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議題(1)地球観測に資する民間等の衛星開発計画について
安岡特別委員から地球6−1−1について説明を行った。主な発言は以下のとおり。
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【安岡特別委員】 今日は、私が座長を務めていた日本航空宇宙工業会の次世代地球観測衛星システム調査委員会での、Post−ASTERに関する検討結果を、災害の視点からどのような観測システムが必要かということと絡めて紹介したいと思う。
まず、背景を2つの側面から紹介したい思う。衛星開発を考える上では、世界の動向、アジアの動向、日本国内の動向を認識しておく必要がある。日本国内では、文部科学省、経済産業省、総務省等々のいろいろなユーザー官庁が衛星を利用しており、当然、そのような官庁、それから産業界が一緒になってこれからやっていく必要がある。今までその部分が足りなかった。特にこれから国内の連携を強化していく必要がある。
もう一つの側面は、災害観測にどのように衛星観測を利用するかということ。災害というのは定常状態からの外れであるため、定常状態を観測していないと災害は観測できない。何が、いつ、どこで起きるかわからない。したがって、どうしても広く、薄く観測しないといけない。起きる前と起きた後で、状況が全く異なる。つまり、定常的な事前観測から集中観測になる。そこの間には予測が非常に重要な役割を果たす。
事前観測とは、ある時空間の中で災害が発生すれば、そこの場所を集中的に観測するが、当然、発生する前にいろいろな形での観測をしておかなければいけないということ。事前観測から事後観測の間には、至るところに予測というフェーズが入る。これが全部つながらないと、災害観測はできない。
この図では、たまたま災害が起きた場所で事前観測がされているような絵をかいてあるが、実際にはどこで起きるかわからないため、広い範囲で観測を行わなければならない。しかも、時間軸ではずっと継続して観測しなければいけないということがある。そうすると、時空間で密に観測し、それを予測につなげるためには、どのようなシステムがあり得るかということになる。
そのような背景があり、航空宇宙工業会の次世代地球観測衛星システムに関する調査委員会では、Post−ASTERに焦点を合わせて、もう少し普遍的にどのような観測システムが必要かを検討した。
地球6−1−1の目次を見ていただきたい。1.は何故これからも地球観測衛星が必要なのか。2.は今後の衛星観測はどういうコンセプトで開発すべきか。それを進める上で、連携というのが非常に重要なキーワードになるため、3.では国際連携、国内連携の視点をどのように盛り込んでいく必要があるか。4.は実際にそれを進めるにはどうしたらいいか。このような4章構成で報告書がつくられている。
まず必要性。この前の地震を見てわかるように、自然災害等の地球規模の問題、地球規模でのリスクに対する対応は、国際的にも、日本にとっても非常に重要である。また一方で、エネルギー、食糧といったような資源を安定的に供給するためのシステムを確保することが非常に重要となる。特にそのシステムをつくっていく上で、アジア・オセアニア地域との経済的な結びつきが強い日本にとっては、それを協調しながら進めていく必要がある。アジア・オセアニアとの協調というのは、エンハンスではなくてコラボレーションである。それをもって、例えば自然災害のリスクとか、環境変動のリスクに対応することが必要ではないかということである。
そのためにどのような衛星観測システムをつくるかということをここに4つ挙げた。これがこの報告書の基本的な骨格を形成している。
まず、継続性の確保。ともかく継続性が必要ということは言うまでもない。アジアの国々に行くたびに、日本はどうして同じ衛星、もしくは同じ機能を持ったような衛星が続かないのかということを何度も言われた。したがって、コンセプトとしては、継続性の確保を第1のポイントに挙げた。「緩やかな」という記述があるが、今動いている衛星であるTerra/ASTERやこれから打ち上がる衛星であるALOS、それから緩やかに継続性をつないでいくことがポイントである。
次は、観測機会の向上。災害はどこで起きるかわからないため、1つの衛星で何日かに1回観測したのでは全然間に合わない。したがって、複数衛星の利用が必須となる。
もう一つ、適切な品質を保証した上で、観測されたデータが最終ユーザーに届く必要がある。例えばアジアと一緒にやろうというときには、アジアのユーザーに使える形で渡す必要がある。
そのようなことをするためには、ネットワークをフルに活用したり、オンボード処理をするなど、リアルタイムでの処理や衛星上での処理を強化することが必要になる。
基本コンセプトとして、この4つを柱としている。
アジア・オセアニアと連携するというところで注意しなければいけないのは、なぜアジア・オセアニアか。それは当然、日本が地理的な環境、文化的な環境を共有している部分が非常に多いということになるが、自然災害とか、環境変動のリスク、この辺はアジアの各国にとっても共通の問題になる。それと同時に、アジアの各国はそれぞれ個別の問題も持っているので、そのような両面から対応していけるような観測システムをつくる必要があると考えた。
これらを実現することは簡単ではないが、将来像として複数の衛星が常時打ち上がっていないと、先ほどの観測システムは実現できない。当然、欧米の衛星や日本のセンサを搭載した衛星もあるが、日本も幾つか衛星を打ち上げる必要がある。それだけでは足りないので、アジアの各国が小型衛星を打ち上げている。韓国、中国、タイ、インドも今度打ち上げる。このようなネットワークをつくり、そのネットワークを通じてデータシェアリングをしていく必要があるだろう。そのためには、これから衛星やセンサを開発したり、地表のシステム、ネットワークシステムをつくることが重要になる。アジアの国々はネットワークが完成していないところがあるので、衛星データのためだけではなく、地上の観測システムを充実する上でも、このネットワークシステムは必須になる。だから、まずはアジアのネットワークのインフラをつくることが非常に重要な第一歩の仕事になるのではないかと思う。そのようなネットワークを通じてデータが共有されたら、それをどのように利用するかというフェーズになる。
では、日本とアジア・オセアニアの仕事をどのようにして切り分けるか。基幹となるような衛星、センサは日本が開発し、アジアの参加する国は、例えば自分のところで開発したスモールサットや、いろいろな機器やセンサを日本の衛星に搭載し、共同で運用・利用する。例えば韓国は、この前の調査では、自分のところでセンサを開発して、それが日本の衛星に載せられるかといった話など、いろいろな形の表現が考えられる。
技術開発要素としては3つ挙げている。
1つ目として、観測センサ技術。これはASTERを基本的に継承する。ただ、例えば幾つかのチャンネルは数メートルの空間分解能をもつように高度化する。波長の分解能についても基本的にASTERは波長数が非常に多いセンサだが、さらにハイパーなどを一部加える、というような技術開発をする。しかしながら、継続性は担保するようなセンサ体系になるのではないかと考えている。
2つ目として、衛星バス技術。これはシリーズ化を前提にすることが重要であり、そのためには低コストの衛星を開発する。衛星バス技術として、この調査委員会では、特にオンボード処理技術を重要視している。
3つ目として、地上処理技術。これは先ほど話したようなネットワークが重要になる。
次に、国際連携をどう進めるか。これに関しては何度も話しているが、アジア・オセアニアとの協力を進める。ただ、一方、米国や欧州との協力を排除することは決してない。1月にこの調査委員会の関係で、アジアの国々を回り、韓国へ行った。そのとき、韓国からは、もちろん基本的には賛成するが、日本は今までアジアとは言わずに、アメリカ、ヨーロッパと協力をずっとしてきた。必ずしもアジア・オセアニアを振り返ってはいなかったはずが、ここに来て急にアジア・オセアニアと言い始めたのは、何か国の方針の変換か。一体何が起きたのか。もしアジア・オセアニアがノーと言ったら、また欧米に戻るのか。という非常に厳しい意見が出た。アジアの幾つかの国はそのような感覚を持っているかもしれない。私は、そのときには、必ずしも欧米を排除する気は全くない、ただ、文化、風土を共有しているアジアとの協調が重要であるということを話した。
次に、国内連携をどのようにして強化するか。今から十数年前に光学センサと合成開口レーダを搭載したJERS−1という衛星が打ち上げられた。光学センサは当時のNASDA(ナスダ)が開発し、合成開口レーダは経済産業省が開発し、その2つのセンサがJERS−1に搭載された。その後、それがそれぞれ分かれて、ALOSにはJERS−1と同じような仕組みでJAXA(ジャクサ)と経済産業省のセンサが搭載され、ASTERは経済産業省が独自にやる。そうすると、今度Post−ASTER、Post−ALOSでも観測の継続性を担保しつつ、協働すべきであろうと結論づけた。
では、具体的にどのようにして今述べてきたプロジェクトを進めるか。ASTERの基本機能を継承した上で、まずは関係省庁の連携、政府主導による推進というのが重要であろうというのが1つの結論である。また、アジア・オセアニア地域との連携についても当然必要である。
それ以外のプロジェクトとの連携として、例えば民間で今ハイパースペクトルセンサの計画とのジョイントをASTERで試行できないか。その他にも、一部を共用するなどができないかということも検討した。もう一つ、独立行政法人等で、例えば具体的には産総研がiSATという衛星を計画中である。これは実際に産総研の中でどのような衛星をやるかというデザインがされている。そのようなプロジェクトと、Post−ASTERをどううまく絡めて連携していくかが重要である。
Post−ASTERのプロジェクトにおいて、当面やらなければいけない問題、課題を5つ挙げている。アジア・オセアニア地域と対等なパートナーシップでの連携体制、小型・低価格かつ高性能な衛星バス・観測センサの開発、アジア・オセアニアにおけるデータの流通・利用基盤の整備、学会など様々なデータ利用機関・団体との連携、産官学協力フレームの確立というような議論をした。
最後に、政府への要望として、関係省庁の連携によるオール・ジャパンの体制の確立、ASTERやALOSからの継続性の確保、ODAの活用等アジア・オセアニア地域におけるデータ利用拡大策の展開、協力・連携国との交流・技術移転における外交的な配慮、というところはぜひとも政府にお願いしたいということで報告書をまとめている。
この英語のスライドは、アジアの国々へ調査に行った際、日本国内の衛星開発のシステムがどうなっているかを紹介するために作ったものである。JAXA(ジャクサ)とほかの省庁がどのような形で宇宙開発、衛星開発に協力していくかを書いたもので、JAXA(ジャクサ)がいろいろな省庁との連携をするときに、基本的にJAXA(ジャクサ)は今まで実際そうであったように、ロケットの打ち上げ、いろいろな目的に使用できる共通のセンサーや衛星バスの開発を進めていただきたい。ただ、気象衛星など非常にミッションオリエンテッドなものについては、各省庁がそれなりにコミットしてつくっていくことが必要になっている。今までに、共通の衛星として各省庁が打ち上げたこともある。ミッションオリエンテッドなものについても、高度な技術を要する部分に関しては、JAXA(ジャクサ)との連携が必要になる。このようなスキームを明確にしておく必要があるのではないかと思う。今はこのようなシステムで日本はやっているということで紹介したが、必ずしもこれは完成していないと思う。ASTERというセンサは、どちらかというと、資源開発という意味でミッションオリエンテッドであったが、共通的な性質が非常に強いので、少しミッションオリエンテッドの枠より上側に書いてある。当然、Post−ASTERもそのような性格を担う。ALOSとの継続も考えると、Post−ASTERという衛星については、このようなシステムで協力し合ってやるべきではないかという形で報告書をまとめた。
【井上特別委員】 アジアでの国際的な協調というのが、ただ、データなどのやりとりだけでなく、もう少し組織的に、例えばNASA(ナサ)がやっているようなA−Trainのようなものに各国が分担してやっていくような構想などはあまり考えていないのか。
【安岡特別委員】 基本的にPost−ASTERの衛星は、できれば分担してやりたいというコンセプトがあった。ただ、センサを共通でつくるのは非常に難しいので、例えばつくるのは日本だが、資金はシェアできないかとか、今、アジアが打ち上げているような沢山のスモールサットについてのデータの互換性をとるような仕組みをつくる。これはむしろ重要なコンセプトとしてこの中に入っていると思っている。 |
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議題(1)地球観測に資する民間等の衛星開発計画について
島田有識者から地球6−1−2について説明を行った。主な発言は以下のとおり。
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【島田株式会社ワールドスペラクトラムマネージャー】 昨年8月9日に国内の5社の共同出資により、株式会社ワールドスペクトラムという会社を設立し、我が国初となる商用のリモートセンシング衛星事業の立ち上げを目指して、現在、事業化検討をやっている。現時点での計画では、今年の6、7月ぐらいのタイミングで最終的に事業化に移行するのかどうかの判断をする。現在、それに向けて、詳細な事業計画の策定をしている。
この事業は商用の衛星なので、できるだけ多くの国や人に、できるだけ多くの分野にわたって利用してもらうことが大事になっている。そのような観点で全世界において、どのようなニーズがあり、それに対して技術的にどこまで対応できるのかを検討している。これは我が国の日の丸衛星になるので、まずは我が国の中において、どのような利用分野があるのかを検討しており、利用分野に合わせて衛星、センサの仕様にフィードバックしていきたいと考えている。
まず、我が国でどこも手がけていないような商用のリモートセンセンシング衛星事業をやるバックグラウンドとして、2ページの4つのポイントがある。
1つ目として、先ほど安岡委員からも話があったが、ASTERというマルチスペクトラルセンサの次世代センサと言われているハイパースペクトラルセンサを利用することによって、これまでの色や形といった情報以上に物の物性値などまで見ることができる。そのような意味で、ハイパースペクトラルセンサについて非常に大きなニーズがあるだろうと考えている。
2つ目として、ハイパースペクトラルセンサは、まだ商用で衛星が打ち上がった実績がない。唯一アメリカのNASA(ナサ)が打ち上げているハイペリオンというセンサが衛星に搭載されているが、これは研究開発の目的であり、実用のセンサではない。だから、もしこのハイパースペクトラルセンサを搭載した衛星を打ち上げて商用で利用した場合には、世界で初めてのハイパースペラクトラルセンサ搭載衛星になるため、高い市場シェアを確保できる可能性がある。
3つ目として、海外では既に商用のリモートセンシング衛星が打ち上がっており、特に有名なところだと、アメリカのIKONOSやフランスのスポットが国の援助を受けながら、商用でビジネスを展開している。そして、日本国内でもこのような海外の商用衛星が配信するデータを積極的に購入している。ただ、特にアメリカの場合には、そのような商用衛星のデータを購入する際に、例えばシャッターコントロールなど、いろいろな規制がかかって、欲しいときに欲しいデータが手に入らないという問題を抱えている。もし我々が日の丸衛星を打ち上げた場合には、そのような諸外国からの規制を受けずに、国内のユーザーに対してデータを配信できる。これも1つアドバンテージになる。
4つ目として、昨年、総合科学技術会議で打ち出した今後の宇宙開発における基本戦略の中でもうたわれているように、我が国の中で、これまでいろいろな形で宇宙開発分野において研究開発がなされ、そこで蓄積されてきた技術やノウハウを積極的に産業化につなげようという指針が出ている。そのような流れに乗って、これまでの日本の中にあるいろいろな技術やノウハウをうまく産業化につなげていこうと考えている。
これらが商用のリモートセンシング衛星事業をしようと思い立った背景である。
事業コンセプトとしては、4ページの3つキーワードである。
1つ目は、我が国初めての商用でリモートセンシング衛星を打ち上げること。
2つ目は、世界で初めてのハイパースペクトラルセンサを実用化すること。
3つ目は、海外では既に商用のリモートセンシング衛星サービスは始まっているが、それを産業化するに当たって、国が、資金的な面、あるいは技術的な面など、いろいろな形でバックアップをしていること。現在、日本国内でこのような宇宙開発を産業化しようという動きがある中で、国と協力して、このような宇宙開発、特に地球観測分野を産業化しようと考えている。
5ページにある仕様だが、搭載するセンサとして、ハイパースペクトラルセンサは分解能10メートル程度を考えている。既にアメリカのNASA(ナサ)が使っている研究用のハイパースペクトラルセンサは分解能30メートルである。もう一つ、パンクロマティックセンサの分解能は、2.5メートルから5メートルクラスを考えている。
パンクロマティックセンサを搭載する理由として、ハイパースペクトラルセンサの分解能が10メートルとあまり高くないため、分解能10メートルを擬似的により高い分解能にするために、パンクロマティックセンサと掛け合わせ、パンシャープンという形で擬似的に2.5メートル、5メートルの情報をつくり出す。もう一つは、パンクロマティックセンサにおいてもニーズがあると考えている。ハイパースペクトラルセンサは新しい技術なので、市場の立ち上がりに若干時間がかかる。その中で、パンクロマティックセンサはある程度ニーズが明らかになっているので、収益面でも下支えすることにつながると期待している。
衛星バスに関しては、できるだけ小さく、総重量1トン以下を考えている。
また、衛星自体を1機か2機と考えているが、できるだけ撮像頻度を高めるために最先端の機動性を持つ衛星を検討している。
ハイパースペクトラルセンサの特徴として、6ページの左の写真はマルチスペクトラルセンサだが、基本的にこの場合には、色あるいは形を非常にクリアに見分けることができる。それに対して、右がハイパースペクトラルセンサである。マルチスペクトラルセンサの場合には、10から30ぐらいの周波数帯域の情報をとらえているが、今考えているハイパースペクトラルセンサの場合には、200チャンネルほどの周波数帯の情報をとらえることにより、色や形だけでは区分けできないような物性値まで見分け、このような形でマッピングすることができる。従って、非常に利用範囲が広い。例えば農業の場合は、キャベツ、白菜、レタスが並んでる畑を衛星から見たとき、そこに畑があるということはわかるが、それがキャベツなのか、レタスなのかというところまでの区分けはできない。ところが、ハイパースペクトラルセンサを使うと、そのような区分けまでできる。あるいは、例えば何か災害が起こった際に、災害が起こったところの地形の変化を形や色だけではなくて、一歩進んだ分析ができるのがハイパースペクトラルセンサの特徴になっている。
また、今計画しているパンクロマティックセンサを搭載することにより、最近、アジア諸国でいろいろな大災害が起こっているが、そのようなところのできるだけ細かい地形変化などを見ることができる。7ページはフランスのSPOT−5という2.5メートル分解能の衛星画像である。このような形でより細かいところまで区分けることができるのがパンクロマティックセンサの特徴になっている。
この計画は事業なので、市場開拓をするためには、できるだけ多くの方に利用していただいて販売しなければならない。販売先は日本国内だけではなく、全世界になるので、どのような形で全世界での販売網を構築するかが1つ大きなこの事業を進める上でのポイントになる。
また、ハイパースペクトラルセンサのデータをとっただけでは何の価値もなくて、データを分析して、そこに何があるのかという情報まで落とし込めて初めて付加価値がつく。そのような解析をするためのソフトウエアやツールなどをどのような形で開発するのかも市場開拓をする上で非常に重要なポイントになる。
事業化検討は、9ページに書かれているいろいろな海外の有力なパートナーと一緒になって進めている。例えば、真ん中の事業戦略提携とあるカナダのマクダネルデットワイラーやヨーロッパのEADSアストリウム社には市場での分析のソフトや地上局、機動性の高いバスなどの検討を日本のメーカーと一緒になってやっていただいている。その他にも、世界における市場開拓が非常に重要なので、既に世界でそのような販売チャンネルを持っているカナダのレーダーサットインターナショナル、あるいはフランスのスポット・イマージュと協力して展開している。
あと、ハイパースペクトラルセンサが全世界的に注目されており、海外の研究機関で、NASA(ナサ)のハイペリオンと同じように研究目的でハイパースペクトラルセンサを打ち上げようという計画がある。
10ページの左下が、ドイツのDLRが調査しているEnMapというプログラム、それから、右側がカナダのCSAが計画しているHEROというプログラムである。これはどちらも分解能が大体25メートルから30メートルクラスの研究目的のハイパースペクトラルセンサのプログラムの名前である。これは、まだファンディングが十分ついていないが、ファンディングがつけば、2010年から2011年ぐらいに打ち上がる計画になっている。DLR、CSAとは既に話をしており、仮の名前ではあるがHyper−Xのような安全保障や防災に利用することができる分解能10メートルのマーケットと、HEROあるいはEnMapのような森林探査や農業などで比較的利用しやすい分解能30メートルクラスのマーケットは少し違うため、相互にデータを共有して補完し合おうというスキームを今働きかけており、協議中である。
このリモートセンシング衛星事業を産業化するに当たって、いろいろな形で既に国が培ってきた技術、ノウハウ、あるいは人材をできるだけ移転してほしいということ話をさせていただいているところである。まだ決定ではないが、提案しているアイデアは11ページの2つである。
1つ目は、先ほど安岡委員から話があったASTERというマルチスペクトラルセンサの後継的な位置づけとして、ハイパースペクトラルセンサを組み合わせ、これまでのマルチスペクトラルセンサの開発で培った技術などを転用していただいたり、あるいは新しいハイパースペクトラルセンサの開発に予算をつけていただけないかという提案をしている。
2つ目は、今年打ち上がるALOSに搭載されているPRISMという2.5メートル分解能のパンクロマティックセンサがある。この事業で計画しているパンクロマティックセンサも2.5メートルの分解能なので、ALOSのPRISMの後継として位置づけていただいて、PRISMのユーザーが、PRISMなき後も、Hyper−Xに搭載されているパンクロマティックセンサのデータを利用していただくというようなことが考えられないか、提案をしている。
それ以外にも12ページに書いているような民間にはないノウハウ、技術が国にはあるので、それを積極的に移転や利用させていただきたいという提案をしている。
例えば、周波数の登録に関しても、このパートナーの中に入っているJSATは放送通信の静止衛星の経験しかない。このような低軌道の周回衛星の全世界における周波数の登録ができるのは、実はJAXA(ジャクサ)しかいない。民間が1からそのノウハウを蓄積するのではなくて、国が持っているそのような資産を民間の事業に移転していただきたいという提案をしている。
今年6月を目途に、さらに増資をして事業会社に移行するのかどうかの判断をしようとしており、今最終的な事業計画の策定及び出資者を募るといった活動をしている。かなりチャレンジングではあるが、最終的に2009年6月には衛星を打ち上げて、遅くも2010年の頭には実際に商用データの配付を開始したいと考えている。
【住特別委員】 実際に衛星を打ち上げるための事業規模として、どれくらいの金額になるのか。
【島田株式会社ワールドスペクトラムマネージャー】 今どのぐらい総事業費としてかかるのかを精査しているところだが、大体300から350億円程度の事業資金が必要になるだろうと考えている。
【住特別委員】 それを全部民間から集めるのか。
【島田株式会社ワールドスペクトラムマネージャー】 民間から全部集めることができればそれに越したことはないが、見返りとなる売り上げがどこまで期待できるかにもよる。海外の商用衛星も国と民間とが資金を出し合って事業を成り立たせているので、できる範囲で国のほうにも資金的な援助をお願いしたいと考えている。
【住特別委員】 国から技術移転とか言われたが、そのようなものを無償で出していただきたいということか。
【島田株式会社ワールドスペクトラムマネージャー】 例えば周波数登録に関して、無償とは言わずに、JAXA(ジャクサ)とコンサルの契約を交わして、有償でお願いするということになるかと思う。海外のコンサルに頼むのよりは安い金額でやっていただきたいとは思っている。
【寶特別委員】 空間分解能は今の時点で2.5メートルとなっているが、5年後の提供になると、その倍ぐらいの1.25メートルやさらに高分解能という展開はないのか。
【島田株式会社ワールドスペクトラムマネージャー】 パンクロマティックセンサを搭載する理由としては、パンシャープンをかけて、ハイパースペクトラルの画像をより擬似的に細かく見るためである。技術的に大体ハイパースペトラルとパンクロの分解能が4対1ぐらいが非常にバランスがいいので、どうしてもパンクロの分解能がハイパースペクトラルの10メートル分解能に引っ張られてしまい、2.5メートルとなってしまう。 |
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議題(2)地球観測データの利用・提供システムについて
坂本室長から地球6−2−1について説明を行った。主な発言は以下のとおり。
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【青江部会長】 今の事務局側の説明に補足をさせていただきたい。地球6−2−1の1ページは、水循環分野におけるシステムの案である。これは小池委員と関係者が振興調整費も使いつつ、これまで相当時間をかけてつくり上げてきて、ほぼ完了に近づいている仕組みであり、実績がもうでてきている状態である。この一番のポイントは、今まではJAXA(ジャクサ)という衛星提供機関が0次から1次までの処理程度のことをやっていたものを、図の真ん中にあるデータ統合研究で、3次、4次という高次の処理をできるように、その仕組みを研究をして、ソフトウェアを開発してできるようにした。そして、それを中心に大規模な、アキュミュレーターの仕組みを東京大学に置いて、一括して提供し得るような体制を組んだ。このような特徴のある仕組みをつくり上げることにより、これまで議論していただいてきたようにデータの利用が大変重要であり、ユーザー研究者が真に使い得る形で提供できる。その仕組みを参考にして、気候変動など他の分野にも、同じような仕組みと、同じような物の考え方でつくり上げてみてはどうかということである。それに特に地上のデータや他国の衛星データをどう組み合わせていくかは、徐々に進めていくと考えているが、大体正しいという理解でよろしいか。
【小池特別委員】 まず、水循環に関しては、少し認識が違うように思っている。これは、世界気候研究計画、WCRPというプログラムの1つのプロジェクトであるCEOPという、全球でいろいろ協力しながら調整をして、データを集めて統合化していこうというプロジェクトがある。限られた観測サイトとモデルのデータは11カ国分入っているので結構多いが、それと衛星データ対象にして、しかもアウトプットを統合化するシステムをつくったにすぎない。
GEOSS対応になるとスケールが違う。これは、シンプルなプロトタイプがようやくできたところで、かつ、これはGEOSS対応の場合、入ってくるデータやモデルとの統合の複雑性の桁が違う。それから、GEOSSは、最終的にデシジョンメーキングに資するアウトプットを出すとされているが、これはまだ出ていない。特に社会経済データや社会的な要求と組み合わせるメカニズムをこれから開発していかないと、まだGEOSSに対応できるものはできていないと思う。データを集めるメカニズムの本当のプロトタイプができ上がったところだと思う。
【井口委員長】 10年ぐらい前からITS、インテリジェント・トランスポート・システムズをやろうと世界的に合意ができて進めており、最初にやったことは、システムアーキテクチャーをつくること。交通情報であれば、日本の場合には警察庁が道路交通情報センターをつくって、各信号機についている超音波センサーなどのデータを全部持っている。そのほかにも、道路交通情報をいろいろなところがとっており、そのような情報の提供側がある。それから、それを使う側、ステークホルダーと呼んでいたが、例えば、カーナビにVICSという混雑情報を出すためという使い方、個々の信号の制御をするという使い方、研究者が研究目的としての使い方など、あらゆる利用関係者がいる。そのようなことを全部把握してITSの言葉を使うと、どのような拠点があるかという物理的なロジカルレイヤーと論理的にどのように組み合わされるかというフィジカルレイヤーをまず標準化することで、すでにできているのではないかと思う。
また、それだけだと、勝手に上のシステムをつくっても使えるかどうかわからない。現実にはいろいろなユーザーがいるので、ユーザーのディマンドに合うようなものをボトムアップでつくっていきながら、両方一緒にうまく統合するような形のことをやろうとして、かなり進んでいるのではないかと思う。
全体を考えることは、少し時間もかかるし、大変だが、ITSの経験からすると、そのようなことをやる必要があるような気がする。
【小池特別委員】 ロジカルな部分、フィジカルな部分全体を俯瞰して、そこから設計していくストラテジーは、真っ当だと思う。ここ1、2年ぐらいGEOSSにかかわってきて、10年実施計画を立てて、これから実行していくことになっている。最初はWSSD、ヨハネスブルクサミットの2002年の議論から始まって、短時間でよくここまで来たと思う。その駆動源は、一言で言うと、政治家のリーダーシップが非常に強かったと思う。それは行政や研究者が後押ししたという面もあるが、例えばエビアンのG8での発言がなければここまで来なかったと思う。
そのようなことを考えると、10年待ってくれるのであれば、委員長が述べたとおりの形で進めるのがよろしいかと思う。しかし、今のGEOSSの非常に高いモーメンタムを維持しようとすると、プロトタイプをつくって、小さいながらでもいいからサクセスストーリーやこのような成果が出てきますということを明示して、次のステップへ上がるというようにして進めていかないと、途中でつぶれてしまうのではないかと思う。どうも10年は待ってくれそうには思えない。
【井口委員長】 ボトムアップの部分は、今小池委員が述べたように、個々の成功例をつくらないと、全体構造を幾ら議論しても進まない。だから、ボトムアップのことをやりながら、全体をどこかの組織で考えていく。それがうまく融合するようにやっていかないと、それぞれが非常に大きくなったときに標準化が別々で使えないようだと意味がない。
【小池特別委員】 まさにそのように進めるべきだと思う。この10年実施計画をつくるとき、日本国内の議論が世界で最も進んでいたと思う。文部科学省がつくった実施計画部会の中で、10月から2月末までずっと議論したのは、A System of Systemsをどのようににつくるか。そもそもA System of Systemsとは何か。どのような問題点があって、どのようなステップを踏んでつくったらいいかを議論し、1冊の報告書にまとめた。27人のいろいろな分野の専門家の方々から意見をいただき、議論をしながら、ある方向性は見出せたように思う。全体をどう進めていくかという議論の場がまず必要であり、それと同時に、プロトタイプをつくりながら、成功例を提示していく。そのような戦略を持つ必要があると思う。
そのような観点に立ったときに、今、提示いただいた案について、大きく2つ申し上げたい。
1つ目は、そこそこ使えるものをどのようにしてつくるかということ。つまり、例えば1ペタバイトのアーカイブシステムを購入して、どんと置けばできるわけではない。そのようなものを使うときは、今までの議論を整理しておく必要がある。例えばデシジョンメイキングに資するとか、地球観測の推進戦略の中にある利用ニーズ主導などは踏まえており、また、A System of Systems、すなわち観測間をどう統合化するかと、観測とモデルをどう統合化するのかまでは入っているが、もう一つのA System of Systemsの意味である異なる分野をどう統合化していくかが、GEOSSの非常に重要な視点である。今、このように水、炭素循環、災害とばらばらにそれぞれの分野でつくっていったほうがいいのか、アーカイブし、データを統合化し、情報を融合化する機能は1つのほうがいいのか。そこの大きな戦略は考えどころだと思う。国際基準のところでは、今、ISO19115で、このようなもののメタデータをつくるものは基準化されつつある。柴崎委員はISOの委員でもあり、地球6−2−1の2ページ目の水循環のシステムをつくるときに、このモデルやアウトプット、観測データをISO19115の基準をもとにつくっていただいた。これを逆にISOに返して、このような問題点があるというような議論を進めており、基準はある程度でき上がりつつあるが、それをインプリメントすることまで考えると、そのような部分が複数ばらばらにあったほうがいいのか、ある程度まとめたほうがいいのかという1つの戦略を考える必要がある。
また、10年実施計画の終わりごろには、数十ペタバイトにもなると考えられているデータを、アーカイブし、統合化していくのは、それそのものが最先端技術だと思う。これは、地球シミュレーターをつくってきたときとよく似ていて、その技術開発によって生まれてくる成果が大きく期待される分野である。違う点は、地球シミュレーターがハード寄りの開発要素が多いのに対して、これはどちらかというとソフト寄りの開発要素が多いところである。その最先端分野を分けてつくっていったほうがいいのか、ある程度集中しながらつくっていったほうがいいのか。これも、先ほどのA System of Systemsとは別の意味での戦略として考える必要がある。
そのような情報分野は日進月歩なので、箱物を先につくるのではなく、インクリメンタルにつくっていくことが不可欠である。最終形がどのようになるかを考えたとき、それは定常サービスができる形だと思う。ところが、これはほんとうに定常サービスというところがあるのかどうか。データが爆発的に増えて、GEOSSが本格的に動き出すと、いろいろな国のいろいろなセクターがこれにかかわってきて、多様性がますます増えるため、5年先には定常的なシステムとして運営できる段階にではなく、まだかなり開発的要素が多い段階だと思う。
2つ目は、ガバナンスである。水循環のプロジェクトであるCEOPが非常にうまくいっている一番大きな理由は、数値予報モデルのアーカイブは、ドイツのマックスプラン研究所が中心になってやってくれており、現地観測であるリファレンスサイトはアメリカのUCARが中心になってやってくれている。そして、衛星についてはJAXA(ジャクサ)と東京大学が中心になってやっている。要するに、ヨーロッパ、アメリカ、日本が分担しながらやっている。ただし、全体のデータは、東大のアーカイブシステムの中に入っているが、それぞれがインスティテューショナル・アイデンティティーをきちんと保ちながら、しかも、国際的に分業してやっている。
これに対して、第1回目の地球観測サミットがワシントンで開かれたとき、全データをNOAAが収集し、皆さんに全部提供するということで、NOAAがワシントン・サミットを企画したが、これはすごい反発を受けた。要するに、情報がある1つの国に集まることに対して、国際的に非常に高い危機感を持っている。ワシントンの第1回サミットの宣言文の中に、A System of Systemsという表現があり、ヨーロッパとアメリカで、1つのシステムをつくったほうがいいのか、複数のシステムがいいのかという大論争があって、そのときはA System or Systemsになった。最終的には、A System of Systemsで解決された。気候変動・温暖化分野などについても進めていくときに、いかに国際分業をやりながら進めていくかという戦略を持たないと、世界的に批判を受けることも考えられる。
以上、そこそこ使えるものをどう使えるかの戦略とガバナンスについて考えたところを述べさせていただいた。
【青江部会長】 そこそこ使えるものをインクリメンタルに徐々にというところからスタートさせること、水循環を1つとして、同様のやり方でつくっていくことと、それから委員長が述べた、大きなワンシステムのスタンダードとはどのように組み合わせていけばいいのか。初めからきちんとしたスタンダードとして、これだけ複雑かつ大きなシステムができるはずがないのではという気がする。
【小池特別委員】 これも10年実施計画を最終的に決めるとき、大論争になった。アメリカのIPTTのメンバーは、国際スタンダードをきちっとつくって、インターオペラビリティーを確保すれば、データは流れるので、アーキテクチャーはそこがあればいいと主張した。それは十分認めつつも、それだけでは物事が動かないと述べた。具体的に観測を協力して行う、観測データを統合化する、あるいは実際にデータを動かすとなると、何年かかるかわからないインターオペラビリティーで世界が合意するまでじっと待っているのか。ISO19115の基準ができるまで何年かけていくのか。それまでじっとその進行を見守っていればいいのかということを議論した。
最終的にGEOSS10年実施計画の第5章、アーキテクチャーの部分は、インターオペラビリティーの部分と観測の統合、データの融合という3つの大きなファクターが盛り込まれた。最終的にアメリカ側はそれを受け入れた。委員長の述べたように、両方のルートを持つということを戦略として進める必要があると思う。A System of Systemsについては、日本の中で大変いい議論ができており、これは今のところ世界で最も進んだ議論だと思うので、そのような先端性を十分強化しながら進めていけばいいのではないかと思う。
【井口委員長】 自動車の中での経験で言うと、自動車研究所がJNX、ジャパン・オートモティブ・ネットワーク・エクスチェンジというものを開発している。アメリカはANX、ヨーロッパはENX、韓国などはKNX。いろいろなコンピューター情報ネットワークが、日本は垂直統合と言われているように、縦の系列の産業構造に近かった。トヨタであれば、アイシン、デンソー、関東自動車、それらの下にも下請けがいて、そこは情報システムがつくられており、CADやCAMその他で自由に情報交換が行われている。日産は日産、ホンダはホンダ。それでは仕方がないので、ジャパン・オートモティブ・ネットワーク・エクスチェンジという、情報間の通訳をやって、統合することを行った。
要するに、そのような個々のものをまずつくって、拠点をしっかりして、その間のシステム・ネットワーク・エクスチェンジをつくることもあり得るのではないかとは思っている。
【小池特別委員】 そのような方法論もあると思う。例えば、地球6−2−1の案でいけば、水循環、災害、気候変動・温暖化をそれぞれつくり、その間のエクスチェンジのファンクションを後々開発していく戦略もあり得ると思う。あるいは、それにも類似しているのかもしないが、何か1つになると非常に危ういこともあるので、競争的に別の体制で進めることも1つのオプションとしてあり得ると思う。どのような戦略をとれば、GEOSSや我が国の地球観測推進戦略などの枠組み中で、うまくものが進むかを考える必要がある。水循環をやってきて、コアの部分をつくることに非常に苦労した。そのようなシステムのコアの部分は共有しながら、定常運用の情報の場合は、持っているところのアウトプットをそのシステムにつなげばいいだけとしたほうが多分いいだろう。
ただし、一番難しいのは、現場観測のデータである。ただ、それぞれ分野によって事情は違うが、特にin-situの場合は、それをどのようにうまくシステムにつなげていくかというのは大きな課題である。モデルのアウトプットや衛星、あるいは定常的なデータは、そのような問題はあまりないので、問題なのは、データの統合的なアーカイブとライフサイクル管理というようなところである。そうすると、むしろそこは中心機能を持たせて進めたほうが戦略的にはいいのではないかと思う。
【青江部会長】 それは、どこか中心となる機関が必要ではないか。
【小池特別委員】 そうである。しかし、これも難しくて、ただITの人がいればできるわけではないし、もちろん地球科学の分野だけではできない。数十テラバイトのところまでを視野に置いて、最先端のIT技術を入れながら、かつ、地球科学の分野と、農業、健康、ユーザーサイドなどが、うまく共同作業できる場が大事だと思う。そのようなところが中心になって、国内外のいろいろな機関と密接に連携し、単に出口と入り口をつなぐだけではなくて、インティテューショナルなアイデンティティーを保全し、それをきちんと認めていきながら進めるという戦略は不可欠である。それは国内においても同様なので、そのようなことがある程度実施できる場が必要だと思う。
【井上特別委員】 小池委員は水循環の分野でCEOP等々、いろいろな経験があり、そのようなデータ統合や国際的な連携という点でも非常に苦労され、今、ある種の到達点がGEOSSに反映して、これから具体的にどのようにしていくかという段階に入っていると思う。小池委員のコンセプトは、非常に魅力的であり、地球6−2−1の2ページにある気候変動・炭素循環分野も水循環と似たところがあるし、共通の基盤がある。炭素循環で、グローバルなデータセットというものが出てこなかったのは、ひとえに衛星観測がなかったというところに尽きる。GOSATやOCOのような衛星がでてくるようになって、グローバルな観測を考え始めて、どのようなデータシステムをつくろうか、また、従来のin-situの設定等をどのように統合しようかについて、まさに今議論を始めているところであり、水循環に比べると、何歩もおくれてようやく始まった。だが、そのような客観的な条件が熟していると思っている。
そのシステムは、既に先行している水循環のコンセプトに相当部分が重なっていくのではないか思う。もちろん特別な部分もあるので、そのような特殊なところはいろいろ議論しなければいけないし、ほんとうに同じところに乗せられるかどうかはまだ予断を許さないが、方向としてはそれでいいのではないかと思う。ただ、この資料には、気候変動と炭素循環が並べて書かれているが、これらは相当違っている。気象の観測は、似たようなもので既に動いている部分もあるが、気候変動は、気象のシステムが変化しているということと、もう一つ、影響がどのようにあらわれているかということで、炭素循環とはまた違ったデータがあり、まだ整理されていない状態で膨大なものがある。それをうまくデータベース化していかなくてはいけない未知の領域が控えているのではないかという気もする。この資料は非常によくできてはいるが、もう少しスライスしたほうがいいのではないかと思う。
そのような統合的に、ある程度共通基盤を持ってできているのは、おそらくGEOSSとしても、まだ発展段階が少しずつ違うところを考慮して、違う分野を重ねて、その間のインタラクションをうまくすれば、GEOSSの10年間でどこまでいくかはわからないが、そのような方向に動いていく期待は大いに持てると思っている。
【青江部会長】 分野の分け方については、水循環がすでにあったため、一つはこれをきちんとして、その他については、単に一つにしてまとめて書いたということか。
【坂本室長】 気候変動の中で、温暖化という課題を考えるときには、気候変動モデル、あるいは観測データは、いろいろなところで活用される。水の循環や植生の問題など、共通部分があるのではないかなと考えている。したがって、単に水循環ではないからまとめたというわけではなく、共通部分が多いのでまとめてみたらどうかということである。
【安岡特別委員】 去年4月の第2回地球観測サミットにおいて、日本がどこに重点化するかという議論をしたときには、気候変動・水循環、それから、温暖化・炭素循環というくくりだった。だから、この資料は、日本がこのような分野に重点化するという切り口とは違う切り口で、データシステムだけは意識的につくられるのかと思ったが、そうではないのか。
【坂本室長】 そのようなことではない。
【住特別委員】 このようなデータ利用システムができるのは非常にいいことだと思うが、IPCCの経験から言うと、どんどんデータシステムが高度化していき、同時に、データプロバイダーに対する要求が増えてくる。そうすると、データを出す側に対するリクワイアメントも相当大きくなってくるため、そのようなところも強化していかないと対応できなくなりつつある。だから、例えば数値予報は、気象庁がやっているが、これがいろいろな分野になってくると、今やっているだけでは不十分だから、データフォーマットはこうしてほしいといった注文が沢山くるようになる。それは衛星のデータも同じである。高次のアルゴリズムのバージョンが出たら、いろいろな要求が出てくるので、高度化にあわせて、データ利用システムだけをつくるのではなく、同時にデータプロデューサーの側の強化が必要だということを忘れないようにしていただきたい。
もう一つは、あまりにもデータ量が膨大で、使い切れなくなってきつつあるところも中にはある。だから、これだけのデータの中からいろいろなレベルでデータを使いやすくするために、いろいろなものをつくっておくところも相当強化しないと、膨大なデータに埋もれてわからなくなってしまう可能性がある。そのようなところもシステムをつくるときのアプリケーションとして大事だと思うので、強化していただければと思う。
【斎藤特別委員】 災害のほうに関して、地球6−2−1の3ページ左側に各国の防災機関という書き方をして、システムのアウトプットを出す先を防災機関に限定しているような気がするが、防災機関に限るという書き方はよくないし、アジア各国にちゃんとした防災機関があって対応するかというと、必ずしもそうではないと思う。災害の場合には、政府だけではなく、地方の行政機関や大学を初めとして、いろいろなところが災害に対応するので、衛星データを防災機関のみに流すという形ではなくて、衛星データを利用しているところ全部に配信する。ボトムアップでいろいろなユーザーが日常的に衛星データを使い続け、実際に災害があったとき、災害対応の仕事をするという仕組みにするべきではないかと思う。だから、災害が起きた場合は、地域全体として対応すると思うので、その辺の仕組みをうまくつくってほしいと思う。
【寶特別委員】 災害に関して、3ページ、4ページに準リアルタイムという言葉が使用されている。リアルタイムで配信しにくいかもしれないから、「準」というのをつけたのだと思うが、少し腰が引けている感じがする。やはり、リアルタイムで情報が出てくるのが理想である。
それと、予測情報が欲しい。ここには、予報モデルや予測などの言葉が全然ないので、フォアキャスト、それから、災害が起こっているときのナウキャストの両方の情報が必要である。だから、早期警戒システムということからすると、日々の定常的な観測に加えて、予測情報も出していく。それから、有事になりかけのとき、あるいは有事のときにはどんどん予測情報がリアルタイムで配信される。災害の生起の最中にはナウキャスト情報がどんどん出てくる。衛星でどうしても見れない部分は、必要であれば、飛行機を飛ばしたり、ヘリコプターを飛ばしたり、ほかのシステムとの現場でのやりとりももっと盛り込んでいく必要があるのではないかと思っている。
【安岡特別委員】 この地球6−2−1に書かれているシステムは、1次バージョンとしては問題ないと思う。しかし、一つ一つの箱をこれから実現していくとき、例えば真ん中の列は研究ということで項目がくくられていて、一番右はデータアーカイブシステムであり、そのシステムに入ってくるのはデータなので、研究というのがこの箱の同じような並びに来るわけではなくて、研究した結果が何らかの形のシステムに実現されて、それがデータアーカイブシステムとつながらなければいけない。つまり、これを一つ一つ、実行し始めようとしたときには、箱の性質が全然違っているので、何をやるかが全然違う。それを十分意識した図をもう一枚かいておかれたほうがいいのではないかと思う。
【青江部会長】 ただし、現段階で見れば、まずは研究というプロセスが先行して、きちんとしたものがつくり上げて、ここの箱の例えば統合データアーカイブ技術の研究で一定のアウトプットが出てこないと、結果としてのシステムはでき上がらないのではないか。
【安岡特別委員】 それは構わないが研究の結果として何ができるかが明記されていないと、システムとしてつながらない。つまり、例えばデータアーカイブシステムという箱の絵があるとすると、そこにはそれぞれのイメージがあって、それを実現するための研究を進めなくてはいけないという形にならないといけない。
少し気になるのは、利用研究の結果としてどのようなものがここに来るかという実際の箱のイメージができ上がっていないのではないかと思う。それがないとものやシステムがつくれない。それぞれのブロックではできている分もある。つまり、衛星もあるし、データ観測システムもあるし、モデルもある。一番重要なのはつなぐことである。エンド・トゥ・エンドのフローをともかく幾つかの部分でつくってみる。先ほど小池委員が述べたステップ・バイ・ステップは、多分そのような意味で言われているだろうし、委員長が述べた全体のイメージをつくりなさいというのも、そのようなことだろうと思うが、何を研究して、何をアウトプットとして出して、それをどうつなげるかという絵をつくっておかなければいけないような気がする。
【大倉特別委員】 4ページ目の災害に関して、ここで研究機関と各国の防災機関が分かれているが、お互いをオーバーラップしておいていただきたい。それは日本だけで研究できるものではない。具体的な例として、洪水でも、日本では都市に集中豪雨が降った場合、地下街が水につかって、死者が出るようなことがある。仮に東南アジアの地方都市のようなところでは、毎年3ヶ月、洪水でひざまでつかるため、寝台があって、高いところにテレビが置いてあって、もしテレビがつかるぐらいになると、災害になると思う。そのように災害は各国の社会状況と風土によって違うので、災害の研究をするときには、各国の人も入れて、各国の状況がわかるような形で、例えば国際的なセンターをつくって、各国の事情を聴取しながら、うまく機能するようにしていただきたい。
【寶委員】 4ページの災害について、上から2行目のステップ2のところで、災害解析研究のための利用提供システムへの拡張とあるが、このフェーズになると、災害軽減、防災、解析、研究などのために提供するのではなくて、実際に被害を軽減するためにデータを提供するのではないだろうかと思う。ここでは地球観測データ利用・提供システムは、研究目的、あるいは解析目的でまとめているのか。
【坂本室長】 そうではない。
【寶委員】 そうすると、ステップ2で、災害解析、研究のための情報提供システムというのは、実際の目的と違うのではないかと思う。
【JAXA(ジャクサ)(松浦主任開発部員)】 少し補足させていただきたい。確かに寶委員の指摘のとおりで、目的としては災害の軽減まで至っていない。先ほどの準リアルタイムに対し、さらにデータ蓄積、それからバリューアデッドをして、高度にするといったことに主眼を置いたものであるため、書き方として解析研究のためのという言い方になっている。当然ながら、結果は、豪雨の予報にさらに精度をよくするとか、ハザードマップづくりに応用できるとか、災害の軽減に役立てるというところが少し抜けているが、趣旨はそのとおりである。
【本多特別委員】 水循環、気候変動・炭素循環の分野にあるアーカイブシステムやデータアーカイブ技術の研究というのは非常に立派だと思う。ただし、5年もたせるのが大変である。つまり、最先端の機械を入れても、5年たったら、もうつくっていないという場合や、テープ媒体にためていると劣化して読めないということがある。ここで議論されているようなデータアーカイブシステムのデータはおそらく過去の二、三十年のデータ、これから将来数十年のデータ、あるいは百年先のデータまでずっと健全に保てないといけないことが考えられる。そのような方策をとるためには、アメリカのNASA(ナサ)とかNOAAの人たちが今どういうことをやっているかというと、おそらく、データポリシーを非常にオープンにして、データを配っている。この一塊のデータをキープすると言うと、非常に安価で、ほとんど無料に近い値段で送ってくる。そのかわりに、大もとのデータアーカイブが故障した、あるいはテープ媒体が壊れたというときに、何年何月何日から何日のデータを送ったが現に健全であるか、という問い合わせが来て、持っている場合は返す。そのようにして、長期にわたるデータを完全な形で担保をつくるような仕組みをつくっているようである。このデータアーカイブシステム自体は立派なシステムになると思うが、データポリシーを合わせたような担保をつくっていただくと、ユーザーの拡大にもつながると思う。
【淡路特別委員】 資料の1枚目と2枚目は各分野における、異なった分野のデータ利用・提供システムの構築になっているが、基本的にはデータの加工、統合化のための研究システムであり、提供システムにはなっていないのではないか。
【坂本室長】 確かに、研究という部分が非常に強調されているのは事実である。したがって、ユーザー側のニーズとシステムがどのようにつながるのか、あるいは、ユーザーのニーズに対応するようなシステムをどのようにしてつくっていくのか、具体論をはっきり書いてない。そこは事実であるが、意識としては、そこをきちんとつくらないといけないということも考えており、研究にだけ絞って議論しているわけではない。
【淡路特別委員】 1つ提案だが、1枚目も2枚目も基本的な内容は、統合化する、加工する、そのためのシステムの技術開発と同じだと思う。3番目、4番目は、どのように配信していくのかも含めたデータの提供システムである。そのとき、例えばリアルタイム、準リアルタイム、予測情報などの異なる内容をどのような形で提供していくのかも考えていただきたい。
【JAXA(ジャクサ)(松浦主任開発部員)】 先ほど小池委員の提案で、まずそこそこ使えるものをどのようにしてつくるかという話が最初にあったが、今回提案しているシステムは、まずプロトタイプを目指している。だから、10年後の話ではなくて、数年後には実現できるだろうということを念頭に置いているので、研究といった言葉が強調されており、オペレーショナルに提供するにはどのようにすればいいかかというところまでは、あえて書いていない。どこかキーとなるプレイヤーやデータセンターが決まって、初めてそのようなシステムづくりという形になるだろうと考えている。そこに行き着くための道筋という意味でプロトタイプ的に書いているので、システムというのとうまく合致していない内容になっていると思うが、趣旨はそのようなことである。 |
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議題(2)地球観測データの利用・提供システムについて
JAXA(ジャクサ)福田プログラム推進室長から地球6−2−2について説明を行った。
主な発言は以下のとおり。
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【安岡特別委員】 2ページ目に地球科学研究を目的としたデータの提供に対してはオンライン受注受け付けサービスをするということが書かれているが、それ以外のほうが中心だと思っている。商業価値の高いデータを一般の方々が買われるときには、オンライン注文は受け付けないような印象を受けるが、ユーザーが逆ではないか。
【JAXA(ジャクサ)(福田プログラム推進室長)】 一般の方は提供機関からの提供になり、JAXA(ジャクサ)が直接受けるということではないので、そちらのサービスとして展開される。
【寶特別委員】 1ページ目に提供する相手として、1番目に研究関連のユーザ、2番に不特定多数の利用者としているが、もう一つ緊急時利用者として、災害時など、どうしても衛星の情報が必要な状況のときにも提供するという3つ目のカテゴリーをつくっておかれたらどうかと思う。
【JAXA(ジャクサ)(福田プログラム推進室長)】 災害時の利用についは、別カテゴリーを内部でも考えている。また、国際的にも災害チャーターという枠組みがあり、ALOSのデータをそこに流すことを考えている。
【斎藤特別委員】 地球科学研究に限られていると、農業などの研究はだめだということになるが、地方公共団体でやっている研究機関などにもぜひ幅広に考えて、地球科学の研究という言葉はとっていただきたいと思う。
【JAXA(ジャクサ)(福田プログラム推進室長)】 説明上このような書き方にしているが、現在、考えているのは、データそのもので区分しようと思っている。具体的には、ADEOS− の9カ月分のデータ、TRMMの降雨レーダーのデータ、AquaのAMSR−Eのデータに関しては、カテゴリー1として拡大していきたいと思っている。ただし、次に打上げられるALOSに関しては、商業活動との兼ね合いがあるので、そことうまくシェアを考えながらやらなくてはいけないと思っている。
【斎藤特別委員】 多くの研究者は、研究費があまりない状態で研究をしており、その人たちに対してデータを出して、利用方法の開発や多くの利用例を提示してもらうことが利用拡大の基本的方法なので、研究者や実利用に結びつけるための仕事をしている人にデータを無償提供していくことが利用拡大の第一歩だと思う。
【稲垣特別委員】 1ページ目の2番目の商業利用のところに、できる限り安価にと書いているが、このようなところは適正価格でといった表現にしたほうがいいのではないかと思う。
【青江部会長】 1ページ目のカテゴリ分けについて、学問分野で分けるのではなく、先ほど話があった学術研究とそれ以外という分け方というのはおかしいか。
【JAXA(ジャクサ)(福田プログラム推進室長)】 どこまで学術研究かという判断が難しいのと、歴史的な経緯もあって、少なくともJAXA(ジャクサ)の考え方としては、JAXA(ジャクサ)本来目的に合致する場合に少なくとも安価、実質無償の提供を正当化している。当然、その中には、地球科学、あるいは地球観測の推進というのは含まれているので、少なくともその範囲はカテゴリー1にしようと考えている。 |
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議題(3)その他 |