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宇宙開発委員会

2001/05/31 議事録
宇宙開発委員会 計画・評価部会(第3回)議事録


宇宙開発委員会 計画・評価部会(第3回)議事録

1.日時 平成13年5月31日(木)
  14:00〜16:20

2.場所 文部科学省別館第1会議室(旧科学技術庁5階)

3.議題 (1) 国際宇宙ステーション計画全般について
  (2) 国際宇宙ステーションの日本の実験棟(JEM)、宇宙ステーション補給システム(HTV)及びセントリフュージについて
  (3) JEM利用計画について
  (4) 先端・基盤技術開発について
  (5) 信頼性向上共同研究プロジェクト(3機関連携)について
  (6) 経済産業省の取組みについて
  (7) その他

4.資料 計画3-0-1 宇宙開発委員会計画・評価部会(第1回)議事録
  計画3-0-2 宇宙開発委員会計画・評価部会(第2回)議事録(案)
  計画3-1 国際宇宙ステーション(ISS)計画について
  計画3-2-1 国際宇宙ステーションの日本の実験棟(JEM:きぼう)
  計画3-2-2 生命科学実験施設(セントリフュージ)
  計画3-2-3 宇宙ステーション補給機(HTV)
  計画3-3 きぼう利用計画
  計画3-4 NASDAの先端・基盤技術開発への取組み
  計画3-5 3機関連携事業信頼性向上共同研究プロジェクトについて
  計画3-6 経済産業省の宇宙開発の概要について
  計画3-7-1 地球観測分野における協力と分担
  計画3-7-2 第2回計画・評価部会で出された質問票への回答

5. 出席者
     部会長 長柄喜一郎
     宇宙開発委員 井口雅一(委員長)、栗木恭一、五代富文
     特別委員 上杉邦憲、大島まり、澤岡昭、高柳雄一、冨田信之、中西友子、松野太郎、薬師寺泰蔵、八坂哲雄、山根一眞
     オブザーバ 斉藤勝利、池田要、狼嘉彰

6.議事内容

 長柄部会長 

   それでは、定刻になりましたので、第3回の計画・評価部会を開催したいと思います。
    本日は、皆様大変お忙しいところ、また、悪天候のところをおいでいただきまして、ありがとうございました。
    今回、山根特別委員が初めて参加されましたので、最初に、山根委員の専門とか、興味をお持ちのようなことを含めて、簡単に自己紹介をお願いしたいと思います。ひとつよろしくお願いします。

 山根特別委員 

   皆さん、こんにちは。山根です。
    実は先回、先々回、世界一周の取材をずっとしておりまして、やっと戻ってきたところなんですが、最初にいきなり宣伝ですけれども、7月4日から5カ月間にわたって北九州で博覧祭がありまして、そこに私のメタルカラー館というのを出展することになりました。これの目玉展示は当然、宇宙でございまして、是非これを見ていただかないと皆さんのお仕事も進まないと、こういうふうに思っているわけです。
    実は、NASDAさんの方から非常に理解をいただきまして、小笠原上空で指令破壊されたH−2のLE−7のエンジン、この現物も展示をするということをさせていただきます。その趣旨は、多分この委員会とも関係すると思いますが、失敗ということを恐れていたら宇宙開発は何もできないということを広く一般の人たちにも知ってもらいたいなと、高度の科学技術はそういうものだと、フロンティアに進んでいくというのはそういうことだということを伝えることが私の使命だというふうに思っておりまして、今回この委員会に参加させていただいたのも、まあ、国民の声じゃないんですけれども、そういうことを広く知ってもらいたい、そういう認識を進めなければ日本の宇宙開発も先に行かないよという意味で参加させていただきました。
    先日は、世界一周の途中、また、すばるのマウナケアの山頂へ登ってきました。これでもう五、六回目になりますけれども、やはりすばらしい日本の宇宙力というのがあるわけですから、大事に育てていきたい。いわば宇宙の応援団としての仕事をいろいろさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 長柄部会長 

   ありがとうございました。
    また、本日は、国際宇宙ステーション関係、それと、先端・基盤技術関係の現状のレビューをお願いしたいと思っております。
    それで、宇宙開発事業団から、宇宙環境利用担当の池田理事、それから、先端技術開発担当の狼研究総監に御同席いただいております。
    それでは、本日の議題に入ります前に、お手元の資料の御確認をお願いしたいと思います。数多くございまして、全体で13種類あるはずでございます。欠けているものがあれば事務局の方に申し出ていただきたいと、こう思います。
    また、最初の資料でございますが、計画3−0−1、これは第1回の議事録でございまして、前回お配りしたものでございますが、先生方からの修正意見を取り入れまして、確定版として配付させていただいております。
    また、3−0−2でございますけれども、これは前回の議事録の案でございまして、修正意見等がございましたら、今週中ぐらいに事務局の方に申し出ていただきたいと思います。次回の会合に、それを修正した上でお配りしたいと、こう思います。
    それでは、議題に入りたいと思いますけれども、最初に宇宙ステーション関係でございます。なお、本日の主な議題は、宇宙ステーション関係と、基盤技術開発関係、その他となっておりまして、宇宙ステーション関係では、全体で1時間20分ぐらいを予定しております。基盤技術開発とその他で約1時間を予定しておりますので、御協力のほどお願いします。
    宇宙ステーションにつきましては、非常に膨大な計画でございますので、最初に宇宙ステーション計画全般についての説明を伺い、若干の質疑を入れた上で各論に入って、宇宙ステーションのいわゆる日本モジュール、JEMの開発・運用は現在どうなっているか、それから、JEMの宇宙ステーションの利用の計画はどうなっているかということを、全般と、開発と、利用について、3つに分けて議論をしていきたいと、こう思っております。よろしくお願いします。膨大な資料でございますので、説明される方は簡潔にお願いしたいと思います。
    それでは、最初に宇宙ステーション計画全般について、堀川さんの方からお願いいたします。

 堀川(宇宙開発事業団) 

   宇宙開発事業団の堀川と申します。よろしくお願いします。
    まず最初に、国際宇宙ステーション計画全般について御紹介します。
    本日お話しします内容は、宇宙ステーション計画の目的、意義、あるいは参加各国の役割、それと、現在の宇宙ステーションの状況、国内の現状がどういうふうに進んでいるかということを御紹介させていただきます。
    次、お願いします。
    国際宇宙ステーションは、皆さん御存じのように、米国、欧州、カナダ、ロシア、それに日本が参加しまして、地上から約400キロメートルの高度を周回する、大型の多目的の有人施設でございまして、さまざまな実験、観測等を行う予定にしております。完成後は、7名の宇宙飛行士が常時滞在して実験を行い、約10年間にわたって利用する予定にしております。
    宇宙ステーションの大きさですが、よく言われますように、この太陽電池パドルを広げた大きさが、サッカー場の広さとほぼ同じぐらいあるという非常に大型のもので、人が居住します実験、あるいは居住空間の大きさは、いわゆる日本の3LDKの家が五、六軒分入るぐらいの居住空間を有しております。
    次、お願いします。
    この宇宙ステーション計画に我が国が参加します意義ですが、まず、この宇宙ステーションを用いましてさまざまな科学的な知見を得るということで、先端科学技術への挑戦の実験をしたいと思っております。まず1つはライフサイエンスの分野で、生命の起源、重力と生命との関係を調べること、あるいは、先端技術開発を行って、この無重力の環境を通じてさまざまな新しい素材の研究を行うこと、あるいは、この宇宙ステーションから天体を観測した、宇宙の起源等に関する研究、あるいは、グローバルな地球の観測を行うことによって、地球環境変動への情報を得て、地球観測衛星とタイアップしながら観測を進めていくこと、さらには、有人の宇宙システムとして、宇宙医学の分野でのさまざまな研究を行うことを計画しております。
    次、お願いします。
    この宇宙ステーション計画は、科学的な知見だけではなくて、社会経済への貢献もできるように検討を進めておりまして、無重量の環境下で高品質な蛋白質結晶を生成することによりまして、現在進められておりますポストゲノムのいろいろな検討を、この蛋白質の構造解析を通じて知見を得て、社会経済に貢献していこうと。あるいは、応用研究として、新しい半導体材料等を使って、現在言われています高度情報化に貢献するような研究を進めていくということ。
    さらには、こういった活動を通じまして、一般的な利用、特に教育、あるいは、宇宙空間に異なる国々の人たちが集まって活動しますので、その活動を通じて世界の文化に貢献すること、さらには、この宇宙ステーションでのさまざまな活動を民間の活動に応用していくといったようなことも考えております。また、こういう活動を通じて、国際社会、特に国際協力を行うことによって、世界が1つということのシンボルとして国際宇宙ステーションの活動をしていきたいと思っております。
    また、この宇宙ステーションの開発を通じまして、我が国としては、後ほど述べます日本の実験棟「きぼう」の開発を進めているわけですが、日本として初めての大型構造物、約30トンぐらいの大きさの宇宙の有人施設を国内で開発をする。その開発のプロセスの中でさまざまな基盤技術の習得を行い、また、宇宙飛行士の活動を通じまして、宇宙でのヒューマンファクターの研究等も行って、知見を得て、将来の有人宇宙活動に貢献できるように考えております。
    また、後ほど述べます宇宙ステーションの補給機等の技術を通じまして、宇宙でのランデブー、ドッキングの高度な技術、あるいは、世界がタイアップした宇宙ステーションの運用を円滑に行い、宇宙飛行士が安全に軌道上で活動していただくようなシステムとして構築することを考えております。
    次、お願いします。
    この宇宙ステーションは、先ほども言いましたように各国が協力し合って作っているわけですが、ここに、それぞれの国がどういう要素を作って貢献するかということを示しておりますけれども、ロシアが後ろの部分、米国がこの黄色い部分、日本がこの赤い部分を開発しておりますが、それぞれの国が単に要素を持ち寄るだけではなくて、お互いにディペンドし合いながらこの宇宙ステーションの1つのシステムを構築するということで、米国が実験施設の非常に大きな部分を必要とすることに対して、日本やヨーロッパがその実験施設を提供する、あるいは、ロシアの部分の実験施設も米国が利用するということに対しまして、日本やヨーロッパは、自分たちの実験のために必要なリソースを米国からもらう、あるいは、ロシアが宇宙ステーション全体の軌道を制御するといったようなことで、お互いに力を合わせてこの計画を進めているわけです。
    ここに、それぞれの国がどういう要素を提供するかを示しておりますが、先ほどの絵と見比べていただければよろしいかと思います。
    次、お願いします。
    この宇宙ステーション計画における日本の役割ですが、まず、日本の実験棟「きぼう」を開発し、その運用施設を整備して運用をしていくということです。また、この「きぼう」の打上げをスペースシャトルで行うわけですが、そのスペースシャトルで打上げてもらうことの代替として、日本は生命科学実験室(セントリフュージ)を開発しております。
    それから、この宇宙ステーションに、運用フェーズになりましてさまざまな物資の補給が必要になりますので、日本のH−2ロケットを用いた補給システムの開発を行っております。それぞれの利用権、あるいは電力等のリソースの配分は、ここに示したとおりの配分を国際間で約束をしております。
    この宇宙ステーションは、世界の国々が協力し合って運用するわけですが、米国の施設、中心はジョンソン宇宙センターですが、そのジョンソン宇宙センターを中心に宇宙ステーションの運用をするわけですけれども、日本、ロシア、ヨーロッパ、カナダといった機関が、それぞれの国からこの運用を支援するという、国際的に全体で協力し合って行う運用になっております。
    御存じのように、約2年半ほど前、1998年に最初の宇宙ステーションの組立てが始まりましたが、一時ロシアのプロトンロケットのトラブル、失敗によりまして間があきましたけれども、昨年の7月から順調に組立てが推移しておりまして、昨年の11月から宇宙飛行士3人が常時、軌道上に滞在をしております。現在は、今年の3月に第1次の飛行士が第2次のクルーと交代して、現在、第2次のクルーが宇宙ステーションに滞在しております。また、4月にカナダのロボットアーム、これは宇宙ステーションの組立てを進めていくために用いるロボットアームですけれども、これが4月に打上げられております。現在、次の打上げがこの6月に予定されておりましたが、カナダのロボットアームで少しトラブルがあるということで、7月に打上げが延びそうな状況になっております。
    日本のモジュールは、2004年の2月、5月、それから、2005年の1月にそれぞれ部分的な要素を3回のシャトルのフライトで打上げる予定になっておりまして、2006年に組立てが完了する予定になっております。
    これが現在、宇宙で飛行しております宇宙ステーションの現状でございまして、4月に上がりましたロボットアームがここに取りついて、3人の飛行士が滞在している状態で運用されております。
    この宇宙ステーション計画の我が国の推進体制ですが、この計画は、日本国政府が、国際間の協力、政府間協力によりまして実施している計画でございまして、文部科学省が、ISSの協力機関として、レベル1といいますか、政策レベル、あるいは計画レベルの調整を国際間で行っていただいております。
    宇宙開発事業団は、その中で開発、利用、運用の実施機関として、技術的な国際間調整を踏まえて国内の体制を維持しております。開発企業、あるいは利用のさまざまな機関との連携、それから、運用の機関の連携を行った開発体制をとっております。
    これが宇宙開発事業団の中での組織体制ですが、理事長のもと、宇宙環境利用システム本部がこの計画を遂行しておりまして、本部長は、私どもの方の池田理事が担当しております。私は、その中で、国際間の計画調整のカウンターパートとして、プログラム全体をマネージしております。
    宇宙開発事業団の中には、それぞれプロジェクトチームがありまして、JEMの「きぼう」の開発プロジェクト、セントリフュージの開発プロジェクトというのがこの中に入っております。運用技術部がステーションの運用を担当しております。
    先ほど言いましたHTV(宇宙ステーション補給機)につきましては、宇宙輸送システム本部で開発を行っておりますが、当本部の全体システムの統括のもと、システムの開発を担当しております。
    また、安全・信頼性管理室が、安全の評価を行っております。
    利用に関しましては、宇宙開発事業団の中に宇宙環境利用研究システムというのが作られておりまして、そこで宇宙ステーションの利用に関するさまざまな活動をするとともに、外部との連携をとっておりまして、宇宙環境利用研究センターがその対応をとっております。
    これが、これまでに使われました、あるいは、今後使います全体の計画資金でございますが、米国は1993年に計画の見直しがありましたので、少し状況が違うんですが、各国が計画を見直す前、米国が見直す前に約1兆円のお金を支出しておりまして、その後、開発にこれだけの資金、今後、宇宙ステーションの運用に当たってこの部分の資金を必要として、トータル10兆円近い資金が必要になっております。日本は、開発に約五千数百億円、今後10年の運用を合わせると約1兆円規模の計画になっております。
    こちらが欧州、カナダの状況でございます。
    我が国のこれまでの資金の推移でございますが、13年度までこれだけの資金を消費しまして、開発、運用準備等を行ってきております。あと、打上げまで数年の間に資金をさらに追加することによって、宇宙ステーションの定常運用に入ります。その間、「きぼう」の運用経費、利用の経費、さらにはH−2Aロケットの開発をすることによって、宇宙ステーションの共通経費を代替するという経費が積み上がっております。
    この宇宙ステーション計画につきましては、さまざまな評価を行ってきておりますが、計画をスタートする前に、宇宙開発委員会のもとに宇宙基地計画特別部会が構成されまして、この宇宙ステーション計画に本格的に参画するに当たってのさまざまな議論を経て計画に参加してきておりまして、中間評価としまして、一昨年、国際宇宙ステーション計画評価委員会というのが宇宙開発委員会のもとに構成されまして、この計画に関するレビューを、政府の方針に基づきまして実施しております。また、宇宙開発事業団の中でも、宇宙環境利用部会というのを構成しまして、外国の方も含めて評価を受けてきております。この評価の中で、日本は適切に計画を行っているということは評価できるが、今後の利用をさらに推進するように、また、国民に十分に理解を得るような活動を展開すべきであるというふうに指摘をされております。
    現在、宇宙ステーション計画は、順調に組立ては推移しているんですが、今年の初め米国の政権がかわったことも含めまして、NASAが、これまでの計画の中でコストがオーバーランしているということから、現在、組立てスケジュールの一部の変更、さらには、将来7人の宇宙飛行士の体制にするための搭乗員緊急帰還機の開発、あるいは居住のモジュールの開発について、ほかのパートナーとの連携に関する調整を行っております。
    宇宙ステーションの搭乗員の7人体制に移行する時期が遅れますと、宇宙飛行士の搭乗機会であるとか、宇宙ステーションでの搭乗員の作業時間に制約を受けることになるわけですけれども、あるレベルの利用実験ができるように、現在、NASAと調整を行っております。さらには、せんだって非職業宇宙飛行士が宇宙ステーションを訪問したということもありますが、この宇宙ステーション滞在にかかわる基準の作成であるとか、宇宙ステーションを民間でさらに利用していくためにどういう基準が必要であるかということを、現在、検討しているところでございます。
    以上が、宇宙ステーションの全体の状況です。

 長柄部会長 

   ありがとうございました。
    何か質問ございますでしょうか。
    冨田先生、どうぞ。

 冨田特別委員 

   費用のことでちょっと質問したいんですけど、組立て段階で、要するに、日本人の宇宙飛行士が飛行をしますね、そのときに、例えば、NASAに対して代金を支払うというようなことはあるのでしょうか。あと、運用段階に入りますね、そのときに定期的に宇宙ステーションに住むわけですけど、その旅費とか滞在費みたいなものが発生するわけですね。そういうのはどういうふうになっているか。
    そもそも宇宙ステーション本体の運営する費用というのは、アメリカに拠出して、アメリカがプールして管理すのるのか、それとも各国が独自に何かやるのか、その辺の構造がどうなっているのか御説明いただきたい。

 堀川(宇宙開発事業団) 

   宇宙飛行士につきまして、組立て段階の宇宙飛行士は、基本的に今、米国のシャトルのフライトでアサインされています宇宙飛行士、いわゆるミッションスペシャリストがこれに当たることになっています。このミッションスペシャリストには、各パートナーからの宇宙飛行士が、米国ジョンソンの方で訓練を受けて飛行することになりますが、その訓練費用はそれぞれの国が負担をしますが、フライトに当たっての特に経費が発生するということはありません。
    それから、定常段階での宇宙飛行士の飛行につきましても、それぞれの国がどのくらいの割合で宇宙に行けるかということは、協定上、決められておりまして、その宇宙飛行士を養成する経費その他は、それぞれの国が、それぞれの国の宇宙飛行士の負担をするということで、宇宙ステーションに行くに当たっての経費が発生することはありません。
    ただ、宇宙ステーションが軌道上で滞在するときに必要なさまざまなロジスティックス、例えば、着るものであるとか、食べるものであるとかというものは共通運用経費として計上されまして、これは、生産ベースでそれぞれの国に配分されているリソースの配分割合に基づいてその経費を払うことになります。その経費を払うことの代替として、日本は、H−2Aロケットで補給をするということをもって、そういう活動で対応するという形になっております。ですから、お金のやり取りは発生しないように今は調整をしています。

 冨田特別委員 

   そうしますと、スペースシャトルに乗って宇宙飛行士の滞在要員が行ったり帰ったりしますね。それは、特にそのときにはお金は払わないと考えて良いですね。

 堀川(宇宙開発事業団) 

   はい。

 冨田特別委員 

   それから、例えば、日本の実験機材をスペースシャトルで運ぶようなことがあるとしますね。そのようなときはどうなんでしょう。

 堀川(宇宙開発事業団) 

   実験装置はそれぞれ各国の固有のものですので、それぞれの国の自分の補給システムを使って打上げる場合は自分が持ちますし、シャトルを使う場合には、シャトルで打上げ相当の料金が課金されるということになります。

 冨田特別委員 

   どうもありがとうございました。

 長柄部会長 

   もしあれば、また後でそれぞれの各論の方で伺いたいと思います。
    それでは、JEM「きぼう」の開発状況について説明してください。時間が限られておりますので。

 堀川(宇宙開発事業団) 

   日本の「きぼう」の開発、HTVの開発、セントリフュージの開発、それぞれプロジェクトマネージャーが後ろに控えておりますが、時間もありますので、私がすべてまとめて御報告させていただきたいと思います。
    まず、日本の実験棟「きぼう」のプロジェクトですが、その概要と、開発の状況、運用体制、それから、ミッションの達成目標と、現在どういうリスク管理を行っているかということを御紹介したいと思います。
    日本の実験棟の開発プロジェクトは、まず幅広い分野の利用のニーズにこたえられるような軌道上の実験施設を提供するということ。それから、有人宇宙活動の技術、あるいは軌道上組立て技術を習得するということを目的として開発を進めております。
    「きぼう」の概要ですが、船内実験室、それと、宇宙ステーションとしては非常にユニークな、船外に露出した部分で天体観測、地球観測ほかの実験ができるような施設、それと、宇宙飛行士が船外に出なくても済むようなロボットアームの開発等を通じて、日本の実験棟の開発を行っております。
    現在、日本の実験棟の開発はすべて最終段階に来ておりまして、それぞれの要素、船内実験室、ロボットアーム、船外プラットフォーム等の開発は、最終のシステム試験に入っておりまして、この秋にすべて筑波宇宙センターの方に集まりまして、電気的に結合した全体システム試験を約1年間、行い、その後、船内実験室につきましては米国に輸送をして、米国で、ほかの日本の「きぼう」が取りつきます相手方との結合試験を行って、打上げに供するというスケジュールになっております。
    この「きぼう」の開発体制ですが、宇宙開発事業団がNASAとのインターフェースも含めて全体の取りまとめを行いまして、船内実験室については三菱重工、船外プラットフォームにつきましては石川島播磨重工、それに、旧日産であります石川島播磨のエアスペースディビジョンが船内保管室、ロボットアームが東芝、そのほかにさまざまな機器を、いろんな企業が参加して開発を進めております。
    これが現在の「きぼう」の開発状況でございまして、ここには船内実験室の現在の試験状況が示されております。
    船内保管室につきましては、すべて作業が完了しております。
    それから、ロボットアームは、宇宙飛行士を交えた試験を現在、行っております。
    そのほかも、順調に開発がこのスケジュールで進んでおります。
    この「きぼう」が打上がりました後、宇宙で運用するわけですけれども、その運用をするための運用管制システムの開発、あるいは、宇宙飛行士の、このシステムを操作するために必要なトレーニングシステム、トレーナーと呼んでいますが、そういったシステム、あるいは、船外活動、船内活動に必要な運用の手順書の作成等を行っております。
    運用の体制ですが、宇宙開発事業団が全体の計画・管理を指揮しまして、運用取りまとめ企業にその運用の作業を遂行してもらい、そのもとに開発企業であるとか、実際のリアルタイムの運用、地上システムの運用等を、企業の支援を受けて進めることにしております。リアルタイムの運用につきましては、フライトディレクター中心に運用を進めて、全体の体制としては、ここにありますような要員体制で進めることにしております。
    日本の宇宙飛行士というのは、初期段階では1年に約4カ月ぐらい、定常段階では半年分ぐらい軌道に搭乗することができるわけですが、現在こういった宇宙飛行士に、組立て及び宇宙ステーションでの長期滞在の訓練をしてもらっております。
    日本の「きぼう」の開発に要しました資金がここに提示されておりまして、14年度の作業をもってほぼ全体が完遂する予定になっております。
    一方、「きぼう」の運用準備資金もこういった形で消費してきておりまして、あと、16年度の打上げまでにこういった資金が必要になっております。
    日本の実験棟のミッションとしましては、最初に申し上げましたように、ユーザーフレンドリーなシステムを作って、技術基盤を蓄積することでございますが、開発フェーズのミッションサクセスのクライテリアとしましては、確実に開発を完了すること、また、要求された機能や性能を満足して、安全をきちっと確保したシステムに作り上げること、それから、得られた成果を適切に蓄積して技術者の養成を行うということを、開発フェーズのクライテリアにしております。
    それから、軌道上の初期フェーズでは、確実に組立てを完了して、初期軌道でのチェックアウトを確実に行い、利用に供せるようにすること、定常段階では、利用が確実に成果が上げられるように支援することと思っております。
    それから、「きぼう」に関する、開発におけるリスク管理活動ですが、事業団の中でのさまざまな会議等を通じてリスクを管理して、適切に対応するようにしておりますが、そのほかに独立評価をいろいろ行って、さまざまな人の意見を取り入れております。
    現在、想定されますリスクとしましては、打上げのスケジュールの遅れということが考えられますが、運用のプロジェクトと連携しつつ、予算・人材等を確保していきたいというふうに思っております。
    それから、ダイナミックに進んでいる計画ですので、国際宇宙ステーションとの間のインターフェースにいろいろ変更が生じますが、そこにも柔軟な設計を考えて、変更にも対応できるようなシステム構築を考えております。
    それから、軌道上で不具合が発生することにつきましては、まず地上での検証を確実に行うということと、軌道上で問題が起きたときに、それの処置手順を明確にすること、また、装置が簡易に交換できるようなシステムとすることということで努力してきておりまして、また、補用品の整備を現在、行っております。
    次に、企業の人たちが、開発が終了に近づくとともに離散することが懸念されるわけですけれども、さまざまなほかの業務等を通じまして、開発に携わってきたエンジニアの離散の防止を図っております。
    また、部品等が製造中止とか、手に入れられなくなることも考慮して、その辺の補用品の確保に努めているところでございます。
    最後に安全評価体制ですが、全体の安全を確保するために事業団の中でさまざまな仕組みを作っておりまして、企業との間の安全審査、事業団内部での安全評価、さらには、NASAとの間での安全の確認作業を行って、安全なシステムの構築に努めております。
    次に、セントリフュージにつきまして、同じように、プロジェクトの概要等現状、それから、ミッションの目標、リスク等について御紹介したいと思います。
    セントリフュージの開発は、先ほども申し上げましたが、「きぼう」のスペースシャトルによる打上げサービスを代替するということで、NASAが希望しました生命科学実験室(セントリフュージ)のロータと、グローブボックスと、それから、それを包含しますモジュールの開発から構成されておりまして、国内のJEMの開発で培ってきた有人技術を活用すること、国際協力を行うこと、それと、日本の有人システム技術、ライフサイエンス技術の蓄積を図るということを目的にしておりまして、ここに示すようなシステムが現在、開発を進めているもので、約2.5メートルの直径の回転体を持ちまして、0Gから2Gまでの重力を発生できる装置、それと、ライフサイエンス用のグローブボックス、さらには、これを包含しますモジュールの開発を行っております。
    こちらに示しますのが開発スケジュールで、ライフサイエンス・グローブボックスについてはフライトモデルの開発に着手しておりますが、セントリフュージロータでは、後ほど申し上げます幾つかの技術課題がありますので、基本設計審査が今、中間の状態にございます。モジュールの方につきましては、このロータの開発の状況を待って開発を進めることにしております。
    プロジェクトの体制ですが、宇宙環境利用システム本部にプロジェクトチームがありまして、モジュールは三菱重工、ロータ部分は東芝、それと、生命グローブボックスについては石川島播磨重工が担当することになっておりまして、このシステムのコントロールを米国のモジュールからやるということもありまして、米国のボーイング社との連携も図っております。
    これが、生命科学グローブボックスの現状でございまして、こういったワークボリュームの中で生命科学のさまざまな実験を行うということで、これは、KC135で、無重力環境のところで宇宙飛行士とのヒューマンインターフェースについて試験をしているところでございますが、現在フライトモデルの開発に着手しております。
    それから、ロータにつきましては、基本設計を進めるプロセスの中で、さまざまな技術課題が発生してきております。昨年10月に審査を行ったんですが、すべての技術課題を満足するシステムが現状はまだ成立しておりませんで、そこで、要求との間のトレードオフをどうするかということを、現在、NASAと調整している段階でございます。
    それから、先ほど言いましたように、全体のモジュールにつきましては、セントリフュージロータの設計が固まり次第スタートするという状況でございます。
    これが、セントリフュージのこれまでの資金の状況でございまして、今後こういった資金が必要になります。
    主要技術課題ですが、先ほど言いましたが、このセントリフュージの開発を進めるに当たって、いろいろなチャレンジングな技術課題がございます。能動的に、内部に小動物等を入れた重力実験を行いますので、その精密な制振技術であるとか、ダイナミックバランスをとるとか、あるいは、ロータとステータの間の通信、流体のやり取りをするための部分のロータリージョイントの技術といったものが非常に難しい技術になっております。
    さらには、大型回転構造物を運用しますので、安全上の問題、それから、軌道上での試料を扱うときに、いかに生物を人間の環境とアイソレーションするかというところが非常に大きな課題になっております。
    ミッションにつきましては、確実にセントリフュージを開発することでございますが、特に生物を扱いますので、安全の確保等も含めて、さまざまなJEMと同様の開発を進めております。
    それから、軌道上に上がっても、JEMと同様に軌道上での検証、あるいは、故障に対応できるような開発、また、利用とのインターフェースをユーザーフレンドリーに構築するということが必要だというふうに認識しております。
    現在のセントリフュージ開発におけるリスクでございますが、技術的な課題として、先ほど言いました、NASAとの間で幾つかの技術課題を現在、調整しておりまして、それを解決すること。また、その問題を、決められたスケジュール、コストの中でいかに実現していくかということが現在のリスク課題になっておりまして、NASAとの間で調整を進めております。
    以上が、セントリフュージでございます。
    次に、HTVの方に参りたいと思います。HTVも同様の内容について御紹介させていただきます。
    このHTVは、日本のH−2Aロケットによって、国際的な補給要求に適合する補給システムを開発することとして、「きぼう」へさまざまな物資の補給を行い、日本がこれを構築することによって、日本の自在性も図っていきたいというふうに思っております。
    それから、宇宙ステーションの共通運用経費の負担をこれによって代替することを考えております。
    現在開発しております補給機の概要ですが、与圧の部分の物資の補給と、船外に露出したもの対する曝露部分の補給を一体化したシステムとして構築しておりまして、軌道上での運用の自在性を図るために、太陽電池パネルを張った、電力の供給を十分にしたシステムとして現在、開発を行っております。
    これが、宇宙ステーションの補給の運用の概要ですが、H−2Aロケットによって打上げ、分離された後、軌道変換を行って、軌道上にある時間待機した後、宇宙ステーションにアクセスをして、宇宙ステーションの近くまで来ましたらホバリングをして、宇宙ステーションのカナダのアームによってその補給機を確保し、物資を輸送した後、この補給機は宇宙ステーションから離脱をして、軌道を離脱して廃棄されるというシステムになっております。
    これが開発スケジュールでございまして、現在、基本設計審査を終えて詳細設計に入っておりまして、いろんなコンポーネントのフライトモデルの製作に着手しようとしているところでございます。
    これが開発の実施体制でございます。事業団を中心に、三菱重工がシステム全体の与圧部分のキャリアの開発、それから、三菱電機が電気モジュール、石川播磨重工が曝露部分の開発を担当しております。
    開発の現状ですが、これらシステムを構築しますコンポーネントの試作・試験を行って、性能を確認するとともに、現在、詳細設計を進めているところでございます。
    これが、HTVの全体の開発経費でございまして、この色の違うところが、この技術実証機を打上げるためのロケットの経費部分でございます。
    こちらも大変チャレンジングなシステムの開発でございまして、宇宙ステーションへの軌道変換・位相調整を行う技術、あるいは、宇宙ステーションへランデブーし、バーシングするための技術、それから、大気圏再突入する技術、また、NASAと宇宙ステーション本体との運用と連携した統合運用が必要になりますので、その辺のインターフェースの確保等が、チャレンジングな作業と認識しております。
    このミッションは、確実にそのシステムの目的を達成することと、基盤技術を確立すること、軌道上での検証を行うことということで、安全確実な開発を進めるということ、もう1つは、国際競争力のある運用コストを実現するということ、それから、日本のHTVだけではなくて、ヨーロッパのATVという補給機、あるいはロシアの補給機とあわせまして、全体として運用にフレキシビリティのある打上げができるように検討を進めております。
    HTVにおける開発につきましても、同様のリスク管理活動を行っておりまして、開発フェーズでのリスクとしまして、HTVとISS(宇宙ステーション)の確実なランデブーを行うということについて、NASAと密に連携をとって調整を行っております。また、確実にこれを廃棄するということも、安全上の問題も含めて設計を行っております。
    それから、開発のコストですが、今後こういったいろんな課題を処置するために必要な資金というものを極力抑えるような活動、それから、このHTVは、H−2Aの増強型のロケットを用いて打上げることになっております。静止衛星で3トン級のH−2Aロケットを使うということで、そのH−2Aの増強型ロケットの開発のスケジュールと連携した開発を進める必要があると思っております。
    それから、運用フェーズには必要な補給物資を何を運ぶかということ、それから、どれだけのものを宇宙ステーションに運べるかという、物資の総重量を幾らにするか、あるいは、NASAとの役割をどういうふうに分担するかということを、運用フェーズで十分に考えながら進めていくということ、それと、定常段階の補給のコストを低減するということをリスクととらえつつ管理をしております。
    以上が、HTVに関する現状でございます。

 長柄部会長 

   ありがとうございました。
    今、JEMと、HTVと、セントリフュージの、主にハードウエアの開発の状況について報告がありましたけれども、御質問ないし御意見がございましたらどうぞ。
    澤岡先生、どうぞ。

 澤岡特別委員 

   セントリフュージが技術的に非常に難しいと報道されていますが、それは、頑張れば克服できる内容のものなんでしょうか。

 堀川(宇宙開発事業団) 

   2つの考え方がありまして、頑張ってできる部分と、その頑張ることによって、いろいろ今後の開発の中でどのくらいリスクが出てくるかということも考慮しながら開発を進めなければいけませんので、技術的にはできても、コストがかかり、スケジュールがかかるということでは困るということもありまして、全体の生物科学の実験をするために必要な要求をどこまで緩和して開発のリスクを低減するかということと、どこまで要求を満足したシステムにしていくかということの調整を、今、NASAと行っているところでございます。

 池田理事 

   17ページに7つの技術課題というのが項目だけ並んでおりますけど、これは、このセントリフュージのロータ自体が、もともとは微小重力の宇宙空間で、コントロールした加速度、1Gとか2Gとか、そういう実験環境を作ろうということのためにこのセントリフュージ、まあ、遠心分離機のようなものを作っているわけですけど、そのために、例えば、この1番で申し上げますと、加速度環境というのは、非常にコントロールされた精密な加速度を実験スペースに確保しなければいけないというところが、この施設だけを考えますと、例えば、母屋の方に振動を与えていいかどうかとか、そういうことまであわせて技術開発要素があるわけですね。
    ですから、非常にコントロールされた微妙な宇宙空間で、例えば、マウスのたぐいとかそういう生物の飼育、そういったことを常時しながらそういう環境を作るという実験装置の取り組みなものですから、当初の取り組んだところよりは、実際、設計が進んでまいりますと非常に難しい点が出てきておりまして、今そういう意味では、この分野で研究をしたいというコミュニティの人の要求と、じゃあ、どこまでやれるのかな、限られた時間でやれるのかなというところのせめぎ合い、そこをどういうところで妥協をしなければいけないのかと、そういう議論まで今NASAとも調整しながらやっているところでございまして、そういう意味では、今申し上げたような技術的な課題をどうやって克服しながら課題を解決するかという取り組みをしているところでございます。

 冨田特別委員 

   今のセントリフュージに関連するんでけれども、JEMの開発費が、最初1,500億とか3,000億とか言われていて、今このチャートで言うと5,000億近くかかっていますね。これはいろいろ事情があって増えちゃったわけです。だけど、セントリフュージとかHTVは、ある意味ではそういうノウハウを蓄積した後でやっている計画ですね。その辺のコストに関するノウハウというのは一応反映されていると思うんです。実際それは反映されているんでしょう。セントリフュージとかHTVの場合、今セントリフュージはいろいろ問題が起きてきたという話があるんですけど、コスト的なオーバーランは、一応、最初のそういうノウハウを入れた見積もりの範囲内に入っていると考えていいんでしょうか。

 堀川(宇宙開発事業団) 

   正直申しますと、JEMで開発をしてきたそういったコスト管理は、もちろんHTV、セントリフュージの開発には踏襲をしておりますが、国内で独立に開発するもの、自分たちのデザインオーソリティの中で開発できることと、NASAの要求を踏まえてそれをどこまで反映していくかということで、必ずしもちょっとJEMの開発とは違った部分もありますけれども、基本的にはコストをなるべく抑えるようにしているんですが、アメリカとの間のインターフェースが非常に多いということがありまして、アメリカから導入するコンポーネントがいろいろあります。それらのコストとの関係で少しずつオーバーランするということが、今、現実として残されておりまして、その辺を、いかにコストを下げながらシステムの要求と妥協していくかというのを、現在、調整を行っている状況でございます。

 池田理事 

   私が報告するのも何か変なんですけど……。

 長柄部会長 

   ちょっと待ってください。

 池田理事 

   今、大事な点をちょっと申し上げなきゃいけないんですけど、JEMについて、15年前に政府と協定を結んで、大体これは3,000億ぐらいかかるなということで、全体のシェアみたいなものを決めてスタートしているわけですね。それが十数年たって、実際、今はもうほとんどのものはでき上がりつつありますけど、この間の資金管理は非常によくできていると申し上げた方がいいと思います。これについてのコストのオーバーランというのはほとんどありません。
    ですから、今いろいろ課題を申し上げているのは、これは実際、打上げるのに、今度は運用経費が必要になるわけですね。例えば、アメリカは宇宙ステーションで、母屋の部分を開発をするわけです。電気とか、熱とか、こういったものの供給ですとか、居住区域を作るとかですね。それに対して日本は、じゃあ、どういうふうに貢献をしてその分を負担できるのかと。JEMの利用の範囲も、これは日本だけで全部使えるんじゃなくて、51%を使いますとかですね。あとはアメリカをはじめ国際パートナーが使います。そういう仕組みで、その分をペイバックするわけですね。
    ですから、今おっしゃられているのは、セントリフュージですとか、HTVですとか、その後この全体を維持・運営するために、日本は何ができるかと。実際パートナー間ではあまりお金のやり取りをしないということを考えたときのその埋め合わせとして、例えば、JEMもスペースシャトルを3回ぐらい使って打上げるわけですから、そのために何ができるかといったことでやってきている。そういう意味ではこれからなんですね。
    ですから、その部分はかなり苦戦をしていますけれども、いずれにしても、これは運用ですとか、この開発したものを動かすためには必要な手当ての中に入っていますから、そういった意味で、今の部分についてのコストオーバーランという見方は当たらないと思います。むしろ、これから先の運用に当たってどれだけの整備が確実な見通しのもとにできるかなということ、そういうふうに御理解いただいた方がいいと思います。

 長柄部会長 

   ほかにどなたか。
    どうぞ。

 八坂特別委員 

   HTVについてお聞きしたいんですけれども、まず、いろいろ大変難しい問題、技術的な課題を克服しなければいけないと思うんですけれども、最終的に利用段階でこれをどういうところに使うかという具体的なミッションというか、フライトの計画、これは日本だけじゃなくて、ほかの国との協議の中で決まっていくんですけれども、どれくらいの需要かというのが1つ。
    それから、これ、最終的には廃棄する、コントロールド・リエントリーであるわけですね。日本ではこれは初めてだと思うんです。それで、これは1発目からやってしまうのか、それとも何か試験的なことをやるのか、その2つをお聞きしたいんですけれども。

 堀川(宇宙開発事業団) 

   まず補給する物資につきましては、今お話がありましたように、NASAといろいろ調整を進めているところでございます。与圧の物資につきましては、クルーのロジスティックス、着るものであるとか、食べるものであるとか、そういうものは日本の補給機だけではなくて、NASAのシャトル、あるいはロシアのプログレス等も平均的に使われますが、そういうものを分担して与圧のシステムに入れて、補給をするということ。
    それから、曝露部分につきましては、今NASAともいろいろ調整しておりますが、特に宇宙ステーションの初期の電力を保障するためのバッテリーがありますが、これがかなり寿命が短いということがあって、始終交換しなければいけないんですが、その補給にこのHTVを使うということが、今、期待されております。そういう意味で、ある程度の補給物資については、もちろん実験用のペイロードもこれを使って運べるわけですけれども、それに加えて今のようなシステムの補給を行うということで、NASAと調整をしております。
    それから、技術実証機につきましては、いろいろNASAと調整があったんですが、最初の1機目、技術実証機から宇宙ステーションにアクセスして、ランデブー、バーシングするというところの運用も含めて、今、達成しようと。そのときに何を補給として持っていくかということも、現在、NASAと調整中でございます。

 八坂特別委員 

   すみません。だから、最初の質問については、トータルで何機、予定しているかということと、それから、今度のリエントリーはもういきなりやるのかということですけれども。

 堀川(宇宙開発事業団) 

   宇宙ステーションへアクセスするのは、定常段階ではマックス2機、年間ですね。1.5機になるか、1機になるかは、今後の共通経費とのバランスで考えていくことになると思いますが、マキシマム年間2機というふうに想定しております。
    また、リエントリーについては、最初からコントロールド・リエントリーを考えておりまして、そのためのいろんな解析、あるいは設計をあわせて行っております。

 池田理事 

   これはやはりH−2A自身が、H−2Aの増強型、かなり中にいっぱい詰め込んで運ぼうとしますと力が要るわけですね。ですから、今、H−2Aの初号機をこの夏にも打上げようということで準備しておりますけれども、増強型って、その意味でも力を倍ぐらいに増やしたものでないと使えないわけです。ですから、実用に供せるようになるタイミングとこれを合わせようと。ですから、それが実現できれば、せっかく開発する以上は、このHTVが宇宙ステーションに対する日常的な物資の補給手段として使われるように、我々としてはできるだけ多く使えるようにということを念頭に置いて、開発を進めているという状況にございます。
    1つはコストという問題もありますから、信頼性を高めると同時に、H−2Aのコスト自身が、こういう代替手段として確実なものだという評価が得られれば、回数は自然と多くなってくるのではないかなと思います。

 長柄部会長 

   ほかにどなたかございませんか。
    中西先生、どうぞ。

 中西特別委員 

   初歩的な質問なんですけれども、ISS計画がもう8年分から出ているわけでして、打上げまして、その耐久年数といいますか、JEMが何年間もつと考えて、それで、もう打上げたら即実験ができるのかとかですね。あと、いろんなところがそろうまで10年ぐらいかかるとしたら、もしも耐久年数が20年としたら半分ぐらいたつわけですし、どういうふうに考えていらっしゃるんですか。

 堀川(宇宙開発事業団) 

   宇宙ステーションは、軌道上に上げてから、運用の寿命10年間というのを設計目標にしておりまして、日本の実験モジュールが上がった後、組立てが完了するのに2年ぐらいかかるわけですけれども、実質、パートナー間では組立て完了から10年間という考え方もあるんですが、そういうことも踏まえまして、構造的には、設計として、あるいは地上で確認する寿命期間として、15年を確実に運用できるようなシステムとして構築しております。中の機器は、それぞれ運用の期間に交換する機器もございますが、そういった保全を踏まえて、運用を15年以上できるように考えております。

 長柄部会長 

   ほかにどなたか。

 冨田特別委員 

   もう1つよろしいでしょうか。

 長柄部会長 

   はい。

 冨田特別委員 

   もう1つお聞きしたいんですけれども、今の運用ですが、アメリカで運用を民間会社に任せるようなニュースを聞いたことがあるんですけれども、それが今どうなっているかということですが、日本ではそういうことを考えておられるのでしょうか、どうなのでしょうか。
    それから、先ほどHTVの体制を見ましたら、インテグレーター方式をとっておられるんですね。全般的にプライム方式に移行するというような話が先々回ぐらいにこの会合であったんですけれども、今後、例えば、そういうJEMのものを、セントリフュージとかHTVみたいなものが出てきたときには、プライム方式でやるというようなことも考えられるかどうか、その辺をちょっとお聞きしたいんですが。

 堀川(宇宙開発事業団) 

   NASAの方の運用の会社をNGOに任せるという話はこれまでありましたけれども、まだ具体的にはあまり進んでおりませんで、システムの運用そのものは、NASAが継続的に安全の確保をも含めてやると聞いておりまして、利用の促進、あるいは、利用のインターフェースの調整のためのそういった非政府組織を作ってやるということは、それぞれ準備が進んでいるようですが、各機関の提案待ちという状況のように聞いております。
    それから、日本では、やはり同じように安全等の問題もありますし、国のプロジェクトということもあって、システムの運用は宇宙開発事業団が実施することを考えております。初めの初期段階につきましては、利用が定着するようにするためのいろいろな作業もあるということもありまして、現在、宇宙開発事業団が支援をしておりますが、いずれそういったことを、利用者のインターフェース、あるいは、システムの運用の一部を、安全にかかわらない部分について民間に移行していくということも念頭に置いて考えておりますが、現在は宇宙開発事業団が、最初のフェーズは運用を進めようと思っております。

 冨田特別委員 

   ということは、段階的な民間移行も一応視野に入っていると。

 堀川(宇宙開発事業団) 

   はい。検討はしておりますが、いつどうするかというのはまだ決めているわけではございません。

 池田理事 

   先ほどの御説明した資料の8ページ目に、「きぼう」の運用準備状況という図があるんですけれども、この中には、宇宙空間にこの「きぼう」が建設されますと、90分ごとに日本近くを回るような、地球を周回して、24時間運転している実験室がそこに出現するわけですけれども、それの管理をどうするかということになるわけですね。そのためには、8ページの図にもありますように、筑波の宇宙センターの中には、よくシャトルが打上がりますと、「こちらヒューストン」と、ヒューストンからいろいろ指示を出したり、シャトル上の宇宙飛行士と交信をしたり、トラブルがあればそれに相談にのったり、そういうシステムをきちっと今、運用しているわけですけれども、これが、「きぼう」については筑波にこういう施設ができるということ。今この整備を急いでいるわけですけれども、こういう設備の整備、それから、常時、人を張りつけるための準備、これが運用準備の一環であるわけですね。
    ですから、民間になられたら、こういう国の施設を、まあ、未来永劫に事業団がやらなくてもいいのかもしれません、いろんなアウトソーシング等あるのかもしれませんけれども、ある程度、日本のお金で作った実験室を、まあ、民間利用もあるとは思いますけど、十何年間、24時間操作していくためにどういう仕組みが必要かという観点から、それは議論をする問題だろうと思うんですね。その辺はまだ将来の課題だと思っています。

 長柄部会長 

   それでは、まだあろうかと思いますが、次の利用計画の御説明を伺って、また質問がございましたら、そちらの方で一緒に伺いたいと思います。
    では、矢代さん、お願いします。時間を短目にお願いします。

 矢代(宇宙開発事業団) 

   はい。矢代でございます。
    「きぼう」の利用計画について御説明申し上げます。
    利用の分野からテーマの選定状況、それから、装置の開発状況、組織体制、経費、最後に当面の課題ということで御説明申し上げます。
    「きぼう」の利用分野でございますけれども、先ほど堀川の方から概略御説明いたしましたが、先端科学技術への挑戦という分野、それから、社会経済への貢献ということで、このような多様な利用の分野がこのステーションでは考えられます。
    次、お願いします。
    利用にかかわる施策の経緯でございますけれども、平成4年に宇宙ステーション部会報告「JEM利用の基本方針」が出まして、ここから利用にかかわる施策、あるいは、実際に進める事業団の作業が始まりました。
    平成8年には、今現在の利用の形態の根幹をなすような報告が出まして、「宇宙環境利用の新たな展開」という副題がついておりますけれども、これに基づきましていろいろな体制等ができ上がってございます。
    それから、平成10年には、応用化研究利用の分科会報告がありまして、「宇宙ステーションの民間利用の促進に向けて」ということで、新たな民間利用促進のための基本的考え方がここで示されました。
    それから、平成12年ですけれども、「国際宇宙ステーションの本格的な利用に向けて」ということで、先ほどの民間利用の流れを踏まえました、「きぼう」の初期段階における当面の課題への方針の提示がございました。
    次、お願いします。
    それから、今までの施策に基づきまして、今現在どのような状況かと申し上げますと、1つは、利用要求の取りまとめということで、宇宙開発事業団に、事業団の理事長諮問委員会といたしまして宇宙環境利用研究委員会が設置されました。平成8年の答申に基づいて設置されまして、委員長が東洋大学の理事長の菅野先生でございますけれども、ここでJEM全体の日本の利用計画の具体的な取りまとめを行っております。
    次に、日本で宇宙環境利用を進める上での日本としての研究シナリオが必要だということになりまして、今現在3つの分野でございますが、微小重力科学、ライフサイエンス、宇宙医学の分野におきまして、研究シナリオというのがこの宇宙環境利用研究委員会において制定されてございます。
    同時に事業団として、共通基盤的な課題の解決や、宇宙環境利用の成果を早目に出すということを先導的に示すことを目指しまして、事業団の方で、宇宙環境利用研究システムという外部の研究者を招聘する機構を作りまして、そこで研究を行っている。
    それから、一般的に、宇宙に行く前に、やはり地上でいろいろな研究を広く進めていただくことが重要だということで、平成8年の答申に基づきまして、9年度から公募地上研究制度というのが進められまして、微小重力科学、ライフサイエンス、医学、それから、宇宙科学、地球科学、ステーションを利用するあらゆる分野に関しまして、こういう地上の研究のファンディング制度ができ上がってございます。
    それから、先導的応用化の答申に基づきまして、これも平成11年度から、民間企業のステーション利用研究を促進するということで、この先導的応用化研究制度がパイロットプロジェクト的な内容で進められております。
    それから、昨年度末から今年度に入りまして、「きぼう」利用のさらなる多様化のための拡大ということで、今回はロシアのサービスモジュールを利用したパイロットプロジェクトの提案の募集を行いました。
    それから、これは、地上の研究は、ステーション「きぼう」で実施するまでのプロシージャといいますか、イメージなんですが、一番下が、地上で研究されている各大学、あるいは国立研究機関での独自の研究、それと、先ほど申しました事業団の研究システムでの研究、それから、一部は公募地上研究制度のような形で、ファンディングを通した地上研究を行った上で、通常のサイエンスベースでいきますと、その上の、宇宙ステーション等の利用テーマの公募というのがございます。現在進められているのは、ライフサイエンスの国際公募、微小重力科学の国際公募が行われております。
    国内公募につきましては、今後の体制を含めた検討課題でございます。
    右側に、先ほどの先導的応用化研究、それから、もう1つ御紹介しました利用多様化のためのパイロットプロジェクトというものが、地上の準備及び宇宙での実施を含めて選定をするというプロセスになってございます。
    それで、このサイエンスの準備状況も踏まえまして、選ばれた後すぐ実験できるわけではなくて、ステーションで実験するために、かなり詳細な計画を設定する。そういう準備ができますと、フライト時期が決まりまして、フライトに移るというようなことになります。
    それから、具体的にどのような分野で、どんなテーマの募集なり選定がされているかということでございますが、公募地上研究が進められて、過去4回選ばれて、5回目は今、選定作業中でございますけれども、毎年80から130程度のテーマの数が選定されてございます。
    これは、NASDAで行っている課題研究でございます。
    それから、各研究機関での研究が行われております。
    それから、国内公募、JEMでの実験を目指した国内公募ですが、これは古いのがございまして、平成4年に第1回の船内実験での国内公募が行われまして、このときに50のテーマが選定されております。
    それから、平成8年には、船外プラットフォームで行うテーマの選定が行われまして、ここで4つの装置及びテーマが選定されて、今準備が行われているところでございます。
    それから、平成11年に、来年の5月に予定されますが、スペースシャトルの107というフライトで、蛋白質の結晶成長実験が行われる。この分野はサイエンスの分野でございます。
    それから、真ん中に国際公募がございまして、ライフサイエンスにつきましては、日本は第2回、第3回の公募、微小重力につきましては、今回、第1回が行われまして、こういう国際公募のものがございます。
    応用化につきましては、平成11年度より随時募集をしているということでございます。
    これらの選ばれたものは、一番上のフライト実験に移るということでございます。
    応用化につきましても、STS107での蛋白質結晶実験が計画されてございます。 それから、船内実験室で実験するために、事業団では共通実験装置というのを開発してございます。いろいろな利用分野に応じまして、帯域炉と呼ばれるもの、温度勾配炉、画像処理装置、細胞培養装置、クリーンベンチ、流体物理と、こういうような装置を共通実験装置として、JEMで最初に実験する装置として開発しております。
    次、お願いします。
    それから、船外実験プラットフォームで行う実験、先ほど4つのテーマが選ばれて準備されているというふうに言いましたが、その4つでございます。環境計測の装置、超伝導サブミリ波の放射サウンダ、全天X線監視装置、それと、光通信実験装置、4つが今、準備状態でございます。
    それで、これらのものを準備しておりますが、先ほどのテーマの話もそうなんですが、今現在で「きぼう」の打上げ予定に合わせますと、来年の秋ぐらいにまず第1回目の実施テーマの選定を行っていって、その選定の後、2年ぐらい打上げに向けての準備に入ると。このようなものを詳細計画の調整と言っておりますけれども、こういうものをフライトのタイミングごとに、大体1年に1回ぐらいの全体のまとめをしながら、こういう利用の計画がフライトに進められていくという図でございます。
    それから、利用に関する事業団及び文部科学省等の宇宙開発委員会を含めた図でございますが、先ほどの宇宙環境利用システム本部の中に宇宙環境利用研究センター、それから、外部の招聘の組織であります研究システム、応用化の研究テーマ選考のグループ、推進グループがございまして、研究センターのもとで、各実験装置の開発をする各企業、それから、実験の運用をする会社、それから、公募地上制度等を委託して運営する財団法人、先導的応用化にはこういう財団法人がありまして、こういうような組織体制で、利用に関する作業を進めてございます。
    それから、利用にかかわるプロジェクト経費の推移でございますが、一番下が先ほどの共通実験装置の開発費でございます。真ん中の紫色のものが利用準備関係、将来の運用準備、実験用の準備と、そういうものを含めていろいろもろもろ入ってございます。それから、一番上が利用促進、あるいは、公募地上研究の費用の総計でございまして、今年度は100億行っておりませんけれども、今後120億台ほどの経費が見込まれるという状況でございます。
    それから、「きぼう」利用のイメージでございますが、この紫色になっておりますのが、今現在のステーションでのクルーの人数が7名になる体制のタイミングでございます。今回、NASAのコストオーバーランにかかわりますいろんな計画変更がこれから明らかになるかと思いますが、この7名体制のタイミングがいつごろになるかというのが1つのポイントになります。
    それから、今現在、日本の実験装置がこの時期に打上げられまして、2004年からは初期運用といいますか、ものが使える。で、実験がこういうふうに流れることができるというふうな図でございます。
    それから、今まではステーション関係でございますが、このステーションの実験するタイミングがなかなか延びたりいろいろしてございます。そのために、宇宙環境利用の研究者の方々には、いろいろなその手前に実験する機会というのを我々も考えておりまして、1つは、シャトルの中に取りつけますスペースハブを利用した蛋白質の結晶実験装置、これは先ほどのシャトル107。
    それから、溶液結晶化観察装置、これは、基本的には共通実験装置としてNASDAがステーションに載せる装置のエンジニアリングモデルでございますが、これをスペースハブへ載せて実験をする。
    もう1つは、もう既に上がってデータをとっておりますけれども、米国実験棟に中性子モニタユニットを積み込みまして、宇宙船内での中性子計測を行っております。
    それから、この7月、あるいは8月に延びるかもしれませんが、ロシアのサービスモジュールで、高精細度テレビジョンカメラを用いたいろいろな広報、あるいは医学実験、あるいは、微小粒子捕獲・材料曝露実験装置をサービスモジュールの外に曝露しまして、こういう微小粒子の捕獲、あるいは、材料の外での曝露実験を行うという計画がございます。
    最後に、当面の課題になりますが、やはり初期利用フェーズから本格利用フェーズへの移行の問題として、搭乗員3名体制から7名体制になるのがいつになるかというのがポイントでございまして、3名で運用するとなると、これは日本だけではございませんけれども、利用に割り当てる時間が非常に限られてしまう。それから、先ほども御紹介しました共通実験装置がございますが、これは第1次という言い方になりますけれども、その次の実験装置の開発が、資金的な問題、あるいはスケジュール的な全体の問題から、本格的な着手になかなか入れないというのが現状でございます。資金の問題も同じでございます。
    それから、先ほど少し紹介しましたが、単にサイエンスだけではなくて、民間の利用の話、あるいは教育・文化的な利用の話ということで、今後「きぼう」というインフラを通じて利用の多様化が始まってくるというところでございます。以上でございます。

 長柄部会長 

   質問なり御意見、ございませんでしょうか。
    どうぞ。

 八坂特別委員 

   今、御説明のあった一番最後の方なんですけれども、民間の利用、あるいは教育・文化的利用、私、これは非常に大事なことだろうと思うんです。今いろいろ方々でサイエンティフィックな実験をやるとかいう話がもちろんありますけれども、これは一部であって、最終的にはこういった民間利用、本当の意味の民間利用がどんどん出てきて、初めて宇宙ステーションというのが、本来の目的といいましょうか、税金を払う価値があるものだというふうに……。この面で、今、公募とかいろんな計画のお話がありましたけれども、このあたりは今、どういうふうに進めるようにお考えなのか。
    実は平成10年にあった委員会に私は参加させていただいて、このときに、本当に民間に使わせるならば、まず利用料金をはっきりしなければいけないんじゃないかというふうに申し上げておったんですけれども、これがなくして本当の意味の民間利用というのはあり得ないんですね。それからちょっと離れているので、その間どういうふうな推移になったか、ちょっと教えていただければと思いますけど。

 矢代(宇宙開発事業団) 

   平成10年の委員会、分科会の答申を受けまして、先ほども御紹介いたしました先導的応用化研究というのが11年度から始まりました。これは、民間企業が必ず入ること、必要ならば企業名を伏せることができる。それから、これは普通のサイエンスだけではないんですけれども、提案からフライトまで非常に時間を早くしたいということと、民間企業の場合、特に成果についての占有権の問題をどう扱うかということで、なかなか具体的に、事前には全部の制度は整備できないということで、これをパイロットプロジェクトというような扱いにしておりますけれども、それで進めて、民間及び大学とタイアップしたものも含めてなんですが、それから、事業団としての体制なり問題点を全部出しながら進めるということで、そういうパイロットプロジェクトが始まりました。
    先ほど御紹介いたしましたが、特にフライトに今、選ばれているのは、スペースシャトルが来年飛びますけれども、そこで蛋白質の結晶成長実験をやるということで、これにつきましては、日本の製薬会社等から、非常に熱いまなざしといいますか、熱意を持った応募が来てございます。
    もう1つ、利用料金の設定がなければ今後……、まさしくそのとおりだと思いますが、これは事業団だけではなくて、お役所も含めて、まだここの料金体系の議論については、詳細なものは設定されてございませんというのが現状でございます。

 八坂特別委員 

   利用代金はまだですか。実は平成10年のときに話があったのは、本来そういうふうな純粋な民間利用というのはおそらくあり得るだろうと、いや、望ましいというのが皆さんの意見。これはおそらく間違いない合意事項だと思うんですけど、ただ、実際何があるかといったときに、パイロット事業ではなかなか出てこないから、そういったことで、国が関与する形でやりましょうというふうに……。で、ああいう結論になったと思うんです。だから、そもそも民間がそのまま使うというのはやっぱり望ましいわけで、費用が出ないというのはちょっとよくわからないんです。つまり、費用については、これ、全体で600億ぐらい毎年かかるとかいう話もあるし、かなり明確になっているわけなんですけれども、利用料金がいつごろ出るかというような見通しはいかがですか。

 長柄部会長 

   少なくとも今、蛋白のフライト実験は、実費くらいは、実費というか、蛋白の原料を作るのは製薬会社が持ってもらうかもしれないけれども、そのフライトのお金まで取ろうというんじゃないでしょう。要するに、無料でしょう。今はどうなんですか。

 池田理事 

   今は、そういう意味では国が負担をする仕組みで動かしていただいております。それは、今も御説明しましたように、「きぼう」の中の実験装置を使うまでには、かなり地上での準備があったり、それから、それに至るまでのプロセス、かなり時間もお金もかかる要素があるわけですね。ですから、今のところは、御存じのように、その部分はいわば応援をしようといったことで、これについては国のお金を使わせていただいて、それを元気づけたり、支援したりするためのプログラムを、公募地上研究ですとか、あるいは、先導的応用化研究ということでやらせていただいていますけれども、将来は、こういう研究チームの中に企業にも入っていただくということも自由ですし、我々は、そういう意味では企業のプレゼンテーションがだんだん強くなることを期待しているわけですし、さらには、企業だけで特定のテーマに取り組みたいということについても道を開くという意味で、今おっしゃったようなそういうテーマであれば、国はじゃあ、何ができるのかと。それに対してどういうインフラが整備できて、それに対する対価というのはどう
いう仕組みにしたらいいかというのは、我々としては早目にそういう問題に取りつきたいと思っているんですが、まだそこまでのニーズはなかなか……。実際、産業界の方も、この研究全体の位置づけについてまだ検討中であるといった状況だと申し上げた方がいいと思いますが。

 澤岡特別委員 

   一言補足させていただきますと、民間からお金を取らないということは、税金を使う以上、建前上できませんので、宇宙開発事業団と民間との共同研究であると、出た成果は共有するということで、共同研究ですからお金はいただかない。無料ではございませんと。

 八坂特別委員 

   いいですか。

 長柄部会長 

   どうぞ。

 八坂特別委員 

   ちょっとしつこいですですけど。私、これは宇宙開発をそもそも何でやるかということで非常に変わってくると思うんですけれども、3にある、教育・文化的利用と、こういったものがどんどん出てくるわけですね。だから、民間が自発的にこういったことをやりたいなというものが出てきたときに、どうぞと、こういうふうにやるのが本来のやり方だろうと思うんです。それが今、見えないから、国が関与する形で当面のことをやる、こういうことだと思うんですね。で、本来のやつまで持ってきてどうしたらいいかというと、まあ、いろいろ技術的な条件もあるでしょうけれども、そういった条件を提示しないと絶対出てこないわけですね。だから、できるだけ早く技術的条件、もう1つは資金的なコスト、これは出さないと推進できないんじゃないかと、こういうふうに思うわけです。

 長柄部会長 

   はい。
    山根先生、どうぞ。

 山根特別委員 

   ISSを15年ぐらい使うということになると、2020年ぐらいまで運用、多分もう少し延びるし、もっと延ばしてほしいと思うんですけれども、そうしますと、時代、時代によって、実験の中身やリクエストも変わってくると思いますね。あの内部の実験の装置それぞれは、交換できるようになっているのでしょうか。

 矢代(宇宙開発事業団) 

   交換できます。本来、交換するということでデザインしておりまして、ステーションは10年から15年。今現在は、先ほどの共通実験装置は、基本的なデザインは3年寿命、あるいは3年から5年ということでやっております。ですから、JEMの中では、こういう共通の実験装置を、ラック単位で言いますと5本入れることができるんですけれども、使い終わったものについては入れかえて、先ほどちょっと申し上げましたが、次期実験装置というのは、まあ、資金の問題はあるんですけれども、委員会で次にやりたい装置とかそういうものの優先度をつけていただいていまして、そういうのはもう並んでおります。ただ、いつそれに取りかかるかということで、実験装置は3年から5年のスパンで入れかわります。それから、船外プラットフォームの実験装置は、1年とか、2年とか、そういうわりと短い時間のものもございます。これをやはり入れかえるということです。

 山根特別委員 

   そうしますと、最初、微小の重力と、ライフサイエンスと、もう1つ何でしたっけ、そういう限られた分野だけですよね。そうすると、国民としてはあまり関心がないということになってしまいますので、とりあえず3年から5年、こちらで足ならしをしていただいて、その後の計画では、もう少し民間が楽しめる、一般の人たちが楽しめると言っては変ですけれども、興味を持てるような計画を、そろそろ公募するなり、アイデアを募るなりしたらどうかなと思うんですね。例えば、アメリカのテレビ局、ディスカバリーチャンネルですか、常時、宇宙ステーションから放送するということを決めたとか、決めるとかいう話がありますし、日本としても是非そういうことをやっていただきたいと思うんですが、そうすると、常時送るためには放送設備が中に要るとか、そういうことになってくると思います。それはお願いとして、是非20年計画をそろそろ作っていただきたいなということ。
    もう1つ、ちょっと心配しているのは、7人の宇宙飛行士が、最長で4カ月間ぐらいですか、いろいろと期間が変わると思いますけれども、仲よくやっていけるかということが実は一番興味があるところなんですね。ミールに搭乗したアメリカ人の宇宙飛行士のインタビューの中で、ロシア人のやり方にとても我慢できなかったという、実は本音の言葉がたくさんありまして、宇宙飛行士にも聞きましたけれども、まあ、ライフスタイルの違いとか、文化の違いとか、そういうことが出てくると思うんですね。宇宙飛行士はこれから月〜金勤務ですか、それとも月〜土なんでしょうか。休みはあるんですよね、当然、休日は。

 矢代(宇宙開発事業団) 

   休日はございます。

 山根特別委員 

   そうすると、どうやって暇をつぶすかという問題で、私、宇宙へ行きたいとずっと思っていたんですけれども、あの宇宙ステーションのモジュールの中を見て、とてもじゃないけどあそこに4カ月いるのは嫌だと最近思いだしたんですがね。そういう暇つぶしをどうするかというのは、例えば、休みの日の使い方というようなことに関して、何かいい知恵とか、そういうところを少し……。この計画には全く入っていませんけど、まさかISSの暇つぶし対策というのは国で討議することじゃないかもしれないんですが、そういうところをきっかけにして決めたらいいなと思うんですが。
    そこで、ライフサイエンスの計画の中に、宇宙空間における人間の生活の心理的な、あるいは精神的な研究というようなものを入れていただくと、一応これはライフサイエンスだということにして入れていただくと、実は民間が非常に参加しやすくなるという、そういうことがあるんじゃないかなと思うんですけれども。

 長柄部会長 

   堀川さん、何か。文化・教育活動とか、エンターテインメント活動とか、今の先生のああいうのは、今どういうふうにされていますか。

 堀川(宇宙開発事業団) 

   既に我々の中でも、異なる文化の宇宙飛行士が軌道上に滞在するということで、異文化融合のための研究とか、実際に宇宙飛行士を選抜するときに、そういった仲間意識、要するに、文化の違ったところで育った人たちが活動できるようなことも研究し、また、宇宙飛行士の選抜も行っております。
    それから、軌道上でのさまざまな余暇をいかに過ごすかということについても、一般からも幾つかの提案が来たり、エンターテインメント、いろんなゲームをするとかそういった提案も来ておりまして、現在、一般利用に関するパイロットプロジェクトの募集をして、選定をして、将来のそういった民間の活用をより促進するような活動につなげていくように、既に努力を開始しております。

 山根特別委員 

   何か具体的に、例えば、宇宙飛行士が1日、1週間休みとすれば、2カ月に1日だけは皆さんのためにあけますとか、そういうことで具体的にそろそろもう始めないと間に合わないんじゃないかなという感じがするんですね。お金のかかることですから、早目に早目にあおっていただきたいと、こういうふうに思います。よろしくお願いします。

 長柄部会長 

   それでは、大体時間が来ましたので、もしこのISSにつきまして質問ないし御意見がございましたら、メモで事務局の方に出していただきたいと、こう思います。
    それでは、次のテーマでございますけれども、先端・基盤技術開発につきまして、これは3つございます。1つは、宇宙開発事業団の狼さんの方から、もう1つは、3機関連携と言っておりますけれども、宇宙科学研究所と、宇宙開発事業団と、航空宇宙研究所の3機関連携による信頼性向上プロジェクト、もう1つは、経済産業省が監督することになっているプロジェクトでございますので、これらについて伺いたいと思います。
    では、最初に狼さんの方からお願いします。

 狼研究総監 

   狼でございます。
    資料3−4、2ページをおあけいただきたいと思います。先端・基盤技術の強化の考え方について説明します。我が国の宇宙活動の安定的・継続的な遂行に必要な技術を基盤技術と考えまして、この基盤技術と、それを支える体制を強化し、次世代でのフロントランナーを目指した先端技術に挑戦するという基本的な考え方を打ち出しております。
    具体的な技術基盤強化の方策につきましては、この左にございますように、技術マップから技術の3本柱、先端技術への挑戦の順序で後ほどOHP1枚ずつで説明したいと思います。
    また、体制の強化につきましては、3機関、宇宙科学研究所、航空宇宙技術研究所並びに宇宙開発事業団、それに各大学、企業等の専門家を結集した体制を確保して、基盤技術が蓄積かつ継承されるような体制を整備していきたいと考えております。
    なお、宇宙技術は、ここの図に示しますように、先行研究、試作・試験、宇宙での実証を経て初めて技術としてひとり立ちし、プロジェクトで、実際に採用して運用することによって、さらにさまざまな改良点、あるいはアップグレード要求が出てまいります。これをフィードバックして、先行研究をまた新たにスタートする、こういった一種のスパイラルになっております。こういう各フェーズにおきまして、このような強力な体制が必要であるというふうに認識しております。
    次、お願いします。
    まず基盤技術とは何かと、その識別、これは大変多くの方から質問を投げかけられまして、鋭意作業を進めているところでございますが、共通的な基盤、輸送系、つまり、ロケットに関するもの、衛星系並びに拠点系に関するものという大きな区分に分けまして、そのおのおのにつきまして、個別技術分野を識別し、そのおのおのにつきましてさらに細かいアイテムを拾い上げて、各技術の情報を、技術の概要、製造メーカー……、世界と比べてどうか、それから、技術課題は何か、開発計画はどうすべきかなどの、一種のデータを作りまして、現在これをアップデートしながら、この中で重要な技術を識別しております。これは後ほどまたお目にかけたいと思います。
    次、お願いいたします。
    先ほどの3本柱の第1ですが、現在NASDAが置かれた立場を考えますと、まずはこのように信頼性向上ということが第1であろうというふうに認識しまして、プロジェクトの課題解決による基盤技術の強化という基本的な態度を表明しております。これは、不具合が発生している部品、あるいは技術、これは製造技術等も含みますが、これらが具体的にどういう問題が発生しているのか、従来の宇宙開発は若干ここを駆け足で過ぎてまいりまして、ここをもっとしっかりやれというような非常に強い要請が各方面からございます。こういったもののメカニズムの解明や、限界性能データを取得して解析すると。こういうことによって、実は非常に重要な基盤技術が強化できるということで、ここは極めて強力に推進しております。
    なお、これは下に書きましたように、オールジャパン体制で遂行しておりまして、後ほど上杉先生の方から、3機関連携の中で御説明いただけるというふうに考えております。
    次、お願いします。
    それから、2番目ですが、これも現在、日本の宇宙開発が置かれております非常に深刻な問題、すなわち、信頼性の高い、放射線に耐え得るような宇宙用部品の確保という問題がございます。これにつきましては、1戦略的に国内に技術を確保すべきで、これはコストを度外視してでも絶対に確保すべきであるという、そういったコンポーネント・部品であります。これは電気部品に限りません、機構部品等も含んでおりますが、こういったものをどういうふうに確保していくかが課題です。
    2海外からの輸入で代替できるコンポーネント・部品はどういうものがあるか。特にセカンドソースが確保できるものについては、そこに任せてはいいのではないか。そういうような考え方で整理しています。この問題については、本格的なチームを作って、現在、作業を行っております。
    次、お願いします。
    それから、技術開発としては一番重要なポイントですが、戦略的な共通技術です。これは、次期プロジェクトの高度化に役立ち、国際的優位性を確保できる分野の技術開発を推進し、技術基盤の継続性に配慮していくということでございます。技術の安全保障と言うべき観点に立つと、非常に重要なポイントでございますが、現在NASDAの、特に技術研究本部におきましては、人間で言えば頭脳部に当たります制御技術とコンピュータ技術、並びに心臓部に当たります小型軽量パワーシステム、特に太陽電池並びにリチウム電池等のシステム化、こういったところを重点化しております。
    なお、この研究につきましては、右下に書いてございますように、次期プロジェクトに採用されるためには、とにかく試作・試験を先行的に実施し、事前に宇宙実証するというプロセスが不可欠でございますので、ここに力を入れた施策をとっております。
    次、お願いいたします。
    若干専門的になりますが、具体的な内容をこの表に一例として示してございますが、制御技術、コンピュータ技術、小型軽量パワーシステムに加えまして、一番下、短期開発手法、これはITの応用に当然なるわけでございますが、それを採用することによりまして、世界で競争していくための不可欠の条件、すなわち、スピードアップした開発をこれによって実現しようというふうに思っております。
    次、お願いいたします。
    最後に先端技術への挑戦でございます。現在のところ、ETS−Z(おりひめ、ひこぼし)で日本が一歩、世界に先行した無人ランデブ・ドッキング並びにロボット技術を活用した軌道上サービスということを拠点系技術として重点化し、さらに、2にあります、IT活用の大規模システムの開発手法、それから、ナノ・マイクロテクノロジー等を取り込んだ意欲的な先端技術への挑戦ということも考えております。
    なお、先端技術につきましては、広く英知を結集するために、公募等による流動的研究体制により推進するということも考慮しております。
    次、お願いします。
    最後でございます。先ほど出てきました表を若干色分けしまして、メリハリをつけた図でございます。このピンクで色づけしてありますのが、最初に申しました3本柱の、1信頼性向上、黄色が、2信頼性の高い宇宙用部品の確保、薄いブルーが、3戦略的な共通技術開発、それから、グリーンが先端技術への挑戦という形でまとめてございます。
    なお、右下に書きましたように、平成13年度におきましては、太線で囲った部分を特に強化し、遂行している最中でございます。来年度以降につきましては、地上研究としての試作・試験並びに宇宙実証の準備ということで、この分野の大幅な強化を図りたいということで、是非よろしく御審議をお願いしたいと思います。以上でございます。

 長柄部会長 

   ありがとうございました。
    ただいまの狼先生の説明に対しまして、質問ないし御意見がございましたら。
    狼先生、13年度は、最後のページにいろいろ重点テーマがございますけれども、何人ぐらいの人を使って、どのぐらいのお金を使って、13年度は計画されているわけですか。

 狼研究総監 

   技術研究本部は約200名おりますが、重点研究に試験技術室等を含めて約150名の人員が投入されております。この中で、1信頼性向上に関する部分が、人員的にも資金的にも約半分で、15億円程度、23を合わせて、やはり15億円程度、約30億円の予算で実施しております。

 長柄部会長 

   質問、御意見ございませんか。
    冨田先生、どうぞ。

 冨田特別委員 

   これは基盤技術ということですから、私の質問はちょっと的を外れているかもしれませんが、この前のH−2のエンジンの不具合のときに、信頼度そのものの評価の仕方でちょっと議論があったんですね。つまり、確率を主観確率を使うかとか、信頼度の考え方はこれでいいのかとか、そういう議論はこの中では取り上げないんでしょうか。

 狼研究総監 

   現在はまだそこまで行っておりませんが、システム技術の中で信頼性管理という項目の中で、そういった確率的な信頼性の評価というようなことも同時に進めております。大変初歩的な段階ではありますが、輸送本部の中におきましても、既にそういった確率的な信頼性の評価ということに着手しております。まだ本格的な段階には至っておりません。これはやはりNASDAだけでは手に負えかねる部分でございますので、3機関、あるいはもっと幅を広げて、各大学の専門の方に参加いただいて議論をしていくものではないかなというふうに考えております。

 大島特別委員 

   基盤技術の開発ということで、ちょっと質問が違うかもしれないんですけれども、3体制で、大学、国立機関、企業という形で今後、そういう基盤技術を進めていくということなんですが、いずれ将来的には、その基盤技術を技術トランスファーという形で、やはり企業なりという形で浸透していくというシナリオになると思うんですけれども、実際に技術トランスファーをする場合には、例えば、特許とかいろいろ問題が出てくると思うんですが、それに関しては、やはり基盤技術の強化ということの1つとしてお考えにはなっていらっしゃるのでしょうか。

 狼研究総監 

   今の御指摘の点、これから特に重要な観点であるというふうに認識しております。従来は、NASDAと企業、システムメーカーなり、部品メーカーがほとんど一体になりまして、どちらのものとも言えずに、いわば仲よくやってきたというようなところが若干あったように思いますが、これからは、やはり国の資金を使って開発したものに関する工業所有権の取り扱い、それを技術移転するに当たってはどのようなルールでやるべきかというようなことにつきましては、本格的な議論をすべきであろうなというふうには考えております。
    実際に、先ほど大学、宇宙開発機関並びに企業というのを一体で申し上げましたが、その役割というのはおのおの大いに違っておりまして、実は宇宙開発事業団では体制上、みずから手を染めてモノを作るということはほとんどありません。全くないわけではありませんが、実際にモノを作るというのは企業の分担だったわけです。これからもその体制はそれほどは変わらないと思いますが、一番問題になります最初のアイデアに対する工業所有権の問題、それから、製造上のノウハウの技術移転の問題等は、非常に大きな検討すべき課題であろうというふうに私どもは理解しております。

 長柄部会長 

   薬師寺先生、どうぞ。

 薬師寺特別委員 

   狼先生にはよくお会いするので、聞いておけばよかったんですけれども、一番最後の図ですが、ある意味では軍需技術と非常にデュアルなところがあって、そういうことに関する、アメリカからの日米の科学技術協定みたいなのから、何か文句は、全然NASDAには圧力はかかっておりませんか。

 狼研究総監 

   NASDAを特定して文句ということは、特に私は聞いておりませんが、現在、米国の輸出政策が、昨年3月からだったでしょうか、商務省担当から国防省担当に、エクスポートライセンスの審査権が移ったということで、非常に審査期間が長くなったとか、そういう実際面での若干の問題は出ておりますが、ELの問題で完全にストップしてしまったというような例は今のところないようでございます。

 冨田特別委員 

   今のチャートですけれども、いろいろモノを開発する場合にメーカーが関与しているわけですね。私らの大学で言いますと、最近の学生の宇宙熱というのは非常に盛んでして、宇宙関係の企業に行きたいというのが多いんですけど、なかなか既存の企業では受け入れてもらえない。それから、ベンチャーみたいのも日本ではあまりないわけですね。こういう技術開発をしていく過程で、学生を広く受け入れていくような体制も同時に考えていただければ非常にありがたいんですけれども、これ、よろしくお願いします。

 狼研究総監 

   御要望ということで承っておきますが、NASDAの内部ではそういう議論、現在進めております。大変難しい問題だとは思いますが、真剣に取り上げるべきであろうというふうに理解しております。ありがとうございます。

 長柄部会長 

   それでは、予定の時間も参りましたので、今の件と非常に関連がございます3機関連携事業につきまして、上杉先生から説明を伺いたいと思います。

 上杉特別委員 

   宇宙研の上杉でございます。
    OHPもあるんですけれども、ちょっと時間もあまりございませんので、お手元のハンドアウトを御覧いただきながらお聞きいただきたいと存じます。
    運営本部というのは、ちょっと一部の方には耳なれないかもしれません。これは、実は昨年度におきまして、もともと宇宙開発事業団、航空宇宙技術研究所、それから、宇宙科学研究所、いわゆる宇宙関係の3機関と、それから、当時の文部省と科技庁というこの5者協議というのが開かれてまいりました。それは、それぞれが共通する部分を持ち寄って、オールジャパンで、協定によって何らかのできることをやっていくべきであるということに基づきまして、始められたものでございます。
    その後と申しますか、不幸にしましてH−2の事故、それから、M−Xの打上げ失敗ということもございまして、これがさらに強められたと申しますか、運営本部というものを3機関の協定によって作って、さらに信頼性を高めるようなことをすべきであるということが、昨年の宇宙開発委員会の方からも御指摘がございました。
    その辺のことが、ちょっと順番が狂って失礼でございましたけれども、4ページ目、研究の趣旨及び必要性というところに書いてございますけれども、今後大きく発展していくためには、3機関を含め、企業も含め、連携して枠組みを構築しなさいと。それから、この近年の失敗によりまして、今後さらに信頼性を向上する必要があると。そのために基盤技術をしっかり固めていきなさいという御趣旨でございます。
    そういうことで、今年度になりまして、4月の初めに、いろいろな準備を経ましたけれども、運営本部というのが設立されたということで、そのもとで幾つかのワーキンググループ及び、推進会議と呼んでおりますけれども、幾つかのプロジェクトを進めていくという枠組みができ上がりました。
    2ページ目に、色つきの組織図と申しますか、そういう形のものが書いてございます。3機関が寄りまして運営本部というものを構成し、その中で、現在は信頼性向上共同研究プロジェクト、エンジン中核研究開発プロジェクトというのが、2つの大きな研究プロジェクトとして走りだしている。
    それから、右の方に幾つかワーキンググループが書いてございます。これについてはちょっと今日は説明を省かせていただきますけれども、その中で本日御説明いたしますのは、一番左にあります信頼性向上共同研究プロジェクトでございます。ここには、まためくっていただきますと研究概要というのが次にございますが、それぞれこの3機関で、現在、基盤技術として必要とされ、さらに、信頼性を向上させることで緊急に必要とされているものを研究開発をしていくということで、大きく分けまして4つのテーマが選ばれております。宇宙用特殊工程技術の研究、固体ロケットモータの信頼性向上、宇宙機器の信頼性評価技術の研究、部品・材料データベースの整備ということでございます。
    それぞれ中身につきましては、全部これ、詳しく御説明するわけには時間的にまいりませんけれども、もう少しめくっていただきますと、それぞれについて少し中身といいますか、区分けしたテーマが書いてございます。宇宙用特殊工程技術の研究というのが二、三枚めくったところにあると思いますが、そこでは、特に構造部材の非破壊検査能力の向上。これは、昨年の宇宙開発委員会技術評価部会等でさんざん御審議いただいたことでございますけれども、特にM−Xロケットのノズルが壊れたときに、そういうグラファイトでありますとか、3Dカーボン・カーボン、そういうものの大変大きな構造部材が、非破壊検査能力というのがまだまだ不足ではないかということがございました。そういうことで、これをさらに向上させようというテーマでございます。
    次は、これはH−2の事故の方から来たようなことでございますけれども、エンジン耐熱材料の鋳造・溶接性に関しての信頼性をさらに高める。
    それから、LE−7等のチャンバを溶接すると申しますか、その際のろう材の信頼性研究といったような、かなり基盤技術でございますけれども、実際にこれから宇宙用のものにとりまして大変重要なもの、こういう技術をさらに高めていくという研究テーマでございます。
    それから、先ほど来、出ていますM−Xロケットがメインでございますが、固体ロケットモータをさらに信頼性を向上させるために、特に問題になりますノズルの設計法の改善、あるいは、FRP等の複合材料の強度信頼性評価、こういうものを高めていこうというのが、最初の宇宙用特殊工程技術の研究、それから、固体ロケットモータの信頼性向上というテーマのさらに高める部分です。
    次のページをめくっていただきますと、宇宙機器の信頼性評価技術の研究と、部品・材料データベースの整備というのがございます。宇宙機器の信頼性につきましても、これまで数年にわたりまして、衛星におきましていろいろな部品が故障しているということがございました。ジャイロでありますとか、フライホイールでありますとか、そういったもので故障が生じております。そういうものをさらに信頼性を高めていくために、試作・試験も含め、研究していくというのがテーマでございます。
    それから、先ほどの御質問にありました、宇宙機器の信頼性評価技術の研究の中の、4少量生産品の信頼性向上・評価手法の確立、これが実は大変難しい問題ではございます。常に指摘されていること、それから、先ほどの御質問にもありましたように、いわゆるロケットであり、衛星であり、一発物と申しますか、大変大量生産の中から、あるいは、それを運用していく中で故障を減らしていくというようなことができない、ゼロ一の世界に近いところがございます。1つ故障してしまうとそれでおしまいというようなことで、それも手作りに近いような、1つずつ作っていくようなものがございますので、これをどうやって信頼性を向上するか、あるいは、それ以前に、どうやってそれを評価していくのかと。先ほど冨田先生からも御指摘があったような問題でございます。これは大変大きな問題ですけれども、やはりどうしても宇宙をやっていく中で研究を進めていかなければいけない課題だろうというふうに思っております。
    それから、部品・材料データベース、これは、それぞれ今まで基盤技術として経験的には使ってまいりましたけれども、系統的に研究されていない。例えば、宇宙曝露環境で潤滑特性がどうかというようなことにつきましても、これを系統的に進めて、データベースとして整備していくというようなことが大変重要であるということで、そういう部分をこの分野で研究していこうということでございます。
    これが、平成13年度にスタートしました信頼性向上共同研究プロジェクトの概要でございます。基本的には、これはいずれも単年度で終わるようなテーマは少なくて、それぞれが2年、3年、あるいは……という形で、年次計画でやっていかなければいけないものですけれども、来年度も引き続きこういう形で進めていくと。
    さらに来年度につきましては、現在やっておりますのは緊急性に基づいたものということが多くて、ある意味では少し後ろ向きなテーマという言い方もできるかと思いますけれども、今後これを進めていくためには、先ほども先端技術という話もありましたけれども、少し前向きなテーマというものを来年度以降は取り上げていかなければいけないんじゃないかと。場合によっては公募というようなことも含めて、いろいろテーマを集めて、その中で進めていかなければいけないのではないかという議論も現在はしております。
    現状、信頼性向上共同研究プロジェクトについては以上でございます。

 長柄部会長 

   ありがとうございました。
    質問なり御意見がございましたらどうぞ。
    今、始まったばかりですけれども、この混成部隊のチームというのは非常に有機的に動いていますか。それとも、何かそれぞれの文化が違う組織から人が出ておられまして、チームを組んでおられるわけなんですが。

 上杉特別委員 

   まさに今、動きだしたばかりでございまして、まだその辺は見えておりません。後ろの方の表にございます、各チームそれぞれ3機関から出たチームで組んでおりますが、まだちょっと正直言ってわかりません。動きだしたばかりでございますので、これからだろうと思いますけれども。

 長柄部会長 

   上杉先生がリーダーでございますから、ひとつよろしくお願いいたします。
    山根先生、どうぞ。

 山根特別委員 

   大変すばらしい仕事をされていると思います。また今、非常に言われているのが、人の問題だと思うんですね。いつもプロジェクトトラブルが起こると、最終的には、どこのだれがその作業をして、それの作業ミスだったとかいうようなことで片づけられるのは、現場の方たち、習熟技術者の人たちはかわいそうだなという感じが、名前は出ませんけれども、何となくそういう感じがします。今、日本全体で工業力の高度化は進みますけれども、熟練先導者といいますか、技術者たちの技術をどう生かしていくか、継承していくかということだけではなくて、私は、もっと大きなシステムの中で彼らがいい仕事ができるような、いわば単品生産ができるようなものが必要で、むしろ宇宙の開発だからこそ、そこで望ましいそういう習熟技能者の生かし方のシステムを作っていただくと、それがほかの分野に実は非常に役に立っていくんじゃないかなと。
    今、現場を歩いていきますと、本当に、大体私たちより上の世代の方しかそういうことができなくなっていまして、特殊な溶接技術とかですね。あとはもういないよということを平気で企業の方はおっしゃいますね。あとは、それは機械化することを考えているというふうにおっしゃるんですけれども、果たしてそれでいくものなのか。これから宇宙技術というのは、いつまでもそういうのはつきまとうものなので、是非そこで効率的な人というのをどこかに入れていただきたいなというふうに希望いたします。

 長柄部会長 

   狼先生なり上杉先生、何か今の発言に対して。

 上杉特別委員 

   おっしゃるとおりで、大変ベテランの現場の方が今いなくなりつつあると、もうちょっと前からですね、かなり。それは本当に大きな問題だと思っています。ただ、じゃあ、どうすればいいかというのは、確かにおっしゃるように今はまだ確立していないかと思いますので、今の御指摘、是非そういう点で考えていきたいというふうに思います。

 狼研究総監 

   私も同様に思っております。ありがとうございます。

 長柄部会長 

   ほかにございませんか。どうもありがとうございました。
    最後に、経済産業省の方で今、取り組んでおられますUSERS、SERVISプロジェクトについての現況、それから、もう既に打上がっておりますセンサーのASTERについての現在の状況等について、報告をいただきたいと思います。

 吉澤(経済産業省) 

   私、経済産業省の宇宙産業室の吉澤と申します。本日は、御説明の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
    私どもですが、宇宙産業ということで、宇宙産業の基盤強化、あるいは鉱工業分野の宇宙開発を、宇宙科学研究所、あるいは宇宙開発事業団の皆様方と十分連携をさせていただきながら進めておりますので、この中の幾つかのプロジェクトについて御説明をさせていただきたいと思います。お手持ちの資料3−6と書いたものに即して御説明いたします。
    1枚めくっていただきまして、次世代型無人宇宙実験システム、私どもUSERSと呼んでいるものについて、簡単に御説明いたします。
    プロジェクトの目的・特徴につきましては、ここの右側の方に絵がございますが、この上の方の箱のところに、超電導の材料を製造する実験装置を積みまして、宇宙空間で超電導の材料を作るという実験を行います。これを、実験後に成果物として地球に落としてまいりまして、回収をいたします。というのがこのプロジェクトの概要でございます。
    これがリエントリモジュールと申しまして、これで超電導の材料を地上に持ち帰るということです。下の方はサービスモジュールといいまして、いわゆる衛星バスでございます。
    次のページをお願いいたします。
    現在の進捗状況につきましては、平成12年度までに、各種宇宙機システム、あるいは、搭載実験機器のコンポーネントレベルの製造をおおよそ終了しております。
    そして、宇宙機のシステムにつきましては、宇宙開発事業団のH−2Aロケットに、宇宙開発事業団の衛星とともに相乗りをさせていただいて打上げる予定にしておりまして、こういったところは民間ベース作業を実施しております。
    13年度につきましては、宇宙機、こういった衛星のシステム全体を、実機のものを組上げていって、完成させていくというようなことを予定をしております。
    次、3ページをお願いいたします。これが、USERSの、どのような実験をやるのかというシークエンスでございます。H−2Aによりまして打上げた後、軌道上に投入いたしまして、軌道上で運用をいたします。その間に超電導材料の製造実験を行います。半年から1年程度、行った後に、レム(REM)と言っておりますカプセルを地球上に、大気圏に再突入させまして、これを拾って持って帰りまして、さまざまな物性等の検査、あるいは、その研究を行うことになっております。
    次、4ページでございまして、先ほど申しましたとおり、14年度、2002年にH−2Aのロケットで打上げるという予定になっております。
    次のページが、この宇宙機の外観でございます。
    次に、6ページ目で、もう1つのプロジェクトでございますが、宇宙環境信頼性実証システム、SERVISというふうに私どもは呼んでいるものについて、御説明させていただきます。
    目的につきましては、民生部品、民生技術、こういったものを幅広く宇宙機に使ってまいりたいということもございまして、こういったものの宇宙実証を行い、低コスト、短納期、高品質の衛星を実現していって、我が国の宇宙産業の高度化、あるいは、競争力の強化を図っていくということが目的でございます。
    これにつきましては、1号機と2号機で、徐々に衛星バスにおける民生部品、あるいは民生技術を用いた衛星の設計、こういったことを行い、技術を蓄積してまいるということでございます。
    もう1つといたしまして、情報技術の活用、すなわち、サブコントラクターと衛星のインテグレーターを情報ネットワーク上で結び、いろんな部材についてバーチャル、仮想現実上でインテグレーション、組立てを行って、開発作業の効率化を図るということもやっております。
    特徴につきましては、今申しましたとおり、民生部品、民生技術の活用ということでございます。
    次のページをお願いいたします。
    進捗状況につきまして、平成12年度につきましては、1号機において、宇宙機システム、実験機器の基本設計等を終了したというところでございます。
    13年度につきましては、引き続き詳細設計に進みたいと。あるいは、フライトモデルの製作・試験を続け、14年度以降の打上げの準備をしてまいりたいと思っております。
    次の8ページが、1号機の軌道上のコンフィギュレーションを示したものでございまして、上の方の衛星バスの上に載っている箱、このあたりが宇宙実験の機器、民生部品の実験機器でございます。
    9ページでございますが、スケジュールといたしましては、今のところ平成14年度の末に1号機の打上げ、17年度に2号機の打上げというような段階を踏んでまいりたいというふうに思っております。
    次、10ページ、ちょっと時間が押しておりますが、ASTERについて簡単に。これにつきましては、アメリカの航空宇宙局(NASA)との共同研究を行っているものでございまして、EOS計画の一端を担っております。これにつきましては、真ん中の方に書いてございますが、平成11年12月にアトラス、アメリカの方の衛星ロケットにより打上げられて、現在、既に12年度中に初期チェックアウトを完了いたしまして、昨年の末あたりから定常運用、それから、データの一般配布も行っておりますが、こういったものを行っておるところでございます。
    ということで、簡単ではございましたが、とりあえず以上で御説明を終わらせていただきます。

 長柄部会長 

   ありがとうございました。
    ただいま説明がございましたUSERS、SERVIS、ASTERにつきまして、質問なり、何か御意見がございましたら。
    どうぞ。

 八坂特別委員 

   前回、宇宙開発事業団に質問した件がありまして、公平を期す立場からも、御意見をお伺いしたいと思うんですけれども、この6ページ目に、バーチャルインテグレーションというふうに、かなり遠慮した形で書かれているんじゃないかと思いますけれども、SERVISをやられる1つの大きな柱だと思うんです。これは、製造する企業と開発する立場のところと結んで、相手を使って、設計、あるいは非常に進んだ検証までやると、そういったことかと理解しておりますけれども、宇宙開発事業団さんの方でもそういった方向を考えていらっしゃるということなんですが、実はちょっと心配するのは、2つのシステムが混在した場合に、これはメーカーさんはほとんどダブりますので、混乱は生じないか、どういうふうに整理していくのかということなんですけれども、これはどういうふうにお考えでしょうか。

 吉澤(経済産業省) 

   今、八坂先生のおっしゃられたとおりでございまして、こういったものを2つ作ってどうなるというのは当然ございます。したがいまして、私どもの方といたしましては、ある種、私どもの開発の方が先行しているという事情もございますので、蓄積の方もあるというふうに自負しております。そういったものをうまく引き継ぐような形にしていただきながら、メーカーの方がそういったものを統一的に使えていくように、我々としては考えてまいりたいというふうに思っております。

 長柄部会長 

   ほかにどなたか。
    特にございませんか。
    もう1つございます。前回の会合で、地球観測のときに、佐藤先生からADEOSにのっけるセンサーが、各国のセンサーとどういう分担になって、どういう補完関係になっているかというのは、これは高柳先生の方からもあったかと思いますけれども、そういう質問がございまして、表にして出しますと、こういうふうになっていたんですが、これについて資料の3−7−1にございます。これについてNASDAの方から説明を伺いたいと思います。

 片木(宇宙開発事業団) 

   衛星プログラム推進部長の片木でございます。簡単に御説明いたします。 地球観測分野における協力と分担ということですが、次、よろしくお願いします。 このOHPは、地球観測センサと観測対象ですけれども、上の方は、地球観測衛星から地球を見ているイメージ図ですが、下の方に表が出ております。大きく言って、左側に書いてありますように、広範多岐にわたる観測、これは、身近にあります観測対象、例えば、エアロゾルですとか、海温・海色、植生、気温、水蒸気、雪氷・降水などですけれども、こういうものにつきましては、観測頻度を高めるために各国とも実施をしているカテゴリーのものでございます。 それから、下側の方の、例えば、海上風、海面高度、大気組成、これは特別な目的を持った観測ということで、各国の目的、技術に合わせて実施というようなカテゴリーに分類されるかと思います。それぞれの観測センサ例を書いてございますけれども、これにつきましては、次のOHPをお願いします。 ちょっと字が小さくて恐縮なんですけれども、左側にそれぞれ観測をする対象、エアロゾルから植生まで書いてございます。
    それから、右側の方の凡例のところに色分けで、日本、米国、欧州、その他とありますけれども、例えば、エアロゾルから海温・海色までは、先ほどのカテゴリーで言いますと、広範囲に観測対象を広く見るということ、高頻度に見るということから、各国がやっておりますカテゴリーですけれども、御覧いただきますとおり、各欄が、それぞれ日本、米国、欧州の欄が並列的に、あるいは、シリーズ的にやっております。すなわち、シリーズ的に、あるいは補完的に、いろんな国が、いろんな形で、同じエアロゾルですとか水蒸気というもののデータを取得しているという例でございます。
    それから、下の方の海面高度、海上風、海氷につきましては、欄は2つぐらい書かれているんですけれども、内実は1つの、例えば、米国ですとか、欧州ですとか、典型例が海氷ですが、世界の中で欧州がもっぱらこの海氷の観測をして、そのデータを世界の人が使っているというような形のデータ取得を図っております。
    こういうそれぞれの地球観測衛星における観測計画なんですけれども、右側の四角の中に書いてございますように、地球観測衛星委員会(CEOS)とか、統合地球観測戦略(IGOS)、これは地球観測に関する国際的な枠組みでございますし、ちなみにこのCEOS、IGOSにつきましては、今年度、本会合が11月に京都で開かれますが、文部科学省と事業団が共同議長を務めることになっております。こういう会議、あるいは議論の中で、それぞれの観測計画なり情報の交換をいたしまして、自分のところの観測の結果に反映していくというような形をとってございます。
    次のOHPをお願いいたします。
    先ほどの年度展開のものを、今度は衛星単位で示したものでございますが、日本、米国、欧州、それぞれの……。例として、グローバルな観測をする人工衛星、地球観測衛星を例として挙げてございますけれども、ADEOS−2からTerra、Aqua、Aura、JASON、Envisatというような衛星に対して、それぞれの衛星に搭載されているセンサ、そして、そのセンサが測るもの、左側に大気、海洋、陸域と書いてございますけれども、その観測対象物が示してございます。
    まことに申しわけないんですが、事業団の説明は常に略語が多いという御批判を受けるんですけれども、表のサイズなどの関係でちょっと略語を使わせていただきましたが、参考までに、後の方のページで略語の一覧表をつけてございますので、御参照いただきたいと思います。以上でございます。

 長柄部会長 

   ありがとうございました。
    この内容については、佐藤先生には別途説明に行っていただくということになっていますが、ほかの先生方は、特にこれについて質問ないし御意見はございませんか。
    松野先生、何かありますか。

 松野特別委員 

   感想みたいなコメントをさせていただきますと、この表、最後に見せていただいた図で大変わかりやすくなって、前は、佐藤さんは、役割分担とか、特にADEOSは何が特色かとかいうふうなお話がありましたが、そのときも、地球観測に関係している人間として、世界中で、時間的にも継続的に頻度高く見ていく、地上観測と同じように定常観測に近い状況になりつつあるんだということを自分なりに御説明したつもりでしたが、この図を見て非常にわかりやすくなったのが、2001年、ちょうど今、アメリカのALOSとか上がって、さらにその後、本当は今年でしたが、来年の2月ですか、ADEOS−2が上がる。その段階で、本当に定常観測みたいな状況になってくるんだなという気がいたしました。
    これは逆に、数年さかのぼると、本当にADEOSが非常に先駆的な仕事をしていたと。その間、アメリカやヨーロッパの衛星が、環境観測衛星が上がり、そして、ADEOS−2が上がったところで、ヨーロッパと、日本と、アメリカと、3つがそろって。そうすると多分、中緯度だと、GLIなんかで観測の幅が15度、1,600キロぐらいありますですね。それだと、日本ぐらいの緯度だと1日6回ぐらいの頻度で見えるし、緯度60度だったら8回とか、3時間おきの観測みたいになって、本当に常時監視体制ということができてきているということがよくわかったというふうに思います。以上です。

 長柄部会長 

   ありがとうございました。
    ほかの先生方は特にございませんか。
   それでは、最後でございますが、もう1つ、特に説明はしない予定になっていますが、計画の3−7−2で、これは澤岡先生ほか冨田先生、あと八坂先生、もう1人どなたか、会議の場ではなくて、質問表が出てまいりまして、こういうふうな回答が出てきております。これにつきましては、各先生方にこの資料をお送りしまして、内容をよく理解できたということをいただいております。
    八坂先生、それでいいですか。

 八坂特別委員 

   はい。

 長柄部会長 

   ということで、ほかの先生方にもこの同じものをお配りしましたので、御覧いただきたいと、こう思います。 それでは、どうもありがとうございました。本日の部会はこれで終わらせていただきます。 次回でございますけれども、6月11日(月)の午前10時から2時間半をお願いしたいと思います。主に宇宙科学と月探査を中心にレビューをしていただきたいと、こう思っております。よろしくお願いいたします。それでは、どうもありがとうございました。
    それから、先ほど申しましたけれども、今日の話題になりました宇宙ステーション、それから基盤技術等につきまして、御意見、御質問がございましたら、お配りしたメモでお出しいただきたいと思います。

 松野特別委員 

   質問がちょっとあるんですが、第1回のとき、i−Spaceについて、だれかが、ここではあまりよくわからないから、別に何かワーキンググループみたいのができるんでしょうかという質問をしましたら、そういうことをやりますというお話だったんですが、あれはどうなったんですか。

 長柄部会長 

   あれはそのように考えておりまして、今、宇宙開発事業団の方では、i−Spaceの構想といいますか、利用要求等をいろいろ詰めておられます。

 松野特別委員 

   その評価というか……。

 長柄部会長 

   内容的には、今のところ、7月のこの部会に、その詰めた結果を紹介してもらうことになっています。ここでですね。

 松野特別委員 

   それは外部評価になるんですか。

 長柄部会長 

   いやいや、それは宇宙開発事業団の提案でございます。そのときに、確定ではございませんが、この部会では専門家も少ないので、専門的にいろいろ評価する必要があろうかと思いますので、i−Spaceといいますか、インターネット衛星計画について、その内容が適切かどうかということを、ここのメンバーの何人かプラスアルファの方で詰めていただこうということを考えております。

 松野特別委員 

   わかりました。

――了――





(研究開発局宇宙政策課)

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