【廣澤特別委員】 ただいまの推進6−3−2の説明の中で、HOPE−Xの6ページ、エンジニアリングモデル開発試験において主要機器の試作を行い、試験を実施したということで、この中身に興味があるが、これは次回に説明があると思ってよいか。
【中安(JAXA(ジャクサ))】 そのとおり。
【井口委員長】 6ページ目の今までの経過を見ると、平成5年に始まって十数年たっている。こういう開発は半分以上は担当した人の経験というか、頭の中にあるのだろうと思うが、何人ぐらいが最初から最後までやっているのか。今までの経験を積み重ねて、これからまた進めるわけだが、その辺の人事管理は、どうなっているのか。
【白水(JAXA(ジャクサ))】 確かに再使用というものに直接携わっている人間は、JAXA(ジャクサ)の中では極めて少なくなっている。パートタイムも入れて20人程度だと思うが、宇宙輸送系という意味では、HOPE−Xをやった人間のかなりの部分が、H− AとかGXとかいろんなプロジェクトをやっており、輸送系で見れば共通している。
また、近い将来、再使用などが始まれば、そのうちのある部分はまた戻ってくると考えている。メーカー側でも事情は同じだと思う。だから、現在、すべての人間が引き続き仕事をしているかというと、そうではないというのが実態である。
【廣澤特別委員】 推進6−3−3のフェーズ について、1回の実験で大変いい成果を上げられたようにお見受けするが、もともと2回実験する予定であって、1回目はこうである、2回目はこうである、という方針がはじめに記されていて、その上で、2回目は残念ながらできなかった、しかし成果は十分である、というふうにまとめてあれば、わかりやすいと思う。その辺を整理されては如何か。
【中安(JAXA(ジャクサ))】 1回目と2回目の差はマッハ数の差だけで、マッハ数は0.8、1.05、1.2を予定していた。これは別添の17ページに書いてある。本文にも12ページの の下に書いておくのがよいかもしれない。
別添資料の17ページには、マッハ数の範囲が書いてあり、1.2、1.05、0.8と、3種類を当初予定しており、このうちの2つはとりたいという計画だった。書くなら、本文の9ページの のところに、ここはできなかったということで0.8と1.05と1.2と書くとよいのではないか。
【青江部会長】 1回目でこれをやろうとして、2回目でこれをやろうとしていたというふうにきちんと明確に整理をしていただきたい。表のような形で書いていただくとわかりやすい。
【中安(JAXA(ジャクサ))】 了解した。
【澤岡特別委員】 説明には良く理解できなかった部分があった。4ページのフェーズ について質問する。赤で示されている飛行経路は急降下の部分であり、その後、もう一度高度を上げてふんわりと着陸するように見える。HOPE−Xの飛行経路として、この考えが継続して引き継がれているのか。
【中安(JAXA(ジャクサ))】 これはフェーズ に特有の着陸の仕方。HOPE−Xの場合はエンジンがついておらず、上ることはできないので、1回急降下でおりてきたら、そのまま着陸する。
【白水(JAXA(ジャクサ))】 もう少し正確に言うと、この機体に関しては、タイヤの性能と速度の関係で、ダイレクトに着陸ができなかったということで、こういう方法をとった。
【澤岡特別委員】 そうすると、第3回の飛行軌道に示されているように、青い線は、機体保全のためにこういう経路をとったものであり、将来あるべき姿は、赤い線で示されたように急降下で着陸すると考えて良いか。
【白水(JAXA(ジャクサ))】 はい。接地寸前にフレアをかけるが、ダイレクトに急経路から着陸する。もう一回回ってくるということはない。
【澤岡特別委員】 はい、わかった。
【中須賀特別委員】 今回得られなかった成果は、今後の研究の中で獲得していくこととし、飛行実証はもうやらないということだが、どういう形で、飛行実証に匹敵するデータは獲得されていくのか。
【中安(JAXA(ジャクサ))】 30億円というような高い飛行実証はやらないが、安い実証、あるいは地上での実験はやるつもりなので、そういった中で、できるだけデータをとれるように頑張りたい。
【中須賀特別委員】 それで十分な、補完できるデータが得られるという予測でよいか。
【中安(JAXA(ジャクサ))】 はい。
【渡辺執行役(JAXA(ジャクサ))】 実験回数として2回は実施したいという計画をしていたが、大抵のこういう実験機はそうだが、初回がうまくいくと、そこで得られるものが非常に多い。残り1回をプラスするのに、果たして、また相当な努力をするかということを考慮した。これで研究が終わりということであればまた評価は違うが、この関係の技術は非常に重要で、将来の技術として、今も位置づけが少し変わってはいるが、研究を継続することにしているので、その中で、今回の実験の足りなかった分などを補っていくことは十分考えられる。そのため、今回は、コストなども考えると見合わないという結論になった。
したがって、どこでどう実験するかという具体的なプランを今持っているわけではないが、いずれにしても、これからも継続して、また発展させていかなければいけないという考えの中での整理である。
【青江部会長】 この資料には、そんな程度ではなく、ちゃんとできると書いてある。2回目はできなかったが、入手できなかった部分は、これから先、研究をやることによって、全部リカバーできると書いてある。だから、入手できなかった部分はどうやって手に入れるのかという中須賀先生の御質問の十分な説明になっていない。どのようにして入手したいと思っていたものがちゃんと入手できるというもくろみを言っていただかないと回答にならないと思う。
【白水(JAXA(ジャクサ))】 一つの実験で全部リカバーするということではないので、大きく、空力と誘導制御に分かれているが、空力に関しては、CFDや風洞でできない部分をやろうとしていたのだから、実際に飛行させるしかないということで、将来、飛行実証、遷音速の飛行実験というのがあると想定している。そのときにしっかりした空力データをとるということで、今のところ、いつ、どのようなというものははっきりしていない。
それから、誘導制御に関しては、ロバストな制御則の実証ということで、これも遷音速域を実際に飛ぶ計画は今はないが、こちらに関しては、先ほど、中安から説明したように、別の機体で、もうちょっと簡易にロバストな制御則を検証するという計画を、今、具体的に進めている。
【高柳特別委員】 資金の効率のところで、CNESの負担としたとあるが、これは実施前段階から考えられていたのか。それとも、プロジェクトの中で、バルーンの扱いをCNESと共同でするということで資金を効率化したのか。
【白水(JAXA(ジャクサ))】 宇宙開発委員会で最初に、計画調整部会で、この高速飛行実証をお認めいただいたときには、幾つかの方法があり、その中にバルーンでやるという方法も一つの選択肢だった。実際にゴーになった後、幾つかの方法の中からバルーンを選んで、かつCNESとの共同研究で実施するということが後で決まった。
【鈴木特別委員】 本件に関して、CNESでやってもらうかわりに、こちらから提供するものというのは、どんなものがあったのか。
【白水(JAXA(ジャクサ))】 具体的には、飛行データ等、それから、誘導制御則そのもの。実は、この共同研究は厳密に言うと二つの部分があり、一つは飛行実験そのものを共同で実施すること、もう一つは、風洞実験及びCFD解析、それから、誘導制御則の評価を、これは飛行実験のデータを参考にしながらすること。
【中安(JAXA(ジャクサ))】 プロジェクト内としては、飛行実験データの共有ということだけ。
【白水(JAXA(ジャクサ))】 プロジェクト外の方も含めて言えば、CFDと風洞実験の共同実施となる。それから、プロジェクト内としては、風洞データの提供、それから、CNES側からは、実はバルーンと実験の実務以外に、提供されたセンサを搭載している。当然、このセンサデータというのは両方で共有している。
【鈴木特別委員】 それで、結果的には、実験のやり方で、この間のスケールドコンポジットで運ぼうとかいう話もあったようだが、随分安くなったと思うが、どのぐらい効率化されたのか。
【白水(JAXA(ジャクサ))】 確かに、とにかく上空に持っていって落とすということは決まっていたが、どういう形で上空に持っていくかというものの対案に一つ、スケールドコンポジットの機体から分離して、ロケットエンジンでもうちょっと加速するというのがあった。そのときは、確かに当時の予定、31億円になかなかはまらないで苦労しており、CNESのバルーンで実施するということではまったということで、具体的な数字は覚えていないが、少なくとも億単位で安くなったのは間違いない。
【鈴木特別委員】 それから、体制の話。メーカーの環境の話があまり出てきていないが、これはほとんど、NAL/NASDA(ナスダ)が主体的にやった研究なのか。解析だとか、そのあたりも、メーカーと共通な作業をやっているのか。
【白水(JAXA(ジャクサ))】 ほかのHOPE−Xの小型実験等々、特段変わっていない。基本設計というか、概念はNAL/NASDA(ナスダ)が作っているが、詳細設計部分になると、かなりメーカーの力が入っているというのは事実。
【柳原(JAXA(ジャクサ))】 誘導制御則に関しては、一つのターゲットだったので、これは、NAL/NASDA(ナスダ)で設計している。それをメーカーに搭載してもらうという形にしている。
【鈴木特別委員】 波及効果として、メーカーにも、そのあたりの技術は行き渡ったというか、共有されているという理解でよいか。
【柳原(JAXA(ジャクサ))】 今の誘導制御に関しては、設計したのはこちらだが、評価に関してはメーカーも一緒にやっているので、そういう意味では共有している。
【鈴木特別委員】 了解。
【白水(JAXA(ジャクサ))】 誘導制御に限らず、特にフェーズ の方は、いわゆる自律飛行という目標があり、これに関して、ハードウエアも含めて、メーカー側にもそれなりの技術が残ったと考えている。
【小林特別委員】 この実証プロジェクトは、平成12年度にHOPE−X、その上のレベルのプログラムに相当するものが凍結となった状態で実施されている。宇宙開発で実験プロジェクトをやるというと、大体、押せ押せムードのときにやるのが通常だろうと思う。そういう意味では、先行きが暗くなったという特殊な状況下でなされたプロジェクトである。こうした状況のもとでは、開発マネジメントの上から、みんなのモチベーションの維持という面で苦労が何かあったのではなかろうかと思うが、そういう意味で役に立つ教訓などが得られたのではないか。
【白水(JAXA(ジャクサ))】 まず事実関係だが、先ほどの推進6−3−2のHOPE−Xの概要の6ページにあるとおり、HOPE−Xの計画見直しが実は2回行われている。平成8年度に開発移行になったが、平成10年の末の計画見直しで、HOPE−Xのフライト時期が3年延びた。この時点で、実は高速飛行実証がスタートしている。つまり、高速飛行実証がスタートしたときには、HOPE−Xはまだ飛ぶという前提でスタートしている。実機凍結になった12年度には、高速飛行実証に関しては、飛行実験の時期を1年間ずらすということだったので、高速飛行実証を始めたときには、皆さん、HOPE−Xはもちろん飛ぶと信じていた。
それから、HOPE−Xが凍結になった以降、高速飛行実証を続けることについては、目標のところで御説明したように、再使用輸送系がある限り必要になる技術という認識のもとだったので、担当者を含めて、特に当てのないものをやっているという認識はなかったと思う。
【青江部会長】 凍結という意思決定をした以降は、その成果取りまとめ、基盤技術ということで、わりあい細い線でずっと持ってきたと。それ以前は、とにかくやるんだという状況でずっと来ていたから、そのときには、少なくともモチベーションがあったはず。
【白水(JAXA(ジャクサ))】 HOPE−Xのフライト時期も延びるという状況だったが、もちろん飛ぶと信じてやった時期に、かなりこの部分は進んだ。
【小林特別委員】 もし私が実作業をやっている担当者であったとすれば、かなり落胆していると思う。いい経験をされたと思うが、そういった部分をどうコントロールしたのか参考に聞きたい。
【中安(JAXA(ジャクサ))】 HOPE−Xという大きなプロジェクトがあって、小さなプロジェクトは、輪切りにしてあり、高速飛行実証プロジェクトを実施している人は、HOPE−X本体にはあまりかかわってない。そういう意味で、小さく割り出されても、このプロジェクトはあなたやりなさいと言われると、もうこれをやるのが自分の使命になり、自分のプロジェクトは成功させるというインセンティブはある。
それに、HOPE−Xが凍結されたときには、景気がよくなればまた動けるんではないかとか、再使用型の技術というのが不要になったわけでもないので、お金の関係でとまっているだけだとか、技術者はそう思っていて、延びているだけでしょうという認識で、技術が要らないと思っている人はいなかったと思う。
【小林特別委員】 わかった。安心した。
【鈴木特別委員】 この得られた成果について、例えば、シンポジウムをやったとか、あるいは論文を発表したとか、どこまで公表するかというのはなかなか微妙な話もあると思うが、得られたノウハウとか、データがきちっと後に伝えられるような整理はできているのか。
【中安(JAXA(ジャクサ))】 高速飛行実証に対してはかなり公開されて、メーカーの方にも出ている。5つの実験機の中では、高速飛行実証が一番オープンになっている。どのプロジェクトに関しても、後ろで使えるようにはすべて整理している。
【鈴木特別委員】 シンポジウムはやったのか。
【渡辺執行役(JAXA(ジャクサ))】 高速飛行実証に関しては、公開のシンポジウムのようなものはまだやっていないが、それ以前の実験機に関してはやってきた。改めて、このタイトルを掲げてシンポジウムをやるかどうかということは決めていないが、アイデアを頭の中で、まだ整理していない。
【鈴木特別委員】 いずれにしろ、きちんと後に残るようなデータとしてはまとめてあるという理解でよいか。
【中安(JAXA(ジャクサ))】 はい。
【青江部会長】 いわゆる数値とか紙で書いた報告書のほかに、携わった人が経験をしたものがある。そういう頭脳に残っているものについて、このプロジェクトが復活するときに、まだ大分先かもしれないが、有用なノウハウ、経験、知見が残るようなきめ細かい残し方はしているか。
【白水(JAXA(ジャクサ))】 このプロジェクトとおっしゃるのがHOPE−Xだとすると、具体的に幾つかあり、一つは、システム設計をやるためのツールみたいな形で具現化したものがある。
それから、空力に関しては、特に風洞実験、我が国としては、歴史上、一番大規模な低速から極超音速までという大規模な風洞実験をやったので、それが一つのデータブックとして、これもデータベースになっている。
それから、いわゆるレッスンズラ−ンドに関しては、内部資料だが、技術資料の形にまとめたものとか、そういう形でいろんなものがあり、当然、メーカーの報告書とか内部技術報告書というのは、それなりにちゃんとある。
【青江部会長】 ちょっと言い方が悪かったかもしれないが、いわゆる形式知に属するものはちゃんと残されているのはよくわかった。いわゆる暗黙知と言われる性格のものを、プロジェクトが長いだけに、何か工夫をして残すようなことをしないといけないのではないかと思ったものだから聞いた。
【白水(JAXA(ジャクサ))】 一番それに近いものは、レッスンズラーンドと称するものが、300ページぐらい、かなりのものが残っている。おそらく、それが一番ノウハウに近いものだと思う。
【松尾部会長代理】 HOPE−X全体の話で伺った方がいいかもしれないが、この先、システム全体が決まってないが、決まった時には、基本設計はこれまで得られた知見で自信を持ってできると言えるかどうか。遷音速の一つが取れなかった位は目ではなく、やるべきことはもっとあるだろうが、間違いなくシステムについて解析ができるというところまで来ているのか。
【白水(JAXA(ジャクサ))】 井口委員長が言われたように、ある程度人についている部分があるので、今の人間が全くいなくなったときには若干不安はあるが、例えば、基本設計について、HOPE−Xの設計に苦労した最大の点は、非常に複雑なシステムで、ある部分を変えると一見関係のない他の部分が影響するといった技術的な連関が非常に多いことである。これは、ある意味人間の勘を超えているところがあり、それを一つのシステム設計ツールという形でまとめた。これを使いこなせるかどうかは別として、それが一つはっきりある。
それから、かなり人についている部分はあるが、次回のHOPE−Xの中で御説明しようと思っているが、ALFLEXはチップフィンで、高速飛行実証のときには胴上フィンという形で、空力形状が全く変わっている。あれは垂直尾翼だけでなく胴体の形や主翼の平面形状も変わっており、全く形を変えている。この形状変更について、半年ぐらいの中で風洞実験を僅かやりながら、CFDでパラメトリックに検討してあっという間に一つの形を作り得た。1回目の形を作るには年単位の時間がかかったが、それからかなり形状の違うものを半年間で作り得たという意味では、少なくとも、あの時点の顔ぶれとツールでは、基本設計の能力は相当高まっていたと思っている。ただ、これをいつまでどう維持できるかというのは今後の課題。
【中安(JAXA(ジャクサ))】 HOPEの研究は、昭和61年、H− が開発移行した直後からやっている。当時、HOPEを作るときに難しいと思っていたイメージに比べると、あれから20年近くたっているが、あの頃難しいと思ったよりは簡単に見えているので、小型実験機からHOPE−Xの研究開発の中で進歩は大きくあったと思う。そういった成果が日本の中に積まれていると思う。
【井口委員長】 フェーズ の実験が行われる前に委員長をやっているが、今、しまったと思っていることが一つある。それは、この機体はまだ残っているのであれば、なぜ、もっと徹底的に、もうちょっとアブノーマルな状態、気象条件にしろ、例えば、ラダーが一つ動かなくなったとか、そういうことで、最後は壊すまで実験データを取らなかったかと、私は言わなかったのか反省している。それは別に皆さんの責任ではなくこれから覚えておきたいという意味で。実際の設計にどれだけ余裕があるかが鍵になる。余裕というのは、限界を知らなければわからないわけだから、徹底的にそこからデータを取り尽くすという方がはるかに大事だったのではないかという反省を今感じている。
【白水(JAXA(ジャクサ))】 我々も同じような認識を持っている。高速飛行実証の機体では安全上の問題で日本国内を飛ばすのが難しく費用的に大変だが、今後の研究の中で、ラジコン機位の機体であれば安全なところで墜落させても実害ないだろうということで、墜落することを覚悟の実験というものにも手をつけたいとは考えている。
その場合は、高速飛行実証よりは規模の小さな、比較的安い機体でやる方が現実的。高速飛行実証は1カ月位で3回しか飛ばせなかった。現地にメーカー含めて数十人が行き2週間位かけてワンフライトなので、飛ばすために相当の費用がかかる。
【松尾部会長代理】 エレボンの圧力分布が違ったのを始末したのは、ロバストの制御予測が効いているのか。
【白水(JAXA(ジャクサ))】 別添の14ページ。空力特性の元々の予想値とフライト結果だが、この緑の幅が想定していた誤差。ノミナルから外れているが、想定していた誤差の範囲内で飛ぶロバストの制御予測であったから、ちゃんと飛んだということ。
それから、設計誤差内には入っているが予想値とずれがあり、そのずれに関しては圧力の問題が関係しているということが、その後の風洞実験等で確認されたということ。
【松尾部会長代理】 モデル誤差を考慮した高精度のシミュレーションというのはいかなるものか。
【柳原(JAXA(ジャクサ))】 考えられるばらつきを、アクチュエータの誤差などを全部考えて、モンテカルロシミュレーションを実施し、この包絡線の中であれば飛ぶということをやっている。
特にCmの誤差に関してはそれだけエレベータ舵角が下がったわけだが、あれも、他に比べて大きな誤差でも飛んだという意味では評価できると思っている。
【井口委員長】 中安さんはHOPE−Xを最初からやっていたのか。つまり、実験が終わってから、渡辺さん、中安さんが担当になったのだろう。そういう人から話を聞いても、本当にやった人に、この次からしゃべって欲しい。
【中安(JAXA(ジャクサ))】 HOPEは立ち上げの頃2年と、ALFLEXと、HOPE−Xは数カ月担当したが、全部で6年強担当している。
【白水(JAXA(ジャクサ))】 正確に言うと、私も、最初の方のHOPE−Xは横で見ていただけ。小型飛行実験の方は、比較的短期間なので、この人に聞けば最初から最後までわかるというのがある。高速飛行実証は柳原がそうであるが、HOPEはそういう意味で、この人を引っ張ってくれば全部わかるという人は実はいない。
【森尾委員】 井口委員長と同じようなことを言うが、高速飛行実証フェーズ の着陸性能の表を見ていて、非常にいい性能が出ているように思う。例えば、旅客機の自動着陸に使えないものかなと思って見ていた。例えば、接地方位は設計目標 6度であり、実際の実験は 1.1と 0.0で非常にいいところまで下がっているが、逆に、プラス6度ずれて接地自体は本当にちゃんと滑走路の上で止まれるのかというようなことを、せっかくだったら実験される方がよい。こういう設計目標がピンポイント来るのがいいとは言えなくて、飛行中に何が起こるかわからないので、設計目標を決められたら、そのばらつきの範囲に入っていれば、安全に着陸できるということを実証することも重要なことだと思う。そういうことをやっていかないと、例えば、こういうデータが旅客機の自動着陸になかなか使えるデータまでいかないのではないかという気がするが。
【中安(JAXA(ジャクサ))】 ここには宇宙の関係者が多いので、旅客機のことはよくわからないが、旅客機は今、ILSできちっと着陸はできるはず。ILSの精度が足りないということもないので、今のまま運用されているのではないかと思う。以前、シャトルでMLSというのをやっていたときに、運輸省もやはりMLSはやっていたが、狭いところでは使いにくいということで、諦められたように伺っている。シャトルは相変わらずそれで飛んでいるが。
MLSのかわりにGPSが使えるという話も、もう何年も前からあって、運輸省もよく理解されて研究されていると思うが、現時点、やっぱり着陸場は山のように飛行場があるので、技術の更新に相当コンサバティブになるというか、そういうことでやられているんじゃないかとちょっと想像している。
【渡辺執行役(JAXA(ジャクサ))】 オフノミナル条件でどう作動するかという御質問と理解した。そういう点には、現在のこの研究レベルではまだ至っておらず、計画を立てる段階から、このぐらいの規模、これくらいの試験回数ということでは、なかなかオフノミナルまで実証しようということはできない。しかし、シミュレーションでできるだけ広い範囲の誤差を考慮して、それに使えるシステムということを第一に考えている。オフノミナル的なところは、もう100パーセントシミュレーションによるというようなところに期待せざるを得ないというのが、今の研究レベルの状況。
将来、例えば、ずっと進歩して、有人というところになると、オフノミナルからどうするかというところを、大部分はシミュレーションで検証しておいて、本当にそのシミュレーションは有効かということを実験で検証していくということが実際のアプローチかと思うが、今の研究レベルではオフノミナルには、実証ということでは手がけてないというのが実情である。
【白水(JAXA(ジャクサ))】 補足すると、今回の高速飛行実証は、DGPS、航法系を含めた総合システム試験であり、いわゆる着陸の制御則というのは、むしろALFLEXという小型自動着陸で中心に実施した。そのときは、分離点を、手前とか奥とか左右にオフノミナルに動かした試験を実施し、全部で13回の飛行実験を実施した。
接地に関しては、横風の条件についてもきれいにばらついてとれ、制御予測に関しては、ある程度オフノミナルなものもALFLEXではやっているということになる。
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