戻る

宇宙開発委員会

2001/05/23 議事録
第19回宇宙開発委員会議事録


第19回宇宙開発委員会議事録

1.日時 平成13年5月23日(水)
  14:00〜

2.場所 特別会議室(旧科学技術庁5階)

3.議題 (1) 日露宇宙協力合同委員会の開催結果について
  (2) 「宇宙開発に関する基本計画」の策定に向けた審議について
  (3) その他

4.資料 委19-1 日露宇宙協力合同委員会の開催結果について
  委19-2 「宇宙開発に関する基本計画」に盛り込む事項について(案)
  委19-3 第18回宇宙開発委員会議事要旨(案)

5.出席者
    宇宙開発委員会委員長 井口雅一
    宇宙開発委員会委員 長柄喜一郎
              〃 栗木恭一
              〃 五代富文
    文部科学省研究開発局宇宙政策課長 芝田政之

6.議事内容
午後2時開会

【 井口委員長 】

   皆さんおそろいですので、第19回の宇宙開発委員会を始めさせていただきます。
   本日は報告が1件、審議が1件であります。
   最初に、日露宇宙協力合同委員会の開催結果について、文部科学省宇宙政策課の塩満室長さんに御報告をお願いいたします。

【 塩満調査国際室長 】

   それでは、資料19−1に基づきまして御説明申し上げます。
   先週、合同委員会の開催の前に一度御説明させていただきまして、そのときに幾つか実施中の案件、それから、検討中の案件について議論が行われるとともに、政策的な意見交換として、使用済み宇宙物体の地表落下問題などについて検討が行われるということを事前に御説明させていただきましたが、その予定に基づきまして進行されました。
   2枚目でございますが、参考1のところに、場所、議題、それから、出席者をお示しいたしました。
   外務省の宮本軍備管理科学審議官が代表で、ロシア側の航空宇宙庁のメドベチコフ次官がロシア側の代表を務めていらっしゃいました。
   主な議論は、1枚目のところに書いてございますとおりでございます。
   3.の具体的成果のところでございますが、ここではやはりミールの廃棄に言及が行われまして、そこで宇宙物体の安全な廃棄方法、それから、スペースデブリの低減策の重要性が両国で確認されまして、さらに、今現在、国連のコーパスの場で議論が進められていますが、そこの議論などをもとに、今後こういう課題につきましては対策を進めていくことが宇宙活動への信頼を高めることになるという見解が双方から表明されました。
   それから、2番目のところでございますが、ロシアから新たに新規提案がございまして、ロケットエンジン関係、それから、リモートセンシング関係の新規提案がありまして、日本側で検討して、3カ月以内に回答するということをお約束しました。
   それから、最後にロシア側から、日露宇宙協力をさらに発展させるためには、是非、文部科学省とロシア航空宇宙庁、実施担当官庁直接の何か文書を取り交わしたいというような御提案がありましたので、外務省、それから、当省で今後検討していくということになりました。
   参考2のところをもう少し具体的に御説明させていただければと思いますが、3枚目のところでございます。
   この中で日露間の協力案件といたしまして、先日御説明した実施中の案件、それから、検討中の案件を提示させていただいておりますが、その中で検討継続中の案件につきまして、これが実施中に上がるというステータスの変更を行わなかったものがございまして、例えば液体ロケットエンジンの開発につきましては、先ほど申しましたように、ロシア側からさらに新規提案もございましたので、これも含めて今後の検討を進めていくということが了解されました。
   あと、軽量燃料タンクにつきまして、これはロシア側が検討を進めていたんですが、ここまでの検討結果が今回の合同委員会の中で提示されませんでしたので、ロシア側は引き続き検討されるということでございます。
   それから、前回、射点設備の研究につきまして、検討継続中の案件で御説明したのですが、これにつきましては必ずしも双方にニーズが確認されなかったこともありまして、今回は検討継続中の案件からも落としたという状況でございます。
   さらに、ロシア側の提案で、再使用打上げシステムの情報交換につきまして、航空宇宙技術研究所の方で検討を進めていたんですが、これは日本国内でも方針はまだ固まっていないということで、しばらくは凍結をして、今後の検討継続中のステータスということで取り扱うということになりました。
   リモートセンシングと、それから、ロケットエンジンにつきまして、具体的には、例えばリモートセンシングにつきましては、ADEOS−2、それから、ALOSで、ロシア側の関係する人工衛星とデータの交換をしたりとか、例えば生態系データバンクの協力として観測データの交換をしたりとか、あと、シベリア観測についてロシアはかなり経験があるということで、今後、森林観測とか、それから、太陽も含めまして、太陽観測につきまして、データ解析技術でお互いに共同研究を進めていきましょうという提案がロシア側からなされております。
   それから、ロケットにつきましては、先方から要素技術の開発についての共同研究の提案、あとは、ロシアの方で開発をした幾つかのロケットエンジン、これの高度化を日露共同で開発していきましょうという提案が行われております。エンジンの種類としては、エネルギア、それから、NK33、それから、GSLBというような、そういう複数のタイプのエンジンの開発について提案があったということでございます。
   簡単でございますが、以上でございます。

【 井口委員長 】

   どうもありがとうございました。
   御質問、御意見はいかがでしょうか。

【 長柄委員 】

   今の新型ロケット、ロケットについては、例えば参考2の(2)のAで検討すると。

【 塩満調査国際室長 】

   そうです。液体ロケットエンジンの開発、この項目の中に含めて検討するということでございます。

【 長柄委員 】

   そうすると、リモートセンシングの方は新しい提案……。

【 塩満調査国際室長 】

   実施中の。

【 長柄委員 】

   実施中の方で、これは。

【 塩満調査国際室長 】

   そうですね。実行しつつ、そういう意味ではHを(1)と(2)の中で書いた方がよいのかもしれませんが、実行中とか合意済みという形での整理がロケットエンジンについてはできていませんので、整理の仕方としては、一方は検討継続中の案件にのせて、もう一方はリモートセンシングは実施中の案件にのせさせるよう、また会議したと。

【 長柄委員 】

   実施中のものをさらに中身を増やそうと。

【 塩満調査国際室長 】

   拡大していく。

【 長柄委員 】

   わかりました。

【 井口委員長 】

   何をやるにしても予算が要るわけですね。タイミングによっては、こういうのは14年度の予算要求に反映しなければいけないのか。そのあたりの話というのはどうなるのでしょうか。

【 塩満調査国際室長 】

   そうですね。現在ある予算の資源の中で行えるのかどうか。基本的には、新たな予算確保を必要としない範囲での協力関係が現在行われているということのようですので、ロケットエンジンについてもそれがよいのかどうかわからないんですけれども、3カ月後の回答の前に、また予算措置についても必要性を検討していきたいと思っているところでございます。

【 井口委員長 】

   ここにはNASDAの人がたくさん出席しているんだね。だから、その辺はよく通じているわけですね。

【 塩満調査国際室長 】

   そうですね。エンジンでは伊藤特任参事ですね。

【 井口委員長 】

   ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。
   では、どうも御報告をありがとうございました。
   次に、審議事項でございます。「宇宙開発に関する基本計画」の策定に向けた審議について、宇宙政策課長の……。

【 塩満調査国際室長 】

   すみません。1点だけ、ミール廃棄につきましての情報提供は先方の方で約束してくださいましたので、報告書は出てくるということです。

【 井口委員長 】

   どうもありがとうございました。
   では、審議事項をお願いいたします。

【 芝田宇宙政策課長 】

   19−2の資料でございますけれども、前回までの御審議を踏まえまして、少し手直ししたものがそこにございます。
   まず冒頭で、今後の手続について考えているところを御説明申し上げますと、このペーパーは宇宙開発に関する基本計画に盛り込む事項についてということで御審議いただいておりますが、基本的には、1ページ目の記以下の部分については、国が策定する基本計画にそのまま移行するという形を考えております。したがいまして、今後、パブリックコメント、あるいは関係省庁への協議等という手続に入ります際には、このヘッディングだけ基本計画ということに変えまして、記以下はそのまま掲載したもので、そういうコメント等をやっていきたいというふうに思っております。
   今回、事務局独自でも少しわかりやすくしようということで、幾つか追加等したところがございますので、その辺の書き方がそれでよいかどうか御確認いただきたいと思います。
   まず、2ページの一番下を御覧いただきたいと思います。この部分に追加いたしました。公的事業としての宇宙開発の推進ということで、それの前の部分は、宇宙開発の目的ということが一般論として書いてございまして、では、なぜ公的にそれをやる必要があるかということを書いた方がわかりやすいかということで、これを追加しました。ちょっと読ませていただきます。
   宇宙開発の目的を踏まえると、民間ではなし得ない宇宙開発活動については、今後も国が公的資金を投入して推進していく必要がある。すなわち、(1)新たな知を創造する科学、(2)安心・安全で質の高い国民生活や人類全体の生存・発展に関わる活動で、商業活動としては採算がとれない公益性が高い活動、(3)将来的には産業化できるが、現段階では、リスクが高い先端的な技術開発などについては公的機関が中心となって実施する必要があるということでございます。
   3ページ目を御覧いただきたいと思います。下の○2つが追加した部分でございます。これも、その前のところでNASDAの役割を一般論として書いてございますが、ロケットと衛星に分けて少しわかりやすく具体化してはどうかということで追加しました。これも読ませていただきます。
   これらの基本的考え方を踏まえ、事業団は、ロケットについては、我が国が常に独自の輸送手段を確保できることを第一義に研究開発を進め、その上で経済性などの向上を図り民間主導への移行を図る。
   人工衛星については、最先端の研究開発を必要とするもの、新たな技術開発を伴う全地球的地球観測ミッション、将来の宇宙利用を見据えたミッションなどを事業団が中心となって実施する。人工衛星の利用機関が明確である場合には、当該利用機関との連携・協働を進め、事業団は特に先端的で技術的にリスクの高い研究開発を実施する。
   こういう書き方でいいのかどうか、また御意見をちょうだいしたいと思います。
   4ページ目を御覧いただきたいと思いますが、以前は、財源を拡充するということをいかにもNASDAの仕事のように書いてございましたが、それはちょっとおかしいんじゃないかという御指摘がございましたので、そこの上から通しで○を数えますと5番目の○、「また」で始まるセンテンスですが、これをちょっと書きかえた形で入れてございます。
   また、これまでの事業団の宇宙開発活動の規模に比べて投入資源が十分でなかったことも指摘されている。この点については、宇宙開発の意義を踏まえ、国において投入資源の拡充に努める必要があるが、一方で事業団としても確保できる投入資源を効率的、効果的に活用するよう、経営方針を刷新して経営の効率化を推進する必要があるというふうに書いてございます。
   それから、しばらく飛びまして、6ページを御覧いただきたいと思います。高度情報化の推進というところがございますが、これの最初の○だけ以前から置いてあったんですが、少しわかりやすく具体化した方がいいかと思いまして、3つ○をつけ加えました。2番目の○ですが、具体的には、技術蓄積のデータベース化、シミュレーションの高度化、ネットワークの活用によって開発関係者が協調して同時作業を実施することができる効率的な研究開発環境を実現する。
   また、研究開発業務を通じて得られた技術情報、不具合情報等を、一元的かつ体系的に知識化し、関係者が速やかに今後の業務に活用できるような統合宇宙情報システムを構築する。
   さらに、一般の管理業務等においても電子化を推進し、効率的な業務運営を目指すというふうにしてございます。
   またしばらく飛びまして、9ページを御覧いただきたいと思います。9ページの(1)基盤技術開発というところがございますが、その(1)の中の4番目の○を少し例示を示して具体化して書いてあります。
   我が国の技術の現状、海外からの調達の可能性等を評価し、自ら開発すべき戦略的に重要な基盤技術を明確にして開発を進める。例えば、我が国の得意技術であり、衛星やロケットの機能・性能を大きく左右するような高性能姿勢制御技術、高速搭載計算機、高効率電力システムなどについては独自に技術を確保する。海外に依存する基盤技術については、その信頼性、健全性を独自に評価できる技術を確保する。
   この具体的な技術の領域というか、これを少し書いて例示してございます。
   それから、また少し飛びまして13ページになりますが、ここの最後に、なお、中核的業務の具体的な計画は別添のとおりということで、今現に具体化している計画の一覧を別添としてつけ加えていることに言及してございます。計画の一覧は別添としてついておりますが、我々も計画の中の分野とか計画という言葉、この辺の仕分けの仕方が少し混乱している面があるのかなと思っておりますので、少しその辺を御意見をいただいて改善をしていきたいと思っておりますが、よろしくお願いいたします。
   以上です。

【 井口委員長 】

   どうもありがとうございました。
   それでは、御審議をお願いいたします。

【 栗木委員 】

   今、評価・指針の特別会合の方で、この基本計画というのはどういう文書であるか。その位置づけを踏まえた上で、どういう評価をやるかということを議論しております。基本計画の置かれた位置といいますのは、中長期の戦略、これをイニシアチブととらえて、その下に、ちょうど中長期戦略の出されました第8章がプログラムレベルのことが書かれているというのを私ども記憶しております。その中には長期のものと比較的短期のものと両方書かれているわけですが、おそらく極めて間近にある、5年ぐらいの間の計画というのは基本計画に取り込まれているんだろうな。そういう認識を持って、しからばプロジェクトをどう評価していくか。プロジェクトというのは、そのプログラムを構成する個々のプロジェクトである。そういう見方をして評価をしていこう。場合によっては、評価はプログラムを見た上でということも今度の評価の基準の中には盛り込むつもりでおります。
   そういうような立場からしますと、今、芝田課長がおっしゃられた一番最後の別添の計画のところなんですが、計画というのをプログラムととらえますと、H型ロケットというのはシリーズで何機か上がるわけですから、まさしくプログラムの概念にぴたっと合うわけでありますが、次のページを見ていただきますと、例えば改良型高性能マイクロ波放射計というのが入っておりまして、とてもこれはプログラムというレベルのものではなくて、いささか軽重が混乱しているのではないかという気がします。プロジェクトレベルよりもさらにもう一つ下のシステム、サブシステムクラスのものが同じカテゴリーに入っているということがありまして、このあたりは今後評価を進めていく上でも、どのレベルの評価を評価委員会としてはやっていくのかということは、必ず立場を明らかにしてからでないと進められませんので、この表の作り方も一工夫要るのかなと。
   そういうことで、一番最後に課長がおっしゃったことをちょっと敷衍させていただきました。そんなことを考えております。今後これをどう作ったらいいかというのは……。

【 井口委員長 】

   栗木先生に御指導いただいて、少し整理し直したらいかがでしょうか。

【 芝田宇宙政策課長 】

   はい。ちょっと相談させていただいて、仕分けを直して。

【 栗木委員 】

   ただ、私もよくわからないのは、これまであった予算措置がプロジェクトとして予算措置されてしまっていたりしますと、なかなかその辺の書きかえというのは難しいのかもしれませんけれども、これから評価の体制等も決まって、ここできちっと整理しておきませんと、後々また混乱するんではないかなとちらっと思っておりますので、是非、こういうことがあるたびに、なるべく認識を正していきたい。

【 長柄委員 】

   こういうものというのは、従来のプログラムという感じがなくて、プロジェクトという感じもないんです。これは、ですから、予算のあれができているわけですね。私、急には難しいと思うんです。ですから、これからプログラムという概念を入れていって物事を整理していかないと、急には、後でとってつけたようになりますんで、これ、今こうなっていると。これは事実なんです。だから、これを変にくくると、ですから、今のAMSR−Eなんていうのがここに書いてあるのがおかしいんですね。主なものであるということで、確かに一つのプロジェクトレベル、これもプロジェクトといえばプロジェクトなんですけれども、大きなプロジェクトと小ちゃいサブプロジェクトみたいなものが並んでいるから難しいんで、こういうのを落としたっていいんでしょう。主なということだから。例えば、これは何億円以上のものを買うのか知りませんけれども、これは50億円ぐらいですか。

【 藤木宇宙開発利用課長 】

   そうですね。数十億円だと思います。

【 長柄委員 】

   数十億円オーダーのものでしょう。だから、ここに書くものはいずれも100億円以上ぐらいのものを書いてあるんだと。

【 栗木委員 】

   衛星1つをとりますと、確かにプロジェクトなんですが、衛星1つとまたH型ロケット、シリーズで上がる、また全体とが同列で並んでいるとか、そういったようなこともあって、確かに今、長柄先生がおっしゃったように、いきなりというのは難しいだろうなと。

【 長柄委員 】

   ですから、ここに書いてあるJ−1なんていうのは、J−1を開発するというのはもう終わっていて、OICETSを打ち上げるというのはあるんですけどね。ですから、J−1ロケットというのも書かなくても、OICETSのところに衛星の方はあるから。予算上は別々になっているのね。

【 藤木宇宙開発利用課長 】

   ただ、これはまだ1機しか上げていなくて、2回目のロケット、いろんなロケットデータとかとって、いろんな技術を蓄積するという観点から、まだ完全に民間に産業化したということではなくて、そういう意味では開発の末期であるということだとは思うんですけれども。

【 長柄委員 】

   あれも、そういえば数十億円だから。

【 栗木委員 】

   ただ、1号機、2号機続いていれば、1つのプログラムとして見たいという感じはありますね。

【 藤木宇宙開発利用課長 】

   それが終わった段階で完全に商業化する、産業化するようなものばっかり国としては一定の評価を行うということにはなっていると思います。

【 井口委員長 】

   予算要求上のこの書き方と、それから、評価を考えるときの分類といいますか、それと分けたところで別に差し支えないでしょう。

【 長柄委員 】

   別にいいと思いますよ。

【 栗木委員 】

   あるいは実施体制そのものをそうしないと、今後、NASDAもやりにくいんじゃないかなと逆に思いまして。

【 井口委員長 】

   別に二重帳簿というわけでもないし。だから、評価の観点から栗木先生に御意見を伺いながら直していく。

【 栗木委員 】

   それはかなり部会の中では皆さんのコンセンサスを得られて盛り込んでおりますので、認識は全部でき上がっていると。

【 井口委員長 】

   では、そのようにお願いいたします。
   それから、先ほど読んでいただきました文章、3ページの下から2つ目の○なんですけれども、この表現だと、やや抵抗を感ずるのは、「これらの基本的考え方を踏まえ、事業団は、ロケットについては、我が国が常に独自の輸送手段を確保できることを第一義に研究開発を進め」と言っている。だから、その次の段階でと読めるような気がするんですが、「その上で経済性などの向上を図り民間主導への移行を図る」となっているんですが、確かに、H−2の開発などは、当初始めたのがたしか15年ぐらい前なんですね。それから世の中が変わって、最近では産業化、コストの問題などが大きな関心として挙げられているわけですが、ただ、当初のH−2の計画自体は、それほど産業化から商業化までを考慮していたとは言えないかもしれない。そういう意味では、この文章はこのままでよろしいと思いますが、ただ、これからのことも含むと考えられますと、これでは困るといいますのは、設計そのもの、最初の計画の段階から経済性ということを考えなければ、技術開発オリエンテッドで作ったものでその次に経済性を考える、といったって基本的には無理なことです。少なくとも自動車技術のセンスからすれば。
   したがって、このように変えることはいかがかと思うんですが、「これらの基本的考え方を踏まえ、事業団は、ロケットについては」まではそのままで、その次に「経済性に配慮しながらも」という言葉を入れて、その後は同じです。「我が国が常に独自の輸送手段を確保できることを第一義に研究開発を進め、さらに市場競争力などの向上を図り民間主導への移行を図る」。図り、図る、図るというのが2つ続きますね。これは後で文章を直していただく。というのはどうでしょうか。

【 五代委員 】

   これは全くそうで、ここに書いてあるのは発想がおかしい。おっしゃるように、経済性を入れないものでエンジニアリングのものなんてありゃあしないですよね。ですから、今、委員長のお話のでいいと思いますね。
   それから、委員長の話で、H−2、経済性を考えなかったというのは間違いです。完全に、あれは市場に出すために考えました。間違いでしたら申しわけないけど。今の考えで、ともかくこういうものは開発しているし、してきたし、するべきであると思いますね。

【 井口委員長 】

   私が提案いたしました文章、今のでよろしいですね。

【 五代委員 】

   結構です。

【 井口委員長 】

   後で書いたものをお渡しします。
   ほかにいかがでしょうか。
   それから、伺っていて気になるのは、4ページ目の真ん中あたり、○で下から3番目なんですが、芝田課長さんが読み上げられたところですけれども、「また、これまでの事業団の宇宙開発活動の規模に比べて」、その次の次の行ですが、「宇宙開発の意義を踏まえ、国において」と書いてあるんですけど、国というのは、こういう書き方でお役所の文章はいいんですか。つまり、国ってどこが、ただ、要するに国でやってくださいという、国ってどこだか……。

【 芝田宇宙政策課長 】

   国という場合は、これは機関としての国ですから、政府ですね。

【 井口委員長 】

   つまり、これまでの宇宙開発委員会であれば、こういう書き方でもよかったような気がするんですが、総合科学技術会議というのがありますね。それも踏まえてもこういう表現でよろしいんですか。お役所の表現の仕方、なれないこともあるんです。

【 長柄委員 】

   総合科学技術会議は諮問委員会ですから、出すところじゃなくて、要は文部科学省と財務省と国会でいいのね。

【 芝田宇宙政策課長 】

   そうですね。

【 井口委員長 】

   そういう理解でよろしいわけですか。わかりました。
ほかにはいかがですか。

【 五代委員 】

   9ページの真ん中に、例えばってあるんだけど、ここだけ急に例えばが入っているのも。それだったらほかの欄だってということにもなる。重点を置きたいというヒントが出ているのはそうなんでしょうけど。

【 井口委員長 】

   いかがでしょうか。確かにこう書くと、こういうものも入れろという意見が出てくるしね。といって何にも書かないと、何を言っているかわからないという言い方もあるかもしれないし、難しい。

【 五代委員 】

   表ではあれかもしれない。

【 井口委員長 】

   表を入れると、またもっと大変かもしれません。これが落ちているとか、あれを入れろという議論になるんだろうと思います。

【 五代委員 】

   まさしくプログラムを書いてほしいという理念からだんだん外れていっちゃうような感じしますね。例えば以下は。

【 井口委員長 】

   いかがですか。入れない方がいいですか。少しでもわかりやすくという意味でお入れになったと思いますか。

【 芝田宇宙政策課長 】

   ええ、具体化しようという意図で書いただけなんですけど。

【 井口委員長 】

   じゃ、削りましょうか。細かい議論が集中する可能性はなきにしもあらずですけれども。

【 長柄委員 】

   私は、3つがいいのか、2つがいいか、1つでいいかというのはわかりませんけれども、一般の方は、基盤技術って一体何のことを言うんだろうという感じもあるかもしれませんですね。衛星とか何とか言えば逆にあれだけど。ですから、最初の2つぐらいは書いてあってもいいんですか。これは例えばですね。例えばこんなものよ。普通のコンピュータじゃないんだよと、ここに載っけるのはというような意味でですね。衛星に載せるコンピュータというのは普通のそこらあたりにあるコンピュータじゃない。全くかどうか知りませんけれども、違うものを載せるんですよと。

【 井口委員長 】

   しかし、宇宙線に強いとか、そういった。

【 長柄委員 】

   そういう意味の。ここが非常に軽くなきゃいかんとか。私はあってもいいと思いますよ。2つぐらいは。

【 井口委員長 】

   いずれにせよ、パブリックコメントをこれから求めて、それを踏まえて、また書き直すことを。

【 芝田宇宙政策課長 】

   書き直して、またこちらにお諮りするということで。

【 井口委員長 】

   それじゃ、2つぐらいに絞るということで一応進めさせていただくことでいかがでしょうか。

【 五代委員 】

   今の、衛星用ロケットの機能、性能を大きく左右するような、以下がすごく具体的。ような技術というのは。我が国が得意として、衛星ロケットを左右するような技術は独自でやるということなのかもしれない。何かそこに、もちろん非常に重要なのは知っていますよ。高性能姿勢制御技術、計算機、それから、ちょっと毛色が違うけど、太陽電池とか、そういう話がぱっぱっと出てくると、そうすると、あれも入れろ、これも入れろじゃないけど、1つ1つ説明せにゃいかんとか。共通的に今みたいなの、このぐらいでどうかなと思うんですけどね。いや、ほかのところもみんな入ったらあれだけど。

【 井口委員長 】

   いかがでしょう。パブリックコメントを求めて、その結果を踏まえて、もう一度検討するということにいたしてはいかがかなと。

【 五代委員 】

   いいですよ。バランスが悪いと思っただけです。

【 長柄委員 】

   今、パブリックコメントを求めるのは、文部科学省が求めて、文部科学省が適切かどうか判断されるんであって、宇宙開発委員会じゃございませんので。そうですね。

【 芝田宇宙政策課長 】

   ただ、議決していただくことになっていますから。

【 長柄委員 】

   その件じゃ文部科学省が作成されたものを宇宙開発委員会がいいか悪いか、どうコメントを言うかということであって、宇宙開発委員会がパブリックコメントを求めるわけじゃないです、これは。

【 芝田宇宙政策課長 】

   文部科学省の案として。

【 長柄委員 】

   文部科学省が求められるんであって。

【 芝田宇宙政策課長 】

   文部科学省の案として一応まとめて、それを議決していただくという手続。

【 井口委員長 】

   そうすると、我々は、まず、文部科学省に案として提出することになりますか。

【 芝田宇宙政策課長 】

   こういうことを書きなさいということをこの場で議論していただいたので、それを指示を受けて案を作りましょう。

【 井口委員長 】

   文部科学省が作って。

【 芝田宇宙政策課長 】

   それをパブリックコメントで出します。最後に議決していただくということです。

【 井口委員長 】

   ほかの点はいかがでしょうか。もう2回御審議いただいたわけですけれども。
   それでは、以上で、幾つか意見がありましたけれども、それを踏まえて、文部科学省の方で基本計画案を作り、パブリックコメントを出されるということにいたしたいと思いますが、パブリックコメント、どのくらいのコメントが来るかですけれども、できれば一々返事を出すということになりますね。

【 芝田宇宙政策課長 】

   それは一覧表を作って、また先生方に御覧いただくようにします。

【 井口委員長 】

   スケジュールというか、時間はいつごろなんですか。

【 芝田宇宙政策課長 】

   今、腹づもりとして思っていますのは、パブリックコメント、2週間ぐらいかかると思っておりますので、6月の中旬ぐらいに、これをまたこちらの会議にお戻しする機会があろうかと思っています。

【 井口委員長 】

   ほかにいかがでしょうか。そんなことで進めてしまってよろしいでしょうか。

【 栗木委員 】

   パブリックコメントを求める場合は、「記」以下がということですか。

【 芝田宇宙政策課長 】

   「記」以下です。「記」以下をそのまま書いたものを。タイトルだけちょっと変えてですね。

【 栗木委員 】

   そうすると、「記」以下ですと、中長期戦略を踏まえたということは一応出ている。

【 芝田宇宙政策課長 】

   それは基本計画の頭としても取り入れられると思いますので、書きます。パブリックコメントで出す前にもう一遍先生方に御確認いただきますので。

【 井口委員長 】

   それでは、以上で宇宙開発に関する基本計画に盛り込む案について御審議をいただいたということで、ありがとうございました。
   それでは、あとは、前回、第18回の議事要旨を後ほど御確認いただきますようにお願いいたします。
   以上で第19回の宇宙開発委員会を閉会にします。どうもありがとうございました。

午後2時35分閉会




(研究開発局宇宙政策課)

ページの先頭へ