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宇宙開発委員会

2001/12/12
第48回宇宙開発委員会議事録

第48回宇宙開発委員会議事録


1. 日時 平成13年12月12日(水)14:01〜15:50

2. 場所 宇宙開発委員会会議室(文部科学省別館11階)

3. 議題
  (1) 立川新委員就任御挨拶
  (2) 国際宇宙ステーションロシアサービスモジュール利用するNASDA宇宙実験の状況について
  (3) 国際宇宙ステーション搭乗宇宙飛行士の「きぼう」日本実験棟アドバンスト訓練実施について
  (4) 「我が国の宇宙開発利用の在り方」について
  (5) 宇宙開発事業団改革推進委員会の所見について
  (6) その他


4. 資料
  委48-1 国際宇宙ステーションロシアサービスモジュールを利用するNASDA宇宙実験の実施状況について
  委48-2 国際宇宙ステーション搭乗宇宙飛行士の「きぼう」日本実験棟アドバンスト訓練実施について
  委48-3 我が国の宇宙開発利用の目標と方向性(中間とりまとめ)(抄)
  委48-4 宇宙開発事業団の改革推進委員会の所見について
  委48-5-1 宇宙開発の現状報告
  委48-5-2 第47回宇宙開発委員会議事要旨(案)
  参考 部会構成員一覧

5. 出席者
  宇宙開発委員会委員長 井口雅一
  宇宙開発委員会委員 川崎雅弘
  栗木恭一
  五代富文
  立川敬二
  文部科学省研究開発局長 今村努
  文部科学省研究開発局宇宙政策課長 芝田政之

6.議事内容

 井口委員長 
    局長、審議官は遅れてこられるということですので、早速第48回の宇宙開発委員会を始めさせていただきます。
    議題に入ります前に、本日は1件御報告がございます。
    昨日、12月11日に澤田委員の後任として立川敬二委員が任命されましたことを御紹介申し上げます。
    立川委員は、皆様御存じのように株式会社NTTドコモの代表取締役社長を務めておられます。超御多忙な中をお引き受けくださいまして、我々は感謝しております。ありがとうございます。
    立川委員は、情報エレクトロニクスと言ったらいいんでしょうか、そういう関係の御研究で、東京大学から工学博士の学位を受けられております。したがって、技術が御専門ですが、同時に、皆様方も御存じのように日本の携帯電話iモードをこれほどまでに育て上げられた立役者でもあります。
    宇宙開発委員には、これから技術に対する先見性と産業化を目指しますので、ビジネスセンスが求められます。立川委員という、両方をお一人で兼ね備えておられるという大変強力なメンバーを宇宙開発委員に得ることできましたことは大変喜んでおります。
    どうぞ、これから御指導くださいますようにお願いいたします。
    何か一言ございましたら……。
   

 立川委員 
    皆様どうもお仲間に入れていただいて大変光栄に存じております。
    特に、私はビジネス界ということでありますが、もともと衛星通信の利用者側でございまして、我々宇宙技術の利用をどうするかというのは、通信の面で活用させていただいているわけでありまして、ぜひ宇宙技術がもっと大いに活用される世界を夢見たいというふうに思っているところでありまして、私も宇宙通信関係の開発に従事してまいりまして、最近は利用者側をやっておりますので、その面で何らかの貢献ができるかと思っておりますので、よろしく御指導をお願いしたいと思います。
   

 井口委員長 
    それでは、議題の1ですけれども、澤田委員から立川委員におかわりになったことに伴いまして、宇宙開発委員会委員の職務分担を確認させていただきます。
    参考という資料が配られていると思いますが、宇宙開発委員会には4つの部会がございます。澤田委員は、そのうちの利用部会、2枚目にございますが、そこの委員を務めていただいておりましたので、そこを立川委員にお願いするということにいたしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
    第2の議題に入らせていただきます。
    国際宇宙ステーションロシアサービスモジュールを利用するNASDA宇宙実験の実施状況について、宇宙開発事業団の宇宙環境利用システム本部主任開発部員の吉冨さんから、お願いいたします。
   

 吉冨 
    それでは、資料の48−1に基づきまして、国際宇宙ステーションロシアサービスモジュールを利用するNASDA宇宙実験の実施状況についてということで、宇宙開発事業団の吉冨の方から報告させていただきます。
    今日は、せっかくの時間できれいな映像がありますので、約13分間のビデオですので、それを御覧になりながら、補足をさせていただきたいと思います。
    一部、申しわけありませんが、資料の10ページ目の写真が、静止画に落とした写真がついているんですが、下の写真が九州・鹿児島と書いてありまして、申しわけありません。だれが見ても、これは本州の絵が載っていますので、それを修正させていただいて、早速映像の方を御覧いただければと思います。
   

 井口委員長 
    全部でどのぐらいの時間撮ったんですか。
   

 吉冨 
    テープは約13分ありますので。
   

 井口委員長 
    これが全部なんですか。
   

 吉冨 
    いえ、持って帰ったのは353分あります。その中のエッセンスを取り出しました。
    これは12月6日にプレスの方に公開したんですが、ここの部分は非公開、まだ初めてお見せする部分です。これはMPAC&SEEDと言います微小粒子捕獲、材料暴露実験の、今ユニットをロシアの宇宙飛行士が、これはEVAでサービスモジュールの外に取り付けるんですが、今それの準備をしています。御覧になりますように3つユニットがございまして、それぞれ中には同じものです。24種類の材料で7人の研究者の方が全国の大学等、民間の企業の方もいらっしゃいますが、大学研究者で資料を提供していただいています。これを3つ外部につけまして、1年後、2年後、3年後ということで回収いたします。それで、外部環境による劣化の度合いの経時変化を見ようということを今計画しております。
    打上げはこういう形で打ち上げているんですが、帰りも、ロシアからチャージされるということで、サンプルだけが、これは1個28キロあるんですけれども、持ち帰るときは、この中のサンプルだけ、約8.5キロ分ぐらいを持ち帰ります。
    これはEVAで取り付けた後です。ここの部分に、今、2つ目がちょっと隠れていますが、残念ながらHDTVのカメラは船外用のものは用意してませんので、船内の窓から取り付けた後確認している映像です。
    通常のテレビと違いまして、皆さん、今デジタル放送等で御覧になっていると思いますけれども、非常にきれいな映像が撮れています。ここの部分までがMPAC&SEEDというプロジェクトの概要で、これは12月6日のプレスには、ここの部分は実はお見せしませんでした。これ以降は、6日にプレスにしました。
    今、ロシアの宇宙飛行士がしゃべっているのは、サービスモジュールの手順セクションについての設備の説明を彼は今しています。皆さんの目の前にありますと、一応コントロールパネラー、セントラルステーションと中央監視所というんですかね、そういう潜水艦で使われている言葉をまねていますとか、これらはコンピュータで中を制御していますというような発言をしています。
    次が、寝袋の説明をするんですが、彼が今しゃべるのは、ファスナーを下げてめくると、中にはいろんな縛るためのひもがあります。人がどうにか自然な位置に来るようにするものです。そう考えられたものですが、実際にはだれも使っていません。寝袋は簡単なもので、緩めて中に入り、それから締めて、これで準備完了です。注目することは、寝袋はキャビンに垂直に置かれていることです。背当てが背中に来ています。これは少し変わっています。ただ、実際には宇宙空間において全くどうでもいいことです、というようなことを彼は今ロシア語でしゃべっています。
    宇宙ステーションの中では、サービスモジュールの中にこう寝るか、あとUSRの中にテンポラリーなこういうスペースを設けて、3人の宇宙飛行士が休めるようになっています。これはロシアとの契約なものですから、USラブとかほかのところにカメラが持ち込めない約束で、サービスモジュールの中だけの撮影ということで我々はやっています。
    これは今からエクササイズ、でトレッドミルの上を、今から走るための準備をしていまして、ああいうジグをつけて、床と引っ張って、床に固定してランニングをするという風景です。同じような器具は、エルゴメーターという自転車のようなものも、このサービスモジュールの中にはありまして、そういうものを使って体力維持を宇宙飛行士は定期的にエクササイズとしてやっているということです。
    これは紙飛行機で、重力がない分だけ揚力だけが働いて、上に飛んでいってしまう。これは、以前毛利さんも宇宙授業でやったことがあります。
    ヨーヨーの方は、慎重に指をはめて準備します。それから慎重に遊び始めますと。「もううまくなってきました。大体できていますね」というような発言をしているようです。
    非常にサービスモジュールの中は雑然としていて、USラブと設計のコンセプトが違うのがよく見るとわかると思います。
    次は珍しいシーンで、サービスモジュールの中で散髪を、彼はカルバートソンさんといって、今回、第3次クルーのコマンダーだったんですが、おりてくるんですけれども、掃除機で吸いながら。おもしろいことに、これがロシアの会社が、日本の三洋電機の掃除機を向こうでOEM生産しているらしくて、どうもそのもので、この撮っている人は、日本製のビデオカメラで撮っているとか、改良品の日本のものがこういうところにも使われているというのが……。
    この模様は、デジタルカメラで撮った写真が、NASAのホームページを見ると、この様子が出ています。これは彼がギターを弾こうとしているんですが、実は弾き始めたところでこの映像が、残念ながら終わっていて、どういう曲を弾いたのかよくわかりませんが。
    あと、NASAのホームページを見ると、NASAのカルバートソンさんがステーションの中でトランペットを吹いている風景とか、そういう写真もホームページに貼り付けてありました。いろいろと余暇の楽しみ方を工夫しているのかなと。
    これ以降は地球観測の映像です。九州の方から始まって、最終的に北海道、それから北方四島の方までずうっと連続して撮っている風景です。これはサービスモジュールの太陽電池パネルなんですけれども、非常によくわかりますので、例えばこういうところのどこかの不具合の状況だとか、もし確認しようと思えばできるぐらいのクォリティがあることがよくわかると思います。
    ここは桜島、ここは鹿児島、鹿児島湾です。
    ここに見えていますのは、緊急帰還用のソユーズです。このあたりは都城あたりだろうと思いますが、四国の松山、今治に行って、宇和島、この辺はずっと徳島から、今度吉野川の河口です。
    富山湾から能登半島で、これは新潟ですね。このあたりに富士山がちょっとちぎれていると思いますけれども、散見できます。このあたりは黒部のダムのあたりです。これが新潟から猪苗代湖、この辺が仙台。
    資料の方におつけしているのは、この画像を静止画におとしたもので、静止画におとしても非常にクォリティが高いですから、そういう意味でいろんな利用の仕方ができるかなというふうに我々は考えています。こういう地球観測とか、地球の状況をいろいろと観測する以外にも、利用方法はいろいろこれから考えれば出てくるのではないかと期待はしています。
    それから、今日、この映像の中には入ってないんですけれども、医学実験、遠隔医療の一環で、宇宙飛行士の体の表情だとか、そういうものを撮って、今後の宇宙ステーション計画の中での宇宙飛行士の体のケアと同時に、メンタルなケアも含めてやるためのデモンストレーション実験もあわせてやっています。これは残念ながらロシアとの契約の関係で、宇宙飛行士のインフォームドコンセントとか、そういう問題があって、一般の方に映像がお見せできないんですが、今、NASDAの医者のグループがそういう遠隔医療のための基礎データとしてそれを活用して、JEMの時代には、JEMの中にHDTVのカメラシステムを置いてそういうことに役立てようと考えています。
    ここは最後のシーンなんですけれども、北方四島の、この辺はクナシリ、最後エトロフが、これはエトロフ島です。最後、ウルップ島がちょっと見えたところでビデオは終わりになると思います。
    これは以前も別の形で御報告したと思いますが、これ以外にもサービスモジュールの中で、電通がコマーシャルフィルムを撮っています。これは多分台風16号じゃないかなということなんで、ちょっと時間が特定できなくてあれなんですけれども、低気圧の複合画像です。
    ロシアとの契約では960分間の映像を撮る契約をしていまして、先ほど申し上げました10月31日のテープの回収時点では353分、約3分の1強の映像を撮っています。ロシアとの契約で、メインは撮る人、撮られる人とセットが必要なものですから、奇数のフライトクルー、今は3次だったんですが、今、4次のクルーが行っていまして、そのときはロシア人が1人しかいないので、1人で撮れるものは少し撮りますけれども、次の5次のクルーのときに2人のロシア人になりますので、医学実験等を、またそこから再開するという計画になっております。
    以上でございます。
   

 井口委員長 
    どうもありがとうございます。
    それでは、御質問、御意見をお願いいたします。
   

 立川委員 
    さっきの雑音はボイスを取っているんですか。
   

 吉冨 
    サービスモジュールの中は非常にうるさいということで、問題になっています。宇宙ステーションの中でも、アメリカのモジュール部分よりもサービスモジュールが非常にうるさいと。帰ってきた宇宙飛行士が難聴に近い症状を起こしているという状況もあるようで、我々もJEMの開発についても、騒音対策というのをきちんとやらないと、宇宙飛行士が向こうに長期滞在するので問題になるかと思います。
   

 立川委員 
    あれはエアコンですか。
   

 吉冨 
    メインはエアコンです。
   

 栗木委員 
    南極観測のときにも、音が一番問題だったですね。音が一番こたえる。
   

 井口委員長 
    映像に関しては、ロシアとどういう契約になっているんですか。シナリオを渡してあるとか、自由に撮ってほしいということなのか。
   

 吉冨 
    基本的には、先ほど言いました広報目的の映像を撮ることと、医学実験をするための映像を撮るということで、トータル960分の、40分テープを24本、予備が2つあるんですが、その中で広報用ですと、どこのシーンを撮ってほしいというリクエストがこちらからあります。医学実験のほうはシナリオがありまして、どういう表情をして、どういう画角で、顔を全画面で撮るとか、そういうことを指定してあります。
   

 井口委員長 
    ほかにいかがでしょうか。
   

 栗木委員 
    最初に、荷ほどきをしているとき、飛行士が体が回りそうな感じがしたんてすが、あれは何か足押さえがあるんですか、床に。
   

 吉冨 
    一応、フットレストレントという足を引っかけるところが、サービスモジュールの、JEMにも当然そういうものをつけていまして、それをつけてないと、どうしても反動で自分で回ってしまう。
   

 井口委員長 
    よろしゅうございますか。
    それでは、どうもありがとうございました。
    次の議題に移らせていただきます。国際宇宙ステーション搭乗宇宙飛行士の「きぼう」日本実験棟アドバンスト訓練実施について、宇宙開発事業団宇宙ステーション運用技術部長の北原さんにお願いいたします。
   

 北原 
    宇宙開発事業団の北原でございます。資料に基づいて簡単に御説明いたします。
    宇宙ステーションの搭乗員宇宙飛行士に対するアドバンスト訓練というものを各国際パートナーが責任を持って、その分担分について訓練をするということが役割分担になっておりまして、国際的に今年の4月から既にアドバンスト訓練を始めるということで、一部NASAのアドバンスト訓練は4月から開始しております。
    NASDAの担当分であります「きぼう」の船内系につきましてのアドバンスト訓練の準備が整いましたので、この12月から3月にわたりまして開始することになりました。
    このアドバンスト訓練は、もともとISSの宇宙飛行士に対して行うものでありますが、いわゆるスペースシャトルのミッションスペシャリスト、MSと言って、いろいろスペースシャトルが飛んでおりますが、そのスペースシャトルに飛んでいる宇宙飛行士がスペースステーションに長期滞在する場合には、そのアドバンスト訓練を受講しておく必要があるということから、NASAの第2回目のアドバンスト訓練、大体10月ぐらいから開始しましたが、それに対してNASDAの宇宙飛行士であります土井、若田、野口の3人の宇宙飛行士も参画しております。
    今回の日本でやりますアドバンスト訓練について、別途御説明しますが、その前にアドバンスト訓練の位置づけでありますが、2ページの上にちょっとした図が書いてありますが、これに基づいて御説明いたします。
    まず、ISSの宇宙飛行士の候補に対して、大体1.5年間かけまして基礎訓練を行うわけですが、NASDAには角野、古川、星出という3人が約1.5年かけまして、これが無事終了しまして、スペースステーションの宇宙飛行士として認定されております。この基礎訓練が終わりますと、アドバンスト訓練というものがありまして、これがまさに今回やろうとして、もう既に米国においては始まっておりますが、約1年半から2年かけて、このアドバンスト訓練を行います。
    その後に、時間がある場合は技量維持、向上ということで訓練を続けるわけですが、大体飛行の1.5年前にどのフライトで飛ぶかという飛行割当が国際的な機関の審議のもとに決まります。
    その決まった飛行士に対しまして、その固有の訓練をいたしまして飛行に至ると、これが全体の流れであります。
    今回のアドバンスト訓練につきましては、基本的には、当該の機関の担当するシステムまたはペイロード、こういったものの知識、それから運用にかかわる共通的な理解を得るといったことが主目的で実施されるものであります。
    2ページの実施計画としまして、今回日本が行います訓練にどのような宇宙飛行士が参加するかということでありますが、NASDAからは6名を考えております。土井、若田、野口、古川、星出、角野、それからNASAからは2名を予定しておりますが、現状、だれが参加するかということは、NASA内で現在調整中の模様です。
    ESAからは、ここに書いてありますフランス、ドイツ、スペイン、イタリアから計4名が参画することになっておりまして、この4名につきましては、既に米国の訓練にも参加している者であります。
    訓練の実施としましては、場所は筑波宇宙センターに訓練棟がありまして、その中で行います。
    実施方法ですが、2名1組で組をつくりまして、3月までに6回、2×6の12名、6回行う予定であります。1回については、大体1週間程度の訓練を考えております。
    インストラクタは、NASDAはこれまでいろいろ教育して、育成して認定に至った4人のインストラクタがおりまして、そのインストラクタに特にまた細かいことが、サポートするということで、開発に携わったテクニカル・エキスパートというものをつけまして、英語を使って訓練をするということになっています。内容は、今回は「きぼう」の船内系につきまして、全体の概要とか通信系、電源系、熱制御系、こういった各サブシステムに、通常の運用状態の訓練、それから異常になった場合の対処方法、こういったところの訓練をして、最終的には簡単なテストをして、ちゃんと習熟したかどうかといったことを確認して、この訓練を終わるということで考えております。
    来年につきましては、残りのロボットアームとか、船外実験プラットフォーム、それからペイロード、こういったものは、14年度に訓練をすることで今準備しているところであります。
    3ページ目に写真がありますが、この上のものは今回使います船外実験室のトレーナとか、左側は、全体概観図で、左の2番目が内部です。右上が保管室のトレーナ、右の2番目が管制システムトレーナ、いわゆる「きぼう」の中をシミュレートしているコンピュータであります。
    この中で左の壁際にラップトップの小さなコンピュータがありますが、こういったものは実際の宇宙の実験室の中にありまして、これを使って宇宙飛行士はいろいろテレメトリを見たり、コマンドを打ったりする操作をするコンピュータであります。
    下の4枚は、これは今年の8月にアドバンスト訓練が実施可能かということで最終的に、このときはESAの、ドイツ人でしたけれども、ミールとか何かに乗っている経験の人と、そのインストラクタの人に参画してもらって、実際にインストラクタが講義等をしまして、基本的にはアドバンスト訓練をしてもいい、能力がついていると、いろいろ準備状況を評価したときに撮った写真であります。
    ちなみに右の下から2番目が、宇宙で火事があったりすると緊急事態になりますので、消化器の場所とか、消化器を取り外すにはどうしたらいいか、そういった訓練をやっているようなところです。
    簡単ですけれども、以上です。ちなみに今日から開始するということで、報告が遅れてしまいましたけれども、今ごろ始まっているのではないかと思います。
   

 井口委員長 
    どうもありがとうございました。
    御質問、御意見をいただきます。
    さっき騒音の話が出たんですけれども、この「きぼう」の中の騒音の規制値というのはどのぐらいなんですか。
   

 北原 
    1つの基準がありまして、基本的にはそれに合うように物は開発していますが、どうしても一部飛び出たり、ちょっと多いとか、かなりJEMの開発側はそれを抑えるために防音材を入れたり、いろいろ苦労したものがついております。一部どうしても出てしまうところがあって、それについては、NASAと全体的な調整で許容してもらうとかしております。
    聞くところによると、サービスモジュールは非常に音がうるさいというふうに聞いておりますけど、それに比べて「きぼう」の方はかなりいいのではないかと思います。
   

 井口委員長 
    無重力状態というか、水中で無重力にしたような状態でのトレーニングというのはやらないんですか。
   

 北原 
    それはNASAの担当分になりまして、EVAということで、NASAのプールでやります。それはまたその中でEVA訓練というのがあります。NASDAでも、WETSという水槽がありまして、その中では日本の宇宙飛行士に対して毎年1回、そういったところの訓練も兼ねて、いわゆる船外活動の手順書をいろいろ検証する中であわせて訓練を毎年1回やっております。ステーション全体としてはNASAの訓練の一部として設定がされております。
   

 栗木委員 
    ある一定期間閉じ込められるんですか。
   

 北原 
    この中にですか。
   

 栗木委員 
    はい。
   

 北原 
    そういうことではないです。寝泊まりはここの中ではありません。中に入って、機器がどこについているかとか、その取り外し方がどうだとか、そういった実際に、一部はエンジニアリングモデルを取り付けてありますし、一部は絵でちょっと代行していますけれども、どこにどんなものがついているだとか、そういったものを勉強するときにだけ中に入って、あとは外です。いわゆる閉鎖設備での訓練とはちょっと違います。
   

 立川委員 
    この訓練は、打上げから2〜3年前にやって、1回やったら終わりですか。前に飛んだ人も入っていますね。
   

 北原 
    飛ぶ人は、日本のものも勉強しなきゃいけないし、NASAのものも勉強しなきゃいけないし、ヨーロッパのものも勉強しなきゃいけないという、日本のものは1回やれば、基本的にはその人は日本の訓練、アドバンストは終わったと。次は米国のモジュール、ESAのモジュールと、どんどんつなげていくと、かなりの時間がどうしてもかかってしまって、全体的に今訓練時間が非常に長いという、もうちょっと短くできないかなというようなことです。
   

 立川委員 
    土井さん、若田さんは向こうのはいいけど、日本のは初めてということですか。
   

 北原 
    そうです。今回初めて参加します。日本自体が今回初めてアドバンスト訓練をやりますから。
   

 井口委員長 
    例えばテスト車両の自動運転なんかやると、システムソフトの、正常なときのソフトというのは2〜3割で、6〜7割が異常時なんですね。こういう訓練では、正常時のいろんなオペレーションの訓練に対して異常時があるわけですね。大体どのくらいの比率になるわけですか。異常時の方がはるかに多いと思いますが。
   

 北原 
    訓練の中で異常時かどのぐらいを占めるかという数字はちょっとわかりませんが、いろいろの異常時を想定して、インストラクタがいろいろ知恵を絞って、起こりやすいものとか、これだけは覚えておかなきゃいけないというものを、このコンピュータを使ってデータを設定して、それに対して的確に飛行士が対応するかどうかということを訓練します。割合はどのぐらいかちょっと数字はわかりません。
    ほかにいかがでしょうか。
   

 五代委員 
    大変簡単な試験というけど、試験は試験だけなんですか。それともそれによって、この人はこういう点不適格ですとか、そういうことはあるんですか。
   

 北原 
    ペーパーテストと、あとは実際にさっき言った異常を起こして、ちゃんと的確に対応するかどうかということをインストラクタが見るということです。ノーマルなオペレーションに対しても課題を与えて、それに対してラップトップを使って確実に対応できるか、そういったところをチェックリスクを使いながらやります。
   

 五代委員 
    それが後で選ばれるときにどうなんですかという意味なんですが。
   

 北原 
    選ばれるときには、基本的には、アドバンストコースが終わったかどうかという記録を国際的な運用パネルに出して、各国が自分の飛ばしたい人を推薦して、確かにアドバンストコースを終了しましたと。多分、あの人はAレベル、この人はBレベルとか、そういうことはないと思いますが、少なくとも合格していますといったところの人に対して推薦して、国際的な場で審議をして、最終的にきまるということです。
   

 川崎委員 
    1回の訓練のトータルの時間というのはセットされているんですか。
   

 北原 
    大体日本の場合は1週間ぐらい、毎日朝から夜までです。
   

 川崎委員 
    あそこに入りっぱなしではないと。
   

 北原 
    中に入ったり、こちらのコンピュータの部屋に入ったり、座学というか、講義を聞いたり、実際コンピュータを扱ったり……。
   

 川崎委員 
    モジュールの中で生活するという格好ではないんですね。
   

 北原 
    そういうことはありません。普通ホテルから通って勉強するということです。
   

 川崎委員 
    そうすると、どうしても集中力は高まっていくわけですか。
   

 北原 
    それはまた別の訓練ということになって、ここはあくまでもシステムを熟知してもらうということが主です。
   

 井口委員長 
    よろしゅうございますか。
    じゃ、どうもありがとうございました。
    次の4番目、「我が国の宇宙開発利用の在り方」について、これまでずっと続けて御議論いただいております課題です。
    最初に、我が国の宇宙開発利用の目標と方向性について、事務局の芝田課長にお話をいただきます。3章までは、大体この前お認めいただいて、今回は、特に4章が新しいところであります。じゃ、お願いします。
   

 芝田課長 
    資料の48−3でございますけれども、4章は6ページから始まっておりますので、6ページから御覧いただきたいと思います。
    本日は、決定ということではなくて、また御意見をいただきまして、また1週間内にいろいろ修文があれば、また個別にも寄せていただきまして、来週決定していただきたいと思っております。
    6ページの4.新機関における重点化の方向というところが新たにかかわったわけでございます。ただし、(1)の先導的基幹プログラム(仮称)につきましては、重点化の1つの手法として、地上利用系、軌道上系、輸送系等を含めた統合システムのアイデアについて五代委員から提案がございましたものを、先回御議論いただきましたので、それをそのままここにはめて入れてございます。
    したがいまして、7ページの方から御説明したいと思いますが、2ページばかりですので、ちょっと文章の確認も含めて読ませていただきたいと思います。この部分は、これまでチャートで御議論いただいた部分を文章化したつもりでございます。
    (2)新機関における重点化に際して考慮すべき課題。
    新機関における重点化に際して、考慮すべき課題は次のとおりである。なお、これらの課題は、上述の「先導的基幹プログラム」と有機的に結びついて、1つの構成要素として取り入れられる場合もある。
    また、我が国の宇宙開発は基盤技術が不足しており、全分野にわたり基盤技術を確立することが急務となっていることはいうまでもない。
    基礎的研究の進展は、優れた個人の創意と発想によるところが大きいことに留意し、広く内外の優れた発想を活用する仕組みを構築する必要がある。
    1自律的な宇宙開発利用活動を展開するための輸送手段の確保。
    情報収集衛星など国として重要な衛星を必要なときに所定の位置に展開できる独自の輸送能力を保持することは、国及び国民の安全の確保に密接に関連した優先度の高い活動である。
    平成13年8月には、宇宙開発事業団がH-2Aロケットの打上げに成功しており、当面の目標としてはH-2Aロケットをコンスタントに失敗なく打上げることができるよう世界トップクラスの高信頼性を確立し、多様な衛星打上げに対応できるよう打上げ能力の多様化を目指したロケット開発を推進する。
    2利用を見据えた技術開発
   衛星利用分野では、基本的に関係省庁が中心となって利用政策と一体となった利用技術開発を行い、新機関は、関係省庁と連携・協力しながら、利用の発掘、利用を見据えた先端的な技術開発及び宇宙実証の推進、衛星バス技術等の基盤技術の強化を通して宇宙利用の拡充を図っていく「多角化」を目指す。特に通信・放送等の分野では、世界的なIT革命の進展に見られるように技術革新が速く、他の分野に比べて国民生活に直結した実利用が進んでおり今後も利用の拡大が期待されていることから、関係機関と連携・協力し、積極的かつ迅速に先端的な技術開発を推進していく。
    また、地球観測については、公共性、国際性が極めて高い活動であるため、国が優先的に実施すべき活動である。さらに、地球観測は、国土管理、交通、気象、地球環境、農林水産分野などに活用され、その利用は多くの省庁にまたがる場合が多い。したがって、国全体として効率的な活動を実現するため、新機関が中核となって、この分野の効果的推進に役立つプロジェクト化に取り組む。
    3宇宙科学の推進
   宇宙科学は、国民の精神面においてはかり知れないほどの大きな価値を生み出す分野であり、その重要性は、物質的な便益の向上に匹敵するものである。したがって、研究者の自由な発想に基づいた運営が可能となることに留意しつつ、規模が縮小することのないよう宇宙科学を推進する。
    4将来の宇宙開発利用への展開
   21世紀は宇宙の世紀であり、宇宙開発利用の成果が花開くときであると認識し、20年後から30年後の宇宙開発利用の新展開のための若木を育てていくことも新機関にとって極めて重要な役割である。宇宙開発利用活動を本格的に発展させるためには、輸送分野における大幅なコストの低減と信頼性の向上が必要である。このため新機関は、宇宙輸送技術としての再使用機の開発につながる基礎的な研究開発を着実に進める。この再使用機は、世界の宇宙開発利用活動の拡充に伴い深刻になりつつあるスペースデブリ問題への対応及び資源の有効利用に資するものとして、各国が注目している開発課題であり、今日からその基礎的な研究開発を進めることによって、国際的にも主導的な役割を果たし得るものと期待される。なお、再使用機に関する研究開発の本格的な着手は、基礎的な研究開発の成果及び海外の趨勢を十分に評価した上で決定する必要がある。
    また、将来的には、宇宙観光も含め宇宙空間における人類の活動が拡大することが予想されることから、ISSでの活動経験を積み重ねるとともに、有人輸送技術の基礎的な調査研究を積み重ねていくことが必要である。
    以上です。
   

 井口委員長 
    どうもありがとうございます。
    立川委員には御説明してあるのかどうか知らないんですけれども、これまでの宇宙開発に対するいろんな批判がありまして、私なりに簡単に申しますと、1つは、宇宙開発利用というのは、システム開発であるという見方が弱い。したがって、総花的な開発をやっていると言われながら、いろんなプロジェクトがありながら、相互の関連というのは薄いというか、独立に近い、そういう状態であったということが1つ。
    もう一つは、2〜3週間前に専門家に利用者不在の技術開発だということを言われたことがあります。つまり、技術開発はやるけれども、利用というのは、だれか別な人が考えてくれる、そういうような考え方で、技術開発から利用まで一体的にシステム的に開発する、そういう観点も弱かったという感じがしております。
    したがって、6ページの新機関における重点化の方向というのは、重点化というのは、例えばロケットも衛星も両方やっているんじゃなくて、ロケットだけにするとか、衛星だけにするということではなくて、全部をうまく統合することによって、先導的な基幹プログラムというようなものをまとめ上げたらどうかというのが1つの提案なんです。
    それから、開発から利用まで全部一体として開発するというような考え方になっています。
    ひとつ御議論をお願いいたします。局長、審議官はいかがでしょうか。
   

 五代委員 
    ちょっといいですか。前に絵が2枚ぐらいありましたね。あれもあくまでこういうものを作るときの参考なんですね。なかなか絵では示しにくいのがいっぱいあったと思うんで。
   

 芝田課長 
    そうですね。参考だと思います。
   

 五代委員 
    あれは、そういう意味じゃ、これにまた参考みたいにつくんですか。それともそういうのはないんですか。
   

 芝田課長 
    これを説明する際に手助けになるものとして使っていこうとは思っているんですけれども。
   

 立川委員 
    ちょっと私は前のことを知らないのてすが、これは宇宙開発利用という観点だから、宇宙研究は別なんですね。研究ではなくて、開発利用の面という意味でなら、その試験的な開発だとか、あるいは利用を考えた開発というのはわかりますけれども、本当の研究だけなら、そういうことはないですね。そういう意味で、これは開発だとか利用だという面で見ておられるというふうに考えていいですね。
   

 芝田課長 
    宇宙科学につきましては、8ページの真ん中に、それとはちょっと独立と言っていいのかどうかわかりませんが、そういった観点から文章が書かれておりますけれども、おっしゃったシステム的な開発からは外しあります、と考えていいでしょうね。
   

 川崎委員 
    7ページの(2)のところにシステム化ということで、新機関は重点化しますけれども、やっぱりアイデアというのは、その中からいいアイデアか出てくる保証はないので、最後の3行が、宇宙開発利用にかかわる基礎的な研究一般について、この機関以外からもそういうことが芽生えるような仕組みを作ってほしいということを要望しておるわけで、機関としては、どちらかというと、システム化されたプロジェクト中心であります。もちろん中で宇宙科学はありますがという考え方です。
    だから、ミックス的な考え方ですね。自分のところの研究所で全研究をやると同時に、ファウンディング・メカニズムを持って、外の大学とか、あるいは外の研究機関、あるいは産業界から提案公募を募って、そういう新しいアイデアを育てていく。そういう機能も持たせたいという気持ちがあります。
   

 井口委員長 
    こう言ったらいいんですかね。6ページ後半の先導的基幹プログラムというのが大きな柱としてあって、あと小さな……。
   

 川崎委員 
    小さな研究課題がそれぞれある。
   

 井口委員長 
    そういう構成と言っていいのかもしれません。
   

 川崎委員 
    じゃ、立川委員のおっしゃった研究というか、どういうような内容……。
   

 立川委員 
    まさに今回新機関、これは統合した新機関を考えると、研究所も入るわけですね。そういう研究所のミッションとしては、必ずしも開発利用目的を置いといてやっているのもあるわけですね。何に利用されるかわからないけれども、基礎研究的な部分ですね。だから、そういうところはシステム的にはならないと思うんです。だから、そういう分野もちゃんと入っていますかということです。
   

 川崎委員 
    それはむしろ個人のできるだけ創意工夫が生かされるような研究、考えをしてほしいということを言ってはいるわけです。ただ、運用の方針としては、私はどちらかというと、志のないそういう研究というのは、あまりこういう準国営の機関ではやるべきではないと個人的には思います。
   

 立川委員 
    そうですか。僕なんかは逆で、民間がやらないようなところを是非やってもらいたいわけですよ。民間では、すぐ利用できるかどうかわからないものにはなかなか研究開発費は出せませんから、だから、むしろ国でそういうところをやっていただいて、利用する方は、むしろ民間でやりたいなと、こういう感じがするんですけれどもね。
   

 井口委員長 
    あと、大学の役割というのがもう一つあると思いますね。大学こそ、今おっしゃったようなリスクの非常に大きいものをやってほしい。その次のリスクの大きなやつがここで、さらにリスクの少ないのは民間に。私も民間の研究所の所長をやっておりますので、そういう感じはあります。
   

 立川委員 
    民間ではちょっとお金を出せませんから、リスクの大きいのは。
   

 川崎委員 
    今のお話に関連すると、機関のマネジメントというのは、大変難しいと思います。どれぐらいのバランスで、今立川さんのおっしゃったような自由研究というか、アングラ研究と言われている、そういうアングラ研究をどれぐらいの規模で認めていくかというのが、マネジメントのポイントになるのではないかとは思いますね。ただ、否定はしていないんです。
   

 井口委員長 
    芝田さん、ちょっと気がかりなんですけれども、当初、この委員会では、新機関ということをあまり念頭に置かずに、日本の宇宙開発利用の目標と方向性を議論し始めたましたね。この6ページの4は、「新機関における」になっているので、ただ、3機関の統合準備会からは、遠山大臣から3機関についてのそういったことを検討するようにという宿題を与えられて、それに対する答えに近いものではあるんですね。その辺、ちょっとすっきりさせた方がいいのかですね。というのは、宇宙開発委員会だけで、新機関と離れての議論ということになるのか、少なくともここでは航空科学技術の問題についてはあまり議論していませんね。その問題は外してしまうのか。新機関となると入るのかもしれませんしね。その辺、ちょっとはっきりさせた方がいいような気がするんですがね。
   

 芝田課長 
    これは遠山大臣から我が国の宇宙開発利用全体を見据えた新機関の役割を議論してくださいという御下問がありまして、その部分について、宇宙開発委員会の方に御議論をお願いしたいという経緯がございますので、宇宙開発利用という切り口になっていると思ってよろしいです。それで、航空技術の部分は、航空事業関係の方でまたインテグレートした議論をしていただくという整理だと思っております。それはそれで一応整理はできるようになっています。
   

 川崎委員 
    それはおっしゃるとおりだと思いますが、1、2と4ページから始まる3とで、ここに大きい1つの断層があるんですね、ある意味で言えば。1、2までは、オールジャパン的な宇宙開発利用のあり方であって、3からが新機関に論点を絞っている。
   

 井口委員長 
    そうですね。3からですね。
   

 川崎委員 
    だから、ここで全体の方向の中での新機関の役割というのが出て、それでは、新機関においてどういうものを重点とするかというふうになります。
   

 井口委員長 
    このままでよろしいですか。
   

 川崎委員 
    私はいいと思いますけれども。
   

 栗木委員 
    表題が宇宙開発利用になっているので、一応中身はこれにかかわる新機関の役割というようなとらえ方なんでしょう、3節ですか。
    ですから、これを読んで、ここに先導的基幹プログラムをこれから策定していく、そのプロセスが、いわゆるだれがいつまでにどうやってという、WHENとかWHOとかHOWとかいうようなことを考えるのは、これは宇宙開発委員会なんでしょうか、それともこれを新機関におけるということがあるのか、そちらから積極的に申し出てもらうことになるんでしょうか。その辺がこの文意からだけではちょっとあいまいかなという感じがします。
   

 井口委員長 
    その問題もあるし、6ページの(1)の今栗木先生がおっしゃった先導的基幹プログラムの部分が、ほかのものに比べて具体的なんですね。それで、これを我々としてこのような文章でまとめるとすると、実行に移すことを考えに入れなければいけないということになりますが、事務局の方はどう考えていますか。
   

 芝田課長 
    これは、もう少しやり方を御議論させていただいた方がいいかと思っています。事務局でまだ確固たる案を持っておりませんので、もう少し時間をいただいて、統合事務会議の方の進捗、あるいは3機関の中でも独自に委員会的な組織を作っていろいろ検討されているようですし、その辺ともちょっとすり合わせをしてみたいと思いますので。また改めて議論したいと思います。
   

 井口委員長 
    いずれにせよ、そんなに長いことあいまいのまま置いておくわけにはいかないだろうと思いますね。
   

 川崎委員 
    だから、やっぱり活動の主体は新機関が中心にここはなるわけなので、委員会のポジションとしては、新機関の提案がここに述べているような条件に見合っているかどうかということで、良否を判断すると。場合によっては修正をお願いする、そういうポジションになるんじゃないでしょうか。委員会がみずからこのプログラムを組み立てるというのではないと。
   

 栗木委員 
    評価。
   

 川崎委員 
    評価する、そういうことだと思います。だから、こういう方向で出ている、3機関のどなたからでもいいから提案してください、責任ある提案を待っていますという、そういうふうにできるかなということです。
   

 井口委員長 
    3機関だけですか。
   

 川崎委員 
    まあほかからも。
   

 井口委員長 
    公募という話も出たことがあるんですけれども、まあ、そう簡単に公募というのは……。
   

 川崎委員 
    やっぱりおれこそ新機関に採用しろと言って頑張る方がおられれば、その人は……。
   

 五代委員 
    多分新機関の中にコアの人がいて、そこの新機関の中だけでやったって、また限られた話ですから、それがグループというか、まあ、募って案を作るというようなことで、全く公募というのはなかなか、それは現実的ではないでしょうけどね。
   

 井口委員長 
    いずれにせよ、タイムスケジュールとしては、これは15年度の予算に反映することになりますよね。
   

 芝田課長 
    そこは、新機関がどの時点でできるかにもよると思うんですね。早ければ、15年度という可能性もございますので、そういう場合に、ただ、15年度のどこでできるかもわかりませんので、その辺、ちょっとよく考えてみる必要があると思います。
   

 井口委員長 
    ただ、プロジェクトというのは、早くても数年かかるもんですから、どこかで旧機関のすべてに加えて新機関のプロジェクトなんていうわけにはいかないので、やっぱりある程度の連続性は考えながら、どういう時点で何を決めていかなければいけないかをちゃんと考えながら進める必要がありますね。
   

 川崎委員 
    だけど、これはなかなかうまい言葉遣いだと私は思ったんですけどね。立川さんの先ほどの御質問にも関係するんですが、新機関と言っているところがミソなんですね。統合した機関とは書いてないんです。だから、中には切り捨てるのもひょっとするとあるかもしれない。要するに、新しく我が国の将来の宇宙開発利用にとって必要な中核となる機関としてどう設計しますかという、もちろんそのときに、既存の3機関のそれぞれのファンクションあるいは培ってきた能力というのは十分評価しますがという、そういうことだろうと私は理解しているんで、だから、むしろ新機関におけるという方が意味があるなという。
   

 立川委員 
    そういう意味では、新機関の枠組み、方向づけをしておくという形で、具体論は多分後になるんですね。というのは、継続してその中へ入っているものは、前のプロジェクトを持ち込まないといけないと思うんです。そこでやめたというわけにはいかないでしょうから。それと、井口先生がおっしゃるように、これは長い計画でしょうから、今から計画したって、相当先になっちゃいますね。それをだれがやるかですね。
   

 川崎委員 
    それで、10年以内にめどがつきそうなものというふうに時限的制限をかけたと。そうすると、ある程度助走に既に入っているプロジェクトをどうするかというのが議論になると思います。その辺は、実施機関の方から提案を待った方が、我々が勝手に考えるよりも。
   

 立川委員 
    財政は新機関ができてからでないと決まらないみたいですね。
   

 井口委員長 
    ほかのところで何か御議論はございませんでしょうか。
    それから、1、2につきましては、前回一応お認めいただいていますけれども、3もですけれども、また見返して……。5ページ目のいろんな研究開発の推進、社会と連携、協力につきましては、多少順番を入れかえたところもあるかもしれませんが。
   

 栗木委員 
    そうすると、予定では、(中間とりまとめ)というのは、次回、中間が出てきて、さらにまた修正があるのでしょうね。
   

 井口委員長 
    そうでしょうね。
   

 芝田課長 
    そうです。
   

 川崎委員 
    3ページの、これは日本語の問題というよりも、語感の問題なんですが、1の最後のパラグラフのところの、「……国の実現のための戦略的分野として国が継続的に投資していく」というのは、ほかの文体からだと、例えば国の投資を継続していく必要があるとか、あるいは継続的に投資していく必要があるとか、何か後ろが要るような気がいたします。国が継続的に投資するものとするとか、していくというんじゃ何かしまらない感じが、ちょっとそこだけ日本語のあれですが。
   

 井口委員長 
    じゃ、後ほど。
   

 栗木委員 
    前の中長期戦略の主語が何かということをよく言われたんですが。
   

 川崎委員 
    昨日、あるところで議論があったんで、これは蒸し返しませんが、例えば国の発展というのはわかるんですが、国が継続的にというと、この国は上の「国の発展」の国とは違うかどうかという、何か最近の日本国民は、国家という言葉を使うのを嫌がる傾向が強いというような議論がちょっと出たんですが、国として取り組むというと心は、政府は、という意味なんでしょうね、国家はというのは。
   

 井口委員長 
    だったら、そういうふうに明確に書いていただいたほうがよろしいんじゃないでしょうか。
   

 川崎委員 
    気になるところが幾つかあるんです。国の発展といったときは、政府の発展になってもしようがないので、ここは違うんでしょうし。
   

 井口委員長 
    じゃ、もう一度全部見直しますか。
   

 芝田課長 
    文章はまた1週間後で。さっきの先導的基幹プログラムのやり方を含めて、1週間、もう少し考えさせていただきます。
   

 井口委員長 
    6ページのいろんな条件を真ん中から下に書いてありますけれども、これについても、なるたけ、外からいろんな意見を伺いたいことがあるんじゃないかと思いますね。こういう考え方でいいのかどうかとか。
   

 五代委員 
    私もその方がいいと思いますね。
   

 今村局長 
    この部分は宇宙開発委員会からの提案なんでしょうね、こういうようなことを新機関がやる。そうしますと、新機関における重点化の方向ではあるんですけど、新機関は確かに重点化をもちろんするんですけれども、そのほかに宇宙科学のこともありますので、これは新機関において重点化して進める仕組みをこういうプログラムでというような提示になると思います。これ以外にもあるということをどこかにないと、こればっかりだということでは、さっきからのようなことになるんじゃないか。すると、4でいきなり、これがすべてになるのはちょっと……。
   

 五代委員 
    その前の議論のときは、これがないものだから、並行して同じものしかない。今度これがちょっと強く今度は見えるんですね。前はなかったものだから。
   

 今村局長 
    おっしゃるとおりです。
   

 川崎委員 
    だから、順序として、今の局長の御疑問を解消する方法の一番安易な方法は、7ページの(2)を1にして、今のこれを(2)にすれば、特にとかって何か入れてやれば、疑問は解決するかもしれない。
   

 芝田課長 
    (1)はその意味では重点化の1つの手法だというふうにとらえておりますんですが。
   

 川崎委員 
    そうすれば、重点化に際して考慮すべき課題というのを全体で述べて、そして、エグザンプルとしてこういうのがという感じになってくると。
   

 井口委員長 
    皆さん御賛成のようなので、それでは文章でちょっと行き違いがないかどうか、もう一度後で確認していただけませんか。
    ということで、来週ぐらいにこの中間は一応まとめるということですね。
   

 川崎委員 
    今の委員長と五代委員のおっしゃったみんなの意見を聞くという形なんですが、要するに例の統合委員会の方にこれを出すのが1つありますね。あれだって、ある意味で言えば、オープンと言えばオープンですが、クローズドなので、タイミングがよくわからないのですが、どれかのタイミング、例えばファイナルに行く前に、ルールメーキングヒアリングみたいな形で、Eメール方式でオープンにして意見を求めるというのを、ある段階でとってはいかがなんでしょうか。いろいろ来ていただいて意見を聞くというのも数に限りがあるわけなので、どうせここにプレスの方が来ておられるわけけなんですけれども、せっかくなら、ある段階で、例えば次回の統合委員会に出した後は、Eメールで意見照会をした上で、中間取りまとめとしてまとめますという言い方は1つあると。
   

 井口委員長 
    いわゆる意見募集ですか。
   

 川崎委員 
    意見募集ですね。
   

 井口委員長 
    これはいずれにせよ、最後のコメントをやるわけですね。中間の段階でやるかどうかですね。御検討いただけませんか。
   

 芝田課長 
    わかりました。
   

 井口委員長 
    ほかに何か、今の中間取りまとめ案につきまして御意見はございませんか。
    なければ、今いろいろ議論されました方向で修正して、一応中間取りまとめ、これを来週までに決めるということにさせていただきます。ありがとうございました。
    それでは、次の議題に入らせていただきます。
    久保田先生には先週に続いて、また御苦労さまです。
    5番目は、宇宙開発事業団改革推進委員会の所見について、宇宙開発事業団の改革推進委員会の委員長、東大の久保田教授と宇宙開発事業団理事の斎藤さんに御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
   

 斎藤 
    最初、ちょっと経緯だけ簡単に説明させていただきます。
    お手元の資料にございますようにちょっと経緯だけ説明させていただきますが、昨年の6月に宇宙開発事業団の改革をレビューしていただくために久保田先生を委員長とします改革推進委員会を設けまして、これまで7回にわたっていろいろ御議論をしていただきました。事業団の方からこういう改革の進め方、取り組みの状況を御説明して、いろいろ御意見をいただいて、事業団としては、御意見の中で取り入れられるのは速やかに取り入れながら、ずっと改革を並行してやってきました。
    その結果としては、前回、最終回の7回だったですが、改革の推進委員会で改革におきますアクションプランというものを改定したのを御説明して、ご理解いただいているところでございますけれども、その時点で、この委員会としての所見の取りまとめが御議論ございまして、このたび、取りまとめが委員会として行われましたので、久保田委員長の方から御説明させていただきたいという趣旨でございます。
   

 久保田 
    久保田でございます。毎週お邪魔いたしまして申しわけございません。
    いま、斎藤理事からお話がございましたように、改革推進委員会を一応終了いたしました。メンバーは、最後に別紙2がございますようにこういう方々でございまして、私が委員長をさせていただきました。会合は別紙3にありますように7回でございます。
    この所見の構成は、したがって、そこで改革推進委員会で議論されて、助言、提言されたことが主になっております。それを所見にまとめました。
    序文につきましては、こういうことをやりましたということでございますが、所見概要が、さっき斎藤理事からお話がございましたように、宇宙開発委員会の特別会合の改革方策に従って、NASDAが業務改革を行っている状況についてで議論して、さらにこういうことでどうでしょうかということでございます。
    概要の中に書いてありますように、項目が6項目ございます。開発の進め方と品質保証の強化に対する取り組み、2番目が、企業との役割・責任関係の見直し、3番目が、技術基盤の強化に対する取り組み,4番目が高度情報化の推進に対する取り組み、5番目が専門的人材育成に対する取り組み、6番目が宇宙活動に対する国民の理解と支持を得るためにということでございます。
    これにつきましては、NASDAが今どういうことをやっているかということをアクションプランに従って話をしていただきまして、それについて議論したということでございます。時間があまりございませんので、その内容について一々読み上げることはいたしませんが、今言いました6項目についての指摘と提言という形で、その次の4ページから8ページまでまとめてございます。
    もう少し詳しく言いますと、例えば1番目の開発の進め方と品質保証の強化に対する取り組みに対しては、開発方策、それから技術開発マネジメントについて、今までこういうことがいけなかった、さらに、こういうことをやったらどうでしょうかというような提言をしております。同時に、単品生産であるという特殊製品もございますので、その品質管理について、それから、事故、不具合がございました、それの教訓を今後どういうぐあいに活用していくかというようなことが一番の内容でございます。
    2番目の企業との役割・責任関係の見直し、これも随分議論がございました。NASDAと企業が一丸となって、一体感を持って取り組まなければいけないということです。それから、役割分担を明確化するということ。同時に、企業の内部でも、企業の中での取り組みも改善してもらわなければいけないというようなことが内容でございます。
    3番目が技術基盤の強化に対する取り組みで、宇宙開発プロジェクトの責任機関として保有すべき技術を明確にする、それから、専門家を育成するというようなことを提言しております。
    4番目、高度情報化の推進に対する取り組みで、これにつきましては、優先順位づけとリソース、それからデータベース化と技術蓄積ということが内容でございます。
    5番目の専門的人材育成に対する取り組みに関しましては、キャリアパスと人材育成制度、それから、外部機関を活用したらどうでしょうかということであります。
    6番目、最後ですが、宇宙活動に対して国民の理解と支持を得なければいけない。つまり、積極的にメッセージを発信する必要があるのではないか。こういう難しいことをやっている、こういういいことをやっている。それに対してこういう難しさがあるというようなことを理解してもらう必要があって、さらに政策の形成等や科学ジャーナリズムに影響を与えるには、広報活動も必要ではないかということが述べられています。
    最後のところは、ちょっと早めに言いましたが、リスクの明確化とその社会との共有ということで、先端的な技術開発を行うとリスクが高い、それについて、幾ら品質管理に努めたとしても未解決なところもあるんだ。その辺を確認できている点とできていない点を明確にして、情報提供して理解してもらう、こういうことが必要ではないかというようなことが助言と提言でございます。
    同時に、これは改革推進委員会の中でも議論がずっと続いておりましたが、業務改革について、意見を述べる、それから提言を行うという役割はあったんですが、同時に、宇宙開発事業団は、やはり日本の活動の中核であるということから考えますと、我が国の宇宙活動の中で占める役割は非常に大きいということで、ということは、我が国宇宙活動のあり方とも当然関連してくるのではなかろうかということで、その改革推進委員会の宇宙活動の発展のための考え方というのを、議論の中で議論されたことを抽出して書いたのが別紙1でございます。
    これにつきましては、実はパート2、前半と後半ということにしようかと、こういう案もあったのですが、それは別紙にしようということでこういう形になっております。
    中身につきましては、2本立てで、1つは宇宙活動に対する明確な国家目標の確立をしなければいけない。2つ目は、宇宙活動の理念は常に考えておかなければいけないだろう。それは1つは、新たな文化の創出を宇宙活動の目標にすること、2は社会経済基盤の拡充、3番目は先端技術への挑戦、これは中長期戦略でも述べられているということですが、そういう議論もこの中で行われました、という意味で別紙1につけました。
    私自身としては、この別紙1も非常に重要なことではないか、こう考えております。
    以上でございます。
   

 井口委員長 
    どうもありがとうございます。
    それでは、御質問、御意見ございましたらお願いします。
   

 川崎委員 
    1つよろしゅうございますか。これは宇宙開発委員会の内部でもいろいろありましたように、4ページの単品生産の品質管理問題のところですけれども、例えば経産省の方で大臣の懇談会が「空洞化する製造業」ということに対する対策で議論されているように、マクロの議論としては工場の海外移転というのがありますが、ミクロなフェーズとしては、生産現場における技術を持っている職人の人たちが、昔ながらに作業をするということよりも、むしろマニュアル化したとおりのことをやって失敗が起こるというふうな、そういう一種のヒューマンファクターによるところがかなりあるんですが、その辺は議論がいろいろあったんでしょうか。なかなかシステムなり、紙のマニュアルで消化できない問題が、例えば10メッシュのフィルターの要求があるのにもかかわらず20メッシュのフィルターにやっちゃったとか、全く変なですね。
   

 久保田 
    はい、そういうのも行いました。同時に、企業の方にも来ていただきまして、現場ではどういうぐあいにやっているかということも伺って、そこでの助言というのもありました。
   

 川崎委員 
    宇宙だけの問題ではないとは思いますね。
   

 久保田 
    ないんですが、これ前も言いましたように、それがたくさんないがゆえにそこでの、一般的なことは言えないのでずが、だけども、おっしゃるようにその1社の品質をずっととどめておかなければいけない難しさがあることは皆さん了解をされております。
   

 井口委員長 
    今、生産技術といいましょうか、その話が出ましたけれども、品質の問題というのは、大ざっぱに言えば、半分は設計の問題、半分は製造、インストルメントの問題なんだろうと思うんですが、この最後に、委員のメンバーがありますが、大変偉い方ばかりで、本当に製造現場を見てくださっているんだろうかという思いを感じるんですが、私も自動車屋というのは現場を見ないと気が済まないものですから、時間があれば下請け、まだ孫請けまではなかなか行けないんですけれども、下請けを見ますと、これは先生に対する批判を言っているんじゃなくて、我々全体の問題なんですけれども、いかにも生産量が少ない。これはやはり部品会社に行きますと、航空部品と近いところがあるもんだから航空部品を作っているほんの片隅で手作業で作っているわけですね。そこでも、そういう単品生産での品質管理法というのはあり得るだろうとは思います。だけど、もうちょっと生産量が増えれば、見ただけでもっとましなことができるんではないかと思いますね。
    ですから、その辺は宇宙になるのかもしれませんけれども、みんなが宇宙開発予算、これは政府の予算だけではなくて、産業を大きくするという努力を真剣にやりませんと、品質管理の問題は逆に難しい。たった1つを何かやらなきゃいけないというのは全く難しい、コストの問題も含めてね。生産量を増やすということの努力を最大限にやっていきたいと思いますね。
   

 久保田 
    おっしゃるとおりだと思います。さっきの単品生産のところも、これで単品生産だからいいと言っているわけでは決してございません。おっしゃるように、ほんとうは大量生産でじゃんじゃん作れるようなのがいいと思うんですけれども。
   

 川崎委員 
    品質管理は大量生産型ですからね、明らかにあれは。
   

 久保田 
    そういう議論は全体でございまして、今の宇宙開発の状況で満足してはいけない。どこかにもありましたけれども、細々とやっているような、それを是としてはいけないという意味の意見もございました。
   

 井口委員長 
    1月に1回作るだけとか、年に1つ作るだけなんていうんじゃ、なかなか技能も伝わっていかないし、いろんな問題があるので、標準化して少し量を増やすとか、そういう工夫もありますが、基本はやっぱり何とか量を大きくしたいですね。
   

 久保田 
    それは宇宙開発委員会にというか、国にというか、それはお願いしたいところで、もっとチャンスを増やしていただければと。
   

 井口委員長 
    それも総合科学技術会議の意味でもあるわけですね。私もあっちの方でも何とかそういうことに向けて我々も努力したいと思いますけれども。
   

 久保田 
    それから、最初に申されました委員の方で、蛇川先生が実はトヨタ自動車の副社長をされておられて、途中から日野自動車の社長になられたんですが、現場を随分よく知っておられて、御自分でも品質管理のクライテリアを作られたり、最初は、自動車と宇宙とは違うというふうに違いを感じられたようですけれども、現場での取り組み方についても、工場へも行かれていましたので、随分有意義な会議でした。
   

 川崎委員 
    もう一つ、5ページのところの(4)ですけれども、非常に短く、簡潔には書いてあるんですが、先ほどから議論の出ている非常に経験の少ない中でいろいろ技術蓄積を図ろうとすると、(4)というのは非常に大事なわけなので、これと終わりの方にデータベース化の話が出ているわけですが、これは別の社会技術というフレームの中で安全工学とかというようなことで検討している中で議論が出ているのは、公的な報告書だけ書いても、データベースにならないんですね、事故の。そういう意味で言うと、門外不出的ないろいろの細かい情報を入れた、本当のデータベースを是非これは書いてあるだけでなくて、作っていただけるような、そういう体制を事業団なり新機構の中では考えていかないといけないと思うんです。
   

 久保田 
    わかりました。それはお伝えして。
   

 川崎委員 
    これは逆に昔のことですが、FAAからも強く、日本にはそういう事故データベースがないんで、すぐ飛行機が落ちるとFAAに問い合わせばっかりやってくるということをよくFAAから言われたことがありますし、日本からお返しができるようなものをと言っているんですけれども、それは別としても、自家用としてそういうのが是非必要だなという気がします。
   

 立川委員 
    先ほどの少量生産にかかわるんですけれども、確かに少量生産であるがゆえに、世界でやっているのはアメリカとフランスとか、国も限られていますね。ロシアとか。そこのメーカーとか打上げ機関における共同作業的なもの、提携化とか、あるいは部品はできれば、この部品ぐらいは汎用品だからどこでも使えるとか、そういうような連携はないんですか。
   

 斎藤 
    一時全部国産化に一たん振ったときがありまして、国内でできるということを国の方針として振ったときがあって、今は使えるものは使って、目標を達成する一番いい方法を、効率的な方法にしようとなって、それじゃ、次が国際的な標準化とか、そういう話になりますが、CC間ではそれぞれいろいろなレベルで、それぞれ相互に物のやりとりはあるんですが、国同士で標準化というのはなかなか目的がそれぞれ、目指しているところがちょっと違う部分があって。
   

 立川委員 
    標準化は無理でしょうけれども、共用できるような部品とか材料とか何かはないのかなと。
   

 斎藤 
    それはなかなか設計の最初の思想のところから合わせないと、なかなか難しいところではあります。宇宙ステーションとか、国際プロジェクトでこれをやろうというときには、当然最初からそういう議論があるんですが。
   

 井口委員長 
    ただ、メーカーとしてもこれから、固有名詞を出すのがいいのかわかりませんけれども、三菱重工がボーイングと提携したり、いろんなことがそういう状況になっていくんだろうと思うんです。
   

 立川委員 
    飛行機の方でやっているなら、ロケットの方でやってもいいんじゃないかという気がしますね。
   

 久保田 
    いい意味の国際協力ならいいんですが、下手すると、航空機のように、もしかしたら、また作るだけになってしまうとかならないのが望ましいと思うんですね。下請けになってしまって。
   

 井口委員長 
    ならないためにはどうしたらいいか。
   

 久保田 
    そうです。
   

 井口委員長 
    システム的なところの技術をちゃんと持っているとか、そういう戦略は立てなければならないだろうと思いますね。
   

 川崎委員 
    具体的にはコモナリティーというようなことでの議論というのはかかっている……。
   

 斎藤 
    コモナリティの議論で進むのは、衛星をAというロケットとBというロケットと両方あった方がユーザーのためになると、そういうふうな調整というのは当然議論としては、宇宙機関同士でなるんですが、その中にはめ込むとか、ロケットとか衛星、一個一個のハードウェアになると、ちょっといずれにしてもそれぞれの国の戦略がちょっと違いますので。
   

 川崎委員 
    ロケットのパーツのレベルですか、衛星のパーツの。
   

 斎藤 
    そこまでは行きません。
   

 立川委員 
    それだって、いつまでも少量生産では乗り切れないでしょう。
   

 斎藤 
    そうですね。
   

 栗木委員 
    5ページの真ん中あたりに企業との役割が書いてありまして、NASDAと企業の一丸となった、これは確かにプロジェクトのスタート時というのは極めて精神的にも一丸となりやすいなと思うんですよ。これが実績を積み重ねていく、いわゆる信頼性を稼いでいくという段に、永続的なルーチンの仕事の信頼性を事業として淡々と行っていくような、つまりそれはやはり企業もそれで利益を行うということになれば、そこに契約の難しさはあると思うんですが、そういうようなことは、何か体制としてというか、契約の仕方というか、双方の立場があると思いますが、何かそういうところは議論になりましたでしょうか。
   

 久保田 
    その一丸というのも、実は大分議論がありまして、一体感とか、同時に本当に同体でやるのか、あるいは責任分担を決めた上でやるのかという相反するところがあるんですね。ここに書いてあるのは、そういう意味から言うと、同体の方ですね。だけども、お互いの責任範囲はもちろん知りながらという、ちょっと苦しいところがありまして、表現としては、まあ、どうかなという。で、当然契約という話になってきます。進んで行けば、当然、どこからどこまではNASDAがやる、その先は企業がやると、そこをちゃんと決めて、よい意味での一丸、一体感、そういうニュアンスですが。
   

 栗木委員 
    特にNASDAが、これが改革とうたっているので、こういう体制で今後臨むので、企業にもこうあってほしいというような提案があったんだろうなと期待していますけれども。
   

 久保田 
    企業の……。
   

 栗木委員 
    企業のNASDAとの関係の、要するに契約になってしまうかもしれませんが、どういう形で永続性のある体制を維持していくかと、そういうことですね。
   

 久保田 
    そこはちょっと具体的には、こうというのは言いにくいんですが、(3)で書いてあるような議論なんですが。
   

 栗木委員 
    特に中長期戦略のプライム制とかいうのが出ました。それもいいところ、悪いところがあるかと思うんですが、そういう議論でどう体制がいくか。
   

 久保田 
    プライム制にしなさいとかいうようなところまではまだ行ってませんので。
   

 斎藤 
    我々の理解は、責任関係をやっぱりはっきりできるところは、特に製造とか、はっきりできるところははっきりして分けて、あんまり必要以上に口を出さない方がいいんだろうと。しかしながら、一体感がなくて、別々の目標に向かっていればかえって悪くなるから、方向性の一体感はきちっと一体感を持ってなきゃいけないけれども、それぞれの任務と役割と責任ははっきりさせた方がいいと。そういうことを明確に、何かだんごになっているんじゃなくて、やるべきだという御意見ですね。そこはもちろん相反する部分と、一体感で1つの方向に行かなきゃいけない部分と両方うまく兼ね合いを作らないといけないということになると思います。
   

 栗木委員 
    作業現場というのはおっしゃるとおりなるべくインターフェースはクリーンにした方がいいでしょうから、仕事の分け合いというのはそうなると思います。おそらくレベルが幾つかあって、高いレベルというのは、極めて、それこそ一体感がないと、すなわち価値観を共有してないとプロジェクトはできないので、両方にそういう仕組みができることかなと思っていますけどね。
   

 斎藤 
    すみません。先ほどの御質問の中で、共通化というか、コンポーネントレベルはなかなか難しいのですが、部品レベルではそれぞれが全部の部品を作るのはなかなか難しいので、各国ごとにそれぞれ開発したり、認定したものをほかの国とリストを交換してお互いにそういうものを使い合っていこうという、そういうようなことをしています。
   

 井口委員長 
    コンポーネントと部品とどう違うんですか。
   

 斎藤 
    コンポーネントというのは、ある程度アセンブルされた機能を持ったもの、部品というと、何とかのICとかプロセッサーとか、そういう感じですね。
   

 井口委員長 
    わかりました。
    1つ伺いたいんですけれども、これは組織が変わったものですから、前の委員会のときに、H-25号機のトラブルをうけて、基本問題懇談会ができましたね。それから、8号機のときに特別会合ができて、それに対してアクションプランを考えた。その流れのものと理解していいんですか。
   

 斎藤 
    これは基本的には、8号機の失敗を受けて、特別会合が作られまして、いろいろ提言をいただいて、それを受けてアクションプランを作りまして、それで、一番最初に作ったのは11年度なんですが、それから、昨年の7月にも宇宙開発委員会の方に報告させていただいて、それを今回、進捗状況と、そしてこの改革推進会での御提言も踏まえてアップデートしたものも作ってございます。
   

 井口委員長 
    わかりました。
    そうすると、今日、突然出てきたものですから、準備がなかったんですが、前の特別委員会報告、それと照らし合わせてどうであるかというのを、我々が判断しなければいけないということになりますかね。
   

 斎藤 
    こちらのアクションプランの方は多分そうだと思うんですが、推進委員会のほうは、推進委員会として御提言をおまとめになった方が……。
   

 久保田 
    1対1は対応がない。
   

 斎藤 
    特別会合と1対1対応しているわけではないということです。
   

 久保田 
    でも、実際的には、前の特別会合の提言を当然踏まえているんです。
   

 栗木委員 
    別紙のところで、先ほど久保田先生がこちらを大変入れたいと言われた。2.1の文化の創出というのは、まさしく野依教授が文化創出立国であってほしいと言われて、ここに書かれているのは極めて高尚な文章だと思うんですが、実は文化というのは大変大事な概念でして、例えばプロジェクトマネジメント一つとりましても、ロシアとアメリカのやり方は違う。それはそれなりの文化を持って開発をやってきているんですね。ですから、是非、開発の中の文化というのは大事にしていただきたい。日本流のもしいいところがあったら、きちんと保存する、主張するとかいう、そういう文化が必要でないかなと。ロケット一つとっても、ちゃんと私は文化があるように思うんですよ。これはいささかここの書かれていることとちょっと違うかもしれないけれども、精神的には同じ方向ではないかと思います。
   

 今村局長 
    これはNASDAの現状についての分析はないんだけれども、それを踏まえて、こういうことなんでしょうか。
   

 斎藤 
    そうですね。
   

 今村局長 
    例えば専門的な人材育成に対する取り組みといいますか、つまり、NASDAには専門的人材が不足しているんですという問題意識があるという、そういう理解でいいんでしょうね。それは一体どういう問題なのかということについては、何かデータはあるんでしょうか。
   

 斎藤 
    うちの方から、こういうような人材育成プログラムというんでしょうか、こういうやり方と、こういう技術者の構成とこういうやり方をしようとしていますという御説明をして、それに対して委員の先生方で御議論いただいて、こういう提言をまとめたと、そういうことでございます。
   

 久保田 
    局長がおっしゃるのは……。
   

 今村局長 
    現状があって……。
   

 斎藤 
    問題があると。
   

 今村局長 
    そう、そう。それはどういう問題があるかというのがないものだから、全くわかりにくいです。
   

 久保田 
    前の方にこういう問題があって、これに対してこういう提言をしたというのならわかるのにと。
   

 今村局長 
    そう、そう。それはまとまっているんでしょうか。
   

 斎藤 
    委員会としてはまとめておられない。
   

 今村局長 
    NASDAとしては。
   

 斎藤 
    NASDAとしては基本的にもともと、先ほど言いました特別会合も含めて、いろいろと技術力が落ちているのではないかとか、専門的知識がないのではないかという御指摘がいろいろあって、それへの対応をとってきたわけです。
   

 今村局長 
    指摘はされたんだけれども、それに対してNASDAを、現状をもちろん調べられたわけでしょう。本当にそうなのか。実際のNASDAの中の人材はどうなっていて、それは専門的知識があるのかないのか、その分析の結果はどういうことだったのかということですよ。
   

 斎藤 
    それは分析して改善する必要があるということは我々も認識しています。
   

 今村局長 
    だから、その改善をする認識のベースのデータは……。
   

 斎藤 
    そのとき整理して、改革委員会で御説明して……。
   

 今村局長 
    それはどういうことなんですか。やっぱり専門家が足りない、専門能力が不足しているということですか。
   

 斎藤 
    能力のことと、そういう意味で資質を高めるということと、我々だけで全部の技術分野を、技術者を全部採用するわけにいきませんから、外から専門の方に来ていただくとか、それから、要するに、外との連携であるとか、そういうパッケージでトータルとして必要な技術的なそういうものを要すると。
   

 今村局長 
    今、一例を申し上げたんだけれども、そういう問題、こういう問題があるというところの資料をぜひ教えていただきたいと思います。これは答えですからね。病気であれば、こんなお薬が必要ですよというけど、そもそもどういう病気なんですかということがはっきりしないように、これは私は思いましたね。
   

 久保田 
    そうですね。我々だけわかっている。これは委員の中にも、今のこととは違うんですが、言葉も我々だけにしかわからない言葉で書いてあると最初に言われまして、かなり直したつもりだったんです。だけども、局長がおっしゃるように、確かにそうで、問題があって、現状がどうで、それに対してこれが提言だという、この3段でやらなきゃいけないのを、ちょっと最初の方は……。
   

 今村局長 
    6点に絞られたというのをね。6点ですね。ほかはなかったのかということもありますね。ほかにはどういう問題があって、それはこれに比べれば大したことなかったんだという分析があったと思うんです。そうでないとできませんでしょう、こういう作業は。そういうベースのところはどういう問題意識であるのかということを是非教えていただきたいと思いました。
   

 久保田 
    特別会合で提起されたことに……。
   

 今村局長 
    それは外の方が言ったわけなんですね。NASDAとしてということなんですよ。例えば、職員の意識改革なんていうようなことは問題点として挙げる必要はなかったんだろうかという意味です、例えばですね。それは職員がそういう経営のミッションステートメントをきっちり理解されていると。
   

 斎藤 
    これは委員会としての御提言で、基本的に広範囲な問題というのは、こちらの事業団の対応というのはこちらにありますので、アクションプランの方にありますので、1対1ではなくて、これをより広範囲のことを記述しているわけですね。それで、もちろんいろいろな御提言があるし、我々がやっぱりそういうふうに改善すべきだという部分については取り込んで、これを直して、ある程度達成したら、それはある意味で次のより改善すべき項目に進んでいくという形で維持しているわけですけれども、それがまさにアクションプランになっているわけですけれども、本当はこちらの方を御説明した方がよろしいんですが、一応この前ここに経緯のところで書かせていただいたように……。
   

 今村局長 
    もう一つあるということですか。
   

 斎藤 
    事業団としてはこちらで対応しております。
   

 今村局長 
    そういうことですか。
   

 斎藤 
    そういうことです。
   

 今村局長 
    これを取り込んで、じゃ、アクションプランを改定されるわけですか。
   

 斎藤 
    しました。既に御意見で、即対応した方がいいものは、即入れて、改定しながら、初号機の打上げに向かって作業を進めていったということで、全体としては委員会は委員会として、今までの先生方それぞれの専門的御議論をいただいたのをまとめて、こういう形で残しておきたいという先生方の御意向がございますので、こういう形で出ているということでございます。
   

 川崎委員 
    今のことをもう少し厳しく言うと、紙の作文が終わったから答えは終わったんじゃないんだよ。やる、やらないという話なので、どういう体制でやるかというのはぴしっと教えていただいた方がいいですね。
   

 久保田 
    事業団としてですか。
   

 川崎委員 
    事業団として、トータルで。要するに、えてして、何とかの技術を振興しましょうというと、何とか研究所を作れば、それで事足りるみたいな話になっちゃうんだけれども、それでは困るんで。そのとおりどうやって、例えば斎藤理事はこういう担当をあわせて持つようになって、こんなスタッフができたとか、データベース作りのときには、こういう部局が動いていますとかというふうに具体的に。
   

 斎藤 
    それはこの下に全部、一個一個個々のだれがいつまでにどういうふうに取り組んでいくかというのを当然作って、それが事業計画だとか、予算だとかに当然リンクさせなければ意味がありませんので、それは当然やっております。
   

 川崎委員 
    そこが知りたかったんです。
   

 斎藤 
    それでなければ、これは書いた紙だけになってしまいますから。
   

 久保田 
    そういう意味で、私ども委員会としても、重点的なところはこうだという提言をいたしましたので、取り込んでいただいていれば、それはこれからもお願いしたいことと、それと、宇宙開発委員会としても、そのフォローアップを是非お願いできればと思います。
   

 井口委員長 
    これは評価が義務づけられている、評価とは違うわけですね。内部評価、外部評価は……。
   

 斎藤 
    というのでは直接ありません。それで、ここの経緯のところで特別会合を終わりまして、ちゃんとそれが進行されているかどうかをフォローするための委員会として、この改革推進委員会が設置されて、ある一定期間、ちゃんと事業団が特別会合とか、いろいろな御意見を入れて、ちゃんとフォローして動いているかどうかについて審議していただいたと、そういう流れになっているわけです。
   

 井口委員長 
    それで、遠山大臣が折に触れておっしゃるのは、3機関統合というのは、大変いい改革のチャンスであるとおっしゃるので、当然これはもっと広げてもいいんだろうと思うんですけれども、3機関統合に生かされてしかるべきですね。
   

 久保田 
    そうですね。最初始めたときは、その話は全くなかったので事業団だけと考えておりましたけれども、そういう意味で、付録に書きました付表の全体的なところは、是非何とかと思っております。
   

 井口委員長 
    どうも熱心な御討議をありがとうございました。
    ほかに何か特別に御発言ございますでしょうか。
    ございませんようですので、久保田先生、斎藤理事、どうもありがとうございました。
    それでは、その他に移らせていただきます。宇宙開発の現状報告、事務局の北村さん、お願いいたします。
   

 北村 
    それでは、この1週間の宇宙開発関係でございましたいろいろな情報につきましてまとめまして御報告させていただきます。
    まず、宇宙開発委員会関係でございますけれども、5日でございますけれども、安全部会の事前打ち合わせがございまして、栗木先生が担当されております。
    それから、引き続きでございますけれども、今後の我が国の宇宙開発利用の在り方については活発な議論がなされております。
    それから、海外におきましての動向でございますけれども、まず4日、1週間より前でございますが、情報が入ったのが遅うございました。ドイツの航空宇宙センターDLRでございますけれども、こちらの理事会の議長につきましてなんですが、3月1日付になる予定でございますけれども、新しい方が就任することが発表されております。今年までカールスルーエ大学の学長をされておりますウィッティヒ博士、お年は61歳だそうですけれども、こちらが就任される予定になっております。
    それから、5日でございますけれども、世界標準時で5日でございますので、日本時間ですと、もう6日になっておりますが、エンデバーの打上げが無事成功しまして、現在ミッション中でございます。船外活動などもやったり、それから新聞などにかなりテロ関係で追悼式をやったりとか、いろいろ報道がされておりますけれども、順調にミッションを進行中というふうに聞いております。
    次に6日でございますが、ESAのアルテミスでございますけれども、現在、軌道の方はまだ静止軌道まで至っておりませんが、引き続き通信関係の実験をしております。11月30日でございますけれども、アルテミスを通じまして、スポットの撮った地球観測の画像データの伝送実験をしております。こちらは成功したということで発表がありました。
    それから、打上げ関係でございますが、7日でございます。アメリカの方ですけれども、デルタ2ロケットがバンデンバーグ空軍基地の方で打上げられました。ペイロードの方は2つでございます。アメリカとそれからフランスの方で協力して開発しました地球観測衛星、これは主に海洋関係のセンサーを搭載しております地球観測衛星ですが、ジェイソン1というもの。それから、同じくアメリカのNASAの方での開発なんですが、こちらは地球観測ですが、特に大気の観測をする衛星でございますTIMEDというもの、こちらの打上げに成功しております。
    次のページに移らせていただきますが、もう一つ打上げでございます。こちらカザフスタンのバイコヌールからの打上げでございますが、ロケットはウクライナのゼニット2を使われました。衛星はたくさんついております。小さいものがたくさんなんですが、まず1つメインになりますロシアの周回型の気象衛星メテオール3M−N1というもの。それから、地球観測衛星のコンパス、それから、ここから下はかなり小さいのですが、パキスタンの技術試験衛星、それからモロッコの技術試験衛星。これは実はモロッコとはいいますが、製作そのものはドイツ製だそうでございます。それからもう一つ技術試験衛星、こちらは国際協力になっています。こういったものが打上げられています。これも成功しております。
    以上でございます。
   

 井口委員長 
    どうもありがとうございます。
    御質問はございますでしょうか。
   

 川崎委員 
    後で事務局でまたあれしますが、作業することの意味がどういうふうにあるのかということは……。
   

 井口委員長 
    やっぱり記録として残しておくということも1つの仕事です。
   

 川崎委員 
    ポリシーメーキングのところでのイベントは、例えばオキーフ、例の今度のNASAの長官のテスティモニーの話とか、それから、ヨーロッパの画像をめぐるESAの中での運輸閣僚会議での意見だとか、そういったようなことがあるわけで、そういうものをあっちで見ていて、これを見ると、何となく新聞科学欄を見たみたいな感じがあるんで、ちょっとどうかなという感じがしたんで。作業があまり膨大なるんであれば、それは要求する必要はないのかもしれませんけれども、どんなものをここで御報告いただけるか、少し議論していただいたらありがたいと思いますが、むしろ、ここで言う、ジェイソンとか、TIMEDなんていうのも、要するにいわゆる軌道だとか、打上げ緯度だとか、そういったようなところで、どんなところをねらいにしているかとかという方が、わりあい政策的には考えていく上で意味があるような気がするんですけどね。
   

 井口委員長 
    じゃ、御検討をお願いいたします。
   

 川崎委員 
    あまり作業量が増えるようだったらやめていただいて結構ですから。
   

 井口委員長 
    それでは、前回の議事要旨につきましては、後ほど御確認をお願いいたします。
    以上で、第48回の宇宙開発委員会を閉会にいたします。
    どうもありがとうございました。

───閉会───




(研究開発局宇宙政策課)

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