議題1「H− Aロケットの再点検について」
JAXA虎野サブマネージャ、沖田主任開発部員より資料14−1に基づいて説明があった。主な質疑内容は以下の通り。
【冨田特別委員】 部品の交換をすると、ワイヤハーネスをいじったりコネクタを抜いたりして直接交換した部分以外のところも影響が出る。交換後は、関係した部分、交換した部分だけではなくて、全系の試験を行っているという理解でよろしいか。
【JAXA(虎野サブマネージャ)】 交換した系統の確認はしている。全系確認は、フライトシミュレーションなどの確認になる。
【冨田特別委員】 そうすると、射場でのフライトシミュレーション試験前には、全系の確認はやらないということか。工場出荷前の総点検はやらないのか。
【JAXA(虎野サブマネージャ)】 工場では、全系統点検試験は行っている。今回はコンポーネントの交換、御指摘のようにコネクタを外して、さらに取りつけるということなので、そのコネクタの外し、それから取りつけというところは、十分注意して作業するということ。それから、当該部分の系統、例えば電気系を交換したら電気系統点検というような形で、確認をしている。
ただ、予測のつかない他の系統への影響については、フライトシミュレーション、あるいは極低温点検という中で検証する以外方法はないと考えている。
【小林特別委員】 13ページのロット受入れ試験について、同一ロットで製品の数が多いものを抜き出して評価するというのは、それなりに統計学的に意味があると思うが、数が少ないと思う。ロット受入れ試験の数をどのように評価しているかを伺いたい。例えば、2つしか作らないものを1つ試験して1つは飛ばす、それから、100個あるものから数個抜き取って試験するというのでは、結果の統計学的な信頼性が全然違ってくると思う。そのような数の問題というのは、どのように考えているのか。
【IHIエアロスペース(木内第一基盤技術部長)】 おっしゃるとおり、母集団をどう見るか、母集団の推定をどうするかというのは非常に重要であり、大変難しい問題だと思っている。現状の1つのパターンを説明すると、例えばここで出てくる熱電池では、ある原材料のロット単位で数量を決めており、現時点では大体1ロットが20セットぐらいとなっている。これは既に20ロットぐらい作っているが、特に重要視しているのは着火の立上がり特性であり、その母集団の中で信頼度、今これは90%ぐらいの信頼度で行っているが、それで規定値に十分マージンがあるかどうか、そういう管理をしている。
コスト的には数を減らしたいが、まだおっしゃるように数、母集団が増えていないので、今は、将来の目標に対して3倍ぐらいの数で、最終的にはロット保証している。
【小林特別委員】 すぐにすべてに対して答を出すのは極めて難しいと思う。ただ、最後におっしゃったようなリスク評価に持っていくためには、母集団や抜き取り率などの信頼性の検討というのは極めて重要だと思う。将来に向けて、そのようなデータは必ず残して、母集団はどうするか、抜き取り率をどうするかというのを総合的に検討する方向でやっていただきたい。
【冨田特別委員】 古い話だが、火工品について、火工品を買ったときには、たとえ1個か2個買っても、二十何個かの試験を実験にやっていた。そのため火工品の値段が高いといってクレームがついた記憶がある。今のLot Acceptance Testをやるために、非常にたくさんの試験をやって高くなるということがあった。
【JAXA(中村主任開発部員)】 そのとおり。買っていた当時はアメリカの製品であったが、二十何個ではなくて確か10個。1個買おうとしても、10個で保証するということであり、数が増えていくときは、単純に増えるのではなくて、1個から50個とか、そういうやり方をしていた。我々も、アメリカの例を参考にして、今の国産の火工品をどのように保証するかというときに、数によってサンプルの数を増やしていくというやり方をしていた。
一番大切なのは、そのロットが均一であるということをいかに確認するかということ。火工品の場合は、火薬が入っていないというのは話にもならないので、アメリカは当時から中性子で写真を撮って火薬の状況を見るということを全品やっていた。H− Aの火工品も中性子非破壊検査でロットの均一性を最終的に確認している。実績を積んできたので、実態的にはだんだん数は減らしている。そういうやり方で製品保証している。
【冨田特別委員】 もう一つ、今の小林先生の御指摘に関係するが、FTAを作るときに、故障の確率や信頼度の数値を入れるが、それに対して何か工夫はしているのか。つまり、非常にたくさんのロットの実験を行って得た経験確率のデータを入れているのか、それとも、少数データから工夫してそのような確率を出して使っているのか。
【JAXA(沖田主任開発部員)】 正直言って、現在いろいろ悩んでいるところ。ベースのデータが十分にある部分とない部分がある。ある部分については、リスクという観点でデータがあるわけではないので、リスクの定義、どういうデータの整理の仕方をするか、例えばバルブの漏えいを1つとっても、漏れる漏れないという評価基準ではなくて、何cc漏れるかとする、また、実際にシステムからの要求で、どれぐらいのシステムの要求のばらつきで初めてそこで重なり合う部分でリスクというものが生じるか、といったような感じで、今、整理しつつあるところ。
そういった、データが少しでもあるようなところはそのような検討ができるのだが、データが全くないようなところもかなりあり、そういったものはやはり解析的なアプローチで、モンテカルロシミュレーションなどの評価をまずやってみる。その上で、データをとる必要性の有無を考えてみるということで、現在はまだ、考えながら前へ進んでいるという状況にある。
【八柳特別委員】 随所に理解度という文字が出てくるが、理解度であらわすといかにも定量的に評価されているように見えるが、一番問題なのは、その時点で理解度が本当に100%かどうかというのはわからないということだと思う。何か不具合があると、理解度が足りなかったということがわかる。ということは、理解度というのはどんどん変わっていくというか、真の値というのがどこにあるのかわからないと思う。そういうところが実は不具合につながっていくのではないかと思う。
例えば、今回のノズルの事故というのは、当時としては理解度は解析的におそらくかなり高かったと思う。ただやはり、現実としてやってみると不具合につながった。したがって、理解度でいえば、もう10%にも満たないかもしれない。
だから、あまり理解度という言葉を使うと問題がわからなくなるような気がする。
【井口委員長】 これは私が提案したと思う。
具体的には、例えば今度のノズルのところの局所エロージョンというのは、どうして起こるかよくわからないわけであり、今でもわかっていないと思う。けれども、SRB−A、最初のときには、腹巻きを巻いただけでゴーにした。つまり、発生機構がよくわからないことはあのときわかっていた。確かにわからないことはどうやったってわからないということはあるが、少なくとも、わからないことがあることがわかっていることもある。そういう問題は他にもある。だから、決して無駄ではないと思っている。
【八柳特別委員】 無駄だとは言っていないが。そうすると、例えば今回設計し直したノズルについては、もう理解度100と見るような感じになる。
【井口委員長】 それはこれからの議論である。
【JAXA(河内山プロジェクトマネージャ)】 ノズルに関しては、例えば局所エロージョンのメカニズムについては完璧にわかっているわけではないので、理解度が100であるとは思っておらず、100を目指して頑張る。理解度というのは、おっしゃられるとおり、上がないはずである。ないところを目指して努力するところも、これはどのぐらいする必要があるかというところをわかるような格好にする。そういう意味だと、まだ依然として課題としては残っている。それは局所エロージョンのメカニズムをもう少し明確にして、排除できるという設計を本当の意味で確立するというのが問題として残っていると考えており、そういう上を目指すところをどこまで残すかというところを検討していくというのがこの趣旨で、それはいつまで経っても終わらないかもしれないが、継続的に頑張るというのが基本である。
【八柳特別委員】 ということは、おっしゃる意味は、理解度が低くても、実証されているものであれば、それは当然前に進むということか。
【JAXA(河内山プロジェクトマネージャ)】 実証されていればいいというわけではなく、その実証の仕方について、理解度の入っていないところは、入っているかどうかということを考えて行っているはずなので、その辺を明確にしていく。例えば局所エロージョンでいうと、何かわからないけれど板厚を大きくしたからいいというのではなく、ある程度わかっているところに対して行っているわけであるから、やればいいところのギャップを埋めることを理解度として表現したいというのが、今回の話である。
【八柳特別委員】 非常に難しい。
【JAXA(河内山プロジェクトマネージャ)】 難しいところである。
【JAXA(鈴木ロケット点検チーム長)】 理解度というと定量化が非常に難しいが、理解度を深めていくというのはいい設計をするための一番基本だと私は思っている。
【八柳特別委員】 それはおっしゃるとおり。理解度と、ある程度実証されたものについてゴーをかけるということは、また別のものであると、そういうことか。
【松尾主査】 確かに定量化できない部分があって、これは大事なところだと思うが、理解度ということの意味を常に心がけていないと、一たんレッテルが張られてしまうと、ここは理解してしまったという形で、何を理解したのかということを抜きにして進んでしまう可能性がある。最初のときはいいかもしれないが、だんだん使っていくうちに危険度があがるような気もするので、十分使いこなせるような格好にしていただきたいと思う。
【井口委員長】 これからのことで申し上げたい。今まで、宇宙開発委員会関係のこのような会合で、何を作るかという議論は随分してきた。それが中心だったと思う。それをどうやって作るか。別な言い方でいえば、生産技術と広く言われていることだろうと思うが、それに対する議論を初めてまともにやった。つまり、今先生がおっしゃっていることは、信頼性の問題から、生産技術に関することと言えないことはないわけである。そのようなことをまともに議論したことは、あまりないんじゃないかと思う。メーカーでは、もちろんある程度は行っているかもしれないが。宇宙というのは、修理ができないということが、ほかの地上設備と全く違う。従って、最初から完璧でなければいけない。しかも、打上げの数も少ない。その中でどうやっていくかという広義の生産技術、これを議論される方はここにも大勢おられるわけであるから、これからもう少しまともに、時間をかけて行っていったらどうかと考えている。今後のことなので、御賛成いただければ大変ありがたいと思う。
【雛田特別委員】 今の件だが、定性的には理解度を高めろと言えるが、定量的には、理解度というのは多分に、組織の能力や個人の能力にかなり依存する。当事者である組織の人が最善を尽くしたレベル以上のものを目指すような努力が理解度を高めるという理解をしないと、ただ単に信頼度の理解をするといっても、こういう言葉が出ると、日本全体のこの関係の人の知識などを寄せ集めると理解するのか、メーカーの中で最善を尽くして理解度を高めるのか、その2つがあると思う。実際には中間なのだと思うが、外部の人間は責任がないので、いろいろなサジェスチョンはできても、実用になるような意見は言えないかもしれない。そういうことがあるので、理解度というのは、感じはいいが、なかなか難しいのではないかと思う。
それからもう一つは、開発をすると、極端な話、わからないものが必ずあるわけである。そういうものは実行してはいけないという意見なら別だが、開発品には理解度が、極端に言うとゼロみたいなものが必ずある。それでも何か実験をするというような状態になったときに、それは例外だと言うのか。
例えば一例を挙げると、空力加熱という問題がある。最初のころは、空力加熱はよくわからなかった。じゃあどうしたかというと、わかる範囲の熱防御対策をやって、ノズルも含めて打っていたわけである。
理解していないとやってはいけないということになると、もう開発できなくなる。その辺はどなたかの御指導で、この段階のものは理解度はこの辺でいいと言ってもらわないと、実施する人はなかなか大変かと思う。あるいは、自主的にやってよろしいと言ってもらうか、どちらかではないかと思う。メーカーとしてはその辺はどう考えているのか。
【JAXA(河内山プロジェクトマネージャ)】 基本的なところであるが、理解度が不足している場合、理解できない場合には、例えば実験で限界試験や余裕試験を行い、ある範囲に関しては大丈夫だという確認が最低限必要。そうすると、「何らかの実証をそのときには行っている。ただし、理解度が必ずしも十分ではない」、そういう形になると思う。
そういう形でやっていくので、我々が努力するのと、もう一つは、外部の人の意見を入れた上でやるという先ほどのご提案と一緒であるが、そういう形で総合的にやるとしか言いようがない。
理解度についても、細かく、99%わかっているとか、そういう言い方は多分できないと思っている。先ほど委員長がおっしゃられたように、問題が残っているか、もっとやるべきことがあるかどうかということがわかる形での理解度の整理というのが、基本になってくると思う。もっとやるべきことがあるところについては、内部的な努力は当然であるが、現在も進めているとおり、外部の人の意見も聞くという形でやっていきたいと思っている。
【井口委員長】 ここでさっと答えが出る話ではないので、これから時間をかけて議論しないかということ。
【雛田特別委員】 それは了解した。
【井口委員長】 その理解度がわからないから、開発、実験をするわけである。そういうのは挑戦実験で、当たり前の話。わからないから実験をやる。わかっているのなら実験をやることはないわけである。
一方、実用品については、私が最初から言っているのは、要求信頼度というものをきちんと最初に考えようということ。99.99%ぐらいの信頼度を要求されるものについては完璧にわかってなければいけないとか、そういうランクづけぐらいはできると思う。
論理的に完全に筋が通らなければできないというのではなく、どうやってうまく使うかということを念頭に考えていったらどうかと思う。大体、生産技術というのは、そういうことの積み重ねである。理論があって、それからぱっと演繹すればすべてが決まるという話ではないと思う。その辺、我々の経験を踏まえて、これからじっくりと議論していくテーマではないかと思う。
【松岡特別委員】 17ページと18ページのところは今言われたこととも関係していると思うが、18ページには標準型という言葉があり、それから17ページには開発という言葉がある。今までの先生方の議論の中でも、開発という言葉が多く出てくるが、信頼性という観点からすると、開発に対し、実用あるいは標準型ははっきり分けて議論しなければいけないと思う。今までは開発の方が強くて、後から信頼性を考える傾向にあった。今後は、標準型を打ち出したので、その信頼性を上げるという考え方と、これからも行われる開発及びその信頼性を上げるという考え方があるが、両者の議論を分けないと、関係者の理解度について混乱が生じると思う。私としては、標準型については、開発を少し抑えぎみにして信頼度を上げていくという議論をしていただきたい。
【松尾主査】 私の方から1つだけ伺っておきたい。11ページのところに、極低温点検というものがあり、その下にシステム機能試験というものがある。それから12ページの黄色のところの中には、総合機能点検というものがある。この辺の関係はどうなっているのか。
例えば極低温というのは、システム機能試験の一種であるのか、あるいは、システム機能試験を総合的に包括してしまうようなものなのか。
【JAXA(沖田主任開発部員)】 システム機能点検というのは、総合機能点検も含めた全体のいわゆるカテゴリーのレベルの総称を指しており、特別の試験を示しているわけではない。総合機能点検というのは、まさに射場等で実施している固有名詞のことを指しており、ちょっとカテゴリーが違う。システム機能試験というカテゴリーの中に、1つ総合機能点検というものが入っている
【松尾主査】 極低温点検は、システム機能試験の中に入っていないのか。
【JAXA(沖田主任開発部員)】 極低温点検というのは、実際に射場設備とロケットと両方を組み合わせて全体を確認するという意味で、さらにレベルの高いシステム確認。
【松尾主査】 このシステム機能試験というのもすべて包含したようなものなのか。
【JAXA(沖田主任開発部員)】 極低温点検というのは、そういうもの。
【井口委員長】 これでどこまでチェックが済んだかということを伺いたい。5ページの一番下に、飛行安全関連設備の信頼性向上、地上での作業安全性向上とあるが、これから残されているのは、地上でいろいろ整備をすること、エンド・ツー・エンド試験をすること、つまり地上作業がある。それから、打ち上げて、あとは自動だろうから、成功すれば何もやることはない、見守るだけ。しかし、トラブルがあれば何らかの処置をするわけである。こうならないことを願っているが、最悪は指令爆破までやることになるわけである。指令爆破までチェックできているのか。
【JAXA(虎野サブマネージャ)】 射場において、指令爆破までチェックを行う。ただし、最末端は火工品が結線されておらず、ブレーク・アウト・ボックス、通常BOBというが、そこにつなぎ込んで、地上から指令破壊、アーム信号を送って、ディストラクト信号を送って、ブレーカーが飛ぶということで、信号が行くということまで確認する。
【井口委員長】 これから起こるすべてについてチェックは済んだと理解してよいか。
【JAXA(虎野サブマネージャ)】 すべての事象というのはちょっと難しいが、少なくとも飛行中断処置、つまり指令爆破、その系統の試験については、あらかじめ予定されたとおりの試験を今後カウントダウンの中で行うということになっている。
【井口委員長】 打上げゴーというのを最終的に宇宙開発委員会が了解するのは、間近だと思う。そのときには、最後のところまで十分考えられたということを我々が理解した上でないと了解できないと思う。だから、これでどこまで済んでいるのかということを伺いたい。打上げ安全について、まだ他に聞かなければいけないのかどうか。そういう意味で、どこまで含まれているのかということを確認している。
【JAXA(河内山プロジェクトマネージャ)】 基本的には、設備の単独のもの、それからロケットの単独のものと、別々でやっており、今行っている総合機能試験、先ほど説明があったが、その中で一応全体の系をならして行う。最終的には、カウントダウンの前にもう一度確認することになると思う。
もう一つは、これも今実施中だと思うが、飛行安全の訓練も含めて、そういうあらゆる事態に対応するシミュレーションプログラムがあり、それで飛行安全の訓練を行う。そういうものもあわせて、最終的にはトータル、いろいろなことに対応できるような形になると考えている。現在、まだ実行中である。
【松尾主査】 そういう意味での最終確認には至っていないが、現在、そこに至る過程において不都合は発生していないと思えばよいか。
【JAXA(河内山プロジェクトマネージャ)】 そのとおり。
【松尾主査】 ちょっと消極的な言い方かもしれない。
【宮澤特別委員】 極低温試験というのは、実際に液体を入れるわけか。
【JAXA(河内山プロジェクトマネージャ)】 そのとおり。
【宮澤特別委員】 そのような試験は、実際に打上げの前に入れる前に、何回ぐらい行うのか。
【JAXA(河内山プロジェクトマネージャ)】 基本的には1度。要するに、ロンチオペレーションの形で充填・排出をきちんと行うという形になっている。
【宮澤特別委員】 1回、射場で行うと理解してよいか。
【JAXA(河内山プロジェクトマネージャ)】 原則そのとおりである。
【宮澤特別委員】 それは、以前のH- のときに比べて簡略化・効率化ということで回数を減らしたのか。
【JAXA(鈴木ロケット点検チーム長)】 減らしてはいない。
【宮澤特別委員】 H- も同様か。
【JAXA(鈴木ロケット点検チーム長)】 同様である。
【宮澤特別委員】 工場内では入れているのか。
【JAXA(鈴木ロケット点検チーム長)】 それはありえない。工場内では、安全性の制限上できない。
【宮澤特別委員】 27ページ、このマトリックスシステムは非常によくできていると思うが、これで見ていると、実際に評価するのは航空宇宙事業本部ということになる。ほかの本部にも研究所など、実際の開発に協力してもらった部門があると思うが、そういう専門家というのは、この中ではどこかに入っているのか。
【MHI(浅田主幹プロジェクト統括)】 今、宮澤先生がおっしゃったことに関しては、特にSRB−Aに関して、当方の技術本部、例えば長崎研究所、高砂研究所、そういったメンバーを集めて、完全独立して評価を行っている。
自社のものについてそういう人を使ったかというと、それはやっていない。特にこの評価内容は非常に専門的な詳しいものなので、なかなか外部の者ではわかりにくいところがある。そういう意味で、直接携わっている者がきちんと見ることになっている。
【宮澤特別委員】 極低温技術などは、ほかの研究所、ほかの部門の専門家の方にも参加してもらっていたのではないか。H− Aではどうだったのか。
【MHI(浅田主幹プロジェクト統括)】 始めた当時は長崎研究所がやっていたが、今はそういったメンバーが名古屋の方にみな移っているので、今は名古屋の方が極低温に関しては最も専門的な知識を持っていると自負している。
【五代参与】 実際の作業になると、手順書がいろいろある。この手順書は、最初から完璧ではないわけなので、改訂をしていく。この手順書は紙ベースなのか、電子ベースに移ろうとしているのか、理想像はどうなのか。きちんと改訂がされているのをどのようにチェックするのか。それこそさきほどの理解力の話ではないが、作業者がきちんとそれを理解して行っているのかという判断はどうか。
手順書の中に1つ、加圧マップというものがある。多分、圧力が部品にかかって損なうなどのケースを抑えるためかと思うのだが、その絡みも、もしわかれば教えていただきたい。
【MHI(浅田主幹プロジェクト統括)】 先ほど、25ページの方で、射場作業の不適合撲滅のためにこういう活動をやっていますということで、じゃあ不適合はないのかというと、実はこの二、三日結構起きており、致命的にはなっていないが、作業ミスのようなことが起きている。
その中の、今、五代委員から御指摘があった、手順書のレビューが完璧だったかというところで、実は反省すべきところがある。実際、今まだ紙ベースで行っているところもある。ただ、承認手順は電子的に行っているが、系統をまたがったレビューが十分に行われていなかったというのが反省点。つまり、ある系統の中では見ていたが、例えば電気系の点検を構造の立場の人や推進系の立場の人が見る、そこが抜けて作業ミスを起こしたところがあり、それを今、横の目が行くようにということで見直そうとしている。皆が点検しやすいシステムに持っていかなければいけないと思っている。
今は、本当に紙が主体なので、将来的にはやはり時流に乗ってIT化。例えば射場でも、紙を見るのではなくて、ウェアラブル・コンピューターのようなもので、過去の不適合から、システムの概要、すべてわかって、それを見ない限りは次の手順を踏めないとか、そういう防止機構を設けられるように希望している。海外の打上げに関しては、IT化がどんどん進んでいるので、日本の方でも是非そういう方向に持っていっていただきたいなと思っている。
【五代参与】 今、海外の例をおっしゃったが、具体的な作業についての検討をされているのか。海外もいろいろ問題があるわけであるが。
【MHI(浅田主幹プロジェクト統括)】 検討をやりたかったが、6号機の事故等があり、改善の方向にはまだ行けない段階。今後、もう少し打上げが落ち着いてきたら、よりよい方向に持っていけるよう御提案をしたいと思っている。
【五代参与】 期待している。
それから、先ほどおっしゃった電気系と機械系のグループの間のインターフェースについては、私も経験がある。それぞれみなベテランで、単独ではいいと言うが、その間のつながりが悪い。電気系の人と機械系の人というのは、考え方が結構違う。皆さんよくわかっているようだが。その辺のところを、うまくシステマティックになるようにお願いしたい。
【山下専門委員】 ヒューマンファクターという話になると、「慣れ」と、「狎れ」ということがよく言われる。私は1年余にわたって、大変なリソースとエネルギーを使って、7号機のためにいろいろな処置をしてきたので、多分7号機、8号機ぐらいは大丈夫だろうと思う。しかし、これがいずれ「狎れ」になるということを極めて恐れており、一体なぜ「狎れ」になるのかということをよくよくお考えいただきたいと思う。
例えば射場作業などでも、だんだんいわゆるラーニングカーブ、慣熟度が上がったからもう少し安くなるだろうとか、財政当局からのプレッシャーだとか、あるいは、いろんな点検手順を作ったけれども、実はこの中のこの項目はあまり意味がないなどと言って削るとかいうことが、やがて起きてくるんだろうと。それがいずれ「狎れ」につながっていくのではないのかなという恐れを持っている。
そのように削減等していくときには、よくよくお考えになって、本当にこれは切っていいのかどうかということを慎重に検討いただきたいと思う。
【MHI(浅田主幹プロジェクト統括)】 了解した。コストダウンが結局失敗に結びつくと、それはもっと大きな損失になるので、その辺は肝に銘じてやりたいと思っている。
【JAXA(河内山プロジェクトマネージャ)】 おっしゃられるとおりで、先ほどから申しているが、信頼性の向上という精神を忘れないようにするというのが非常に重要で、信頼性をきちんと謳った上で、コストダウンや効率化を考えるというのが基本だということを忘れないようにするというのが、この1年、皆さんの協力を受けて行ったこの作業の非常に大きな財産だと思っているので、関係者一同、肝に銘じて頑張りたい。
【冨田特別委員】 大変いろいろやっておられて結構だと思うが、1つ質問がある。27ページ、事業本部や技術本部など入っているが、結局ポイントになるのは、品質評価チーム、リーダは技術部主幹、その次は機体システムの品質評価とりまとめ、この辺がポイントだと思うのだが、この体制というのは工場内の体制なのか。それとも、射場の体制なのか、両方含めての体制なのか。
【MHI(浅田主幹プロジェクト統括)】 工場、射場含めた全体の体制である。
【冨田特別委員】 そうすると、射場でも、この技術評価チームのリーダというのは常に常駐していると考えてよいか。
【MHI(浅田主幹プロジェクト統括)】 ポイント、ポイントで滞在している。常には行っていない。情報は名古屋にいても入り、そこで判断できるので、重要なところで集まっている。
【冨田特別委員】 機体システム品質評価とりまとめという、この人は常駐なのか。
【MHI(浅田主幹プロジェクト統括)】 そうではない。
【冨田特別委員】 その辺、私は考えた方がいいと思う。理解はできるが。
【MHI(浅田主幹プロジェクト統括)】 常駐ではないが、今のところ50%ぐらいは現地に行っている。
【冨田特別委員】 上がいろいろいるが、この辺の判断で決まることが多いのでは。だから、今、ポイントポイントと言われたが、ポイントを外さないように見てほしい。
【MHI(浅田主幹プロジェクト統括)】 射場で起きた不適合を名古屋で片づけなければいけない場面が数多くある。ずっと射場に張りついておけばいいかというと、そうではなくて、両方一体になって片づけなければならず、射場だけで物事が進んでいるわけではないので、こういう体制をとっている。
【八柳特別委員】 30ページの一番最後のところについて。調査可能な範囲においてということで、三菱さんが他社とのデザインオーソリティ、要するにノウハウに係る部分については確認できませんよというお話をされたが、ここはむしろ、JAXA(ジャクサ)が開発責任者として監督するということを書いてあるので、JAXA(ジャクサ)ないしは発注者が本来は確認して、責任まで負うべきもののような気がするが。
【JAXA(河内山プロジェクトマネージャ)】 JAXA(ジャクサ)及び発注者のロケットシステムも入っているが、そちらについては直接確認している。
【八柳特別委員】 確認しているのか。
【JAXA(河内山プロジェクトマネージャ)】 MHIさんは、そこについてはメーカー側の都合により、さきほど申し上げたELの関係で見られないところがある。我々の場合は、ELの方にきちんと名前が載っているので、確認できるということになる。
【八柳特別委員】 三菱さんができない部分についても、JAXA(ジャクサ)は完全にすべてを把握しているということか。
【JAXA(河内山プロジェクトマネージャ)】 基本的にはそのとおり。MHIさんが行っているから我々はやっていない、というのではなく、MHIさんと我々、それからロケットシステムが一緒になって行っている。
【MHI(浅田主幹プロジェクト統括)】 29ページの図で書いてあるように、JAXA(ジャクサ)さんとRSCさんが基本的にはやる作業であり、それに加えてMHIが行っているということ。
【小林特別委員】 品質評価とおっしゃっている部分は、品質保証と同じなのか違うのか。それから、射場はわからないが、名誘さんは、ISOの9001や16001など、要するにJISにもなっていて、社会的に通用している品質保証システムの認定は取っているはずだと思うのだが、そこで要求されている組織、PDCAサイクルのような品質保証の基本的なアクションと、ここの組織や品質保証のアクションは全く違うものなのか、それともにそれに則りプラスアルファで行っているものなのか、それを御説明いただきたい。
【MHI(浅田主幹プロジェクト統括)】 おっしゃるとおり、JIS Q 9100、宇宙部門の資格を取得している。基本的に品質保証部門が中心になってそういうマネジメント組織を作っており、それに則って行っている。本来、技術部というのは、組織上、最後の製品の出来のところまで一気通貫で見る役割にはなっていない。設計し、その指示を出すというところまで。このH− Aの場合には、技術者が頭からしっぽまで全部見なさいということで、そういう意味で冗長な形、既にある品質管理、品質マネジメントの上に乗っかって、さらに技術部が主体となって評価を行うということで言葉を分けている。
【小林特別委員】 オーバーラップさせたものであり、別組織ではないということか。
【MHI(浅田主幹プロジェクト統括)】 その通り。
【松尾主査】 24ページに、適正な人員配置・要員の力量評価という項目があり、その前に教育実施とある。教育実施をした結果、現状の配置が考えてみると適正になっていると考えればいいのか、それとも実際に誰か異動させたのか。
【MHI(浅田主幹プロジェクト統括)】 力量評価をどうやって行ったかというのは、個々のタスクを指揮する人が、そこのタスクの中身を見たときに、誰をどこにつけたらいいかというのを教育の結果として判断している。なかなか個々の力量を定量化するところまでいかず、指揮する人の主観的な判断にある程度ゆだねているところがあるが、それに基づいて作業計画を立てたということ。
今後の問題として、突然出てくる作業、例えば、不適合が起きたのでこれまでにない手順を行わなければいけないなどのときに、もう一度原点に立ち戻って、本当に適切な人がその作業を行っているかということを見なければいけないと思っている。
【松尾主査】 今のところは真っすぐ走っているだけで、適正な人員配置と教育実施との間にフィードバックのようなものはまだ図っている状況ではないと思ってよいか。
【MHI(浅田主幹プロジェクト統括)】 作業を実施中であり、フィードバックをかけるとすれば次の号機になると思う。
【松尾主査】 私が言ったのは、実体験を通じてではなくて、教育実施を通じて何かおやりになったのかということ。そこで、ある種力量というのは明らかになると思う。
【MHI(浅田主幹プロジェクト統括)】 6号機から7号機に当たって具体的に入れかえたかどうかということは確認できていない。
【松尾主査】 了解した。
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