めて小さい値に設定されておりまして、落下物に対する影響が極めて小さくなるようになっております。
 図13でありますが、これが射場から離れた地域におけます落下予測軌跡でありますが、これにつきましても、可能な限り人の住んでいないところを通過するように設定されてい るということであります。
 6ページ、次は飛行中の状態監視あるいは飛行中断等の安全対策でありますが、状態監視につきましては、光学設備、ITV、レーダー、テレメトリーによって監視が行われます。飛行中断につきましては、基本的には安全基準に基づきましてロケットが予定しているエリアから出て危険な場合には、指令破壊が行われるということであります。電波のリンクにつきましても、基本的には回線マージン等が確保されておりまして、テレメトリー、コマンドとも回線が確保されているということであります。飛行機、船舶に関する事前通報につきましては、先ほど申し上げたとおりであります。
 デブリでありますが、基本的にこの今回の打上げについて軌道上に何が残るかと申しますと、2段の機体、この2段の機体の中にはVEP−2と呼ばれる性能用確認装置も含まれますが、それとLREという測距装置、この2つが残ることになります。それぞれにつきまして、内圧が上昇するための破壊防止がとられているということであります。
 安全管理体制につきましては8ページに書いてありまして、組織につきましては、昨今来、事業団さんから説明がされているような体制で安全体制が機能するように措置されて いるということであります。
 安全教育及び訓練につきましては、前回御説明がありましたように、今回の場合、打上げ間隔が1年以上あいているということから、通常よりも入念な教育が実施されるという ことであります。
 最後でありますが、10ページがこの部会としての結論といいますか、最後の所見になろうかと思いますが、ここについては少し読まさせていただきます。
 「以上のとおりH−2Aロケット試験機1号機の安全において宇宙開発事業団が実施しようとしている地上安全対策、飛行安全対策及び安全管理体制は、ロケットによる人工衛 星等の打上げに係る安全評価基準に規定する要件を満たし、所要の対策が講じられており、妥当であると考えられる。 」
  これにつきましては、前回の議論を踏まえて、少し問題を整理したものでありますが、「今後、安全対策については、ロケットの打上げによる地上安全及び飛行安全の妥当性の みならず、外部侵入者に対してセキュリティを確保するための対策、例えば情報通信を利用した不正アクセス行為等によりロケットの打上げに重大な支障となる問題への対処に十 分な対策を施すことがますます必要となる。このため、外部侵入者に対する安全対策を類型化し、ロケットによる人工衛星等の打上げに係る安全評価基準に速やかに反映させてい くことが必要である」というものであります。
 2点ほど訂正があります。まず1つ目、は35ページの図19でありますが、ここに今、報告書にあります体制は、前回の事業団さんの体制をベースにつくったものでありますが、これについては、先ほど事業団さんから説明がありました体制が変わるということなので、それにあわせてこれも修正したいと思います。
 37ページの図21でありますが、これは横の棒が本部長、副本部長から横にいっているんですが、前回こういう図が出たんですが、これは間違っておりまして、本部長付のと ころから横棒が出ていくというふうに修正してほしいという話がありましたので、そこは修正の上対応したいと思います。以上でございます。

 栗木部会長 
    どうもありがとうございました。
 ただいまの報告書案につきまして、先ほどの最後の修正も含めまして、御意見等を伺いたいと思います。御質問あるいは御意見等ありましたら、よろしくお願いします。
 長谷川委員、どうぞ。

 長谷川特別委員 
    41ページの船舶への破片落下確率の算出方法についてです。私どもが関係している危険物施設ですが、街にあるガソリンスタンドとか、あるいは石油精製工場とか、ああいうのを含めての危険物施設といいます。この年間の火災発生の確率というのが、大体10の−3乗から−4乗ぐらいなんです。これを見ますと、一番確率の高 いところ、射点のところになっているんですが、−6乗になっていますね。結構高いような印象として受けるんですが、その上の方の閾を見ますと、故障発生確率とその船舶密度、海上への破片落下確率を掛けているわけですが、それぞれの値は大体どのぐらいの値になっているのか。また、この確率が結構高いように思うんですが、この算定の根拠とか、その辺のところを教えていただきたいと思います。

 宇宙開発事業団・井坂 
    宇宙開発事業団の井坂です。お答えします。
 まず、41ページの絵でありますが、横軸は射点からの距離でありまして、縦軸が船舶への確率ということで、−6乗というのは射点のところであります。海上警戒区域といたしまして、その前の23ページにありますように、射点から30キロまでは船舶を入れないということで、実質的には−6乗ではありません。
 それからもう一つのお尋ねでございますが、具体的な数値ということであります。故障発生確率、船舶密度、海上への破片落下確率ということでありますが、手元に今日は持っ てきておりませんが、故障発生確率といたしましては、1秒当たり、確率密度ということでいきますと、−5乗ないし6乗であったかというふうに記憶してあります。ちょっと手元にデータがありませんが。
 それから船舶密度でありますが、これも海岸から離れるに従いまして密度は異なります。遠方に行きますと−6乗、それから、多分20キロから30キロのあたりでは−4乗程度ではなかったかと思いますが、手元に持ってきておりませんので、正確ではありません。
 海上への破片落下確率でありますが、これは打上げ後の各経路上、そこで仮に破壊したということで破片の散る範囲を計算いたしまして、それを時間で積分をするということで求めております。以上です。

 栗木部会長 
    さらに御意見ございますか。

 長谷川特別委員 
    今、正確な資料がないということなので、後ほど資料提供いただきたいと思います。

 宇宙開発事業団・井坂 
    わかりました。

 長谷川特別委員 
    それから、10キロから20キロのところが増えているのは、何か定性的に理由があるのでしょうか。

 宇宙開発事業団・井坂 
    これは今申し上げましたように、海岸線から10キロから20キロの間というのは船の航路になっておりまして、そのために船の確率が高くなって いるということであります。

 栗木部会長 
    ということは、船舶密度は特に警戒してこれをスイープアウトしていない場合の。

 宇宙開発事業団・井坂 
    保証という意味です。

 栗木部会長 
    ワーストケースということであります。
 ほかに何かありますでしょうか。

 五代委員 
    細かいことですが、これは公式文書でしょうか。そうしますと、どうでしょう。単位系はSIに統一されないといけないのかなと。今、多分公式にはSIで出 されているんでしょうね。そうしますと、ほとんどいいんですが、12ページか何かに、表に圧力ですか。我々はこれが一番よくわかるんですが、一方16ページにはMPaG何 とかとなっておりますが、公式には新しくしなければいけないのかなと思うんですが、いかがでしょうか。

 福田推進官 
    御指摘につきましては、括弧の中に確かに圧力が書いてありまして、これはパスカルに直したいと思います。

 栗木部会長 
    それでは、よろしければ、ただいまいただきました何点かの訂正をしましたページで差しかえさせていただくということで、安全部会としては報告書として取りまとめたいと思います。できました報告につきましては、部会長から7月4日、来る水曜日でありますが、開催される宇宙開発委員会に報告したいと思います。よろしいでし ょうか。

(2)国際宇宙ステーションのロシアサービスモジュールに搭載する実験装置の安全確保について

 それでは、2番目の議題に移りたいと思います。2番目は国際宇宙ステーションのロシアサービスモジュールに搭載する実験装置の安全確保であります。当初、この部会のスタートのときに申し上げましたように、本部会は打上げに係る安全性のほかに、宇宙ステーションに係る有人システムの安全性も取り扱うということで、この議題を加えております。宇宙ステーションに関しましては、今後JEMあるいはHTVとの安全評価を本部会でもって実施していきたいと考えております。
 このために国際宇宙ステーションのロシアサービスモジュールに搭載する実験装置の安全確保について、NASDAから報告していただきますが、これはロシアが最終的な責任をとるということで、我が国のという最終責任には直接ならないものでありますが、今後、JEM、HTV等の安全評価を行っていくという立場から、理解を深めるという点で、今 回この報告をお願いして、幅広く御理解いただき、議論していただければと思います。
 これにつきましては、宇宙開発事業団宇宙環境利用システム本部の長谷川宇宙ステーション安全・信頼性管理室長に説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 宇宙開発事業団・長谷川 
    それでは、今、御紹介にありました宇宙ステーションの安全信頼性管理室長の長谷川でございますが、ロシアのサービスモジュールに搭載する実 験装置、2件あるんですが、それの安全について、事業団で安全審査をしたことに関しまして御報告をさせていただきまして、コメント等指摘をいただければと思います。
 まず1ページでありますが、対象の装置は微小粒子捕獲実験装置及び材料曝露実験装置、これは1つになっているんですが、装置としては2つの呼び名がありまして、略称として MPAC&SEEDと呼んでおります。高精細度テレビジョンカメラシステム、これはテレビカメラを中心としたシステムでありますが、この2つを今回ロシアのサービスモジュールに搭載しまして実験をするということで、事業団で安全審査をしております。
 次のページが目次でありますが、装置の概要と、今、部会長から御説明がありましたが、安全確保の責任についてと、NASDAの安全確保対策はどのようにしたか、それから、 その中で主な安全対策についてこれから御説明させていただきます。
 3ページでありますが、まだ全部載っていないわけですが、各国が共同で建築するステーションの各要素なんですが、今回、我々の実験装置が搭載されるのは、左の上の赤いサ ービスモジュール、ズヴェズダと書いてありますが、ここに搭載する予定であります。
 それでは、安全審査の結果の前に、実験装置について概要を御説明いたします。
 まずMPAC&SEEDでありますが、装置は2001年7月、今月末の打上げの予定でありますが、現地からの話では多少遅れるかもしれないという話が来ておりますが、装置を3式外壁に取りつけまして、それぞれ1年、2年、3年の間、宇宙環境に曝露しまして、曝露実験試料の部分のみを回収いたしまして、微小粒子の捕獲と、曝露によって材料 がどの程度影響を受けるか、そういうことを実験いたします。
 この実験につきましては、微小粒子の捕獲実験は97年8月、材料の曝露実験につきましては92年7月と95年3月と97年8月の3回、シャトル等によるフライトで実験を しておりますが、船外活動によってこういう装置を取りつけて実験するという形態は今回初めてであります。試料も大半が新しい素材を使用しております。
  5ページでありますが、実験装置をどのような形で使って実験するかということが絵でかいてあるんですが、絵が少し見にくいんですが、前のページの左の写真は1つでありま して、それが5ページの左の下に書いてありますが、3つを並べたような形でズヴェズダの外に宇宙遊泳で取りつけることになっております。
  後でまた出てきますが、船外活動をするということで、これは装置としてはアクティブなことは何もないんですが、シャープエッジとか曝露環境で温度が高温になって、それに 触れると危険があるという、そういうところが安全上の主な課題になっております。
  次が実験装置の2つ目でありますが、HDTVカメラシステム、システムと呼んでおりますのは、カメラ本体が上でありますが、下の方にコンバータユニットというのがありまして、この2つでシステムとして働くことになっております。カメラはいわゆるカメラとビデオレコーダーが一体となっておりますカムコーダーで、高精細度の映像を撮り、映像 と音をテープに録音することになっております。
  また、コンバータユニットは、このカメラに電力を供給すると同時に、撮った映像をダウンリンクするための映像の変換を行う、そういう機能を持っております。一つ目の実験装置(MPAC&SEED)と違って、こちらの一番大きな特徴は、基本的には民生品をベースとして開発、またはそのまま使うためにいろいろな試験をして安全を確認しているというところであります。
  実験の内容ですが、簡単に申し上げますと、医学実験と広報実験がありまして、医学実験は、いわゆるテレメディスンといいまして、映像で宇宙飛行士を撮りまして、地上にいる医師が、その映像をベースに、もちろん音もありますが、いろいろな医学的な判断ができるかどうかということを実験するものです。
  広報実験は、シナリオに基づいて、カメラマンでない宇宙飛行士がきちんとこちらのシナリオどおりの映像を撮ることができるかどうかということを実験するものであります が、その中に、具体的には新聞でも話題になっておりますが、コマーシャル映像を撮るということも、パイロットプロジェクトとしてこのテレビカメラを使って実験する予定です。
  このカメラにつきましての過去の飛行実績でありますが、シャトルで98年10月と99年7月と2000年2月に使用した実績がありますが、類似と書いてありますのは、設計が少し変わっておりまして、このものそのものではないということです。コンバータユニットは民生品をベースにしておりますが、基本的には新しく開発したということで、今回初めての搭載であります。
  実験装置の使用形態なんですが、これは図がなかったものでこういう回路図にしたんですが、基本的には左のテレビカメラにコンバータユニットを取りつけまして、そこで電源と映像の処理したものを、サービスモジュール本体とやりとりをする、そういうものであります。
  この中でコンバータユニットは電源供給ですから、電源の加熱による火災、それから、カメラには日付データを保持するためのバッテリが積んであるんですが、それの破壊や破裂、または漏れによる電解液による汚染、そういうことがこの装置(HDTV)のかなり大きなハザードと考えております。
  次が8ページでありますが、スケジュールといたしましては、先ほども言いましたが、7月の下旬という予定で、現在、ロシアで射場作業をしておりますが、打上げた後、MP AC&SEEDにつきましては、3年間にわたって曝露実験をして回収する。テレビカメラにつきましては、3回の回収実験を予定しておりまして、1年間実験を行う予定であり ます。
  MPAC&SEEDのところに1年ごとの回収が書いてあるんですが、HDTVの撤収というのは、ちょっと回収と言葉が違っておりますのは、カメラそのものは1年の実験の後に地上へ持ち帰るということはしなくて、今のところは軌道上に置いておく予定であります。撤収は予備のカメラを地上に置いてありますので、それを日本に持って帰る、そういう意味であります。
  次に9ページでありますが、実験装置の安全確保の責任ということであります。これは18ページ、19ページ、後ろの方ですが、参考ということで宇宙ステーションの安全に関する枠組みの資料をつけたのですが、まずは安全の枠組みを決めておりますいろいろな国際的な取り決めがありまして、まずIGA、政府間協定ということで、これは各国の政府が協定を結びまして、これはガバメントレベルの協定で、国会の承認も得ておりまして、日本では条約に相当する手続をしてあります。
  その多国間協定に基づきまして、実際上のもう少し具体的な作業のやり方について書いてありますのが、了解覚書、MOUとか実施取り決めでありますが、MOUにつきましては、先ほどの多国間協定と違いまして、NASAと日本、NASAとロシア、ESA各国、CSA、そういう2国間取り決めの形になっておりますが、それは実施に当たってそれぞれの各国の政府の事情や、やり方とかいろいろありますので、そういう形になったものと思います。
  日本の政府が協定しました内容でありますが、次のページであります。これは19ページですが、安全に関する部分だけを取り出したんですが、NASAは全体的な安全の要求 と安全計画を設定する。他の参加機関とともにとか書いてあるんですが、これはNASAが一応リードをとりますが、多国間の協定という形での安全の要求と計画ということで、 共通の要求事項をつくるということであります。
  それに従いまして、下の方の各参加機関の責任ということなんですが、各国は、日本もNASAもみんな同じなんですが、自分のところが提供する要素、日本でありましたJEMと、それに搭載する実験装置等の安全の要求と安全計画を自分で設定する。これはもちろんその一番上に書いてある安全要求、安全計画に従ったということですが、各国の事情でそれ以上のいろいろな安全上の要求というものがあれば、それは追加してもいいですよということで、協定上はミート・オア・エクシードという表現になっております。
  その安全計画要求に基づきまして、自分のところの要素について審査を実施して、それがきちんと要求にマッチしているということを認証する。これが各国に与えられた責任ということになっております。
  その真ん中なんですが、NASAの責任と書いてありますが、NASAはそういう各国がそれぞれについて安全を認証したものについて、宇宙ステーション全体という観点から、各国の支援を得てと書いてありますが、全体的なシステムの安全の審査を実施する。そして、それが問題ないということを認証する、そういう枠組みになっております。支援を得てということは、基本的に安全審査に各国のメンバーが参加するということを具体的にはあらわしております。
  もとへ戻っていただきまして、こういう国際的な枠組みに基づきまして、NASDAは搭載モジュールの所有国の安全要求に従って実験装置を開発し、安全を確保する責任を有 するということで、搭載モジュールというのは今回はサービスモジュールでありますが、サービスモジュールの当事国でありますロシアの安全要求に従って物をつくり、オペレーションを実施する、そういう責任があります。
 ロシアは先ほど部会長がおっしゃいましたが、実験装置がモジュールと一体として安全であるということを認証する責任がありますということです。NASAはISS全体の観点からこの実験装置が問題ないかどうかということを評価する、そういう枠組みになっております。
  我々はここで、一番上に書きましたが、基本的にはロシアの要求がベースでありますが、先ほども言いましたが、ミート・オア・エクシードということで、宇宙開発委員会で日本独自の安全指針が設定されており、それにNASAの共通の要求、そういうものを使ってJEMを開発したという流れがありまして、そういう安全審査のやり方は変えないという ことで、ロシアの安全要求プラス我々が今までやってきた安全要求ということで審査を実施してまいりました。
  具体的に安全確保とはどういうことかといいますと、次の10ページでありますが、上の最初の2行は宇宙ステーションの安全評価のための基本指針を宇宙開発委員会が示されたときの言葉でありますが、そういう精神に基づきまして、我々は実験装置についてもシステムの一部ということで同じ考え方で安全の確保を図る活動をやっております。具体的 には宇宙ステーション取付型実験モジュール、JEMのことですが、それに係る安全評価のための基本指針というものが宇宙開発委員会の方から平成8年に示されておりますので、それに基づく安全審査、もちろん国際的な約束で決められております技術的な共通の要求、そういうものすべてをベースにして、安全の確保を図っております。
  この安全の確保を図るシステムでありますが、一番最後のページに示されていますが、20ページですが、そういう宇宙開発委員会の基本指針、国際的な取り決め、ロシアからの要求を安全上の要求といたしまして、この安全審査の手順に従って、宇宙開発事業団の中で審査をしてきております。
 まず、開発の担当の人間が安全審査に必要な文書を作成いたしまして、私のところの宇宙ステーション安全信頼性管理室が、その上に書いてありますNASDA有人安全審査会の事務局ということで、事前にそういう要求に基づいたことがなされているかどうか。設計の中にきちんと取り入れられているかどうかということを評価いたしまして、これは日常的な活動としてやっているわけですが、そういう評価したものにつきまして、それをベースに有人安全審査会を開きまして、そこで安全上の要求がきちんと満たされているかどうか、それから、プロジェクトとして安全の要求を解釈したものが、正しく解釈されているかどうか。
 例えば二重系といいましても、物が2つあればいいというわけではありませんで、設計上、違う設計のものが二重になっていなければいけないとか、システム上、上流の方で1つになってしまっている場合とか、いろいろそういうものがありまして、そういうことがきちんとなされているかどうかということを審査いたします。
 ※がついておりますが、この安全審査会には我々の内部的な審査だけじゃなくて、外部の方にも来ていただいておりまして、外部の専門家の目でも見ていただく、そういう体制 をとっております。
 今回、上の有人安全技術委員会とコンフィギュレーション会議が点線になっておりますのは、今回、報告するような、例えばコンフィギュレーションの変更をしなければいけないようなものとか、有人安全技術委員会の諮問事項ということではなかったので、報告はまだ今の時点ではしておりませんが、有人安全技術委員会につきましては、次回が開かれるときに報告をする予定にしております。
  この有人安全技術委員会というのは、今回の審査には直接関係なかったんですが、宇宙ステーションの安全を確保するという意味をもちまして、全員外部の先生に来ていただきまして、個別の一つ一つの事象について審議をいただくわけではないんですが、我々の考え方、やり方、対象としているもの、そういうものが適切かどうかということを御審議いただきまして、理事長からの諮問ということでありますので、理事長に答申する、そういう枠組みになっております。
 そういう形で、技術的な審査を経たものにつきまして、安全審査委員会という事業団に副理事長を委員長とするトップの安全の委員会があるんですが、そこに報告をして、そこで了承を得たものをまた宇宙開発委員会の、今日の部会に報告をするという手はずで進めております。
  また、先ほども言いましたが、それぞれの責任に応じて、ロシア、NASAというものが審査をするわけですが、通常は安全評価として、後で御説明しますが、安全評価報告書 というものをNASAの安全パネルに出して、そこで審査を受ける。これはステーション全体の枠組みということでの審査ですが、今回はこの間にロシアの審査が入っております。NASAの審査はロシアの責任で受けるということですが、事業団の人間もそれに出席することとしております。
 また戻っていただきまして、11ページでありますが、今回、細々とした技術的なものはあるんですが、基本的な宇宙開発委員会で示された指針というのは、実験装置については特にないんですが、JEMについての安全指針というのが示されておりますので、それを準用するということでやっております。基本的にはシステムの要求ですが、実験装置も それをカバーして、システムの方が要求としては大きくなりますので、カバーしているということで、ここの4つ、宇宙環境対策、構造、安全・開発保証、人間・機械系の要求に基づいて安全対策を実施しております。
 参考としてお手元に配られておりますが、宇宙ステーション取付型実験モジュールに係る安全評価のための基本指針というものがあり、それをサマリーしたものがここで示されております。環境対策としては空気の汚染とか、騒音とか、電磁波、そういうものに対して対策を講じること、それから構造につきましては、打上げ時、これは実験装置について多少我々読みかえておりますが、構造破壊しないようにというシステムではかなり大きな要求になるんですが、実験装置につきましては、打上げ時の共振というのが一番厳しい条件ですが、それのときに構造破壊を起こさないような対策を講じること。
 それから安全・開発保証、ここが中心になるわけですが、いろいろな安全上の問題について、適切な故障許容とか信頼性について十分考慮すること、それから人間・機械系の設 計についてインタフェース、誤操作、火災だとか電気ショック等について、そういうものについて対策を講じることということで作業をしております。
 そういうものをやった全体的なものが16ページに書いてありますが、16ページ、17ページが安全制御の概要であります。資料にはないんですが、これを御説明させていただきますと、安全を技術的に評価する手法といたしまして、ハザードレポートというものを使ってやっております。これは長年NASAがやってきた手法でありますが、基本的には危険の発生が予想されるシナリオといいますか、例えばシステムに関係なく、人間にとって危険な現象といいますと、火事だとか、有毒物とか、そういうもので人間が被害を受ける、そういうゼネラルなハザードというものをリストアップしまして、そういう観点からシステムの中、この場合は実験装置ですが、実験装置の中にそういう火災だとか有毒ガス、そういうものを引き起こす要因が設計上入っていないかどうかということをデザインの段階からハザードレポートというフォーマットに基づきまして、きちんとリストアップ しておきます。
 そういう風にリストアップされたものに対して、コントロール、一番のコントロールはそういう要因を取り除くというのが一番のコントロールでありますが、取り除けないものについては、どういう形でハザードが起こらないようにするかということを設計に合わせて評価して決めていく、それがコントロールということで、コントロールしたものにつきましては、そのコントロールが有効に働くかどうかということを検証する。そういう流れで作業するのが、ハザードレポートによる安全評価であります。
 そこでここの別表1でありますが、HDTVのテレビカメラにつきましては、火災とか、有害なオフガス、材料から出てくるガスですが、微生物による汚染、それから電気を使いますので電気ショック、同じく電気なので電磁適合性、構造の破壊、カメラですからレンズがありますので構造破壊、違いました、ガラスの飛散があります。構造破壊はカメラ本体が壊れるということですが、それから、人間が手でハンドリングをしますのでシャープエッジ、騒音、高温の部分があれば、そこにさわればやけどをする、バッテリー故障、な ど11のハザードを識別しておりまして、その識別されたハザードに対して安全制御をどういうふうにやるべきかどうかということを評価して、それが適切にやられているかどうかということを検証する、そういう手順でやってまいりました。
 別表2、17ページですが、MPAC&SEED、曝露実験ですが、それにつきましては構造の破壊と火災、シャープエッジ、ガラスの飛散とオフガスと高温接触の6件のハザードが識別されています。これはまさにパッシブに置いておくだけですので、電気とかそういうものはありませんので、電気系のハザードはもともと存在しておりません。
 こういう11件と6件のハザードを識別しまして、全部について検討して、問題ないということを確認しているんですが、その中で特に大きなもの、大きいといっても相対的ですが、それについて少しピックアップして細かく御説明させていただきたいと思います。
 12ページでありますが、HDTVのコンバータのユニット、これは電力供給ということで、火災のおそれがあるということですが、火災という現象は明らかに燃えるものがあるということと、発火源があるということと酸素がある、この3つがそろわなければ燃えないんですが、その3つのうちの酸素というのはやむを得ない、モジュールの内部で使いますので。可燃物と発火源をコントロールするというのが対策になります。
 可燃物の対策といたしましては、その前に火災のシナリオでありますが、温度上昇、電線からの発熱によって可燃物に延焼して火災が発生するということでありますが、今回の可燃物対策といたしましては、プリント基板について、先ほども言いましたが、民生品が使われておりますので、そういう宇宙としての対策がなされていない可能性があるということで、プリント基板について材料を調べたんですが、難燃性でないということがわかりまして、それに対するコントロールといたしまして、コーティングを施して、燃え難いよ うにしてあります。
 コーティングにつきましては、実際のコンフィギュレーションを模擬したプリント基板につきまして、可燃性試験を実際行いまして、燃え難い、延焼しないということを確認しております。これは外からの延焼でありますが、保管時については、発火源のないところに保管するということで管理することになっております。
 自分で発火する場合ということでありますが、それは自分自身が発火源になるかどうかということですが、その下でありますが、まず、温度が上がることによって発火する可能性についての検討でありますが、まずファンで送風することによって温度をコントロールする。それから、コンバータユニットの中にサーモスタットがありまして、56℃で通電を遮断するシステムになっております。
 もう一つは、先ほどの図を見ていただくとわかるんですが、DC/DCコンバータがあるんですが、これは電源のところですが、それにもサーモスタットがついておりまして、 それは95℃で遮断することになっております。温度に対するコントロールは、この送風とサーモスタット2系統で全部で2故障許容を達成しております。
 温度は結果です。温度を高める一つの原因になっております過電流でありますが、この過電流によって発火源になる可能性もあるわけですが、それに対するコントロールといたしまして、使われている電線のディレーティングとDC/DCコンバータで、先ほどはサーモスタットで管理しているんですが、電流についてもコントロールすることにしており ます。コンバータユニット全体としても、サーキットブレーカによる通電の遮断をすることによって、過電流が流れないようにしております。これで電流に対しても2FTを確保 しております。
 それから電気の短絡、アーク・スパークが起こらないということも、これは試験によって確認しております。
 次に13ページでありますが、実験装置のうちのHDTVの中に、先ほど言いましたが、時刻を保持するためのリチウム電池、50ミリアンペアでかなり小さいものなんですが、 それが搭載されておりまして、それが破裂したり、または漏洩することによって汚染されるというシナリオでありますが、そのシナリオにつきましては、まず破裂の対策といたしましては、短絡試験、誤充電試験を実際にやりまして、その発熱や破裂が起こらないことを確認しております。漏れでありますが、減圧下での気密試験で漏れが発生しないことを確認しております。
 次に14ページでありますが、MPAC&SEEDの高温接触であります。MPAC&SEEDにつきましては、宇宙遊泳をして、宇宙服を着た状態で取り付け、回収作業をするので、シャープ・エッジがあると結構損傷する可能性があるというので、それも話題になったんですが、それについては全部対策を施してあります。
 それともう一つは温度、高温になるものに対してどういうふうに対策をするかということですが、これは宇宙飛行士が宇宙遊泳して長時間曝露されているものを回収するということで、高温になっている可能性があるということなんですが、最悪の評価、つまり全く周りが断熱の状態で宇宙環境にさらしたときに、最高何度になるかという解析をした結果、158℃になる部分があるということがわかりました。
 この右の下の矢印の書いてある2つの小さい場所なんですが、そこはロシアの要求では、ロシアの宇宙服とアメリカの宇宙服では少し要求が違うんですが、150℃以下というの が要求になっておりまして、150℃を超えておりますので、これはアクティブなことは何もやっていないので、コントロールができないということで、作業中に高温部分には接触しないという運用制限を設けることで対策としております。
 以上、少し長くなりましたが、15ページにまとめといたしまして、2件の実験装置につきまして、ハザードを識別して、そのそれぞれのハザードにきちんと制御が設定されて いて、それが実効的にきちんと働くということを試験やデータで確認しておりまして、満足しているということを安全審査によって確認しております。
 これはロシアに送りまして、ロシアが我々の安全評価のデータを見まして、それで問題ないかどうかを解析して、評価して、合意するという手順になっておりましたが、その手順はもう終了しておりまして、ロシアは安全上問題ないということを確認しております。
 次はロシアがNASAに持っていって、NASAの安全審査を受けるわけですが、先週の金曜日ですが、MPAC&SEEDの方につきましてはNASAの安全審査が終了したということを聞いております。テレビカメラについてはNASAの審査は今後やるという予定だということです。
 以上、少し時間がかかりましたが、我々の安全審査をした結果について御報告させていただきました。何かありましたらよろしくお願いします。
 

 栗木部会長 
 ありがとうございました。
 御意見、御質問等ありましたら、お願いします。木部委員、どうぞ。
 

 木部特別委員 
 若干教えていただきたいことがあるんですが、まず、今回の安全審査と直接関係ないんですが、ステーションの協力枠組みと書いてある18ページの図なんですが、若干私が理解していたのと違うような気がするんですが、これでよろしいんでしょう、この協力枠組みは。

 栗木部会長 
 どういう点が。

 木部特別委員 
 まず、宇宙開発事業団自身は、援助という非常に弱い書き方で書いてありますが、多分MOUの中でインプリメンティング・オーガニゼーションとして明確に位置づけられているというふうに理解しております。
 それから、MOUの、つまりIGAとMOUにだれが署名したかということで、多分その線が引っ張られるはずなんだろうと思うんですが、MOUのサインは旧科学技術庁がおやりになったのではないかなというふうに理解をしております。そうしますと、実施取り決めの計画文書というのは、これはわりとインプリメンテーションに関することですから、基本的には事業団さんにラインが来るのかなということで、少し私の理解と違っておりまして、この辺、確認していただきたいなと思います。
 それから安全審査に関してなんですが、MPAC&SEEDについて、これは3つトランク状のものが載っていますね。これは3つとも全く同じですか。

 宇宙開発事業団・長谷川 
 そうです。

 木部特別委員 
 それでいくと、それのところのハザードレポートのところで、ガラス飛散とありますが、これはキャプチャリング・デバイスの、マテリアルとしてガラスを使っているという意味でしょうか。

 宇宙開発事業団・長谷川 
 そうですよね。
 

 事務局 
 曝露材料の一部です。
 

 木部特別委員 
     そうすると、それが壊れて飛散する可能性があって、カバーによって保護すると曝露されないとなりませんか。
 

 宇宙開発事業団・長谷川 
  これは説明が不十分で申しわけありませんが、ハンドリングの全体のシナリオを少し御説明させていただきますが、先ほどのばたばたとパレット状のものがついていますが、それが折り畳んだ状態になっておりまして、持ち込むときは折り畳まれておりまして、それ自身がカバーになっているということです。外に曝露されていないということ、取り込むときにそれが割れていれば、危ないですから取り込まないんですが、取り込んで、最終的に中で試料だけを引き抜くんですが、引き抜いたときに、 ガラスが割れるかも知れないと言うリスクに少しさらされるわけですが、それにつきましては、カバーというかどうかわからないんですが、テープでそのガラス面を保護いたしまして、ガラスが割れても飛散しないようにテープでカバーするということです。
 それから、先ほどの枠組みの話なんですが、これは制度上の話できちっとしなければいけないんですが、援助といいますのは、我々も支援じゃないかと思っているんですが、英語だとアシストという表現になっていまして、公式日本語が援助と書いてあるということで、残念ながら援助にしました。

 木部特別委員 
 中にもありませんか、インプリメンティング・オーガニゼーションとして、宇宙開発事業団をアサインするというような書きぶりがあったような記憶があるんです。

 事務局 
 ここの枠組みに使っているのは、第1条の目的のところで宇宙開発事業団のかかわりが書いてありまして、そこが事業団はメイ・アシストということで、それを日本語訳で援助ということになっているところを使わせていただいているんですが、根拠はそういうことです。

 木部特別委員 
 すみません、判断の仕方は法律的になるところでして。

 宇宙開発事業団・長谷川 
 ちょうど今の法律上の話で、先ほどのMOUにだれがサインしたかというのも含めまして、もう一度調べさせていただきます。

 事務局 
 サイン自身は日本国政府のためにということになっておりますので、NASAのほうは航空宇宙局で。

 木部特別委員 
 IGAじゃなくてMOUがそうなっているんですか。

 宇宙開発事業団・長谷川 
 この枠組みはなかなかややこしいものがありまして、一応原典には当たったつもりなので、実際我々が了解しているものと実際のかかわり合いはもう少し深いんですが、協定上の枠組みはこんな感じだと理解しております。

 栗木部会長 
 よろしいでしょうか。ほかに何か。佐藤さん。

 佐藤特別委員 
 佐藤ですが、ちょっと教えていただきたいんですが、12ページのところで火災に対するハザードの対策といたしまして、発火源温度上昇対策といたしまし て、温度を感知しまして、あるいは温度を制御するということで2フォルト・トレランスを達成しておりまして、さらに電流関係のことで、遮断機ですね。それを使うことによっ て2フォルト・トレランスを達成している。火災だけのハザードであれば、どちらか一方だけで2フォルト・トレランスが達成できると思うんですが、これを温度と電流の両方を制御することによって、両方それぞれフォルト・トレランスを達成している、その理由というものは何か特別にあるんでしょうか。

 宇宙開発事業団・長谷川 
  基本的電流によって温度が上がるというのがほとんどメーンだと思うんですが、それ以外の原因で上がる可能性も否定できないということで、別の要因でほかからの加熱とか、そういうことで燃える可能性もあるということで、ちょっと温度の方のコントロールもされているということですが。

 佐藤特別委員 
 わかりました。どうもありがとうございました。

 栗木部会長 
 長谷川委員、どうぞ。

 長谷川委員 
 今の同じページなんですが、先ほどの説明の中で、いわゆるハザードがあったならば、それを避ける。避けられないものについては制御するという考えで進め たということで、基本的にそういう考えで、本質安全を追求するという考えでよろしいと思うんです。この観点から12ページで質問したいんですが、今の可燃物対策でプリント基板、これを変えられなかったということになるわけですが、どういう材料を使って、それが変えられなかったのか理由を聞きたいわけです。
 それから、変えられなかったから難燃性材料でコーティングしたというわけですが、その難燃性材料の材質等をお聞きしたいという点がまず1点、それから、次の13ページで すが、破裂対策として放電制御を行うとともに、短絡、誤充電試験で発熱や破裂が起こらなかったと。これは短絡試験で破裂が起こらなかったというのが少し理解できないんです。まずその点と、それから、その次の漏洩対策で減圧下での気密試験というのは、短絡試験、それから誤充電試験下における気密試験で漏洩が発生しかったのかどうか、ちょっと細か い点なんですが、2つです。

宇宙開発事業団・長谷川  
 細かいことはまた専門の人に説明して貰いますが、まず、プリント基板に難燃材を使えなかったのかという話ですが、基本的にこれの開発の思想が民生品を使うということになっておりまして、そういうあるものを使って開発して、カメラ自身も、まさにカタログ製品を買ってきたということがありまして、最初から開発を全部やるという思想じゃなかったということで、もともと安全要求に合った材料の選択をすることができなかったという、そういうプロジェクトの開発思想との関係が1つあります。
 コーティング材料については、ちょっと。

 事務局 
 コーティング材料はシリコン系の材質ですので、基本的に燃えない耐性のものなので、念のために実際に試験をして確認したということになっております。
 短絡試験につきましては、本来、特に直列に電池をつないだ場合などに内圧が上がるということで、大電流が流れたときに内圧が上がるということなんですが、今回は幸いタンセイドですので、この電圧に対して直接プラスとマイナスをつないで、まさに抵抗を介せずに短絡させて、そのことによって最大電流というのを流したときに、それでも破裂するかどうかの確認をしたということであります。
 気密試験のリークですが、今申し上げたような短絡とか、逆充電をかけたような状態での試験というのはしておりません。通常の状態で減圧して、リークのないことを確認させていただいております。

 長谷川特別委員 
 それとプリント基板の方のカメラの問題なんですが、そうしますと、これは一般的に使われているカメラをそちらへ使ったということですから、そういう意味では、基本的な安全の考え方が宇宙で使うものではないということで、かなり問題点が多いと思うんですが、それはやむを得ないということですね。そういう考えですね。それを補てんするという意味で、難燃性材料コーティングをやった。その場合、シリコンということなんですが、シリコンですと通常は可燃性なんですが、そこをもう一度チェック していただきたいと思います。
 短絡試験についても、少し不十分な感じがするんですけどね。確率的には低いとは思うんですが、もう少し短絡の激しい状況下でやって、かつ下の状態も、その状況下での漏洩を確認しないことにはいけないのではないかというふうに思います。リチウム電池はいろいろな意味で危険性を伴うわけですから、もう少し検討していただきたいと思います。

 木部特別委員 
 作動環境は中ですよね。通常の大気圧下で使用するという。

 宇宙開発事業団・長谷川 
 はい、そうです。

 木部特別委員 
 ですね。ですから、そういう意味では漏洩対策は漏洩対策として独立してやってよろしいのではないかなと私は思うんですが、いかがでしょうか。宇宙環境で使うものですと、確かに気密というか、真空環境下で何らかの誤動作が起きたときの検証をしなければいけませんが、基本的にモジュールの中で、大気環境下で使いますので、 漏洩の減圧環境下での気密試験というのは、あくまでも漏洩の試験だというふうに理解すれば、これでよろしいのではないかなと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。

 栗木部会長 
 ちょっと細かくなり過ぎた気がしますので、後で担当の方から聞いていただきたいと思います。
 減圧下でというのは、すべてコンティンジェンシーにおける漏洩でして、つまり気密室の圧が急激に下がったときに、さらにアクシデントが起きたときにどうなるかという二重 故障、三重故障の、そういう状態での確認になると思うんです。その辺は単純な大気条件と違うのではないか。詳しい話は聞いてください。なおかつこのテレビは既に飛んでいるんですね、シャトルで。同じ形で。

 宇宙開発事業団・長谷川 
 全く同じじゃないんですが、基本的に同じ形のものが、先ほど言いましたように3回だったと思うんですが、飛んでおります。

 栗木部会長 
 民生品で飛ばして一番怖いのは、民生品は打上げがありませんので、飛ばしますと、大体ケーブル類、引き出し部の首の振動、そういったところが一番弱いところなんですが、おそらくそういうところを、振動試験をやった後、ちゃんと通電して問題がなければ、問題ないだろう。そういう試験はもちろんやっているわけね。

 宇宙開発事業団・長谷川 
 それはやっております。振動試験。
 

 栗木部会長 
 ほかに何かありますか。河野先生、どうぞ。

 河野特別委員 
 考え方の問題なんですが、14ページに高温接触の話のところで150℃以下というのがあるんですが、下の解析結果では158℃ということで、最悪の断熱条件で解析となっているんですが、150℃以下ということがありながら、158℃という数字を出すという考え方が、安全というのはサイエンスではないような面もあります ので、ここは根本的にはどういうふうに考えたらいいんですか。

宇宙開発事業団・長谷川  
 申しわけありません。説明が少し不十分だったんですが、このMPAC&SEEDといいますのは、自分で発熱するものではありませんで、宇宙環境下にさらしておきまして、環境の中で熱くなるということで、環境条件として評価したものが、最悪値として158℃となりますという、これは事実でありまして、これはどうしようもないということです。
 宇宙服がさわってもいい温度の条件が150℃、これはロシアの宇宙服の性能からこういう要求があります。この8℃については、アクティブにコントロールしようがないということで、ここの150℃を超えている部分については、運用上、宇宙飛行士にここはさわらないという運用で制限をかけるということであります。
 ほうっておくという意味で158℃ということではなくて、やむを得ないという、つまり環境にさらしているために、どんどん熱くなってしまうという、それが結果として158℃になりましたということであります。

 河野特別委員 
 では極言すれば、さわらないようにしておけば何度でもいいということもあり得るわけですか。

 宇宙開発事業団・長谷川 
 基本的にはそういう場合もありますが、この場所がオペレーション上にさわる可能性がほとんどない場所ということで許容されております。さわらないようにといっても、ミスでさわってしまう可能性がある場合は、それは認められません。

 河野特別委員 
 なんか確率の問題のような気もしますね。私は安全の方のあれはちょっとわからないので、だけど、数字上は何となく矛盾しているかなというふうに思った もので。

 宇宙開発事業団・長谷川 
 先ほど、ハザードレポートの説明を概略したんですが、コントロールというものの考え方が、先ほど言いましたように、取り除いてしまうという のが一番ですが、その後は設計の中に組み込んで、そういうものが起こらないようにする。
 それで1FTとか2FTとかいうのがあるんですが、それでもカバーできない場合には、警告をするというのがありまして、ラベルを張ってここはさわるなとか、ここは高温になっていますよということで避けるということで、それでもだめな場合は、オペレーション上、そういうオフリミットの場所を設ける。それでも何かが起こったときには逃げるとか、つまり段階に合わせていろいろありまして、だんだん確度が低くなってくるんですが、それは全体の中でそれが実現するかどうか、それが安全上今までの経験だとか何かに照らして問題ないかどうかという観点で評価されます。逃げれば何でもいいかというような問題とか、ここをさわるなと言えばいいかといっても、それは何でもいいということではありませんで、今までの経験だとか、実際にやってみて、さわらないで運用ができるということを確認してオーケーとしている、そういうことでやっています。

 栗木部会長 
 おそらくラベルを張ればさわらないかというと、これは普通、我々がぶらぶら歩いていて、そこら辺に高温と書いてあって、さわるさわらないの議論と違って、宇宙飛行士が船外活動をこれからやろうかというようなときですと、おそらく宇宙飛行士はその前にどういう条件下で注意しなければいけないかというのは、全部手順書に書いてあるわけですね。それだけに、単なるラベルとは重みが違うというようなことも含めて、これは安全の保護対策の1つとして、おそらくNASAは認めていると思います。そういうような重みのある。

 宇宙開発事業団・長谷川 
 それと、不可能なもので、さわらないとできないようなとか、偶然さわってしまうというような場合は認められないので、今回の場合は、水槽の実験でここをさわらないでも作業がきちんとできますということは確認しております。

 栗木部会長 
 委員長、どうぞ。

 井口委員長 
 日本といいましょうか、世界と言ってもいいと思うんですが、安全問題は大変厳しく行って、成功している例が原子力と、世界的にはどうか知りませんが、有人宇宙だと思うんですね。NASAはチャレンジャー事故以来、人身事故を起こしていないんですね。それだけの実績を積んでいるという大変な経験の蓄積があると思いますので、この機会に我々はそこを十分学びたいと思うんですが、20ページを見ながら伺っているんですが、1つは、まだ安全審査に関してはNASAという上部機関があって、ここにある意味でおんぶにだっこというか、そういう言い方は失礼かもしれませんが、最終的なチェックをしてくれるという安心感はあるんだろうと思うんですが、現在、NASAが自分のところでやっている検査とか試験とか審査はものすごい量だと思うんですが、そのうちどのくらいが今日本で、右側の黒い四角の日本国内でやられ、左側のNASAがどのくらいやっているのか見当がつかないものですから、半分はNASA、あるいは7割はNASAがやってくれているということなのかどうか、それが1つ。
 それから、日本でやる部分の量の割り振りが、ここに書いてありますように、宇宙開発委員会があり、宇宙ステーションの長谷川室長さんのやっているところがあり、どういうところに分担、どこがどういうような役割を担っているのか、それを伺いたいですね。
 最終的には宇宙開発委員会というのは、今日は御専門の先生方がいらっしゃるので、幸いなことに細かい観点からも御質問がありましたが、すべてNASAがやるようなチェッ クの細かいところまで、この部会で議論できるはずはないんですね。
 NASAでこういういろいろなチェック機構があると思うんですが、宇宙開発委員会に相当するものがNASAにあるのかどうかわからないんですが、トップのところがチェックすべきことはどんなことをやっているのか。つまりここでも宇宙開発委員会があり、事業団の中でも安全審査委員会があり、NASDA有人安全審査会があり、長谷川室長さんのところがある。どういう役割が担われているのか、それがもしわかったら、今日ここでなくても結構なんですが、教えていただきたいと思います。

 宇宙開発事業団・長谷川 
 あまり不正確な記憶でここで説明して、間違っていると申しわけありませんので、NASAと日本国内と並べて、どういう体制があるのかというのを少し調べさせていただきたいと思います。
 事業団内部の話については、NASDA有人安全審査会が基本的には技術の内容の細々とした事柄について、設計のコントロールに問題ないかどうか、NASAを含めた宇宙ス テーション全体の安全要求に違反していないか、しているか、それから、試験できちんと確認しているかどうか、そのデータが正しいものであるかどうかという技術的な審査は、 この有人安全審査会で行います。
 これは基本的に、先ほど言いましたように、ハザードレポートという方法を使いまして、網羅的に落ちのないような形で、人間に被害を与える自然現象という観点からシステムを見て、そういう現象が起こる要因が潜在的に設計の中に入っていないかどうかという観点で、設計の進行に合わせてやっていくということで、網羅性を一番重要視しておりまして、 かといって全く網羅性が確保されているかどうかというのは、100%とは言い切れないのが安全の問題にはありますが、基本的にフェーズに合わせてやっていますが、安全の了解といたしまして、設計のフェーズに合わせて、前の段階でオーケーとなったことが、次の段階では、前にオーケーと言ったんだから、それの修正はしないということではなくて、その段階で漏れているものが気がつけば、設計が進んだ段階であっても、前まで戻って評価をするという、時効がないという言い方をしているんですが、安全に関しては時効はないという観点でやっております。
 これがなるべく漏れのないようにやるという対応の考え方です。技術的には安全審査会が詳細にやるのですが、そのほかの有人安全技術委員会とか安全審査委員会とかいうものは、我々の考え方だとか方向性を中心に御議論いただいております。それで技術的な専門の先生方に有人安全技術委員会は入っていただいておりますので、そういう議論の中で個々の問題で、あそこはもう少しやった方がいいとかという細かい技術的な議論にまで及ぶこともありますが、我々のスタートといたしましては、こういう検討をこういう方向でやっています、どこか間違いはないでしょうかというのが基本スタンスです。その中でどんどん議論が詰まっていくこともあります。

 井口委員長 
 NASAでのやり方の細かいところまでわかれば教えていただきたいと思うんですが、そうしますと、宇宙開発委員会の安全部会の役割というのは、今お話を 伺った範囲内で私が考えますところは、いろいろな細かい問題を通して太い黒い線で囲まれた、事業団の中のこういう機能がうまく動いているかどうかをチェックするということ がまず第一なんだろうという気がするんですね。そういったときには、中の役割分担と、どういう流れでどうなっているかというのを説明いただくというのが適切なような気がするんですけどね。

 栗木部会長 
 確かにこのチャートが多少まだすっきりわからないというところは、この重みがなかなか中に入っている小さい四角の密度がぴんとこないというところがある と思います。私は長谷川室長と一緒にお手伝いしたこともありまして、NASDA有人安全審査会というのは極めて密度の高い審査会であってしかも今の座っておられる長谷川室 長がここのチェアマンをやられる、たしかそうだったですね。

 宇宙開発事業団・長谷川 
 はい、そうです。

 栗木部会長 
 ということで、どなたがこの各委員会、この審査会の最終的なGO/NOGOなりを判断されているか、是非それを書き入れていただいた方が、つまり責任は どこで最後に参与するのか、それをしないときには、リポーティングとして、たしか私の認知するところでは、もしも極めて重要な問題が起きたときには、このチェアマンをやっておられる長谷川室長は直接理事長に報告できるのではなかったのでしょうか。

 宇宙開発事業団・長谷川 
 ええ。基本的にはプログラムマネジャーの堀川のところでディシジョンするのですが、安全の問題は安全審査委員会に訴えることもできますので、理事長が最終的な責任者ということで、事業団のルール規定上は書いてありませんが、それはやれます。
 安全審査会は、栗木先生にも審査委員をお願いしたことがあるんですが、この審査会という会議の場だけではなくて、その下に事務局業務として宇宙ステーション安全・信頼性管理室というのがあるんですが、これは日常的に安全の問題についていろいろやっておりまして、そういう意味では審査会と安全信頼性管理室とでかなり密度濃く細々としたこと をチェックはしております。そこがちょっとわかるような形で。

 栗木部会長 
 もう一つ委員長が言っておられましたように、問題はここの部会でもって、この審査にどのようなコントリビューションがあるかということを考えますと、やはり使って、審査をやっておられる手順あるいは組織にメソドロジーとして健全かどうかということがここの最大の関心事ではないかと思うんです。
 そのときに、先ほど出たようなイグザンプル、これもすべてではなくて、代表的なものはときどき出していただきたい。それは何かといいますと、使っているツールとしてのメ ソドロジーが具体的にどうアプライされている。これはイメージとしてやはり具体的な問題が1つ2つ出てきませんと、皆さん感触がわからんというところがあるのではないか。そういうこともありまして、ただ単にメソドロジーと体制表だけでやっていますと、極めて抽象的になってきますので、今後ともJEM、HTVという大物が出てまいりますので、今日はその理解を深めるということも冒頭に申し上げましたが、是非そういう具合の発想でもって、今後、メソドロジーと体制をしっかり示していただいた上で、イグザンプルはそれに当てはめて、こういう例題が審議されてGOが出ておりますというような言い方をしてはいかがかなと思います。

 宇宙開発事業団・長谷川 
 はい、わかりました。その御趣旨に合うような形で、今後またJEMに搭載するいろいろな実験装置とかがありますので、御審議いただきたいと 思います。

 栗木部会長 
 ほかに何か御質問あるいは御意見等ありますでしょうか。

 中村特別委員 
 今日の細かい話ではないですが、私の専門の方ですが火薬で昨年大きな事故がありまして、あるものが爆発したときにどのくらいの被害が及ぶかということ で、保安距離が定められているのですが、それが予想より超えてしまったというようなことがありました。いわゆる爆発時の被害の推計とか、そういうものについて見直しを火薬学会としてここ1年くらい検討することにしております。この部会でも打上げ時にいろいろ爆発に対する影響ということで、安全評価基準として出てくると思うんですが、今それを見直さなければいけないということではないんですが、一つの関心を持っていていただきたいと思っております。

 栗木部会長 
 是非その結論が出ましたところで御報告いただき、なおかつ実際に担当している専門家にも解説をしていただきたいなと思います。よろしくお願いします。
 ほかに何かありますでしょうか。
 よろしいようでしたら、この報告に従ってロシアとの作業も進めていただきたいと思います。第1番目の報告書も含めまして、この部会としての取りまとめを行ってまいりたい と思います。
 それでは、本日はどうもありがとうございました。
 

−−閉会−−



(研究開発局宇宙政策課)

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