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宇宙開発委員会

2001/07/18 議事録
宇宙開発委員会 計画・評価部会(第6回)議事録


宇宙開発委員会 計画・評価部会(第6回)議事録

1.日時 平成13年7月18日(水)
  10:00〜12:41

2.場所 経済産業省別館10階T28会議室

3.議題 (1) 通信・放送・測位全般について
  (2) ETS−8について
  (3) 超高速インターネット衛星について
  (4) 総務省の取組みについて
  (5) その他

4.資料 計画6-0-1 宇宙開発委員会計画・評価部会(第4回)議事録
  計画6-0-2 宇宙開発委員会計画・評価部会(第5回)議事録(案)
  計画6-1 通信・放送分野の活動状況
  計画6-2 技術試験衛星8型(ETS−8
  計画6-3 超高速インターネット衛星について
  計画6-4-1 総務省における宇宙開発の取組みについて
  計画6-4-2 独立行政法人通信総合研究所における宇宙通信関係のアクティビティについて
  計画6-4-3 独立行政法人通信総合研究所電磁波計測部門の宇宙関連ミッション−電波と光の幅広い活用を目指して−

5. 出席者
     部会長長 長柄喜一郎
     宇宙開発委員 井口雅一(委員長)、栗木恭一、五代富文
     特別委員 上杉邦憲、大島まり、黒川清、澤岡昭、鈴木敏夫、高柳雄一、冨田信之、中西友子、松野太郎、宮崎久美子

6.議事内容

 長柄部会長 

   それでは、定刻になりましたので、第6回の計画・評価部会を開催したいと思います。本日も、大変暑いところ、先生方お集まりいただきましてありがとうございます。
       本日は、通信・通信・測位について審議を行うことになっております。それで、宇宙開発事業団から担当の古濱理事にもおいでいただいております。
    議題に入ります前に、お手元の資料を確認願いたいと思います。もし欠けているものがございましたら、事務局の方に申し出いただきたいと思います。
    お配りしています資料の計画6−0−1は第4回の議事録でございますが、これは確定版でございます。それから、計画6−0−2という資料は前回の議事録(案)でございまして、お読みいただきまして、修正意見等がございましたら、事務局の方まで来週中に御連絡願いたいと思います。次回には確定版を配付したいと思います。
    本日は、宇宙開発事業団から最初に通信・放送・測位についての活動の現状ないし今後の計画等について伺った後で、総務省、旧郵政省でございますけれども、の取組みについて説明を伺いたいと思っております。各先生方の積極的な発言をお願いしたいと思います。
    黒川先生は今回が初めてでございまして、専門なり関心事なり、自己紹介を簡単にお願いします。

 黒川特別委員 

   黒川と申します。東海大学の医学部長をしておりますが、今、学術会議の方も担当させられておりますが、専門は内科ですけれども、特に私の専攻するところの研究の対象は、腎臓とか骨とかの問題をやっておりまして、グラビティの問題、その他について前々からNASAの人たちとも少しヒストリーがないわけではありませんので、そういうところで少しお手伝いさせていただければと思っております。
    それから、ライフサイエンスの部分も担当させていただいております。よろしくお願いします。

 長柄部会長 

   ありがとうございました。
    それでは、最初に宇宙開発事業団から通信・放送・測位全般についてお伺いしたいと思います。なお、通信・放送の中でETS−8計画と高速インターネット衛星計画につきましては別に説明を行いますので、この2つのプロジェクト以外について御説明願いたいと思います。

 片木(宇宙開発事業団) 

   おはようございます。宇宙開発事業団衛星プログラム推進部長をしております片木と申します。よろしくお願いいたします。
    それでは、お手元の資料に従って御説明いたします。通信・放送分野の活動状況ということでございます。
    通信・放送分野の活動につきましての御説明内容ですけれども、1番目、活動概要、2番目、事業展開という2つの大きな項目に関して、1番目につきましては活動目的、それから過去の概要、これまでの成果の概要、そして、それを実施しております衛星総合システム本部の体制について御説明いたします。それから、2番目の方で今後の技術開発シナリオ、そして今後の衛星プロジェクトについて御説明いたします。
    通信・放送分野の活動目的ですけれども、社会経済への貢献を果たすという、これは中長期戦略、あるいは基本計画に位置づけされておりますけれども、それを目的といたしまして、同報性、広域性、耐災害性、大容量データ伝送等の点での特徴を生かした情報通信環境の実現及び次世代システムの研究開発を行っております。とりわけこれからは高度情報通信インフラという課題を持ちまして、衛星移動体通信・放送、それから測位要素技術及び超高速大容量衛星通信技術の着実な開発というところに力点を置いていきたいと考えております。
    過去の活動の変遷になりますけれども、大きく3つに区分できるかと思います。1番目が、草創期といたしまして1969年から80年までの10年間、この時期は、CS、BSシリーズを通じてですが、実用のための技術導入を図ってまいりました。一方、並行して、自主技術を獲得するための技術試験衛星と呼ばれるもの、このシリーズ化を図って国産技術、自主技術の立上げを行っております。次の10年間が、1980年から90年ぐらいの約10年間ということで、この時期にはCS、BSシリーズにおける国産化率の向上、あわせてETSシリーズによる衛星基盤技術の習得ということを行ってきております。そして、最後の10年間ですけれども、自主技術の確立・発展、ETS−6による純国産2トン級の大型静止衛星の開発を通じて自主技術の確立を図ってまいりました。また、外的な環境から、具体的にはスーパー301条ですけれども、実用分野から研究開発分野の衛星へ事業の移行を図ってきております。その中で、ニーズの多様化に対応した開発ということで、衛星バス技術の開発、コスト低減、民間への技術移転というようなことを図ってまいりました。
    これまでに打ち上げられました人工衛星につきまして一覧表を示してございます。草創期、自立期、展開期、それぞれ草創期がETS−12、それからESCの段階まで、自立期がETS−Wから5まで、そして展開期がETS−6というような、それぞれの10年間でこのような衛星を開発してまいりました。
    これまでの成果概要に移りますけれども、技術試験衛星ETSを通じまして、ここで御説明するのは通信・放送分野に関連した技術試験衛星ですけれども、ETS−2を打ち上げました。これは、10年間にわたる電波伝搬データを取得しまして、国際的にも大きく貢献しております。それから、技術試験衛星5型でございます。洋上の航空機、小型船舶等の移動体通信需要への対処、航空官制の合理化、安全性の向上を目指す移動体実験機器を開発、その実用化に大きく貢献をしてまいりました。そして、技術試験衛星6型でございますけれども、高度衛星通信のための技術を開発し、実施いたしました。まことに残念なことに、ETS−6につきましては静止軌道に投入することはできませんでしたけれども、超楕円軌道の軌道上でいろいろな実験を行っております。
    御説明をちょっと省略いたしましたけれども、それぞれの衛星でいろいろな国の機関との共同の開発を実施してきております。
    実験衛星ということでISS、ECS、EGSがございます。
    まず、ISSですけれども、電離層等の観測データを世界規模で取得いたしまして、海外通信等に必要な電波予報の改善に大きな役割を果たすとともに、超高層物理学の分野にも貢献しております。
    それから、ECSですけれども、将来の増大する通信需要に対処するためにミリ波帯中継器を開発いたしまして、電波の伝搬特性を確認するための実験機器を開発いたしました。この2つの衛星、ECS、ECS−bも、まことに残念なことにアポジモーターを点火したところ衛星を喪失してしまいましたので、いわゆる軌道上のデータは取得することができませんでしたけれども、地上における開発を通じて得られました成果は、後続するCS−2以降の通信衛星に引き継がれております。
    それから、EGSでございますけれども、国内測地三角網の較正、離島位置の決定、日本測地原点の確立などに貢献してございます。
    最後にCS、BSシリーズですけれども、CS、CS−2a、CS−2b、CS−3a、CS−3bを通じまして、Kaバンドにおける衛星通信を世界で初めて開拓いたしまして、実用化に貢献いたしております。それから、増大かつ多様化する通信需要に対処するとともに、我が国の衛星通信の基礎を築いております。それから、BSの方ですけれども、BS、BS−2a、BS−2b、BS−3a、BS−3bを通じまして、世界で初めて直接衛星放送サービスの実用化に貢献しております。
    こういう通信・放送に関する衛星の開発及びその運用を担当しております本部ですけれども、衛星総合システム本部の体制は、御覧のような体制となっております。山之内理事長のもと、古濱理事が本部長といたしまして、その下にいくつかの部、センターがございます。そして、同じようにいくつかのプロジェクトがここにつながっております。現在、通信・放送に関しましては4つのプロジェクト、ETS−8、DRTS、OICETS、それと超高速インターネット衛星プロジェクトを実施中であります。
    今後の技術開発シナリオですけれども、前の方は省略させていただきますが、ETS−5、ETS−6、COMETS、ETS−8というように、移動体通信分野ではこれらの衛星を使って技術の蓄積を図ってきております。それから固定通信につきましても、ETS−6、COMETS、DRTS、それと超高速インターネット衛星へとつなげてきております。光通信につきましてはETS−6が最初で、その後にOICETSというものが現在開発中であります。放送衛星につきましては、COMETS、ETS−8で技術の蓄積を図ってきております。測位はETS−8でこれから打ち上げる衛星が初めてになっております。
    参考までにADEOSとかALOSも下の方につけ加えておりますけれども、これらによって蓄積された技術が、最終的にといいますか、当面の最終ですけれども、どういうところに持っていくかということなんですが、一番右の方に書いてございますように高度情報通信社会の実現に向けて、これらの技術が必ずしも事業団単独ではなくて、いろんな機関と共同して、あるいは民間との整合といいますか、すみ分けを図りながら最終的に高度情報通信社会の実現に向けて必要な技術の蓄積を図ってまいりたいと考えております。
    それでは、今後の衛星のプロジェクトですけれども、OICETSがございます。今年度打上げを計画しておりますが、重量約570キロ、軌道が600キロの円軌道でございます。ミッションですけれども、欧州宇宙機関の先端中継技術ミッション衛星(ARTEMIS)との間で捕捉追尾実験を行うことによる光衛星間通信に必要な捕捉追尾技術の修得を図ることを目的としています。
    ちょっとお断りといいますか、補足的な御説明を申し上げますと、ARTEMISは先週の金曜日、日本時間で朝6時58分だったと思いますが、打ち上げられたんですけれども、残念ながら静止トランスファー軌道に投入することができませんでした。現在、ESAがこれのリカバリー計画を立てておりますので、そのリカバリー計画の推移を見守りたいと思っております。
    その次にDRTSですけれども、これは衛星間中継のための衛星ですけれども、それぞれ2002年度の打上げ、それから、DRTS−Eの方は2004年度の開発完了を目指して現在開発中でございます。重量が、打上げ時に約2.8トン、静止軌道上では1.5トンになりますけれども、ミッション実験ですが、Sバンド、Kaバンドを用いた実験対象宇宙機、実験対象宇宙機と申しますのは、ここではADEOS−2、ALOS、それからJEMを想定しておりますけれども、データ中継の実証実験を行うことを目的とした衛星でございます。
    ETS−8は、先ほど御紹介ありましたとおり、この後で個別の報告がございますので、ここでの説明は省略させていただきます。
    同じように超高速インターネット衛星がございますけれども、これにつきましても後ほど個別の御報告がございますので、ここでは御説明を省略させていただきます。
    御説明は以上です。

 長柄部会長 

   ありがとうございました。ただいま片木さんから通信・放送全般についての過去の歴史、現状について報告がございましたが、何か質問ございますでしょうか。

 澤岡特別委員 

   ESAのARTEMISが、しばらく相手がないとなると、上がった後やることがないというか、そのあたりはどういうことになるんでしょうか。

 片木(宇宙開発事業団) 

   まず初めに、ESAの方のARTEMISのリカバリーといいますか、どういう軌道に最終的に落ちつくかということの推移を見てみたいと思います。ARTEMISは必ずしも衛星そのものを失ったわけではなくて、衛星の状態は正常というふうに聞いておりますので、その結果を待ちたいと思います。
    それから、もう一方、OICETS自身ですけれども、例えば恒星をターゲットにした姿勢制御実験ですとか、あるいは地上におきます疑似衛星局との間の交信実験ということで、その開発したものの軌道上でのデータ取得といいますか、実証も可能ですので、そういうことも含めて、ARTEMISの方のリカバリーの計画を見ながら、また、そのときの事業団の環境も踏まえて検討していきたいというふうに思っております。

 澤岡特別委員 

   初歩的な質問なんですが、相手が静止衛星の場合ですと、こちらが600キロのところを比較自由に動いていても、ねらいは定まると思うんですが、相手が静止状態にいないときは追いかけるのが大変だと思うんですが、そのあたりは追いかけられるものなんですか。

 片木(宇宙開発事業団) 

   お互いが静止ですと、確かにそのような感覚になりますが、こちらは600キロのところで回っておりますので、OICETSとしては姿勢が常に変わります。結果として相手側の衛星の軌道が静止軌道であろうが、あるいは楕円軌道であろうが、相手側の軌道の決定値が精度がよければ、特に交信実験に差し支えがない。つまり静止軌道上での姿勢決定位置、姿勢決定精度が同じように保たれるのであれば、光通信実験には特に支障はないというふうに考えております。

 長柄部会長 

   ほかにどなたか。ございませんか。それでは、どうもありがとうございました。
    それでは次に、技術試験衛星ETS−8の開発の経緯なり現状ないし今後の計画について本間プロジェクトマネージャの方から説明願います。

 本間(宇宙開発事業団 

   おはようございます。宇宙開発事業団のETS−8プロジェクトマネージャの本間です。現在の衛星の開発状況及び今後の予定について御報告します。
    初めに、ETS−8の意義・位置付けですが、基本計画にも述べられておることの引用になっておりますが、衛星の通信放送の特徴を生かして効率的な情報通信環境の実現を目指すという一連の計画の中で、高度情報インフラとして移動体の通信・放送及び測位要素技術の開発を行うというのがETS−8の意義・位置付けになっております。この目標をブレークダウンして、次の計画の概要でもう少しブレークダウンして御説明します。
    先ほどの目標を達成するための技術開発を書きますと、ここの4項目になります。順番からいいますと、移動体は、携帯端末、いわゆる携帯電話と同じぐらいの非常に小さな端末で衛星との間で通信ができるようにする。あるいは、高音質な放送をするというのがエンドミッションというふうに考えておりますが、これを実現するためには、衛星側はハイパワーであるということと、もう一つは、衛星側のアンテナを非常に大きくする必要があります。地上側のアンテナを小さくすると、それに見合った分だけ衛星側のアンテナを大きくする必要がありますので、世界最大あるいは最先端の大型展開アンテナ技術を開発いたします。こういうようなものを支えるためには、衛星のバス技術と呼んでおりますが、非常に大きな電力とか、非常に高精度な姿勢制御などが求められますので、3トン級の静止衛星バスを開発いたします。例えて言いますと、人工衛星もカメラと似ているようなところがありまして、衛星バスは、どちらかというとカメラのボディみたいなものでして、こちらのアンテナとか放送ミッションは、ちょうどカメラのレンズみたいな、そのようなアナロジーが言えると思います。ですから、ETS−8はこういうミッションに対応するバス技術を開発しますが、バス技術自体も、その次のいろいろなミッションに対応可能な発展性を持たせたような技術もこのバス技術の中に入れております。それからもう一つは、測位システムの高度化を目指した基盤技術ということで、原子時計を積みます。現在、測位は、御存じのとおりGPSが働いておりますが、GPSの軌道は1日12時間の軌道、高度が1万6,000キロメートルぐらいだと思います。それで、静止軌道上に原子時計を置いて、もしそれが測位システムに有効に働くならば、将来の測位衛星システムの衛星の機数を大幅に減らすことができるのではないかということで実証します。というのは、GPSも、測位衛星というのは地上から見て同時に4個の衛星が見れると、自分の位置がわかります。低い軌道を回っていますと、たくさんの衛星を打ち上げて、常に見れるようにするんですが、静止衛星ですと、非常に広いエリアをカバーできますので、そういうようなことが本当にできるかどうか。測位の技術というのは、数学上はできるんですが、さまざまな誤差の積み上げになりますので、実際にここでETS−8で試してみます。
    次。今申し上げたのを、衛星の運用という点から見てちょっと絵で御説明しますと、まず、非常に大きなアンテナを持った衛星を静止軌道に上げまして、地上では、例えばこちら側は携帯電話、あるいは地上の携帯電話のネットワークが届かないような非常に離れた島だとか山の中でも同じように通信ができます。あるいは、災害のときに地上のシステムが落ちたときには衛星の特徴を生かして行います。あと、音声のほかにデータ通信も可能ですので、少し端末を大きくすると大量のデータ通信ができます。あと、放送。あとは、実験としての測位の実験を行います。
    ETS−8は、今御説明しましたようにいろいろと開発項目が多岐にわたっておりますので、昨年の宇宙開発委員会のETS−8分科会で達成度に基づく評価基準が設定されておりますので、それを御紹介いたします。先ほどの開発項目に並んで、バス、測位ミッション、展開アンテナ、通信・放送ミッションに対してレベル1、2、3、4。それから、それのミッションの比重といいますか、全体を100%としたときの配分、それが30、10、30、30というふうに設定されまして、我々、衛星を開発する立場からしますと、こういうミッション達成度、あるいは比重づけを念頭に置いて開発の力点の置き方とか、あるいはリスク管理の仕方等に反映して今作業を進めております。
    これが、現在時点でのETS−8の概観図であります。諸元はこちらに書いておりますが、質量として静止軌道上で3トン、それから電力等があります。あと、打上げロケットはH−2Aロケットの増強型であります。それから、一番特徴的なのは、形としては大型アンテナがあります。でこぼこしていますが、楕円形みたいな形になっていまして、ここからここまでが19メートル、こちら側からこちらまでが17メートルになっております。面積からいうと、テニスコートと似たような面積になりますが、それで、この絵でいいますと、上に地球がありまして、地球から携帯電話みたいなもので電波が来ますと、この大きなアンテナで受けます。こちら側が受信用のアンテナになります。このアンテナで弱い電波を集めまして、中で、例えば電話交換機みたいな装置を通したり、あるいはパワーアップして、今度、こちら側が送信です。ここからまたハイパワーで出して地球に戻します。衛星全体としては、太陽電池パドルも非常に大きくて、この端から端までが40メートル、それからアンテナの端から端までもほぼ40メートルあります。40メートル×40メートルぐらいです。それから、「衛星本体」と書いてありますが、ここにいろいろな機械が詰まっておりますが、ここからここまでの高さが7.8メートルになります。あとは、それぞれ測位用のアンテナとか、給電部とかはこのとおりです。
    次が実施体制ですが、ETS−8は、宇宙開発事業団と移動体の通信・放送用の実験機器を開発している3つの機関、計4機関の共同プロジェクトになっております。ミッション機器の方は通信総合研究所、日本電信電話株式会社、次世代衛星通信・放送システム研究所の3機関です。例えば送信機とか受信機は、そちらの3機関で開発されたものを宇宙開発事業団の方に支給されます。宇宙開発事業団は、それ以外の衛星すべての取りまとめ、インテグレーション、運用等を行います。それから、衛星の主な担当メーカーですが、三菱電機、東芝、NECの各社にお願いしております。あと、宇宙開発事業団の組織の外側に、外部のいろいろな方のサポートとか、実験ユーザー等を集めておりますが、代表的な例としては、先ほどアンテナについてはアンテナ技術委員会を作っていろいろなことを御相談しております。それから、近々外部評価委員会を発足して、我々の作業をレビューしていただきたいと思っています。あと、打上げ後の実験については後で御説明しますが、いろんな方と今相談しているところです。
    次がスケジュールですが、概念設計。プロジェクトとして始まりましたのが1997年、約4年前ですが、4年前から予備設計、基本設計、詳細設計として、現時点では詳細設計の最終段階になっております。これまでで設計はほぼ確定して、その設計を確かめるためにいろいろな試作モデルを作っております。あるいは、もちろんサブシステムでも試作モデルを作っておりますので、それは後で御紹介しますが、現在の打上げ計画としては、2003年度(平成15年度)の打上げで衛星計画を進めております。
    次に、具体的な試作品を写真で御説明します。これはシステム電気モデルと呼んでおりますが、ETS−8の機能・性能をそっくり電気的に確認するものであります。大きさとかシステムの構成は、これから作るフライト品と全く同じものであります。この試験だけで1年少しかけましたが、おかげで電気性能としてのシステムとしてのスペックが満たされるということを確認しております。
    次が展開アンテナ。これも試作なんですが、これは、ちょうど電気性能を試験したときの写真ですが、これは7モジュールなんですが、アンテナの構造が非常にわかりやすいと思いまして引用しております。このアンテナは、ほぼ正六角形をしたモジュールをどんどん組み合わせております。この場合は7モジュールです。真ん中に六角形が1個あって、その周辺に6個あります。この1モジュールの大きさの直径が4.9メートルありますので、7モジュールだと12.5メートルの直径になります。この電気性能試験の結果でも、現在の設計でアンテナの性能は十分出るということを確認しました。ただ、実際のETS−8に積みますのは14モジュールですので、外挿が必要です。ただ、地上にはあまり大きな試験設備がありませんので、あとは解析で外挿しております。
    次に14モジュールの、これがフルですが、あまり大き過ぎて、超広角でひずんでいますが、大体こういう感じです。サイズは、先ほど言いましたように19メートル掛ける17メートルで、このモジュールが全部で14個になっております。ほとんど透けて見えるんですが、それだけこのアンテナを軽くなるように工夫しております。ちなみに、アンテナの面積1平方メートル当たりの重量は約300グラムぐらいまで軽量化していますので、この手のアンテナとしては世界的にも随分軽いと思っております。
    アンテナの話が続きますが、今御説明しましたようなアンテナは世界でだれもやったことがないアンテナですので、いろいろと地上で我々も試験とか解析をやっておりましたが、一度、実際に宇宙空間に上げて、本当に我々の設計とか試験方法が正しいのかどうかを確認しました。これは、去年の12月にヨーロッパのアリアンロケットのメーンミッションのすき間に載せてもらって、実際に宇宙空間で展開実験をしました。最初は順調に展開が始まったんですが、途中で、展開角度でいいますと、5度までは正常に開きかかったんですが、そこで止まりました。その後、ロケットから分離された直後にまた展開が始まっております。データは、普通のテレメタリーデータ、温度とか力とかに加えて、画像データも含めてすべて取得できました。非常にいろいろなことを教えられまして、これについては後でまた別途報告します。
    今までは衛星本体の話でしたが、今度は地上の実験用端末について御紹介します。現在でもNTTドコモさんでN−STARという衛星を運用しておりますが、これが参考に下に書いてあります。現在の携帯端末は大体このぐらいの大きさです。衛星をETS−8ぐらい大きくしますと、同じ音声を通信するに当たって、今の携帯電話よりちょっと大きいんですが、普通に持ち運べるぐらいの端末になります。逆に、今の音声の端末と同じようなものを用意しますと、データ通信としては、今はデータ伝送だと4.8kbpsぐらいですが、ETS−8を使うと、同じようなアンテナを使うと384kbpsですから、大体2けたぐらいデータ伝送レートを上げることができます。
    次に、現在、この資料にあるような地上の端末を試作しておりますが、こういうものを使って実験計画を立てております。実験計画は、大きく2つのカテゴリーがありまして、基本実験は、我々開発機関が実際に衛星の機能・性能をチェックするものです。大体半年ぐらいで終わると思っていますが、基本実験が終わって、機能が確認されましたら、今度は、国の内外、現在、約50機関が参加する予定でありますが、利用実験ということでいろいろな人に使ってもらいます。もちろん技術データとしてのフィードバックもありますし、それから、移動体への新しい通信の仕方もこういう利用実験の中から見出せるのではないかというふうに思っております。
    あとは、またちょっと話題が変わりますが、先ほどお話ししましたように、ETS−8は設計のほぼ最終段階で、今年の秋からいよいよフライト品を作る段階になっておりますが、これも昨年のETS−8分科会からETS−8の開発に当たっての指摘事項を幾つかいただいておりますので、具体的にどういうことをやっているかということで例としてお示ししております。指摘事項としては、リスク管理の分野、衛星バスについての分野、展開アンテナについての分野でそれぞれ指摘をもらっておりますが、例えば試験の追加とか、マージンの増加とか、従来部品からの変更についての重点的な確認等を日常の開発業務の中で進めております。
    以上が現状ですが、今後の予定について簡単にお話しします。ETS−8で開発しています技術は、急速な情報化社会に貢献するには、できるだけ早く打上げて、社会にフィードバックしたいと思っておりますが、諸般の状況変化もありますけれども、衛星としては、まずあまり影響を受けないサブシステム単位については、設計が確定したものについてから順次フライト品の制作を進めていくつもりであります。それからもう一点は打上げロケットの点ですけれども、H−2Aロケット増強型の開発状況、これは15年度に打ち上げる計画で進めておりますが、若干遅れるという状況もありますので、その辺、ロケット側の開発状況も踏まえて、今のシステム構成でそのまま行くのか、あるいは若干変更しなければならないのかを含めて、システム構成については少し幅を広げて検討して、10月ぐらいにはおおよその決定をしたいと思っております。これらの一連の作業に関しては、システムCDRというもの、設計のまとめを10月ごろに予定しておりますが、そのあたりでまとめて、外部の評価委員会に報告して審査をしていただくということを計画しております。
    あとは、ちょっとテクニカルな話になりますが、先ほど、去年の12月にアンテナの小さなモデルをロケットで打ち上げて、それからの反映を2枚のシートでまとめております。人工衛星の開発で事前に小型のモデルを宇宙に上げるというのは今回初めての経験で、いろいろなことがわかったんですけれども、アンテナに関して言いますと、ここに書いてある3つの要点、これが改善すべきことです。最初に変な振動が生じたとか、結果として、止まったのはメッシュが引っかかったんですが、これは幾何学的に引っかかりが起こらないように、今、設計変更しております。それから、先ほどのETS−8分科会の提言もありましたし、我々もLDREXのフライトデータを見て、もう少しいろんなところでマージンを増やすべきだという結論に達しまして、設計マージンに対しては増強バネを追加しております。ただ、残りの、例えば摩擦とか、もろもろの制御設計については、LDREXからのデータを詳細に分析した結果、ほぼ正しいという自信が得られたのも1つの成果ではあると思っております。
    最後ですが、参考の続きとして、じゃ、この展開アンテナを今後どうやって検証していこうかという計画を御紹介します。先ほど言いましたように、摩擦などで、要するに地上で行っている実験が、どの分野で宇宙と同じであるか、あるいは、今までやっていた地上での実験が、実際の宇宙でやってみた場合に適用し切っていないじゃないかということがほぼ明らかになりましたので、例えば先ほどの設計変更に関して言いますと、初期振動が起こらないということは、展開の最初の20秒間でほぼ決まりますので、これは実物大のモデルを飛行機に積んで、そこを繰り返し実験して検証をしようと思っております。あとは、一部の治具を改良しますが、ほぼ地上での試験で検証できると思っております。
    こういうようなことを考えまして、LDREXをやるときに、もしパーフェクトに開かなかった場合には再実験も念頭に置いていたわけですけれども、このような検討結果から、最終的には再打上げの必要はないだろうと、逆に言うと、こういう方法でやった方がむしろ十分に実証されるのではないかというふうな考え方に至っております。なお、この考え方は、先ほど実施体制でちょっと御紹介しましたが、アンテナ技術委員会の外部の先生方にもいろいろと御相談して了承をいただきました。
    ちょっと長くなりましたが、説明は以上です。

 長柄部会長 

   ありがとうございました。質問ないし御意見がございましたら、どなたでも結構でございます。

 松野特別委員 

   質問ですが、これは一度に何回線分ぐらいの通信が可能なんですか。

 本間(宇宙開発事業団) 

   音声チャンネルですと1,000チャンネルです。NTTの方に聞いたら、電話の1チャンネルというのは、加入者はおおよそ100倍、だから、1チャンネルで100人ぐらいは加入者として今募集しているらしいんです。要するに混むと話し中になるというのはそういうことだと思うんですが。ですから、仮に1,000チャンネルだとすると、これはあくまでも実験なんですが、大体10万人ぐらいが使えるかなと。これは単に紙の上の計算ですが、それぐらいの容量です。

 松野特別委員 

   当然これは試験衛星で、いずれ実際に使うということがあると思うんですが、それは一体どういう目的というか、先ほどみんな書いてありましたけど、今の電話で10万ですか、だと、そういうものとはちょっと違うことになると思うんで、ある程度限られた用途でこういうものの位置づけというか、これから先のインターネット衛星とかいろいろあるかと思いますが、その中での位置づけが考えられているのでしょうか。

 本間(宇宙開発事業団) 

   既に衛星を使った携帯電話サービスはN−STARで行われておりますから、その利用がNTTさん、あるいはほかの方が今後どうするかというのは、まだ私自身もよくわからないんですが、技術的に言いますと、これは技術試験衛星なので1,000チャンネルに、どちらかというとぎりぎり最低限のところでやっておりますが、設計上はかなり余裕を持たせております。ですから、ほとんどリスクなしに3,000チャンネルぐらいまでは行くのじゃないかと思っております。ただ、それでも30万人ですね。ですから、それで、先ほど述べましたような地上のネットワークが及ばないところを補完するというのが、もし継続して事業として成り立つというふうに判断されるならば、その基盤技術を提供できるのじゃないかなと思っております。

 松野特別委員 

   そういう意味で、イリジウムみたいな計画とは、どういうふうな違いというか、もちろん軌道なんか全然違うわけですが、考え方とか、そういう観点で違いが……。それともう一点は、日本以外、さっきの絵を見ていると日本の地図がかいてあって、そういう漫画がありましたけれども、それ以外の広い静止衛星のカバーする範囲で国際的に使うという観点はどうなっているんでしょうか。

 本間(宇宙開発事業団) 

   イリジウムとの違いは、軌道の違いというのは多分答えにならないと思いますから、この衛星の概念、要するに静止衛星を使って移動体通信をやるというコンセプトは、イリジウムはグローバルなネットワークを構成しようというのが基本的なアイデアだと思いますが、静止衛星を使った場合にはリージョナルな、例えばそういう需要があるところ、あるいは、多分携帯電話を使う人はほとんど陸の上でしょうから、静止衛星ですと、例えばETS−8ですと、日本を1機でカバーできるような設計になっておりますが、そういうリージョナルなもの。それから、もし外国で同じようなものを使いたいとしましたら、この衛星の技術は、ビームの指向方向はある程度ソフトウェアで組みかえられるようになっておりますから、例えば同じ衛星を打ち上げてインドネシアで使いたいといった場合には、ソフトウェアを変えると、それぞれの島々にビームを送れます。そういうので、どちらかというと、需要がありそうなところを重点的にサービスをするというのが、この静止衛星の特徴かと思います。逆にグローバルはちょっと苦手です。

 宮崎特別委員 

   3ページ目のプロジェクトの概要のところに「世界最大・最先端の大型展開アンテナ技術」と書いてありますが、「最先端」という言葉を使う場合、競合者が幾つかあって、その中で「最先端」という言葉を使うんですけれども、この場合は、よその国でもこういう大型アンテナを開発しているのか、していないのでしょうか。そして、していない場合、日本というか、孤立してしまっているんでしょうか。
    それから、2つ目の質問があるんですが、専門家じゃありませんのでちょっとわからないんですけれども、大型になりますと、それだけ複雑になってしまい、トラブルの起きる可能性も高くなるというふうに考えられます。例えばそういった大型のアンテナにスペースデブリが衝突する可能性も高くなりますし、ですからリスクが大きくなってしまうのではないかと思います。ですから、実用化に向けて、こういう構造やシステムが本当に実用化に向いている構造、システムなんでしょうか。

 本間(宇宙開発事業団) 

   最初の御質問に対してお答えします。こういう大型展開アンテナを実際に開発している実績は、アメリカに例があります。去年だったと思いますけれども、直径14メートルのアンテナを実際に宇宙に上げて通信サービスを始めているところがあります。ただし、通信の場合は、アンテナの大きさだけではなくて、使っている周波数がもう一つの指標になります。現在まで上がっているのは、Lバンドといって比較的低い周波数、1.6GHzぐらいなんですが、この衛星ですと、もう少し高い周波数、2.5GHzぐらいなんですが、高い周波数を使うと、一般論なんですが、通信の容量を簡単に増やすことができます。ただ、逆に言いますと、大きなアンテナで高い周波数に対応するというのは、アンテナの精度、鏡面のパラボラなんですが、精度要求が厳しくなります。ですから、単に大きさだけではなくて、使っている周波数のことから見て、現在開発しているアンテナができれば最先端というふうに考えております。
    それから、2番目の大きなシステムになるとリスクが大きくなるのではないかというのは、ある意味ではおっしゃるとおりだと思います。それは全く悩ましいところではあるんですが、実際に開発するときでも、いろんなリスク管理上の配慮は個々やっております。ただ、もう一つは、今はリスクといった場合に、衛星ハードのリスクなんですが、では、仮に小さい衛星が、相対的にはリスクが小さいんですけれども、そのままでやった場合に、果たして地上のユーザーが、先ほど言ったようにいつまでも携帯電話をしたいときにノートパソコンみたいなものを使っていくという、そういうことはあまり考えられないんで、そういう要求に対していかにリスクを小さくしてやっていくかというところが、確かに悩みどころです。小さな衛星を数多くというアイデアもちょっと考えたんですが、あまり効率がよくないので、こういうコンセプトです。

 大島特別委員 

   テクニカルな質問なんですけれども、2点ほど質問があります。
    まず1つ目なんですけれども、資料の12なんですけれども、「アンテナ小型部分モデルの概要」ということで、これ、実際に最終的に考えられている大型モデルに対して、スケールとしてどれぐらいの大きさなのかということと、あと、@ABと結果が書いてありまして、3番目で「7秒間で約40度まで展開」と書いてあるんですけれども、最終的にこれはどういう形がいいのかというのがちょっとよくわからなかったので、それを教えていただきたい。
    あと、2番目なんですけれども、先ほどの宮崎先生の2番目の質問とも非常に似ているんですけれども、多分スケールの大きさでかなり変わると思うんですね。この資料を見ていますと、展開にかなり重きを置いていると思うんですけれども、実際に操作する場合には、これは展開したままでずっとあるわけですよね。ですから、そこら辺、将来的にどういう形で考えていらっしゃるのかということと、多分、リスク管理のこととも関係すると思うんですけれども、そこら辺は今後、強度計算とかそういうのはどういうふうに考えていらっしゃるのか教えていただければと思います。

 本間(宇宙開発事業団) 

   わかりました。最初に小型部分モデルについて御説明します。名前のとおり小型で、なおかつ部分と書いてちょっとわかりにくかったんですが、小型といいますのは、これを構成するモジュールの大きさを実物の2分の1スケールにしております。ですから、実物は4.9メートルなんですが、その2分の1、大体2.5メートルぐらいになっております。それから、部分モデルといいますのは、全体が14モジュールで構成するものを半分の数の7モジュール構成にしております。それで、小型部分モデルという名称をつけております。したがって、全部開くと6メートル強ぐらいの直径になります。
    こういう複雑な構造をスケールモデルでやる場合に、スケールの違いによる影響というのは非常に難しい問題です。あらゆる要素を全部2分の1にはできませんので、我々は、外形は今言ったようにやりましたけれども、詳細な設計は、展開トラス構造という構造になっていますので、基本的に、おのおのの部材に軸力がかかります。単位断面積当たりの軸力が実物の衛星と一致するように設計しました。逆に言うと、何かの拍子で曲げモーメントが働くと、全然成り立ちません。
    それで、そのようなふうになりまして、ロケットで打ち上げるときは、ちょっと見にくいんですが、折り畳むと、これ、全体、ワンタッチ傘みたいなイメージの構造なんですが、畳んだときにはこういうふうに、直径が30センチぐらいで長さが1.5〜1.6メートルぐらいの、開くと、こういうパラボラ面が開きます。先ほど、展開が5度までと言いましたのは、半頂角でモニターしていますから、基準軸に対しておおよそ90度開くと全開になります。その中で最初の5度まで開いた。それから、途中から7秒間で40度まで展開というのは、1回途中で展開が、多分メッシュがひっかかって止まったんだと我々は考えていますが、止まっちゃいますと、今度は展開を制御するメカニズムが働かなくなってしまって、非制御のままでバーンて速いスピードで開くような、そういう設計になっております。それで、ロケットから分離後は比較的短い時間で40度ぐらいまで展開。ですから、こういう形状に開くのを90度としますと、そのうちの40度ですから半分ぐらいまでは開くのが確認されました。実は、その後どうなったのかは、これはテレビカメラを積んでいたんですが、テレビカメラの視野から外れてしまったのでデータは取得できませんでした。

 大島特別委員 

   2番目は、展開にかなり重きを置いていらっしゃるみたいなんですけど、実際に運営する場合には全開のままですよね。そのときの、例えば構造設計とか、そういうのはどういうふうに考えていらっしゃるのかなということです。

 本間(宇宙開発事業団) 

   わかりました。1つは、展開するときは、非常にゆっくり、1時間ぐらいかけて、地上でテレビカメラとかいろんなデータをモニターしながら、ゆっくり展開します。もし途中で止まったらば、これはモーターでコントロールしていますので、モーターを逆回転させて一回収納して、もう一回繰り返すような、そういうシーケンスを考えています。
    開いた後、先ほどの宮崎先生が、例えばスペースデブリが当たったら穴があくじゃないかという、ちょっと回答し忘れたんですが、開いた後に、どこか一部分穴があいたとしても、全損しないような設計になっております。このアンテナは、どちらかというと、ナイロンストッキングみたいなトリコット編みというもので金属を編んでいますので、穴があいても伝染しないような構造になっております。ですから、デブリが当たった場合でも、ほとんど通信性能には影響を及ぼしません。
    それから、開いた後、例えば10年間使うようなことを想定した場合に、構造強度についてはいろいろと考慮しなければならないことがありますが、この構造は、一たん開くと、開いた状態が力学的に安定な、そういう構造になっております。ですから、支えとか何とかじゃなくて、要するに完全に開いたら、そこが力学的な安定点です。我々が一番苦労しているのは温度環境です。特に静止衛星だと、地球の影で日食になった場合にものすごい勢いで冷えますから、温度環境の繰り返しによって部材が変な変形がしないかとか、あるいは疲労が起こらないかとか、そういうのを注意して部材の選定をいろいろとやって、このアンテナの計画の一番最初の段階にいろんな部材の候補がありましたので、今言ったような観点から一番安全な部材を選定しております。あとは、地上でいろんな試験とか、最終的にはコンピュータ・シミュレーションも随分やっておりますが、そういうことで、開いた後の力学的な問題はクリアされていると思っております。

 長柄部会長 

   もう大体時間がなくなってきたんでございますが。

 五代委員 

   済みません。16ページに「今後の予定」があるんですが、今後の予定は、これを見ると今後の課題にもとれると思います。それで、これはお答えいただかなくてもよろしいので、コメントですが、ドッグイヤーの時代ですから、こういう通信関係の技術はできるだけ早く打ち上げて実験するということだと思うんですが、今、予算の関係で、いろいろ時期の関係が遅れていくという可能性があります。そうしますと、時期を早めることと、実験内容を見直すということもあるかと思うんです。こういうトレードオフだと思います。基本的にはH−2Aロケット増強型がいつできるかということなんですが、そこで、幾つかの考えがあると思うんですが、衛星を少し見直して、標準型ロケットで打って早く実験したいということもあるかもしれませんし、それでもお金が足りないというようなこともあるかもしれませんので、もちろん開発人員は外から持ち込むというのもございましたけど、さらにこういう通信による受益者というんでしょうか、もちろん開発実験ですけれども、そういう負担をもう少ししていただくとか、そういうようなことまで考えなきゃいけないのかなと思います。
    私のコメントは、このETS−8だけではなくて、今後の大型衛星計画といいますか、衛星計画全体に共通かもしれません。以上でございます。

 斎藤(宇宙開発事業団) 

   今御指摘ございましたように、1つは予算面、新聞等でも報道されておりますが、現在、非常に厳しい状況にございますし、一方で、ロケットの開発につきましては、現在、標準型の成功に向けて最大限の努力をしている関係もございまして、増強型については、その分だけ少し後ろに作業的にはなっているということもございます。そうしたものの中で、全体として最もいいソリューションを探すべく、現在、トータルシステムとして検討しているところでございまして、その辺につきましては、いろんな周辺状況も含めてある程度整理された段階で、また御審議いただければと思います。

 長柄部会長 

   じゃ、冨田委員、簡単にお願いします。

 冨田特別委員 

   1つ質問があるんですが、開発をいろいろされていますけど、1つ成功したらそれで開発完了というか、技術は確立したという考え方なんでしょうか。つまり、ロケットなんかですと、何発か打たないと、たまたまうまくいったのか、それとも本当にうまくいったのかわからんわけですね。うまくいったというときに、90%ぐらいまでうまくいった。だけど、あと10%はちょっとよくわからんというようなことがよくあるわけですね。そういうだめ押し的なところまでもやらないと開発と言わないと思うんですけれども、その辺の考え方ですね。
    それからもう一つは、もし1つしか打たないとしたら、技術が確立したとか開発が完了したという言い方はしない方がいいのじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

 本間(宇宙開発事業団) 

   ふだんあまり考えていなかった範囲の質問なので、衛星だけで言うと、言うまでもないですが、冗長系とかいろんなことをやってリスク低減はされていますけれども、この衛星1機で開発が完了したかという御質問に対して言いますと、もし100%というのが、例えば5機上げて完全にミス出しが終わったというのを、例えばロケットの例なんかで言いますと数機ですね。1機だけで本当にミス出しが終わったのかという質問に対しては、定量的には言えませんが、若干品質のばらつきで、たまたまラッキーでこれがセーフだったということもあり得ますから、100%大丈夫だとは正直言いにくいかと思います。ただ、衛星の場合は、非常に長い時間かけてトレンドを追いかけますので、ある程度、例えば打上げ後1年とか2年ぐらいまでで、季節変化とか日変化とか、いろいろなデータでさまざまな条件が自然環境で課されますから、それで設計した範囲の上限と下限のストレスが加わるわけです。それで生き残れば、衛星の場合はかなり確立したんじゃないかと言い切れると思いますが。

 冨田特別委員 

   長い時間でモニターできるのはいいんですが、例えばアンテナの展開みたいにワンショットものですね。これは、そのときでしか働かないわけですから。

 本間(宇宙開発事業団) 

   アンテナの展開をいかにたくさんデータをとるかというのは我々の開発の一つのテーマでして、例えばテレビカメラを全部で6台積んで、いろんな角度からアンテナを見たり、あるいは加速度計とか、ひずみゲージとか、たくさんのデータをとって、アンテナの展開に関して言いますと、うまく開いたかどうかは最終的な話なんですが、先ほどのLDREXの実験もそうなんですが、取得したデータが、設計どおりのプロファイルになっているかどうか、そこをチェックします。設計どおりのプロファイルで開けば、これはほぼ確立した技術になるというふうに考えております。

 長柄部会長 

   それでは、ここで打ち切りたいと思います。
    次に、超高速インターネット衛星計画について説明を伺いたいと思いますが、本件につきましては、今年の4月だったでございましょうか、第1回の部会で、概要といいますか、利用実験計画等についてはまだ検討中ということだったんですが、一度伺っておりますので、前回以降のものを中心に説明願いたいと思います。

 倉益(宇宙開発事業団 

   持ち時間が15分ということで、資料は、今のETS−8の説明資料よりもちょっと多いということで、何とかうまく御報告をさせていただきます。
    2ページ目、この資料の何が含まれているかということで見ていただければと思います。
    次の3ページをお願いします。4月23日、前回概要の御報告をいたしましたが、それ以降、今回の報告の趣旨ですが、いろんな衛星の利用のあり方がありますということを御報告しましたが、衛星通信利用の分析を行って、利用の優先度を設定しました。それから、利用を実現するために開発すべきシステムの機能を整理いたしました。それから3つ目ですが、システムを構築していく上での課題、リスクを識別したと、そういう御報告でございます。そういうステータスにありまして、まだ開発リスクの評価の課題等々ありますけれども、今後、本格的なシステムの予備設計、試作試験に着手できるという状況にございます。
    計画の位置づけ・目的については、前回以降の宇宙開発に関する基本計画、これは6月27日に制定されましたので、それも受けてプロジェクトの目的を再度整理いたしました。新たな衛星利用に向けた実験の推進、それから、2005年に衛星を打ち上げて宇宙実証を行う。
    あわせて、このプロジェクトの中でも高度情報化開発手法の開発を進める。これを3つ目のプロジェクトの目的としてございます。
    この後、衛星通信及び利用の具体的な内容について御報告をしたいと思います。利用系のプロジェクトマネージャの稲垣でございます。

 稲垣(宇宙開発事業団) 

   利用を担当しています稲垣です。超高速インターネット衛星の利用について、どういった形態を想定しているか、あわせて、それに対してどういう実験を考えているかということについて説明させていただきます。
    まず、この衛星、2005年に打上げを予定しておりますけれども、2005年には世の中どういう状況になっているかということで簡単にまとめたのが、このページです。まず光ファイバーというのは、現在どんどん拡充されておりますけれども、さらに今後もそれが続けられる。インターネットにつきましては、おそらく8,700万人ということで、現在の倍以上の人数が利用されるということで、地上インフラはどんどん拡充されるわけですけれども、そういった状況でも500万世帯の人、この下線部分ですけれども、そういった世帯においては、こういった光ファイバーとか、あるいは高速のデジタル加入者選とか、そういったものが使えなくて取り残される部分が発生する。携帯電話につきましても、おそらくはこのときでも国土の50%は利用できない地域が残る。一方、衛星通信の動向ですけれども、どんどん光ファイバーの方に役割が移っていますけれども、それでも、まだ国内で、ここ数年見ますと10%で伸びつつあるということです。それから、グローバルに見た場合でも15%ということで、むしろ他の市場よりも成長率は高いということです。
    それでは、衛星システム、特にどういう点に重きを置いて利用を考えていく必要があるかということで、いろんな有識者の方々、あるいはいろんな企業などを訪問させていただいて、こちらの方でまとめた考え方です。とにかく地上設備を小型化することが、衛星の機動性を最大限利用するということで大事ではなかろうかということで、ここでは、現在最も使われています45センチの小型のアンテナ、それを一つの基本として考えました。次に、この45センチのアンテナ、どの程度の高速のものが達成できるかということで、これを家庭で使った場合には100Mbps相当のこういった速度で受信できる。それから、企業では、45センチではありませんけれども、1メートル、あるいはそれ以上のアンテナを使えばGbpsオーダーの伝送が可能になるということを想定しました。
    それから、衛星の特徴であります広域性ということで、日本のみならずアジア地域においてもこの衛星が利用できるようなことを考えてデザインをしたということです。
    具体的にどういう応用、あるいはどういう実験を考えているかということですけれども、先ほどのいろんな企業の方々、あるいは有識者の方々の意見をまとめまして、優先度1と優先度2の2つのグループに分けました。1といいますのは、まず、衛星を、いわゆるインターネットの基本インフラに適用した場合、どういった改善、ネットワークの改善といいますか、そういったことが達成できるかということで、その実証実験。それから、ネットワーク上でどういったことに適用できるかということで、ここでは利用開拓実験と言っていますけれども、国土管理とか、教育バックボーン、こういったものを現在、実験としては考えています。そのほかに、その他ということで農林水産関係の実験を想定しております。
    まず、インターネット関係ですけれども、この衛星自身はインターネットということで、衛星を現在のインターネットのバックボーンの共通予備的な位置づけにしまして、地上のバックボーンでいろんなふくそうとか、あるいは障害が発生した場合、その衛星のリソースを必要なところにその都度ダイナミックに振り分けて、平面的にネットワークをカバーする。そういったことによってどの程度改善できるかという実証実験。それから、インターネットのいわゆるバックボーンへのアクセス手段としてこの衛星を使うということについての実験。
    これも同じインターネット関連ですけれども、とにかく衛星の同報性、広域性を使ってのマルチキャストということで、家庭へのホームサーバへの高速ダウンロードに非常に有効ではなかろうか。地上では、なかなかこういったマルチキャストにはできませんけれども、これに衛星を使ったらということでの実験です。
    これは国土管理ということで、いわゆる国レベルで上げるならば、災害とか国土管理に有効ではなかろうかということで、先ほどのETS−8とか、そういったものと絡めて地上での情報の収集、あるいは収集した情報を関連する機関への配信ということを考えております。
    これは、教育バックボーンへの利用ということで、現在、文部科学省さんのメディア教育開発センターさんと共同で研究、あるいは共同実験を行う予定にしております。従来の、現在ありますシステムよりはるかに高速ということで、高品質・高精彩の画像・映像伝送、オーディオの伝送、それから大容量のデータの配信ということを考えております。
    さらに、ITSということで非常に話題性があるわけですけれども、こういったところに衛星の利用ということで、1つは、移動中の移動体に対してデータを送り込む。これは移動通信になるわけですけれども、そういった形態、右側半分ですけれども、それから、地上のITSネットワークの固定拠点に高速でダウンロードしまして、自動車等が静止しているときに、その拠点から無線で大容量のデータを受けるという、そういった形態を考えています。
    これは繰り返しになりますので、説明を省略させていただきます。
    これが、最後に、とにかく先ほど500万世帯が、いわゆる高速のアクセスが2005年においても確保できないということでの、過疎地におけるアクセス手段としての衛星の利用ということでの実験を想定しております。

 倉益(宇宙開発事業団) 

   こういった利用を実現するシステムの仕様ということでまとめてございます。回線形態としては3つ用意すればいいだろう。超高速マルチキャスト回線、データレート等、あるいは非対称双方向等々、ここに記載したとおりでございます。ミッション機器については、地域別降雨補償付きKa帯マルチビームアンテナ、あるいはKa帯の広域走査アンテナ等を搭載していく必要があるというふうに考えています。衛星の規模としては、H−2Aの標準型で、打上げ時4.5トン、ミッションへのリソース配分をできるだけしようということで、発生電力は8キロワットを達成しようというふうに考えてございます。
    ここでは、開発課題ということで、ミッション機器については新規の分がございますので、これについては衛星利用ニーズの観点から必須の技術であるということと、さらに、将来の宇宙技術としても有望な部分についても開発課題として取り上げて進めていくと。
    ここでは、リスクの識別ということですが、新規な部分については本格的な予備設計、試作試験を行い早期に開発課題を図る。この下に書いてある実証レベルの識別なんですが、バス系の機器について、基本的に既存の技術を使うんですが、既存といってもいろんなレベルがありますので、その辺の識別をさらに行い、適切な検証を行うということで進めたい。
    これはミッション達成の評価基準なんですが、先ほどETS−8と同じような考え方で整理をしてございます。最終的には達成度の4で、ミッション要求条件に基づいて計画される実証実験が5年間の中で実施できる。それをレベル4ということで、これに50%の比重を割り振っていこうかというふうに考えてございます。
    高度情報化については、3つ目の目的ということですが、ここに書いたような作業を進めていく。
    体制ですが、衛星利用促進委員会をNASAに設置しておりますが、利用提案、利用実証に対する意見をいただきながら、ミッション推進センターとプロジェクトチームが連携をとって進めていく。ミッション機器についてはCRLさんと共同で開発を進めていく。そういう体制で進めてまいりたい。
    これは分担ですが、ちょっと省略します。
    これがスケジュールですが、今年度、来年度、初期設計段階の作業と計画ということでまとめてございまして、開発の初期段階での作業を確実にやって、次期のステップに移行できるかどうか、それをできるだけ早く見きわめる必要があるというふうに考えてございます。
    外部評価についてはまだ最終的にレポートが出ていませんけれども、7月2日から13日にかけて、畚野委員長ほか7名の委員により、このプロジェクトの外部評価を受けました。きょうの報告の中では、計画全体の評価、サマリを入れてございます。非常に高い評価を得て計画を進めるべしというまとめでございます。
    報告は以上でございます。

 長柄部会長 

   ありがとうございました。時間を守っていただきまして、時間どおりでいただいたんですが、質問なり意見なり、それに対する回答の方で補っていただきたいと思います。

 澤岡特別委員 

   光ファイバーが入らないところで、これを役に立てたいというお話に聞いたんですが、人口密集地でも何か役に立つよというお話があったような、何か混乱してよくわからなくなったんですが、そのあたり、どういう思想でございますか。

 稲垣(宇宙開発事業団) 

   今現在ワイドプロジェクトさんとかCRLさんと共同で研究、実験も入れてしているんですけれども、まず、インターネットのバックボーンという部分がありまして、その部分はほとんど光ファイバーで構成されているわけですけれども、ただ、インターネットというのは、いわゆるネットワーク自身が一元管理されているわけじゃなくて、全体がどのようになっているかわからない。そういう中で、どこでトラフィックの疎通が悪くなったり、いわゆるふくそうとかそういったものが発生するかわからないということで、そういったところに適宜衛星の容量、これは絶対量としては光ファイバーに比べると大きくはありませんけれども、そういった容量を面的にカバーするということで、これは過疎地帯とかそういう部分ではなくて、いわゆるネットワークの根幹的なところの強化ということに、まず、この衛星が役立てられるのではなかろうかというのと、もう一つ、ネットワークへのアクセス部分として衛星の利用を考えているということです。

 澤岡特別委員 

   もう一言だけ。NHKのBSが登場したときに、難視聴地域の解消だと言って、結局、出てきたら都会の人もみんな見ている。腹の中ではそんなことを考えている。そんなことはないんですか、実は。

 稲垣(宇宙開発事業団) 

   今、衛星デジタルが11月からスタートしましたけれども、1つは、メディアとして効果があっても、アンテナを置くということが、最近では家庭の中でも、物干し台のところに45センチであっても、置くことに対しての抵抗、そういうものがありますので、そういったものの克服と、あと、料金的に地上よりもはるかに安い、あるいは、ここで言いますマルチキャストというモードがありますけれども、これは放送に相当するわけですけれども、こういった形態が、いわゆるユーザーの中でこれが魅力的であるというところの認識がされれば、光ファイバーではできない形態ということでの利用は都会の中でも考えられるのかなというふうに考えています。ただ、それを一切光ファイバーを超えてというところで、どこまで本当になるかどうかというのは、私自身も確証があるわけではありませんけれども、特異な形態での利用ということでの衛星利用ということ、これからちょっと考えてみたいと思います。

 鈴木特別委員 

   今の澤岡先生の質問にも関連しますので、一応、ちょっと資料の計画6−1、2、3を通した話なんですけど、こういった衛星の活用と、現在持っておられる開発スケジュールに関して、産業界、あるいはニーズという視点から見て、ちょっと希望と御意見を申し上げさせていただきたいと思います。
    まず、資料6−1の10ページに全体のスケジュールが出ております。これが非常に見やすいので、ちょっとこれを参考にしながら、まず1点目お話しさせていただきますと、我々、産業界として、こういう衛星を活用したいろんな事業化というものを考えていきたいということで、いろんな事業計画を持っております。その1つの大きなポイントが、今、いつでも、どこでも、こういうインターネット通信サービスが受けられる。しかも、マルチメディア情報がいつでも、どこでも得られると、こういうコンセプトでネットワークを組むべきじゃないかと考えておりまして、そう考えたときに、地上の光ファイバーのネットワーク系と衛星系とは非常に補完関係を持ちながら、今後、衛星側の活用需要も伸びていくと考えておりまして、今、1、2、3でるる御説明がありましたとおり、同報性、広域性を利用した、特性を生かした大量のデータ配信ということで、いろんなコンテンツ配信とか、あるいはCS放送とか、情報通信のいろんな同時に多くの方々へのサービス、そういった面での事業化ということがあるんですけど、もう一つ大きなポイントとして産業界が考えているのは、いつでも、どこでもという視点から移動体への通信サービスが、しかも、こういう高速大容量でやるということは非常に大きなファクターとしてとらまえておりまして、特に将来、車に対していろんなコンテンツ配信サービスをやっていくということが一つの大きな事業の源であると考えております。
    そう考えたときに、ETS−8、超高速インターネット衛星、準天頂衛星、この3つで技術開発が終わって、初めて我々はいつでも、どこでもサービスできる事業化ができるというぐあいに考えております。特に準天頂衛星につきましては、移動体を考えたときに、都会の車に対する情報サービスをしようと思ったときは、静止衛星では仰角上の問題があって、ビルの谷間でサービスできない部分が非常に多く存在するということで、私は準天頂衛星が高仰角の一つのネットワークサービスを補完する上で不可欠だと産業界では考えております。
    そういった意味から、スケジュールで、今回この10ページに示されておりますのは、構想段階ということでありますが、我々産業界としては、今申し上げた3つをできるだけ早く技術開発を完了していただいて、産業化に結びつけていきたいというぐあいに考えておりますので、今後、各項目を御検討される上で、この点も一応産業界の意見として御配慮いただけたらありがたいというのが1点目でございます。
    2点目は、若干各論になるんですけれども、計画6−3の17ページに開発課題が書いてございます。ここには(1)で3つ、マルチビームアンテナ、衛星搭載高速交換器、ルータ、それから小型地上装置。それから、将来ということで書いてあるんですけど、Ka帯のフェースドアレイアンテナ、ここは、今申し上げましたインターネットサービスを事業化していく上では、是非早期に開発していただきたい重要なアイテムばかりだと我々は考えておりますので、是非ともここの将来の宇宙技術として有望という、(2)に書いてありますフェーズドアレイアンテナもできるだけ早期に開発していただきまして、早く産業化の弾みがつくように御配慮いただきたいというぐあいに思っております。
    以上でございます。

 長柄部会長 

   特に何か発言ございますか。

 倉益(宇宙開発事業団) 

   ここでは開発課題ということで挙げさせていただきましたが、課題として具体的にどこをどうしなきゃいけないかというのはこれからですので、できるだけ早い段階で私どもは試作をして、試験をし、評価をして、次のステップとして何をやるべきか、それを明らかにしていきたいというふうに思っております。

 栗木委員 

   利用の調査をやられて、どういうユーザーがいるか。一見すると、何でも使えますというのがたくさん並んでいるように見えるんですけれども、よくよく見ますと、1つは政府がやるべき、どちらかというと官需がもとになっているような宇宙インフラの構築。それから、民需といった場合も、どちらかというと個人ベースよりは大手の企業が使われるようなテクノロジー。それから、個人の、いわゆる家庭にまで入り込む。これがべたくそに並んでいるような気がするんです。これらのマーケットリサーチをやるとき、おそらく今言ったような順序で市場のリサーチというのはやりやすさ、つまり確度が決まってくるのじゃないか。そうしますと、マーケットとしては予測が最もシュアな部分から手がけるべきではないか。たくさん並んでいる場合には、どれが一番優先かということを決めませんと、本来はハードウェアのデザインもどこに力点を置くべきか決まってこないはずでして、ここに書いてありますいろんなミッション達成の評価基準が19ページに載っておりますけれども、これは、本来は今言ったような何をやるべきかが先に決まって、それで達成すべき技術がそれに応じて今回たった一つのフライトでやるんだとすれば、それが順序づけられて達成されるというのが書かれるべきではないか。
    この前のETS−8の報告では、達成度はバス機器が第1位で、それから順番というのは確かにあったんです。しかしながら、本来、ETS−8を見ますと、あれはアンテナが展開して、携帯端末の実験を行うというのが表に出てくるんです。これは、本来そういうアンテナ展開にフォーカスするのであれば、ハードはそれにフィットしたような達成度の順序になっていないと、ミッションのサクセスがおろそかになるような気がいたします。したがって、リスク管理というのは、市場調査の段階からどれが一番やりたくて、市場のサーベイも一番確度の高いものは何であったか、そこの目的を決めるところからリスク管理を始めるべきではないかと思います。その辺がちょっと見えていないという感じがします。

 稲垣(宇宙開発事業団) 

   確かに随分風呂敷を広げたような話になっているかと思うんですけれども、1つは、衛星、実際に実用になるのは2010年ということで、これからかなり先の話であるということで、そのときに世の中がどうなっているかというのは非常に考えづらい中で、皆さんの意見を聞かざるを得なかった。その中で出てきたものは、かなりいろんな面、いわゆる商業ベースのものから、国として必要なものという雑多なものになったのは、正直そのとおりなんですけれども、実際にこれが、先ほど衛星の設計というところにどうはね返るかということなんですけど、基本的にはこういった利用を考えながら、そのときにどういった、いわゆる衛星を利用したときに最も、いわゆる伝送路というレベルで見たときには、まずどういうお皿で、どういう速度を基準に地上側と衛星側を負担するかというところが、いわゆる設計部分に影響する部分でございまして、結局、それができたときに、その上にどういうサービスを載せるかということで、あわせてこの議論がされている。それを両方合わせないと、なかなか意義が見つけ出せないということで、そういう話にならざるを得ないと思うんですけれども、ここでは、そういった意味で一つの基準としては小型で高速、結局、それである程度容量がとれるものを考えておけば、それに対して利用は拡大されるのではなかろうかということで、そういう意味では雑多なものを公約数的なところで一応地上の設備、衛星の基本機能を今考えつつあるということで、これから逆に言いますと、もう一度そのあたりどういうものがメーンになるかというところを改めてこれから調査しながら、優先順位を考えていきたいと思います。

 倉益(宇宙開発事業団) 

   ちょっと回答が多分すれ違っていると思います。ニーズの優先順位に対応したリスク管理、そういうアプローチをしなきゃいかんのじゃないかということが、多分、栗木先生の御指摘だったと思います。

 栗木委員 

   一言、言わせてもらえますか。今のプレゼンテーションを見ていますと、物ありきで、つまりこのものを作るからユーザー、だれかついてこないか。この発想はいささか1世紀前の発想で、エジソン時代に、要するに電話機を作ったからユーザー集まるかねという、その当時のあれは全くプライベートな努力から始まったんですが、もしこれが政府の資金を投入するということからしますと、そこには目的を決めるというリスク管理がそこから入ってこないといけない。昔のエジソン時代であれば、リスクは個人の負担、そこからスタートして、それからユーザーが決まってくるというのはそこでもって解消できたんです。しかし、今はそれでは届かない。政府が何で投入するのかということは、まず、ユーザーを決める段階からリスク管理をやってください。それだけです。

 倉益(宇宙開発事業団) 

   今回のリスク管理について、非常に狭い部門のリスク管理ということでちょっと御報告させていただきました。それで、今、先生の方から言われましたように、この目的、どういう使い方を本当にするのか、それに対してリスク管理という観点を当初から持って、どこをアプローチしていけばいいのか、総合プロジェクトとしてのリスク管理の考え方を持たなきゃいけないよと、そういう御指摘として受けとめさせていただきます。

 古濱(宇宙開発事業団) 

   先ほどの鈴木特別委員からの3つの衛星構想を含めて考えてほしい。それはおっしゃるとおりなんで、我々はi−Spaceということで全体にそれを進めようとしておりますので、予算ですとか、リソースの限られている範囲の中で大いに頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
    それから、先ほどの栗木委員の方から御指摘がありましたニーズの優先順位に基づいたリスク管理が必要だと。確かに考え方はそのとおりだと思います。しかしながら、現在、我々が進めているe−Japan戦略に基づいた超高速インターネット衛星計画は、現在の通信技術の進展、利用の進展のスピードを考えますと、ドッグイヤーどころかマウスイヤーみたいなものになっていまして、非常に先が読めない。ましてや5年後どうなるかというのは、これがメインのユーザーです、メインの大きなアクティビティですということが絞り出しにくい、そういう実情にございます。ですから、その中でもe−Japanでは、2005年には国際的に通用するような世界最高水準の高速情報通信ネットワークを形成するんだ、その中で我々は宇宙セグメントで何ができるか、そういうアプローチで可能な限り枠を広げて、できればニーズドリブンの衛星計画に持っていきたいと努力をしているわけであります。そういう環境ですから、なかなか決め打ちができない。できる限り、時間が許す限りニーズを選定して、それに持っていこうと努力いたしますが、計画の扱っている特殊性にかんがみまして、なかなか栗木委員のおっしゃるようにはいかないというのがございますので、御理解のほどお願いしたいと思います。

 栗木委員 

   あまり理解していないんですけれども、IT全体は、私、そういう市場を持っております。ITなり、こういうe何々というのはツールであって、エンドプロダクトは、それが何を運んで、どういう知恵に結集するのか、そこが見えていないと、道具ができたままで終わってしまうと私は思うんですよ。特に宇宙のインフラというのはツールで終わってしまう危険がかなりあるので、地上よりもコストがかかりますし、そこは読める範囲から手をつけていくと。確かに市場の過程に、若者が突然多数の携帯電話を持ち始めたというのを10年前に予測せえと言っても無理だったと思うんです。したがって、そういうものを今予測せえと言っているのではなくて、シュアなものから、まずミッションの第一義として掲げるべきではないか。場合によってそれは官需かもしれない。そういうことを言いたいわけです。

 松野特別委員 

   今のいろいろな委員からのお話、御議論を伺っていて、今いただきました資料の計画6−3の24ページに、評価ですか、これについての評価のサマリというのがあって、そこに「『i−Space計画』は、従来の『先ずロケット有りき』というわが国宇宙計画の後進性、技術開発優先に傾きがちな通信衛星計画の進め方を、『先ず何に使うか』から始めるという当然あるべき方向に大きく変えようとするものであり、高く評価される」と書いてあるんですが、この話と今の議論とどう関連するのかちょっとわからなくて、もしかしたら進め方が、まだ全然こういうものを、インターネット衛星を上げるなんていうことは全然決めていないと。それで、今、皆さんにこういう議論をしていただいているということをやっていることがいいとここで言っているんでしょうか。この意味がちょっとわからない。
    ただ、後段を読みますと、過疎地のことが書いてありますので、そこのところを考えているのかなと思ったんですが、過疎地ですか、この段階で何かポイントというのは、それなりにこの評価委員会では、今議論になっているような、一体何のために上げるかということを、それなりの結論を出して、目的先行型の開発をしているというふうに判断なさったのか、その間の食い違いというか、どなたか教えていただくとありがたいんですが。

 稲垣(宇宙開発事業団) 

   まず、外部評価委員会では、NASDAのこれまでの姿勢が180度変わったということに対して、それに対する評価ということで、それに加えて、中でのいろんな、こちらが提案しました利用の形態とか、そのあたりについても御意見を伺ったんですけれども、その中では、確かに優先順位とかそういう話もありましたし、もう一つ大事なのはコスト的な評価、何でもできると言ったって、実際それをやろうとしたときに非常に高いものにつくようでは実現はできないということで、あわせてそういうコスト評価、これは本来ビジネスするものではありませんけれども、実験といえ、そういったバックグラウンドとしてのそういう分析も必要であるということ。
    ただ、この外部評価のときにも言われましたけれども、風呂敷を広げ過ぎである。これは、先ほどいただきました御意見と共通する部分かと思うんですけれども、それに対しては、むしろ漏らさず広げたい。その中で、これからの、事前にパイロット実験とか、いろんな実験を予定しておりますけれども、そういったところで衛星の有効性を確認しながら、具体的な利用を絞っていきたい。そのためには漏らすことないような形での、いわゆる基本の伝送路としてのレベルでの設計については漏らすことなく、小型化、高速化というのを一つの目標にして設計をしておけば、一体その上に何を載せるかというのは、確かに十分な答えを今必ずしも持っているわけではありませんけれども、受け皿としては十分なり得るような、そういうことでこれから設計を進めつつ、これからの利用についてももう少し世の中の動きを見ながら検討していきたいということで、そういう意味ではあいまいな答えからは変わっていませんけれども、基本姿勢としてはそういう形で進めたいと思っています。

 松野特別委員 

   そうすると、後半で書いているようなところで、こういうスペシフィックなことはまだ決まっていない、この評価の段階では、これという目標は決めていなかった、想定していなかったということで、その前半の目的先行型に態度が変わったことは大変よろしいと言っているのは、今までわりと漠とした目的で物事を始めていた。それに比べたら、ちゃんとそういう議論をしているからよろしいと、そういうふうに考えてよろしいんですか。

 倉益(宇宙開発事業団) 

   ちょっと補足させていただきますが、評価委員会に提示しまして御説明した資料、内容については、きょうの内容と基本的には同じでございます。さらに、今言いましたように、コストがどれぐらいかかるんだ、将来どれぐらいかかるんだというコストモデルを作って、これぐらいの人が使う携帯であれば、こういうことになるだろうと、そういったこともあわせて御説明しています。利用については、最終的にもうこれで決定というわけではなくて、この社会はどんどん変わっていく要素というのがあって、今こう言っているけれども、またちょっと先には、もうこれはいいよということも十分あり得る世界だということで、その辺はフレキシブルに対応するような、そういうアプローチでやっていただきたいということもあわせて、そういうコメントもいただいてございます。

 高柳特別委員 

   先ほどから私が知りたいことを皆さんの質疑の中で大体見えてきたんですが、きょう伺っていて、ETS−8と高速インターネット衛星の2つ話を聞いたときに、私のように何も知らない人間は、こんなプロジェクトがあるならETS−8は要らないのかと、こう思っちゃうんですよ。つまり、ETS−8と高速インターネット衛星がちゃんとある種の有機的なつながりがあって、ETS−8の開発が高速インターネット衛星で多様に展開されるニーズにある種のサポートをしているとか、何かそういう連携というか、つながりがないと、国民の皆さん、これをぱっと出されて、それだったらニーズが見えている高速インターネット衛星をやっちゃって、ETS−8は別に要らないならやめたらというふうな意見すら出てくるおそれがあるような気がちらっとしたんです。つまり、風呂敷を広げるのも大事ですし、こんなものもある、あんなものもあるという目的はきちっと、やっぱりわかりやすいですから是非おっしゃった方がいいと思うんですが、そのことと今までやってきていることとがちゃんとつながっているんだよというのをきちんと世の中の人にわかるように言ってあげないと、きょう、素人でぽっと聞いていると、幾つも計画が出てきて、おもしろそうなのは高速インターネット衛星プロジェクトだ。ETS−8とはどうつながっているか見えませんから、じゃ、大きいアンテナを広げるなんて、そんなお金をかけてやるそっちはやめちゃって、こっちをやったらどうという素人的な発想すら出てくるおそれがあると思いましたので、あえて意見をちょっと言わせていただきました。

 片木(宇宙開発事業団 

   通信、それから、昨今の携帯端末を使った通信分野の多様性というのは、非常に早くて、奥が深くて、いろんな使い方があるものですから、いろんなことを御説明するときに、こちらもどうやって御説明したらいいかなと悩むところがあるんですけれども、これを1枚の絵に宇宙インフラの開発研究ということでまとめてありますけれども、一言で言うと、超高速インターネット衛星というのは、ここにありますとおり固定通信で、携帯端末が相手になるようなものを目指しております。それから、ETS−8の方は移動体の通信を目指しております。移動体の通信で、端末も小型の端末というのを目指しております。ETS−8と超高速インターネット衛星さえできれば、いわゆる地域・国際社会に貢献的な便宜・便益をもたらす社会インフラの構築ができたかというと、必ずしもそうではありませんで、もう少し技術的に、いろんな有機的な使い方、それから地上のインフラも含めて有機的な使い方をして、高度情報通信化社会を形成するにはどうしていったらいいかというのは、残念ながらこの2つだけで完成し得るものではありませんで、その後いろんなことをしていかないといけないんですけれども、まずは、きょう時点の開発の方向といたしましては、超高速インターネット衛星の方は、相手は小型ではありますけれども、固定通信、それから技術試験衛星の方は移動体通信で、移動体通信も、静止軌道だけでは多分十分ではありませんで、将来的には、そこにあります準天頂型衛星システムも導入を図って、段階的に社会インフラの構築に図っていきたいというふうに考えております。
    以上でございます。

 黒川特別委員 

   先生方の御意見を聞いているともっともだなと思って、結局これは国のナショナルプロジェクトとしてどういう予算の配分のプライオリティをつけるかという話が全然出ていないから、担当者に言われても、同じ宇宙開発事業団でまた縦割りやっておるのかなと言われるだけの話で、さて、この委員会の責任は何なのかなという話もありますが、例えばミレニアムプロジェクト、私なんかだとバイオのヒトのゲノムが読まれたと。SNPとか何とかいろいろ言っているけど、戦略が全然ないんですよ。600億、ミレニアムで使ったというけど、1年たって何にも出るわけない。それは必要なところにどうするかということをだれも全体を見ている人がいないんですね。それぞれが、何かそういうキーワードが出ると、予算の分捕り合戦になっちゃって、どこに行ったかわからなくなって、そうすると、1年するとむだ遣いになる。そんなことは最初からわかっているじゃないかと言っても、私は担当じゃないですから、今度それを何かに書こうと思っていますけど、だから、5年先の戦略だったら、何をどういうふうに投資していかなくちゃいけないかという話を見れる人があまりいないんじゃないかな。そうすると、みんな自分のところに何か予算をちょうだいよという話で常に上がってくるというのはここにもあるのかなという気がしますよね。
    だから、インターネット、インターネットと言っても、日本はインターネットの接続料がやたらと高いというのは通産白書にも出ているわけだし、今度、ADSLのヤフーなんか出てくると、こういうふうにならないとつなぎっ放しで1カ月2,000円とでもやってくれないと、だれも使うわけないというところは、それじゃどうしたらいいのという話が戦略として出てこないと、いくらこれを打ち上げてもだれも使えないというふうになっちゃってはしようがない。
    それからもう一つの問題は、ラストワンマイルの問題がありますよね。ラストワンマイルも、新しいテクノロジーが、今どんどんベンチャーが出てきているみたいだから、その辺がおそらく2年ぐらいでかなり普及すると、いろいろ回線を引いているなんていうところじゃなくなるかもしれないので、その予算を一生懸命使っても古くなっちゃうかもしれないなという気はしますよね。だけど、ユーザー・フィーがどのぐらいになるのかというのはNTTの問題かもしれないけど、そういう話が全体として戦略が出ない限り、いくらやっても、また何か大きなものがどこかでうろうろしているだけの箱物行政かなという気がするので、この委員会はどうしたらいいんでしょうかというのはちょっとわからなかったなと思いました。
    当事者は大変だと思いますよ。予算をとらなくちゃいけないというのが先にあるから。

 栗木委員 

   今の御意見、全く私も感じているところで、結局、単一のプロジェクトが出てきたときに、それをまとめて一つのプログラムとして大きな流れをだれが見ているんだということだと思う。高柳委員のお話にもありましたように、ETS−8とi−Spaceの役割がよくわからない。これは、ETS−8の中で新しいバス、3トンバスの開発なんかもやる。バスが働かないと、上に載せるミッションは成り立たないわけでして、ETS−8というのは、そういう点でも極めて重要な役割を持っているんです。むしろこういう自覚はNASDAの方が把握して、それができてこそ次の衛星へバトンタッチできるんですという説明がないと、i−Spaceの成り立ちもETS−8を踏まえているというところがわかりにくいという、つまり、聞く方の側としては。それが、プログラムとしての展開なり継続性というのがきちんと成り立って、自覚として出てこないといけないんじゃないか。説明として聞けないということは、逆にそれがないかなという恐れを感じます。したがって、そこをきちんとして、今後やるべき、準天頂衛星が進むかどうか私もよくわかりませんが、そこには戦略を3つ続けて何を続けてやっていくか。さっき私が目的を幾つか掲げて、ミッションに優先度をつけなさいと言ったのも、100%できるとは限らないわけです。そうしたら、やり残したことは次の衛星でやるという戦略がありませんと、継続性がないわけですよ。そういう意味も兼ねて、何は次に、まずは何にということが大事だと。それがないと全体が見えてこないということだと思います。

 冨田特別委員 

   今のことに関連して質問なんですが、最終的なユーザーというのは決まっているんでしょうか。つまり、だれがこれをやるかということ。結局、宇宙開発事業団さんが全部取りまとめてやるのか、それがないと、例えば道具だけ作ってあげるから、だれかやってくださいと、こういうふうにも見えるんですね。そうすると、そこは、さっき栗木先生も御指摘あったように、まず何を使うのか始めるという姿勢はあるんですけど、実質的には道具だけ作ってやるから、だれかお使いなさいと、主体のない話になって、そうすると、全体としてだれが見ているのかわからん、こういうことにつながってくるんじゃないかと思うんですが、その辺どうでしょうか。

 倉益(宇宙開発事業団) 

   この計画全体の利用をどうしていくかという議論、議論というか、そういうボードが、今、総務省さんと文科省さんが一応トップになって、実験推進会議、名称はちょっとあれなんですが、そこで、この利用を最終的にこうしましょうということを決定する。そういう全体のスキームを今議論され始めているという状況です。事業団が、利用に関して全部最後までフォローするというのは当然できませんので、総務省さん、文科省さんの連携をとりながら、その辺を進めていくというスタンスでございます。

 井口委員長 

   いろんな意味で根幹にかかわる御意見が出ましたので、私も何か一言申し上げなければという気がするんですけれども、委員長をお引き受けしてから半年になりまして、まあ、大体いろんなことがわかってまいりました。こういう場だと、NASDAがいろんなことを説明し、皆さんから御要求が出ますが、私、ちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、今までのNASDAは本当の企画をしてきたか。つまり、そういう役割を与えられていなかったという感じが私はしています。周りから押しつけられたものを、ある意味じゃ、ひどい言い方になるかもしれませんけれども、極端な表現を使った方がインパクトがあるから使うわけかもしれませんが、そういう立場でした。
    それから、先ほど鈴木委員から産業界からの御意見がいただけて大変感銘を受けて、私も同感なんですが、それを受けて古濱NASDA理事が、それじゃ一生懸命予算をとってきます。これもまたおかしな話で、私は自動車の世界から来ましたから、自動車というのは政府と民間、民間というのはほとんどが日本の資本じゃありませんから、外資ですから、ほとんど疎遠なんです。そういう関係からこの世界に来ますと、役所におんぶにだっこ、ひどいことを言いますけれども、そんな雰囲気なんです。これから国の金だってそんなに増える可能性はないわけです、この数年間は。そうしますと、今度は総合科学技術会議ができ、宇宙開発委員会がその下にあり、さらにNASDAがあり、メーカーがあり、そういういろんな機関がかかわっているわけですから、その間の役割、何なのか。例えば技術開発にしたって、産業界は相当の技術を持っているわけです。そうすると、政府の役割がどこまでなのか、民間の役割がどこまでなのか、お互いに協力して技術開発をすべきだろうと思うんです。その辺の役割の分担をこれから十分にお話し合いをして、それで、それぞれが自分の役割を果たすという自己責任、それをそれぞれが果たしていく。だれかがやってくれ、頼むということはその次の話だ。そういう方向で何とか日本の宇宙開発体制を再構築していきたいと考えております。
    また、きょう、宇宙開発委員の五代委員、栗木委員がいろいろ話されたことというのは、そういう方向の御意見ですので、今までの宇宙開発委員会とは少し方向が変わるかもしれません。どうか皆さん方から、きょういただいたような基本的な問題にもかかわる御意見を十分にいただきたいと思います。どうもありがとうございます。

 長柄部会長 

   それでは、大分時間も迫ってまいりましたので、最後の総務省の通信・放送等に対する取組みについて現状を伺いたいと思います。

 竹内(総務省) 

   総務省の宇宙通信調査室長の竹内でございます。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、総務省で進めております宇宙開発の取組みについて、お手元に3種類資料を配らせていただいておりますので、それを用いまして簡単に御説明を申し上げます。
    まず、資料6−4−1の表紙をおめくりいただきますと、総務省及び独立行政法人通信総合研究所の行っております取組状況全般を1枚にまとめてございます。通信分野、放送分野、さらには測位、観測、支援系、こういった幅広い分野について宇宙開発プロジェクトを推進しております。特に最近の動きといたしましては、先ほど質疑応答の中でもございましたが、ITの非常に急激な動きの中で将来がなかなか見通せない。そういう中で情報通信ネットワーク全般の高度化、あるいは信頼性の向上、そういったものを支える通信インフラとして宇宙インフラをどう構築していくか、こういうことが最近の課題となっているわけでございます。
    それで、総務省はこういった幅広い分野の研究をしておるわけでございますが、私の方からは、そのうち2つのプロジェクトについて御紹介をさせていただきます。3ページ目でございます。
    3ページ目、まず1つ目のプロジェクトとして、グローバルマルチメディア移動体衛星通信技術の研究開発、通称「次世代LEO」と言っているものでございます。これは平成9年から研究に着手をいたしております。コンセプトを右下の図にお示ししてございますが、これはグローバルな通信システムを実現するために通信技術を開発しよう。コンセプトとしては、携帯端末で2Mbps程度の動画の送れるシステムを実現しようというものでございます。このために、衛星側では、地上のサービスエリアを追尾するような技術ですとか、衛星間を光通信でやりとりする技術、あるいは端末側でのクライアント技術、こういったものをキー技術としてとらえて研究をいたしております。
    研究体制といたしましては、認可法人の通信・放送機構にリサーチセンターを開設いたしました。産学官から研究者を集結いたしまして、プロジェクトリーダーには安田靖彦・早稲田大学教授にお願いをしております。現在、研究員、常勤・非常勤を含めて28名で取り組んでいるところでございます。
    4ページ目にまいりまして、現在の成果でございますが、学会発表が69件、特許出願が4件となっております。中でも、光の衛星間通信技術の関係では、特にトピック的な成果も出てきております。2点ほど紹介申し上げますと、1つは、波長多重の技術でございまして、これは2000年の光通信の学会誌に紹介されたものでございますが、この技術の宇宙応用については、このリサーチセンターでの提案が世界で最初だというふうに紹介されております。あるいは、光変復調技術について、ホモダイン検波方式の受信感度については、次世代LEOのプロジェクトと米国のMITが競い合っている状況だ。こういうようなこともIEEEの中で紹介をされているわけでございます。
    スケジュールでございますが、現在は研究段階、フェーズ1でございます。今後の予定でございますが、これはミッション実証衛星、MDS−3号機の搭載ミッションとして選定されておりますので、3号機で打ち上げるという前提で、平成16年度ごろの打上げを目標に今後宇宙実証に進めていきたいというふうに考えております。
    次の5ページ目に、現在の世界のLEOシステムの動向を簡単にまとめたものをおつけしてございます。イリジウム、グローバルスター、オーブコム、こういったところは既に商用サービスを行っております。イリジウムについては、御案内のとおり昨年の3月、一時事業廃止を表明いたしましたが、その後、国防総省との契約により、現在、新会社による事業再開が行われておりまして、かなりスリムな事業展開が行われているところでございます。グローバルスターにつきましても、既に世界80カ国でサービスが行われておりますし、ICOにつきましても会社再建で高速系の通信サービスに変更した上でサービス開始をしようということで、現在、サービス提供に向けて計画が進んでおります。オーブコムにつきましても、比較的安定した形で経営が進められております。米国の会社破産法の11条に基づいて会社再建ということもありましたが、現在は安定的に営業が行われております。
    こういったLEOをめぐる状況、ビジネス的には今、必ずしもサクセスストーリーにはなっておらないわけでございますが、こういったシステムの次世代システムが2010年ころに当然出てくるであろう。それに向けた研究開発、特にキーテクノロジー部分では世界に伍して研究成果を出していこう、こういうことで取り組んでいるわけでございます。
    次に6ページ目でございますが、2つ目のプロジェクトとして、高度衛星放送システムの研究開発でございます。これは21GHz帯で衛星放送を実現しようという研究でございまして、COMETSで一度チャレンジしたものでございますが、残念ながら実験ができなかったということで、現在、取り組んでいるものでございます。
    背景といたしましては、3のところに書いてございますが、国際的に2007年から、この21ギガを使った衛星放送を実用化できる、こういう周波数を衛星放送に使っていいというような国際的なフレームワークができております。2007年に向けて、我が国としても技術を確立するとともに、国際的な権益を確保していかなきゃいけないということがございます。具体的な研究開発項目といたしましては、降雨減衰の補償に必要な情報収集・分析、あるいはシステムの検討、それを実現するための電力素子ですとかアンテナ技術、こういうものを開発しようというわけでございます。
    右の絵にかいてございますが、例えば大阪で雨が強く降っているというような場合に、その地域に対して最適な降雨減衰をする。それを衛星上で実現する技術を開発しようというものでございます。
    7ページ目にスケジュールを書いてございますが、現在は研究段階でございまして、来年度、平成14年度まで要素技術の研究を行いまして、その後、宇宙実施に向けたフェーズアップを是非お願いしたいというふうに考えております。
    最後の8ページ目には、衛星放送関係での若干の参考資料をおつけしてございます。上のグラフは、我が国の衛星放送加入者の推移でございまして、少しデータが古うございますが、昨年末時点でNHKが1,062万契約、それからWOWOWとスカイパーフェクTVが、それぞれ約260万ということで、約1,500万の利用に至っております。これもBS、BS2から含めて、我が国がこの分野で先端的に取り組んできた成果の一端であろうというふうに考えております。
    それから、下の絵は世界無線通信会議、周波数をどのように利用するかという国際的な調整を行う会議でございますが、昨年決定されたKuバンドでの周波数の利用計画でございます。この会議によりまして、従来、我が国は、赤道上空、東経110度の軌道面で8つのチャネルを衛星放送に使えるという権益を持っておったわけでございますが、昨年の会議の結果といたしまして、これが12チャネル使えるということで権益が、言ってみれば使える周波数が4つ増えたわけでございます。しかも、この周波数帯では、従来、韓国、北朝鮮、パプアニューギニアも同じ軌道で衛星を使うことができたわけでございますが、今回、こういった国々は別の軌道に移動いたしましたので、110度は、言ってみれば今日本の専用で使えますという状況になっております。ただ、衛星放送、現在こういった状況でかなり普及が進んでおりますので、今後このチャネルを使ってもさらに不足をしてくることが予想されますので、21ギガ帯の技術確立、あるいは国際的な権益確保、これを2007年に向けてきちっと進めていくことが国としての役割であるというふうに考えております。
    それでは、次に通信総合研究所の方から4−2の資料、4−3の資料を御説明申し上げます。

 若菜(通信総合研究所) 

   通信総合研究所の若菜です。6−4−2の資料に基づきまして、宇宙通信関係の通信総合研究所のアクティビティについてお話ししたいと思います。
    通信総合研究所は、4月1日から独立行政法人になりまして、システムが幾つか組織的に体制を変えました。その一番大きな宇宙通信関係で言いますと、大きなところで言いますと、宇宙通信の研究と地上の無線通信の研究を1つにしまして、1つの部門で研究開発を行うことにしました。したがいまして、無線通信部門の目標としましては、あらゆる環境でマルチメディア通信ができるようなシステムの構築を目指して、有線と無線の地上系のネットワーク、それから宇宙通信のネットワークをシームレスにつないで、相互に統合した形の宇宙通信システムを構築しようという計画でございます。
    具体的な研究テーマ、どういうものをターゲットにしていくかということで言いますと、まず、ハイリスクな大型の研究プロジェクトの推進と利用技術の実証実験を行う。それから、先端的な技術開発、特にまだ使われていない周波数帯を使うとか、新技術のデバイスを開発する、そういうような先端的な技術開発をターゲットにする。それから、世界的な中核研究機関を目指して、産学官の研究連携とか、あるいは国際共同研究プロジェクトを推進することによって技術の支援、移転、あるいは吸収をして進めていこうということでございます。
    イメージとしましては、宇宙通信だけではなくて、地上の携帯電話、あるいは無線アクセス、それが光ファイバーのネットワークにシームレスにつなぐようなシステム開発を目指して、基盤技術の確立を目指すということでございます。
    その中で、このようなネットワークの中で、衛星通信の特に役割ということを考えますと、まず1つは、地上系にない特徴を生かす、つまり広域性、同報性、柔軟性、迅速性、耐災害性でございます。それから、21世紀における衛星通信のサービスはどうなるかということを考えていきますと、例えば光ファイバー網とのシームレスな接続とか、あるいは携帯端末電話網との移動通信の接続、それから放送分野、マルチキャストのサービス、あるいはデジタルの高精彩のテレビ、マルチメディア放送があります。それから、日本国内だけではなくて、アジア・太平洋をターゲットにしたグローバルな衛星通信システム、それから、国としての安全管理、危機管理、あるいは耐災害性の情報通信システムはどういうものであるかということを目指して研究開発をしていきたいということで、CRLの役割としましては、利用形態を含むような全体的なシステムの検討を行う。それから、技術開発の実験と、先端的な技術開発とその実証実験、2つの観点から研究を進めたいと考えています。
    幾つか今進めている衛星通信関係の研究を御紹介いたします。これは、先ほどの超高速インターネット衛星に関連するものですが、それの発展スコープとしましては、将来の静止プラットフォーム、あるいは新しい通信方式、周波数を使ったものを考えていきたいということでございます。
    こちらは、まさしく超高速インターネットの研究開発、あるいは要素技術としましては、アクティブ・フェーズドアレイのアンテナとか、あるいはATMのオンボードスイッチなどの技術開発も行ってまいりました。
    この中で、研究所としましては、5年ぐらいのターゲットをした中期の目標を掲げてありまして、幾つかここに出てくると思うんですが、例えば小型で150Mbpsのマルチメディア通信を実現するための技術開発を行うとか、幾つかターゲットを設定してございます。
    移動するものに対する通信システムとしては、先ほどから御紹介がありましたETS−8のプロジェクトがあります。我々は、1987年に打ち上げたETS−5から移動体衛星通信の研究を進めていまして、ETS−5、ETS−6、COMETS、それからETS−8のプロジェクトと発展してございます。衛星だけではなくて、もちろん地上の技術が非常に重要になります。ここにありますような航空機で高速の衛星通信を実現するための技術開発、あるいはヘリコプターで高速の通信を実現する、それの応用分野としては、災害・防災の衛星通信システムの実証ができると思います。
    これは準天頂衛星システムの研究ですが、これは静止軌道を45度傾けた軌道に入っています。地上のフットプリントは、このように8の字を描くことから「8の字衛星」とも呼んでおりますが、中緯度地域で見ますと、最低仰角が70度以上、3機の衛星で24時間のサービスができるというシステムでございます。
    そのほか、まだあまり使われていない技術として、光を使った衛星通信の技術があります。将来は、今、宇宙ステーションに載せる光通信装置の開発を行っていますが、さらにデータ中継、静止プラットフォーム、月での広帯域、あるいは惑星探査衛星の広帯域の高速の伝送を行う技術として、この光通信技術が応用できるのではないかと考えております。
    具体的には、JEMに載せます光衛星通信装置の開発、あるいはOICETSの地上との間の実験局を開発しています。要素技術としましてはアダプティブ光学という技術があるんですが、あるいは光機能デバイス、そういう要素技術の研究開発も行っております。
    ETS−7ですが、1997年に宇宙開発事業団が上げた衛星、その中に、宇宙ロボットを用いた大型組立て技術として、着脱実験用の一部装置が、CRLが開発した装置が載っておりまして、実験に成功いたしました。今、このプロジェクトは、軌道上の遠隔検査技術として、故障した衛星の状態を最終的には修理できるような衛星を開発するということなんですが、まだ要素技術の段階で、ADEOS−2にピギーバックで載せますマイクロラブサットの中には、このための画像処理の計算機と、あとカメラが載っております。
    現在、右側にありますような静止軌道近辺は非常に込み合っておりまして、この関係で、宇宙電波の監視技術の研究開発も行っておりまして、これは地上で観測するということで、1つは、静止衛星から出ている電波を使って、その静止衛星の位置を高精度に調べるという技術、あるいは電波を出していないものについては光を使って監視するということで、0.01度以内の監視精度を目指す技術でございます。
    衛星開発だけではなくて、それを使った利用実験も進めておりまして、国際協力による推進としては、さまざまな海外の機関とさまざまな実験を行っています。
    特に韓国とは、2002年にワールドカップがありますので、このデモンストレーションを行うということで、それに基づく基盤的な技術として高精彩の映像、あるいは映像伝送、ATMを使った接続技術などの研究を行っております。
    まとめますと、いろんな研究開発が行われていますが、それぞれに行っている時期も違いますし、スタッフも違いますが、最終的には先端的な技術開発を行って、世界最高水準の高度情報ネットワークの形成に寄与したいと考えております。

 増子(通信総合研究所) 

   引き続きまして、計画6−4−3に基づきまして、独立行政法人通信総合研究所の電磁波計測部門のミッションについてお話をいたします。資料が大分厚いんですが、参考資料として出させていただきましたので、抜粋して説明させていただきます。
    今、若菜の方から説明がありましたが、通信総合研究所は4月1日から独立行政法人として発足いたしましたが、今までの部の体制から、それを整理統合いたしまして4つの部門の体制になっております。1つは情報通信部門、2番目は、今、若菜が説明いたしました無線通信部門、3番目が、これから御説明いたします電磁波計測部門、4番目が基礎先端部門ということでございます。宇宙に主として関係いたしますのは、若菜が説明いたしました無線通信部門と、私どもの電磁波計測部門でございます。
    電磁波計測部門の目的は、通信総合研究所ですから通信・情報に関する研究をやってきたわけですが、その通信・情報の技術から生み出された技術は非常に幅広く応用がきくものですから、それを実社会に応用していく。もう一つは、情報・通信技術を支える技術をやっていく。そういうことで、表紙の題目が「電波と光の幅広い活用を目指して」ということになっております。
    電磁波計測部門、従来の地球環境計測部と宇宙科学部と標準計測部という3つの部が統合してでき上がりました。この3つの分野とも、宇宙と密接に関係しております。独立行政法人、皆様、御存じのように主官庁として、私どものところは総務省が監督官庁になっておりますが、その中に評価委員会というのがありまして、そこから5年間の中期目標が示されます。それが3ページ目に示してありますが、これは非常に要約的にまとめたものです。一番最初の文章は前文ですので、ちょっと読み上げてみますと、「電磁波を用いて地球環境や宇宙環境変動の影響を計測する技術や得られたデータを全世界で利用する技術及び時空標準を確立するための技術を開発する」というのが、総務省から与えられた中期目標でございます。
    その下に書いてありますのは、実はこの部門は、通信総合研究所の中で社会的な実サービスを行うということも手がけております。
    それに対しまして、私どもの方から、これは4枚目のところですが、この中期目標を達成するために出しました中期計画というのがあります。これも非常に要約したものですが、リモートセンシング技術の研究開発に関しましては、宇宙からの地球変動計測技術の研究開発を行う。2番目といたしまして、高度計測技術の利用実証に関する研究開発を行います。宇宙天気予報の研究開発に関しましては、宇宙天気モニタリングシステム及び宇宙天気シミュレータの研究開発、L5ミッションの研究開発等を行いますというのがあります。それから、時空標準の研究開発に関しまして、宇宙関連だけ取り出しますと、3番目ですが、宇宙軸標準の基盤技術の研究開発を行いますというのがあります。
    私たちは、研究所でありますので先端的な技術、あるいは基礎的な技術の研究開発を行うことを使命としております。次から個々の説明をいたしますが、地球環境に関する研究に関しまして、現在、総合科学技術会議で地球環境分野が議論されておりますが、その中で私たちが分担いたしますところは、宇宙あるいは地上も含めてですが、先端的な計測技術、あるいは計測手法と言った方がいいかもしれません。ソフトウェア等も全部含めました手法を開発するということでございます。これは勝手にやるわけではございませんで、外部評価委員会や各種の、NASDAの委員会も含みますが、委員会で優先順位をある程度出していただきまして、その中で、技術的に可能なものをユーザーの方と議論させていただきまして決めてきたものでございます。
    現在、書かれておりますのが次のページにありますが、SMILES、これは既に開発に入っておりますが、宇宙ステーションを利用して、宇宙で初めて超伝導の技術を確立しようというものでございます。
    それから、2周波降水レーダというのは、熱帯降雨観測衛星が飛行して貴重なデータを現在もまだ、ミッションライフを終わった3年過ぎた、まだ依然として大変貴重なデータを送ってきていますが、それの後継機として開発を行う。あるいは地球温暖化の予測をする上で、今、未知の用としてユーザーのニーズが高い雲の3次元構造を観測するレーダ、それから、これは非常に難しい技術ですが、ダイナミックスを観測するドップラーライダーなどの開発項目を検討しております。
    SMILESに関してですが、既に宇宙用の4K冷凍機のEMの開発を終了していまして、私たちが頭が痛いのは、宇宙ステーションの計画が延びておりまして、延びたことによるコスト増というのがありまして、それで頭を悩ませております。
    TRMMの後継機でございますが、これは今アメリカが非常に熱心になっておりまして、GPM(Global Precipitation Measurement)というミッションを進めておりますが、これは3時間ごとに世界の各地域でもって降っている雨を観測して、それを予測に役立てていこうと。8機のコンステレーション衛星というのを使いますが、この8機の衛星の構成をやり、かつ3次元的な雨の分布を求めるということで日本の衛星が期待されております。アメリカとしては、日本とイニシアチブをとってやっていきたいという提案でございます。
    94GHzという非常に高い周波数のレーダを宇宙で実現させようと。左側は、既に私たちが行っております航空機実験のデータでございます。
    非常に高分解能の映像レーダでございますが、省かせていただきます。
    それから、次のページから宇宙天気予報の研究開発の説明ですが、これも従来の宇宙開発の中で、宇宙開発政策大綱の中で認めていただいたものでございますが、私どもとしては、今後、宇宙が利用されるに当たって、その安全性を確保するという意味でこの研究を進めていきたいと。
    次のページに、太陽活動による障害ということで、宇宙機の障害ですとか、有人宇宙飛行の場合の予測できる障害というのが書いてあります。また、宇宙だけでなく地上インフラに関しましても太陽活動は大きな影響を及ぼします。これに対しまして、将来、その予測を行おうというシステムを現在築き上げております。
    もう時間がありませんので、詳細な説明は省かせていただきまして、次のページを飛ばしますと、例えばここにありますのは宇宙環境シミュレーションということで、これは、地上の天気予報と同様に、予報するためにはモデルが必要ですが、その開発を行っているというものです。
    それからもう一つ。これは非常に意欲的な計画で、既に通信総合研究所ではある程度の研究を行っているんですが、地球から1億5,000万キロ離れましたラグランジュ点、これは太陽と地球の重力が等価な点なんですが、ここに衛星を打ち上げまして、太陽の活動をモニターしようと、そういうL5衛星という計画を進めております。次のページは、現在試験的に行っています宇宙天気予報システムの予報ルームの様子でございます。このようにデータを世界各地から集めまして、それを毎日定時に解析いたしまして、予報としてインターネット等を通じて流させていただいております。
    それから、次のページは時刻標準に関する仕事でございます。時刻と申しますのは、正確な時刻を作る、それから、いろんなところで作られた正確な時刻を相互に比較する、それをユーザーに配布するという3つの要素がなければ意味がないんですが、この部分は、実は通信衛星を用いまして時刻を、アジア諸国を主としてターゲットとしているんですが、非常に高精度で比較する技術を作っていこうというプロジェクトを進めているものです。
    次のページは、実は今年度、多分終了することになると思いますが、人工衛星、測地衛星ですが、それを用いた衛星レーダ測距や、それからVLBIという技術を用いまして、地殻の変動を数センチあるいはミリメートル・オーダーでとらえようという技術を開発してまいりました。
    次が、実は次のページを先に見ていただいた方がいいんですが、将来の宇宙開発の中で非常に重要になるのは、宇宙の中で衛星、衛星だけではなくて、デブリですとか、あるいは彗星なんかもあると思うんですが、位置を非常に正確に割り出して、それをリアルタイムで刻々と追跡する、あるいは人工衛星の場合には、その人工衛星が持っております時計を非常に高精度で比較していく。これは地球も含めた宇宙全景の中で時間と空間の座標計として構築しようということが、将来、宇宙の中で必要になってくると言われておりますが、それの基盤技術の開発をやっております。私たち、VLBI技術を開発してまいりましたので、それによって、地球が座標計の中心ではないんですが、地球は人間が住んでいるところですから、その利用の中心となるわけですが、地球の自転軸の傾きですとか、地球の回転などを正確に測定する技術、あるいは、前のページに戻りまして、実はこれはミッション実証衛星で行う予定でありましたが、非常に高精度の衛星搭載の時計ですね。これまでセシウムという時計が主に使われていましたが、水素メーザを使った時計を開発しました。これはEM(Engineering Model)に対応するものですが、宇宙用を想定して作られております。この場合には、もう既に試験は終了しているんですが、1秒間で約2けたの精度の向上を得ました。セシウムが大体10のマイナス11乗、これは不確定さですが、それに対しまして、これですと10のマイナス13乗、だから、1万時間たちましても10のマイナス14乗の精度が保てるというようなことを確認しております。
    以上でございます。

 長柄部会長 

   ありがとうございました。残り時間があまりございませんが、総務省からの3つの説明につきまして、質問なり御意見ございましたらどうぞ。

 五代委員 

   今、特にCRLさんから、これは研究所でありますけれども、次世代衛星計画の主導的役割を持ちたいというお話もございました。ただ、衛星計画、プログラム、プロジェクトですね、先ほどからいろいろ議論ありましたけど、それが連携をもってちゃんと日本として進んでいるのか。そのときに、技術だけでなくて、スケジュールとお金という中でまとめていかなきゃならないわけですね。それで、どうやって利用するか。そういう意味でCRLさんがどうなのか知りませんけど、独立行政法人になられたということは、事業化ということができるんだろうと思います。すぐどうということはないと思うんですけど、知恵も出すけれども、それを実現するためのお金も集めるとか、今、非常に厳しい世の中ですから、そういう方向もしていかなきゃならないのかと思っています。知恵を出して、さあ、やれ、どこかから集めてこい、やれというだけでは、全部が断片的になって、つながりもないのではないかと思いますので、よろしくお願いします。

 増子(通信総合研究所) 

   実は無線通信と電磁波継続部門でかなり状態が違っておりますが、若菜、無線通信に関して何かコメントはありませんか。

 若菜(通信総合研究所) 

   おっしゃるとおりで、我々は技術開発だけ出していれば予算がつくというわけでもないし、どういうようなものが利用されるか、常にターゲットをいろんな産業界の方々とか、あるいは、国の公的機関の方々からどういう技術がどういうふうに利用されるか、常に相談しながら進めなければ予算もとれないし、実際に衛星が上がって実験もできませんので、その辺はこれからは十分に注意して進めたいと思っております。

 増子(通信総合研究所) 

   電磁波計測部門に関して申しますと、一番後ろのところにまとめをつけたんですが、私たちの研究は非常に公共性が高いということと、まあ、それが1つの特徴であったんですが、その一番下のところに書きましたが、「社会や国民への直接的な成果の還元を目指す」ということ、これは、図らずもNASAもそういう方向で動いているんですが、そういう方向を目指していくと。ただ、今のお話ですと、外からお金をとってくるということも考えてというお話ですが、発足したばかりで、まだそこまでの体制はできていないんですが、そういう方向を目指すように理事長の方からのかなり強力な指導があります。例えばベンチャー企業の創出ですとか、そういうものを目指すようにということで、今後そのような形でやっていくと思います。
    もう一つは、国際協力を積極的に進めていくことだと思います。ですから、今までみたいに日本だけで何かをするということは非常に難しいわけですから、各国が協力して1つの目的に向かっていく。そういうことを、例えば熱帯降雨観測衛星の後継機ですとか、あるいはミリ波の雲レーダを搭載した衛星は、現在、ESAと国際協力を進めていこうとしていますが、そういう方向を目指していきたいというふうに考えております。

 長柄部会長 

   3人手が挙がったようですけど、中西先生から。

 中西特別委員 

   総務省の研究開発ということで、主に通信総合研究所の取組みだけが発表されたんですけれども、この研究開発体制で、例えばグローバルマルチメディア移動体衛星通信技術の研究開発では、LEOリサーチセンターを開設したとか、ほかの取組みもあるように思えるんですね。それが1つと、あと、取組みについてでストラテジーを作っていらっしゃると思うんですけれども、いろいろコスト計算等々がありましたら、何も日本で開発しなくても、既にある安いものを買えばいいと思うんですね。今のお話で「コスト」という言葉が1回しか出てこなかったんですが、コスト意識といいますか、技術は、共同研究ではなくて、どこかから買うというようなこともちょっとお伺いしたいんです。済みません。あと二、三分で出てしまうんですが、よろしくお願いします。

 竹内(総務省) 

   それでは、次世代LEOの関係で、まず、LEOリサーチセンターでございますが、これは実際にサブリーダーを務めていただいておりますのは、通信総合研究所の研究員の方に出向で来ていただいてやっております。実際に共同研究契約を結んでやっておるということでございます。背景といたしましては、従来、宇宙開発は宇宙開発事業団で一元化といいますか、一本化してやってきたわけでございますが、こういうビジネスに直結するようなものについては、開発リソースの多様化を図っていこう。特に通信・放送機構は、産学官の研究者を集めて、政府の出資による研究開発を行うというスキームがございますので、そのスキームのもとで、こういう宇宙開発を新しくやっていこうということで、このプロジェクトを始めたものでございます。ただ、通信・放送機構単独でこの研究を始めるというのは、やはり難しゅうございますので、通信総合研究所の人的な支援、あるいは産業界の方々にも研究者として入っていただいて、結集してやっているというのが研究体制でございます。
    それから、コストの関係では、これは日本だけで幕の内弁当で衛星を作ろうということは考えておりません。世界に開かれた体制でやろうということで、当初から世界に開かれた体制でやろう。海外の研究員にも非常勤で入っていただこうということで門戸を広げておりますし、実際に開発あるいは実用段階では、これはグローバルシステムでございますので、日本だけで研究して、日本だけで実用システムを作っても、これは当然、日本以外で本当にサービスができるのかということがございますので、実用をだんだんにらんできた段階で、例えばヨーロッパで1機上げるとか、あるいはミッション機器は分担して開発するとか、宇宙実証の段階になった時点で具体的な国際協力というものは視野に入れてやっていく。そういうことで研究も効率化でき、コストエフェクティブな研究ができるのではないかというふうなことを、これは当初から念頭に置いて研究を行っております。

 松野特別委員 

   それでは、今の電磁波計測の関係のことなんですけれども、独立行政法人化でコスト、いろいろなお話が出ました。その観点でコメントさせていただきたいのは、もう既に御発表がありましたように、熱帯降雨観測衛星、これは通信総研で作られて、それは世界で初めて、しかも、ほかでは必ずしもそれができるかどうかわからなかったのに、非常に立派なもので、今お話があったように、今度、世界全体をはかるようなものに引っ張っていく、その原動力になったということで、それ以外にもたくさんの計画があって、通信総研における電磁波計測は大変レベルが高いものというふうに思っております。たしかそういう環境観測の本を去年ぐらいですか、出されまして、大学関係の人も多いんですが、通総研の方が半分ぐらい著者になっていて、本当に立派な技術がそこにあると、電磁波を使った計測に関して。世界でも貴重なものだと思うんですが、それが、今のお話ですと、独立行政法人云々かんぬんということで、今のそういうものをきちっと残していくとかいうのは、特に公共の利益というか、国民全体、人類全体の利益にかかわるようなことについての技術なんですから、是非ともそれを残して、さらに発展させていただきたいと思っております。
    以上です。

 宮崎特別委員 

   資料6−4−1のLEOに関してなんですけれども、5ページを見ますと、代表的なLEOシステムで、4つの事業者のうち2社は2000年に事業を廃止したり、事業を再建したりしているわけです。ですから、失敗する可能性も高いと思うんですね、こういう状況を見て。または孤立してしまう、そういう可能性が高いと思うんです。ですから、こういうふうに状況が変わったときに、プロジェクトの目標をもう少し変えたりですとか、体制をかえたりする、そういうことは必要だと思うんです。ですから、なぜまだ継続的に次世代LEOをこのような状況で開発されているのか、ちょっとお尋ねしたかったんです。

 竹内(総務省) 

   ありがとうございます。私ども、こういった世界の動きを見ながら、必要なところは当然柔軟に状況を見ながら、変更すべきところは変更して進めていきたいと思っております。例えばイリジウムがなぜ失敗したかということもよく言われるわけでございますが、衛星搭載交換機のチャネル当たりのフィルターの幅がかなり狭くて、高速通信に対するニーズに対応し切れなかったとか、あるいは、思っていたよりも地上系の携帯電話が早く普及してしまった。それがために、システムができたときにはマーケットがかなりシュリンクしていたというような背景がございます。しかしながら、これから移動通信も高速化していく中で、LEOシステムの持っている特徴、特に伝送遅延が非常に少ない、あるいは伝送ロスが圧倒的に少ない、こういう絶対的な利点がございますので、この利点をうまく活用しながら、日々変化するマーケットを見据えて、どのようなシステムを作っていくか、これを日々、日々といいますか、毎年評価もいただきながら考えていっているところでございます。意見は真摯に受けとめて考えていきたいと思っております。

 大島特別委員 

   今の御発表だけじゃないんですけれども、全体を見て感じたことなんですけれども、きょう御発表になったことは通信が中心だったんですけど、おそらくこのプロジェクトを通してやりたいことは、高速に大容量のデータをどこでも、移動していても、過疎でも、どのようなところでも受け取れる、そういう全体のイメージがあったんですね。それに際して、いろいろ技術的に開発しないといけないことはあると思うんですね。ただし、先ほどの質問に対しての答えにもあったように、これからそういうビジネスとかを考えていくとなりますと、そういうふうに高速で大量に宇宙から発信されたデータを地上でどのように利用していくかというのは問題になってくると思うんですね。それは、質問の中でもいろいろあったと思うんですけれども、安く、便利で、大量なデータを今後どうするかということに対して、どういうふうにお考えになっているか。それに対して、またフィードバックをして研究開発を今後どう進めていくかというのは大事になってくると思うんですね。そのときに産業界との連携として、実際にどういうサービスを国民が求めているかというのが大事になってくると思うんですね。ですから、そこら辺を、ちょっと個人的なコメントなんですけれども、もう少し整理されて、その上での開発を今後考えていただいた方がいいんじゃないかなと思いました。
    特にサービスというのは、これから大量のデータが出てきますので、それをどうやって整理するかとか、あと、コンテンツが時代とともに変わってくると思うんですね。ですから、それをストラテジー的にやっていくという必要もあると思いますし、やはり便利ということになりますと、セキュリティの問題とかも出てきますので、それもいたちごっこなので、それをどうするかということと、あと、質の高いサービスになると、バーチャルリアリティ的に、やはり臨場感をもってゲーム感覚でやるとか、そういうようなゲーム産業の話とかも出てくると思うんですね。ですから、そういう意味でニーズは非常に高いと思うので、それを踏まえた上で、どういう研究開発が必要で、それに対してどういうスケジュールを今後立てていくか。それが時代とともに変わったときに、どういうふうな方向修正ができるかというのを、全体のビジョンとして見えにくかったところがあったような気がするので、そういう計画をもうちょっとわかりやすくお話ししていただければなと思いました。

 竹内(総務省) 

   来年からの説明には是非配慮したいと思います。

 長柄部会長 

   今のは総務省だけじゃなくてNASDAも含めて全体の話かというふうに受けとめております。
    時間がもう過ぎてしまいまして、申しわけございません。本日はこれで終了したいと思います。
    次回は7月27日、金曜日の午後でございます。場所等については、また追って御連絡すると思いますが、一応本日までで既存計画について、今走っている計画の説明と質疑は終わったわけです。次回は、新規の計画、例えば金星プロジェクト、今、小委員会で検討している、あちらの方について審議経過等を聞くと同時に、残っている問題として、H−2A増強型の開発を今後どう進めるかという問題ですね。これは予算との関連がございますのではっきりしたことはあれですけど、NASDAの方から増強型の開発を今どういうふうに検討しているかとか、それとの絡みで、きょうございましたETS−8ですね、これが非常に絡んでおりますので、こういう問題についてNASDAの検討状況も伺いたいと思います。そして、きょうは6回目ですが、1回目から6回目までのある程度のおさらいと申しますか、最終報告は8月でございますけれども、最終報告をまとめるに当たって、今までのいろんな御意見等をある程度まとめて、最終報告にどう持っていくかということの検討もお願いしたいと思っています。
    時間が超過して申しわけございませんでした。どうもありがとうございました。

――了――





(研究開発局宇宙政策課)

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