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宇宙開発委員会

2001/07/04 議事録
第25回宇宙開発委員会議事録


第25回宇宙開発委員会議事録

1.日時 平成13年7月4日(水)
  13:58〜14:18

2.場所 特別会議室(旧科学技術庁5階)

3.議題 (1) H−2Aロケット試験機1号機の打上げ計画と安全対策について
  (2) その他

4.資料 委25−1−1 H−2Aロケット試験機1号機の打上げに係る安全対策について(報告)
  委25−1−2 H−2Aロケット試験機1号機打上げ及び追跡管制計画書
  委25−1−3 H−2Aロケットワークショップの開催結果について
  委25−2−1 宇宙開発に関する基本計画
  委25−2−2 第24回宇宙開発委員会議事要旨(案)

5.出席者
    宇宙開発委員会委員長 井口雅一
    宇宙開発委員会委員 長柄喜一郎
              〃 栗木恭一
              〃 五代富文
              〃 澤田茂生
    文部科学省研究開発局長 今村努
    文部科学大臣官房審議官 素川富司
    文部科学省研究開発局宇宙政策課長 芝田政之


6.議事内容

 井口委員長 

   全員お集まりですので、第25回の宇宙開発委員会を始めさせていただきます。
    最初に、H−2Aロケット試験機1号機の打上げ計画と安全対策について。まず最初に、打上げに係る安全対策について、安全部会長の栗木委員に説明をお願いいたします。
   

 栗木委員 

   去る6月19日に宇宙開発委員会から付託されました安全部会が行いました安全対策に係る報告を申し上げます。
    資料は25−1−1、「H−2Aロケット試験機1号機の打上げに係る安全対策について」でございます。時間もあまりないようですので、手短に、本文を引用していると手間がかかりますので、目次のページをお開きいただきたいと思います。初めからちょうど3枚目の目次というところでございます。ここにギリシャ文字でT.地上安全対策、2.飛行安全対策、3.安全管理体制、この3つの項目が掲げてございまして、この3件につきまして、安全部会が付託を受けた項目と理解しております。
    これらにつきまして、詳細、この各項目をざっと紹介いたしますと、まず今回のH−2Aのロケットの推薬等を貯蔵します射場における安全対策としましては、発火源、着火源等の排除、それから、防爆対策等に配慮いたしているということと、それから、2.警戒区域の設定ということで、今回、H−2Aロケットから若干推薬量が増えたということもございまして、この設定を見直して、十分にそれを配慮しているということを落下物の、つまり、飛行安全の状態も含めまして、射点より1,800m及び3,000mと、2つの条件を満たすように、これを設定されているということを確認いたしました。この範囲は図の6、7に書かれておりますので、後ほど内容をごらんいただきたいと思います。
    航空機、船舶等に対する事前通報は、28日前に航空機のノータムを出し、3週間前には船舶に通報するということで、準備が整っていることを聞いております。
    飛行安全対策としましては、先ほど申し上げたように、陸上3,000m、海上は30qまでの飛行予定航路に対して安全対策が施され、飛行中断の安全対策としましても、破壊限界線を超えるおそれがある場合には、指令破壊を行うという措置がとられております。これを確認いたしました。
    3の安全管理対策でございますが、ここは最後のページに近いところでございますので、ここだけ本文を引用させていただきますと、8ページでございます。8ページに、安全管理体制、これは次の計画のところでも紹介があるかと思いますが、安全対策組織としましては、時間に余裕がある場合のGo/No-Go判断、緊急を要する場合のGo/No-Go判断を、それぞれ打上げ及び追跡管制責任者のもとに射場安全主任及び飛行安全主任が連絡をとって、あるいは独自の判断で行うということが、8ページの1.安全組織及び業務の2番目のパラグラフに記述されている内容でございます。
    今回、この安全部会が行いましたさらなる調査は、以上は大体これまでのH−2の打上げに際しまして行われていた評価と同じでございますけれども、この8ページの一番下に書いてございますなお書きのところでございますが、「今回の打上げにおいては、打上げ間隔が1年以上空いたことから、機器操作、作業手順、緊急時の連絡等の基本事項が通常より入念に実施される」ということを確認いたしております。
    また、この間に、新たに設置されました機器等についても、これらの稼働状況がこの1年以上の空白について、滞りなく機能を果たしてきたということを確認いたしております。
    以上の結果を取りまとめまして、最後、10ページでございますが、ここに安全部会としての所見をまとめましたので、読み上げたいと思います。
    「宇宙開発事業団の安全対策に対する所見以上のとおり、H−2Aロケット試験機1号機の打上げにおいて宇宙開発事業団が実施しようとしている地上安全対策、飛行安全対策及び安全管理体制は、『ロケットによる人工衛星等の打上げに係る安全評価基準』に規定する要件を満たし、所要の対策が講じられており、妥当であると考えられる。
    今後、安全対策については、ロケットの打上げによる地上安全及び飛行安全の妥当性のみならず、外部侵入者に対してセキュリティを確保するための対策(例えば、情報通信を利用した不正アクセス行為等により、ロケットの打上げに重大な支障となる問題への対処)に十分な対策を施すことが益々必要となる。
    このため、外部侵入者に対する安全対策を類型化し、『ロケットによる人工衛星等の打上げに係る安全評価基準』に速やかに反映させていくことが必要である」という、以上の所見を取りまとめて報告書といたしました。ご審議をお願いします。
   

 井口委員長 

   どうもありがとうございました。
    大変、説明が簡単でありましたけれども、この件に関しましては、先日の安全部会で慎重な審議が行われました。今の資料の一番最後、43ページに、安全部会の構成員が出ておりまして、栗木部会長、それから長柄委員長代理、五代委員はすべて本委員会の委員ですし、私も、ふだんはこうして出席して、いろいろご意見を申し上げたということがございますので、内容につきましては十分説明を受けております。
    改めて何かご質問、ご意見がありましたら、いただきたいと思います。いかがでしょうか。
    そのときに、10ページ目に、所見、ただいま読み上げられたものになりますけれども、昨年栗木部会長が決められたんだと思いますが、4行目になります「ロケットによる人工衛星等の打上げに係る安全評価基準」、これにセキュリティの問題も挿入したらどうかという意見がありましたが、これとはちょっと離れますけれども、それについてはいかがですか。
   

 栗木委員 

   今後の安全部会の……。
   

 井口委員長 

   一番最後のところにですか。
   

 栗木委員 

   はい。一番最後のところに反映させていきたいと。これは十分に内容を練ることもあり、ほかのまた懸案事項も出てきた折にまとめて、早い時期にこれを反映していきたいと考えております。
   

 井口委員長 

   ありがとうございます。
    ほかにいかがでしょうか。何かつけ加えられること、ございましょうか。
   

 五代委員 

   今言われたことですが、今までの流れに1つ追加されたことで、こういう認識は重要だと思いますね。
   

 井口委員長 

   それでは、H−2Aロケット試験機1号機の打上げに係る安全対策について、了承することにいたします。
    どうもありがとうございました。
    続きまして、打上げ計画について、宇宙開発事業団理事長の山ノ内さん、それから、理事の三戸さん、さらにH−2Aロケットワークショップの座長を務められました東大の久保田先生に説明をお願いいたします。
   

 山之内宇宙開発事業団理事長 

   それでは、私から基本的な内容についてご説明を申し上げたいと思いますが、お手元に、平成13年度夏期ロケット打上げ追跡管制計画書を提出してございますが、過日6月19日の宇宙開発委員会におきまして、私どもはH−2A1号機の開発の経緯並びにその間における信頼性の向上、性能確認について、提案いたしまして、基本的に今年度夏期に打ち上げることについて、ご了承を賜ったと理解をいたしております。ただ、さらにもっとより突っ込んだ技術的な内容について審議をするようにとのアドバイスもございまして、私どもは、お隣の久保田委員にお願いをいたしまして、ワークショップを開きまして、具体的な技術的問題点をさらに検討させていただき、それにつきまして、まず久保田委員からご報告をお願いいたしたいと思います。
   

 久保田東京大学大学院教授 

   東京大学の久保田といいます。資料の委25−1−3というのがございますように、6月26日の午後、芝パークホテルで、出席者、各分野で113名ほど出席しまして、ワークショップを行いました。このワークショップの位置づけは、今、理事長がおっしゃられましたように、宇宙輸送関連の研究者、技術者にH−2Aロケットの開発結果と1号機の準備状況を報告して、議論を深めて、技術的な理解を得るという趣旨でございます。
    議論のまとめをそこに幾つか書いてございます。時間がございませんので、具体的なことは省略いたしますが、大きく分けまして、H−2Aロケットの開発結果について、トータルシステム、アビオニクス、固体ロケットブースタについての技術的な質疑応答を行いました。一言で言うと、ほぼうまくいっているんじゃないだろうかという感触を得たようでございます。
    それから、午後は、試験機1号機の現状、これの打上げを延期していたわけでございますので、その間に、NASDAと各製造メーカーが実施してきた品質の再確認作業についての報告がメーカーから行われまして、これについての質疑応答が行われました。これも、考えられる問題点については、ほぼ対策が講じられているという印象を受けました。
    この議論を通じて、H−2Aロケットの開発と試験機1号機に対するNASDAの真剣な取り組みについて理解を深めることができたと考えられます。
    今後、例えばインタフェース等の取り合わせとか、できるだけ考えられることは対策を講じているけれども、なおわからないようなこともある、それをできるだけ考慮して慎重に対処していくのが望ましいんじゃないだろうか、こういうような意見がございました。大体において、技術者、研究者、細かいことも気になっていると思われるんですが、おおむねというか、特に問題になりそうなところはなさそうだという印象を受けたと私は感じました。
    これは技術者、研究者用の理解ですが、同時に、一般に対しての理解を得る必要もあるんじゃなかろうかという意見もありまして、これにつきましては、伺いましたら、7月14日にH−2Aロケットシンポジウムが行われるようですので、そういうところでさらに理解を得ることが望ましいんじゃないかということもありまして、頑張っていただきたいというようなのが一般的な感触でございます。
    以上でございます。
   

 山ノ内理事長 

   ただいまのワークショップと並行いたしまして、いよいよ最終段階でございますので、メーカーにおきまして、一応ロケットを組み立てまして、最終的な機能試験、ミッション・チェックアップと呼んでいますが、行いまして、今週の月曜、火曜、出荷前最終審査会を開きました。細部にわたって検討した結果、特段打上げに支障のある重要な問題はなかったと認識をいたしております。
    したがいまして、いよいよ私どもは具体的な目標を定めて打上げ体制に臨む時期に来たと判断をいたしましたので、お手元の資料の1ページをお開きいただきたいと思いますが、1の3項でございますが、今回は、昨年の宇宙開発委員会のご指導、ご指摘に基づきまして、標準型H−2Aロケットの最も基本的な形態により、静止トランスファ軌道への飛行を行い、その機能・性能を実証するためのデータを取得することを目的といたしまして、このH−2Aロケット1号機にペイロードとして性能確認用のVEP−2と呼ぶ小型測定器装置を積みまして、打ち上げたいと思います。目標といたします日にちは、次のページに書いてございますが、今年度8月25日を目標に、これからロケットを現地に送った上、現地で組み立てまして、打上げ直前の確認試験を行った上、この日を目標に打上げをものにしたいと思いますので、よろしくご審議を賜り、ご了承を得たいと思います。
    以上でございます。
   

 井口委員長 

   ありがとうございました。
    2週間前、先々週でしたね、この宇宙開発委員会拡大委員会を開きまして、基本的に夏期に打ち上げるということの了承をいたしました。その後、ワークショップの意見も踏まえて、8月25日に打ち上げたいという、そういう計画書でございますが、いかがでございましょうか。
   

 山ノ内理事長 

   補足になりますが、4ページに、今回打上げ体制の強化をいたしたいと思いまして、私自身、実施責任者となりまして、こういったメンバーで、明確な責任体制のもとに打上げに臨みたいと思います。
   

 井口委員長 

   実施責任者に理事長がなられるというのは、大変珍しいと思いますが、初めてですか。
   

 山ノ内理事長 

   そうです。初めてです。
   

 井口委員長 

   それだけ意気込みが違うということではないかと思います。
    それから、前々回のときには伺わなかったんですが、LE−7Aのエンジン、それからH−2Aのロケットの内部評価をしておられますね。たしか宮島さん、内部評価と言いながら、外からの人を招いたということですね。宮島さんがロケット全体ですか、それから、鈴木さんでしたか……。
   

 三戸理事 

   宮島さんはエンジンです。
   

 井口委員長 

   エンジンですか。ああ、そうですか。
   

 三戸理事 

   鈴木さんはロケットです。
   

 井口委員長 

   ロケットですか。そのご意見というのはどんな感じだったんですか。
   

 三戸理事 

   特に1号機の打上げに対して支障になるものはないというご意見でございます。
   

 井口委員長 

   あと、いかがでしょうか。
    それから、久保田先生、私も、ワークショップ、午前中だけ出席させていただいたんですけれども、NASDA39名というのはかなり多いんですが、OBですか。随分ご年配の方が多かったように……。
   

 久保田東京大学大学院教授 

   そうですね。OBの方がおられまして。
   

 井口委員長 

   大変心配をしてくれて。
   

 久保田東京大学大学院教授 

   そうです。
   

 井口委員長 

   それも含めてNASDAが39名と。
   

 久保田東京大学大学院教授 

   そうですね。
   

 宇宙開発事業団 

   いや、39名は現役。企業等のところにOBの方は……。
   

 井口委員長 

   ああ、そうですか。大体企業におられる方なんですね。
   

 久保田東京大学大学院教授 

   OBの方も随分心配されておられています。でも、さっき申しましたように、頑張ってくれという印象でございました。
   

 井口委員長 

   いかがでしょうか。何かご意見ございますでしょうか。
   

 長柄委員 

   結構です。
   

 井口委員長 

   それでは、ただいまご説明のありました平成13年度夏期ロケット打上げ及び追跡管制計画書を改めて了承ということにいたします。
    どうもありがとうございました。
   

 山ノ内理事長 

   ありがとうございました。万全を期したいと思います。よろしくお願いいたします。
   

 井口委員長 

   それでは、その他でございますが、これは事務局の芝田宇宙政策課長さん、説明をお願いいたします。
   

 芝田課長 

   お手元に宇宙開発に関する基本計画、こちらの委員会で議決していただいたものを6月28日付でNASDAのほうに通知しましたので、それをお手元にお配りしてございます。
    以上でございます。
   

 井口委員長 

   それから、あと、前回の議事要旨につきましては、後ほどご確認をお願いいたします。
    それでは、以上で第25回の宇宙開発委員会を閉会いたします。
    ありがとうございました。

――了――




(研究開発局宇宙政策課)

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