平成19年7月26日(木曜日)10時〜11時30分
三田共用会議所 第三特別会議室
| 宇宙開発委員会計画部会部会長 | 青江 茂 |
| 宇宙開発委員会委員長 | 松尾 弘毅 |
| 宇宙開発委員会委員 | 森尾 稔 |
| 宇宙開発委員会委員 | 池上 徹彦 |
| 宇宙開発委員会計画部会特別委員 | 青木 節子 |
| 宇宙開発委員会計画部会特別委員 | 有信 睦弘 |
| 宇宙開発委員会計画部会特別委員 | 歌野 孝法 |
| 宇宙開発委員会計画部会特別委員 | 大島 まり |
| 宇宙開発委員会計画部会特別委員 | 茂原 正道 |
| 宇宙開発委員会計画部会特別委員 | 田中 明彦 |
| 宇宙開発委員会計画部会特別委員 | 棚次 亘弘 |
| 宇宙開発委員会計画部会特別委員 | 中須賀 真一 |
| 宇宙開発委員会計画部会特別委員 | 鶴田 浩一郎 |
| 宇宙開発委員会計画部会特別委員 | 観山 正見 |
| 宇宙開発委員会計画部会特別委員 | 米倉 誠一郎 |
| オブザーバー(独立行政法人宇宙航空研究開発機構理事長) | 立川 敬二 |
| 文部科学省研究開発局長 | 藤田 明博 |
| 文部科学省研究開発局参事官(宇宙航空政策担当) | 池原 充洋 |
| 文部科学省研究開発局宇宙開発利用課長 | 中川 健朗 |
| 文部科学省研究開発局参事官補佐 | 野田 浩絵 |
【青江部会長】
本日は、宇宙開発に関する長期的な計画の素案について御議論をいただく。
当初は、この段階で中間報告として取りまとめ、パブリックコメントを実施するということを考えていたが、我が国の月探査の進め方について、本日の議題の一つであるが、月探査ワーキンググループというものを設置して、さらに御議論をしていただいた上で、次回の計画部会で中間報告を取りまとめることとさせていただきたい。
それでは、早速議事に入りたいと思う。
【田中特別委員】
国際的な観点では大変よく書いていただいていると思う。国と国民の安全と安心の確保というところで、総合的な安全保障体制の中で一定の役割を果たすということを書いていただいたのは結構だと思うし、国際社会での我が国の総合的な影響力の維持・強化ということも、全般的に大変丁寧に書いていただいたと思うが、日本でこういうことを書く場合、10年ぐらい前は影響力を強くするというよりは、国際社会に貢献するという言い方の方がずっと多かった。最近、あまり国際社会への貢献とばかり言っていると、自分のことはどうするのか、と言われることが多くなったので、どちらかというと自分に役に立つという形で書くことが増えているのだと思う。
4ページのウ)「国際社会での我が国の総合的な影響力の維持・強化」も、どちらかといえば自分に役に立つということが書いてある。これは日本の外交と安全保障、それから、国際的な地位の保持にかかわるし、日本が尊敬され、魅力のある国になるから、役に立つと言っており、私も正しいと思うが、やはりどこかに一言ぐらいは国際社会への貢献という言葉も残しておいていただければいいのではないかという気がする。
私が専門にしている安全保障政策はどちらかというと、あまり国際社会への貢献などと「甘い」ことを言っていたらだめだということはあるが、宇宙開発を日本がやる意味は、やはり人類に貢献するという側面が大きくて、国際社会への貢献や人類の知識の増進ということを通じて尊敬される国、魅力ある国になるという言い方にしていただいた方がいいのではないか。
【青江部会長】
修正させていただきたいと思う。
【中須賀特別委員】
基本方針のところとも関係しているのかもしれないが、これまでの宇宙開発はどちらかというとプロジェクトベースで進んできたが、継続的な目標として、まさにプログラムを決めて継続的にやっていくということをある程度うたっているのではないかと思うが、その基本的な考え方を1章か2章にも書かれてはいかがか。
つまり、非常に長期的な視野に立ったプログラムを作り、そのプログラムの中で、プロジェクトとしてそれぞれを進めていく。継続性が極めて大事である。特に地球観測は継続性がないと意味がないから、衛星の継続性もあるし、データ利用方法の継続性もあるということで、継続性ということを強く訴えられたらいいのではないかと思う。
【青江部会長】
書き方としてはどういう形がいいか。
【中須賀特別委員】
書き方としては、多分2.(1)の「宇宙利用プログラムの重点化」の中では継続性の重要性について書かれたらいいのではないか。
【青江部会長】
了解した。
【中須賀特別委員】
それから、「災害監視・通信プログラム」に関連して、例えば台風等の災害が起こったときに、利用できるメディアはおそらく宇宙だけではない。だから、宇宙だけでやるというのではなくて、地上のシステムも組み合わせることによって、あくまで宇宙は非常に貢献できる道具の一つであるという書き方がいいのではないか。宇宙だけでやると言ってしまうと、できないことがたくさん出てくるので、本当に全部できるのかと必ず言われてしまうと思うので、地上システムとの適切な分担を図りながら、宇宙開発利用として独自の貢献をしていくというような書き方がいいのではないか。
【青江部会長】
どうもありがとう。今の点に関しては、イノベーション25の報告書に、おっしゃったような包括的な、地上系のシステムも含めた全体的な社会システムを作っていくというような姿が描かれている。その中から宇宙の部分をここへ書き出した形になっているが、もう少し表現を検討したいと思う。
【棚次特別委員】
宇宙利用と輸送系の関係についてであるが、成果の国民への還元ということが強く打ち出されおり、当然国民が一番期待するところであるからこれは結構なことだと思う。それから、輸送系については自律性ということが強く書かれていて、国の衛星は国産ロケットを使用することを基本とし、民間においても使用を推奨すると書かれているが、利用を確実に実施するという観点からいくと、輸送系については国際的な補完の仕組みがないと、国産ロケットが倒れたら利用がすべて倒れてしまうことになってしまう。そこはどのようにお考えか。
要するに、自律性を保ちながら国際協力を進めるというような非常にあいまいな言い方になっており、横の関係があいまいなような気がしている。おそらく、利用を確実に推進するのであれば、国際的な補完の構想を立てておかないと急には出来ない。以前はたしかこの考え方の記述があったように思うが、今回の長期的な計画では消えてしまっている。輸送系が国家基幹技術に位置づけられた途端にもう国際的な補完はなくなってしまったような感じも受ける。
【野田参事官補佐】
前回の長期的な計画では、「打上げ補完については、打上げ失敗等により、自律的な宇宙開発活動に影響を及ぼすことのないよう、国際協力や民間主導による中小型ロケットの開発動向を考慮しながら、柔軟な補完体制を構築する必要がある。」と記述されている。
【青江部会長】
現時点において、基幹ロケットというものの位置付けを考えたときに、政府ミッションにおいては基本的に使っていくということである。何も補完体制について書いていないということは、これはたとえ少々のことがあっても待ってもらうという考えに立っている。
【棚次特別委員】
他方、利用を推進するとなっているので、本当に推進するのであれば、輸送系のことはよく考えておかないといけないと思う。どちらを優先するかだと思う。
【青江部会長】
実際のところを申し上げると、個別のプロジェクトについては、宇宙開発委員会の推進部会で評価を行う際の評価項目の中の1項目にリスク管理というものがある。そのリスク管理の中には、予定した打上げ用ロケットが、何らかの不具合によって打上げることができなくなった場合にどうするのか、ということが書いてある。
それに対する通常の考え方としては、1年程度は待ってもらうということである。それを越えるような異常な事態が生じたときには、それをある程度見越して早い段階で対応を考えるというのが大体のところである。基本的な考え方として、基幹ロケットをきちんと使っていくという考え方にこの素案は立っているのではないかと思う。
だから、わざわざバックアップ体制のようなものをあえて明確に出していく必要があるかどうかということだと思う。
【棚次特別委員】
しかしながら、国際協力の中にも書かれていない。基幹ロケットが倒れたからといって、急に国際協力というのはなかなか難しい話であり、日頃から考えておかないとなかなか急にはいかないと思う。
それから、12ページに、「打上げの効率性の追求及び打上げ手段の多様性の確保の観点から、中型及び小型のロケットについて必要な開発を行う。」となっているが、多様性という言葉の意味が少し曖昧で、これは冗長性を言っておられるのか。要するに、基幹ロケットがだめになった場合には、中小型のロケットでバックアップするということなのか。
【青江部会長】
そこはそうではない。
【棚次特別委員】
多様性というのは、効率性に近いようなものであろう。
【田中特別委員】
総合科学技術会議で科学技術基本計画においても、こういう形の文章になっていることに対する私の理解は、H−
Aロケットを基幹技術とするという以上は、これがだめになったらどうするというような話は、その時はもう基幹技術に値しないと、やめてしまえという話だと思う。
だから、部会長がおっしゃったように、ある許容範囲まで待ってもらえれば確実に打ち上げられるというレベルに、H−
Aロケットの打上げ体制や技術が到達しないのであれば、これはもう日本ではできないと、ここに税金を投入するのはできない、やや極端に言うとそういうだと思うので、そこのところでこれがだめだったらどうするかというバックアップを書くというのは、その決意がやや薄まってしまうというのではないかと私は思う。
【棚次特別委員】
ただ、世界的に見てもロケットの打上げ成功率は95パーセントしかない。これはどのロケットを使っても同じである。要するに、20回に1回は必ず失敗するというのが世界的なロケットのレベルだから、バックアップは考えておかないと問題だと思う。
【青江部会長】
もう一つ少し申し上げると、具体的には三菱重工業が、基幹ロケットについて欧州の会社と企業間でバックアップ体制を組もうということで、枠組みは作っているわけであるが、そういうことは、国の政策の外のこととしておやりいただいているという事実はあるわけである。
ここではあくまでも、国の政策として基幹ロケットというものに関して、かなり長期にわたって構造的にだめになってしまうような場合のことを考えるかどうかということだと思う。
【棚次特別委員】
基本的には回復するまで待つということか。
【青江部会長】
先ほど申し上げたように、根本的、構造的ではない範囲での事象については、時間的にもある程度の範囲におさまってくるだろうから、そこはお待ちいただくということではないかという整理だと思う。
【棚次特別委員】
了解した。
【中須賀特別委員】
衛星測位プログラムのところであるが、GPSのような測位システムを日本も将来、独自に持つという趣旨なのか。或いは、それを補完、補強するというところまではやるが、独自のシステムは特に持つ気はないということなのか。
【青江部会長】
ここの考え方としては、GPSの補完・補強の具体化につなげるということであり、GPSに取ってかわるようなものを志向するということではない。「将来の地域測位システムに必要な事実の習得を図る」という部分についても、地域測位システムと書いてあって、GPS、或いはガリレオのようなグローバルなものを志向するということは日本としてはない。GPSを補完・補強するような地域測位システムというものについては具体化につなげていく。そして、将来的に備えて、必要な技術はきちんと手に入れておく、ということを言っていると理解していただければと思う。
【中須賀特別委員】
要するに、独自に持つかどうかについては、今は判断しないということか。「地域測位システム」という意味では、準天頂衛星を何機か使うと地域測位システムになるわけであろう。それは一応、GPSとは独立した測位システムになるわけある。だから、そういうことまで視野に入れた書き方なのか。
【青江部会長】
そこまでは視野に入れている。
【茂原特別委員】
これは前回も議論になったが、最終決定は技術開発を見てからであるが、必要ならば、地域測位システムは作る、という結論と理解する。その必要性というあたりが一番の問題であるが、それをどれだけ積極的か受け身にとるかということである。私は、地域という限定はあるにしても、万が一の場合は、日本として完全なバックアップ系をきちんと持つということが必須だと理解しているが、そういうことでよろしいか。それが絶対持てなかったら、日本は大変なことになると思う。それだけはきちんと御理解をしておいていただきたい。
【青江部会長】
茂原特別委員が言われたとおりだと思っているが、準天頂衛星が3機上がってとりあえず補完・補強体制ができるわけであるが、まさに御案内のとおり、2機目、3機目を誰が上げるのかということについて、これは延々議論をしているわけであるが、現時点において宇宙開発委員会が決め得ることというのはここに書いてあることぐらいかと思っている。
【茂原特別委員】
その上位に立つ宇宙基本法が今度の臨時国会でおそらく成立すると思う。その世界で決めるべき議論ではないかと思う。
【青江部会長】
少なくとも、宇宙開発委員会はどこを目指すのか、この準天頂衛星1機を作り上げた上で、どこを目指すのか、といったことはこの文章でとりあえずはっきりしていると思っている。
【茂原特別委員】
10ページ目の「宇宙探査への挑戦」のところに書いてあるが、基本的なことを私の経験に照らして申し上げると、「我が国の強みを活かし、未知のフロンティアである宇宙の探査に果敢かつ戦略的に挑戦する」ということは、これはまさにそのとおりである。それから、12行目に「我が国の独自性及び技術的優位性を発揮できる課題に選択・集中して」とあり、独自性、優位性という言葉がキーワードに挙がっている。それから、19行目に「自律性」という言葉がキーワードとして上がっている。
戦略的な挑戦、自律性ということと、今持っている日本の技術の優位性ということが多々矛盾してくる場面がある。例えば、国際宇宙大学で、世界の学生を集めたデザインプロジェクトを10年ほど面倒見ていたが、そこでは、将来のプロジェクトについて、10週間ぐらいかけて100人ぐらいの学生がブレインストーミングを中心に概念設計をする。
10週間のうちの最初の5週間か6週間ぐらいかけて何をやるかというと、ミッションの検討をする。要するに、はじめにミッションを設定しなかったら何も設計が進まないのだからミッションを決めること自体がまさに計画の一番のキーポイントであることを彼らは知っており、夢中になって検討をする。
そのときに、残念ながら日本の学生はほとんど発言ができない。しかし、そのミッションが決まってハードウエアのスペックが決まって、重さがどうだ、通信機が何だと、そういう段階になると日本の学生は得意なので、そういった後半の段階になってきて、日本が世界に貢献する場面が出てくる。
要するに、始めのミッション設定という一番重要な部分に対しては残念ながら今までは日本はあまり貢献できていない。それが、今の国際社会の中の日本の実情であろう。いまの強さだけを活かしたら、最初のミッション設定という一番重要なところを、今後もアメリカなりヨーロッパに依存することになるがそれでいいのかというのが、私の懸念である。
国際協調というのは競争でもあり協力でもあり、これは同義である。挑戦のキーとなるところについて、弱くとも日本で養成していかなければならない。
以前から申し上げているが、トンネルでいえば出口からをきちんと考えることをつねに試みて欲しい。
先ほど月探査の話も出たが、出口を議論するということ、特にこのフロンティアというのは、出口の見えないところに出口を作るだけの独創性、構想力、企画力が問われるわけである。日本の一番弱いところであるし、日本の宇宙開発が世間からあまり評価を得ていない理由もそこにあると思う。
もう一つ補足すると、例の小惑星探査機「はやぶさ」があれだけ成功したのは、「イトカワ」というものを具体的な目標にした構想力と、それを実行した実行力があったから国民があれだけ大きな拍手をしたのだと思う。
日本の弱いミッション設定というあたりは、ぜひ強化すべきであり、今回の月探査の立案から実行していただきたいというのが私の意見である。
【青江部会長】
その辺りの考え方が、この10ページの章に何か書かれるといいということか。
【茂原特別委員】
この章でもいいし、本当はもっと上位のところで書きたい。未知のフロンティア云々というのは科学だけではなくて、他の通信衛星や測位衛星もみな同じであろう。やはり宇宙は基本的にはみんな夢だということでやっている。一言で言えば、未知のフロンティアに対する基本的なアプローチとしては、ないところに何かものを考えていくということが参加の条件である。
月探査においても、今アメリカが動き始めた、中国が動き始めたからといって、日本が動き出したら後追いでしかない。月探査で強いところで協力したら、米はミッションを含めた全体計画、欧米が輸送手段、日本が基地のハコを作り、中国がそれを利用して商売をするという冗談もでてくる。それでは悲劇だ。
そういう意味で、もっと一番の基本となる考え方を入れていきたい。
【田中特別委員】
先ほどの茂原特別委員の御意見と関係するが、人材育成のところで、特に最後のところがJAXA(ジャクサ)の人材育成だと思うが、宇宙開発は当然、国際的な場面で行われているわけであるから、当然だということでお書きになっていないのだと思うが、やはり国際的な社会で活躍できる能力を身につけるということを、この人材育成のところに入れていただいた方がいいのではないかと思う。
宇宙飛行士の方は日本にとって見ると宇宙外交の最大の立役者であり、世界的に日本を代表して宇宙外交をやっていただいているわけである。しかし、宇宙飛行士のような目立つ人だけではなく、機構の中の研究者も技術者も、それから、マネジメントの事務をやっていただく部分も含めて、もちろん技術や企画能力、運営能力という組織の根幹は大事であるが、それに加えて、やはり国際的な場面でイニシアティブを発揮したりリーダーシップをとったり、或いはビジョンを打ち立てたりといったような人材を作っていただくということをお書きいただけるといいのではないかと思う。
【青江部会長】
了解した。
【立川オブザーバー】
おっしゃるとおりで、そういう点を心掛けてやっているが、この表現の中で追加するならば、そういう点を強調していただいても構わないと思う。特に宇宙は国際的な中でやっているから、日頃からそういうふうに人材は動かしており、それを表へ出していただくというのはいいことかと思う。
【松尾委員長】
以前JAXA(ジャクサ)が計画部会に配付した資料で、ISSの成果をいろいろ書いたものがあって、御指摘のような人材を輩出したということが実は成果として挙げられていた。
【米倉特別委員】
前回の骨子素案では「組織のあり方」とあったのを「運営の強化」と事務局で修正していただいているが、僕の発言の趣旨は、組織のあり方であれば、組織のあり方を書くべきであって、タイトルを変えてほしいということを言ったつもりではなかった。やはり、このJAXA(ジャクサ)という組織の位置づけを考えた方がいいと思う。文科省がこれからきちんとやらなければいけないのはやはり教育という分野であり、原子力から宇宙開発から全部をやっていることが本当にいいのか。一方、宇宙関係はこれだけ幅広く、しかも、商業利用まで含めて考えるときに、文科省管轄だけでいいのかということもある。今後の宇宙開発の方向性を考えると、もっと省庁横断的な位置づけというものも十分あり得るし、また、そういうふうにすることが国の教育行政の戦力を分散化することなく、しかも、宇宙開発という大事なものに特化できるということで、運営のあり方ではなくて、やはり組織のあり方も長期的には考えた方がいいと思う。
【青木特別委員】
20ページに「研究開発により得られた技術・情報が、輸出等により国際的な平和と安全の維持を妨げることがないよう、国際的な枠組み及び我が国の輸出管理規制の下で適切に対応する」とあるが、それももちろん大事であるが、やはり日本の安全保障が害されないようにということがあると思うし、また、輸出だけではなく、例えば対内直接投資などによって重要な材料や部品関係の産業、宇宙関係の産業が打撃を受けるということも問題であるから、そういう部分についても適切に対応するということを書いたほうがいいのではないか。
何が言いたいかというと、輸出だけではなく、輸出入であるべきである、ということが1点と、それから、日本の安全保障がやはり大事だということを書く必要があるのではないかということである。
それから、19ページの国際協力のところであるが、「自国だけでは達成し得ない大きな成果を上げるため」と書いてあるが、それももちろん目的の一つではあるが、それを越えてもう少し積極的に日本がリードしていくのだというような表現が入ったらいいのではないかと思う。
【青江部会長】
今のご意見を踏まえて、修正させていただく。
【中須賀特別委員】
小型衛星と超小型衛星の文言がたくさん出てきて大変ありがたいことだと思うが、14ページの「打上げ余剰能力の積極的な活用を図る」ということが書いてあり、H−
Aロケットの余剰能力の活用を継続的にやっていただけるということは大変ありがたいが、これをやるときに大事なこととして、空いているスペースがあるから衛星を載せられるということではなくて、ロケット側に前もってこれができるような仕組みを作っておかなければいけないということがあり、その辺のことをどこか一言書いておいていただければいいのではないかと思う。とにかくあいていれば載せられるというような、そんな簡単なものではなくて、ロケット側もそれなりに配慮しておかないと、後から非常に高くついたりして、この活動ができなくなってしまうということもあり得るので、その辺のことをどこか書いていただけるとありがたい。
【青江部会長】
「積極的な活用を図る」という言葉に、御指摘の点も含んでいる、ということである。
【棚次特別委員】
今回の計画案で随所に大学という言葉が出てきているが、あまり随所に出てきて、大学は一体何をすればいいのかというのがよく分からない。それぞれには書いてあるのかもしれないが、もし可能なら1項目ぐらい立てていただいて、大学・研究機関との連携等々、に何を期待されているのかということを、もう少しはっきり書いていただけると分かりやすいと思う。
【青江部会長】
何か工夫ができるか、少し考えてみたいと思うが、ひとまとめというのは少し難しいのではないか、という気がする。それから、もう一つは、おっしゃられるように、いわゆる大学との連携ということを、やや安易に確かに使っているところがある。ただし、あまり具体的な中身が、おそらくは産学連携を一生懸命推進しているような部署においても同じ悩みを持っているのではないかと思うが、言葉ほど中身がないという実態があるのではないか思う。
【有信特別委員】
人材育成のところでの議論で、やはり重要な点は宇宙開発にかかわるインフラ系、基盤となる技術といった部分が非常に危ない状態になっているという話、それから、先ほども大学の話もあったが、大学の中でも具体的にそういう部分での研究開発がかなり危機的な状況になりつつあるということがあって、そこの部分に対して何か具体的な人材を育成するという、或いは、例えば日本の大学にできないのであれば、もう少し国際的な観点で人材を育成する等、そういう記述がないと、何となく最先端のサイエンスの部分や先端的な部分にばかり目がいっているということになってしまう。先ほどのようにH−
Aロケットについてもそこの部分が非常に重要になってくるわけである。
だから、その辺のことがどこかにきちんと書き込まれていた方がいいと思う。
【青江部会長】
大変重要な御指摘であるが、その具体策として、どういう手を打っていったらいいのかという点に関してはいかがか。
【有信特別委員】
現実に大学では具体的に弱まっている部分に対していろいろ試行錯誤をやっているわけである。小規模ながらもいろいろやりながら、そこの部分の重要性について、大学院の学生たちがみずから学ぶ機会を与えているが、一つは、そういう活動を積極的に支援するということがある。また、そういった技術はある意味で宇宙にとっても非常に重要なものあるが、産業基盤も実はものすごく脆弱になりつつあるわけで、そういう流れの中で日本の製品の品質そのものがある意味では、極端な言い方をすると、土台が揺らぎつつあるわけである。
だから、具体的に大学におけるそういう基礎・基盤的な研究開発について、これを振興するというようなことを考えると、これはものすごく大きな問題につながってきて、従来の大学の学部教育と大学院の研究開発の教育のあり方をどうするかという議論まで本当はやらないといけないと思うが、少なくとも、そういうところに対して、具体的に基礎・基盤の充実を図るために、国として教育側から具体的な支援をするという部分を少し入れていただければ、振興する原動力になるのではないかという気がしている。
【池上委員】
人材育成については、情報関連とは様子が随分違い、宇宙航空に関心を持っている学生はまだまだ非常に多い。関連する講座も増えてきている。
それから、JAXA(ジャクサ)の宇宙科学研究本部は各大学とうまくネットワークを作っており、例えば「はやぶさ」では、私が前にいた会津大学も協力できた。他の分野と比べると私の印象では比較的うまくいっていると思う。
ただ、少し気になったのは、先ほどの茂原特別委員の話とも関係するが、日本の強いところはいいが、弱いところがあるということである。例えばコンセプトを作るというお話をされたが、私は、少し言い方は悪いが日本では無理ではないかと思う。
コンセプトがだめでも、物を作るということについては、日本は非常に強い。コンセプトを重視するあまり、ものづくり、或いはスキルといった領域を軽く見てしまうようなことむしろ危険ではないかと思う。そういう意味で、有信特別委員がおっしゃったように、ものづくりの部分を維持しないといけない。
ただ、正直なところ、IT関係では、最近、ものづくりからソフトの方へずっと移動していっているが、ただ、ソフトも所詮は、という感じがないわけではない。だから、やはり両方のバランスをとっていくということになるが、ただ、日本が今強いところはしっかり確保しておくということは必要である。そういう意味で先ほどの大学教育、例えばスキルを達成するなど、知識だけではないというような教育をするといったことをやっていく必要があるのではないか。
ただ、私は正直言って、宇宙分野はものづくりについて言えば、本当に大丈夫なのかどうかということは、ITの場合と比べると状況は違うのかとは思うが。
【有信特別委員】
実は以前に、そこのところの議論があって、西尾特別委員などからもその辺に対するかなり強い危機感を示されていたように記憶している。
おっしゃるように、ITと同じで、実は基礎・基盤の部分がかなり弱くなっているというのはある意味で共通認識としてあるが、ただ、あくまで大学の役割は先端的な部分の研究開発をどんどん推し進めていくという部分であるから、教育と研究という考え方でやらなければいけないということである。
それから、例えば熱関係では、非常に高度な制御をやらなければいけないが、ただ、現実として電熱流動という話になった途端に、これはいわばもう古い話という印象を持たれてしまうということもあるわけで、この辺のところをきちんとやる人材を確保しておかないと、そういうところで実際にトラブルが起きたり事故が起きたりという話になってくる。そこが重要だと思う。
【青江部会長】
基盤技術ということについてはできる限りの手を打とうとしている。それも、今回の新しい長期計画の一つの特色だと思っているが、それをさらにもう一歩上流にさかのぼってということになると、これは大変難しい問題であり、どのくらいこの長期計画の中に表現し得るかということは少し考えさせていただきたいと思う。
【池上委員】
今の点について、実はこの素案に「コンポーネント・部品」の言葉が入っている。ある意味で非常にキーとなるものである。JAXA(ジャクサ)においてコンポーネント・部品レベルにおいていろいろトラブルがあって、その中には海外から調達しているものがあるが、それをもう一度見直すような形を検討するということが書かれているということは、私は評価している。
【青江部会長】
それでは、今日のところは、御意見を賜って、また次回の計画部会でお諮りをさせていただきたい。
【青江部会長】
田中特別委員にお伺いしたいが、宇宙の探査の意義として、科学という観点からの意義というのはよく分かるわけである。それから、宇宙開発というコミュニティの中における一種の存在感を確保するという意味も分かる。しかし、それを国際政治と広げた視点で考えたときに、各国が乗り出そうとしている、中国もかなり意欲的であるという状況下において、国際政治の視点から見ると、どういう意義づけができるとお考えになるのかお伺いしたい。
【田中特別委員】
その辺はなかなか難しくて、やや突き放して言うと、国民の気の持ちようだという話ではある。古典的な国際政治の考え方からすれば、最先端のことを行うか行わないかというのはその国の国力の反映であるから、その国が国際社会の、或いは国際政治の中で影響力を競う主体として行動するのであれば、最先端のところで競争しないというのはそもそもあまりないことだと思う。
ただ、これはやや伝統的な国際政治の見方であって、民主主義国家の国際政治のあり方というのは最終的には国民が納税者として判断するわけであるから、そんなところで競ってどうするのと国民が冷めてしまうとあまり支持が集まらないということになるかもしれない。
もちろん、やはり最先端の宇宙開発というところの技術開発競争に従事してないということが、長期的な安全保障上の問題を惹起する可能性もあるというのは、やや古風な国際政治観につながるところである。
日本では宇宙開発についてそういう考え方はしていないわけであるから、そこのところが少し切れてしまっているようなところがある。だから、やはりアメリカにしても、それから、ロシアにしても、今の中国にしても、国が月探査をするといったときに全く軍事的意味合いがないかといえば、そんなことはないと思う。軍事的意味合いを認める限りにおいては、仮に、宇宙を使って軍事的にとてつもない優位に立つ国があらわれたときに、負けないようにするためにはどうするかと発想すれば、これは何とか追いついていかなければいけないという話になってくる。
ただ、その辺はやはりかなりの程度は国民がそういうリスクをどういうものだと考えるかということにつながってくるのではないかと思う。
【青江部会長】
これからどう論理の整理をした上で、日本も月探査に漕ぎ出すと決め得るのかどうなのか。まずは、月探査ワーキンググループを設けさせていただいて議論を深めていただき、またこの場に報告をしていただくということでよろしいか。
【米倉特別委員】
わが国の財政状況は非常に厳しいため、月探査を行う理由付けをきちんとしていかないといけない。しかし、国民も「月探査競争をただ黙って見ていていいのか」と言われると、国民の多くは、やはりやった方がいいと答えるのではないかとは思う。
【青江部会長】
それでは、このような形で月探査ワーキンググループを設置して、議論を進めさせていただきたい。どうぞよろしくお願い申し上げる。座長をしていただく、鶴田特別委員より御挨拶をお願い申し上げる。
【鶴田特別委員】
メンバーの方に助けていただきながら、議論を進めていきたいと考えている。今年度は月周回衛星(SELENE)が上がるが、私の考えでは、これは日本が月探査において世界の一流国としてデビューするということである。諸外国でたくさん月探査計画が上がっているから、日本も後追いで何かやっているという風に受け取られたくはなく、実はSELENE計画を立ち上げた十数年前においては、月探査などは誰も見向きもしなかった時代であった。アポロ計画の後ずっと月探査は行われなくて、ヨーロッパではMORO計画という大きな月計画を立ち上げようとしたが、これがいとも簡単に中止してしまった。そういう時代において、SELENE計画は立ち上がったわけである。
コンセプトとしても月探査を開始するための十分な調査を徹底的にやるということでいい計画だと思うが、たくさんの諸外国の月探査計画を見ていると、何か今昔の感を感じる。
このワーキンググループでは国際的な位置づけの中で、日本の月探査をどうやって立ち上げ、さらにどう発展させていくかというのが1点と、それから、先ほど来議論になっていたプログラムの目的、目標をどこに設定するかということと非常に深く関係すると思うが、宇宙探査の中で、太陽系、或いは太陽系外の惑星の探査を行うというもう一つ大きな流れの中に、月がどういうふうに位置づけられるのかということを議論していかないといけないと考えている。
内容的にはまだよくわからないところがあるが、おそらくそういう議論が出るだろうと考えている。報告書にまとめることができたら、計画部会に御報告してまた議論をいただくということになろうかと思う。よろしくお願いする。
【池上委員】
メンバーを見ると産業界の方が入っていないが、その辺の視点は、鶴田座長からすると何か御意見はないか。資源開発とういうような話も一方ではでている。
【鶴田特別委員】
あまりそういうふうに考えてはいなかったが、どうであろうか。資源開発という前の段階のような気もする。月探査の議論というのはどうしてもいろいろな考え方が出得るものであるから、非常に先まで見た時の利用の話が議論の中に入ってきやすいと思うが、SELENEは実は資源探査も含めて徹底的に調査するわけである。その成果として、資源開発が可能かどうか、あるいは、やる価値があるかどうかということも議論される話である。
だから、そういう枠ができた段階で産業界の方が入るのがいいのか、今入っていただいても、多分議論の大部分はあまり関心がないということになるのではないかと思っていた。
【池上委員】
ちなみに、我々はよく議論するのだが、車は1グラム1円と言われている。月からは運ぶとなるとグラム数万円になる。グラム当たりのコストで見るとかなり大変なようであるが、もし、それでもいいものであれば、という感じがないわけではない。その辺も議論ができればと思う。
【鶴田特別委員】
月がどうやってできたかということにかなり依存するわけである。月が現在までの間に、どういう地質学的な変化をしたか。そういうことをまさに調べようとするのが多分SELENEなのである。
【青江部会長】
それでは鶴田特別委員には座長をよろしくお願い申し上げる。
以上で、本日の議事を終了する。
─了─
(研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付)