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計画部会 輸送系ワーキンググループ(第2回)議事録・配付資料

1. 日時
  平成18年11月24日(金曜日)10時〜12時40分

2. 場所
  科学技術政策研究所会議室 964、965会議室

3. 議題
 
(1)   我が国における宇宙輸送系の今後の取組について
(2) 次期固体ロケット計画について
(3) その他

4. 資料
 
資料2−1−1   我が国における宇宙輸送系の今後の取組について
資料2−1−2 我が国における宇宙輸送系の今後の取組について(参考資料)
資料2−2 次期固体ロケット計画について
資料2−3 第1回宇宙開発委員会計画部会輸送系ワーキンググループ議事録(案)

5. 出席者
 
  宇宙開発委員会計画部会部会長   青江 茂
宇宙開発委員会計画部会部会長代理 松尾 弘毅
宇宙開発委員会委員 森尾 稔
宇宙開発委員会計画部会特別委員 中須賀 真一
宇宙開発委員会計画部会特別委員 棚次 亘弘
多摩六都科学館館長 たか柳 雄一
社団法人日本航空宇宙工業会常務理事 田中 俊二
社団法人日本経済団体連合会宇宙開発利用推進委員会宇宙利用部会長 中田 勝敏
東京大学大学院理学系研究科教授 牧島 一夫
日本ロケット協会会長 村上 卓司
九州工業大学工学部教授 米本 浩一
オブザーバー(独立行政法人宇宙航空研究開発機構)

河内山 治朗
文部科学省大臣官房審議官(研究開発局担当) 板谷 憲次
文部科学省研究開発局宇宙開発利用課長 奈良 人司
文部科学省研究開発局参事官(宇宙航空政策担当) 池原 充洋
文部科学省研究開発局宇宙開発利用課課長補佐 伊佐 進一
文部科学省研究開発局参事官補佐

萩原 貞洋
【説明者】  
独立行政法人宇宙航空研究開発機構
  宇宙基幹システム本部 今野 彰
宇宙基幹システム本部 森田 泰弘

6. 議事内容
 

【青江計画部会長】 それでは第2回輸送系ワーキンググループを始めさせていただく。本日は、まず宇宙航空研究開発機構(JAXA(ジャクサ))から、我が国の宇宙輸送系の今後の取組と次期固体ロケット計画について御説明していただいた後、御議論をいただきたい。

資料2−1−1「我が国における宇宙輸送系の今後の取組について」及び資料2−1−2「我が国における宇宙輸送系の今後の取組について 参考資料」に基づき、JAXA(ジャクサ)の今野プロジェクトマネージャから説明があった。

【青江計画部会長】 JAXA(ジャクサ)からの資料の2ページに基本方針とあるが、JAXA(ジャクサ)としては、まずは第1には基幹ロケットの仕上げの段階を確実に進めていきたい、第2に、いろいろな輸送需要がこれから出てくるため、それに柔軟に対応できるような輸送体系を構築したいということ、第3には、より長期的な課題について着実な研究開発を積み重ねていきたい、ということである。JAXA(ジャクサ)として、これを大きな骨格と考えているということである。

【牧島教授】 JAXA(ジャクサ)からの説明をお聞きして、やはりキーポイントの一つはJAXA(ジャクサ)と民間がどのように連携をし、かつ、どのように責任を分担するかというところかと思う。例えば資料の3ページに、開発責任はJAXA(ジャクサ)が保有するとあるが、もう少し具体的にJAXA(ジャクサ)としての考えをお聞かせ願いたい。

【JAXA(ジャクサ)(今野)】 現在運用しているH−2Aロケットに関しては、開発は国が進めてきたものであり、不具合等が起こった際に、開発自体が問題であった場合にはJAXA(ジャクサ)がその解決策を示す必要がある。ただし、製造及び打上げについては、民間でしっかり責任を持っていただくということで切り分けてある。それから、安全確認に関してはしっかりと国が行うということである。

【青江計画部会長】 H−2Aロケットについての官民分担と、次回御議論いただく予定の、中型ロケットについての官民分担は、様相が全然違ってくるわけである。先程、JAXA(ジャクサ)よりお答えいただいたのは、H−2Aロケットについての整理である。

【JAXA(ジャクサ)(河内山)】 これは将来の話であるが、基本的には開発についても民間が責任を持つような形にしたいと考えている。ただし、リスクの高いところについては国が担うということである。その一つの例が今開発を進めているH−2Bロケットであるが、基本的にはプライム制で開発においても民間が責任をもつような形で進めているが、リスクの高い部分については国が責任をとるという形で進めている。今までとは違った形で進めていきたいと考えており、実際にH−2Bロケットで、その端緒の形が示されている。

【牧島教授】 いろいろな議論があるかと思うが、私としてはやはり、開発はJAXA(ジャクサ)が主導するべきものだと思う。その方が効率がよいと思っている。

【田中常務理事】 官民分担の話があったが、このH−2Aロケットについては一応システムとして完成したということであって、その後どうやって運用していくかを考えたときに、アメリカなどではmake and improveとよく言われているが、一つの確立したシステムに対して、小規模ではあるが、開発を継続して行うことで、システム全体の信頼性の向上や、コストの低減に資するということがあるので、今後ともmake and improveの中で官が主導する必要があるのではないかと思う。

【JAXA(ジャクサ)(今野)】 それについては、資料にもあるとおり、更なる信頼性向上の取組ということで、信頼性向上プログラムを継続して行い、リスクの抽出や検証活動をJAXA(ジャクサ)としても続けていかなければならないということである。信頼性を維持するためのノウハウも含めた、維持活動を支えていかなければいけないのではないかということである。

【青江計画部会長】 官民分担については、どうもロケットについては普通の技術開発とは相当違うのではないかと思う。それは各国について見るとどうもそうらしい、ということである。普通の技術開発では、非常にリスクが高く、民間ではそのリスクを負い切れないようなものについて、また、公益性の観点から重要なものについて、国が主体となって開発を進めるわけである。ある一定のところまで開発が進めば、それを技術移転し、民間にバトンタッチをした時点で、官の役目が大体終了するということである。そして実用化を遂げていくというのが普通のパターンだと思う。しかし、どうもロケットについては、各国の実態を見ると、一種のロケットの特殊性ということなのか、国が相当手を入れた形で技術を育て、発展させていくということを考えなければならないという感じがするが、いかがか。

【牧島教授】 そう思う。

【中田宇宙利用部会長】 確認したいのだが、国がこれから行う改良に対して、ある程度の責任を持つということになる。その改良を決める責任は、プライムメーカーであるロケットメーカにあるのか。私は、運用も含めてそういうふうに認識していたが、一体誰がアイテムを選択するのか、そこのところを確認させていただきたい。

【JAXA(ジャクサ)(河内山)】 決定権については、官の側にあると考えている。当然、その過程で民間側と話をする。先ほど言われたけれども、国として責任を持つ必要があるという話として、リスクの見方というのが極めて重要になる。
 それから、これは追加しておきたいのだが、信頼性向上プログラムの一環として、H−2Aロケットについては、例えば2段の燃焼振動が結構大きいので、LE−5Bエンジンの改良型を作っている。これも信頼性向上プログラムの中でやっていて、完成後は民間に移管するということでやっている。

【青江計画部会長】 JAXA(ジャクサ)からの資料の2ページ目について、こういったことが日本の輸送系についての今後10年の課題についての整理であるが、これで大筋は問題ないか。

【村上会長】 技術の所有権ということについて、予算を投入したその後の発展した部分の所有をどう整理するか、そういった条件みたいなものはきちんと定まっているのか。打上げ業務の民間移管についても、もう少し定義をはっきりさせた方がよいのではないかと思う。製造の民間移管ならまだ分かりやすいが、何かおおまなか言い方しかしていないような感じがする。

【JAXA(ジャクサ)(河内山)】 基本的には明確になっていて、民間移管というのは製造を含めた打上げ作業のことであり、もしJAXA(ジャクサ)以外の打上げ業務を受託した場合は、ちゃんと使用料を取るとか、そういった取り決めが既になされている。

【中須賀特別委員】 繰り返しになるかもしれないが、多分、大きく二つのことをやっていかなければならないと感じている。一つは、ロケット技術を枯らしていって、打上げ回数を増やして信頼性を高くし、当然価格も安くなるということで、実用に近いロケット技術に向けてしっかりやっていかなければいけないということと、それからもう一つは、ロケット技術者の維持及びロケット技術自体の維持という観点から言うと、多少の新しい開発要素を常に取り入れて、挑戦していかなければいけないということである。これらをうまく切り分けて、この二つの軸でしっかり考えていかなければいけない。
 例えばロケット技術を枯らしていくためには、やはりロケットの打上げ回数が必要である。信頼性向上プログラムをいくらやっても、それを実践していかなければいけない。世界的に売れるためには、やはりその実績が物を言う。何発連続成功したとか、その実績が物を言うということを考えると、数多く打ち上げるための仕組みを考えていかなければいけないと思う。今日お伺いした中では、その辺が極めてあいまいに書かれていて、どうやって本当に数多く打ち上げていくのかということが見えない。例えば国のアンカーテナンシーと言っても、そんなにたくさん衛星を国で作るわけにもいかない。そうであるなら、例えば海外に売り出すということをもっと真剣に考えてなければならない。では、国としてどういうサポートをしていくのか。或いはそれを民間に全部任せるという方針なのかどうか、この辺のことがあまり見えてこない。
 それからもう一つは、新しい技術開発についても、将来に向かってどういうロードマップでやっていくかということがあまり見えてこない。

【青江計画部会長】 今の御議論のあった点を含めて、要するにJAXA(ジャクサ)側の提起というのは、まず問題設定を、基幹ロケットを作り上げるということに命題を置いて、そして、中須賀特別委員がおっしゃったような技術を枯らすということ、それから、新規技術の維持・発展という対応策の形で、いわゆる基幹ロケットを確立し、更に発展させるというシナリオが描かれているわけである。
 ということで、基幹ロケットを確立していくというための方策として、JAXA(ジャクサ)側からの提言が、4ページに3項目書かれているわけである。これらについて、中須賀特別委員がおっしゃった角度から見ると、どうであろうか。

【JAXA(ジャクサ)(今野)】 それについては、まず更なる信頼性向上への取組ということで、技術を枯らしていくというプロセスについては参考資料の12ページに書いてある。ロケット信頼性向上プログラムということで、体系的なデータベースの構築等の活動を継続的にやっていくということである。
 もう一つは、フライトを重ねる中で問題が出てきたものについて改良設計を行っている。具体的にはLE−7Aエンジンは、初期段階はショートノズルであったが、今は性能を回復させたロングノズルに変更している。それから、水素のターボポンプについてもインデューサの設計変更を、また、酸素のターボポンプについても設計変更を継続中である。それから、SRB−Aに関しては局所エロージョンを全く排除する改良など、フライトモデルの信頼性向上の努力を行っている。
 それともう一つは、技術をより枯らすということで、失敗につながる故障モードを漏れなく全部抽出するためにはどうしたらいいかとか、潜在的なリスクを抽出し、それがどの程度検証されているのかとか、或いは検証されていなかったら追加検証を行う、といったことを継続的に行っていくということである。

【米本教授】 中須賀特別委員がおっしゃっているのは、一つは技術的に信頼度を向上するためのいろいろな方策を立てていくということであるが、後はロケットの打上げ回数が重要だということだと思う。というのは、今現在見えているのは、これまでの失敗や問題に対して、どういう技術的改良をしたらいいのかという、あくまで現時点で見えている方向である。でも、実際に、打上げを重ねると、新しい課題はどんどん出てくる。では、どうやって数多く打ち上げることができるだろうか。官需では数が限られているため、民間のロケットとして使ってもらうための方策を考えるということではないかと思う。
 では、民間のロケットを使ってもらうための方策はというと、それはコストが重要だと思う。衛星によってビジネスを展開する場合には、どうしてもコストが重要になる。コストを削減する方策があれば、外国の衛星を打上げるチャンスが増えてくると思うので、そういった観点で何か方策はないか、ということだと思う。

【JAXA(ジャクサ)(河内山)】 現在検討中であるが、一つは日本的なアンカーテナント方式というものを考えている。中身については現在検討中であるが、方策の一つとして考えている。
 二つ目が基盤維持プログラムというのを来年度以降実施したいと考えている。中身はどういうことかというと、もともと今現在、打上げに関して、JAXA(ジャクサ)が本来やるべきものの整理をきちっとして、当然、分担できるようなところがあるのではないかということで、いわゆる打上げ経費を下げていく検討をあわせて行っている。
 これらを行うことで、国際的に競争力のあるような形で打上げ回数の増加が望めるのではないかということで、現在、具体的な内容を詰める作業を関係者とJAXA(ジャクサ)で連携して進めているところである。

【棚次特別委員】 最初の基本方針の話に戻るが、H−2Aロケットは我が国の宇宙活動のためのロケットになるのか。ここでは「我が国の」という言葉が非常に多く出ているが、民営化されると、当然、民間は世界を相手にビジネスをやることになるわけである。したがって、H−2Aロケットが世界でどういう位置付けにあるのか、或いは民間企業がどういうふうに世界的にこのH−2Aロケットを展開していくのか、といったことについてどう考えておられるのか。すべてに対応することはできないと思う。したがって、日本のH−2Aロケットは世界でこの部分を担い、こういったビジネスを展開していく、ということが重要になるのではないかと思う。

【JAXA(ジャクサ)(河内山)】 民間側がどう考えているかということについては、お答えすることがなかなか難しいが、我が国の基本的なスタンスは先程申し上げたとおりである。その中で、信頼性向上を図るためには、打上げ機会を確保する必要があるということで、民間の衛星も打ち上げることを視野に入れている。目標としては、2トン級の衛星の打上げをまず対象に考えている。基本的には現在の市場価格に対応できるような形に今後持っていきたいということで、メーカーと一緒になって、先ほど申し上げた信頼性向上プログラム、或いは日本的なアンカーテナント方式を検討しているところである。

【棚次特別委員】 H−2Aロケットを基幹ロケットとして国が開発していく場合には、もう少し最初の段階から民間の意向を入れるべきだと思う。一方的に作って、さあ民間に移してビジネスをやりなさいということではなかなか民間としてもやりにくいと思う。例えば3ページ目に書いてあるようなことは、泣き言のように聞こえる。これはやはり民間の意向を最初から聞いていないからこういうことになるのであって、もうでき上がっているものを今さら言ってもしようがないが、今後、H−2Aロケットをどういうふうに展開していくかということを考える際には、民間の将来のビジネスを踏まえて、それを考えに入れていかないと同じようなことが起こるのではないか。

【JAXA(ジャクサ)(河内山)】 H−2Aロケットについて、民間の意向を入れていないわけではない。市場がかなり大きく変わってしまったというのが一番大きな問題点であって、それによってかなり苦労している。もう一つは将来の基盤をもともとよく考えていなかったということがある。それは右肩上がりで拡大していくということが前提になっていたところが問題になっていて、そこを改善していかなければいけないと考えている。
 それから、民間の意向の話であるが、H−2Bロケットについては民間の意向も入れており、徐々に改善される方向へ向かっている。

【松尾計画部会長代理】 打上げ回数を増やそうというこの種の議論は今までもあったが、打上げ回数を増やして技術を枯らせよう、民間も使えるようなものに一生懸命安くしようという話だけで終わってしまう。もう一つの考え方として、所詮は、官需プラスアルファぐらいしか期待できないという前提に立って、その中で信頼性をどうやって確保していくのかというところから議論を始めて、それこそ世界のシェアを席巻できるようなものを目指すというアプローチもあるのではないかという気がする。官需プラスアルファという言い方は極めて語弊があるかもしれないが、議論の始め方としてそういうアプローチもあるのではないかという気がしている。
 それから、基幹ロケットというのは、従来思っていたイメージではもう少し多彩なものだと思っていたわけだが、議論を聞いていると、中型ロケットの議論は次回になるけれども、どうも基幹ロケットというのは不便なものだということが強調されているような気がする。だから、ここは基幹たるもの、もう少し賑やかでいいような気がするが、これが技術移転ということの基本になっているという意義はあると思う。

【JAXA(ジャクサ)(河内山)】 基幹ロケットについて、例えばデュアルローンチに関しては対応性が低いという話があるが、デュアルローンチの方がいいものもある。同じ軌道に衛星を二つ投入するという話になるが、今問題になっているのは、その信頼性が本当に十分なのかということである。まだ高いレベルまでいっていないところがあって、それが解消できると今よりももっと柔軟にデュアルローンチに対応できるようになり、基幹ロケットとしても効率が上がるわけである。現在はまだ、H−2Aロケット6号機の失敗の影響を受けている状況であって、今後、改善して基幹ロケットとして、どんどん打てるようなロケットにしていきたいと考えている。

【米本教授】 現実としては、松尾委員がおっしゃったように官需プラスアルファで何とかやっていかなければいけないということで、それはみんな同じ認識だと思う。それを引っくり返すようなアイデアについては、打上げビジネスが余り成り立っていない現状からも、民間の力だけでは到底なし得ない事業である。アメリカにしろヨーロッパにしろ、官の予算を投じつつ、民間がビジネスをやっているかのような形になっているが、国がかなり後押しをしているということである。つまり、国がもっとビジネスにも関与して、日本のロケットを使いなさいというという道もあるかもしれない。
 つまり、今のまま延長線上でいけば、松尾委員の言うようにビジネスの機会を増やしていく機会があまりないということである。一時は衛星をたくさん打ち上げるということがあったので、それが民間移転のきっかけになったと思うが、そうでなければ、もっと国が力を入れるやり方もあるのではないか。
 もう一つはコストである。ユーザーの側としては、打上げロケットが高ければ利益にならないので、やはり安いロケットを使いたい。もちろん、信頼性は当然である。では、思い切ってコストを下げてしまうためにどうすればいいのか、要するに、国がコストを下げるために予算を注入することも、ロケット打上げは事業として非常に特殊なので、そういうやり方もあるのではないか。

【青江計画部会長】 ここまでの議論を整理すると、まず、中須賀特別委員から、とにかく技術を枯らすという一つの軸があるということであった。そのためにはとにかく打上げ回数をこなすということになるわけである。しかし、実態を見れば、松尾委員が言われるとおり官需プラスアルファであるということである。そうすると、国は官需で基幹ロケットを利用するという基本的な方針のもとに着実に利用するということである。
 その上で、民需というものをどう獲得していくのかということについては、JAXA(ジャクサ)側からいろいろな方策をこれからやっていくということであった。税金の使い方の問題であるから、納税者にきちんと説明ができなければならない。その範囲内で、対応策はいろいろ考えており、手を打っていくということである。
 米本先生からは、そこをもう一段ジャンプして、相当思い切ったことを考えた方がいいのではないかという話であった。

【棚次特別委員】 アメリカやヨーロッパはそれに近いことをやっている。一つ言えることは、ロケットよりも衛星の方がはるかに高いということが非常に問題である。アンカーテナント方式はいいが、一発のロケットを打ち上げるために、その数倍の価格の衛星を作らないといけないから、それであれば衛星を打ち上げないで、空打ちで10発ぐらいロケットを打ち上げた方が、予算的には安くなるのではないか。そういった技術の枯らし方も考えられるわけである。ヨーロッパもかなり予算を注ぎ込んでいるように思う。例えばH−2Aロケットだと、民間のユーザーを獲得できるのが、60億円台だと言われている。だから、30億円以上補てんしない限りは、民間は独自にユーザーを獲得できないような状況だと思う。ここは本当に米本先生の言うとおり、何か新たな仕組みが必要かと思う。

読み方を入力してください柳館長】 基本方針に述べられている世界水準の信頼性を有し、先程のコストと性能との均衡の取れたものを目指すということ、それから、この過程を通じ、我が国独自の特長ある技術の適切な選択と重点化を行なうということが両立しないことはないのかが気がかりである。我が国独自の特長ある技術が、シェアを拡大していくときのセールスポイントにもなるのか。つまり、あの国が独自の技術を持っているからあの国のロケットで上げたいというような状況はあるのか。

【JAXA(ジャクサ)(河内山)】 基本的にはそういう選択が行われるような状況にはない。将来的には、例えばエンジンだけで売るとか、部品を売るという意味での将来に向けた投資という部分が多い。ただし、固体ロケットについてはシステムとして維持するという観点から、現状では、独自の技術が理由でロケットを使うというところにはまだ至っていない。
 それから、松尾委員がおっしゃったように官需プラスアルファで何とかするということを具体的に考えていくと、先ほど棚次特別委員が言われたように、世界的なロケット打上げ価格に対してどうしていくのかということは、JAXA(ジャクサ)が本来的にやっている業務の中で吸収できるところと、日本的なアンカーテナント方式を考えていけば可能となるところと、それぞれ議論しているところである。

【村上会長】 私は目標設定が間違っているのではないかと思う。日本は、アメリカより大体3割ぐらい物価が高くて、中国に比べれば10倍も賃金が高い。一方で、アメリカの場合は軍需などもある。それから、中国ももちろん国を挙げて推進している。或いはロシアは、要らなくなった大陸間弾道ミサイル(ICBM)を転用するとか、そういった状況の中、こんなに賃金の高い我が国でロケット打上げを商業化しようなどということを、そもそも本当にまじめに考えるべきことなのかという気がする。それよりも「我が国における宇宙開発利用の基本戦略」にあるように、「宇宙という特殊環境を舞台にした活動を通じた革新的な技術」を目標にして、それが納税者に対する還元であると設定し直す方がいのではないか。
 例えば、なぜいろいろな関係企業が撤退しているのか。信頼性向上ということで枯らす技術は何だということだけを考え、新しい開発が何もなくなっているという状況の中で、ついていく企業があるだろうか。従来は何か新しいものや、他に転用できるようなものがあったからついていく企業がいたと思う。これからは、技術を枯らしていくことだけやるのか。そんなつまらない宇宙開発であれば、やめてしまった方がいいのではないかという気がしてしまう。

【田中常務理事】 基本方針の中に、国として必要な人工衛星を必要なときに独自に宇宙空間に打ち上げる、という前書きのもとに始まっているわけであるが、そういった観点からすると、基幹ロケットを維持していくということだけでなく、そのロケットシステムを維持するために必要な経費は、当然、国が保証するのだという思想が背景にあってしかるべきだと考えている。官需プラスアルファの世界であるということは、現状としてはもっともであるから、その官需の中でこの基幹ロケットを少なくとも維持できるような、そういった発想が必要ではないかと思う。

【松尾計画部会長代理】 先ほどたか柳館長から話があったが、いろいろな指標については、相関関係があって、例えば信頼性は、これは人によって考え方は違うけれども、私はトレードオフ可能な概念だと思っている。それ自体が絶対ではないと思っているので、いろいろなものと絡み合ってはじめて意味があるようなものだと思っている。そういう意味で、性能、信頼性、コスト等を、一つだけ取り上げて、それを絶対化しても意味がないと思っている。

【青江計画部会長】 私も少し意見を言わせていただきたい。まず、基幹ロケットは国として最小限維持すべきということがまずある。その上で、民間の受注機会が加われば、これはとてもありがたいことである。それが成り立てばよりいいことなのだから、何か打てる手は打っていきたいということが、JAXA(ジャクサ)の立場ではないかと思う。

【村上会長】 要するに技術成果として何を目指すかによって変わってくると思う。信頼性を高めて前面に押し出すのは民需の獲得である。総合科学技術会議ではどちらかと言えば、総合的な安全保障を前提に技術を維持していくとか、そういった開発をしていく、ということを言っている。だが、前面に出てきてこういうふうに書かれると、それがすべて宇宙開発の大きな目標だということになってしまわないか。計画を作っていくときに、総合的な安全保障だけでは全体の方向付けが歪められた形にならないかなということが少し心配である。

【森尾委員】 最初に国として必要な打上げを行うという大前提があって、それにかかるコストが問題だといっている。やはり、いかに効率的に実践するかということが問われているのだと思う。例えば、民間移管した後も開発に係る部分はJAXA(ジャクサ)の責任であると言っているが、実際は、民間に移った後、何か事故が起こればJAXA(ジャクサ)は共同責任を負わざるを得ないと思う。
 というのは、例えば、コスト削減のために小さな変更をして、JAXA(ジャクサ)がその承認権を維持せずに、JAXA(ジャクサ)の開発設計をしたエンジニアの知らないところでどんどん変更が続くということは考えられない。だから、変更に対する承認権は、結局JAXA(ジャクサ)も責任を持つということになるので、H−2AロケットのようにほとんどJAXA(ジャクサ)で開発して民間に移管したもの、或いはGXロケットのように部分的にJAXA(ジャクサ)が開発して、全体は民間が開発したものであっても、結局JAXA(ジャクサ)は共同責任を持たざるを得ないと思う。
 必要なときに打ち上げるためには信頼性が高くないと打ち上がらないわけである。そのために、完成して民間に引き渡したものについても、今後もいろいろな実験をすると言っているわけで、それは、何か打上げのお手伝いをしているようにも見えるけれども、実はJAXA(ジャクサ)が打上げ機会を利用させていただいている。そうすると、そのコストをJAXA(ジャクサ)、すなわち国が負担してもおかしくないわけで、飛行機産業と似て、こういうロケット産業というのはおそらく、どこの国でもある程度国が援助しないと、産業として独立できないものだと思う。それをいかに納税者が納得できる形で、しかも、民間とJAXA(ジャクサ)が共同して一番効率よく信頼性の高いものを開発するかという、その手法を問われているのだと思う。それに対するいろいろな知恵を出していかなければいけないのではないか。

【青江計画部会長】 JAXA(ジャクサ)の資料の4ページ目のロケット生産基盤の確保というところにあるように、現状はこういう状態にある。メーカーの撤退や、それから部品問題といったものが現実にある。国としてとにかく基幹ロケットはきちっと維持をするということだが、現に足下を見ると、こういう状態になっているということは大変深刻な問題であり、それへの対応ということも非常に大きな課題である。こういった点について御意見をいただければとも思う。

【JAXA(ジャクサ)(今野)】 まず、設備に関して、特に打上げ設備、それから製造設備に関してだが、H−2ロケットから使っているものが共通的にかなりある。もう二十数年使っているので、それは計画的にちゃんと更新をしていかないと、その維持ができない状況になっている。これは計画的に実施するということである。
 それからもう一つは、部品や材料の枯渇について、特に部品の枯渇に対しては国産部品だけではなく、外国の部品を使っていても、現実にはそういう状況が起こっていて、そういった部品についてはやはり再開発を余儀なくされている。次のステップとしては、今後は、やはり必ずセカンドソースを考えながら開発・設計をしていかなければいけないということだと思う。それは実際に信頼性向上プログラムの一部として対応しつつあるということである。

【青江計画部会長】 これも現実問題として、先ほどの民需の確保という問題と、対応としては相当重なっているのであるが、しかるべき対応を考えていかなければいけないということであろう。

【中須賀特別委員】 中小企業をいろいろと入れようとされたけれども、中小企業の方々とお話をすると、一番厳しいのは品質保証という問題をどうやって考えていくかということである。物を作る技術があっても、その品質が本当に宇宙という非常に厳しい環境の中で保証されているのかどうかということが非常に大変だということである。どれだけいい技術を持っていても、これではだめだと言われることが多いということを言っていて、そういうところまで考えて中小企業を保っていかなければいけない。一方で、品質保証の基準を緩めると信頼性が下がってしまう。このジレンマをどう解決していくか、こういう根本的な問題もあるのではないかと思う。
 それからもう一つは、中小企業の方々とお話をしていると、宇宙というものに対するブランドイメージがなくなってきたと言うのである。これは非常に残念なことであるが、彼らは現実的にそんなことを言っていられない。ブランドイメージがなくなってきたということは、我々としても非常にがっかりすることであるが、それが現実だということで、彼らのいわゆるボランティア的な協力もあまり仰げなくなってきたということも事実である。その辺の現実をしっかり見て、どういう対策をとっていかないといけないかを考えていかざるを得ないということを、いつもそういった方たちと話をしていると感じる。

【青江計画部会長】 中須賀特別委員のおっしゃったことは、最初に言われた技術を枯らすということと、一方で技術をより発展させるという流れと、それらを同時並行できちんと持っていかないといけないという御指摘であった。それに対して、JAXA(ジャクサ)としては、ブロックアップグレードというやり方で技術を発展させていくのだということであるがいかがか。

【棚次特別委員】 常に実用ミッションを抱えながら技術開発をしていかないといけない。高度な技術開発をやるとどうしてもリスクが伴うわけであるが、そのリスクを抱えながら実用に供していかないといけないというところがあるわけである。だから、アンカーテナント方式で、そのために無理矢理ミッションをひねり出すようなことをするのであれば、5機に1機ぐらいは試験機を飛ばしてみてはどうかと思う。空荷で打ち上げるということは国民からの批判があるかもしれないが、技術開発というリスクを抱えている以上、ある程度まとまった技術を構築したときには、それを実証するために空荷で打ち上げてはどうか。技術実証用の機体を打ち上げて、信頼性を上げるということをすべきだと思う。

【JAXA(ジャクサ)(河内山)】 ブロックアップグレードの中身については、そういう形で、ある程度まとまったところで試験機のようなものを打ち上げるというステップアップのやり方を考えている。それが今まだ具体的に見えるようになっていないのは、ブロックアップグレードを含めて具体的にどうするかというロードマップがまだでき上がっていないからである。予算的なものも含めて検討する必要があるため、現状まだそういうレベルになっている。

【松尾計画部会長代理】 H−2Aロケットは基幹ロケットとして、ある種の完成をしているわけであるが、どういうところを飛躍的に変えたいと思っているか。飛躍的とまではいわないのかもしれないが、比較的大規模な技術開発をやっていけなければ技術的に維持できないのではないかという議論があるが、それに対して、ブロックアップグレードとして考えているのはおそらくそういうことではないような気がする。どの程度のことを考えているか。

【JAXA(ジャクサ)(今野)】 ブロックアップグレードについては、技術開発を引き続き、国がやるべき技術を中心に進めていく。具体的には参考資料の21ページにあるが、例えばH−2Aロケットを全面的に全段変えるというのは非常に大きな変更なので、まず先行的に技術開発をやって、あるレベルまで達したら、それを適用して試験機なりで実証するという考えである。イメージとしてはステージの変更、それから実際にエンジン、アビオニクス、部品等の設計思想もかなり新しい世代の設計思想を入れた上で、開発を進めていって実証する。それで実証できたら部分的に世代交代して、H−2Aロケットの一部に採用するということである。
 それを、いわゆる信頼性基盤技術を中心にしてやろうということであって、設計の目標設定を、例えば破局故障に至らないエンジンを設計するというテーマを設定をして、そういう設定に対してエンジンの設計はどうあるべきかということを考えていくということである。
 具体的には、先ほどから高信頼性開発手法というものについていろいろ説明させていただいたが、要するに故障に至らないとか、破局故障に至らない、或いは故障しても機能を失わないとか、そういう設定をした上で、それに対して、故障モードを全部抽出できることが、設計がうまくできていることなので、いかに隠れた、我々が知らないような故障モードを検出するかという方法論が問題になる。それについては、一つは機能分析から、故障モードを徹底的に分析する手法、それから、方法2として、他国の不具合を徹底的に分析して我々の故障モードに取り込むことである。それからもう一つは、技術マップを作成して、その技術の成熟度を評価して、未成熟な部分についてはかなり故障が生じる可能性があるということで、そのリスクを故障モードとして設計的に取り込んでいくというやり方である。まずは徹底的にその故障モードを洗い出すということが第1ステップである。
 その次に、その故障モードに対して、実は設計のかなり初期段階から、その原因について故障の木解析(FTA)を行う。参考資料の16ページに示しているが、FTAというのは、今までは何かが起こったときにその現象に対して展開するというのが主たる目的だったのであるが、いわゆる設計のプロセスの中で主にこのFTAを展開して、その要因を設計の初期から洗い出して設計していくという形でやっていけないかという方向である。それで、具体的な設計のトレードオフも、信頼性、或いは潜在的リスクをある程度定量的に取り込んで、設計候補を選ぶ際のトレードオフの対象にしていく。

【青江計画部会長】 ブロックアップグレードという形で技術の開発を順次図っていくということであるが、現行の宇宙開発に関する長期的な計画には次期基幹ロケットという概念がある。言ってみれば次期基幹ロケットの開発という形の新規技術の開発、いわゆる新規プロジェクト、そういったことというのは当面考える必要はなかろうという意味か。

【JAXA(ジャクサ)(今野)】 今のブロックアップグレードを積み上げていけば、次のステップとしてそういうものにもつながっていくということである。要素技術はいろいろ習得できる。

【米本教授】 FTA等は、飛行機については当たり前であり、これはきっちりやっていかないといけない。それによって何が見えてくるかというと、単に弱いところだけではなくて、最後に本当につまらないことで失敗するということ、つまり恥ずかしいことで80億円が無駄になってしまわないための道具であり、これはやはり大事かと思う。全部が全部、信頼性を向上させるために何重も冗長性を組むと、本当に打ち上げるべきロケットも打ち上げられなくなってしまうが、FTAは非常に大事な手法なのでぜひ確立してほしい。これは地味な世界ではなるが、基本的な世界なので、今のH−2Aロケットで重点的にやっていただきたい。

【JAXA(ジャクサ)(今野)】 我々もH−2Aロケットの6号機の失敗後に故障モード影響解析(FMEA)ということをかなり詳細に行ったが、それでもまだ抜けているものがあるのではないかということで、それをいかにあぶり出すかということを、どういうことをやったらいいかということをいろいろ悩んで苦労しているところである。

【米本教授】 飛行機の世界では機器の故障もあるけれども、ヒューマンエラーもある。もしここを間違ったら一体どうなるのだろうかとか、或いは設計の中身もすべて間違っていたら一体何が起こるのかというところまですべて分析している。しかし、ロケットを構成している部品の一つ一つまで分析するとなると、部品の単位も非常に難しい。半導体までやるのかという話になったり、サブシステムレベルでやるのか、といったことが議論になる。飛行機の場合はヒューマンエラーもあるので、整備不良だとか設計ミスも含めて考えている。本当につまらない結果を招かないように、そういったところも含めてやっていただくといいと思う。

【JAXA(ジャクサ)(今野)】 承知した。

【青江計画部会長】 時間の関係で、先に進ませていただく。先ほどから、御議論をいただいているように、これから先、多様な打上げ需要が出てくると考えられるが、特に小型衛星に対応するロケットとして新たに次期固体ロケットというものを開発してはどうか、というJAXA(ジャクサ)からの提案である。まず、どういった構想かということを御説明いただいて、御議論をいただければと思う。

資料2−2「次期固体ロケット計画について」に基づき、JAXA(ジャクサ)の森田プロジェクトマネージャから説明があった。

【棚次特別委員】 資料の2ページ目の一番下に固体ロケットシステム技術の確実な維持継承と書かれているが、これがまさに一番重要な点であると思う。3ページ目にその必要性・意義とあるが、この中で固体ロケット固有の意義というのはどこにあるのか。液体ロケットでもできるようなことが書かれているような気がする。

【JAXA(ジャクサ)(森田)】 それはおっしゃるとおりである。固体ロケット固有のものは三つ目の「固体ロケットシステム技術の維持・向上」である。これはいろいろな御議論があると思うけれども、要は多段式の固体ロケット技術をいかに維持・発展させるかというところがこの次期固体ロケットの一つの大きな目的になろうかと思う。
 もう一つの意義は、小型衛星ミッションを支えるということである。先ほど申し上げた、多段式ロケットシステム技術の維持という観点からすると、ミューファイブロケットのような規模は必ずしも必要ないであろうというのがJAXA(ジャクサ)としての考え方である。

【棚次特別委員】 私が聞きたいのは、なぜ固体ロケットなのかということである。小型衛星の打上げに対応しやすいということか。

【JAXA(ジャクサ)(森田)】 そうである。小型という観点から言うと、諸外国にはさまざまな小型ロケットがあるが、現在、我が国が保有する技術の範囲内で、低軌道への打上げ能力が500キログラム程度のロケットを固体ロケットで作るか、液体ロケットで作るかということを考えた場合、決定的に固体ロケットで作った方が安いということが、第1の原因である。

【棚次特別委員】 どの程度安いのか。

【JAXA(ジャクサ)(森田)】 ちょっと記憶していないが、5割くらいである。

【米本教授】 日本の場合、500キログラムぐらいの小型衛星を打ち上げる目標で新しいロケットを開発したいということであるが、日本以外の他の国は、500キログラム程度の衛星について、これは主に科学ミッションだと思うが、その辺の動向どうなのか。世界的にはどういったロケットで対応しているのか。

【JAXA(ジャクサ)(森田)】 これまでというよりも今後を含めた話をすると、例のファルコンのようなロケットであるが、400キログラムとか、500キログラム弱とか、その辺りの衛星を打ち上げるロケットがあって、値段もかなり安い。例えばファルコンはアメリカのロケットであるから、アメリカの小型衛星のグループは、そういうところを当然視野に入れているだろう。ただし、小型衛星に関しては、これからである。今までもあったが、我々が考えているのは、今まで以上に数が増えるであろう世界を想定しているので、その世界を前提にすると、当面はファルコンとか、ロシアのドニエプルロケットとか、そういったところが出てくるだろうと思っている。
 ドニエプルロケットに関してはミサイル転用のロケットであり、いつまでも使えるわけではない。ファルコンは、これをどう評価するのかは難しいと思う。ホームページなどを見るとわかるとおり、例えば米空軍が毎年20機とか30機買うと約束した結果、それを前提に値段が出ているわけである。だから、本当のそのロケット固有の値段というのはわからないのである。我々は洗いざらい全部計算して、これだけ本当にかかるという価格を正直にあげた数字なので、なかなか勝負はできないと思う。
 これはアンカーテナンシーをどうするかといった話とも関係するので、今の段階で外国の小型衛星がどういうロケットを使おうとしているかなどというのをここで議論しても、なかなかかみ合う議論にはならないのではないかと思う。
 ここでやろうとしていることは、運用性という非常に簡単な言葉で書いているが、実はものすごく大きなことを言っていて、種子島でも似たりよったりである。あまりそのような地上設備は、打上げシステムとしては近代化されていない。だから、この次期固体ロケットでぜひともその辺のところを完成させたい。そうすれば、当然、H−2Aロケットにも波及する。もう少しロケットの打上げは簡単に淡々とできなければいけないのである。そのためには地上の設備の数も減らす。地上系と搭載系のインターフェイスをもう少し知能化して簡素にするということをしていかないと絶対変わらないのである。
 打上げの際に作業に関係する職員が何百人も必要というのは、今世紀の打上げ方法を考えた場合には、私としては古臭いと思う。そういうところの改革というのは、大きなロケットではなかなかできない。H−2Aロケットでは当然できないし、ミューファイブロケットでも大きすぎる。だからこそ、我々は小型ロケットでそういうところをやりたいということである。ただ小さいロケットを安く作るということだけでなく、新しい時代にふさわしい打上げ方式を構築しようとしている。だから、値段も大事であるけれども、外国との値段の絶対比較などというのは、この段階では意味がないのである。我々は打上げシステムを含めたら、まだ固体ロケットというのは完成させていないのである。この後、はじめて外国とまともな勝負ができる。そう思っている。

【米本教授】 私としてはあまりコストのことを、逆に言ってほしくない。というのは、ミューファイブロケットの80億円を20億円ぐらいまで下げるのが新しい次期固体ロケットだとしたら、あまりコストのことを前面に出すのはよくないのではないか。
 森田先生がおっしゃるように、ロケットをどんどん安くしていかないと宇宙開発につながらないのと同じように、今既にあるロケットももっと地上施設も含めた最適化をしていくということはすばらしいと思っている。そうしたら、なぜ種子島ではないのか、という次の質問になるが、種子島に集約して、たくさんのロケットを一つの場所で打ち上げるような、最適化はできないのか。

【JAXA(ジャクサ)(森田)】 当然、そういう議論もあろうかと思う。そういう議論もしながら決めていく必要があると思う。要は小型衛星を高頻度に打ち上げるということについて、予算の制約があるから、毎月打ち上げるというようなことは当然できないと思うが、我々が目指すのはそういうところである。そうすると、せっかく数を多く打ち上げようとしているのに種子島で打ち上げようとすると何が起こるのかというと、例えば大型ロケットの燃料の充てんの作業が重なると、小型衛星の作業はそんなに柔軟にはできなくなる。
 要するに、一つの射場にすべてを統合する最大の欠点は、実は運用性が悪くなって、必要なときに必要な整備作業ができなくなるのである。だから、内之浦である必要はないのだけれども、種子島の今の基幹ロケットの打上げ場とは別のところに小型ロケットの射場を作って、いつでも自律的に打ち上げられるようにした方がいいということで、既に内之浦の射場があるから、内之浦を第1優先で考えたらいかがかということである。

【JAXA(ジャクサ)(河内山)】 現状を踏まえたときのコストを考えると、内之浦が候補として一番ふさわしいということである。米本先生のおっしゃることはそのとおりであるが、現状を踏まえると、内之浦が有力であるという言い方に今はなっている。だから、双方の言っていることは正しいのである。

【牧島教授】 宇宙科学とロケット工学の両方の観点から見て、この次期固体ロケットは非常に重要で、ぜひともその開発を早く軌道に載せて、近い将来に実現していただきたい。たまたま科学衛星の打上げが1年半の間に、「すざく」、「あかり」、「ひので」と3機続いた。しかしその結果として、次の科学衛星までの期間がかなり大きく空いてしまった。このこと自体は偶然だが、それから後の科学衛星をどう打ち上げるか、今は全く見えていない。これが見えない限り、宇宙科学は死んでしまう。宇宙科学が死ぬと、日本の宇宙開発全体が死ぬと私は思う。宇宙科学は単なる基礎科学であって、一般社会に関係ないではないかと言う意見があるかもしれないが、私はそうは思わない。なぜかというと、ロケット工学も含めて宇宙科学には、四つ大きな役目があると思うからである。
 1つはもちろん、いいサイエンスをやることで、これは私たち科学者のある意味でわがままである。
 2番目には納税者に対して、宇宙というものが非常に魅力的であってすばらしいということを示すには、宇宙科学を用いるのが一番分かりやすい。
 3番目には探査機でもロケットでも、一番技術的に難しく挑戦的で新しい試みをできるところは宇宙科学の分野であり、実用の分野でそういう挑戦的なことをするのは非常に難しい。したがって宇宙科学が宇宙開発に対して、ある種の先導的な役割を果たすと思っている。その先導がつぶれれば、後続の本体もつぶれる。
 そして4番目には、大学でもメーカーでも、新しい人材を入れて、その人材に技術を引き継ぎながら育てていかなければいけない。そういう人材養成は、ロケット工学であれ、探査機の技術であれ、それを使ったサイエンスであれ、大学を主体にして行われているわけである。そこでの研究教育活動を支えるのが、まさにこの次期固体ロケットなので、その見通しが立たなければ宇宙科学が死に、結果として日本の宇宙開発はつぶれると思う。

【棚次特別委員】 次期固体ロケットに直接組み込むのは難しいかもしれないが、固体ロケットの一番根本的な問題の一つが、推進薬の中に強酸性のガスが含まれているということだと思うので、ある程度、中長期的な観点では、低公害化の推進薬の開発ということもぜひ入れていただければと思う。

【JAXA(ジャクサ)(森田)】 これまでミューファイブロケットは研究教育用にやってきたが、今度の次期固体ロケットは、小型衛星のミッションを必ず支えるという任務を持っているわけである。棚次特別委員がおっしゃたような将来を見越した研究は、今後もこのロケットをもとに行っていきたいと考えている。実際に低公害の燃料の研究というのは続けており、御指摘の点は十分了解している。

【田中常務理事】 この次期固体ロケットについては、宇宙の推進系の中で、この固体ロケットが消えることはないと判断しているので、産業基盤維持の観点からも非常に重要ではないかと考えている。
 先ほど世界の小型ロケットの動向についてお話があったけれども、ヨーロッパでベガという小型ロケットが開発中だと承知しているが、このロケットにおいてはたくさんの衛星を一度に打ち上げるべく、それをキャッチフレーズにしていると理解している。このロケットについては今後いろいろなトレードオフが当然なされるのだろうけれども、そういったたくさんの衛星を打ち上げて小型衛星の需要に応えるというような観点からは、どのような構想をお持ちなのか。

【JAXA(ジャクサ)(森田)】  ミューファイブロケットにおいても、既にサブペイロードという名前でJAXA(ジャクサ)の若手とか、或いは日本の大学の様々な衛星を載せるという工夫を始めているが、この次期固体ロケットもMシリーズの思想を受け継ぐものと考えており、研究教育という側面は大事にしたいと思っている。特に衛星を乗せるアダプターに関しては、実はミューファイブロケットというのは牧島先生を代表とするプロ用の仕様なのである。衛星とロケットが相互のことを知り尽くしていないとなかなか乗りこなせない。非常にプロ仕様のロケットになってしまっている。今後、小型衛星はもう少し素人的な衛星も増えるだろうということで、我々の方で、いかに衛星を軌道に載せるという作業が、衛星にとって使いやすいものになるか検討しているところである。その中で、当然、余剰の能力、或いはバランスウエイトを利用した小型の衛星の打上げというものも定常的に行えるように考えているところである。

【牧島教授】 先ほどの視点と少し変わるが、基幹ロケットの議論の際に、中須賀特別委員から、ロケットとしては、信頼度を高くするために同じものを何回も打ち上げて技術を枯らすということと、それだけでは新しい技術が途絶えてしまうので、新しいことに挑戦するという、二つの軸があるという話を伺って、私も全くそのとおりだと思う。その点でH−2Aロケットはどちらかというと、あまり挑戦的な大きな改良をしては失敗につながるので、やはり技術を枯らすという方が大事だと思うのである。一方、この固体ロケットに関しては、まだモノができていないわけであるから、新しい技術的な開発という要素が強いと思う。そのあたりはJAXA(ジャクサ)としてはそのように位置付けていると思ってよろしいか。

【JAXA(ジャクサ)(河内山)】 そのように考えている。H−2Aロケットでも将来的には同じことをやるので、その先駆として固体ロケットでやっているという位置付けである。

【棚次特別委員】 固体ロケットは、打上げ用のロケットだけでなくて、観測用のロケットも含めて、小型にした場合に運用も非常に楽だしコストも安いということで、もう少しバリエーションがあってもよいのではないか。例えば将来輸送系の小実験をやる場合など、固体ロケットのそういう使い方もぜひ応用面を広げていただきたいと思う。

【JAXA(ジャクサ)(森田)】 そのとおりだと思っている。了解している。

【牧島教授】 現在、この次期固体ロケットの1段目として想定されているのはSRB−Aである。これはもともと燃焼速度が遅い等、少し設計思想が異なると思うのであるが、それをこうやって組み合わせる場合には、ある種の改良が必要になるかと思う。それをやり過ぎるといけないけれども、やらなければただ取ってきて付けただけである。そのあたりの落としどころをどの辺に見ておられるのか。

【JAXA(ジャクサ)(森田)】  ミューファイブロケットの後継計画の段階からいろいろ考えてきたことであるが、SRB−Aはコストは非常に安いけれども、ロケットの1段目に使うには推力も小さいし、また、燃焼時間も長過ぎる。このままでは使ってもあまり性能は伸びない。そのためにこのSRB−Aの改造が必要であるが、それはいくつか観点があって、一つには高速燃焼化である。速く燃えるようにする。今、SRB−Aは100秒以上かけて燃えているが、ミューファイブの1段目は75秒で実質燃え終わっている。半分ぐらいに燃焼時間を短くするような改造が一つには必要である。もう一つは、推力を大きくするために多少ノズルの設計を変える必要があるということである。さらには、燃料の量が若干、今のミューファイブロケットに比べると少ないので、SRB−Aを改造するというのは、おそらく簡単な改造ではなくて、かなりの開発規模になるであろうということである。
 先ほど言ったとおり、予算上の制約で、この次期の小型ロケットではSRB−Aの改造までは及ぶことはないが、次のステップへの発展を考える際に困らないように、発展性を常に視野に入れつつ、この次期固体ロケットを考えている。簡単に言うと、次のステップにもし進む場合、SRB−Aに改造を施してMロケットの1段目として十分な能力を発揮できるような1段ロケットに変身させる。それは可能である。
 また、これはまだ机上の空論であるけれども、例えばの話をさせていただくと、現在のミューファイブのロケットの2段目は高圧燃焼モータであるけれども、非常に性能のいいものになっている。これを、この次期固体小型ロケットでは暫定的に使わない計画になっているが、次のステップへの発展においては使うこともあるだろう。

【米本教授】 今の話を聞いてしまうと、前回、0.5トン級の衛星の需要の話をされていて、将来どういう需要があって、どう日本として対応していくかという議論だったのに、何か別のことを出しているような気がしてしまう。

【JAXA(ジャクサ)(森田)】 そうではなくて、小型衛星のミッションを支えるという役目がこの新しい次期固体ロケットの任務である。その定義はそのとおりであり、次のステップへの発展性については、どういう形で発展させるかということは今後の議論である。中型ロケットというのは、当然、GXロケットがあって、これで大型の科学ミッションを支えるというのが現在のJAXA(ジャクサ)の構想になっている。私が申し上げているのは、多段式の固体ロケットのシステム技術を維持・発展させるための一つの方策として、まだ残されているのは1段の改造である。この次期固体ロケットでは、その改造をするための発展性を、その仕組みに作っておこうということある。
 JAXA(ジャクサ)の今の大きなラインナップの構想の中では、それは一つの選択肢である。中型ロケットをGXロケットでいくということ、これはそういった基本方針がある。

【JAXA(ジャクサ)(今野)】 ロケットのラインナップを考える上で、我々はブロックアップグレードによって、部分的に改良を重ねることによって、できるだけその衛星の需要をカバーするようなラインナップを構成できるのではないかと考えている。

【青江計画部会長】 いわゆる中型規模の衛星打上げの需要に対して、我が国としてどう対応するかというのは、次回御議論いただきたいと思っている。それに先立って、当然のことながら、現在、計画が進行中のGXロケット計画というものについての状況についても御説明いただいた上で、それをベースに我が国の輸送体系全体、その中における中規模打上げにどう対応するかという御議論をいただきたいと考えている。

【米本教授】 次回、より深く議論したい。ラインナップの切り分け論に問題があると考えている。参考資料24ページからスタートすべきではないか。

【JAXA(ジャクサ)(河内山)】 中型ロケット、或いは小型ロケットと言っているのは、今進めたいと考えている基本的なところを言っているわけである。将来的にはどうなるかということについては、GXロケットや次期固体ロケットがどのようなものになるかによって随分変わってくる。
 それ以上の議論は、ロケットがまだできていないし、実際の運用費等を踏まえた上で、もう少し後に御議論いただきたい。
 固体ロケットについて、こういうことでやりたいという提案をさせていただいて、それをどれだけいいものにしていくか、ということは非常に重要な話であり、そこに力点を置いて議論させていただいた方がありがたい。将来はそれらの組合せなど、柔軟に考えていきたいということである。

【松尾計画部会長代理】 次回、GXロケットについてはきちんとやる。
 また、J−1ロケットについては、ニーズもなかったが、機体に魅力がなかった。次期固体ロケットの開発にあたっては、このことについても念頭に置いて進めて欲しい。

【JAXA(ジャクサ)(河内山)】 了解した。

【村上会長】 ロケット技術について、完成後、どう管理していくのかということをはっきりしておかないと、結局、また陳腐なものを守るという形になってきてしまう。これはH−2Aロケットについても同じことが言えるが、どうやって代替部品に変更していくかをはっきりと決めていくべきである。ブロックアップグレードでやるということだが、部品のレベルまで含めて、或いは極端なことを言うと原材料の代替にまで含めてルール化しておく必要があるのではなかろうかという気がする。アメリカなどでもそういったルールがちゃんとあって、どういう手順でどういうふうに試験をしてとなっているみたいだが、JAXA(ジャクサ)にもあるのかもしれないけれども、ぜひそういうものを成文化して、それで関連企業もそれが理解できるような形にしていただければと思う。

【JAXA(ジャクサ)(河内山)】 残念ながらまだ成文化されたことはなくて、その部分を含めて将来的にやっていきたいと考えている。

【森尾委員】 今日はあまり議論されなかった有人輸送手段なのであるが、それはJAXA(ジャクサ)としては先ほどからのブロックアップグレード方式で徐々に信頼性を高めたものを将来の有人輸送系にも利用しようというようなお考えなのか。それとも、将来は全く新しいものを作らないと今のものをアップグレードするだけでは不十分というお考えなのか。

【JAXA(ジャクサ)(河内山)】 基本的にはブロックアップグレードとそのプラスアルファと考えている。ブロックアップグレードを単に組み合わせただけでは多分できない。それはどういうことかというと、例えば、通信系のシステムとかアビオニクスのシステムについては変える必要があるので、それは全体として考える必要がある。プラスアルファのところをはじめから考えていきたいということでブロックアップグレードとは別に研究も行っており、それらを合わせて計画を立てていきたいと考えている。

【米本教授】 JAXA(ジャクサ)もチャレンジする場所をぜひ作っていただいて、この次期固体ロケットがそういう場だという認識であれば、応援する側としては応援したい。それで、ここの既存ロケットの技術を活用しというところは、アピール性に乏しいので、もっと何か言えないのか。

【JAXA(ジャクサ)(森田)】 言葉で補足したと思うが、最低限、既存技術は活用するけれども、やはり新しいアイデアを導入したり、また、部品の話も出たけれども、最先端の部品を使うなど工夫をして、よりよいロケットを作りたいという理想を高く掲げているので、よろしくお願いしたい。

−了−

(研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付)


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