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宇宙開発委員会

2001/06/25議事録
宇宙開発委員会安全部会(第1回)議事録


宇宙開発委員会安全部会(第1回)議事録

1.日時 平成13年6月25日(月)
  10:00〜12:30

2.場所 文部科学省別館5階第1会議室

3.議題 (1) H−2Aロケット試験機1号機の打ち上げに関わる安全評価について
  (2) その他

4.資料 安全1−1 H−2Aロケット試験機1号機の打上げに係る安全の確保に関する調査審議について
  安全1−2−1 ロケット打上げ及び追跡管制計画書H−2Aロケット試験機1号機(H−2A・TF1)
  安全1−2−2 「ロケットによる人工衛星等の打上げに係る安全評価基準」とH−2A・TF1の地上安全計画・飛行安全計画との比較
  安全1−2−3 H−2Aロケット試験機1号機の打上げに係る地上安全計画
  安全1−2−4 H−2Aロケット試験機1号機の打上げに係る飛行安全計画
  安全1−2−5 H−2A・TF1の地上安全計画・飛行安全計画とH−2・8Fとの主要な相違点
  参考1 ロケットによる人工衛星等の打ち上げに係わる安全評価基準
  参考2 宇宙開発委員会について

5.出席者    
  部会長 栗木恭一(宇宙開発委員)
  委員 長柄喜一郎(宇宙開発委員)
  委員 五代富文(宇宙開発委員)、井口雅一(宇宙開発委員長)
  特別委員 木部勢至朗、工藤勲、熊谷博、栗林忠男、黒谷明美、河野通方、佐々木進、佐藤吉信、中島俊、藤原修三、馬嶋秀行、松尾亜紀子、宮本晃
  事務局 芝田宇宙政策課長、福田技術評価推進官

6.議事内容

 栗木部会長 

   第1回の安全部会を開催いたします。
   本日は、皆様、大変お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。私、本部会の部会長を務めます栗木でございます。よろしくお願いいたします。
   宇宙開発委員会では、宇宙開発における安全の確保に関する重要事項に関することを審議するために「安全部会」を設置いたしました。この部会では、主にロケットの打上げに関する地上に対応した安全対策と、それから国際宇宙ステーションでの活動に関する人に対しての安全対策について御審議いただくことと考えております。
   今回は第1回でありますので、井口委員長からごあいさつをお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 井口委員長 

   宇宙開発委員会の委員長を仰せつかっております井口と申します。何分よろしくお願いいたします。
   また、先生方には、安全部会の特別委員をお引き受けくださいまして、誠にありがとうございます。これからお忙しい中を少し時間をいただくことになると思いますが、何分よろしくお願いいたします。
   今年に入りまして行政改革が行われ、宇宙開発委員会の役割が多少変わりましたので、簡単に説明をさせていただきます。お手元に配られております資料の一番最後に1枚紙、参考2というのが入っていると思いますが、これまで宇宙開発委員会は総理府に所属しておりまして、宇宙開発全般を見ることとなっておりましたが、1月6日から内閣府に総合科学技術会議が置かれ、その総合戦略のもとに実行上のいろいろな政策を審議するという形になりました。具体的には、宇宙開発委員会が文部科学省の中に置かれ、そこの最初に書いてありますが宇宙開発事業団の業務運営の基準となる「宇宙開発に関する基本計画」の議決、それから役員の任命に関する同意等が主な役割になっております。
   とは言いましても、現在、予算の額からいいますと、宇宙開発事業団が預かっております総額というのは2,500億円ぐらいになると思いますが、日本全体で宇宙開発に関係しておりますのが、たしか2,900億円とか、そのくらいで、宇宙開発事業団が結局90%ぐらいは関係しております。したがって、いずれにせよ日本で行われております宇宙開発全体に関係しているということになります。
  宇宙開発委員会の構成ですが、真ん中あたりにブロック線図で書いてありますように、右側に書いてあります5つの部会から構成されております。安全部会は今日発足いたしますがその真ん中に書いてあるものでありますロケットの打上げ等に関する安全性審査、具体的に申しますと、ロケットの打上げに関する地上の安全と宇宙ステーションで活動いたします飛行士の安全について御審議をお願いいたします。
   それから委員会の責任を持つメンバーがはっきり今度の法律で定められまして、安全部会での決定は、後ほど委員の紹介がございますが、3人の委員がすべて責任を負います。特別委員の先生方は責任を負うことにはなっておりません。したがって、先生方から忌憚のない御意見をいただきたいと思います。
   以上で御紹介を終わらせていただきますが、先ほども申しましたように、これから先生方のお忙しい中で、多少のお時間をいただくことになりますので、どうぞよろしく御協力くださいますようにお願いいたします。

 栗木部会長 

   それでは、第1回であります本日の議題は「H−2Aロケット試験、機1号機の打ち上げに関わる安全評価について」、それからもう1件、御案内には宇宙ステーション関連の議題を差し上げたかと思いますが、これは準備が整わない状況でありまして、次回に回したいと考えております。

[事務局   配付資料確認]


(1)H−2Aロケット試験機1号機の打ち上げに関わる安全評価について

 栗木部会長 

   それでは、本日の議題であります「H−2Aロケット試験機1号機の打ち上げに関わる安全評価について」、審議を進めたいと思います。
   本件につきましては、去る6月19日に開催されました宇宙開発委員会において、本委員会に審議付託が行われております。これにつきまして、福田技術評価推進官から説明していただきたいと思います。よろしくお願いします。

 福田推進官 

   それでは、お手元の資料の安全1−1に従いまして、簡単に御説明いたします。
   この資料につきましては、先ほど部会長から御説明がありましたように、6月19日に宇宙開発委員会で決定をいただいております。それで、この平成13年夏期にH−2Aロケット試験機1号機の打上げが行われます。この打上げの安全を確保するために、参考1で配っております「ロケットによる人工衛星等の打上げに係る安全評価基準」、これは去年まで宇宙開発委員会の中に安全評価部会というのをつくっておりまして、そこでまとめていただいた安全に係る基準でありまして、この席の先生方のかなりの先生方にもこれの策定にあたってはいろいろお世話になった基準であります。これに基づきまして調査審議を行っていただくということであります。
   それで、具体的に調査審議をお願いしたい事項ですが、この1号機の打上げに係りまして、次の3つの観点からの安全対策の妥当性について御議論いただきたいと思います。1つは、地上安全であります。それから2つ目が飛行安全。そして3つ目が安全管理体制であります。
   その日程ですが、お忙しい中、大変恐縮でございますが、7月上旬までにこの部会としての結果を委員会に報告するということにしております。
   それから委員の構成等は別紙にあるとおりであります。

 栗木部会長 

   それでは、ただいまの説明に関しまして、何か御質問等ありましたらお願いいたします。
   それでは、今回は第1回でありますので、簡単に自己紹介をお願いしたいと思います。今の安全1−1の資料の中の2枚目に先生方の名簿がついておりますので、この順にお願いしたいと思います。
   順序からいきますと、それでは、長柄先生、お願いいたします。

 長柄委員 

   宇宙開発委員会委員の長柄でございます。私は、利用部会と計画評価部会の部会長をさせていただいています。よろしくお願いします。

 五代委員 

   五代でございます。非常勤委員を仰せつかっております。昨年まではロケットの担当をしておりました。

 工藤特別委員 

   北海道大学の工藤といいます。6年前に北大に行きました。その以前は、もうなくなりましたが、電子技術総合研究所の方に勤めておりました。よろしくお願いします。

 熊谷特別委員 

   熊谷博と申します。4月から組織が変わりましたが、独立行政法人の通信総合研究所で現在電磁波計測部門研究主幹というのをやっております。よろしくお願いします。

 栗林特別委員 

   慶應大学の栗林と申します。専門は国際法でございまして、技術関係のことはよくわからないので、この場でいろいろ勉強させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 河野特別委員 

   そこにございますように、東京大学の大学院新領域創成科学研究科という漢字の書き取りみたいな研究科に属していまして、専門はエネルギー関係、それから微小重力利用といったようなところでございます。とにかくロケットが上がっていただかないと我々は生きていくことができないというように思っておりますので、是非お役に立てればと思います。どうぞよろしくお願いします。

 佐々木特別委員 

   宇宙科学研究所の佐々木といいます。専門は宇宙エネルギー工学というところに属していまして、宇宙エネルギー実験が専門です。これまでは主にスペースシャトルを用いた宇宙の実験というものに参加してきました。よろしくお願いいたします。

 佐藤特別委員 

   東京商船大の佐藤と申します。商船学部の交通電子制御工学講座というところに属しておりまして、専門はシステム安全工学、リスク分析、リスク評価、そういったものをやっております。よろしくお願いいたします。

 中島特別委員 

   宇宙科学研究所の中島でございます。科学衛星、それから観測ロケットの打上げにかかわります安全等に関しまして担当しております。よろしくどうぞお願いします。

 藤原特別委員 

   独立行政法人産業技術総合研究所の藤原と申します。私どもの研究所は以前工業技術院と言われていましたが、傘下に15研究所がありまして、本院も含めまして、この4月から、全部今までの旧研究所がなくなりまして、産業技術総合研究所という巨大な研究所としてスタートしております。私自身は、専門は科学等の現在高エネルギー物質というふうに呼ばれていますが、高エネルギー物質並びに爆発現象一般を専門としております。よろしくお願いします。

 馬嶋特別委員 

   放射線医学総合研究所の馬嶋と申します。よろしくお願いします。
   専門は放射線生物ですが、宇宙における放射線、宇宙線の影響を研究しております。地球上で1年間に浴びる放射線、宇宙線が、宇宙に出ますと1日で浴びますので、そういったリスクが非常に大きいということで研究しております。よろしくお願いします。

 松尾特別委員 

   慶應大学の松尾と申します。このたび初めてこういった席に出るようになりましてよくわからないことも多いかと思いますがよろしくお願いいたします。
   専門は、数値流体力学で圧縮性流体や燃焼などの数値解析を行っております宇宙開発、宇宙推進系のことを主にテーマにしております。よろしくお願いいたします。

 宮本特別委員 

   日本大学の宮本と申します。よろしくお願いします。
   専門は宇宙医学です。これまで事業団の仕事で宇宙飛行士の医学選抜、それから年次医学検査などを担当しています。よろしくお願いします。

 黒谷特別委員 

   遅れまして、すみません。電車が少し遅れたもので。宇宙科学研究所の黒谷です。よろしくお願いします。初めて委員に、わからないことが多いんですが、よろしくお願いします。
   専門は、一応宇宙生物学というふうに言っているんですが、実際は細胞生物学のようなことをやっています。よろしくお願いします。

 栗木部会長 

   それでは、議題でありますH−2Aロケット打ち上げ計画につきまして、安全対策につきまして、宇宙開発事業団から御説明いただきたいと思います。
   最初に、宇宙開発事業団の三戸理事に御出席いただいておりますので、安全1−2−1に基づきまして、先ほど御案内いたしました安全管理の体制を主に御説明いただきたいと思います。それに続きまして、審議の残りの資料であります地上並びに飛行の安全を説明していただきたいと思います。
   では、三戸理事、お願いいたします。

 宇宙開発事業団・三戸理事 

   それでは、安全1−2−1の資料に基づきまして説明いたします。
   表紙を2枚あけまして、3枚目に1ページがあります「平成13年度夏期ロケット打上げ及び追跡管制計画書」ということで説明いたします。
   1の概要を省略し1.2にいきます。試験機1号機の打上げ及び追跡管制の責任者は、宇宙開発事業団の理事長山之内でございます。それから1.3の試験機1号機の目的ですが、これはH−2Aロケット試験機1号機標準型のロケットシステムについて飛行試験を行い、その技術の実証を行うということであります。
   1.4ロケット及びペイロードの機種、名称及び機数ですが、ロケットについては、今まで話しておりますとおりであります。ペイロードにつきましては、性能確認用ペイロード(VEP−2)というものを1基載せます。このペイロードにつきましては、後ほど概要を説明いたします。
   次に2ページをお願いいたします。1.5打上げの期間ですが、これは平成13年夏期です。ただし、打上げ予定日につきましては、現在特定されておりません。1.6の打上げ及び追跡管制施設につきましては、図−1、後ろの方に示してあります。
   次の3ページです。2.打上げ及び追跡計画、2.1の打上げ及び追跡管制実施場所については、下記に示したとおりであります。
   次、4ページいきます。2.2打上げ隊。打上げ隊につきましては、下記のとおりの組織で行います。先ほど申しましたとおり、実施責任者は理事長の山之内であります。
   なお、従来の打上げ追跡管制隊の組織が2つに分かれていましたが、今回は衛星ミッションがないということで、打上げ及び追跡管制を1つの組織で行っていきます。したがって、追跡管制につきましては、実施責任者のもと、追跡管制主任、以下追跡管制班等によって実施いたします。
   次、5ページにいきます。2.3ロケットの飛行計画。これにつきましては、後ほど詳細に説明がありますので省略いたします。2.4ロケットの主要諸元につきましては、表−2及び図−3に示してあります。
   2.5性能確認用ペイロード(VEP−2)の概要ですが、これにつきましては、後ろの15ページにVEP−2の概略図が載っております。この図の下の方ですが、下の方を見ますと台がありまして、これはダミーペイロード、すなわち重りであります。その台の上にDRE、これはドップラー測距装置といいまして、これはロケットが軌道投入したときにドップラーを使って軌道の精度を評価するための電波装置であります。この台の右側にLRE、これはレーザー測距装置でありまして、これもロケットの投入軌道を評価するものであります。なお、LREの方が精度よく評価できるようになってあります。
   ここで、この台及びDRE(ドップラー測距装置)につきましては、2段とともに切り離さないで軌道を回ります。LRE(レーザー測距装置)につきましては、軌道投入とともに分離いたしまして、単独に周回いたします。
   なお、上の図にありますように、加速度センサ、温度センサがダミーペイロードについておりますが、これはフェアリングの中の加速度環境、温度環境を測定するものであります。
   戻りまして、6ページです。2.6追跡管制作業の概要ですが、これにつきましては、先ほど言いましたドップラー測距装置とレーザー測距装置で、ロケットの軌道投入精度を評価するための追跡作業を行います。ドップラー測距装置につきましては、第4週までにデータを取得いたしまして、データ取得後、電波リンクの停波コマンドを送信し、役目を終えます。レーザー測距装置につきましては、軌道投入後、約3週間をめどに運用いたしまして、軌道の評価を行います。
   次に、7ページ、2.7の打上げに係る安全確保。この辺からのきょうの主題になりますが、これにつきましては、後ほど詳細に説明がありますので省略いたします。
   次のページ、2.8関係機関への打上げ情報の通報についても、同様に、後ほど説明がありますので省略いたします。
   9ページ、打上げ結果の報告等。打上げ結果につきましては、関係機関並びに報道関係者に速やかにその結果を通知したいと思います。
   次の10ページ以降、ロケットの飛行計画、以下先ほどの説明の中の図表が載っております。このほとんどは後ほど詳細に説明がありますので省略いたします。
   なお、本日のこの資料の中で一部、17ページの性能確認用ペイロード(VEP−2)追跡管制システムの中の図におきまして周波数に間違いがありましたので、訂正して1枚お手元にお送りしてありますので、よろしくお願いいたします。
   以上説明を終わります。

 栗木部会長 

   どうもありがとうございました。
   ただいまの説明につきまして、何か御質問等ありましたら、お願いいたします。
   1ページの1.3打上げ及び追跡管制の目的ですが、これは前回、宇宙開発委員会でこのH−2A試験機1号機の目的は何かという説明を事業団からいただいたときは、この文言とは若干違っておりまして、打上げ機能、私も詳細は正確には覚えておりませんが、機能・性能を立証し、これにかかわるデータを完全に取得すること、そういう内容になっていたと思いました。今回は追跡管制の目的ということで、違った表現になっているのか、あるいはそれを踏まえて。

 宇宙開発事業団・三戸理事 

   そうではありません。本来ならこの追跡管制という言葉は必要ないのですが、そのように機能・性能を実証するということはデータを取得し評価するということで、あわせてその技術を実証するということで言葉をまとめてしまっておりますが、実質は19日における宇宙開発委員会での1号機の目的と何ら変わりありません。同じだと認識しております。

 栗木部会長 

   できましたら同じにしておいていただけませんか。

 宇宙開発事業団・三戸理事 

   わかりました。それでは、次の会までに直しておきたいと思います。

 栗木部会長 

   できるだけ実証というのはそういうことを踏まえてと言っておりますが、暗黙にしておかないでエクスプリシットに書いてくださるようお願いいたします。
   ほかに何かありますでしょうか。
   佐々木先生、どうぞ。

 佐々木特別委員 

   安全と直接関係ないかもしれないんですが、このペイロードは、これが成功しなければH−2の成功というのは確認できないというクリティカルなもの、位置づけというのはどのようになっているんでしょうか。

 宇宙開発事業団・三戸理事 

   このドップラー測距装置とレーザー測距装置、これはある意味では2段階式になっているわけですが、この2つとも、もし仮に電波の電源が切れたとか、あと何かのことで、レーザー測距装置の何かが壊れるとは思いませんが、不慮の何かでもしデータが取得できないとなったときですが、これは第3の手段といたしまして、いわゆるロケットに搭載してあります航法装置というのがありまして、通常、我々の今までの経験からいいますとロケットが正常に飛行した場合その航法精度というのは、それなりに評価できるものだと思っておりまして、そういう意味では、全くだめということではなくて、軌道投入精度としてはそれなりに評価できると思っておりますので、もしこのペイロードに何かあったからロケットの目的に相当ダメージがあるとは思っておりません。もちろん、今回のロケットの目的は、飛行の途中途中におけるテレメータデータを取得して、各サブシステムについて、それぞれの評価を行うということが主要なミッションにももちろんなっておりますので、そういう意味では、ペイロードがだめだったからいわゆる飛行実験が失敗ということではないと思います。

 佐々木特別委員 

   わかりました。

 栗木部会長 

   工藤先生、どうぞ。

 工藤特別委員 

   今の件ですが、名前がペイロードとするからサクセスレベルはどうだと質問が出るのだと思います。インストルメントと名前を付ければよかったのだろうと思います。この打ち上げはH−2自身がミッションの対象であり、本装置はお客さんにお金を払ってもらっているわけじゃないので、サクセスレベルを議論しなくてよいはずです。もちろん今名前を変えることはできないと思いますが、ペイロードではないですよね。

 三戸委員 

   そうです。おっしゃるとおりでございます。ただ、慣習的に今までVEP−1とか、いろいろ言ってきたものでありますので。

 井口委員長 

   私は委員でもないんですが、発言は許されておりますので御勘弁ください。
   4ページ目の打上げ隊の体制が書いてありますが、実施責任者というのは、今回は理事長が務められる。

 宇宙開発事業団・三戸理事 

   そうです。

 井口委員長 

   三戸理事は、そうすると、この中。

 宇宙開発事業団・三戸理事 

   まだ決まっておりませんが、私が予想するには、実施責任者代理かなと思っております。

 井口委員長 

   この間、宇宙開発委員会で、この辺の進捗状況を伺ったときに、プロジェクトマネジャーが大体説明されましたが、プロジェクトマネジャーとこのグループはどういう関係になっているんでしょうか。

 宇宙開発事業団・三戸理事 

   プロジェクトマネジャーは、私が予想するには、多分ロケット主任になると思います。要するにロケット部門の責任を負うということでありまして、それ以外については、ほかの方が責任を負うということであります。

 井口委員長 

   まだはっきり決まっていないということですか。

 宇宙開発事業団・三戸理事 

   予想は大体していますが、まだ、近々決めたいと思います。もちろん、7月4日のときには写真入りで出したいと思います。

 井口委員長 

   ありがとうございました。

 栗木部会長 

   木部委員、どうぞ。自己紹介を兼ねて。

 木部特別委員 

   申しわけありません、初回から遅れまして。言いわけをさせていただきますと、小田急線が車両故障で30分ほど遅れまして、申しわけありません。
   1点だけ御質問させていただきます15ページの先ほどのVEPのところなんですが、これはドップラーが乗っかっている段が妙な格好をしているんですが、これはアルミの無垢ですか。

 宇宙開発事業団・三戸理事 

   そうです。

 木部特別委員 

   何か妙な格好しているんですが、これはどういう。

 宇宙開発事業団・三戸理事 

   これは平板を積み重ねて、つくりやすく、かつ重量調整しやすくしております。

 木部特別委員 

   これは2段と全然切り離さない。

 宇宙開発事業団・三戸理事 

   そうです。これは下の方に衛星搭載アダプタというのがありますが、それにくっついたままであります。

 木部特別委員 

   打上げとは直接関係なんですが、これ落下溶融のときは大丈夫なんでしょうか。再突入したときに、この部分の台座、かなり質量があると思うんですが。

 宇宙開発事業団・三戸理事 

   落ちたときの危険の話ですか。

 木部特別委員 

   はい。

 宇宙開発事業団・三戸理事 

   アルミなので溶けるんですね。

 宇宙開発事業団 

   かなりの部分が溶けまして、試算をしてみましたが、ほとんど溶けるだろうという計算結果が出ております。

 木部特別委員 

   どうもありがとうございました。

 栗木部会長 

   ほかに御意見ありますでしょうか。

   それでは、よろしければ、次の地上安全並びに飛行安全の説明をしていただきたいと思います。宇宙開発事業団宇宙輸送システム本部の中村さんと川井田さんにお願いいたします。それぞれ20分ずつぐらいでお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 宇宙開発事業団・中村 

   宇宙輸送推進部宇宙輸送安全課、中村でございます。本日の地上安全計画についての説明を担当させていただきます。
   お手元の安全1−2−2安全評価基準と地上安全計画・飛行安全計画の比較、これをベースに説明させていただきまして、その次の番号の安全1−2−3地上安全計画、これは適時呼び出して図表等を説明しながら進めさせていただきたいと思います。そして最後に、安全1−2−5の前回の8号機との主な相違点、これについて説明するということで進めさせていただきたいと思います。
   それでは、安全1−2−2の安全評価基準との比較ですが、次ページで、左側に安全評価基準がありまして、右側に地上安全計画・飛行安全計画の内容を示すという形になっております。
   「安全評価基準の目的、適用」の方につきましては、本部会における安全評価のための調査審議のための評価基準ですが、地上安全計画の方としましては地上安全計画の方の1ページ目にあります。1ページ目の地上安全の目的と範囲ですが「地上安全の目的は次に掲げる打上げ業務について、所要の安全施策を実施することにより、事故及び災害を未然に防止し、また万一事故が発生した場合においても、人命、財産に対する被害を最小限にとどめ、公共の安全を確保する」ということであります。
   下に(1)から(3)がありますが、これが範囲であります。(1)射場における保安物の取扱い及び貯蔵の安全。(2)ロケット及びペイロードの整備、組立、カウントダウン、後処置作業の安全。(3)打上げ時の射場及びその周辺、海上警戒区域並びにこれらの上空の安全が範囲になっております。
   それで、「地上安全計画」の内容ですが、保安物の貯蔵取扱施設設備の防災設備の運用、地上安全管制施設設備の運用、打上げ整備作業の安全、これは地上安全関連装置等の機能点検から始まりまして、保護具の着用、作業手順書のチェック、射点安全要員の立会い、外部医療機関との協力体制、危険作業時の立入規制、施設設備の機能点検、立入規制運用、警戒業務、それから打上げ時の安全、射場内の警備、船舶・航空機に対する通報その他、安全教育訓練、事故発生時の対策、措置となっております。
   具体的な内容の説明の前に、地上安全計画の25、26ページ、ロケットの機体が示されている、図−1(2/2)の方から説明していきたいと思いますが、H−2A1号機の機体のコンフィギュレーションになります。ロケットに搭載されております保安物、保安物と書いてありますのは、火薬類、高圧ガス、危険物等ですが、液化水素14.6トン、液化酸素86.5トンと示されておりますが、これが1段の液酸液水のタンクがありまして搭載されるということです。
   それからその上に2段の液化酸素14.1トン、液化水素2.8トンありますが、2段も液酸液水となっております。それぞれのタンク及び姿勢制御系に使用されるヘリウムガスが搭載されています。
   図−1(1/2)は、火薬類ということで、このロケット機体の一番下の両側に2本ありますのが、固体ロケットブースタ(SRB−A)です。それ以外に火工品としまして、ロケット点火系に用いる火工品、それから構体の分離系、例えばSRB−Aの分離、フェアリングの分離、それから1、2段分離と飛行シーケンスに従って分離していきますが、その分離系の火工品。それから万一の異常飛行時の破壊系の火工品が搭載されています。
   それぞれの性能、それから推進薬量等の内容につきましては、先ほどの打上げ追跡管制計画書の中の11ページにそれぞれロケットの主要諸元ということで説明されておりますので、御覧になっていただければと思っております。
   今回のH−2Aロケット試験機1号機の地上安全ということで、内容について具体的に説明させていただきたいと思いますが、安全1−2−2の評価基準との比較の方にまいりまして、1ページ目の1項、評価基準としましては、ロケットの推進薬等の射場における取扱いに係る安全対策ということで、次の対策をとることと示されております。1から次のページのまでありますがそれぞれに対して右側の地上安全計画に示されている内容、それから計画の中の項目の項番が示されております。1番の静電気発生防止につきましては静電気の除去と発生防止ということで地上安全計画の6.1.3項の(3)、6.1.4項の(7)、6.1.5項の(4)というふうに示してあるということであります。2番目の保護具の着用も同じように計画書に含まれます。
   それから(3)につきましても、高圧ガスの充填時の加圧作業による遠隔操作等につきましても計画書の方に示しております。推進薬等の取扱い施設に関する防犯警報装置による常時監視及び夜間巡視につきましても24時間体制、搬入された以降は24時間体制の警戒、それから周辺巡視を実施するということで計画を立てております。それから発火性物品の持込み等の規制、発火性物品の持込み禁止も規定しております。
   次のページの、これは省略させていただきます。それから2ページ目の2項、警戒区域の設定ですが、評価基準の方は、警戒区域を設定して、関係者以外の立入規制を行うことということになっております。(1)として、作業整備期間における警戒区域。これはロケットの組立時等の各段階について、事故等の影響を最小限にするため、警戒区域は、 少なくとも次の式により計算した保安距離R又は表1による保安距離を半径として作業地点を中心とする円内とするとなっていまして、右側の地上安全計画としましては、保安物の種類と量、作業の危険度に応じた警戒区域を規定しております。
   この地上安全計画の6.4.1項、これは計画書の方の9ページに含まれてあります。9ページの6.4.1項ですが、警戒区域(1)打上げ整備作業期間の警戒区域を表−5及び図−7に示すということで、24ページに表−5を示させていただいております。表−5につきましては整備作業期間中の警戒区域としまして、取扱場所、推進薬等の種類、それから警戒区域。右側に備考としまして、評価基準のどの式を使って算出しているというトレースできるような形で整理しております。これによりまして作業整備期間中の警戒区域を設定して、関係者以外の立入規制を行うということで計画しております。
   例えば、真ん中からちょっと上の吉信整備組立棟の固体ロケットブースタにつきましては210メートル。それからその下の極低温点検につきましては1,800メートル。それから吉信整備組立棟の作業、第1射点での作業、それぞれ警戒区域を基準に基づきまして算出して設定しております。
   この表の中の期間ですが、現在、TBDとなっております。これは打上げ日が特定されていないためでありますので、御了承願いたいと思います。また、打上げ作業の進捗に伴いまして、少し後にずれるという変更もありますので、あらかじめ御了承ください。
   それから32ページ、図−7ですが、今説明させていただきました各作業の「整備作業期間中の警戒区域」ですが、各施設の場所とか、射点設備なんですが、左上の方に整備組立棟があります。整備組立棟の方にSRB−A、それから1段、2段、それぞれ搬入しまして、整備組立棟で点検、艤装を行いまして起立させるということで整備組立棟の方で起立させます。その右下の端の方に第1射点がありますが、そこまで移動台車で移動します。これは極低温点検のとき、それから打上げ当日だけ整備組立棟の方から出まして、移動台車で射点の方に移動するということで、極低温点検、あるいは打上げを行うということになっております。
   それから、整備組立棟の近くに発射管制棟がありますが、これはブロックハウスと呼ばれているところですが、この発射管制棟で発射の管制を行うということになります。
   それで先ほどの図−7ですが、それぞれの作業期間中の警戒区域として、それぞれの基準の式に基づいて求めた距離の警戒区域を設定して、人員の規制を行うということであります。
   それでは、安全1−2−2の本文の方に戻らせていただきますが、今、整備作業期間中における警戒区域を説明させていただきますが、その下の(2)打上げ時における警戒区域ということで、地上安全の計算の結果は、爆風による保安距離が最大となります。安全評価基準の方は(2)の中央付近にありますが、地上安全に係る警戒区域は、少なくとも爆風、飛散物、ファイアボールによる放射熱等について、それぞれ計算した保安距離R、D、F、それぞれの保安距離ですが、そのうちの最も大きいものを半径として射点を中心とする円内とするとなっております。
   その計算の結果で求めますと、爆風による保安距離が、最大で1,800メートルになります。後ほど飛行安全計画の方で出てきますが、破片の飛散距離が今の1,800メートルより遠くに及ぶということで、最終的には陸上警戒区域は射点を中心に3,000メートルの半径内の円内としております。これにつきましては地上安全計画の6.4.2項で、図−8が33ページになります。陸上警戒区域としましては、極低温点検時の警戒区域が第1射点から1,800メートル、それから打上げ時の警戒区域が同場所から半径3,000メートルの円内の陸上の範囲になります。
   34ページ、図−9がありますが、打上げ時の海上警戒区域及び警戒船等の配置ということで、陸上警戒区域につながる海上警戒区域の設定も行います。これは方位94.5度方向で幅10キロメートル、長さ30キロメートルの範囲に及びます。右上の方に記号の説明をさせていただいておりますが、事業団の小型警戒船、鹿児島県の監視船、海上保安庁からの巡視船、それから航空機の出動要請をお願いしているということであります。
   安全1−2−2の評価基準との比較の方に戻らせていただきまして、3項「航空機及び船舶に対する事前通報」ということで、航空機に対しましてはノータム、それから船舶に対しては水路通報ということで関係機関へ事前に通知連絡をするということで、その内容を計画書に規定しております。
   4項「作業の停止」ですが、地上安全計画としましては、打上げ作業の監視と安全上支障が生じた時または生ずるおそれがある時は、射場安全主任は作業の停止を指令することにしています。また、作業中断または打上げ延期の場合の逆行作業の注意点についても規定しております。
   5項ですが「防災対策」、地上安全計画の方ですが、危険状態検知の手段、防火・消防、設備及び保安物関連施設の安全対策について規定しました。また、各種検知器、防犯警報装置の常時モニタについても規定しております。危険作業に先立ち、関係施設設備の機能点検を行うことを規定しております。これらにつきましては、地上安全計画の4.2項、4.3項、5項、6.1.1項の(6)。それから17ページの表−3、防災設備(1/5)ですが、防災設備につきましては、5ページにわたって、17ページの屋外消火栓、屋内消火栓、それから18ページの放水銃、スプリンクラー、サイレン、火災検知器/報知器、それから次の19ページのガス検知装置、防犯警報器、それから20ページの消防自動車、散水車、貯水槽。それから雷関係、それから21ページの5/5になりますが、救急車を配置しております。それから散水装置、各種防護具等あります。
   それから次のページの表−4ですが、地上安全管制施設設備としまして1/2と2/2がありますが、射場安全管制卓、総合監視設備、海上監視レーダ、ホットライン、射点安全卓、それから入退場システム。それらの系統図につきましては、30ページに地上安全管制系統図が示されております。それからその前のページの29ページに図−4ということで地上安全管制施設設備の配置図があります。
   総合防災監視所にすべての情報が集まるようになっておりまして、これは防犯の警報装置、火災報知機、ガス検知、それから警戒所からの情報、それから各種トランシーバー等の無線情報、海上警戒における船舶との通信のやりとりの情報、これはすべて総合防災監視所に集まります。その総合防災監視所につきましては、29ページの地図の真ん中から下の方にありますが、総合防災監視所安全管制室になります。射点は真ん中の右の方の端に岬がありますが、そのちょっと陸側に吉信射点とありますが、吉信射点の右側が今回打ち上げる第1射点になります。そこに対して、先ほどの総合防災監視所が南側にありまして、それから射点から左側、吉信発射管制棟、そちらに射点の安全班が配備するということになっております。
   それから海上の監視のための北の方に北海上監視所、それから南の方に、総合防災監視所のところですが、南海上監視室があります。それから下の方に竹崎指令管制棟があります。それぞれの各監視室が先ほどの30ページの系統図になっておりまして、射場安全主任、先ほどの打上げ隊の安全部門が、地上安全を統括する組織としましては、打上げ実施責任者のもとに射場安全主任というのが置かれます。この射場安全主任が射場安全主任卓で安全業務を実施するということになりまして、その下に射点安全卓というのがありまして、射点安全班がそちらで業務を行うということになっております。
   その計画書の28ページですが、図−3で吉信射点の消火設備配置図ということで、右下の方に第1射点がありまして、それに対して野外の消火栓30個、スプリンクラー19個、それから放水銃2個が設置されております。
   比較表の方に戻らせていただきまして、3ページの(2)ですが、荒天等の対策としまして、荒天時、襲雷時等の作業制限あるいは作業停止、作業再開時の点検と安全確認についても計画書に規定しております。
   それからまた、地震発生時、津波警報発令時の措置、作業再開時の点検と安全確認についても規定しております。内容については省略させていただきたいと思います。
   以上が地上安全計画の方の内容ですが、安全管理体制もこの計画書に含んでおりますが、これにつきましては、後で参考の安全管理体制というところで説明させていただきたいと思います。

 栗木部会長 

   この相違点は、先ほど説明されるとおっしゃっておられたような気がします。

 宇宙開発事業団・中村 

   失礼しました。安全1−2−5ですが、「地上安全計画・飛行安全計画と8号機との主な相違点」ということで、次ページの、No.1、目的範囲、これは同じであります。No.2も同様であります。No.3、これにつきましても基本的には同じなんですが、推進薬等の搭載量が増えた分は相違ということで記載させていただいております。
   それからNo.4、保安物貯蔵取扱施設設備ということで、1号機は、第2射点が新設されておりまして、今回は第1射点を使用するわけですが、第2射点が新設されまして消火栓が増設されております。
   それからNo.5、地上安全管制施設設備としまして、射場安全主任卓は総合防災監視所に設置されております。竹崎指令管制棟と発射管制棟に緊急停止機能を有しまして、射場安全主任の発令により緊急停止を行うということになっております。
   No.6、安全対策ですが、これはH−2Aロケットの作業は、先ほどの第1射点と呼ばれている、そこが旧H−2射点でありまして、そこに射座点検棟がありました。基本的にはそこでほとんどの作業を実施して、そこで打ち上げるという形態でしたが、今回のH−2A試験機1号機から先ほどの整備組立棟で作業を行って、打上げ当日だけ射点に移動するということで、その作業の順番といいますか、手順といいますか、それが変わりましたので、それに基づいてこれが若干変わっているということを記載してあるということです。
   それからそれぞれの警戒区域につきましても、基本的にはすべて評価基準の式に基づいて計算しておりますが、推進薬量等が前号機と変わっていますので、その分、距離が若干変わっているということです。それから6項の安全対策につきまして、基本的にはその距離の変わったところ以外は同じになってあります。
   それから4ページですが、地上安全計画の(4/4)、No.7、地上安全組織及び業務、これは基本的に同じであります。それからNo.8、安全教育訓練、これが前号機と大きく変わってございまして、一般教育及び作業別安全教育を行い、作業の安全確保を図るということで前号機はありましたが、前号機の8号機の打上げから1年9カ月ですか、約2年近くブランクがあいているということで、打上げ隊の作業でいろいろそのブランクによって作業ミスにつながらないように安全教育訓練を今回強化してあります。
   内容的には、打上げ間隔が1年以上あいた場合ということで、今回はこれに該当しますが、一般教育では保安物の性質等の基本的な教育、遵法教育等を詳細に実施する。また、作業別安全教育訓練では、機器操作等の基本的な教育を詳細に実施するとともに、必要に応じて過去の作業経験者、これは必要に応じてと書いてありますが、実際計画しております。射場安全主任、それから射場安全班長、射点安全班長の経験者、事業団内の経験者に来てもらいまして教育を受けることを計画しています。
   それから警戒に当たる要員の習熟度を考慮しまして、今回海上警戒訓練を予定しております。それらにつきましては、計画書の8.1項、8.2項、8.3項、8.4項ということで、13ページの上の方に8.1項、一般安全教育、ここの文章の内容の下2行に新たに追加させていただいております。それから8.2項、これも下3行を追加しております。それから8.3項、総合防災訓練ということで、これは地元の消防機関、それから南種子町も含めて、消防隊と現地事故対策本部、それから本社事故対策本部に迅速かつ的確に運営できるように外部関係機関を含めた総合防災訓練を実施するということで、現在8月上旬に予定して計画を立てております。
   それから8.4項、これが今回新たに、2年間のブランクがあるということで、海上警戒訓練ということで実際に船舶を航行しまして、海上監視レーダを使用して海上警戒、通信連絡、避難勧告等の訓練を行うということで計画しております。
   以上であります。

 栗木部会長 

   それでは、続いて飛行安全の計画の方をお願いします。20分ぐらいでお願いいたします。

 宇宙開発事業団・川井田 

   宇宙開発事業団の川井田といいます。ただいまから飛行安全につきましては説明をいたします。よろしくお願いします。
   まず一番初めに、飛行安全の目的、それから実施範囲、これにつきましては、お手元の資料の飛行安全計画、安全1−2−4の資料の1ページに目的と飛行安全の実施範囲が書いてあります。簡単に御説明したいと思います。
   まず、飛行安全の目的ですが、「飛行安全は地上より打上げられたロケットの燃え殻、投棄物、故障した機体、もしくはその破片などが落下する際、落下点または落下途中において人命または財産に対し被害を与える可能性を最小限にとどめ、公共の安全を確保することを目的」といたします。
   飛行安全の実施範囲です。下の方に(1)から(3)まであります。これは後で御覧いただきたいと思います。
   それからH−2A試験機1号機の飛行計画です。後ろの方にOHPで簡単に説明したいと思います。一番初めの資料の打上げの計画の方にも入っておりましたが、まず、試験機1号機の主要シーケンス・オブ・イベントです。1から12まで。ロケット・リフトオフから12残留推進薬排出開始までの主要なイベントがここに書いてあります。今回、11番でレーザー測距装置(LRE)の衛星分離をするということで、打上げ後経過時間が39分5秒、この時点で衛星の分離を行うということになります。
   それからこのシーケンス・オブ・イベントに基づきまして飛行経路を説明いたします。種子島から打ち上げまして、使用します局が小笠原局、それからクリスマス局、一番最後の方で南米のサンチャゴ局、この3つの局を使いましていろいろなデータの収集等を行うことにしております。種子島から打ち上げまして、第1段の主エンジン燃焼停止、それから2段のエンジンの第1回燃焼終了を経まして、南米の前の方でLREの衛星分離、最終的には残留推進薬の排出開始、こういう飛行経路になっております。
   この飛行経路を地表面距離と高度の関係で示したものがこの図になります。種子島から打ち上げまして、飛行安全管制終了の時点で大体高度が300キロちょっと、それから地表面距離でいきまして9,、000キロちょっとのところで第2段エンジンの第2回燃焼停止がありまして、これ以降、機体は近地点高度約250キロ、遠地点高度約3万6,000キロメートルのトランスファー軌道に入っていくということになります。
   以上の説明で飛行安全計画の方の比較を説明させていただきます。
   主に説明はお手元の資料の安全1−2−2、安全評価基準との比較で説明いたします。ここに使われております図表につきましては、OHPの方に図表を入れますので、OHPの図表を見ながら説明をお聞きいただきたいと思います。飛行安全計画のすべての項目はこの比較表の中に入っておりますので、概略説明はこの比較表ですべて行いたいと思います。
   まず、比較表の1−2−2の資料の4ページになります。左側に、先ほどの地上安全計画と同じですが、安全評価基準に対してどういう対策をとっているかというのが右側に書いてあります。まず、第3章の「飛行安全対策」、ここの第1項、打上げ時の落下物等に対する安全対策。(1)で正常飛行時のロケット落下物に対する安全対策の評価基準があります。これに対応しましては、右の方に文章が書いてあります。実際には飛行安全計画の2.2項、これは3ページになりますが、文章はそちらの方で御確認ください。なお、図につきましては、ここに書いてありますが、8ページの図3を使って説明いたします。図を御覧になったとおり、ロケットが正常に飛行した場合の落下物といたしましては、2本の固体ロケットブースタ、それから衛星フェアリング及び第1段機体があります。これらの落下予想区域は、この図から御覧になるとおり、陸地、それからその周辺海域から十分離れて設定してあります。
   それからその次の(2)です。ロケットが推力停止した場合の落下物に対する安全対策。まず、アの(ア)になります。飛行安全に係る警戒区域の設定の中の射場周辺の陸域における警戒区域の設定になります。本文といたしましては、飛行安全計画の17ページ、図は13で21ページに示されております。この図に示しますように、落下限界線を設定してその内部を警戒区域としておりますロケットの推力飛行を中断した場合の落下破片、それから飛行中の爆発に伴う爆風、固体推進薬破片の地上落下時の二次爆発の爆風、それから二次破片の飛散範囲の包絡域が落下限界線に接した場合に推力飛行を中断するということで、被害の発生を防止いたします。それの落下限界線は太い線で示してありますが、これがその線になります。
   射場周辺の落下限界線は、御覧のとおり陸上警戒区域3キロと、その区域外の境界線を原則として設定いたします。ただし、陸上警戒区域内の広田集落、これは射点の北側の方になりますが、ここにつきましては、集落の射点側に落下限界線を設定いたします。それから射点の南側になりますが、竹崎地区以南につきましては、種子島宇宙センター管理棟の東端と観望台の東端、これはこの建物に人員がおりますので、それをガードするということで、この2つの建物の東端を結び線を落下限界線として設定いたします。それから広田集落より北の海岸線につきましては、海岸線から概ね約3キロを結んだ線を落下限界線として設定しております。
   それから評価基準の1の(2)の(イ)になります。射場周辺の海域につきましての警戒区域です。これは海上警戒区域になります。「射場周辺の海域に関しましては、発射直後の飛行中断に伴う破片の落下分散を評価し、破片の落下による船舶の被害を可能な限り防止すること」ということになっております。これは先ほどの地上安全計画でもこの警戒区域を説明しましたので詳細は省略いたしますが、この区域につきましては、発射直後の飛行中断に伴う破片の落下分散を評価いたしまして、破片の落下による船舶の被害の発生の可能性が極めて小さいことを確認しております。
   この資料は飛行安全計画の一番最後のページに図が入っております。こちらの方でも確認できますが、船舶への破片落下確率の算出方法です。ここに書いてあります式になりますが、船舶への破片落下確率は、故障発生確率×船舶密度×海上への破片落下確率ということで、故障発生確率の密度は削除をお願いいたします。こういう式で船舶への破片落下確率を算出いたします。
   その算出した結果がOHPで示されております図になります。横軸が射点からの距離、縦軸が船舶への破片落下確率です。今回は、射点から30キロメートルのところまでの海上警戒区域を設定しておりますので、大体破片落下確率はこの程度のオーダーになるということになります。
   それでは、1−2−2の方に戻って説明を続けます。4ページの一番下の「飛行経路の設定」です。飛行安全計画では3ページ、図7になります。落下予測点軌跡の関係であります。図に示しましたとおり、正常な飛行経路を飛行中のロケットが突然推力を停止した場合に予測される落下点の軌跡は、人口稠密地域から十分離れるように飛行経路を設定しております。この図は非常に大まかで見えにくいんですが、太平洋の真ん中を通って飛行経路が設定されているということで、人口稠密地域から極力離れるような格好で飛行経路を設定いたしました。
   続きまして、次のページ、5ページになります。安全評価基準の2項、「打上げ時の状態監視、飛行中断等の安全対策」の項目です。これの飛行安全計画の対象項番が3.1.2項、16ページになります。図は今OHPに示しておりますが、18ページと20ページで、まず18ページの図の方で簡単に説明いたします。これが飛行安全システムの概念図になります。ロケットに搭載されておりますテレメータ送信機、それからトランスポンダ、こういうものが地上とのやりとりの情報源になります。このロケットから送られてくるデータをもとにいたしまして、地上の方ではデータ取得系、それからそのデータを当然伝送して計算機で処理して、例えばCRT画面に表示すると、そういうようなシステムになっております。その得られましたCRTの表示画面から飛行安全管制卓の方でロケットの状態を監視して、もし異常な飛行をしている場合には判断をして適切な措置を行うということになります。ロケットが異常飛行しているという場合には、この飛行安全管制卓からコマンドを送信いたしまして、ロケットの方を飛行中断するということになります。
   20ページが地上系のハードウェアの系統図です。今、簡単にシステムの概要を説明いたしましたが、これが地上系のハードウェアのより詳細な系統図になります。図の左上の方がレーダ関係です。トランスポンダからの関係をレーダで受けて、種子島の指令管制棟の飛行安全計算機の方でデータを処理するということになります。
   それから図の右上の方がテレメータの関係です。ロケットから送られてきますテレメータ情報を、これも飛行安全計算機に取り込んで、例えばロケットの推進系、あるいは姿勢系の情報をCRT画面の方に表示させます。
   それから図の真ん中の上の方ですが、光学関係の情報も同じく飛行安全計算機に取り込みます。これは角度情報として入ってきまして、ロケットの位置関係の表示をするために使われます。それ以外に射点の各所にITV関係がありますので、ITVカメラの情報、それからワイヤ・スカイ・スクリーン用のITVカメラ、これも射点の近辺に2カ所ありまして、このITVカメラの情報も飛行安全判断の1つとして使用いたします。図の右の下の方、ロケットが異常飛行した場合の飛行中断発令は、テレメータとアンテナ共用の保安用コマンド、中之山、増田、小笠原、これを一番最適な局からコマンドを遠隔で送信するということになります。
   今の地上系のハードウェアの系統図の位置の説明になります。射点の北側になりますが、種子島の真ん中あたり、増田、これはテレメータ、コマンド、それから野木の方がレーダ局になります。射点周辺は、ちょっと大きく拡大いたしまして、射点の近傍、レーダ関係は可搬型のレーダ局、それから宇宙ケ丘局、これもレーダです。テレメータにつきましては中之山局、ここでテレメータ、それからコマンドの送信も中之山局で行うことができます。
   それから光学関係ですが、第1光学局が射点の北側、それから第2光学局は射点の南側の方に位置しております。それから第3光学は大分遠くて、種子島の一番南の端になりますが、ここに第3光学というのがありまして、3つの光学観測局を使いましてロケットの監視をいたします。
   それから先ほどワイヤ・スカイ・スクリーンの話をしましたが、ここのITVカメラは2カ所、射点の北側、それからもう1カ所は可搬型レーダの近くにあるんですが、この2カ所に固定用のITVカメラを設置いたしまして、ワイヤ・スカイ・スクリーンの仕事を行っております。
   5ページに戻ります。2の(2)で「飛行中断」です。まず、安全の確保のために設定するロケットの飛行の許容限度を示す線(破壊限界線)の設定。それからロケットの推力飛行を中断する基準がイの1から4まで書いてあります。これに対応しますのが、右側の方に書いてありますが、まず、ロケットの落下予測域の許容限界を示す落下限界線を設定いたします。これは先ほども説明いたしましたが、この図になります。ちょっと太い線、これが落下限界線です。これにつきまして、今のは射点近傍でしたが、射点周辺以外の落下限界線、ロケットの軌道投入直前までの落下限界線の図がこれになります。真ん中が正常飛行時の経路になりますが、これに対して、例えば有人の島がある場合には、そこを守るために落下限界線を設定して依存するというような格好になります。それから島と島の間、何もないところがあるんですが、これにつきましても、運用上直線で結んで、これは落下限界線として飛行安全管制運用をやるようにしております。
   それから基準に対します飛行安全計画の飛行中断の項目は(1)から(4)まで、これは1から4に対応しております。ちょっと文言が変わっておりますが、その関係の説明をちょっと簡単にしたいと思います。
   まず、OHPの図−1になりますが、これがロケットの落下予測点が破壊限界線を越えるとき。これは安全評価基準に対応すると思いますが、こういうことになります。事業団の飛行安全計画の図の説明は図−2の下の方になります。ロケットの落下予測点が破壊限界線を越える時点で飛行中断した場合ということで、これに対応しますのが、ロケットの落下予測域が落下限界線に接する。現在、飛行安全運用をやるにあたりましては、事業団としましては、落下予測点も当然出ますが、実際はCRT画面には落下予測域が画面に表示されます。当然落下予測点もポイントでは表示してありますが運用といたしましては、落下予測域が落下限界線に接したときに飛行中断を行うということで、安全評価基準の書き方とちょっと文章が変わっているということであります。
   それから5ページにまた戻りますが、(3)です。地上とロケットの間において安全上必要なデータ取得、コマンド送受のための電波リンクが確保されているということで、これは簡単に図を御覧いただきたいと思いますが、これはレーダの関係の図になりますが、テレメータ、コマンドも大体同じような格好になります。種子島のところが山になっておりますが、これと交差いたしまして小笠原局、こういう関係のアンテナ上下角の関係の図になります。飛行安全管制の終了が打上げ後約722秒、ここのところで飛行安全管制を終了しますので、必要なリンク関係は確保されているということになります。今、言葉で説明したものが図9−1と9−2になります。ページといたしましては14ページ、15ページ、電波リンクの関係です。
   まず、9−1がレーダ関係、それから2段のUHFテレメータ関係の電波リンクの確保時間帯の説明の図です。飛行安全管制終了の722秒、ここのところまでリンクが確保されていればオーケーということで、リンクが確認されていることがこの図でわかると思います。
   その次のページが1段のVHFのテレメータ、それから指令破壊受信機の関係の電波リンクの図表になります。
   また、比較の6ページに戻ります。4項の「航空機及び船舶に対する事前通報」です。これは飛行安全計画の第4項ということで、23ページにこの関係の記載が書いてあります。ロケットの打上げ、海上警戒区域、落下予想区域につきましては、必要な情報を関係方面に通報するということで計画しております。
   それから5項の「軌道上デブリの発生の抑制」です。評価基準といたしましては、(1)で軌道投入段の破壊・破片拡散防止、それから(2)で分離機構等の基準があります。これに対しまして、飛行安全計画の方では、飛行安全計画の2.5項、これは3ページに書いてありますが、ちょっと文章を読まさせていただきます。まず、軌道投入段の破壊や破片拡散防止の項目です。第2段の指令破壊用火工品につきましては、太陽輻射により火工品内部の火薬類が発火温度に達することのないよう、表面処理や断熱テープによる耐熱処理を施しております。また、誤信号によりまして起爆することがないよう、地球周回軌道投入後、指令破壊信号受信装置の電源を切ることにしております。
   それから推進系の話でございますが、第2段機体が推薬タンク内圧上昇により破壊することを防止する目的で、ミッション終了後に液体酸素及び液体水素の排出を行います。これは先ほどのシーケンス・オブ・イベントの中にも一番最後の項目に入っておりました。 排出が完了しなかった場合にも液体酸素及び液体水素のタンクは内圧上昇に対する安全弁を備えておりますので、その場合には安全弁を通してガスがベントされるということになります。
   ヘリウムの気蓄関係も同じであります。それから分離機構に関しましては、衛星分離機構はマルマンバンド方式でありまして、作動時には衛星分離部側にバンドやピン等が保持され、破片が出ないようになっております。それからここには書いてありませんが、第2段に搭載されております酸化銀亜鉛電池、これにつきましても内部の圧力上昇により破壊することを防止するためにこの電池にリリーフバルブがついておりまして、内圧上昇の場合には、そちらからベントされて安全であるということになっております。
   以上、飛行安全計画の説明です。
   それから8号機との比較、相違点ということで、1−2−5の資料に8号機との主な相違点が書いてあります。飛行安全計画の方は5ページからになります。まず、1項の飛行安全の目的、実施範囲、関連法規、変更ありません。
   2項の飛行経路、H−2ロケットの8号機の場合には、H−2ロケットの秋期のGTOミッションの飛行経路ということで、H−2Aロケットの試験機1号機は夏期の打上げでGTOミッションに準ずる飛行経路ということで、時期の季節の違いがあります。
   それから落下予想区域と海上警戒区域、特に変更はありませんが、先ほど説明いたしました海上警戒区域の設定に関しての詳細説明を飛行安全計画の方に添付したということであります。
   それから落下予測点の軌跡、追尾系の電波リンク、8号機と同じであります。6ページ、2項の続きですが、軌道上のロケットの機体、これはデブリの関係を今説明いたしましたが、特に変更はありません。
   3項の飛行安全管制システム、・が2つありますが上の方の・ロケットの位置、速度、内部機器作動状況等の情報を取得というのは、こういうシステムは基本的にH−2ロケットとH−2Aロケット、変更はありません。その次の・です。ロケットを飛行中断した場合の破片の落下時の影響が陸地に及ぶことを防止するために設定する破壊限界線を事前に解析しておき、追尾データをもとにロケットの現在位置及び落下予測点を飛行安全計算機で実時間で計算して、これが破壊限界線を越えるときに飛行中断を行う。これが8号機のときの飛行中断の方式です。
   試験機1号機につきましては、実は若干計算の方法を変えておりまして、計算機の性能も非常によくなったということで、リアルタイムでロケットの現在位置及び落下予測点、こういうものを計算いたしまして、破片の落下に伴う影響範囲であります落下予測域を実時間で計算して飛行安全管制を行うということにしております。これは先ほどの図1と図2で説明したとおりであります。
   それから飛行安全情報の流れです。主に地上局の関係ですが、(2)レーダ情報です。ここで可搬型レーダ局が1局追加になっております。これは理由といたしまして、ここに書いてありますが、打上げ直後のロケット追尾機能を補完するために可搬型データ局を追加いたしました。
   テレメータ情報は、先ほどの計算機の性能がよくなったということも含めまして、テレメータ情報をCRT画面に表示して飛行安全管制を行うと。8号機の場合でも一部CRTの画面には表示されておりましたが、試験機1号機では、8号機に比べまして大分多い情報量をCRT画面に表示しております。スカイスクリーンにつきましては、8号機が実際要員による目視でロケットの挙動監視をしておりましたが、これにつきましてもITVに置きかえまして、ロケットの画像監視を行うということにしております。
   次に8ページになりますが、航空機に対する通報関係、船舶に対する通報、特に変更ありません。
   打上げ隊組織のところで、今回は約2年期間があいたということで、それに対して、どういう方針で臨むかということがここに書いてあります。H−2A・TF1に対しましては、飛行安全計算機、それからデータ処理機能が更新されたこともあり、H−2・8Fと比較して、以下の教育・訓練を追加実施し、万全の体制で打上げに臨むこととしております。ということで1から3まで、飛行安全管制システムの運用訓練、それから隊員教育、飛行安全訓練、こういうものを従来にも増して強化して打上げ前までに万全の体制にしていこうということを考えております。以上でございます。

 栗木部会長 

   それでは、大分長くなりましたが、前の方のことも思い出していただきまして、ただいまの地上安全並びに飛行安全、両方につきまして、御質疑、御意見等をいただきたいと思います。

 五代委員 

   ロケットの安全というのは、基本的にロケットの準備それから飛行の間において、人、財産に損害を与えないというのが目的です。要するに第三者及び関係者に対しての保安で、これは基本的にずっとそうきているのですが、そのベースは性善説であって、実際にはいろいろなロケット、人工衛星という戦略ものに対する妨害とか、故意とか、が十分あり得るわけです。そういう意味で、これは宇宙開発委員会の基準にも書いてありませんが、やはりセキュリティーというものを考えなければいけない。ただ、それを細かく書く必要はない。ディスクロージャーしたら何の意味もありませんから。ただ、そういうものが非常に重要だという趣旨を示すか、あるいは打上げ隊に徹底していただけたらと思うわけです。こういうことはないと普通皆さん思われていますが、そんなことはありません。十分可能性はあるという疑いの目で見る担当者があっていいと思います。その辺、どういうふうに取り扱うかは別として、何か書くか、対処することが望ましいと思っています。

 栗木部会長 

   ただいまの御意見ですが、これは今質問された五代委員がおっしゃっておられるように、しからばどうやっているんですかということになると、これディスクロージャーすることになってしまいますので、これがどうなっているかということを是非、宇宙開発事業団内部で十分御議論いただきたいと思います。
   ただ、こういうことに注意すべきというのはどこかに極めて抽象的に書いておいた方がいいかな。むしろ抽象的に書くことの方がいいかなと。どうでしょう。

 五代委員 

   少なくとも全然書いていないというのはどうかなと思いますね。

 栗木部会長 

   何か御意見ございますか。
   中島先生、宇宙研の場合、いかがでございましょう。

 中島特別委員 

   おっしゃっるとおりで、今後そういう面にも十分気をつけていかなければいけないんだろうと思います。今まではわりと五代さんが言われていたように、性善説でやっておりましたから、今後はそういう面も注意しなければいけないのかなという気はしております。

 栗木部会長 

   強いてそれをどう入れるかですが、この対照表がありますが、1−2−2、ここは性悪説の方だということになりますと、私も項目を探すと、地上安全対策というのが1ページにありまして、そこの4番ですが、防犯警報、これは警報ではないんですが、これは暗黙裏にこれをやっておかないといけない。これは対応を見ますと、人が立ち入りする云々なんですが、問題はいわゆる情報として立ち入ってくるかということになりますので、強いて入れるとすればこういうところに。

 宇宙開発事業団・中村 

   その点についてちょっとこちらから説明させていただきたいと思います。

 栗木部会長 

   極めてディスクロージャーでない範囲でお願いします。

 宇宙開発事業団・中村 

   1−2−3の地上安全計画の中の12ページ、6.5項、「射場の警備」というところを御覧になっていただきたいと思いますが、打上げ作業期間中のロケット、ペイロードの取扱い施設、それから推進薬の貯蔵所を含む射場の警備を計画しております。(1)としまして、そこに書いてあります施設、設備につきましては、周辺にフェンス、有刺鉄線柵を設置しております。それから(2)としまして、保安物の取扱施設では作業終了後、入口扉、窓の施錠を確認する。それから(3)としまして、ロケット、ペイロードの一時保管を含む取扱い施設は防犯警報装置を設置し、不審者の侵入を防止している。それから防犯警報は安全管制室において常時監視する。夜間及び休日には種子島宇宙センターの警備員による巡視を行う。(4)としまして、ロケットが吉信整備組立棟に移動した後は、射場支援棟横、これは整備組立棟というか、射点に入る進入道路になりますが、そこに警戒所を置きまして、そこを入退場でチェックして24時間体制で警備を行うということで、あとは総合防災監視所も24時間警備員がいるということで考えています。
   それで、先ほど性善説、性悪説の話がありましたが、基本的には、例えば故意で突破してくるとか、そういったものに対する本当の意味でのセキュリティーというんですか、それについては、今回の1号機からちょっと試験的にいろいろ検討していまして、そういう意味では、フェンスがあっても乗り越えれば入れるじゃないかという話もあるんですが、その辺は、今回は6.5項のこういう内容で24時間警備、それから道路の遮断、そういうことで部外者の侵入を防止するということで考えております。

 栗木部会長 

   五代委員がおっしゃったのと私が説明したのは違う観点でありまして、物理的な侵入じゃありませんで、情報による侵入なんです。つまり、これはこの間の初号機、1号機打上げに関して、NASDAは、これは高度情報化を行うということでもってリアルタイムで外とのリンクを、これはメーカーまで含めてこれをつなぐということになっておりますが、これはテレメータが主だとは思いますが、コマンドラインに忍び込んでくることはないか。これはラインから入ってくる場合であります。
   それからもう1つは電波があります。電波ですと、どうやって入ってくるかというのも大変難しいかと思いますが、コマンドラインに入ってきますと、これは極めて性悪説的な観点に立ちますと、かなり悲惨なことが起きる。これはNASAのケネディスペースセンターではかなりきつくやっておりまして、私どももシャトルで打ち上げるペイロードの中にコマンド系は必ず暗号機と復合機を入れろと、こう言われて、実は暗号機そのものがNASAの暗号機でないといけないと言われて、ブラックボックスを入れるということになって、極めてこれは嫌らしいことから、それだけは何か工夫で逃げた経緯があります。
   しかし、電波とこのラインで入ってくるものをどう防ぐか。これに関して是非とも、今回からとは言わずに、かなりこれは経費を必要とする保安作業になると思いますが、是非NASDAでお考えいただきたいと思います。そういう観点で、この要求に入れるとすれば、そういうことを改めて注意を促す格好での何か項目を設けるかということです。

 井口委員長 

   今の観点は、参考1に平成12年12月8日、宇宙開発委員会安全評価部会の安全評価基準が出されておりますが、ここの最初の目的とか、最初のところにそれをうたっていただいて、今から今度の打上げまでどのくらいのことができるかわかりませんが、早急にその辺、評価基準部会がいいのかわかりませんが、早急に詰めていただけませんでしょうか。

 栗木部会長 

   わかりました。実質的なことを考えますと、1号機の打上げですので、是非これはやれることとやれないことが、時間的制約、現在の設備その他があるかと思いますが、できるだけこれを見直して事業団の方で対応していただきたいと思います。
   それから確かに今五代委員から発議がありましたような注意事項は、現在の評価基準に抜けておりますので、これをどういう位置にどういう表現で書くかというようなことは是非早目に見直しを行いたいと考えております。これもまた手続きがあることですが、実質的なことを考えますと、今申し上げたように、是非1号機への対応を急いで見直しを行っていただきたい、こう思います。

 河野特別委員 

   その件に関してですが、情報公開も求められていることもあるんでしょうね、これにつきましては。だからその辺を制限するようなことも念頭に置いておかないと、そういったことはきちっとできないような気もするので、その辺はいかがなんでしょうか。

 栗木部会長 

   恐らく情報公開といいましても、打上げにかかわるコマンド、テレメトリーとなると、これは全部公開されているわけではないと思います。極めてそれを要約したリアルタイムか、ニアリアルタイムの報告になると思いますので、これは恐らく外へは出ていませんよね、関係者以外には。

 河野特別委員 

   要求があった場合には、それを拒否できるような何らかのものはあるんですか。

 栗木部会長 

   これはテクニカルなデータですから、技術に関するものは逆にセキュリティーの観点からクローズできると思います。

 中島特別委員 

   暗号化の話があったと思うんですが、暗号機まではいかないまでも、今のコマンドというのはかなりそれに近いようなことをやっておりまして、例えば、我々のコマンドとNASDAさんのコマンドが同じ周波数を使っているにもかかわらず、誤動作しないような、そういう工夫がしてありますので、それなりの暗号化といいますか、暗号化という表現が適当かどうかわかりませんが、簡単にはわからないようにはなっていると認識しております。恐らくNASDAさんも同じだと思います。

 井口委員長 

   今、情報収集衛星があります。あれはナショナルセキュリティーの問題として、むしろ秘匿が義務です。それから知的所有、その問題もあります。これも守らなければいけない課題ですので、すべてがオープンに対応しなければいけないということではありません。

 五代委員 

   資料の中に、先ほど工藤特別委員からペイロードという話がありましたが、レーザ測距装置(LRE)、衛星分離とか語句が混同していますね。さっき1号機の目的は何だということに沿った表現をもう1回見直していただいた方がいいと思います。

 栗木部会長 

   お願いします。

 宇宙開発事業団・中村 

   了解しました。

 井口委員長 

   今のセキュリティーの問題と似ているかもしれませんが、飛行安全の方は、不幸にしてH−28号機が指令によって爆破したという措置をとったり、言うならば安全システムが作動した経験があると思うんですが、地上安全の方はこれまで大きな事故というのは、幸いにしてというべきだろうと思いますが、ないんだろうと思いますね。そうすると、地上安全管理システムがちゃんと作動するかどうかというのは、つまり、落ちがないかどうかというのは、幸いにしてというべきか、不幸にしてというべきか、実際に試されていないんですね。何か起こると、「あっしまった」とそのときに初めて気づくことが多いんですが、それをどうやって避けるかというのは、1つは、責任者であります中村課長さんなどがしょっちゅう真剣に考えて、24時間とは言いませんが、試行実験を常に重ねているということとか、それを本当に責任を持ってやる人が考えているというようなこととか、あるいはインシデント・アナリシス、何かあったときに、それが発展したらどうなるだろうかというものを分析し、手を打っていくということをやっていきませんと、今まで何もないと、昔からのものをそのまま引き継いで落ちがあるのを気がつかずにいるということが少なくないものですから、その辺ひとつ、なかなか難しい問題なんですが、よろしく御注意をお願いいたします。

 宇宙開発事業団・中村 

   了解しました。

 栗木部会長 

   ほかに何かございますか。

 馬嶋特別委員 

   安全1−2−2で御説明いただきました、4番の作業の停止のところ、今の議論とも少し関係あると思うんですが、ちょっと僕の理解が足りないんだと思うんですが、射場安全主任が作業の停止を指令することができるとなっていますが、安全1−2−1の打上げ隊のところで見ますと、射場安全主任がありまして、そのほかに打上げ主任とかいろいろありますが、多分、射場安全主任の管轄以外のところでもいろいろ起きたときに指令を出すことがこの文章だけですとできないようになっている。あるいは実施責任者がどういう立場になるのかとか、そういうことをちょっとお聞かせ願えますか。

 宇宙開発事業団・中村 

   射場安全主任の作業停止の発令の要件というのが定義されておりまして、先ほどもお話に出ましたが、陸上警戒区域内に部外者が侵入する、あるいは海上警戒区域に一般船舶が侵入する、それから射場内、その他の場所で事故なり、火災が発生した場合、それから当然、打上げ隊の中でブロックハウス等残留者が守られた建屋にいるんですが、そういったところで急病人が発生した場合等規定されております。
   その場合には、通常の場合は射場安全主任のところに一旦情報が全部集まるようになっているんですが、それ以外に、ブロックハウスという発射管制棟に射点安全班というところがありまして、そこに安全部門の人員が数名おりまして、打上げ作業そのものを実際同じ部屋で見ております。ですから、そこで何かトラブルが発生した場合には射場安全主任に連絡し、あるいは例えば船舶についても、射場安全主任は打上げ主任とほとんど連絡を密にしながら、例えば電話をつなぎっ放しの状態で監視するというようなこともやっています。
   したがって、射場安全主任の方にすべての情報が集まりまして、そこで射場安全主任が判断して発令をします。その過程では、時間がある場合には打上げ主任等の連絡を密にずっとしていますので、そこで中の決定ということもある場合もあるでしょうし、そこで射場安全主任が発令しまして、そして緊急停止を実際にかけると規定されておりますので、その範囲でやれるかと思っております。

 栗木部会長 

   私も似たような危惧を持っておりまして、1つは、先ほどの打上げ隊のこの組織を見ますと、射場安全主任、飛行安全主任、打上げ主任、全部横並びなんですね。つまり、これを統括してだれが最終的な判断をするか。これは恐らく時系列で変わるんだと思うんですね。あるところからはトップの実施責任者代理までは届かずに、最前線で判断しなければいけないという事態があるかと思います。そこがどうもこの資料では見えないという感じがします。つまり時々刻々、これはきっと打上げというのはマイナス何時間から始まって、いわゆる推進薬を詰めていくに従って危険度が高まってくるわけだと思うんですが、打ち上げると、今までいただいた組織を見ると、地上安全からいきなり飛行安全に移るような感じがしますが、そこのどこでもってハンドオーバー、つまりコントロールオーソリティーというのはどこからどこへ移るのか。これがよくわからないという感じがします。
   あるいはそれを2つ束ねている方がおられるのであれば、これを打上げ隊の組織の上にきちっと書くべきではないかな。それはここで読めということであれば、実際にはどの方に当たるわけですか。つまり、ゼロ秒、リフトオフがあった後は飛行で、その前が射場だというと、極めてゼロ秒でバトンタッチしなければいけないわけですが、具体的な仕事というのは両方がハンドシェイクする時点もありましょうし、それを上で束ねないとむしろ危険だということはありませんか。

 宇宙開発事業団・中村 

   作業停止の発令につきましては、基本的には飛行安全主任、射場安全主任に作業の中断、作業を停止するための発令の要件があらかじめ決められていますので、その範囲で射場安全主任、あるいは飛行判断主任が判断して作業停止ができるとなっています。例えば、飛行安全主任ですと、異常飛行につきましては、例えば、2秒とか3秒を争う判断が必要な場合に、打上げ主任とか打上げ実施責任者に判断を仰ぐ時間がないケースがあります。その場合には飛行安全主任は独自の判断で実施するということになりますし、射場安全主任も基本的にはそうですが、場合によっては、船舶が海上警戒区域内に入ってくるというのは、突然入ってくる訳ではありませんで、それは入ってきそうな挙動の不審な船舶はあらかじめ海上監視レーダで見えますので、それは打上げ主任との連絡を密にとりながら決めていくということになります。あるいはほかで火災とか事故で緊急を要する場合には、射場安全主任の判断で止めるということもあります。
   その射場安全と飛行安全の引き継ぎのところなんですが、実際には打上げた後、何かのトラブルで飛行安全措置をした場合においても、当然射場安全というのは事故時の初動態勢というのが必要になってきますから、射場安全主任、あるいは射場安全系としましては、打上げた後の安全対策、安全措置といいますか、安全の確保については実施します。ですからそういう意味では、ゼロ秒でぱっと切りかわってという、そういうことではないと理解しております。

 栗木部会長 

   まだちょっとよくわからない、すっきりしないところが4ページのこの表にありまして、2.2の打上げ隊。これは射場安全主任というのは、こちらの1−2−3、これを見ますと、30ページの図−5地上安全管制系統図というのがあります。これを見ますと、横の連絡というのが竹崎指令棟並びに総合監視所に連絡がいっているという、そういう見取り図になっておりますが、実際に打上げ主任、ロケット主任、飛行安全主任というのは、一体この矢印のどこにいるのか。そういうチャートが、ちょっとこれだとまたわからないということで、全体の系統図を1枚で書いていただけませんか。そうしないと、一体どこからどこへいっているのか。これがまた時系列になると、極めてややこしいことになるかと思います。
   これはできれば両方を束ねた系統図ですから、両方に入っているのも望ましいですが、どちらかといいますと、追跡管制計画書の両方まとめた方に入っているべきではないのかなという気がします。

 宇宙開発事業団・中村 

   例えば、打上げ主任は竹崎指令管制棟におりますし、飛行安全主任も竹崎指令管制棟にいます。射場安全主任は総合防災監視所にいるということで、それぞれの主任がどこに配置するというのは決められていて回答できるんですが、そうではなくて、指揮系統がわかるような図が必要ということでしょうか。

 栗木部会長 

   つまり、これを見ますと、命令なり、あるいは情報のやりとりというのが矢印で書かれておりますが、これでは情報のやりとりというのは見えないわけです。矢印も何もないわけでして、だれがだれに、どこに指令を、あるいは双方向なり、一方通行なりで、それが見えない。全体をまとめた、つまり、この打上げ隊というのが打上げマイナス何秒からどういう格好で張りついて、本当いうと時々刻々作業がどちらかに、地上なり飛行に集中してくるわけですから、それを束ねる人というのがどこか1人でコントロールオーソリティーがいないといけないわけですが、それもある時間から手を離れてしまうということも、これを表現するのは極めて難しいと思いますが、少なくともこのチャートの格好でのこれに対応したもの、打上げ隊に対応したもの、これは必要じゃないでしょうか。どなたにお願い、三戸理事がおられれば、三戸理事にお願いすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 宇宙開発事業団・丹尾 

   すみません、三戸理事が中座しましたので、私、副本部長しています丹尾です。今、栗木部会長の質問に対しては、別途整理させて御説明させていただいたらと思いますが、いかがでしょうか。

 栗木部会長 

   是非、今、申した、私の趣旨はおわかりですか。

 宇宙開発事業団・丹尾 

   はい。

 栗木部会長 

   できましたら情報の連絡のルートがどうなっているのかという見取り図を2.2に入れていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 宇宙開発事業団・丹尾 

   了解いたしました。

 宇宙開発事業団 

   今の御質問の中で、ちょっと御趣旨を確認させていただけませんか。地上安全管制系統図、地上安全計画の30ページですが、これは射場安全のシステム自身を書いておりまして、射場安全という組織の中でのやりとりのメカニズムを書いたものですが、射場安全の中に関しても、それから飛行安全の中に関しても、それぞれの組織の中でどういうやりとりがなされるか。それも含めてという御趣旨でしょうか。それとも実施責任者、打上げ主任の系よりも上といいますか、そちらでのやりとりということでしょうか。前者かなと思ったんですが。御趣旨はどちらということでしょうか。

 栗木部会長 

   これに対応した図です。細かいものは、つまり、これ以下のシステムはおのおのの計画書で呼び出せばいいという、そういう趣旨です。

 宇宙開発事業団 

   わかりました。

 宇宙開発事業団・中村 

   それでちょっと、今の御趣旨は理解できたんですが、打上げ計画書ですか、打上げ計画書の2.2項といいますか、打上げ計画書そのものが数百部とか1,000部とかという単位で一般の人に配付する資料なものですから、細かい指揮系統までそれに入れてもよろしいかどうかということを含めて、セキュリティーの話じゃないですが、相談させていただきたいと思うんです。

 栗木部会長 

   1−2−1、これが配付されるものですか。

 宇宙開発事業団・中村 

   はい。1−2−1であります。これは外部にかなりの部数配付されます。安全の方のほかの資料は配付されないんですが、これだけは配付されるも のですから。

 栗木部会長 

   1−2−3と1−2−4と、これは。

 宇宙開発事業団・中村 

   配付されません。

 栗木部会長 

   でもどこかに必要だということがあれば、同じものをこれとこちらに入れておくということは可能ですか。つまりこれを逆に引用してその系統図に従って、例えばこの地上安全ですと、30ページのこの図がありますね。これが上にどうつながっているかという説明ぶりで入れることは可能ですか。

 宇宙開発事業団・中村 

   その趣旨で簡略化させていただき。

 栗木部会長 

   こちらに入れる。両方共通したものをこちらとこちらに入れていただく。

 宇宙開発事業団・中村 

   そうさせていただきます。

 栗木部会長 

   上とどうつながっているかということの確認です。

 宇宙開発事業団・中村 

   了解いたしました。

 栗木部会長 

   いかがでしょうか。そのような取り扱いでいかがでありましょう。まだ多少すっきりしなくて、本当はトップダウンでいきますと、こっちに入っていないといかんという感じはするんですが、これはセキュリティーもあるということですので、そのようにさせていただきたいと思います。

 馬嶋特別委員 

   もう1つ、作業の停止を行うのは安全主任だけが行うということでしょうか。

 宇宙開発事業団 

   作業の停止は、4ページの打上げ隊の組織の中でありますのは、一番大きくいきますと、ロケット主任ですね。これはターミナルカウントダウン以降、瞬時にロケットの作業を中断することが出てきますので、ロケット主任も止めることができます。それからやはり人命にかかわることで作業を止めるとなりますと、飛行安全主任と射場安全主任ですね、この2人の主任は実施責任者から作業を中断してよろしいと。あるいは飛行を中断してよろしいという権限が与えられていますので止めることができます。

 佐藤特別委員 

   要するにオアゲートみたいになっていて、どなたか1人が判断すれば、いかなる時点でも中止ということになるわけですね。ですから、常時フェーズに関係なく自分の責任を見ていて、その3つのうちどれかからそういう判断があれば停止ということなんですか。それとも3人の意見が一致しないといけないのか。多分そういうところが今の論点だと思うんですけどね。どれか1人が判断すれば、即停止になるのか。3人の意見が一致しなければ、一致するかどうかというのは、その上にもう1人全体を見る人が必要なのではないか、そういう御意見だと思うんですが、その辺をちょっと。

 宇宙開発事業団 

   一番の典型は飛行安全主任の仕事だと思います。打上げた後ですね、ここで飛行を中断するかどうかの判断ですが、これは飛行安全主任に権限が委譲されておりまして、ここの図にも括弧で書いてありますが、ロケット異常飛行時等の飛行中断処理を含むという権限が与えられていまして、飛行安全主任の判断で飛行を中断できます。

 栗木部会長 

   今の論点は飛行だけでして、今おっしゃっておられるのは、射場でマイナス何時間から作業が始まって、打上げが完全に終了するまで、そこまでの主任間の合意のとり方、並びに最終の意思決定というのはどこで行われるか、そういう御趣旨です。

 宇宙開発事業団 

   例えばロケットで不具合が出て、時間的に余裕があれば、ロケット主任、それから打上げ主任ですね、それから実施責任者と了解をとって作業を中断すると、そういうふうになっております。

 栗木部会長 

   これはそういう意思決定のフローは事業団内部でできているわけですね。ここでそれを御開陳いただいて、実時間に合わせて全部審査し出すとえらいことになるかなという感じはします。

 宇宙開発事業団 

   その辺はまた別途必要ならば説明、こういうぐあいに判断して。

 栗木部会長 

   手順書としてできておりますか。

 宇宙開発事業団・中村 

   はい。各主任の作業中断の要件というのが決められていますので、基本的には、先ほどのアンドじゃなくてオアで、どれかが停止ということになれば、基本的にはすべてのレディーの状態でシーケンスが進んでいきますので、そのレディーが緊急時にレディーじゃなくなるわけですので、その1つでも要件が満たされなければ 作業が中断、停止となります。

 栗木部会長 

   今までこれでやってきたという実績もありますので、恐らくこれが障害になって作業の不具合が生じたということは今までかつてないわけですので、うまく手順書ができているんだと思いますが、少なくとも先ほどの資料だけは差し支えがない範囲という意味でこちらに入れていただければと思います。ほかに何かありますか。

 木部特別委員 

   ちょっと教えていただきたい点があるんですが、飛行安全計画の8図のところを見ていたんですが、8図と、それからもう1つ、7図でしょうか。それで740秒前後で、これは第2段のエンジンですね。2段が停止すると南米に落下する可能性があるというところで、それで740秒というのを8図のところでメモってみると、飛行安全管制終了が722秒と伺いました。それで、第2段のエンジンの燃焼の停止が744秒の段階だと思います。その間に22秒の空白があるのは、この辺は通信リンク等はきちっととられていると理解してよろしいんでしょうか。

 宇宙開発事業団 

   確保はしております。確保しておりますが、722秒を飛行安全管制終了ということで資料に入れましたのは、図7を御覧いただきながら聞いていただきたいんですが、722秒以降で破壊いたしますと、ロケットの飛行中断、それでロケットを破壊いたしますと、破片が南米大陸にかかる、もしくは軌道上に乗るとデブリになるということで、飛行安全管制の実施期間といたしましては、南米海岸に破片が到達する可能性が生じたところ、そこで飛行安全管制は停止いたします。それが722秒ということであります。

 木部特別委員 

   わかりました。どうもありがとうございました。

 栗木部会長 

   ほかに何かありますでしょうか。
   それでは、大分活発な御意見をいただきましたが、一応これで安全対策に関する報告書をつくるという作業に進みたいと思います。ただいま諸先生方からいただきました意見を踏まえまして、宇宙開発事業団の安全対策については妥当であるという方向でまとめたいと思いますが、アクションが幾つか出まして、事業団内部の書類に対する要望として、先ほどの幾つかの追記等をお願いしましたので、これを是非お願いしたいと思います。
   それから安全の指針の方も評価基準の方も多少時間がかかるかと思いますが、これは手順を踏んで直したいと思います。しかし、できることは、1号機に対して対応をどうするかということですので、是非これは可及的速やかに書類並びに対応を見直していただきたいと思います。
   ということで、現在考えております報告書は、一応この基準に合致しているかどうかという論点で、計画を反映させてこれを入れていくということになりますので、基準を改めてからこれを書くということですと時間的には間に合いませんので、現行基準に基づいて報告書を取りまとめたいと思います。ということで、事務局で報告書案を作成していただいて、是非早い時間に皆様にメールでお届けしたいと思います。ということで、次回の会合でもってこれを御審議していただき、打上げに向けて、これを宇宙開発委員会に報告いたしたいと思います。
   ということで、次回は7月2日午前10時からということで、きょうのこの部会の意見を踏まえた報告書を取りまとめ、なおかつきょうやり残しました宇宙ステーション関連の議題を含めまして、次回7月2日に行いたいと思います。
   それでは、大分時間をちょうだいいたしましたが、これをもちまして、本日は閉会いたします。どうもありがとうございました。

−−閉会−−




(研究開発局宇宙政策課)

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