議題(2)H− Aロケットの再点検について
事務局水藤補佐から「調査1−2」の資料に基づいて審議結果の報告があり、了承された。
主な発言は以下の通り。
【宮澤特別委員】 この審議結果の中では具体的には触れられていないが、当然飛行解析を行っていると思う。開発を完了して揃えた新しいデータを元にした飛行解析を通常の手段で行うと相当時間がかかると思うが、今回、今月の打上げに向けての準備状況はどのようになっているのか。
【松尾部会長】 今おっしゃったデータというのは、SRB−A絡みのものか。
【宮澤特別委員】 それが主だと思う。
【河内山プロマネ(JAXA)】 SRB−Aに関しては、初期の予測データからほとんど変わっておらず、非常にいいデータが出ているため、それほど大きな変更はなかった。そのため作業は順調に進んでいる。
【宮澤特別委員】 今回は冬期の打上げになるが、気象条件も含めて、解析結果はきちんとできていると理解してよろしいか。
【河内山プロマネ(JAXA)】 打上げ時期については未定のところがあったので、冬期だけでなく、ずれたときにどうなるかということも含めて準備した。
【宮澤特別委員】 了解した。
【小川原特別員】 先ほど配付された参考資料1−2、39ページに、表面後退量の平均値、最大値が半減してばらつきもそれなりに減っていると書いてある。大変結構だが、これにかかわる危険度は定量的な評価があるのか。以前に比べてどの程度改良された、というように危険度をもし表現できるならお聞きしたい。
【河内山プロマネ(JAXA)】 以前と比べると、表現できないくらい良くなったというのが正しい言い方。どういうことかと申しあげると、平均値は18ミリぐらいで、実際の板厚は100ミリある。
今回は従来と違って最悪値としてあり得ないほどの現象が起こっても大丈夫なように考えており、それに対してさらに余裕を持って100ミリという設定をしている。言い方としては違和感があるが、「従来とは比較にはならないほど」という言い方が一番正しいと思う。そういう形で板厚の安全性というものを確保している。
参考までに申しあげると、従来は平均値が45ミリぐらいで板厚は最大で78ミリくらいであった。それに対して、今回は、平均値を押さえるということを主たる目的でやっていたが、結局18ミリぐらいで100ミリの板厚ということで、従来のやり方でいくと比較にならないほどよくなっているという言い方になる。
【松尾部会長】 想像を越えた局所エロージョンが前回起こったということの裏には、層間剥離という新しいレジュームが考えられたことがある。そのためには、流れと層とのなす角がある程度より浅くなることが条件であると思っており、今回はその条件にいずれも達してないということがもう一つの言い方かなという気はする。
それをもってその先が0か1の世界に行ってしまって、そこのところでなかなか定量的なパーセンテージというのは難しいのかなという気はする。
【井口委員長】 前回、H− A6号機の失敗の後、特別会合が開かれて、打上げ再開に対してどういう努力をするか、一言で言えば、ベストエフォートを尽くすというか、日本語で言えば「人事を尽くして天命を待つ」の「人事を尽くす」ということが話し合われた。
先々週三戸理事が宇宙開発委員会に来られて、目標として2月24日打上げという話をされた。今後問題がなければ正式に宇宙開発委員会が了承するということになると思うので、少しでも疑問点があれば今ここで伺っておきたい。H− Aロケットの再点検というと、ロケット本体のイメージがあるが、これから打上げまでに、End-to-end試験、実際に打ち上がると、管制・誘導、万一何かトラブルが起こると、その措置、地上からの指令、こういうことはないと思うが、指令爆破ということもあり得るわけである。そのあたりのプロセスまでこのH− Aロケットの再点検に入っていると理解してよろしいか。
【河内山プロマネ(JAXA)】 再点検の中には、設備も含めている。一部は、改善する内容として再点検項目の一つとして挙がっている。
【井口委員長】 了解した。あと2点伺いたい。まず安全審査について、安全審査には安全審査の基準があり、それに合致するということは宇宙開発委員会でも了承した。
ただ、安全部会の際に質問したことで、再度確認したい点がある。今回の衛星はロラールの衛星であり、ある部分は、ロラールが完全に秘密保持することが許されているわけである。これからもいろいろな衛星を打ち上げることになると思うので、そのようなケースはしばしばあり得ると思う。
そのときに、取り越し苦労かもしれないが、万一緊急事態、種子島のロラールの組立スペースで、例えば沖縄で米軍のヘリコプターが落ちて日本の警察が入れなかった事例、あのようなことはあってはいけないと思う。責任者、責任体制がどうなっているのかということについて改めて確認したい。
【河内山プロマネ(JAXA)】 センターにおける安全についてはJAXA(ジャクサ)の方に責任があるので、すべてについてはJAXA(ジャクサ)の責任の下でやるということになると思う。基本的なことだが、衛星との関係というのは、あるインターフェース条件、安全に関してもそうが、それが守られている前提に立っており、それにバイオレーションするようなことがあれば協議することになると考える。正式には宇宙開発委員会定例会にて当該責任者より回答を差し上げたい。
【井口委員長】 了解した。もう一点、ロケットを議論するときに、SRB−Aについては、トラブルを起こしたということもあって真剣に議論したが、小型の固体ロケットブースタについてはあまり話題としても出てこなかったような気がする。現状を教えていただきたい。
【中村主任(JAXA)】 SSBは、本体も含めて、ほとんどの部分をアメリカから購入したものである。SSBには技術開示制限がついており、いわばブラックボックス的なところがある。今回H− Aロケットの再点検ということで、このSSBについてもできる範囲で点検を行っている。後は、国内でH− Aに取りつけるために、飛行安全用の機器などは国内で開発したものを取りつけて組み上げている。その辺については、FMEAなど一連の再点検作業を実施した。
このSSBは、H− A用に初めて開発されたわけではなく、アトラスロケットのCASTOR−4Aとして、今までおよそ300本フライトして一度も事故を起こしたことがないモータであるが、それと同じ設計思想であり、推進薬などの製造プロセスも同じものである。ただし、H− Aの性能要求に合致するように、推進薬を3割、3トンぐらい余計に詰めて、長さを2.4メートル長くしている。
そのような違いはあるが、例えば、モータケースの設計から推進薬の製造、分離機構、この辺はアトラスロケットに使っているCASTOR−4Aと同じものを使っている。
そのため、ブラックボックスな点はあるが、製造の結果は米国から我々に通知される。我々が見られないところ、設計の内容、製造上の不具合の内容、処置の妥当性などについては、アメリカのエアロスペース社という軍関連の準公的機関に日本側から委託して見てもらっている。
つまり、詳細はわからないが、物がいいか悪いかということについては確実に我々のところ、日本側に通知されて、それで問題ないものが種子島の方に納入されているという状況である。
また、7号機に搭載するSSBは今回2本でそれぞれが別ロットであり、いずれも2号機、5号機、あるいは、6号機で飛んだものと同じロットの残りを今回使うため、ロット性としては品質が確認されているものを今回打ち上げることになる。
【井口委員長】 了解した。
【松尾部会長】 先ほどのロラールの件については調べておいてほしい。とにかく安全に関する責任はJAXA(ジャクサ)にあり、それに必要な情報は既に得てあるというところまで伺っているが、具体的に緊急事態が起こったときにどう立ち入るのかといったような種類のことも、ケーススタディーがあるのであれば教えていただきたい。
【宮澤特別委員】 H− A全部点検するということで努力していただき、LE−5BについてもJAXA(ジャクサ)内でいろいろ検討していると聞いたが、その反映事項は今度の7号機に反映されているのか。あるいは、する必要はなかったのか。
【河内山プロマネ(JAXA)】 LE−5Bに関しては、再点検項目の中で挙げているが、エンジンコントロールボックスについて、クロック回路の耐性のあるものに変更して開発試験、QTを行い、さらに燃焼試験に使った上で搭載している。また、解析の方では、ECBを再装着する際、宇宙空間を飛ぶため輻射を避けるためにマイラを巻いているが、その巻き方がきついと中の温度が上がることがわかっているので、その巻き方について風通しが良い形の巻き方を考えている。以上のような反映があった。
その他は、次号機以降に反映する内容になっており、先ほど申し上げた95件のうちの77件についてはその範囲である。見直しについては、FMEA,FTAを含めて、全体を確実に行っている。
【宮澤特別委員】 推進系、燃焼特性については、全く改良の必要はなかったのか。
【河内山プロマネ(JAXA)】 燃焼特性に関しては、改良しなくても大丈夫だということで今回の打上げに供している。LE−5Bについては、改良型としてさらに燃焼室の振動がマイルドなものを作っており、現在、開発試験を実施中である。
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