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宇宙開発の政策的な課題に関する懇談会(第9回)議事録

1. 日時
  平成18年3月2日(木曜日)10時〜12時

2. 場所
  文部科学省4階 宇宙開発委員会会議室

3. 議題
 
(1) 宇宙開発にかける夢について
(2) これまでの議論の総括について
(3) その他

4. 資料
 
資料9-1   太陽系大航海時代と宇宙開発
資料9-2   宇宙開発の政策的な課題に関する懇談会における主な発言(総括)
資料9-3-1   第8回宇宙開発の政策的な課題に関する懇談会における主な発言
資料9-3-2   第8回宇宙開発の政策的な課題に関する懇談会議事録(案)

5. 出席者
 
宇宙開発委員会委員長   井口 雅一
宇宙開発委員会委員   松尾 弘毅
宇宙開発委員会委員   青江 茂
宇宙開発委員会委員   野本 陽代
宇宙開発委員会委員   森尾 稔
宇宙開発委員会委員特別委員   観山 正見
宇宙開発委員会委員特別委員   有信 睦弘
文部科学省研究開発局長   森口 泰孝
文部科学省研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)   須田 秀志
文部科学省研究開発局宇宙開発利用課長   奈良 人司
文部科学省研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付補佐

  萩原 貞洋

【説明者】    
日本宇宙少年団理事長   松本 零士
独立行政法人宇宙航空研究開発機構教授   川口 淳一郎

6. 議事内容
 

資料9-1「太陽系大航海時代と宇宙開発」について、川口教授より説明があった。
資料9-2「宇宙開発の政策的な課題に関する懇談会における主な発言(総括)」について、井口委員長より説明があった。

主な発言は以下のとおり。

【松尾委員】 川口先生がおっしゃった文化の創造という観点だけではきれいごと過ぎて、納税者は納得しない面がある。だから宇宙の探査については、むしろある種分離した形で、きれいごとでいくというのも1つの手だと思う。全体に、資源とか何とか、きれいごとではない部分に無理して持っていっているような気もするが、如何か。

【川口教授】 委員のおっしゃるとおり。これはプレゼンテーション用の資料なので、あえて逆に問いかけをする書き方になっているが、逆を言うと、きれいごとのほうが強調されるようなところに、今、私の場合にはいるのかもしれない。むしろそこを言い過ぎているようなところもあるのかとの観点で、書いているのでこんな形になっているが、おっしゃるように、合理的な論理的な帰結として、きちんとした礎を用意するということは、追求されるべきである。

【森尾委員】 私は逆に感じており、今までは宇宙開発、特に委員長は利用にもっと重点を置くべきではないかという話をされたので、こういう夢の部分と、具体的な目先の利用の部分と、大きく2つに分けて考えるというのが私の頭の中の構造だったが、先ほどの川口先生の話を聞いて、どうもそれは視点の違い、見る目の違いではないかという気がして、この「夢」をかけるのを、視点をもっとぐっと高くすれば、結局「利用」なのではないだろうか。
 だから、無理して利用に結びつけるという考えよりも、どのぐらいの物差し、要するに人類100年で考えるのか、1,000年で考えるのか、松本先生の話だと、何千年か、何万年か知らないが、その視点の長さの違いのような気がした。むしろ私は、今までは完全に「利用」と「夢」を分けて考えていたが、それもおかしいかなと思いながら聞いていた。
 ところで深宇宙と宇宙とはどこで区別されているか。

【川口教授】 よく言われるご質問で、多分deep spaceという英語が翻訳されて、そのまま深宇宙と我々は呼んでいるだけだが、我々のところには天文系の先生方もおられて、何百億光年みたいな話をするところと、高々AUという単位ではかるところがある。我々はAUの範囲を深宇宙と呼んでいるのはけしからんとよく言われている。深宇宙とここに書いたのは、英語の直訳であり、月・惑星探査、太陽系の範囲程度のことを指している。
 それから、先ほど「利用」というのをタイムスケールの長さというコメントをいただいたのだが、いわば新世界が発見されたのは黄金の国に旅立つ船出からということもある。そういう欲というか、greedという意味で考えるのはよくないのかもしれないが、非常に長い観点でみると、それは欲というよりは好奇心、探求心、冒険、そういう非常に大きなスケールで考えると、そういった人間の本性に裏打ちされたところがあるかなと思っており、そういう意味では、惑星界に人類が飛び出していくというのも当然のことかなと思う。

【青江委員】 私も全くの感想に過ぎないが、先ほど松尾先生が言われたのと非常に近く、「文化で十分だというか、わくわくさせてくれれば、これほどvariableなものはないと思う。そう思いつつ、一方、こういうことが、もしきちんと1つの説得力のある見方としてあれば大変便利と思う。
 つまり、よく井口委員長が「一発勝負のものづくり」と言われる宇宙機の技術が、今の日本の産業の多くを支えている産業技術を超えた新しい技術、日本の自動車に代表される次の日本の産業を牽引する技術体系を支える中核となるものだということが、理路整然と整理をしていただけると大変ありがたいということだ。
 日本の産業技術の発展の系譜から、今の日本の産業を支えているトヨタに代表されるような産業技術の次のというのはこういう技術だと示せないものか。そうすれば、ここに書いてある宇宙機の開発、日本の国力、日本の産業の発展を支える中核技術、日本の発展、こうシナリオが結びつく。

【井口委員長】 その1つはロボット技術だ。自動車産業の次はロボット産業だろうと自動車関連者で言っている。「はやぶさ」というのはまさに一種のロボットだ。そこで非常に両者が結びつくわけである。そういう論理というのはあり得ると思う。ソニーは残念ながらロボットも切り離すという話だが、ホンダだとかトヨタだって一生懸命やっているというのは、その次のものであり得るのだろうと。それと結びつくことはあり得ると思う。

【松本理事長】 28日に空港案内ロボットというのを北九州で発表しまして、完全なアンドロイド型だった。女性が座っていて、おちびさんが「どこへ行けばいいの?」と言ったら、それはここよという、そのあらゆる単語を全部録音するのは、実は組み合わせるために大変だったのだが、まさに人間のようだった。それから人体としての二足歩行ロボットも、次期、開発されつつある。
 そうなると、人間の生活の中にロボットが交じってくるわけだ。そのロボットは人体と同じ大きさだから、重量はともかく、宇宙船に一緒に乗って飛ぶことが可能になる。空気、酸素は要らないので、船外活動なんかはこれがやることができるようになるだろうと思う。見た人、特に小さい子は、人と話をしたとしか思わないだろうと思う。手が触れた場合、体温も一応つけ、完全な人体型の、一種のアンドロイドである。

【松尾委員】 先ほど納税者は納得しないと申し上げたが、あれは、納税者は納得する必要がないと申し上げたのではなくて、決して全員が納得しないだろうということなので、誤解のないようにお願いしたい。
 それから、松本先生の小惑星の地球への衝突は大変悩ましい話。これは必ず起こるのか。

【松本理事長】 必ず起こると思う。

【松尾委員】 必ず起こるが、そのタイムスケールが長いというときに、どういう対応をとるかという話で、例えば地震の被害の度合いがずっと大きくなって、しかもその感覚がもっと長くなったといったようなものに対する人類としての備えのあり方というのをどうすればいいかということにも関連する。

【松本理事長】 軌道を変える角度が大きくなるので、なるべく遠い距離でやれる能力を今からトレーニングして完成させておけば、それで助かるだろう。
 それともう一つ、私は、実はパラサイトからテクタイト、鉄隕石、石質隕石、全部持っている。この間、手に持ってみたら、鉄の隕石というのはおそらく惑星のコアだったと思う。地球の鉄に比べると、ものすごく重い。名だたる日本の刀工に刀をつくってくれと依頼したが、隕鉄は、どうしても地球上の鉄と交じらない。溶解するところまでは同じだが、混ぜて鍛練すると星のように散ってしまう。要するに原子の配列が完全に変わっている。ということは、ものすごい大圧力の中のコア、中心部分の鉄だったろうという判断になる。
 そういうふうに、そういう物体を手にしてみたときに、逆に言うと、私が持てるぐらいなので、これは宇宙中に散らばっている。これも資源の1つではないか。テクタイトというのは、半透明の物体の中に、丸い金属粒、ビー玉ぐらいの楕円形のものがたくさん入っている。人に貸したらそこのところが10個ぐらいなくなりました。でもそれを見ると、さびていく。だから鉄質であることは間違いない。そういう惑星という1つの表面ではなくて、宇宙にそれがたくさん浮遊しているわけだ。そういったものも資源として、将来捉えておく必要があると思う。
 私は、置いておいたテクタイトがさびて、丸い、ちょうどこれぐらいの物体が外れたときに、異様な感じがした。それから、この半透明の物体は何だろうという感じがして、そういうものが宇宙中にごろごろしているわけだ。

【松尾委員】 今、100年やそこらは、当たりそうな大きなものはない。それが、かえって今の判断の仕方を難しくさせてしまうわけか。

【観山特別委員】 絶対ないというと、軌道が変わるかもしれないが。

【森尾委員】 何年先ぐらいまで予測できるのか。

【観山特別委員】 それは地震と同じで、あまりはっきりしていない。

【松本理事長】 見つけた瞬間にやろうとしても無理だ。

【観山特別委員】 松尾さんと同じで、55ページを見て、文化の創造というのは、科学者はそれを前面に出すべきではないかと思う。この前の「はやぶさ」は、あれで何か資源がとれてくるからと思ってみんな期待したわけではなく、石を持って帰ると何がわかるのだろうとか、日本の技術はこれぐらいすばらしいのだということで感激したわけで、これが何につながっていくかということではなく、感激したことが事実であり、それを数回やることによって文化という形になっていくと思う。
 ただ、私は少し苦言を呈すると、先ほどの写真を回収されたが、科学者は、科学論文を書いて科学誌に発表するというのが1つの責務だが、これだけいい写真を、みんなが一番わいているときに国民に提供するということも科学者の義務だと思う。『Science』や『Nature』に発表されてから数カ月たってから出たというのは、報道はされるだろうが、一番みんなが期待しているときに、これだけすばらしい絵が出ているのだというのを一部でいいから提供しないと、これだけで納税者が納得するのかというような、引いた感じになるのではと思う。
 それから、森尾さんが言われた時間的なスケールで見るとどうかのご指摘は非常にもっともだと思うが、残念ながら、青江さんもおっしゃったように、その筋道が結果論である。つまり、非常にきれいな、これが行くとこれになって、あとはロボットになって、自動車になってという感じではなく、あるものが非常にスピンオフしていいものが出てくるが、それが見えないのがサイエンスとか文化だと思う。だから、引いてみると、ここに書かれているように、確かにいろいろな技術が出て来るが、その筋道が立てられないというところに、長いスケールも必要だし、説明が非常に難しいところだと思う。

【井口委員長】 4月からは本格的に長期的な計画について議論するが、今日は、税金の問題とか、そういう制限をかけないで、何でも思い切りお話しいただければと思う。

【野本委員】 私は、松本零士さんの、将来のためにというのはあまり考えなくて、もし隕石がぶつかって人類が絶滅するのであれば、すればいいのではないかと思っている。昨日、たまたまこの委員会で、スターダストの解析をなさっている方がお話しになって、1ミリのダストをとらえたことによって、太陽系生成の理論がどうも変わるのではというお話をなさった。それを聞いて、たった1ミリの粒でさえ、実物が手に入るということで全く違う世界が開けてくる。それは、観山先生の「すばる」でもそうだが、昔の天体写真と今の天体写真を比べたら、とんでもなく違う。
 だから、昔どんなに頑張ってもわからなかったことが、今、新しい手段を手にすることによって、いろいろなことがわかってきたと。それは、人間の好奇心を満足させるというのはすごく大事なことで、それが次の刺激となって、次の新しいものを生んでということだから、何も理屈をつけなくても、本当に知的好奇心を満足させるため、とりあえずそれでもいいのではないか
 前に小平先生が「すばる」を作るときに説明に行くと、お金をかけてこんなものができて、何が分かるかとか聞かれたときに、小平先生がお答えになったことの1つに、何がわかるかどうかは別としても、日本がこういう望遠鏡を持つことによって世界から尊敬される国になる、尊敬してもらえる国民になれるというお言葉があったと思う。
 だから、実利的に資源を外から持ってくるとか、将来の何とかができるとか、それはもちろん1つの説明としてあっていいと思うが、それ以前に、知的好奇心を満足させる、その余裕というか、その文化というのが日本の国の1つの誇れるものだということが正面にあってもいいのではという気がする。

【川口教授】 野本委員御指摘のとおりで、何かを提案するときには、何か理由が必要だというふうに、ついついなってしまうものだから、どうしてもそこを接続詞でつないでしまう。全く野本さんのおっしゃるとおりだと思っている。

【井口委員長】 私は宇宙へ行ったことがないが、地球の中心からたった4万キロを地球圏と呼ぶ人がいるが、それ以外に無限の空間が広がっている。今はなかなか難しいにしろ、50年後、100年後の人は、もっと行ってみたいと思っても不思議はない。その話になると、なかなか収束がつかないのかもしれないが。

【有信特別委員】 産業界サイドから夢の話はしにくいのだが、ただ、実際に産業という視点で見ても夢を持つというのは必要で、その夢の方向性について私たちの将来の生活だとか、将来の社会のあり方だとか、そういうことを考えながらいろいろなことを準備していくわけだが、サイエンスというのは、未知のものを知る、新しい知識を自分たちが獲得する、ここがサイエンスの一番重要なところで、サイエンスで新しい知識を獲得するために、実は膨大な技術が必要だ。様々な局面で技術が必要だし、新しい技術を組み込んでいかなければいけないという観点があって、これは2つが一緒になって、初めて日本なら日本の、「国力」という言葉でいいのかどうかわからないが、いわば日本のある種の力がそこで示されることになるのだろうと思う。
 したがって、私たちが一番欲しているのは、先ほどからもいろいろ意見が出ているが、サイエンスという観点で、私たちは本当にどういう夢を持てるのかということを、もっとクリアに、実際に様々資源があるというレベルではなくて、先にも出たが、太陽系の起源の話が根底からひっくり返ってしまうかもしれないと言われると、ある意味では好奇心がものすごく触発されるし、そういう意味で、好奇心が触発されるような子供たちが育っているというのが前提なわけだが、そういう中でこそ新しい技術がどんどん確立していく。
 具体的に言うと、さっき委員長が言われたように、ある意味ではロボットという形で、その技術の1つの見方として具体化されてきている。例えば、この前の探査にしてもロボットという観点で見ると制御系から、通信系から、実際の物質を採集するメカニズムから、ありとあらゆるものが含まれていて、それが実はものすごく突出した、我々は俗な言葉で「とんがった」と言うが、とんがった部分で技術ができていて、ただとんがったところだけだと、その技術に波及効果がないが、それが実際には徐々にいろいろなところに波及していっている。
 これらは後づけだと言われるが、実際には、技術というのは後づけということではなくて、技術はもともと目的を持って開発するものだから、それがある意味で抽象度が上がって、その波及効果が出てくるというプロセスが必ず必要なわけで、それにしても目的を持ったとんがったものがなければ、決してそういうものは生まれないということもあるので、その部分であまり心配する必要はないと思う。したがって、むしろサイエンスという立場で、では、私たちは何を知りたいのか、そこで何を新しい知識として得たいのかということをもっとクリアに示していくということが一番重要のような気がする。

【井口委員長】 川口先生は、今日はどちらかというとサイエンス寄りの発言をされたが、もともとは工学御専門で、数年前にもっと身近にこれからの衛星をどうするか、例えばコンステレーションのような形で、小さいものを頻繁に上げて、その間の協調をとりながら、大きな衛星以上の効果を上げさせるような技術とか、それから、現状では一発勝負と私が言っているように1回宇宙へ上げればもう修理ができない。もっともハッブル宇宙望遠鏡だけは人が修理しているが、修理ロボットを上げるというのは、現実にアメリカなどでは考えている。そのあたりのことをもう少し話していただけないか。その辺の夢を数年前に伺ったのを記憶している。モジュール化をするといったことを。

【川口教授】 私はフォーメーションフライトというか、それをもちろん研究テーマにしているし、そういうことをしているのだが、思い浮かべると、私ではなくて他の二、三人の先生方だったのではないかと思うが、衛星自体が、例えば今の複数が協調して行う作業であるとか、それを利用した科学観測であるとかいうのは非常に現実的な話であり、本日はそういうことをあえて申し上げなかったのは、今日は夢ということだったので、私の世界では現実そのもので、つくれと言われれば、すぐにつくれるようなものかなと私は思っていたので、今日はその話は書かなかった。

【井口委員長】 ちょっと話していただけないか。

【川口教授】 委員長が期待しておられるのは、多分たくさんのモジュールがくっつくようなお話ではないかと思うが、むしろ私が行っているのは毛色が違っており、御期待には合わないかもしれない。例えば望遠鏡だとか、複数の鏡を持った望遠鏡で、先ほどすぐにでもできると申し上げたのは、精度の悪い相対的な位置制御をするとかいうのはできると思うが、例えば鏡で干渉計を作るという話になると、これは全く違っており、例えば重力検出であるとか、欧米ではかなり進んでいる、いわゆる宇宙空間で複数の衛星による精密な編隊飛行とセンサーの位置制御という部分は、先ほどお話にあったロボットのある種の最たるものである。そういうことは、まさに現実ではないのだが、我々としては是非やっていかなければいけない技術と思っており、現実寄り過ぎるかもしれないが、近い将来、そういうことをやる必要があるのではないかと思っている。

【青江委員】 委員長が求めているのは、実用分野で衛星に仕事をさせることではないか。衛星は歴史的に見ると、今までずっと大きくなってきている。大きな衛星というのはもうないという傾向は正しいかということではないか。

【井口委員長】 まあ、そういうことだ。

【川口教授】 傾向というか、そういう技術活動が進むと、どんどん小型化していくというのは、もちろん私はそうだと思っている。前回の議論の中にあり、その話に入ってしまうかもしれないが、小型化すると、例えば価格の低下が図れるかということは全く逆ではないかと思っており、探査機の小型化というのは随分昔から取り組んでいるが、これは大変苦労していて、それに対して投資しなければならないリソースは大変なものだろうと思う。成功確率そのものから言っても、実は大きなもののほうが簡単で、相対的に精度が高まるという言い方のほうが正しいかもしれないというのが実態ではないかと思う。
 ただ、小型化が大変興味があるのは、先ほどの軌道上というよりは、例えば惑星の上での試料採取であるとか、例えば小さなアリでも、ある意味では虫でもいいのだが、そういうロボットが自律的に動いて、それがチームとしてのあるタスクをこなして、最終的には試料を選別して採取してくるような、そういうロボット技術というのは大変重要だと思っており、最近のMEMS等の利用も含めて、そういう部分で、宇宙開発は小型化をしなければならない方向だとは思う。ただ目的が、低価格か、あるいは成功率改善かという意味に関して言うと、小型化というのはかなりチャレンジングな部分があるのではないか。

【井口委員長】 ただ小型化というのは、森尾さんがおられるように、日本の得意技術だし、モジュール化して、1つ、2つがだめになっても、どうということはない。全体としての機能は99パーセント生かせるとか、そういうreliabilityまで考えると、さあ、どうなのだろうかという議論もあると思うが。

【川口教授】 小型化して、当然冗長性がたくさん確保されるようになると、総合的な信頼性は高まる。

【井口委員長】 小型化というのはどうか。

【森尾委員】 私も小型化の方向でやったほうがいいと思う。大型のものを一発上げるよりも、小型を10発とか、そのほうがいいのではないかと思っているが、それはJAXA(ジャクサ)のほうでも大体そういう方向で考えておられるようだ。
 観山先生がおっしゃったシナリオが書けないという話は、もちろん科学技術の進歩というのは、シナリオが書けて、それをやっていけば期待された結果に到達するというのはいいのだが、シナリオが全部書けると思うのは人間の傲慢さでもあって、書けないことにもチャレンジするというのは、野本先生がおっしゃった知的好奇心を満足させるということだ。その部分も大変重要で、利益を追求する企業の研究でも、大体各社において、研究所長は1割ぐらい勝手に使えるお金を持っていて、この研究をしたら何になるかというシナリオが書けないものをやれるというふうになっていると思う。
 国としてのそういうところは非常に重要で、逆に言うと、国だからできるというのもある。民間企業では、そんなことはつまらないと潰されることが、国だからできるというのはある。そういう知的好奇心を刺激するようなことというのは非常に重要で、だからこそ、先ほどの写真の発表でも、できたら早く国民に知らせるというのは非常に重要なことだと。
 我々電機業界でも、重要な論文はみんなアメリカの学会で発表するものだから、日本の学会からいつも怒られる。もっとも、日本で発表されないのは、日本の学会にもそういう体制がないのかもしれないという気もするが。

【松尾委員】 今の写真の件について言えば、彼はおそらく出すほうに非常に努力したほうの人間だと思う。
 あと、小型化のときにその衛星のdimensionを決めているのは何になるのか。「小型化」といったときに、「小」になっている話は。

【川口教授】 なかなか難しい。本当にある大きさが必要なものというのは、衛星技術の現状で申し上げると、1つは通信系、これは利得の改善になる。波長がどんどん短くなればいいが、波長が短くなると、自然制御の精度をたくさん要求してくることになって、かなう大きさというのが出て来る。もう一つは、今、太陽電池の電源で、太陽電池の発生電力というのが大きさを決めている1つの要素になる。ほかの部分は、登載のコンピューター云々に関しては、これはどんどん小型化できると思う。

【松尾委員】 太陽電池の発生電力自体が、また通信容量から規制を受けているわけか。

【川口教授】 確かに通信電力、アンテナを小さくすると電力の増加につながるということはあるが、通信系が持っている全体の消費電力に対する比率は、それほど大きくはない。惑星探査機では大きい。だが、地上の衛星ではそれほど大きくはないと思う。

【井口委員長】 有人宇宙となると、人間の体はだんだん大きくなっているから、小さくできないが、有人でなければ、ロボットなんかはどんどん小さくできるわけだから、それは日本の利点か。そのあたりで日本の独自性を発揮すべきと思うが。

【川口教授】 通信は、日本ではOICETS(オイセッツ)で、宇宙空間で実験したりしているが、この間、水星マーキュリーを飛んでいるメッセンジャーという探査機が、惑星間で光通信の実証をした。これは、我々は実は随分昔からやったらどうかとけしかけていた部分があるが、残念ながら、当時も大変懐疑的というか、懸念のほうが大きくて、挑戦しなかった部分だった。メッセンジャーは光通信の装置を持っていたかというと、そうではなくて、「はやぶさ」に積んでいるようなレーザー高度計を地球に向けて、それで通信のデモンストレーションをした。だから、そういう意味では、我々はくやしく思っている。
 光通信ができるようになると、受信設備はもちろん要るが、通信回線ということでいうと、かなり別な観点で大きな展望が開けると思われる。そういうことから言うと、小型化の努力、通信回線もradioではなくて、光も含めて、確かにどんどん小型化を考えるべきことではあると思っている。

【有信特別委員】 この前の例のイトカワの探査で、さっきの通信の話で思い出したが、改めて感じたのは、通信にあれだけ時間がかかるということだ。したがって、こちらから遠隔制御をしようと思っても、時間、タイムラグがあるために、思うようにはいかない。当然そのタイムラグを考えねばいけないという問題があって、これがどういう格好で解決するかということがある。
 実は、我々のところでも、先ほど言われたように直接には役にも立たない研究というのもいろいろやっていて、最近、entangled photonというのを固体で発生させることに成功して、これは「もつれ量子状態」というが、要するに光子がお互いに量子状態として相関性を持っていると、この2つの光子をどんなに離しておいても、空間性というのはほとんど問題にならないわけで、片方の量子の量子状態が変わると、もう一方は同時に変わると。したがって、時間・空間を超えた意味での通信が可能になるという可能性があって、これはいつ実現するかわからないが、そういうことが実際にやれるようになると、今、言った通信というのが劇的に変わるという気がする。
 だから、entangled状態にあるphotonを、それぞれどういう格好で配置するかとか、山のようにいろいろな問題があるが、ただ、量子通信を実現しようと思うと、実際にそれをやっていかなければいけない部分があって、それはそれで研究が進むと思うが、本当は特に宇宙というところでこういうものをまじめに考えると、随分内容は変わるなという気がする。

【松本理事長】 今、資源探査で地球上をガス油田の開発といったことでいろいろ掘っている。私はあれを非常に不気味に感じている。地球を穴だらけにして、内部から噴出してくるものがもし止められなくなったときに、どうするのだと。それから地下核実験で、今、世界中のあちこちで起こらなかった地震が連続して起こっている。ああいうものに、あれがプレートを揺さぶるために、何か原因があるのではないかと勝手に想像している。それと、つい数日前の新聞を見たら、地球の人口が70億を超えたと。そうすると、いずれ人類の頭数で、地球がパンクする。そういう場合にどうするかという問題がある。
 宇宙開発の中にも、その問題が出てくると思う。第2の地球を探さねばならない。火星では小さ過ぎると。そうすると適当なのは、金星をガス抜きするようなことに、将来おそらく挑むことになるのではないかと思う。金星をガス抜きして地球化できれば、2個になるわけだ。だから、おそらくそういう太陽系内の惑星全体の利用法というか、そういった問題も、夢かもしれないが、近い将来、起こってくると思う。
 これはごく近い将来に起こることだと思う。今、月から火星というふうに行っているが、火星の次はおそらく金星へ行くだろと。表面が、鉛が溶けるほどの温度の高圧・高熱の世界をどうやったら地球化できるか。そういった問題も、まだまだ夢として、しかし抱いていれば、その夢を実現する天才がいずれあらわれると思う。今はまだ幼稚園かもしれないが、それを一生懸命考えて。だから、そういう部分のところもアピールしておく必要があるのではないか。

【井口委員長】 一番新しい『Space News』に、「public space travel」というふうに、多分100キロ上がって、宇宙観光の話がある。これは、アメリカ運輸省がそのルールを決めつつある。だから、10年というスパンで考えれば、どのぐらいの規模になるかわからないが、ある程度の産業になる可能性はある。
 そういったことは現実に起こっているわけで、日本はそのあたりはどう考えているのか。これは民間、今、どこかにつかまっている人が日本でもやろうとしたが、日本ではなかなかそれだけのお金がないのかもしれないが、世界的にはそういう動きがある。その辺をどう考えるか。極めて身近なことだが。

【川口教授】 構成要素として我が国に欠けているところは、例えばそういう弾道飛行の場合、ないと思う。だから、やれるかといったら、創業的に転がす人がいるかどうかは別として、現時点で、例えば推進機関として非常に革新的なものが使われているかどうかということでもないし、弾道飛行と軌道からの帰還では、耐熱技術が全く違う。極端に言うと、金属でいいわけだ。それから、自動着陸はJAXA(ジャクサ)で既に実際にやっていることで、要素として欠けるところはないと僕は思う。
 だから、技術的な観点では驚くには当たらないが、いわゆるビジネスとしてというか、そういう形で宇宙の商業化というか、そういう観点では、そういう取り組みが我が国でないのは残念ではあると思うが、もっと先を見てもいいのかなと私は思う。技術的な革新性というのがないと、現実的には新しいものが出現したかのように見えるが、それはある意味のだまし的な、だまされるような要素があるかなと思っており、もっと革新的な技術開発をすることが将来に向かっての基礎をつくっていくのではないかと思っている。

【井口委員長】 その中の1つが、川口先生がおっしゃったように動力機関、エンジンだ。つまり、重力に逆らって上がっていく精度、車両だと、降りてくるときのエネルギーをもとに戻せるのだが、そういうことでもしない限り、ものすごいエネルギーが要るわけだ。エネルギーコストが高いし、内燃機関のような、何かを燃やしてやるのだったら公害の問題もある。
 だから、その辺のエンジンの技術、重力制御までできればいいのかもしれないが、なかなかそこまでいかないとすれば、その辺が大衆化できるかできないかの境ではないかという気がする。今みたいにものすごい燃料、エネルギーを使って上がっていくのでは、大衆化、今の飛行機みたいなことにはならないのではないかと思うが、どうか。

【川口教授】 私が意見を言っていいのかわからないが、太陽系探査と違う話で、議事の2番目なのかもしれないが、有人宇宙活動という考え方がよく出てきて、例えばそれをする、描く像として、みんな、ミサイルの上に人間が乗るものだというイメージで持っているのかなと。
 例えば中国が有人をやった。我が国もやらねばならないと。そうしたら、ミサイルの上に箱があって、決死の覚悟で臨む人がそれで飛んでいくようなことを考えるのかなという、それがそもそも時代錯誤だと私は思っている。有人というふうに考えるのではなくて、輸送機関というふうに考えるのであれば、JAXA(ジャクサ)というか、Aerospace Explorationのエージェンシーとしては、航空機と宇宙機が合体したものを考えるべきではないかと。
 宇宙開発というか、ロケットというのは輸送機関であるのだから、そこを考えていくと、それは航空宇宙工学分野だけではなくて、電気、電子、物理も含めてだが、非常に広い産業を牽引していくインセンティブになるのではないかと思う。
 だから、有人というのではなくて、物資、旅客全体を運ぶ高速の輸送機関が新しいエンジンででき上がるということを考えるほうが現実的で、先ほど言ったロケットで上がるのではなくて、そういう新しい技術開発をする、そしてそれが、将来、日本全体の経済、産業を引っ張っていく要素になり得るものを開発するというのは1つの政策で、そういうことをしていくと、全く新しい輸送機関を先取りしていることになると思う。

【井口委員長】 それは、スクラムジェットといいたようなことか。
 次に、川口先生のお話にあった議題(2)に移りたい。これまでの議論の総括について、全体をあわせて議論いただければと思う。
 有人ということで、スクラムジェットとか、これは目先のことでもあるので、重力制御などと言っていたのでは実現性が薄いものだから、その辺はどうなのか。たくさんのオルタナティブがあるのか。

【川口教授】 スクラムというのは1つの方法だ。私はプロパルジョンが専門ではないが、プロパルジョンの1つの方法はスクラムで、ほかの推進機関もある。日本が、例えば中国の有人宇宙活動で、それを脅威と思うかどうかという議論が時々あるのだが、そういう意味では、中国が歩んでいる道というのはすべて次の一手が読める活動だ。次はランデブードッキングをするだろうし、ということは、すべて読めてしまう。相変わらずミサイルの上に小さな小部屋をつけたロケットを打ち上げる。
 そういうことは日本でももちろんできると思うが、我が国としては、独自のというか、将来に向けて先手を打つのであれば、アメリカもやっていないことをやるという考え方に立たないと、50年、100年の計を図かれないのではないかと思う。アメリカがやっていることをやっていれば非常に安心感はあるわけだが、それではいかない面もあるのかなと思う。ちょっと飛躍した言い方かもしれない。夢を語るという意味では、それでよろしいとは言わないが、そういう活動が、宇宙政策というのが経済産業活動と遊離して進んでしまうと、先ほどのミサイルの上に人を乗せてという話になってくるのが、それはちょっと違うのかなと私は思っている。

【井口委員長】 ほかに如何か。最近言っているのは、NASA(ナサ)を追い越そうというスローガンだ。それは全部の部門では予算規模が全く違うので難しいのだが、1つか2つは追い越そうではないかということをJAXA(ジャクサ)の人たちにスローガンとして申し上げている。すべての点でというのは不可能なので、では、どういう点に集中していったらいいのか。何か案があれば。

【川口教授】 先ほど申し上げたが、地上系の輸送系ではそういうことかなと思っている。特に選択と集中という意味で言うと、先ほど言ったように推進機関、スクラムもその1つだろうし、ほかの推進機関をきちんとつくり上げるということは重要なことかなと思う。商業利用を目指して使い捨てロケットをつくるというのは、方向としては、もちろん現実としては確実性のあるやり方ではあるかもしれないが、もっと長期的な展望に立った場合、それは将来に向けての糧にはならないと思っている。「ならない」と言っては失礼だが、「もっとなる糧がある」と言ったほうが正しい言い方かもしれない。
 材料開発も同じであり、軌道速度に近い速度からおりてくるようになると、先ほどの弾道で打ち上げる場合とは全く違うものになるので、再使用の可能な機体をつくるという意味でも材料開発も必要だ。いろいろな要素があるが、そういう取り組みをしていけばいいのかなと思う。

【井口委員長】 ほかに如何か。全般、これまで9回の懇談会を通しての足りない点でもあれば。

【森尾委員】 宇宙の活動にロボットをもっと活用するという話は、過去にも何回か出て来た。ロボットというと、どうしてもヒューマノイド型というか、人間に近いものを想定するが、おそらく人間ができることすべてをロボットがやるというのは、まだ当分無理だと思う。
 日本は、いわゆるヒューマノイドもわりといろいろなメーカーがやっているが、産業ロボットは世界でも進んでいるほうだと思うので、何も人間の形をしていなくてもいいので、宇宙に行っていろいろなやるべきミッションの中のどの部分をロボット化できるかというのを、ロボットをやっている会社はあまり知らないような気がする。だから、それはJAXA(ジャクサ)のほうから、こういうことということを、産業ロボットをやっているところと意見交換されるような場をつくられると、ロボット技術の活用はもっと進むのではという気がする。

【川口教授】 全くおっしゃるとおりだと思う。JAXA(ジャクサ)内でも、ロボット研究とこういう惑星探査のかみ合わせがもう少し融合して進められたほうがいいかなと思っている。
 ちょっと違う例かもしれないが、ミネルバというのが結局うまくいかなかったが、ミネルバを考えるときに最初に起きた話は、どうやって移動するかであった。NASA(ナサ)・JPLは、通常の車輪のついた車を用意した。だけど、その車輪のついた車では移動できないというのが我々の結論なった。
 だから、その場に適したもの、その場で何をするべきものかというところから出発して、どういうロボットが適切かということを選んでいくと、環境が違えば当然ヒューマノイドという形にはならないのではないかと思うが、そういう正しいアプローチをして帰結されたロボットというのが、そういう技術開発を引っ張っていくのかなと思う。
 むしろ松本先生がおっしゃるように、ヒューマノイドというのはとてもフレンドリーで、人間の地上生活にとってはとても重要だと思うので、そういう活動はそうだと思うが、宇宙開発という切り口で見たときに、ロボティクスを進める道というのは、今、私が申し上げたような方向かなと思っている。

【井口委員長】 私も大学にいたときに、周りでロボット研究をやっている人が非常にたくさんいたのだが、宇宙へ来て何が違うかというと、やっぱり無重力で、地上であれば、固定点があって何でもできる。例えばこんなことをやったら、宇宙では固定点がないから、自分が動いてしまう。
 その辺のことについて実際にロボットをやっている人によく理解してもらって、そういう条件での運動制御などを理解してもらうとか、今、先生がおっしゃったような重力の非常に弱い場での、私も月面を、ホンダで10年ぐらい前に未来研に頼まれてやったことがあるが、重力が6分の1というものだと大分違う。地上を走る自動車とは違って、例えばブレーキをかけてもなかなかとまらない。そんなこともロボットをやっている人に理解してもらいながら、一緒に何かやれるといい。

【松本理事長】 そのロボットだが、私も、人間型ロボットというのは、あくまでも物語の上とか、そういうものでは非常になじみやすい。それから飛行場とか、案内とか、そういう人に触れる部分はそれでいいが、実際に本当に欲しいロボットというのは、例えば、私もさすがに老眼がかぶってきまして、近くを見るとき、こうやって外さねばならないので面倒なのでめがねをロボットにしてくれないかと。その意思を感知して、近くを見るというときに、めがねそのものがロボット化してくれて調節してくれる。ペンがロボット化してくれて、こういうものを書きたいというときに勝手に手を動かしてくれる。ロボットの究極というのはそういうことになってくる。
 例えば熱いものを飲もうとするときに、こうすると、熱いよという信号、あるいは音声を発してくれて、まだ早い、あと3分待ちなさいという、これが究極のロボットだと思う。それから最終的には居住区、テーブル、部屋、これ全体がロボット化していくのが究極のロボットだと思う。人間はその中で安心して暮らせると。そういうふうに進化していくものだと思う。
 今のロボットというのは、まだ本当の端緒についたばかりで、試作品の段階である。将来のロボットは、どこにロボットがあるかわからないような、人間の生活の中に交じったものが本当のロボットの時代のロボットだと思っている。このマイクでも、こうやってスイッチを入れてしゃべろうとすると勝手にスイッチが入っていくようになると大変便利だ。車でも、いつまで車にハンドルがあるか。それから列車はいつまで2本のレールの上を走るのかというようなことを考えられる。
 私は、いつ車からハンドルが消えるかと。例えば丸の内へ行きたいとした場合、今で言うと、勝手に走ってきてくれれば楽なわけだ。危険もすべてロボットという車が制御してやってきてくれる、それが究極のロボットであろうと思う。だから、今のロボットは、ある意味では、まだほんとうの赤ちゃんに過ぎない。
 これが全部できたら、人間の生活は随分楽になる。寝坊もしなくて済む。「起きろ」と言ってベッドが揺すり起こして、服も勝手に着せられて、顔も洗わされてたたき出される。そういう時代が私は必ず来ると思う。必要なので、だれかが順番につくると思う。

【井口委員長】 自分で考えると、それがそのまま自動的に文章にしてくれるのはいいが、人に聞かれては困るようなことをぱっと書かれるとそれはそれで困る気がするが。

【松本理事長】 そこはプロテクターが働いてくれればよい。

【井口委員長】 そのプロテクターを考えなければいけない。

【松本理事長】 それから、今、おっしゃったように体力を弱めないための、体力増強のための運動を、座っていても自動的にやらされるシステムとか、そういうのが何かあると思う。究極のロボットというのは、おそらく生活に極めて密着したものになると思う。それは宇宙へももちろん行くし、ふだんの日常の生活にも同じものを使いながらいくということになると思う。基本的には、それは人体を守る、生き物を守るという、ある1つの目的意識のもとにつくられていくと思う。勝手にものを書いてくれたら楽でいい。

【井口委員長】 著者はだれになるのか。

【松本理事長】 データを入れた人と自分の脳波との共作になるかもしれない。

【井口委員長】 観山先生、天文学から見て、宇宙研究ということになると、両方が一体になってこれから進んでいくのだろうと思うが、何かつけ加えられることがあれば。

【観山特別委員】 新しい理学の発展のためには工学の進歩がないとだめで、先ほども出ていたが、天文学に言うと大きな望遠鏡が欲しい。それを上に持っていきたいのだが、それは限度がある。そうすると、川口さんも言われた、編隊飛行というのがものすごく期待される。これは電波の望遠鏡でも、光の望遠鏡でもそうだが、ただ非常に難しいのは、位置の制御がうまくできるかどうか。
 この技術が獲得できれば、先ほども話があったが、電波の通信だとか、外に向けて電波の望遠鏡にするのでも、10個ぐらい上げておいて、1個や2個つぶれたとしてもそんなに影響はない。小さいから、またすぐ打ち上げるとかいう形で、それは1つの大いに期待するもので、もしも光とか赤外線のそういう編隊飛行ができると、そういう計画もあるが、それこそ我々の太陽系の外の第2の地球を発見できるし、そこに大気を見ることによって生命がいるかどうかということにもつながるので、そういう技術獲得というのは非常に重要なことだと思う。
 もう一つは、川口さんのお話の中にあるラグランジュポイントというのは、ちょっと聞きなれない言葉だが、今後、我々の静止軌道というのは随分込んできて、なかなか競争になっているというように、今後、ラグランジュポイントというのは、宇宙の港にして、そこでいろいろ燃料を積みかえするというのも1つの非常におもしろいアイデアだし、もう一つは、ここを1つの望遠鏡の置く場所にして活用するというのは非常にメリットがあり、ラグランジュポイントに非常にうまく物を持っていけるとか、そこから中継できるとかいう技術が発展することは、サイエンスの展開の非常に大きなキーピントになろうかと思う。
 一方、原子炉というのは、日本は慎重に考えたほうがいいのではないか。非常に深い理解がないと、これこそサイエンスだけではなかなか持っていけないもので、非常に大きな可能性を持つ1つの手段だが、これこそ国民の非常に大きな理解の上に立ってやらねばならない。非常に魅力的なエンジンではあるが。

【井口委員長】 NASA(ナサ)ではどうしていたか。

【川口教授】 JIMOというのはキャンセルになったが、それは、実はPrometheusというもっと大きな流れの計画の中で位置づけられたものなので、Prometheus計画自身はそのまま継続しているす。それは、もちろん原子炉という部分も含んでいるが、将来の革新的な推進機関という研究も同時に進んでおりまして、そういう意味では、当然底力が違い過ぎるので、とても比較できないが、我々JAXA(ジャクサ)ではほとんど行われていない活動で、その部分ではどんどん離されていくのかなと思っているので、危機感はある。

【井口委員長】 将来の推進機関というのは、今日、ここでご紹介いただいたもの以外にも何かあるのか。

【川口教授】 ここには書いてないが、将来は、イオンエンジンという、今のイオンエンジンではなくて、イオンエンジンも、もう少し世代が高性能化したものがもちろんあるのだが、ほかに、例えば先ほど出てきたプラズマ推進、それからインダクションという電磁誘導、MPDは電磁誘導の1つだが、そういう全く新しい推進機関というのは、大出力になってくると当然出てくる。それらについては、米国では研究が行われているが、日本では少数しか行っていない

【井口委員長】 私は、超伝導磁気浮上車両の車両設計の委員会の委員長をやっているが、NASDA(ナスダ)に元いた方が、リニアモーター推進で、すべて上に上がっていくという構想を一生懸命つくっておられたが、あの辺はまだまだ実用性とは遠いのか。

【川口教授】 いろいろな夢の話で言うと、スペースエレベーターとか、いろいろな話はあるが、現実的な範囲ではなかなか難しいのではないかなと思っている。

【松本理事長】 将来は、原発というのはほとんど宇宙空間で稼働するようになったほうが、何かで事故が起こったときに、安心感はある。おそらくそれを持ち上げていくだけの、まあ、部品として上げていけばいいのだろうが、私は、原発はおそらく全部宇宙に出るだろうなと想像している。
 それともう一つ、これは全く正反対の話をするが、火星、イトカワに衛星が接近する、着陸する、いろいろなところに人類が放ったものに生命体がいたら、ウイルスにしても何にしても、どうするのかというのを決めておかないと、そこの自然に干渉することになるし、逆に言うと、宇宙から持ち帰った場合、SARS(サーズ)や鳥ウイルスみたいな羽目に遭う可能性もある。だから、そういったことも徐々に考えていく。まだ遠い先のこととはいえ、考えておかないと、案外車輪の下に、その星の生命体を踏みつぶすことになるかもしれない。
 だから、向こう側にも何かあるということを考えて、生命体を含めての倫理観に関し、何かそのルールを1つ確立しておく必要があるのではないかなと思う。何かいたら、様子がわかるまで、しばらくは手を触れてはならない。何かつくっておかないと、困ったことになる場合もあると思う。

【井口委員長】 現実の問題として、「はやぶさ」はどうするのか。

【川口教授】 今、お話が出た観点で言えば、国連の下にそういう科学者組織がある。その中のパネルの中に、今のplanetary protectionという、惑星検疫に関する委員会ができている。定期的に、コスパーが開催されるたびに、そこである種の決議が行われて、そのルールを改定していくという作業が行われている。
 その決議の内容に従うと、今は当然たくさんのサンプルリターンというのはあり得えないので、ケース・バイ・ケースで考えると。特にSタイプという、イトカワという部類もそうだが、Sタイプに関しては、これはほとんどオーケーとなっている。未分化天体のSタイプという小惑星についてはほとんどオーケーだ。ここでのオーケーというのは、特に制約なしに帰還させてよろしいということを指している。
 それが発展していくと、C型あるいはD、Pとか、スペクトルのタイプで変わってくるのだが、そうなってくるといろいろな制約がルールとして決められている。松本さんがおっしゃったように、もちろん地上から持っていく場合についての、向こうを汚すことについてもルールが決められていて、今のところ、そのルールに従って進められていると。
 コスパーといいながら、実は動かしているのはNASA(ナサ)だ。世界中で、NASA(ナサ)には惑星検疫のオフィサーがきちんと職務上定義されており、そこが主導して、いろいろなルールをつくり、それが次第にコスパーのルールとして置きかえられていくというのが現状となっている。そういう意味では、「はやぶさ」はそうだが、コスパーの中で、resolutionできちんと決議されて、そのresolutionをもって、オーストラリアと回収の交渉をしてきて、オーストラリアも、そのresolutionがあればということで合意してきている。

【松尾委員】 Cは相当難しい。きのうゾレンスキーが、ここで、Cというのは大変興味があるとさんざん言った後、当面Cをやる計画はないと言ったので。

【川口教授】 いや、それはそうではなくて、Cは比較的安全な部類だ。Cもおそらく問題はないと思う。要注意なのは、火星もそうだが、それからDとか、Pとか、これはほんとうにオルガニックなものがありそうな話、その部分についてはかなり制約を受けている。持ってくるときに、帰還するときには、例えば何重のシールがなければいけないとか、決して破れてはいけないとか、そういうルールが多分敷かれるはずだ。

【森尾委員】 宇宙で初めて発見された元素とかというのはあるか。

【川口教授】 それは多分ないと思う。

【森尾委員】 元素としては地球上にもあったが、物質として初めてというのはあるのか、それもないか。

【観山特別委員】 分子として、星間空間に新たな分子というのはたくさん見つかっている。ただ元素は、地球上の実験で見つかっている。

【川口教授】 先ほどの松本さんのお話にあった隕鉄あるいは石鉄隕石という、それは、鉄とかが結晶化する時間のスケール、冷却するスケールが地上ではつくれないスケールだ。地上で刀工が焼き入れをする速さというのは、人間が生きているぐらいのスピードというか、もっと速いわけだが、何億年、何十億年とかけて冷却していったコアの部分というのは全く構造が違うものなので、地上に隕鉄を持ってきたとき、これが地上に転がっていたもともとの鉄とどう違うかというのは、本当は一目瞭然でわかる。だから、そういう意味の、でき方が違って、鉱物資源として違うものになっているということはない。

【松本理事長】 同じ大きさのものでも、重さまで違うかな。

【有信特別委員】 今の話はいろいろ楽しい話ばかりなので、ついついそちらに聞き入っていたのだが、問題は、大きく分けて1つは、宇宙に人工衛星を上げてという、つまり民間がそれをどう利用して産業につなげていくかという部分の問題と、もう一つは、先ほど言った、さらにサイエンスを目的にして宇宙空間に出ていくというスタンスで、これをどういうふうに考えようかという問題があって、どちらも産業という意味では、我々は技術ということが一番の切り口なものだから、技術という視点で見るとそれぞれ意味があるということと、ただ大きく違うのは、結果を産業が利用する、一番よく言われているのはGPSのようなものだが、あれはもともとの目的から違って、大きくさまざまなところで利用が増えているわけだ。
 あるいは、地球観測結果がどうなるかという話だとか、そういう意味合いで、利用を考える部分をどうするか。そういうところは、基本的には産業サイドが考えればいいと。国は、基本的なインフラの部分というか、コアのところをきちんとやっていくという視点でやればいいというまとめ方になっているので、多分これはこれでいいと思う。
 ただ、ここに書いてある内容だと、いわゆる民間利用の部分をあまりにも切り離してというか、むしろここは全く関係ないという言い方をしているのだが、そこまで関係なくはないと思う。例えばGPSのようなことを考えても、あれが、今は完全にアメリカのシステムに依存しているわけで、そうすると何が起きるかというと、例えば湾岸戦争が起きるとGPSの精度が途端に変わってしまうというようなことが実際に起きてくるわけで、それに依存して実際に商業利用を考えていくというのは、実はどう考えてもおかしい。
 それはやはり日本全体で考える。要は、その受益者という視点では、使っている人だけがお金を払えばいいんだということとは違うというところで、一度だけ申し上げたが、いわゆる利益を受ける人と、それに投資をする人との関係が実は非常に複雑になっていて、そこの部分のところを基本的にインフラとして押さえられるのは国の政策だ。基本的なインフラとして押さえる部分のところをきちんとやっていくべきだろうと思う。実際に利益を受ける人と投資する人との差が、産業の中でも随分複雑になっているが、それは、基本的には道路がなければ車も走れないというのと同じようなところが実はあって、そのインフラのところは、きちんと国としてやっていただきたい。だから、民間利用のところはあまりにも簡単に切り離したような表現ではなくて、もう少し含みを持った表現にしていったほうがいいのではという気がする。

【井口委員長】 森口局長、行政側で何か一言。実際の4月からの具体的な議論になるとおっしゃれないことでも今日は放談会みたいなものだから、何かあれば。

【森口局長】 先ほどの議論に少し戻るが、宇宙をなぜやるかというところで、ここへ来る前に文化庁にいた関係で松本先生ともいろいろ関係があったが、文化庁なりでいろいろ議論していたのは、これはアメリカのジョセフ・ナイも言っていたが、いわゆるソフトパワーというのが非常に大事だと。いわゆる経済力とか軍事力で人は動かなくて、これからは文化力とか外交力、私は化学技術力もあると思うのだが、そういったソフトパワーで人間は動くのだと。
 具体例として、例えばフランスでは、漫画、コミックというのが非常に浸透しているわけで、日本人でだれを知っているかというと、我々はもちろん松本零士先生を存じ上げているわけだが、それ以上に松本零士先生の名前もよく知られている。ここでよく出るのは、例えば鳥山明さんという方がおられて、これも松本先生に負けず劣らずフランスでは有名だが、ここにおられる方はあまり存じ上げていないのではないか。
 そのぐらいのもので、文化力というのが非常に国の魅力、先ほど野本先生もおっしゃられたように、愛され、尊敬される国になるという意味ではそういうことだと思うのだが、宇宙の場合は、そういうことではないかなと思う。そういう意味で、日本は大した国だと思わせるのは、経済力ではなくて、まさしくこういうものだと思うので、そういう意味で、文化力と並ぶ科学技術力の中の大きな分野として宇宙があるのではないか。
 もう一つの流れは、これとも関連するが、官から民へという流れがあって、小泉内閣の売り出しのポイントであると思うが、すべてが官から民、まさしく経済力ではかれないものがあって、官でなければできない部分、これは我々も最近いつも言っているが、国家基幹技術だ。そういう国でなければやれないこと、それから経済力でははかれないものというのがあって、そういうものは国がしっかりやっていかなければいけない。
 そういうことからすると、やはり宇宙というのは、まさしく国でなければ、もちろん通信衛星、放送衛星とか、そういう商業化したものは別だが、基本になる部分というのは国がやらないといけない部分だと思う。それが国家基幹技術だろうということで、一時期予算がかなり減ってきたのも、そういう経済性だけで測ると、では、宇宙はどう役立つのかと、そういう議論に陥って、なかなか理解を得られなかったと思うが、先ほどのソフトパワーにもつながるし、国でなければやれないもの、国がやることによって世界からも尊敬される部分があるという視点で最近は宇宙を言っているので、先ほど議論があったのと同じ視点で言っていると思うが、私もそう思っているということだ。国のほうでもそういうことで、今後、宇宙をより拡充していかなければいけないと思っている。

【井口委員長】 局長がそれだけ深く広く宇宙開発についてご理解くださっているということは、非常に心強く思う。

資料9−3−1「第8回宇宙開発の政策的な課題に関する懇談会における主な発言」、資料9−3−2「第8回宇宙開発の政策的な課題に関する懇談会議事録(案)」について、萩原参事官補佐より説明があった。
最後に、井口委員長より、以下の発言があった。

【井口委員長】 以上で、本日の議事は終了とする。なお、本懇談会は今回をもって終了とし、4月以降、新たに宇宙開発の長期的な計画の見直しのための議論を始めたいと考えている。これまで議論に参加いただいて心より感謝している。

  以上

(研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付)

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