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宇宙開発委員会

2001/07/28 議事録
第28回宇宙開発委員会議事録



第28回宇宙開発委員会議事録

1. 日 時
平成13年7月28日(水)14:01〜15:58

2. 場所
宇宙開発委員会会議室

3. 議 題  
  (1) NASAにおける国際宇宙ステーション計画の現状と課題について
  (2) ズペースシャトル・アトランティス号(STS104/国際宇宙ステーション組立ミッション(7A))の運用結果について
  (3) 第5回「宇宙環境利用に関する地上研究公募」の選定テーマについて
  (4) その他

4. 資 料  
  委28−1 InternationalSpaceStationProgram:NASAStatus&Issuess
  委28−2 スペースシャトル・アトランティス号(STS104/国際宇宙ステーション組立ハッション(7A))の運用結果について
  委28−3 第5回「宇宙環境利用に関する地上研究公募」の選定テーマについて
  委28−4−1 H−2Aロケット試験機1号機打上げ整備作業状況について
    (その1:7月12日〜7月23日)
  委28−4−2 宇宙開発の現状報告(平成13年7月18日〜7月24日
  委28−4−3 第27回宇宙開発委員会議事要旨

5. 出席者
  宇宙開発委員会委員長 井口雅一
  宇宙開発委員会委員 長柄喜一郎
  澤田茂生
  五代富文
  文部科学省研究開発局長 今村努
  文部科学大臣官房審議官 素川富司
  文部科学省研究開発局宇宙政策課長 芝田政之
  米国航空宇宙局宇宙飛行局次長 MichaelHawes
  宇宙開発事業団  
     宇宙環境利用推進本部主任開発部員 山本雅文
     宇宙環境利用研究センター長 矢代清高
     宇宙輸送システム本部副本部長 丹尾新治

6. 議事内容

 井口委員長 

   ちょうど2時になりましたので、第28回の宇宙開発委員会を始めさせていただきます。
   皆様方のところに議事次第がいっていると思いますが、本日は、この1週間の報告も含めて4件の報告事項がございます。
   最初に、「NASAにおける国際宇宙ステーション計画の現状と課題」と題しまして、ちょうど日本に来ていらっしゃいますNASAの宇宙飛行局次長のホーズさんに最近の状況をお話しいただきます。
   どうも委員会においでいただきましてありがとうございます。我々はNASAの予算が削減されそうだとか、あるいは国際宇宙ステーションの計画が縮小されそうだといううわさを聞いて大変心配しております。本日、直接そのあたりのお話を伺えることを大変喜んでおりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ホーズNASA宇宙飛行局次長 

   今日はどうもありがとうございました。今日は、国際宇宙ステーションのプログラムに関しての現在の進捗状況、そして、現在のNASAの予算の状況について、できる限りの情報を提供できればと思っております。
   長年にわたりまして、国際パートナーの方にこの宇宙ステーションの開発に携わってきていただきましたけれども、それぞれ財政的な困難等もありました。それを国際的な協力でそれぞれの困難を解決してまいりまして、非常に大きな成果を上げてきております。
   そして、さまざまな国際パートナーの中でも、日本は一番ステーブル、安定したパートナーでありまして、その協力には深く感謝しておりまして、これを続けていきたいと考えております。
   今日の私のプレゼンテーションでカバーしていきたいのは、宇宙ステーションの現況、進捗状況について、そして優先事項、そして、それが日本の科学技術の目標とどのような相乗効果があるのか、そして、NASAの予算の状況についてカバーしていきたいと思います。その後に質疑応答に入りまして、ディスカッションを持てればと思っております。
   この図ですけれども、これは実際に宇宙ステーションの中でハードウェアがどのような場所にあるのかということを示しております。
   この赤の部分ですけれども、現在もう既に宇宙において軌道上にあります。
   このグリーンの部分ですけれども、アメリカの担当部分で、既にケネディの宇宙センターにテスト用にもうデリバーされております。
   そして、この黄色の部分ですけれども、現在開発中の国際パートナーの方の国の担当部分です。その進捗については非常に進んでいる。特に日本の「きぼう」の実験も重要ですけれども、進捗状況が非常によいということで感謝しております。
   ブルーの部分は、アメリカでまだ開発中のもの、まだ製造が終わってない部分です。数は少ないんですけれども、まだその開発中の部分があります。
   この薄い色で示されている部分ですけれども、アメリカのものなんですけれども、インターナショナルパートナーの方に製造をお願いしている、バーターでやっていただいている部分です。その重要なものの一つに、生命科学実験施設セントリフュージがあります。
   そして、このライトグリーンで示されている部分ですけれども、この部分の予算がほかのさらに重要な部分に移された、つまりこの部分はちょっと延期になっている部分です。それには居住モジュール等があります。
   昨年の7月になりますけれども、そのとき軌道上にありましたのは2つのコンポーネントのみでした。そのときは、ロシアのサービスモジュールのデリバリーを待っているところでした。
   それから、さまざまな飛行、打上げを行いまして、コミュニケーション、ジャイロスコープ、そして最初のアメリカの太陽電池アレイ、そしてアメリカの実験モジュールであるディスティニー、そして先週の時点では結合エアロックも既に軌道上にある状態となっていました。
   そして、これからはさまざまなインターナショナルパートナー、国際パートナーの国の方からのモジュールを打上げていく予定になっております。
   遠征チーム1が10月に宇宙に飛び立ちまして、それで、人間の常時の居住が始まりました。
   そして、エクスペディション2、遠征チーム2ですけれども、もうほとんどその仕事が終わりまして、次のシャトルの打上げ、8月に地球に帰ってくることになっております。
   そして、ここにはあと2つのエクスペディションクルーが出ているんですけれども、現在6名を訓練中で、そして、来年から、将来にかけてさらにエクスペディションクルーを訓練していくことになっております。
   そして、今、組立のフェーズ2の部分が終了いたしまして、サステイナビリティ、自己維持の能力、そしてロボティックアームの部分、そして宇宙遊泳の部分、そして実験、そして居住の部分、これはロシアのサービスモジュールのデリバリーと同時にですが始まっております。
   昨年は、米国、ロシア合わせまして14のミッションを完了させております。これは宇宙探査の歴史におきましても、非常に大きな成果ということができます。
   この打上げ計画ですけれども、昨年から今年にかけて、その将来に関する打上げ計画がより確かなものになってきております。そして、我々は軌道上の実験を既に始めております。
   エクスペディション1、遠征チーム1では機器の作動、点検、そういうものに重点を置かれていましたけれども、エクスペディション2、遠征チーム2になりますと、さらに堅固な科学実験のプログラムを行うことになります。
   現在、実験ラックの数ですけれども、全部で3つ打上げが完了しておりまして、実験モジュール、人間実験施設を含めたものになります。そして、さらに2つの実験ラックを次の打上げで、つまり8月ですね、に行う予定になっております。
   そして、米国側の科学技術の重点事項ですけれども、搭乗員の健康と安全、そしてバイオテクノロジー、そして基礎研究となっております。
   そして、日本側との話し合いで我々が理解している日本側の科学技術の優先分野ですけれども、情報技術、IT、そして環境科学、バイオテクノロジー、ナノテクノロジーと理解しております。
   この実験分野、研究分野におきまして、米国、日本で非常に関連部分が大きいと私どもは理解しております。
   そして、このインフォメーション・テクノロジー、情報技術の分野ですけれども、これから宇宙ステーションの実験施設のさまざまな通信能力が強化されてまいります。我々が宇宙ステーションで得た実験結果、これが地球上にこのITを使って届けられなければいけないと考えています。
   そして、この宇宙ステーションはこれから工学的、商業的な研究のプラットフォームになっていくと考えております。
   そして、環境科学の部分ですけれども、現在、宇宙ステーションは地球観測のプラットフォームとして使われております。そして、これからも搭乗員が操作するカメラによるウインドウからのさまざまな観測が計画されております。
   全体の大気圏を観測するため、「SAGE」ストラトスフェリック・エアゾール・ガス・エクスペリメント、成層圏煙霧質気体実験というものも行っております。
   そして、バイオテクノロジーの分野ですけれども、タンパク質の結晶の培養に関して、バイオリアクターを用いたさまざまな組織の培養も行っております。
   そして、今新しい分野でありますナノテクノロジーですけれども、これを我々の開発を助けるテクノロジーに将来的になると考えているのは、長距離、長期間の宇宙飛行に非常に重要な技術だからです。
   今言いましたような実験は、もう既に開始されておりまして、ここにあるハードウェアを使いまして、さまざまな実験、研究を行っております。
   予算に関する現況ですけれども、現在、大統領の予算のブループリントの中で非常に高い優先順位を持っているのは、スペースステーションにおける人間の常時居住、そしてワールドクラスの実験研究開発を続けるということ、そして国際パートナーのエレメント、要素の調整です。
   そして、特定のプロジェクトにおきましては、予算の配分が見直されておりまして、その予算が先送りになった部分といたしましては、搭乗員の帰還に関するところ、米国のプロパルジョン・モジュールに関するところ、そして居住モジュール、そしてノード3、そして、搭乗員の3名のサポートができる能力、つまり、3名にサポート能力が削減されたということです。
   そして、この実験施設に関しましては、軌道能力、その宇宙にある施設の能力に合わせたものでなければいけないということで、最終的には27ラック予定されている実験ラックですけれども、これから数年の間に、その18の部分のみを完成していこうということで、残りの部分は先送りにされることになります。
   そして、現在アメリカのこのプロジェクトのマイルストーンの中で、USコアコンプリートということで、これは国際的な要素、つまり国際パートナーからのコンポーネントを受け入れる準備完了ということですけれども、現在、セカンドノードの終了が終わりまして、「きぼう」、そしてヨーロッパからのコロンバスの受け入れ準備をしているところです。
   そして、この予算関係で優先順位が高いことになっているのは、現在の予算の範囲内で、早急にサポートできる搭乗員数を6名から7名に増やすということです。
   そして、予算削減いたしまして、スペースシャトルの年何回かという飛行回数も削減されることになっております。
   そして、今のところ、これから2年間の予算に関しては、米国の予算管理庁とも合意がとれております。しかしながら、2004年、2005年、2006年度の予算に関してはまだ不足がありまして、その不足分は、見積もりで5億ドルほどです。
   そして、NASAの外部にも独立した予算関係のことをレビューする外部組織をつくりました。その外部組織によりまして、この予算が評価され、勧告が「NASASpaceFlightAdvisoryCommitee」のトーマス・ヤングにされます。
   そして、すべての国際パートナーがオブザーバーとしてこのプロセスに参加できるようにしております。ですから、非常に透明性の高い、そして予算の作成プロセスに関しましても、その解決方法に関しましても、国際パートナーの方が参加できるようになっております。
   そして,この組織からの最初の報告ですけれども、2001年の11月までにされるようになっております。そうすることによりまして、その勧告を2003年度の予算作成に組み込むことができます。
   この予算による制限ですけれども、これから2年のオペレーション計画には大きな影響はありません。この宇宙ステーションに関するハードウェアは予定どおり行われまして、非常に進捗状況も良好です。そして、予定されているものすべてがケネディ宇宙センターに運ばれます。
   居住モジュールの開発ですけれども、イタリアン・スペース・エージェンシーと話し合いを行っておりまして、共同でこの共同モジュールを開発するというオプションも残されております。また、他のオプションといたしましては、商業的にこの居住モジュールを開発していくというオプションもあります。
   搭乗員の帰還能力に関する開発ですけれども、アメリカのX38の飛行テストを行いまして、業界側、産業側とは契約を結んでおりません。今年から来年にかけてこの分野での進捗は少し鈍化してくることと思います。そして、また、この搭乗員の帰還能力に関してどのようなオプションがあるのか、それを検証していくとともに、ロシアとの協力のオプションも考えております。
   生命維持システムに関しましてですけれども、常時居住人数が7名から減らされるということで、予算もこれに伴いまして削減されてまいります。ですから、これに関しては、どのようなオプションがあるのか、これからも検証していきたいと思っております。
   短期的な優先分野となっておりますのは、先ほど述べましたように搭乗員の健康と安全、そして、バイオテクノロジー、基礎研究となっておりますので、この予算の再構成によりまして、ある学術分野の実験の開始が遅れるということになると思います。
   そして、この実験、研究開発に関する評価が終わりました後に、その結果を我々の研究、実験、コミュニティの方のレビューに回しまして、その組立終了後の米国における実践の優先順位を設定していくことになると思います。
   これまでの宇宙ステーションにおける活動におきましては、さまざまな成果を上げておりまして、例えば人間による常時居住、そして、さまざまな実験、研究開発が行われており、安全に関して、そして補給、ロジスティクスに関しても、それが堅固なものであることを証明してきました。
   そして、これからのNASA側の課題ですけれども、これから数カ月の間に、予算不足の軽減とコスト増大の制御をしていきたいと思っております。また、経営改革と諮問委員会の勧告をそれに組み入れ、そういった評価を終わらせることにより、6名から7名の搭乗員をサポートする能力を回復していきたいと考えております。
   この予算問題に関しましては、これからどのような代替案、オプションがあるのかということを特定していきながら、この予算の問題を解決していきたいと考えております。
   また、連邦議会からは、来年からの予算に関するはっきりした回答はまだ返ってきておりません。
   そして、予備的な回答ですけれども、連邦議会からのサポートは非常に堅固なものがあり、これからもこの宇宙開発に関して、特に実験に関して大きなサポートを得られるものと信じております。
   そして、これから国際パートナーの方ともディスカッションを続けていきまして、より一層の参加をしていただきたいと思います。しかし、それを実現していくためには、これから数カ月、非常に多くのディスカッションを持つ必要があり、どのようなアレンジメントが可能なのかというさまざまな代替案を特定していくことになります。
   これからも我々の現況の報告、さまざまな情報提供を、すべての国際パートナーの国にしていくことが最重要だと考えております。そして、我々の方では、この予算に関する評価を続け、NASAの外部における予算評価組織ですけれども、すべてのパートナーの方に参加していただき、どのような状況かを理解していただきたいと考えております。
   どうもありがとうございました。私に対して、もしくは宇宙サイエンティストであるクラーク博士の実験プログラムに対して、特に何か質問がありましたら、てきる限りの情報をここで皆様方に提供していきたいと思っております。

 井口委員長 

   どうもありがとうございました。
   質問とかお願いとかたくさんあると思いますので、少し時間をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 長柄委員 

   じゃ、1つだけ簡単な質問ですけれども、先ほどの中で、02から06の予算のショートホールが4億8400万ドルという説明がございました。これは例の前から言われております30億ドルとか40億ドルのオーバーランというものとまた別に約5億ドルの不足分が発生する、こういうふうに理解してよろしいんでしょうか。

 ホーズNASA宇宙飛行局次長 

   予算の問題に関しては、そのスケジュールは常に流動的な状態でありますので、過去数年間のコストに関する予測モデルから立てております。その予算に関しましては、その年度ごとに割り得てられている予算をすべて使っているわけではありませんので、サービスモジュールの打上げ後にはこの状況がすべて変わりまして、先ほどおっしゃられた40億ドルですけれども、これは先ほど申しました02から06の5億ドルを含めて40億ドルということになります。
   全部で40億ドルということでしたけれども、先ほど言いましたそのスケジュールが先送りになる部分、居住用モジュールでありますとか、プロパルジョンのモジュールでありますとか、その帰還用のモジュールの開発でありますとか、それらを含めまして30億ドルが開発に充てられます。そして、人間実験モジュール、人間実験施設に関するものも先送りになりますので、それを差し引きますと、その40億ドルの中から5億ドルが残るということになります。
   そして、その02、03年度に関しましては、これはスケジュール等に全く影響がありません。予算の問題はもう解決されております。そして、この4億8400万ドルの予算の問題が解決しました後に、生命維持システムであるとか、搭乗員の帰還に関する開発、これが裁可されることになります。

 長柄委員 

   ありがとうございました。

 井口委員長 

   ほかにいかがでしょうか。

 五代委員 

   トーマス・ヤングさんがチェアマンであるレビューチームですが、これは11月には報告書を出すということですが、もう既にどの辺まで進んでいて、どういう観点でレビューをされるんでしょうか。また、これは公開でしょうか。我々のパートナーはもちろんオブザーバーですが、一般にも報告されて、その状況は知らされるんでしょうか。

 ホーズNASA宇宙飛行局次長 

   まだその評価のレビューは初期段階でありまして、ゴートン氏がこのインターナショナル・パートナーとのコンタクトパーソンとして任命されております。そのレビューのやり方ですけれども、今まで立てた予算が、正確に現況を反映しているものなのか、そしてこれから起こるかもしれない予算上の潜在的な問題を特定していくことに重点が置かれております。
   先ほど言いましたように、国際パートナーの国にはすべてこの情報がオープンになりますけれども、この評価のミーティングの多くは一般にも公開されます。
   11月に提出される報告書ですけれども、これは第1回目の報告書ということで、これで終わりというわけではありません。米国のバジェットサイクルにおきまして、次の2002年2月の予算にこの内容が組み込まれるようにこのタイミングで最初の報告書が提出されることになっております。

 五代委員 

   どうもありがとうございました。

 澤田委員 

   1つ一般的な話ですが、私は遅く参りまして、皆さんにごあいさつをしてないで申しわけないのですが、一般的な話をちょっとお伺いしたいんですが、アメリカの連邦局に科学技術評価局というようなものがあると思いますが、これとNASAの研究開発、あるいは予算についての関連といいますか、何かそういうものと関連があるのかないのか、NASAはNASAで独自な立場での技術評価なり、今お話が出たような予算についてのレビューみたいなものが行われているのか、ちょっとお聞きしたいと思います。

 ホーズNASA宇宙飛行局次長 

   NASAは独自のものです。そこからは独立した独自のものです。
   米国の制度の中では、NASAは予算に関しては、先ほどの予算管理庁からガイダンスをいただき、そして、先ほどの科学技術評価局の方から政策に関する勧告をいただくことになって、それに基づきましてNASAのプログラムが組み立てられております。現在、ブッシュ政権にかわったところでありますので、この科学技術評価局の方では、新しい方針、指針をつくり始めたところでありまして、まだそれは初期段階です。
   そして、その指針に基づきまして、我々のプログラムが組み立てられていきますので、その予算関係に関しましても、この評価局とこれから緊密に話を行っていくことになると思います。

 井口委員長 

   私の方から1つ質問というか、お願いがあります。
   御存じだと思いますけれども、日本も同じように、現在構造改革が行われ、バジェットカットが非常に厳しく行われつつあります。それが直接宇宙開発にも響いてくる状況です。
   日本の宇宙開発予算の中でISSに占める割合というのはかなり大きいものですから、ISSの予算をどう獲得するか、今後それが大変大きな課題になっています。
   それで、予算獲得の理由といいましょうか、もとになるのが、国民の宇宙開発に対する支持です。日本の国民は宇宙開発に何を求めているかといいますと、確かにサイエンス・アンド・テクノロジーという部分もありますけれども、一般大衆にとっては、1つは、日本の7人の、現在は8人ですが、宇宙飛行士がいて、それはISSの建設に関係して生まれてきたわけです。その人たちは、特に日本の若い人たちにとっては、まあ、一種のアイドルです。
   それから、この間、チトーさんという人が宇宙旅行者第一号としてISSに行ったというニュースを聞いて、日本の国民は、多分20年、30年後には自分も行けるのではないかという夢を抱くようになりました。そのあたりが日本の宇宙開発予算をこれからも獲得していく大きな支持の理由になります。
   そういう意味で、ハビテーション・モジュールが小さくなって7人より少なくなるということについての日本の国民に対する悪影響を非常に心配しています。もしそれが、例えば3人になるという、一番悪い条件では3人かもしれませんが、そうなったら、日本の国民の支持を得られないのではないかということを我々宇宙開発委員会としては一番心配しています。
   したがって、そのクルーサイズだけは何とか減らさないでほしいと強く希望します。

 ホーズNASA宇宙飛行局次長 

   予算におきましても、このクルーサイズの獲得ということが一番大きな課題となっております。我々でも今調査を行っているわけですけれども、我々もこの居住生命維持の能力に関しては、オプションを今策定しているところです。そこでキーになるのは、酸素の生成、そして二酸化炭素の除去、そして、大きなクルーサイズを獲得するための水の確保ということなんですけれども、そして、この搭乗員の帰還の開発に関しましても、現在、ソユーズの打上げ機の利用というオプションも検討中であります。
   そして、スペースシャトルによる長期滞在、飛行期間の延長、これも宇宙ステーションにおいて、搭乗員がさらなる実験をする時間を稼ぐという点で、この飛行期間の拡大ということもオプションとして考えております。
   そして、日本の宇宙飛行士の方からも多大な協力をいただいておりまして、野口さんにも最初の利用補給モジュールに関する打上げに参加していただくことになっております。
   現在、我々がいろいろ検証、調査を行っておりますのは、なるべく大きなクルーサイズを宇宙ステーションに滞在させて、さらなる実験を行っていただくということです。

 井口委員長 

   何分よろしくお願いいたします。日本の宇宙飛行士が、ときどきといいいますか、頻繁に宇宙に行っているということが、我々にとって予算獲得の大変大きな助けになるものですから、どうぞよろしくお願いいたします。

 井口委員長 

   何かいかがですか。

 今村局長 

   それでは、私の方から1つ伺いたいと思います。
   やや実務的な話なんですけれども、今後の予算、コストを超過する40億ドルですか、超過する見通しになったということなんですが、その一番の理由は何でしょうか。

 ホーズNASA宇宙飛行局次長 

   2つ大きな要素がありまして、まずスケジュールの遅れです。特にサービスモジュールの遅れということから、組立作業のスケジュールがずれ込んでしまうというのがコストが増大している原因のひとつです。
   もうひとつですけれども、テクニカルな面から、特にエリアエックスコンピュータのソフトウエアの面から、この宇宙ステーションの機能をサポートする機能のテスト、これに当初思っていたよりさらに多くのソフトウエアが必要だったということです。
   そして、そのスケジュールのサービスモジュールの遅れですけれども、アメリカ側ではこの開発要員というものはその遅れによって、それに従って減らすことはできませんでしたので、それによってコストが増大してしまったというのが1つの要因として挙げられます。
   今言いましたのが大きなところですけれども、さらに細かいところでコスト増大の要因になっていることがありますけれども、現在、その詳細の資料を持ってないので、興味がおありなら、その情報も提供したいと思います。

 今村局長 

   私はスペースステーションの過去のことはあまりよく知らないんですけれども、当初計画したときから比べて、何回かコスト見通しの変更が行われていたんでしょうか。それとも今回初めてなんでしょうか。

 ホーズNASA宇宙飛行局次長 

   この類似の予算の見直しというのは1998年にも行われております。さらに追加のあった部分もありますし、削減のあった部分もあります。このスケジュールの遅れに関しては、それによってアメリカ側の開発要員が動けないということで、NASAはその割り当てられるすべての予算を使っておりませんので、追加的な予算を支出するというのは非常に難しい状況になっております。
   この我々の予算の評価に使っている方法論、ツールでは、このスケジュールの遅れがこの予算に与える影響というものを計算できないことになっておりますので、サービスモジュールの打上げ、そして取り付けが完了した後でないとこの正確な計算ができないものですから、非常に困難な状況なんですけれども、今のところはこのスケジュールを守った状態で作業を進めております。

 今村局長 

   どうもありがとうございました。

 井口委員長 

   ほかにいかがでしょうか。
   もう大体1時間たちましたので、ほかになければこれで終わらせていただきたいと思います。
   今日は、大変貴重なプレゼンテーション、そしてディスカッションをありがとうございました。こういう機会が頻繁に持てますと、我々の理解、それから安心感が一段と増すので、何とか機会があれは、こういうお話し合いをこれからも続けていきたいと思います。
   昔、レーガン大統領が「オリエントエクスプレス」という計画でワシントン−東京間を1時間にすると。早く宇宙技術でそういうものが実現されるといいと思いますけれども、今日はどうも本当にありがとうございました。

 ホーズNASA宇宙飛行局次長 

   サンキュー・ベリーマッチ。

 井口委員長 

   それでは、次に移らせていただきます。
   次は、スペースシャトル・アトランティス号の運用結果について、NASDAの宇宙環境利用推進部主任開発部員の山本さんにお話をいただきます。
   1時間ほど前に無事帰ってきたんですね。

 山本主任開発部員(NASDA) 

   はい。ここにも書いてございますが、12時39分に予定時刻と全く同じ時刻で無事ケネディ宇宙センターに着陸しました。
   それでは、スペースシャトル・アトランティス号ですが、宇宙ステーションの組立フライトの7Aという表紙がついております、そのミッションの運用結果につきまして、宇宙開発事業団宇宙環境利用推進部の山本から報告させていただきます。
   先ほどNASAのホーズ局次長からのお話にもありましたけれども、この7Aというのは、宇宙ステーションの中でもエアロックと言われます船外活動を行うための出入口に相当する部分、それを打上げて組み立てるミッションでして、初期段階のほぼ一段落をつけるところに近いフライトになります。
   打上げは、そこにもございますように、日本時間で全部御説明しますけれども、7月12日の午後6時4分、2日後にステーションにドッキングいたしまして、約8日間にわたってステーションで組立作業を行いました。
   実は、ドッキング期間が途中で小さなトラブル対処のために時間がかかったものですから1日延びまして、それから着陸日が天候の影響でさらに1日延びまして、合わせて2日延びましたので、本日の12時39分に着陸ということになってございます。
   ミッション概要は、繰り返しになりますが、宇宙ステーションの組立フライトといたしましては10回目です。ロシアのプログレス補給船によるフライト4回を除きまして13回目の組立フライトです。
   それから、打上げたものはエアロックなんですが、エアロックは4ページ目のところに絵がございますけれども、こういう形をしておりますけれども、エアロックとともに、エアロックの外側の装備ロックというところの外側に高圧の窒素ガスと酸素ガスの、いわゆる空気の材料ですとか、それを含むタンク、それを合わせて今回打上げて取り付けてございます。
   このエアロックの取り付けには、4月に打上げましたカナダのロボットアーム、カナダーム2を用いてございます。
   打上がった後、このエアロックは4ページ目の別紙の方にありますけれども、「クエスト」という愛称がつけられました。クエストというのは探求とか調査とか、そういう意味です。
   絵にございますように、装備ロック部分とクルーロック部分とございますが、クルーロックというところの先が船外活動を行う宇宙飛行士が出入りする出入口になります。装備ロック側の方が宇宙ステーションの、今上がっています、ノード1と言われます連結部のところに結合する側でございます。
   1ページ目に戻りますけれども、今回は船外活動を3回行いましたが、通常はスペースシャトルの出入口、エアロックから出るんですけれども、この3回目のEVAの活動は、取り付けたばかりのこの宇宙ステーション用のエアロックから初めて外に出るということで、最初の船外活動を行いました。
   それから、2ページ目にまいりますけれども、宇宙ステーションではないんですが、今回の打上げに使いましたスペースシャトル・アトランティス号では、メインエンジン3基のうちの1基を新型のエンジン、Block-2と言われますが、それを採用してございます。写真が5ページ目のところに載せてございますけれども、スペースシャトルのメインエンジンは、過去95年から98年、2000年と何回かに分けて改良が行われていまして、その最終段階の改良でございます。このBlock-2の改良でもって、一応当初予定のエンジンの改良は一段落する。
   今回取り付けられました新型エンジンは、写真にあります左側の方のところでして、残り2つは前のBlock-2Aというエンジンを使ってございます。
   で、打上げは成功してございます。
   それから、2ページ目に戻りますが、先ほどちょっと小さな不具合等で1日延期がありましたと申し上げましたけれども、その原因は主に2つございまして、1つは、この新しく取り付けたエアロックと、ノード1の名前がユニティとなっていまして、ちょっと名称があれなんですけれども、ユニティというノード1とエアロックとの間の連結するときの冷却水が配管の接続部分から漏れているというのがわかりまして、その原因対策等を検討しているうちにちょっと時間がたってしまった。結果的に、現在は漏れておりません。原因はまだ特定されておりませんけれども、水の中に空気、エアが混入していた形跡があるということですので、それが原因で少し漏れたのではないかと。
   漏れたといいましても、0.5リットル、500t程度の水だということです。2つ目ですが、同じくエアロックとノード、ユニティの間の空気の循環といいますか、換気のためのバルブがあるんですけれども、そこのバルブから空気漏れがあるということが見つかりまして、ちょうど5日目でしたけれども、一応予備品を持っておりますので予備品と交換したんですけれども、完全にはリークが止まらないということがあって、しばらくして、8日目だったでしょうか、アメリカの実験棟の中にある別の側の、反対側の方の同じバルブを取り外してこちらに付けかえるという作業を行っております。そちらの反対側というのは、将来、ノード2と言われます日本の「きぼう」が取り付くための、一番先端に付きますけれども、それが打上がる2003年以降なんですけれども、それまでは当分必要ないということなので、一時的にそれを使用してございます。
   というようなことがございまして、約1日間の運用期間の延長がございました。
   全体としてはミッションは成功したということで、この結果、宇宙ステーションのエアロックが使用可能になりましたので、スペースシャトルがドッキングしていないときでも、船外活動で組立や保全を行うことができます。
   それから、この新しいエアロックは、アメリカの宇宙服ともロシアの宇宙服とも両方とも適合できるエアロックなので、ロシア人は実はロシア人用の宇宙服を使うんですけれども、どちらの宇宙飛行士もここから出入りすることができます。
   それから、冒頭申し上げましたが、エアロックの外側に窒素と酸素の高圧ガスタンクを配置じまして、空気をそこから供給することができるということになりました。
   以上が今回のミッションで、あと、次の予定は8月9日以降に予定されております第2次滞在クルーが帰ってきて、第3次滞在クルーが交代で行くというフライトでございます。
   NASAの説明なんかでは、この中には実験装置があと2ラック分積まれるというふうに聞いております。
   最後に、6ページ目のところに全体の組立の関係がありまして、上の方の6Aフライト終了時と申しますのが4月の終わり時点でございます。ここでカナダのアームがついていまして、今回の7Aフライトで、今日帰ってきたミッションでは、エアロックと高圧ガスタンク4基をシャトルで運びまして、一番下の絵のような進行方向の右側、図で言いますと左側の方にこういう形で取り付けられて、現在、宇宙を飛行しております。
   以上でございます。

 井口委員長 

   どうもありがとうございました。
   御質問、御意見がございましたら、お願いします。いかがでしょうか。
   この新しいメインエンジンという5ページ目のものですけれども、まあ、つまんない話ですけれども、Block-2Aの次にBlock-2というのは、今と逆ですね。

 山本主任開発部員(NASDA 

   私も同じ疑問を持ちまして、そこは調べてもらったんですけれども、NASAの発表資料では、98年に一度Block-2A、で、Block-2が2001年ということであっております。推測されるところ、もともとBlock-1の次はBlock-2をアップデイトしようとしていたのが、一気には全部変えられないということから、先にBlock-2Aということで燃焼チャンバー部分だけをちょっといじって、そういうことから、後でAがついたのではないかなと推測しております。

 井口委員長 

   知りたいのは、要するに改良型エンジンのテストなんですけれども、日本でも、H-2から変わってH-2Aを今度打上げるわけですけれども、その過程で組み立てた状態でいろいろ試験しておられますね。このBlock-2AからBlock-2に移る過程でどういうテストをしているのか、部品も含めて、これがわかったら知りたいんですけどね。日本と同じようなことをやっているのか、違うのか。特に部品ですが、部品それぞれのテストというのはやっているのか、やっていないのか。やっているとすると、どういう形てどういう試験方法、試験設備でやっているのか、まあ、わからない部分もあるのかもしれませんけれども、わかりましたら教えていただけるとありがたいと思います。つまり、開発のプロセスですね。

 山本主任開発部員(NASDA) 

   御質問の点をちょっと調べまして、どこまで細かい情報が入るかは、これから調べてみる必要があると思いますけれども、いきなり何もしないで飛ばすということはないはずなので、どういう試験、確認、あるいは設備を使ってやったかというところは、NASAのスペースシャトルの方のランオフィスの方になると思いますが、そちらの方に問い合わせて、わかり次第御報告したいと思います。

 井口委員長 

   ほかにいかがでしょうか。

 今村局長 

   その新型エンジンに変えた理由は何ですか。Block-2Aでやっていたわけですね。うまくいっていたわけですね。

 山本主任開発部員(NASDA) 

   5ページ目の真ん中あたりにも書いてあるんですけれども、基本的には溶接箇所を減らすといったこと、信頼性の向上、そして分解作業の手間も減らすということから、国の経費も削減できるということで、もともと信頼性向上と運用コストの削減という方向で、95年ぐらいから始まっていますので、5年ぐらい前からそういう計画を立てていたということです。

 今村局長 

   「運用コスト」というものがちょっとよくわからないんですけれども、要するに「エンジンの値段が安くなった」といったことですか。

 山本主任開発部員(NASDA) 

   いや、運用といいますのは、このシャトルは再使用ですので、結局、帰ってきても整備を繰り返しながら使っていくわけですね。何回か打上げますと、オーバーホールに出すということで、結構スペースシャトルの場合は、そういったメンテナンスといいますか、「点検してもう一度飛ばすためのコスト」というのがかなりを占めているわけですね。

 今村局長 

   それを幾らにするとかいうことはわかりますが、だから、どういう目的でやっているか、なのですが…。

 五代委員 

   液体水素ターボポンプが原型のものであまりよくなくて、それで、プラット&ホイットニー社でしたか、忘れましたけれども、別会社に水素ターポポンプを開発させていた、あれじゃないんですか。

 山本主任開発部員(NASDA) 

   はい、プラット&ホイットニー社の水素ターボホンプにこれはコンバートになります。

 五代委員 

   ですよね。だから、これは非常に歴史的に長い話があって、競争相手の各社に、おりてきちゃ絶えず直して交換して、みたいなことがあったので、もう一つの会社に試作開発をさせていて、すごくかかったと思いますけれども、それがやっと改良エンジンとしてでき上がったんじゃないか、と思うんです。ですから、精密鋳造技術とかいう、これもみんなポンプの話じゃないんですか。

 山本主任開発部員(NASDA) 

   そうです。ここの部分は水素ターボポンプのところです。

 五代委員 

   この溶接箇所もターボじゃないだろうなと思うんです。燃焼室じゃないんじゃないかと私は思うんだけど、ちょっと調べてください。

 山本主任開発部員(NASDA) 

   さっき燃焼室と申し上げましたのは、2ではなくて、前の2Aのときに改良したところが燃焼室の部分だと思います。残りは、今回の2で初めて、となっています。いずれにしましても、もう少し……。

 五代委員 

   調べてください。

 井口委員長 

   溶接箇所を減らしたり、液体水素ポンプを変えたりというのは、H-2からH-2Aにかえるというのと非常に似ていますね。

 五代委員 

   当時のデータってすごくロングストーリーなんです。

 井口委員長 

   ですから、その試験方法に大変興味があるので。わかりました。

 山本主任開発部員(NASDA) 

   ちょっと私どもの方と、あと、ロケットの方の方と一緒に、協議してみたいと思います。

 井口委員長 

   どうもありがとうございました。
   次に移らせていただきます。3番目に、第5回「宇宙環境利用に関する地上研究公募」の選定テーマについて、NASDAの宇宙環境利用研究センターのセンター長の矢代さんにお願いいたします。

 矢代センター長(NASDA) 

   それでは、御報告申し上げます。
   平成9年度から始まりました宇宙環境利用に関する地上研究公募でございますけれども、今回、第5回目ということで、13年度からスタートする研究のテーマの選定の作業が終わりましたので御報告申し上げます。
   募集につきましては、昨年の12月末から今年の2月末までにかけて行いまして、396件の応募がございました。今回の応募の総数は、第1回目に次いで2番目に多いの応募数でございました。
   テーマの選定につきましては、財団法人の日本宇宙フォーラムに設定しました委員会におきまして、書類審査、それから面接審査等行いまして決定しております。選定結果でございますけれども、2ページ目にございます表を見ていただきたいと思います。
   まず、募集しました分野は、左側の縦に書いてございますように微小重力科学から一番下の宇宙利用技術開発にかけて8分野でございます。
   それから、右側の行には研究区分ということで、フェーズ2、フェーズ1Aあるいはフェーズ1B、フェーズ1Bの萌芽的研究、と分けてございまして、非常にわかりにくくなってございますが、フェーズ2と申しますのは、非常に大規模な実験装置を開発したり、あるいは供試体を開発したりし、かつ、非常に科学的な実験要求が明確に定義されていて、詳細な実験要求の作成をここで行う、といったような大規模で非常に明確な部分がかなりでき上がってきているような研究テーマの募集領域でございます。
   今回4件応募がございましたが、残念ながらフェーズ2で採用されたものは今回ございませんでした。
   それから、フェーズ1Aというのは、同じく規模は大きいのですが、フェーズ2ほど大きな組織形態あるいは実験形態をとらないということで、年間で言いますと、研究費が3000万円以下で、最長3年間研究ができるという分野でございますが、この分野につきましては、72テーマが応募されまして、選ばれたのが10テーマでございました。
   それから、フェーズ1Bといいますのが、宇宙環境利用での実験が効果的だと思われるアイデア、あるいはデータの取得によって、そのアイデアの妥当性の獲得ができるというような初期段階の研究の分野でございますが、研究費でいきますと、年間600万円以下でございまして、研究期間としては最長3年。この分野が一番応募が多いわけでございますが、236応募があった中で、47が選ばれました。
   それから、フェーズIBの萌芽的研究というのは、かなり新規なアイデアとか、斬新な仮説、そういうものも発掘したいということで特別に設けた分野でございます。この分野につきましては、去年までは、この研究期間が1年度、実質半年ぐらいしかなかったのですが、あまりに期間が短いということで、今回から研究期間を2年度にわたるように、実質1.5年ですが、そういう期間を設けまして、研究費としては総額150万円以下ということになっておりますが、この分野の応募が84件、選ばれましたのが25件ということで、分野ごとにはこの表に書いてある分野ごとにそれぞれの数字に示すような形としてトータル82件が選ばれてございます。
   また,それぞれの選ばれた方たちのお名前、所属機関名、テーマ名は3ページ以降、7ページまで表がございます。これらの方たちが今回選定をされましてございます。
   1ページに戻りますが、1ページの2番の選定結果の(1)の選定状況でございますけれども、今回、この82件中、新規提案者、新規提案者といいますのはプリンシパル・インベスティゲーターとして、これまで過去4回の公募に応募されていなかったという定義の方なのですが、その方たちが59件ございまして72%になりました。今まで、大体50%をちょっと超えるぐらいが新規応募で採択された人のパーセンテージだったのですが、これは特別に調査はしてございませんけれども、結果的に今回新規採択者のパーセンテージが非常に上がったということが特徴でございます。
   また、組織別の比率につきましては、大学などが87%、国立研究機関が12%、民間か1%というような状況でございました。
   8ページ、9ページに今回のテーマ選定に当たりました全体の委員会の委員の構成、それから各分野ごとの評価選定パネルの先生たちのお名前を表にしてございます。
   今後のスケジュールといたしましては、本委員会での御承認をいただきました後、テーマ提案者の方たちに合否の通知をさせていただく。その後、なるべく早く研究をスタートしていただくということで、日本宇宙フォーラムとの間の共同研究、委託研究等の契約作業を締結していただいて、研究を開始していただくという予定でございます。
   以上でございます。

 井口委員長 

   ありがとうございました。
   御質問はございますでしょうか。

 長柄委員 

   民間企業1件採択なんですけれども、応募はどのくらいありましたでしょうか。多いんですか、非常に少ないんですか。

 矢代センター長(NASDA) 

   19件でした。

 長柄委員 

   比率としてはあんまりよくないですね。

 矢代センター長(NASDA) 

   そうですね。

 長柄委員 

   採択率も非常に悪かったんですね。

 矢代センター長(NASDA) 

   悪かったですね。

 井口委員長 

   選定テーマに金額が入ってないというのは、これは何か理由があるんですか。

 矢代センター長(NASDA) 

   実際的には提案者から、3年ですと3年間にわたって幾ら欲しいという提案をいただきまして、それを選考のパネルで、これはちょっと中身があまりにも粗過ぎるとかということで、ある比率がかけられてございます。実質はそういうものがありますが、今日の資料にはちょっと数字が入ってございません。

 井口委員長 

   理由があって出さない、ということでしょうか。まあ、出さない方がいいのか、出した方がいいのか、普通は書きますよね、だれに幾らというのは。

 矢代センター長(NASDA) 

   はい。別の資料では全部そうなってございます。

 井口委員長 

   こういうところでは出さない、ということですか。

 矢代センター長(NASDA) 

   今まで研究費の数字につきましては、外部に公表はしてございませんでしたので、御当人には当然「幾らの要求だったのが幾らになりました、これでやっていただきます。」とお知らせいたします。かなりの比率で低くなるものについては事前に相談をしておりますけれども、そういう了解をとりながら契約を進める形になります。

 井口委員長 

   総額幾らになるんですか、予算は。先ほど、いろんな予算削減が非常に厳しいので。大体どんなものなんですか。

 矢代センター長(NASDA) 

   新規分、これは82テーマの今年度分の予算で、3億4000万から5000万ぐらいでございます。それに過去の、前回、前々回のテーマ、3年目あるいは2年目というものがございまして、大体それの3倍弱ですから、11億ぐらいが今年度全体の足した研究費にはなります。

 長柄委員 

   重点と書いてあるのがあるでしょう。これは……。

 矢代センター長(NASDA) 

   重点と申しますのは、微小重力科学の中の、3ページにございますが、上の4テーマが重点領域ということで、実は宇宙開発事業団には、「宇宙環境利用研究会」と申します、宇宙環境利用全体を取り仕切る委員会がございます。ここで、実は微小重力科学・ライフサンエンス・宇宙医学につきましては、日本でこういう分野の研究が望まれるという研究シナリオを設定しておるんですが、微小重力につきましては、その中でさらにこういう分野を重点的にさらに進めたいという領域がございまして、公募地上研究では、その重点領域については、ある程度、事前に枠をもう少し広げておくということで採択されたものでございます。
   今回は、微小重力科学分野だけでございますけれども、来年度の公募につきましては、ライフサイエンスの方のシナリオで重点領域というのが出てきておりますので、宇宙医学を含めて、来年度は3分野で重点領域が設けられるということになるかと思います。

 井口委員長 

   これは評価はするんですか。

 矢代センター長(NASDA) 

   はい、これは中間評価と最終評価をかなり厳しくやっております。

 澤田委員 

   この金は、研究した人が持つのではなくて、国が出すということですか。

 矢代センター長(NASDA) 

   はい、宇宙開発事業団の予算になります。

 澤田委員 

   意外と民間から出てくるのが少ないなと思いまして、民間はもうからないところには金を出さない、というんだけれども、本当にもうけるつもりなのか、そうではないのなら、何ももうからないような、役に立たないような研究を一緒にやりたいからという理由でやらせておくのか、むしろ自分で金出して、こういうことをやりたいよというんだったら、金出してやってみさせるという余裕はないのかどうなのか、そのあたりはどうでしょう。

 矢代センター長(NASDA) 

   これは宇宙ステーションを将来使おうとしている研究者のテーマを募集しているということで、基本的にかなりサイエンティフィックなテーマ群の募集でございます。それで、委員のお話にあった民間企業の研究を宇宙ステーションで是非やってもらいたいということがございまして、別の制度で先導的応用化研究制度というものがございます。これは民間企業の場合には、名前とかテーマ名についてもできればもう少しわからないように伏せたいとか、それから、あと工業所有権の問題が発生しますけれども、そういうことを含めまして、時間的な面で将来なるべく早くステーションでの民間企業の研究ができるように、といった要望があるのですが、ただ事業団としては政府機関でございますので、契約上のことから実験に至るまでにどういう形で問題点があるのか、を検証するパイロットプロジェクトを今進めておりまして、そちらの分野では当然民間会社が単独、あるいは複数でも、大学と共同でも必ず入っていることが前提になってございまして、今タンパク質の結晶成長をやりたいという提案が来てございますけれども、来年のシャトルで飛ぶものもございますが、そういう分野では応募がございますが、こういう純サイエンスの分野ではなかなか民間の研究所から外のお金を取ってでもやりたいというのが、数として相対的にはあまり多くはないというのが現状でございます。

 井口委員長 

   これは人件費は入ってないんでしょう。

 矢代センター長(NASDA) 

   入ってございません。

 井口委員長 

   民間だったら、人件費までもらわなければ、とてもやれないよという話がありますね。
   ほかに……。

 五代委員 

   今回のは、今までと比べて、例えば新しい人が何もしないのに増えた、などいろんなことがあるようですが、これについて委員会の先生方の意見あるいは分析といいますか、どんな感じでしょうか。レベルは上がっているのかなとか、もう枯れちゃってきたのかとか、それとも「前例を見たらこうだった」から、新しい人が「よし、これならできる」と思って出してきたのか何か知りませんけれども、そういう分析というのはありませんか。

 矢代センター長(NASDA) 

   詳しくは分析を私どもはしてございませんけれども、従来からもそうなのですが、生物、ライフサイエンス、宇宙医学、バイオメディカルと言っていますけれども、このあたりは非常に応募者が広がっておりまして、大体、今まで地上で一生懸命研究していた方が、宇宙でそういうことをやれるかもしれないということで、かなり口コミ等の宣伝効果が出てきまして、特にバイオメディカルという分野に対して、非常にレベルが上がっているという評価は受けております。

 五代委員 

   材料の方はどうですか。

 矢代センター長(NASDA) 

   材料については、これは人によりけりなんでございますけれども、実は研究費をお渡しする以外に、実は航空機実験とか、落下塔実験をやりたい方は、別に、これはお渡ししていませんけれども、NASDAがケアしてできるようにしてあるのですが、最近、落下塔を御利用になるテーマが選ばれる率が低くなりました。落下塔というのは、岐阜で4.5秒、北海道で10秒ぐらいの無重力の時間がとれるんですけれども、その中でサイエンスの結果を出すというのは、かなり限られた領域になってしまいます。
   一番わかりやすいのは、燃焼の実験をやるには、4秒とか10秒で効くんですけれども、燃焼関係のグループというのは、採択される比率がわりと少なめになってきています。半導体とか、いろいろな結晶とか、そういうものは結構多いんですけれども、そういう傾向が出てきております。

 長柄委員 

   要するに、従来こういう研究に参加してなかった人が入ったわけですね、これは。

 矢代センター長(NASDA) 

   はい。

 長柄委員 

   非常にいいことじゃないですか。一般の科学研究をやっていた人が入ってきたら、競争は激しくなるし。

 矢代センター長(NASDA) 

   競争率も、採択率で言いますと21%いっておりませんで、過去の中で一番低いといいますか、そういう結果になっています。

 五代委員 

   それが、特別に「いらっしゃい」ということをしないで、そうなったというから、もう少しさらにPRを……。

 矢代センター長(NASDA) 

   PRは、特に宇宙に今まで関係なかった学会にいろいろ展示させていただいたり、それから発表する枠をもらったり、いろいろと努力はしております。

 五代委員 

   じゃ、その結果増えたものもあるんですか。

 矢代センター長(NASDA) 

   あります。

 五代委員 

   一層広げていただければと思いますね。

 長柄委員 

   この審査委員として、あまり宇宙に関係していない方々が入っていたでしょう。従来宇宙に関係していない方が審査員に入ってきていますからね。

 矢代センター長(NASDA) 

   8割方そういう方ですね。

 長柄委員 

   ですから、非常にいいことだと思いますよ。要するに、仲間うちで審査するというのじゃなくてね。

 井口委員長 

   じゃ、どうもありがとうございました。
   次の議題に移らせていただきます。H-2Aロケット試験機1号機の打上げ整備作業状況について。NASDAのスポークスマン、丹尾さんにお願いいたします。

 丹尾服本部長(NASDA) 

   丹尾です。H-2A試験機1号機の打上げの整備状況について、お手元の資料と、この後、5分ばかりのビデオを用意してございますので、それで御説明させていただきます。
   まず資料の方で3ページを御覧ください。
   3ページは試験機1号機の打上げの整備作業全体のスケジュールでございます。一番上が主要なイベントが書いてございます。真ん中がロケット系の整備作業スケジュール、それから一番下の方が射場と飛行安全系の整備作業スケジュールでございます。
   下にコメントが書いてありますが、ところどころHと書いてあるのは、射場の休日、それから、ロケット系のスケジュールの中に☆印が入っていますが、それが主要なイベント、それから、下側を塗りつぶしたのが作業の実績の状況でございます。
   全体のスケジュールの主要なところにいきますと、まず7月6日に、私どもの本社で打上げ移行前審査というものを実施いたしまして、機体の搬出は7月10日に名古屋の飛島工場を出発しまして、7月13日に種子島宇宙センターに機体が到着してございます。その日から組立を開始しまして、7月17日は衛星フェアリング、これは川崎重工の播磨工場から種子島宇宙センターに搬入されております。
   それから7月23日に、VEP−2と書いてございますが、VEP−2は3つからなってございまして、VEP−2の本体、それからその上に載せますDREと言っていますが、ドップラー測距装置、それから、LREと言っていますが、レーザー測距装置、そのうちのLREとDREが7月23日、これはつくば宇宙センターから種子島宇宙センターに搬入されてございます。もう少し先にいきまして、8月6日に、極低温点検前審査の審査会をやりまして、8月9日に極低温点検と書いてございますが、機体の1段、及び2段に液体水素と酸素を充填する試験を実施する予定をしております。それから、8月17日は、ロケット系の真ん中に書いてございますが、VEP-2/フェアリング移動・結合と書いてございますが、フェアリングと、それから1、2段の機体との結合作業を行う予定をしてございまして、8月19日はY−3のカウントダウン作業、それから8月20日、21日、最終確認審査ということで、21日に最終的に打上げ日を決定することになると思いますが、その最終確認審査を経まして、Y−2、Y−1、それから、今回は打上げ時間が8月25日の午後1時を目指してございますが、そうした場合、Y−0が2日にかかりまして、24、25日とY−0作業を行うという全体のスケジュールでございます。
   24日は昨日ですが、ロケット系の射場の休日になってございまして、ここでは23日までの状況を御説明させていただきます。
   1ページ目に戻りまして、3項の(1)機体の搬入でございます。先ほど言いましたとおり、13日に島内輸送を行いまして、大型ロケット組立棟に1段及び2段の機体を搬入してございます。それから、フェアリング、VEP−2は先ほど説明したとおりです。
   それから、(2)番の機体の結合とか射座の据付状況でございますが、13日に1段を起立して、それから1/2段の結合を14日、翌15日にSRBの右側、飛行方向に向かって右側のSRBを結合してございます。それから、1日おきまして17日にSRBの左側の結合をしてございます。この左側のSRBの結合作業の際に吊り上げ装置の一部に、コネクターの不具合によって吊り上げ装置がちょっと動かないという不具合がございまして、それで1日遅れて左側を機体に装着したわけです。
   それから、次のページにいきまして、組み立てた後の電気系の点検前準備、それから1/2段推進系点検前準備、それから火工品の取付、火工品は工場内では取り付けてございませんで、射場で1/2段の指令破壊系、それから1/2段の分離、それからSRBの分離の火工品等の取付作業を行ってございます。
   電気系とか推進系は、アンビリカルラインと呼びまして、水素や酸素の充填ライン、それから電源のコネクター等の取付作業を行ってございます。
   それから、今週から来週の予定でございますが、25日、本日より組立作業及び点検前準備が終わりまして、実際の電気系や推進系の点検作業、それから火工品の取付作業を行う予定にしております。
   大きなイベントとしましては、7月29日、フライトシミュレーションと言ってございますが、エンジンをX−6秒から点火しまして、フライトのシーケンスに従ってコンピュータを動かしまして、フライトを模擬する試験を7月29日に予定してございます。
   一応この図を説明させていただいて、その他のところですが、まず1つ、7月6日に種子島に落雷がございました。7月11日の宇宙開発委員会にてご報告させていただきましたが、その処置と後処置につきましては、7月19日までに完了してございます。ただし、さらに試験機1号機の確実な打上げ、それから、その後の打上げ、後号機の打上げに備えて、もう少し避雷とか耐雷の改善をするために、NASDA内に雷害対策本部、水戸本部長を指名いたしまして、本部を設置いたしまして推進することとしてございます。
   それから、7月13日からは、種子島から送られてきます画像等を使いまして、整備作業状況の報告をデイリーにNASDAの本社において開催して報告機関等に御説明しております。その内容につきましては、NASDAホームページにも掲載してございます。
   それから、7月14日に宇宙科学未来館におきまして、一般の方を対象にロケットシンポジウムを開催いたしました。それは、別途後ろの方に3枚ばかりつけてございますが、後ほど御覧ください。
   出席者、日本科学未来館のみらいCANホールを使いまして、約300名の方に出席をお願いしましてシンポジウムを開催してございます。
   シンポジウム全体を通じまして、一般の聴衆の方に非常に熱心な御意見をいただきました。そして、H-2Aロケットの開発の意義やその取り組みについて理解をしていただくことができました。
   4ページにそれぞれ作業の状況の写真が載ってございます。3枚にわたっています。これはビデオで見ていただいた方がよろしいと思いますので、ビデオを見ていただきたいと思います。

 ビデオ上映 

   これは三菱重工の飛島工場で1段エンジンをコンテナに詰めているところです。
   工場を出るところで、コンテナのふたを閉めているところです。
   コンテナは長さが34メートル、幅が3.6メートル、高さは5.6メートルございます。非常に大きなものです。
   船に積みまして、1段、2段、それぞれ別に船で送ってございます。これは名古屋港を出るところです。
   これは、種子島の島間港に着いて陸揚げしているところでございます。島間港は宇宙センターの北西約20キロのところにございます。今、これはトレーラーに積みかえているところでございます。13日の夜中の1時に島間港を出発してございます。約20キロの道を、平均速度4キロぐらいで搬送しまして、これは上中に信号がございますが、その信号がコンテナにぶつかりますので、それを今よけているところです。
   これは上中の町を、今、トレーラーが入っているところです。
   これは種子島宇宙センターの、わりと曲がりがきついところを今輸送中のところです。13日の朝6時に宇宙センターに着きました。後ろに見えますのが組立棟で、この部分は低層棟と言っています。まず最初に低層棟で、これが低層棟に入るところです。
   工場と逆にコンテナから出しまして、このクレーンでデッキに揚げます。
   こちらが、高層階で、高さは約80数メートルありまして、そこにH-2Aロケットについては、2機同時に組み立てるスペースがございます。
   そのうち、左側の組立棟の部分を使って、現在、組立作業を行っております。
   クレーンにつきまして、これから下、4つの移動発射台に4つのピンが立ってございまして、その上に1段が載るということになります。反対側に2つですね。ここがLE7Aです。これは2段でございます。上側が水素タンク、酸素タンクは、この段間部の中に入ってございまして、外から見えません。向こう側にあるのは1段タンク、それから、手前に今吊り上げてきますのが2段のタンクです。このリンクは吊り上げるためのジグです。色が黄色いは、ポリウレタンフォームの断熱材、厚さ約25ミリの断熱材の色でございます。
   今回から初めてですけれども、日の丸、日章旗をNIPPONという字の上に置いてございます。
   今、1段と2段を結合するところです。これはSRBの右側でございます。全体的に白いんですが、SRBはチャンバーがCFRPでできていますので、その保護のためにこういうグリーンのカバーをかけてございます。これはSRBの推力を伝えますスラストストラットと呼ばれるもので、それを1段の機体にとめるためのピンを今装着しているところです。
   これはSRB−Aのノーズコーンを取り付けているところです。最後のノーズコーンを取り付けて、今、機体はこの状況になってございます。
   以上でございます。

 井口委員長 

   何か御質問、御意見はございますでしょうか。
   よろしゅうございますか。また来週1週間分を。

 丹尾服本部長(NASDA) 

   はい、1週間を。

 井口委員長 

   御報告いただきまして、どうもありがとうございました。
   それから、その他に入りますが、今回から過去1週間の内外の宇宙開発に関するトピックスについて、報告といいますか、リストアップしたものをちょっと説明させていただくだけかもしれませんが、やりたいと思います。つまり、ここにおいでになりますと、内外の主要な宇宙開発に関する情報が一応得られるという形にいたしたいと思います。
   それでは、これは田中さん、お願いします。

 田中(事務局) 

   委員長からの御指示もございまして、ただいま御説明ありましたとおり今回から宇宙開発の内外の状況につきまして簡潔に報告させていただくことになりました。初めての試みでおそらく不十分な点も多々あるかと思いますが、順次改善してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
   まず、本資料のつくりですが、3つのカテゴリーに分けてございます。
   1.として、まず、当宇宙開発委員会の活動につきまして、部会等の活動について報告させていただきます。
   2.といたしまして、宇宙開発に関する国内の動向、今回はNASDAに関することが中心でございますが、今日御報告いただいたようなものを除いたものを簡単に御報告させていただきます。
   それから、1枚めくりまして、3.といたしまして、宇宙開発に関する海外の動向を簡単に報告させていただきます。
   タイトルにあります通り、期間は先週の水曜日、7月18日から7月24日まででございます。
   まず1.の宇宙開発委員会の活動ということでございますが、先週、水曜日、計画・評価部会の第6回がございました。こちらでは、主として、通信・放送・測位等につきまして、その進捗状況のレビューを行っております。
   それから、先日でございますが、7月24日、火曜日、この計画・評価部会のもとに設置いたしました金星探査プロジェクト小委員会の第2回を開催いたしまして、意見交換の上、主査の報告案を取りまとめいたしました。
   ちなみに、次回でございますが、今週の金曜日、7月22日に第7回の計画・評価部会を開催いたしまして、H-2A増強型の開発状況や次期情報収集衛星について聴取するとともに、この金星プロジェクトの審議結果についても報告していただくことになっております。
   続きまして、宇宙開発に関する国内の動向でございます。
   まず、エンジンの燃焼試験がございます。2種類ございまして、まず1つは、H-2Aロケット3号機用の第2段エンジンでございますLE−5Bエンジンの領収燃焼試験でございます。こちらは第2回が7月20日、金曜日、第3回が7月24日、火曜日に行われまして、無事50秒間それぞれ燃焼いたしました。
   それから、もう一つでございますが、こちらはいわゆる改良インデューサーを用いましたLE−7Aエンジンの改良型の認定型エンジンの燃焼試験、種子島で行われたものでございます。こちらは液体水素ターボポンプの入口の圧力を低くした厳しい条件での試験でございまして、まず第5回目、7月21日、土曜日でございますが、こちらは200秒の燃焼予定のところ、48.3秒で自動停止いたしました。この原因につきましては、そのエンジン本体につきまして何かトラブルがあったということではなくて、液体水素タンク内の充填量を計測する設備、これが誤作動いたしましたことによる自動停止であるということが判明しております。この部品に対しまして交換するなどの処置をいたしまして、第6回を引き続き、先日7月24日、火曜日に行いまして、こちらは300秒間無事燃焼したとのことでございます。
   それから、7月23日、月曜日から25日、本日の昼まででございますが、第23回宇宙ステーション利用計画ワークショップがNASDAの主催により行われました。こちらは国際宇宙ステーションの利用に関する我が国及び各国の取り組みを紹介いたしまして、意見交換を行うことによりまして、我が国の「きぼう」を利用した宇宙環境利用実験についての理解を深めるとともに、利用計画の策定に資することを目的としております。昭和60年から開始されまして、今年で23回目ということです。先ほどお越しいただきましたNASAの方々も今回は参加していただいたとのことでございます。
   1枚めくりまして、宇宙開発に関する海外の動向でございます。こちらは主として海外の主な打上げ計画などをカバーしておりますが、すべてカバーし切れているわけではございませんが、わかっている範囲で報告させていただきます。まず、7月18日、水曜日でございますが、国際電気通信衛星機構(インテルサット)がございますが、こちらがインテルサット社として民営化されました。
   7月19日、木曜日でございますが、先日の委員会の方でも、アリアンスペースの方から御報告いただきましたが、先端型データ中継技術衛星(ARTEMIS)のリカバリー計画が発表にされました。このリカバリー計画は18日からスタートいたしまして、4段階のリカバリーを経まして、すべて順調にいけば、来年、2002年初頭から数年間運用できるのではないかという話がございます。
   それから、7月20日、金曜日でございますが、こちらは詳細はわかりませんか、ロシア製の潜水艦、ヴォルナ潜水艦というのがございまして、こちらのミサイルを改良したロケットがございます。こちらはコスモス−1と呼ばれておりますが、その実験がどうもあまりうまくいかなかったようです。原因については、詳細はわかりませんが、どうも第3段にトラブルがあったのではないかということでございます。
   同じく20日におきましては、同じくロシアのモルニアロケットによるモルニア軍事通信衛星の打上げが成功した模様でございます。
   それから、今週の月曜日、23日でございますが、アトラスロケット、アメリカのアトラス−2Aでございますが、これによりましてGOES−M気象衛星の打上げに成功いたしました。GOESと申しますのは、静止環境気象衛星でございまして、いわゆる日本で言いますと「ひまわり」などに相当するものでございます。こちらの衛星は、開発はNASAが行いまして、運用は米国の海洋大気庁、NOAAが行うこととなっております。現在GOESにつきましては、太平洋上と大西洋上に2機運用してございまして、今回、打上げられたものは、とりあえず予備機として待機しておりまして、いずれどちらかと交代されることとなっております。
   簡単ではございますが、以上でございます。

 井口委員長 

   どうもありがとうございました。
   1ページ目の一番下に書いてあります宇宙ステーション利用計画ワークショップの結果につきましては、次週か、この後、細かく報告を聞くことになると思います。
   そのほか何か御要望があれば、事務局にお願いして、どのぐらい調べられるかわかりませんけれども……。

 五代委員 

   こういうふうにまとめていただくと非常にいいと思うんで、あと、出典じゃないですけど、ウェブのURLだとかをどこかに書いておいていただくと、皆さんさらに詳しく読めていいかもしれませんね。
   それから、ARTEMISのリカバリーで、何か本施設に絡むようなところまでは、まだ話は全然来てないですか。

 田中(事務局) 

   済みません。私の方では承知しておりません。

 今村局長 

   先週の新聞で、フランスとロシアが協力して宇宙産業をもう少し進展させるという話があったように思いますけれども、単なる新聞の……。

 北村(傍聴席) 

   フランス領ギアナにございます打上げ場からロシア製のソユーズロケットを使った打上げをするという方向の調整が進んでございまして、シラク大統領が実際にロシアの方に赴きまして、ソユーズをつくります製造工場等を見学しているようですし、正式な取り決め間近という感触を持っております。

 今村局長 

   利害得失というか、ねらいが何かちょっとよくわからなかったものですからね。フランスにとって得な話になるんですか。ちょっとそこがよくわからなかったんですけれども。

 長柄委員 

   ロシアとフランスでトラーセンという会社を持っていますから、今、ウクライナでしたか、どこかで上げているでしょう。だから、ギアナで上げれば、要するに同じ会社が上げるわけですから、ウクライナやロシアで上げるよりは、ギアナで上げた方がずっと効率がいいということですね。ルギャルが社長でしょう。ですからロシアにしても、あそこを使わせてもらえればお客を多く取れるだろう、競争力が増えるだろうということではないでしょうか。

 五代委員 

   品ぞろえが非常にそろうわけですね。

 長柄委員 

   小さいのから大きいのまでですね。そのときの投資額をどちらがみるか、まあ、親戚同士みたいなものですからね、ロシアとフランスは。日本とロシアに比べたら全然違いますから。親戚のおばさんが言っているような感じ、とでも言いましょうか。

 井口委員長 

   それでは、来週からこういう1週間の報告を続けさせていただくことにいたします。
   それでは、どうもありがとうございました。
   あと、前回議事録要旨につきましては、御確認をお願いいたします。
   あと1件、人事案件がありますが、これは宇宙開発委員だけで審議することになりますので、恐縮ですが、ちょっと向こうの部屋にお移りいただけませんでしょうか。
   それでは、その案件は別の部屋でやりますが、それを済ませて、宇宙開発委員会を終了させていただきます。

−−−了−−−



(研究開発局宇宙政策課)

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