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宇宙開発委員会

2001/04/23 議事録
宇宙開発委員会 計画・評価部会(第1回)議事録


宇宙開発委員会 計画・評価部会(第1回)議事録

1.日時 平成13年4月23日(月)
  10:00〜12:00

2.場所 文部科学省別館第1会議室(旧科学技術庁5階)

3.議題 (1) 我が国の宇宙開発について
  (2) 宇宙開発事業団の活動について
  (3) 計画・評価部会の審議の進め方について
  (4) 宇宙開発事業団の資金計画及び人員計画
  (5) 超高速インターネット衛星計画の現状
  (6) その他

4.資料 計画1-0-1 部会の設置について(平成13年1月31日宇宙開発委員会決定)
  計画1-0-2 平成13年度以降の宇宙開発に関する計画の調査審議について(平成13年4月11日宇宙開発委員会決定)
  計画1-1-1 我が国の宇宙開発の中長期戦略(概要)
  計画1-1-2 我が国の宇宙開発の中長期戦略
  計画1-1-3 我が国の宇宙開発の取組み
  計画1-2-1 宇宙開発事業団の活動の概要
  計画1-2-2 宇宙開発事業団改革の進捗状況
  計画1-3 計画・評価部会の審議の進め方について(案)
  計画1-4 宇宙開発事業団の資金計画及び人員計画
  計画1-5 超高速インターネット衛星計画の現状

5. 出席者
     部会長 長柄喜一郎
     宇宙開発委員 井口雅一(委員長)、栗木恭一、五代富文
     特別委員 上杉邦憲、大島まり、佐藤勝彦、澤岡昭、鈴木敏夫、高柳雄一、冨田信之、松野太郎、宮崎久美子、森谷正規、八坂哲雄
     オブザーバ 斉藤勝利

6. 議事内容

 長柄部会長 

   おはようございます。まだお一人、予定の先生がお見えになっておりませんけれども、定刻になりましたので、第1回の計画・評価部会を開催したいと思います。
   私は、部会長を務めさせてもらっております長柄でございます。よろしくお願いします。
   また今回、この計画・評価部会を設けるに当たりまして、特別委員の各先生方、快く委員就任を引き受けていただきまして、ありがとうございます。御礼を申し上げたいと思います。
   また、本日も多数の委員の方々に御参加いただきまして、ありがとうございます。
   それでは、今日、第1回の会合でございます。各委員の自己紹介でもと思ったんですが、まだお一人見えになっておりませんので、その前に、この計画・評価部会は何をする部会かということを簡単に説明申し上げたいと思います。
   実は、この1月の中央省庁の再編に伴いまして、宇宙開発委員会の機能もかなり変更になりました。従来、宇宙開発委員会は内閣総理大臣の諮問機関であったものが、今回は文部科学大臣の諮問機関になりまして、また、委員長は従来、科学技術庁長官が務めておりましたけれども、改変後は学識経験者ということで、私の隣にいらっしゃいます井口先生が委員長に就任されております。
   それから、宇宙開発委員会の審議の範囲でございますけれども、従来は日本全体の、要するに、日本の各省庁のおやりになっている宇宙開発全体を審議するということから、宇宙開発事業団の業務ということに範囲が狭められております。
   この宇宙開発委員会の組織の改変に伴いまして、下部組織の部会も改変されました。従来、宇宙開発に関する計画につきましては、計画調整部会というのがございましたけれども、これを変更いたしまして、今回、計画・評価部会というのを設置したわけでございます。
   計画・評価部会の任務につきましては、資料の1−0−1にございますように、宇宙開発に係る計画及びその評価に関する重要事項に関することを審議すると、こういうことになっております。
   また、この計画・評価部会の差し当たりの審議事項といいますか、タームズ・オブ・リファレンスは、その次の資料の1−0−2にございますように、宇宙開発に関する活動全般の進捗状況等に関する調査、それから、平成13年度以降、要するに、来年度以降、新たに実施する主要な研究、開発等に関する調査審議ということになっております。
   この(1)(2)につきましては、後の議題で、この具体的な審議の方法については御審議願いたいと、こう思っております。
   それから、この部会の構成員につきましては、今の1−0−2の次のページにございますように、宇宙開発委員が3人、特別委員の方が、ここにございます15人でございましょうか、に参加いただいて、この全員で審議するということになっております。
   宇宙開発委員は、私と、隣の栗木委員と、五代委員、3人が部会の構成員でございますが、委員長、それから、今日はおいでになっていませんけれども、沢田委員も適宜、時間が許す限り御参加願って、いろいろ審議に加わっていただくということになっております。
   また、宇宙開発事業団の企画担当の斎藤理事でございますけれども、適宜、説明なり発言をしていただくということで、常時参加をいただくことになっております。
   それでは、今日は第1回の会合でございますので、各委員の簡単な自己紹介をお願いしたいと思いますが、最初に井口委員長の方から、自己紹介を兼ねてあいさつをお願いします。

 井口委員長 

   はい。1月6日に宇宙開発委員会委員長を仰せつかりました井口でございます。前から御面識をいただいている先生方が多いんですけれども、御存じのように、私は陸上交通機関の専門でございます。それが突然、宇宙に来たものですから、この3カ月間、一生懸命勉強を進めておりますけれども、何分にも不十分でございますので、先生方の御教示をいただきたいと願っておりますので、よろしくお願いいたします。

 長柄部会長 

   それでは、アイウエオ順に、上杉先生の方から、時間も制限がございますので、お名前と、お仕事と、専門ということでお願いします。

 上杉特別委員 

   宇宙科学研究所の上杉でございます。所属はシステム研究系システム工学ということでございまして、専門は、システム工学というのは何をやっているかよくわからんというふうによく言われますけど、ロケットから衛星まで全部取りまとめをやるところということになっております。よろしくお願いいたします。

 長柄部会長 

   ありがとうございました。
   では、佐藤先生、お願いします。

 佐藤特別委員 

   東京大学の佐藤でございます。理学研究科に所属しておりますが、この4月から学部長を務めさせていただくことになっております。専門は宇宙物理学の理論でございまして、宇宙そのものには非常に関係しておりますが、宇宙開発事業団関係のお仕事をさせていただくのは2回目程度かと思います。文部省の方の宇宙研関係の委員会はいろいろさせていただいておりました。どうぞよろしくお願いいたします。

 長柄部会長 

   では、澤岡先生、お願いします。

 澤岡特別委員 

   大同工業大学の澤岡でございます。専門は学生集めのセールスマンでございます。2年前までは材料の研究をやっておりました。よろしくお願いいたします。

 長柄部会長 

   鈴木委員、お願いします。

 鈴木特別委員 

   経団連を代表しまして参りました鈴木でございます。一応産業界の視点でまたいろいろ意見を申し上げさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 長柄部会長 

   高柳委員、お願いします。

 高柳特別委員 

   日本放送協会の解説委員室というのがございまして、そこで仕事をしている高柳雄一と申します。エンジニアリングにしても、サイエンスにしても、宇宙を場所として非常に大事な人間の活動だと思っておりますので、是非それを国民の人に理解してもらえるように頑張りたいと思っております。

 長柄部会長 

   冨田先生、お願いします。

 冨田特別委員 

   武蔵工業大学の冨田です。三十数年間、メーカーでロケットとか宇宙ステーションの開発をやっておりまして、6年前から武蔵工業大学におります。専門は宇宙システム工学ということになっています。ひとつよろしくお願いいたします。

 長柄部会長 

   では、松野先生。

 松野特別委員 

   地球フロンティア研究システムの松野でございます。3年前からこの宇宙開発事業団と海洋科学技術センターのジョイントプロジェクトということで、地球規模の変動現象、地球の温暖化とか、エルニーニョとか、そういったものの研究に携わっております。それまでは大学で、気象学とか、そういう地球物理の研究、科学教育に携わってまいりました。どうぞよろしくお願いいたします。

 長柄部会長 

   ありがとうございました。
   宮崎先生、どうぞ。

 宮崎特別委員 

   東京工業大学の宮崎でございます。私の専門分野は、科学技術政策とか技術マネージメントでございます。よろしくお願いいたします。

 長柄部会長 

   森谷委員、どうぞ。

 森谷特別委員 

   放送大学の森谷でございます。私は、野村総合研究所で20年ほど、その後も十数年、技術問題を考えるという仕事をやっております。正直申し上げまして、宇宙開発にはあんまり関心はなく、少々冷たかったのでありますが、これを機会に、ささやかながら応援団の一員にさせていただきたいと思います。よろしく。

 長柄部会長 

   八坂先生、どうぞ。

 八坂特別委員 

   九州大学の八坂でございます。こちら側ですけれども、特別委員でございます。大学を卒業以来、ロケット、それから通信衛星とか、そういったものの開発に携わっておりましたけれども、現在、教育の立場で宇宙開発に携わっております。ひとつよろしくお願いいたします。

 長柄部会長 

   では、斎藤さん。

 斎藤理事 

   宇宙開発事業団で企画担当をしております斎藤でございます。宇宙開発委員会が新しい体制になりまして、宇宙開発事業団を主とした御審議をいただくことになったわけでございますけれども、これからいろいろな各方面で御指導をいただくことになりますので、是非よろしくお願いいたします。

 栗木委員 

   宇宙開発委員の栗木でございます。出身は宇宙科学研究所でございます。現在は、宇宙開発委員会の評価基準を作るという部会の部会長を務めております。この部会とも縁が深いかと思いますので、よろしくお願いします。

 長柄部会長 

   では、五代さん、お願いします。

 五代委員 

   宇宙開発委員の非常勤の委員の五代でございます。昨年まではNASDA、その前は航技研におりました。よろしくお願いします。

 長柄部会長 

   では、事務局の方、お願いします。

 今村局長 

   研究開発局長の今村でございます。宇宙開発委員会の体制は、今、長柄先生からお話がありましたように、スコープが少し変わりましたけれども、私どもといたしましては、従来どおり高い目線と幅広い視野から宇宙開発を御指導いただきたいというふうに考えております。特に宇宙開発は現在、非常に厳しい状況にあるということを私どもも痛感いたしておりまして、それだけに、宇宙開発というのが社会にどのように役に立つのかといったようなことが評価の基本ではなかろうかと、このように思っております。そのような視点から御指導いただきますよう、お願いいたしたいと思います。

 素川審議官 

   研究開発局担当の審議官をしております素川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 芝田課長 

   宇宙政策課長の芝田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 金子課長補佐 

   宇宙政策課の金子と申します。この部会の事務局を担当しています。よろしくお願いします。

 長柄部会長 

   どうもありがとうございました。
   それでは、議題に入りたいと思います。
   最初の議題は、「(1)我が国の宇宙開発について」ということでございますが、本日は議題が5つほどございますけれども、最初の(1)(2)は審議ではございませんで、現状の報告でございます。
   (3)以降は審議になっておりますが、簡単に我が国の宇宙開発の現状について、私の方から説明させていただきます。時間にも制限がございますので、ごく概略だけ申し上げます。
   最初の資料の1−1−1と、1−1−2でございますけれども、これは、宇宙開発の現在の政策といいますか、政策の基本を示すものでございます。従来、宇宙開発委員会は、長期的な指針としまして宇宙開発政策大綱というのを決定しておりまして、これをほぼ5年ごとぐらいに改定して、政府全体の指針としてまいったわけでございます。この中長期戦略というのは、昨年の12月に宇宙開発委員会が決定したものでございます。そして、そのすぐ後、閣議に報告して、政府全体としての政策であるという位置づけになっております。
   この内容を説明する時間はございませんので、1−1−1にその概要だけ書いてございますが、どういうことが書いてあるかということだけ申し上げます。後で時間のあるときにお読みいただきたいと思いますけれども、上の方に、「我が国の宇宙開発政策上の課題」というのがございます。要するに、技術力が不足している、そのために技術基盤の形成に全力を傾ける必要があると。
   それから、開発と投入資源との間にアンバランスがあると。要するに、手を広げ過ぎているということで、今後はさらに重点を絞って、特徴ある宇宙開発を進めなければならないと。
   それから、宇宙開発を取り巻く国民の意識とか社会経済環境が著しく変化していると、これに合うような新しい宇宙開発システムの構築が必要であるというようなことを、第1章とか前文で述べております。
   そして、ちょうどこの紙の真ん中の段の中央でございますけれども、ここで目的と方向と書いてございますが、宇宙開発の目的として、先端科学技術への挑戦と人類の将来につながる知見の獲得、2番目として社会経済への貢献、3番目として宇宙活動基盤の強化と、こういう目的を挙げております。
   こういう目的に沿って、一番下の枠でございますけれども、それぞれの分野について、どういうことをやるかという重点項目といいますか、これが挙がっておりまして、宇宙科学研究、それから、先端科学技術の開発。
   また、社会経済への貢献としては、地球観測とか通信・放送がございます。
   基盤の強化としては、基盤技術、輸送関係、それから宇宙ステーション、こういうことでございまして、こういう各項目について、その重点的な課題ないし短期の目標。短期といいますのは約10年の目標でございます。それから、長期目標としては約20年の目標を掲げております。さらに、当面の活動、ここ5年間ぐらいの活動を書いてございます。
   こういうことで、全体の戦略と申しますか、を示しているものということでございます。
   ちょっと時間がございませんのでこの程度にしまして、時間のあるときにこの中長期戦略というのを御覧いただきたいと、こう思います。
   それから、今度は宇宙開発の計画ないし予算がどうなっているかということで、計画1−1−3というのに、「我が国の宇宙開発の取組み」という、ちょっと分厚い資料が出ております。これは、文部科学省が本年4月現在でまとめたものでございます。ちょっと御覧いただきますと、分野別にプロジェクト名が書いてございまして、これがどういう目的で、いつごろ打上げることを目標に開発を進めるというふうなことがずっと書いてございます。これは、宇宙開発事業団だけではございませんで、日本の各省庁の計画が書かれております。
   そして、16ページに平成13年度の予算の総括表が載っております。平成13年度は、合計欄を御覧いただきますと2,902億円、これが政府全体の宇宙開発にかかわる予算でございまして、これは、前年度の2,743億というのに対しまして約6%の伸びになっておりますが、実は、これをよく御覧いただきますと、内閣府のところが、506億から773億というふうに、情報収集衛星関係でございますけれども、これが非常に多く伸びておりまして、むしろその他の省庁の部分は若干減少ぎみであるというのが実情でございます。
   ただ、文部科学省は、宇宙開発事業団と宇宙科学研究所が中心でございますけれども、これが約1,800億円ございまして、それに内閣府の773億円を加えますと、全体の約90%ぐらいを占めているというのが予算の現状でございます。
   時間がございませんので、政策の現状、プロジェクトの現状、予算の現状は以上のとおりでございます。
   なお、最後から3ページぐらいございましょうか、過去から現在に至る、宇宙計画の実績と現在の計画が載っておりますが、例えば、31ページを御覧いただきますと、平成13年度というコラムで見ますと、今年度はH‐UAロケットで、平成13年度に、この△のついたもの、3つございますけれども、3回の打上げを予定しているとか、平成14年度には、3回書いてございますけれども、どういう衛星を打上げる、15年度には、陸域観測技術衛星ALOSとかETS‐[を打上げると。こういうふうに、例えば、MーVロケットは、一番上の行でございますけれども、今年度はございませんが、来年度はMUSES−C、その次はLUNAR‐AとASTRO‐F、こういうふうに見るのでございますが、こういうふうに、現在の各衛星の開発とその打上げ計画の予定がここに載っておりますので、後で御覧いただきたいと思います。
   以上でございますが、この1−1−1から3までで何か質問はございませんでしょうか。簡単な説明で申しわけございませんでした。
   では、よろしゅうございますか。
   それでは、この計画・評価部会の主議題でございます、宇宙開発事業団の活動につきまして、斎藤理事の方から説明していただきたいと思います。
   90年代の後半に入りまして、宇宙開発事業団の衛星ないしロケットでは、いろんな不具合とか事故が続けて起こりまして、宇宙開発委員会では、宇宙開発事業団の改革について2つの会合を開いて、報告書をまとめております。
   これを受けて、現在、宇宙開発事業団ではいろんな改革が進められておりますけれども、その改革の状況ないし現在の活動の活動の状況について説明願いたいと思います。

 斎藤理事 

   委員の先生方で、宇宙開発事業団のことに関しまして初めての方がおられますので、お手元に赤い冊子がございますが、ちょっと御覧いただきたいと思います。その一番最後のところにとじ込みのところがございます。とじ込みのところに今、修正が入っておりますが、白い紙の部分を御覧いただきたいと思います。2ページ目のところに事業団のこれまでの経緯が書いてございます。宇宙開発事業団は、1969年に事業団法によって設立された特殊法人でございます。69年というのは、アポロ11号が月におりたときでございます。
   その後、今年で31年になっておりますけれども、この間、人工衛星を打上げましたロケットが31回、それから、大小合わせまして上げました人工衛星が約40機になってございます。
   それで、3ページ目、4ページ目の方に体制の図が書いてございます。新しい体制は修正の白い紙の方に書いてございますが、国の方の省庁再編によりまして、文部科学省及び総務省及び国土交通省の3省から監督を受けている特殊法人でございます。
   事業団の中におきましては、3ページ目の中ほどに5つの事業本部がございます。この4月から衛星システム本部と地球観測システム本部を統合しまして、4つのシステム本部で事業を展開しております。
   このほかに、ここに書いてございませんが、情報収集衛星の関係が大きな事業の柱になってございます。
   それから、4ページ目の方に、これまでの予算の経緯と人員の数が書いてございますが、予算的には、これは総事業費でございますので約2,000億、それから、現時点で総定員数が約1,000人になってございます。あと、そのページ以降、これまでに開発してまいりましたロケット、現在開発中のロケット、それと、人工衛星の総表がついてございますので、御覧いただければと思います。
   それでは、本題の方に進ませていただきます。お手元の資料の計画1−2の方でございますが、宇宙開発事業団の現在の活動の概要でございます。お話ししますのは、事業団の使命、役割、事業の基本的考え方、それから、事業の紹介でございます。
   まず1ページ目の方に、使命のことが書いてございます。これは、先ほど部会長の方からお話がございましたように、国の方で昨年12月に出されました中長期戦略というのが挙げられておりますけれども、その線に沿って、宇宙開発の中核機関としての事業を行うものでございます。
   2ページ目の方に、宇宙開発は、宇宙開発事業団のみならず、国のさまざまな関係機関で行われておりますので、その中で事業団が果たす役割というのをここに書いてございます。プロジェクトの企画から実施、成果の還元、及び、日本の中核機関として専門集団を擁し、研究・開発をすること。それと、必要な情報の一元的集約と、宇宙開発に関連します施設・設備の整備と、維持と、提供。それから、技術のみならず、それ以外の部分につきましても、専門集団としての寄与をすること。3番目として、宇宙開発事業団におきます専門性の高い分野を持ちまして、宇宙開発の先導に貢献をしていくというのが3点と考えております。
   3ページ目の方に、現在の事業の基本的考え方が書いてございますが、この夏に予定しておりますH‐UAの1号機の試験機の打上げを成功に導くため、総力を結集しているところでございます。この後、信頼性及び経済性の面で、このH‐UAロケットを実用ロケットにするということが当面の最大の柱でございます。これと並行いたしまして、技術基盤を強化して、安定した事業を行う体制を整備すること。3番目として、それ以外の人工衛星及び宇宙ステーション計画につきましては、優先順位をつけて順次実施ということでございます。それから、将来の計画につきましては、冒頭ありました中長期戦略の線に沿いまして、社会の要請と状況等を踏まえて重点化して、実施していきたいと考えております。
   4ページ目の方に、宇宙活動を展開するに当たりまして、基盤の強化というのが非常に重要となっております。で、幾つか簡単に御紹介いたしますけれども、このページにおきましては3つの部分から成り立っております。
   1つは、信頼性を回復するために、それにかかわります技術の研究開発でございます。これは、これまでのいろいろな失敗とかトラブルの原因究明を踏まえましたそれへの対策の中で、理論的な解明の部分とか、基礎的なデータを積み上げる等の部分の研究開発、次に、幾つかのトラブル等が製造の現場で起きているということもありまして、そうした製造に関する技術の面でも、信頼性向上の研究を当面実施していくと。
   2番目の大きな柱としては、将来に向けて基盤要素技術の重点化を図りつつ、日本が取り組むべきもの、そして、すぐには取り組むのはなかなか難しいけれども、少なくとも外国から買ってくるものについては評価技術を持っていくもの。
   3番目として、宇宙はやはり軌道上に上げた後は修理ができないということが特徴でございますので、宇宙用の部品を確保するということが非常に重要でございますので、こうしか部分に力を入れておるということでございます。この一環として、民生部品・コンポーネント実証衛星(MDS‐1)を13年度に打上げる予定にしております。
   5ページ目の方に、宇宙活動の基盤としては、何といってもロケットが上がらないとどうしようもないということで、H‐UAロケットの開発をしているところでございますけれども、標準型をこの夏に、増強型を15年に、技術試験衛星[型で打つべく最大の努力をしているところでございます。
   将来に向けましては、さらに中小型の衛星の需要に対応するためのロケットの研究開発。さらに将来に向かっては、再使用型輸送系に関しまして、スケールモデルによります実験でありますとか、今後どういうふうにしていくべきかについてのシナリオの検討、研究等を、関係機関と協力してやっているところでございます。
   6ページ目の方に国際宇宙ステーション、これは平成10年から組み立てが始まって、既に11回のフライトが行われて、先週から12回目のフライトが行われているところでございますが、日本が担当しております実験棟につきましては、15年度から3回に分けて打上げられる予定でございます。その後順次、資材の補給等の補給機、それから、日本がシャトルで実験棟を打ってもらうオフセットとしての生命科学実験施設の開発を国内で行っているところでございます。
   7ページ目の方に、宇宙活動の基盤の強化を目指すためには、宇宙及び地上のインフラというのが必要になります。宇宙の環境をオンする試験設備というのは非常に大がかりなものが必要になりますし、宇宙におきましても、宇宙のさまざまな衛星のデータをおろすために、データを中継する衛星が必要になります。さらに、ロケットの打上げの関係の施設、さらに、情報を一元的に蓄積して、それを提供していく機能等が必要になってまいります。
   8ページ目の方に参ります。次のカテゴリーとして、社会経済への貢献を果たすという分野でございます。この分野の中の1つとして、地球のグローバル環境の変化の問題がございますので、地球環境モニタリング手法の確立と、そして、地図等により、安心・安全で快適な生活ができることを目指しまして、1つは、モニタリングの関係では、環境観測技術衛星ADEOS‐U等の打上げを予定しております。さらに、陸域観測技術衛星によります地図等の観測、及び、政府の受託を受けまして、14年度に情報収集衛星を打上げるべく、現在、開発に鋭意取り組んでいるところでございます。
   9ページ目の方に、次に社会経済へのもう1つの大きな柱としては、通信・放送・測位の分野がございます。この分野につきましては、宇宙開発の当初から通信・放送の分野におきまして開発に取り組み、既に社会の中にも定着している部分でございますが、さらに次世代に向けまして、先進的な技術を目指しまして、移動体通信及びギガビット級の固定通信の分野の技術を実証すべく、そこにありますように、技術試験衛星[型及び超高速インターネット衛星によりまして、こうした技術の宇宙での実証を目指すところでございます。
   10ページ目につきましては、社会経済への貢献の次のステップとして、宇宙ステーションにつきましては、先ほど申し上げましたように、15年からJEMの打上げを予定しておりますけれども、それらを使いまして、日本が必要とします、将来に向けての材料とか医療の開発、そして、革新的な科学技術の成果を生むべきこと、そして、グローバル化しております地球問題につきまして、文化的活動等によりまして、新しい価値観の創出や科学技術教育への貢献を目指すものでございます。
   次に、11ページ目、12ページ目に先端の科学技術への挑戦のことが書いてございます。現在、技術につきまして、日本が得意とします通信分野、特に光の通信分野につきましては、欧州宇宙機関と協力して、その軌道上で欧州の通信衛星と実験する衛星を打上げることとしております。さらに地上におきましては、日本が得意とする技術を用いまして、そうしたものを特化して伸ばしていくための研究開発に挑戦しようとしております。
   12ページ目の方に、科学の分野につきましては、宇宙科学研究所と協力の上、月の起源と進化の解明のための探索機を16年度に打上げる予定としておりますし、さらに、将来に向けての月の探査のための技術試験を、航空宇宙技術研究所と実施しているところでございます。
   13ページ目に、これら今申し上げました幾つかの打上げ計画の年次別展開を書いてございますが、13年から大体17年ぐらいまでにつきましては、かなりの打上げ計画が既に決まっているところでございます。
   引き続きまして、お手元の計画1−2−2の資料を御覧いただきたいと思います。
   1ページ目を御覧いただきたいと思いますが、これまでここのところ近年、ここに書いてございますように、平成6年、技術試験衛星Y型の軌道投入に失敗して以降、衛星及びロケットの打上げの失敗及びトラブルが続いております。こんな関係もございまして、宇宙開発委員会におきまして、さまざまな調査の委員会や検討の委員会、懇談会等が設けられまして、これらの提言を踏まえまして、宇宙開発事業団におきましてさまざまな検討とアクションプランを作りまして、改革に取り組んでいるところでございます。
   2ページ目の方にアクションプランの概要を書いてございますが、これにつきまして以下簡単に説明させていただきます。経営レベルの話、そして、実施と現場レベルの話に分けております。
   経営レベルの話としましては、事業の目標設定のあり方としては、重点化をしていくこと、そして、リソースの充実、企業及び関係機関との役割の明確化、並びに、最近、技術革新が非常に速い情報技術を活用して、事業をより効率的に、確実に推進していくことを柱としております。
   実施レベルにおきましては、真ん中にあります既に走っておりますプロジェクトにつきましては、より確実にプロジェクトを実施するということが当面の最大の課題でございまして、幾つかそこに書いてございます。後ほど見ますが、そのほか、将来に向けましては、これまでの我々の反省といたしまして、自主技術から技術導入という形でもって宇宙開発を進めてきたこともありまして、基盤がどうしても弱いということがありまして、将来に向けては基盤を非常に強くしていく必要があるということが最大の課題でございますので、こういうフェーズにおきます活動を強化していきたい。並びに、右の方にありますように、得られました成果を国民の皆さんに還元していくということが最大の課題でございますので、このための努力も大きな柱の1つとして実施していくものでございます。
   3ページ目でございます。当面の直下の問題としては、品質をいかに高めるかという活動でございます。このために、事業団の中におきましては、品質保証の体制の強化。
   2番目といたしましては、製造現場でさまざまなことが起きておりますので、製造工程につきまして強い方に外部から来ていただきまして、現場の方の指導をしていただくと同時に、特殊工程−−特殊工程の中には、非破壊検査でございますとか、溶接等々の特殊な部分がございますが、そうしたものに関しましての基準作りなどのための研究・評価をNASDAで実施しております。
   このほか、企業の現場におきましては、いろいろさまざま起きていることの背景であるとか、動機的要因分析をしてもらいまして、そうしたものを反映していただくこと。NASDAにおいては、こうしたもののデータをすべて集めて、どういうふうにそれを体系化していくかという作業をしております。
   4ページ目の方に参りますが、もう1つの大きな取り組みの柱といたしまして、宇宙開発事業団がすべてを責任を持って進めるというのは現実的に困難でございますので、いかに適切に企業との役割分担をしていくかというのが最大の課題でございます。そこの中に2つの柱が書いてございます。
   1つは契約方式の見直しということで、これまで衛星につきましては、ややもするとNASDAと企業との関係があいまいだったということの反省を踏まえまして、設計段階で、仕様を固める段階におきましてはNASDAが中心となってやっているということの体系をはっきりさせる契約形態とし、モノを作る段階におきましては企業の責任であるということを契約上はっきりできる契約形態として、同時に、それらの各フェーズにおきまして必要となりますエンジニアリング行為、そして、監督だとか検査、それから評価の行為につきまして、それぞれ考え方の整理を行っております。
   もう1つは、それぞれの行為の中で、企業にお願いします中で、プライム契約の推進という部分がございます。この部分につきましては、NASDAと企業間、及び、企業同士の間の責任をはっきりさせる。そして、インターフェースの管理などの面におきまして、こうした部分の契約が有効であるということで、これらを推進することとしておりまして、衛星につきましては既にこうした方向で動いているわけでございますけれども、ロケットにつきましても、従来以上にこの方向に向かって進めるよう、企業間の情報交換ができるように契約上も処置し、実行上もそれに鋭意取り組んでいるところでございます。
   5ページ目のところに参ります。次に大きな柱として、技術基盤の強化の部分でございますけれども、3つ掲げてございます。1つは、プロジェクトを担当する部門の技術基盤でございます。この技術の基盤強化につきましては、従来以上に、ここでは限界試験等が書いてございますが、さまざまな試験を広げまして、基礎的データの取得を行っていくこと。
   そして、それぞれ進んでおります実際のプロジェクトに対しまして、技術研究本部が独立的に、かつ、それをまた一方では支援するという、2つのそれぞれの業務内容を分けつつ技術開発を行って、事業団全体としてのこうした基盤形成を行っていくこと。そして、プロジェクトの担当する部門につきましては、ユーザーの方と協力しながら、各事業におきまして固有の技術の蓄積と継承を行うこと。一方、宇宙開発事業団全体の事業の共通的技術の基盤の部分につきましては技術研究本部というのを設けているわけでございますが、ここで専門集団を形成して、そうした技術の蓄積と継承をするということ。そして、プロジェクトに入る前に、できるだけ試作研究を強化するということ。
   そして、事業団のみではすべての技術をカバーできませんので、外部の機関との連携によります基盤強化を一層図っていくことというのを柱にしてございます。
   6ページ目の方に、高度情報化の推進に関する取り組みを書いてございます。この分野におきます技術革新が非常に早いということもありまして、これらの技術を積極的に活用していくことが最大の目的でございますが、このためにどういう分野に取り組んでいったらいいかという戦略を作るために、理事長の諮問委員会を作りまして、12年11月に戦略の答申をいただいております。この答申を実行するために専門家の方に来ていただきまして、その体制を強化しているところでございます。
   一方、これに本格的に取り組むために、理事長を長といたします高度情報化促進本部を設置いたしまして、現在、情報化について最大限取り組んでいるところでございます。
   7ページ目の方に、もう1つの柱として、ややもするとプロジェクトが広がり過ぎて、専門性のある人材が少なくなってきたという御批判もございまして、専門的人材をいかに育成していくかという取り組みについて書いてございます。
   まず外部からの専門家の方に来ていただくこと、これは大分進んでおります。そのほか、中途採用で専門家の方を拡大すること。そして、事業団内部の職員につきましては、技術ユニット制という、各技術分野にくくりまして、それらの中で専門性を育成するための体系化を行って、それらをフォローしているところでございます。
   簡単でございますが、以上でございます。

 長柄部会長 

   ありがとうございました。
   非常に取り急ぎ斎藤理事の方から説明いただきました。何か現状につきまして質問ございますでしょうか。
   八坂先生。

 八坂特別委員 

   あとの資料の4ページ目にありました、契約監督方式の見直しというところですけれども、設計・仕様の決定段階と、フライトの製造段階で分けるということですけれども、まず1つは、相手方はこれ、1社、同じ会社ですか。

 斎藤理事 

   従来のやり方というのは、かなり早い段階から1社にまとめて、どちらかというと、事業団とその選んだ企業の方が仕様も一緒に決めながらやっていたという、そういうパターンだったんですが、事業団が中心となっている段階におきましては、複数の企業の方の競争というのも必要に応じて取り組みながら仕様を決めていって、ただし製造段階においては、当然のことながら1社になって、責任関係をはっきりさせると、そういう取り組みでございます。

 八坂特別委員 

   そうすると、例えば、予備設計までは複数社でやるというのは以前にもあったかと思うんですけれども、最初のところは、じゃあ、そんなに変わらないと考えてよろしいんですか。

 斎藤理事 

   従来よりもフェーズを、できるだけ後ろの仕様を決める段階を持っていきたいと。ただし、事業団の現実の世界というか、陣容とかそういうのがいろいろありますので、それは、それぞれのプロジェクトの性格に応じた体系でもって、責任関係が、事業団のフェーズにつきましてははっきりできるような形に持っていきたいという趣旨でございます。

 八坂特別委員 

   まだよくわからないんですけれども、複数か、単数かで決めるかというのは、これはプロジェクトごとに違うわけですか。

 斎藤理事 

   おっしゃるとおりです。

 八坂特別委員 

   はい。

 長柄部会長 

   よろしゅうございますか。
   それでは、大島先生がちょっと遅れて見えましたが、名前、所属、専門なり、自己紹介をお願いいたします。

 大島特別委員 

    東京大学生産技術研究所の大島です。本日は遅れてしまいまして、非常に申しわけありませんでした。ここを随分ぐるぐる回ってしまったみたいで。
   私の専門は、機械工学科に今、属しているんですけれども、主な専門は流体力学で、数値流体力学を中心にやっています。私がもともとこういう工学の分野に進もうという決心をしたのはやはりアメリカのアポロ計画で、それにかなり感化されて、で、こういう工学の道に進むことになったのが1つの要因です。
   ですから、こういう形で宇宙開発に携われるというのも、なかなかよい機会を与えていただいたんじゃないかと感謝しています。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

 長柄部会長 

   ありがとうございました。
   それでは、本日の審議の議題に入りたいと思います。
   「(3)計画・評価部会の審議の進め方について」。資料は、計画1−3でございますが、原案を私が作って提出しております。この計画・評価部会の審議の付託事項は1.と2.でございますが、それでは、事務局の方から1.だけ読んでいただけませんか。

 金子課長補佐 

   わかりました。
   1.宇宙開発に関する活動全般の進捗状況等に関する調査審議(4月〜7月)。
   宇宙開発事業団及び関係各機関から、現在進行中の個別のプログラム/プロジェクトの状況及び基盤的技術の開発、資金的、人的資源等の共通的事項の状況について説明を受け、質疑応答を行う。この際、説明及び質疑応答は主要な事項について重点的に行う。なお、質疑応答の時間を十分に確保するため、説明時間は会議全体の半分以下とする。

 長柄部会長 

   ありがとうございました。
   要するに、これは実施機関の方から、開発の現状とか今後の予定、現在直面しているいろんな技術的な問題等について説明を受けまして、それに対する質疑、討論、それから、意見を各委員から述べていただく。これを、次のページにございますけれども、7月まで月2回ぐらいのペースでこの会議を開催したいということでございまして、いわば宇宙開発活動のアニュアルレビューをこの1.でやっていただくということでございます。
   それでは、2.の方を読んでいただけませんか。

 金子課長補佐 

   はい。
   2.平成13年度以降において新たに実施する必要がある主要な研究、開発等に関する調査審議(7月〜8月)  1審議の流れ   NASDA等の実施機関から新規の主要な計画について説明を受け、政策、技術、マ ネージメント、利用等の観点から提案どおり進めることが適切であるかどうかを審議す る。
   2審議の対象事項   衛星開発及びロケット開発に係わる計画については、予想される総開発費(打上げ経 費を含む)が概ね200億円を超え、かつ「開発研究」または「開発」に着手しようと するものを審議の対象とする。
   また、地上における新規の大型の研究開発計画(例えば、再使用型輸送システムの研 究開発計画など)については、3年間の予想研究開発費が概ね50億円を超えるものを 審議対象とする。
   3審議方法   1事項につき説明及び質疑応答で60分程度の審議時間を設ける。説明、質疑を一通 り終了後、必要に応じ、審議事項の採否について、部会構成員だけの議論を行うことが できる。なお、審議内容は議事要旨により公開する。

 長柄部会長 

   ありがとうございました。
   この2.の方は若干説明が必要かと思いますが、新規の計画について、その新規の計画に着手することが妥当であるかどうか、また、計画の途中段階で、その計画を進めることがいいか悪いかということを審議しようというものでございます。
   この中で、「開発研究」とか「開発」という言葉がございますが、これは最後のページにございますように、衛星ないしロケットなどの開発をする場合の段階が書いてございます。ここで、プロジェクトの開始時期といたしまして、予備設計を開始する段階、ここでは下の方に開発研究とございますが、開発研究に着手する段階、これをプロジェクトの開始時期と見ていまして、プロジェクトの開始時期で、この部会で開始することが適当であるかどうかという審議をする。
   もう1つは、開発研究段階を終えまして開発に入る段階、言いかえますと設計ないし製作に入る段階、この段階でもう1度、予定どおりと申しますか、開発という行為、まあ、開発という段階は一番資金も要ります、この段階に入ることが適当であるかどうかという、2回にわたって審議したいと。
   ただし、いろいろ衛星計画とかロケット計画、非常に小さいものもあろうかと思いますが、ここでは足切りをしまして、一応打上げなどすべてで200億円を超えるプロジェクトについてこの部会で審議をしたらどうかと。非常に小さい衛星、例えば、50キログラムで数億円とか10億円とかいうのがございますが、そういうものは宇宙開発事業団ないし役所の方で適宜審査されればいいのではないかと。ここでは200億を超えるものというふうに足切りをしております。
   それから、すぐに打上げるわけではございませんけれども、かなり大型の、地上でのプログラムを始めるというものにつきましては、3年間で50億を超えるようなものを、そういうプログラムないしプロジェクトを進めるのが適当であるかどうかを審議したらどうかということで、例として再使用型輸送システムの研究開発計画。これはすぐに打上げるというわけではございませんが、かなり幅広く、地上でいろいろ試験ないし研究をするというふうなプログラムを今、検討されておりますが、こういうものはこの部会で検討したらどうかということを提案してございます。
   それで、この主要な計画の調査審議というのは7月にお願いしたいとしておりますが、実は本年度は、後で宇宙開発事業団の方から説明があるかと思いますけれども、非常に予算が逼迫しているということでありまして、今年は新規のプロジェクトの提案というのはあっても1件だということで、例年でしたら二、三件あるのでございますが、今年の夏はないかもしれないということでございます。
   それから、審議の取りまとめでございますけれども、アニュアルレビューないし新規プロジェクトの審査した結果を8月上旬にこの部会で取りまとめて、宇宙開発委員会に報告すると、その結果は来年度予算の編成に反映されると、こういうことを考えております。
   この原案につきまして、質問なり御意見を賜りたいと思います。
   澤岡先生、どうぞ。

 澤岡特別委員 

   今、総合科学技術会議のフロンティアプロジェクトが、宇宙、海洋のいろいろ議論を始めたところですが、そちらとの連携について、ただいまお伺いしましたことは非常に短期的なものだと、あちらは長期的なものだという、そのような単純な区分けでよろしいのでしょうか。連携ということも必要だと思うんですが、そのあたりについて、わかったような、わからないような、関係がよくわからないものですので、教えていただきたいということでございます。

 長柄部会長 

   総合科学技術会議の方では、現在のところ、8分野でございますか、8領域と申しますか、その中の1つにフロンティアというのがございまして、海洋開発と宇宙開発がそのフロンティアと言われているところに入っていますが、そこの重点分野といいますか、その中での重点に何を置くかと。それを平成14年度の予算編成に反映させたいということで、宇宙と海洋を含めて、平成14年度、何を重点的に置くべきかという議論が、もう始まった……。

 芝田課長 

   これから始まります。

 長柄部会長 

   これから始まって、夏ごろまでに中間的にまとめたいということをおっしゃっていると承知しておりますが、宇宙開発委員会の方としましても、総合科学技術会議の方に対して、私の方は昨年の暮れに中長期戦略というのを作りまして、こういうものを重点に置こうということを決めておりますので、我々としてはそういう意向であるということを十分インプットしたいと、こう考えております。
   松野先生、どうぞ。

 松野特別委員 

   今の質問と関連することですが、ここは、先ほどのお話ですと、具体的な個別プロジェクトといいますか、既に具体的に宇宙開発事業団等から考えられてきたプロジェクトに関して、それの、それだけの価値があるかとかというその評価、あるいは、具体的に技術的な面で適切かということが中心というふうに考えてよろしいのでしょうか。

 長柄部会長 

   そうでございます。ここで提案していますように、現在走っているプロジェクトのレビューをすると。そして、方向を転換する必要があるか、ないか、そのままでいいか、何かいいレコメンデーションがあるかどうかというようなことにしてございまして、新規ないし新しい段階に進むものですね、開発段階に進むというものが適切かどうかという審議をここの部会でやっていただくということでございます。
   八坂先生、どうぞ。

 八坂特別委員 

   今の資料の審議の対象事項ということで、小さなものは審議対象にしないという話。例えば、小さな衛星とかこういったのはよろしいと、これは大変結構なことだと思います。
   で、質問の1つは、といっても、衛星の打上げというのは国がアプローチするというか、関与せざるを得ないわけですけれども、それは、宇宙開発委員会のこの部会とは別の手続きというのがまた設定されるということでしょうか。

 長柄部会長 

   はい。そのとおりでございます。例えば、オーストラリアの小さい衛星を宇宙開発事業団が打上げると。従来の計画調整部会では、まあ、オーストラリアの衛星はかなりなものですけど、そうじゃなくて、もっと小さい衛星でも計画調整部会の方で審議してきた経緯がございますが、そういうものはこの部会ではなくて、宇宙開発事業団が適当だと思われれば、そういうふうな予算を取られて、宇宙開発委員会そのもので、例えば、H‐UAの何号機でオーストラリアの衛星を打上げることはいいですよというアプルーブするということであって、一々この部会には諮りませんということです。

 八坂特別委員 

   はい、わかりました。

 長柄部会長 

   鈴木委員、どうぞ。

 鈴木特別委員 

   先ほどちょっと総合科学技術会議との関連のお話が出たんですけれども、ちょっと確認なんですが、1−3の資料の2.のところに、「13年度以降において新たに実施する必要がある主要な研究、開発等に関する調査審議」と、こういう項目が入っておりますが、このテーマの範囲なんですが、総合科学技術会議でいろいろ中長期方針が出て、国としてやっぱり総合的にこういう宇宙開発をやるべしという話が出て、それに基づいて出てきたテーマはここの中に入るのかどうかということについて確認させていただきたいんですが。

 長柄部会長 

   ここのテーマは、宇宙開発事業団とか文部科学省の方から、こういうテーマを開始したいという提言のあったものについて、いいか悪いかを判断するということでございまして、この部会が、例えば、平成14年度からこういうプロジェクトを300億円ぐらいで開始すべきだという発議をするというものではございません。提言のあったものについて審議すると。

 鈴木特別委員 

   先ほどのNASDAさんの資料の新体制の中の御説明で、宇宙開発事業団は今後は国土交通省、文部科学省、総務省の管轄下にあるという御説明だったと思うんですが、例えば、総務省からいろんな宇宙の開発の計画が出てきた場合は、やはり事業団がその下で受けてやるかどうかという審議テーマとして上がってくると、こういう理解でよろしいのでしょうか。

 長柄部会長 

   総務省の方から、こういう通信衛星をやりたいと、やったらどうかと提案があった場合に、総務省と文部科学省なり監督官庁と相談され、また宇宙開発事業団と相談されて、こういうプロジェクトに着手しようというふうに出てくれば、この場でいいか悪いかを審議しますが、宇宙開発事業団ではまだそれだけの準備が整っていないとか、文部科学省は金がないからそんなことは手がつけられませんとかいうようなことになった場合は、この部会では審議しないということになろうかと思います。

 芝田課長 

   ちょっと補足、よろしゅうございますか。

 長柄部会長 

   はい。

 芝田課長 

   基本的には今、長柄先生がおっしゃったとおりでございます。きっと総合科学技術会議と、一番最初にあった御質問のところで、皆さん少し引っかかりがあるんだと思うんですけれども、基本的には宇宙開発委員会は、以前の本委員会で井口委員長の方から御発言をいただいて、決定していただいたことでございますが、事業団法に言う、業務運営の基本となる基本計画を議決するというのが新しいマンデートですけれども、もともと宇宙開発事業団の予算が8割、9割を占めているといったような状況、あるいは、それを踏まえると、国全体の宇宙開発を眺めながらでないとこの宇宙開発委員会の議論もできないであろうということで、これからの我が国の宇宙開発全般をカバーするということを、宇宙開発委員会の意志として表明していただいております。したがいまして、そこであった議論は当然、総合科学技術会議の方にも反映してほしいという立場でございます。
   したがって、それは総合科学技術会議との関係で言えば、総合科学技術会議が出す基本戦略は当然宇宙開発委員会は踏まえますし、それ以前に、宇宙開発委員会としての発信ということを総合科学技術会議に対してやっていくだろうというふうに考えております。
   そういう意味で、これから6月末にかけて総合科学技術会議が、重点戦略ですか、何かお作りになるというふうに聞いておりますけれども、それを議論する場は、さっき長柄委員からありましたように、中長期戦略を踏まえて、具体的にはどういう分野だという議論は、おそらく宇宙開発委員会の本委員会なりでやっていただく場面もあろうかというふうに思っております。
   そういう意味では、この部会自体のマンデートは、個別のプロジェクトについてやるのか、やらないのかといったようなことを中心に御議論していただくのだろうというふうに思います。以上です。

 長柄部会長 

   ほかにございませんか。
   一応こういう原案のとおりで、5月から月2回のペースで、夏の暑いころまでお願いしたいと、こう思います。
   それでは、次の審議議題でございます。
   「(4)宇宙開発事業団の資金計画及び人員計画」でございます。これは、先ほど斎藤理事がおっしゃいましたように、大変事業を手広くおやりになっておりまして、それに対しましてリソース(資金)、人員が非常に逼迫していて、思ったように予算も伸びない、人員も伸びないということで、非常に今、困難な状況でございます。これについて、どのような状況になっていて、どうしようという計画なのかということを、説明を伺いたいと思います。

 斎藤理事 

   お手元の1−4の資料を御覧いただきたいと思います。
   最初のページをめくっていただきますと、長期資金のこれまでの経緯と今後の予測が書いてございます。現在、平成13年度の部分でございますと、過去から比べると減っておりますけれども、その時点で、先ほど説明させていただきました既定計画の打上げ計画がございますので、その既定計画を予定どおり実施しようとすると今後どういう経費が出てくるかというのを、先ほど言いましたように、大体平成16から17年ぐらいまでが既定計画で固まっておりますので、それ以降につきましては、どちらかというと予測になっております。
   そして、この見方でございますが、一番下の方が人件費及び一般管理費でございます。ここはほぼフラットの状態でありますけれども、その次の段が、赤く塗ってあるというか、ハッチしてあるところが設備の維持と運用。これにつきましては、例えば、筑波の設備であるとか、打上げの設備であるとか、そうしたものが、先ほどちょっと御説明しましたような分野の関連の経費が入ってございます。
   次に、利用促進の関係の経費が書いてございます。これは、地球観測と宇宙ステーションの利用の中で、地上関係の経費が入っております。
   次に、緑の部分がございますが、これは研究関係の経費が入ってございます。
   次に、宇宙ステーションの関係が、平成13年度、左の方の過去のところを見ていただきますとわかりますように、開発に関する部分が左の方で、どちらかというと過去ずっと投資が行われてきております。そして、打上げが15年度からになりますので、15年度以降順次、定常運用の関係の経費が立ち上がってくる格好になっております。
   そして、次に図の方で、黄色の既存衛星という部分がございます。過去ずっと黄色の既存衛星の部分がかなりになっていますが、そこの既存衛星の部分がずっと来ておりまして、大きくは15、16ぐらい、現在決まっておりますのは16、17ぐらいの計画まででございますので、後ろはずっと少なくなっております。
   次に、輸送系の開発でございますが、茶色の部分でございますが、H‐U及びH‐UAの開発がずっと行われておりますので、その茶色の部分がずっと来ておりまして、H‐UAの増強型の打上げまでで大体、その以降については決まっておりませんので、ここでは16年から小さくなっております。
   次に、超高速インターネット衛星の予算化が13年度から行われておりますので、その分が薄緑で書いてある部分でございます。
   以上が説明でございます。
   次に、人的資源の問題点とその対応策というのが書いてございます。人的資源につきましては、幾つかの委員会、また懇談会。左側に書いてございますのは、宇宙開発事業団の外部評価委員会での指摘、それから、宇宙開発委員会での基本問題懇談会及び独立会合の指摘等で、人的資源と事業のバランスをとることであるとか、人的資源の効果的活用、それから、士気、情熱の高揚と動機づけ、専門的人材の育成等の指摘がされておりまして、右の方に、量的な対応と、質的な対応と、それぞれ努力しているところでございます。
   次の3ページ目の方に、量的な部分につきましては、上の四角の方には、外部からの招聘によります強化。中途採用につきましては、先ほど説明させていただきましたので省略させていただきますが、その下の図のところを御覧いただきたいと思います。職員のところがございますが、ここの部分につきましては、ほとんど1,000人から年間ちょっとずつしか増えておりませんけれども、常勤の招聘の方と非常勤の方等の招聘を増やしつつ、現在の事業の拡大と技術基盤の強化等に対応しているところでございます。
   簡単ですが、以上でございます。

 長柄部会長 

   ありがとうございました。
   ただいまの資金ないし人員についての説明に対して、何か御意見、質問はございませんでしょうか。
   澤岡先生、どうぞ。

 澤岡特別委員 

   長期資金の16年以降、輸送系がないというのは、これは、これからどこかで審議して出てくる可能性が十分にあると考えてよろしいんですね。今はプロジェクトがないからついてないというだけと考えてよろしいんでしょうか。

 斎藤理事 

   はい。基本的にはそういうことでございます。それから、輸送系の中でちょっとお断りしておかなくてはいけないのは、輸送系の開発の部分と、ロケットの打上げの部分と両方、輸送系にはあるわけでございますけれども、例えば、ある衛星を打つという行為で必要となりますロケットは、衛星の既定計画、衛星計画の一部としてカウントされます。同じことが、宇宙ステーションの定常段階においても、資材の補給、それから、共通経費の負担という意味においてロケットの輸送が必要になるわけでございますので、現在では、定常段階でH‐UAロケットの増強型が2機必要と予測しておりますけれども、そうした事業そのものはこの経費の中に入っておりますので、年間のロケットの打上げがなくなるということではございません。あくまで新規の新しい輸送系の開発というのがまだここでは決まっていないと。同じことが、15、16以降の衛星計画の開発の部分が決まっていない、その部分について御審議いただくと、そういうことでございます。

 佐藤特別委員 

   一番最後のページ、3ページのことにつきまして御質問申し上げたいんですけど、外部からの専門性の高い方の招聘ということで、人数が随分増えているわけですけれども、もう少しこの中身を知りたいと思うんですが、例えば、招聘先だとか、大学の方がいるとか、企業の方がいるとか、またその勤務時間、どのような形態で、どのぐらい勤務されているような人数をこれは書いているのか、ちょっとお伺いしたいと思うんですけど。

 斎藤理事 

   赤の部分につきましては、この中は大きく分けまして2つの構成になっております。1つは、民間の専門家の方に来ていただいている部分と、大学等から来ていただいている部分と、両方になっております。人数につきましては、ちょっと今、手元にないので、後ほど委員の方に御説明したいと思います。
   それから、非常勤の方というのは、大学の方とか研究所の方が大半でございます。

 佐藤特別委員 

   そうすると、招聘と書いてあるものは、ほとんど1週間、完全の勤務と思って……。

 斎藤理事 

   そうですね。フルタイムで。

 佐藤特別委員 

   かつ、これで何年間ということですか。

 斎藤理事 

   そうですね。大体3年前後の方です。

 佐藤特別委員 

   わかりました。それで、非常勤というのは、これもやはり同じような、1週間働かれる方ですか。

 斎藤理事 

   この非常勤の方は非常にバラエティがありまして、例えば、1カ月に1回の方から、1週間に1回とかそういう方とか、いろいろな方がおられますので、ちょっと一概には言えないんですが。

 長柄部会長 

   ほかにございませんか。
   冨田先生、どうぞ。

 冨田特別委員 

   今、事業団の人数を見ていますと大分減っているんですが、仕事の方はますます増えているという感じで、特にさっきの計画1−2−1の資料で、日本の宇宙開発の中核的基盤センターになるというようなことで、専門家集団を擁して研究・開発を推進とありますが、今、専門分野がどんどん分かれていますし、専門家を集めるとなるとますます人が多くなってくるわけですね。今後、量的対応策というところに、企業に任せられるものは全部企業に任せてしまう、とにかく今の人数でやれるように考えると、今やっていることで企業ができるようなことは企業に任すと、そういうようなことだとお考えなんでしょうか。
   今これを見ますと、企業の活用というのがあるんですが、この活用という意味がちょっとはっきりしないんですが、それを企業に分担させるとか、そういうことがあっていいんじゃないでしょうか。

 斎藤理事 

   2ページ目のところに、そういう意味では、活用という表現がちょっと適切でない部分もあるかもしれませんが、先ほど前半の方の資料で御説明しましたように、役割分担というのが1つございます。役割というのは、それぞれ技術を開発していく部分と、技術がある程度まで行って、かつ製造技術に近い部分については基本的に企業の方にやっていただくとか、そういう役割分担というのは当然必要になってまいりますし、同時にもう1つは、事業団で業務が定型化してくると、アウトソーシングというものもございますので、そうしたものを複合して、事業団でやらなければいけない部分を特化してやっていくと。そういう意味で、一言で言うと新しい技術の開発にチャレンジしていくと、企業との関係で言うとそういう形になります。
   もう1つは、大学とか国立研究所との役割分担というのは当然もう1つの大きなテーマでございますし、同時に利用機関との役割分担というのももう1つの大きなテーマでございまして、かなりダイナミックに、置かれているプロジェクトのあり方とか、どこまでマチュリティが上がっているか、技術的にリスクがあるか、例えば利用で言いますと、どこまでより実用的になってきたかと、そういう個々の問題を、議論とか詰めながら、どういう形でもって体制を組めば一番いいかというふうに整理をしていく必要があると認識しております。

 冨田特別委員 

   わかりました。もう1つよろしいでしょうか。

 長柄部会長 

   宮崎先生の方が……。

 宮崎特別委員 

   さっきの輸送系のH‐UAの長期資金が平成16年度ごろになりますと、その以降はなくなってしまうというお話ですけれども、私は、昨年までNASDAさんの輸送系の外部評価の委員をしていまして、それで、外部評価の段階では、皆様の方から、NASDAさんはもっと次世代の輸送系にリソースを投入すべきだというか、そういう提言をしたと思うんですけれども、その辺はどうなんでしょうか。

 斎藤理事 

   おっしゃるとおりで、評価委員会の方から御意見をいただいております。ここにおきますのは、あくまで予算的に認められている計画についてだけここに書かせていただいておりますので、今後個別の、例えば、次の次世代の開発をどの時点から、どういう規模でやるかというのが、まさにこの場で御審議いただきたい項目と認識しております。

 長柄部会長 

   冨田先生、どうぞ。

 冨田特別委員 

   非常にローカルな話で恐縮なんですが、先ほどの斎藤理事のお話に関連しまして、計画1−2−2の「宇宙開発事業団改革の進捗状況」という資料がございます。この4ページに、現在の主な取り組み状況の御説明の中で、衛星によってはメーカーとNASDAとの関係が不明確で、プライム方式を入れたいというような、移すようなお話がありましたけれども、実はロケットの分野でも、私が関係していたころ、事業団さんとメーカーの間で、特にインテグレーションの部分がダブっちゃっているんですね。そういう現象が起こっていまして、これはお互いにちょっとむだじゃないか。役割分担をはっきりさせるという中で明確にしていく必要があると思うんですが、ロケットなんかでもやはり民間でできるものは民間に移していくような。それで、今、宮崎委員の方からありましたけど、事業団さんとしては次世代のプロジェクトに集中していくというような姿勢が必要なんじゃないかなと私は思うんですが、いかがでしょうか。

 斎藤理事 

   基本的にはそういう方向だと思います。今、起きている状況というのは、H‐UAロケットの極めてクリティカルなフェーズにおいて、どういうふうにこのロケットを成功させて、同時に、信頼性の面でも、経済性の面でも、実用的なものに仕上げるかというのが現在、最大の課題でございまして、次のステップの方向性につきましては、いろいろ議論というか、先ほど御意見をいただいたような、方向性を模索するというのは当然必要だというふうに十分認識しているわけでございますけれども、現在の技術開発の状況を見ると、その議論を本当に詰めるのには、段階的に詰めていかないと、一気に最終ターゲットに行くということが、なかなかすぐに議論に詰め切れないというのが現在の状況と認識しておりますので、今後、開発が進みまして、こういう考え方でというのは、必要に応じて順次、御説明をしたいと思います。

 長柄部会長 

   よろしゅうございますか。
   それでは、最後の議題に入りたいと思います。
   最後の議題は、「(5)超高速インターネット衛星計画の現状」でございます。
   なぜ今日この現状を説明いただくかということについて、お話ししておく必要があろうかと思います。
   実は、三、四年前からでございましょうか、宇宙開発事業団と郵政省の通信総合研究所が共同で、ギガビット級の通信衛星の研究をずっとやってこられました。ただ、昨年の夏までは、本件、予算の制約もございまして、予算要求をするというまでには至っておりませんでした。
   ただ、昨年の夏の予算編成基準で、いわゆるIT(情報通信技術)のための特別予算枠が設けられるということが決まりまして、それで、当時の科学技術庁と郵政省が共同計画として、このインターネット衛星を中心とするi‐Space計画というのを予算要求するということを考えたわけです。当時のこの部会の前身でございます計画調整部会で審議しました結果、内容的にはまだまだ詰まっていない、甘い点があるということだったのでございますが、特別枠によりまして予算が確保できるかもしれないということで、予算要求することが適当であると。ただし、計画開始までに利用要求とか計画の詳細についてさらに検討して、この宇宙開発委員会の了解を得るという条件つきで昨年、予算要求したという経緯がございます。
   それで、本年度予算には約70億円の予算が認められまして、5年間で約500億円くらいのプロジェクトで初年度分が認められたという経緯がございますが、内容的にはまだまだ詰めるべきものがあると。それで、現在、宇宙開発事業団、これから説明を伺いますが、このインターネット衛星のプロジェクトチームを組織されまして、今、計画の具体化を検討されております。
   それで、宇宙開発事業団の方では、本年6月までに開発計画の内容の詳細をまとめてこの部会に諮りたいということをおっしゃっておりまして、この部会では、先ほどのリストでいきますと、第6回のこの部会に、通信関係の審議をする部会でございますけれども、そのときに内容の詳細についてお聞きしたいと、こう考えているわけでございます。
   本日は、その予備審査として、現在この計画がどう進んでいるか、どういうことを今後、詰めようとしているのかということを伺った上で、いろいろ討論していただきたいと。ですから、本件は、先ほど申しましたように、いわゆる新規ではございませんが、新規に準ずるということで7月の部会において審議願いたいと、こう考えているものでございます。それで、現在の状況について説明を伺いたいと思います。
   それでは、15分かそのくらいで説明願いたいと思います。

 倉益 

   宇宙開発事業団の倉益でございます。超高速インターネット衛星計画の現状ということで、資料に基づいてポイントになるところを御紹介したいと思います。
   全体の資料構成ですが、この衛星計画の位置づけを最初に御説明し、i‐Spaceという言葉が出てきますが、i‐Space計画の全体像、それから、この計画自体がどういう目的の計画であるか。それで、幾つかの利用の姿、あるいは、利用実験の現時点での幾つかのコンセプトの御紹介。それから、事業団自体としては、昨年度から具体化の作業を進めてまいっておりますが、幾つかの評価をいただいていますので、そのポイントを御紹介し、これから6月に向けて、具体性も含めて今後の作業計画について御紹介したいと思います。
   既に御承知のe‐Japan戦略も、計画に基づいてこの計画が遂行されますが、2005年までに超高速インターネット衛星を打上げて実証実験を行い、2010年を目標に実用化するということで、総務省、文部科学省、両省の連携プロジェクトという位置づけになってございます。
   私どもは、CRLさんと具体的に作業を進めておりますが、この計画自体がオールジャパンの計画ということですので、幅広い英知の参画を得ながら作業を進めていきたいというふうに考えてございます。
   次は、超高速インターネット社会の実現に向けてということで、今回、超高速インターネット衛星の計画ということですが、15年度に打上げを計画していますETS‐[、それから、現在いろいろ研究フェーズにありますが、準天頂衛星システム、これらを含めて総合的な情報通信の分野の研究を進めていくということで、トータルの言い方としてi‐Spaceという言い方でこの作業を進めております。
   この衛星がどういうところを目指していくのか、この辺がなかなか難しいところでございますが、衛星通信の特性ということで、同報性、広域性、耐災害性等を活かし、地上の通信網と相互補完というふうに書いてございますが、衛星としての特質を活かしたネットワークを作り上げていく必要があろうかと。現在、主な利用の分野ということで3点ご紹介をいたします。
   国土管理・災害監視情報ということですが、これにつきましては、地球観測衛星による地球観測データを即時処理、あるいは即時解析等をする、データを超高速インターネット衛星を介して必要なエリアに伝送して、役立てていただくと。国土管理・災害対策の革命ということで書いてありますが、情報ネットワークの構築実験をしたらいかがかと。これについては、国土交通省さんの官房主宰の研究会、あるいは河川局の勉強会等がなさってございますが、そちらの方との連携を深めながら進めているところでございます。
   次が、家庭内情報革命ということで、直接、家庭向けに衛星マルチキャスト配信の実験を行うということで、特定・多数の利用者に大量情報を提供するネットワークを作り上げていこうという内容でございます。
   3つ目が、教育のバックボーンとしての構築実験ということで、現在も小衛星を使って教育ネットワークが構築されていますが、この衛星を使うことで、もっと幅広い教育バックボーンが確保できるのではないかということで、これについては、教育メディアセンターさんの方と研究会を作って、内容を議論しているところでございます。
   その他の利用ということで、多々利用の形態があります。今日御紹介していない分野についても、なお専門家の方々の御意見をいただきながら、イメージを作り上げているところでございます。
   昨年度、NASDAの中では概念設計チームを編成しまして、衛星システムの技術検討を進めると同時に、衛星利用の観点から、100件以上の利用調査、意見収集をして作業を進めてきました。
   次のページでありますが、それに基づいて作業は必ずしもできませんで、この衛星計画に対するミッション要求を整理していただくということで、ミッション検討分科会に要望書を取りまとめていただきました。
   それから、高速衛星インターネットプロトコルの標準化準備委員会についても、通信総合研究所さんの主導で、今後の衛星インターネットの標準化の話は確実に必要になってくるということで、準備委員会を結成して、レイヤー2までのプロトコルについて仕様を検討しているところでございます。
   関係機関からのいろんな御意見をいただいたところが、次の10、11、12とございます。10ページ目の御意見の幾つかの特徴としては、この実験網で非常に重要なポイントとしては、地上装置の一層の小型化が重要であると。45センチ径のアンテナを有する地上システムということで、是非これは実現してほしいということでございます。
   次のページは、NASDAの中で要求条件を確認する会、要求条件確認会を開催いたしましたが、実験エリアの特定ですとか、地上の小型化、あるいは回線速度をどうするのか、あるいは回線チャンネルをどうするかと、まだこの辺の議論が必要であって、企業を含めた体制で検討を行う必要があるというのが、この時点での方向づけでございました。
   同じく外部評価につきましても、3月上旬に外部評価、軌道上部会を開催いたしまして、その中で審議いただきました。この中でも、今後の通信の全体的なシステム、地上システムも含めて全体システムの中で宇宙通信の果たす役割について、より現実的な、具体的な検討を行うことを提言するということで、もう少しこの辺の内容について検討する必要があるということでございます。
   そういういろんな御意見、御提言を受けまして、4月から体制を組みまして、これから作業を進めていこうということでございます。衛星ミッション推進センターについては、利用促進を図るということで、利用系のプロジェクトマネージャーを配置して利用促進を進めていくと。それから、真ん中のところに、衛星プロジェクトチームということで、プロジェクトエンジニアリングと、開発の初期段階での仕様決定の作業は非常に重要であるということで、ここで共同設計チームを編成して作業を進めていここうというふうに考えています。この共同設計チームにつきましては、幅広いこの分野の専門家の参画を得る形で、この辺のチーム編成及び作業を進めていきたい。あわせて、高度情報化の手法についても、このプロジェクトの中で具体化の取り組みををしていきたいというふうに考えています。
   それで、当面する今後の作業ということになりますが、今までいろいろいただいています評価結果を踏まえて、大体6月ぐらいまでに利用の優先度を明確化して、核となる利用実験構想についてまとめ上げていきたいと。
   それと並行しまして、衛星システム、それと、地上システムも含めた実験網システムについては、複数の利用ケースについてシステム検討を行いながら、開発課題の抽出をしていきたい。
   それから、初期段階の開発研究の重要性ということで、特に13年度、14年度の具体的な作業プランについて、この間、検討を進めていきたい、そういうふうに考えてございます。御報告は以上です。

 長柄部会長 

   どなたでも、御質問なり御意見がございましたらどうぞ。
   松野先生、どうぞ。

 松野特別委員 

   多少、一般論ですが、先ほどここの委員会の役割とか任務とかいうことで質問したときに、個別のプロジェクトと申し上げまして、実は最近そういう提言がありまして、現在、科学技術基本計画ですとかああいうことと関係して、多額のプロジェクトに関しては、社会的とか、技術的な問題とか、事前にそれが適切であるかと個々に評価する。
   それに1つ関係しますのが、海洋科学技術センターで計画しました掘削船が5億円ぐらいかかって、今はもう着手していますが、深いところまで掘って、そして、いろんな堆積物から過去の気候とか、さらに深いところで地震の発生のメカニズムとかを調べる。そういうことに関して、私のほかにたくさんの専門家の方、それから、社会一般を代表してジャーナリストの方なんか入ってやったことがございます。かなり時間をかけてやったんですが、これが宇宙に関しては、宇宙開発全体が非常に大きなプロジェクトであるから、宇宙開発委員会というものが常設的にあって、その中の一環として、ここのプロジェクトが今度はここで議論するということになったと思うんですが、そういう意味から言いますと、今のお話は非常に大きな一塊の、まさに総額も500億円というプロジェクトで、宇宙の一環でもありますが、今の問題では、社会的に非常に大きな影響のあるもので、さっき私が提言しましたように、アドホックに作る、それを専門としたような委員会があってもいいようなお話をここが肩がわりしてやるというふうに、そうなりますでしょうか。
   もしそうだとしたら、非常に大きなプロジェクトで、しかも、社会的な影響も大きいということで、ここの中で十分やれるのかと思って……、ちょっとそういう感じを持ったんですが、その点をお伺いしたいと思います。

 長柄部会長 

   先ほど申しましたように、本来ならば昨年の夏段階で十分評価をして、このプロジェクトがゴーとか、ノーゴーとかやるべきだったんですが、先ほど申しましたような事情で、あまり詳細な評価はしないでこのプロジェクトが走り始めたということで、今年の夏までに十分評価した上で、このプロジェクトの内容が適切なものであるかどうかという判定をしたいと思います。
   それで、科学会議の指針でも、宇宙開発委員会の指針でも、こういう大型のプロジェクトを開始する前には、必ず第三者による政策的ないし技術的、社会的な十分な評価を受けて、第三者によるアセスメントを受けて進めなければいかんと、そういうことだと思うんですが、本件を、この部会の下部組織を設けて、例えば、インターネット衛星評価小委員会みたいなものを設けて、あらかじめ審査した上でこの部会に諮ってもらうか、また、宇宙開発事業団でもこれの評価部会みたいなものを設けてやって、その結果をここに出してもらうか、いろいろな方法があると思うんですが、いろいろ考えておきたいと思います。

 栗木委員 

   ちょっと話がもとに戻りますけれども、現在、宇宙開発委員会の中で評価の基準を設定する部会が動いておりまして、ほぼ骨組みが現在でき上がったところでございます。この評価の部会は、宇宙開発事業団の外の第三者、外部評価を行うための指針というのを現在作っております。その中身は、昨年度までの科学技術会議が出しましたところの大綱的指針、これを踏まえて、宇宙開発にかかわる評価の指針はどうあるべきか、そういう内容を詰めている段階でございます。
   これでは、やはり長柄部会長がおっしゃいましたように、大型のプロジェクトを、その評価の指針をアプライして評価していくということで現在計画しておりますけれども、特に立上げの段階を重視して、例えば、ユーザーがそのプロジェクトに意義をどう盛り込むべきかというような意見というのは、やはりそれを将来使いこなしていく人が出すべきではないか、そう考えておりますので、今回これが出まして、6月までにその辺を評価していくことになると思いますが、是非これにかかわるユーザーなり、そういう将来の利用者、そこに外部の人を入れて、十分評価すべきではないか。
   さらに、ユーザーのリクワイアメントに応じてシステムが固まってきたらば、それが技術的に妥当なものであるかどうかというのを、やはり別の技術者を中心とした集団がこれを評価すると。今、長柄部会長がおっしゃられた、分科会に属するような、インディペンデントなアセスメントチームを作っていく。これはNASDAでもやられていることだと聞いておりますので、是非そういうチームを組織して、これが大がかりになるというと、なかなかNASDAの外部評価としてはダブったりして難しいことはあるかと思いますが、やはりインディペンデントというところが重要かと思いますので、そういうやり方をしていくと。
   総合科学技術会議の中でも評価の指針を現在まとめつつあると聞いております。それが6月ごろと聞いておりますが、こちらの方はもう大体、枠をこの連休明けぐらいには固めて、使い勝手を今、これをアプライする先といろいろ詰めておるところでございます。なるべく6月ごろにはこれができ上がるというようなことで、将来の大型のプロジェクトに当てはめていきたい。これが第1号になるかどうか。既にこれはもうアプルーブされているものですので、なかなか難しいところはあると思いますけれども、やはり今回作った側の精神としては、これを使ってもらいたいというつもりで現在、策定中でございます。

 松野特別委員 

   確認しますと、これ固有のアドホックの何か専門家集団によるレビューをやってもらおうという考えというふうに考えてよろしいですか。

 長柄部会長 

   まずNASDAの方では、この6月までにそういうインディペンデント・アセスメント・チームみたいなものを設けて、まあ、名前は別ですが、第三者によるいろんな評価を受けるという計画はございますか。

 倉益 

   先ほどありました、非常に社会的影響の大きいプロジェクトだということで、ITの世界はどんどん日ごとにいろいろ変わっていくと、そういう側面を見ながら、このプロジェクトはどういう利用が望まれるかということで、現在、衛星利用促進委員会というものを組織してございます。これについては、昨年来からこの計画に対する利用の取りまとめということで、今日はあまり細かいあれは御紹介できませんでしたが、九州大学の立居場教授に分科会長をしていただきまして、衛星の通信事業者、あるいは大学、あるいは商社等々、この衛星を利用する立場から衛星の利用形態を議論していただきまして、リクワイアメントを整理していただきました。
   今回まだこの委員会は継続して、もうちょっと幅広いまとめの作業をお願いしたいというふうに思っていますので、この計画は何でもできるオールマイティの計画ではなくて、やっぱり衛星の特質を生かした特徴ある、あるいは社会的に意義のある計画ということでまとめていただきたい。これが1つでございます。
   あと、技術的な事項については、先ほどお話がありましたように、衛星だけではなくて、地上も含めた実験網システムとしてどういうシステムが妥当かと、その辺については、技術的な意味合いでの外部評価委員をお願いをしてレビューをしていただこうかという計画でございます。
   もちろんNASDAの中においても、6月ごろプロジェクトの移行前審査会というのを計画して、NASDAの内部だけではなくて、関係する専門家の方にも御参画をいただいて、計画全般のレビューをしていただこうかというふうに考えてございます。

 長柄部会長 

   そういうわけで、松野先生のあれですけれども、NASDA自身ではそれなりのインディペンデントグループによるアセスメントレビューというか、アセスメントをされた上で、6月、7月にこの部会に出したいということですが、宇宙委員会としても、この部会が、特に技術的なところとか、それから、利用要求とか、通信とか、エンターテインメントとか、いろんなアプリケーションがあるはずなんですが、そういう幅広い面からの利用要求が適切かどうかという評価が、この部会で全部、多分できないので、NASDAからの提案に対して適切かどうかというふうなことで、例えば、何か小委員会を設けて、小委員会の方であらかじめレビューしていただいて、その結果をこの部会に出してもらうというようなことも一案かなと思っているわけですが、おいおい5月に入ったらそのことを考えなければいかんと、こう思っていまして、またそれをこの部会にお諮りしたいと思います。そんなことで……。

 栗木委員 

   もともとの大綱的指針の中に、被評価者から離れた第三者による評価と書いてありますので、特定のこのプロジェクトは既にオーソライズされたものというところで極めて難しい立場にあるんですけれども、今言ったような精神を是非生かしていきたいなと、そう考えています。

 長柄部会長 

   冨田委員、どうぞ。

 冨田特別委員 

   1つ質問がありますが、この超高速インターネット衛星計画というのは、何かほかに大きな計画があって、その一環としてやられていると考えていいですか。つまり、どこかに何かこういうことをやる本部があって、その中で、衛星を作る部門として宇宙開発事業団さんが役割を持っていると。

 倉益 

   先ほど斎藤理事の方から御紹介がありましたように、4月から衛星システム本部と地球観測システム本部、2つの本部を統合しまして、衛星総合システム本部というのを、約280名ぐらいの組織ですが、その中で、事業としての大きい柱として情報通信分野で社会的貢献を図るということで、その柱の中に、今、開発を進めていますETS‐[を使った移動体通信実験ですとか、あるいは、この超高速インターネット衛星による固定通信網の構築ということで、その本部の中でそういったプロジェクトを進めていくと。
   e‐Japan戦略という、これは日本国としての高度な情報化社会を実現するための戦略ということで、その1つが、この超高速インターネット衛星を使って実証していくというものでございます。
   これ以外に、個々の高度情報化社会を実現するための施策としては、全体としては100件以上でしょうか、各それぞれの省庁さんでどういう内容に取り組んでいくのかということがここで決められてございます。
   これについては、総務省、文部科学省、両省が協力して実現していくプロジェクトということで定められていまして、それを具体化していくという観点で、事業団、それから通信総合研究所さんと連携をとりながら、具体的な内容を詰めていくということで理解してございます。

 冨田特別委員 

   私、そういう質問をしましたのは、実はこれを見ていると、衛星を打上げますということで、衛星中心で計画が進められているような感じがするんですね。で、衛星を打上げるから、それをユーザーが何か使ってくれと、こういうふうに見えるわけですね。だけど、これをやると、もしユーザーが集まってこないような場合、事業団さんが全部ひっかぶってしまうと。それから、いつまでも手が抜けないことになるんじゃないかと思うんです。
   ですから、どこかある大きな計画があって、その一環として衛星も打上げるというのがありまして、いわゆる衛星は試験衛星を打上げて、うまくいったらどっかメーカーに任せちゃうと、民間に任せて、運用も民間に任せちゃって、事業団さんは手を引くというようなことをやらないと、なかなか人手不足は解消できないと思うんですね。これをこのまま持っていくと、また人手が足りないところに仕事が増えるようなことになってしまうんじゃないかと思うんですが、その辺の御配慮はいかがでしょう。

 倉益 

   今回、衛星が最初にありきという計画ではないというふうに理解しておりますので、衛星というのは後からついていくものだと。インターネット社会の中でどういうふうに衛星インターネットを使えるのかという、まあ、まだ今日時点では明確な回答はございません。
   先ほど衛星利用の大きいところを3点御紹介しました。1つは、国土交通省さんの中で研究開発されて、どういう利用の内容があるのだろうかということは、まだ研究会、あるいは勉強会の中で議論されてございます。それから、今日、バックボーンについても、文科省さんの教育メディアセンターさんの中で、今あるネットワークに加えてどういう使い方ができるのだろうかと、そういう議論がされています。まだこれ以外にも、どういう使い方が一番メリットがあるのかという議論がいろいろされています。研究もされています。
   その研究結果を受けて、具体的に衛星として、じゃあ、実現するにはどういうものがよかろうかという、そういうリクワイアメントを受けて実験システムを考えていくということで、これは、現時点でこういうものとして用意するというのではなくて、13年度、14年度の作業の中でその辺をより具体的なものにしていきたいというふうに私どもは考えていますので、最初からインターネット衛星ありきということではなくて、利用にこたえるためのトータルシステム、地上も含めた実験網システムということで作業を進めていく必要がある、いかなければいけないというふうに理解しております。

 長柄部会長 

   森谷さん、どうぞ。

 森谷特別委員 

   今の話に関係があったものですが、これは運営の主体はどうなるのでしょうか。NASDAがやる仕事でもないと思うんですが、運営の主体というのは決まっているのかどうか。

 倉益 

   開発段階と、打上げた以降の話と、両方あるかと思いますが、実は打上げた以降の運営体制、運用体制については今日の資料には入ってございません。これについては、総務省さんと文科省さんの共同の計画ということになりますので、打上げた後の実験計画、どういう内容を実験していくのかというトップのオーソライズをする部門としては、総務省さんと文科省さんであるというふうに認識しています。むしろ総務省さんの出番が非常に強くなってくるのであろうというふうに理解しております。

 森谷特別委員 

   そうしますと、運営主体がはっきりするまでは、やはりNASDAが主導権を取ってこれを進めていくということになるわけですか。

 倉益 

   NASDAの立場は非常に弱いので、なかなかそこまでの主導権は取れるとは思っておりませんので、これについてはこういう考え方で、こういう体制でいかがでしょうかということで、常日ごろから総務省さんの方とも連携をとって進めておりまして、総務省さんの中のオーソライゼーションがちょっと遅れておるというふうに理解しておりますが。

 森谷特別委員 

   もう1つ技術的なことですが、この利用は今から十分検討されるのでしょうけど、家庭内情報革命に、映画、動画つき音楽番組とかゲームソフトの購入なんていうのが挙がっていますが、これをやるのかどうかというのはこれから検討していくことだと思うんですが、基本的にこれは、例えばこういうことをやるとしたら、個別のニーズに対してどれくらいこたえられるのか、基本的な容量はどれくらいあるのかということはどうなんでしょう。

 倉益 

   地上のパイプに比べれば、非常に太いパイプは用意できませんで、そこに、155メガbpsの双方向のやり取りということで、一応今のところ考えてございます。

 森谷特別委員 

   これは1本だけということですか。

 倉益 

   いや、できるだけたくさんの方の利用ということを考えれば、例えば、1.5メガ、100チャンネルのアップですとかという、そこはちょっと……。

 森谷特別委員 

   まあ、想定チャンネルってその程度なんですね。

 倉益 

   ええ。その辺は、先ほどのミッション検討分科会の御意見の中でも、同時利用者数を増加するためにアップリンクの回線数の構成をできれば見直しをしてほしいという御意見も出ていますので、その辺についても、衛星システムの、あるいは、まあ、ミッション機器といいますか、そのシステム構成についても検討する必要があるのかなというふうに理解しております。
   今マルチキャストということで155、できるだけ小型の地球局ということで考えましたが、最大としては1.2、いわゆるギガビット衛星の議論をしたものがまだ残っておりまして、1.2ギガbpsのデータ伝送量を4ビーム、まあ、4チャンネルというか、ということで。ただ、まだ利用として本当にそれが要るのか、要らないのかというその辺も、同時並行的に、リクワイアメントの検討と並行してシステム検討を、6月をターゲットに進めていきたいというふうに考えてございます。

 長柄部会長 

   ほかにございませんでしょうか。
   八坂先生。

 八坂特別委員 

   2005年、試験衛星、それから、2010年の実用化というと、これはどう見ても実証衛星の後に実用のシステムが来るという、そういう想定だと思うんですね。だけど、実用のシステムというのは、これは国がやるんじゃなくて、ゲームソフトの配信だとか、これはコマーシャルのベースでやられるものでしょうね。だから、行く行くはコマーシャルのシステムの技術を実証するという、そういう立場だろうと思うので、そういうふうに見ると、1つは受け皿としてどうするのか。まあ、それはこれからの話でしょうけど、もう1つ、今、考えなければいけないのは、アメリカとの間で問題があります、商用のシステムに関する国の関与と、それをどう考えるかというのがあるかと思うんですけれども、その辺の整理を是非、次の段階までにきちんとしていただきたいなと思うんです。
   それから、確かにそういう受け皿というのは考えられるという、経済的なコストの試算からしてどうなるというのは、これはこの資料の中にも調べるというふうなのがありますので、おそらく出てくるものと思いますので、その段階でお聞かせいただきたいと思っております。

 長柄部会長 

   ありがとうございました。
   どうぞ。

 宮崎特別委員 

   こういう利用実験をすることはとても大切だと思うんですけれども、今日の初めにNASDAの使命というお話がありまして、その中で先端科学技術に挑戦するというのがNASDAさんの使命の1つなんですけれども、このプロジェクトではどの点で先端科学技術の開発をされるのでしょうか。もしも利用の実験だけですと、利用中心の実験になるのでしょうか。その場合ですと、遠隔教育とか遠隔医療の実験に参加する機関としまして、病院ですとか、図書館ですとか、小学校、大学、いろいろな機関があると思うんです。そして、そういう機関も協力しなければいけない。コンテンツを提供したり、いろいろ協力しなければいけない。そういう点はどういうふうに考えていらっしゃるのでしょうか。

 倉益 

   私が答える範囲をちょっと超えているかもしれませんが、宇宙開発事業団が据えて進める柱として、1つは先端科学技術の柱がございます。もう1つは、地球観測分野への貢献ということを目指している。もう1つは、通信、情報の分野で国民生活へ還元していく。大きくは3つの柱を立てていまして、この計画自体は、3番目の通信、放送、測位の分野で国民生活に多大な貢献をしていく、そういう分野でのアクティビティだというふうに整理をしておると理解しております。
   ただ、これがただ単に利用だけの話ではなくて、当然こういうシステムを準備していくというところでは、技術的な新規要素、新規部分というのは当然ありますので、科学というよりも、技術の分野で新規部分については十分評価をし、進めていかなければならない。特にプロトコルを含めた通信部分ですとか、衛星だけではなくて、これは実験網システムということですから、小型で双方向性の機能を有する地上システムがいかに作れるかというのも、開発要素としては大きいところであろうというふうに認識しています。技術の分野での新規部分、新規要素部分ということを明確にしていかなければいけないところだと思っています。
   利用の分野については、既に12年度からパイロット実験をやっていまして、信州大学等で遠隔医療のパイロット実験を既に進めていまして、そういったところからの利用の声を収集していく。
   それから、教育分野では、フィールド教育でこういったところが使えるのかどうかということで、宮崎県に機材等を持ち込みまして、これもパイロット実験ということで、教育分野での声を吸い上げていくということで進めています。相当幅広い事前の利用実験、パイロット実験をする中で声を吸い上げていきたいというふうに……。ちょっと話がダイレクトのお答えになっていないんですが。

 長柄部会長 

   ありがとうございました。
   ちょうど時間になったのでございますが、本件は6月以降、さらに詳細に今、構想を詰めておられますので、その審議をすることになろうかと思います。
   本日、時間になりましたのでこれで打ち切りたいと思いますが、次回は5月14日(月)10時から12時30分、2時間半をお願いしまして、地球観測計画、2つか3つございますけれども、計画の現状についてのレビューと、宇宙開発事業団でおやりになっております信頼性向上、品質保証、強化についての活動についてのレビューでございますが、この2つを5月14日(月)にやりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
   そのほかに事務局の方から何かございますか。

 金子課長補佐 

   1点だけ。今お手元に各委員の御都合のアンケート調査、それから銀行振り込みの紙をお配りしていますが、できれば今週中に事務局の方に連絡くださるとありがたいです。よろしくお願いします。

 長柄部会長 

   それでは、本日の会議はこれで終了いたします。
   どうもありがとうございました。




(研究開発局宇宙政策課)

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