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宇宙開発委員会 推進部会(平成23年)(第5回) 議事録

1.日時

平成23年11月22日(火曜日)13時~15時15分

2.場所

文部科学省 16階 特別会議室

3.議題

  1. はやぶさ2プロジェクトの事前評価について
  2. その他

4.出席者

委員

部会長 井上 一
部会長代理 河内山 治朗
宇宙開発委員会委員長 池上 徹彦
特別委員 小林 修
特別委員 佐藤 勝彦
特別委員 澤岡 昭
特別委員 鈴木 章夫
特別委員 高柳 雄一
特別委員 建入 ひとみ
特別委員 多屋 淑子
特別委員 林田 佐智子
特別委員 廣澤 春任
特別委員 宮崎 久美子
特別委員 横山 広美

文部科学省

文部科学省研究開発局宇宙開発利用課長 佐伯 浩治
文部科学省研究開発局参事官付参事官補佐 坂田 肇

【説明者】
独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
 執行役 山浦 雄一
 月・惑星探査プログラムグループ はやぶさ2プロジェクトチーム 
  プロジェクトマネージャ 吉川 真
  サブマネージャ 南野 浩之
  助教 森 治

5.議事録

 【井上部会長】 それでは、第5回推進部会を開催したいと思います。皆様にはお忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。初めに、古川さんが無事に戻られたというニュースがありましたので、お伝えしておきます。
 さて、本日の議題は、「はやぶさ2プロジェクトの事前評価について」です。審議に入る前に事務局から配付資料の確認をお願いします。

事務局から配布資料の確認が行われた。

(1)はやぶさ2プロジェクトの事前評価について

【井上部会長】 ありがとうございました。
 それでは、審議に入りたいと思います。
 皆様御承知のこととは思いますが、宇宙開発委員会の調査部会では、金星探査機「あかつき」の金星周回軌道への投入失敗の原因究明を行ってきました。6月にその結果が得られたことを受けまして、「はやぶさ2」プロジェクトでは追加の確認、検討作業が行われました。
 一方、この推進部会では、9月から11月にかけてASTRO-Gプロジェクトの評価を実施していましたが、その教訓を踏まえて、「はやぶさ2」プロジェクトの状況について再点検が行われています。
 これらの2つの検討の結果について、JAXAから説明をお願いします。

JAXAから推進5-1-1、5-1-2及び5-1-3に基づき、説明があった。主な質疑は以下のとおり。

【井上部会長】 それでは、3つの資料の説明に対して御意見、御質問があればお願いいたします。
 どうぞ。

【鈴木特別委員】 少し細かい話ですが、推進系の改修が主なので、少しそれについて質問したいのですが、化学推進系は、「はやぶさ」の1号のときには故障して、途中から使えなくなりましたよね。化学推進系の正規の使い方はどういう使い方をされるのでしょうか。着陸まで、地球帰還まで使うのが正規の使い方ですか。

【JAXA(吉川)】 地球から小惑星、小惑星から地球のクルージングのときは、基本的にはイオンエンジンを使っていて、化学推進系は姿勢制御の補助に使いますが、軌道制御も、イオンエンジンは急には軌道制御できませんから、例えば一番最後の地球リエントリーのときの微修正は化学推進系で行います。あとは小惑星に着いたときの小惑星の近傍での軌道制御はすべて化学推進系で行うということになります。

【鈴木特別委員】 一番大きな点は、ヘリウム系を2系統に分けるということですね。これは確かにミッションの使い方と非常に関連する部分で、普通の衛星の場合には一つで、そのかわり軌道に入った後、大体、ブローダウンモードで行います。先ほどの塩ができるという現象は私はよくまだ理解していませんが、ミッションが長いということになると、その可能性が、ポテンシャルがあるから2つに分けざるを得ないと考えていいのですね。

【JAXA(吉川)】 はい。実際、「あかつき」の場合にそういう現象が起こったので、「はやぶさ2」ではそれを避けるために2つに分けました。

【鈴木特別委員】 これは推進系に限りませんが、システムが異常な動作をすると、それを検知して自動的に修正する、つまりFDIR(Failure Detection Isolation and Recovery)をしてコンフィグレーションを変えることは、普通の衛星でよくとられていますが、そのあたりは「はやぶさ」の評価として変更された部分はないのでしょうか。「あかつき」、「はやぶさ」どっちでも結構ですが、今までの経験に基づいてそういうFDIRの変更はなかったのでしょうか。

【JAXA(吉川)】 はい。推進系について、「はやぶさ」からの変更は、先ほどのページでいきますと、6ページのところに書かれています。推進系についての大きな変更は6ページの右側の図に吹き出しで書かれていますが、これが「はやぶさ」から、まず変更した箇所になります。

【鈴木特別委員】 例えば具体的に言うと、「あかつき」の場合は破壊モードとしてエンジンの温度が上がり過ぎて壊れたのですね。普通の衛星の場合、スラスターに温度計がついていて、その上限を超えると、そのスラスターをとめてバックアップに切りかえるということをやっています。この「はやぶさ2」の場合は、非常に時間がかかるというか、地球からの通信に時間がかかるので、その普通の衛星と同等なものができるかどうかはわかりませんが、例えば全くの仮定として、そういう温度センサーがついていて、それが制限温度を超えたらエンジンをとめるということは、これは物理的にはできるはずですね。そういう意味で、故障に対して、その故障を検出して、衛星の安全を図るという意味での改善点はなかったのでしょうか。

【JAXA(吉川)】 「あかつき」の場合は、エンジンの規模が大きく、この「はやぶさ2」が使っているエンジンは小さな化学エンジンですから、そこは少し違います。

【鈴木特別委員】 それはそうですが、普通の衛星のスラスターでも大体温度センサーがついていて、その温度が上がり過ぎると、そのスラスターは停止して、ともかく故障かどうかを確認するのですね。ですから、これはエンジンの大きさには関係していないと思いますが。

【JAXA(吉川)】 そうですね。推進系の森からお答えいたします。

【鈴木特別委員】 これはあまり発展させてもいけませんが、推進系を例にとって、一般的に故障を回避するという意味で、そのFDIRという考え方はどうなっているかというと少し大げさかもしれませんが、そのあたりの考え方が見直されたかどうかということについてお聞かせください。

【JAXA(森)】 はい。推進系に関してコンフィグレーションを変更するというお話がありましたので、その件について事前の対策をお話ししたいと思います。8枚目のスライドですが、高圧系を2系統にしたことで、今のお話だと高圧系が不具合を起こすということが考えられますが、そうした場合に、高圧ガスの系統は切ってしまいます。例えばこちらの燃料側の高圧ガスが仮に漏れたとしたら、こちら側の高圧系統を切ってしまって、もう片側の酸化剤側の高圧系統も切ってしまいます。そのあとは、ブローダウンの使い方をするようなことをひとつ検討しているところです。その後、ブローダウンしても何とかなるよう、当初のミッションをやり遂げられるように圧力等、事前に調整する対策を考えています。
 それと、自動的にそれを検知できないかというお話がありましたが、今はそういったことは考えていなくて、いわゆるリーク故障した場合には、それを見つけて手動で閉じることでリーク等は解除できます。「はやぶさ」のときもそれでとめましたので、そうすることで回避することができると思います。「あかつき」の場合はかなり長い燃焼を、ワンチャンスでやるミッションでしたので、やり直すことが出来ないという問題がありましたが、「はやぶさ2」で不具合があった場合は基本的にはとめて、その後、2系統ありますので、系統を切りかえてやることで十分対応できると思っています。検知をして、それをとめて、別系統の切りかえでやるということを手動でやって対応できると考えています。
 以上です。

【JAXA(南野)】 すみません。少し全体の考え方を御説明できていないので、少し今から御説明させていただきたいと思います。「はやぶさ2」のFDIRの設定の仕方ですが、ベースは「はやぶさ」をベースにさせていただいています。それは運用のシーケンスが基本的に「はやぶさ」と同じですので、そのシーケンスで設定をさせていただいて、ただし、「はやぶさ」から当然改良すべき事項、運用性や、あるいは実際の不具合が起きたときにどうしないといけないかについては、それは識別していて、それを改良点として盛り込んでいます。今回、「はやぶさ2」としては、特に各シーケンスに対してどういう故障モードが起き得るかを想定して、それを設計の中で項目として取り組んでいます。具体的な数字は今手元にないのですが、例えば今御指摘があったとおり、何かが異常な数値を示したら、シーケンスをとめるということは各フェーズで考えて組み込んでいる状態にしています。考え方としては、全体としてそういう考え方で設計をしています。

【鈴木特別委員】 それは前に御説明があったように、「はやぶさ」の反省を踏まえて、すべてのシステムを見直しているのですね。

【JAXA(南野)】 はい。全部の運用のシーケンスを、机上ですが、シミュレートして、どういう項目が故障モードとしてあり得るかを識別して、それに対してFDIRはどうするかという整理の仕方をさせていただいているという状況です。

【井上部会長】 そういう意味でいうと、ある種のしきい値を設けて、それを超えたら自動的に何らかのアクションに行くという機能は持っているという答えでよろしいですか。

【JAXA(南野)】 はい、そうです。

【井上部会長】 はい。どうぞ。

【澤岡特別委員】 今回の一連の変更で、重さは重くなったのでしょうか。

【JAXA(吉川)】 はい。この推進系は、先ほど言いましたように、0.5キログラムの増ということで、それほど質量のインパクトはなかったことになります。

【澤岡特別委員】 前回は大変厳しい制限があったということですが、今回はH-ⅡAを使うから、多少重くなっても構わないということでしょうか。

【JAXA(吉川)】 はい。探査機の全体の質量は、「はやぶさ」は510キログラムという制限でしたが、今回はロケットの能力的には600キログラムまでは、ロケットとイオンエンジンの能力、両方あわせて600キログラムまでは打ち上げられるということになります。

【井上部会長】 どうぞ。

【小林特別委員】 少し漠然とした質問というかコメントみたいな話ですが、ASTRO-Gからの隠れた大きな教訓は開発を進めると、途中で中止せざるを得なくなることもあるということを覚悟しておかないといけないことだろうと思います。それで、この「はやぶさ2」の、前の会議の議事録を見させていただくと、サクセスクライテリアの認識についての議論があったかと思います。サクセスクライテリアは実施した後の評価の際に使うというイメージが強いのですが、あの中には開発目標の項目がきちんと書いてあって、どういうレベルで完成しなさいとありますので、いわゆる開発段階での判断においても非常に重要な指針になるものです。例えばミニマムサクセスができない場合は、当然中止しますが、例えばフルサクセスの中の、例えば一部が危ないという場合にはどうするのだろうかと、非常に判断が難しいようなことも起こるのではないかと思います。そういうことについても少し、具体的な話までは当然できないと思いますが、腹積もりとして考えておられることを少しお聞きしたいと思います。

【JAXA(吉川)】 基本的にフルサクセスまでは必ずやりたいということで、当然ですが、開発を進めていて、気になるところは、特に「はやぶさ」で経験がない部分が気になります。「はやぶさ」の不具合はたくさんありましたが、「はやぶさ」で経験したことは、それを直すということで対応できると思っています。新しい点は、先ほどの衝突装置と近赤外分光計の2点だと思っています。その2つについては、先行していろいろと試作をしたり、実験をしたり、検討していて、今のところは大きな障害にはならないという見込みはあります。

【井上部会長】 どうぞ。

【佐藤特別委員】 「あかつき」、ASTRO-Gのトラブルを受けて、このように対応していることは大変結構なことだと思いますが、一般的にリスク管理ということで考えると、今後とも何か突発的に起きる可能性も一般的には言えると思います。そのようなことを考えると、少し対応に時間がかかるということも可能性はあると思います。その場合、1999JU3に行くということで、確かにこれが唯一だということになっていて、最終打ち上げ時期が決まっているとすれば、それだったら中止せざるを得ないということになります。しかし、アマチュアが見つけている時代は、小惑星は極めて限られていましたが、今はプロがどんどん見つけている時代になっています。本当に科学の目的のために極めてサーベイがよくされています。適当なもの、代わるものがあるかどうかは全然わかりませんが、代わりになるような小惑星は、1年、2年しているうちに新たに見つかる可能性はあるし、今も未登録なものもあるだろうし、リスク管理の一つとしてそういうことのサーベイは持続されると思いますが、その点はどのようにお考えでしょうか。

【JAXA(吉川)】 まさに佐藤先生の言われるとおりで、我々もこれまでも1999 JU3以外の可能性のある天体はずっと探していましたが、最近、観測の数が非常に増えてきて、少し前の1カ月、2カ月ぐらい前に最新のデータを使って、もう一度、「はやぶさ2」の能力で往復できる軌道にある天体を洗い出しました。その中で、確かにC型は、この1999JU3だけですが、ただ、まだタイプのわかっていない天体が、オーダーで10個ぐらいですが、あります。これについては、国立天文台の渡部潤一先生に相談をしていて、渡部先生のコネクションで、観測の望遠鏡でスペクトルを観測してもらう方向で今動いているところです。地球に接近するこのような小惑星は暗くて、観測する機会が限られてしまっていますが、この秋から来年にかけて、3つぐらいですが、観測できるものがありますので、それは観測していただいて、例えばそれがC型だったりすると、今回のミッションに合うことになりますので、今そのような活動をしています。

【佐藤特別委員】 大変結構な話で、特に天文台とそのように連携が進んでいることは、成功に向けて、宇宙に行くために大変重要なことかと思います。そういう連携をますます広めていっていただいて、確実に成功するように目指していただきたいと思います。

【井上部会長】 先ほど、ASTRO-Gの教訓の反映の2ページに、新規開発として、近赤外分光計(NIRS3)があって、そのバックアップとして、「光学航法カメラによる代替観測」と書いてありますが、これの位置づけがよく分かりません。近赤外分光計を使って3ミクロン帯の観測をやらないと、水等がちゃんと見られないということだとすると、この光学航法カメラによる代替観測が可能ということは、何をおっしゃっているのかがよくわからない気がしましたが、どういうことでしょうか。

【JAXA(吉川)】 もちろんこの近赤外分光計の目的は水や含水鉱物がある場所を特定するということが目的で、その場合には3ミクロン帯と水の吸収帯の観測が必須になります。もちろんそのNIRS3がちゃんと性能が出ることを目指していて、今その方向で作業が進んでいますが、仮に打ち上げた後、現地に行ってみたら、何か温度が高過ぎて、近赤外分光計のノイズが上がり過ぎたとかというような、いろいろ想定はしていますが、さらに想定外のことがあった場合に備えて、今回、可視光カメラにフィルタをつけました。可視光でも水や含水鉱物に対応したバンドがあって、そのバンドに対応するフィルタを今回新しくつけました。「はやぶさ」のときはなかったのですが、そのバンドのフィルタをつけましたので、それを使って、可視光での撮像でもある程度、含水鉱物がある場所が特定できるという意味になります。

【井上部会長】 ほかの航法カメラを使ったものでも、ある種の情報は得られるということをおっしゃっているということですね。
 それからもう一つ、これも単なる確認に近いのですが、前回のときからひとつ設計変更のようなこととして、今回新たに、LIDAR(レーザー測距)が挙がっていますが、これはある種のパラメータのチューニングのような話で、今までの実績が十分使えている範囲の変更という理解でよろしいですね。

【JAXA(吉川)】 はい。そうです。

【井上部会長】 ほかにいかがでしょうか。
 それでは、次に進ませていただいて、前回の推進部会で御議論いただいた中でいくつか質問事項がありました。その質問事項についてJAXAに回答をまとめていただいています。
 それから、前回の推進部会や評価票において多くの特別委員から御指摘、心配いただいていた科学コミュニティとの連携等について、最新の状況をJAXAにまとめていただいています。それらについて説明をお願いします。

JAXAから推進5-1-4に基づき、説明があった。主な質疑は以下のとおり。

【井上部会長】 この資料の段階で御質問がございましたら、どうぞ。

【澤岡特別委員】 11ページの衝突装置についてコメントさせて頂きます。過去の推進部会では、爆薬を使って直径20センチメートルの銅板を秒速2キロメートルに加速して、500メートルを正確に飛ばすことはほとんど無理ではないかと、心配を申し上げてきました。10月に実寸のモデルを打ち出す試験が行われ、立ち会う機会がありました。岐阜県にあるカミオカンデの近くにあります神岡試験場で実機試験を見せていただきました。高速カメラを並べて撮った写真によると、銅の円盤がばらばらになるということはありませんでした。円盤がヘルメット状に変形して飛んでいく様子がきれいな写真として撮られました。心配のし過ぎだったということで安心しました。
 11ページに「衝突過程の観測必須」と書かれていることに対して、それは非常に難しいとおっしゃいましたが、私もほとんど不可能だと思います。1秒間に100万コマ程度の高速カメラは大変発達しており、簡単に手に入りますが、相当重量のあるものですし、高速現象を撮るには照明が非常に重要であり、現象が早ければ早いほど強い照明が必要です。照明装置は重いので、現実にはこれを観測することはほとんど不可能だと思います。従って衝突現象の観測はできないという前提で計画された方がいいのではないかと思います。

【井上部会長】 はい。どうぞ。

【横山特別委員】 今の流れではあまり関係ないことですが、途中退席しますので、期待を簡単に述べさせていただきたいと思います。
 「はやぶさ」が映画に取り上げられて、既に数本映画ができるというお話も聞いていますが、そうしたことからしても、「はやぶさ2」への国民からの期待はおそらくこれまでのミッションとは少し違ったタイプの高いものになるのではないかと拝見しています。
 「あかつき」のときにも先生方の真摯な対応によって、国民からはむしろ応援の声があったとは思いますが、震災を経て、リスクコミュニケーションといいますか、国民との対話、リスク対応が非常にまた違った意味で問われる時代になってきたように感じます。もちろん原発などと違って、そのリスクが直接個々の国民に降りかかってくる、予算的な面ではそうかもしれませんが、そういったタイプのものとは少し違うとは思いますが、まだ開発段階のこういう時期ではございますが、早いうちからのリスクコミュニケーション、リスク対話の可能性や対応のようなものは何かしらお考えのことはございますか。

【JAXA(吉川)】 コメント、どうもありがとうございます。まだ具体的にそのようなことまで、頭が回っていないのですが、当然、ミッションとして「開発」移行を認めていただいた後になりますが、「はやぶさ2」は特に技術と科学ということが大きなテーマですので、そこら辺を広く皆さんにアピールするようなことをしていきたいとは思っています。

【横山特別委員】 JAXA全体としてはいろいろな御経験があると思いますので、そういう組み合わせで十分対応していけるのではないかと思います。原発事故等の後によく言われるのは、リスク管理をしていたものをこうした中だけで閉じておくだけではなくて、そのプロジェクトのページにわかりやすく掲載しておくなど、事前からの情報提供がいろいろなところで効くと言われていますので、随分気の早い話ですが、今後期待しています。

【JAXA(山浦)】 ありがとうございます。JAXA執行役、探査を統括しています山浦と申します。今、横山委員がおっしゃったとおりです。実際大変うれしい悲鳴ですが、「はやぶさ」については展示がいまだに全国的に続いています。残念ながら、今年度でひとまずは一段落しますが、既に65万人の方に見ていただいています。そういう流れの中で、「はやぶさ」に関する理解をより深めたいという方がたくさんいまして、私も10月の終わりに九州でのタウンミーティングで対話をしましたが、そういうところを使って「はやぶさ2」という新しい計画がありますということは御紹介すると同時に、我々としては、少なくとも宇宙のプロですから、あのように結果オーライではなくて、しっかりと一歩一歩進めていき、今度こそは確実なミッションの遂行を進めていくことをむしろ主眼に置いて進めていますと申し上げました。
 御承知のとおり、いろいろ機会がございますので、これについてはいろんな形で、難しさと同時に期待していただきたいというところもあわせて御説明の機会はますます持ちたいと思っていますので、よろしくお願いします。

【井上部会長】 次の資料の説明をいただいた後にもまた戻ってくることができますので、次に進ませていただきます。お願いします。

JAXAから推進5-1-5に基づき、説明があった。主な質疑は以下のとおり。

【井上部会長】 ありがとうございました。
 それでは、どうぞ。

【林田特別委員】 非常に多くの科学コミュニティからサポートされている御説明、よくわかりましたが、逆にどの項目についてはだれがリーダーで、どういう組織が責任を持つというような具体的な責任を示す組織体制が少し見えませんでした。ほかのミッションによくあるようなサイエンスチームは組織されていないのでしょうか。

【JAXA(吉川)】 サイエンスチームは今できています。基本的には各サイエンス機器で、可視光カメラ、赤外線分光計、中間赤外カメラ、それから、距離をはかるLIDAR、さらには衝突装置と、物質分析であります。この6つのチームが今組織されていて、それぞれJAXA内の研究者や、JAXA外の研究者がPI(主任研究者)、主担当として今作業を進めていることになっています。

【林田特別委員】 聞き落としたのかもしれませんが、たしか最初の発表のときに外部の評価をしていただくような委員会もある等、いろいろ御説明はあったのですが、そういったものが組織表として資料の中にないので、できたらそういうものを一枚つけていただきますと、責任体制がはっきりしてよろしいのではないかと思いました。

【JAXA(吉川)】 はい。わかりました。

【井上部会長】 今いろいろなことが動いている部分も含めて、少しまとめて次の機会にでもつくっていただけるとよろしいのではないでしょうか。

【JAXA(吉川)】 はい。今まさに組織も強化していて、そういう組織表も今着々とメンバーが増えているところなので、整理してお見せすることはできます。

【井上部会長】 はい。それでよろしいでしょうか。

【林田特別委員】 はい。

【井上部会長】 はい。どうぞ。

【廣澤特別委員】 教えていただきたいのですが、サイエンスの1から4までの4つの項目に対して、衝突装置による実験は、必須であるのか、あるいはどれくらい深いかかわりがあるのか、あるいは最悪なくてもいいのか、その辺のところを、参考までに説明していただけませんか。

【JAXA(吉川)】 衝突装置は、ここの1、2、3、4でいいますと、特に2の衝突破壊・合体のプロセスというところに関係してきます。ただ、確かにここで言っている2は、もっと大きな、天体同士の衝突なので、衝突装置がやる衝突とはかなりスケールが違ってしまいますが、それでも衝突体をぶつけて、そのイジェクタがどのくらい飛び散るかなどを調べることによって、小規模な衝突で何が起こるかがわかりますので、それを大規模な衝突の研究に延長していくという感じになります。
 それからもう一つ重要なのが、エクストラサクセスに分類されていますが、衝突装置で穴を開けた内部の物質をとることによって、先ほどの有機物に関する情報を得るというものです。表面の物質も当然とりますが、表面ではなくて、内部の物質をとることによって、さらに有機物に関する情報が増えるのではないかと思っています。

【井上部会長】 はい。ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

【鈴木特別委員】 11ページの図ですが、非常に魅力的ですが、表だけ読んでもこれを調べるとなぜこういうことがわかるのかがさっぱり素人には見当がつきません。そういう意味で、前から言われていますように、こういうものは国民のサポートが必要であり、特に若者の興味を引くことが非常に重要であると言われていますので、そのあたりはまずは「はやぶさ」の科学的な成果の発表をもう少し行って、それプラス、これからの課題かと思いますが、こういうことをやるとこういうことがわかりますというようなPRが非常に重要だと思いますが、そのあたりは考えていますか。

【JAXA(吉川)】 まさにおっしゃるとおりで、実はこの図は我々が一番上流と呼んでいるところで、この後、これを少しブレークダウンしたものが中流になって、さらに各機器の仕様まで細かくしたものを下流と呼んでいます。この図は全体だけですが、これを少しブレークダウンした中流というところで、これをやるとこういうことがわかるということが今整理されています。

【鈴木特別委員】 そういうのを、もう少し一般的に、特に子供にわかりやすいようなPRをすることが非常に重要だと思います。ぜひそのあたりは考慮していただきたいと思います。

【JAXA(吉川)】 はい。ぜひそのようなことをやっていきたいと思います。

【高柳特別委員】 私がつとめている地域の映画館で開かれた「はやぶさ」の特別試写会に呼ばれ、子供たちと話をした時ですが、質問の中に「はやぶさ2は本当にできますか」と聞かれました。私としては、ひとまず、一生懸命、科学者は現在それに向けて頑張っているという話をしました。ですから、実施に向けた流れが定まったら、効率的にきちんと一般社会の人に、このプロジェクトが、こんなワクワクするテーマだということを知らせてほしいと思います。
 それから、ワクワクついでに聞きたいのですが、アメリカのターゲットの1999RQ36のtypeがOthersになっていますが、これはS型でもC型でもないのですか。

【JAXA(吉川)】 これは今B型と言われていて、C型に近いのですね。

【高柳特別委員】 なるほど。このような大きいテーマだと国際的にサイエンティストはみんなターゲットをどこかに持っていっているはずですから、国際的にどうなっているかも少し知りたいなということです。

【井上部会長】 ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。

【佐藤特別委員】 前回聞いたときから随分サイエンスの話が充実しているので、大変私も喜びまして、この中でいろいろありますが、特に興味があったのは、宇宙理学委員会や、宇宙工学委員会との連携が進んでいるということです。今回のミッションは、ISAS(宇宙科学研究所)のミッションではなく、JSPEC(月・惑星探査プログラムグループ)ですから、評価等いろいろなことが違うということを井上部会長から、この評価が始まるときにお聞かせいただいたのですが、それにもかかわらず、このようにちゃんとした連携が進むことは本当にいいことだと思います。
 それで、これに書いている具体的なことですが、どのように連携が進められたのでしょうか。宇宙理学委員会にタスクフォースができるとか書かれていますが、宇宙工学委員会についてはあまりはっきり書いていません。以後どのように2つの連携が進んでいくのか、JSPECとの関係はどのように組織的に整理されているのか、少しお聞きしたいと思います。

【JAXA(吉川)】 はい。JSPECとの関係は少し置いておいて、宇宙理学委員会のタスクフォースは、宇宙理学委員会が、理学委員だけではなくて理学委員以外の惑星科学あるいは天文学に詳しい研究者を集めて、「はやぶさ2」をまず見ていただいて、さらに抜けているところはないか、このようなことをやったらよりサイエンスが深まるのではないか、そのような議論をまさに今始めていただいたところです。
 今月あるいは来月の前半ぐらいまでをめどに最初の取りまとめをしていただいて、さらにこの議論はそこで終わりではなくて、その後も「はやぶさ2」が実際に動き出した後も継続して議論をしていただくようなことを考えています。

【佐藤特別委員】 そうすると、ずっと「はやぶさ2」の実施まで継続的に、「はやぶさ2」に対するアドバイザリーのようなことをずっと続けていくことになったということでしょうか。

【JAXA(吉川)】 はい。場合によってはそのまま「はやぶさ2」のサイエンスチームに入っていただいてもいいと思っていて、そのような感じで広く、多くの、いろいろな見方の科学者に加わってもらいたいと思っています。

【佐藤特別委員】 全くそのとおりですね。本当にそのような連携がますます強くなっていただくことを希望したいと思います。
 宇宙工学委員会との連携は具体的には進んでいないのでしょうか。

【JAXA(吉川)】 宇宙工学委員会はまず御説明をした段階です。「はやぶさ」の初号機は工学ミッションということで、初号機のLessons&Learnedは工学的にはかなりまとめられていますが、それが「はやぶさ2」のシステムや工学関係にきちんと活かされているかどうかあたりを宇宙工学委員会の目でも見てもらいたいと思っていて、これはこれからになります。

【佐藤特別委員】 それから、前回、日本惑星学会の名古屋大学の渡邊先生にいろいろお話を聞かせていただきましたが、その中で、具体的に「はやぶさ2」に搭載する機器についてもこういうのがいい等いろいろおっしゃったと思います。そのことについての議論というのは行われたのか、それはもう不可能だと決めているのか、そのあたり少しお聞きしたいと思います。

【JAXA(吉川)】 渡邊先生も先ほどの「はやぶさ2」のサイエンスを考える会のコーディネーターをされていて、一番最初に名前を書いていますが、この「はやぶさ2」のサイエンスを考える研究会でいろいろと議論をさせてもらっていますし、あと個別にも随分渡邊誠一郎先生とは議論させてもらっています。確かに新しい機器を今から載せるのはなかなか厳しいのですが、現状の機器をどうやるか、あるいはどう運用していくかによって、サイエンスのアウトプットを大きくするというような議論は渡邉先生とも一緒にさせていただいています。

【佐藤特別委員】 日本惑星学会のあたりは太陽系の起源等の本当の専門家ですし、そのあたりの連携をますます強めていただくようにお願いしたいと思います。

【JAXA(山浦)】 今の佐藤先生の御質問ありがとうございました。私も8月からこの仕事に携わるようになりまして、先ほどの2ページの一番下のポツにあります、10月20日のISASの宇宙理学委員会の宇宙科学をサイエンスの立場から議論するコミュニティの場に同席させていただきました。委員長は国立天文台の常田先生で、私の理解だとISASの外の方が議長というのは初めてだったと記憶していますが、いろいろな意味で非常にうまく進めていただきまして、私も大変感銘を受けました。一言で言いますと、出席された理学委員の先生方も、きょうは非常によかったと言われていました。いわゆる「はやぶさ」の科学的な成果や、分析の結果も聞けたし、それから、「はやぶさ2」のミッションがどうしてそういう制約があり、そのようなことをターゲットにしているかが理解できたということでした。実際、JAXA全体としては非常に恥ずかしいのですが、実は10月20日にここまでまとめて両ミッションのお話が、宇宙理学委員会でできたというのは初めてでしたので、非常によかったと思います。
 そこでは、先ほどお名前の出た名古屋大学の渡邉先生からも厳しい御意見をいただきましたが、それはそれで御意見としてここにありますタスクフォースというところを、これも常田委員長の御指示により立ち上げましたので、こういうところでより具体的な個別の意見交換、議論をさせていただいた上で、最終的に「はやぶさ2」のミッション全体として、みんなが納得するミッションにしていこうということが、非常にうまくまとまったと思います。
 あと、宇宙工学委員会についての御質問がありましたが、これはある意味、工学の立場からより確実に、技術的に前回トラブルが発生したところのフォローがどうなっているか、あるいは今後「はやぶさ2」で技術的に難しいところがたくさんありますから、そういうところをより多くの人がある種独立した視点で、どのようにきちんとやっていくかを宇宙工学の皆さんの立場で見ていただくことももう既に始めていますので、そういう形でこの10月20日と24日の結果として非常にうまく進んでいると、私も強く実感しています。

【佐藤特別委員】 惑星探査は純粋な理学のミッションではないという位置づけであることは理解していますが、サイエンスの成果を出すことが結果的にはこの評価につながることですし、今後ともよろしくお願いします。

【JAXA(山浦)】 はい。ありがとうございました。先生おっしゃるとおり、非常に折り合いが難しいのですが、そこをしっかりと実現させていきたいと思います。

【井上部会長】 ほかにはいかがでしょうか。

【池上委員長】 今の話に関連して、この前ここでいろいろ議論したとき、少なくとも了解は得られなくても理解してもらえるようにという提案を受けて、いろいろアプローチされたと思います。いろいろ議論している中で、修正を求める話は出てきましたか。つまり、新しくメンバーが加わることによって、別のことをやるようになったとか、あるいは中止したというようなことはありますか。

【JAXA(吉川)】 今のところ大きな変更はありませんが、ひとつ、一番今議論になっているのは、先ほどの衝突装置の衝突の現場をぜひデータとしてとりたいというところです。これは技術的に非常に難しいということもあって、ここは何かうまい方法がないかを今模索しています。ただ、できることはせいぜいイカロスの分離カメラぐらいのものを使うということしかできないのですが、それを使ってどこまでできるかを今、衝突のチームがかなり積極的に動いているというところです。

【池上委員長】 サンプルをとにかくとってくるということについては皆さん賛同していて、特に反対するということはないということですね。

【JAXA(吉川)】 はい。もちろんサンプルをとってくること、サンプル自体についてはそれが第一の目的ということで、そこは全然反対はありません。

【JAXA(山浦)】 私のオブザベーションですが、先ほど鈴木委員から、わかりにくいという御指摘のあった11ページは、私はディスカッションのアウトプットとして非常に大きなものだと思います。委員長がおっしゃったのはまた別な視点かとは思いますが、あのようないわゆる本当の、最上位から1回整理してみようではないかというところで、あのような絵がまずは、わかりにくくても、専門家の皆さんから見ると、そうだなというところに至ったというところが一つの前進だと思っていますので、あとはこの部分を100%実現することができるかどうかだと思います。私はサイエンスに明るくございませんのでわかりませんが、いずれにせよ、そういう中でサイエンティストの皆さんがここのところで自分だったら貢献できるというマップができたというのが私の理解でございますので、あとは非常に現実的なところとの折り合いの中でどうしていくかというところを、なおのこと科学的な意義の点から説明できる出発点がここにある、という状況だと思っています。

【池上委員長】 今のことについて私も実は同じ思いでして、私も宇宙の専門家ではありませんが、もちろん技術はずっとやってきているのですが、今、NHKでやっている『コズミックフロント』の大ファンでして、よく見ています。JAXAの人もあれを見た方がいいのではないかと思うぐらいです。そのファンとして11ページの図を見ますと、先ほどお話があったように、一体、だから、何ですかという質問が出てきます。その仮想の部分についてもコンピュータシミュレーションで、いろいろ検討されていますし、JAXAの中でも、それがわかればどんな新しい考えが生まれるのか、うまく説明していただきたい。それは、もしかしたら吉川さんの仕事ではなくて、サイエンスミッションの、サイエンスをやっている方のお仕事かもしれませんが、その辺もぜひわかりやすくするような、何がわかってどうなのかというようなことまで言及されると非常にいいと思います。そういう点からもコズミックフロントはよくできていると思いますので、ぜひ研究者もばかにしないでごらんになった方がいいのではないかと思っています。

【JAXA(山浦)】 それこそまさに佐藤先生がおっしゃったオールジャパンとしての説明をきちんと、我々JAXAだけでできない部分は本当にいろいろな外の方に一緒になってやっていただくというところかと思います。

【井上部会長】 そういう意味では、こういうミッションは、打ち上げというある種の期限がある中で、ある種の制約があることと、サイエンス側がこのようなことをやりたいということをどこかで折り合いをつけていくということで、やっとその辺が動き出したと感じています。先ほど佐藤先生からも御指摘があったようなバックアップ天体についても、国立天文台も含めてその辺の活動が始まったことは非常にいい方向になってきているのではないかと感じます。
 あとそれから、先ほどの質問の整理、回答の3ページのところの、ロードマップの「はやぶさ」の位置づけという質問に対して、宇宙探査の面があると思います。先ほどの宇宙工学委員会のかかわり方のところに関連しますが、宇宙探査の一つの柱となるような、これからの宇宙探査についてきちんとした日本の技術をつくっていくという意味で、「はやぶさ2」でやるべきことが出てきているという整理がもう一つあってもいいかなと思います。宇宙工学委員会がもっと長い、長期的な宇宙空間を使っていく技術をつくっていくという点で、一緒に考えることが行われるといいなということを、少し私の立場から言うのは言い過ぎかもしれませんが、感じるところです。

【JAXA(山浦)】 おっしゃるとおりです。

【池上委員長】 すみません。少しまだ時間があるので補足させていただいてよろしいですか。
 今日の資料5-1-4の3ページに「宇宙探査ロードマップの中のはやぶさの位置付け」というところがございます。御存じでない方がいらっしゃると思うので少し補足しますと、この右の4ページの絵は、今年の9月に、これから1年間ぐらいかけて、これについていろいろ調べて、そこでもう一度議論しましょうというフレームワークとして示されているものです。あくまでもフレームワークとしてですから、決定とかそういう話ではありません。一つは、月に行った後、小惑星に行って、最終的には火星という道。それからもう一つは、前段階にいろいろありますが、小惑星に行って、それから月に行って、火星に行く道。この2つについて検討しようということです。
 これをNASA(米航空宇宙局)流にいいますと、今まではディスティネーション・オリエンテッドで、どこへ行くのかということを決めてやってきたのですが、今、それよりはむしろケイパビリティ・オリエンテッド、要するに、具体的にこの道をたどろうとしたらどうなるかということについて、この2つの道について検討しようということになっています。
 ここで戸惑うのは、アステロイドは一体何だという話がありまして、NASAのなかでも、木星の近くまで行くのならば、火星に行く方が近いのではないかとか、そういう議論もある中で、ここで、アステロイドが挙がっています。もしかしたら、そのラグランジュポイントに何か置こうというような話がここから生まれてくるかもしれない。いずれにしても、それをやる上で、ISS(国際宇宙ステーション)が一つのステップになるということは共通に認識されているという絵です。
 議論しているところは、ISECG(国際宇宙探査協働グループ)ですが、立川理事長はあくまでも任意団体であり、決定するところではないと言っています。確かに、コーディネーションとしていろいろなことを議論しています。最終的にJAXAを含め、あるいはNASAを含め、それを採用するかどうかということを決めていくのでしょうが、今、形の上ではフォーマルには宇宙機関がこれにタッチしているというような形にはなっていません。
 ただ、今なぜこういう議論がNASAでも必要になってきたかといいますと、スペースシャトルが終わった後、ある意味では、目標を立てにくくなったということです。NASAはSLS(スペース・ローンチング・システム)という、130トンまで打ち上げ能力を持つ、サターンⅤよりもさらに上のロケット開発をやろうということを言っていますが、これは地球上で宇宙空間を利用するという範疇を超えた能力を持っています。
 それともう一つは、マルチパーパス・クルー・ビークル(MCV)、有人のカプセル等々の話がありますが、これも、将来地球の周辺の宇宙以外に行くということを前提にしているように見えます。いずれにしても、目標を明確に決めることが今できないので、SLSやマルチパーパス・キャリング・ビークルという呼び名でもって、技術開発はやっていきますが、それを引っ張るストーリーが今のところは明確ではありません。そのストーリーをエクスプロレーションという形でもう少し明確にしようという一つの考え方があります。
 あとはヨーロッパも、ISSまではいいのですが、ISSの後のエクスプロレーションをどうするかという議論を2週間ぐらい前から始めています。彼らは国際協力を前提に何をやるかという視点で議論していると思っていますが、むしろそのISSの後をどうするかということの議論を始めようとしています。サイエンスミッションは当然、基盤になっていますが、さらにその上にエクスプロレーションというものをもう一度考えなくてはいけないというのが全体としての動きになっています。おそらく私の予想では、エクスプロレーションはもう一度きちんと議論されることになるでしょう。その議論に関連して、よくこれはアメリカの人たちと話していて言うのですが、「How」だけではなくて「Why」も議論する必要があるだろうと思います。そういう中で、NASAではディステネーションを決めるというよりは、むしろケイパビリティ・オリエンテッドでいろいろ議論しようということで進めています。世界全体がそのような動きがあるので、JAXAもぜひそれに乗り遅れることなく、ISECGの場できちんと議論してほしいと思います。
 日本で議論が進んでいない理由として、宇宙開発委員会が悪いということになるのは十分承知していますが、現状では宇宙開発委員会だけでできる話ではございませんが、我々もある程度の覚悟をし、日本全体としてきちんとした議論ができるようにしたいと考えています。
 今日の議論の中では、JSPECについてはあまり触れられなかったのですが、工学委員会とJSPECではエクスプロレーションについてまともにきちんと議論しなくてはいけないと思っていまして、そこともいろいろ接触をとりながら進めていきたいと思っています。

【JAXA(山浦)】 ありがとうございます。エクスプロレーションという視点になりますと、輸送系も範疇ですし、ISSのような人間の長期滞在もありますし、観測も相手が地球でなくて、さっきのお話ではありませんが、小惑星なり、火星なりというようなことからすると、リモートセンシングとか、ありとあらゆる要素を含んでいますので、まさにJAXA全体になってしまいます。そういう視点でこれからどのように、一番いい形で仕上げていくかは、各国ともいろいろとありますし、NASAも探査とISSの組織を統合したというようなこともありますし、これから進展に沿っていろいろ体制はあろうかと思います。
 それからもう一つ申し上げたいことは、よくロボティクスは無人のミッションで、それに対して有人という2つの対立概念のような言い方をされます。しかし、二、三週間前にインターナショナルで話したときに、明確に今、議論すればするするほど明確になっているのは、無人というところで2つあるということです。有人に対する無人の意義ですが、サイエンスは当然ありますが、有人でもあるのでしょうが、無人はとにかく有人をする前のプリカーサというところで人間がいない中で難しい技術を確実にするということと、それから、有人ミッションとセットで、有人ミッションを助ける無人のミッションという、2つの概念があります。その中で、この「はやぶさ」をどう位置づけるかというと、このプリカーサとしての個別具体的な技術の実証の場であることは間違いないと思っていますので、それ以上の詳しい話は今日は避けますが、御指摘いただいたように、より明確にそういうところを位置づけながら進めていきたいと思っています。

【井上部会長】 はい。ありがとうございました。
 大きな話に議論が動いてきたような気がいたしますが、これについてはJAXAや「はやぶさ2」ということよりも、もう少し大きな視点での議論をまたそういう機会が設けられるものでしたら、改めてさせていただきたいと思います。
 この機会にぜひ言っておきたいということがもしございましたら。
 よろしいでしょうか。それでは、もし御意見等、御質問がまだございましたら、これは次回までに事務局まで言っていただくこともできますので、これで今までの議論は打ち切らせていただきます。
 では、その他、連絡事項について事務局から説明をお願いします。

(2)その他

事務局から参考5-1に基づき、説明があった。

【井上部会長】 それでは、以上で本日の議事を終了したいと思います。
 では、閉会といたします。どうもありがとうございました。

(説明者については敬称略)

お問い合わせ先

宇宙開発委員会事務局

(研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付)