H− Aロケット7号機による運輸多目的衛星新1号(MTSAT−1R)の打上げに係る安全対策について
「安全2−1−2」について宇宙政策課水藤補佐から説明を行い、了承された。
主な発言は以下の通り。
【宮本特別委員】 落下地点の図を出していただき感謝する。細かい点と、ヒューマンエラーについて話を聞かせていただきたい。以前の委員会でも、人間工学的な配慮がどうなのかという話があった。例えば、9ページの安全管理体制の中程に、すべての安全上の問題は射場安全主任等に報告され処置されているとあるが、どのレベルまで報告がいっているのか。
例えば、事故は今まで起きてないのはもちろんわかっているが、その下のインシデントや「ヒヤリハット」のレベルまで全部いっているのかどうか。今までなかったならなかったで結構であるが、実際にどの程度のところまで出来ているか。
【松尾部会長】 今日、補足説明で出していただいたものの追加版のようなイメージ、あるいは、もう少し詳細なものか。
【宮本特別委員】 簡単で結構。多分宇宙開発委員会には報告されていると思うが、我々の委員会ではわからない。インシデントが幾つかあってアクシデントであると言われる。そこの芽を摘む意味でも、ほとんどなかったでも結構であるし、もし具体的に数値が出せるなら、少し数値を出していただければ助かる。
【福島室長】 資料を整理していないのだが、まず発射整備作業のY−4以前の話であるが、これはその時点でのすべての審査を行う。整備作業は1カ月以上にわたるわけだが、そこで生じた諸々の安全上の問題については、「ヒヤリハット」も含めて報告され、その時点で打上げ実施責任者の方にすべて上がるようになっている。
それから、タイムスケジュール、特に当日の問題であるが、時間的余裕がある場合には打上げ実施責任者に報告されて指示を仰ぐことになっているが、緊急時で指示が仰げない場合には、射場安全主任、破壊の場合は飛行安全主任等へ緊急の停止のような処置権限は移譲されている。打上げ実施責任者に報告された後処理をするのが基本であるが、時間的余裕がないときはこの各主任のレベルで作業の中止、打上げ中止、諸々の緊急的な措置ができるようになっている。実績としては、先ほどあったように、警戒区域に船が入った場合などが過去あった。それ以外の項目については、私の記憶ではないと思うが、確認して後日回答する。
【特手課長】 「ヒヤリハット」も含めた小さい事故、隊員が交通事故等を起こしたというような場合も、すべて緊急連絡網を使って実施責任者に上げるような体制を作っている。
【福島室長】 過去6回の打上げを行ったわけだが、その各打上げ時の各号機対応でどういう事例があったかというのは、安全上・交通事故も含めて、整理はできると思う。
【松尾部会長】 場合によっては、スタティスティクスを委員の先生方にお送りできればと思う。オーバーオールには、出していただいた資料でよろしいと思う。中身について、そのスタティスティクスをできるものならお配りしたいということでよろしいか。
【福島室長】 結構。大至急整理して御報告する。
【井口委員長】 補足したいのだが、打上げ時間・時期を遅らせなければいけないような重大な打上げ前のトラブルについては、措置についても含めて宇宙開発委員会でおそらく全部報告されていると思う。記録を見ないとわからないが、私の記憶ではほとんどすべてだと思う。
【福島室長】 はい。
【松尾部会長】 その辺りの細かさも含めて、判断させていただきたい。
【福島室長】 どこのレベルまで整理するかというのを御相談させていただきたい。
【松尾部会長】 承知した。
それから、一番クリティカルなのはやはり飛行保安で、打ち上げてしばらくの間いろいろシミュレーションをやられると思う。今回の6号機のケースは、それにしては少し楽なオペレーションかなと思わないでもないが、シミュレーションの中に入っていたのか。
【高塚部長】 SRB−Aが実際に分離しないケースはやっていたが、今回の失敗のように、分離したという信号が出たにもかかわらず実態的には分離していないという複雑なケースは、残念ながら入っていなかった。
【松尾部会長】 出来高として、いかなる状態でもきちんと対応できればそれでよいと思う。今回のケースは、時間としては少し遅い状況。我々が一番必死になるのは、打上げた瞬間、数秒あるいは数十秒の間であるから、そういう意味では、判断する人はもちろん楽ではないわけだが、飛行保安からいうと楽な状況だったのかもしれないという気がする。
【馬嶋特別委員】 前何回かの安全部会でも話がされ、井口委員長から先ほど機密保持のような話が出た。今までは問題がなかったので今回もないだろうと予測されるが、一応念のため確認したい。 .のところ、1ページの「保安及び防御対策」というところで、「保安及び防御対策については、適切な対策が講じられている」となっているが、我々はどのレベルかというのは判断ができない。もう一つ、今までと同じで多分間違いがないと思うが、警戒員と警備員と2つあり、おそらく警戒区域のところでやるのが警戒員、ロケットその他のところは警備員となっていると思うのだが、この辺の連携はどうなっているのか。また、これは昨今またいろいろな問題が起きてきているが、どういう対策ができるかというレベルがあると思うのだが、この文章や中身からはちょっと読めないと思う。その辺りはいかがか。
【松尾部会長】 この下敷きは1回目のときに出ている安全対策という冊子である。今手元にないのであるが、あの中に、例えばこの .に該当するところはどういう対策がとられているかということが具体的に書かれているはずである。
【水藤補佐】 保安・防御については、前回の地上安全計画の7.6項「射場の保安及び防御対策」で記述されている。保安・防御に対しては、通常の一般のロケットの打上げに関する保安及び防御対策がこの場の対象であり、前号機及び前々号機に非公開で実施したが、情報収集衛星に係るような固有のミッションに係るセキュリティについてはそこの関係の機関で実施してもらうということで、この部会の対象外として審議をさせていただいている。
そういう観点から、射場の保安・防御ということで、それぞれ保安物の取扱いの施設や貯蔵所について、フェンスの設置や防犯の警報装置による常時監視、さらには警備員による巡視、関係者以外の人間が立ち入れないような入退場システムの整備、ネットワークについては許可されたもの以外のアクセスができないような対策を講じるなど、外からの保安という一般的な保安について対策を講じているということをもって報告書を作成している。
【松尾部会長】 前回、この地上安全と飛行安全、両方フルセットでお配りした。ここのところをすべて御説明しなかったのはこちらの手落ちであるが、変更部分という形で重点的にお話しした。そこの記述がお耳に入っていなかったかと思う。ここで対策されているというときには、下敷きにはそれがあると御理解いただきたい。
それから、今の警戒員と警備員のお話だったか、その辺についてご説明いただきたい。
【特手課長】 おっしゃられたように、基本的には警備員はセキュリティの確保の上での警戒を行う者、警戒員は整備作業期間中を含めた各作業フェーズごとの警戒区域を設定した場合の安全確保を行う者、ということで区別している。
連携の話であるが、総合防災監視所は日常的な警備の拠点にもなっており、打上げの当日は射場安全主任の作業場所にもなるが、いろいろな情報が総合防災監視所に集約されていることから、実際の安全にかかわる拠点というか、本部も総合防災監視所に置くことにしている。陸上警戒、海上警戒、一部上空も入るが、それらの警戒に関する射場安全主任の所掌と、警備に関する所掌、警備主任の所掌、それが同一の場所で実施可能なように、何かあればお互いにすぐ連携がとれる体制をとっている。
【松尾部会長】 以上の説明でよろしいか。
【佐藤特別委員】 4ページ、3.の「航空機及び船舶に対する事前通報」の1つ前のフレーズだが、「より現実的な条件を検討することが望まれる」とある。ほかの部分は全部「何々されている」という肯定的な文末で終わっているのにここだけ「望まれる」ということになっているが、これはどういう位置づけになっているのか。
【水藤補佐】 H− A3号機のころの安全部会だと思うが、この推進薬のガス拡散の予測範囲の計算が議論の対象になっていた。
現在はこの報告書にあるように、推薬タンクが地上に落下して、全量が燃焼しないで蒸発するというような最悪条件を予測しているが、現実的には違った条件、もう少し緩和されたような条件ではないかという意見があり、今後、その研究等を通じて、より現実的な条件を検討した方がよかろうという議論があった。それについて現在、JAXA(ジャクサ)の方で研究等を実施しているということなので、ここは過去を引きずって、忘れないように残しているという状況である。
【松尾部会長】 ここのところだけ異質なことになっており、これは3号機のときに御指摘をいただいたのだが、ぱっとけりがつがず、まだ検討をいろいろやっている最中。それで、安全部会としても忘れてないよということをここで書いたということ。
簡単なことだが、7ページの飛行中断のときの、落下限界線の括弧の中の説明が、いかにもわかりにくい。「安全の確保のために設定するロケット」、せめて「設定する」の後にカンマでもあればまだましなのかなと思うし、カンマぐらいあっただけではとてもだめかなとも思える。ここは私の方で書きかえさせていただく。
【水藤補佐】 了解した。
【松尾部会長】 要するに、刻々今やめるとどこへ落ちるかという線を、ロケットはいつも引きずりながら飛んでいるわけである。それは、落ちる場所が安全なところにある限りは何もしなくていい、ただし、それが妙なところに来たら、そこで切らなきゃいけない、その切るための境目の線であるが、この説明では読み切れないと思う。ここはそういった趣旨で書き直させていただく。
【井口委員長】 8ページの上から2つ目のブロックに「また、落下予測点が陸地にかかる場合には」とあるが、今回は正常飛行では陸地にはかからないのか。
【高塚部長】 打ち上げてからほぼ地球半周するまでは、どうしても軌道に落下点が出てくる。そうすると、地球を半周しちょうど地球の裏側にいく軌道投入直前には、やはり南米大陸上空を通過するということになる。
【井口委員長】 正常でもそうか。
【高塚部長】 その通り。
【松尾部会長】 正常でという言い方は非常にミスリーディングで、正常のときに今やめたらどこに落ちるかというのが、落下予測点になる。正常ならば地球の周りを回るわけであるから、そこに落ちるわけではない。ここで言っているのは、正常に飛んでるにもかかわらず、そこで飛行を中断したらどこに落ちるかという落下点。
【雛田特別委員】 多分、ゲートのこと。
【松尾部会長】 ゲートのことを意識しているのだと思う。
【雛田特別委員】 それはここに書いたようなものと別枠にしておいた方がいいのではないかと思う。要するに、最後の南米通過とか、オーストラリア上空通過のときは、ゲートを設けて通しているわけである。だから、はたから見れば正常、うちでよく見れば正常じゃないかもしれないという状況が生じる場合は、ゲートの運用をやりますということ。どういう言葉がいいかは別にして、今のお答えだと飛んでいる方向に落下限界線があるということになってしまう。
【松尾部会長】 ここのところは表現を考えさせていただきたい。今のところも、上から3行目に「ロケットの飛行中断機能が喪失する可能性が生じ」とあるが、それを引きずった落下予想域になっている。そうではなく、本当は正常な場合には行かないわけなので、何か書き方を考えさせていただく。
【中村特別委員】 今の8ページの下から6行目だが、「指令破壊用火工品の誤作動を防止する処置がとられて」とある。誤作動を防止する処置は最初からとってあるのではと思うのだが、これは作動を停止するのか、それとも、本当に誤作動を防止するのか。
【福島室長】 これは、2段の機体が軌道に投入された後の話であるが、その後放置しておくとバッテリがどんどん放電して電圧が下がり、エレキが論理回路を間違えて、破壊用の火工品の作動という誤信号が出る可能性がある。そのため、軌道に投入した後、2段のこの辺の火工品については回路を断にする、オフにするという処置をとっている、ということをここで表わしている。
【中村特別委員】 作動をしないようにするということか。
【福島室長】 この回路をオフにするということにしている。
【中村特別委員】 なら、そう書かれていいのではないかと思う。
【松尾部会長】 前の限定は非常にはっきりしている。
【高塚部長】 あとは、例えば、やはり火工品がついているため、真空中をずっと飛行しているとき、熱である温度以上になると自己着火して発火してしまうので、いろいろ断熱対策なども合わせて行っているということもある。
【松尾部会長】 ただ、今の御指摘は、ミッション終了後に作動しないようにという趣旨。前のところはミッション終了後にという言葉があるので、後ろを誤作動にする必要は必ずしもないような気がする。
【中村特別委員】 何か誤作動と書かれると、じゃあ、何かのときには、もう一回作動をかけることができるのかなと読める。当然完全に停止させているわけであり、またそれをデブリにするということなら、何も「誤作動防止」と書かなくてもいいのではないのかと思う。
【水藤補佐】 「誤」を削除して、「作動しないように」とさせていただく。
【雛田特別委員】 図−4のところの警戒区域であるが、これは本文のところに「運用上のため」とかいうような文句が書いてあって設定されたと思う。また、この長方形の警戒区域は、運用上のためも含めて四角くしてあると思う。この動きについて異存はないが、これがもっと足の長いロケットのSRBとなると、70キロとか80キロとかということになる。その場合、商業打上げでこのエリアをクローズすると、ちょうど漁船が通るエリアになっているので、国がやっているときはいいが、商業的な話だと、そんなに長く止めてもらっては困るとかいう話が出てくると思う。運用上のためのつなぎの部分がありますよというところが文中に書いてあったような気がするが、何ページだったか。
【福島室長】 2−1の資料の6,7ページあたり。5ページがわかりやすいと思う。種子島近傍はこの7ページの図−1(3/3)。
【雛田特別委員】 了解した。申し上げたかったのは、実態としてはそこにすき間があり得ると思うのだが、運用上1つの区域にしているところが遠くになったとき、長いことホールドすることになる。これはこの号機のみで適応するものであり、将来途切れるようなことも起こった時は、もともとすき間があるべきものを運用上つないでいたためであると明記されるのか。毎号機ごとに明記すればいいと思う。
これは昔から微妙な問題であった。頻繁に打つわけではないので、幾らでもとればいいんだという御意見の人もいた。
【高塚部長】 多分、ロケットごとに落下物も違うと思うので、ロケットによってはあえて1つに合体させないで2つに分けるなら分けて設定するということも出てくるのかなとは思う。今のH− Aでは、必ずしも2つに分ける必要性はないような状況になっている。
【雛田特別委員】 それは落下確率を計算して分ける必要がないとなっているのではないか。
【高塚部長】 その通り。
【雛田特別委員】 だから、将来信頼性が上がって落下確率のレベルが下がってくれば、やらなくてもいいという話になるのでは。
【高塚部長】 そうなると思う。また状況が変われば、いろいろと落下警戒域の設定の仕方もそれに従って変わってくると思う。
【松尾部会長】 今後ともここの部分は連続的に書くのだということさえ書かれていなければいいのだと思う。この号機に固有のことだと。そういう記述はどこにもないように見える。
【雛田特別委員】 運用上こうしてありますというところが、何か言葉があればいいと思う。
【松尾部会長】 もっといいかもしれない。
【青江委員】 便宜、こうやった方が今回はすっきりするからこうやっています、という趣旨のことがあればよい。そうしてあれば将来変な禍根を残さない。
【雛田特別委員】 そう思う。
【松尾部会長】 今号機、7号機が、本当に便宜なのかどうかというのは、少しすき間がありそうな気がしている。その辺はどうか。
【高塚部長】 7号機の場合は、この一番断面で長い方向が、ほとんど船舶への落下密度で決まっている。密度の方で一つの領域の長さ方向の距離はほとんど決まってしまうので、それを2つに分けるということは現実的にはあり得ないと思っている。
【松尾部会長】 それについては、今回は、ここは連続的にしますというような将来を規定するような記述がないということでよろしいかと思う。ただ、今日こういう議論があって、注意事項があったということは議事録にとどめておくことにしたい。雛田先生、それでよろしいか。
【雛田特別委員】 了解した。
【松尾部会長】 それでは、ほぼ御意見も出尽くしたかと思うが、ロケットによる人工衛星打ち上げに係る安全評価基準に則り、適切な安全対策が講じられていると判断して、本報告書案について御了承いただけたと思ってよろしいか。若干、御指摘の点もあったが、字句修正も含め、これは部会長の方に御一任をいただければ大変ありがたい。
それでは、「7号機の打上げに係る安全対策」に関する審議については、以上をもって終了させていただきたい。なお、審議結果の概要については、後日、宇宙開発委員会にて報告させていただく。
本日の審議をもって、安全部会の審議は終了となる。この報告書のとりまとめに当たり、貴重な御助言や御尽力をいただいたことに感謝申し上げたい。
【須田課長】 年末のお忙しい中御審議いただき感謝申し上げたい。この審議を踏まえ、今後、H− A7号機打上げの準備に入る。順調にいけば、引き続き来年も幾つかの安全審査をお願いすることになるので、よろしくお願い申し上げたい。
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