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推進部会(第6回)議事録・配付資料

1. 日時
  平成17年10月3日(月曜日) 13時30分〜16時30分

2. 場所
  霞が関ビル33階 東海大学校友会館 望星の間

3. 議題
 
(1) 「宇宙開発に関するプロジェクトの評価指針」の改訂について
(2) 宇宙開発に関する重要な研究開発の評価について
(3) 高速飛行実証及び宇宙往還技術試験機(HOPE-X)プロジェクトの事後評価について
(4) その他

4. 資料
 
推進6-1-1   「宇宙開発に関するプロジェクトの評価指針」の改訂に関する調査審議について
推進6-1-2   「宇宙開発に関するプロジェクトの評価指針」(改訂案)−新旧対照表−(PDF:201KB)
推進6-1-3   「宇宙開発に関するプロジェクトの評価指針」の改訂のポイント
推進6-1-4   「宇宙開発に関するプロジェクトの評価指針」の改訂について(案)
推進6-2-1   宇宙開発に関する重要な研究開発の評価について
推進6-2-2   平成17年度 推進部会における評価実施要領(案)
推進6-3-1   高速飛行実証及び宇宙往還技術試験機(HOPE-X)プロジェクトに係る評価実施要領(案)
推進6-3-2   宇宙往還技術試験機(HOPE-X)プロジェクトの概要について(PDF:407KB)
推進6-3-3   高速飛行実証(HSFD)の成果について(PDF:1.27MB)
推進6-3-3別添   高速飛行実証参考資料(PDF:2.75MB)
推進6-4-1   宇宙開発委員会推進部会の今後の予定について
推進6-4-2   宇宙開発委員会 第5回推進部会 議事録(案)
推進6-4-3   独立行政法人宇宙航空研究開発機構の実施する衛星プロジェクトの成功基準【確定版】
参考資料6-1   国の研究開発評価に関する大綱的指針
参考資料6-2   文部科学省における研究及び開発に関する評価指針
    別添:「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」の改定のポイント

5. 出席者
 
宇宙開発委員会推進部会
  部会長   青江 茂
  部会長代理   松尾 弘毅
  委員長   井口 雅一
  委員   森尾 稔
  委員   野本 陽代
  推進部会特別委員   小林 修
  推進部会特別委員   澤岡 昭
  推進部会特別委員   鈴木 章夫
  推進部会特別委員   高柳 雄一
  推進部会特別委員   中須賀 真一
  推進部会特別委員   長谷川 眞理子
  推進部会特別委員   廣澤 春任
  推進部会特別委員   水野 秀樹

文部科学省研究開発局
  参事官(宇宙航空政策担当)   須田 秀志
  参事官(宇宙航空政策担当)付参事官補佐   古田 裕志
  参事官(宇宙航空政策担当)付参事官補佐   水藤 貴靖
  宇宙開発利用課課長補佐   伊佐 進一

【説明者】
独立行政法人宇宙航空研究開発機構
  総合技術研究本部担当執行役   渡辺 篤太郎
  総合技術研究本部将来宇宙輸送系研究センター長   中安 英彦
  経営企画部   白水 正男

6. 議事内容
 
(1) 議題(1)「宇宙開発に関するプロジェクトの評価指針」の改訂について
 事務局から、「推進6−1−1」に基づき説明を行った。その後、事務局から、「推進6−1−2」、「推進6−1−3」に基づき説明を行った。主な質疑については以下のとおり。

 

【井口委員長】 まず、事前評価については推進6−1−3の2ページ目、事前評価の項目。bのプロジェクトの目標で「目的を達成したと認定し得る条件ないし」とあるが、これは事後評価のときの文章ではないか。

【青江部会長】 「した」は「する」が適当。

【井口委員長】 次に推進6−1−2の6ページ、「コストも含めて、複数のオプションを比較すること」と上から2行目にあるが、このときの「コスト」には、言うならば開発コストと製品コストと二つある。私は、国交省のいろいろな技術評価をしてきたが、普通の技術開発では、技術評価、技術開発の評価と、製品になったときの評価とは違う。
 ところが、宇宙では、開発と実用が明確に分離されず、開発したものを実用に近い形で使っている。推進6−1−3のALOS、GOSAT等は開発の衛星であると同時に、実用に近い形で使う。この評価指針はこれでいいと思うが、その辺の見方をどう考えていくかというのは一つの問題点ではないか。
 つまり、技術開発であれば多少金がかかっても性能が発揮できれば成功だと。商品開発になると、性能と同時にコストが妥当で、信頼性、耐久性が必要。商品であればデザインの魅力がなければいけない。ところが、これらが一緒になっているから、最初から、事前評価のときに、でき上がったもののコストは幾ら以下でなければいけないとか、あるいは、それを実現するためのコスト管理が十分なされるかを注意深く見ていかなければいけない。
 今までは必ずしもそれをやっていないと私は思っているから、ここにそんな問題があるということを感じており、先生方に何かお知恵があればいただきたいと発言させていただいた。

【青江部会長】 100億円かけた研究開発の評価をする際には、その100億円に見合う成果とバランスするかというのが評価なのだろう。評価の一番大きなポイントだと思う。そのときに、この研究開発の成果が100億円に値するバリューがあるかどうかは、どうやって見るものだろうか。今までは、これは100億円ぐらいかけて、これだけの成果が得られるから、意義がある、だから、よろしいと、推進部会でやってきた。だが、コストを厳密に見るならば、本当に金銭換算でこんなことができるだろうかと、よくわからない。
 もう一つは、R&Dの成果が、それが製品になったときに、どれだけのバリューがあるか。そこまできちんと展望すべきという点をおっしゃったのだと思う。

【井口委員長】 厳密にやらなければいけないとすると、これは大変だなという思いを込めて言った。

【青江部会長】 実に大変。普通、R&Dでは、費用対効果はありますかと問いかけられ、意義がありますという答えを出して、評価で答えを出してプロジェクトはゴーだと、こういうプロセスを踏んでいる。

【井口委員長】 製品になったときのコストをどう考えるか。例えばH−2というロケットが日本で最初に国産技術として作った。あのときには円高という経済状況の変化もあったけれども、結局、国際的な価格の2倍ぐらいになってしまった。それで、コスト半減でH−2Aにした。ところが、H−2A6号機の失敗というのは、ある意味では固体ロケットブースタにコスト半減の影響が悪く出て失敗したと言えないこともない。コストを下げるために無理したということもある。円高を見通せなかったのは仕方がないのかもしれないが、もしこれからも製品コストが2倍かかるようなものが予想されるのであれば、次から次へと使い続けていくものなので、高いものだったら莫大な予算が必要となる。予算は限られているから、そういうことが見通せたときには事前にチェックして方向転換するとか、そういうことが必要ではないかと、はっきり言えば、そういうことを言いたい。コスト問題というのは、むしろ開発コストよりもでき上がったもののコスト。それをどう考えるかというのが今の一番の悩み。
 例えば普通の産業では、商品コストが普通の2倍もかかるようだったら売れるはずがないので即中止だろう。そういう考えでいいのかどうかということも含めて疑問に感じているので、何か御意見あればお知恵をいただきたい。

【長谷川特別委員】 この部会に出るようになって、いろいろと評価をするときに、いつもその点が私もずっと引っかかっていた。何十億円とか何兆円とかが本当に妥当かどうかという評価を下す基準として何を持っていたらいいのかよくわからない。でも、よくわからずに評価したら、無責任だと思うから、関連的でもいいから何かが出たらいいなと思う。
 今お話を伺っていると、開発コストというのは、1回だし、それが学術的にも深い意味はあるだろうから、ある程度かかってもいいだろうかと。そこを決めるのは、我が国の国力の中でどのぐらいそういうことに割けるかという部分で、ほかにも生命科学とか、いろいろなことに分けるだろうが、我が国の国力として科学技術にかけるもののうちのどのぐらいの中におさまるものであるということが一つの助言なのではないか。製品の方は、国際競争力の中で国際競争に勝てるものまではなかなかできないかもしれないけれども、そこからあまり外れたものでないことであれば妥当と考えてよいのではないか。

【青江部会長】 多分、コマーシャルな面だと、製品で売れなければ、どんな立派な製品を作っても失格なのだろう。国の政策の場合に難しいのは、市場で売れるか売れないかはさることながら、もう一つ、日本国として、今、例をおっしゃられたサイエンスのように金銭換算できないものと比べるわけである。だから、そこは、部会の皆さん方に、いわゆる金銭換算できないものを全部込みで総合判断して、宇宙開発の政策の理念等も含め、このプロジェクトの目的と目標を見ていただいて、これはやるだけの意味があるという総合判断をしていただくということ。だから、ロケットの値段がインターナショナルマーケットに比べて2倍だったらやらないのかどうなのかというのは、倍だったら企業はやらない。しかし、国はやるかもしれない。だから、費用対効果というのは総合判断以外にはないんじゃないかと私は思っている。

【鈴木特別委員】 コストかプライスかは非常に重要だが、コストでも比較するときは、まず相対評価だと思う。絶対評価は非常に難しい。絶対評価になると、例えば商品の場合でも戦略価格というのがあるから、国のプロジェクトは、ましてや戦略がというのは重要になる。そういう意味で、まず相対評価は必ず必要。特に宇宙の場合には、必ずしもあるプロジェクトの必要性が必然かどうか、これはまた非常に大きな議論だが、国力とのバランスでどれだけの先行投資をするかという評価しかないと思う。数値的には絶対的な明快な評価基準は、私はないと思う。

【森尾委員】 コストの部分について、左側と右側を読み比べてみると、新しい方はシステム選定が目標に適しているかどうかということが表にあらわれていて、123は特に次の点に注目すると書かれてある。古い方も新しい方も共通して、コストも含めてということを殊さら強調されているが、古い方は、JAXA(ジャクサ)になる前の評価指針だから、国の予算は多分単年度中に使わなくてはいけないという考えで、予算がある限り、全部使い切っていいという考えはだめですよとくぎを刺したようにも見受けられる。
 製品のコストというのは難しいが、この間、相模原のJAXA(ジャクサ)宇宙科学研究本部で専門家の先生に聞いたら、例えば一機打ち上げる衛星は、非常に大ざっぱに言うと、開発費が3分の1、材料費が3分の1、組立費が3分の1ということだったから、開発の部分のコストというのはリユースできる技術が確立できるかどうかで評価の仕方が全く変わると思う。だから、あまりコストがどうのこうのということを言うよりも、基本的には、基本設計要求が設定された目標に照らし的確であるかどうかということが今回の改正のポイントだと受けとめたらいいのではないかなと思う。
 ちなみに、123も随分重複しているなと。1というのは成熟度の分析をちゃんとやりなさいよと言っているが、3でも同じようなことが出てきたり、どの技術が成熟で、ということはリスクが少ないという意味で書いてあるんだと思うが、思い切って新しい技術にチャレンジしてもいいと。要するにポイントは、なぜそのシステムを選んだか、透明性だと思うが、それを古い方では「透明性を高めることが望ましい」となっていて、新しい方は「できる限り公表する」と断定されている。ここも一つ前進かなと受けとめた。

【小林特別委員】 宇宙開発というと、昔は新しい先端技術開発にお金を投じてやっていくイメージだったが、今ではそれがかなり発達しており、いろいろなプロジェクトの中身を見るとバラエティーに富んでいて、レベルの差もいろいろある。例えば、実用というか、いわゆる商売になるようなレベルに達しているものもあるし、また、これからお金を投じて、ゼロから技術開発を行っていくプログラムもある。それぞれのプロジェクトの目的をきちんと理解して評価をしていくことが求められている。例えば、これは本当に国際的ビジネスで勝負するというプロジェクトであれば、それなりの評価というか、検討をやらなければいけないだろうし、また逆に、例えば国の安全保障にかかわるけれども、ゼロから開発しなければいけないものであれば、それはお金をかけても、何とかしてでもやらなければいけないという話になると思う。
 そういう方針と内容が明快なものははっきりしてよいが、一番ややこしいのは、その中間にあるようなもの。即ち、ほかの国でも作っていて、しかもビジネスにするようなプロジェクトでもないという場合は、他国のデータとの相対的な比較をして、妥当性を適切に判断していかざるを得ないのではないか。

【松尾部会長代理】 私は、こういう質問を受けて評価票へ記入できるかという観点でいつも見ているが、コストについてやはり大変難しいと思う。だから、私が評価をお願いしたときには、プロジェクトごとに評価票をそれなりに調整し、これまでの御経験等に照らして特記すべき事項があれば、このコストについてお示しくださいという質問にした。答えさせられるときには、例はいいかどうか分からないが、20億なら安いと思います、500億なら高いと思います、100億が妥当かどうかは私にはわかりませんという答えで、かなり難しい話になってくる。先ほど相対評価とおっしゃったが、問題は、その相対のメリット部分をどう考えるかということで、結構難しい話が出てくる。

【青江部会長】 気持ちはわかる。事前評価の段階のコストの評価は大変難しい。財政当局に行って、相当厳しい査定を受けるため、現実問題として、余裕のある予算はついてない。だから、これから得られるベネフィットとの間でバランスしているのかは、評価委員の先生方のいわば直観とでも言うべきものに基づく総合判断じゃないかという気がして仕方がない。きれいな物差しがあったら、是非いただきたい。そんな気分。
 あと、事後評価だが、アウトカムと波及効果は、どうしても発現のタイミングが相当ずれる。事後評価は、わりあい直後にやるので、後送りにせざるを得ない。それから、アウトカムと波及効果というのは、完全にこれがアウトカムで、これが波及効果と截然と分けられない。その辺を少し整理したというのが事後評価の主改正点だが、いかがか。

【松尾部会長代理】 8ページの3の評価項目の成果のところで「アウトプットとアウトカムに分類することができる」というのがあって、その次の文章で、アウトカムはプロジェクトで設定された目標の枠を超えて、プログラムの意義に対してどの程度有効なものであったかと書かれていて、そこが定義になっている。アウトカムとはそういうものなのか、よくわからない。同じ次元で話をしているのか、全く別種のものなのか。目標は達成すればいいわけで、それを超えて云々というのは違った種類のことを言っているのか、プラスアルファがあったら初めてアウトカムとして評価されるのか。

【青江部会長】 私の理解は、目標の枠を超えてというのは、そのとおり。事前評価の段階で、目的とは、やや抽象的にこういうことを目指したいというのがあって、それをブレークダウンして、この数値の達成を目指したい、これが目標。この数値が達成し得たかどうかは、かなりオートマティカルにまるばつかで分かる。事前に設定した目標をちゃんとなし遂げたかどうかというのがアウトプット。そうすることによって、例えば今回の有翼宇宙往還システムの開発という大きな流れの中におけるワンステップとなる。この段階で設定した目標は達成して、アウトプットは十分なものを出したが、先行きずっと見て、それが有翼往還機の開発という大きな流れの中に効果があるのかということを見ていただくのがアウトカム。だから、目標の枠を超えて、それで有翼往還技術開発というプログラムの流れの中でどれだけの効果があるのかという理解をしている。波及効果というのは、その有翼往還技術システムの開発をもっと超えて、非常にいい、焦げないフライパンができるというのはスピンオフ。これは有翼往還機の技術開発でも何でもない。

【松尾部会長代理】 それだけのことがこの文章から読み取れるかということ。目標を適当に二つに分けて、ここから先はアウトカムで、ここから手前はアウトプットという言い方になるのか。

【青江部会長】 これから後、高速飛行実証に関し説明してもらうが、その説明において確かに今言ったアウトプットとアウトカムが本当にきれいに整理できているかどうか、少し注文を出した。確かに今のアウトプット、アウトカム、それからスピンオフ、これは確かにものすごくきれいに概念がはっきりしているということではないと思う。やりながら、整理していかなくてはいけないかなと思っている。

【中須賀特別委員】 アウトプットに関しては、今おっしゃったように目標があって、数値でイエスかノーかという評価できると思うが、アウトカムというと、もう1個、上の段階の、例えばプログラムレベルに戻って、そこにどういう波及効果を及ぼしたかというところまで議論しなくてはいけない。宇宙開発プロジェクトはプログラム自体が非常に長く、時代とともに変わっていっている可能性がある。そのプロジェクトが終わったときには、最初に立てたプログラムと違ったプログラムになっているかもしれない。その場合にはどっちで評価されるのか。これを見ていると、時間とともにいろいろなものが変わっていくことがあまり反映されていないような気がして、そういうときにはどのレベルで、どの段階のプログラムであり、その上のレベルの、さらに高いレベルのイニシアティブで評価したらいいのかというあたりも、ある程度明確に書いておいた方がいいのではないかという気がしたが、いかがか。

【井口委員長】 いろいろな社会条件が大幅に変わったときには中間評価をするとなっている。評価を見直すということをやると私は理解している。

【水藤補佐】 新旧対照表の7ページにプロジェクト実施フェーズでの中間評価というのがあり、これは企画立案フェーズから状況が変わった場合には必要な評価を行うことが提起されている。

【中須賀特別委員】 要するにものすごく長いプロジェクトをどう評価するかというのが、これからすごく難しくなるなという気がした。

【青江部会長】 非常に形式的な理解かもしれないが、あくまで評価というものは、プロジェクトの評価をしている。その上にプログラムというのがあって、その上に非常に理念的な全体の意義だとかいうものがある。そうすると、上に書いてあることは何が書いてあるのかと。宇宙開発委員会は何を意義として認め、何を意図しようとしているかというのは書いてあるはずだということ。

【中須賀特別委員】 ということは、プロジェクトを評価する時点での上位文書ということでよいか。

【青江部会長】 ということではないかと思う。

【中須賀特別委員】 今おっしゃったことはすごく大事。上のレベルに評価するための指針がきっちり書かれているときはすごく評価しやすく、例えばこれは国ですごく大事な技術だと思っているから、ある意味でコストを幾らかけてもいいというようなことが上位文書に書かれていれば、コスト評価は多少甘くしてもいいということになる。国としての意思が上位文書で正確に、きっちり書かれていないと、下の方のプロジェクトレベルの評価というのは基本的にはできないし、我々の趣味でこれをやりたいから、自分の分野に近いからという評価になってしまう。だから、いかに上位文書の中に意思が入っているかということがものすごく大事だなという気がして、それがこれまであまり見られなかったので評価が非常に難しいなという気がすごくしていた。そういう時代の流れの変化とともに、そういうのが上位文書にきっちり書かれているとうれしい。多分、日本全部の問題じゃないかと思う。

【青江部会長】 それこそ宇宙開発委員会が宇宙開発に関する長期計画を、今、中須賀先生が言われたことに値するものとしておかなければいけない。

【井口委員長】 考え方としては、事前評価のときに、最終的にはこういう考え方で評価するというものを作っておくのが理想。開発する人は、評価項目に従って、最高の点数をとるべく努力する。事後になって評価基準が変わったら、これは開発している人たちはたまらない。もし世の中の状況が変われば中間評価でそれを変える。フルサクセス、ミニマムサクセス、エクストラサクセスは、ある意味の見方を決めているみたいなもので、あれを最初に決めることになる。

【青江部会長】 種々御意見をいただいたが、指針自体としましては御了解いただけるか。宇宙開発委員会の評価というのは、ほかのものに比べて多分相当厳密にやっておるという方だと思うが、いずれにしろ大変難しい課題だなという気がしている。

【澤岡特別委員】 今回見直しが行われた国の大綱的指針や文部科学省としての評価指針の改訂の柱の一つは、エンカレッジを含む評価であること。これに対しては、言葉としてこの提案に入っていると思う。もう一つの柱は、最近評価疲れを起こしているので、エネルギーをあまりロスしない評価であることが望まれている。提案では「宇宙開発委員会はプロジェクトの方向性についての」をカットしている。11ページの表に示された文言には、裏には政策レベルという意味が当然あるのだろうが、この四角の枠中ではプロジェクトの方向性ということばを削除している。宇宙開発委員会は重要なプロジェクトを評価し、JAXA(ジャクサ)自身は円滑な実施という視点で評価すると述べてある。このように、二つの評価が二層構造になっているように思える。二つの評価があまり大きくオーバーラップしているのは問題である。11ページの図から、「の方向性」をただ単純に削除すると、前の文章では重要な政策というところがあったから良いが、これでは評価の改定の主旨に逆行する印象を与える。単に「の方向性」をとって良いものかどうか、何か形容する文言がついた方がいいのではないか。

【水藤補佐】 これは本文の3ページの評価システムの階層というところで、「の方向性」というのを見え消しにしているが、「方向性」というのはちょっとぼやっとしているので、「プロジェクトに関し」と単純に消してしまった。この図の方も反映しているというもの。それほど大きな意図はない。

【青江部会長】 澤岡先生の御指摘を踏まえ、3ページの「の方向性」を復活させ、図の方の11ページの「の方向性」を復活させるということでいかがか。

【澤岡特別委員】 3ページは、その後に「政策決定レベル」という言葉が入っているからよくわかるが、表の方はそれがないので誤解を与えるので、「の方向性」を入れていただきたい。

【青江部会長】 そうすると、3ページの方はそのまま消して、「政策レベル決定」につながっているから……。あってもおかしいことはないので、両方復活させるということでいかがか。

【森尾委員】 宇宙開発委員になって感じていることの一つは、衛星開発は10年とか、それ以上かかるケースがあるということで、先ほども途中で世の中の価値観とかが変わったらどうしようかという話があったが、そういうリスクを減らすには、もっと短縮する努力をすべき。そう考えた場合に、個々の評価というのは時間軸が入ってこない。コストのことも、時間がかかるものはコストもかかるわけだから、全く時間軸が考えられていないとは言えないが、例えばコストも含めてというのであれば、私は時間のことも、もうちょっと開発のスピードを上げる努力をするということを明示的にどこか評価のポイントとして入れる方がいいのではないかと思うが、いかがか。

【青江部会長】 これは5ページの開発方針、事前評価のcで、この開発方針が的確かどうかということを評価する。その項目の中に、3月にここで御議論いただいたが、衛星の信頼性を向上するための今後の対策についてとあるが、ここに実利用を目標とする実証の衛星については、開発期間を5年以内を目途とすると明示してある。ここはそこをリファーしているから、今おっしゃられたことは入っておるのかなと思う。
 それでは、これついては、推進6−1−4という資料があるが、このカバリングレターをつけて、委員会の方に報告をさせていただきたい。もし委員会の方で了承いただけば、そこで今後の評価、ここでの評価は新しくリバイスされたものをベースに御議論をいただくということになる。

(2) 議題(2)宇宙開発に関する重要な研究開発の評価について
 事務局から、「推進6−2−1」、「推進6−2−2」に基づき説明を行った。
 これについて特に質疑はなかった。

(3) 議題(3)高速飛行実証及び宇宙往還技術試験機(HOPE−X)プロジェクトの事後評価について
 事務局から「推進6−3−1」、JAXA(ジャクサ)から「推進6−3−2」及び「推進6−3−3」に基づき説明を行った。
 主な質疑については以下のとおり。

 

【廣澤特別委員】 ただいまの推進6−3−2の説明の中で、HOPE−Xの6ページ、エンジニアリングモデル開発試験において主要機器の試作を行い、試験を実施したということで、この中身に興味があるが、これは次回に説明があると思ってよいか。

【中安(JAXA(ジャクサ))】 そのとおり。

【井口委員長】 6ページ目の今までの経過を見ると、平成5年に始まって十数年たっている。こういう開発は半分以上は担当した人の経験というか、頭の中にあるのだろうと思うが、何人ぐらいが最初から最後までやっているのか。今までの経験を積み重ねて、これからまた進めるわけだが、その辺の人事管理は、どうなっているのか。

【白水(JAXA(ジャクサ))】 確かに再使用というものに直接携わっている人間は、JAXA(ジャクサ)の中では極めて少なくなっている。パートタイムも入れて20人程度だと思うが、宇宙輸送系という意味では、HOPE−Xをやった人間のかなりの部分が、H−2AとかGXとかいろんなプロジェクトをやっており、輸送系で見れば共通している。
 また、近い将来、再使用などが始まれば、そのうちのある部分はまた戻ってくると考えている。メーカー側でも事情は同じだと思う。だから、現在、すべての人間が引き続き仕事をしているかというと、そうではないというのが実態である。

【廣澤特別委員】 推進6−3−3のフェーズ2について、1回の実験で大変いい成果を上げられたようにお見受けするが、もともと2回実験する予定であって、1回目はこうである、2回目はこうである、という方針がはじめに記されていて、その上で、2回目は残念ながらできなかった、しかし成果は十分である、というふうにまとめてあれば、わかりやすいと思う。その辺を整理されては如何か。

【中安(JAXA(ジャクサ))】 1回目と2回目の差はマッハ数の差だけで、マッハ数は0.8、1.05、1.2を予定していた。これは別添の17ページに書いてある。本文にも12ページの4の下に書いておくのがよいかもしれない。
 別添資料の17ページには、マッハ数の範囲が書いてあり、1.2、1.05、0.8と、3種類を当初予定しており、このうちの2つはとりたいという計画だった。書くなら、本文の9ページの4のところに、ここはできなかったということで0.8と1.05と1.2と書くとよいのではないか。

【青江部会長】 1回目でこれをやろうとして、2回目でこれをやろうとしていたというふうにきちんと明確に整理をしていただきたい。表のような形で書いていただくとわかりやすい。

【中安(JAXA(ジャクサ))】 了解した。

【澤岡特別委員】 説明には良く理解できなかった部分があった。4ページのフェーズ1について質問する。赤で示されている飛行経路は急降下の部分であり、その後、もう一度高度を上げてふんわりと着陸するように見える。HOPE−Xの飛行経路として、この考えが継続して引き継がれているのか。

【中安(JAXA(ジャクサ))】 これはフェーズ1に特有の着陸の仕方。HOPE−Xの場合はエンジンがついておらず、上ることはできないので、1回急降下でおりてきたら、そのまま着陸する。

【白水(JAXA(ジャクサ))】 もう少し正確に言うと、この機体に関しては、タイヤの性能と速度の関係で、ダイレクトに着陸ができなかったということで、こういう方法をとった。

【澤岡特別委員】 そうすると、第3回の飛行軌道に示されているように、青い線は、機体保全のためにこういう経路をとったものであり、将来あるべき姿は、赤い線で示されたように急降下で着陸すると考えて良いか。

【白水(JAXA(ジャクサ))】 はい。接地寸前にフレアをかけるが、ダイレクトに急経路から着陸する。もう一回回ってくるということはない。

【澤岡特別委員】 はい、わかった。

【中須賀特別委員】 今回得られなかった成果は、今後の研究の中で獲得していくこととし、飛行実証はもうやらないということだが、どういう形で、飛行実証に匹敵するデータは獲得されていくのか。

【中安(JAXA(ジャクサ))】 30億円というような高い飛行実証はやらないが、安い実証、あるいは地上での実験はやるつもりなので、そういった中で、できるだけデータをとれるように頑張りたい。

【中須賀特別委員】 それで十分な、補完できるデータが得られるという予測でよいか。

【中安(JAXA(ジャクサ))】 はい。

【渡辺執行役(JAXA(ジャクサ))】 実験回数として2回は実施したいという計画をしていたが、大抵のこういう実験機はそうだが、初回がうまくいくと、そこで得られるものが非常に多い。残り1回をプラスするのに、果たして、また相当な努力をするかということを考慮した。これで研究が終わりということであればまた評価は違うが、この関係の技術は非常に重要で、将来の技術として、今も位置づけが少し変わってはいるが、研究を継続することにしているので、その中で、今回の実験の足りなかった分などを補っていくことは十分考えられる。そのため、今回は、コストなども考えると見合わないという結論になった。
 したがって、どこでどう実験するかという具体的なプランを今持っているわけではないが、いずれにしても、これからも継続して、また発展させていかなければいけないという考えの中での整理である。

【青江部会長】 この資料には、そんな程度ではなく、ちゃんとできると書いてある。2回目はできなかったが、入手できなかった部分は、これから先、研究をやることによって、全部リカバーできると書いてある。だから、入手できなかった部分はどうやって手に入れるのかという中須賀先生の御質問の十分な説明になっていない。どのようにして入手したいと思っていたものがちゃんと入手できるというもくろみを言っていただかないと回答にならないと思う。

【白水(JAXA(ジャクサ))】 一つの実験で全部リカバーするということではないので、大きく、空力と誘導制御に分かれているが、空力に関しては、CFDや風洞でできない部分をやろうとしていたのだから、実際に飛行させるしかないということで、将来、飛行実証、遷音速の飛行実験というのがあると想定している。そのときにしっかりした空力データをとるということで、今のところ、いつ、どのようなというものははっきりしていない。
 それから、誘導制御に関しては、ロバストな制御則の実証ということで、これも遷音速域を実際に飛ぶ計画は今はないが、こちらに関しては、先ほど、中安から説明したように、別の機体で、もうちょっと簡易にロバストな制御則を検証するという計画を、今、具体的に進めている。

【高柳特別委員】 資金の効率のところで、CNESの負担としたとあるが、これは実施前段階から考えられていたのか。それとも、プロジェクトの中で、バルーンの扱いをCNESと共同でするということで資金を効率化したのか。

【白水(JAXA(ジャクサ))】 宇宙開発委員会で最初に、計画調整部会で、この高速飛行実証をお認めいただいたときには、幾つかの方法があり、その中にバルーンでやるという方法も一つの選択肢だった。実際にゴーになった後、幾つかの方法の中からバルーンを選んで、かつCNESとの共同研究で実施するということが後で決まった。

【鈴木特別委員】 本件に関して、CNESでやってもらうかわりに、こちらから提供するものというのは、どんなものがあったのか。

【白水(JAXA(ジャクサ))】 具体的には、飛行データ等、それから、誘導制御則そのもの。実は、この共同研究は厳密に言うと二つの部分があり、一つは飛行実験そのものを共同で実施すること、もう一つは、風洞実験及びCFD解析、それから、誘導制御則の評価を、これは飛行実験のデータを参考にしながらすること。

【中安(JAXA(ジャクサ))】 プロジェクト内としては、飛行実験データの共有ということだけ。

【白水(JAXA(ジャクサ))】 プロジェクト外の方も含めて言えば、CFDと風洞実験の共同実施となる。それから、プロジェクト内としては、風洞データの提供、それから、CNES側からは、実はバルーンと実験の実務以外に、提供されたセンサを搭載している。当然、このセンサデータというのは両方で共有している。

【鈴木特別委員】 それで、結果的には、実験のやり方で、この間のスケールドコンポジットで運ぼうとかいう話もあったようだが、随分安くなったと思うが、どのぐらい効率化されたのか。

【白水(JAXA(ジャクサ))】 確かに、とにかく上空に持っていって落とすということは決まっていたが、どういう形で上空に持っていくかというものの対案に一つ、スケールドコンポジットの機体から分離して、ロケットエンジンでもうちょっと加速するというのがあった。そのときは、確かに当時の予定、31億円になかなかはまらないで苦労しており、CNESのバルーンで実施するということではまったということで、具体的な数字は覚えていないが、少なくとも億単位で安くなったのは間違いない。

【鈴木特別委員】 それから、体制の話。メーカーの環境の話があまり出てきていないが、これはほとんど、NAL/NASDA(ナスダ)が主体的にやった研究なのか。解析だとか、そのあたりも、メーカーと共通な作業をやっているのか。

【白水(JAXA(ジャクサ))】 ほかのHOPE−Xの小型実験等々、特段変わっていない。基本設計というか、概念はNAL/NASDA(ナスダ)が作っているが、詳細設計部分になると、かなりメーカーの力が入っているというのは事実。

【柳原(JAXA(ジャクサ))】 誘導制御則に関しては、一つのターゲットだったので、これは、NAL/NASDA(ナスダ)で設計している。それをメーカーに搭載してもらうという形にしている。

【鈴木特別委員】 波及効果として、メーカーにも、そのあたりの技術は行き渡ったというか、共有されているという理解でよいか。

【柳原(JAXA(ジャクサ))】 今の誘導制御に関しては、設計したのはこちらだが、評価に関してはメーカーも一緒にやっているので、そういう意味では共有している。

【鈴木特別委員】 了解。

【白水(JAXA(ジャクサ))】 誘導制御に限らず、特にフェーズ1の方は、いわゆる自律飛行という目標があり、これに関して、ハードウエアも含めて、メーカー側にもそれなりの技術が残ったと考えている。

【小林特別委員】 この実証プロジェクトは、平成12年度にHOPE−X、その上のレベルのプログラムに相当するものが凍結となった状態で実施されている。宇宙開発で実験プロジェクトをやるというと、大体、押せ押せムードのときにやるのが通常だろうと思う。そういう意味では、先行きが暗くなったという特殊な状況下でなされたプロジェクトである。こうした状況のもとでは、開発マネジメントの上から、みんなのモチベーションの維持という面で苦労が何かあったのではなかろうかと思うが、そういう意味で役に立つ教訓などが得られたのではないか。

【白水(JAXA(ジャクサ))】 まず事実関係だが、先ほどの推進6−3−2のHOPE−Xの概要の6ページにあるとおり、HOPE−Xの計画見直しが実は2回行われている。平成8年度に開発移行になったが、平成10年の末の計画見直しで、HOPE−Xのフライト時期が3年延びた。この時点で、実は高速飛行実証がスタートしている。つまり、高速飛行実証がスタートしたときには、HOPE−Xはまだ飛ぶという前提でスタートしている。実機凍結になった12年度には、高速飛行実証に関しては、飛行実験の時期を1年間ずらすということだったので、高速飛行実証を始めたときには、皆さん、HOPE−Xはもちろん飛ぶと信じていた。
 それから、HOPE−Xが凍結になった以降、高速飛行実証を続けることについては、目標のところで御説明したように、再使用輸送系がある限り必要になる技術という認識のもとだったので、担当者を含めて、特に当てのないものをやっているという認識はなかったと思う。

【青江部会長】 凍結という意思決定をした以降は、その成果取りまとめ、基盤技術ということで、わりあい細い線でずっと持ってきたと。それ以前は、とにかくやるんだという状況でずっと来ていたから、そのときには、少なくともモチベーションがあったはず。

【白水(JAXA(ジャクサ))】 HOPE−Xのフライト時期も延びるという状況だったが、もちろん飛ぶと信じてやった時期に、かなりこの部分は進んだ。

【小林特別委員】 もし私が実作業をやっている担当者であったとすれば、かなり落胆していると思う。いい経験をされたと思うが、そういった部分をどうコントロールしたのか参考に聞きたい。

【中安(JAXA(ジャクサ))】 HOPE−Xという大きなプロジェクトがあって、小さなプロジェクトは、輪切りにしてあり、高速飛行実証プロジェクトを実施している人は、HOPE−X本体にはあまりかかわってない。そういう意味で、小さく割り出されても、このプロジェクトはあなたやりなさいと言われると、もうこれをやるのが自分の使命になり、自分のプロジェクトは成功させるというインセンティブはある。
 それに、HOPE−Xが凍結されたときには、景気がよくなればまた動けるんではないかとか、再使用型の技術というのが不要になったわけでもないので、お金の関係でとまっているだけだとか、技術者はそう思っていて、延びているだけでしょうという認識で、技術が要らないと思っている人はいなかったと思う。

【小林特別委員】 わかった。安心した。

【鈴木特別委員】 この得られた成果について、例えば、シンポジウムをやったとか、あるいは論文を発表したとか、どこまで公表するかというのはなかなか微妙な話もあると思うが、得られたノウハウとか、データがきちっと後に伝えられるような整理はできているのか。

【中安(JAXA(ジャクサ))】 高速飛行実証に対してはかなり公開されて、メーカーの方にも出ている。5つの実験機の中では、高速飛行実証が一番オープンになっている。どのプロジェクトに関しても、後ろで使えるようにはすべて整理している。

【鈴木特別委員】 シンポジウムはやったのか。

【渡辺執行役(JAXA(ジャクサ))】 高速飛行実証に関しては、公開のシンポジウムのようなものはまだやっていないが、それ以前の実験機に関してはやってきた。改めて、このタイトルを掲げてシンポジウムをやるかどうかということは決めていないが、アイデアを頭の中で、まだ整理していない。

【鈴木特別委員】 いずれにしろ、きちんと後に残るようなデータとしてはまとめてあるという理解でよいか。

【中安(JAXA(ジャクサ))】 はい。

【青江部会長】 いわゆる数値とか紙で書いた報告書のほかに、携わった人が経験をしたものがある。そういう頭脳に残っているものについて、このプロジェクトが復活するときに、まだ大分先かもしれないが、有用なノウハウ、経験、知見が残るようなきめ細かい残し方はしているか。

【白水(JAXA(ジャクサ))】 このプロジェクトとおっしゃるのがHOPE−Xだとすると、具体的に幾つかあり、一つは、システム設計をやるためのツールみたいな形で具現化したものがある。
 それから、空力に関しては、特に風洞実験、我が国としては、歴史上、一番大規模な低速から極超音速までという大規模な風洞実験をやったので、それが一つのデータブックとして、これもデータベースになっている。
 それから、いわゆるレッスンズラ−ンドに関しては、内部資料だが、技術資料の形にまとめたものとか、そういう形でいろんなものがあり、当然、メーカーの報告書とか内部技術報告書というのは、それなりにちゃんとある。

【青江部会長】 ちょっと言い方が悪かったかもしれないが、いわゆる形式知に属するものはちゃんと残されているのはよくわかった。いわゆる暗黙知と言われる性格のものを、プロジェクトが長いだけに、何か工夫をして残すようなことをしないといけないのではないかと思ったものだから聞いた。

【白水(JAXA(ジャクサ))】 一番それに近いものは、レッスンズラーンドと称するものが、300ページぐらい、かなりのものが残っている。おそらく、それが一番ノウハウに近いものだと思う。

【松尾部会長代理】 HOPE−X全体の話で伺った方がいいかもしれないが、この先、システム全体が決まってないが、決まった時には、基本設計はこれまで得られた知見で自信を持ってできると言えるかどうか。遷音速の一つが取れなかった位は目ではなく、やるべきことはもっとあるだろうが、間違いなくシステムについて解析ができるというところまで来ているのか。

【白水(JAXA(ジャクサ))】 井口委員長が言われたように、ある程度人についている部分があるので、今の人間が全くいなくなったときには若干不安はあるが、例えば、基本設計について、HOPE−Xの設計に苦労した最大の点は、非常に複雑なシステムで、ある部分を変えると一見関係のない他の部分が影響するといった技術的な連関が非常に多いことである。これは、ある意味人間の勘を超えているところがあり、それを一つのシステム設計ツールという形でまとめた。これを使いこなせるかどうかは別として、それが一つはっきりある。
 それから、かなり人についている部分はあるが、次回のHOPE−Xの中で御説明しようと思っているが、ALFLEXはチップフィンで、高速飛行実証のときには胴上フィンという形で、空力形状が全く変わっている。あれは垂直尾翼だけでなく胴体の形や主翼の平面形状も変わっており、全く形を変えている。この形状変更について、半年ぐらいの中で風洞実験を僅かやりながら、CFDでパラメトリックに検討してあっという間に一つの形を作り得た。1回目の形を作るには年単位の時間がかかったが、それからかなり形状の違うものを半年間で作り得たという意味では、少なくとも、あの時点の顔ぶれとツールでは、基本設計の能力は相当高まっていたと思っている。ただ、これをいつまでどう維持できるかというのは今後の課題。

【中安(JAXA(ジャクサ))】 HOPEの研究は、昭和61年、H−2が開発移行した直後からやっている。当時、HOPEを作るときに難しいと思っていたイメージに比べると、あれから20年近くたっているが、あの頃難しいと思ったよりは簡単に見えているので、小型実験機からHOPE−Xの研究開発の中で進歩は大きくあったと思う。そういった成果が日本の中に積まれていると思う。

【井口委員長】 フェーズ1の実験が行われる前に委員長をやっているが、今、しまったと思っていることが一つある。それは、この機体はまだ残っているのであれば、なぜ、もっと徹底的に、もうちょっとアブノーマルな状態、気象条件にしろ、例えば、ラダーが一つ動かなくなったとか、そういうことで、最後は壊すまで実験データを取らなかったかと、私は言わなかったのか反省している。それは別に皆さんの責任ではなくこれから覚えておきたいという意味で。実際の設計にどれだけ余裕があるかが鍵になる。余裕というのは、限界を知らなければわからないわけだから、徹底的にそこからデータを取り尽くすという方がはるかに大事だったのではないかという反省を今感じている。

【白水(JAXA(ジャクサ))】 我々も同じような認識を持っている。高速飛行実証の機体では安全上の問題で日本国内を飛ばすのが難しく費用的に大変だが、今後の研究の中で、ラジコン機位の機体であれば安全なところで墜落させても実害ないだろうということで、墜落することを覚悟の実験というものにも手をつけたいとは考えている。
 その場合は、高速飛行実証よりは規模の小さな、比較的安い機体でやる方が現実的。高速飛行実証は1カ月位で3回しか飛ばせなかった。現地にメーカー含めて数十人が行き2週間位かけてワンフライトなので、飛ばすために相当の費用がかかる。

【松尾部会長代理】 エレボンの圧力分布が違ったのを始末したのは、ロバストの制御予測が効いているのか。

【白水(JAXA(ジャクサ))】 別添の14ページ。空力特性の元々の予想値とフライト結果だが、この緑の幅が想定していた誤差。ノミナルから外れているが、想定していた誤差の範囲内で飛ぶロバストの制御予測であったから、ちゃんと飛んだということ。
 それから、設計誤差内には入っているが予想値とずれがあり、そのずれに関しては圧力の問題が関係しているということが、その後の風洞実験等で確認されたということ。

【松尾部会長代理】 モデル誤差を考慮した高精度のシミュレーションというのはいかなるものか。

【柳原(JAXA(ジャクサ))】 考えられるばらつきを、アクチュエータの誤差などを全部考えて、モンテカルロシミュレーションを実施し、この包絡線の中であれば飛ぶということをやっている。
 特にCmの誤差に関してはそれだけエレベータ舵角が下がったわけだが、あれも、他に比べて大きな誤差でも飛んだという意味では評価できると思っている。

【井口委員長】 中安さんはHOPE−Xを最初からやっていたのか。つまり、実験が終わってから、渡辺さん、中安さんが担当になったのだろう。そういう人から話を聞いても、本当にやった人に、この次からしゃべって欲しい。

【中安(JAXA(ジャクサ))】 HOPEは立ち上げの頃2年と、ALFLEXと、HOPE−Xは数カ月担当したが、全部で6年強担当している。

【白水(JAXA(ジャクサ))】 正確に言うと、私も、最初の方のHOPE−Xは横で見ていただけ。小型飛行実験の方は、比較的短期間なので、この人に聞けば最初から最後までわかるというのがある。高速飛行実証は柳原がそうであるが、HOPEはそういう意味で、この人を引っ張ってくれば全部わかるという人は実はいない。

【森尾委員】 井口委員長と同じようなことを言うが、高速飛行実証フェーズ1の着陸性能の表を見ていて、非常にいい性能が出ているように思う。例えば、旅客機の自動着陸に使えないものかなと思って見ていた。例えば、接地方位は設計目標プラスマイナス 6度であり、実際の実験はプラス 1.1とマイナス 0.0で非常にいいところまで下がっているが、逆に、プラス6度ずれて接地自体は本当にちゃんと滑走路の上で止まれるのかというようなことを、せっかくだったら実験される方がよい。こういう設計目標がピンポイント来るのがいいとは言えなくて、飛行中に何が起こるかわからないので、設計目標を決められたら、そのばらつきの範囲に入っていれば、安全に着陸できるということを実証することも重要なことだと思う。そういうことをやっていかないと、例えば、こういうデータが旅客機の自動着陸になかなか使えるデータまでいかないのではないかという気がするが。

【中安(JAXA(ジャクサ))】 ここには宇宙の関係者が多いので、旅客機のことはよくわからないが、旅客機は今、ILSできちっと着陸はできるはず。ILSの精度が足りないということもないので、今のまま運用されているのではないかと思う。以前、シャトルでMLSというのをやっていたときに、運輸省もやはりMLSはやっていたが、狭いところでは使いにくいということで、諦められたように伺っている。シャトルは相変わらずそれで飛んでいるが。
 MLSのかわりにGPSが使えるという話も、もう何年も前からあって、運輸省もよく理解されて研究されていると思うが、現時点、やっぱり着陸場は山のように飛行場があるので、技術の更新に相当コンサバティブになるというか、そういうことでやられているんじゃないかとちょっと想像している。

【渡辺執行役(JAXA(ジャクサ))】 オフノミナル条件でどう作動するかという御質問と理解した。そういう点には、現在のこの研究レベルではまだ至っておらず、計画を立てる段階から、このぐらいの規模、これくらいの試験回数ということでは、なかなかオフノミナルまで実証しようということはできない。しかし、シミュレーションでできるだけ広い範囲の誤差を考慮して、それに使えるシステムということを第一に考えている。オフノミナル的なところは、もう100パーセントシミュレーションによるというようなところに期待せざるを得ないというのが、今の研究レベルの状況。
 将来、例えば、ずっと進歩して、有人というところになると、オフノミナルからどうするかというところを、大部分はシミュレーションで検証しておいて、本当にそのシミュレーションは有効かということを実験で検証していくということが実際のアプローチかと思うが、今の研究レベルではオフノミナルには、実証ということでは手がけてないというのが実情である。

【白水(JAXA(ジャクサ))】 補足すると、今回の高速飛行実証は、DGPS、航法系を含めた総合システム試験であり、いわゆる着陸の制御則というのは、むしろALFLEXという小型自動着陸で中心に実施した。そのときは、分離点を、手前とか奥とか左右にオフノミナルに動かした試験を実施し、全部で13回の飛行実験を実施した。
 接地に関しては、横風の条件についてもきれいにばらついてとれ、制御予測に関しては、ある程度オフノミナルなものもALFLEXではやっているということになる。

(4) 議題(4)その他
 事務局から、「推進6−4−1」から「推進6−4−3」に基づき説明があった。「推進6−4−2」については、原案のまま了承された。

−了−


(研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付)

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