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宇宙開発委員会

2001/07/27 議事録
宇宙開発委員会 計画・評価部会(第7回)議事録


宇宙開発委員会 計画・評価部会(第7回)議事録

1.日時 平成13年7月27日(金)
  14:00〜16:12

2.場所 文部科学省別館10階第5、第6会議室

3.議題 (1) H−2A増強型等の開発について
  (2) 次期情報収集衛星2について
  (3) 金星探査プロジェクト小委員会の審議結果について
  (4) 審議結果のとりまとめについて
  (5) 「宇宙開発に関するプロジェクトの評価指針」について

4.資料 計画7−0−1 宇宙開発委員会計画・評価部会(第5回)議事録
  計画7−0−2 宇宙開発委員会計画・評価部会(第6回)議事録(案)
  計画7−1 H−2A増強型の開発について
  計画7−2 次期情報収集衛星2について
  計画7−3 金星探査機計画の事前評価結果について
  計画7−4 審議結果のとりまとめに向けたたたき台
  計画7−5−1 宇宙開発に関するプロジェクトの評価指針(報告)
  計画7−5−2 宇宙開発に関するプロジェクトの評価指針のポイント

5. 出席者
     部会長長 長柄喜一郎
     宇宙開発委員 井口雅一(委員長)、五代富文
     特別委員 上杉邦憲、佐藤勝彦、澤岡昭、高柳雄一、冨田信之、松野太郎、八坂哲雄、

6.議事内容

 長柄部会長 

   それでは、定刻になりましたので、第7回の計画・評価部会を開催したいと思います。
      本日も、暑いところお集まりいただきましてありがとうございます。本日の議題の中でH−2Aロケットの増強型についても審議することになっていますので、宇宙開発事業団の担当の三戸理事にもおいでいただいております。
   それでは、お手元の資料の確認をお願いしたいと思いますが、欠けているものがあれば事務局の方に申し出ていただきたいと思います。
   この中で、7−0−1は第5回の議事録の確定版でございます。7−0−2は前回の第6回の議事録(案)でございまして、修正意見等ございましたら、来週中くらいに事務局の方に申し出ていただきたいと思います。

 澤岡特別委員 

   第5回の確定版について、不穏当な言葉があって修正をお願いしたんですが、修正されておりませんでしたので、その点をペンディングにしていただけませんでしょうか。

 長柄部会長 

   はい。何か不穏当ございましたか。

 澤岡特別委員 

   はい。最後のページの25ページのところで、私の発言で「好ましくない国の大使館」と書いてあるんですが、日本には好ましくない国の大使館はありませんので、「好ましくない機関が」というふうに直していただきたいとお願いしてございまして。

 長柄部会長 

   どうも申しわけございません。

 澤岡特別委員 

   よろしくお願いいたします。

 長柄部会長 

   それでは、本日は、議題にございますようにH−2A増強型の開発から始めたいと思います。
   これにつきまして、プロジェクトマネージャの渡辺さんから説明願いたいと思います。本件につきましては、前々回にロケット関係の説明を受けましたときに、増強型についてはいろいろ検討中だからということで詳しい説明がなかったものでございます。それのやり直しということでございます。

 渡辺(宇宙開発事業団) 

   H−2Aプロジェクトマネージャの渡辺です。H−2Aロケットの増強型の開発状況と今後の課題などについて説明をさせていただきます。
   H−2Aロケット増強型の開発の目的ですが、これは宇宙ステーション補給ミッションへの対応、それから、さまざまな衛星打上げ需要への対応、さまざまなというところは、特に打上げ能力のバラエティという意味でございます。ということで、標準型がありますが、それに能力の増強を図ったもの。増強型の先としてということですが、将来、簡単な改修でさらに大型の衛星にも対応可能ということが、このH−2A開発の当初から明記されておりまして、具体的には、将来さらにということは、さらに液体ロケットブースタを追加するというようなことが具体的な案としては考えられます。
   下の方に諸元がありますが、これは、1段エンジンに長ノズルをつけたときの諸元でございまして、今、短ノズルでしばらく運用するということになっておりますので、ここの4トンというのは、3.7トンという数値が現在の能力でございます。下の発射時総重量、これは誤記です。285トンが標準型の重量です。同じ長ノズルをつけてということにいたしますと、目標の打上げ能力が、静止トランスファ軌道で、増強型は7.5トン、発射時総重量は410トンという内容ですが、図を御覧いただきますと明らかなように、両者の違いは、液体ロケットブースタを追加するということです。基本的な構成要素は同じですが、1段エンジンも全く同じものを使います。2台使うという違いがありますが、全く同じものを使います。
   基本的な構成要素は同じですが、いくつかの違いがございまして、それらを次のページ以降に示しております。
   このページは、全体の開発スケジュールを書いたものですが、共通のコンポーネントを使って増強型を構成するということですので、まず、両者の諸元を明らかにしなければいけないというような、設計は共通のフェーズで進んでおります。これは標準型の設計フェーズでもありますが、増強型も同じペースで進めておりまして、現在は維持設計という段階にございます。
   それから、サブシステムの多くのものは共通ですので、両方の諸元を満たすように開発を進めてきた部分が多数あります。違いは、また次のページ以降にあります。ここから下はシステム試験ですが、システム試験に関しましては、ロケットが違いますので、それぞれ独立の開発計画が必要になっておりまして、標準型の機体を製作して、それを地上でロケットと射場の総合システム試験ですが、標準型の機体を製作いたしまして、その試験を実施いたしました。1999年から、途中、打上げのための中断を挟み2000年まで標準型の業務を実施いたしました。
   増強型の地上試験機の製作に着手しておりますが、標準型の開発に専念することなどの理由で、これはまだ製作継続中という状況です。この機体製作の後、増強型の地上試験を実施するという計画が必要になります。
   この地上試験、実機を使った射場での総合システム試験に入る前には、標準型で行いましたような開発強化等が必要ではないかと考えておりまして、こういうことを実施した後、システム試験ということになりますが、この開発強化などの点、それから、あと残っております課題のいくつかは後ほど説明いたします。
   それから、射場ですが、射場は既に増強型も含めて完成しております。その後、幾つかこういう開発強化をしたり、仕様変更などが一部にありますが、そういった改修は必要になると思いますが、それは比較的マイナーな内容であろうという見通しでございます。
   このチャートは、標準型と増強型の違いを簡単にサマライズしたものですが、衛星フェアリング2段、それから1段の酸素タンクまでは共通仕様です。両方、標準型にも増強型にも共通に使いますが、ただ、フェアリングはバリエーションがたくさんございまして、HTVを打ち上げるときには直径5メートルで、長さが15メートルという非常に大きなフェアリングを使います。それに関しては現在のところ増強型でしか使わないということを考えておりますので、その1点は少し共通仕様ということではないかもしれません。
   1段中央部と増強型の中央部、また、増強型の1段の中央部、これは増強型仕様で完全に同じというものではございません。違いがございます。それから1段のタンクも、基本的には共通ですが、荷重等が違うために、また、推進供給系統、エンジンが2台あるということで違いがございまして、そこが共通でない部分がございます。エンジン部に関していえば、増強型ではエンジンが2台必要ですので、これは全く違った仕様になります。また、コアのエンジン部に関しても、このLRBを取り付ける部分というところが違う仕様になります。
   こちらに開発試験の内容のステータスが要約してありますが、システム設計としては維持設計という段階に入っております。それから、構造部は、1段の中央部については既に開発を完了しております。これはLRBのエンジン部という意味ですが、そこの開発試験も完了しております。LRB全体を通しましては、このように一部エンジン部の開発完了というようなところもありますが、全体としてはまだ未完了という状況です。それからシステム試験、推進系の試験ですが、厚肉タンクステージ燃焼試験、このLRB部分だけの推進系としてのシステム試験を行います。実機と違ってタンクの強度を増したステージ試験を実施する計画になっております。これに関しては、供試体の製作は着手しておりますが、試験そのものはまだ未実施です。アビオニクス系に関しては、誘導制御系のシステム試験、これはLRBだけの試験ということではなくて全機をまとめた試験ですが、当初計画した分は完了しております。当初計画した分はと申し上げましたのは、これに関しては試験の強化をしたいということを考えておりますので、そう申し上げました。それから、先ほど申し上げました射場と機体の総合試験ですが、これは未完了。機体の製作は進行中という状況です。
   これは、前のチャートとちょっと重複するところがありますが、当初計画で考えますと、今後必要な開発項目というよりは、残っている作業項目、開発項目ですが、維持設計、それから推進系に関しては電動アクチュエータ、LRBの艤装設計、厚肉タンクステージ燃焼試験、それから射場での総合試験など、当初計画として残っておりますが、標準型の開発でもかなりの開発強化をさせていただきましたが、同様に増強型においてもこれから、当初計画になかったことではありますけれども、追加をさせていただきたいという項目がございます。ここにそれがリストアップされておりますが、風洞試験の強化、全くやっていないわけではないんですが、解析で済ませていたところを実際の試験で確かめたいというようなことがございます。
   それから、構造系に関してはLRBノーズコーン強度試験、これはここの部分の強度試験ですが、当初計画ではノンテストファクターというようなパラメータを取り入れて解析で保証しようと考えておりましたが、やはり試験で実証しておきたいというふうに考えております。
   そのほか、下にある項目も同じようなセンスのものですが、従前解析であったものは、もう少し試験で確かな値にしておきたいということです。
   それから、LE−7Aエンジンに関しては、現在、短ノズルになっているというところがありますので、それを当初計画どおり所定の膨張比にしたいという計画が残っております。
   SRB−Aに関しては、分離システムの信頼性向上ということが専門家会合でも指摘されておりまして、新たに増強型ということになるフェーズでは、この方向の努力もしたい。
   それから、アビオニクス系ですが、誘導システム試験、これは1シリーズ終わっておりますので、その2を実施したい。RFリンク改善、これはアンテナパターン試験の充実を図りたいということでございます。それからテレメータの強化、これは、当初から増強型で使うことも含めて計測系を設計しておりましたが、開発強化の中で、増強型のときに使いたいということで予備のチャンネル等も用意しておりましたけど、それを開発強化で標準型で使ってしまいましたので、もう一度増強型も含めた、「再構築」とここに書いてありますが、もう一度整理して計測計画を作り直したいということを考えております。
   それから、最後のチャートですが、今後のH−2Aロケット増強型開発における留意点。増強型の開発スケジュールについては、資金計画も含めて、その実現性を検討する必要性があると考えております。それから、増強型については、国のミッションに対応することとともに産業界の要望も考慮しつつ柔軟な開発を実施して、我が国の使い切りロケット分野の産業化の促進に寄与することも目指す、こういうことも考慮に入れて検討をしていきたいと考えております。
   説明は以上です。

 長柄部会長 

   ありがとうございました。要するに、説明なかったんですけど、この2ページ目にありますように増強型の打上げは、試験機1号機の打上げについて2003年以降。以降というのはどこまで「以降」か存じませんが、要するに、従来、2003年に試験機1号機を打ち上げて、そこでETS−8を打ち上げるという予定だったのが、この計画だったら、要するに平成15年にはETS−8を打ち上げることはできませんということですね。要するに3年以降というのは、3年も含むのか含まないのか。要するに今のようなスケジュールで、いろんなリストがありましたね、増強型の開発強化とかありますから、資金の問題も当然あるでしょうけれども、資金の問題もあり、技術的問題もあり、要するに平成15年には間に合いません。それ以降になりますよと。その説明がなかったんですが。

 斎藤(宇宙開発事業団) 

   お答えさせていただきます。4ページ目に書いてございますように、従来の開発計画に加えて開発強化策をとる必要がある、これはどちらかというと技術面でございます。もう一つの面は、現在の状況で国が進めています財政改革で予算が非常に厳しくなっているということの2点がございまして、現在の打上げ計画を守ることが非常に難しくなってきているというのは事実でございます。
   それで、問題となっておりますのは、そうするとETS−8をどうするかという話になってくるわけでございます。これは、前回のETS−8の御説明をしたときにも少しこういう御質問があったわけですが、そうすると、我々が持っております、しかもETS−8は、移動体の情報通信を実験ミッションとしておりますので、非常にタイムリーな実験が求められているということもあって、できるだけ現在の計画を守る方法がないかということが最大の課題でございまして、そして、一方、ロケットとしては、現在持っておりますのは、先ほどの最初の方にございました、能力的には3.7トン、トランスファ軌道に投入する3.7トンの能力のものがございますので、それまで、要するにダウンサイズできないかというのが1つの検討課題でございまして、ETS−8については、どこまでミッションの大きな変更がなくてできるかという検討はいろいろしているわけですが、なかなかそこまで下げるのは非常に難しい点もございまして、それならば、今ある現在の標準型のロケットの能力を少しでも上げて、間の中間的なのができないかというのが検討課題でございます。そこのところにつきましては、いずれにしてももう少し時間がかかるということと、それ以外の方策もいろいろな案を検討して、全体として最もいいソリューションが得られればというのが、現在、我々が、予算の事情もいろいろございますので不確定要素が非常にございますけれども、そうした状況をにらみつつ、案を鋭意検討しているところでございます。

 長柄部会長 

   質問ないし御意見がございましたらどうぞ。

 冨田特別委員 

   今の議論に関連するんですけれども、確かに今、理事の御説明のように、財政が非常に厳しいということはあるんですが、ただ、それに対してETS−8のダウンサイジングということを言われましたけれども、一方、そこに書いています2つ目ですね。
   「H−2Aロケット増強型については、国のミッションに対応することとともに、産業界の要望も考慮しつつ柔軟な開発を実施し、我が国の使い切りロケット分野の産業化の促進に寄与する」と、こう書いていますね。産業界については、きょう出ておられませんけど、鈴木委員が、たしか前々回、H−2Aを早く生産してほしいというようなことを言っておられましたけれども、現在、使い切りロケット分野ではなかなか商業化が難しい情勢になってきたんですが、この大型ロケットの分野は、まだ世界的にも、アリアン5とか、デルタ4とか、大きいロケットがまだ出てきておりませんね。ですから、日本がこの分野に早く出ていくことは、中小型の分野で少し立ち遅れているんですけれども、大方の分野で商業化に持っていける一つの機会じゃないかと思うんですね。むしろロケットの打上げを、例えば2003年と決まっているんだったらなるべくそれをキープしていくという方向はないんでしょうか。つまり、限られた予算の配分を考え直して、ロケットの増強型を早めていくというような策も一つ考えられるんじゃないかと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。

 斎藤(宇宙開発事業団) 

   その点、御意見ごもっともでございまして、残りの増強型を達成するためにかかる期間と時間の結果、それから、途中に衛星が現状でございますし、同時にETS−8を踏まえた国内の産業界の方のいろんな努力もございまして、そうした現実の打上げも予定されているという中で、最もいい案を考えないといけないということで、今、全体を見ながら、予算状況もまだ確定しているわけではございませんので、最もいい案を検討しているということです。

 冨田特別委員 

   私はロケットの開発現場を離れているから、実態をあまり詳しくは知らないんですが、ただ、客観的に見ていますと、大型ロケットの分野は、残された一つのチャンスのような気がするんですね。ですから、是非大局的に検討を行っていただきたいと思います。

 井口委員長 

   私は、何度も申し上げているかもしれませんが、半年前に委員長を引き受けましたけれども、その前の6年間というのは、技術評価部会の部会長として、トラブルがあるとその原因調査をしてきました。だから、日本の宇宙開発をある意味で裏側から見てまいりました。その結果、何度か申し上げたんですけれども、それまで日本の宇宙開発は「行け行けドンドン」で、足元を十分に固めずに進んできた。そのツケが今、回っているわけです。確かに急ぐということは必要です。確かに今がチャンスで、大型ロケットを市場に出すというのは確かに必要なんですが、是非とも足元を固めつつ進むことを忘れないでいただきたいと思います。急いでいけば、また今までと同じようなツケが回って失敗を繰り返すことになります、ということが1つ。
   これから1つ質問があるんですけれども、これは1〜2年前に伺って、ちゃんとしたお答えがいただけなかったような気がするので伺いたいんですが、例えば今、増強型にしますと、1段目のエンジンが1つから3つになりますね。単純な信頼性理論からすれば、負信頼度、これは1マイナス信頼度を負信頼度と言いますけれども、言うならば失敗率です。それが3倍になります。つまり、飛行機のように、どれか1つ壊れても2つで十分に軌道に上がるんだったらいいんですけれども、3つがちゃんと働かないと機能を十分に果たせないんですね。つまり、信頼性理論からすれば直列システム。そうすると、失敗率は3倍になります。ですから、開発強化策の中で、少なくとも標準型と同じ信頼度を持たせるのであれば、失敗率を3分の1にするだけの努力をしなければいけないと思います。標準型の信頼度がどのくらいになるかわかりませんけれども、例えば5%としましょう。3つのシリーズシステムであれば、失敗率は15%になります。これは別にごまかしているわけじゃなくて、単純な話です。その上、上の方も、2段目のエンジンも増えるとかね。ですから、それだけ信頼度を上げていかないと失敗率が増えるわけです。だから、そこでも強化策をしなければいけないんだけれども、それについてはどうお考えかというのは、前にも伺ったことがあるんですけれども、どうも私の納得いく御説明がないものですから、もしお答えいただけるんだったらありがたいと思います。

 渡辺(宇宙開発事業団) 

   エンジンが3台になります。それで、エンジンだけに限れば、確かに故障発生率は3倍になるわけですが、全機としましては、エンジンだけが故障の発生する部位、あるいは全体を構成しているわけではありませんので、全体で見ますと、決して3倍になっているというわけではありませんが、先生の御指摘のようにコンポーネントが増えている分の故障率の増加というのは、共通コンポーネントを使ってロケットのファミリー化をしようということでは、なかなか避けることができないものです。それで、各コンポーネントの信頼度をもっと上げていかなければいけないという御指摘に、そこはなっているんだろうと思いますが、そういった点を確保するためにも、開発強化策を充実させて対応していきたいというのが、非常に大まかな考えですけれども、そういうのが我々の考えでございます。

 長柄部会長 

   前々回の鈴木委員なり、今、冨田委員のおっしゃるのはよくわかるんですが、4ページの「今後必要な開発項目」、従来からこれだけのことを絶対やろうとしていた項目もかなり残っている。それに加えて、開発強化策という新しい、当初考えていなかった試験とか何とかをいろいろ追加しようということになりますと、お金のことも別途ありますが、技術的にもやるべきことは相当あると。今伺いますと、ロケットのエンジニアの方は、大部分がH−2Aの標準型の方に向いちゃっていて、なかなか増強型に手が割けないという状況で、標準型がうまくいけばよろしいんですが、そういうこともあって、お金の点もありますけれども、技術的にも相当詰めることがまだあるんで、とにかく早くやることは必要だと思うんですけれども、どう見ても平成15年の第1号機打上げはとても無理だろうと私は思います。どうなんですか、お金じゃなくて、技術的にも無理なんでしょう、15年に1号機打上げというのは。

 三戸(宇宙開発事業団) 

   今、井口先生がおっしゃったとおり、言うなれば3つのロケットが同時に成功しなきゃいかんようなイメージを私自身も持っております。ですが、これを解決するためには、標準型のロケットを数多く打って、そうすると品質も一定化、一様化して安定してくるという、我々、地上でできるいろんなことをやってきているわけです。あとは、たくさん作って、それなりに実績を積んでいくしかないと思うんですね。そのときに、やはり私は、NASDAの衛星だけでは少ないと思います。そういう意味で、早く標準型を商業化して、民間の衛星でも同じぐらいの数を打てるようにしたい。その上で、安心できるということならばエンジン3つのロケットを打つという、こういうことになると思います。今、残念ながら短ノズルでありますので、なかなか商売の方では難しい。これは何とか長ノズルにして、4.1トンのGTOの能力をつけて、それで、そうであればロケットシステムの方も、ある米国の衛星メーカーと、今のところ8機分の、契約はしていませんけれども、標準型タイプで契約の可能性が残っているということなので、この標準型を何とかモノにしたいというのが本音でございます。ただ、そうはいっても、一方でまた重い衛星のNASDAミッションがありますので、そこに非常に悩んでいるということが実際のところでございます。

 冨田特別委員 

   私が申し上げたのは、私も過去の不具合調査なんかにも関連しましたし、その辺は重々理解しているんですが、ただ、今、標準型と称しているのが、実は、これからのロケットでは標準型じゃなくて、むしろ増強型の方が標準型になってくるんじゃないか、いわゆる商品として見ていった場合ですね。そういうことがあるのじゃないかと。そういう見方も入れる必要があるんじゃないか、そういう趣旨なんですけどね。

 三戸(宇宙開発事業団) 

   わかります。ただ、今、日本において、まだ商業打上げができていない状態では、まず一歩から、やっぱり実績を積んでいかないと、例えば増強型ができたとしますね。でも、その増強型をまた数発打たないと商売にならないです。そうすると、どんどん商売は遅れてしまいます。これでは、結局、先ほど言ったエンジンの品質も、量が出なければ安定してこない。ということで、まずは静止衛星2トンクラスで商業打上げの実績を積む。これがまず第1だと思うんです。我々としては、全力を挙げなきゃいけないのは、まずそこからいくんじゃないかなと、これは理事長や副理事長と話しているわけじゃないので、ちょっと勝手な意見になっちゃうかもしれませんが、まあ、個人的な意見としてはそういうことです。

 長柄部会長 

   ほかの委員の方。

 澤岡特別委員 

   具体的なことについての御説明は結構なんですが、全くの素人の質問です。液体ロケットブースタというのは固体ロケットブースタに比べて高い。それをこういうふうに束ねてやるということは、経済性から見て引き合うという結論の結果こうなったと理解していてよろしいでしょうか。

 渡辺(宇宙開発事業団) 

   そうです。初期の段階でさまざまな組み合わせの検討を行っておりまして、そのさまざまな案の中から、経済性もそこには評価関数に入っておりますが、この組み合わせが最も妥当な選択肢であろうということで選んで開発に入っております。

 長柄部会長 

   よろしゅうございますか。それでは、本件はこれでおしまいにしたいと思います。上杉先生、何かあります?

 上杉特別委員 

   どうしようかなと思っていたんですけど、この計画・評価部会で、今、長柄先生がおっしゃった「おしまいにします」という意味についてですが、これから、これまでやっています評価みたいなことをするんでしょうか。きょうのこの御説明がどういうスタンスなのかなというのがちょっとわからない。計画・評価部会で説明を伺って、それで終わりなのか、あるいは計画・評価部会、増強型をやるやらないといいますか、事前評価といいますか、それをこれからあるんでしょうか。今おしまいとおっしゃったのはどういう意味なのかがちょっとわからなかったんです。

 長柄部会長 

   本件のディスカッションをおしまいにしたいという意味であって、H−2Aの評価がありましたね。あれと同じように、本日、後で出てまいりますが、上杉先生に入っていただいたり、八坂先生にも入っていただいた、大型プロジェクトの評価基準というのは後で説明いたしますが、あれをH−2Aの増強型に対して適用するとしたら、あそこでいう中間評価に当たると思うものですね。いろいろ事情が変わって、当初の事情から相当環境が変わって、H−2Aの開発計画の中間において増強型を評価するかどうか、あの基準を適用するかどうかというのが、きょうの議題じゃございません。今日、栗木先生もいらっしゃいませんけれども、内容によってはH−2A増強型の開発計画をNASDAの方でもう一回立て直されて、こういう計画で行きたいと出てきた場合に、あの基準を適用して宇宙開発委員会自身がもう一度見直すというのが出てくる可能性が非常に高いと思います。それは、今日、ここで決めるというものではございません。今日は、要するに私の理解では、従来、平成15年に増強型の試験1号機を打ち上げますというのが、はっきり申し上げませんでしたけれども、こういうことをやれば平成15年に間に合いません、ですから15年以降になりますよという提案だと私は伺ったんですが、斎藤さん、それでよろしいですか。15年に間に合いませんよということを了承すると。

 斎藤(宇宙開発事業団) 

   時期的には、さっき申し上げましたように技術だけじゃなくて予算の問題も絡んでいますので非常に難しいんです。

 長柄部会長 

   いや、技術の点から見ても間に合いませんと。

 斎藤(宇宙開発事業団) 

   技術の面から見ると、さっき言った開発強化を入れると非常に厳しいということです。

 長柄部会長 

   それで、後で申し上げたいと思ったんですが、技術的に難しいほかに、予算的にも苦しいということで、8月に入ってからだと思いますけれども、予算の枠がある程度決まってまいりますと、そこで増強型の開発計画を1年ずらすのか、2年ずらすのか、そうすればETS−8をどのロケットでどういうふうに、ダウンサイズするかどうかしりませんけど、したいというのは、今度、予算の方の枠からある程度制約が出てこようかと思うんです。今日の話は、一応、私の理解では、15年打上げは技術的に見て困難であるという説明があったと。それで、この部会としては、平成15年打上げをある程度ずらさざるを得ないのはやむを得ないなと、こういうふうな判断をしてよろしいでしょうかというつもりで、終わりだと言ったんです。よろしいでしょうか。

 上杉特別委員 

   わかりました。

 澤岡特別委員 

   大体状況はわかったんですけれども、ただ、予算の配分なんかで、増強型の打上げについては、キープはちょっと難しいかもしれませんけど、市場性ということも一応考慮して考えていただきたい。つまり、H−2Aロケットの標準型を作ったときには、もう既に標準型の市場性はなくなっている、むしろ増強型の市場が広がっている。その増強型の市場に乗り遅れるということもあるわけですね。乗り遅れるのがいいか悪いかという問題があります。乗り遅れてもいいという判断もあるかもしれません。そういうマーケットのことも考えて、一応、御判断をしていただきたい。難しいという状況はわかりました。

 三戸(宇宙開発事業団) 

   おっしゃるとおりだと思います。ただ、最近、米国の大手衛星メーカーにおいても、中・小型の衛星バスを見直してきているんですね。というのは、トラポンの数をそんなに積んでも商売にならないというか、要するにユーザーがいない地域が世界の中にあるんです。それがアジアなんですね。アジアのところには、そんなにたくさんトラポンを積んでも、そんなにお客がいないんですよ。ということで、そうした大手衛星メーカーの方も、中型について見直して、信頼性を上げようということでありますので、2トンクラスのやつは、ある一定のシェアをしばらくずっと占めると思うんですよ。我々はそういうことも一応調査していますので、標準型のやつでしばらくはしのげると。何も世界の衛星の半分ぐらいを占めるなんていうことはあり得ないんで、やはりある一定の、2トンクラスなら2トンクラスのうちの何割かを占めるというような考え方を最初のうちとって、それから、だんだん広げていくというのが妥当かなと思いますけど。

 斎藤(宇宙開発事業団) 

   さっき私、御説明させていただきましたように、増強型は、商業化だけじゃなくて、HTVの打上げとか、全体の目的がございますので、それと、それにかかる投資の部分と、手前にもっと確実な開発を着実に行う。手前でやれることとやれないことを仕分けして、最適化、一番いい案を作りたい。そういうことをお話しして、そのアプローチをとっております。

 長柄部会長 

   よろしいでしょうか。それでは、本件は終わりにしまして、次は、次期情報収集衛星2について説明を伺いたいと思います。情報収集衛星につきましては、前々回に現状等について伺ったのでございますが、その後、内閣情報室の方では情報収集衛星2の研究を新たに来年度から開始されたいという計画があるようでございまして、それについて伺いたいと思います。

 内藤(内閣衛星情報センター) 

   それでは、御説明いたします。内閣衛星情報センターの内藤でございます。本日は、表題にありますように、次期情報収集衛星2についての御説明をいたしたいと思います。
   1枚めくっていただきますと、これは前回と同じですが、情報収集衛星の目的について再度書かせていただいております。我が国の安全の確保、具体的には外交・防衛等の安全保障及び大規模災害・事件・事故対応等の危機管理のために必要な情報の収集を目的として導入するということでございまして、この目的につきましては半永久的に続けていく必要があろうということで、第一世代に続いて、言ってみれば第二世代、我々は「次期衛星」と呼んでおりますが、この開発に着手をしております。
   表題にありました次期情報収集衛星2の位置付けについて御説明をいたしたいと思います。ちょっとページが前後しますが、5ページに全体のスケジュールを示しております。このスケジュールを見ながら簡単に御説明をしたいと思います。
   前々回に御説明をいたしたと思いますが、現在は、第一世代といたしまして4機の衛星の開発を進めております。第一世代の4機の衛星につきましては、平成14年度冬季及び平成15年度夏季に2機ずつデュアルロンチで打ち上げるという計画でございます。この衛星の設計寿命は5年でございますので、5年後には、この次の世代の衛星を準備する必要がございます。なお、前回も御説明いたしましたが、安全保障に実用衛星として使う衛星であることから、さまざまなリスク管理に配慮するべきだという御指摘がありまして、次期衛星の中の2機につきまして、次期衛星1と呼んでおりますが、予備機的な性格を持たせて、なるべく短期に開発し、もし万が一第一世代衛星にトラブルがあった場合には、この2機で最低限のバックアップを行おうという構想になっております。
   次期衛星も全部で4機を予定しておるんですが、次期衛星1で前倒しにした2機を除きます残りの2機につきまして、次期衛星2と呼んでおります。この次期衛星2につきましては来年度から研究を開発いたしまして、第一世代の寿命が尽きると思われます平成20年度の打上げを計画している。次期衛星2につきましてはこういう位置付けになります。
   この次期衛星2について、さらに現在我々が計画をしている内容について御説明をしてまいりますが、2ページに戻っていただきまして、今御説明いたしましたように、次期衛星2につきましては、第一世代衛星の設計寿命に対応した後継機ということになります。この次期衛星2につきましては、光学センサーを積みました光学衛星1機とレーダセンサーを積みましたレーダ衛星1機の2機から構成されます。光学衛星につきましては、この衛星を利用する予定になっております各省庁からの要請でありますとか、諸外国の光学衛星の開発動向、さらには、先ほどからお話もありましたが、財政状況等も考慮、費用対効果も考慮いたしまして、次期衛星2では、さらなる高分解能化を目指す必要があるとセンターの方では考えております。
   なお、レーダ衛星につきましても、同様に諸外国の動向であるとか、費用対効果等も考えた結果、財政動向もありまして、基本的には次期衛星1と同等の性能とすることを考えております。
   光学衛星の諸外国の動向ですが、3ページに簡単にまとめてございます。御承知のように、1999年9月に米国で1メートル分解能の商業衛星が上がって以来、1メートル分解能画像というものが一般化してまいったわけですが、今後、今年中に米国で2機、1メートル級と60センチ級分解能のものが計画されておりますし、イスラエルでも80センチクラスのものが計画されております。さらに、2004年ごろになりますと、50センチクラスの分解能を持つ米国の商業衛星が上がる計画もございます。こういった各国の動向を踏まえまして、情報収集衛星についても記載しておりますが、やや世界の動向には遅れるとは言いながら、次期衛星においてはさらなる高分解能化を目指すという方向にしております。
   それから4ページでございますが、今までの御説明でもおわかりだと思いますが、第一世代衛星及び第一世代の予備機的な性格を持ちます次期衛星1につきましては、なるべく短期間で開発をして、実用に供しようということから、非常に短期間の開発で整備を進めておりますが、次期衛星2につきましては、分解能を向上するという目的のために所要の期間をかける必要があろうと思います。先ほどのスケジュール表にもありましたが、6年半は必要であろうと考えています。
   さらに、新しい高分解能化に必要な各種の技術を開発するという必要があり、可能な限りリスクを低減していく方策が必要であろうということから、次期衛星2におきましては、宇宙実証をする必要がある。具体的には実証衛星を平成18年度に打ち上げなければならないのではないかと考えています。なお、この打上げの方法につきましては、費用を抑えるという観点から、予備機的な性格を持ちます次期衛星1のどちらかとデュアルロンチで打上げてはどうだろうかという方向で検討を進めております。
   なお、次期衛星2の研究の体制でございますが、当面、概念検討といったことを進めてまいります。この段階では内閣官房が一括して検討を行うんですが、宇宙開発事業団の御支援をいただくことにしております。この概念検討が終了した、さらにその次の段階に進むフェーズにおいては、改めてどこに協力をお願いすればいいのかを検討することにしております。
   5ページの表にもございましたが、次期衛星2が予定どおり進みますと、平成17年度後半に開発フェーズに移行するという予定でございます。
   説明は以上です。

 長柄部会長 

   ありがとうございました。質問なり御意見がございましたらどうぞ。

 澤岡特別委員 

   光学衛星の分解能を高めるということは、どこが一番技術的なネックになっているんでしょうか。

 内藤(内閣衛星情報センター) 

   今いろいろ概念的に検討しているんですが、とりあえず光学系をさらに高度なものにする必要があります。ただ、それ以外にも、例えば衛星の姿勢を安定させる性能であるとか、高分解能にすることによってデータ量が増えますから、大量のデータを扱う、あるいは伝送する、そういったさまざまな技術が必要になろうと思います。

 澤岡特別委員 

   そのさまざまなものを並行してやらなきゃいけないということでしょうか。それとも、どこか特に弱いところがある。日本にとってどの辺が弱いと。

 内藤(内閣衛星情報センター) 

   特に重要というか、長期間、あるいは宇宙での実証が必要と思われますのは、光学系の部分です。

 長柄部会長 

   実証衛星の規模などは、これから詰められるんでしょう。いずれにしても、デュアルロンチで上がるようなものでそんなに大きいものじゃないと思うんですけれども、要するに金額にして100億円とか、実証衛星自身はその程度の規模のものをお考えなんですか。

 内藤(内閣衛星情報センター) 

   まだ具体的に詰め切っているわけではないんですが、100億とか150億とか、その程度になるんではないかと想定しています。

 長柄部会長 

   八坂先生どうぞ。

 八坂特別委員 

   高分解能だと、運用の面でもいろいろ従来と違ったことになると思うんですけれども、つまり、軌道をどうとって、どこの上空をとるかということがありますね。そして、ちょっとよくわからなかったのですが、次期は2機で運用ですか。

 内藤(内閣衛星情報センター) 

   次期衛星1と次期衛星2を一応次期ととらえているんですが、この4機で、第一世代と同等な運用が実現できるんではないかと思います。

 八坂特別委員 

   だから、ライフが尽きると、また次のを打つとかいう話になって、継続して運用されるんだと思うんですけれども、最終的にはこれは、分解能が伸びるとか、機能的に高くなっていくんでしょうけれども、それに付随して、運用の機数というのは一体どういうふうになるとお考えでしょうか。

 内藤(内閣衛星情報センター) 

   現在、第一世代衛星を打ち上げる段階で、4機という形で進めております。当面はこの4機の枠内でやらざるを得ないんじゃないかと思いますが、さらに先まで行きますと、まだ何も固まっていない状況です。

 長柄部会長 

   ほかに何かございますか。意見ないし質問ございませんか。

 高柳特別委員 

   素人なのでやじうま的な質問なんですが、宇宙環境のシビアな中でガラスの開発や何かは、例えばIkonosなんてアメリカのメーカーの軍事的なものを使っているみたいなんですけれども、国産化でどの程度やっていくのかということをちょっと知りたいんですが。

 内藤(内閣衛星情報センター) 

   情報収集衛星の開発を進めるに当たって、一応、自主開発を原則とするという方針を持っております。ただ、H−2のロケットのようにすべて全部国内で作るというよりも、技術的にキーになる部分を国産化するということで、可能であれば海外から部品のようなものは調達する方針にしております。

 長柄部会長 

   よろしいでしょうか。ほかになければ、本件はこれで終わります。どうもありがとうございました。
   それでは、次は佐藤特別委員にお願いしておりました金星探査機計画の小委員会による審議でございますが、この部会からは高柳先生、八坂先生にも参加いただきまして、そのほか数名の専門委員の方に入っていただきまして、短期間でございましたけれども、検討していただきました。その結果について御報告願いたいと思います。

 佐藤特別委員 

   それでは、宇宙科学研究所の金星探査プロジェクト小委員会の御報告を申し上げたいと思います。今、部会長の方からお話がありましたように、特別委員の中からは、私を含めまして6名の方がこの小委員会のメンバーになっております。加えまして、東京工業大学の中澤先生、東大の永原先生、名古屋大学の山下先生、東京大学の山本先生、この4名の先生方に専門委員としてお加わりいただいております。
   それで、この小委員会でございますけれども、7月10日、24日と2回開催いたしました。非常に活発な議論が展開された委員会でございまして、諸先生方から大変積極的な意見が出されました。その結果に基づきまして御報告申し上げたいと思います。
   まず最初に、評価に当たりましては、宇宙科学研究所の方から金星惑星計画につきましての概要説明、それから宇宙科学研究所では、こういうプロジェクトが立てられました場合は、宇宙研の中にあります宇宙理学委員会におきましていろいろ評価がされるわけでございますけれども、その中での評価結果、その他につきまして詳しく御説明いただきました。その上で、委員でフリーディスカッションをすると同時に、また、文書で評価の意見等をいただきました。その結果に基づきまして、7月24日に再度、文書による意見を取りまとめながら、お手元の資料7−3となっておりますこの文書でございますけれども、これの審議を進めていったわけでございます。
   まず、評価の観点でございますけれども、宇宙開発委員会の場では、宇宙開発に関するプロジェクトの評価指針についてという議論が別のところで議論されているわけでございますけれども、今回の金星ミッションは宇宙開発事業団のプロジェクトではございませんので、必ずしもその方法で評価するわけではございませんが、初期の段階におきましては、いろんな意見の調査だとか項目に関しましては、大体それの指針に従いまして議論を展開いたしました。しかし、最終レポートのまとめ方に関しましては、科学ミッションであるということの特性をよく考えた上で、結局、7−3にございますとおりに、大きくは2つの項目について評価をすることにいたしました。つまり、科学的観点からの評価というのが1で、2番目としましてプロジェクト計画管理の観点からの評価、この2つで基本的には評価をしたということになっております。
   それで、7−3の内容でございますけれども、長いものではございませんが、読み上げていても仕方ないと思いますので、この2枚目に「まとめ」というのがございますので、これを読みながら、いくらか説明を追加させていただければと思います。
   まず最初、科学的なものに関してでございますけれども、ちょっと読み上げますと、「太陽系科学探査の分野において重点的に推進することとなっている地球型惑星の解明において、火星に続き、『スーパーローテーション』という特異な大気構造を持つ金星に着目し、特にその大気運動の解明に焦点をあてた本計画の学術的意義は大きい。その成果は、本格的な『惑星気象学』の確立につながり得る画期的な局面を切り拓くものであり、本計画を推進する方向で準備することは適切である」。
   このスーパーローテーションというのは大変おもしろい現象でございまして、自転の速度が緩やかなこういう惑星におきましては、自転の速度をはるかに超えるような大気が、急激に速い速度で循環しているといいましょうか、回転しているという非常におもしろい、大きな謎の現象がございまして、そういうものを中心として新たにこういう惑星気象学というものを、新たな局面を切り拓くという科学的に非常に大きなミッションを持っているということで、全員から、この部分につきましては高い評価がございました。
   それから、実際のプロジェクトの運営管理計画のことでございますけれども、この部分に関しましてはいろいろコメントがございまして、そこにもございますけれども、1から5までの今後検討すべき課題というものを書くことになりました。1は、そこに書いてございますが、「大気散逸メカニズムの解明に係る観測の可否に関する検討が衛星設計の面及び運用技術の面において必要である」。これは、搭載する機器の重量とも関係することでございますけれども、搭載するかしないか、それについては十分の検討が必要であるということです。2番目は「地球観測におけるリモートセンシング研究者との協力体制の構築が必要である」。言うまでもありませんように、地球のリモートセンシングでいろいろな観測は、その分野の先生方がたくさんお仕事されているわけでして、そういうものの研究者との、金星ということで対象は違いますけれども、その経験を生かすという意味で協力体制がある必要があるということでございます。
   それから3番目に、「コストの国際比較を行う必要がある」。この件に関しましては、1枚めくっていただきますと、参考資料としまして、国内での宇宙科学研究所の、例えば「のぞみ」、今、火星に向かっておりますけれども、それとの金額の比較などをつけていただいております。今回の金星ミッション、火星に行っております「のぞみ」ミッション、金額的には合計では210億、220億、それぞれこういう金額でございまして、同規模の計画であるということ。それから、アメリカなんかの惑星ミッションとの金額の比較などは一応書いてございます。こういうのは、何がどこまで含まれているか、いろんなことがありますので、必ずしもここに書いてあるものがそのとおりかというのは、なかなか難しいところがあるんじゃないかと思いますけれども、まあ、こういうことももう少し詰める必要があるかもわかりません。
   それから4番目に、「観測運用時期における衛星運用、データ解析を一層効果的に行うため、データ処理体制、衛星運用への人材確保について検討する必要がある」。この点でございますけれども、宇宙科学研究所の科学衛星といいますのは、正直申しまして非常に貧しい時代からずっと衛星を打ち上げて、少額の金額でやっていることもありまして、ハードにほとんど重点を置いて、お金はそちらにほとんど集中して、ソフトの開発だとか運用、そういうことにつきましては、実際、研究に携わる人の肉体的な犠牲といいましょうか、精神的なそういう努力に基づいて進めるところが大きかったわけでございますけれども、衛星運用への人材を確保するとか、そういうことについても今後はやはり必要になってくるのではないかというコメントでございます。これは、正直言いまして予算にかかわることでございますので、宇宙研に言っただけでは仕方ございませんで、宇宙開発委員会、いろいろなところで、こういう科学衛星に関しましても、もう少し運用の人材に関する予算が必要であろうというコメントです。
   それから5番目は、「我が国における当該計画の位置付け及び意義について、一般社会の理解を得るために、創意工夫しながら積極的に発信していくことが必要である」。これも、どちらかといいますと、科学のミッションというのは、それ自身で十分わかりやすいものであるという認識があったわけですけれども、やはりその位置付けとか、そういうものをきちんと社会に説明することは今後さらに必要になってくるだろう。そういうことで、この金星ミッションにつきましても、より一層社会に理解していただけるような広報、そういうものについての努力は必要であるということでございます。
   これが、2回開かれました委員会のまとめでございますけれども、結論としましては、学術的意義に関しましては全く問題のないすばらしい計画でございまして、基本的にまたプロジェクト経過に関しましてもほぼ適切であるということでございます。そういうことで検討すべき課題はございますけれども、衛星の開発に向けた開発研究に進むことは適切なことであるというのが小委員会の結論でございます。
   以上でございます。

 長柄部会長 

   ありがとうございました。質問ない御意見がございましたら。

 松野特別委員 

   ちょっと質問ですが、先ほどの大気散逸メカニズム解明というのは、そういうものもやろうというのが入っているんでしょうか。それは具体的にどんなのか、教えて下さい。

 佐藤特別委員 

   細かなことは、ちょっと私、忘れましたが、要するに映像を写すだけではありませんで、そういうメカニズムに関する搭載のやつを載せるか載せないかということで、今、研究者の中でも議論をされているということでございます。ただ、その部分については慎重にするようにというコメントがいろいろございました。もし必要があれば、オブザーバーの中には専門家がおられるんですが、いかがいたしましょうか。松野先生、細かくその点をお聞きしたいということございましたら。

 長柄部会長 

   松野先生に満足していただくには、やっぱり専門家の方に答えていただけませんか。

 中村(東京大学) 

   東京大学の中村です。このミッションは、ほとんどがカメラを積んでいて、大気の運動を調べるということなんですが、大気散逸ミッションの方は、基本的にはプラズマ、つまり、大気の外にプラズマ化して漏れていくといったものを調べる。例えばDH比であるとか、そういったものを調べるということをオプションとして考えている。これはSTPミッション、今までSTPの人たちが大変興味を持ってきた部分がありまして、それを大気のミッションと結びつけて考えるという意味で考えておりますが、まずは第1の目的として、撮像系を考えた上で、十分に余裕があるようであれば、そのような大気散逸も考えたいという意味であります。

 松野特別委員 

   ありがとうございました。

 長柄部会長 

   よろしいでしょうか。

 松野特別委員 

   はい。

 長柄部会長 

   ほかにどなたか、ございませんか。それでは、本件は、この小委員会の報告どおり開発研究に着手することが妥当であるというふうな結論にしたいと思います。どうもありがとうございました。
   それでは、次の議題でございますが、4月に第1回の会合を開きまして、本日で第7回でございますけれども、次回、第8回に審議結果を取りまとめたいと考えております。それで、計画7−4という資料に、たたき台としまして、私も見まして、まだ未完成であると思っているんですが、今までの審議結果をこういうふうな形で、今までといいますか、こういう格好で取りまとめたいということで、これをきょう簡単に、まず事務局の方から説明しまして、そして各委員から、これはおかしいとか、こういう趣旨の言葉を入れるべきだとか、いろいろ言っていただきまして、それらを踏まえて次回の会合に審議結果(案)ということで取りまとめたいと考えているものでございます。それでは、事務局の方からこの資料について説明願います。

 金子(事務局) 

   計画7−4に基づきまして御説明いたします。この資料の本文は4ページでして、あと、後ろの方に参考がついていますので、本文につきまして読み上げる形で進めたいと思います。1ページの上半分は前書きですので、ここはちょっと省略します。
   (以下、計画7−4を読み上げ)

 長柄部会長 

   今読み上げましたことについて、要らないこと書いてあるとか、もっとほかのことを追加すべきだとか、全体の構成がおかしいとか、いろいろあろうかと思いますが、随時言っていただけたらと思いますが。

 澤岡特別委員会 

   2ページの真ん中の(3)の高度情報化についてのこの文章、よくわからないというか、抽象的過ぎまして。おそらく初めて見る一般の方は、何のことを言いたいのか全然わからない文章でないかということで、少し文章を練った方がいいのではないかという感じがいたしました。

 長柄部会長 

   ここで言わんとしているのは、NASDAが今進めようとしている高度情報化、といってもこれは、我々はある程度わかっていますけど、ほかの人が聞いたら何のことやらよくわからないかもしれないですね。NASDAが今やろうとしている高度情報化の取り組みはどういうものであるかという説明を若干しまして、こういう取り組みは非常に重要であると。ただし、八坂先生がおっしゃったでしょうか、いろんなシステムが混在しては非常に困るから、USEFがこういうシステムでやっている、NASDAは違うシステムでやっているということがないように、関係機関でちゃんと、標準か何か知りませんけれども、汽車が広軌と狭いのと走ったり、マッキントッシュとあれが一緒にあるように、同じ宇宙の中でいろんなものがまざると困るから、できるだけ調整してやれという意見がありましたが、そういうふうなことがよくわかるような表現にしたらよろしいでしょうか。八坂先生、そういうことですね。

 八坂特別委員 

   その項目のところで確かにそういうことを申し上げました。2つのシステムが混在すると、それは大変混乱のもとになるということ。ただ、高度情報化というのは、おそらくそれだけじゃないのじゃないかと思うんですね。だから、これ全体についてもっとスペシファイして書いた方がよろしいと思います。

 長柄部会長 

   松野先生どうぞ。

 松野特別委員 

   一般的なことですが、これ自体の意味というのは、ちょっとよくわからなくて。以前、計画調整部会というのがありまして、あれは個々のプロジェクトについての議論ですが、これを拝見しまして、例えばインターネット衛星について随分いろいろと議論があったんですが、そういったことは全く書いてなくて、通信・放送・測位というようなところで非常に短い文章なんですが、何のための、どういう報告なのであるか。また、審議の取りまとめということですが、大分ああいうことを議論したわけですけれども、それとこれとはどういうふうな関係にあるのかちょっとお伺いしたいんです。

 長柄部会長 

   まず1つは、3ページの新規のもの、金星プロジェクトですね。金星プロジェクトにつきましては、かなり大きなプロジェクトでございまして、新規でございまして、金星プロジェクトの開発研究に着手することがいいか悪いかと。これは従来の計画調整部会と同じようなことでというISASの提案に対しまして、学術的にも、マネージメント的にも問題ないから、いいですよと言っているわけですね。その他につきましては、その他といいますか、1ページの途中から先ほどの金星の前までの話は、一応現状のレビューですね。ですから、1回目から、具体的には2回目からずっとNASDAないしその他について現状はどうなっているか、どういうふうになっているかということをお聞きしまして、そして、非常にうまくいっているとか、あまりうまくいっていないとか、こうやった方がいいよというようなことを議論してきたわけですけれども、ここに書いてあるのは、現状について、審議じゃなくてもう既に走っているものについて、各先生方から出てきたような意見を、詳しくは議事録に載っていますけれども、意見をまとめると、大づかみするとこんなことです。

 松野特別委員 

   インターネット衛星については、金星と違って、もう既に、私、よくは知りませんが、そういうことを始めるということ自体はどこかで承認されていたんでしたでしょうか。2回ぐらいにわたって行われたように思いますが、あれは具体的にその計画をどうこうということでなかったのでは。

 長柄部会長 

   インターネット衛星の開発研究は、もう始まっているわけで、あれは新規ではございません。ただ、ちょっと出足が遅かっただけで。それで、この後で、プロジェクトの評価指針というのは後でちょっと説明するつもりですが、非常に大きい計画です。そして、この評価指針によれば、ああいう大きい計画のものは、開発段階に着手する以前に、後で出てまいりますが、要するに開発段階に着手する前に、こういう点、こういう点、こういう点について宇宙委員会は専門家による評価を受けて、アドバイスももらって、評価を受けた上で次の段階に進みなさいと言っているわけです。そういう意味では、今、宇宙開発事業団の計画では、インターネット衛星については、来年じゃございません、再来年度、平成15年度に開発段階に進みたいという計画でございます。ですから、予算的には来年の夏には開発に進みたいという予算要求は、順当にいけば出てくるはずです。評価指針では、その以前に、来年の夏より以前ですね。ですから、多分この秋から来年の春ごろにかけてだと思いますが、今までやってこられた研究ないし開発研究段階でのいろんな成果から見て、それから利用面も見て、これは数百億円かけて開発段階に入ることが適当であるかどうかという判定を、専門家による、多分、この部会の中のまた小委員会、かなり大がかりな小委員会かもしれませんが、そちらの方で指針を適用して、開発段階に行くことが適当であるか、行かないでそこで中断すべきか、行くべきか、行くにしても方向転換してやれというのか、そういうふうな審査は、この秋から多分来年の春くらいにかけてやられることになろうかと思うんですが、そこらあたり、多分、栗木先生が判断されると思うんですけれども、手順としてそういうことになります。ですから、今の段階ではそれはやらないということでございます。

 松野特別委員 

   はい、わかりました。

 佐藤特別委員 

   レポート自身は、このたたき台程度の、非常に簡潔なものになるものでしょうか。随分長い審議であったと思います。つまり、これについて、もう少し中身が膨らませるものなのか、本当にたたき台に近いような短いレポートということでございましょうか。

 長柄部会長 

   多分、これは短過ぎると思います。我々としては議論をしていますから、何を意味しているか、我々はある程度わかりますけれども、第三者の方が読まれた場合は何を意味しているかわからない点は多々あろうかと思います。

 佐藤特別委員 

   まさに部会長おっしゃったとおりで、このレポートを一般の方が御覧になったときに、これは一体何だと。議論された内容とかがよくわかりませんし、もう少し説明的な文章がやっぱり必要ではなかろうかとは思うのですけど、いかがしょうか。

 上杉特別委員 

   関連して、似たような話になりますが、最初にちょっと細かいことで聞きたいんですけど、3ページの2の「平成13年度以降において」となると、ずっと先になりますので、これ、例えば平成14年度においてスタートという意味ではないかと思いますが、いかがでしょうか。13年度以降というと、先ほどの情報通信衛星でも、平成15年にやるものでも入ってしまうような気がしますので。それは語句の問題ですけれども、そうしますと、今スタートするというものでは、金星探査機計画しかないというふうに読めるんですね。この文章では。ですから、事業団の方のものは、現状では新しいものはないということなんでしょうか。
   それから、先に続けて申し上げますと、2ページ目の、例えば宇宙輸送系のところで、これも知っている人はわかりますけど、知らない人はわからない例で、多分これJ−T改かJ−2、どちらでもいいんですけど、のことが、J−Tの苦い経験を経てというのは含んでいるのではないかと思うんですが、これは既にスタートしているんでしょうか。もしないとすれば、これから、この最後の今後新たに実施する必要がある主要な研究開発というところにそれは入らないのか、あるいは入るとすれば、先ほどの質問と同じですけど、事前評価部会みたいなことを作ってやられるんでしょうか。その辺、ちょっとお聞きしたいんですけれども。

 長柄部会長 

   J−T改とかJ−2とか言っている計画、あれは今、NASDAの方で、民間企業とも一緒になられて、研究段階でいろいろ小規模におやりになっている。まだ開発プロジェクトとして発足していません。そういう段階でございます。それが、いつの時点か、今言われているJ−T改なりJ−2を開発研究なり開発に着手したいという段階では、この指針を適用しまして、第三者による評価があって、この部会で着手を認めるかどうかということになろうかと思います。今はその段階にまだなっていません。

 上杉特別委員 

   そういう意味で、最初に戻るんですけど、そうすると平成13年度以降というのは、今出てきていないわけですから、これは、出てきているというものは、平成14年度にスタートするものという意味ですよね。細かいようなんですけど、そうすると、何が出てきて何が出てこないのかがちょっとわからなくなっちゃいますからね。

 長柄部会長 

   ちょっと詰めますが、今年はNASDAのはございません。しかも、この部会では、細かいちょっとした研究に着手するというようなものは審議しないことになっていますので、そういう意味では今年は金星プロジェクトだけです。
   八坂先生どうぞ。

 八坂特別委員 

   金星プロジェクトについてですけれども、これは開発研究となっているわけですが、実は私もこの小委員会に任命されて加わったんですけど、開発研究に入るかどうかという、そういう審議だとは思っていなかったんです。やるかやらんかという話だと思っていたんですね。

 長柄部会長 

   ですから、開発研究に入るか入らないか。

 八坂特別委員 

   いや、それで、開発研究と、またあと開発というのがあるわけですね。だから、この辺がよくわからないんですけれども、今、開発研究をやれと言った。じゃ、次、開発のときにもう一度こういう区切りをつけるのかどうかということがちょっとよくわからないんです。
   それから、そもそもプロジェクトはすべてこういうふうに開発に持っていくのかどうなのか。実はこういうことを言うのは、宇宙研のこの科学衛星のプロジェクトは、一たんスタートしたら途中で区切りを入れるのは非常に難しいプロジェクトだと思うんです。プロジェクトのやり方自体が、従来のそういうフェーズできちっと区切ってやるものとは相当違うやり方をとるんで、実は報告書の中でも、そういうやり方が計上されているのはいいんじゃないかというふうに書いておると思うんですけれども、そういう意味からいうと、開発研究というのは何となくそぐわない気がするんで、この辺はどう考えたらいいのか。私としては、これ以降の判断というか、中途の判断はなしの方で進めていいというふうに言い切った方がよろしいようお思うんですけど。つまり、まずは言葉の問題ですけど。

 長柄部会長 

   評価指針の方ですが、評価指針の方は、大きいプロジェクトでNASDAのものを判断するときの指針になっているわけですが、それでは開発に着手する前にしかるべくこういう項目について評価しなさいと。物によっては早いものもいいですよということでありまして、要するにNASDAのこれについては、開発に着手するかどうかがポイントである、開発研究じゃなくて、この評価の方では。ですから、開発研究をやっていても開発に進まない場合もあり得るという前提でございます。そこに、この指針では非常に高いハードルを置いています。ただ、科学衛星のプロジェクトとNASDAのやるプロジェクトはちょっと性格が違いますし、ですから、この指針をそのまま適用するのがいいかどうか私はよくわかりませんが、指針の方は、そういうことで開発に着手するところに大きいハードルを置いています。

 八坂特別委員 

   そうすると、金星プロジェクトについては、どうするかというのは、評価指針をこれからどういうふうに適用するかということによるわけですか。

 長柄部会長 

   この評価指針はあくまでNASDAのプロジェクトに対する評価指針でございます。

 佐藤特別委員 

   やはりこれ、実際に開発といいましても、準備というよりも、始めた以上は、途中でやめるということは科学衛星の場合にはなかったわけですし、少なくとも科学衛星のものに関しては開発研究準備というのではなくて、開発というか、計画そのものが始まることを認めるという格好には、この委員会はできないんでしょうか。つまり、事業団の話とは違うわけですね。その点、私どもも実はこの委員会を始めるときには、従来の宇宙研の実際のプロジェクトの開始の評価そのものという認識で始めていたと思います。ほとんどの先生方はそうだったと思うんですね。ただ、事業団との評価の関係で、最後の段階になって評価そのものの表題が変わってしまうというような印象を正直言って思ったわけですね。

 長柄部会長 

   上杉先生どうぞ。

 上杉特別委員 

   御承知のように開発と開発研究というのは、ある意味じゃ予算上の区分けでございますね、用語で言いますと。そういう意味で我々はとらえていたというのが、我々というか宇宙研のやり方であろうかと思います。この評価指針みたいのを援用するとしましても、今、皆さんのお手元にあると思います。7−5−1の12ページに事前評価の時期が書いてございますけど、これは企画立案フェーズで、どこで事前評価をするかというの、これはもう一つの指針特別部会の方で何度も議論になったところでございますけれども、こういうふうに大変幅広く書いてあるわけですね。ですから、事業団の計画の場合、これから大変お金を使いますというところでハードルを設けていると、今、長柄部会長のお話がありました。それはそれでそこだと思うんですけれども、こういうふうに幅を持っていますという意味をとらえれば、今のISASの計画の場合に、開発研究でしたっけ、そこでスタートするということが、既に大きなステップに入るという意味で、矢印の幅の広い、書いてあるわりに前の方で事前評価、既に今回行われたもので終わりであるということで、実質的なスタートをしたという形で見てよろしいんではないかなという理解なんですけど、いかがでしょうか。

 井口委員長 

   私が発言していいのかどうか、ちょっと疑問に感じながら質問するんですけれども、科学ミッションについては、宇宙開発委員会が所掌するかどうかというのはわからないというか、グレーゾーンですね。むしろ私が伺っているのは、松尾所長さんにやってくれと言われてやったんではないかという理解なんですけど、もしそうであるならば、松尾所長さんがどういう形でISASとしてはやりたいから、その点を評価してくれという。だから、今ここで議論になっているようなことはISASがお決めになることではないか。つまり、どういうステージにするかというのは。これは、NASDAでやるものについてはこう決めております。このとおりやってくれというんだったら、それでいいと思います。
   それから、佐藤先生が責任者として評価されたわけですけれども、どういう考えで評価されたのか、それも含めて話し合った方がいいんではないかと思いますけど、いかがでしょうか。

 長柄部会長 

   今のは多分、松尾所長さんじゃなくて、文部科学省と言った方がいいんじゃないかと思うんですが、若干便宜的になってもあれですし、従来、学術審議会の中に宇宙部会があったわけですが、それで、省庁再編の途中でなくなっちゃったと。しかし、新しいプロジェクトをスタートさせるについては、ちゃんとした方々に、外部の評価を受けなきゃいかんということもありまして、ここでやったわけでございます。ですから、確かにこの評価指針そのもの、NASDAの非常に大きい500億とかああいうことで、技術的に非常にリスクの高いようなものについて適用する基準でございます。宇宙研のプロジェクトでも、物によってはNASDAに非常に近いプロジェクトもあろうかと思いますが、今回の金星のものなどについては多分そうじゃなくて、むしろ科学的色彩が非常に強いプロジェクトだと思います。そういう意味で、今回、この表題も、佐藤先生の小委員会の表題も事前評価についてということになっていますね。

 佐藤特別委員 

   事前評価ですね。

 長柄部会長 

   そういうことになっていまして、これは開発段階に着手する場合に、それも今回のものですべてオーケーですと言うかどうかは、ちょっと文部科学省の方とも相談しないと、また、その時期に来ないとはっきり言えないかと思いますが、ちょっとあいまいな形に、特に着手はいいということで、じゃ、これで100%オーケーかというと、そこは若干グレーのところは残しておいていただいたらと思うんですが、上杉さん、いかがでしょう。はっきり100%としてほしいですか。

 五代委員 

   この後に出ます評価指針ですか、さっきの12ページ、この絵の議論のとき、私はかなり執拗に疑問を出しました。今回の「開発研究」という言葉は、大体日本語でもないんでしょうけれども、ISASが今までされたことにはそういう言葉は使っていないし、これはISASの方で言う、いわゆる普通の開発に入るんだろうと。大体この12ページを見ても、「開発研究」とか、「開発」とか、そういう言葉はないんですよね。ですから、意思決定として、事前評価をされたということですね、今回は。ですから、これで意思決定がされたと。その後どうにもならんとか、いろいろ問題があれば中間評価、これは当然あるでしょうから、そういう意味でどうですかね。私、「開発研究」という言葉が、どうもあまり適当でないような気がする。

 長柄部会長 

   4月に、この部会でどういうものを審議するかというときに、これはISASとかNASDAとかあまり意識しないで書いたんですが、開発研究に着手するものについてはこうこうよ、200億円のものこうよとかありまして、開発研究の定義は、ここでいうとフェーズBの予備設計のところ。フェーズBを開発研究段階と、開発研究の定義はそういうことになっているんです。ここでいうフェーズBのことなんです。

 五代委員 

   どこかに書いてあるんですか。

 長柄部会長 

   書いてあります。

 五代委員 

   書いてありますか。

 長柄部会長 

   これには書いてありませんけれども、中長期戦略か何かで、よく言われる開発研究とは、ここでいうフェーズBです。

 松野特別委員 

   詳しくは知らないですが、科学技術基本計画とか、そういうことで税金を使ってこうやる大きなプロジェクトに関しては、内容が科学的なものであれ、あるいは産業とか生活に関するものであれ、それを実行するに価値あるものであるかどうかというのをきちっと事前に評価する、ある程度以上のサイズのものだと思いますが。何かそういうふうに聞いておりますが、それと、今ここで言っているのとの関係はどうなんでしょうか。それがここで行われていることなんでしょうか。それについてお伺いしたいんですが。

 長柄部会長 

   科学技術会議の評価の指針だったでしょうか、今また見直しされていますけれども、こういう大きいプロジェクトに着手する前に、また終わった後、必要な場合には中間も、第三者によるちゃんと評価を受けなさい、しかも、それを公表しなさいということが義務づけられております。

 芝田(事務局) 

   傍聴していただいている方々も、何で宇宙開発委員会で金星探査をやるんだろうかというところから若干疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれないので、少し御説明させていただきたいんですけれども、長柄部会長からございましたように、科学技術学術審議会の方で宇宙科学部会といったようなものが設置されておりません関係上、宇宙開発委員会の場で金星探査についても評価していただきたいということをもともと言い出したのは文部科学省の方でございまして、これは文部科学省が、資源配分というか、予算措置をするに当たりまして、専門的な見地から是非御判断をいただきたいということでお願いしたという経緯でございます。
   この宇宙開発委員会の所掌というか、権限の中に、宇宙科学研究所のものが含まれていないのは明らかでございますけれども、そこは専門的な見地をおかりするという立場で、参考意見を述べていただく。ただし、その参考意見を尊重するかしないかは文部科学省の判断次第でございますが、そこは、私どもはそれを尊重いたしますので、どうぞ御審議をお願いしますという立場でございます。そういった経緯で、この評価を行っていただいたということでございます。
   その評価のやり方について、開発研究云々というのが、これは小委員会でもちょっと議論になりまして、確かに今、大勢を占めているような意見が随分出ておりまして、そこは、それは踏まえながらも、一応評価指針をできるだけ援用するという立場を意識して、「開発研究」という言葉を残したんですけれども、しかし、この場でたくさん意見をいただきましたので、それを踏まえまして、さっきも言いましたように文部科学省として必要であれば評価指針にリジッドにのっとった、もう一度評価というようなこともあろうかと思いますが、今の段階では先生方の御意見を尊重して、一応、計画の、これでやりなさいというふうに受けとめておきたいと思います。また、それは、状況に応じて私どもの方で判断して、評価をお願いすることもあるかもしれないということだろうと思います。

 長柄部会長 

   それでは、もとの審議結果の取りまとめのたたき台に戻りまして、この文章を読まれた方が、我々はある程度わかるにしても、この文章を、この場に参加されていない方もわかるように、説明的なことを入れるとか、よくわかるようにするということは是非したいと思います。
   それから、先ほど上杉先生から出ましたような疑問にもちゃんと答えられるようにして、こういうことにしたいと思うんですが、次回は8月22日でございますので、ちょうどお盆の真ん中くらいになりましょうか。8月15日ごろまでに、全く違うかどうかわかりませんが、この部会の審議結果案を作り直しまして、皆様方に事前に、1週間ぐらい前に配付したいと思います。それについてあらかじめコメントをいただいて、また直した上で、22日の部会には出したい。つきましては、きょうは7月の末ですが、あと1週間くらいの間に、こういう事項は必ず報告書に盛り込んでほしいという、ここに書いてあるような趣旨のことは触れると思いますが、ここに書いていないような趣旨のことで、是非この報告書に盛り込んでほしいという項目がございましたら、あと1週間くらいの間に、事務局の方にこういう項目、こういう項目を報告書に盛り込んでほしいということを申し出ていただけないでしょうか。きょう欠席の委員もいらっしゃいますので、欠席の委員からもそういうことを求めまして、8月の初めごろには、皆様方からのこういう項目、こういう項目というのを全部いただきまして、それを事務局と私が責任を持って、ちゃんとわかるような文章にしまして、15日ごろまでに先生方にもう一度お配りする。それに対してコメントをいただいて、22日に成文した上で出したい。こういうふうな進め方にさせていただきたいと思うんですが。
   事務局の方も、そういうことで、きょう欠席の委員もいらっしゃるので、きょうおいでになる委員も含めて、もう一度ファクスか何かでその趣旨を徹底していただいて、あと10日か1週間くらいの間に項目だけいただいて、それを整理して文章にして、8月中ごろにお配りすると、こういうふうなことで、このたたき台から報告書に持っていきたいと思うのでございますが、よろしゅうございますか。

 斎藤(宇宙開発事業団) 

   先ほど部会長の方から、来年度の要求に関して、宇宙開発事業団から新規は全くないとお話がございましたんですが、ちょっとコメントだけさせていただきたいと思います。今年、予算要求がかなりイレギュラーになっておりまして、現在、どういう状況に仕上がるかがある意味で非常にわからないという状況で、もちろん現在、研究である程度やっている部分がございます。ただし、先ほど御議論ありましたように、3ページ目の2のところにどこまでのことをここに書き込むのか。以前の私の理解では、研究だと50億を超えたり、プロジェクトの規模だと200億を超えるものについてはきちっと書き込んでというお話がございまして、そうすると予算とリンクしてくるところがございまして、予算要求の中である規模を超えるときちっと御説明をして、評価をいただくというサイクルに入るとなると、3ページのその下に書いていただかないといけないのかなとも思うんですが、冒頭申し上げましたように予算がまだ見えないという状況の中で、今、どれとどれをというのは、もちろん候補として調整はあるんですが、まだ見通しがかなり灰色ということもあって、ちょっとそこだけコメントをさせていただきたいと思います。ただし、予算が非常に厳しいということもあって、まだ我々としても確実にこうだと言える状況ではないとは思っておりますけど。

 長柄部会長 

   先生方にちょっと言い忘れたのは、むしろマイナスの新規でございまして、マイナスの新規って変ですけど、今、斎藤理事が、今年の予算は、私も伺っていますと非常にイレギュラーなことになっていまして、選挙が終わらないとさっぱりわからないようなんですが、従来ですと、今ごろの季節には大体予算がこういうことになりそうだということがわかっているわけですが、今年は全くわからない。特に、一般に言われていますように特別枠はないとか、マイナスシーリングだろうとか、3兆円の国債を減らすとかということになりますと大変な姿になりまして、今まで主として宇宙開発事業団の説明では、当初ございましたように、新規はなくても来年度は200億円くらい増額になる。従来の計画を計画どおりやろうとすると二百何十億かの増額になるという説明があったと思いますが、むしろそこはマイナスになる可能性が非常に高いとなりますと、マイナスの新規って変ですけれども、既に平成何年度にはこういう衛星を作って、ちゃんと打ち上げますという計画が延びるとか、縮小するとか、物によっては中止になるとか、こういうものが出てくる可能性がかなりございます、多分。かなりといいますか、予算によりまして。これが、計画の非常に大幅な変更ということが、プラスの変更じゃございません、マイナス側の変更がかなり出てくることが予想されます。予算枠が決まるのが、多分8月10日前後で、実際に答えを出さなきゃいかんのが12、13日ということで、多分3日とか4日の勝負で、実はお断りしなきゃいけなかったのは、3日か4日で相当プロジェクトを遅らせたり、縮小したりなんかしなきゃいかんという組みかえの作業が入ってこようと思うんですが、従来はそういうことは7月にわかっていましたので、従来はこの計画・調整部会にお諮りして、いろいろ意見をお聞きした上でやっていたんですけど、今年はそれがどうもできそうもない。非常に短期間の間にガラガラッと組みかえなきゃいかんという事態が起きそうでございます。そういうことで、そのガラガラッとした組みかえとかいうことにつきましては、井口委員長とも相談したんですけど、この部会は、急にあす開くというふうに開くわけにまいりませんので、NASDAなんかと相談しまして、宇宙委員だけで、多分8月10日前後だろうと思いますけれども、お任せ願いたいと。その結果につきましては、次の部会に、その理由もつけて御報告したい。そういうことでお願いしたいと思います。
   そういう意味で、斎藤さん、むしろマイナスの新規はあるんですけれども、プラスの新規はあり得ないと見ているんですが。

 斎藤(宇宙開発事業団) 

   マイナスの方は、おっしゃるように、いずれにしても何らかの対応が必要なんですが、同時に、組みかえとか、いろんな話とか、当然ありますので、そういう意味で3ページ目の下にどこまで、どういうふうに書くのか、そこが現時点よくわかりませんので、そういうのもあり得るということで御了解いただければと思います。

 長柄部会長 

   そこは御相談したいと思いますが、どういうものが新規かというような説明も書き入れて、読まれる方がわかるようにしたいと思います。じゃ、そういうことで本件、今後詰めさせていただきますので、よろしくお願いします。
   それでは、最後の議題でございますけれども、簡単に「宇宙開発に関するプロジェクトの評価指針」、きょうは栗木先生がいらっしゃいませんので、事務局の方で説明していただきますが、これは上杉先生がメンバーだったですね。じゃ、事務局の方で説明願います。

 金子(事務局) 

   お手元に資料、計画7−5−1「宇宙開発に関するプロジェクトの評価指針」と、計画7−5−2のA3の横紙で「宇宙開発に関するプロジェクトの評価指針のポイント」というものがございますが、評価指針につきまして、ちょっと長いので、そのA3の横紙で説明したいと思います。
   平成13年の2月から評価指針を決めるための特別部会を開催しまして議論を続けてきた次第ですが、7月18日の宇宙開発委員会で、この評価指針について御承認いただいております。
   内容についてですが、そのポイントの図で、上の方に「評価指針の位置付け」ということで、位置付けと評価指針の対象が書いてございます。基本的には、この評価指針は、宇宙開発委員会が、宇宙開発事業団の実施するプロジェクトの進行管理に対する評価を実施するための共通的な考え方を示したものです。それから、個々のプロジェクトによって位置付けが若干異なるために、さらに、その個々のプロジェクトに対応するために事前評価実施要領を定めることが、また別途必要となります。
   この対象ですが、宇宙開発プロジェクトのうちの大規模で、本文の方には、一応総開発費200億、あるいは地上研究で50億を超えるものというふうに記述されていますが、そのような大規模なものに対して評価するというものでございます。
   その下に基本的考え方が書いてございます。1つは、開始、選択、方向及び終了に関する決定を行うための基礎となる情報の提供ということです。2番目に、科学技術的、社会的及び経済的観点から、プロジェクトの貢献度を把握し、その実施のためのコストとそのリスク及び効果を評価する。3番目に、評価の実施により、国民に対して開かれた透明性の高い宇宙開発を実施。原則として、国民に対して開かれたということで、なるべく公開ということですが、一応、知的所有権の保護の観点から、一部その内容については非公開となることもある。ただし、評価結果については必ず開示するということになっております。
   それから、その下ですが、基本的に評価の時期も含めて、どのような種類のものがあるかというものを書いてございます。大きく3つありまして、事前評価、中間評価、事後評価という3つのカテゴリーがございます。事前評価は、括弧で(企画立案フェーズから実施フェーズに移行するまで)と書いてございますが、先ほどの本文の図でかいてありましたように、基本的には、いわゆる開発着手の前に行うものであるというものです。目的は、意義や目標の妥当性を判断するもの、それから基盤技術の成熟度、システム選定、リスク管理及び実施体制が適切かどうかというものを評価するものです。評価項目としては、その右側に書いてございますaからhのようなものを評価項目としてあります。
   それから、2番目の欄の中間評価でございますが、これは実施フェーズ期間中ですが、環境条件が大きく変わった場合に、このような中間評価を行う。研究開発がマイルストーンどおり実施されているかどうかを確認するものです。その環境条件の変化とは何かということですが、実施着手前評価での前提条件が妥当でないことが判明した場合とか、何らの原因でスケジュールが大幅に変更になったとか、そういうことを指しています。この中間評価においては、中間評価の時点において、それまでに研究開発で行われたコストが多大であったとしても、プロジェクトの大幅な変更や中止を判断します。
   それから、最後の事後評価ですが、これは、プロジェクトが終了後に評価するものです。目的としましては、プロジェクトの達成度を判断して、その成果の今後の研究開発計画への影響や波及効果について判断するということです。これらの評価結果は、将来計画にフィードバックすることが重要であります。その評価項目ですが、1つは成果ということで、そのプロジェクトの成果です。これには、アウトプットとアウトカムという2つカテゴリーがあると思うんですが、例えば橋の建設などを考えた場合に、橋そのものを無事にちゃんと建てた。そういうのはアウトプット。その後、その橋を建てたんだけれども、そこを通る車とかそういうものはあまりないとか、それが多くて非常に役に立ったとか、そういうのがアウトカムということで、その両者についてここでは評価することにしております。あと、成否の原因に関する分析、スピンオフ等の波及効果、それから効率性、これはできるだけ定量的に評価するということを目指しています。
   あと、右に、留意事項ということで7つあります。基本的には、7番目に「本指針の見直し」と書いてありますが、指針の有効性の検討をさらに継続して、必要に応じて見直しを行っていくことが大事であると考えます。
   以上です。

 長柄部会長 

   上杉先生、何か追加されることございますか。

 上杉特別委員 

   いえ、特にございませんけれども、ちょっと別なあれでよろしいでしょうか。中間評価のところで、環境条件の変化の説明がa、bと書いてあるんですけれども、aのところ、「前提条件が妥当でない」というのがちょっと意味がわかりにくいんですが、普通に考えると、環境条件、例えば今も議論されていましたけど、突然、予算を削減しろと言われた。これも大きな環境条件の変化だと思うんですが、それは前提条件が妥当でないというのには当たらないと思うんで、このaの意味がよくわからない。前提条件が変化したとかいうことならわかるんですけど、妥当でないというと、やっている方が悪かったというようにも見えるんですが、これの意味はどうなんでしょうか。

 金子(事務局) 

   確かに前提条件が変化したということだと思います。そう認識しています。

 上杉特別委員 

   妥当でないというと、妥当でないような気がする。

 長柄部会長 

   本文では、環境条件が当初から大きく変わって、プロジェクトの目標の妥当性がとありますが。

 上杉特別委員 

   ああ、そういう意味の変化。

 長柄部会長 

   妥当性がおかしくなってきたという場合ですね。
   本件につきまして何か質問ございませんでしょうか。

 澤岡特別委員 

   この評価指針特別部会は、この報告書を出して、これで解散されたわけですか。

 長柄部会長 

   そうです。冒頭に申しましたように、宇宙開発委員会が物事を判断するときに使う指針でございます。それで、先ほど言いましたようにインターネット衛星とか、先ほどのH−2Aの増強型、これはやるとしたら中間評価かもしれませんが、そういうものが最初のケースになるのじゃないかと思います。その際は、多分、この部会の中に、多分ですけれども、この部会の中に何とか何とかプロジェクト評価小委員会か何か設けまして、この指針を適用して審査していただいて、この部会に報告していただいて、そのプロジェクトをゴーにするか、ノー・ゴーにするか、また路線変更するかという判断に使われるものと考えております。
   よろしゅうございますか。それでは、どうもありがとうございました。

 冨田特別委員 

   済みません。1つ。大規模な宇宙開発プロジェクトということから、こういうことはあまりないと思うんですが、宇宙開発事業団が中心になってこの開発を行うのが適切かどうかというような、そういう評価はないんでしょうか。例えば、これは民が中心になってやるべきだとかということはないか。大規模ということからあまりないかもしれませんが。
   それからもう一つ、その後で市場に移す、つまり商品に移すということを考えると、例えば市場性とか、このものの持っている戦略性みたいのを考えなきゃいけない。評価の基本的考え方のところに「科学技術的、社会的及び経済的観点から」とありますけど、これに市場性のようなものを入れる必要があるんじゃないかと思うんですが、これはいかがでしょうか。

 長柄部会長 

   本文にどう書いてあるか、私、存じませんけれども、個々のプロジェクトについて、これは標準的なものでございますが、産業に近いようなプロジェクトならば当然そういうことを入れなきゃいかんだろうと思いますし、また、それが科学的なプロジェクトだったら、ここで書いてあってもあまり考慮しないものもあると思いますし、ですから、これは標準的な指針でございまして、個々のプロジェクトの性格によって考え方が変わるというふうに私は思っていますが、上杉先生、そういうことでよろしいですか。

 上杉特別委員 

   市場性とおっしゃっているのは。

 冨田特別委員 

   例えば衛星とかロケットですね。衛星のサイズだとか、機能だとか、商品に移すとした場合ですね。

 上杉特別委員 

   それは、これで読めるんでしょうか。8ページのところに、「評価項目」「成果」というところにあると思いますけど、いわゆるアウトプットというのは直接のものでございますね。こういう成果がありましたとか、具体的にこのミッションでこういうことができます。アウトカムと言っている効果といいますか、それが、これが将来市場性を持ち得るというような意味だと理解しているんですけど、そういうこととは違いますでしょうか。

 冨田特別委員 

   今言われたのはどこでしょうか。

 上杉特別委員 

   本文の8ページの一番下の「評価項目」のa「成果」というところですね。市場性というのは、だからアウトカムということかなというふうに理解しておりますけれども。

 冨田特別委員 

   ただ、言葉として入っていた方がいいかなと。つまり、この前のときにもそういう話をしましたが、産業化ということを今後考えていきたいというようなお話もありましたけど、産業化というようなことを考えたときに、「マーケット」とかそういう言葉をどこかに入れていただくのがいいんじゃないかと思ったんですが。

 上杉特別委員 

   どうなんでしょうか、申し上げていいのかあれですけど、301条との関係もございますから、あまり商業的だと。これはあくまで国がやることに対して、それだけの金を投資してやるべきか否かという、それを国民に説明するかという意味の評価でございますので、市場性、それが商売になるかどうかというようなことが、ここに適切なのかどうかというのはちょっと疑問があるか、あるいは、商業衛星を国が開発するわけではありませんで、その辺がちょっと微妙なんじゃないかなという気はいたしますけど、いかがでしょうか。

 冨田特別委員 

   ただ、例えば宇宙ステーションのようなものは、最初は商業的なものとして開発されないんですけど、だんだん商業的なものもこれでやっていこうというような話も出てきていますね。ですから、最初から、先どうするかというようなことも考える必要があるんじゃないかと思います。

 上杉特別委員 

   それはこの評価にかからないんじゃないですか。宇宙ステーションのそういう商業的なミッションというのは、この評価に。

 斎藤(宇宙開発事業団) 

   私は、そんなことは当たり前なことで、だから書かなかったんだと思いますけど。投資に対するリターン、それをちゃんと見ましょうというのが基本的な考え方だと思います。ただし、サイエンスや何かになりますと、そういう観点とは違った見方をしなければいけないだろうと思いますけど、しごく当たり前なことだろうと思います。

 冨田特別委員 

   ただ、私が心配するのは、全般的に技術ということが中心になっちゃって、例えば産業とか商品化とか、そういうことが二の次になってきて、それで、後で産業にそのものを渡すというような、そういう姿勢が出てくるのをちょっと心配しているんですね。ですから、初めからそういうことを考えるべきじゃないかと。

 斎藤(宇宙開発事業団) 

   もちろん当然の話で、したがって、もしこれに欠点が出てくるようであれば、この大きな最後のやつも、一番右下に「本指針の見直し」とありますから、そこで御注意ください。当然そうでなければ、私は納得しません。まあ、私がすべて決めるわけじゃありませんけど。

 長柄部会長 

   多分、読みようでしょうけど、5ページの「基本設計要求の妥当性及びシステムの選定」というところで、システムレベルの選定がどうだとか、コストとの関係がどうとかありますので、産業にある程度ねらいが近いようなものは、そういうところで評価するんだと思います。きょう、これを作成された部会長の栗木先生がいらっしゃらないので、私では何とも言えない。

 五代委員 

   本文の2ページの下から3分の1ぐらいのところですか、真ん中のちょっと下、「経済的」、その中の括弧にずっと入っていますよね。国際競争力とか、もちろん技術の話は当然のことなので、先ほど委員長もお話しありましたけど、こういうところから一番基本の中に入っていると見ていいんじゃないでしょうか。

 長柄部会長 

   よろしゅうございますか。

 松野特別委員 

   同じことを繰り返し伺って恐縮ですが、これは、先ほどのISASのものには適用されるものではないんですね。

 長柄部会長 

   はい、そうです。これは、要するにNASDAのかなり大きなプロジェクトに適用するために作ったものでございます。個々の項目等について、佐藤先生の方でもある程度参考にして、今回の事前評価はしていただいたというものでございます。

 松野特別委員 

   それで、ちょっと済みませんが、前後して恐縮ですが、さっき取りまとめの話で、金銭の話がありましたが、まさに200億超えていますが、さっきの課長のお話で十分理解できなかったんですが、ここでオーケーというようなことというか、価値あると言ったのは、200億円出す価値があるという判断をしたのか、それとも、そうでないのかというのはちょっとわからないんですけど。だれがそれを決めるのかもちょっとわからないんですが。どこかで、さっきの指針とか何とかで、とにかく税金を使ってやるときには、本当にそれだけの学問的価値にせよ何にせよ、そういう価値があるということを確認してというのがあると思うんですが、それを代行したんでしょうか。

 長柄部会長 

   ここの部会ないし佐藤先生の小委員会で検討しまして、これは200億円投じる価値は十分あるものですよということをこの場で決めて、それを参考に文部科学省が予算要求されると。あくまで決められるのは文部科学省です。ここは意見を言うだけでございます。

 松野特別委員 

   第三者というか、外部的な評価を受けるべしというルールがありますね。その外部的というか、第三者的な評価であるんですか、これは。

 長柄部会長 

   そういうことです。

 松野特別委員 

   はい、わかりました。

 長柄部会長 

   それでは、先ほどの宿題でございますが、たたき台の方につきましては、先ほど言いましたような手続で進めさせていただきますので、1週間以内くらいに、こういう項目を追加してほしいとかいうのは多分あろうかと思いますが、御連絡願いたいと思います。これは、きょう出席されていない委員にも別途またお願いいたします。
   それでは、本日はどうもありがとうございました。
   次回は8月22日の午前でございます。よろしくお願いします。

――了――





(研究開発局宇宙政策課)

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