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宇宙開発委員会

2002/05/10議事録
第18回宇宙開発委員会議事録

第18回宇宙開発委員会  議事録

1. 日  時   平成14年5月10日(金)10:00〜11:05

2. 場  所   文部科学省第5・第6会議室(文部科学省別館  10階)

3. 議  題
(1)   今後のロケット戦略について
(2) その他

4. 資  料
配布資料   「今後のロケット開発の進め方について」論点の取りまとめ(案)
委18-1 標準型以降のH−2Aロケット開発の在り方
委18-2 第17回宇宙開発委員会議事要旨(案)

5. 出席者
宇宙開発委員会委員長    井  口  雅  一
宇宙開発委員会委員 川  崎  雅  弘
栗  木  恭  一
五  代  富  文
   
(株)JSAT取締役会長 森  本  哲  夫
日本ロケット協会理事 枡  谷  利  男
宇宙開発事業団理事 三  戸      宰
   
文部科学省大臣官房審議官 素  川  富  司
    〃    研究開発局宇宙政策課長 芝  田  政  之
    〃    研究開発局宇宙開発利用課長 大  塚  洋一郎


6.議事内容

【井口委員長】  それでは、定刻になりましたので、第18回の宇宙開発委員会を開始いたします。
  今日は、森本さんと、ちょっと遅れておられますが、桝谷さんに有識者として御出席いただいております。ありがとうございます。
  それでは、最初の議題、「今後のロケット戦略について」、標準型以降のH−2Aロケット開発の在り方につきまして、まず、宇宙開発事業団の三戸さんに、資料に基づいて御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

【三戸宇宙開発事業団理事】  それでは、この委18−1の資料に基づきまして御説明いたします。
  では、表紙をめくっていただきまして、1ページ目ですけれども、これまでの議論は、標準型H−2Aロケットについていろいろ議論させていただきました。かいつまんで言いますと、H−2Aロケットというのは我が国の基幹ロケットであり、今後、信頼性を向上して、基幹ロケットとしての技術を成熟していくことが重要であると。それと、適切な時期に打上げ事業としての民営化をすることが望ましいというようなことが議論されてきております。
  次の2ページ目ですが、「標準型H−2Aロケットのラインナップ」ということで、ここに四つのロケットの絵がかかれております。従来、標準型と言っていたのは左から三つ目までで、前回の審議において、一番右側の204というタイプのロケットを標準型の一つに加えております。この表の中にありますように、それぞれのロケットについては、これらの衛星を打ち上げる予定になっております。
  次のページですが、これまで計画しております増強型につきましては、この3ページの右側の絵でございます。標準型から液体ロケットブースタを一つつけ加えたコンフィギュレーションになっておりまして、この増強型の開発の目的といたしましては、宇宙ステーションへの補給ミッションへの対応、HTVです。それから、多様な衛星需要への対応といったことを目的に開発をしてきております。
  次のページですが、現在までの開発の状況ですが、これ、平成8年に、増強型は標準型と同時に開発を着手しております。しかし、H−2ロケット8号機の失敗がありまして、開発を標準型に特化していくべしということで、増強型については現在、開発を凍結している状態になっておりまして、現在までの開発状況は、(3)にありますように、開発完了しておりますのが一部の構造系及び電気系ということで、未完了は液体ロケットブースタでございます。
  今回、従来の増強型について見直しをかける必要があるということでありまして、その条件といたしまして、まず一つは、宇宙ステーション補給ミッションへの対応につきまして、HTVの重量等が、当初予定していたものよりも若干重くなっているということで、従来型の増強型では若干対応が苦しくなっているということ。
  それから、やはり世界の輸送系のコストが下がっておりまして、当初計画したとおりではやはりコスト的に厳しい状況にあるということ等が挙げられております。
  次のページです。これは、従来型の増強型と、もし見直した場合の一例として、あくまでもこれは一例でございますが、1段を5メートルファイにした、そして、エンジンを2基つけたロケットをちょっと一例としてここに挙げてあります。
  もし、この例でいきますと、打上げ能力につきまして、HTV対応でいきますと、従来の増強型では15トンのところを16トン。打上げ能力を1トン上げることができるということで、HTV対応だけを考えますと、この拡張型の案で一応インターフェースはとれると見込んでおります。
  次のページです。ちょっと最後に書いてあるんですけれども、要するに結論としては、今後1年間かけて、増強型については検討していくわけですけれども、その検討の前提といたしましては、やはり国際宇宙ステーション、HTVへの対応をどうするかということが一つあります。(3)ですが、今仮に10年の運用を想定した場合、約70トンの物資の輸送が必要と考えられています。その場合、H−2Aの標準型ですと、約23機打たなきゃいけない。現行の増強型ですと14機。拡張型ですと12機ということで、これらはほとんど比例的にコストに来ております。
  それから、検討の前提としましては、やはり他の大型衛星の対応をどうすべきかということも重要かと思います。
  さらに、打上げコストのさらなる低減について、民営化を前提といたします場合、これも重要な課題となっております。
  次のページ。今後の検討方針ですが、先ほど言いましたように、今後1年かけて増強型はどうあるべきかを検討していきたいと思います。それについては、1、2、3にありますようなことを念頭に置きまして検討していくわけですけれども、特に、2の我が国のロケット開発技術力の維持・発展をどのようにしていけばそのようなことができるかということを十分に留意しなければいけないということ。
  それから、3の「民間の自主性を重視した開発方式」。これはいろいろ解釈がございますが、一つの解釈としましては、従来NASDAは、NASDAインテグレーター方式で、各民間の方々にいろいろと仕事を分担してお願いしておりましたのを、場合によっては、プライム方式にして、ある民間の1社が民主導的にまとめるという解釈です。
  また、もう一つは、従来NASDAは、計画段階においては、ほとんどNASDAが全部やっていた。それで、メーカーは設計・製造をやっていた。それはやはり民間が、将来自分のロケットになる、要するに、民営化するということではあり、将来自分のロケットになるわけですから、そうすると、計画段階からやはり、民も入って、民営化を見据えてやっていくということも重要かと思います。
  ただ、そうはいっても、民に全部任せるというわけにいきません。やはり国の安全保障上の問題としては、どうしても国が主導的にやらなきゃいけない面もありますので、そこは官と民が適切に分担してやっていく必要があるかなと思います。
  最後、「今後予想されるロケット群とH−2A」ということで、横軸が打上げ能力、縦軸が打上げコストになっておりまして、赤丸がついているのはH−2Aファミリーでございます。こう見ますと、大体打上げ能力がほぼ同じやつについては赤丸がみんな下にありますので、大体同じレベルのロケットであるならば、H−2Aも何とか競争できるのかなと。ただし、諸外国の方は右側、要するに、打上げ能力の高いところに既に開発計画を設定しておりますので、H−2A、このままでいいのかということが当然議論されます。これについては、また別途、H−2A以降、いわゆる増強型以降のロケット計画については、もっと真剣に検討していく必要があるのではないかと考えております。
  以上です。

【井口委員長】  どうもありがとうございます。
  それでは、御検討お願いします。

【大塚課長】  1点よろしゅうございましょうか。

【井口委員長】  はい。

【大塚課長】  6ページの宇宙ステーションの10年の運用を想定した場合の補給量でございますが、これは70トンと書いてございますが、これは一つの試算でございまして、今、宇宙ステーションへの補給というのがどのくらいになるかということを、まさに米側も含め協議している状況でございますので、これはあくまで一つの試算とお考えいただきたく存じます。
  それと、もう一つ、宇宙ステーションへの補給にかかるコストでございますが、それは、先ほど三戸理事の説明では、機数に比例するというのがございましたが、機数と、さらに、このH−2Aの拡張型がH−2Aの増強型より1機当たりの値段が安くなっておりますので、さらに全体のコストとしては、拡張型で行うとかなり全体の補給コストは安くなるということがございます。
  以上でございます。

【川崎委員】  これまでの流れを踏まえると、どっちかというとインクリメンタルなやり方だろうと思うので、ドラスティック性がないという意味では、やや不満が一つありますね。
  それと、もう一つは、この拡張型のテンポが、アリアン5とかアトラス4とかタイタンとかが、それぞれ稼働してから数年後にエントリーするので、依然としてキャッチアップなので、これ、やめると。要するに、この構想、拡張型という発想自身をやめて、リユーザブルに、今から方針転向して先鞭をつけるというようなアプローチというのはないのでしょうか。H−2Aのやれるところまでの、204なり、そこまでは徹底的にやるけれども。

【三戸宇宙開発事業団理事】  まず、最小型ロケットにつきましては、基本的に低軌道ミッション用と我々は考えておりまして、やはり静止衛星ミッションに対しては使い捨て型が当分使われるだろうということで、もし、ここで増強型をやらないということになりますと、204までの静止衛星の打上げ能力だけということを、日本がそこで割り切るということならば、そういうかいがあるかもしれませんが、ただ、もう少し大きい、この前説明しましたね。204では、ここ10年の間では、8割方の衛星需要には満足できるけれども、もう少し大きいものになるとちょっと対応できないということで、そのあとの残りの2割方についての対応は日本はできないと。
  それから、HTVに対して、やはり今の204では、先ほどありますように、打上げ回数が多くなりまして、どうしてもコストがかさむということで、割り切るには相当な割り切りをしないと難しいかなと思いますが。

【川崎委員】  清水の舞台から飛びおりる気持ちで離れないと、インクリメンタルな方向の方が楽ですけれども。だけど、追いつく見込みがあまりないのを無理にアリアン5みたいなものをターゲットにしながらどんどんやっていっても、結果としてはどうも、少し遅くできるというだけなんじゃないかな。だから、HTVを幾ら払うかは別として、それを思い切っちゃって、要するに、そこのところはH−2Aでやれることはやって、足りない能力の部分は、よそのロケットなり、現金を払ってやってもらって、その間にせっせと、人のやらないことで稼ぐというね。何かそういうことを考えないと……。

【三戸宇宙開発事業団理事】  それにつきましては、その飛躍は相当ありまして、10年やそこらでできる技術じゃないと思いますけれども。

【川崎委員】  だから、早くやらないとと言うんですよ。

【三戸宇宙開発事業団理事】  まあ、そういう考えもあるかもしれませんけれども。

【五代委員】  私、この話というのは、もうすべてHTVから来ているとしか見られない。HTVというのは、宇宙ステーション計画が今非常に不明確なところで、一体その輸送量はどうなのか。どの程度確実なのか。本当にもう少し小さくていいんじゃないかとか、いろいろなのがあるわけですね、今の川崎委員のお話のように。
  ですから、HTV以外で言いますと、日本のプライドで、やっぱりでっかいものがないといかんのだよというのを除きますと、アリアン、デルタ、アトラス、この非常に大きいところに3年ぐらいじゃないですね。もっと遅れて参入する意味はどういうところにあるのかという、すごく大きな問題。そこで、NASDAの方も1年をかけて検討と。1年なのか、もっとかかるかわからないけれども、ある程度の、絶えず検討しておく必要があるだろう。だから、ここの「1年以上かけて検討」というところは、私、非常にそう思います。1年じゃなくてね。
  それから、もう一つ、民間の自主性云々というのは、私は当然、この流れというのは非常に重要で、そうあるべきだと思います。ただ、そのときに、受け手側の意思というもの、こちらがやれやれと言ったって、やるかという話ですね。やるだけのメリットがあるかとか、言われたことだけやりますというのか。だから、ここのところも、できるだけ早くきちんとしなきゃいけないだろうと思います。
  それからもう一つは、さっき、5ページの絵の、本当に1例だと思うのですが、この考えは、左の現行から──現行と言うとおかしくて、今のH−2Aの標準型から拡張型という場合に、またブースタを全部いじるということなんですよね。私は、ブースタという、1段目というのは、基本的にそう簡単にいじるべきではないと。これは、ロケット屋は皆思っています。今まで思っていただけじゃなくて、H−28号機の問題とかがあるように、何があるか。ロケットというのは、それは世界的に、どのロケットだってみんな危ないわけですね。ブースタが危ないというのは一番嫌ですから。したがって、できるだけ能力を上げていく、あるいは技術開発の順序として、上の方からやっていく。これは今まで、日本のロケットでも皆そういうやり方をしてきたわけですから……。

【井口委員長】  上の方からやるって、どういう意味ですか。

【五代委員】  上段ロケット。上段ですね。済みません。

【井口委員長】  済みません。素人にもわかりやすいように、ひとつ。

【五代委員】  はい。上といっても、宇宙ではなくて、ロケットの上の方、すなわち2段目とか、今は3段目ですが、そこを改良という方でやっていく。そういう成果を入れて、下の方の第1段とか何かに移していくというのが最も確実で、今までやってきた案でもあります。ですから、今言った幾つかの案件を考えると、この先、やっぱりすごく検討する、皆さんで議論する必要があると思うんですね。
  以上です。

【栗木委員】  一番最後のこのグラフで、横軸がGTOへの打上げ能力で、縦軸が価格というところがございます。これで一番右手の方を見ますと、GTO14トン。大体、大ざっぱに考えて、GEOに半分の7トンぐらいというようなものを想定して、このデルタ、アトラスがあるかと思うのですが、本当にそういう市場がこれからあるかというようなところは極めて不透明だと私は思うんです。もし国が、どうしてもセキュリティーその他の意味で、この14トンクラス、つまり、GEOで7トンとかというようなものを上げなきゃいけないということがあれば、これは価格の問題ではなくて、是非必要ということになると思うんです。
  その場合は、例えば、この8トン、H−2Aの204、これでもってGTOにもし8トンの能力があるのであれば、いわゆるGEOに上げる衛星の目方というのは、大ざっぱに言って、衛星本体半分、キックモーター半分というようなコンフィギュレーションになるわけでして、もしGTOでランデブーが可能であれば、これは16トンとは言いませんけれども、この14トンクラスの能力は持ち得るのですね。むしろそういう、せっかく「おりひめ・ひこぼし」で、軌道上ランデブーというような技術を磨いたのであれば、むしろ磨くべき技術は、ロケットよりも軌道上でのオペレーションに、つまり、インテグレーションとかソフトの方にやっぱり力点を置いて稼働性を高めていく方が、むしろ安全ではないか。その技術がただ単に14トンだけじゃなくて、ほかにも軌道間輸送でたくさん使える用途があると思うんですね。ですから、この14トンというのが本当にシングルで打ち上げなければいけない。それが一体何なのか。国のセキュリティーにかかわるのか。本当に商業利用なのか。本当に商業利用であれば、やはりもっと14トンのマーケットリサーチで十分に透明性を高めてからでないと、私は議論できないと思う。

【枡谷日本ロケット協会理事】  質問なんですけれども、実は、この大型化の話をする場合には、今お話があったように、8ページにもあるように、世界にはかなり大きいのがあるわけですね。例えばアリアン5なんていうのは、実際に稼働している。そういう補完を、日本国として、国際的なスタンスをどう考えるのがいいのか。その辺、大型化に絡みまして、ちょっと御質問申し上げたいと思うので、どなたにすればいいのかわかりませんけれども。

【井口委員長】  それは国のポリシーとして、これから我々が議論し、決めていくことではないかと思います。

【枡谷日本ロケット協会理事】  そうですね。やっぱり各国、皆さん、そういう検討もなさった上で、また先へ進んでおられるんだと思いますね。

【井口委員長】  今、栗木委員が言われたように、例えば情報収集衛星のようなものが、そのサイズになるのであれば、これは採算はある意味ではある程度は度外視しても、日本のロケットで上げなければいけないという要求が出てくるのだろうと思うのですけれども、本当にそうなのか。そういう可能性がないのであれば、いろいろな選択肢があり得るのだろうと思いますね。

【枡谷日本ロケット協会理事】  将来商業化ということが、一つ後ろにあると思うんですけれども、そこへ行こうとすると、事業を計画する立場からいきますと、必ず採算性とか事業性というのが問題になってまいりまして、必要なんだけれども数が少ないといったようなものは、やっぱり事業性に乗ってこないと。やはりある程度数が出てくるところで事業を営むというのが、事業サイドとしてはそういう判定になると思いますけれども。おとといも江名社長が申しておられましたけれども、やっぱりいろいろなバラエティーのある補完の仕方も、スーパーバードに何か、スピン衛星の5型を打ち上げたいとかというようなお話もしておられましたが、いろいろあると思うのでございますけれども、この辺がやっぱり、大型化というのは必要だと思うんですけれども、そこの論議を皆さんにわかりやすくするためには、やはり事業化との関連とか、海外との関連とかというものも説明がなされないと、お金を出す側から見ると、いろいろ議論が出てくるのではないかという気がしたものですから、ちょっと質問を申し上げたんですけれども。

【井口委員長】  森本委員、ユーザー側として、衛星サイズというのは、もう限りなく大きくなっていくものなのか。確かにそういうものはあるでしょうけれども、いかがですか。御意見は。

【森本JSAT取締役会長】  傾向からしますと、これ、日本も、純粋に、NTTとかNHKが実験的に上げていたものは別といたしまして、1994年あたりからの過程で見ますと、やっぱり次第に重量が増えていることは確かです。しかし、大体は、現在H−2Aないし、この増強型ぐらいのところで、実事の方はそう、とんでもないということに果たしてなるかと。実は、欲張って、衛星の方も、KUバンド、さらにCバンド、今度は最近のブロードバンド化ということで、もっと周波数の高いKAバンドというようなものもあわせて搭載しようみたいなこともある反面、もう少し機能を絞って、例えば、NTTドコモ用の衛星などはほとんど、要するにモバイル用ということで、最初から限定的な形にしてしまうとか、この辺が、やっぱりビジネスの面でどういうマーケットがあるかということのにらみの中で、どれだけのコストをかければいいのかという、そことの関係で、必ずしも、既号の傾向を見れば、確かに重量化のステップにありますが、今後とも同じ方向でどんどんいくのかどうかと。
  せんだっても申し上げましたが、仮にアリアン5で、4でも2機、この間打ち上げたわけでございますが、5になれば、悪くて3機の能力があるのかもしれないのですが、日本のマーケットに、あるいは日本発信で世界に向けて、こういう、既に何年か先行しているところへの参入が果たして、おっしゃるように商業化ということを視点に入れるならば、必要なのかということは重要なことですから、この必要性という意味、将来の展望について、是非委員会の方できちっと御判断いただく必要があると思います。
  その際に大事なことは、時間とコスト、つまり、開発費がどのくらい必要なのか、何年ぐらいで実現できるのかということも、当然十分な検討が必要じゃないかと思うんですね。ただ、将来必要かもしれん、あるいは、うまくいったら商業化できるかもしれんで、いけいけということにならないので、これは基本的には国の研究開発費をどう振り分るかという大きな視点とにらみ合わせて、我が国の宇宙開発にどれぐらいの研究開発費を投ずべきかという視点でお考えいただきたいということでありまして、特にロケットの方は、ロケットの役割はもともと衛星を軌道上に持っていくことでありますから、その衛星がどういう機能を持つかということについても、さっき栗木さんのお話がございました。軌道上でのオペレーション、つまり、それは衛星の能力。衛星がどれだけの期待にこたえて、しかも、また、これは商業化ということと常に関連があるわけでございますので、実はそういう意味で、我が国の衛星の開発について、これは大きな方針が、必ずしも十分我々にとってきちっとした方針があって、こうなっていくよ、何年ぐらいにはこういうステージだということが十分見えてない。衛星自体もいろいろな用途があるのでしょうし、技術開発衛星というのは、また、それはそれなりにあるのですが、そこへいって、商業化ということがにらまれるならば、この辺、一体、ロケット自体の商業化というのはあるのですが、衛星の商業化というのは、どんなふうな御理解のもとに政策展開されようとするのか、あわせて、この研究開発費の配分ということで、輸送系が出てきたとしても、そこの軌道上で果たす役割、そこでの技術開発能力ということについての国費の投じ方、両方のバランスというものを、ひとつあわせ御検討願って、しっかりした、ここの段階、このステージで、将来10年間、おおむねこういうことでいくということを、是非国民全体にわかるようにお願い申し上げたいものだと思っております。

【川崎委員】  ちょっと森本さんの御意見に対してお言葉を返すようなことになるかもしれないのですが、私、先日、ロケットメーカーの方のお話を聞いていまして、H−2Aが17年ぐらいには民営化へというのに対してさえ、かなり臆病な御様子のように、私、受けとめたんですね。そうすると、そういう産業界の現在の雰囲気の中で、拡張型のような、あるかないか、まだ誰もわからないわけで、2020年なら20年という、それを民営化を前提にして開発をやるということが成り立つかどうかというのに、日本の今の民間企業の心構えからしますと、ちょっと不安だと、それに寄っかかるのは。というのが一つ、私は心配であります。
  それから、森本さんの方の関係の衛星について言うと、これは私個人の思い込みかもしれませんが、衛星放送の、放送と通信については、もう本当の先端技術を宇宙で実証するという、テンポラリーに必要なアドバンスト・テクノロジーの実証だけが国の仕事で、あとはもうどうぞ御自由にという、ややそんな感じじゃないかと私は思うんですけれどもね。
  例えば、e−Japanであるとか、ブロードバンドだとかという、その中で幾つか、国のプロジェクトとして走るようなものがあったとしても、それはレアケースで、一般的に言えば、通信放送というのは既に立派に民間企業として成り立っているところもあるわけなので、むしろそっちの方が、産業政策の中でどう考えるかということになっていくのが主ではないかなという気はするんですけれども、いかがなんでしょうかね。

【森本JSAT取締役会長】  つまり、日本の技術がなくても、よそから買ってくれる技術ならどんどん買えと言うなら、ロケットの開発も要らないという極論になっちゃうんだと思うんですね。先だって来説明いたしていますように、私どもの衛星は、すべて諸外国からの調達で、これには日本の技術がコンポーネントとして部分的に入っていることは、これは否めないし、場合によっては、センサーみたいに極めて日本のシェアの高い分野もあることはあるわけですが、バスをつくり、ミッションをつくりという能力というのは、今のところ、日本に十分ないがゆえにこういう状態、これはスーパーバードさんも同じだろうと思うのでありますが。
  そういう意味で、諸外国でやはり国の開発力をベースに、多くは軍事技術を背景に、開発の必要があるということで、通信ないし放送というタイプに転用できる技術をもとに、諸外国の衛星が成り上がって、現にこれは商業化として我々が対価を払ってサービスを提供しているという状態になるわけで、そういう意味で、これからの通信放送の技術の高度化に向けて要求されるスペックというのはまだまだたくさんあると思っております。
  つまり、それは、ある意味でコストの削減になってくるわけでありまして、例えば、オンボードスイッチング。今まではミラーみたいにして、トランスポンダに返していただけのものを、衛星上で交換を行うとか、あるいは、ビームを一つのビームで日本全体を照らしているのを、もう少し日本を細分化すると。そうすると、電波が、割当てをされた電波を幾通りにも効率的使用ができるとか、そのためにブロードバンド化ができるとか、さまざまな技術の要請があるし、現に諸外国はそれを一生懸命追っかけて、アリアン5であろうが、アトラスであろうが、その中に載っかる衛星というものについても、同様な開発のステップを同様に進めているということでございますので、これは、もう衛星はよそから買ってきて、日本はロケットだけに特化したらどうかというのでは、これまでの路線とは甚だ違う話になってくるのではないかな。この増強を考えられるならば、同時に、搭載すべき衛星の能力向上について、国の資源配分を是非あわせて考えていただく必要があるのではないかということを、さっき申し上げたわけであります。

【川崎委員】  いや、私も決して、先端的な部分だとか、そういうことについてやらないという意味ではないのですが、じゃあ、そういうことを2機も3機も続けて国でやれるかというと、1機ぐらいで実証性が確認できれば終わりでしょうねという、そういう意味なので、実は、その前に一つ、我々の置かれているバウンダリー・コンディションとして、私はそういう意味では非常に困るのは301条だと思っているんですよ。あれはヨーロッパに適用されていませんのでね。だから、それをギブンの条件で、何年続くかは知りませんけれども、そうなったときにどういうふうに、うまいジョイント・ワークをお互い組み合えるかというあたりが知恵の出しどころだと思うので、森本さんのおっしゃるのもよくわかるんですけれども。

【森本JSAT取締役会長】  御指摘の301は、私は、せんだっての経団連のシンポジウムでも申し上げたので、たしか、あれは1990年の協約で、12年たっているわけですから、果たしてあれにいつまでも拘束されなきゃならないかどうか。そして、現にアメリカでも、官と民との協力ぶりというのはいろいろな形で行われています。ヨーロッパはもちろんでありますし、日本だけが非常に不自由なことになってないのかと。ですから、あるいは、協定に縛られ過ぎて臆病になってはせんのかということで、例えば商業衛星に、場合によって、これは301の話とかかわらないかもしれませんが、一部実証的なトラップを何本か積んじゃうと。その費用は国としても分担していただく。まあ、いろいろな制度整備の問題もあるかもしれませんが、そんなことを、ある種、逆に、開発用として打ち上げてみて、うまくいったら民間に払い下げていただくということで、国の税金をうまく、またコンペンセイトするという手段もあるのではないかと。さまざまな官民の協力のあり方は、是非ひとつ、全然別々で、ずうっとこのままというのでは、これは日本のトータルの産業競争力ということで大変心配いたしますので、新しい枠組みをあわせ、衛星のロケットもあわせ考えいただく必要があるのではないかと考えております。

【井口委員長】  今日はロケットのことに……。

【森本JSAT取締役会長】  はい。わかっておりますが。

【井口委員長】  議論の焦点を絞りたいのですが、ロケットには今、川崎委員がおっしゃったスーパー301条は適用されないのですね。

【川崎委員】  調達という行為になったときにどうなるかというのは、誰もまだテストしてないです。

【井口委員長】  まあ、だけど……。

【川崎委員】  怒られるまでやってみるというのも一つあります。

【井口委員長】  あれは、衛星ということになっていますね。

【川崎委員】  はい。衛星になっています。

【井口委員長】  今日の議論の焦点であるロケットについては、それは適用されません。

【川崎委員】  ただ、衛星の費用として、ロケットの費用まで入れるかどうかとなると微妙なんですね。衛星として予算の方は上げられるんです。

【井口委員長】  ただ、自動車屋とすれば、そういうものがあったって、日本はそれだけの、そんなことが問題にならないくらい、競争力を持ちたいですね。まあ、理想論ですけれどもね。それまでのプロセスをうまく、どうやって進めていくかですけれども。

【栗木委員】  先ほど森本さんがおっしゃっておられた衛星側の話に多少かかわるのですが、1970年代の終わりごろに、ロケットの打上げ費が高いというのが、そろそろうわさに、私はもともとロケット屋じゃないものですから・・・ただ、そのレベルでも聞こえてきたころ、そのときに、衛星の能力というのが、いわゆる半導体その他、コンピューターの、あるいは電子機器の軽量化とか高機能化の足が速かったものだから、ロケット屋はサボっていたんだと、そういううわさを聞いたことがある。そのころから、ロケットのコストを安くしなきゃいけないというのが、私なんかにもだんだん聞こえてきたような、そういう歴史的な印象を、私、持っているのです。
  それでは、衛星の高機能化、軽量化というのは進んでないか。今、もう止まったかと言われると、依然として、私は進むような気がするんです。その辺を、通信分野の方がどうとらえているか、その辺を是非伺いたい。
  しかも、国が挙げて、ナノテクノロジーを目指して、高機能化、エレクトロニクスに関してもメカニカルに関しても、そちらを目指してやっているということは、やはりそれに貢献するところは、私は大。どちらかというと、衛星の機能、重量というのが、それになかなか追いついてないぐらい、私は遅れている現状ではないかという気がするんです。
  そうすると、もう一つ、衛星が重くなきゃいけないという理由は別のロジックで、これ、また通信分野の方から聞こえてくるのですが、情報はパワーである、エネルギーある、そういう議論があります。これは恐らく静止衛星を使って、いろいろな伝達をやろうとすると、距離の二乗分の1で、パワーが落ちますから、結局エネルギーがなきゃだめだという議論かと思われるのです。そういうことを考えますと、先ほどおっしゃっておられた衛星を限定的な機能なり性能なりに絞れば、必ずしも右肩上がりで衛星の重量は上がっていくわけではない。つまり、使用パワーというのはどんどん増えていくわけではないというようなことと、一つは、解決といいますか、将来の方向を見定める一つのガイドラインかなと思われるのですが、もしそこら辺で、今言いました衛星の技術的進歩とあわせてどうかということをちょっと伺いたいのですが。

【森本JSAT取締役会長】  衛星の重量の……。

【栗木委員】  結局重量はエネルギーであるという、そういう感覚を通信の方はお持ちのような……。

【森本JSAT取締役会長】  私も通信技術の専門家じゃないわけなので、それは初めて、むしろ衛星に関しては、いかに重量を最小限に設計して、つまり、衛星に搭載してなきゃならない燃料で寿命が決まるわけで、いろいろな部品の磨耗で決まっちゃうわけじゃないんですね、御案内のとおり。それが、重量は余席があれば、余計なアポジモーターをふかすだけの燃料が搭載されれば、2年なり3年なり寿命が延びちゃうというところに一番寿命があるわけで、これは逆に言うと、また減価償却費にはね返ってきて、いかに安い衛星通信サービスが提供できるかということに絡まってまいりますから、重量を重くするというのは、まさに寿命ということならばそういうことは言えるかと思いますが、それ以外で、できるだけ軽量にして、できるだけ燃料をたくさん搭載したいというのは、この方面の世界中の専門家の共通の願いだろうと思います。

【井口委員長】  そういうことであるならば、栗木委員がさっきおっしゃったように、ガソリンスタンド衛星を開発して、供給して歩けば、はるかに衛星寿命は延びるわけですね。そういう技術開発、日本のオリジナルな技術開発として、そっちに向けていくということも、ロボット技術は日本で進んでいるんですから、あり得るわけですね。

【森本JSAT取締役会長】  そこのドッキング技術は私もよくわかりませんが、今、別途に、要するに飛行体で、ロケットじゃなくて、例えば日本に、十か十数個の飛行体を浮かばせておいて、それは静止状態にして、必要とあらば下へまたおろしてきてやる方が、宇宙でドッキングする技術よりははるかに易しいはずなので、このプロジェクトはもう数年前から取りかかっておるはずでございまして、これは今度の合体する航技研の方の飛翔体技術が担当されて、TAO、通信放送機構とCRLとが通信系の研究をされておると聞いておりますが。

【川崎委員】  そういう意味では、例えば衛星間データ通信だとか、圧縮電送だとか、おっしゃったマルチビームだとかというのはテストしなきゃならないことはいっぱい残っていることは事実ですよね。
  ちょっとロケットの方に話を振って、枡谷さんもおられるので、三戸さんもおられるから、先ほどの栗木さんのお話とか五代さんのお話と同じように、仮に20トンとか15トン級の情報通信衛星というのが出てくるとすると、多分私は、そんなのは、明日やれという話ではないと思うんですね。やはり5年なりぐらいのスパンでそういう話が出てくる。こういうのは国策でやるのだから、よそ様のロケットを使えない。そうすると、要するに、開発期間5年で、もうはっきり、それにボーナスをつけるかどうかというのは、これ、制度の問題として、日本でできるかどうかは検討しなきゃいかんと思う。そういう段階で、官民共同で、それから、今の、ここで御提案のような、拡張型なんていうのを開発すると。衛星と一緒にロケットも開発するという、そういうようなオプションというのは成り立つのでしょうかね、民間のレベルでも。
  要するに、H−2Aが完全に民のレベルで改良に改良を重ねるというのが進んでいる状況を考えるわけですね。そういう中で、今のようなことを、そこで新しいプロジェクトとして、官民共同で臨時的に編成するということはあり得るのではないかというのが私の考えです。ランニングでずうっと、ベースとして持っている必然性よりも、もしできるのなら、そういう方が。例えば、要するに、これから4機入れますと。そうすると、4入れて、5機、それで作ってくださいよというので、5年時間の余裕はありますというような、シャープなターゲットを絞ったプロジェクトになったときにどうなるかという。いや、多分アメリカの軍なんかのコントラクトを見ていると、それに近いですよね、軍用機にしろ。

【井口委員長】  自動車のセンスですけれども、そういうことができるためには、ベースとなるH−2A、LE−7Aなり、LE−5Bは相当信頼度がもう確認されていると思いますけれども、LE−7Aも信頼度がもうしっかりと実証されている、そういうものを持っているということがベースで、短期間で次のものができるということだと思うんですよ。
  例えば数年、3年、4年の間に、H−2A、何発打ち上げられます?  10発もないでしょう。

【三戸宇宙開発事業団理事】  今経過しているものでいきますと、2年で5発か。

【井口委員長】  だから、基本的に、H−2Aの打上げ回数を増やすべきだと思うんですよ。そこで信頼度──信頼度というのは、いろいろな技術的な問題もある、産業政策上の問題もあるけれども、やっぱり数だと思うんですよ。数打って、これだけ信頼度がありますということを実証しなければ、世の中、信用してくれませんよね。ですから、さっきの大型化の話にも戻るんですけれども、この6ページのこんなものを、H−2A標準型だと23機に相当しますとか、そうやって大きくすれば、もっと数が少なくて済みますと言うけれども、本当に信頼度が、それぞれ同じぐらいの信頼度にできるか。クラスターにすれば、LE−7A、それを二つ束にすれば信頼度が1/2になるんですよ、何だかんだ言ったって。あるいは、それ以上、いろいろな干渉の問題もあるから、もっと信頼度は落ちるかもしれません。だから、それでも、なおかつ大型化、クラスター化するものが高い信頼度を持つためには、LE−7Aそのものがものすごい高い信頼度がなければ、そうならないはずなんです。これはただの単純な計算をしているだけで、信頼度まで考えれば、本当にこういくのかどうか。それだってリスクが大きいですからね。そういう意味で、まず、H−2Aの打上げチャンスを増やすということが最前提じゃないかと思いますがね。

【三戸宇宙開発事業団理事】  当然、この計画は、今、信頼性向上が前提になっていますけれども……。

【井口委員長】  だから、そのためには数を増やすというのは……。

【三戸宇宙開発事業団理事】  そういう意味でも、H−2Aの標準型で商業衛星はぼんぼん打っていただくのは非常にいいことなんですけれども。

【井口委員長】  だから、確かに金はかかるかもしれないけれども、これだけ、23機打ち上げれば、信頼度も上がり、コストも下がるかもしれませんよ。半分ぐらい、また下げればね。さっきの御説明の計算とは違ってくる可能性もあるわけですよ。

【三戸宇宙開発事業団理事】  そうですね。標準型の信頼性向上と、その結果として、コストの削減、この二つが標準型として今後やっていかなきゃいけない問題です。

【川崎委員】  やっぱり日本の場合、ロケットもそうなんだ。鉱物の見本と同じなんですね、日本は。あらゆる鉱物が全部あるんだけれども、採算性のとれる鉱物は一つもないみたいな。何でもあるんですよ。鉄から金から石炭も入れれば。だけど、どれも一つとして物になるのはないというのと同じようになるより、まあ、委員長がおっしゃったけれども、私も、徹底的に一つ物にするものを持つという、日本でかつてよかったのは硫黄だけですけれども、今も、それも輸入してくる、石油の中の硫黄で間に合っちゃっているから、硫黄鉱山はつぶれちゃったんですけれどもね。やっぱり徹底的に、次回、ものにする努力をまずやらないといかんような気がするんですけれどもね。それで余力を、誰もやらんことに手がけるようなことを一生懸命やるというのはどうですかね。

【五代委員】  衛星の話もあるんですが、今ここではロケット主流ですから。
  まず、エンジンクラスター、要するに、エンジンを複数束ねるという、これは今まで、世界的にもいろいろな例があるわけです。だけど、それは大きいエンジンができないからというとき、時間がないから束ねるということです。今、井口さん、川崎さんがお話しのように、私は、まず、LE−7Aを、今、信頼性向上プログラムというのがありますから、問題を徹底的に改良していくというのが一番。それに伴って数を打つというのが、同時に絶対必要だと思う。
  それで、一番最初に私が言いましたけれども、やっぱりブースタ、要するに、1段目新規開発といったら、今度、もう徹底的な信頼性が高くなきゃいけない。一昔前よりも、二昔前よりもけた違いに高くなきゃいけないというのが私の実感であります。そうすると、今までと同じぐらいの試験ぐらいで大体できます。これはできると思うんですよ。技術的にすごく難しい問題があるかというと、今はそうない。ないけれども、信頼性を上げるための徹底的な解析試験、これは結局大規模になりますから、数をいっぱいに。ということは、非常に今まで以上にお金をかけて、時間をかけていかないといけないだろうと思うのね。
  ということは、同時に施設、設備もきちんとやらなきゃいけない。今、それだけするだけの、絶対にしなきゃいけないことがあるかということなんですけれどもね。私は今、クラスターで、今の日本でこのエンジンを、LE−7Aを玉成することが一番。数打つことが同じく。クラスターというのは、やればできる。今やる必要があるかということなんですね。やるなら、性能アップするなら、さっき、一番最初に言いましたように、レベルが同じかどうか知りませんけれども、上段の改良からやった方が安全で確実で、お金もかからない。しかも、LE−5という系統はバージョンアップが、5、5A、5Bといっていますから、そちらの方が全く確実だと思います。

【井口委員長】  上段からの改良って、今、LE−5Bですね。

【五代委員】  そうですね。

【井口委員長】  あれを改良するという意味ですか。

【五代委員】  下をやるよりは上をやるべき。

【井口委員長】  どういう改良になるんですか。私、エンジンの専門でないから、改良というのはどんなことを……。

【五代委員】  一つは、まず確かに、使い切りロケットとしては、推力がちょっと足りなくなっているというのがありますね。
  それから、いずれは再使用輸送系、再使用ロケットの方にかわっていく。これは急にかわるわけじゃありませんが、それの先行するところというのは、やっぱり一番基本的にはエンジンなんですね。そうすると、そこに使われるようなエンジン、要するに、使い切りロケットH−2Aの上の方に、上に載せるエンジンと、それから、再使用の方で試していくエンジンの共通的なことという意味で、LE−5系の改良というのをすごく急ぐ必要はない。きちんとやっていく方がいいのではないか。

【井口委員長】  私の質問は、じゃあ、液水・液酸から何か別の燃料を変えるとか……。

【五代委員】  まずするべきことは、液酸・液水のLE−5系エンジンをさらによくする。

【井口委員長】  いや、そのよくするって意味が素人にはよくわからないんですけれども、それじゃあ、効率をもう極端に上げるようなことができるという意味ですか。

【五代委員】  効率はあるでしょう。やっぱりもっと信頼性でしょうね。

【三戸宇宙開発事業団理事】  前、このHTV対応ということで、当然五代委員のおっしゃるように、私自身もブースタというものはかえるなり、非常によくないと。だから、もしかえるとしたら、2段かえるべきだろうということで、その方向でちょっと試算もしてみたのですが、これはあくまでHTV対応ですが、先ほどの6ページで、標準型では補給量が3トンですが、これを、2段を今の14トンの推力から18トンぐらい、これは多分、今のLE−5Bを改良としても、限度は多分それぐらいだと。18トンにした場合、残念ながら、補給量は4トンぐらいにしか上がらないんですよね。ということで、HTV対応だけ考えると、ちょっと2段の。というのは、これ、実は機構安全上の問題がいろいろありまして、どうしても1段をかえないと非常に難しいところがあるんですよ。

【五代委員】  その話も知っていますが、要するに、さっきのHTVというのが、絶対6トン要るのか、それよりはもっと、少し高くても、4トンだったら23機が15機ぐらいになるかもしれないけれども、何回も打てると。

【川崎委員】  寄っかかろうとするものがフラフラしているのでね。それに寄っかかってまた何かやると、それが余計フラフラするのでね。

【五代委員】  土俵が。

【川崎委員】  それと、もう一つ、将来的に考えて、本当に1年間に20発ぐらい、仮にRSCさんが頑張ってH−2Aで上げるようになったときには、種子島だけを考えていたらだめなわけでしょう、しょせんは。そうすると、バウンダリー・コンディションを、その辺も再構築しますよという前提に立ったら、今、三戸さんのおっしゃったLE−7Aの改良にしろ、LE−5Bにしろ、保安距離の問題から来るいろいろのひずみを取っ払って考えられるようになれば、コストも違うし、逆に信頼性も上げやすくなる可能性もあるので、その辺があんまり、自分で一人決めで枠を決めないで、むしろそれを日本の将来の宇宙開発のためにはこうやっておかないといかんという格好で、いつやるかは、ちょっとタイミングの問題は別ですけれども、出しておいていかないと、技術開発に携わる人たち自身が意欲的にやれなくなっちゃいますよね。こうやろうとすると、あそこでしがらみがあってできませんとか、1年に5発打とうとすると、いや、ロンチウインドウが決まっていてだめですとかね。これは、やっぱりそこのところをどうやって政治的、政策的に取っ払っていただくかということをみんなで考えていくしかないんじゃないかと思うね。

【井口委員長】  確かにそれもあるけれども、自動車の世界だと、いろいろな規制が厳しくなったまま、どんどん技術が進歩したという実績がありまして、いろいろな拘束条件の中でどうやってうまくやるかということも一つの進歩の動的フォースになるのかもしれない。
  ところで、このISS、HTVの問題ですけれども、これ、どのくらいにしなければいけないかというのは、1年たてば少しは明確になるんでしょうね。

【大塚課長】  はい。その点でございますが、確かに宇宙ステーションへの補給の量が一体どれぐらいになるかということが、かなり確定してないということもあって、もう少し、1年ぐらい、それも見ながらということで、この1年間という検討期間を設けているわけでございます。
  あと、もう1点だけ。今、宇宙ステーションの話が出ましたので、ここの場ではございませんが、一方で、今、NASDAの予算で一番大きな割合を占める宇宙ステーションの運用経費をできるだけ削減するという検討を行っておりますけれども、その中核になるのは、実はこの輸送コストの削減でございまして、それはトン当たりの輸送コストが一番効く状態になってございます。ですから、先ほど御議論になったように、H−2Aの204型で、できるだけたくさん打ち上げれば、LE−7Aの信頼性が高くなるではないかということ、一方で、それはそれであるのですが、我々の試算では、宇宙ステーションの運用経費がかなり高くなって、一方で議論してございます宇宙ステーションの年間の運営費をかなり下げるというのは極めて難しくなる状況でございます。
  ですから、1年検討をする必要はもちろんございますけれども、宇宙ステーションのコスト削減に、この拡張型というのが極めて重要な役割を果たしているということは是非御理解いただきたいと思っております。

【井口委員長】  まあ、それも1年かけてじっくり、もうちょっと確実な数字、試算に変えていくんだと思うんですけれども。

【大塚課長】  それも含めて、この1年間検討したいということでございます。

【栗木委員】  そのときの議論に、今日いただいたこの資料の最後の方、縦軸が打上げ価格となっているのですが、何を打ち上げるのか。ロケットそのものを打ち上げるのではなくて、必ずペイロードを打ち上げる。この前、アリアンスペース社の方から伺ったのでは、いわゆる保険料率がどのぐらいか。それは信頼性があっての話ですよ。それがあったわけです。ですから、この縦軸に信頼度が入ってなければ、これは同列に並べる意味がないと私は思っています。つまり、信頼度を誰が一番客観的に第三者として評価できるかといったら、保険会社だと。保険会社に相手にされなければ、私は、この縦軸というのは意味がないと思います。

【川崎委員】  特に今の日本はシンジケートで主力を握れませんからね。だから、全然日本の業界は弱いから。

【井口委員長】  大体予定の1時間になったんですけれども、何か。まあ、今日ここで結論が出る話ではありませんし、また、5月20日のワークショップでも、川崎委員が司会のもとに、いろいろディスカッションが行われます。何か視点とか問題点として、言い落とされたことがもしありましたら、さらに伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

【川崎委員】  今日の議論の中で、この間の議論との連結点で、やるかやらないかはっきりしませんけれども、GXでやるメタンエンジン系、LNGのエンジン系と、今日のお話とかというのは、技術的には別としても、ある意味で連携するとか、ある意味でオプションを考える幅が広がるとかといったような、あるいは、中・小型との分け方とか、何かそういうようなミックスしたオプションを幾つか考えてみるということは、あんまりまだ議論が出てないような気がするので、その辺をもう少し、ワークショップのときにはもし、個人のアイデアで結構ですから。だって、誰も、あの席で、ナショナルなアイデアは出せないですから。

【三戸宇宙開発事業団理事】  しかし、私がしゃべるとNASDAの意見になっちゃうから。ちょっとワークショップでは勘弁お願いします。

【井口委員長】  だけど、やっぱりロケットの専門家であれば、五代委員か、NASDAの誰か。

【五代委員】  私、例えば、ワークショップでしゃべるときに、宇宙開発委員会の代表としてしゃべりません。

【三戸宇宙開発事業団理事】  それはもうその方がいいですよ。

【五代委員】  私は、そちらの有識者か、無識者か知りませんけれども。そういう勝手な議論を。いや、実際に、それ、重要だと思うんですよ。ですから、三戸さんも、「ここは全く個人的だけど」と言っていいんじゃないですか。使い分けて、どうぞ。

【川崎委員】  私自身も、司会をやるというのは、委員会委員としてやるのではないので。川崎個人が。ですから、委員会代表では、委員長の冒頭の発言と全部の終わった最後の締めくくりの栗木さんの発言が、まあ、委員会として起用したという、そんなことになるんじゃないかと思いますけれどもね。
  ただ、実際は何か、お互いが見えないバウンダリーをつくっておいては、タブーをつくっておいては、その中の議論なものだから、その島の中に入っている人にはわかるんだけれども、その島の外の人からは、何でそうしなきゃいかんのかというところがわからなくなっちゃうので、やっぱりぜひバウンダリーを、ここがこういう条件だからこうだとかと必ず議論をしないと、大塚課長の場合には、予算がこうだからという、さっきのHTVの話と同じで、運営コストが増えるから安くないと困るんだという話とかがあるんでしょうけれども。

【枡谷日本ロケット協会理事】  そこは、今日の大型化の話と必ずしも一致しているわけではないんですけれども、先ほどからお話に出ましたように、H−2Aのロケットをたくさん打つと。それによって信頼性を。私も最初に出席させていただいたときに、ちょっと申し上げましたが、その考え方というのがやっぱり非常に重要じゃないかと。
  特に製造を担当しております中小企業のレベルまで、皆さんに部品をつくっていただいていますが、これ、数が出ませんとね。昔は夢だけで追っかけてくれた人たちも、今、こういう景気の状況になりますと、1人去り、2人去り、つくってくれる人が去っていく傾向にあるわけですね。大変悩ましい話でございまして、是非数をたくさん打つという方角の検討を、まあ、宇宙開発委員会が適当なのか、早く商業化して、そういう方向に持っていかなきゃいかんのかわかりませんけれども、やっぱりそういうスタンスが必要ではないかなと。
  それに関連して、大きい方の打上げ能力もさることながら、このH−2Aの今の現状を、例えばもうちょっと幅広くH−2Aの性能を検討していただいて、例えば、もうちょっと、今、GTOとか何かばっかり考えておりますけれども、もうちょっと低いところも、H−2Aはこういうふうにしたら使えるよということになると、二、三日前にお話がありましたIHIさんの上段モーターも、下がいろいろかわっても、ロケットというのは、上と下とは割合に互換性がありまして、海外でもそうやって使っておりまして、例えば、トラスの、最初は別のセカンドステージを使っていますけれども、今、セントールを使っているとか、いろいろ互換性があるわけで、そういう使い方をしてでもH−2Aを数打てるように持っていければ、大変産業界はありがたいのではないかという感じがいたします。ちょっとこれは御参考までに、そんなことを。

【井口委員長】  ありがとうございます。
  ほかに何か御発言ございますでしょうか。なけれは、この議題を終わらせていただきます。どうもありがとうございます。
  あとは、前回の議事要旨の御確認を、委員の方々は後ほどお願いいたします。
  では、以上で今日の第18回宇宙開発委員会を閉会にいたします。ありがとうございました。

[    了    ]


(研究開発局宇宙政策課)

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