平成20年2月6日(水曜日)14時〜15時
文部科学省18階 宇宙開発委員会会議室
| 宇宙開発委員会委員長 | 松尾 弘毅 |
| 宇宙開発委員会委員 | 青江 茂 |
| 宇宙開発委員会委員 | 池上 徹彦 |
| 宇宙開発委員会委員 | 野本 陽代 |
| 宇宙開発委員会委員 | 森尾 稔 |
| 文部科学省研究開発局長 | 藤田 明博 |
| 文部科学省大臣官房政策評価審議官 | 藤嶋 信夫 |
| 文部科学省大臣審議官(研究開発局担当) | 青山 伸 |
| 文部科学省研究開発局参事官(宇宙航空政策担当) | 片岡 洋 |
文部科学省研究開発局宇宙開発利用課長 |
中川 健朗 |
| (説明者) | |
| 独立行政法人宇宙航空研究開発機構理事 | 堀川 康 |
| 三菱重工業株式会社航空宇宙事業本部 宇宙機器部長 | 浅田 正一郎 |
| 独立行政法人宇宙航空研究開発機構理事 | 河内山 治朗 |
| 東京大学教授 | 中島 映至 |
| 独立行政法人宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究本部 准教授 | 坂尾 太郎 |
委5-1-1、委5-1-2について、独立行政法人宇宙航空研究開発機構(堀川理事、河内山理事)、三菱重工業株式会社(航空宇宙事業本部 浅田宇宙機器部長)より報告があった。
特段の質疑はなかった。
委5-2について、独立行政法人宇宙航空研究開発機構(堀川理事)、東京大学中島教授より報告があった。
【青江委員】
今の地球環境の変動が人為によるものであると多くの人が受け止めて、それに対しての対策を考えていく時代に入っているということだとすれば、観測して、シミュレーションして、先行きの変動を予測することというよりは、むしろ、いかに温室効果ガスを削減するかというところに力を大きく注ぐような転換を遂げるべきではないかという意見もあるように思えるのであるが、中島教授の見解を伺いたい。
【中島教授】
学術会議の委員会の中でも、自然気候変動の観測、それを引き起こした原因の調査、そして温室効果ガスの削減、この三つは三位一体でやらないと、効率のいい対処ができないというような議論になっており、学術会議でも、やはりその三つの分野の人が集まって検討を始めている。
その中で一つ言えることは、地球温暖化ということは証明されたが、今度はその対策ツールとしての予測モデルという観点で見ると、まだモデルは不完全である。モデルというのは、人間が作ったものであるから、それを拘束するための観測データがどうしても必要なのである。特に高さ方向。高い雲が出ると地球は温室効果を起こすので、ちょうどCO2(二酸化炭素)と同じで、温暖化を加速する。だから21世紀の終わりまでにモデルによっては6度ぐらい温まってしまう。逆に低い雲が出れば、日傘効果で太陽放射を反射するので地球が冷えて温暖化は減速する。残念ながら、現段階では、その雲モデリングに不確定性が大きいということが、現場で働いている者の感触である。温暖化の証明から対策のための観測、それからシミュレーションするということが必要になってくるということだと思う。
【青江委員】
今の一種の三位一体論とでもいうべきものは大体、学術会議の大勢か。
【中島教授】
はい。それは学術的な立場からいけばそうなのである。やはり今、対策とか社会的なミッションによって、我々の学術も、ある程度、そちらにも目を向けていかなければならない。気候のモデリングも天気予報と同じで、今までは天気がどう変わるかのメカニズムがわからなかったから、それを証明するというのが仕事であったが、それがわかるようになった途端に、今度、何度かという話になる。ちょうどそれと同じで、温暖化は証明されたと思うのであるが、じゃあ、何度かということが焦点になり始めた。例えば、中国大陸のどこが乾燥して、どこで洪水が起こりやすいか。台風がどこをヒットしやすいかということは、これは気候モデルをよくしていかなければわからないと思う。対策を的確にとるためには。観測とシミュレーションが要る。
【森尾委員】
地球のこういう環境に係る衛星としてはGCOM−C1とかW1とかある。GCOM−W1はもう詳細設計に入っているから難しいかもしれないが、まだこれから基本設計に入る衛星とかGCOM−C1は、事前に相談して、それぞれの役割をどうすれば、もっとトータルとして好ましいデータが得られるかというような動きはやっておられるのであろうか。
【JAXA(ジャクサ)(堀川)】
はい。もともと総合科学技術会議の方の地球観測推進部会の方でまとめられたニーズに基づいて、この全体の計画を立ててきていて、それぞれGOSATも、利用者の、研究者の委員会、GCOMも研究者の委員会、それからEarthCAREについても、全体的な計画に対する要求に対する委員会、それから私ども米国のNOAA、あるいはNASA(ナサ)との協調、それからESA(イサ)との今回の協調のように、全体の中で、役割、ニーズを踏まえて、それぞれの計画を徐々に組み上げてきているので、連携が十分にとれていると認識している。
特に、米国のNPOESS計画であるとか、ヨーロッパのMETOPの計画、それからEarthCARE計画というのは、それぞれの気候変動、温暖化に与える因子を分析した上で、それぞれがどういう役割を担うかということで進めているので、ニーズに対してトータルでこたえられるような、特に季節変動を対象としたり、あるいは日変化を対象としたりということに関しての役割分担をお互いに協調しながら進めている。
【森尾委員】
それはそれぞれのプロジェクトの関係者が定期的に集まって連絡会みたいなことはやっているのか。
【JAXA(ジャクサ)(堀川)】
はい。それはやっている。それから、委員の方も重複して参加していただいている。
【池上委員】
エアロゾルとか雲の変化というのは非常にテンポラルで、どんどん変わっていく。それとこの観測の周期とモデリングというようなことを考えた場合に、データをとった後の研究なり解析のガイドライン的なものというのは既にあるのか。
【中島教授】
雲とかエアロゾルは非常に変化が激しいので、それを観測しただけでは、そのメカニズムとか、なぜそう変化するかがわからないので、どうしてもモデルをかませる必要がある。それを、一つは、天気予報をやっている数値予報モデル、もう一つは気候モデルといって、少し分解能が粗いが、様々な相互作用を取り込んでいて、何年にもわたって計算できるようなモデルで調べる必要がある。
数値予報に関しては、ヨーロッパ中期気象予報センターというものがあって、中長期の気象予報精度は、多分世界で一番能力が高い。そこと密接な関係を持ちながらやっているので、雲ができて、それが次の日どこに行ったかみたいなことを、衛星が上がったときにシミュレーションして、確かに衛星で見ているものはこうで、もし、モデルが違っていたら、これぐらい高さが違うとかを、これによって検知しようと思う。このデータを、今度、月平均から年の平均にやっていくと、季節変化とか、エアロゾルが増えることによって雲が厚くなったとか、雨が減ったとかいう効果がだんだん見えることになるのであるが、それは気候モデルを使わなければできない。これに関しては、私ども東大の気候センター、JAMSTECのフロンティア研究センター、国立環境研で大きな気候モデルを持っているし、地球シミュレータも持っているので、それと詳細に比較したいというのが計画である。
【池上委員】
日本はモデリングが弱いのではないか。
【中島教授】
欧米は研究投資のお金の規模が違う。欧米では気候問題となると、大体、日本の10倍の人を投入している。これは太刀打ちできない。しかし、最近の若い人からはネイチャー、サイエンスの論文が出始めた。日本のモデリング技術は非常に上がっていて、イギリス気象局などから、人が今、横浜の地球シミュレータに常駐しているなど、国際的にも認知されていて、一緒にモデリング研究をやっている。
【池上委員】
国内で環境関係をやっている研究所がたくさんある。その辺でもう一度、新しいフォーメーションを作って、今、洞爺湖サミットにしても、まさしく環境は非常にホットな話題なわけだから、何かリストア的なものができて、解決できるものについていえば、それを今、主張するチャンスではないかという気がするのであるが。
【中島教授】
私は温暖化等の影響に関する課題別委員会の副委員長をやっているが、この洞爺湖サミットの前に北海道で国際専門家会議を開くので、そのときにいろいろ提案してゆきたい。これに関して言えることは、温暖化に対してどう対処して、どれぐらいのppm(パーツパーミリオン)まで行ったらどうなるということを、学術的にもきちんと言う必要があると思っている。それと同時に、今度、神戸にできるペタフロップスマシンを、こういう気候・環境研究でどう使うか、それを国際プロジェクト。として立ち上げられないかなども検討したい。一方、最近は大きな研究所によるプロジェクト型研究がトレンドになってしまっているのだが、そのはざまに落ちて、学生たちは、そういう忙しい研究室に行かない実態がある。むしろ自由に研究をやりたいという。だから、大学では少し緩やかにやって、手厚く学生をケアしてあげながら育てるという教育とミッションタイプの両方考えなくてはいけない。それらについても今度の学術会議の委員会でも検討したいと思う。一番重要なことは、みんなで一緒になって、存分にディベートをやることだと思う。我々としては、気候モデルを天気予報のレベルで使うように持っていくためには、あの機械をがんがん使わなければいけないで、そういう実用のレベルで訴えるようなことをやっていきたい。7月には、東大、ソウル大学、中国科学院、それから台湾から気候モデリング関係の若手を集めて研究会をやるが、モデリング研究も、やはり東アジア全体でやるのがいいと思う。
委5-3について、独立行政法人宇宙航空研究開発機構(宇宙科学研究本部 坂尾准教授)より報告があった。
【松尾委員長】
今回の不具合は、観測には工夫をすれば影響がないという状況のようであるのは、まことに幸いであるが、場合によっては、これは致命傷にもなりかねなかったことだと思うので、十分、その原因を究明して、一般的な教訓をくみ取れる限りくみ取っていただきたいと思う。
【JAXA(ジャクサ)(坂尾)】
もちろん、今、並行して原因究明等を進めている状況である。
【野本委員】
今、原因究明をなさっているということなのであるが、今のままだと、あと「ひので」はどれくらい観測を続けられそうか。太陽が極小期から、やっとこれから活動期に入るというので、「ようこう」のようにワンサイクルは無理にしても、できるだけ長い期間観測してほしいが。今の予想では、あと何年ぐらい活動できそうか。
【JAXA(ジャクサ)(坂尾)】
特に、何かが性能が落ちてきていて、あと何年しかもたないだろうとか、そういうことではない。我々の希望としては、少なくとも打上げから5年程度はもたせたい。ノミナルは3年と考えているが、サイエンティストの希望としては5年、あるいは「ようこう」並みにもっと長くということを考えている。
【野本委員】
黒点についてわかると、星の何がわかってくると考えたらいいのか。
【JAXA(ジャクサ)(坂尾)】
星一般の活動性がわかるということを期待している。太陽というのは、わりと平均的な星であるが、中には太陽よりはるかに強くX線を出すような星があって、そういうものは星のかなりの部分が大きな黒点になっているのではないかなどいろいろ考えられている。そういうものが一体どうやって形成されるのかであるとか、そういうことを知る手がかりになるのではないかと思う。
特段の質疑はなかった。
【以上で議事は終了】
(研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付)