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平成22年宇宙開発委員会(第34回) 議事録

1.日時

平成22年9月22日(水曜日)14時~15時10分

2.場所

文部科学省18階 宇宙開発委員会会議室

3.議題

  1. 準天頂衛星初号機「みちびき」のクリティカル運用結果について
  2. 小型実証衛星1型(SDS-1)の成果概要と運用終了について
  3. 人事案件について(非公開)
  4. その他

4.出席者

委員

池上 徹彦  (宇宙開発委員会委員長)
井上 一   (宇宙開発委員会委員)
森尾 稔   (宇宙開発委員会委員)

文部科学省

加藤 善一  (文部科学省大臣官房審議官(研究開発局担当))
佐伯 浩治  (文部科学省宇宙開発利用課長)
松尾 浩道  (文部科学省研究開発局参事官(宇宙航空政策担当))

(説明者)
寺田 弘慈  (独立行政法人宇宙航空研究開発機構 宇宙利用ミッション本部 準天頂衛星システムプロジェクトチーム プロジェクトマネージャ)
中村 安雄  (独立行政法人宇宙航空研究開発機構 研究開発本部 本部長代理)
平子 敬一  (独立行政法人宇宙航空研究開発機構 研究開発本部 宇宙実証研究共同センター センター長)
高島 健   (独立行政法人宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究本部 宇宙プラズマ系准教授)
瀬下 隆   (文部科学省研究開発局参事官補佐)

5.議事録

 【池上委員長】 34回の宇宙開発委員会を進めたいと思います。今日は議題が3つございます。

(1) 準天頂衛星初号機「みちびき」のクリティカル運用結果について

【池上委員長】 最初に、準天頂衛星の初号機「みちびき」のクリティカル運用結果について、報告をお願いいたします。

 準天頂衛星初号機「みちびき」のクリティカル運用結果について、独立行政法人宇宙航空研究開発機構(寺田 プロジェクトマネージャ)から報告があった。(委34-1参照)

【井上委員】 送信出力低下というのは、どういうことが原因だというようなことはもうわかっているんでしょうか。

【JAXA(寺田)】 まだ詳しい原因はわかっておらず、現象だけしかとらえていません。原因については、今後究明していきたいと思っています。

【井上委員】 でも、今後、オフしてしまうとすると、その調査はその前にやっておくというようなことになるんですか。

【JAXA(寺田)】 そうですね。それも含めてやりたいと思っています。

【井上委員】 細かい質問かもしれませんけれども、三軸制御というのは、地上をリファーして制御するような機能なんでしょうか。

【JAXA(寺田)】 はい。基本的には、地球センサで地球をとらえて、ヨー軸とピッチ軸、これを制御します。それからあと、IRUという慣性センサでヨー軸を制御します。そのほかに、定常段階になりますと、スタートラッカーも使って制御いたします。今はまだスタートラッカーでの制御には入っていないんですけれども、地球センサと、それからIRUで今制御しているところです。

【井上委員】 軌道は、専ら地上でのある種の軌道決定に基づいて随時補正をするというようなものなんですか。

【JAXA(寺田)】 この測位衛星は軌道の変換をやると、その間、軌道が定まらないため、測位ができないので、できるだけ軌道制御は少なくしています。ですから、軌道制御そのものは1年に2回とか、そのぐらいの頻度でしか行いません。しかし、軌道決定については、信号の測距精度を決めるために最も重要なファクターでございますので、かなりの精度で決める必要がありまして、その決め方としては、国内外に設置する9局のモニター局で、ちょうどGPSの逆のやり方で測距いたします。それで、軌道を決めます。

【池上委員長】 その場合、アメリカのGPSも使いながらやるのですか。

【JAXA(寺田)】 アメリカのGPSは使いません。

【池上委員長】 完全に独立してやるのですね。

【JAXA(寺田)】 はい。おっしゃるのは、例えば「だいち」とか、そういうのは衛星に搭載されているGPSレシーバーで位置を決めるということでございますけれども、「みちびき」にはGPSのレシーバーは搭載されていません。軌道もGPSよりも高い軌道を通っていますので。

【池上委員長】 高い、そうでしたね。
 あと、アポジは位置を制御するときに随時噴いているんですか。

【JAXA(寺田)】 もうアポジエンジンも使いません。5回使った切りで、あとは小型の22ニュートンのスラスタで軌道の位置の制御と、姿勢の制御、これは基本的にはホイールの中に外乱をためていくんですけれども、そのホイールのアンローディング、いわゆる外乱を放出するときにそのスラスタを使います。

【池上委員長】 そういう意味で、燃料の余裕というのはどうなのですか。

【JAXA(寺田)】 現在500キロぐらい残っています。このうちデオービット用の推薬とか、無効推薬とかがあるので、それが大体200キロになります。そのうち100キロがデオービット用です。運用が全部終わった後に、近地点が静止軌道より低いので、その近地点を静止高度よりも1,000キロぐらい上げてほかの静止衛星と干渉しないようにするためのマヌーバのために約100キロ使います。それからあと、酸化剤と燃料がきれいになくなればいいんですけれども、どっちかが先になくなったときを考慮して、約80キロの無効推薬を積んでいます。それで180キロぐらい、いわゆるリザーブしておかなきゃいけないんですが、それを除いて今300キロ以上ありますので、10年以上の寿命、燃料に関しては12年は十分確保できます。大体年間10数キロしか使いません。

【池上委員長】 そうですか。そうすると、最後はデブリにするわけですか。地上に落とす、そんなことはできないですね。

【JAXA(寺田)】 地上に落とすことは無理です。静止高度よりも高いので。ですから、デブリにしないというか、静止軌道の衛星に迷惑をかけないようにするためには、近地点の方をずっと上げてあげます。

【池上委員長】 あと、地上からは見えるのでしょうか。

【JAXA(寺田)】 肉眼というか光学的にですか。

【池上委員長】 ええ。それは無理ですか。

【JAXA(寺田)】 特に日本上空ですと、静止衛星よりも高いですから、難しいかもしれません。

【森尾委員】 幾つかあるんですけれども、今の関連では、日本の運用している静止衛星と一番距離が近くなるときはどれぐらいまで近づきますか。

【JAXA(寺田)】 今遠地点が約3万8,000キロで、近地点が3万3,000キロぐらいですから、そもそも静止軌道とは交わらないんです。

【森尾委員】 一番近いときでどのぐらいですか。

【JAXA(寺田)】 済みません、何キロあるかというのは……。

【森尾委員】 1,000キロくらいですか。

【JAXA(寺田)】 1,000キロ以上あります。

【森尾委員】 ホイールですけど、回転数の設計上の中心というのはゼロですか。

【JAXA(寺田)】 マイナスもプラスもゼロをクロスするホイールです。

【森尾委員】 クロスじゃなくて。

【JAXA(寺田)】 はい。

【森尾委員】 ゼロを基準にして、回転数がどんどん上がってくると、エンジンを吹かしてまたゼロに戻すと、そういうことですか。

【JAXA(寺田)】 そうです。

【森尾委員】 それから、5ページにありました測位信号の送信開始の前のいろんなミッション機器の起動というのがありますね。起動が終わって測位信号の送信開始というのは、たしかこの衛星は地上の標準時計から電波をもらって構成するような仕組みでしたよね。

【JAXA(寺田)】 それは2つあって、1つは、AIST、産業技術総合研究所が行います、まさに地上から擬似時計実験といって、あたかも原子時計が衛星に乗っているかのような、その実験については地上の時計でございますが、この準天頂衛星には原子時計が2台乗っていまして、そちらをまず行います。

【森尾委員】 あと実験として、地上の原子時計が技術的にGPSの標準時として使えるかどうかを実験されるのですね。

【JAXA(寺田)】 そうですね。

【森尾委員】 それから、半導体チップの要請があったということですけど、これ、もっともっと早くあった方がいいと思うんですね。打ち上がったときにはすぐチップができているぐらいに。何でこんなに遅いのでしょうか。

【JAXA(寺田)】 我々としては、少し前から、「みちびき」からはこういう信号が出ますよという仕様を公開して、いつでも作ってくださいという形で情報を公開していました。ただ、実際、「みちびき」が1機しか上がらない状態では、やっぱり投資効果がないといいますか、実用にならないだろうというある種の判断があって、そのチップ開発について踏み切れなかったようなんですけれども、ここへ来て実際に初号機が打ち上がったことと、大臣の発言にあるように、2号機、3号機も前提に議論するというような、そういう環境の変化によって開発を決めたのかなというふうに考えています。

【森尾委員】 相当複雑なチップですか。それとも、従来のGPSのチップにちょっとした程度の改造というか、その程度ですか。

【JAXA(寺田)】 はい、その程度だと考えています。もともとはまさにGPSとほとんど相互運用性がある中で、若干メッセージのタイプが違うところを読み込めるようにする、計算できるようにするということなので、それほど大きな改修ではないと思います。

【池上委員長】 今のに関連するんですが、端末は何台ですか。100台ですか。

【JAXA(寺田)】 一応200台を作って、ロガーに入るものとPDAに入るものとに分けますが、受ける受信機そのものは200台です。

【池上委員長】 両方の電波が受かるようになっているのですか。

【JAXA(寺田)】 GPSと「みちびき」が受かるようになっています。

【池上委員長】 例の精度1センチの話と……。

【JAXA(寺田)】 1センチの方は、これはまた別なLEX信号というやつを受けなければいので、こちらについては、まだここまで小さくはできていません。

【池上委員長】 これはGPSの補完のものが200台ということですか。

【JAXA(寺田)】 はい。補完と、それから精度約1メートルのL1-SAIFの信号が受けられるということで、それが受けられるタイプの受信機です。

【池上委員長】 そうすると、1センチの方はまだ端末は配ってないのですか。

【JAXA(寺田)】 1センチの方は、まだ多くの人にデモンストレーションしてもらうほどの準備がまだできていないということです。

【池上委員長】 一応試作機みたいなものは既にあるわけですか。

【JAXA(寺田)】 はい。

【森尾委員】 今この衛星は、日本の標準時間で何時から何時まで天頂にいるのですか。

【JAXA(寺田)】 朝の7時を中心にプラス・マイナス4時間ぐらいですね。

【森尾委員】 それは、季節というか、変わっていくのですか。

【JAXA(寺田)】 はい。1日4分ずつずれていきます。1年たつともとに戻ります。

【森尾委員】 朝の7時プラマイ4時間……。

【JAXA(寺田)】 申し訳ありません。先ほど朝7時と回答したのは間違いで、夜の7時です。夜の7時に日本の上空にあります。

【池上委員長】 あと、全体の実験が終了するのは予定ではいつでしたか。

【JAXA(寺田)】 全体の実験終了ということについては、いろいろな機関がそれぞれある意味で個別に定めていまして、一応JAXAとしては、第2期の中期計画の終了までは実験を続けていこうと考えています。ただ、その前に1年間で成果を評価する予定です。

【池上委員長】 2機目、3機目をどうするかというのは、今戦略本部で議論していますよね。

【JAXA(寺田)】 そうですね。その評価にたえるだけのアウトプットを、夏ぐらいまでには出したいというふうに考えています。

【池上委員長】 さきほど井上委員の方から質問があったんだけれども、出力低下、これはわかる範囲で原因を明らかにしておいてください。電源周りとかいろいろ心配なので。

【JAXA(寺田)】 そうですね。そちらは別途調査いたします。

【池上委員長】 ほかによろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
 寺田さんはいつまでプロマネをやっていることになるのですか。

【JAXA(寺田)】 わかりません。

【池上委員長】 少なくとも1年間はやっているのでしょう。

【JAXA(寺田)】 わかりません。私はやりたいと思っています。

【森尾委員】 2号機やるとしたら、最速でどれくらいですか。

【JAXA(寺田)】 今その決定をやっているところです。一応、非常に初期の検討では、原子時計とか、かなり長納期の部品があるので、部品の発注から打上げまで約4年かかるかなと思っています。ですから、もし例えば原子時計とか、そういう長納期の部品を早目に発注できれば、その分、早く打ち上げられるということです。

【森尾委員】 やるなら早くやった方がいいですね。

(2) 小型実証衛星1型(SDS-1)の成果概要と運用終了について

【池上委員長】 それでは、次の議題に移ります。小型実証衛星1型、これはSDS-1というふうに呼んでいましたが、それの成果概要と運用の終了について、これをお願いいたします。

 小型実証衛星1型(SDS-1)の成果概要と運用終了について、独立行政法人宇宙航空研究開発機構(中村 本部長代理、平子 センター長)から報告があった。(委34-2参照)

【森尾委員】 今までですと、例えばDRAMとかCPUも最先端のものは放射線の影響下でうっかり使えないというのがあって、すごく慎重にやっておられたと思うんですけれども、今回のこの結果から、かなり最先端のものでも思い切って使って大丈夫だと言えると言っていいんでしょうか。

【JAXA(平子)】 ここで、マイクロプロセッサ軌道上実験装置で使った部品、これは宇宙用としてそもそも作ったものですが、320MIPSという非常に高速で使っているので、今までの衛星で使っている以上の速度で使っています。それでも使えますよという実績がどんどんできているというところです。

【森尾委員】 これから開発される衛星には、こういうものが使われると思っていいのですか。

【JAXA(平子)】 はい。

【森尾委員】 320MIPSといったら、宇宙用としては速いようだけど、携帯電話に入っているような程度ですから、そんなにすごいものでもないと思うんですね。ただ、宇宙用は特殊なプロセスを使うという、従来、非常に大きなメモリとか使っておられたと思うけれども、マスクルールが一昔前のを使われていましたね。今後は非常にコンパクトなものが使えると考えていいですね。

【JAXA(平子)】 はい。

【井上委員】 細かいことを含めて幾つか。まず、2ページのところに、当初計画以上の宇宙実証を行うことができたとおっしゃっているのは、エクストラサクセスに対応する部分のことができたという意味ですか。

【JAXA(平子)】 エクストラサクセスを超えて、例えばSWIMのところですと、軌道上での重力波計測と同じように、地上でも同時に重力波を観測する、同期をとってやる、そういうふうな新しい観測手法が使えることの実証までをやったので、それは、エクストラより超えた部分です。

【井上委員】 そういうことを含めておっしゃっているわけですか。今のこと、ちょっと聞きたかったところなんですけれども、宇宙-地上同時の重力波観測運転というのが多分、御専門ではないのかもしれませんけれども、ちょっとこの意味がよくわからなかったんです。とても重力波をはかるようなレベルのことをやっているのではないんだと思うんですけれども、同時の観測運転という意味がちょっとよくわからなかったんですが、これは何を言っているんですか。

【JAXA(高島)】 そもそも、今回はSDS-1が、20年先、30年先を見て重力波天文を考えたときに、まず第一歩として、重力波をまずは検出する検出器そのものの搭載実証をしようということです。実は、これは地上では、地球の重力がある中での試験というのは非常に難しいので、宇宙空間でまずやりましょうということで、SWIMという形で今回SDS-1に搭載しています。
 その中で、今回、地表と衛星の同時観測というのは、実はこれは将来的な、先ほど言った重力天文ということになると、重力波がどこからどの強さで、どんなものが飛んできたのかわからなければいけない。そのときに、地上と衛星という2点をとっていると、基線長によって、星の位置を決める電波天文と同じで、どの方向から来たかがわかる。
 もう1点、実はこのSDS-1を使ってよかったのは、常に衛星は回っていますので、SDS-1の位置が変わっていく。ということは、常に観測する位置の軸がずれていくために、要するに、重力波がどこから飛んできていますかというのを全天サーチしているような状態になっている。
 そういった技法自体が、実は電波観測なら当たり前のようなことなんですけれども、重力波でやるとすると、地上の雑音を消さなければいけない、衛星上の雑音を消さなければいけない。そういった手法自体が実は今まで宇宙空間で重力波検出器なるものを動かしたことがないということで、そもそもその解析の仕方、考え方自体がまだきちっと定まっていない。
 そういったことを経験し、どうしたら次の段階できちっとした計測ができますかといったものを試すための実証試験として、地上-衛星同時観測というのを今回試みたということになっています。

【井上委員】 地上と言っているのは、何かある種のシミュレーション的なことをやったということですか。

【JAXA(高島)】 はい。地上にも重力波観測装置をもちろん置いて、両方で同時刻に動かしてやって、その2つのデータから時間情報を含めて比較して、どういったような解析の仕方をすれば、ごく微小な信号を取り出せますかといったことの検証、というよりは解析手法の確立的なものを行ったというのが今回の試験でした。

【井上委員】 ここで、ちょっとこれも細かいですけれども、精度という意味では、軌道上でどれだけ相対的な運動をキャンセルするというか、その精度が十分思っていたところまでいけたということなんですか。

【JAXA(高島)】 逆に言うと、実はどの程度まで精度が迫れるかというのが今回の検証の1つでした。要するに、衛星自体は完全にフリーな状態、ちょっとだけ説明させてもらうと、宇宙空間に今回、アルミの塊のマスを置いてやる。静止空間に力がなければ、そのマスの位置を保っているんですけれども、結局は衛星自体がやはり揺れる。それは当然リアクションホイールもある、パドルがものすごく長い時間をかけて揺れることもある。そういったものを全部計測しているというデータが、実はとれています。ですから、どういったノイズ源があって、それに将来はどう対応しなければいけないかという詳細データが今回とれたというのが重力波検出器としての成果だと考えています。

【井上委員】 わかりました。

【森尾委員】 でも、これを地上で同時にやると、地上でも観測点の震動が非常に問題になって、多分、非常に静かなところでも、1ミクロン以下の加速度とか問題になるのではないでしょうか。

【JAXA(高島)】 衛星の方は大きいものは作れないですけれども、地上はある意味、巨大なものができますので、今回、衛星に載せたものは、1つのモジュールが1キロぐらい、このぐらいなんですけれども、同じものを地上で今回観測して、当然、ノイズを下げるために100キロクラスの、こういうベッセル容器の中に、温度の影響、風も受けない真空装置の中に入れた形で計測したということで、地上の装置の方はかなり精度が出ています。そういった意味では、宇宙空間という静かなところではかったはずなんですけれども、やはり衛星の移動、リアクションホイール等の震動を受けて、ノイズレベルは衛星の方が高いというような結果も得ています。

【井上委員】 最後にもう一つ。今度は重力波じゃなくて、さっきのマイクロプロセッサのAMIですか、これでエクストラサクセスのところにエラー発生頻度が非常によく一致するという、これはモデルとしては放射線の環境のモデルが必要で、なかなかやるのが難しいという印象を持っているんですけど、そこまで結構な精度が出たということですか。

【JAXA(平子)】 シミュレーションでは、放射線モデルがあって、そのモデルでこの設計したチップであれば、ビットエラーはどのぐらいの頻度で起こるというのはシミュレーションできています。それに対して、母集団が増えてくると、だんだん分散が落ちついてきます。それと、軌道上でも何千ポイントというデータをとっていくと、発生頻度の3シグマ値がだんだん落ちついてきており、その数値がオーダー的にシミュレーションと合うということで、地上でのシミュレーションの環境モデルとシミュレーションの手法で、この部品が予測できますよということがわかったというのが、その部品を安心して使えるという背景になってきます。

【池上委員長】 小型だからいいだろうと、あまり議論しなかったのですが、このコンセプト、よくわからないですよね。今の話ですと、例えばSERVISでやっていることとどう違うのか。宇宙実証したから使って結構ですよという話でもないですよね。例えばマイクロプロセッサを宇宙実証やったので、どうぞ安心してお使いくださいというふうなところまでは言ってないわけでしょう。

【JAXA(平子)】 そういう意味で、安定して使えるということがここで言えています。

【池上委員長】 では、その部品をどんどん世界で使っても構わないわけですか。

【JAXA(平子)】 実際にこのHR5000は利用衛星でも使っていますし、これからも使う予定で計画されています。それに対して、この320 MIPS、高速で使っても大丈夫という意味で、部品の耐性が確認できている。その実績が増えているということです。

【池上委員長】 何か心配だったんですか。なぜ宇宙でやる必要があったんですかという単純な質問です。一応、半導体はプロだということを前提にお答えいただきたいんですが。

【JAXA(平子)】 私は半導体のプロではないのですけれども、今宇宙用で使っているHR5000は大体50MIPSで使っています。それに対して、320という高速で使ってみる。それによって、そこまでどれだけ使えるかという実績が、できているということで、今の使い方で非常に安心度が増えてくるということです。

【森尾委員】 同じものが、これとMIPSで使っていたのは、何というCPUですか。

【JAXA(平子)】 HR5000です。

【池上委員長】 どこで作っているものですか。それは民生品ですか。

【JAXA(平子)】 いえ、民生品ではありません。

【池上委員長】 宇宙用に作っているものですか。

【JAXA(平子)】 宇宙用として作っています。

【池上委員長】 アウトプットとしてどういうものが残ってくるのですか。今の話ですと、この部品は宇宙実証はできましたよということで、例えば海外の衛星メーカーが使えるわけですよね。もちろん、日本のメーカーは多分使うことになるのでしょう。そうすると、経産省がやっているSERVISと似たような感じになりますかね。リチウム電池の実証もやっていたし、たしかSRAMも載せたのじゃなかったでしたっけ。どう違うのですか。

【JAXA(中村)】 私の認識は、SERVISの場合には、どちらかというと、民生部品を宇宙に飛ばして、検証するという、そういう考え方でやったわけですね。例えば今回のHR5000につきましては、もともと宇宙用に開発した高密度のハイスピードの計算機として、今後使われる予定になっています。つまり、基本的にまず宇宙用として開発をいたしました。それから、地上でさまざまな評価試験をいたしました。したがって、地上では基本的に性能が出ているんですけれども、もう1つは、宇宙でそういったさまざまな複合環境が変わった中でもきちんと働くという、まさに軌道上できちんと動いたということを示すのが1つです。
 それからもう1つは、さっきちょっと冒頭申し上げましたように、さっき井上先生の御質問は、多分、軌道の放射線環境が何であったか、そもそものモデルに使ったのは何であったかという御質問かなと思うんですけど、それはこれまでの観測データ等をもとにいたしました宇宙環境のデータをとりあえずベースにして、モデルを入力して、それによって、例えばエラーの発生頻度等の解析をする手法がございます。それが軌道上で、ある程度の長期間、データを取得して分散が小さくなったことにより、かなりシミュレーションの精度がよくなりました。今後、この部品を実際に実装される環境で使っていくときに、そのときのエラーの発生頻度、それが精度よく事前に予測できるということが1つわかったということになります。この部品を使う、あるいは将来的には外に売るということに対しては、1つは宇宙を飛んだという実績と、もう1つは、そういった打上げ前のエラー発生頻度の予測の精度がある程度検証できたというところがこの部品に対する大きな成果だというふうに理解しています。

【井上委員】 私が聞きたかったのは、宇宙の放射線環境のモデルというのには、結構誤差があるものであるはずだから、それに合ったからといって、ある程度以上のことは言えないのではないかということです。それがとても非常によく一致すると書いてあるので、これはおかしいんじゃないかと思ったんです。

【JAXA(中村)】 わかりました。おっしゃるとおり、確かに、井上先生には釈迦に説法になってしまいますけど、まず放射線軌道環境については、JAXAの衛星にTEDAと称する環境モニターをやっていますし、それによるデータはあります。それからもう一つは、これも井上先生の方が専門家で申し訳ないんですけれども、当然、季節の変動なり年の変動があります。それで、ある放射線モデルを入れたときに計算をしました。それで、ここで非常によく合いましたという言葉が大変定性的で申し訳ないんですが、数字としては1けただったかな。

【JAXA(平子)】 数倍のオーダーでは合っています。

【JAXA(中村)】 大体合い方としてはそのくらいのオーダーで、これは専門家とも議論したんですけれども、このくらい合えば合っていると言っていいのではないかなという意味で、ほかに比較するものがそんなにないので、大体そのくらい合えば、いわゆる部品の評価という点では、そこそこに合っているというような言い方をしてもいいのではないかと。それで、こんなような表現にいたしました。

【森尾委員】 そうすると、例えば衛星の設計なんかについて、JAXAとしての設計標準みたいなものがあると思うんですね。どの分野、どの程度ディレーティングして使うかというような。その設計標準そのものを今回の実験結果に基づいて変更するというところまでいくんでしょうか。結局、寺田プロマネの方がこの結果に基づいて次の準天頂の2号機はこういうCPUをこのようなディレーティングで使うというふうにやってくれないと、やっぱり実験だけで終わっちゃう可能性もあるんですね。その辺はどうなんですか。

【JAXA(中村)】 いわゆる耐放射線設計標準、確かなものがあります。ちょっとそこのところにこれをどう反映するかというのは、少しこれからの検討事項だと思いますけれども、今先生御指摘いただいたような、こういった軌道上のデータというのは、今設計標準はものを作る上での基本ですので、やっぱりこういうものはどんどん反映すべきだと私は思います。そこは、少しそういう議論を進めたいと思います。

【池上委員長】 やっぱりその辺をちゃんと詰めて、全体的な流れをつかんでやらないと、幾らやっても切りがないし、7ページの内容を見ること、地上でやればいいじゃないかというふうになってしまいますからね。
 余裕があれば、ISSの曝露部を使うとできるのでしょうか。どっちがやりやすいかわかりませんけどね。

【JAXA(中村)】 おっしゃるとおりです。軌道上実証という考え方、今回たまたまSDSを使いましたけれども、我々も軌道上実証について常にいろいろな議論をしています。しかし、共通して地上で十分な試験をすることが基本です。ただ、地上の試験だけではなかなかわかりにくい。解析などで補いますが、そういうものは幾つかあります。
 例えば1つは、機構部品のように実際に動くものというのは、地上でやっても重力の影響がありますので、そこは宇宙で実証すると非常に効果があると思います。重力の影響という意味では、例えば流体が回るようなものもあります。それからもう1つは、単品で地上試験をして、それぞれパーフェクトに動くんですけれども、例えば今回の例でいいますと、トランスポンダがそれに当たりますが、実際に衛星に載せて、個々ではそれぞれ試験をするけれども、衛星に載せて、遠くに中継衛星がいるとか、あるいは大気を通した地上にあるとか、それを全部トータルで検証する。これは非常に重要なことかなと思っています。
 そういうものを今後いろいろな形で実証するんですけれども、実証のプラットフォームとしては、こういったSDSというものは1つのオプションですし、今、池上委員長から御指摘あったような例えばJEMみたいなものも当然乗り物として候補になり得ます。それは、1つは、当然、コストがどうかということと、どのくらいタイムリーに持っていけるかというところで多分トレードオフになるんだろうと思います。

【池上委員長】 ISS特別部会で曝露部をエンジニアリングテストベットという位置づけをしましたので、今まではなかなか使いにくかったけれども、是非うまく活用してほしいと思います。

【JAXA(中村)】 そこはいろんなオプションがあろうかと思います。

【池上委員長】 これは、10ページ見ても、小型衛星そのものに生きる技術が相当あるわけでしょう。

【JAXA(平子)】 今回のところで使った機器というのは、こういうふうな低コストでやる開発の衛星には適用できます。

【池上委員長】 今、小型衛星の方にもいろいろ展開していこうということになり、いろいろやっているところで、何か参考になるような意見があれば、是非そこにインプットしてほしいと思います。

(4) その他

1.宇宙開発の現状報告

 宇宙開発の現状報告について、事務局から説明があった。(委34-4-1参照)

2..議事要旨

 第33回宇宙開発委員会議事要旨(案)について、原案どおり決定した。(委34-4-2参照)

【池上委員長】 人事案件というのがございまして、本議題につきましては人事案件ということで、平成13年1月の宇宙開発委員会の進め方についてのルールに基づきまして非公開とさせていただきたいと思います。御理解いただきますようお願いいたします。

(以下、非公開審議)

(説明者については敬称略)

お問合せ先

研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付

(研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付)

-- 登録:平成23年01月 --